説明

環境試験装置

【課題】水平搬送路の途中に垂直搬送路がある場合でも、水平搬送路と垂直搬送路の間のワークの受け渡しに専用の搬送機構を必要としない環境試験装置を提案すること。
【解決手段】環境試験装置1は第1水平搬送路11に沿ってワーク2を搬送する水平搬送機構13と第1垂直搬送路14に沿ってワーク2を搬送する第1垂直搬送機構15を備える。第1垂直搬送機構15はワーク2を載せて上下に搬送する各第1水平棚20を有する。各第1水平棚20は片持ち状態で支持されており、第1水平搬送路11の一部分を構成するように一時停止しながら移動する。水平搬送機構13は、各第1水平棚20が水平搬送路11の一部分を構成したきに、各第1水平棚20の自由端の側から水平搬送路11内に延ばした送り爪34で第1水平搬送路11上のワーク2を搬送する。従って、第1水平搬送路11と第1垂直搬送路14のワーク2の受け渡しを水平搬送機構13で行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度槽内においてワークを水平搬送路および垂直搬送路を経由させて環境試験位置に導く環境試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の環境試験装置としては特許文献1に記載されたものがある。ここに記載されている環境試験装置は、ワークを所定の温度状態にした後に通電試験などの環境試験を行う環境試験装置であって、水平搬送路の途中位置において、ワークを上下方向の円環状の環状搬送路に沿って搬送して、水平搬送路を長くすることなく温度槽内でのワーク滞留時間を確保している。また、水平搬送路に沿って水平に搬送されてきたワークを水平搬送路から環状搬送路に引き渡すためにローダ或いはロボットが配置されている。同様に、環状搬送路に沿って搬送された後のワークを水平搬送路に戻すためのアンローダ或いはロボットも配置されている。
【特許文献1】特開2004−45057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
温度槽内で水平搬送路および環状搬送路に沿ってワークを搬送する従来の環境試験装置では、これらの搬送路に沿ってワークを搬送する機構に加えて、水平搬送路と環状状搬送路の間でワークを受け渡すためのローダ、ロボットなどの専用のワーク受け渡し機構が必要である。このようなワーク受け渡し機構を省略できれば、装置構成が小型でコンパクトになるので環境試験装置を廉価に製造できる。
【0004】
本発明の課題は、この点に鑑みて、温度槽内において水平方向の搬送路および上下方向の搬送路の間でワークを受け渡すための専用の搬送機構を必要としない小型・コンパクトで廉価な環境試験装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の環境試験装置は、
所定の温度に調整された温度槽内に位置する環境試験位置に向けて、直線状の水平搬送路に沿ってワークを一定の送りピッチで間欠的に搬送する水平搬送機構と、
前記水平搬送路の途中における間欠送りされるワークの一時停止位置を経由する垂直搬送路に沿って、当該一時停止位置からワークを上下方向に搬送した後に再び当該一時停止位置に戻す垂直搬送機構とを有しており、
前記水平搬送機構は、
前記水平搬送路に沿って配置された送りシャフトと、
この送りシャフトに一定のピッチで取り付けられた複数の送り爪と、
前記送りシャフトをその軸線回りに回動することにより、各送り爪を、前記水平搬送路上のワークを送り出し可能な送り出し位置および当該送り出し位置から退避した退避位置に旋回させるシャフト回動機構と、
前記送りシャフトを待機位置と前進位置との間で前記水平搬送路に沿って一定のストロークで往復移動させるシャフト送り機構とを備えており、
前記垂直搬送機構は、
前記一時停止位置を通る前記垂直搬送路に沿って一定の間隔で上下方向に配列されたワーク搬送用の複数の水平棚および前記水平搬送路から側方に外れた位置において各水平棚を片持ち状態で水平に支持している棚支持部材を有するラックと、
各水平棚が前記一時停止位置で一時停止するように前記ラックを垂直方向に間欠的に昇降させる昇降機構とを備えており、
前記水平搬送機構における前記送り爪が取り付けられている前記送りシャフトは、前記水平搬送路を挟み、前記棚支持部材とは反対側に配置されていることを特徴としている。
【0006】
本発明の環境試験装置では、温度槽内において水平搬送機構によってワークが水平搬送路に沿って一定のピッチで間欠送りされる。水平搬送路の途中におけるワークの一時停止位置は、垂直搬送機構の各水平棚の垂直搬送経路上にあり、各水平棚は当該一時停止位置で一時停止するように垂直方向に間欠的に昇降する。また、垂直搬送機構はワークを上下方向に搬送する複数の水平棚が片持ち状態で支持されているので、水平棚の自由端の側には垂直搬送機構の部品を設置する必要がない。よって、水平棚の自由端の側に沿って水平搬送機構の送りシャフトを配置することができる。また、水平搬送機構は、各水平棚が一時停止位置で一時停止したときに、各水平棚の自由端の側から水平搬送路内に延ばした送り爪で水平搬送路上のワークを搬送できる。
【0007】
この結果、水平搬送路に沿って水平搬送機構によって搬送されるワークを、当該水平搬送機構によって、垂直搬送機構における水平搬送路上に位置している水平棚に引き渡すことができる。同様に、垂直搬送機構の水平棚に乗っているワークを、当該水平棚が水平搬送路上に位置した時点で、水平搬送機構によって、当該水平棚から下流側の水平搬送路に引き渡すことができる。
【0008】
したがって、水平搬送路から垂直搬送路にワークを引き渡すための専用の機構が不要となり、また、垂直搬送路から水平搬送路にワークを引き渡すための専用の機構も不要となる。さらに、送りシャフトを備えている水平搬送機構を、垂直搬送路の上流側と下流側とで分割して設ける必要がなく、一つの水平搬送機構によりワークを水平搬送することができる。よって、温度槽内に水平搬送路および垂直搬送路を備えた環境試験装置を小型・コンパクトで廉価に製造できる。
