説明

生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットおよび体脂肪測定装置

【課題】一定の荷重で電極が被験者の胴部に対して再現性よく押し当て可能でかつ被験者に苦痛を与えることのない生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットを提供する。
【解決手段】生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aは、腹部背面側ベース部110Aと、腹部前面側ベース部120Aと、一対の腹部前面側ベルト部材143a,143bとを備えている。腹部前面側ベース部120Aは、一対の巻取りユニット130a,130bが設けられたシート部122と、インピーダンス測定用電極128が設けられた電極フィルム126とを含む。巻取りユニット130a,130bのそれぞれには、腹部前面側ベルト部材143a,143bを巻取り可能に収容する巻取り機構が設けられ、装着状態において、腹部前面側ベルト部材143a,143bが引き出され、これが腹部背面側ベース部110Aに接続具を介して接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体インピーダンスを測定するために被験者の胴部に巻き回されて装着される生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットおよび当該生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットを用いて生体インピーダンスを測定することにより被験者の体脂肪量を算出する体脂肪測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被験者の健康状態を知る一つの指標として、体脂肪量が注目されている。特に、内臓脂肪量は、内臓脂肪型肥満であるか否かの判断を行なうための指標として注目されている。この内臓脂肪型肥満は、糖尿病、高血圧症、高脂血症といった動脈硬化を引き起こし易い生活習慣病を誘発すると言われており、これら疾病の予防の観点から上記指標の活用が期待されている。ここで、内臓脂肪とは、腹筋の内側において内臓の周囲に蓄積した脂肪のことであり、腹部の表層に蓄積する皮下脂肪と区別されるものである。なお、内臓脂肪量を示す指標としては、臍位置に対応する部分の腹部断面において内臓脂肪が占める面積(以下、内臓脂肪面積と称する)を採用することが一般的である。
【0003】
通常、内臓脂肪量を測定するためには、X線CT(computed tomography)あるいはMRI(magnetic resonance imaging)を用いて撮影された腹部の断層画像を用いた画像解析法が採用されている。この画像解析法においては、取得した腹部の断層画像から内臓脂肪面積が算出される。しかしながら、このような手法を用いるためには、上記X線CTやMRI等、医療施設に設置される如くの大型の設備が必要であり、日常的に内臓脂肪量を測定することは非常に困難である。また、X線CTを利用した場合には被爆の問題もあり、好ましい測定方法とは必ずしも言えない。
【0004】
これに代わる測定方法として、生体インピーダンス法を応用することが検討されている。生体インピーダンス法は、家庭用の体脂肪測定装置において広く利用されている体脂肪量の測定方法であり、四肢に電極を接触させ、これら電極を用いて生体インピーダンスを測定することにより、測定された生体インピーダンスから体脂肪量を算出するものである。上述の体脂肪測定装置は、全身または四肢、胴部(体幹部)といった身体の部位別の体脂肪の蓄積度合いを正確に測定できるものであり、上述の通り家庭等において広く普及している。
【0005】
しかしながら、従来の体脂肪測定装置は、上述したように全身または四肢、胴部といった身体の部位別の体脂肪の蓄積度合いを測定するためのものであり、内臓脂肪の蓄積度合いや皮下脂肪の蓄積度合いを個別に抽出して正確に測定できるものではない。これは、上述したように、胴部には内臓脂肪のみならず皮下脂肪も含まれるためであり、そのため内臓脂肪量や皮下脂肪量を個別に精度よく測定することは、上述の体脂肪測定装置においては困難であった。
【0006】
そこで、このような問題を解決するために、直接胴部に電極を接触させ、当該電極を用いて生体インピーダンスを測定し、これに基づいて内臓脂肪量や皮下脂肪量を個別に精度よく測定することが検討されている。たとえば、特開2002−369806号公報(特許文献1)には、ベルト部材の内周面上に電極を設け、当該ベルト部材を胴部に巻き回して固定することにより、電極が胴部に対して接触配置されるように構成された体脂肪測定装置が開示されている。この特許文献1に開示の体脂肪測定装置においては、ベルト部材を用いて被験者の胴部に接触配置させた電極を利用して生体インピーダンスを測定することにより、従来においては困難であった高精度の内臓脂肪量や皮下脂肪量の測定を可能にしようとしている。
【特許文献1】特開2002−369806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述の生体インピーダンス法を用いて生体インピーダンスを測定する場合には、被験者の身体の一部に直接電極を接触させて測定を行なうため、電極の体表面に対する押し付け強さを測定の度毎に一定に安定的に保つことが重要になる。しかしながら、被験者の身体の形状や大きさは人によってまちまちであり、これを実現することは容易なことではない。特に、胴部の形状や大きさには個人差が大きく、上述の如くのベルト部材からなる生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットを用いて電極を被験者の胴部に接触配置する場合には、当該電極の胴部に対する押し付け強さを安定的に確保することは非常に困難である。これは、上記特許文献1に開示の体脂肪測定装置においては、ベルト部材の胴部への装着が人手に委ねられているため、ベルト部材の巻き付け強さが装着の度毎に異なるものとなってしまい、その結果、電極の胴部に対する押し付け強さも装着の度毎に異なるものとなってしまうためである。
【0008】
電極の体表面に対する押し付け強さにばらつきが生じた場合には、そのばらつきが電極と体表面との間の接触抵抗のばらつきとなって現れ、測定精度を低下させてしまうという問題がある。したがって、生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットとしては、測定の度毎に被験者の別を問わず常に一定の荷重で安定的に電極が被験者の胴部に押し当て可能となるように構成されていることが非常に重要である。
【0009】
その一方で、電極の胴部に対する押し付け強さを確保するためにベルト部材を被験者の胴部に強く巻き付けることとした場合には、ベルト部材によって被験者の胴部が締め付けられることになり、被験者に苦痛を与えてしまうことになる。特に、胴部(特に胴部のうちの腹部)は、呼吸動作に伴ってその形状が変動する(通常は、吸気動作によって胴部周囲長が増加し、呼気動作によって胴部周囲長が減少する)ため、吸気動作時に被験者に強い圧迫感を与えてしまうおそれがあり、被験者に大きな苦痛を強いることにもなりかねない。
【0010】
また、被験者の胴部に電極を接触させて生体インピーダンスを測定する場合には、測定される生体インピーダンスの値が被験者の呼吸動作に伴って変動することが知られている。その主たる要因としては、呼吸動作に伴って胴部の形状が変化し、これに伴って胴部に接触配置した電極間における体組成に変動が生じることや、上記胴部の形状の変化に伴って電極間距離が変動したり、電極と体表面との間の接触状態が変動して接触抵抗が変化したりすること等が挙げられる。このような呼吸動作に伴う生体インピーダンスの値の変動は、高精度の内臓脂肪量や皮下脂肪量の測定の妨げとなり、何らかの対策を行なうことが必要である。
【0011】
そこで、本発明は、上述の問題を解決すべくなされたものであり、装着状態において一定の荷重で電極が被験者の胴部に対して再現性よく押し当て可能で、かつ被験者に苦痛を与えることのない生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットおよびこれを備えた体脂肪測定装置を提供することを目的とし、また、被験者の呼吸状態を高精度に検出することが可能で、そのため高精度に体脂肪量、特に内臓脂肪量や皮下脂肪量等を測定することができる体脂肪測定装置を提供することを目的とする。さらには、本発明は、装着作業が非常に容易に行なえる生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットおよびこれを備えた体脂肪測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に基づく生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットは、生体インピーダンスを測定するために被験者の胴部に装着されるものであって、第1ベース部と、第2ベース部と、第1連結手段と、第2連結手段と、複数のインピーダンス測定用電極とを備えている。上記第1ベース部は、装着状態において被験者の胴部前面および胴部背面のうちの一方に宛がわれ、上記第2ベース部は、装着状態において被験者の胴部前面および胴部背面のうちの上記一方とは異なる他方に宛がわれる。上記第1連結手段は、装着状態において上記第1ベース部の一端部寄りの部分と上記第2ベース部の一端部寄りの部分とを連結し、上記第2連結手段は、装着状態において上記第1ベース部の他端部寄りの部分と上記第2ベース部の他端部寄りの部分とを連結する。上記複数のインピーダンス測定用電極は、上記第1ベース部および上記第2ベース部のうちの少なくともいずれか一方に設けられ、装着状態において被験者の胴部表面に接触させられる。上記第1連結手段は、第1ベルト部材と、第1付勢手段とを含んでいる。第1ベルト部材は、その一端が上記第1ベース部の上記一端部寄りの部分に取り付けられており、その他端が上記第2ベース部の上記一端部寄りの部分に着脱自在に取り付けられる。上記第1付勢手段は、上記第1ベルト部材を上記第1ベース部の上記一端部寄りの部分に向けて付勢する。上記第2連結手段は、第2ベルト部材と、第2付勢手段とを含んでいる。第2ベルト部材は、その一端が上記第1ベース部の上記他端部寄りの部分に取り付けられており、その他端が上記第2ベース部の上記他端部寄りの部分に着脱自在に取り付けられる。上記第2付勢手段は、上記第2ベルト部材を上記第1ベース部の上記他端部寄りの部分に向けて付勢する。
【0013】
このように構成することにより、装着状態において第1ベルト部材および第2ベルト部材が第1付勢手段および第2付勢手段によって常時引っ張られた状態とすることができる。そのため、この第1付勢手段および第2付勢手段による付勢力に基づいて、生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットによって被験者の胴部がほぼ一定の締め付け強さで締め付けられることになり、被験者の胴部に対して概ね一定の荷重で電極を押し当てることが可能になる。また、上記構成を採用することにより、生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットが第1ベース部と第2ベース部とに分割されて構成され、かつこれら第1ベース部および第2ベース部が一対の第1連結手段と第2連結手段とによって連結される構成であるため、生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットを非常に簡便に被験者の胴部へ装着することができる。さらには、上記構成を採用することにより、付勢手段の付勢力を適切に調節することによって被験者の呼吸動作に追従して生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットの巻き回し長さが変化するようになるため、被験者に過度の圧迫感を与えることがなくなり、被験者に苦痛を与えることのない生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットとすることができる。
【0014】
上記本発明に基づく生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットにあっては、上記第1ベース部および上記第2ベース部のうちの一方が、装着状態において被験者の胴部表面の形状に沿うように変形可能なシート状部材にて構成されていることが好ましく、その場合に、上記インピーダンス測定用電極が、上記シート状部材の被験者の胴部に面する側の主面に設けられていることが望ましい。
【0015】
このように構成することにより、シート状部材を被験者の胴部に接触させることによって容易にインピーダンス測定用電極を被験者の胴部表面に接触配置することが可能になるため、取扱い性に優れた生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットとすることができる。
【0016】
上記本発明に基づく生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットにあっては、上記第1ベース部および上記第2ベース部のうちの一方が、装着状態において被験者の胴部表面の形状に沿うように変形可能な第1のシート状部材と、上記第1のシート状部材とは別部品からなり、装着状態において被験者の胴部と上記第1のシート状部材との間に介在されることによって胴部表面の形状に沿うように変形可能な第2のシート状部材とによって構成されていることが好ましく、その場合に、上記インピーダンス測定用電極が、上記第2のシート状部材の被験者の胴部に面する側の主面に設けられていることが望ましい。
【0017】
このように構成することにより、第2のシート状部材を被験者の胴部に接触させ、当該第2のシート状部材の上から第1のシート状部材を取り付けることにより、容易にインピーダンス測定用電極を被験者の胴部表面に接触配置することが可能になる。したがって、取扱い性に優れた生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットとすることができる。なお、このように構成すれば、インピーダンス測定用電極を含む第2のシート状部材をディスポーザブルタイプの生体電極シートとして利用できるため、衛生面において優れたものとすることができる。
【0018】
上記本発明に基づく生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットにあっては、上記第1ベース部および上記第2ベース部のうち、装着状態において被験者の胴部前面に宛がわれる方のベース部が、被験者の臍位置に位置合わせするための目印を有していることが好ましい。
【0019】
このように構成することにより、インピーダンス測定用電極を被験者の胴部表面に正確に位置決めして装着することが可能になる。
【0020】
上記本発明に基づく生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットにあっては、上記第1ベース部が、上記第1連結手段が取り付けられる上記一端部寄りの部分と上記第2連結手段が取り付けられる上記他端部寄りの部分との間の間隔を任意の距離に調節可能とする間隔調節機構を含んでいることが好ましい。
【0021】
このように構成することにより、被験者の胴部横幅に応じて間隔調節機構を用いて第1連結手段が取り付けられる第1ベース部の一端部寄りの部分と第2連結手段が取り付けられる第1ベース部の他端部寄りの部分との間の間隔を調節することが可能になるため、より確実に生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットを被験者の胴部に隙間なくフィットさせることが可能になる。
【0022】
上記本発明に基づく生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットにあっては、上記第1ベース部が、上記第1ベルト部材を巻き取り可能に収納する第1巻き取り手段と、上記第2ベルト部材を巻き取り可能に収納する第2巻き取り手段とを含んでいることが好ましく、その場合に、上記第1付勢手段が上記第1巻き取り手段に設けられており、かつ上記第2付勢手段が上記第2巻き取り手段に設けられていることが望ましい。
【0023】
このように構成することにより、付勢手段が設けられてなる巻取り手段を用いてベルト部材を巻取りおよび引き出し可能に構成することにより、取扱い性に優れた生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットとすることができる。
【0024】
