説明

生体内情報をリアルタイムで画像化するためのシステム及び方法

【課題】生体内での物質の動態についての鮮明な画像をリアルタイムで得る技術を実現する。
【解決手段】生体内情報を測定する測定部1;測定部1にて得られた情報を処理して画像情報を生成する制御部2;及び、制御部2から出力された画像情報を表示する表示部3を備えている、生体内情報についての画像化システム10を提供する。画像化システム10において、測定部1は、被験体を固定する固定手段;放射性核種を取り込んだ被験体から放出されるβ線を可視光に変換するシンチレータ;及び、該可視光を撮影する撮影手段6を有している。また、β線を放出する放射性核種を取り込んだ被験体から放出されるβ線を、シンチレータを介して可視光に変換する工程;及び、該可視光を撮影する工程を包含する、生体内情報をリアルタイムで画像化するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内情報をリアルタイムで画像化するためのシステム及び方法に関するものであり、より詳細には、特定のシンチレータを用いて、ラジオアイソトープトレーサーを取り込ませた被験体から放出されるβ線をリアルタイムで画像化するためのシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生体内情報を得るために放射線が利用されている。用いられる放射線としては、α線、β線、γ線、X線などが挙げられる。α線は、ヘリウムの原子核に相当する複合粒子であり、β線は、高速で飛行する電子(β)または高速で飛行する陽電子(β)であるが、一般的には電子(β)が意図されている。γ線及びX線は、ともにエネルギーの高い電磁波であるが、原子核から放出される電磁波をγ線、軌道電子の再配列等により原子から放出される電磁波をX線として区別されている。
【0003】
このような放射線を可視光(例えば、蛍光)に変換する物質をシンチレータ(蛍光体)という。放射線をシンチレータに入射させると、入射した放射線のエネルギーによって、原子及び/又は分子の電子状態が励起状態に変化し、これにより蛍光体において可視領域の電磁波、すなわち蛍光が放出される。シンチレータは、放射線の測定又はX線による医療診断の現場でしばしば利用されている。
【0004】
シンチレータは、無機シンチレータと有機シンチレータとに分けられる。無機シンチレータはγ線に対する発光効率が高く、γ線の計測には、例えば、ヨウ化ナトリウム(NaI)に少量のタリウムを添加したNaIシンチレータが、使用されている。
【0005】
一方、有機シンチレータは、放射能濃度の高い試料の測定に適している。有機シンチレータとしては、アントラセン結晶及びポリスチレン又はポリビニルトルエンなどの有機固体(プラスチックシンチレータ)が挙げられる。プラスチックシンチレータは比重が小さいため、γ線の計測には適さないが、速中性子用検出器として用いられている。また、有機シンチレータは、低エネルギーのβ線を効率よく検出できる液体シンチレータとして、H、14C等の測定に広く用いられている。
【0006】
このような放射線は、生体の内部構造を画像化するために、特に医療分野においては診断の際の判断材料として利用されている。診断に用いられる放射線画像としては、X線写真(レントゲン写真)が知られている。X線写真は、生体の外部から照射したX線が生体を透過する際に、生体内の各組織におけるX線の吸収率の差に基づいて生成される透過像をフィルム上に記録したものである。生体内の構造又は組成によりX線の吸収率が異なるため、X線写真では、その差異が影絵となって現れる。
【0007】
実験室等における放射線の利用法としては、オートラジオグラフィーが挙げられる。生体の外側から放射線を照射してその透過像を画像化するX線写真に対して、オートラジオグラフィーは、生体内に取り込ませた放射性核種から放出される放射線を、生体の外側から測定し画像化する技術である。具体的には、オートラジオグラフィーは、トレーサーとして放射性核種を投与した生体からの組織切片をフィルムに密着させ、放出される放射線を露光することにより、トレーサーの移動又は分布を画像化する。オートラジオグラフィー技術は、放射線源の像を直接画像化するため、生体内の情報を正確に読み取ることが可能である。また、上記フィルムより高感度のイメージングプレート(Imaging Plate:IP)もまた開発されている。また、特許文献1には、生体スライス標本を撮影するためのポジトロン(β)撮影装置が開示されており、特許文献2には、反射膜を取り付けたプラスチックシンチレータを用いて、培養切片に取り込ませた放射性核種から放出されるβ線およびβ線が対消滅して生じるγ線を検出する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−292466号公報(平成9年11月11日公開)
【特許文献2】特開2004−212224号公報(平成16年7月29日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、生体内における物質の輸送、シグナル伝達のメカニズム等をより詳細に解析することが試みられており、そのために、生体中で物質がどのように移動しているのかをリアルタイムで解析する技術の開発が望まれている。特に、上述したような種々の技術の適用が検討されている。
【0009】
β線から画像を構成するためには、X線フィルムまたはイメージングプレート(IP)などを植物体に接触させる方法が用いられているが、これらの実験では、遮光および/またはサンプルのフィルムへの密着のために、サンプルとフィルムをカセッテなどで固定する必要がある。そのために、高感度であっても瞬間的な静止画像しか得ることができず、同じ生体で異なるステージにて連続的なリアルタイム解析を行うことができない。
