説明

生ごみ乾燥システム

【課題】小型または安価で、燃料消費量が少なく乾燥性能の高い生ごみ乾燥システムを提供する。
【解決手段】生ごみ乾燥システム3は、第1の蒸気流路51および第2の蒸気流路53を有する蒸気流路50と、生ごみを流通させる生ごみ流路52とを備えた乾燥機6を備える。乾燥機6は、生ごみ流路52内の生ごみを、仕切部材を介して第1の蒸気流路51内の蒸気および第2の蒸気流路53内の蒸気で加熱することによって乾燥させる。生ごみ乾燥システム3は、さらに、第1の蒸気流路51に蒸気を供給する蒸気供給源7と、生ごみ流路52内の生ごみから発生した蒸気を第2の蒸気流路53に導く蒸気返送通路と、蒸気返送通路内の蒸気を加熱する第1加熱機24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみ乾燥システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、高温の蒸気を用いて生ごみを加熱乾燥させる生ごみ乾燥機が知られている。この種の生ごみ乾燥機では、水分を含んだ蒸気を加熱源として用いるので、生ごみを加熱する際に、蒸気の顕熱だけでなく潜熱も利用することができる。そのため、生ごみを効率よく加熱することができる。
【0003】
ところで、生ごみには多くの水分が含まれているため、生ごみの加熱乾燥に伴い、蒸気が発生する。このように生ごみから発生する蒸気にも、多くの潜熱エネルギーが含まれている。そこで、エネルギーの有効利用を図るため、生ごみから発生する蒸気(以下、「ごみ蒸気」という。)を生ごみの加熱源として再利用する乾燥装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、ごみ蒸気は、そのままでは加熱源として十分な熱量を発生させることが難しい。そこで、特許文献1に開示された乾燥装置では、ごみ蒸気を加熱器で加熱することにより蒸気の顕熱を増加させた上で、加圧器で加圧することによりごみ蒸気の凝縮を促進し、潜熱量を増加させることとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−243365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1に記載された乾燥装置では、ごみ蒸気そのものでは不足する熱量を、当該蒸気を加熱および加圧することによって補っている。そのため、上記乾燥装置では、乾燥機とは別に、大型の加熱器および加圧器が必要であった。したがって、装置が高価となり、また、大型化するおそれがあった。
【0007】
ところで、小型の乾燥機においては、乾燥経路が短いため、連続運転すると生ごみの乾燥が不完全となることが考えられる。そのため、小型の乾燥機では、所定量のごみを十分乾燥させた後、次のごみを乾燥するバッチ運転をすることが多い。しかし、このような小型の乾燥機において、上述のようにごみ蒸気を再利用する場合、バッチ運転ではごみ蒸気の発生量に斑が生じてしまう。そのため、小型の乾燥機において、ごみ蒸気を再利用する場合、熱の安定供給が難しく、乾燥に時間がかかるという問題もあった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、小型または安価で、燃料消費量が少なく乾燥性能の高い生ごみ乾燥システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る生ごみ乾燥システムは、中空部材と、前記中空部材の内部を蒸気流路と生ごみを流通させる生ごみ流路とに仕切る仕切部材と、前記蒸気流路を第1の蒸気流路と第2の蒸気流路とに区画する区画部材とを有し、前記生ごみ流路内の生ごみを、前記仕切部材を介して前記第1の蒸気流路内の蒸気および前記第2の蒸気流路内の蒸気で加熱することによって乾燥させる乾燥機と、前記第1の蒸気流路に蒸気を供給する蒸気供給源と、前記生ごみ流路内の生ごみから発生した蒸気を前記第2の蒸気流路に導く蒸気返送通路と、前記蒸気返送通路内の蒸気を加熱する第1加熱機と、を備えたものである。
【0010】
上記生ごみ乾燥システムによれば、生ごみから発生した蒸気は、生ごみ流路から蒸気返送通路に流出し、第1加熱機によって加熱された後、第2の蒸気流路に流入する。そして、当該蒸気は、仕切部材を介して生ごみ流路内の生ごみを加熱する。そのため、生ごみから発生した蒸気(以下、回収蒸気という)を加熱源として再利用することができる。また、生ごみは第1の蒸気流路の蒸気および上記回収蒸気の両方によって加熱されるので、回収蒸気の加熱量が比較的少なくても、生ごみを十分に加熱乾燥させることができる。そのため、大型の加熱機および加圧機は不要であり、また、装置全体の熱量消費量は少なく抑えられる。したがって、小型または安価で、燃料消費量が少なく乾燥性能の高い生ごみ乾燥システムを実現することができる。
【0011】
前記蒸気返送通路には、前記生ごみ流路内の生ごみから発生した蒸気を触媒を用いて脱臭する脱臭装置が設けられ、前記第1加熱機は、前記脱臭装置に設けられていることが好ましい。
【0012】
このことにより、脱臭装置のための加熱機を加熱源として、蒸気返送通路内の蒸気を加熱することができる。そのため、脱臭による廃熱を有効利用することができる。また、脱臭装置と蒸気返送通路のそれぞれに別個の加熱源を設ける必要がなく、システムの小型化および燃料消費量の低減を図ることができる。
【0013】
上記生ごみ乾燥システムは、外部より前記生ごみ流路内に空気を導く空気流路と、前記空気流路内の空気を加熱する第2加熱機と、を備えていることが好ましい。
【0014】
