説明

理化学用プレート、及びその製造方法

【課題】血液検査、尿検査、生化学検査、コンビナトリアルケミストリー、医薬開発、化学合成、分析、遺伝子関連用途において、可塑剤を使用することなく、自己接着性、凹凸構造の転写性に優れ、製品として使用が可能な理化学用プレートを提供する。
【解決手段】自己接着性を利用し、プレートどうしを重ね合わせる用途に使用される理化学用プレート10である。原材料に、スチレン系ブロック共重合体、又はアクリル系ブロック共重合体を使用し、動的粘弾性測定(引張モード、11Hz)における、温度10℃〜40℃±3の貯蔵弾性率(E’)が、10000Pa〜100MPaの範囲である。温度10℃〜40℃±3におけるショア硬度(ASTM D 2240)が、20〜80の範囲であり、凸、又は凹構造の幅または直径が100nm〜5000μmであり、前記凸、又は凹のアスペクト比が0.2〜10.0の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理化学分野で特に効果を発揮するものであり、自己接着性を利用し、プレート同士を重ね合わせる用途に使用される理化学用プレートに関する。また、本発明は、前記プレートを用いて、血液検査、尿検査、生化学検査、コンビナトリアルケミストリー、医薬開発、化学合成、分析用、遺伝子関連に用いられる用途において、凹、又は凸構造を備えるプレートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、シリコーンゴムの一種である。自己吸着性があるため、大きな内圧を必要としない場合は、基板に貼り付けるだけでシールできるため、理化学用途における試作チップ作製において多く使用されている(特許文献1)。可視光領域による光の吸収が小さく、自家蛍光がほとんどみられないため、遺伝子関連分野で用いられる蛍光検出にも使用されている。
【0003】
また、ガラスやプラスチック製のチップと異なり、 ウェットエッチングや高温での溶融成形を必要とせず、モールディング(型取り)によりマイクロ構造が製作でき、サブミクロンの構造まで転写可能であることも特徴である。ポリジメチルシロキサンのモールディングでは、官能基を導入したポリジメチルシロキサンに硬化剤を混合したものを型に流し込んで、加熱・固化させることなどにより製造する方法が用いられる。
【0004】
しかしながら、ポリジメチルシロキサンは、自己吸着力が弱く、貼り付けることによって形成した流路に液体を流そうとすると、液漏れが生じるという問題点があった。更に、時間が経過することで、硬化が進行し、吸着力が低下する問題点があった。
【0005】
また、ポリジメチルシロキサンは、時間が経過することによって、ヤング率(引張り、又は圧縮応力に対するひずみ量)が大きく変化するため、製造から6ヶ月経過したシートでは、伸張しないで破断したり、伸張度が変化するため、伸張と収縮を繰り返す用途では、使用できない問題点があった。
【0006】
モールディングによるマイクロ構造の型取りにおいては、上記の問題に加え、硬化時間が長いために生産性が低く、実用化には適さない問題点があった。
【0007】
また、ポリジメチルシロキサンは、水に対する接触角が80°以上と高く、疎水性表面であるため、毛細管現象による液体の搬送が困難となる場合や、マイクロ構造に水系の液体を配置した際、気泡が排除できない問題点があった。
このように、ポリジメチルシロキサンを材料としたプレートは、実験室レベルで比較的容易に作製できることから、これまでに多くの研究例があるものの、実用化には至っていないのが現状である。
【0008】
かかる問題を解決する手段として、ポリジメチルシロキサンプレートと高分子プレートのそれぞれの接合面に酸素含有基を導入し、この酸素含有基中の水酸基にシラノール基を有する有機官能基成分と反応させることで、ポリジメチルシロキサンプレートと高分子プレートとの接着性を高める方法が提案されている(特許文献2)。
【0009】
しかしながら、酸素含有基中の水酸基とシラノール基を有する有機官能基成分を反応させる方法は、ポリジメチルシロキサンプレートと高分子プレートとの界面との反応に限られるため、時間が経過することで、ポリジメチルシロキサンプレートの硬化が進行し、ヤング率が大きく変化する問題の解決には至っていない。ポリジメチルシロキサンの性質も、ゴム的な性質を示すエラストマーと比較すると、引き裂き強度が弱いため、ポリジメチルシロキサンシートと高分子プレートとの界面の接着が得られても、ポリジメチルシロキサンシートが破壊されるため、高分子プレートとの高い接合性は困難である。
【0010】
また、特許文献2では、酸素プラズマ処理を行うことで、ポリジメチルシロキサンプレートと、高分子プレートの親水化が可能となるとされている。しかしながら、大気中の水分と水酸基が結合したり、水酸基がポリマー内部に移動することで、1ヶ月以上の安定な親水性表面を維持することは困難である。
【0011】
特許文献3では、ポリジメチルシロキサンプレートの表面に、恒久的親水性を有する方法が提案されている。ポリジメチルシロキサンプレポリマーと硬化剤とポリエーテル変性界面活性剤とからなる混合物を成形した後、酸素プラズマ処理を行い、次にオルガノシラン溶液を塗布することで、恒久的親水性を有する方法である。
