説明

生乾き臭抑制方法

【課題】従来にない方法で生乾き臭を抑制する方法を提供する。
【解決手段】(a)陽イオン性有機抗菌剤、トリクロサン及びジクロロサンから選ばれる少なくとも1種の抗菌剤、(b)非イオン界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤、及び水を含有し、(a)成分の含有量が0.05〜10質量%、(b)成分の含有量が0.01〜10質量%である水性組成物を、洗濯工程の脱水終了後の含水率(繊維製品の乾燥総質量に対する含浸している水の割合)が30〜120質量%である繊維製品に接触させる生乾き臭抑制方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生乾き臭抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類などの繊維製品を洗濯し部屋干した場合には、いわゆる生乾き臭といわれる異臭が発生することがしばしば起こる。このような臭いは、洗濯し切れなかった汚れに菌などが作用して引き起こされるものと考えられ、例えば、特許文献1には洗剤に抗菌剤を用いる技術、特許文献2、特許文献3などには柔軟剤に抗菌剤を用いる技術で、生乾き臭の発生が抑制されることが開示されている。
【0003】
また、発生した生乾き臭を消臭するためには、消臭剤を用いることが一般的に行われており、特許文献4には抗菌剤を含有する消臭剤の技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−160822号公報、
【特許文献2】特開2001−303441号公報、
【特許文献3】特開2001−303439号公報
【特許文献4】特開2001−070423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生乾き臭は、グラム陽性菌の一種(ブドウ球菌属)が皮脂や蛋白などの汚れを分解することが原因であり、適度な水分や温度条件で顕著に悪臭の発生が見られることを本発明者らの研究により明らかになっている。一般には生乾き臭は発生したら消臭剤を用いて消臭することが行われてきたが、一時的には消臭するが分解物は残存するため、香料等の消臭成分が減少すると再び悪臭がでてくる。このため、原因菌の増殖を抑制することで、生乾き臭の発生を抑制し得ることは容易に想像することができる。しかしながら洗濯終了後の濡れた繊維製品に、あえてさらに水を付加する行為、あるいは洗浄成分である界面活性剤などの成分をあえて付着させる行為は、当業者や消費者においては発想することがなく、ましてやこのような行為で、非常に効率よく菌の増殖を押さえ、その結果生乾き臭の発生を効率よく抑制し得る点については想起することができない。
【0005】
特許文献1〜3記載の発明のような、洗濯工程の洗剤や柔軟剤などに抗菌剤を用いて生乾き臭を抑制する技術は、ある程度効果は見られるが満足できるものではない。また、特許文献4記載の発明のような消臭剤は、乾燥後の衣料や臭いの存在する空間に噴霧するものであり、洗濯工程/脱水後の濡れた繊維製品に接触させた場合に、これまで無い高いレベルでの生乾き臭を抑制し得る点については全く示唆がない。
【0006】
従って本発明の課題は、従来にない方法で生乾き臭を抑制する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(a)陽イオン性有機抗菌剤、トリクロサン及びジクロロサンから選ばれる少なくとも1種の抗菌剤、(b)非イオン界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤、及び水を含有し、(a)成分の含有量が0.05〜10質量%、(b)成分の含有量が0.01〜10質量%である水性組成物を、洗濯工程の脱水終了後の含水率(繊維製品の乾燥総質量に対する含浸している水の割合)が30〜120質量%である繊維製品に接触させる生乾き臭抑制方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法によると、繊維製品を室内で自然乾燥させても、効果的に生乾き臭を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[水性組成物]
本発明に係る水性組成物は、(a)成分として、陽イオン性有機抗菌剤、トリクロサン及びジクロロサンから選ばれる少なくとも1種の抗菌剤を含有する。
【0010】
陽イオン性有機抗菌剤としては、4級アンモニウム塩型抗菌剤(a1)、グアニジン系化合物(a2)、ポリリジン(a3)を挙げることができる。
【0011】
4級アンモニウム塩型抗菌剤(a1)の具体例としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0012】
【化1】

【0013】
〔式中、R1は炭素数8〜16のアルキル基を示し、R2は炭素数8〜14のアルキル基又はベンジル基を示し、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、X-は陰イオンを示す。〕