このことにより、第2加熱機で加熱された空気が生ごみ流路に供給されるため、生ごみ流路内の水蒸気分圧を下げることができる。したがって、上記生ごみ乾燥機によれば、生ごみに含まれた水分が蒸発し易くなり、乾燥効率が向上する。
【0015】
前記第2加熱機は、前記空気流路の空気を、前記蒸気返送通路の前記脱臭装置よりも下流側の蒸気と熱交換させる熱交換器を備えていることが好ましい。
【0016】
このことにより、蒸気返送通路の脱臭装置よりも下流側の蒸気を加熱源として、空気流路内の空気を加熱することができる。したがって、外部空気を温めるのに別途新たな加熱源は不要であり、システムの小型化および燃料消費量の低減を図ることができる。また、温めた空気を生ごみ流路に供給することにより、生ごみに直接熱を供給することもでき、乾燥効率の上昇につながる。
【0017】
前記蒸気返送通路には、前記蒸気返送通路の前記脱臭装置よりも上流側の蒸気を、前記蒸気返送通路の前記脱臭装置よりも下流側の蒸気と熱交換させる熱交換器が設けられていることが好ましい。
【0018】
このことにより、蒸気返送通路の脱臭装置よりも下流側の蒸気を加熱源として、蒸気返送通路の脱臭装置よりも上流側の蒸気を加熱することができる。そのため、脱臭装置の第1加熱機が蒸気返送通路内の蒸気に与えなければならない熱量を低減することができる。したがって、システムの燃料消費量の低減および脱臭廃熱の有効利用を図ることができる。
【0019】
上記生ごみ乾燥システムは、前記第1の蒸気流路内の蒸気が凝縮することによって生じた凝縮水を前記蒸気供給源に導く第1凝縮水路を備え、前記蒸気供給源は、前記第1凝縮水路の凝縮水を蒸発させて前記第1の蒸気流路に供給することが好ましい。
【0020】
このことにより、第1の蒸気流路内で生じた凝縮水は、再び蒸気として第1の蒸気流路に供給される。したがって、上記凝縮水を生ごみの加熱源として再利用することができる。
【0021】
上記生ごみ乾燥システムは、前記蒸気返送通路の蒸気を除塵する集塵機を備えていることが好ましい。
【0022】
このことにより、生ごみから発生した蒸気は、集塵機によって除塵されてから第2の蒸気流路に供給される。したがって、第2の蒸気流路の清浄化を図ることができ、仕切部材を介した熱交換の効率低下を抑えることができる。
【0023】
前記集塵機は、湿式集塵機からなり、前記第2の蒸気流路内の蒸気が凝縮することによって生じた凝縮水を前記湿式集塵機に導く第2凝縮水路を備えていることが好ましい。
【0024】
このことにより、第2の蒸気流路内で生じた凝縮水を、集塵用の処理水として再利用することができる。
【0025】
前記乾燥機の前記仕切部材は、内側に前記生ごみ流路を区画形成する第1筒状体からなり、前記中空部材は、前記第1筒状体の周囲を囲み、前記第1筒状体との間に前記蒸気流路を区画形成する第2筒状体からなり、前記区画部材は、前記蒸気流路を前記第1の蒸気流路と、前記第1の蒸気流路と軸方向に隣り合う第2の蒸気流路とに区画する区画部材からなり、前記乾燥機は、前記第1筒状体内に設けられた回転軸と、前記回転軸に設けられ、軸方向に向かって螺旋状に配置された搬送羽根と、前記回転軸を回転させることによって前記生ごみを搬送する回転駆動機構と、を更に備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、小型または安価で、燃料消費量が少なく乾燥性能の高い生ごみ乾燥システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】生ごみ処理装置の構成図である。
【図2】乾燥機の左側面図である。
【図3】乾燥機の正面断面図である。
【図4】乾燥機の右側面図である。
【図5】乾燥機の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1に示すように、実施形態に係る生ごみ処理装置1は、生ごみ粉砕システム2と、生ごみ乾燥システム3とからなっている。この生ごみ処理装置1は、生ごみ粉砕システム2において生ごみを粉砕して細かくした後、生ごみ乾燥システム3において生ごみを加熱乾燥し、乾燥ごみとして排出する装置である。
【0030】
生ごみ粉砕システム2は、生ごみを粉砕する粉砕機4と、粉砕機4で粉砕された生ごみを回収する生ごみホッパ5とを備えている。生ごみホッパ5は、乾燥機6の生ごみ流路52とごみ供給管16を介して接続されている。
【0031】
生ごみ乾燥システム3は、乾燥機6と、ボイラ7と、湿式集塵機8と、脱臭装置20と、熱交換器22,23とを備えている。
【0032】
乾燥機6の内部には、蒸気流路50と、生ごみが流通する生ごみ流路52とが区画形成されている。蒸気流路50は、後述する区画部材43によって第1蒸気流路51と第2蒸気流路53とに区切られている。さらに、乾燥機6には、外部の空気を生ごみ流路52内に供給する空気流路54が区画形成されている。なお、乾燥機6の詳細な構成については、後述する。
【0033】
ボイラ7には、灯油等の燃料が使用される。図示は省略するが、ボイラ7には、燃焼用空気を取り入れる空気取入部と、水を取り入れる給水部とを備えている。ボイラ7は、給水部から取り入れた水を沸騰させることにより、蒸気を発生させる。
【0034】
ボイラ7の蒸気排出部(図示せず)と乾燥機6の第1蒸気流路51とは、第1蒸気配管11を介して接続されている。また、第1蒸気流路51とボイラ7の上記給水部とは、第1配水管12を介して接続されている。
【0035】
乾燥機6の生ごみ流路52と湿式集塵機8のガス流入部とは、第2蒸気配管13を介して接続されている。また、乾燥機6の第2蒸気流路53と湿式集塵機8の貯水部とは、第2配水管14を介して接続されている。
【0036】