本発明に基づく体脂肪測定装置は、上述のいずれかの生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットと、上記複数のインピーダンス測定用電極を用いて被験者の生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、上記インピーダンス測定部によって測定された生体インピーダンスに基づいて被験者の体脂肪量を算出する体脂肪量算出部とを備える。
【0025】
このように構成することにより、装着状態においてほぼ一定の荷重で電極が被験者の胴部に対して再現性よく押し当て可能で、かつ被験者に苦痛を与えることのない生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットを備えた体脂肪測定装置とすることができる。したがって、高精度に体脂肪量を算出することができる体脂肪測定装置とすることができる。
【0026】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置において、生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットの上記第1ベース部が上記第1巻き取り手段および上記第2巻き取り手段を含んでいる場合には、当該体脂肪測定装置が、上記第1ベルト部材の上記第1巻き取り手段からの引き出し量および上記第2ベルト部材の上記第2巻き取り手段からの引き出し量を検出することによって被験者の胴部周囲長を計測する胴部周囲長計測部と、上記インピーダンス測定部によって測定された生体インピーダンスおよび上記胴部周囲長計測部によって計測された被験者の胴部周囲長に基づいて被験者の体脂肪量を算出する体脂肪量算出部とをさらに備えていることが好ましい。
【0027】
このように構成することにより、生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットを装着することによって容易に被験者の胴部周囲長を自動計測することが可能になり、得られた胴部周囲長を利用して体脂肪量を算出することにより高精度に体脂肪測定が行なえるようになる。
【0028】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置においては、当該体脂肪測定装置が、上記生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットを被験者の胴部に装着させた状態において、上記胴部周囲長計測部によって検出される被験者の胴部周囲長の変動を計測し、計測された被験者の胴部周囲長の変動に基づいて被験者の呼吸状態を検出する呼吸状態検出部をさらに備えていることが好ましく、その場合に、上記体脂肪量算出部が、上記インピーダンス測定部によって測定された生体インピーダンス、上記胴部周囲長計測部によって計測された被験者の胴部周囲長および上記呼吸状態検出部によって検出された呼吸状態の情報に基づいて被験者の体脂肪量を算出することが望ましい。
【0029】
このように構成することにより、測定時において生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットの巻き回し長さの変動を検出するという簡便な構成にて被験者の呼吸状態を高精度に検出することが可能になる。このような検出方法を用いれば、呼吸動作に伴う被験者の胴部周囲長の変化を高精度に捉えることができるため、高精度に体脂肪量を算出することが可能な体脂肪測定装置とすることができる。
【0030】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置においては、上記体脂肪量算出部が、上記インピーダンス測定部によって測定された生体インピーダンスの時系列データから、上記呼吸状態検出部によって検出された呼気動作から吸気動作への移行のタイミングにおいて測定された生体インピーダンスを抽出し、抽出した生体インピーダンスから被験者の体脂肪量を算出することが好ましい。
【0031】
このように構成することにより、呼吸動作に伴って生じる生体インピーダンスの変動の影響を除外して生体インピーダンスを測定することができるため、高精度に体脂肪量を算出することが可能になる。
【0032】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置においては、上記体脂肪量算出部が、被験者の内臓脂肪量を算出する内臓脂肪量算出部を含んでいることが好ましい。
【0033】
内臓脂肪量を高精度に測定するためには、被験者の胴部に電極を接触配置して生体インピーダンスの測定を行なうことが必須になるため、このような構成の体脂肪測定装置とすることにより、特に高精度に内臓脂肪量を算出することが可能になる。
【0034】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置においては、上記体脂肪量算出部が、被験者の腹部における皮下脂肪量を算出する皮下脂肪量算出部を含んでいることが好ましい。
【0035】
腹部における皮下脂肪量を高精度に測定するためには、被験者の胴部に電極を接触配置して生体インピーダンスの測定を行なうことが必須になるため、このような構成の体脂肪測定装置とすることにより、特に高精度に腹部における皮下脂肪量を算出することが可能になる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、装着状態において一定の荷重で電極が被験者の胴部に対して再現性よく押し当て可能で、かつ被験者に苦痛を与えることのない生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットおよびこれを備えた体脂肪測定装置とすることができ、また、被験者の呼吸状態を高精度に検出することが可能で、そのため高精度に体脂肪量、特に内臓脂肪量や皮下脂肪量等を測定することができる体脂肪測定装置とすることができる。さらには、本発明によれば、装着作業が非常に容易に行なえる生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットおよびこれを備えた体脂肪測定装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す各実施の形態においては、本発明が適用された生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットおよびこれを備えた体脂肪測定装置として、被験者の胴部のうちの腹部に装着されることが企図された生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットおよびこれを備えた体脂肪測定装置を例示して説明を行なう。また、以下に示す各実施の形態における体脂肪測定装置は、特に内臓脂肪量および皮下脂肪量を個別に測定することが可能に構成されたものであるが、これら内臓脂肪量および皮下脂肪量の測定のみならず、全身の脂肪量(総脂肪量)や身体の特定の部位別の脂肪量(上肢、下肢それぞれの脂肪量や胴部の脂肪量等)の測定をも可能に構成されたものである。
【0038】
まず、本発明の各実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットおよびこれを備えた体脂肪測定装置について説明するに先立ち、身体の部位を表す各種用語の定義を行なう。「胴部」とは、身体の頭部、頸部および四肢を除く部分であり、胸部と腹部とを含むいわゆる体幹部に相当する部分である。「胴部」は、その表面として胴部前面と胴部背面とを有しており、「胴部前面」は、被験者の胴部の表面のうち、被験者を正面側から観察した場合に視認可能な部分の体表面を言い、「胴部背面」は、被験者を背面側から観察した場合に視認可能な部分の体表面を言う。また、「腹部」とは、胴部を頸部側に位置する部分(すなわち胸部)と下肢側に位置する部分とに分けたうちの下肢側に位置する部分であり、その表面は腹部前面と腹部背面とを含む。「腹部前面」とは、被験者の腹部の表面のうち、被験者を正面側から観察した場合に視認可能な部分の体表面を言い、「腹部背面」とは、被験者の腹部の表面のうち、被験者を背面側から観察した場合に視認可能な部分の体表面を言う。「腹部より離れた部位」とは、上腕、前腕、手首および手指からなる上肢と、横隔膜が位置する部分より所定の距離(たとえば略10cm)以上離れた胸部と、頸部および頭部と、大腿、下腿、足首および足指からなる下肢とを含む。また、「体軸」とは、被験者の腹部の横断面に対し略垂直方向に延びる軸を言う。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の機能ブロックを示す図である。まず、この図1を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置1Aの機能ブロックの構成について説明する。
【0040】
図1に示すように、本実施の形態における体脂肪測定装置1Aは、制御部10と、定電流生成部21と、端子切替部22と、電位差検出部23と、体格情報計測部24と、被験者情報入力部25と、表示部26と、操作部27と、電源部28と、メモリ部29と、身体に装着される複数のインピーダンス測定用電極A11,A12,A21,A22,H11,H12,H21,H22,F11,F12,F21,F22とを主として備えている。制御部10は、演算処理部11を含んでいる。演算処理部11は、インピーダンス測定部12と、体脂肪量算出部13とを有している。
【0041】
制御部10は、たとえばCPU(central processor unit)によって構成され、体脂肪測定装置1Aの全体的な制御を行なう。具体的には、制御部10は、上述した各種機能ブロックに対して指令を送出したり、得られた情報に基づいて各種の演算処理を行なったりする。このうち各種の演算処理については、上述の制御部10に設けられた演算処理部11によって行なわれる。
【0042】
上記複数のインピーダンス測定用電極は、被験者の腹部に装着される腹部電極A11,A12,A21,A22と、被験者の上肢に装着される上肢電極H11,H12,H21,H22と、被験者の下肢に装着される下肢電極F11,F12,F21,F22とを含んでいる。
【0043】
腹部電極A11,A12,A21,A22は、被験者の腹部に巻き回されて装着される生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aに設けられ、当該生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aを被験者の腹部に装着することにより、それぞれの電極が体軸方向に沿って整列した状態で被験者の腹部表面に装着される。ここで、腹部電極A11,A12,A21,A22は、被験者の腹部前面に装着されてもよいし、被験者の腹部背面に装着されてもよい。また、上記4つの腹部電極A11,A12,A21,A22を1組とする腹部電極群が複数組、腹部に装着される構成としてもよい。その場合には、すべての組の腹部電極群が腹部前面あるいは腹部背面のいずれか一方にのみ装着されるように構成してもよいし、一部の組の腹部電極群が腹部前面に、残りの組の腹部電極群が腹部背面に装着されるように構成してもよい。
【0044】
上肢電極H11,H12,H21,H22は、被験者の腹部から離れた部位に相当する上肢のいずれかの部位に装着されるものであり、好適には右手の手首の表面と左手の手首の表面とにそれぞれ一対ずつ装着される。下肢電極F11,F12,F21,F22は、被験者の腹部から離れた部位に相当する下肢のいずれかの部位に装着されるものであり、好適には右足の足首の表面と左足の足首の表面とにそれぞれ一対ずつ装着される。上記した腹部電極A11,A12,A21,A22、上肢電極H11,H12,H21,H22、および下肢電極F11,F12,F21,F22は、それぞれ端子切替部22に電気的に接続されている。
【0045】
端子切替部22は、たとえばリレー回路によって構成され、制御部10から入力される指令に基づき、上述した複数のインピーダンス測定用電極のうちから選択した特定の電極と定電流生成部21とを電気的に接続するとともに、上述した複数のインピーダンス測定用電極のうちから選択した特定の電極と電位差検出部23とを電気的に接続する。これにより、端子切替部22によって定電流生成部21に電気的に接続された電極が定電流印加電極として機能するようになり、また端子切替部22によって電位差検出部23に電気的に接続された電極が電位差検出電極として機能するようになる。上記端子切替部22による電気的な接続は、測定動作中において種々切替えられる。なお、通常、定電流印加電極と電位差検出電極とは、それぞれ一対の電極によって構成されるが、ここで言う一対の電極のそれぞれには、単数の電極または複数の電極の両者が含まれる。すなわち、別個独立して設けられた電極であっても電気的に等価に扱うことにより、一対の電極のそれぞれを構成する場合がある。
【0046】
定電流生成部21は、制御部10から入力される指令に基づいて定電流を生成し、生成した定電流を端子切替部22を介して上述の定電流印加電極に供給する。定電流生成部21において生成される定電流としては、体組成情報を測定するために好適に使用される高周波電流(たとえば、50kHz,500μA)が選択される。これにより、定電流印加電極を介して定電流が被験者に印加されることになる。
【0047】
電位差検出部23は、端子切替部22によって電位差検出部23に電気的に接続された電極(すなわち電位差検出電極)間における電位差を検出し、検出した電位差を制御部10に対して出力する。これにより、上述した定電流が被験者に印加された状態における電位差検出電極間の電位差が検出されることになる。
【0048】
体格情報計測部24および被験者情報入力部25は、演算処理部11に含まれる体脂肪量算出部13において行なわれる演算処理に利用される被験者情報を得るための部位である。ここで、「被験者情報」とは、被験者に関する情報を意味し、たとえば年齢や性別あるいは体格情報等の情報のうちの少なくとも1つを含む。また、「体格情報」とは、被験者の身体の特定の部位におけるサイズに関する情報(たとえば、胴部周囲長(ウエスト長)や腹部横幅、腹部厚み、身長等のうちの少なくとも1つを含む情報)や体重等の情報を含む。体格情報計測部24は、被験者の体格情報を自動計測する部位であり、検出された体格情報を制御部10に対して出力する。一方、被験者情報入力部25は、被験者情報を入力するための部位であり、入力された被験者情報を制御部10に対して出力する。
【0049】
なお、図1に示される機能ブロック図においては、体格情報計測部24および被験者情報入力部25の両方が体脂肪測定装置1Aに設けられた場合を例示しているが、これら体格情報計測部24および被験者情報入力部25は、いずれも必須の構成となるものではない。体格情報計測部24および/または被験者情報入力部25を設けるか否かについては、制御部10の演算処理部11において行なわれる演算処理に利用される被験者情報の種類に基づいて適宜選択される。また、上述の被験者情報のうち、体格情報については、体格情報計測部24を用いて自動計測し、その計測データを利用するように構成してもよいし、体格情報計測部24を設けずに被験者情報入力部25において被験者自らが情報を入力し、当該入力データを利用する構成としてもよい。
【0050】
演算処理部11は、上述したようにインピーダンス測定部12と、体脂肪量算出部13とを含んでいる。インピーダンス測定部12は、上述した定電流生成部21によって生成された定電流の電流値と、上述した電位差検出部23において検出されて制御部10に入力された電位差情報とに基づいて各種の生体インピーダンスを算出する。体脂肪量算出部13は、上記インピーダンス測定部12において得られた生体インピーダンスと、体格情報計測部24および/または被験者情報入力部25から入力された被験者情報とに基づいて体脂肪量を算出する。体脂肪量算出部13は、たとえば被験者の全身の体脂肪量を算出する総脂肪量算出部14、被験者の身体の特定の部位別の脂肪量を算出する部位別脂肪量算出部15、被験者の内臓脂肪量を算出する内臓脂肪量算出部16および被験者の腹部における皮下脂肪量を算出する皮下脂肪量算出部17の少なくとも1つを含む。
【0051】
表示部26は、上述の体脂肪量算出部13において算出された各種の体脂肪量の情報を表示する。表示部26としては、たとえばLCD(liquid crystal display)が利用可能である。なお、表示部26において表示される脂肪量としては、たとえば被験者の全身の脂肪量である総脂肪量や被験者の身体の特定の部位別の脂肪量である部位別脂肪量、内臓脂肪量、腹部における皮下脂肪量等が挙げられる。ここで、「脂肪量」とは、たとえば脂肪重量、脂肪面積、脂肪体積、脂肪レベル等に代表される脂肪の量を指し示す指標を意味する。特に「内臓脂肪量」は、内臓脂肪重量、内臓脂肪面積、内臓脂肪体積および内臓脂肪レベルの少なくともいずれかで表現される指標を意味し、「皮下脂肪量」は皮下脂肪重量、皮下脂肪面積、皮下脂肪体積および皮下脂肪レベルの少なくともいずれかで表現される指標を意味する。
