説明

生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法及び制御装置

【課題】 生コンクリートの製造時に許容誤差を外れるような計量誤差が発生しても計量値を容易に修正可能として生コンクリートの廃棄処分を抑制するようにした生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法及び制御装置を提供する。
【解決手段】 制御装置8に所定の材料の計量値の許容誤差を予め設定しておき、貯蔵槽2a〜2eから計量槽3a〜3eへの材料の放出完了時に、所定の材料の実計量値と計量設定値とを比較して誤差量を算出する。そして、この誤差量が許容誤差内にあると判定した場合には計量処理を完了して材料をミキサ4へ放出し、誤差量が許容誤差の下限値を下回っていると判定した場合には不足分の材料を追加計量してミキサ4へ放出する一方、誤差量が許容誤差の上限値を上回っていると判定した場合には減算計量にて計量槽3a〜3eから計量設定値分の材料をミキサ4へ放出すると共に、過剰分の材料は次バッチの材料として使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生コンクリート製造プラントにおける各種材料の計量制御方法及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生コンクリート製造プラントは、粗骨材、細骨材、セメント、混和剤、水などの各種材料を貯蔵する貯蔵槽、これら各種材料を計量する計量槽、計量した各種材料を混練するミキサ、及びこれら各装置を制御する制御装置などから構成され、前記制御装置にはコンクリートの品種などに応じた種々の計量設定値を予め設定しており、生コンクリート出荷時には前記制御装置から所望の計量設定値を読み出し、この計量設定値に基づいて各貯蔵槽から各種材料をそれぞれ計量槽に放出して所定量ずつ計量した後、計量した各種材料をミキサへ放出して所定時間混練して生コンクリートを製造している。
【0003】
こうして製造した生コンクリートは、1乃至数バッチ分をアジテータ車に積載し、その生コンクリートの性状などの各種データが記載された納入書を付して各納入先に納入している。この納入書は、「JIS A 5308」に規定される様式に沿ったもので、納入時刻や容積、コンクリートの種類、呼び強度、スランプまたはスランプフロー、粗骨材の最大寸法、セメントの種類などの各種データが記載されており、例えば特許文献1(特開平10−128734号公報)に示されるように、プラントに備えた印字記録計などにて生コンクリートを出荷する度に出力している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−128734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記「JIS A 5308」の平成21年3月20日の改正に伴い、平成22年4月1日以降に発行される納入書には上記諸データに加えて配合表を新たに明記する必要が生じると共に、生コンクリートの購入者から要求があれば各種材料のバッチ毎の計量記録及びこれらから算出される単位量も併せて提出しなければならなくなるという背景があり、今後、生コンクリートの製造において各種材料を計量するときに、例えば「JIS A 5308」にて認められている許容誤差(粗骨材や細骨材の場合:3%、セメントや水の場合:1%)を外れるような計量誤差が発生した場合には、そのバッチ分の生コンクリートは廃棄処分を余儀なくされることも予想され、多くの無駄が生じると共に、廃棄した生コンクリ−トを処理する手間やコストも別途必要となる。