湿式集塵機8のガス流出部と熱交換器23とは、第1蒸気返送管85を介して接続されている。また、第1蒸気返送管85には、吸気ファン40が設けられている。なお、熱交換器23は、低温側流路と高温側流路を備えており、低温側流路内の流体と高温側流路内の流体とを熱交換させる。上記第1蒸気返送管85は、熱交換器23の低温側流路の上流端に接続されている。一方、熱交換器23の低温側流路の他端側は、第2蒸気返送管86を介して脱臭装置20と接続されている。
【0037】
脱臭装置20は、第2蒸気返送管86から供給される臭気を含んだ蒸気(以下、「臭気排ガス」と称する。)を酸化触媒に接触させ、臭気排ガス中の有害なガスを酸化分解する装置である。酸化触媒の触媒機能を発揮させるためには、予め臭気排ガスを摂氏300度前後に加熱しておくことが必要となる。そこで、脱臭装置20は、臭気排ガスを予熱する加熱機24と、臭気排ガスを酸化触媒によって酸化分解する触媒槽25とを備えている。なお、加熱機24は、脱臭装置20と一体的に形成されていてもよく、別体としてもよい。また、加熱機24としては、温熱ヒーターや熱交換器等、蒸気を加熱するものであれば、何を用いてもよい。酸化触媒は、臭気排ガス中に含まれる有害なガスの種類に応じて、白金、パラジウム等の貴金属および、鉄、マンガン、ニッケル等の酸化物等を適宜用いる。
【0038】
脱臭装置20と熱交換器23の高温側流路の上流端とは、第3蒸気返送管87を介して接続されている。これにより、脱臭装置20によって加熱および脱臭された高温の蒸気が熱交換器23の高温側流路内に供給されることとなる。また、熱交換器23の高温側流路の下流端と熱交換器22とは、第4蒸気返送管88を介して接続されている。
【0039】
熱交換器22は、熱交換器23と同様に、低温側流路と高温側流路を備えており、低温側流路内の流体と高温側流路内の流体とを熱交換させるものである。上記第4蒸気返送管88は、熱交換器22の高温側流路の上流端に接続されている。一方、熱交換器22の高温側流路の他端側は、乾燥機6の第2蒸気流路53と第5蒸気返送管89を介して接続されている。
【0040】
熱交換器22の低温側流路の上流端には、外部の空気を熱交換器22の低温側流路に導入する導入管26が接続されている。一方、熱交換器22の低温側流路の下流端は、吸気管21を介して乾燥機6の空気流路54の上流端と接続されている。
【0041】
乾燥機6の第2蒸気流路53には、排気管18が接続されている。また、排気管18には排気ファン39が設けられている。これにより、第2蒸気流路53内の使用済み蒸気は、排気ファン39によって排気管18を通り外部へ排気される。なお、排気ファン39は必ずしも必要ではなく、排気ファン39を設けずに、第2蒸気流路53内の使用済み蒸気を排気管18を介して外部へ排気することも可能である。
【0042】
乾燥機6の生ごみ流路52は、ごみ排出管17を介してコレクタ10に接続されている。コレクタ10は、乾燥後の乾燥ごみを一時的に貯留するものである。
【0043】
次に、乾燥機6の構成を説明する。
【0044】
図2に示すように、乾燥機6は、内部で生ごみを乾燥させる乾燥部31と、乾燥部31を支持する土台部41と、乾燥部31に設けられ、後述する回転軸36(図3参照)を回転駆動するモータ71とを備えている。土台部41は、複数の横部材からなり、乾燥部31が取り付けられたベース部41aと、4本の垂直部材からなり、ベース部41aの下部に取り付けられた脚部41bとを備えている。このような構成により、土台部41は、乾燥部31を下方から支持している。
【0045】
図3に示すように、乾燥部31は、内筒32と、内筒32の周囲を囲む外筒33と、内筒32および外筒33の上端を覆う円形の天板34と、内筒32および外筒33の下端を覆う円形の底板30とを備えている。内筒32は、外筒33の内部に設けられ、外筒33と同軸状に配置されている。また、内筒32の上下方向中央部かつ外周面には、内筒32と外筒33との間の空間を上下二層に区画する区画部材43が取り付けられている。
【0046】
以上の構成により、乾燥部31の内部は、内壁32の内側の生ごみ流路52と、内筒32と外筒33との間かつ区画部材43よりも下方の第1蒸気流路51と、内筒32と外筒33との間かつ区画部材43よりも上方の第2蒸気流路53とに区画されている。
【0047】
また、内筒32内の中央部には、回転軸36が設けられている。回転軸36は、生ごみ流路52内を上下方向に延びている。回転軸36は、内部に空気流路54を形成する筒状体からなり、外周面の下側部分には複数の吐出口56が形成されている。
【0048】
回転軸36の上端部は、天板34を貫いてさらに上方に延び、固定部材35に取り付けられた軸受62に回転自在に支持されている。固定部材35は断面コの字状の板状体からなり、天板34に取り付けられている(図2参照)。固定部材35の上部には、筒状体からなる取付部35aが設けられており、取付部35aには吸気管21(図1参照)が接続されている。また、回転軸36内部の空気流路54は、軸受62、固定部材35内を貫き、取付部35a内にまで至っている。このような構成により、吸気管21によって空気流路54に供給された空気は、回転軸36内を通過し、吐出口56を介して生ごみ流路52内に導かれる。
【0049】
一方、回転軸36の下端部は、内筒32内にあり、底板30よりも上方の位置で下向きに開口している。下端部には、回転軸73bが回転軸36と一体となって回転する様に嵌め込まれている。回転軸73bは、底板30の中央部に取り付けられた軸受62に回転自在に支持されている。以上より、回転軸36および回転軸73bは、天板34および底板30に取り付けられた軸受62に回転自在に支持されることとなり、回転軸36および回転軸73bは、回転軸73bが回転駆動されることにより一体的に回転する。