一般式(1)において、R1としては炭素数8〜14のアルキル基が好ましく、R2は炭素数8〜12のアルキル基又はベンジル基が好ましく、R3及びR4はそれぞれ独立にメチル基が好ましい。X-で示される陰イオンとしては、ハロゲンイオン、硫酸イオン、炭素数1〜12の脂肪酸イオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸イオン等が挙げられ、ハロゲンイオンが好ましい。
【0014】
グアニジン系化合物(a2)としてはビグアニド系抗菌剤が好ましい。ビグアニド系抗菌剤の具体例としては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0015】
【化2】

【0016】
〔式中R5は炭素数2〜8のアルキレン基を示し、nは2〜14の数を示し、HYは有機酸又は無機酸を示す。〕
一般式(2)において、R5としては、炭素数4〜8のアルキレン基が好ましく、ヘキサメチレン基がより好ましい。nとしては、10〜14の数が好ましく、11〜13の数がより好ましく、12が更に好ましい。HYとしては、塩酸、グルコン酸、酢酸が好ましく、塩酸がより好ましい。
【0017】
一般式(2)で表される化合物は、市販のものを用いてもよいが、公知の方法、例えば英国特許第702268号等に記載の方法を用いて製造することができる。
【0018】
ビグアニド系抗菌剤としては、上記一般式(2)で表される化合物以外にビス−ビグアニド化合物を用いることもできる。具体的には1,2−ビス−(N5−p−クロロフェニル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−ニトロフェニル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−ヒドロキシフェニル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−クロロベンジル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−ブロモフェニル−N5−ヘキシル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−クロロフェニル−N5−2−エチルフェニル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−クロロフェニル−N5−エチル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−メトキシフェニル−N1−ビグアニド)−エタンなどが挙げられる。
【0019】
ビグアニド系抗菌剤としては、一般式(2)において、R5がヘキサメチレン基であり、nが10〜14の数、更には11〜13の数、HYが塩酸である、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩が最も好適である。
【0020】
本発明の(a)成分としては、生乾き臭抑制効果の点から、グアニジン系化合物(a2)及びポリリジン(a3)から選ばれる化合物が好ましく、グアニジン系化合物(a2)、特にビグアニド系抗菌剤がより好ましい。
【0021】
本発明に係る水性組成物は、(b)成分として、非イオン界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有する。
【0022】
非イオン界面活性剤としては、炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数10〜14のアルキル基を有し、炭素数2又は3のオキシアルキレン基、好ましくはオキシエチレン基が平均2〜150モル、好ましくは3〜50モル、より好ましくは5〜15モル付加したポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル(b1)、アルキル基の炭素数が8〜16、好ましくは10〜14であり平均縮合度が1〜3、好ましくは1〜2のアルキルグリコシド(b2)、アルキル基の炭素数が8〜16、好ましくは10〜14のアルキルグルカミド(b3)を挙げることができる。また、アミンオキシド型界面活性剤としては、炭素数10〜16のアルキル基を1つと、炭素数1〜3のアルキル基及び/又はヒドロキシアルキル基を2つ有する3級アミンオキシド(b4)、アルカノイル基の炭素数が10〜16であるアルカノイルアミノプロピル基又はアルカノイルオキシエチル基を1つと、炭素数1〜3のアルキル基及び/又はヒドロキシアルキル基を2つ有する3級アミンオキシド(b5)を挙げることができる。
【0023】