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、生コンクリートの製造時に許容誤差よりも不足、或いは過剰となる計量誤差が発生しても容易にかつ好適に修正可能とし、生コンクリートの廃棄処分を低減するようにした生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法及び制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載の生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法では、粗骨材、細骨材、セメント、混和剤、水などの各種材料を貯蔵槽に貯蔵し、コンクリートの品種などに応じて予め制御装置に設定した計量設定値に基づいて前記貯蔵槽から各種材料を計量槽に放出して所定量ずつ計量し、該計量槽にて計量した各種材料をミキサに放出して所定時間混練して生コンクリートを製造する生コンクリート製造プラントにおいて、前記制御装置に所定の材料の計量値の許容誤差を予め設定しておき、前記貯蔵槽から計量槽への材料の放出完了時に、所定の材料の実計量値と計量設定値とを比較演算して誤差量を算出し、該誤差量が予め設定した許容誤差内にあると判定した場合には計量処理を完了して各種材料をミキサへ放出し、前記誤差量が許容誤差の下限値を下回っていると判定した場合には不足分の材料を追加計量してミキサへ放出する一方、誤差量が許容誤差の上限値を上回っていると判定した場合には減算計量にて計量槽から計量設定値分の材料をミキサへ放出すると共に、計量槽に残る過剰分の材料は次バッチの材料として使用するようにしたことを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載の生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法では、前記計量槽の排出ゲートはゲート開度を調整自在とし、減算計量時にはゲート開度を小開度として材料を少量ずつミキサへ放出するようにしたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項3記載の生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法では、前記制御装置に取り込んだ所定の材料の実計量値を印字記録計に逐次送信するようにしたことを特徴としている。
【0010】
また、請求項4記載の生コンクリート製造プラントの制御装置では、粗骨材、細骨材、セメント、混和剤、水などの各種材料を貯蔵槽に貯蔵し、コンクリートの品種などに応じて予め制御装置に設定した計量設定値に基づいて前記貯蔵槽から各種材料を計量槽に放出して所定量ずつ計量し、該計量槽にて計量した各種材料をミキサに放出して所定時間混練して生コンクリートを製造する生コンクリート製造プラントにおいて、前記制御装置には、所定の材料の計量値の許容誤差を設定して記憶させる初期設定記憶部と、少なくとも標準計量パターンと材料不足時計量パターンと材料過剰時計量パターンとを記憶させる計量パターン記憶部と、所定の材料の実計量値と計量設定値との誤差量が前記許容誤差内にあると判定した場合に標準計量パターンを選択し、前記誤差量が許容誤差の下限値を下回っていると判定した場合に不足分の材料を追加計量する材料不足時計量パターンを選択し、前記誤差量が許容誤差の上限値を上回っていると判定した場合にその計量槽から計量設定値分の材料を減算計量する材料過剰時計量パターンを選択する計量パターン選択部と、該計量パターン選択部にて選択した計量パターンにしたがって各貯蔵槽や計量槽の排出ゲートを開閉制御するゲート制御部とを備えたことを特徴としている。
【0011】
また、請求項5記載の生コンクリート製造プラントの制御装置では、前記計量槽の排出ゲートはゲート開度を調整自在とし、減算計量時にはゲート開度を小開度として材料を少量ずつミキサへ放出するように制御することを特徴としている。
【0012】
また、請求項6記載の生コンクリート製造プラントの制御装置では、前記制御装置に取り込んだ所定の材料の実計量値を印字記録計に逐次送信するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る請求項1記載の生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法によれば、制御装置に所定の材料の計量値の許容誤差を予め設定しておき、前記貯蔵槽から計量槽への材料の放出完了時に、所定の材料の実計量値と計量設定値とを比較演算して誤差量を算出し、該誤差量が予め設定した許容誤差内にあると判定した場合には計量処理を完了して各種材料をミキサへ放出し、前記誤差量が許容誤差の下限値を下回っていると判定した場合には不足分の材料を追加計量してミキサへ放出する一方、誤差量が許容誤差の上限値を上回っていると判定した場合には減算計量にて計量槽から計量設定値分の材料をミキサへ放出すると共に、計量槽に残る過剰分の材料は次バッチの材料として使用するようにしたので、材料計量時に許容誤差よりも不足、或いは過剰となる計量誤差が発生しても容易にかつ好適に修正可能となり、計量ミスによる生コンクリートの廃棄処分を低減できる。