【0012】
しかしながら、ポリジメチルシロキサンプレート内包されたポリエーテル変性界面活性剤は、例えば、溶液中に溶出してノイズ成分となることが予測され、試薬を使用した検査、化学合成用途においては、適さないことが推測される。培養細胞を使用したコンビナトリアルケミストリー、医薬開発、分析用途では、ポリエーテル変性界面活性剤が、細胞に対して毒性が強く、使用できない問題点がある。
【0013】
特許文献4では、微細形状の寸法精度が高く、自家蛍光発生を抑え、引き裂き強度に優れた硬化性樹脂からなるチップの製造方法が提案されている。吸水による重量増加の割合が30%以上である親水性樹脂A、吸水による重量増加の割合が5%以下である樹脂Bを用いて成形し、微細な凹凸形状を表面に有することを特徴としている。
【0014】
しかしながら、得られる新規の硬化性樹脂は、優れた転写性と自家蛍光の発生を抑制可能な反面、自己接着性を有さないため、プレート同士を重ね合わせる用途には使用できない問題点があった。微細な凹凸形状を表面に有するプレートに、ポリジメチルシロキサンシートを重ね合わせれば、接合は可能となるが、実用性は大きく低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−151717号公報
【特許文献2】特開2010−082540号公報
【特許文献3】特開2006−181407号公報
【特許文献4】特開2007−253071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来の自己接着性を利用し、プレート同士を重ね合わせる用途に使用される理化学用プレートは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)が使用されている。自家蛍光がほとんどみられず、モールディング(型取り)が可能であるものの、時間経過によってヤング率が(引っ張り、又は圧縮応力に対するひずみ量)大きく変化し、硬化、接着力の低下、伸張時の破断が生じるため、実用化には至っていないのが現状である。
【0017】
ポリジメチルシロキサンプレートと高分子プレートの接合面に酸素含有基を導入し、シラノール基を有する有機官能基成分と反応させる方法は、プレート同士の接着性を高めるものの、ヤング率の変化による、硬化、接着力の低下、伸張時の破断を改善させるものではなかった。
【0018】
ポリジメチルシロキサンプレポリマーと硬化剤とポリエーテル変性界面活性剤とからなる混合物を成形し、恒久的親水性を有する方法は、培養細胞に毒性となるポリエーテル変性界面活性剤が溶液中に溶出するため、コンビナトリアルケミストリー、医薬開発、分析用途に使用できなかった。
【0019】
吸水による重量増加の割合が30%以上である親水性樹脂A、吸水による重量増加の割合が5%以下である樹脂Bを用いて成形し、微細な凹凸形状を表面に有するチップの製造方法は、チップが自己接着性を有さないため、プレート同士を重ね合わせる用途には、使用できなかった。
【0020】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、血液検査、尿検査、生化学検査、コンビナトリアルケミストリー、医薬開発、化学合成、分析、遺伝子関連用途において、可塑剤を使用することなく、自己接着性、引き裂き強度に優れ、細胞毒性の低い理化学用プレート、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するために、本発明は、自己接着性を利用し、プレート同士を重ね合わせる用途に使用されるプレートにおいて、スチレン系ブロック共重合体、又はアクリル系ブロック共重合体を材料とし、温度10℃〜40℃におけるショア硬度A(ASTM D 2240)が、20〜80の範囲である理化学用プレートを提供する。
【0022】
更に、本発明は、凸、又は凹構造を備える理化学用プレートであって、前記凸、又は凹構造の幅または直径が100nm〜5000μmであり、前記微細な突起のアスペクト比が0.2〜10.0の範囲である理化学用プレートを提供する。
【0023】
更に、本発明は、凸、又は凹構造を備える理化学用プレートの製造方法であって、原材料であるブロック共重合体を有機溶剤に溶解させるステップと、凹、又は凸構造を有する原盤に、有機溶剤に溶解したブロック共重合体を配置した後、有機溶媒を乾燥させるステップと、前記原盤上に形成された凹、又は凸パターンにしたがって、前記原盤のパターンを転写して凸、又は凹構造を備える理化学用プレートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、血液検査、尿検査、生化学検査、コンビナトリアルケミストリー、医薬開発、化学合成、分析、遺伝子関連用途において、可塑剤を使用することなく、自己接着性、引き裂き強度に優れ、細胞毒性の低い理化学用プレートの提供が可能となる。
【0025】