【0050】
内筒32の下端部には、ごみ供給口42が設けられている。ごみ供給口42には、外筒33を貫くごみ供給管16が接続されている。なお、図示は省略するが、ごみ供給管16の内部には、生ごみホッパ5(図1参照)から生ごみを搬送するスクリューが設置されている。上記スクリューは、生ごみ流路52内に生ごみを定量的に送り込むものである。
【0051】
内筒32内には内部のごみを外部に排出するごみ排出口48が設けられている。また、ごみ排出口48には、ごみ排出口48から排出されたごみをコレクタ10(図1参照)に導くためのシュート47が設けられている。シュート47は、内筒32および外筒33のそれぞれを貫くように設けられ、天板34に固定されている。シュート47内にはごみ排出口48を開閉する蓋48aが設けられている。蓋48aは、天板34上に取り付けられた開閉装置48bに支持されている。
【0052】
天板34には、生ごみ流路52内で発生した蒸気を排出する排出口37が形成されており、この排出口37には第2蒸気配管13(図1参照)が接続されている。
【0053】
図2に示すように、外筒33の上部には、第2蒸気流路53内に開口する蒸気流入口43が形成され、この蒸気流入口43には第5蒸気返送管89が接続されている。したがって、第5蒸気返送管89からの蒸気は、蒸気流入口43を通じて第2蒸気流路53に導入される。第5蒸気返送管89は、外筒33の接線方向に延びており、蒸気を接線方向に沿って導入するように形成されている(図5参照)。
【0054】
一方、外筒33の中央部には、第2蒸気流路53内を流通した蒸気を排出する排気口44が形成されており、この排気口44には排気管18が接続されている。また、外筒33には、第2蒸気流路53内で生じた凝縮水を排出する排出口(図示せず)が形成されており、この排出口には第2配水管14(図1参照)が接続されている。
【0055】
また、外筒33の中央部には、第1蒸気流路51内に開口する蒸気流入部45が形成され、この蒸気流入部45には第1蒸気配管11(図1参照)が接続されている。したがって、第1蒸気配管11からの蒸気は、蒸気流入部45を通じて第1蒸気流路51に導入される。一方、外筒33の下部には、第1蒸気流路51内で生じた凝縮水を排出する排出部46が形成されており、この排出部46には第1配水管12(図1参照)が接続されている。
【0056】
図3に示すように、回転軸36の外周面には、上方に向かって螺旋状に配置された複数の螺旋羽根77が設けられている。これら螺旋羽根77は、回転軸36に取り付けられた支持部材77aと、支持部材77aに取り付けられたブレード77bとからなる。ブレード77bは、生ごみを上方に搬送するように形成されている。ブレード77bと内筒32の内壁との間には隙間が設けられている。
【0057】
螺旋羽根77は、ブレード77bが螺旋方向に沿って一定の間隔毎に配置されるように設けられている。本実施形態では、螺旋羽根77は、平面視において、回転中心周りに45度毎に形成されており、回転軸36の回転に伴って、時計回りに回転する。ただし、螺旋羽根77の形状、配置角度および回転方向は上記のものに何ら限定されない。
【0058】
図2に示すように、モータ71は、乾燥部31および土台部41にアングル38を介して取り付けられている。モータ71の回転軸73aには、スプロケット74aが固定されている。モータ71は回転数制御が自在なモータであり、コントローラ76に接続されている。コントローラ76は、モータ71のON/OFF制御や回転数制御等を実行する。
【0059】
前述したように、底板30の中央部には、回転軸73bが設けられている(図3参照)。回転軸73bには、スプロケット74bが固定されている。そして、モータ71のスプロケット74aと上記スプロケット74bとには、チェーン75が巻き掛けられている。これにより、コントローラ76のスイッチ(図示せず)をONにすると、モータ71が始動し、チェーン75を介して回転軸36を回転駆動する。
【0060】
以上が生ごみ処理装置1の構成である。次に、生ごみ処理装置1の動作について説明する。
【0061】
なお、本実施形態に係る乾燥機6は、小型の乾燥機であり、乾燥経路(生ごみが搬送羽根77によって搬送される長さ)が短い。そのため、連続運転では生ごみの乾燥が不完全となる場合がある。そこで、本実施形態に係る乾燥機6では、所定量のごみを十分乾燥させた後、次のごみを乾燥するバッチ運転を行っている。
【0062】
図1に示すように、ボイラ7から供給された高温の蒸気は、第1蒸気配管11を流通した後、乾燥機6の第1蒸気流路51に流入する。第1蒸気流路51内を下向きに流通した蒸気は、生ごみ流路52内の生ごみと熱交換を行い、生ごみを加熱する。この際、蒸気は冷却され、凝縮することによって凝縮水となる。凝縮水は排出口46(図2参照)を通じて排出され、第1配水管12を通ってボイラ7の給水部(図示せず)に戻される。ボイラ7に返送された凝縮水は、ボイラ7によって加熱されて蒸発し、再び蒸気となって第1蒸気配管11を通じて乾燥機6の第1蒸気流路51に供給される。
【0063】
処理対象となる生ごみは、始めに粉砕機4に投入され、当該粉砕機4によって粉砕された後、生ごみホッパ5に回収される。生ごみホッパ5に回収された生ごみは、図示しないスクリューによって、乾燥機6の生ごみ流路52に搬送される。なお、上述のバッチ運転を行うため、乾燥機6の蓋48aは、予め、開閉装置48bによって閉じられているものとする(図3参照)。生ごみ流路52に所定量の生ごみが搬送されると、スクリューが止められ、後述する通常運転が行われる。
【0064】