【0009】
なお、環境試験装置では、ワーク搬送パレットに載せられた状態でワークが搬送される場合もある。したがって、本明細書および特許請求の範囲における「ワーク」という用語は、ワーク搬送パレットに搭載された状態で搬送されるワークも含むものとして使用している。
【0010】
本発明において、水平搬送路は一般には水平に配置された1本あるいは複数本、典型的には一対の直線状のガイドレールによって規定され、その上をワークが送り爪によって押されてスライドする。この場合、本発明の環境試験装置においては、前記水平搬送路が、水平に配置した直線状の上流側ガイドレール、棚側ガイドレールおよび下流側ガイドレールによって規定され、これらの上を各ワークが各送り爪によってスライドするようになっており、前記上流側ガイドレールは前記垂直搬送路に対して水平搬送方向の上流側に配置されており、前記下流側ガイドレールは前記垂直搬送路に対して水平搬送方向の下流側に配置されており、前記棚側ガイドレールは各水平棚に取り付けられており、前記垂直搬送機構の各水平棚が前記一時停止位置に至ると、当該水平棚の前記棚側ガイドレールは、前記上流側ガイドレールおよび前記下流側ガイドレールの間において、これらと直線状に並ぶことが望ましい。
【0011】
ここで、本発明の環境試験装置の前記送り爪には、前記一時停止位置にある前記水平棚の前記棚側ガイドレールから前記下流側ガイドレールに前記ワークを引き渡す引き渡し用送り爪が含まれており、前記送りシャフトが前記待機位置にあるときには、前記引き渡し用送り爪は、前記上流側ガイドレールにおける水平搬送方向の下流端部分の真上に位置していることが望ましい。このようにすると、昇降する水平棚の側の棚側ガイドレールにおける上流側端に、待機位置にある引き渡し用送り爪が干渉してしまうことを確実に防止できる。例えば、送り爪の待機位置が水平搬送方向の前後に僅かにずれたとしても、また、棚側ガイドレールの位置が水平搬送方向の前後に僅かにずれたとしても、引き渡し用送り爪との干渉を防止できる。この結果、棚側ガイドレールの上下流側の端と、上流側ガイドレールの下流側の端および下流側ガイドレールの上流側の端との間を可能な限り狭くしておくことができ、無駄なスペースの発生を防止できるので好ましい。さらに、ワークを引き渡す際に、ワークがガイドレールの隙間でガタつくことも回避できる。
【0012】
また、本発明の環境試験装置において、各送り爪は、前記送りシャフトに取り付けた腕部と、この腕部の先端部分に形成した当接面とを備え、この当接面は、前記送り出し位置に旋回すると前記水平搬送路上のワークに対して水平搬送方向の上流側から対峙した位置に至り、前記引き渡し用送り爪は、前記腕部の先端部分から水平搬送方向の下流側に突出している突起を備えており、この突起の下流側端面が前記当接面になっていることが望ましい。
【0013】
このようにすれば、待機位置にある引き渡し用送り爪の腕部は、突起の分だけ、昇降する水平棚の側の棚側ガイドレールにおける上流側端に対して、上流側に後退した位置に位置する。したがって、待機位置にある引き渡し用送り爪の腕部が昇降する水平棚の棚側ガイドレールに干渉してしまうことを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の環境試験装置では、水平搬送路に沿って水平搬送機構によって搬送されるワークを、当該水平搬送機構によって、垂直搬送機構における水平搬送路上に位置している水平棚に引き渡すことができる。同様に、垂直搬送機構の水平棚に乗っているワークを、当該水平棚が水平搬送路上に位置した時点で、水平搬送機構によって、当該水平棚から下流側の水平搬送路に引き渡すことができる。
【0015】
したがって、水平搬送路から垂直搬送路にワークを引き渡すための専用の機構が不要となり、また、垂直搬送路から水平搬送路にワークを引き渡すための専用の機構も不要となる。さらに、送りシャフトを備えている水平搬送機構を、垂直搬送路の上流側と下流側の双方に分割して設ける必要がなく、一つの水平搬送機構によりワークを水平搬送することができる。よって、温度槽内に水平搬送路および垂直搬送路を備えた環境試験装置を小型・コンパクトで廉価に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明を適用した環境試験装置の実施の形態を説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は本実施の形態に係る環境試験装置を示す概略縦断面図である。図2(a)は第1温度槽内の主要部分の概略平面図であり、図2(b)は第2温度槽内の主要部分の概略平面図である。環境試験装置1は、電子基板などのワーク2に対して通電試験などの環境試験を行う第1、第2環境試験装置3、4を備えており、これらは直列に配置されている。各環境試験装置3、4は環境試験を行うための第1、第2温度槽5、6を備えており、各温度槽5、6の一方の端に形成された搬入口7、8からワーク2を搬入して、各温度槽5、6内を搬送する間にワーク2を所定温度に到達させて通電試験を行ない、各温度槽5、6の他方の端に形成された搬出口9、10から搬出するようになっている。矢印はワーク2の水平搬送方向である。
【0018】
水平搬送方向の上流側の第1温度槽5は所定の温度状態に調整された低温槽になっている。下流側の第2温度槽6は第1温度槽5よりも高温の所定の温度状態に調整された高温槽になっている。各温度槽5、6は断熱パネルで形成されており、各温度槽5、6の内部は冷却器または加熱器を備えた温度制御機構(不図示)によって所定の温度状態に維持されている。
【0019】