【0052】
操作部27は、体脂肪測定装置1Aに対して被験者が命令を入力するための部位であり、たとえば被験者が押下可能なキー等によって構成される。
【0053】
電源部28は、制御部10に電力を供給するための部位であり、バッテリ等の内部電源や商用電源等の外部電源等が含まれる。
【0054】
メモリ部29は、体脂肪測定装置1Aに関する各種のデータやプログラムを記憶するための部位であり、たとえば上述した被験者情報や算出された各種の体脂肪量、後述する体脂肪測定処理を実行するための体脂肪測定プログラム等を記憶している。
【0055】
次に、本実施の形態における体脂肪測定装置1Aにおいて行なわれる演算処理の一例について説明する。上述したように、本実施の形態における体脂肪測定装置1Aにおいては、体脂肪量算出部13において各種の体脂肪量が測定可能であるが、以下においては、内臓脂肪量を示す指標としての内臓脂肪面積、皮下脂肪量を示す指標としての皮下脂肪面積および体脂肪量と体重との関係を示す指標としての体脂肪率のそれぞれの算出の際に実施される演算処理を特に例示して説明を行なう。
【0056】
図1を参照して、インピーダンス測定部12は、定電流生成部21において生成される定電流の電流値と、電位差検出部23において検出される電位差とに基づいて、2種類の生体インピーダンスを算出する。2種類の生体インピーダンスの一方は、被験者の腹部における除脂肪量を反映する生体インピーダンスZtである。他方の生体インピーダンスは、被験者の腹部における皮下脂肪量を反映する生体インピーダンスZsである。
【0057】
内臓脂肪量算出部16は、算出された2種類の生体インピーダンスZt,Zsと、被験者の体格情報の1つである胴部周囲長Wとに基づいて、被験者の内臓脂肪面積Sv(単位:cm2)を算出する。具体的には、たとえば、2種類の生体インピーダンスZt,Zsおよび被験者の胴部周囲長Wと内臓脂肪面積Svとの関係を表わす以下のような式(1)によって、内臓脂肪面積Svが算出される。
【0058】
Sv=a×W2−b×(1/Zt)−c×W×Zs−d …(1)
(ただし、a,b,c,d:係数)
また、皮下脂肪量算出部17は、算出された生体インピーダンスZsと、被験者の体格情報の1つである胴部周囲長Wとに基づいて、被験者の皮下脂肪面積Ss(単位:cm2)を算出する。具体的には、たとえば、生体インピーダンスZsおよび被験者の胴部周囲長Wと皮下脂肪面積Ssとの関係を表わす以下のような式(2)によって、皮下脂肪面積Ssが算出される。
【0059】
Ss=e×W×Zs+f …(2)
(ただし、e,f:係数)
なお、上述した内臓脂肪面積Svの算出や皮下脂肪面積Ssの算出とは直接関係しないが、被験者の除脂肪量を算出する場合には、総脂肪量算出部14は、算出された生体インピーダンスZtと、被験者の体格情報の1つである身長Hとに基づいて、除脂肪量FFM(単位:kg)を算出する。具体的には、たとえば、生体インピーダンスZtおよび被験者の身長Hと除脂肪量FFMとの関係を表わす以下のような式(3)によって、除脂肪量FFMが算出される。
【0060】
FFM=i×H2/Zt+j …(3)
(ただし、i,j:係数)
上記のような式(1),(2),(3)の各々における係数は、たとえばMRIによる測定結果に基づく回帰式により定められる。また、式(1),(2),(3)の各々における係数は、年齢および/または性別ごとに定められてもよい。
【0061】
また、被験者の全身の体脂肪量を算出する場合には、総脂肪量算出部14は、算出された除脂肪量FFMと、体格情報である体重Wtとに基づいて、被験者の体脂肪量、たとえば体脂肪率(%)を算出する。具体的には、たとえば、体脂肪率は、除脂肪量FFMと被験者の体重Wtとに基づいて、以下のような式(4)により算出される。
【0062】
体脂肪率=(Wt−FFM)/Wt×100 …(4)
また、具体的な説明は省略するが、身体の部位別の体脂肪量についても、電流印加電極および電位差検出電極を種々切替えて得られた生体インピーダンスと、被験者の体格情報とに基づいて、その算出が可能である。
【0063】
図2は、本実施の形態における体脂肪測定装置を用いて内臓脂肪面積、皮下脂肪面積および体脂肪率を測定する際の体脂肪測定装置の動作手順を定めたフローチャートである。次に、この図2を参照して、体脂肪測定装置1Aを用いて内臓脂肪面積、皮下脂肪面積および体脂肪率を測定する際の体脂肪測定装置1Aの動作について説明する。
【0064】
図2のフローチャートに示す処理は、予めプログラムとしてメモリ部29に格納されており、演算処理部11を含む制御部10がこのプログラムを読み出して実行することにより、内臓脂肪面積測定処理、皮下脂肪面積測定処理および体脂肪率測定処理の機能が実現される。なお、以下に示す動作手順は、図1に示す体脂肪測定装置において、図示される4つの腹部電極A11,A12,A21,A22を1組とする腹部電極群を互いに平行に4組配置した構成とした場合の動作手順である。
【0065】
図2を参照して、制御部10は、体格情報としての胴部周囲長Wや身長H、体重Wt等を含む被験者情報の入力を受け付ける(ステップS1)。ここで受け付けた被験者情報は、たとえばメモリ部29に一時的に保存される。なお、体格情報計測部24を用いて被験者情報のうちの特定の体格情報を自動計測する構成を採用した場合には、体格情報計測部24にて計測された体格情報が制御部10に対して入力される。
【0066】
次に、制御部10は、測定開始の指示があったか否かを判断する(ステップS2)。制御部10は、測定開始の指示があるまで待機する(ステップS2においてNO)。制御部10は、測定開始の指示を検知した場合に(ステップS2においてYES)、電極の設定を行なう(ステップS3)。
【0067】
ここで、ステップS3において、制御部10は、たとえば一対の上肢電極H11,下肢電極F11および一対の上肢電極H21,下肢電極F21をそれぞれ電流印加電極対として選択し、4組ある腹部電極群のうちの1の腹部電極群に含まれる一対の腹部電極A11,A21を電位差検出電極対として選択する。端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、一対の上肢電極H11,下肢電極F11および一対の上肢電極H21,下肢電極F21を定電流生成部21と電気的に接続し、かつ一対の腹部電極A11,A21を電位差検出部23と電気的に接続する。ここで、端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、選択されていない電極と定電流生成部21および電位差検出部23との電気的な接続を切断する。
【0068】
定電流生成部21は、制御部10の制御に基づいて、上肢と下肢との間に定電流を流す。たとえば、定電流生成部21は、上肢電極H11および上肢電極H21から下肢電極F11および下肢電極F21へ定電流を流す(ステップS4)。この場合、端子切替部22は、上肢電極H11と上肢電極H21とを短絡し、かつ下肢電極F11と下肢電極F21とを短絡させる構成であることが好ましい。なお、定電流生成部21および端子切替部22は、上肢電極H11,H21のいずれか1つから下肢電極F11,F21のいずれか1つへ定電流を流す構成であってもよい。
【0069】
この状態において、電位差検出部23は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極A11,A21間の電位差を検出する(ステップS5)。
【0070】
次に、制御部10は、予め定めたすべての電極対の組み合わせに対して電位差の検出が終了したか否かを判断する(ステップS6)。制御部10は、予め定めたすべての電極対の組み合わせに対して電位差の検出が終了していないと判断した場合に(ステップS6においてNO)、上述のステップS3へと移行する。制御部10は、予め定めたすべての電極対の組み合わせに対して電位差の検出が終了したと判断した場合に(ステップS6においてYES)、後述するステップS7へと移行する。
【0071】
このようにして、制御部10は、他の腹部電極群に含まれる腹部電極A11,A21を順番に電位差検出電極対として選択していく。すなわち、端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、他の腹部電極群に含まれる腹部電極A11,A21を順番に電位差検出部23と電気的に接続する(ステップS3)。そして、電位差検出部23は、制御部10の制御に基づいて、他の腹部電極群に含まれる腹部電極A11,A21間の電位差を各々順番に検出する(ステップS5)。
【0072】
インピーダンス測定部12は、すべての腹部電極群に含まれる腹部電極A11,A21の組み合わせに対する電位差の検出が終了した後に(ステップS6においてYES)、定電流生成部21が生成し身体に流した定電流の電流値と、電位差検出部23が検出した各電位差とに基づいて、生体インピーダンスZt1〜Zt4を算出する(ステップS7)。インピーダンス測定部12が算出した生体インピーダンスZt1〜Zt4の値は、たとえばメモリ部29に一時的に保存される。
【0073】
次に、制御部10は、改めて電極の設定を行なう(ステップS8)。より具体的には、制御部10は、4組ある腹部電極群のうちの1つの腹部電極群に含まれる一対の腹部電極A11,A21を電流印加電極対として選択し、当該腹部電極群に含まれる一対の腹部電極A12,A22を電位差検出電極対として選択する。端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、一対の腹部電極A11,A21を定電流生成部21と電気的に接続し、かつ一対の腹部電極A12,A22を電位差検出部23と電気的に接続する。ここで、端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、選択されていない腹部電極、上肢電極および下肢電極と、定電流生成部21および電位差検出部23との電気的な接続を切断する。
【0074】
定電流生成部21は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極A11,A21間に定電流を流す(ステップS9)。
【0075】
この状態において、電位差検出部23は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極A12,A22間の電位差を検出する(ステップS10)。
【0076】
次に、制御部10は、予め定めたすべての電極対の組み合わせに対して電位差の検出が終了したか否かを判断する(ステップS11)。制御部10は、予め定めたすべての電極対の組み合わせに対して電位差の検出が終了していないと判断した場合に(ステップS11においてNO)、上述のステップS8へと移行する。制御部10は、予め定めたすべての電極対の組み合わせに対して電位差の検出が終了したと判断した場合に(ステップS11においてYES)、後述するステップS12へと移行する。
【0077】
このようにして、制御部10は、他の腹部電極群に含まれる腹部電極A11,A21を電流印加電極として選択するとともに、当該腹部電極群に含まれる腹部電極A12,A22を順番に電位差検出電極対として選択していく。すなわち、端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、他の腹部電極群に含まれる腹部電極A11,A21を順番に定電流生成部21と電気的に接続するとともに、当該腹部電極群に含まれる腹部電極A12,A22を順番に電位差検出部23と電気的に接続する(ステップS8)。そして、電位差検出部23は、制御部10の制御に基づいて、他の腹部電極群に含まれる腹部電極A11,A21間に定電流を流し(ステップS9)、当該腹部電極群に含まれる腹部電極A12,A22間の電位差を各々順番に検出する(ステップS10)。
【0078】
インピーダンス測定部12は、すべての腹部電極群に含まれる電極対の組み合わせに対する電流の印加および電位差の検出が終了した後に(ステップS11においてYES)、定電流生成部21が生成し身体に流した定電流の電流値と、電位差検出部23が検出した各電位差とに基づいて、生体インピーダンスZs1〜Zs4を算出する(ステップS12)。インピーダンス測定部12が算出した生体インピーダンスZs1〜Zs4の値は、たとえばメモリ部29に一時的に保存される。
【0079】
次に、内臓脂肪量算出部16は、ステップS1で制御部10が受け付けた体格情報のうちの胴部周囲長Wと、算出された生体インピーダンスZt1〜Zt4および生体インピーダンスZs1〜Zs4とに基づいて、内臓脂肪面積Svを算出する(ステップS13)。内臓脂肪面積Svは、上述の式(1)により算出される。なお、上述のように4つの腹部電極A11,A12,A21,A22を1組とする腹部電極群を互いに平行に4組配置した構成とした場合には、たとえば、4つの生体インピーダンスZt1〜Zt4の平均値および4つの生体インピーダンスZs1〜Zs4の平均値が、それぞれ式(1)に代入される。
【0080】
次に、皮下脂肪量算出部17は、ステップS1で制御部10が受け付けた体格情報のうちの胴部周囲長Wと、算出された生体インピーダンスZs1〜Zs4とに基づいて、皮下脂肪面積Ssを算出する(ステップS14)。皮下脂肪面積Ssは、上述の式(2)により算出される。なお、上述のように4つの腹部電極A11,A12,A21,A22を1組とする腹部電極群を互いに平行に4組配置した構成とした場合には、たとえば、4個の生体インピーダンスZs1〜Zs4の平均値が、式(2)における生体インピーダンスZsに代入される。
【0081】
次に、総脂肪量算出部14は、ステップS1において制御部10が受け付けた体格情報のうちの身長Hと、算出された生体インピーダンスZtとに基づいて、除脂肪量FFMを算出する(ステップS15)。除脂肪量FFMは、上述の式(3)により算出される。
【0082】
また、総脂肪量算出部14は、ステップS1で制御部10が受け付けた体格情報のうちの体重Wtと、ステップS15で総脂肪量算出部14が算出した除脂肪量FFMとに基づいて、体脂肪率を算出する(ステップS16)。体脂肪率は、上述の式(4)により算出される。
【0083】
そして、表示部26は、制御部10の制御に基づいて、各測定結果を表示する(ステップS17)。
【0084】
以上で体脂肪測定装置1Aは、内臓脂肪面積測定処理、皮下脂肪面積測定処理および体脂肪率測定処理を含む体脂肪量測定処理を終了する。なお、生体インピーダンスZt1〜Zt4の典型的な値は、それぞれ約5Ω程度である。また、生体インピーダンスZs1〜Zs4の典型的な値は、それぞれ約80Ω程度である。
【0085】
図3は、本実施の形態における体脂肪測定装置の外観構造を示す概略斜視図である。次に、この図3を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置1Aの外観構造について説明する。なお、以下に示す体脂肪測定装置1Aは、図1に示す体脂肪測定装置において図示される4つの腹部電極A11、A12、A21、A22を1組とする腹部電極群が互いに平行に4組配置されてなるものである。
【0086】
図3に示すように、本実施の形態における体脂肪測定装置1Aは、装置本体101と、生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aと、一対の生体インピーダンス測定用上肢装着ユニット(不図示)と、一対の生体インピーダンス測定用下肢装着ユニット(不図示)とを主として備えている。
【0087】
装置本体101は、たとえば箱状の外形を有しており、上述した制御部10、定電流生成部21、端子切替部22、電位差検出部23、被験者情報入力部25、表示部26、操作部27およびメモリ部29等を有している。装置本体101は、後述する取付具200の端部に設けられている。
【0088】