通常運転が開始されると、生ごみ流路52内の生ごみは、生ごみ流路52内を上方に向かって搬送される。この際、生ごみは、内筒32の壁面を介して第1蒸気流路51内の蒸気で加熱されるとともに、第2蒸気流路53内の蒸気でも加熱される。また、生ごみは、生ごみ流路52内で攪拌される。その結果、生ごみに含まれる水分が蒸発し、生ごみは乾燥する。
【0065】
生ごみが乾燥すると、開閉装置48bによって蓋48aが開けられ、後述の高速運転が開始される(図3参照)。これにより、乾燥後の生ごみは、ごみ排出管17を通じて排出され、コレクタ10に回収される。そして、コレクタ10に回収された生ごみは、乾燥ごみとして処理される。
【0066】
一方、生ごみ流路52内で発生した蒸気は、第2蒸気配管13を通じて湿式集塵機8に導出され、湿式集塵機8において除塵される。除塵後の蒸気は、第1蒸気返送管85を通り、熱交換器23内で、脱臭装置20から排出された蒸気と熱交換を行う。このとき、脱臭装置20から排出された蒸気は、脱臭装置20内で脱臭前の加熱により摂氏300度前後の高温状態にあるため、湿式集塵機8通過後の蒸気を加熱することとなる。その後、第1蒸気返送管85内の加熱された蒸気は、第2蒸気返送管86を通り、脱臭装置20の加熱機24内に導入される。加熱器24内で摂氏300度前後まで加熱された蒸気は、触媒槽25内へ送られ、脱臭される。
【0067】
脱臭後の蒸気は、第3蒸気返送管87を通り、熱交換器23内で、上述した湿式集塵機8通過後の蒸気と熱交換を行う。熱交換の後、脱臭後の蒸気は、第4蒸気返送管88を通り、熱交換器22内で、導入管26により熱交換器22に導入された空気(外部からの空気)と熱交換する。熱交換の後、熱交換器22から排出された蒸気は、第5蒸気返送管89を通り、乾燥機6の第2蒸気流路53内に供給される。
【0068】
蒸気は、外筒33の上方部かつ外筒33の接線方向から第2蒸気流路53内に供給される。そのため、蒸気は、第2蒸気流路53内において、下向きかつ螺旋状に流れ、内筒32の壁面を介して生ごみ流路52内の生ごみを加熱する。加熱により冷却された蒸気は、排気管18を介して外部に排気される。また、生ごみを加熱した蒸気の一部は凝縮して凝縮水となる。この凝縮水は、第2配水管14を通じて湿式集塵機8に供給され、湿式集塵機8において再利用される。
【0069】
一方、熱交換器22において加熱された空気は、吸気管21を通り、乾燥機6の空気流路54内に供給される。空気流路54に供給された空気は、吐出口56(図3参照)を介して生ごみ流路52内に供給され、生ごみと接触することにより、媒体を介さずに生ごみを直接加熱する。
【0070】
上述の運転の際、乾燥機6はコントローラ76によって制御される。コントローラ76は、以下の通常運転に加えて、後述の高速運転をも実行する。
【0071】
通常運転は、前記スクリューによって生ごみ流路52に所定量のごみを供給した後、回転軸36の回転によって、ごみを生ごみ流路52の下部から上部へと搬送しつつ、支持部材77aの隙間(生ごみ流路52の内側部分)またはブレード77bの隙間からごみを落下させて、ごみを攪拌しつつ乾燥する運転である。通常運転では、コントローラ76は、モータ71を所定の回転数(以下、第1回転数という)で運転させる。
【0072】
具体的には、通常運転においては、生ごみ流路52内に押し込まれた生ごみは、回転軸36の回転に伴い、回転軸36と一体となって回転する搬送羽根77のブレード77bによって、上方に螺旋状に搬送される。
【0073】
ところで、搬送羽根77は、回転軸36に取り付けられた支持部材77aと、支持部材77aに取り付けられたブレード77bとからなり、ブレード77bは、平面視において、一定の間隔毎に配置されている。そのため、ブレード77b上の一部の生ごみは、支持部材77aの隙間またはブレード77bの隙間より自然落下する。その結果、上方への搬送と落下とが繰り返されることにより、生ごみは効果的に攪拌される。また、生ごみはブレード77bによって搬送されながら、第1蒸気流路51および第2蒸気流路53の蒸気から熱を吸収して乾燥する。
【0074】
ところで、通常運転では、生ごみを落下させつつ上方に搬送することにより攪拌することとしているため、そのままの運転では、生ごみ流路52から乾燥後のごみ(以下、「乾燥ごみ」と称する。)を円滑に排出できない。すなわち、通常運転のブレード77bの回転速度では、乾燥ごみが支持部材77aの隙間またはブレード77bの隙間から下方に落下してしまうため、生ごみ流路52内の乾燥ごみを円滑に排出することができない。そこで、本乾燥機6では、乾燥後の排出段階においては、以下の高速運転を実行することにより、乾燥機6から乾燥ごみを円滑に排出させることとしている。
【0075】
高速運転では、まず、コントローラ76によって、回転軸36の回転が高速となるように制御する。すなわち、モータ71の回転数を、前記第1回転数よりも大きな所定の回転数(以下、第2回転数という)とする。その結果、回転軸36に設けられたブレード77bも高速で回転するため、生ごみ流路52内の乾燥ごみは、より大きな速度で搬送される。また、乾燥ごみには、通常運転時より大きな遠心力が加えられる。そのため、乾燥ごみは、内筒32の内周面に沿って円滑に上昇する。その結果、支持部材77aまたはブレード77b間に隙間が形成されているにも拘わらず、生ごみ流路52内の乾燥ごみの全部またはほぼ全部が生ごみ流路52の最上部にまで到達し、ごみ排出口48から外部に排出されることになる。
【0076】
以上より、本実施形態によれば、生ごみの乾燥時に生ごみから発生する蒸気を生ごみ乾燥用熱源として再利用することとしたので、ボイラ7の燃料消費量を減少させることができる。