(b)成分としては、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル(b1)、3級アミンオキシド(b4)及び(b5)が好適であり、生乾き臭抑制効果の点から、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル(b1)と3級アミンオキシド(b4)又は(b5)を併用することが好ましく、(b1)/[(b4)+(b5)]の質量比が、10/1〜1/10、更に8/1〜1/8となるように用いるのがより好ましい。
【0024】
本発明に係る水性組成物には、(a)成分の繊維製品への浸透性を高め、且つ組成物の乾燥を促進させる目的から、(c)成分として水と共沸する低級アルコールを含有することが好ましい。低級アルコールとしては、炭素数1〜3のアルコールが挙げられ、エタノール、イソプロパノールが好ましく、エタノールがより好ましい。
【0025】
本発明に係る水性組成物は、任意ではあるが生乾き臭の発生をより効果的に抑制する目的から(d)成分として、下記の香料成分(d1)から選ばれる化合物の少なくとも1種及び下記香料成分(d2)から選ばれる化合物の少なくとも1種を含む香料組成物を含有することが好ましい。
【0026】
香料成分(d1):シンナミックアルデヒド、チャビコール、ヘキサナール、ヘリオトロピン、メチルオイゲノール、p−イソプロピルシクロヘキサノール、アセトフェノン、イソオイゲノール、ウンデカナール、エチルカプロエート、オイゲノール、オクタノール、カルバクロール、ゲラニオール、シクラメンアルデヒド、セドロール、ターピニルアセテート、ターピネン、チモール、デカノール、フェニルアセトアルデヒド、ベンジルアセテート、ペリラアルデヒド、メチルサリシレート、リナリルアセテート、リナロール、リモネン、γ−ウンデカラクトン、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、ネロール、ヒノキチオール、シンナミックアルコール、l−カルボン、l−メントール、ターピネオール、ターピネン−4−オール、カンファー、ボルネオール、アニスアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、ノナナール、デカナール、アネトール、アリルイソチオシアネート。
【0027】
香料成分(d2):ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、フェノール性化合物のエチレンオキシド及び/ 又はプロピレンオキシド付加物、芳香族カルボン酸と炭素数1〜5の脂肪族アルコールとのエステル化合物。
【0028】
本発明では香料成分(d1)が生乾き臭抑制効果の向上に作用し、香料成分(d2)が、香料成分(d1)を繊維製品に浸透させ、且つ保留させる効果を有するものと推定される。
【0029】
香料成分(d1)としては、ヘリオトロピン、オイゲノール、カンファー、ゲラニオール、シトロネロール、シトラール、チモール、カルバクロール、リモネンが好ましく、香料成分(d2)としては、ジプロピレングリコールが好ましい。また、香料成分(d1)と(d2)の質量比(d1)/(d2)は、30/70〜90/10が好ましく、40/60〜80/20がより好ましい。
【0030】
本発明に係る水性組成物中の(a)成分の含有量は、0.05〜10質量%であり、0.05〜5質量%が好ましく、0.05〜3質量%がより好ましい。(b)成分の含有量は、0.01〜10質量%であり、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。また、(b)成分は、(a)成分を繊維製品に浸透させる重要な成分であり、(a)成分/(b)成分の質量比は、10/1〜1/10が好ましく、5/1〜1/10がより好ましく、1/1〜1/10が更に好ましい。
【0031】
(c)成分は、繊維製品の乾燥速度を速める効果、及び(a)成分を繊維製品に浸透させる効果を有する重要な成分であり含有することが好ましい。水性組成物中の(c)成分の含有量は、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましい。また、(d)成分も本発明の効果を向上させる重要な成分であり含有することが好ましい。組成物中の(d)成分の含有量は、0.001〜1質量%が好ましく、0.001〜0.8質量%がより好ましく、0.005〜0.5質量%が更に好ましい。さらに(d)成分は疎水性物質であり、本発明に係る水性組成物に均一に溶解、分散、乳化させることが好ましく、その目的から(d)成分/(b)成分を質量比は、1/1〜1/500が好ましく、1/1〜1/100がより好ましく、1/1〜1/50が更に好ましい。
【0032】
本発明の水性組成物は、上記(a)成分、及び(b)成分、所望により(c)成分及び/又は(d)成分を水に溶解、分散、可溶化させた水性組成物であり、用いる水は次亜塩素酸などで滅菌した次亜滅菌水、水中に微量に存在する金属を除いたイオン交換水などを用いることができる。本発明の水性組成物は、水を70〜99.94質量%含有することが好ましい。
【0033】