【0010】
リアルタイムで連続画像を取得するためには、放射線を直接検出する半導体検出器デバイスの使用、または放射線を一旦可視光に変換してCCDカメラなどによってこの可視光を直接検出する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、β線を用いる技術では、核種の崩壊によって生じたβ線が、対消滅により、実際の検出対象となるγ線を放出するまでに数mm移動する。そのため、実際の核種の存在位置を正確に知ることは困難であり、よって高解像度な画像を得ることができない。例えば、γ線を計測することにより生きたままの植物中にて水の動きをリアルタイムで画像化することができるPETIS(Positron Emitting Tracer Imaging System)については、解像度および定量性の観点から改善の余地が残されているといわれている。なお、従来の放射線による植物機能の解明についてはhttp://mext-atm.jst.go.jp/atomica/08030105_1.htmlを参照のこと。
【0011】
このように、γ線または中性子線を用いた場合に高感度の画像を得ること、および微弱なβ線を用いた場合にリアルタイムでの検出を行うことは、これまでに達成されていない。すなわち、高感度かつ高解像度でのリアルタイムイメージングシステムは未だ存在しない。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、生体内での物質の動態についての高感度かつ高解像度でのリアルタイム画像を得る技術を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、放射性同位元素のトレーサーを用いて、このトレーサーの動態をリアルタイム画像として取得することにより、植物ホルモンおよび/または生合成産物の動態、ならびに植物体内での無機栄養塩類、重金属などの移動および/または吸収を解析することを試みた。その結果、本発明者らは、特定のシンチレータを用いたシステムを採用すれば、放射線から変換された微弱な蛍光を高解像度にて検出し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明に係る画像化システムは、生体内情報をリアルタイムで画像化するために、生体内情報を測定する測定部;該測定部にて得られた情報を処理して画像情報を生成する制御部;及び、該制御部から出力された画像情報を表示する表示部、を備えており、該測定部は、被験体を固定する固定手段;該被験体から放出されるβ線を可視光に変換するシンチレータ;及び、該可視光を撮影する撮影手段、を有している。
【0015】
上記構成に基づけば、固定手段上に固定された被験体から放出されたβ線がシンチレータにて変換された可視光として撮影手段に入射し得る。撮影手段は、入射した可視光を処理して画像情報を生成するための制御部と連結されており、撮影手段に入射した可視光の情報が制御部へ出力される。次いで、制御部にて解析された結果は表示部に出力され、被験体におけるトレーサーの分布状態が表示部に表示され得る。本システムを用いれば、実際の核種の存在位置を正確に知ることができるので、検出感度、定量性、解像度において優れた検出を行うことができる。
【0016】
本発明に係る画像化システムは、上記シンチレータが10〜200μmの範囲の厚さを有していることを特徴としている。これにより、従来なし得なかった、β線を用いた生体内情報の検出が可能となる。
【0017】
本発明に係る画像化システムは、上記シンチレータが無機シンチレータであることが好ましい。これにより、従来なし得なかった、β線を用いた生体内情報の検出が可能となる。
【0018】
本発明に係る画像化システムにおいて、上記シンチレータは、上記被験体を被覆するように配置されることが好ましい。
【0019】
本発明に係る画像化システムにおいて、上記放射性核種は、H、14C、32P、33P、35S、45Ca、87Rb、115In、176Luからなる群より選択されることが好ましい。
【0020】
本発明に係る画像化システムにおいて、上記放射性核種は、10〜2000KeVのβ線を放出する核種であることが好ましい。
【0021】
本発明に係る画像化システムにおいて、上記被験体は植物であってもよい。
【0022】
本発明に係る画像化システムにおいて、上記測定部は、上記被験体に取り込ませるための放射性核種を収納するための容器をさらに有していてもよく、上記容器に収納された放射性核種を上記被験体に導入するための導入管をさらに有していてもよい。
【0023】
上記構成に基づけば、β線を放出する放射性核種が容器に収納されており、該容器に挿入された導入管を介して固定手段上に固定された被験体へ該放射性核種が導入される。次いで、被験体から放出されたβ線がシンチレータにて変換された可視光として撮影手段に入射し得る。撮影手段は、入射した可視光を処理して画像情報を生成するための制御部と連結されており、撮影手段に入射した可視光の情報が制御部へ出力される。次いで、制御部にて解析された結果は表示部に出力され、被験体におけるトレーサーの分布状態が表示部に表示される。よって、本発明を用いれば、実際の核種の存在位置を正確に知ることができるので、被験体の対象部位へ放射性同位体標識物質が取り込まれる前後、すなわち、被験体の対象部位へ放射性同位体標識物質が取り込まれていく経過を観察することができる。
【0024】