【0077】
また、本実施形態では、生ごみから発生する蒸気だけを生ごみ乾燥用熱源とするのではなく、当該蒸気を、ボイラ7が生成する蒸気と併用することとした。そのため、生ごみから発生する蒸気のみを乾燥用熱源とした場合に比べ、安定した熱供給が可能となる。
【0078】
ところで、生ごみから発生する蒸気のみを乾燥用熱源とした場合、生ごみから発生した蒸気はごみの加熱源としては熱量が不十分で、当該蒸気を別途加熱および加圧することが必要となる。一方、本実施形態に係る生ごみ乾燥システム3では、臭気排ガスを脱臭する際に、酸化触媒を用いた触媒脱臭を行っている。酸化触媒の触媒機能を発揮させるためには、予め臭気排ガスを摂氏300度前後に加熱しておくことが必要となる。そのため、脱臭後の蒸気は非常に温度が高く、摂氏300度前後となる。
【0079】
そこで、本実施形態では、この脱臭によって生じる廃熱に着眼し、生ごみから発生する蒸気を乾燥機6に返送する前に脱臭することとして、脱臭装置20に設けられた加熱機24を加熱源としている。そのため、脱臭による廃熱を有効利用することができる。また、脱臭装置20と、除塵後の蒸気を乾燥機6に返送する配管(本実施形態では、第1蒸気返送管85〜第5蒸気配管89)とに、それぞれ別個の加熱源を設ける必要がなく、システムの小型化および燃料消費量の低減を図ることができる。
【0080】
乾燥機6の運転中、生ごみは、搬送羽根77の回転により遠心力を受けて内筒32の内壁側(径方向外側)に移動する。本実施形態では、生ごみ流路52が形成された内筒32の外側に2つに区画された蒸気流路(第1蒸気流路51および第2蒸気流路)が設けられている。そのため、本実施形態に係る乾燥機6によれば、内筒32を媒介とした、内筒32の外側を流通する蒸気と内筒32内を流通する生ごみとの熱交換を、効率よく行うことができる。
【0081】
また、本実施形態では、生ごみ流路52内に外部の空気を供給することとしている。生ごみを乾燥処理する際、生ごみから多くの蒸気が発生するため、生ごみ流路52内の水蒸気分圧は高い状態にあり、生ごみに含まれた水分が蒸発しにくい。しかし、本実施形態では、生ごみ流路52内に空気を供給して生ごみ流路52内の水蒸気分圧を下げ、生ごみに含まれた水分を蒸発させ易くしている。したがって、本実施形態によれば、乾燥機6の乾燥効率の向上を図ることができる。
【0082】
本実施形態では、熱交換器22において、外部から取り込んだ空気と、脱臭後の蒸気とを熱交換させることにより、外部から取り込んだ空気を加熱することとしている。そのため、本実施形態によれば、生ごみ流路52内に空気を供給することによって、水蒸気分圧を下げるだけでなく、直接熱量を与えることが可能となり、乾燥性能の向上を図ることができる。さらに、脱臭による廃熱を有効に利用することができるため、システムの燃料消費量の低減を図ることができる。
【0083】
さらに、本実施形態によれば、生ごみ流路52に空気を供給する吐出口56は、回転軸36に形成されている。そのため、吐出口56は、回転軸36の回転に伴って、回転する。したがって、空気は生ごみ流路52に満遍なく供給されることとなる。また、吐出口56の回転方向(回転軸36の回転方向に同じ)は搬送羽根77によって搬送される生ごみの回転方向と逆方向となるため、生ごみに満遍なく空気が供給されることとなる。したがって、本実施形態によれば、乾燥機6の乾燥効率をより向上させることが可能となる。
【0084】
また、本実施形態によれば、乾燥機6の内部において、第2蒸気流路53の蒸気の流通方向と、生ごみ流路52内のごみの流通方向とを、対向させることとした。すなわち、互いに熱交換を行う蒸気と生ごみとを対向流化させることとした。したがって、生ごみを効率的に加熱することができる。
【0085】
本乾燥機6においては、搬送羽根77は、回転軸36に取り付けられた支持部材77aと、支持部材77aに取り付けられたブレード77bとからなり、ブレード77bは一定の間隔をあけて螺旋状に配置することとした。そのため、回転軸36の回転により、ごみはブレード77bに搬送されながら、支持部材77aの隙間またはブレード77bの隙間より自然落下する。この搬送と落下を各段で繰り返すことによりごみを頻繁に攪拌することができるので、より効率のよい乾燥を行うことができる。
【0086】
また、本乾燥機6では、第5蒸気返送管89は、蒸気を、外筒33の接線方向から第2蒸気流路53内に供給するように形成されている。したがって、第2蒸気流路53内に蒸気を満遍なく供給しやすくなり、生ごみの乾燥効率を向上させることができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、生ごみから発生した蒸気をそのまま第2蒸気流路53に供給するのではなく、当該蒸気を湿式集塵機8において除塵した後に第2蒸気流路53に供給している。そのため、第2蒸気流路53に流入する塵埃の量を低減することができ、外筒33の内壁および内筒32の外壁に対するスケールの付着を抑制することができる。したがって、スケールの付着に起因する熱交換効率の低下を抑えることができる。
【0088】
また、集塵機として特に湿式集塵機8を用いることとしているので、第2蒸気流路53内で生じた凝縮水を湿式集塵機8で再利用することが可能となる。
【0089】
なお、本実施形態では、ボイラ7の生成蒸気を乾燥用熱源としているが、蒸気の供給源はボイラ7に限定されず、他の装置等から排出された余剰蒸気を利用することも可能である。その場合、さらなる燃料の削減が可能となる。
【0090】