第1温度槽5には、この第1温度槽5を貫通して直線状に延びる第1水平搬送路11が配置されており、第1水平搬送路11上には第1環境試験位置Aが配置されている。第2温度槽6には、この第2温度槽6を貫通して直線状に延びる第2水平搬送路12が配置されており、第2水平搬送路12上には第2環境試験位置Bが配置されている。第1温度槽5と第2温度槽6とは直列に配置されており、第1水平搬送路11の下流端と第2水平搬送路12の上流端とは連結されている。環境試験装置1は、搬入口7、8から投入されたワーク2を第1、第2水平搬送路11、12に沿って一定の送りピッチPで間欠的に搬送する水平搬送機構13を備えている。
【0020】
第1水平搬送路11の第1環境試験位置Aよりも上流側には、水平搬送機構13によって間欠送りされるワーク2の第1一時停止位置Cを経由するように第1垂直搬送路14が配置されている。第1垂直搬送路14には、第1一時停止位置Cに一時停止したワーク2を上下方向に搬送した後に再び第1一時停止位置Cに戻す垂直搬送機構15が配置されている。
【0021】
ここで、第1水平搬送路11は、図2(a)に示すように、水平に配置した直線状の一対の第1上流側ガイドレール16、一対の第1棚側ガイドレール17および一対の第1下流側ガイドレール18によって規定されている。一対の第1上流側ガイドレール16は第1垂直搬送路14に対して水平搬送方向の上流側に配置されており、一対の第1下流側ガイドレール18は第1垂直搬送路14に対して水平搬送方向の下流側に配置されている。一対の第1棚側ガイドレール17は、第1垂直搬送機構15の第1ラック19の各第1水平棚20に取り付けられている。
【0022】
第2水平搬送路12の第2環境試験位置Bよりも上流側には、水平搬送機構13によって間欠送りされるワーク2の第2、第3一時停止位置D、Eをそれぞれ経由するように第2、第3垂直搬送路21、22が配置されている。第2、第3垂直搬送路21、22には、第2、第3一時停止位置D、Eに停止したワークを上下方向に搬送した後に再び第2、第3一時停止位置D、Eに戻す第2、第3垂直搬送機構23、24が配置されている。
【0023】
ここで、第2水平搬送路12は、図2(b)に示すように、水平に配置した直線状の一対の第2上流側ガイドレール25、一対の第2棚側ガイドレール26、一対の中継ガイドレール27、一対の第3棚側ガイドレール28、一対の第2下流側ガイドレール29によって規定されている。一対の第2上流側ガイドレール25は第2垂直搬送路21に対して水平搬送方向の上流側に配置されており、一対の中継ガイドレール27は、第2垂直搬送路21と第3垂直搬送路22との間に配置に配置されており、一対の第2下流側ガイドレール29は第3垂直搬送路22に対して水平搬送方向の下流側に配置されている。一対の第2棚側ガイドレール26は、第2垂直搬送機構23の第2ラック30の各第2水平棚31に取り付けられている。一対の第3棚側ガイドレール28は、第3垂直搬送機構24の第3ラック32の各第3水平棚33に取り付けられている。
【0024】
搬入口7から第1温度槽5に投入されたワーク2は、水平搬送機構13によって第1水平搬送路11に沿って間欠的に搬送される。第1一時停止位置Cまで搬送されてきたワーク2は、第1垂直搬送機構15によって第1垂直搬送路14に沿って上下方向に搬送され、一定時間滞留させられた後に、再び第1一時停止位置Cに戻される。第1一時停止位置Cに戻されたワーク2は、再び水平搬送機構13によって第1水平搬送路11に沿って搬送され、第1環境試験位置Aに供給される。第1環境試験位置Aにおいて環境試験が行われたワーク2は、水平搬送機構13によって第1水平搬送路11を搬送されて第1温度槽5の搬出口9から搬出された後に、搬入口8から第2温度槽6に搬入される。
【0025】
第2温度槽6に搬入されたワーク2は、水平搬送機構13によって第2水平搬送路12に沿って間欠的に搬送される。第2一時停止位置Dまで搬送されてきたワーク2は、第2垂直搬送機構23によって第2垂直搬送路21に沿って上下方向に搬送され、一定時間滞留させられた後に、再び第2一時停止位置Dに戻される。第2一時停止位置Dに戻されたワーク2は、再び水平搬送機構13によって第2水平搬送路12に沿って搬送され、第3一時停止位置Eに達する。第3一時停止位置Eまで搬送されてきたワーク2は、第3垂直搬送機構24によって第3垂直搬送路22に沿って上下方向に搬送され、一定時間滞留させられた後に、再び第3一時停止位置Eに戻される。第3一時停止位置Eに戻されたワーク2は、再び水平搬送機構13によって第2水平搬送路12に沿って搬送され、第2環境試験位置Bに供給される。第2環境試験位置Bにおいて環境試験が行われたワーク2は、水平搬送機構13によって第2水平搬送路12を搬送されて第2温度槽6の搬出口10から搬出される。
【0026】
(水平搬送機構)
図3(a)は第1水平搬送路11における第1一時停止位置Cの周辺部分を取り出して示す部分斜視図であり、図3(b)はその部分平面図であり、図3(c)は第1一時停止位置Cを上流側から見た側面図である。
【0027】
水平搬送機構13は、第1水平搬送路11に沿って配置された送りシャフト34と、この送りシャフト34に一定のピッチQで取り付けられた複数の送り爪35を備えている。また、送りシャフト34をその軸線回りに回動することにより、各送り爪35を、第1水平搬送路11上のワーク2を送り出し可能な送り出し位置および当該送り出し位置から退避した退避位置に旋回させるシャフト回動機構36と、送りシャフト34を待機位置と前進位置との間で第1水平搬送路11に沿って一定のストロークSで往復移動させるシャフト送り機構37を備えている(図1参照)。シャフト回動機構36とシャフト送り機構37とは第2温度槽6の下流側に配置されている。
【0028】
送りシャフト34は第1水平搬送路11の側方に配置されており、支持部材38などによって、その軸線回りに回転可能であり、かつ、その軸線に沿って往復移動可能な状態で支持されている。
【0029】