本発明に係る画像化システムにおいて、上記測定部は遮光されていることが好ましい。これにより、本発明に係るリアルタイム画像化システムにおいて、微弱な可視光が検出され易くなる。
【0025】
本発明に係る画像化システムにおいて、上記画像情報は二次元または三次元の画像情報であることが好ましい。
【0026】
本発明に係る画像化システムにおいて、上記画像情報の画像解像度は0.1〜300μmが好ましいが、1〜25μmであってもよい。
【0027】
本発明に係る画像化システムは、生体内情報を定量的に測定し得る。
【0028】
すなわち、本発明に係る画像化方法は、生体内情報をリアルタイムで画像化するために、放射性核種を取り込んだ被験体から放出されるβ線を、シンチレータを介して可視光に変換する工程;該可視光を撮影する工程;該撮影した可視光の情報を処理して画像情報を生成する工程;及び、該画像情報を表示する工程、を包含している。
【0029】
本方法を用いれば、検出感度、定量性、解像度において優れた検出を行うことができる。
【0030】
本発明に係る画像化方法において、上記シンチレータは10〜200μmの範囲の厚さを有していることを特徴としている。これにより、従来なし得なかったβ線を用いた生体内情報の検出が可能となる。
【0031】
本発明に係る画像化方法において、上記シンチレータは無機シンチレータであることが好ましい。これにより、従来なし得なかったβ線を用いた生体内情報の検出が可能となる。
【0032】
本発明に係る画像化方法は、β線を放出する放射性核種を上記被験体に取り込ませる工程をさらに包含してもよく、蛍光物質を上記被験体に塗布する工程または取り込ませる工程をさらに包含してもよい。
【0033】
本発明に係る画像化方法において、上記放射性核種は、H、14C、32P、33P、35S、45Ca、87Rb、115In、176Luからなる群より選択されることが好ましい。
【0034】
本発明に係る画像化方法において、上記放射性核種は、10〜2000KeVのβ線を放出する核種であることが好ましい。
【0035】
本発明に係る画像化方法において、上記被験体は植物であってもよい。
【0036】
本発明に係る画像化方法において、上記画像情報は二次元または三次元の画像情報であることが好ましい。
【0037】
本発明に係る画像化方法において、上記画像情報の画像解像度は0.1〜300μmであって1〜25μmであってもよい。
【0038】
本発明に係る画像化方法は、被験体内部の状態を定量的に観測し得る。
【0039】
なお、本発明において対象とされるβ線は、好ましくはβ線である。
【発明の効果】
【0040】
本発明を用いれば、微弱なβ線を利用して高感度かつ鮮明な画像を得ることができる。また、本発明を用いれば、生体内情報(例えば、生体内での物質の挙動)について、従来では得ることができなかった鮮明な画像をリアルタイムで得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
生体内で物質がどのように移動しているのかをリアルタイムで解析できるようになれば、生体内での物質輸送のメカニズムをより詳細に明らかにすることができる。特に、植物が有する本来の能力を理解するためには、植物の特徴である導管および篩管によって形成されたネットワークにおける種々の物質の輸送過程を解析することが、重要である。
【0042】
そこで、本発明者らは、放射性同位元素のトレーサーを用いて、このトレーサーの動態をリアルタイム画像として取得することにより、植物ホルモンおよび/または生合成産物の動態、ならびに植物体内での無機栄養塩類、重金属などの移動および/または吸収を解析することを試みた。その結果、本発明者らは、特定のシンチレータを用いたシステムを採用すれば、放射線から変換された微量な蛍光を検出し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0043】
具体的には、β線を放出する放射性核種として45Ca、32Pおよび14Cを用い、本発明に係るシステムとイメージングプレート法とを比較した結果、本システムは、検出感度、定量性、解像度において優れていることがわかった。さらに、植物体におけるリアルタイムトレーサー実験を行った。具体的には、植物体(イネ、ダイズ、サツマイモ、シロイヌナズナなど)に14C標識のスクロースを茎から、または32Pもしくは45Caを根から吸収させて、組織ごとにこれらの動態についての経時的変化を解析した。その結果、本発明に係るシステムを用いれば、植物体内での物質移動をリアルタイムで高解像度にて観察し得ることがわかった。
【0044】
なお、特許文献2記載の技術は、厚さが0.2mm〜5mmの有機シンチレータを用いる技術であり、あくまでもβ線検出のための技術である。すなわち、当業者は、このような特許文献2の記載から本発明の構成を容易に導き出すことはできなかった。
【0045】
さらに、β線を用いる技術では、実際の核種の存在位置を正確に知ることは困難であるため、どんなに高性能の撮影手段を用いても、高解像度の画像を得ることは困難である。
【0046】
本明細書に接した当業者は、本発明によって達成し得た鮮明な画像が、従来では得ることができなかったものであり、本発明によって達成し得た鮮明な画像をリアルタイムで得ることができる技術が、従来の技術より明らかに秀でていることを容易に理解する。
【0047】
本発明に係るリアルタイム画像化システムの第一の実施形態を、図1〜3に基づいて説明する。
【0048】