【0014】
また、請求項2記載の生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法によれば、前記計量槽の排出ゲートはゲート開度を調整自在とし、減算計量時にはゲート開度を小開度として材料を少量ずつミキサへ放出するようにしたので、比較的精度良く減算計量を行うことが可能となり、計量ミスによる生コンクリートの廃棄処分をより効果的に低減できる。
【0015】
また、請求項3記載の生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法によれば、前記制御装置に取り込んだ所定の材料の実計量値を印字記録計に逐次送信するようにしたので、材料計量時に許容誤差よりも不足、或いは過剰となる計量誤差が発生した場合でも修正後の計量値に基づいた納品書を出力できる。
【0016】
また、請求項4記載の生コンクリート製造プラントの制御装置によれば、制御装置には、所定の材料の計量値の許容誤差を設定して記憶させる初期設定記憶部と、少なくとも標準計量パターンと材料不足時計量パターンと材料過剰時計量パターンとを記憶させる計量パターン記憶部と、所定の材料の実計量値と計量設定値との誤差量が前記許容誤差内にあると判定した場合に標準計量パターンを選択し、前記誤差量が許容誤差の下限値を下回っていると判定した場合に不足分の材料を追加計量する材料不足時計量パターンを選択し、前記誤差量が許容誤差の上限値を上回っていると判定した場合にその計量槽から計量設定値分の材料を減算計量する材料過剰時計量パターンを選択する計量パターン選択部と、該計量パターン選択部にて選択した計量パターンにしたがって各貯蔵槽や計量槽の排出ゲートを開閉制御するゲート制御部とを備えたので、材料計量時に許容誤差よりも不足、或いは過剰となる計量誤差が発生しても容易にかつ好適に修正可能となり、計量ミスによる生コンクリートの廃棄処分を低減できる。
【0017】
また、請求項5記載の生コンクリート製造プラントの制御装置によれば、前記計量槽の排出ゲートはゲート開度を調整自在とし、減算計量時にはゲート開度を小開度として材料を少量ずつミキサへ放出するように制御するので、比較的精度良く減算計量を行うことが可能となり、計量ミスによる生コンクリートの廃棄処分をより効果的に低減できる。
【0018】
また、請求項6記載の生コンクリート製造プラントの制御装置によれば、前記制御装置に取り込んだ所定の材料の実計量値を印字記録計に逐次送信するようにしたので、材料計量時に許容誤差よりも不足、或いは過剰となる計量誤差が発生した場合でも修正後の計量値に基づいた納品書を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法及び制御装置を採用する生コンクリート製造プラントの一部を示す概略説明図である。
【図2】材料の計量及び修正手順を示すフローチャート1である。
【図3】材料の計量及び修正手順を示すフローチャート2である。
【図4】印字記録計にて出力される納入書の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法及び制御装置にあっては、各種材料を貯蔵する貯蔵槽と、該貯蔵槽から放出する材料を計量する計量槽と、該計量槽から放出する材料を混練するミキサと、これら各装置を制御する制御装置などから構成される生コンクリート製造プラントにおいて、前記制御装置には、少なくとも標準計量パターンと、所定の材料の実計量値が計量設定値よりも不足する場合に不足分の材料を追加計量する材料不足時計量パターンと、計量設定値よりも過剰な場合にその計量槽から計量設定値分の材料を減算計量する材料過剰時計量パターンとを記憶させる計量パターン記憶部と、コンクリートの品種などに応じた種々の計量設定値や、各種材料毎の計量値の許容誤差を設定して記憶させる初期設定記憶部と、所定の材料の実計量値と計量設定値との比較結果に応じて何れかの計量パターンを選択する計量パターン選択部と、該計量パターン選択部にて選択した計量パターンにしたがって各貯蔵槽や計量槽の排出ゲートを開閉制御するゲート制御部とを備えている。