各送り爪35は、送りシャフト34に取り付けた腕部35aと、この腕部35aの先端部分35bに形成された当接面35cを備えている。先端部分35bは下方に屈曲しており、当接面35cは各送り爪35が送り出し位置に旋回すると、水平搬送路11上のワーク2に対して水平搬送方向の上流側から対峙した位置になる。複数の送り爪35は、各送り爪35の当接面35cが等間隔になるようにして一定のピッチQで送りシャフト34に取り付けられている。一定のピッチQは送りピッチPと同一である。
【0030】
シャフト回動機構36は、送りシャフト34をその軸線回りに回転させるための回動用エアシリンダ39を備えている。回動用エアシリンダ39は、そのロッド40の伸縮方向が送りシャフト34の軸線と交差するように配置されており、ロッド40の先端は送りシャフト34から半径方向に突出しているアーム41に接続されている。シャフト回動機構36が回動用エアシリンダ39のロッド40を伸ばすと、図3(c)に点線で示されるように、各送り爪35は送りシャフト34の軸線を中心にして下方に回動する。この結果、各送り爪35は旋回して送り出し位置になる。一方、シャフト回動機構36が回動用エアシリンダ39のロッド40を縮めると、送り爪35が送りシャフト34の軸線を中心にして上方に回動する。この結果、各送り爪35は旋回して退避位置になる。
【0031】
シャフト送り機構37は、図1に示すように、送りシャフト34を軸線方向に沿って所定ストロークSだけ往復移動させるための往復駆動用エアシリンダ42を備えている。往復駆動用エアシリンダ42は、そのロッド43の伸縮方向が送りシャフト34の軸線に沿うように配置されており、ロッド43の先端は送りシャフト34から半径方向に突出しているアーム44に接続されている。往復駆動用エアシリンダ42がロッド43を縮めている状態では、送りシャフト34は待機位置に配置されている。往復駆動用エアシリンダ42がロッド43を伸ばすと、送りシャフト34は待機位置から所定ストロークSだけ下流側の前進位置に移動する。
【0032】
ここで、図2(a)に示すように、一対の第1棚側ガイドレール17の水平搬送方向の寸法は、ワーク2の水平搬送方向の寸法Wより長く、送りピッチPよりも僅かに短い寸法に規定してある。また、送りシャフト34が待機位置にあるときには、第1一時停止位置Cにある第1水平棚20の第1棚側ガイドレール17から下流側ガイドレール18にワーク2を引き渡す引き渡し用送り爪35(1)を、上流側ガイドレール16における水平搬送方向の下流端部分の真上に位置させている。
【0033】
また、図2(b)に示すように、一対の第2、第3棚側ガイドレール26、28の水平方向の寸法も、ワーク2の水平搬送方向の寸法Wより長く、送りピッチPよりも僅かに短い寸法に規定してある。さらに、一対の中継ガイドレール27の水平搬送方向の寸法は、送りピッチPよりも長く、所定ストロークSよりも短い寸法に規定してある。そして、送りシャフト34が待機位置にあるときには、第2、第3一時停止位置D、Eにある第2、第3水平棚31、33の第2、第3棚側ガイドレール26、28から下流側にある中継ガイドレール27、第2下流側ガイドレール29にワーク2を引き渡す引き渡し用送り爪35(2)、35(3)を、それぞれ、第2上流側ガイドレール25と中継ガイドレール27における水平搬送方向の下流端部分の真上に位置させている。また、送りシャフト34が待機位置にあるときには、中継ガイドレール27から第3水平棚33の第3棚側ガイドレール28にワーク2を引き渡す送り爪35(4)を、中継ガイドレール27における水平搬送方向の上流端部分の真上に位置させている。
【0034】
これらの結果、送りシャフト34が待機位置にあるときには、全ての送り爪35は第1〜第3棚側ガイドレール17、26、28から外れた位置に配置されている。
【0035】
(水平搬送機構によるワーク搬送動作)
水平搬送機構13は送りシャフト34を待機位置に配置している状態を初期状態としている。初期状態から、シャフト回動機構36が送りシャフト34を回転させると、各送り爪35は送り出し位置に旋回させられる。すなわち、各送り爪35の先端部分35bは、図3中の2点鎖線で示す矢印Fのように移動して、その当接面35cが第1水平搬送路11上のワーク2に対して水平搬送方向の上流側から対峙した位置になる。
【0036】
次に、シャフト送り機構37は往復駆動用エアシリンダ42のロッド43を伸ばして、送りシャフト34を所定ストロークSだけ下流側の前進位置に移動させる。これにより、送り出し位置にある各送り爪35は、2点鎖線で示す矢印Gに示すように、所定ストロークSだけ下流側に移動する。従って、各送り爪35は第1水平搬送路11上にある各ワーク2の上流側端面2aに上流側から当接し、各ワーク2を送りピッチPだけ下流側にスライドさせる。
【0037】
次に、前進位置において、シャフト回動機構36が送りシャフト34を回転させると、各送り爪35の先端部分35bが、2点鎖線で示す矢印Hのように移動して、各送り爪35は退避位置に旋回させられる。この状態で、シャフト送り機構37は往復駆動用エアシリンダ42のロッド43を縮めると、送りシャフト34は所定ストロークSだけ上流側の待機位置に戻り、退避位置にある各送り爪35は、2点鎖線で示す矢印Iに示すように、所定ストロークSだけ上流側に移動する。この結果、水平搬送機構13は初期状態に戻る。
【0038】
そして、これらの動作を繰り返すことにより、水平搬送機構13は第1水平搬送路11上にある各ワーク2を一定の送りピッチPで一括して間欠的に搬送する。
【0039】
(垂直搬送機構)
図3、4を参照して第1〜第3垂直搬送機構15、23、24を説明する。図4は第1垂直搬送機構15を水平搬送方向の上流側から見た側面図である。なお、第1〜第3垂直搬送機構15、23、24はいずれも同一の構成を備えているので、第1垂直搬送機構15を説明して、第2、第3垂直搬送機構23、24の説明は省略する。
【0040】