これにより、実験室レベルでの試作に限定されるのでなく、実用化を目的とした試験販売、更には、製品としての展開に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】平板に理化学用シートを貼り付け、はく離試験による、接着力評価の際の側面図である。
【図2】曲板に理化学用シートを貼り付け、はく離試験による、接着力評価の際の側面図である。
【図3】はく離試験による、接着力評価の例を示す写真である。
【図4】(a)は実施例1〜3の理化学用プレートの平面図であり、(b)は実施例1〜3の理化学用プレートの側面図である。
【図5】(a)は実施例4の理化学用プレートの平面図であり、(b)は実施例4の理化学用プレートの側面図である。
【図6】(a)は実施例5の理化学用プレートの平面図であり、(b)は実施例5の理化学用プレートの側面図である。
【図7】(a)は実施例6の理化学用プレートの平面図であり、(b)は実施例6の理化学用プレートの側面図である。
【図8】(a)は比較例1〜3の理化学用プレートの平面図であり、(b)は比較例1〜3の理化学用プレートの側面図である。
【図9】(a)は比較例4の理化学用プレートの平面図であり、(b)は比較例4の理化学用プレートの側面図である。
【図10】実施の形態の1例を示す、理化学用プレートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
共重合体には、ランダム共重合体(―ABBABBBAAABA―)、交互共重合体(―ABABABABABAB―)、周期的共重合体(―AAABBAAABBAAA―)、ブロック共重合体(―AAAAAABBBBBB―)、の4種類の構造がある。 また、ブロック共重合体の一種にグラフト共重合体と呼ばれるものがあり、幹となる高分子鎖に、異種の枝高分子鎖が結合した枝分かれ構造をしている。
【0028】
自己接着性とその持続性、引き裂き強度に優れ、細胞毒性の低い理化学用プレートを実現するにはスチレン系ブロック共重合体、又はアクリル性ブロック共重合体を使用とすることで可能となる。ブロック共重合体は、リビング重合法によって製造される。リビング重合とは、重合反応の中でも、連鎖重合において移動反応・停止反応などの副反応を伴わない重合のことである。リビング重合の特徴は、ポリマーの生長末端が常に重合活性である(livingである)ため、モノマーが完全に消費されたあと新たにモノマーを加えると重合がさらに進行すること、鎖の長さのそろったポリマーが得られること等の点を挙げることができる。
【0029】
スチレン系ブロック共重合体とは、例えば、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンの共重合体の水素添加物(SEPS)、ポリスチレン−ブタジエン−ポリスチレンの共重合体の水素添加物(SEBS)等があげられる。
【0030】
アクリル系ブロック共重合体とは、例えば、ポリメチルメタクリレート−ボリブチルアクリレート(MA)、ポリメチルメタクリレート−ポリブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレート(MAM)等があげられる。
【0031】
ブロック共重合体は、ソフト(ゴム状性質)セグメントの比率が高くなると、自己接着性を示すことが可能となる。自己接着性は、可塑剤を使用しないため、時間経過、例えば6ヶ月以上が経過しても、粘着性が低下することがなく、製品としての品質を保証することが可能となる。ブロック共重合体の接着力は、例えば、熱可塑性プラスチック、ガラス、シリコンウェハー、プリント配線板、エラストマー、シリコン、エンジニアプラスチック等、広範な目的に展開することが可能であり、重ね合わせることで、多様なデバイス、診断チップ等への展開が可能である。
【0032】
また、ブロック共重合体は、分子量が揃っているため、引き裂き強度に優れるため、穴あけ加工においても、破断する等の問題を発生させることがない。
【0033】
ブロック共重合体の分子量が揃っていると、菌等の生物試料を扱う場合にも効果を発揮することができる。ランダム共重合によって得られた材料は、分子量の小さいものが含まれており、γ線滅菌処理で、更に分子量が小さくなり、菌等の生物試料に対して毒性物となり、生物を用いた試験には適さない。ブロック共重合体は、分子量が揃っていることで、γ線滅菌処理に対しても、毒性物となることは無い。
【0034】
動的粘弾性測定は、ブロック共重合体のキャラクタリゼーションを把握するうえで、有効な手段である。ブロック共重合体のハードセグメントと、ソフトセグメントの割合において、ハードセグメントの比率が高くなると、貯蔵弾性率(E’)は高くなり、シートの粘着性は低下する傾向となる。ソフトセグメントの比率が高くなると、貯蔵弾性率(E’)は低くなり、シートの粘着性は低下する傾向となる。
【0035】
自己接着性を発揮でき、かつ重ね合わせ時のハンドリング性(接着力が強すぎないないで、所望の位置にシートを固定可能)を両立させる観点から、動的粘弾性測定(引張モード、11Hz)における、温度10℃〜40℃±3の貯蔵弾性率(E’)は、10000Pa〜100MPaの範囲であることが好ましく、50000Pa〜50MPaの範囲がより好ましい。