【0021】
また、前記計量槽の排出ゲートのゲート開度を調整自在とし、減算計量時にはゲート開度を小開度とすることで材料を少量ずつミキサへ放出可能としていると共に、制御装置の近傍には納入書等の出力用の印字記録計を備え、制御装置に取り込まれる各種材料の実計量値を前記印字記録計に送信可能としている。そして、前記制御装置の初期設定記憶部には、コンクリートの品種などに応じた種々の計量設定値と共に、「JIS A 5308」にて認められている各種材料毎の計量値の許容誤差、例えば粗骨材や細骨材、混和剤であれば3%を、またセメントや水であれば1%をそれぞれ予め設定しておく。
【0022】
そして、上記生コンクリート製造プラントにて生コンクリートを製造する場合には、製造するコンクリートの品種に応じて適当な計量設定値を自動的に読み出し、この計量設定値に基づいて各貯蔵槽から各種材料を計量槽に放出して所定量ずつ計量し、これら計量した材料をミキサへ放出して所定時間混練して生コンクリートを製造する。
【0023】
このとき、制御装置では、各貯蔵槽から計量槽への材料の放出完了時にそれぞれの実計量値を読み取り、落差補正ミスなどによって生じる計量設定値との誤差量を算出する。そして、例えば粗骨材や細骨材の場合には、これらの誤差量が初期設定記憶部に予め設定した許容誤差である±3%以内にあると判定した場合には、計量パターン選択部では計量パターン記憶部に記憶格納してある計量パターンのうちから標準計量パターンを選択し、この標準計量パターンにしたがい、実計量値を印字記録計に送信すると共に、計量槽のゲートを開放して材料をミキサへ放出する。
【0024】
また、前記誤差量が許容誤差の下限値である−3%を下回っていると判定した場合には、計量パターン選択部では材料不足時計量パターンを選択し、この材料不足時計量パターンにしたがい、貯蔵槽のゲートを開放して不足分の材料を追加計量して誤差修正を行った後、その修正後の実計量値を印字記録計に送信すると共に、計量槽のゲートを開放して材料をミキサへ放出する。
【0025】
一方、誤差量が許容誤差の上限値である+3%を上回っていると判定した場合には、計量パターン選択部では材料過剰時計量パターンを選択し、この材料過剰時計量パターンにしたがい、計量槽のゲートを開放して減算計量によって計量設定値分の材料をミキサへ放出し、その実放出量を実計量値と見なして印字記録計に送信すると共に、計量槽に残留する過剰分の材料はそのまま計量槽に残して次バッチの材料として使用する。このとき、計量槽では排出ゲートのゲート開度を小開度に調整して材料を少量ずつミキサへ放出するようにして減算計量を行うので、比較的精度良く計量できる。
【0026】
このように、所望の計量設定値に基づいて生コンクリートを製造するときに、予め設定した許容誤差よりも不足、或いは過剰となる計量誤差が発生しても比較的容易にかつ好適に修正することができ、従来、計量ミスによって廃棄処分せざるを得なかった生コンクリートを効果的に低減することが可能となって、コスト面や環境面において非常に好適である。また、その際に、修正後の計量値に基づいて印字記録計から納入書を出力することができるのでより一層好適である。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の一実施例を図1〜図4に基づいて説明する。
【0028】
図1中の1は本発明の材料計量制御方法及び制御装置を採用した生コンクリート製造プラントの一部を示すものであって、粗骨材貯蔵槽2a、細骨材貯蔵槽2b、セメント貯蔵槽2c、水貯蔵槽2d、及び混和剤貯蔵槽2eの下位に、粗骨材計量槽3a、細骨材計量槽3b、セメント計量槽3c、水計量槽3d、及び混和剤計量槽3eをそれぞれ備えていると共に、その下位には各計量槽3a〜3eより放出される各種材料を混練して生コンクリートを製造するミキサ4を備えている。
【0029】