第1垂直搬送機構15は、第1一時停止位置Cを通る第1垂直搬送路14に沿って一定の間隔で上下方向に配列されたワーク搬送用の9枚の第1水平棚20(1)〜(9)、および各第1水平棚20(1)〜(9)を片持ち状態で水平に支持している第1棚支持部材45を有する第1ラック19と、各第1水平棚20(1)〜(9)が第1一時停止位置Cで一時停止するように第1ラック19を垂直方向に間欠的に昇降させる第1昇降機構46を備えている。第1棚支持部材45は、第1水平搬送路11から側方に外れた位置において各第1水平棚20(1)〜(9)を支持している。
【0041】
ここで、第1垂直搬送機構15は、第1棚支持部材45が送りシャフト34と第1水平搬送路11を挟んで反対側になるように配置されている。従って、水平搬送機構13は、各第1水平棚20(1)〜(9)の自由端の側から第1水平搬送路11内に延ばした送り爪35によって、第1水平搬送路11上のワーク2を搬送できる。
【0042】
各第1水平棚20(1)〜(9)は一対の第1棚側ガイドレール17を備えている。一対の第1棚側ガイドレール17のうち送りシャフト34に近い一方の第1棚側ガイドレール17は、各第1水平棚20(1)〜(9)の開放状態になっている自由端の縁に沿って配置されている。他方の第1棚側ガイドレール17は、各第1水平棚20(1)〜(9)の中央からやや第1棚支持部材45の側に寄った部位に配置されている。各第1水平棚20(1)〜(9)の他方の第1棚側ガイドレール17から第1棚支持部材45までの間には上下方向に貫通する第1貫通孔47が同軸に形成されている。
【0043】
ここで、各第1水平棚20(1)〜(9)の水平搬送方向の寸法はワーク2の水平搬送方向の寸法Wよりも短くなっているので、一対の第1棚側ガイドレール17は、その下流端部分と上流端部分とがそれぞれ各第1水平棚20(1)〜(9)から下流側、上流側に突出するように配置されている。なお、一対の第1棚側ガイドレール17の下流端と一対の第1下流側ガイドレール18の上流端との間には僅かな隙間が形成されている。一対の第1棚側ガイドレール17の上流端と一対の第1上流側ガイドレール16の下流端との間には僅かな隙間が形成されている。
【0044】
第1昇降機構46はボールねじで第1ラック19を昇降させるものであり、垂直方向に延びて各第1水平棚20(1)〜(9)の各第1貫通孔47を貫通している第1ねじ軸48と、最上位置にある第1水平棚20(1)の第1貫通孔47に取り付けられている第1ボールねじナット49と、第1ねじ軸48を駆動するための第1モータ50を備えている。また、第1棚支持部材45の外側面に取り付けられている上下の第1ガイド部材51、52と、これらの第1ガイド部材51、52と係合しながら第1ラック19の垂直方向への移動をガイドする第1垂直ガイドレール53と、この第1垂直ガイドレール53が取り付けられている第1ベース54を備えている。
【0045】
第1モータ50はその出力軸が下を向くようにして第1温度槽5の天井部分に取り付けられている。出力軸には、第1ねじ軸48の上端部分が連結されている。第1ねじ軸48の下端部分は第1ベース54の下端部分から水平搬送路の側に突出している軸受け55によって回転可能に支持されている。
【0046】
第1昇降機構46が第1ラック19を間欠的に昇降させると、各第1水平棚20(1)〜(9)に取り付けられている一対の第1棚側ガイドレール17は、一対の第1上流側ガイドレール16および一対の第1下流側ガイドレール18の間に配置されて、一対の第1上流側ガイドレール16および一対の第1下流側ガイドレール18と直線状に並ぶ。
【0047】
(垂直搬送機構によるワーク搬送動作)
第1垂直搬送機構15は、最上位置にある第1水平棚20(1)が第1一時停止位置Cに停止している初期位置から、最下位置にある第1水平棚20(9)が第1一時停止位置Cに停止している上昇位置まで、各第1水平棚20(1)〜(9)が第1一時停止位置Cに停止するように間欠的に第1ラック19上昇させる。その後、第1ラック19を間欠的に上昇させる動作と同じ時間間隔で第1ラック19を一気に下降させて初期状態に戻す。また、これらの動作を繰り返すことにより、第1一時停止位置Cにおいて各第1水平棚20(1)〜(9)に載せられたワーク2は、垂直搬送路上を上下方向に移動しながら一定時間滞留させられた後に再び一時停止位置に戻される。
【0048】
ここで、第1垂直搬送機構15は、水平搬送機構13が送りシャフト34を待機位置から移動させている間は第1ラック19を昇降させず、送りシャフト34が待機位置に戻された後に第1ラック19を昇降させる。すなわち、送り爪35が第1下流側ガイドレール18から外れた位置にあるときに第1ラック19を昇降させるように駆動制御される。従って、ワーク2が第1水平搬送路11に沿って搬送される際に、水平搬送機構13の送り爪35と第1垂直搬送機構15の各第1水平棚20(1)〜(9)とが干渉することはない。また、ワーク2が第1垂直搬送路14に沿って搬送される際に第1垂直搬送機構15の各第1水平棚20(1)〜(9)と水平搬送機構13の送り爪35とが干渉することもない。
【0049】
(水平搬送機構および第1垂直搬送機構によるワーク搬送動作)
図5、図6を参照して、水平搬送機構13および第1垂直搬送機構15によるワーク搬送動作を説明する。図5は水平搬送機構13よって第1水平搬送路11に沿って搬送されてきたワーク2が第1垂直搬送機構15の各第1水平棚20(1)〜(9)に受け渡された後に上下方向に搬送される状態を示した説明図である。図5(a)は第1ラック19が初期位置にある状態を示し、図5(b)は第1ラック19が初期位置から上昇した状態を示し、図5(c)は第1ラック19が上昇位置にある状態を示し、図5(d)は第1ラック19が再び初期位置に戻った状態を示す。図6は第1垂直搬送機構15によって垂直方向に搬送されてきたワーク2が水平搬送機構13によって水平搬送路に沿って搬送される状態を示した説明図である。図6(a)は第1ラック19が初期位置にある状態を示し、図6(b)は第1ラック19が初期位置から上昇した状態を示し、図6(c)は第1ラック19が上昇位置にある状態を示し、図6(d)は第1ラック19が再び初期位置に戻った状態を示す。