本発明の一実施形態に係るリアルタイム画像化システム10の要部構成を示すブロック図を図1に示す。本実施形態に係るリアルタイム画像化システム10は、生体内情報を測定する測定部1;測定部1にて入力された情報を処理して画像情報を生成する制御部2;及び、制御部2から出力された画像情報を表示する表示部3を備えている。制御部2は、測定部1から送信された画像信号に対して、所定の加工および/または処理を施した後に、記録部にて記録するとともに、表示部3に画像(動画または静止画)を表示させる。また、制御部2は、記録された画像信号に基づいてデータ解析を行う。
【0049】
本発明の第一の実施形態に係るリアルタイム画像化システム10における測定部1の要部構成を示す概略図を図2に示す。図2に示すように、本実施形態に係るリアルタイム画像化システム10において、測定部1は、被験体9を固定する固定手段4;β線を放出する放射性核種を取り込んだ被験体9から放出されるβ線を可視光に変換するシンチレータ5;及び、該可視光を撮影する撮影手段6を有している。なお、図2においては、測定部1は、遮光部1’を有しており、固定手段4は遮光部1’内部に配置され、撮影手段6は遮光部1’内部を撮影し得るように遮光部1’に設けられている。測定部1は遮光部1’を有しているので、微弱な可視光が検出され易い。
【0050】
本実施形態において、上記構成に基づいて、固定手段4上に固定された被験体9から放出されたβ線がシンチレータ5にて変換された可視光として撮影手段6に入射し得る。撮影手段6は、入射した可視光を処理して画像情報を生成するための制御部2と連結されており、撮影手段6に入射した可視光の情報が制御部2へ出力される。次いで、制御部2にて解析された結果は表示部3に出力され、被験体9におけるトレーサーの分布状態が表示部3に表示される。
【0051】
本実施形態に係るリアルタイム画像化システム10において、固定手段4上に固定された被験体9はシンチレータ5によって被覆される。被験体9から拡散するβ線のうちの撮影に不要なものは吸収されることが好ましいので、固定手段4は放射線吸収性材料(例えば、鉛)からなることが好ましい。高解像度を得るためには、シンチレータ5と被験体9とは密着していることが好ましい。
【0052】
本発明に係るリアルタイム画像化システム10において使用される放射性核種は、β線を放出する放射性核種であれば何でもよく、例えば、H、14C、32P、33P、35S、45Ca、87Rb、115In、176Luからなる群より選択されるものが使用され得る。
【0053】
本発明に係るリアルタイム画像化システム10において、シンチレータ5は、10〜200μmの範囲の厚さを有していることが好ましい。さらに、シンチレータ5は、無機シンチレータであることが好ましい。無機シンチレータとしては、NaI(Tl)、CsI(Tl)、CsI(Na)、CsF、CaF(Eu)、BaF、CdWO、ZnWO、PbWOなどが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態において、シンチレータ5は、ファイバープレートに蒸着させたCsIである。
【0054】
微弱なβ線から変換された可視光もまた微弱であるため、シンチレータ5と撮影手段6との間隔もまた離れていないことが好ましいが、撮影手段6の性能に応じて適宜変更され得る。撮影手段6を取外し可能にする場合を考慮すると、固定手段4は、図2に示すように、撮影手段6に向けて移動可能であることが好ましい。なお、撮影手段6としては、公知のフォトンカウンティングCCDカメラ等を用いればよい。
【0055】
なお、測定部1を暗室内に設置する場合は、測定部1は遮光部1’を有している必要はなく、被験体9から放出されたβ線を撮影手段6によって首尾よく撮影し得るように、固定手段4、シンチレータ5および撮影手段6が設置されていればよい。
【0056】
図2に示すリアルタイム画像化システム10において、固定手段4は、被験体9を保持するための保持部44、保持部44を配置するためのステージ部41、固定手段4の足場を形成するスタンド部42、およびステージ部41とスタンド部42とを連結するアーム部43から構成されている。アーム部43は伸縮自在であり、伸縮することによりステージ部41とスタンド部42との間隔を首尾よく変更し得る。図2に示すように、ステージ部41および保持部44が独立している場合は、保持部44、被験体9及びシンチレータ5からなるサンプルを測定部1の外にて作製し得る。もちろん、ステージ部41と保持部44とは同一であってもよい。ステージ部41と保持部44とが別々である場合、保持部44は、拡散するβ線のうちの撮影に不要なものを吸収することが好ましいので、放射線吸収性材料(例えば、鉛)からなることが好ましい。
【0057】
本発明に係るリアルタイム画像化システム10において、制御部2は、撮影手段6において検出した可視光を演算しかつ収集したデータを処理し、その結果を表示部3へ出力する。本発明における制御部2は、演算部、記憶部、処理部などの複数の機能部位を併せ持つ構成を有し、制御部2の記憶部には、制御部2の処理部にて行われる演算を実行するプログラムが格納されており、記憶部には収集されたデータもまた記録され、必要に応じて処理部に入力される。制御部2において、記憶部に格納されたプログラムを演算部が実行し、図示しない入出力回路などの周辺回路を制御することによって、制御が実現される。これらの機能ブロックは、全て演算部の制御を受けており、これら機能ブロックは、その具体的な構成、機能等は特に限定されるものではない。一実施形態において、本発明における制御部2は、種々の言語を用いて作製されかつROMおよび/またはRAMなどの記録媒体に格納されたプログラムコードを実行するCPUなどの演算手段であり得る。
【0058】