生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aは、被験者がベッド(不図示)上において仰臥姿勢をとった状態で装着されることが企図されたものである。生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aは、第1ベース部としての腹部前面側ベース部120Aと、第2ベース部としての腹部背面側ベース部110Aとを含んでいる。腹部背面側ベース部110Aは、装着状態において被験者の腹部300のうちの腹部背面に宛がわれる。腹部前面側ベース部120Aは、装着状態において被験者の腹部300のうちの腹部前面に宛がわれる。より具体的には、腹部背面側ベース部110Aは、予めベッドに取付具200によって取り付けられており、被験者がベッド面上に仰臥位にて寝転んだ状態において被験者の腹部背面に宛がわれる。一方、腹部前面側ベース部120Aは、被験者ベッド面上において仰臥位にて寝転んだ状態において被験者の腹部前面に載置されることによって被験者の腹部前面に宛がわれる。腹部前面側ベース部120Aは、第1のシート状部材としてシート部122と、第2のシート状部材としての電極フィルム126とを有している。このように腹部前面側ベース部120Aをシート部122と電極フィルム126とに分割することにより、電極フィルム126を使用の度毎に交換することによってディポーザブルタイプの生体電極として利用することができ、衛生面において優れたものとすることができる。
【0089】
一対の生体インピーダンス測定用上肢装着ユニットおよび一対の生体インピーダンス測定用下肢装着ユニットのそれぞれは、たとえば被験者の上肢または下肢を挟持可能なクリップ状の部材にて構成されている。一対の生体インピーダンス測定用上肢装着ユニットは、被験者の上肢の表面に接触配置可能な上肢電極(上述の上肢電極H11,H12,H21,H22)を有しており、好適には被験者の手首に装着される。一対の生体インピーダンス測定用下肢装着ユニットは、被験者の下肢の表面に接触配置可能な下肢電極(上述の下肢電極F11,F12,F21,F22)を有しており、好適には被験者の足首に装着される。
【0090】
図4(A)は、図3に示す生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部背面側ベース部の上面図であり、図4(B)は、当該腹部背面側ベース部の側面図である。また、図5(A)は、図3に示す生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部前面側ベース部の上面図であり、図5(B)は、当該腹部前面側ベース部の電極フィルムを除く部分の側面図である。また、図6(A)は、上記腹部前面側ベース部の電極フィルムの下面図であり、図6(B)は、当該電極フィルムの側面図である。以下においては、これらの図および上述の図3を参照して、本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aの外観構造についてより詳細に説明する。
【0091】
図3、図4(A)および図4(B)に示すように、腹部背面側ベース部110Aは、装着状態において被験者の胴回り方向に対応する方向を長手方向とする略矩形状の外形を有している。腹部背面側ベース部110Aは、板状の支持基部112と、この支持基部112から上方に向かって突出して設けれた突出部113と、突出部113に設けられた一対の腹部背面側ベルト部材141a,141bとを主として有している。支持基部112は、その下面が取付具200に固定されており、その長手方向に一端部112aと他端部112bを有している。突出部113は、その上面114によって被験者の腹部背面が受け入れ可能となるように構成されている。一対の腹部背面側ベルト部材141a,141bは、突出部113の、支持基部112の長手方向の一端部112aおよび他端部112bに面する側の両端部に設けられている。一対の腹部背面側ベルト部材141a,141bの、突出部113に接続された側の端部とは反対側の端部には、接続具142a,142bがそれぞれ取り付けられている。接続具142a,142bのそれぞれの所定位置には、係止突起142a1,142b1がそれぞれ設けられている。
【0092】
図3、図5(A)および図5(B)に示すように、腹部前面側ベース部120Aのシート部122は、装着状態において被験者の胴回り方向に対応する方向を長手方向とする略矩形状の外形を有している。シート部122は、被験者の腹部300の腹部前面に宛がわれた場合に、被験者の腹部前面の形状に沿って変形して当該腹部前面にフィットするような柔軟な材料にて形成されている。シート部122の略中央部には、装着の際に被験者の臍部301と位置合わせするための目印としての位置決め用貫通穴123が設けられている。
【0093】
シート部122の上面には、一対の巻取りユニット130a,130bが配置されている。一対の巻取りユニット130a,130bは、シート部122の長手方向に並んで配置されており、一方の巻取りユニット130aがシート部122の長手方向の一端部122a寄りの部分に設けられ、他方の巻取りユニット130bがシート部122の長手方向の他端部122b寄りの部分に設けられている。巻取りユニット130a,130bのそれぞれは、その上面に把手部131a,131bを有するとともに、その内部に後述する巻取り手段としての巻取り機構を有している。
【0094】
巻取りユニット130a,130bの、シート部122の長手方向の一端部122aおよび他端部122bに面する部分の側面にはそれぞれ開口部が設けられており、当該開口部から第1ベルト部材および第2ベルト部材としての腹部前面側ベルト部材143a,143bがそれぞれ引き出されている。腹部前面側ベルト部材143a,143bのそれぞれは、その一方の端部が巻取りユニット130a,130b内に挿入されて後述する巻取り機構に固定されており、その他方の端部が巻取りユニット130a,130bの外部に引き出されている。腹部前面側ベルト部材143a,143bの上記他方の端部には、接続具144a,144bが取り付けられている。接続具144a,144bのそれぞれの所定位置には、上述した腹部背面側ベルト部材141a,141bに取付けられた接続具142a,142bの係止突起142a1,142b1と係合可能な係止凹部144a1,144b1が設けられている。
【0095】
図3、図5(A)および図5(B)に示すように、腹部前面側ベース部120Aの電極フィルム126は、装着状態において被験者の胴回り方向に対応する方向を長手方向とする略矩形状の外形を有している。電極フィルム126は、被験者の腹部300の腹部前面に宛がわれた場合に、被験者の腹部前面の形状に沿って変形して当該腹部前面にフィットするような柔軟な材料にて形成されている。電極フィルム126の略中央部には、装着の際に被験者の臍部301と位置合わせするための目印としての位置決め用貫通穴127が設けられている。また、電極フィルム126の下面には、複数の電極128が突出して設けられている。この複数の電極128は、上述した腹部電極A11,A12,A21,A22に相当し、装着状態において被験者の腹部前面に接触配置される。
【0096】
図7および図8は、上述した巻取りユニットの内部に設けられた巻取り機構の構造を説明するための図であり、図7は、腹部前面側ベース部の電極フィルムを除く部分の断面図であり、図8は、巻取り機構の斜視図である。なお、図8においては、説明の簡略化のために、巻取りユニット130a,130bに設けられる巻取り機構のうち、巻取りユニット130a内に設けられる巻取りユニット130aのみを図示している。次に、これらの図を参照して、腹部前面側ベース部120Aに設けられる巻取り機構の構造について詳説する。
【0097】
図7および図8に示すように、巻取りユニット130aの内部には、シャーシ133aが配置されており、当該シャーシ133aに巻取り機構が組付けられている。巻取り機構は、支軸134a、リール135a、付勢部138aおよびローラ137a1,137a2,137a3とによって構成されている。支軸134aは、シャーシ133aに軸支されており、当該支軸134aには、リール135aのシャフト135a1が外挿されている。リール135aには、腹部前面側ベルト部材143aの一端が固定されるとともに、当該腹部前面側ベルト部材143aが巻き付けられている。付勢部138aは、その内部に第1付勢手段としての発条バネ(不図示)が収容されており、当該発条バネがリール135aに接続されている。ローラ137a1,137a2,137a3は、シャーシ133aに支持されており、リール135aから引き出された部分の腹部前面側ベルト部材143aの主表面に当接することによって当該腹部前面側ベルト部材143aを案内する。
【0098】
以上の構成の巻取り機構により、腹部前面側ベルト部材143aは、リール135aから図7中矢印A1方向に向けて引き出し可能に構成されるとともに、腹部前面側ベルト部材143aに力が加えられていない状態において第1付勢手段としての発条バネの弾性力によって腹部前面側ベルト部材143aがリール135aに巻き取られることになる。なお、図7に示すように、巻取りユニット130bの内部にも、巻取りユニット130aの内部に設けられた巻取り機構と同様の巻取り機構が設けられている。したがって、腹部前面側ベルト部材143bは、リール135bから図7中矢印A2方向に向けて引き出し可能に構成されるとともに、腹部前面側ベルト部材143bに力が加えられていない状態において第2付勢手段としての発条バネの弾性力によって腹部前面側ベルト部材143bがリール135bに巻き取られることになる。ここで、一対の腹部前面側ベルト部材143a,143bが巻取りユニット130a,130bから引き出される方向A1,A2は、被験者の腹部の周方向に沿って逆向きである。
【0099】
図9は、上述の構成の生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットを被験者の腹部に装着した状態を示す模式断面図である。以下においては、この図を参照して、本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aを被験者の腹部に装着する手順および装着した状態について説明する。
【0100】
本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aを装着するに際しては、まず、被験者がベッド上に仰臥位にて寝転ぶ。その際、被験者の腹部300がベッド上に配置された腹部背面側ベース部110A上に位置するようにする。次に、被験者の腹部前面に電極フィルム126を載置する。このとき、電極フィルム126に設けられた位置決め用貫通穴127と被験者の臍部301との位置合わせを行なう。次に、被験者の腹部前面に載置された電極フィルム126の上に、巻取りユニット130a,130bが設けられたシート部122を載置する。このとき、シート部122に設けられた位置決め用貫通穴123と被験者の臍部301との位置合わせを行なう。なお、被験者の腹部前面への腹部前面側ベース部120Aの載置は補助者が行なうことが好ましく、その際、巻取りユニット130a,130bに設けられた把手部131a,131bを用いてシート部122の被験者の腹部前面への載置を行なうこととすれば、作業が非常に容易に行なえる。
【0101】
つづいて、巻取りユニット130a,130bから腹部前面側ベルト部材143a,143bをそれぞれ引き出し、その先端に設けられた接続具144a,144bを腹部背面側ベルト部材141a,141bの先端に設けられた接続具142a,142bにそれぞれ接続する。これらの接続は、接続具142a,142bに設けられた係止突起142a1,142b1を接続具144a,144bに設けられた係止凹部144a1,144b1にそれぞれ係止することによって行われる。以上により、生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aの被験者の腹部300への装着が完了する。
【0102】
図9に示すように、生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aを被験者の腹部300に装着させた状態においては、巻取り機構に設けられた発条バネの付勢力により、腹部前面側ベルト部材143a,143bがそれぞれ図中に示す矢印B1,B2方向に向けて引っ張られることになる。当該装着状態においては、被験者が吸気動作を行なった場合に被験者の胴部周囲長が増加することに伴い、第1付勢手段および第2付勢手段としての発条バネの付勢力に抗してリール135a,135bから腹部前面側ベルト部材143a,143bがそれぞれ引き出されることになる。一方、被験者が呼気動作を行なった場合には、被験者の胴部周囲長が減少することに伴い、第1付勢手段および第2付勢手段としての発条バネの付勢力によって腹部前面側ベルト部材143a,143bがそれぞれリール135a,135bに巻き取られることになる。
【0103】
以上において説明した本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aおよびこれを備えた体脂肪測定装置1Aとすることにより、装着状態において腹部前面側ベルト部材143a,143bが常時引っ張られた状態とすることができる。したがって、被験者が呼吸動作を行なった場合にも生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aが被験者の腹部300に常時フィットするようになる。また、発条バネによる付勢力に基づいて、生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aによって被験者の腹部300がほぼ一定の締め付け強さで締め付けられることになり、被験者の腹部300に対して概ね一定の荷重で電極フィルム126に設けられた複数の電極128を押し当てることが可能になる。なお、電極128の被験者の腹部300に対する押し付け力が最適化された場合に生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aに加えられる引っ張り荷重としては、概ね1.0kgf〜2.0kgf程度であり、好ましくは1.5kgfである。
【0104】
また、本実施の形態においては、被験者の腹部300に装着される生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aが、被験者の腹部背面側に宛がわれる腹部背面側ベース部110Aと、被験者の腹部前面側に宛がわれる腹部前面側ベース部120Aとに分割され、腹部背面側ベース部110Aの一端部寄りの部分と腹部前面側ベース部120Aの一端部寄りの部分とが第1連結手段としての腹部前面側ベルト部材143aおよび発条バネによって連結され、かつ腹部背面側ベース部110Aの他端部寄りの部分と腹部前面側ベース部120Aの他端部寄りの部分とが第2連結手段としての腹部前面側ベルト部材143bおよび発条バネによって連結される構成としているため、被験者の腹部300への生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aの装着が非常に容易に行なえることになる。したがって、煩雑な装着作業が不要となり、取扱い性に優れた生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットおよびこれを備えた体脂肪測定装置とすることができる。
【0105】
さらには、本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aおよびこれを備えた体脂肪測定装置1Aとすることにより、第1付勢手段および第2付勢手段としての発条バネの弾性力を適切に調節することによって被験者の呼吸動作に追従して生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aの巻き回し長さが変化するようになるため、被験者に過度の圧迫感を与えることがなくなり、被験者に苦痛を与えることのない生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットとすることができる。
【0106】
したがって、本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aとすることにより、装着状態において一定の荷重で電極が被験者の胴部に対して再現性よく押し当て可能で、かつ被験者に苦痛を与えることのない生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットとすることができる。また、当該生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aを備えた体脂肪測定装置1Aとすることにより、高精度に体脂肪量を算出することができる体脂肪測定装置とすることができる。さらには、装着作業が非常に容易に行なえる生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットおよびこれを備えた体脂肪測定装置とすることもできる。
【0107】
以下においては、本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの変形例について説明する。以下に示す変形例1ないし3に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットは、特に説明する部分を除き、上述の本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aと同様の構成を有している。そのため、同一または相当部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0108】