【0050】
図5(a)に示すように、第1ラック19が初期位置にあるときには、最上位置にある第1水平棚20(1)は第1一時停止位置Cに停止しており、第1水平棚20(1)の一対の第1棚側ガイドレール17は、一対の第1上流側ガイドレール16および一対の第1下流側ガイドレール18と直線状に並んでいる。一方、水平搬送機構13は、搬入口7から第1温度槽5に投入されたワーク2を、第1水平搬送路11に沿って送りピッチPで間欠的に搬送している。従って、水平搬送機構13によって搬送されてきたワーク2は、第1上流側ガイドレール16から第1水平棚20(1)の第1棚側ガイドレール17へとスライドさせられて、第1水平棚20(1)に載せられる。
【0051】
最上位置にある第1水平棚20(1)にワーク2が載せられた後に水平搬送機構13が送りシャフト34を待機位置に戻すと、第1垂直搬送機構15は各第1水平棚20(2)〜(9)を第1一時停止位置Cに停止させながら、第1ラック19を間欠的に上昇させる。ここで、水平搬送機構13は、各第1水平棚20(2)〜(9)が第1一時停止位置Cに停止して第1水平搬送路11の一部分を構成している間に、水平搬送路上のワーク2を送りピッチPでスライドさせる。従って、水平搬送路に沿って搬送されてきたワーク2は、図5(b)に示すように、第1一時停止位置Cにおいて逐次に第1水平棚20(2)〜(9)に載せられる。
【0052】
その後、最下位置にある第1水平棚20(9)が第1一時停止位置Cに停止するまで第1ラック19が上昇させられ、この第1水平棚20(9)にワーク2が載せられると、図5(c)に示す状態になる。
【0053】
全ての第1水平棚20(1)〜(9)にワーク2が載せられると、第1垂直搬送機構15は、図5(d)に示すように、第1ラック19を初期位置に戻す。第1ラック19が初期位置に戻ると、最上位置にある第1水平棚20(1)の一対の第1棚側ガイドレール17が一対の第1上流側ガイドレール16および一対の第1下流側ガイドレール18と直線状に並ぶので、この第1水平棚20(1)に載せられたワーク2は再び第1一時停止位置Cに戻された状態になる。
【0054】
ここで、水平搬送機構13は、第1水平棚20(1)の一対の第1棚側ガイドレール17は、一対の第1上流側ガイドレール16および一対の第1下流側ガイドレール18と直線状に並んでいる間に、第1水平搬送路11上のワーク2を送りピッチPで一括して搬送する。従って、図6(a)に示すように、第1一時停止位置Cに戻されたワーク2(1)は、第1棚側ガイドレール17から第1下流側ガイドレール18へとスライドさせられる。同時に、第1上流側ガイドレール16の下流端にあるワーク2は第1棚側ガイドレール17へとスライドさせられて、第1水平棚20(1)に載せられる。
【0055】
その後、第1垂直搬送機構15は、各第1水平棚20(2)〜(9)を第1一時停止位置Cに停止させながら、第1ラック19を間欠的に上昇させる。この際にも、水平搬送機構13は、各第1水平棚20(2)〜(9)が第1一時停止位置Cに停止している間に、第1水平搬送路11上のワーク2を送りピッチPで一括してスライドさせる。従って、図6(b)に示すように、第1一時停止位置Cに停止している各第1水平棚20(2)〜(9)の第1棚側ガイドレール17に載っているワーク2は、第1棚側ガイドレール17から第1下流側ガイドレール18へとスライドさせられる。同時に、第1上流側ガイドレール16の下流端にあるワーク2は第1棚側ガイドレール17へとスライドさせられて、各第1水平棚20(2)〜(9)に載せられる。
【0056】
この後、図6(c)に示すように、最下位置にある第1水平棚20(9)が第1一時停止位置Cに停止し、第1水平搬送路11と第1水平棚20(9)との間におけるワーク2の受け渡しが行われる。すると、図6(d)に示すように、第1ラック19は初期位置に戻される。
【0057】
これらの動作が繰り返されることにより、水平搬送機構13によって第1水平搬送路11を第1一時停止位置Cまで搬送されてきたワーク2は、第1垂直搬送機構15によって第1垂直搬送路14に沿って搬送されて一定時間滞留させられる。その後に、第1一時停止位置Cに戻される。また、第1一時停止位置Cに戻されたワーク2は、再び水平搬送機構13によって第1水平搬送路11上を搬送されて、第1環境試験位置Aに供給される。
【0058】
(本形態の効果)
以上、本例によれば、第1、第2温度槽5、6内において、水平搬送機構13によってワーク2が第1、第2水平搬送路11、12に沿って一定の送りピッチPで間欠送りされる。また、第1、第2水平搬送路11、12の途中におけるワーク2の第1〜第3一時停止位置C、D、Eは、第1〜第3垂直搬送機構15、23、24の各第1〜第3水平棚20、31、33の垂直搬送経路上にあり、各第1〜第3水平棚20、31、33は第1〜第3一時停止位置C、D、Eで一時停止するように垂直方向に間欠的に昇降する。さらに、第1〜第3垂直搬送機構15、23、24はワーク2を上下方向に搬送する複数の第1〜第3水平棚20、31、33が片持ち状態で支持されているので、第1〜第3水平棚20、31、33の自由端の側には第1〜第3垂直搬送機構15、23、24の部品を設置する必要がない。よって、第1〜第3水平棚20、31、33の自由端の側に沿って水平搬送機構13の送りシャフト34を配置することができる。また、水平搬送機構13は、第1〜第3水平棚20、31、33の自由端の側から第1、第2水平搬送路11、12内に延ばした送り爪35によって、第1水平搬送路11上のワーク2を搬送できる。
【0059】