なお、本発明に係るリアルタイム画像化システム10は、微弱なβ線を用いて生体内情報をリアルタイムに画像化するので、画像化に適した生体としては比較的薄いサンプルを提供し得る植物、培養細胞が挙げられるが、これらに限定されず、哺乳動物(例えば、ヒト)であってもよい。
【0059】
本発明の第二の実施形態に係るリアルタイム画像化システム10の要部構成を示す概略図を図3に示す。図3に示すように、本実施形態に係るリアルタイム画像化システム10において、測定部1は、被験体9を固定する固定手段4;β線を放出する放射性核種を取り込んだ被験体9から放出されるβ線を可視光に変換するシンチレータ5;及び、該可視光を撮影する撮影手段6を有し、測定部1はさらに、被験体9に取り込ませるための放射性核種を収納するための容器7、及び容器7に収納された放射性核種を被験体9に導入するための導入管8を有している。なお、図3においては、測定部1は、遮光部1’を有しており、固定手段4は遮光部1’内部に配置され、撮影手段6は遮光部1’内部を撮影し得るように遮光部1’に設けられている。測定部1は遮光部1’を有しているので、微弱な可視光が検出され易い。また、容器7及び導入管8もまた遮光部1’内に格納されている。
【0060】
本実施形態において、β線を放出する放射性核種が容器7に収納されており、容器7に挿入された導入管8を介して該放射性核種が固定手段4上に固定された被験体9へ導入される。次いで、被験体9から放出されたβ線がシンチレータ5にて変換された可視光として撮影手段6に入射し得る。撮影手段6は、入射した可視光を処理して画像情報を生成するための制御部2と連結されており、撮影手段6に入射した可視光の情報が制御部2へ出力される。次いで、制御部2にて解析された結果は表示部3に出力され、被験体9におけるトレーサーの分布状態が表示部3に表示される。
【0061】
第一の実施形態においては、すでに取り込まれている放射性核種に基づくデータのみを採取し得るが、第二の実施形態においては、上記構成に基づいて、放射性核種が取り込まれる前後、すなわち、放射性核種が取り込まれていく経過を観察することができる。なお、第二の実施形態において、容器7及び導入管8以外の構成及び組成は第一の実施形態において示したものと同じでよい。
【0062】
なお、第二の実施形態において、容器7に収納された放射性核種が、被験体9とは独立した導入管8を介して被験体9へ導入される構成を例に挙げて説明したが、被験体9と導入管8とは一体形成されていてもよい。また、被験体9自体が導入管8に相当する部分を有している場合は、該相当する部分を直接容器7に挿入してもよい。例えば、被験体9が植物(特に葉部分)である場合は、該植物の根〜茎の部分が直接容器7に挿入されてもよい。
【0063】
なお、第一の実施形態と同様に、第二の実施形態においても、測定部1を暗室内に設置する場合は、測定部1は遮光部1’を有している必要はなく、被験体9から放出されたβ線を撮影手段6によって首尾よく撮影し得るように、固定手段4、シンチレータ5および撮影手段6が設置されていればよく、被験体9へ放射性核種が首尾よく導入され得るように容器7及び導入管8が配置されていればよい。
【0064】
また、本発明に係るリアルタイム画像化システム10は、微弱なβ線を用いて生体内情報をリアルタイムに画像化するので、画像化に適した生体としては比較的薄いサンプルを提供し得る植物、培養細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
別の局面において、本発明は、生体内情報をリアルタイムで画像化するための方法を提供する。本発明に係る画像化方法は、上述した第一の実施形態および第二の実施形態を実行するための方法である。
【0066】
一実施形態において、本発明に係る生体内情報をリアルタイムで画像化するための方法は、β線を放出する放射性核種を取り込んだ被験体から放出されるβ線を、シンチレータを介して可視光に変換する工程;及び、該可視光を撮影する工程、を包含することを特徴としている。本実施形態に係る方法は、β線を放出する放射性核種を上記被験体に取り込ませる工程をさらに包含してもよい。
【0067】
本発明に係る方法において使用される放射性核種は、β線を放出する放射性核種であれば何でもよく、例えば、H、14C、32P、33P、35S、45Ca、87Rb、115In、176Luからなる群より選択されるものが使用され得る。また、本発明に係る方法において使用されるシンチレータは、10〜200μmの範囲の厚さを有していることが好ましい。さらに、シンチレータ5は、無機シンチレータであることが好ましい。無機シンチレータとしては、NaI(Tl)、CsI(Tl)、CsI(Na)、CsF、CaF(Eu)、BaF、CdWO、ZnWO、PbWOなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0068】
なお、本発明に係る方法は、上述したリアルタイム画像化システム10を用いて行われることが好ましいが、必ずしも上述した構成を有するシステムを用いられる必要がないことを、当業者は容易に理解する。また、本発明に係る方法においては、微弱なβ線を用いて生体内情報をリアルタイムに画像化するので、画像化に適した生体としては比較的薄いサンプルを提供し得る植物、培養細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
このように、本発明は、β線を用いることにより動植物の体内の状態を観測するシステムおよび方法に関し、本発明を用いれば、当該状態をリアルタイムに2次元または3次元の画像として可視化することができる。
【0070】