図10は、本実施の形態の第1変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部前面側ベース部の側面図である。また、図11は、本第1変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットを被験者の腹部に装着した状態を示す断面図である。
【0109】
図10および図11に示すように、本第1変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100A1の腹部前面側ベース部120A1は、シート部122の下面に電極128を有している。すなわち、上述の本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aにおいては、腹部前面側ベース部を巻取りユニット130a,130bが設けられたシート部122と、電極128が設けられた電極フィルム126に分割構成していたが、本第1変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100A1においては、シート部122に巻取りユニット130a,130bと電極128を設けた構成としている。このように構成することにより、繰り返しの使用が可能な生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットとすることができる。
【0110】
図12(A)は、本実施の形態の第2変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部背面側ベース部の上面図であり、図12(B)は、側面図である。また、図13は、本第2変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットを被験者の腹部に装着した状態を示す断面図である。
【0111】
図12(A)、図12(B)および図13に示すように、本第2変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100A2は、腹部前面側ベース部120Aに設けられた電極128に加え、腹部背面側ベース部110A1にも電極129が設けられている。より具体的には、電極129は、腹部背面側ベース部110A1の突出部113の上面114に設けられており、被験者が腹部背面側ベース部110A1上に跨るように仰臥位にて寝転ぶことにより、当該電極129が被験者の胴部背面に接触することになる。このように構成することにより、腹部前面のみならず腹部背面にもインピーダンス測定用電極が接触配置されることになるため、より高精度の体脂肪測定が可能になる。なお、他の態様としては、腹部前面側ベース部に設けられた電極を廃止し、腹部背面側ベース部にのみ電極を設ける構成としてよい。
【0112】
図14は、本実施の形態の第3変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部前面側ベース部の斜視図である。図14に示すように、本第3変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部前面側ベース部120A2においては、シート部122上に設けられる巻取りユニット130を1つのユニットとして構成し、当該巻取りユニット130の内部に2つの巻取り機構(不図示)を設けた構成としている。そして、巻取りユニット130の両端面に開口部を設け、これら開口部から一対の腹部前面側ベルト部材143a,143bをそれぞれ引き出した構成としている。また、巻取りユニット130の上部には、略中央部に把手部131が設けられている。このように構成することにより、上述の本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aよりも装置構成が簡素化された生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットとすることができる。
【0113】
(実施の形態2)
図15は、本発明の実施の形態2における体脂肪測定装置の機能ブロックを示す図である。また、図16は、本実施の形態における体脂肪測定装置に具備される生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部側ベース部の電極フィルムを除く部分の模式断面図であり、図17は、腹部前面側ベース部の巻取りユニット内に設けられる巻取り機構の斜視図である。さらに、図18は、本実施の形態における体脂肪測定装置の胴部周囲長計測部の構成および当該胴部周囲長計測部によって被験者の胴部周囲長が自動計測される仕組みを説明するための模式図である。なお、上述の実施の形態1と同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0114】
図15に示すように、本実施の形態における体脂肪測定装置1Bは、体格情報計測部としての胴部周囲長計測部30を備えている。胴部周囲長計測部30は、被験者の胴部周囲長を自動計測する部位であり、生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Bに設けられた各種センサの出力に基づいて被験者の胴部周囲長を計測する。なお、胴部周囲長計測部30のより具体的な構成については後述することとする。
【0115】
図16および図17に示すように、本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Bの巻取りユニット130a,130b内に設けられた巻取り機構には、光電センサ(より特定的にはフォトインタラプタ)136a,136bがそれぞれ設けられている。この光電センサ136a,136bは、リール135a,135bから引き出された部分の腹部前面側ベルト部材143a,143bの主面にそれぞれ対面するようにシャーシ133a,133bに組付けられている。そのため、リール135a,135bから引き出された腹部前面側ベルト部材143a,143bは、当該光電センサ136a,136bの下方を通過することになる。この光電センサ136a,136bは、上述した胴部周囲長計測部30を構成する各種センサの1つであるが、その機能および動作等の詳細については後述することとする。
【0116】
また、図17に示すように、巻取りユニット130a内に設けられた巻取り機構には、ロータリエンコーダ139aが設けられている。ロータリエンコーダ139aは、リール135aの側方に配置されるようにシャーシ133aに組付けられており、その検出軸は、リール135aのシャフト135a1に固定されている。そのため、リール135aの回転に伴い、ロータリエンコーダ139aの検出軸が回転することになる。なお、巻取りユニット130b内に配置された巻取り機構にも、巻取りユニット130a内に設けられた巻取り機構と同様にロータリエンコーダが付設されている。これらロータリエンコーダは、上述した胴部周囲長計測部30を構成する各種センサの1つであるが、その機能および動作等の詳細については後述することとする。
【0117】
図18に示すように、本実施の形態における体脂肪測定装置1Bにおいては、胴部周囲長計測部30が、上述の光電センサ136a,136bと、ロータリエンコーダ139a,139bと、胴部周囲長計測回路151とを有している。また、リール135a,135bによって巻取り可能に構成された一対の腹部前面側ベルト部材143a,143bの表面には、エンコーダストリップ143a1,143b1が取付けられている。エンコーダストリップ143a1,143b1は、腹部前面側ベルト部材143a,143bの一方の端部から他方の端部に向かって延在するように設けられており、当該腹部前面側ベルト部材143a,143bの当該部分における位置を示し識別子(ここではバーコード)がその表面に設けられている。このエンコーダストリップ143a1,143b1は、巻取りユニット130a,130b内において上述した光電センサ136a,136bに対面配置されることになる。
【0118】
光電センサ136a,136bは、発光部と受光部とを備えており、発光部から出射された光が上述のエンコーダストリップ143a1,143b1に照射され、その反射光が受光部によって受光される。光電センサ136a,136bは、受光した光を光電変換することによって電気信号を出力し、胴部周囲長計測回路151に入力する。胴部周囲長計測回路151は、入力された電気信号に基づいて、光電センサ136a,136bに対向配置された部分の腹部前面側ベルト部材143a,143bの位置を検出する。
【0119】
ロータリエンコーダ139a,139bは、腹部前面側ベルト部材143a,143bがリール135a,135bから送り出されることに伴って回転するシャフト135a1,135b1の回転角をその検出軸が回転することによって検出する。ロータリエンコーダ139a,139bは、検出した回転角に応じた電気信号を出力し、胴部周囲長計測回路151に入力する。胴部周囲長計測回路151は、入力された電気信号に基づいて腹部前面側ベルト部材143a,143bの送り出し量を検出する。
【0120】
胴部周囲長計測回路151は、光電センサ136a,136bから入力された電気信号に基づいて検出した位置情報およびロータリエンコーダ139a,139bから入力された電気信号に基づいて検出した送り出し量の情報に基づいて、被験者の腹部に巻き回された生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Bの巻き回し長さを検出し、これを制御部10に出力する。
【0121】
図19は、本実施の形態における体脂肪測定装置を用いて内臓脂肪面積、皮下脂肪面積および体脂肪率を測定する際の体脂肪測定装置の動作手順を定めたフローチャートである。なお、上述の実施の形態1と同様のステップについては図中同一のステップ番号を付し、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0122】
図19を参照して、制御部10は、胴部周囲長Wを除く体格情報としての身長Hや体重Wt等を含む被験者情報の入力を受け付ける(ステップS1)。ここで受け付けた被験者情報は、たとえばメモリ部29に一時的に保存される。
【0123】
次に、制御部10は、胴部周囲長の計測動作を開始する(ステップS1A)。具体的には、制御部10の指令に基づいて光電センサ136a,136bおよびロータリエンコーダ139a,139bが動作を開始し、これら光電センサ136a,136bおよびロータリエンコーダ139a,139bが動作した状態において、インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Bの被験者への装着が行なわれるようにする。
【0124】
次に、制御部10は、測定開始の指示があったか否かを判断する(ステップS2)。制御部10は、測定開始の指示があるまで待機し(ステップS2においてNO)、測定開始の指示を検知した場合に(ステップS2においてYES)、当該状態において検出されている胴部周囲長の情報を被験者の胴部周囲長Wとして決定する(ステップS2A)。決定された胴部周囲長Wは、たとえばメモリ部29に一時的に保存される。
【0125】
その後、上述の実施の形態1において示したステップと同様のステップS3からステップS12が実施され、生体インピーダンスZt,Zsが算出される。
【0126】
次に、内臓脂肪量算出部16は、ステップS2Aで特定された胴部周囲長Wと、算出された生体インピーダンスZtおよび生体インピーダンスZsとに基づいて、内臓脂肪面積Svを算出する(ステップS13)。内臓脂肪面積Svは、上述の式(1)に胴部周囲長Wおよび算出された生体インピーダンスZt,Zsを代入することによって算出される。
【0127】
次に、皮下脂肪量算出部17は、ステップS2Aで特定された胴部周囲長Wと、算出された生体インピーダンスZsとに基づいて、皮下脂肪面積Ssを算出する(ステップS14)。皮下脂肪面積Ssは、上述の式(2)に胴部周囲長Wおよび算出された生体インピーダンスZsを代入することによって算出される。
【0128】
その後、上述の実施の形態1において示したステップと同様のステップS15およびステップS16が実施され、体脂肪率が算出される。そして、表示部26は、制御部10の制御に基づいて、各測定結果を表示する(ステップS17)。
【0129】
以上で体脂肪測定装置1Bは、内臓脂肪面積測定処理、皮下脂肪面積測定処理および体脂肪率測定処理を含む体脂肪量測定処理を終了する。
【0130】
以上において説明した本実施の形態における体脂肪測定装置1Bとすることにより、光電センサ136a,136bおよびロータリエンコーダ139a,139bを含む胴部周囲長計測部30によって被験者の胴部周囲長を自動計測することが可能になる。そのため、生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Bを装着するだけで容易に被験者の胴部周囲長が得られ、得られた胴部周囲長を利用して体脂肪量を算出することにより高精度に体脂肪測定が行なえるようになる。一般に光電センサおよびロータリエンコーダは非常に小型であり、そのため上記構成を採用すれば小型で簡便に胴部周囲長を自動計測することが可能な体脂肪測定装置とすることができる。また、位置情報を示すマーカーとしてのバーコードについても、一対の腹部前面側ベルト部材143a,143bにエンコーダストリップ143a1,143b1を取付けることで簡便に構成可能であり、装置構成が複雑化したり装置が大型化することが一切ない。
【0131】
(実施の形態3)
図20は、本発明の実施の形態3における体脂肪測定装置の機能ブロックを示す図である。まず、この図20を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置1Cの機能ブロックの構成について説明する。なお、上述の実施の形態2と同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0132】
図20に示すように、本実施の形態における体脂肪測定装置1Cは、上述の実施の形態2における体脂肪測定装置1Bと同様に、体格情報計測部としての胴部周囲長計測部30を有している。胴部周囲長計測部30は、被験者の胴部周囲長を自動計測する部位であり、生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Cに設けられた各種センサの出力に基づいて被験者の胴部周囲長を計測する。なお、胴部周囲長計測部30の構成は、基本的には上述の実施の形態2における体脂肪測定装置1Bと同様であり、胴部周囲長計測部30は、図18に示す如くの光電センサ136a,136b、ロータリエンコーダ139a,139bおよび胴部周囲長計測回路151を有している。
【0133】
被験者の胴部周囲長は、呼吸動作に伴って僅かではあるが常時変動する。本実施の形態における体脂肪測定装置1Cにおける胴部周囲長計測部30は、測定中においてこの変動する胴部周囲長を常時計測するものであり、被験者の腹部に巻き回された生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Cの巻き回し長さを検出することによって被験者の胴部周囲長を計測するとともに、被験者の腹部に巻き回された生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Cの巻き回し長さの変動を検出することによって被験者の胴部周囲長の変動を計測する。胴部周囲長計測部30は、計測した胴部周囲長の情報およびその変動の情報を制御部10に対して出力する。
【0134】
より具体的には、胴部周囲長計測回路151は、光電センサ136a,136bから入力された電気信号に基づいて、被験者の胴部周囲長を特定し、これを制御部10に出力する。また、胴部周囲長計測回路151は、ロータリエンコーダ139a,139bから入力された電気信号に基づいて、被験者の胴部周囲長の変動を特定し、これを制御部10に出力する。
【0135】
また、本実施の形態における体脂肪測定装置1Cにおいては、演算処理部11が、インピーダンス測定部12および体脂肪量算出部13に加え、呼吸状態検出部18を有している。呼吸状態検出部18は、上述した胴部周囲長計測部30によって計測されて制御部10に入力された被験者の胴部周囲長の情報に基づいて測定動作中における被験者の呼吸状態を検出する。体脂肪量算出部13は、上記インピーダンス測定部12において得られた生体インピーダンスと、上記呼吸状態検出部18において得られた呼吸状態の情報と、胴部周囲長計測部30において得られた胴部周囲長と、被験者情報入力部25から入力された被験者情報とに基づいて体脂肪量を算出する。