【0036】
動的粘弾性測定は、貯蔵弾性率(E’)に加え、ガラス状態からゴム状態への転移に対応するソフト(ゴム状性質)セグメントのtanδのピーク温度を測定することで、シートの接着力を評価することが可能である。
【0037】
自己接着性を発揮でき、かつ重ね合わせ時のハンドリング性(接着力が強すぎないないで、所望の位置にシートを固定可能)を両立させる観点から、動的粘弾性測定(引張モード、11Hz)における、ゴム状態からガラス状態への転移に対応するソフトセグメントのtanδのピーク温度は、−80〜+30℃の範囲であることが好ましく、−50〜+10℃の範囲であることがより好ましい。
【0038】
本発明の理化学用プレート10は、例えば、熱可塑性プラスチック、ガラス、シリコンウェハー、プリント配線板、エラストマー、シリコン、エンジニアプラスチック等、広範な目的に展開することが可能である。特に、平坦面だけでなく、曲面や、エンボス表面への接着も可能であることが特徴である。プレートの硬度が高すぎると、曲面や、エンボス表面への接着が困難となるため、温度10℃〜40℃におけるショア硬度(ASTM D 2240)は、10〜80の範囲であることが好ましく、25〜70の範囲であることがより好ましい。
【0039】
本発明の理化学用プレート10は、例えば、プレートに貫通孔を複数形成し、化学反応のための試料容器として用いることができる。更に、貫通孔を有するプレートを曲面や、エンボス表面に接着することが可能であり、一定の伸張伸びと強度を両立していることが特徴である。貫通孔を有するプレートの曲面への接着において、貫通孔のエッジからの引き裂きが発生しない範囲として、引張物性における100%モジュラス値が、0.1MPa〜20MPaの範囲であることが好ましく、0.5MPa〜10MPaの範囲であることがより好ましい。
【0040】
本発明の理化学用プレート10は、スチレン系ブロック共重合体、又はアクリル系ブロック共重合体を単体で使用する以外に、ポリマーの配合品を使用することで、所望の貯蔵弾性率(E’)、硬度を得ることも可能である。
【0041】
スチレン系ブロック共重合体を原材料とした場合、例えば、硬質のポリプロピレン(PP)を配合することで、所望のプレートを得ることが可能となる。アクリル系ブロック共重合体を原材料とした場合、例えば、硬質のポリメチルメタクリレート(PMMA)を配合することで、所望のプレートを得ることが可能となる。
【0042】
所望の貯蔵弾性率(E’)、硬度を得るための配合比は、スチレン系ブロック共重合体、又はアクリル系ブロック共重合体が100〜40wt%、ポリマーが0〜60wt%の範囲が好ましく、スチレン系ブロック共重合体、又はアクリル系ブロック共重合体が80〜60wt%、ポリマーが20〜40wt%の範囲がより好ましい。
【0043】
本発明の理化学用プレート10の形成方法は、特に限定されないが、例えば、押し出し成形、射出成形、ホットエンボス成形、ナノインプリント成形、ブロー成形、カレンダー成形、キャスト成形、熱プレス成形等を挙げることができる。
【0044】
本発明の理化学用プレート10は、スチレン系ブロック共重合体、又はアクリル系ブロック共重合体を使用することで、各ブロックの屈折率が異なっていても、数10nm単位の相分離構造となるため、可視光波長の400〜650nmの光を屈折させることがなく、透明な理化学用プレートを得ることが可能である。スチレン系ブロック共重合体、又はアクリル系ブロック共重合体にポリマーを配合する場合においても、スチレン系ブロック共重合体と相溶するポリプロピレン(PP)、アクリル系ブロック共重合体と相溶するポリメチルメタクリレート(PMMA)を使用することで、数10nm単位の相分離構造となるため、透明な理化学用プレートを得ることが可能となる。
【0045】
プレートどうしを重ね合わせる際の位置確認や、薬品との反応を光検出するために必要な光学物性値は、全光線透過率(厚み:3mm)80%以上、ヘイズ値(厚み:3mm)15%以下であることが好ましく、全光線透過率85%以上、ヘイズ値10%以下であることがより好ましい。
【0046】
本発明の理化学用プレート10は、その表面に凸、又は凹構造を備えることで、展開用途を飛躍的に拡大することが可能である。例えば、微細な複数の凸構造をアレイ状に集合させることで、プレート上でのフィルター機能、表面積の増大によるセンサ感度(S/N比)の向上等の用途に展開することが可能である。微細な凹構造を複数プレート上に形成すれば、一度に多検体を検査可能な分析プレート等の用途に展開することが可能である。
凸、又は凹構造の寸法は、工業技術として、再現性良く、低コストで生産可能な観点から、幅または直径が100nm〜5000μm、凸、又は凹のアスペクト比が0.2〜10.0の範囲であることが好ましく、幅または直径が2μm〜3000μm、凸、又は凹のアスペクト比が0.5〜5.0の範囲であることがより好ましい。
【0047】