本発明を用いれば、β線を放出する放射性核種を動植物に取り込ませた後、被験体から放出されるβ線を可視光に変換するシンチレータを用い、動植物の内部の状態を観測することができる。また、本発明において、β線を放出する放射性核種および蛍光物質を動植物に取り込ませれば、被験体から放出される蛍光を、β線からの情報と同時にリアルタイムに観測することができる。なお、本発明において使用される放射性核種は、10〜2000KeVのβ線を放出する核種であることが好ましい。
【0071】
本発明は、顕微鏡を用いて実行されてもよく、定量的に動植物の内部の状態を観測し得る。本発明は、0.1〜300μmの解像度を有する画像や、1〜25μmの解像度を有する画像を提供し得る。
【0072】
なお、後述する実施例において、植物を被験体として用いて本発明を実証しているが、本発明の適用対象は植物に限定されないことを、本明細書を読んだ当業者は容易に理解する。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【実施例】
【0073】
〔実施例1〕
β線の均一な線源([32P])の上に500μm幅の間隔をあけて遮蔽板を2枚配置し、その上に各種シンチレータを密着させて、変換された可視光を、AQUACOSMOS/GaAsP IIシステム(浜松ホトニクス:以下、フォトンカウンティングシステム)を用いて検出した(図4)。フォトンカウンティングシステムは、発光現象を画像化することができる超高感度カメラシステムである。図4において、線源からのβ線はシンチレータによって可視光に変換され、図中矢印方向に進んで検出システムにて検出される。結果を図5および6に示す。
【0074】
図5(a)は明視野像を示し、(b)はCaFシンチレータを用いた際の検出結果を示し、(c)はCsIシンチレータを用いた際の検出結果を示す。これらの結果は、シンチレータの厚さが解像度に影響を与えることを示す。
【0075】
図6(a)および(b)は、それぞれCsIシンチレータおよびCaFシンチレータを用いた際の、解像度に対するシンチレータの厚さの影響を示すグラフである。これらの結果から、シンチレータの種類によっては従来では考えられなかった厚さで高解像度を得ることができることがわかった。
【0076】
〔実施例2〕
ダイズ植物(エンレイ品種)を、地上部が約20cm程度になるまで生育させた。0.25mCiの[32P]−オルトリン酸を添加したレザバ内の水耕液50mlにダイズの根を浸した。一晩放置したダイズから葉を採取し、鉛ブロック上に配置した。ヨウ化セシウム(CsI)シンチレータ(150μm厚)を蒸着させたファイバープレート(以下、CsIシンチレータ)を用いてダイズ葉を被覆した後、これらを、フォトンカウンティングシステムと接続した暗箱内に配置し、葉から放出されるβ線を検出した。コントロールとして、採取した葉を、製造業者の指示書に従ってイメージングプレート(Imaging Plate(富士写真フィルム))に感光させた(図7)。[32P]−オルトリン酸の代わりに[45Ca]−塩化カルシウム又は[14C]−スクロースを用いて、同様の実験を行った。結果を、それぞれ図8及び図9に示す。
【0077】
図7(a)は、[32P]を吸収させたダイズ全体をイメージングプレートに感光させた結果を示す図である。図7(b)は、図7(a)に示すダイズの葉をイメージングプレートに感光させた結果を示す図であり、図7(c)は図7(b)と同じ葉から放出されるβ線を本発明に係るシステムによって検出した結果を示す図である。図7(d)は、図7(b)および(c)とは異なる葉をイメージングプレートに感光させた結果を示す図であり、図7(e)は図7(d)と同じ葉から放出されるβ線を本発明に係るシステムによって検出した結果を示す図である。
【0078】
図8(a)は、[45Ca]を吸収させたダイズ全体をイメージングプレートに感光させた結果を示す図である。図8(b)は、図8(a)に示すダイズの葉をイメージングプレートに感光させた結果を示す図であり、図8(c)は図8(b)と同じ葉から放出されるβ線を本発明に係るシステムによって検出した結果を示す図である。
【0079】
図9(a)は、[14C]を吸収させたダイズ全体をイメージングプレートに感光させた結果を示す図である。図9(b)は、図9(a)に示すダイズの葉をイメージングプレートに感光させた結果を示す図であり、図9(c)は図9(b)と同じ葉から放出されるβ線を本発明に係るシステムによって検出した結果を示す図である。図9(d)は、図9(b)および(c)とは異なる葉から放出されるβ線を本発明に係るシステムによって検出した結果を示す図である。
【0080】
図7及び8に示すように、[32P]又は[45Ca]を吸収させたダイズ葉画像は、CsIシンチレータを介した検出の方がイメージングプレートを用いた検出よりも高感度であった。また、図9に示すように、[14C]を吸収させたダイズ葉画像については、CsIシンチレータを介した撮影開始10分後の画像と、イメージングプレートへの感光開始2時間後の画像とが同程度であった。
【0081】
さらに、標準試料としての[32P]−オルトリン酸を100nCi〜0.025nCi(3.7kBq〜1Bq)の濃度範囲で12段階に希釈し、それぞれの濃度毎のスポットを作製した。これらのスポットをイメージングプレートに20分間感光した結果を、図10に示す。また、CsIシンチレータを介した検出の感度を分析するために、これらのスポットを上記カメラシステムを用いて20分間撮影して、検出感度を調べた(図11)。また、コントロールとして、同一のスポットをイメージングプレートに20分間感光した場合の検出感度を調べた(図12)。図11及び12に示されるように、同一の単位時間(20分以内)で比較した場合、CsIシンチレータを介した検出は、イメージングプレートを用いた検出の約10倍の検出感度を示した。よって、CsIシンチレータを介した検出システムは短時間で画像を構築するに好ましいシステムであることがわかった。また、解像度についてもイメージングプレートを用いた検出と同程度であった。