前記各計量槽3a〜3eには材料計量手段であるロードセル5をそれぞれ備えていると共に、各貯蔵槽2a〜2e及び各計量槽3a〜3eの下端部には材料排出用の排出ゲート6a〜6e、7a〜7eをそれぞれ開閉自在に備えている。なお、前記各計量槽3a〜3eの排出ゲート7a〜7eはゲート開度を調整自在としており、後述する減算計量時にはゲート開度を小開度とすることによって材料を少量ずつミキサ4へ放出可能としている。
【0030】
8は前記各装置を制御する制御装置であって、該制御装置8と、前記各ロードセル5、及び各排出ゲート6a〜6e、7a〜7eとをそれぞれ信号線9、10、11にて連結しており、各計量槽3a〜3eのロードセル5にて検出される実計量値の信号や、ゲート開閉操作用の制御信号を、前記信号線9、10、11を介して送受信可能としている。12は生コンクリートを出荷する度に、その生コンクリートの性状や配合表などの各種データが記された、例えば図4に示すような納入書を出力する印字記録計である。
【0031】
また、制御装置8には、前記各信号線9、10、11を介して送受信する実計量値の信号や、ゲート開閉操作用の制御信号に加え、印字記録計12へ送信する生コンクリートの性状などの各種データ信号などの入出力を行う入出力部13と、各種データを設定・記憶する記憶部14と、様々な演算・制御処理を行う制御部15とを備えている。
【0032】
前記記憶部14には、各計量槽3a〜3eのロードセル5にて検出される実計量値A1や、この実計量値A1と後述する計量設定値B1との誤差量A2、また後述する減算計量時に計量槽3a〜3eに残留する材料の実計量値である残留分実計量値A3、及びこの残留分実計量値A3と実計量値A1との差値量であって減算計量時にミキサ4に実際に放出される材料の量である実放出量A4などの各種データを記憶するデータ記憶部16と、コンクリートの品種などに応じた種々の計量設定値B1や、各種材料毎の計量値の許容誤差B2(例えば、粗骨材、細骨材、混和剤であれば3%、セメント、水であれば1%)などの初期設定を予め設定して記憶する初期設定記憶部17と、計量値の誤差量A2の大きさなどに応じて選択される各種計量パターンを記憶する計量パターン記憶部18とを備えている。
【0033】
なお、前記計量パターンとしては、計量値の誤差量A2が許容誤差B2内にある場合に選択され、誤差修正を行うことなく計量処理を完了して混練処理に移行する標準計量パターンC1や、誤差量A2が許容誤差B2の下限値を下回る場合に選択され、不足分の材料を追加計量して誤差修正を行う材料不足時計量パターンC2、誤差量A2が許容誤差B2の上限値を上回る場合に選択され、過剰分の材料を残すように減算計量して誤差修正を行う材料過剰時計量パターンC3、及び減算計量したときに誤差量A2が許容誤差B2を外れる場合に選択され、警報発報と共に計量処理を停止して手動による任意の操作(例えば、ミキサ4内の材料の抜き取り操作など)を行う計量停止パターンC4などを記憶格納している。
【0034】
また、前記制御部15には、各計量槽3a〜3eのロードセル5にて検出される実計量値A1や、減算計量時に該当の計量槽3a〜3eに残留する材料の計量値である残留分実計量値A3などの読み取りを実行する計量値読取部19と、前記実計量値A1や後述する実放出量A4と予め設定した計量設定値B1とを比較して誤差量A2を算出する誤差演算部20と、この誤差量A2と予め設定した許容誤差B2とを比較して誤差量A2が許容誤差B2の範囲内にあるか、または許容誤差B2の下限値を下回るか、或いは許容誤差B2の上限値を上回るかを判定する誤差比較判定部21と、この判定結果に応じて前記計量パターンC1〜C4(計量パターンC4は減算計量時のみ選択可)から何れか一つを選択する計量パターン選択部22と、この選択した計量パターンC1〜C4にしたがって各貯蔵槽2a〜2eの排出ゲート6a〜6eや、各計量槽3a〜3eの排出ゲート7a〜7eを開閉制御するゲート制御部23とを備えている。また、減算計量時に、該当の計量槽3a〜3eの残留分実計量値A3と、最初に読み取られた実計量値A1との差値量から実際にミキサ4へ放出された材料の量である実放出量A4を算出する実放出量演算部24を備えている。
【0035】