本発明の水性組成物の25℃におけるpHは生乾き臭発生抑制効果の点から好ましくは7.0〜9.5、より好ましくは7.0〜9.0、特に好ましくは7.0〜8.5である。このようなpHに調整するには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤、塩酸、硫酸、燐酸などの無機酸、クエン酸、エチレンジアミン4酢酸、1−ヒドロキシエチル−1,1−ジホスホン酸などの有機酸を用いることができる。
【0034】
[生乾き臭抑制方法]
本発明の生乾き臭抑制方法は、上述の本発明に係わる水性組成物を洗濯工程の脱水が終了した濡れた状態の繊維製品に接触させる方法である。濡れた状態の繊維製品の好ましい含水率(繊維製品の乾燥総質量に対する含浸している水の割合を百分率で示したもの)は、30〜120質量%であり、好ましくは40〜110質量%、より好ましくは40〜100質量%である。なお、繊維製品の乾燥総質量とは、25℃、65%RHの条件下にて24時間放置した繊維製品の質量と定義する。
【0035】
本発明に係わる水性組成物を濡れた状態の繊維製品に接触させる方法としては、例えば、水性組成物をスプレー噴霧手段を備えた容器に充填して繊維製品にスプレーする方法、スポンジなどの可撓性材料に含浸させた水性組成物を繊維製品にこすり付ける方法などを挙げることができるが、簡便性及び本発明の効果を十分引き出す目的から、水性組成物をスプレー噴霧手段を備えた容器に充填して繊維製品にスプレーする方法が好ましく、トリガー式スプレーヤーを用いて濡れた状態の繊維製品に噴霧する方法がより好ましい。その際、トリガー式スプレーヤーは、噴霧後の水性組成物の液滴の体積平均粒径が、噴射口から噴射方向に10cm離れた地点において10〜200μmであり、200μmを越える液滴が噴霧液滴の総数に対して1体積%以下、10μmに満たない液滴が噴霧液滴の総数に対して1体積%以下になるような噴霧手段を具備するものが好ましい。このような粒子径分布は、例えば、レーザー回折式粒度分布計(日本電子製)により測定することができる。
【0036】
このような噴霧粒径を制御する方法としては、手動式トリガー型スプレーヤーを用いることが好ましく、噴霧口径が1mm以下、好ましくは0.5mm以下の吐出孔を有しているものを用いることで容易に達成することができる。また、吐出孔の形状、材質等は特に限定されるものではない。
【0037】
また、トリガー式スプレーヤーを採用する場合、水性組成物の20℃における粘度を15mPa・s以下、好ましくは1〜10mPa・sに調整することが、目的の噴霧粒径に調整する目的から好ましい。このような粘度調整は、組成物濃度の調整、市販の増粘剤の使用等によって行うことができる。
【0038】
本発明の水性組成物の粘度は、以下のようにして測定されたものである。まず、東京計器社製B型粘度計モデル形式BMに、ローター番号No.1のローターを備え付けたものを準備する。試料をトールビーカーに充填し、20℃の恒温槽内にて20℃に調製する。恒温に調製された試料を粘度計にセットする。ローターの回転数を60rpmに設定し、回転を始めてから60秒後の粘度を本発明の水性組成物の粘度とする。
【0039】
本発明では上記水性組成物を、濡れた繊維製品に接触させるが、濡れた繊維製品0.5m2当りの水性組成物の量は、好ましくは1.0〜30.0g、より好ましくは3.0〜25.0g、特に好ましくは5.0〜20.0gである。
【0040】
接触後は、室内で自然乾燥させてもいわゆる生乾き臭の発生は抑制され、非常にフレッシュですがすがしい感覚を繊維製品に与えることができる。
【実施例】
【0041】
実施例1〜5及び比較例1〜2
下記(a)成分及び(b)成分を用い、表1に示す配合処方の水性組成物を調製した。なお、香料としては、ケイ皮酸エチル5質量部、リナリルアセテート10質量部、リナロール5質量部、リラール5質量部、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド10質量部、パーライド10質量部、シトロネロール5質量部、リモネン20質量部、及びジプロピレングリコール30質量部からなる調合香料((d1)成分/(d2)成分の質量比=50/30)を使用し、得られた組成物は、1規定の塩酸又は1/10規定の水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0(25℃)に調整した。また、実施例1〜5及び比較例1〜2の各組成物の20℃における粘度は2.0〜4.0mPa・sの範囲内である。
【0042】
得られた組成物について、下記方法で生乾き臭抑制効果を評価した。結果を表1に示す。
【0043】
<配合成分>
(a)成分
(a−1):ジデシルジメチルアンモニウムクロリド
(a−2):塩化ベンザルコニウム
(a−3):トリクロサン
(a−4):ポリリジン(チッソ(株)製)
(a−5):ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩(アビシア(株)製、式(2)において、R5が炭素数6のアルキレン基、nが10、HYが塩酸である化合物)
(b)成分