【0082】
以上のことより、CsIシンチレータを介した検出システムは高感度かつ高解像度を有し、単位時間毎の連続撮影画像を取り込むことがわかった。すなわち、CsIシンチレータを介した検出システムを用いれば、放射性核種の動態をリアルタイムで撮影することができると考えられる。
【0083】
〔実施例3〕
実施例2に記載のCsIシンチレータを介した検出システムを用いて、実際に植物体内における放射性核種の動態をリアルタイムに撮影することができるかを調べた。
【0084】
本実施例では供試植物としてダイズ、イネ及びシロイヌナズナを用いた。ダイズ(エンレイ種)については、水分を含ませたバーミキュライト内で発芽させた後、Hoagland水耕液に移し、28℃にて16時間明期/8時間暗期のサイクルの条件下で生育させた。発芽から2、3週間目のダイズ葉及び6週目のダイズ植物体を撮影に用いた。イネ(日本晴)については、1%次亜塩素酸で滅菌した種子を30℃にて2日間暗所下で発芽させた後、Hoagland水耕液に移し、28℃、16時間明期/8時間暗期のサイクルの条件下で生育させた。発芽から2週間目のイネ植物体を用いた。シロイヌナズナ(Landsberg erecta)については、土壌に種子を播き、4℃暗所下にて3日間低温処理を行った後、24℃、恒常光下で生育させた。発芽から6週目のシロイヌナズナ植物体を撮影に用いた。
【0085】
Phosphorus−[32P]リン酸水溶液(和光純薬)を、ダイズへ0.2mCi〜0.8mCi、イネへ0.16mCi、シロイヌナズナへ0.19mCiをそれぞれ水耕液に添加し吸収させ、実施例2と同様に鉛ブロック上に固定し、シンチレータCsIシンチレータを用いて、ダイズ葉、ダイズ莢、ダイズ新芽、又はイネ穂を被覆した後、フォトンカウンティングシステムと接続した暗箱内に配置した。配置した植物から放出されるβ線を、フォトンカウンティングシステムを用いて1〜3分おきに24時間撮影した。図13〜18は、それぞれダイズ葉、ダイズ莢、ダイズ新芽、イネ穂およびシロイヌナズナの生体内におけるリアルタイムのリン酸の移動を撮影した結果を示す。
【0086】
図13では、ダイズ葉の茎との連結部分および三枚の葉の分岐点で32Pの集積が観察される。図14は、三枚葉の中央部を示し、葉の一部分に32Pの集積が観察される。図15は、ダイズ莢を示し、茎と葉との連結部分に32Pが一時的に集積した後に、莢全体へ一定量を保ったまま32Pが流入されている様子を示す。莢部分では、32Pは一定量を超えて集積することはない。この状態を保ちながら、32Pが種子へ集積し始めることが観察される。
【0087】
図16は、ダイズ新芽における32Pの集積を示す。32Pは、積極的に新芽へ運搬されており、葉の分岐点を境に、細胞分裂の盛んな新芽への流入は多いが、三枚葉への流入は少ないことがわかる。図17は、イネでの32Pの集積を示す。新芽よりも大きな葉への32Pの集積が生じていることがわかる。本システムも用いれば、イネのような細い植物であってもその葉脈まで観察することができる。図18は、シロイヌナズナでの32Pの集積を示す。32Pは茎頂まで到達した後に莢へも運搬されていることがわかる。なお、図において中央部分の輝度が高いのは、がく片が重なっているためである。
【0088】
図13〜18に示すように、[32P]トレーサーを用いて生体内情報を高解像度にてリアルタイムで画像化することができた。すなわち、植物体内での[32P]トレーサーの輸送経路においてリン酸要求度の違い、および輸送経路分岐点におけるリン酸の集積を確認し得た。すなわち、本発明に係るシステムは、植物のような薄い組織を観察する際には特に優れたシステムであるといえる。
【0089】
本発明を用いれば、植物ホルモンの動態をリアルタイムで解析することができるので、環境応答時に生じる長距離シグナル伝達を解析し得る。また、本発明は、短時間に生じる減少をリアルタイムで観察することができるので、生体内での現象を解明するための新たなアプローチを提供し得る。
【0090】
本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
これまでなし得なかった生体内情報のリアルタイム画像化を実現するために、シンチレータのさらなる開発が期待され得る。また、本発明の改良および/または発展に必要とされる高性能カメラの開発もまた期待され得る。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、リアルタイム画像化システムの要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態を示すものであり、リアルタイム画像化システムの要部構成を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態を示すものであり、リアルタイム画像化システムの要部構成を示す概略図である。
【図4】シンチレータの厚さが解像度に与える影響を調べるための構成を示す概略図である。
【図5】(a)は、図4に示した検出システムにて撮影した明視野像を示す。(b)はCaFシンチレータを用いた際のβ線検出結果を示す。(c)はCsIシンチレータを用いた際のβ線検出結果を示す。