次に、上記構成の装置により生コンクリートを製造するときに行う材料の計量及び修正手順を図2及び図3に示すフローチャートにて説明する。なお、図2及び図3中のS1〜S26は各ステップを表している。
【0036】
先ず、事前に各種コンクリート毎の各材料の計量設定値B1と共に、各種材料毎の計量値の許容誤差B2(例えば、「JIS A 5308」に倣って、粗骨材、細骨材、混和剤であれば3%、セメント、水であれば1%)を決定しておく。
【0037】
そして、制御装置8の記憶部14の初期設定記憶部17に、初期設定として先程決定した各種コンクリート毎の計量設定値B1を設定して記憶させると共に(S1)、各種材料毎の計量値の許容誤差B2を設定して記憶させる(S2)。そして、初期設定を終了するか否かを判断し(S3)、継続する場合はステップS1に戻って入力を継続する一方、終了する場合はENDに進んで終了する。
【0038】
次に、コンクリートの出荷要請があれば、そのコンクリートの品種を読み出して、それに応じた計量設定値B1を初期設定記憶部17から読み込む(S4)。そして、この読み込んだ計量設定値B1に基づいて、粗骨材貯蔵槽2a、細骨材貯蔵槽2b、セメント貯蔵槽2c、水貯蔵槽2d、及び混和剤貯蔵槽2eからそれぞれの下位の粗骨材計量槽3a、細骨材計量槽3b、セメント計量槽3c、水計量槽3d、及び混和剤計量槽3eへ所定量ずつ材料を放出する(S5)。
【0039】
前記各計量槽3a〜3eへの材料放出が完了すると、制御装置8の制御部15の計量値読取部19により、各計量槽3a〜3eのロードセル5で検出される実計量値A1を読み取り(S6)、その読み取った実計量値A1は記憶部14のデータ記憶部16に記憶格納する。次に、制御部15の誤差演算部20により、前記データ記憶部16に記憶格納した実計量値A1を読み出し、初期設定記憶部17に予め設定している計量設定値B1と比較して、例えば落差補正ミスなどを原因として生じ得る誤差量A2を算出する(S7)。そして、誤差比較判定部21により、前記誤差量A2と初期設定記憶部17に予め設定している許容誤差B2とを比較する(S8)。
【0040】
先ず、誤差量A2が許容誤差B2の範囲内にあるか否かを判定し(S9)、許容誤差B2内にあると判定した場合(例えば、粗骨材や細骨材、混和剤ではそれらの誤差量が許容誤差±3%以内にあると判定した場合)、計量パターン選択部22では計量パターン記憶部18より標準計量パターンC1を選択し、この標準計量パターンC1にしたがい、誤差修正を行わずに計量処理を完了して実計量値A1を印字記録計12に送信すると共に(S10)、ゲート制御部23によって各計量槽3a〜3eの排出ゲート7a〜7eを開放して材料をミキサ4へ放出する(S11)。
【0041】
そして、ミキサ4ではこれら各種材料を所定時間混練して所望の生コンクリートを製造し(S12)、製造した生コンクリートはミキサ車へ放出すると共に(S13)、続けて次バッチの混練が有るか否かを判断し(S14)、まだ有ればステップS5に戻る一方、無ければ図4に示すような、生コンクリートの性状や計量値から求められる配合表などの各種データが記載された納入書を印字記録計12にて出力し、その納入書を付して出荷して終了する。
【0042】
また、ステップS9において、何れかの材料の計量値の誤差量A2が許容誤差B2を外れると判定した場合、続けてその誤差量A2が許容誤差B2の下限値未満か或いは上限値を超過しているのかを判定し(S15)、許容誤差B2の下限値未満であると判定した場合(例えば、粗骨材や細骨材、混和剤ではそれらの誤差量が許容誤差の下限値である−3%を下回っていると判定した場合)、計量パターン選択部22では計量パターン記憶部18より材料不足時計量パターンC2を選択し、この材料不足時計量パターンC2にしたがい、ゲート制御部23によって該当の貯蔵槽2a〜2eの排出ゲート6a〜6eを開放して不足分の材料を追加計量して誤差修正を行った後(S16)、ステップS6に戻ってその実計量値A1を読み取って誤差量A2の再確認を行い、許容誤差B2内に修正されていれば、前記同様に、各計量槽3a〜3eの排出ゲート7a〜7eを開放して材料をミキサ4へ放出後、所定時間混練して所望のコンクリートを製造し、次バッチの混練の有無を確認して、無ければ印字記録計12にて出力した納入書を付して出荷を行う。なお、この納入書には、追加計量によって誤差修正した後の計量値に基づいて求められる配合表などの各種データが記載される。