【0136】
なお、本実施の形態においては、光電センサ136a,136bよって検出された情報に基づいて被験者の胴部周囲長を特定することとし、またロータリエンコーダ139a,139bによって検出された情報に基づいて被験者の胴部周囲長の変動量を特定することとしたが、被験者の胴部周囲長の特定にロータリエンコーダ139a,139bによって検出された情報を用いてもよく、また被験者の胴部周囲長の変動量の特定に光電センサ136a,136bよって検出された情報を用いてもよい。
【0137】
次に、本実施の形態における体脂肪測定装置1Cにおいて行なわれる演算処理の一例について説明する。本実施の形態における体脂肪測定装置1Cにおいても、上述の実施の形態1における体脂肪測定装置1Aと基本的に同様の演算処理が行なわれるが、そのうちの胴部周囲長Wの値として上述の胴部周囲長計測部30によって実測された胴部周囲長の値が用いられ、また各種演算処理に用いられる生体インピーダンスZt,Zsの値として上述の呼吸状態検出部18によって検出された呼吸状態の情報に関連付けて得られた生体インピーダンスZt,Zsの値が用いられる点において相違している。
【0138】
インピーダンス測定部12は、定電流生成部21において生成される定電流の電流値と、電位差検出部23において検出される電位差とに基づいて、2種類の生体インピーダンスZt,Zsを算出するが、被験者の腹部における除脂肪量を反映する生体インピーダンスZtおよび被験者の腹部における皮下脂肪量を反映する生体インピーダンスZsは、いずれも被験者の呼吸動作に応じて時々刻々と変化する。
【0139】
図21は、被験者の胴部周囲長の変動と、時々刻々と変化する生体インピーダンスとの関係を示すグラフである。なお、図21においては、横軸が時間を示しており、(A)の縦軸が胴部周囲長を、(B)の縦軸が生体インピーダンスをそれぞれ示している。
【0140】
図21(A)に示すように、被験者の胴部周囲長Wは、被験者の呼吸動作に応じて変動し、被験者が吸気動作を行なった場合に胴部周囲長Wは増加し、被験者が呼気動作を行なった場合に胴部周囲長Wは減少する。これに対し、図21(B)に示すように、生体インピーダンスZも被験者の呼吸動作に応じて変動し、被験者が吸気動作を行なった場合に一般的にその値が減少し、被験者が呼気動作を行なった場合に一般的にその値が増加する。
【0141】
本実施の形態における体脂肪測定装置1Cにおいては、このような生体インピーダンスZの呼吸動作に伴う変動を誤差成分として除外するため、たとえば取得データに対して以下のような処理を行なう。まず、予め定められた所定の期間、所定のインターバルで複数回にわたって電位差検出電極間の電位差を電位差検出部23によって測定し、得られた電位差のデータを時系列データとして取得する。次に、インピーダンス測定部12によって得られた電位差の時系列データから生体インピーダンスZの時系列データを得る。また、これと並行して、当該電位差の検出を行なった期間と同じ期間の被験者の胴部周囲長Wを胴部周囲長計測部30によって時系列データとして取得する。
【0142】
次に、取得した生体インピーダンスZの時系列データと胴部周囲長Wの時系列データとを同期させる。つづいて、呼吸状態検出部18において、胴部周囲長Wの時系列データに基づいて、各時間におけるdW/dtを算出する。算出したdW/dtが正の値をとる場合(すなわちdW/dt>0の場合)には、被験者は呼気動作にあると判断し(たとえば図21(A)に示すt2〜t3の期間)、算出したdW/dtが負の値をとる場合(すなわちdW/dt<0の場合)には、被験者は吸気動作にあると判断する(たとえば図21(A)に示すt1〜t2,t3〜t4の期間)。そして、呼気動作から吸気動作に移行した時間(すなわちdW/dt=0である時間、あるいはdW/dtが負の値から正の値に転じた時間)を特定する(たとえば図21(A)に示す時間t2,t4)。
【0143】
次に、この呼気動作から吸気動作に移行した時間に最も近い時間あるいは同じ時間に取得された生体インピーダンス(たとえば図21(B)中において白抜きの丸印で示す生体インピーダンス)を上述の生体インピーダンスZの時系列データから抽出し、抽出したデータの平均値を生体インピーダンスZの代表値として決定する。また、この呼気動作から吸気動作に移行した時間に最も近い時間あるいは同じ時間に取得された胴部周囲長の平均値を被験者の胴部周囲長Wの代表値として決定する。
【0144】
なお、上記において示した生体インピーダンスZの代表値の決定方法は、あくまでもその一例を示したものに過ぎない。上記においては、呼気動作から吸気動作に移行したタイミングに取得された生体インピーダンスを代表値として採用する場合を例示したが、たとえば吸気動作から呼気動作に移行したタイミングに取得された生体インピーダンスを代表値として採用することも可能である。また、上記のように単に生体インピーダンスZの時系列データから特定のデータを抽出してその平均値を求めて代表値を決定するのではなく、他の演算等を加えてその代表値を決定することとしてもよい。いずれにしても被験者の胴部周囲長の変動から検出された被験者の呼吸動作に関連付けられて生体インピーダンスZの代表値が決定されればよい。
【0145】
本実施の形態における体脂肪測定装置1Cにあっては、このようにして得られた胴部周囲長Wの代表値および生体インピーダンスZt,Zsそれぞれの代表値を用いて各種脂肪量を算出する。なお、その算出のための式としては、上述の実施の形態1において例示した式(1)〜(4)が利用される。
【0146】
図22は、本実施の形態における体脂肪測定装置を用いて内臓脂肪面積、皮下脂肪面積および体脂肪率を測定する際の体脂肪測定装置の動作手順を定めたフローチャートである。なお、上述の実施の形態1と同様のステップについては図中同一のステップ番号を付し、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0147】
図22を参照して、制御部10は、胴部周囲長Wを除く体格情報としての身長Hや体重Wt等を含む被験者情報の入力を受け付ける(ステップS1)。ここで受け付けた被験者情報は、たとえばメモリ部29に一時的に保存される。
【0148】
次に、制御部10は、胴部周囲長計測部30に対して胴部周囲長計測開始の指令を出力し、これに基づいて胴部周囲長計測部30は、胴部周囲長Wの計測を開始する(ステップS1A)。
【0149】
次に、制御部10は、測定開始の指示があったか否かを判断する(ステップS2)。制御部10は、測定開始の指示があるまで待機する(ステップS2においてNO)。制御部10は、測定開始の指示を検知した場合に(ステップS2においてYES)、ステップS3に移行する。
【0150】
次に、制御部10は、電極の設定を行ない(ステップS3)、定電流生成部21は、制御部10の制御に基づいて、上肢と下肢との間に定電流を流す(ステップS4)。この状態において、電位差検出部23は、制御部10の制御に基づいて、予め定められた所定の期間、所定のインターバルで複数回にわたり、選択した電位差検出電極としての腹部電極間における電位差を検出する(ステップS5)。
【0151】
次に、制御部10は、予め定めた電位差検出電極対としてのすべての腹部電極対の組み合わせに対して電位差の検出が終了したか否かを判断する(ステップS6)。制御部10は、予め定めた電位差検出電極対としてのすべての腹部電極対の組み合わせに対して電位差の検出が終了していないと判断した場合に(ステップS6においてNO)、上述のステップS3の処理へと移行し、未選択の腹部電極対の選択を行なう。このようにして、制御部10は、複数対ある電位差検出電極対のそれぞれに含まれる腹部電極間における電位差を各々順番に検出する。
【0152】
インピーダンス測定部12は、予め定めた電位差検出電極対としてのすべての腹部電極対の組み合わせに対する電位差の検出が終了した後に(ステップS6においてYES)、定電流生成部21が生成し身体に流した定電流の電流値と、電位差検出部23が検出した各電位差の時系列データとに基づいて、生体インピーダンスZt1〜Zt4の時系列データを算出する(ステップS7)。インピーダンス測定部12が算出した生体インピーダンスZt1〜Zt4の時系列データは、胴部周囲長計測部30によって計測された胴部周囲長Wの時系列データと関連付けられてたとえばメモリ部29に一時的に保存される。
【0153】
次に、制御部10は、改めて電極の設定を行ない(ステップS8)、定電流生成部21は、制御部10の制御に基づいて、選択した定電流印加電極としての腹部電極間に定電流を流す(ステップS9)。この状態において、電位差検出部23は、制御部10の制御に基づいて、予め定められた所定の期間、所定のインターバルで複数回にわたり、選択した電位差検出電極としての腹部電極間の電位差を検出する(ステップS10)。
【0154】
次に、制御部10は、予め定めた定電流印加電極対および電位差検出電極対のすべての組み合わせに対して定電流印加および電位差の検出が終了したか否かを判断する(ステップS11)。制御部10は、予め定めた定電流印加電極対および電位差検出電極対のすべての組み合わせに対して定電流の印加および電位差の検出が終了していないと判断した場合に(ステップS11においてNO)、上述のステップS8の処理へと移行し、未選択の電極対の選択を行なう。このようにして、制御部10は、予め定めた定電流印加電極対および電位差検出電極対のすべての組み合わせに対して定電流印加および電位差検出を各々順番に行なう。
【0155】
インピーダンス測定部12は、予め定めた定電流印加電極対および電位差検出電極対のすべての組み合わせに対して定電流印加および電位差の検出が終了した後に(ステップS11においてYES)、定電流生成部21が生成し身体に流した定電流の電流値と、電位差検出部23が検出した各電位差の時系列データとに基づいて、生体インピーダンスZs1〜Zs4の時系列データを算出する(ステップS12)。インピーダンス測定部12が算出した生体インピーダンスZs1〜Zs4の時系列データは、胴部周囲長計測部30によって計測された胴部周囲長Wの時系列データと関連付けられてたとえばメモリ部29に一時的に保存される。
【0156】
次に、制御部10は、胴部周囲長計測部30に対して胴部周囲長計測終了の指令を出力し、これに基づいて胴部周囲長計測部30は、胴部周囲長Wの計測を終了する(ステップS12A)。その後、体脂肪量算出部13は、メモリ部29に一時的に保存された、胴部周囲長Wの時系列データと関連付けられた生体インピーダンスZt1〜Zt4の時系列データおよび生体インピーダンスZs1〜Zs4の時系列データに基づき、生体インピーダンスZt1〜Zt4および生体インピーダンスZs1〜Zs4の代表値を決定するとともに、胴部周囲長Wの代表値を決定する(ステップS12B)。なお、その代表値の決定方法については前述のとおりである。
【0157】
次に、内臓脂肪量算出部16は、実測された胴部周囲長Wの代表値と、算出された生体インピーダンスZt1〜Zt4の代表値および生体インピーダンスZs1〜Zs4の代表値とに基づいて、内臓脂肪面積Svを算出する(ステップS13)。内臓脂肪面積Svは、上述の式(1)により算出される。なお、上述のように4つの腹部電極A11,A12,A21,A22を1組とする腹部電極群を互いに平行に4組配置した構成とした場合には、たとえば、4つの生体インピーダンスZt1〜Zt4の代表値の平均値および4つの生体インピーダンスZs1〜Zs4の代表値の平均値が、それぞれ式(1)に代入される。
【0158】
次に、皮下脂肪量算出部17は、実測された胴部周囲長Wの代表値と、算出された生体インピーダンスZs1〜Zs4の代表値とに基づいて、皮下脂肪面積Ssを算出する(ステップS14)。皮下脂肪面積Ssは、上述の式(2)に胴部周囲長Wおよび算出された生体インピーダンスZsを代入することによって算出される。なお、上述のように4つの腹部電極A11,A12,A21,A22を1組とする腹部電極群を互いに平行に4組配置した構成とした場合には、たとえば、4個の生体インピーダンスZs1〜Zs4の代表値の平均値が、式(2)における生体インピーダンスZsに代入される。
【0159】
次に、総脂肪量算出部14は、ステップS1において制御部10が受け付けた体格情報のうちの身長Hと、算出された生体インピーダンスZtの代表値とに基づいて、除脂肪量FFMを算出する(ステップS15)。除脂肪量FFMは、上述の式(3)により算出される。なお、上述のように4つの腹部電極A11,A12,A21,A22を1組とする腹部電極群を互いに平行に4組配置した構成とした場合には、たとえば、4個の生体インピーダンスZt1〜Zt4の代表値の平均値が、式(3)における生体インピーダンスZtに代入される。
【0160】
また、総脂肪量算出部14は、ステップS1で制御部10が受け付けた体格情報のうちの体重Wtと、ステップS15で総脂肪量算出部14が算出した除脂肪量FFMとに基づいて、体脂肪率を算出する(ステップS16)。体脂肪率は、上述の式(4)により算出される。
【0161】
そして、表示部26は、制御部10の制御に基づいて、各測定結果を表示する(ステップS17)。
【0162】
以上で体脂肪測定装置1Bは、内臓脂肪面積測定処理、皮下脂肪面積測定処理および体脂肪率測定処理を含む体脂肪量測定処理を終了する。
【0163】
以上において説明した本実施の形態における体脂肪測定装置1Cの如くの構成を採用することにより、測定時において生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Cの巻き回し長さの変動を検出するという簡便な構成にて被験者の呼吸状態を高精度に検出することが可能になる。このような検出方法を用いれば、呼吸動作に伴う被験者の胴部周囲長の変化を高精度に捉えることができる。そのため、上述の検出方法を採用して生体インピーダンスの値を時系列データとして取得し、これを被験者の呼吸動作と関連付けて生体インピーダンスの代表値を決定することにより、呼吸動作に伴って生じる生体インピーダンスの変動の影響を除外して生体インピーダンスを正確に測定することができる。その結果、高精度に体脂肪量を測定することが可能な体脂肪測定装置とすることができる。特に、内臓脂肪量や腹部における皮下脂肪量を高精度に測定するためには、被験者の腹部に電極を接触配置して生体インピーダンスの測定を行なうことが必須になるため、このような構成の体脂肪測定装置1Cとすることにより、特に高精度に内臓脂肪量や腹部における皮下脂肪量を算出することができる。
【0164】
(実施の形態4)
図23は、本発明の実施の形態4における体脂肪測定装置の外観構造を示す概略斜視図である。まず、この図を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置1Dの外観構造について説明する。なお、本実施の形態における体脂肪測定装置1Dは、上述の実施の形態2における体脂肪測定装置1Bとその機能ブロックにおいて全く同様の構成を有しているものであり、具備される生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dの具体的な構造が上述の実施の形態2における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Bと相違しているものである。したがって、同一または相当部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0165】
図23に示すように、本実施の形態における体脂肪測定装置1Dは、装置本体101と、生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dと、一対の生体インピーダンス測定用上肢装着ユニット(不図示)と、一対の生体インピーダンス測定用下肢装着ユニット(不図示)とを主として備えている。このうち、装置本体101、一対の生体インピーダンス測定用上肢装着ユニットおよび一対の生体インピーダンス測定用下肢装着ユニットの構成は、上述の実施の形態2における構成と全く同様である。
【0166】