【図6】(a)は、図4に示した構成においてCsIシンチレータを用いた際の、解像度に対するシンチレータの厚さの影響を示すグラフである。(b)は、図4に示した構成においてCaFシンチレータを用いた際の、解像度に対するシンチレータの厚さの影響を示すグラフである。
【図7】[32P]−オルトリン酸を吸収させたダイズ葉から放出されるβ線を、CsIシンチレータを介した検出システムまたはイメージングプレートを用いて検出した結果を示す図である。
【図8】[45Ca]−塩化カルシウムを吸収させたダイズ葉から放出されるβ線を、CsIシンチレータを介した検出システムまたはイメージングプレートを用いて検出した結果を示す図である。
【図9】[14C]−スクロースを吸収させたダイズ葉から放出されるβ線を、CsIシンチレータを介した検出システムまたはイメージングプレートを用いて検出した結果を示す図である。
【図10】段階希釈した[32P]−オルトリン酸を用いて作製したスポットをイメージングプレートに感光した結果を示す図である。
【図11】段階希釈した[32P]−オルトリン酸を用いて作製したスポットを、CsIシンチレータを介した検出システムを用いて検出した際の検出量の経時的変化に示すグラフである。
【図12】段階希釈した[32P]−オルトリン酸を用いて作製したスポットをイメージングプレートに感光した際の検出量の経時的変化に示すグラフである。
【図13】ダイズ葉内における[32P]リン酸の移動をリアルタイムで撮影した結果を示す図である。
【図14】ダイズ葉(3枚葉中央部分)における[32P]リン酸の移動をリアルタイムで撮影した結果を示す図である。
【図15】ダイズ莢内における[32P]リン酸の移動をリアルタイムで撮影した結果を示す図である。
【図16】ダイズ新芽内における[32P]リン酸の移動をリアルタイムで撮影した結果を示す図である。
【図17】イネ穂内における[32P]リン酸の移動をリアルタイムで撮影した結果を示す図である。
【図18】シロイヌナズナ内での[32P]リン酸の移動をリアルタイムで撮影した結果を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1 測定部
1’ 遮光部
2 制御部
3 表示部
4 固定手段
5 シンチレータ
6 撮影手段
7 容器
8 導入管
9 被験体
10 画像化システム
41 ステージ部
42 スタンド部
43 アーム部
44 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内情報をリアルタイムで画像化する画像化システムであって、
該画像化システムは、
生体内情報を測定する測定部;
該測定部にて得られた情報を処理して画像情報を生成する制御部;及び
該制御部から出力された画像情報を表示する表示部
を備えており、
該測定部は、
被験体を固定する固定手段;
β線を放出する放射性核種を取り込んだ被験体から放出されるβ線を可視光に変換するシンチレータ;及び
該可視光を撮影する撮影手段
を有していることを特徴とする画像化システム。
【請求項2】
前記シンチレータが10〜200μmの範囲の厚さを有していることを特徴とする請求項1に記載の画像化システム。
【請求項3】
前記シンチレータが無機シンチレータであることを特徴とする請求項1に記載の画像化システム。
【請求項4】
前記シンチレータが、前記被験体を被覆するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像化システム。
【請求項5】
前記放射性核種が、10〜2000KeVのβ線を放出する核種であることを特徴とする請求項1に記載の画像化システム。
【請求項6】
前記測定部が、前記被験体に取り込ませるための放射性核種を収納するための容器をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載の画像化システム。
【請求項7】
前記測定部が、前記容器に収納された放射性核種を前記被験体に導入するための導入管をさらに有していることを特徴とする請求項6に記載の画像化システム。
【請求項8】
前記測定部が遮光されていることを特徴とする請求項1に記載の画像化システム。
【請求項9】
前記画像情報が二次元または三次元の画像情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像化システム。
【請求項10】
前記画像情報の画像解像度が0.1〜300μmであることを特徴とする請求項1に記載の画像化システム。
【請求項11】
生体内情報を定量的に測定し得ることを特徴とする請求項1に記載の画像化システム。
【請求項12】
生体内情報をリアルタイムで画像化するための方法であって、
β線を放出する放射性核種を取り込んだ被験体から放出されるβ線を、シンチレータを介して可視光に変換する工程;
該可視光を撮影する工程;
該撮影した可視光の情報を処理して画像情報を生成する工程;及び
該画像情報を表示する工程
を包含することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図11】
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【図12】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−111681(P2008−111681A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293355(P2006−293355)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】