(b−1):ポリオキシエチレン(オキシエチレン基の平均付加モル数=8)ラウリルエーテル
(b−2):アミドプロピルアミンオキシド(ラウリン酸とジメチルアミノプロピルアミンとのアミド化物を過酸化水素により反応させて得たもの)。
【0044】
<生乾き臭抑制効果の評価法>
(1)対象物の調製
着用した木綿肌着を20℃の水道水にて浴比1/20にて3分間押し洗いし、1分間脱水し、乾燥衣類質量に対して70質量%の含水率に調整した後、6cm×6cmに裁断したものを試験片とした。
【0045】
(2)処理方法
上記方法にて得た試験片に、表1に示す配合処方の水性組成物を下記の噴霧器を用いて、試験片に対して質量比で10%になるようにスプレーし、37℃/70%RHにて4時間乾燥させた。
【0046】
噴霧器は、吉野製トリガー式スプレーヤー(噴霧口径0.45mm、吐出量0 .65mL)を具備した300ml容器であり、これらのスプレーパターンは、噴射口から噴射方向に10cm離れた地点において体積平均粒径が80〜90μmであり、且つ200μmを超える液滴が噴霧液滴の総数に対して0.5体積%以下であり、10μmに満たない液滴が噴霧液滴の総数に対して0.5体積%以下であり、各組成物において大きな差はない。
【0047】
(3)生乾き臭抑制効果の評価
30歳代の男性5人及び女性5人の計10人のパネラーに、試験片の臭いを嗅いでもらい、下記の6段階の臭気強度表示法で評価し、その平均値を求めた。評価は2未満が好ましい。
【0048】
0:不快な臭いを全く感じない
1:不快な臭いをわずかに感じる強さ(検知閾値のレベル)
2:不快な臭いを容易に感じる弱い臭い(認知閾値のレベル)
3:不快な臭いを明らかに感じる臭い
4:強い臭い
5:耐えられないほど強い臭い
【0049】
【表1】

【0050】
実施例6,比較例3
(a)成分としてジデシルジメチルアンモニウムクロリド0.1質量%、(b)成分としてポリオキシエチレン(オキシエチレン基の平均付加モル数=8)ラウリルエーテル0.4%、及び水を含有する混合物を攪拌し、1規定の塩酸又は1/10規定の水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0(25℃)に調整し、水性組成物を得た。
【0051】
この水性組成物を、以下の方法1(実施例6)又は方法2(比較例3)により、繊維製品に処理し、実施例1と同様に生乾き臭抑制効果を評価した。
【0052】
方法1:
実施例1と同様にして、乾燥衣類質量に対して70質量%の含水率に調整した試験片を得、この試験片に、水性組成物を上記の噴霧器を用いて、試験片に対して質量比で10%になるようにスプレーし、37℃/70%RHにて4時間乾燥させた。
【0053】
方法2:
実施例1と同様にして乾燥衣類質量に対して70質量%の含水率に調整した試験片を、更に含水率が10質量%になるように37℃/70%RHにて乾燥させた試験片を得、この試験片に、上記の水性組成物を同様にスプレーし、37℃/70%RHにて30分間乾燥させた。
【0054】
上記方法1で処理したものは、生乾き臭抑制効果が高かった(臭いレベル:1.0)が、方法2で処理したものは生乾き臭抑制効果が低かった(臭いレベル:3.0)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)陽イオン性有機抗菌剤、トリクロサン及びジクロロサンから選ばれる少なくとも1種の抗菌剤、(b)非イオン界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤、及び水を含有し、(a)成分の含有量が0.05〜10質量%、(b)成分の含有量が0.01〜10質量%である水性組成物を、洗濯工程の脱水終了後の含水率(繊維製品の乾燥総質量に対する含浸している水の割合)が30〜120質量%である繊維製品に接触させる生乾き臭抑制方法。
【請求項2】
(a)成分が、グアニジン系化合物から選ばれる抗菌剤である請求項1記載の生乾き臭抑制方法。
【請求項3】
(a)成分/(b)成分の質量比が10/1〜1/10である請求項1又は2記載の生乾き臭抑制方法。
【請求項4】
水性組成物を、トリガー式スプレーヤーを用いて噴霧することにより繊維製品に接触させる請求項1〜3いずれかに記載の生乾き臭抑制方法。
【請求項5】
トリガー式スプレーヤーが、噴霧後の水性組成物の液滴の体積平均粒径が、噴射口から噴射方向に10cm離れた地点において10〜200μmであり、200μmを越える液滴が噴霧液滴の総数に対して1体積%以下、10μmに満たない液滴が噴霧液滴の総数に対して1体積%以下になるような噴霧手段を具備するものである請求項4記載の生乾き臭抑制方法。

【公開番号】特開2009−263812(P2009−263812A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115120(P2008−115120)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】