生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dは、被験者がベッド(不図示)上において仰臥姿勢をとった状態で装着されることが企図されたものである。生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dは、第1ベース部としての腹部背面側ベース部110Dと、第2ベース部としての腹部前面側ベース部120Dとを含んでいる。腹部背面側ベース部110Dは、装着状態において被験者の腹部300のうちの腹部背面に宛がわれる。腹部前面側ベース部120Dは、装着状態において被験者の腹部300のうちの腹部前面に宛がわれる。より具体的には、腹部背面側ベース部110Dは、予めベッドに取付具200によって取り付けられており、被験者がベッド面上に仰臥位にて寝転んだ状態において被験者の腹部背面に宛がわれる。一方、腹部前面側ベース部120Dは、被験者ベッド面上において仰臥位にて寝転んだ状態において被験者の腹部前面に載置されることによって被験者の腹部前面に宛がわれる。腹部前面側ベース部120Dは、第1のシート状部材としてシート部122と、第2のシート状部材としての電極フィルム126とを有している。
【0167】
図24(A)は、図23に示す生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部背面側ベース部の上面図であり、図24(B)は、当該腹部背面側ベース部の側面図である。また、図25は、図23に示す生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部背面側ベース部の断面図である。さらに、図26(A)は、図23に示す生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部前面側ベース部の上面図であり、図26(B)は、当該腹部前面側ベース部の電極フィルムを除く部分の側面図である。以下においては、これらの図および上述の図23を参照して、本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dの外観構造についてより詳細に説明する。
【0168】
図23、図24(A)、図24(B)および図25に示すように、腹部背面側ベース部110Dは、装着状態において被験者の胴回り方向に対応する方向を長手方向とする略矩形状の外形を有している。腹部背面側ベース部110Dは、板状の支持基部112と、この支持基部112の長手方向の一端部112a寄りの部分および他端部112b寄りの部分にそれぞれ設けられたガイドユニット116a,116bと、ガイドユニット116a,116bのそれぞれから引き出し可能に設けられた一対のベルト部材145a,145bと、支持基部112の上記一端部112aよりも外側に付設された巻取りユニット130とを主として備えている。
【0169】
支持基部112は、その下面が取付具200に固定されており、その上面のうちガイドユニット116a,116bの間の部分において被験者の腹部背面が受け入れ可能となるように構成されている。
【0170】
一方のガイドユニット116aは、巻取りユニット130と一体化されており、上記支持基部112上において移動不能に固定されている。他方のガイドユニット116bは、巻取りユニット130とは別体にて構成されており、上記支持基部112上において移動可能に取付けられている。より具体的には、支持基部112は、長手方向に延びるスリット112cが設けられており、このスリット112cにガイドユニット116bの下部に設けられた係合部(不図示)が嵌め込まれることにより、ガイドユニット116bが当該スリット112cに案内されて支持基部112上をその長手方向(図24(A)および図24(B)中に示す矢印C方向)に移動可能に構成されている。すなわち、このように構成することにより、被験者の腹部横幅にあわせてガイドユニット116aとガイドユニット116bとの間の間隔を調節可能な間隔調整機構が構成されることになる。なお、ガイドユニット116bは、使用時に手で把持することが可能な把手部117を有している。
【0171】
巻取りユニット130は、その内部に後述する巻取り手段としての巻取り機構を有している。巻取り機構には、上述した一対のベルト部材145a,145bの一端が固定されている。一対のベルト部材145a,145bのうち、ガイドユニット116aからその他端が引き出されたベルト部材145aは、巻取りユニット130およびガイドユニット116aの内部に設けられたローラ137a1,137a2,137a3によってこれらの内部を案内されている。一方、一対のベルト部材145a,145bのうち、ガイドユニット116bからその他端が引き出されたベルト部材145bは、巻取りユニット130の内部に設けられたローラ137b1,137b2,137b3によって巻取りユニット130内を案内されるとともに、支持基部112の略中央部に設けられたスリット112d内を挿通し、さらにガイドユニット116bの内部に設けられたローラ137b4,137b5によってガイドユニット116b内を案内されている。一対のベルト部材145a,145bのガイドユニット116a,116bから引き出された側の端部には、接続具146a,146bがそれぞれ取り付けられている。接続具146a,146bのそれぞれの所定位置には、係止凹部146a1,146b1がそれぞれ設けられている。
【0172】
図23、図26(A)および図26(B)に示すように、腹部前面側ベース部120Dのシート部122は、装着状態において被験者の胴回り方向に対応する方向を長手方向とする略矩形状の外形を有している。シート部122は、被験者の腹部300の腹部前面に宛がわれた場合に、被験者の腹部前面の形状に沿って変形して当該腹部前面にフィットするような柔軟な材料にて形成されている。シート部122の略中央部には、装着の際に被験者の臍部301と位置合わせするための目印としての位置決め用貫通穴123が設けられている。また、シート部122の長手方向の一端部122a寄りの部分には係止突起147aが設けられており、シート部122の長手方向の他端部122b寄りの部分には係止突起147bが設けられている。これら係止突起147a,147bは、上述した接続具146a,146bに設けられた係止凹部146a1,146b1にそれぞれ係合可能である。
【0173】
図23に示すように、腹部前面側ベース部120Dの電極フィルム126は、装着状態において被験者の胴回り方向に対応する方向を長手方向とする略矩形状の外形を有しており、その具体的な構成は、上述の実施の形態1において図6(A)および図6(B)を用いて説明した構成と全く同様である。
【0174】
図27は、上述した巻取りユニットの内部に設けられた巻取り機構の斜視図である。次に、この図および上述の図25を参照して、腹部背面側ベース部110Dに設けられる巻取り機構の構造について詳説する。
【0175】
図25および図27に示すように、巻取りユニット130の内部には、シャーシ133が配置されており、当該シャーシ133に一対の巻取り機構が組付けられている。一対の巻取り機構のそれぞれは、支軸134a,134b、リール135a,135b、付勢部138a,138bおよび上述のローラ137a1,137a2,137a3,137b1,137b2,137b3とによって構成されている。支軸134a,134bは、それぞれシャーシ133に軸支されており、当該支軸134a,134bには、それぞれリール135a,135bのシャフト135a1,135b1が外挿されている。リール135a,135bには、それぞれベルト部材145a,145bの一端が固定されるとともに、当該ベルト部材145a,145bがそれぞれ巻き付けられている。付勢部138a,138bは、その内部にそれぞれ第1付勢手段および第2付勢手段としての発条バネ(不図示)が収容されており、当該発条バネがリール135a,135bにそれぞれ接続されている。
【0176】
以上の構成の巻取り機構により、一対のベルト部材145a,145bは、リール135a,135bから図25中矢印A1,A2方向に向けてそれぞれ引き出し可能に構成されるとともに、ベルト部材145a,145bに力が加えられていない状態において第1付勢手段および第2付勢手段としての発条バネの弾性力によってベルト部材145a,145bがそれぞれリール135a,135bに巻き取られることになる。
【0177】
なお、図25および図27に示すように、本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dにおいても、巻取りユニット130内に配置されたシャーシ133に胴部周囲長計測部30を構成する光電センサ136a,136bおよびロータリエンコーダ139a,139bが設けられている。これら光電センサ136a,136bおよびロータリエンコーダ139a,139bの具体的な組付構造は、上述の実施の形態2におけるそれと同様である。
【0178】
図28は、上述の構成の生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットを被験者の腹部に装着した状態を示す模式断面図である。以下においては、この図を参照して、本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dを被験者の腹部に装着する手順および装着した状態について説明する。
【0179】
本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dを装着するに際しては、まず、被験者がベッド上に仰臥位にて寝転ぶ。その際、被験者の腹部横幅に合わせてガイドユニット116bを左右に移動調節するとともに、被験者の腹部300がベッド上に配置された腹部背面側ベース部110D上に位置するようにする。次に、被験者の腹部前面に電極フィルム126を載置する。このとき、電極フィルム126に設けられた位置決め用貫通穴127と被験者の臍部301との位置合わせを行なう。次に、被験者の腹部前面に載置された電極フィルム126の上にシート部122を載置する。このとき、シート部122に設けられた位置決め用貫通穴123と被験者の臍部301との位置合わせを行なう。
【0180】
つづいて、ガイドユニット116a,116bからそれぞれベルト部材145a,145bを引き出し、その先端に設けられた接続具146a,146bを腹部前面側ベース部120Dに接続する。これらの接続は、腹部前面側ベース部120Dに設けられた係止突起147a,147bを接続具146a,146bに設けられた係止凹部146a1,146b1にそれぞれ係止することによって行われる。以上により、生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dの被験者の腹部300への装着が完了する。
【0181】
図28に示すように、生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dを被験者の腹部300に装着させた状態においては、巻取り機構に設けられた発条バネの付勢力により、一対のベルト部材145a,145bがそれぞれ図中に示す矢印B1,B2方向に向けて引っ張られることになる。当該装着状態においては、被験者が吸気動作を行なった場合に被験者の胴部周囲長が増加することに伴い、第1付勢手段および第2付勢手段としての発条バネの付勢力に抗してリール135a,135bからベルト部材145a,145bがそれぞれ引き出されることになる。一方、被験者が呼気動作を行なった場合には、被験者の胴部周囲長が減少することに伴い、第1付勢手段および第2付勢手段としての発条バネの付勢力によってベルト部材145a,145bがそれぞれリール135a,135bに巻き取られることになる。
【0182】
以上において説明した本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dおよびこれを備えた体脂肪測定装置1Dとすることにより、装着状態において一対のベルト部材145a,145bが常時引っ張られた状態とすることができる。したがって、被験者が呼吸動作を行なった場合にも生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dが被験者の腹部300に常時フィットするようになる。また、発条バネによる付勢力に基づいて、生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dによって被験者の腹部300がほぼ一定の締め付け強さで締め付けられることになり、被験者の腹部300に対して概ね一定の荷重で電極フィルム126に設けられた複数の電極128を押し当てることが可能になる。
【0183】
また、本実施の形態においては、被験者の腹部300に装着される生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dが、被験者の腹部背面側に宛がわれる腹部背面側ベース部110Dと、被験者の腹部前面側に宛がわれる腹部前面側ベース部120Dとに分割され、腹部背面側ベース部110Dの一端部寄りの部分と腹部前面側ベース部120Dの一端部寄りの部分とが第1連結手段としてのベルト部材145aおよび発条バネによって連結され、かつ腹部背面側ベース部110Dの他端部寄りの部分と腹部前面側ベース部120Dの他端部寄りの部分とが第2連結手段としてのベルト部材145bおよび発条バネによって連結される構成としているため、被験者の腹部300への生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dの装着が非常に容易に行なえることになる。したがって、煩雑な装着作業が不要となり、取扱い性に優れた生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットおよびこれを備えた体脂肪測定装置とすることができる。
【0184】
また、本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dとすることにより、被験者の腹部横幅に応じて、間隔調節機構を用いてガイドユニット116aとガイドユニット116bとの間の間隔を調節することが可能になるため、より確実に生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dを被験者の腹部300に隙間なくフィットさせることが可能になる。
【0185】
さらに、本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dおよびこれを備えた体脂肪測定装置1Dとすることにより、第1付勢手段および第2付勢手段としての発条バネの弾性力を適切に調節することによって被験者の呼吸動作に追従して生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dの巻き回し長さが変化するようになるため、被験者に過度の圧迫感を与えることがなくなり、被験者に苦痛を与えることのない生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットとすることができる。
【0186】
したがって、本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dとすることにより、装着状態において一定の荷重で電極が被験者の胴部に対して再現性よく押し当て可能で、かつ被験者に苦痛を与えることのない生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットとすることができる。また、当該生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Aを備えた体脂肪測定装置1Dとすることにより、高精度に体脂肪量を算出することができる体脂肪測定装置とすることができる。さらには、装着作業が非常に容易に行なえる生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットおよびこれを備えた体脂肪測定装置とすることもできる。
【0187】
図29は、本実施の形態の変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットを被験者の腹部に装着した状態を示す断面図である。次に、この図を参照して、本実施の形態の変形例における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100D1の構成について説明する。なお、本変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100D1は、上述の本実施の形態における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100Dに比べて腹部背面側ベース部110D1の構成において相違する。
【0188】