本発明の理化学用プレート10の全体または一部に、有機膜、又は無機膜を被覆することで、表面性を改質することができ、展開用途を更に拡大させることが可能となる。例えば、凹凸構造の表面を親水化することで、水系試料を配置した際の気泡の排除、生物試料を配置した際の接着性の向上、血液試料を配置した際の血小板、たんぱく質の抗付着制御が可能となる。凹凸構造の表面を更に疎水化すれば、例えば、油系試料を配置した際、撥水効果を利用した微少液滴の空気圧送に効果を発揮できる。
【0048】
有機膜の被覆方法は、薬品処理、溶剤処理、カップリング剤処理、モノマーコーティング、ポリマーコーティング、蒸気処理、表面グラフト化、紫外線照射処理、プラズマ接触処理、プラズマジェット処理、プラズマ重合処理、イオンビーム処理、ディッピング法、スピンコート法、エキシマUV処理等があげられる。
【0049】
無機膜の被覆方法は、電気化学的(電気メッキ)処理、陽極酸化、真空蒸着法、スパッタリング法等があげられる。
【0050】
有機膜の種類は、例えば、酢酸ビニル系樹脂(商品名:エクセバール、ポバール)、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリ尿素膜、日本油脂(株)製の商品名:Lipidure-PMB(リン脂質極性基を有するMPCポリマーとブチルアクリレートの共重合ポリマー)等をあげることができる。
【0051】
無機膜の種類は、例えば、AL、Au、Ag、Cu、MgiO、AlO、SiO、Si等をあげることができる。
【0052】
有機膜、又は無機膜の膜厚は、再現性良く、改質された表面を実現するうえで、0.005〜10μmの範囲であることが好ましく、0.05〜5μmの範囲であることがより好ましい。
【0053】
本発明の理化学用プレート10に形成された凹凸構造は、流路パターン、混合部パターン、容器パターン、突起パターンの中から少なくとも一つのパターンを有する。流路パターンでは、例えば、遺伝子関連用途において、電気泳動法におけるサンプルの泳動パターンを光検出することができる。混合部パターンでは、例えば、血液検査用途において、血液と薬品を混合させた後、吸光度測定によって分析することができる。容器パターンでは、複数のサンプルを配置する、コンビナトリアルケミストリー用途に展開することができる。突起パターンでは、試料の分離・抽出といったフィルター用途に展開することができる。
【0054】
本発明の理化学用プレート10は、血液検査、尿検査、生化学検査、コンビナトリアルケミストリー、医薬開発、化学合成、分析、遺伝子関連用途に用いられることで、特にその効果を発揮することが可能である。
【0055】
本発明の理化学用プレート10は、有機溶剤に溶解させることで、凸、又は凹構造を備えることが可能となる。凸、又は凹構造の形成方法を説明する。
【0056】
スチレン系ブロック共重合体の場合は、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ヘキサン等が溶剤としてあげられる。アクリル系ブロック共重合体の場合は、メタノール、エタノール、エーテル、アセトン等が溶剤としてあげられる。
【0057】
ブロック共重合体と溶剤との混合比は、溶液の粘度が高くなると微細なマイクロ凹凸構造体への転写性が低下する傾向となるため、凹凸構造のサイズに応じて、適宜選択することが好ましい。ブロック共重合体が50wt%〜5wt%、溶剤が50wt%〜95wt%の範囲であることが好ましく、ブロック共重合体が30wt%〜15wt%、溶剤が70wt%〜85wt%の範囲であることがより好ましい。
【0058】
凹、又は凸構造を有する原盤は、例えば、耐薬品性を有するプラスチックへの切削加工品、金属性プレートへの切削加工品、シリコンウェハー、ガラスにエッチング処理を施した基板や、光反応性レジストを使用したパターン等があげられる。光反応性レジストを使用した場合は、日本化薬(株)が販売する化学増幅型光架橋レジスト、型式SU−8が、耐薬品性が高く、アスペクト比の高い構造体が得られる点で特に好ましい。
【0059】
有機溶剤に溶解させたブロック共重合体は、原盤の周囲を土手で囲い、配置した有機溶剤を乾燥させることで、凸、又は凹構造を備える理化学用プレートを得ることができる。原盤の周囲を覆う材料は、架橋ゴム、ポリエチレン、テフロン(登録商標)等、耐薬品性を有する材料を使用することが望ましい。
【0060】
凸、又は凹構造を有する理化学用プレート10の板厚を厚くするには、ブロック共重合体の濃度を高める方法があるが、微細な形状を転写する場合は、転写性が低下することが懸念される。板厚3mmの凸、又は凹構造を有する理化学用プレートを得る方法として、例えば、ブロック共重合体の濃度を15wt%とし、その溶液の上に、熱プレス成形で得た3mmシートを重ねることで板厚3mmのシートを得ても良い。板厚3mmのシートを重ねるタイミングは、溶剤の乾燥中、又は溶剤の乾燥後であってもよく、シートに平坦性が要求される場合は、溶剤の乾燥中であることが好ましい。
【0061】
溶剤の揮発速度を高める方法として、例えば、ドラフト内乾燥、防爆型のクリーンオーブン乾燥、真空吸引等の方法があげられる。