また、図3に示すように、乾燥機6のごみ供給管16にはごみ供給管16内に空気を取り込むための吐出部57が設けられている。本実施形態では、吸気管21を取付部35aに接続し、空気を回転軸36の内部を通して生ごみ流路52内に供給することとしていた。しかし、吸気管21を吐出部57に接続し、ごみ供給管16を介して生ごみ流路52内に空気を供給することとしてもよい。このような形態によっても、上述のような効果を得ることができる。
【0091】
本実施形態に係る乾燥機6には、内筒32と外筒33との間の空間を、第1蒸気流路51と第2蒸気流路53とに2分割する区画部材43が備えられている。しかし、区画部材43が区画する空間の用途はこれらに限られず、例えば、第1蒸気流路51と加熱空気または冷却空気を流通させる空気流路とに区切ることとしてもよい。これにより、被乾燥物に対応して、加熱または冷却を変更することができ、また、加熱または冷却する媒体(蒸気、空気、液体等)を変更することも可能である。
【0092】
本発明に係る生ごみ乾燥システムに用いられる生ごみ乾燥機は、内側に生ごみを流通させる生ごみ流路を区画形成する第1筒状体と、前記第1筒状体の周囲を囲み、前記第1筒状体との間に流路を区画形成する第2筒状体と、前記第1筒状体内に設けられた回転軸と、前記回転軸に設けられ、軸方向に向かって螺旋状に配置された搬送羽根と、前記回転軸を回転させることによって前記生ごみを搬送する回転駆動機構と、前記流路を、少なくとも、第1の流路と、第1の流路と軸方向に隣り合う第2の流路とに区画する区画部材と、を備えたものであってもよい。
【0093】
上記生ごみ乾燥機によれば、生ごみ流路内の生ごみは、搬送羽根によって搬送される際に、当該搬送羽根によって攪拌される一方、第1筒状体を介して第1の流路内の流体によって加熱されるとともに、第2の流路内の流体によっても加熱される。そのため、生ごみは、攪拌されながら第1筒状体の外側から少なくとも2種類の流体によって加熱され、効率的に乾燥される。したがって、小型、かつ、乾燥性能の高い生ごみ乾燥機を実現することができる。
【0094】
また、上記生ごみ乾燥機によれば、回転軸の回転に伴って搬送羽根が回転し、生ごみ流路の生ごみが搬送される。このとき、生ごみは、搬送羽根の回転によって遠心力を受けて第1筒状体内の径方向外側(第1筒状体の内壁側)に移動する。また、生ごみ流路が形成された第1筒状体の外側には、2つに区画された流路(第1の流路および第2の流路)が形成されている。そのため、上記生ごみ乾燥機によれば、生ごみと各流路内の流体とが第1筒状体を介して近接することとなり、両者間において効率よく熱交換を行うことができる。
【0095】
さらに、上記生ごみ乾燥機によれば、区画部材によって第1の流路と第2の流路に区画されているため、例えば、第1の流路内には温められた流体、第2の流路内には温度の低い流体を流すことにより、生ごみを乾燥した後、冷却するような使用方法も可能となる。上記生ごみ乾燥機では、蒸気、排ガス、液体等、さまざまな流体を加熱(または冷却)媒体として使用することができる。そのため、乾燥物に対応して加熱(または冷却)媒体を変更することが可能である。
【0096】
前記第1筒状体は、上下方向に延び、前記回転駆動機構は、生ごみを上方に向かって搬送し、前記搬送羽根は、上方に向かって螺旋状に配置されかつ互いに分離された複数の羽根部材を備えていることが好ましい。
【0097】
生ごみは流体によって加熱乾燥されるとともに、羽根部材の回転にしたがって回転し、遠心力を受けて脱水される。また、生ごみ流路内において、生ごみは羽根部材によって上方に搬送される。ここで、羽根部材は互いに分離され、羽根部材同士の間には隙間が形成されている。そのため、搬送中の生ごみの一部は隙間から落下し、再び下方から上方に搬送される。したがって、生ごみは活発に攪拌され、乾燥効率が向上する。
【0098】
前記回転駆動機構は、少なくとも第1の回転速度と前記第1の回転速度よりも大きな第2の回転速度とで前記回転軸を回転させるように構成され、前記第1の回転速度は、生ごみの一部が前記羽根部材の間から落下する一方、残りの生ごみが前記羽根部材によって上方に搬送されるように設定され、前記第2の回転速度は、略全部の生ごみが前記羽根部材によって上方に搬送されるように設定されていることが好ましい。
【0099】
このことにより、通常の乾燥運転の際には、回転軸を第1の回転速度で回転させることにより、生ごみを効率的に乾燥させることができる。一方、乾燥が完了した後には、回転軸の回転速度を第2の回転速度にまで増速させることにより、生ごみ流路内に残った生ごみを遠心力によって第1筒状体の内面に沿わせて強制的に排出することができる。
【0100】
上記生ごみ乾燥機は、前記第2の筒状体に接続され、前記第2の流路に接線方向から流体を供給する流体供給管を備えていることが好ましい。
【0101】
このことにより、流体供給管から第2の流路に対して、接線方向から流体が供給される。したがって、流体は第2の流路内を満遍なく流通しやすくなり、乾燥効率が向上する。
【0102】
前記生ごみ流路は、軸方向の一方側に生ごみ流入部を、軸方向の他方側に生ごみ流出部をそれぞれ備え、前記第1の流路は、軸方向の他方側に流入部を、軸方向の一方側に流出部をそれぞれ備え、前記第2の流路は、軸方向の他方側に流入部を、軸方向の一方側に流出部をそれぞれ備えていることが好ましい。
【0103】
このことにより、第1および第2の流路内の各流体と、生ごみ流路内の生ごみとは、互いに対向する方向に流れることになる。そのため、各流体と生ごみとの間の熱交換効率が向上する。
【0104】
上記生ごみ乾燥機は、前記第1筒状体内の生ごみ流路に空気を供給する吐出口を備えていることが好ましい。
【0105】