【0043】
一方、ステップS15において、何れかの材料の計量値の誤差量A2が許容誤差B2の上限値を超過すると判定した場合(例えば、粗骨材や細骨材、混和剤ではそれらの誤差量が許容誤差の上限値である+3%を上回っていると判定した場合)、計量パターン選択部22では計量パターン記憶部18より材料過剰時計量パターンC3を選択し、この材料過剰時計量パターンC3にしたがい、ゲート制御部23によって該当の計量槽3a〜3eの排出ゲート7a〜7eを開放して過剰分の材料を計量槽3a〜3eに残すように減算計量しながら所定量の材料をミキサ4へ放出して誤差修正を行う(S17)。
【0044】
このとき、各計量槽3a〜3eの排出ゲート7a〜7eはゲート開度を調整自在としており、前記減算計量時にはゲート開度を小開度に調整して材料を少量ずつミキサ4へ放出することにより、比較的精度良く計量可能としている。なお、このゲート開度の調整は、放出開始時に若干大きめに調整して放出終了間際には小さめに調整するように切り換えるようにすれば、放出速度をある程度維持しながらも精度の高い計量を実現できて好適である。
【0045】
そして、計量値読取部19により、計量槽3a〜3eに残留する材料の計量値である残留分実計量値A3を読み取り(S18)、実放出量演算部24により、この残留分実計量値A3と先に読み取った実計量値A1との差値量からミキサ4へ実際に放出した材料の量である実放出量A4を算出し(S19)、誤差演算部20により、この実放出量A4と計量設定値B1とを比較して誤差量A2を算出する(S20)。そして、誤差比較判定部21により、前記誤差量A2と許容誤差B2とを比較する(S21)。
【0046】
この比較によって、誤差量A2が許容誤差B2の範囲内にあるか否かを判定し(S22)、許容誤差B2内にあると判定した場合、計量パターン選択部22では計量パターン記憶部18より標準計量パターンC1を選択し、この標準計量パターンC1にしたがい、計量処理を完了して実放出量A4を実計量値A1として印字記録計12に送信すると共に(S23)、ステップS12に戻ってミキサ4に放出された各種材料を所定時間混練して所望の生コンクリートを製造し、次バッチの混練の有無を確認して、無ければ印字記録計12にて出力した納入書を付して出荷を行う。なお、この納入書には、減算計量によって誤差修正した後の計量値に基づいて求められる配合表などの各種データが記載される。
【0047】
このとき、計量槽3a〜3eに残留する過剰分の材料、即ち、残留分実計量値A3として計量された材料は、そのまま計量槽3a〜3eに残して次バッチの材料として使用する。
【0048】
一方、ステップS22において、減算計量時の誤差量A2が許容誤差B2を外れると判定した場合、即ち減算計量時の誤差量A2が許容誤差B2の下限値未満、或いは上限値を超過していると判定した場合に限り、計量パターン選択部22では計量パターン記憶部18より計量停止パターンC4を選択し、この計量停止パターンC4にしたがい、制御装置8の画面などにおいて警報を発報すると共に(S24)、計量処理を停止して(S25)、手動による任意の操作(例えば、ミキサ4内の材料の抜き取り操作など)を行う(S26)。
【0049】
このように、所望の計量設定値に基づいて生コンクリートを製造するときに、予め設定した許容誤差よりも不足、或いは過剰となる計量誤差が発生しても比較的容易にかつ好適に修正することができ、計量ミスを原因として廃棄される生コンクリートを効果的に抑制することが可能となって、コスト面や環境面において非常に好適である。また、その際に、修正後の計量値に基づいて印字記録計から納入書を出力することができるのでより一層好適である。
【0050】
なお、本実施例においては、制御装置に設定する許容誤差として、「JIS A 5308」に倣って、粗骨材、細骨材、混和剤であれば3%、セメント、水であれば1%をそれぞれ設定しているが、例えば、より高品質のコンクリートを製造することを目的として、これらよりも小さい適宜値を許容誤差として設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…生コンクリート製造プラント