この結果、第1、第2水平搬送路11、12に沿って水平搬送機構13によって搬送されるワーク2を、水平搬送機構13によって第1〜第3垂直搬送機構15、23、24の第1〜第3水平棚20、31、33に引き渡すことができる。同様に、第1〜第3垂直搬送機構15、23、24の第1〜第3水平棚20、31、33に乗っているワーク2を、水平搬送機構13によって各第1〜第3水平棚20、31、33から下流側の第1、第2水平搬送路11、12に引き渡すことができる。したがって、第1、第2水平搬送路11、12から第1〜第3垂直搬送路14、21、22にワーク2を引き渡すための専用の機構が不要となり、また、第1〜第3垂直搬送路14、21、22から水平搬送路11、12にワーク2を引き渡すための専用の機構も不要となる。さらに、送りシャフト34を備えている水平搬送機構13を、垂直搬送路14、21、22の上流側と下流側とで分割して設ける必要がなく、一つの水平搬送機構13によりワーク2を水平搬送することができる。よって、第1、第2温度槽5、6内に水平搬送路11、12および第1〜第3垂直搬送路14、21、22を備えた環境試験装置1を小型・コンパクトで廉価に製造できる。
【0060】
また、送りシャフト34が待機位置にあるときには、全ての送り爪35は、第1〜第3棚側ガイドレール17、26、28から外れた位置に配置されている。特に、引き渡し用送り爪35(1)は、上流側ガイドレール16における水平搬送方向の下流端部分の真上に配置され、引き渡し用送り爪35(2)、35(3)は、それぞれ、上流側ガイドレール16と中継ガイドレール27における水平搬送方向の下流端部分の真上に配置されている。従って、昇降する第1〜第3水平棚20、31、33の第1〜第3棚側ガイドレール17、26、28における上流側端に、待機位置にある引き渡し用送り爪35(1)、35(2)、35(3)が干渉してしまうことを確実に防止できる。例えば、送り爪35の待機位置が水平搬送方向の前後に僅かにずれたとしても、また、第1〜第3棚側ガイドレール17、26、28の位置が水平搬送方向の前後に僅かにずれたとしても、引き渡し用送り爪35(1)、35(2)、35(3)との干渉を防止できる。この結果、第1〜第3棚側ガイドレール17、26、28の上下流側の端と、それよりも上流側のガイドレールの下流側の端、および、それよりも下流側のガイドレールの上流側の端との間を可能な限り狭くしておくことができ、無駄なスペースの発生を防止できる。また、ワーク2を引き渡す際に、ワーク2がガイドレールの隙間でガタつくことを回避できる。
【0061】
(引き渡し用送り爪を他の送り爪とは異なる形状にした構成例)
上記の例では、送り爪35は全て同一形状としてあるが、引き渡し用送り爪35(1)、35(2)、35(3)については、先端部分35bに下流側に突出している突起を備えさせ、この突起の水平搬送方向の下流端面を当接面35cとしてもよい。
【0062】
図7は、引き渡し用送り爪35(1)、35(2)、35(3)の変形例を説明するために、第2温度槽6の第2水平搬送路12における第2、第3一時停止位置D、Eの周辺部分を取り出して示した平面図である。図7(a)は送りシャフト34が待機位置に配置されている状態を示し、図7(b)は送りシャフト34が前進位置に移動させられた状態を示す。なお、第1引き渡し用送り爪35(1)は第2、第3引き渡し用送り爪35(2)、35(3)の同一の構成を備えているので、第2、第3引き渡し用送り爪35(2)、35(3)を説明して、第1引き渡し用送り爪35(1)の説明は省略する。
【0063】
本例では、第2、第3引き渡し用送り爪35(2)、35(3)の各先端部分35bに下流側に突出する突起35dを形成してある。また、突起35dの水平搬送方向の下流端面を当接面35cとしてある。ここで、各送り爪35は当接面35cを基準として他の送り爪35との間を一定のピッチQにして送りシャフト34へ取り付けられているので、第2、第3引き渡し用送り爪35(2)、35(3)の送りシャフト34への取り付け位置は、第2、第3引き渡し用送り爪35(2)、35(3)が突起35dを備えていない場合の取り付け位置(図2(b)参照)よりも、突起35dが突出している寸法分だけ上流側に移動している。
【0064】
このようにすれば、送りシャフト34が待機位置にあるときに、引き渡し用送り爪35(1)、35(2)、35(3)の各腕部35aは、突起35dの分だけ、昇降する第1〜第3水平棚20、31、33の第1〜第3棚側ガイドレール17、26、28における上流側端に対して、上流側に後退した位置に位置する。したがって、待機位置にある第1〜第3引き渡し用送り爪35(1)、35(2)、35(3)の腕部35aが昇降する第1〜第3水平棚20、31、33の第1〜第3棚側ガイドレール17、26、28に干渉してしまうことを確実に防止できる。
【0065】
ここで、第1〜第3水平棚20、31、33の寸法は一対の第1〜第3棚側ガイドレール17、26、28よりも短く、一対の第1〜第3棚側ガイドレール17、26、28の上流端部分は上流側に突出している。この結果、一対の第1〜第3棚側ガイドレール17、26、28の間は下流側に凹む凹部になっているので、第1〜第3引き渡し用送り爪35(1)、35(2)、35(3)にそれぞれ突起35dが形成されていても、第1〜第3引き渡し用送り爪35(1)、35(2)、35(3)と第1〜第3水平棚20、31、33とが干渉することもない。
【0066】
なお、図7(b)示すように、送りシャフト34が前進位置に移動させられた状態では、第2引き渡し用送り爪35(2)および第3引き渡し用送り爪35(3)は、一対の第2棚側ガイドレール26および一対の第3棚側ガイドレール28上にある各ワーク2を一対の中継ガイドレール27および一対の第2下流側ガイドレール29上へとスライドさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施の形態に係る環境試験装置の概略縦断面図である。
【図2】(a)は第1温度槽内の主要部分の概略平面図であり、(b)は第2温度槽内の主要部分の概略平面図である。