【0062】
前記原盤のパターンを転写して得た凸、又は凹構造を有するプレートは、種層を付着させた後、前記種層上に、めっき処理によって金属層を形成し、型用金属構造体として使用することで、寸法精度と低コスト化を満足する樹脂成形品を提供することが可能となる。
【0063】
種層の形成方法は特に限定されないが、好ましくは蒸着、スパッタリング、無電解メッキ等を用いることができる。種層に用いられる導電性材料としては金、銀、白金、銅などを挙げることができる。金属層を堆積させるメッキ方法は特に限定されないが、例えば電解メッキ、無電解メッキ等を挙げることができる。用いられる金属は特に限定されないが、ニッケル、ニッケルの結晶構造を変更したもの、ニッケル-コバルト合金、銅、金を挙げることができ、経済性・耐久性の観点からニッケルが好ましく用いられる。
【0064】
前記原盤のパターンを転写して得た凸、又は凹構造を有するプレートを使用して、型用金属構造体を得る製造法において、前記原盤に、日本化薬(株)が販売する化学増幅型光架橋レジスト、型式SU−8を使用する場合、特にその効果を発揮する。
【0065】
化学増幅型光架橋レジストSU−8は、微細、かつ高アスペクト比構造体を製作することが可能なレジストである。しかし、これに種層を付着させ、型用金属構造体を得た場合は、高い架橋密度により、どんな有機溶剤を使用しても、SU−8を型用金属構造体から剥離することができず、日本、世界の研究者の課題となっている。
【0066】
SU−8のレジストパターン体に、溶剤に溶解させたポリメチルメタクリレート樹脂をキャスト成形し、転写体を得ようと試みても、ポリメチルメタクリレート樹脂が硬質であるため、SU−8に樹脂の一部が残り、転写体を得ることは困難を極めていた。
【0067】
本発明の凸、又は凹構造を有する理化学用プレートは、軟質樹脂であるため、SU−8のレジストパターン体に樹脂の一部が残ることなく、完成度の高い転写体を得ることが可能である。更に、型用金属構造体から、有機溶剤で容易に軟質樹脂を溶解させることが可能であり、長い間課題であったSU−8からの型用金属構造体を得ることに成功した。
【0068】
型用金属構造体を使用して、例えば、射出成形で樹脂成形品を形成する場合、1枚の型用金属構造体で1万枚〜5万枚、場合によっては20万枚もの樹脂成形品を得ることができ、金属構造体の製作にかかる費用負担を大幅に解消することが可能である。また、射出成形1サイクルに必要な時間は5秒〜30秒と短く、生産性の面で極めて効率的である。射出成形1サイクルで同時に複数個の樹脂成形品を形成可能な成形金型を使用すれば、更に生産性を向上することが可能となる。
【0069】
樹脂成形品を形成するのに使用する樹脂材料としては特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、スチレン系樹脂、アクリル・スチレン系共重合樹脂(MS樹脂)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコール系共重合樹脂、スチレン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系樹脂ポリジメチルシロキサンなどのシリコン樹脂等を挙げることができる。
【0070】
これらの樹脂は必要に応じて滑剤、光安定剤、熱安定剤、防曇剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの1種または2種以上を含有することができる。
【実施例】
【0071】
以下に実施例を説明する。本実施例で示した理化学用プレートは一例であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[接着力の評価方法]
【0072】
(平板)図1に示すように、日本電産シンポ(株)製のはく離試験機20(型式:FGP−1)を使用し、180°はく離試験を実施した。作製した理化学用プレート10を、厚さ0.5mmのPETシート30に貼り付けた後、理化学用プレート10を、180°の角度で引っ張り、はく離時の平均強度を測定した。
【0073】
(半円板)図2に示すように、日本電産シンポ(株)製のはく離試験機20(型式:FGP−1)を使用し、180°はく離試験を実施した。作製した理化学用プレート10を、円柱状に切り出した、直径30mm、厚さ2mmの塩ビパイプ40に貼り付けた後、理化学用プレート10を、180°の角度で引っ張り、はく離時の平均強度を測定した。
[動的粘弾性測定]
【0074】
(株)オリエンテック製のレオバイブロン動的粘弾性自動測定器(型式:DDV)を使用し、引張モード、昇温速度3℃/分、周波数11Hzの条件にて、−100℃〜200℃における貯蔵弾性率(E’)、及びtanδ測定を行った。
[ショア硬度(ASTM D 2240)]
【0075】
エムアンドケー(株)製のショア硬度計(型式:タイプMデュロメータ、IRHD−M)を使用し、ショア硬度測定を行った。
[引張物性測定]
【0076】
(株)島津製作所製のオートグラフAGSを使用し、100%モジュラス(100%の伸びを与えたときの引張応力)を測定した。