図29に示すように、本変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニット100D1の腹部背面側ベース部110D1おいては、支持基部112の長手方向の一端部112aに巻取りユニット130aが付設されており、支持基部112の長手方向の他端部112bに巻取りユニット130bが付設されている。巻取りユニット130a,130bの内部には、それぞれリール135a,135bを含む巻取り機構が配置されている。リール135a,135bに巻き付けられたベルト部材145a,145bは、それぞれ巻取りユニット130a,130bに一体的に設けられたガイドユニット116a,116bから外部へと引き出されている。ここで、巻取りユニット130bおよびこれと一体化されたガイドユニット116bを支持基部112に対して移動可能に構成することにより、上述の本実施の形態において説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0189】
以上において説明した本発明の実施の形態1ないし4においては、第1および第2付勢手段として発条バネを採用した場合を例示したが、発条バネに代えてゴム部材や定荷重バネ等と利用することが可能である。特に定荷重バネを利用した場合には、バンドの引き出し量の如何に関わらずベルト部材を巻き取ろうとする力が一定に保たれるため、生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットによって被験者の腹部が常に一定の締め付け強さで締め付けられることになり、被験者の腹部に対して常に一定の荷重で電極を押し当てることが可能になる。
【0190】
また、上述の本発明の実施の形態1ないし4においては、生体インピーダンス測定用上肢装着ユニットおよび下肢装着ユニットを用いて電極が被験者の四肢に接触配置されることが企図された体脂肪測定装置を例示して説明を行なったが、本発明の適用はこのような体脂肪測定装置に限られるものではなく、四肢に電極が接触配置されず胴部(腹部)にのみ電極が接触配置されることが企図された体脂肪測定装置にも当然に適用が可能である。
【0191】
さらには、上述の本発明の実施の形態1ないし4においては、測定時において被験者が仰臥位をとることが企図された体脂肪測定装置およびこれに具備される生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットに本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、被験者が伏臥位や横臥位、立位、座位など、仰臥位以外の姿勢をとることが企図された体脂肪測定装置およびこれに具備される生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットに本発明を適用することも当然に可能である。
【0192】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の機能ブロックを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置を用いて内臓脂肪面積、皮下脂肪面積および体脂肪率を測定する際の体脂肪測定装置の動作手順を定めたフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の外観構造を示す概略斜視図である。
【図4】(A)は、図3に示す生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部背面側ベース部の上面図であり、(B)は、側面図である。
【図5】(A)は、図3に示す生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部前面側ベース部の上面図であり、(B)は、電極フィルムを除く部分の側面図である。
【図6】(A)は、図3に示す生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部前面側ベース部の電極フィルムの下面図であり、(B)は、側面図である。
【図7】図3に示す生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部前面側ベース部の断面図である。
【図8】図7に示す巻取り機構の斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態1における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットを被験者の腹部に装着した状態を示す模式断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1の第1変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部前面側ベース部の側面図である。
【図11】本発明の実施の形態1の第1変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットを被験者の腹部に装着した状態を示す模式断面図である。
【図12】(A)は、本発明の実施の形態の第2変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部背面側ベース部の上面図であり、(B)は、側面図である。
【図13】本発明の実施の形態1の第2変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットを被験者の腹部に装着した状態を示す模式断面図である。
【図14】本発明の実施の形態1の第3変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部前面側ベース部の斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態2における体脂肪測定装置の機能ブロックを示す図である。
【図16】本発明の実施の形態2における体脂肪測定装置に具備される生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部側ベース部の電極フィルムを除く部分の模式断面図である。
【図17】図16に示す巻取り機構の斜視図である。
【図18】本発明の実施の形態3における体脂肪測定装置の胴部周囲長計測部の構成および当該胴部周囲長計測部によって被験者の胴部周囲長が自動計測される仕組みを説明するための模式図である。
【図19】本発明の実施の形態2における体脂肪測定装置を用いて内臓脂肪面積、皮下脂肪面積および体脂肪率を測定する際の体脂肪測定装置の動作手順を定めたフローチャートである。
【図20】本発明の実施の形態3における体脂肪測定装置の機能ブロックを示す図である。
【図21】被験者の胴部周囲長の変動と時々刻々と変化する生体インピーダンスとの関係を示すグラフである。
【図22】本発明の実施の形態3における体脂肪測定装置を用いて内臓脂肪面積、皮下脂肪面積および体脂肪率を測定する際の体脂肪測定装置の動作手順を定めたフローチャートである。
【図23】本発明の実施の形態4における体脂肪測定装置の外観構造を示す概略斜視図である。
【図24】(A)は、図23に示す生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部背面側ベース部の上面図であり、(B)は、側面図である。
【図25】図23に示す生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部背面側ベース部の断面図である。
【図26】(A)は、図23に示す生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットの腹部前面側ベース部の上面図であり、(B)は、電極フィルムを除く部分の側面図である。
【図27】図25に示す巻取り機構の斜視図である。
【図28】本発明の実施の形態4における生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットを被験者の腹部に装着した状態を示す模式断面図である。
【図29】本発明の実施の形態4の変形例に係る生体インピーダンス測定用腹部装着ユニットを被験者の腹部に装着した状態を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0194】
1A,1B,1C,1D 体脂肪測定装置、10 制御部、11 演算処理部、12 インピーダンス測定部、13 体脂肪量算出部、14 総脂肪量算出部、15 部位別脂肪量算出部、16 内臓脂肪量算出部、17 皮下脂肪量算出部、18 呼吸状態検出部、21 定電流生成部、22 端子切替部、23 電位差検出部、24 体格情報計測部、25 被験者情報入力部、26 表示部、27 操作部、28 電源部、29 メモリ部、30 胴部周囲長計測部、100A,100A1,100A2,100B,100C,100D,100D1 インピーダンス測定用腹部装着ユニット、101 装置本体、110A,110A1,110D,110D1 腹部背面側ベース部、112 支持基部、112a 一端部、112b 他端部、112c,112d スリット、113 突出部、114 上面、116a,116b ガイドユニット、117 把手部、120A,120A1,120A2,120D 腹部前面側ベース部、122 シート部、122a 一端部、122b 他端部、123 位置決め用貫通穴、126 電極フィルム、127 位置決め用貫通穴、128,129 電極、130,130a,130b 巻取りユニット、131,131a,131b 把手部、133,133a,133b シャーシ、134a,134b 支軸、135a1,135b1 シャフト、135a,135b リール、136a,136b 光電センサ、137a1,137a2,137a3,137b1,137b2,137b3,137b4,137b5 ローラ、138a,138b 付勢部、139a,139b ロータリエンコーダ、141a,141b 腹部背面側ベルト部材、142a1,142b1 係止突起、142a,142b 接続具、143a,143b 腹部前面側ベルト部材、143a1,143b1 エンコーダストリップ、144a,144b 接続具、144a1,144b1 係止凹部、145a,145b ベルト部材、146a,146b 接続具、146a1,146b1 係止凹部、147a,147b 係止突起、151 胴部周囲長計測回路、200 取付具、300 腹部、301 臍部、A11,A12,A21,A22 腹部電極、F11,F12,F21,F22 下肢電極、H11,H12,H21,H22 上肢電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体インピーダンスを測定するために被験者の胴部に装着される生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットであって、
装着状態において被験者の胴部前面および胴部背面のうちの一方に宛がわれる第1ベース部と、
装着状態において被験者の胴部前面および胴部背面のうちの前記一方とは異なる他方に宛がわれる第2ベース部と、
装着状態において前記第1ベース部の一端部寄りの部分と前記第2ベース部の一端部寄りの部分とを連結する第1連結手段と、
装着状態において前記第1ベース部の他端部寄りの部分と前記第2ベース部の他端部寄りの部分とを連結する第2連結手段と、
前記第1ベース部および前記第2ベース部のうちの少なくともいずれか一方に設けられ、装着状態において被験者の胴部表面に接触させられる複数のインピーダンス測定用電極とを備え、
前記第1連結手段は、一端が前記第1ベース部の前記一端部寄りの部分に取り付けられ、他端が前記第2ベース部の前記一端部寄りの部分に着脱自在に取り付けられる第1ベルト部材と、前記第1ベルト部材を前記第1ベース部の前記一端部寄りの部分に向けて付勢する第1付勢手段とを含み、
前記第2連結手段は、一端が前記第1ベース部の前記他端部寄りの部分に取り付けられ、他端が前記第2ベース部の前記他端部寄りの部分に着脱自在に取り付けられる第2ベルト部材と、前記第2ベルト部材を前記第1ベース部の前記他端部寄りの部分に向けて付勢する第2付勢手段とを含む、生体インピーダンス測定用胴部装着ユニット。
【請求項2】
前記第1ベース部および前記第2ベース部のうちの一方が、装着状態において被験者の胴部表面の形状に沿うように変形可能なシート状部材にて構成されており、
前記インピーダンス測定用電極が、前記シート状部材の被験者の胴部に面する側の主面に設けられている、請求項1に記載の生体インピーダンス測定用胴部装着ユニット。
【請求項3】
前記第1ベース部および前記第2ベース部のうちの一方が、装着状態において被験者の胴部表面の形状に沿うように変形可能な第1のシート状部材と、前記第1のシート状部材とは別部品からなり、装着状態において被験者の胴部と前記第1のシート状部材との間に介在されることによって胴部表面の形状に沿うように変形可能な第2のシート状部材とによって構成されており、
前記インピーダンス測定用電極が、前記第2のシート状部材の被験者の胴部に面する側の主面に設けられている、請求項1に記載の生体インピーダンス測定用胴部装着ユニット。
【請求項4】
前記第1ベース部および前記第2ベース部のうち、装着状態において被験者の胴部前面に宛がわれる方のベース部が、被験者の臍位置に位置合わせするための目印を有している、請求項1から3のいずれかに記載の生体インピーダンス測定用胴部装着ユニット。
【請求項5】
前記第1ベース部が、前記第1連結手段が取り付けられる前記一端部寄りの部分と前記第2連結手段が取り付けられる前記他端部寄りの部分との間の間隔を任意の距離に調節可能とする間隔調節機構を含んでいる、請求項1から4のいずれかに記載の生体インピーダンス測定用胴部装着ユニット。
【請求項6】
前記第1ベース部が、前記第1ベルト部材を巻き取り可能に収納する第1巻き取り手段と、前記第2ベルト部材を巻き取り可能に収納する第2巻き取り手段とを含んでおり、
前記第1付勢手段が、前記第1巻き取り手段に設けられており、
前記第2付勢手段が、前記第2巻き取り手段に設けられている、請求項1から5のいずれかに記載の生体インピーダンス測定用胴部装着ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットと、
前記複数のインピーダンス測定用電極を用いて被験者の生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
前記インピーダンス測定部によって測定された生体インピーダンスに基づいて被験者の体脂肪量を算出する体脂肪量算出部とを備えた、体脂肪測定装置。
【請求項8】
請求項6に記載の生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットと、
前記複数のインピーダンス測定用電極を用いて被験者の生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
前記第1ベルト部材の前記第1巻き取り手段からの引き出し量および前記第2ベルト部材の前記第2巻き取り手段からの引き出し量を検出することによって被験者の胴部周囲長を計測する胴部周囲長計測部と、
前記インピーダンス測定部によって測定された生体インピーダンスおよび前記胴部周囲長計測部によって計測された被験者の胴部周囲長に基づいて被験者の体脂肪量を算出する体脂肪量算出部とを備えた、体脂肪測定装置。
【請求項9】
前記生体インピーダンス測定用胴部装着ユニットを被験者の胴部に装着させた状態において、前記胴部周囲長計測部によって検出される被験者の胴部周囲長の変動を計測し、計測された被験者の胴部周囲長の変動に基づいて被験者の呼吸状態を検出する呼吸状態検出部をさらに備え、
前記体脂肪量算出部が、前記インピーダンス測定部によって測定された生体インピーダンス、前記胴部周囲長計測部によって計測された被験者の胴部周囲長および前記呼吸状態検出部によって検出された呼吸状態の情報に基づいて被験者の体脂肪量を算出する、請求項8に記載の体脂肪測定装置。
【請求項10】
前記体脂肪量算出部が、前記インピーダンス測定部によって測定された生体インピーダンスの時系列データから、前記呼吸状態検出部によって検出された呼気動作から吸気動作への移行のタイミングにおいて測定された生体インピーダンスを抽出し、抽出した生体インピーダンスから被験者の体脂肪量を算出する、請求項9に記載の体脂肪測定装置。
【請求項11】
前記体脂肪量算出部が、被験者の内臓脂肪量を算出する内臓脂肪量算出部を含んでいる、請求項7から10のいずれかに記載の体脂肪測定装置。
【請求項12】
前記体脂肪量算出部が、被験者の腹部における皮下脂肪量を算出する皮下脂肪量算出部を含んでいる、請求項7から11のいずれかに記載の体脂肪測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−22515(P2009−22515A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188616(P2007−188616)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】