【図3】(a)は第1水平搬送路における第1一時停止位置の周辺部分を取り出して示した部分斜視図であり、(b)は第1水平搬送路における第1一時停止位置の周辺部分を取り出して示した部分平面図であり、(c)は第1一時停止位置を上流側から見た側面図である。
【図4】第1垂直搬送機構を水平搬送方向の上流側から見た側面図である。
【図5】水平搬送機構よって水平搬送路に沿って搬送されてきたワークが第1垂直搬送機構の各第1水平棚に受け渡された後に上下方向に搬送される状態を示した説明図であり、(a)は第1ラックが初期位置にある状態を示し、(b)は第1ラックが初期位置から上昇した状態を示し、(c)は第1ラックが上昇位置にある状態を示し、(d)は第1ラックが再び初期位置に戻った状態を示す。
【図6】第1垂直搬送機構によって垂直方向に搬送されてきたワークが水平搬送機構によって水平搬送路に沿って搬送される状態を示した説明図であり、(a)は第1ラックが初期位置にある状態を示し、(b)は第1ラックが初期位置から上昇した状態を示し、(c)は第1ラックが上昇位置にある状態を示し、(d)は第1ラックが再び初期位置に戻った状態を示す。
【図7】送り爪の変形例を説明するために、第2温度槽の第2水平搬送路における第2、第3一時停止位置の周辺部分を取り出して示した平面図であり、(a)は送りシャフトが待機位置に配置されている状態を示し、(b)は送りシャフトが前進位置に移動させられた状態を示す。
【符号の説明】
【0068】
1、3、4 環境試験装置
2 ワーク
5、6 温度槽
11、12 水平搬送路
13 水平搬送機構
14、21、22 垂直搬送路
15、23、24 垂直搬送機構
16、25 上流側ガイドレール
18、29 下流側ガイドレール
17、26、28 棚側ガイドレール
19、30、32 ラック
20、31、33 水平棚
27 中継ガイドレール
34 送りシャフト
35 送り爪
35(1)、35(2)、35(3) 引き渡し用送り爪
36 シャフト回転機構
37 シャフト送り機構
45 第1棚支持部材
46 第1昇降機構
48 ねじ軸
49 第1ボールねじナット
50 第1モータ
A、B 環境試験位置
C、D、E 一時停止位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の温度に調整された温度槽内に位置する環境試験位置に向けて、直線状の水平搬送路に沿ってワークを一定の送りピッチで間欠的に搬送する水平搬送機構と、
前記水平搬送路の途中における間欠送りされるワークの一時停止位置を経由する垂直搬送路に沿って、当該一時停止位置からワークを上下方向に搬送した後に再び当該一時停止位置に戻す垂直搬送機構とを有しており、
前記水平搬送機構は、
前記水平搬送路に沿って配置された送りシャフトと、
前記送りシャフトに一定のピッチで取り付けられた複数の送り爪と、
前記送りシャフトをその軸線回りに回動することにより、各送り爪を、前記水平搬送路上のワークを送り出し可能な送り出し位置および当該送り出し位置から退避した退避位置に旋回させるシャフト回動機構と、
前記送りシャフトを待機位置と前進位置との間で前記水平搬送路に沿って一定のストロークで往復移動させるシャフト送り機構とを備えており、
前記垂直搬送機構は、
前記一時停止位置を通る前記垂直搬送路に沿って一定の間隔で上下方向に配列されたワーク搬送用の複数の水平棚および前記水平搬送路から側方に外れた位置において各水平棚を片持ち状態で水平に支持している棚支持部材を有するラックと、
各水平棚が前記一時停止位置で一時停止するように前記ラックを垂直方向に間欠的に昇降させる昇降機構とを備えており、
前記水平搬送機構における前記送り爪が取り付けられている前記送りシャフトは、前記水平搬送路を挟み、前記棚支持部材とは反対側に配置されていることを特徴とする環境試験装置。
【請求項2】
請求項1に記載の環境試験装置において、
前記水平搬送路は、水平に配置した直線状の上流側ガイドレール、棚側ガイドレールおよび下流側ガイドレールによって規定され、これらの上を各ワークが各送り爪によってスライドするようになっており、
前記上流側ガイドレールは前記垂直搬送路に対して水平搬送方向の上流側に配置されており、
前記下流側ガイドレールは前記垂直搬送路に対して水平搬送方向の下流側に配置されており、
前記棚側ガイドレールは各水平棚に取り付けられており、
前記垂直搬送機構の各水平棚が前記一時停止位置に至ると、当該水平棚の前記棚側ガイドレールは、前記上流側ガイドレールおよび前記下流側ガイドレールの間において、これらと直線状に並ぶことを特徴とする環境試験装置。
【請求項3】
請求項2に記載の環境試験装置において、
前記送り爪には、前記一時停止位置にある前記水平棚の前記棚側ガイドレールから前記下流側ガイドレールに前記ワークを引き渡す引き渡し用送り爪が含まれており、
前記送りシャフトが前記待機位置にあるときには、前記引き渡し用送り爪は、前記上流側ガイドレールにおける水平搬送方向の下流端部分の真上に位置していることを特徴とする環境試験装置。
【請求項4】
請求項3に記載の環境試験装置において、
各送り爪は、前記送りシャフトに取り付けた腕部と、この腕部の先端部分に形成した当接面とを備え、この当接面は、前記送り出し位置に旋回すると前記水平搬送路上のワークに対して水平搬送方向の上流側から対峙した位置に至り、
前記引き渡し用送り爪は、前記腕部の先端部分から水平搬送方向の下流側に突出している突起を備えており、この突起の下流側端面が前記当接面になっていることを特徴とする環境試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−155696(P2010−155696A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334984(P2008−334984)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】