[光学物性]
【0077】
(株)スガ試験機製の可視光線透過率計(型式:HA−TR)を使用し、全光透過率およびヘイズ値を測定した。具体的には、ISO13468、ISO14782に準拠した方法で2回測定し、その平均値を求めた。
[実施例1]
【0078】
アクリル系ブロック共重合体(クラレ社、商品名:LAポリマー、型式:LA2250)を使用し、熱プレス成形により、長さ60mm、幅30mm、厚み3mmの理化学用プレート11を得た。次に、動的粘弾性、ショア硬度、引張物性、光学物性、及び接着力をはく離試験によって測定した。
[実施例2]
【0079】
アクリル系ブロック共重合体の型式が、LA2140eである以外は、実施例1と同様にして理化学用プレート12を得た。次に、実施例1と同様にして物性値を測定した。
[実施例3]
【0080】
スチレン系ブロック共重合体(クラレ社、商品名:ハイブラー、型式:5125)を使用し、熱プレス成形により、長さ60mm、幅30mm、厚み3mmの理化学用プレート13を得た。次に、実施例1と同様にして物性値を測定した。
[実施例4]
【0081】
スチレン系ブロック共重合体(クラレ社、商品名:ハイブラー、型式:7311)を使用し、トルエン溶液に20wt%を溶解させた。次に、幅1mm、高さ0.2mm、アスペクト比0.2の凸パターンを有する、日本化薬(株)が販売する化学増幅型光架橋レジスト、型式SU−8パターン体にキャスト成形を行った。次に、トルエンを揮発させた後、SU−8パターンからハイブラーを離型し、幅1mm、深さ0.2mm、アスペクト比0.2の流路パターンを有する、長さ60mm、幅30mm、厚み2mmの理化学用プレート14を得た。次に、実施例1と同様にして物性値を測定した。
[実施例5]
【0082】
アクリル系ブロック共重合体(クラレ社、商品名:LAポリマー、型式:2250)を使用し、アセトン溶液に20wt%を溶解させた。次に、直径0.03mm、深さ0.03mm、アスペクト比1.0の凹パターンを有する、日本化薬(株)が販売する化学増幅型光架橋レジスト、型式SU−8パターン体にキャスト成形を行った。次に、アセトンを揮発させた後、SU−8パターンからLAポリマーを離型し、直径0.03mm、高さ0.03mm、アスペクト比1.0の凸ピラーパターンを有する、長さ60mm、幅30mm、厚み2mmの理化学用プレート15を得た。次に、実施例1と同様にして物性値を測定した。
[実施例6]
【0083】
アクリル系ブロック共重合体(クラレ社、商品名:LAポリマー、型式:2140e)を使用し、アセトン溶液に20wt%を溶解させた。次に、直径0.02mm、深さ0.06mm、アスペクト比3.0の凹パターンを有する、日本化薬(株)が販売する化学増幅型光架橋レジスト、型式SU−8パターン体にキャスト成形を行った。次に、アセトンを揮発させた後、SU−8パターンからLAポリマーを離型し、直径0.02mm、高さ0.06mm、アスペクト比3.0の凸ピラーパターンを有する、長さ60mm、幅30mm、厚み2mmの理化学用プレート16を得た。次に、実施例1と同様にして物性値を測定した。
[比較例1]
【0084】
アクリル系ブロック共重合体(クラレ社、商品名:LAポリマー、型式:LA2250)と、硬質アクリル樹脂(クラレ社、商品名:パラペット、型式GH−S)の配合比が、30/70wt%のブレンド品を使用し、熱プレス成形により、長さ60mm、幅30mm、厚み3mmのプレート1を得た。次に、実施例1と同様にして物性値を測定した。
[比較例2]
【0085】
スチレン系ブロック共重合体(クラレ社、商品名:ハイブラー、型式:5127)を使用し、熱プレス成形により、長さ60mm、幅30mm、厚み3mmのプレート2を得た。次に、実施例1と同様にして物性値を測定した。
[比較例3]
【0086】
ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社、商品名:信越シリコーン、型式:KE−1300T(主剤)、CAT−1300(硬化剤))を使用し、主剤であるKE−1300T及び、硬化剤であるCAT−1300を10:1の割合で混合し、キャスト成形を行った。次に、室温で4〜5時間放置することで硬化させ、離型することで、長さ60mm、幅30mm、厚み3mmのポリジメチルシロキサンシート3を得た。次に、実施例1と同様にして物性値を測定した。
[比較例4]
【0087】
ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社、商品名:信越シリコーン、型式:KE−1300T(主剤)、CAT−1300(硬化剤))を使用し、主剤であるKE−1300T及び、硬化剤であるCAT−1300を10:1の割合で混合し、直径0.03mm、深さ0.03mm、アスペクト比1.0の凹パターンを有する、日本化薬(株)が販売する化学増幅型光架橋レジスト、型式SU−8パターン体にキャスト成形を行った。次に、室温で4〜5時間放置することで硬化させ、離型することで、直径0.03mm、高さ0.03mm、アスペクト比1.0の凸ピラーパターンを有する、長さ60mm、幅30mm、厚み3mmのポリジメチルシロキサンシート4を得た。次に、実施例1と同様にして物性値を測定した。