生ごみ流路内の水蒸気分圧が低い程、生ごみに含まれた水分は蒸発し易い。しかし、生ごみを乾燥処理する際、生ごみから多くの蒸気が発生するため、生ごみ流路内の水蒸気分圧は高い状態にある。そこで、上記生ごみ乾燥機では、生ごみ流路に空気を供給し、水蒸気分圧を下げることとしている。したがって、上記生ごみ乾燥機によれば、生ごみに含まれた水分が蒸発し易くなり、乾燥効率が向上する。
【0106】
前記回転軸は、内側に空気流路を区画形成する第3筒状体からなり、前記吐出口は、前記第3筒状体の内部と外部とを連通するように、前記第3筒状体に形成されていることが好ましい。
【0107】
このことにより、空気を生ごみ流路に供給する吐出口は、回転軸の回転に伴って、回転する。したがって、空気は生ごみ流路に満遍なく供給される。また、搬送羽根は、回転軸に螺旋状に取り付けられているため、回転軸の回転に伴って回転軸の回転方向とは逆方向に生ごみを搬送する。そのため、吐出口の回転方向が生ごみの回転方向と逆方向となり、生ごみに満遍なく空気が供給されることとなる。したがって、上記乾燥機によれば、乾燥効率がより向上する。
【符号の説明】
【0108】
7 ボイラ(蒸気供給源)
8 湿式集塵機
11 第1蒸気配管(蒸気供給通路)
12 第1配水管(第1凝縮水路)
14 第2配水管(第2凝縮水路)
20 脱臭装置
22 熱交換器(第2加熱機)
23 熱交換器
24 加熱機(第1加熱機)
25 触媒槽
32 内筒(第1筒状体,仕切部材)
33 外筒(第2筒状体)
36 回転軸(回転軸,第3筒状体)
43 区画部材
50 蒸気流路
51 第1蒸気流路(第1の流路、第1の蒸気流路)
52 生ごみ流路
53 第2蒸気流路(第2の流路、第2の蒸気流路)
54 空気流路
56 吐出口
71 モータ(回転駆動機構)
77 搬送羽根
77b ブレード(羽根部材)
85 第1蒸気返送管(蒸気返送通路)
86 第2蒸気返送管(蒸気返送通路)
87 第3蒸気返送管(蒸気返送通路)
88 第4蒸気返送管(蒸気返送通路)
89 第5蒸気返送管(流体供給管,蒸気返送通路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部材と、前記中空部材の内部を蒸気流路と生ごみを流通させる生ごみ流路とに仕切る仕切部材と、前記蒸気流路を第1の蒸気流路と第2の蒸気流路とに区画する区画部材とを有し、前記生ごみ流路内の生ごみを、前記仕切部材を介して前記第1の蒸気流路内の蒸気および前記第2の蒸気流路内の蒸気で加熱することによって乾燥させる乾燥機と、
前記第1の蒸気流路に蒸気を供給する蒸気供給源と、
前記生ごみ流路内の生ごみから発生した蒸気を前記第2の蒸気流路に導く蒸気返送通路と、
前記蒸気返送通路内の蒸気を加熱する第1加熱機と、
を備えた生ごみ乾燥システム。
【請求項2】
前記蒸気返送通路には、前記生ごみ流路内の生ごみから発生した蒸気を触媒を用いて脱臭する脱臭装置が設けられ、
前記第1加熱機は、前記脱臭装置に設けられている請求項1に記載の生ごみ乾燥システム。
【請求項3】
外部より前記生ごみ流路内に空気を導く空気流路と、
前記空気流路内の空気を加熱する第2加熱機と、
を備えた請求項1または2に記載の生ごみ乾燥システム。
【請求項4】
前記第2加熱機は、前記空気流路の空気を、前記蒸気返送通路の前記脱臭装置よりも下流側の蒸気と熱交換させる熱交換器を備えている請求項3に記載の生ごみ乾燥システム。
【請求項5】
前記蒸気返送通路には、前記蒸気返送通路の前記脱臭装置よりも上流側の蒸気を、前記蒸気返送通路の前記脱臭装置よりも下流側の蒸気と熱交換させる熱交換器が設けられている請求項2〜4のいずれか一つに記載の生ごみ乾燥システム。
【請求項6】
前記第1の蒸気流路内の蒸気が凝縮することによって生じた凝縮水を前記蒸気供給源に導く第1凝縮水路を備え、
前記蒸気供給源は、前記第1凝縮水路の凝縮水を蒸発させて前記第1の蒸気流路に供給する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の生ごみ乾燥システム。
【請求項7】
前記蒸気返送通路の蒸気を除塵する集塵機を備えた、請求項1〜6のいずれか一つに記載の生ごみ乾燥システム。
【請求項8】
前記集塵機は、湿式集塵機からなり、
前記第2の蒸気流路内の蒸気が凝縮することによって生じた凝縮水を前記湿式集塵機に導く第2凝縮水路を備えた、請求項7に記載の生ごみ乾燥システム。
【請求項9】
前記乾燥機の前記仕切部材は、内側に前記生ごみ流路を区画形成する第1筒状体からなり、
前記中空部材は、前記第1筒状体の周囲を囲み、前記第1筒状体との間に前記蒸気流路を区画形成する第2筒状体からなり、
前記区画部材は、前記蒸気流路を前記第1の蒸気流路と、前記第1の蒸気流路と軸方向に隣り合う第2の蒸気流路とに区画する区画部材からなり、
前記乾燥機は、前記第1筒状体内に設けられた回転軸と、前記回転軸に設けられ、軸方向に向かって螺旋状に配置された搬送羽根と、前記回転軸を回転させることによって前記生ごみを搬送する回転駆動機構と、を更に備えている、請求項1〜8のいずれか一つに記載の生ごみ乾燥システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−73001(P2011−73001A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292427(P2010−292427)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【分割の表示】特願2005−318802(P2005−318802)の分割
【原出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】