2a、2b、2c、2d、2e…貯蔵槽
3a、3b、3c、3d、3e…計量槽
4…ミキサ 5…ロードセル
6a、6b、6c、6d、6e…排出ゲート(貯蔵槽)
7a、7b、7c、7d、7e…排出ゲート(計量槽)
8…制御装置 12…印字記録計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗骨材、細骨材、セメント、混和剤、水などの各種材料を貯蔵槽に貯蔵し、コンクリートの品種などに応じて予め制御装置に設定した計量設定値に基づいて前記貯蔵槽から各種材料を計量槽に放出して所定量ずつ計量し、該計量槽にて計量した各種材料をミキサに放出して所定時間混練して生コンクリートを製造する生コンクリート製造プラントにおいて、前記制御装置に所定の材料の計量値の許容誤差を予め設定しておき、前記貯蔵槽から計量槽への材料の放出完了時に、所定の材料の実計量値と計量設定値とを比較演算して誤差量を算出し、該誤差量が予め設定した許容誤差内にあると判定した場合には計量処理を完了して各種材料をミキサへ放出し、前記誤差量が許容誤差の下限値を下回っていると判定した場合には不足分の材料を追加計量してミキサへ放出する一方、誤差量が許容誤差の上限値を上回っていると判定した場合には減算計量にて計量槽から計量設定値分の材料をミキサへ放出すると共に、計量槽に残る過剰分の材料は次バッチの材料として使用するようにしたことを特徴とする生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法。
【請求項2】
前記計量槽の排出ゲートはゲート開度を調整自在とし、減算計量時にはゲート開度を小開度として材料を少量ずつミキサへ放出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法。
【請求項3】
前記制御装置に取り込んだ所定の材料の実計量値を印字記録計に逐次送信するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の生コンクリート製造プラントの材料計量制御方法。
【請求項4】
粗骨材、細骨材、セメント、混和剤、水などの各種材料を貯蔵槽に貯蔵し、コンクリートの品種などに応じて予め制御装置に設定した計量設定値に基づいて前記貯蔵槽から各種材料を計量槽に放出して所定量ずつ計量し、該計量槽にて計量した各種材料をミキサに放出して所定時間混練して生コンクリートを製造する生コンクリート製造プラントにおいて、前記制御装置には、所定の材料の計量値の許容誤差を設定して記憶させる初期設定記憶部と、少なくとも標準計量パターンと材料不足時計量パターンと材料過剰時計量パターンとを記憶させる計量パターン記憶部と、所定の材料の実計量値と計量設定値との誤差量が前記許容誤差内にあると判定した場合に標準計量パターンを選択し、前記誤差量が許容誤差の下限値を下回っていると判定した場合に不足分の材料を追加計量する材料不足時計量パターンを選択し、前記誤差量が許容誤差の上限値を上回っていると判定した場合にその計量槽から計量設定値分の材料を減算計量する材料過剰時計量パターンを選択する計量パターン選択部と、該計量パターン選択部にて選択した計量パターンにしたがって各貯蔵槽や計量槽の排出ゲートを開閉制御するゲート制御部とを備えたことを特徴とする生コンクリート製造プラントの制御装置。
【請求項5】
前記計量槽の排出ゲートはゲート開度を調整自在とし、減算計量時にはゲート開度を小開度として材料を少量ずつミキサへ放出するように制御することを特徴とする請求項4記載の生コンクリート製造プラントの制御装置。
【請求項6】
前記制御装置に取り込んだ所定の材料の実計量値を印字記録計に逐次送信するようにしたことを特徴とする請求項4または5記載の生コンクリート製造プラントの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−247433(P2010−247433A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99454(P2009−99454)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】