【0088】
【表1】

【0089】
表1は、実施例、及び比較例における物性値を記載した表であり、この表1から、動的粘弾性における貯蔵弾性率(E’)、及び硬度の値が高い比較例1〜2では、接着力が低く、実用化は困難であることが分かる。ポリジメチルシロキサン(PDMS)を材料とした、比較例3〜4の引張物性における100%モジュラスは、材料が伸張せず破断した。接着力も低く、曲板への接着は不可能であった。
【0090】
表1から、実施例1〜6は、貯蔵弾性率、ショア硬度、引張物性の範囲を満足する理化学用プレートであり、高い透明性を保持すると同時に、平板、及び曲板のいずれにおいても、高い接着力を有することが確認できる。更に、実施例4〜6は、キャスト成形によって、微細な凸、又は凹構造を備える理化学用プレートであることがわかる。
【符号の説明】
【0091】
10 理化学用プレート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己接着性を利用し、プレートどうしを重ね合わせる用途に使用されるプレートであって原材料に、スチレン系ブロック共重合体、又はアクリル系ブロック共重合体を使用し、動的粘弾性測定(引張モード、11Hz)における、温度10℃〜40℃±3の貯蔵弾性率(E’)が、10000Pa〜100MPaの範囲である、理化学用プレート。
【請求項2】
前記動的粘弾性測定(引張モード、11Hz)における、ガラス状態からゴム状態への転移に対応するソフトセグメントのtanδのピーク温度が−80〜+30℃の範囲である、請求項1に記載の理化学用プレート。
【請求項3】
温度10℃〜40℃におけるショア硬度(ASTM D 2240)が、20〜80の範囲である、請求項1又は2に記載の理化学用プレート。
【請求項4】
引張物性における100%モジュラス値が、0.1MPa〜20MPaの範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の理化学用プレート。
【請求項5】
前記理化学用プレートの材料比における、スチレン系ブロック共重合体、又はアクリル系ブロック共重合体が100〜40wt%、ポリマーが0〜60wt%の範囲である請求項1〜4のいずれか1項に記載の理化学用プレート。
【請求項6】
光学物性値における全光線透過率(厚み:3mm)が80%以上、ヘイズ値(厚み:3mm)が15%以下の透明である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の理化学用プレート。
【請求項7】
凸、又は凹構造を備える理化学用プレートであって、前記凸、又は凹構造の幅または直径が100nm〜5000μmであり、前記凸、又は凹のアスペクト比が0.2〜10.0の範囲である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の理化学用プレート。
【請求項8】
前記理化学用プレートの全体または一部に、有機膜または無機膜が被覆され、膜厚が0.005〜10μmの範囲である請求項1〜7のいずれか1項に記載の理化学用プレート。
【請求項9】
流路パターン、混合部パターン、容器パターン、突起パターンの中から少なくとも一つのパターンを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の理化学用プレート。
【請求項10】
血液検査、尿検査、生化学検査、コンビナトリアルケミストリー、医薬開発、化学合成、分析、遺伝子関連用途に用いられる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の理化学用プレート。
【請求項11】
凸、又は凹構造を備える理化学用プレートの製造方法であって、原材料であるブロック共重合体を有機溶剤に溶解させるステップと、
凹、又は凸構造を有する原盤に、有機溶剤に溶解したブロック共重合体を配置した後、有機溶媒を乾燥させるステップと、
前記原盤上に形成された凹、又は凸パターンにしたがって、前記原盤のパターンを転写して凸、又は凹構造を備える理化学用プレートの製造方法。
【請求項12】
前記原盤のパターンを転写して得た凸、又は凹構造を備えるプレート上に種層を付着するステップを備え、前記種層上に、めっき処理によって金属層を形成する、請求項11に記載の理化学用プレートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−42362(P2012−42362A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184517(P2010−184517)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(399110306)フジデノロ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】