生体内挿入用カテーテルおよび薬液注入具
【課題】生体内への挿入が容易であり、かつ、薬液注入および体液採取操作における応答性がより良好である生体内挿入用カテーテルを提供する。
【解決手段】生体内挿入用カテーテル1は、閉塞した先端21と、内部ルーメン22と、先端に向かって縮径する先端テーパー部20と、先端21より所定長基端側かつ先端テーパー部20に設けられた側孔23とを有する可撓性カテーテルチューブ2と、先端テーパー部20の側孔形成部を被包し、かつ先端側固定部33および基端側固定部34によりカテーテルチューブ2に固着された筒状弾性スリーブ3とを備える。筒状弾性スリーブ3は、側孔23のほぼ中心をカテーテルチューブ2の軸方向に横切るとともに、側孔23の両端部を越えて所定長延びるスリット31を備える。
【解決手段】生体内挿入用カテーテル1は、閉塞した先端21と、内部ルーメン22と、先端に向かって縮径する先端テーパー部20と、先端21より所定長基端側かつ先端テーパー部20に設けられた側孔23とを有する可撓性カテーテルチューブ2と、先端テーパー部20の側孔形成部を被包し、かつ先端側固定部33および基端側固定部34によりカテーテルチューブ2に固着された筒状弾性スリーブ3とを備える。筒状弾性スリーブ3は、側孔23のほぼ中心をカテーテルチューブ2の軸方向に横切るとともに、側孔23の両端部を越えて所定長延びるスリット31を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液を患者の生体内に注入する生体内挿入用カテーテルおよび薬液注入具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
癌などの治療で、血管内に抗癌剤を注入したり、疼痛緩和などで、硬膜外、くも膜下に麻酔薬を注入する薬液注入療法が行われている。
このような薬液注入療法では、血管(静脈や動脈)、胆管、尿管、硬膜外、くも膜下、腹腔などの生体内に挿入されるカテーテルが用いられる。薬液注入療法では、カテーテルは、生体内に留置されるため、体液がカテーテル内に流入可能かつ、カテーテルより薬液を生体内に注入可能であることが必要となる。
上記のような目的に使用可能なカテーテルとしては、特公平5−18591号公報(特許文献1)、特開2002−369880号公報(特許文献2)がある。
また、薬液注入療法に用いるための薬液注入具が提案されている。薬液注入具としては、例えば、特公平4−10832号公報(特許文献3)、さらには、本願出願人が提案する特開2004−350937号公報(特許文献4)および特許第3137360号公報(特許文献5)などがある。
これら薬液注入具は、本体と、この本体内に形成された内部空間と、この空間に連通する薬液注入口および薬液流出用の流路と、この薬液注入口に装着されたゴム製の栓体(セプタム)とを有する薬液注入ポートと、薬液注入用のルーメンが形成されたカテーテルとを有する。
そして、薬液注入具は、カテーテルを目的生体に挿入し、その先端を目的部位に位置させた後、カテーテルの基端側の余剰部分を切断し、その切断端部を薬液注入ポートに接続した後、薬液注入ポートを皮下組織に固定することにより生体内に留置される。このため、カテーテルの生体内への挿入は、早期に行えることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平5−18591号公報
【特許文献2】特開2002−369880号公報
【特許文献3】特公平4−10832号公報
【特許文献4】特開2004−350937号公報
【特許文献5】特許第3137360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、以下の開示がある。
第7図乃至第10図を参照すると、本発明のさらに別の実施例が図示されている。この構成において、カテーテル32の末梢端の部分断面図は、ルーメンを備えて図示されており、この組立体30は、鎧装34の端部壁36により開放末梢端33を覆う鎧装38を備える状態が図示されている。しかし、この場合、別個の穴40が、カテーテル32の環状壁に位置決めされている。カテーテル32の穴40内にて鎧装34には、スリット弁38が位置決めされている。このようにして、端部壁36を除いて、弁組立体30は第1図の実施例と同様の二重壁構造体を備え、カテーテル組立体30の末梢端に対してより大きい嵩を提供する。これは、上述のように、カテーテル32の損傷及び(又は)変形を防止する効果があり、カテーテル32を通るいずれの方向への流体の流れを閉塞することがなく、薬剤を一方向に投与するか、又は、血液標本を反対方向に採取することが出来る。
この構成の場合、第1図に図示した構成の場合と同様に、スリット弁38は、本発明の組立体が注入位置にあるときに、比較的肉厚の薄い鎧装34の壁のために、任意の速度にて圧力差に対して迅速に応答し、流体を矢印44,46の方向に流動させ、弁38のフラップ42を開放させ、又、流体を流動させる。勿論、弁38は第1図に図示した実施例と同一の方法にて、反対方向に作動し、血液標本を採取することが出来ることが理解されよう。
特許文献2には、以下の開示がある。
実施例6この実施例の腹腔−静脈シャント用カテーテル20は、カテーテル本体19の長さ中間の対向側部に、図6に示すように、長円状の通液側孔からなる排出口31、32が開口され、これらの排出口31、32を覆うようにカテーテル本体19に円筒状の軟質カバー33が外装され、軟質カバー33には排出口31、32に対応する位置にそれぞれ直線状のスリット34が形成されたものである。スリット34は、カテーテル内部を流れる液体の圧が外部圧より所定値高くなれば、軟質カバー33の弾性に抗して開き液体を流出させるが、内圧がこの値より低いと、軟質カバー33の弾性復元力によって閉じて液体の逆流を阻止する。したがって、スリット34は逆流阻止弁としても機能する。軟質シート10はゴム製のものが好ましいが、軟質プラスチック製のものでもよい。
上記のものである程度の効果を有するが、生体内への挿入が容易であり、かつ、薬液注入および体液採取操作における応答性がより良好であることが望ましい。
本発明の目的は、生体内への挿入が容易であり、かつ、薬液注入および体液採取操作における応答性がより良好である生体内挿入用カテーテルおよび薬液注入具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 閉塞した先端と、内部ルーメンと、前記先端に向かって縮径する先端テーパー部と、前記先端より所定長基端側かつ前記先端テーパー部に設けられた側孔とを有する可撓性カテーテルチューブと、前記先端テーパー部の前記側孔形成部を被包し、かつ先端側固定部および基端側固定部により前記カテーテルチューブに固着された筒状弾性スリーブとを備え、前記筒状弾性スリーブは、前記側孔のほぼ中心を前記カテーテルチューブの軸方向に横切るとともに、前記側孔の両端部を越えて所定長延びるスリットを備える生体内挿入用カテーテル。
【0006】
(2) 前記筒状弾性スリーブは、前記カテーテルチューブに非伸張状態にて固着されている上記(1)に記載の生体内挿入用カテーテル。
(3) 前記筒状弾性スリーブは、ほぼ同一内径を有し、前記スリーブの先端部の内径は、該スリーブの前記先端側固定部における前記カテーテルチューブの外径より若干大きいものであり、前記スリーブの基端部の内径は、該スリーブの前記基端側固定部における前記カテーテルチューブの外径と等しいもしくは若干大きいものである上記(1)または(2)に記載の生体内挿入用カテーテル。
(4) 前記スリーブの前記先端側固定部の外面は、前記カテーテルチューブの先端側に向かって縮径するテーパー部となっており、前記スリーブの前記基端側固定部は、前記カテーテルチューブの基端側に向かって縮径するテーパー部となっている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテル。
(5) 前記側孔は、前記カテーテルチューブの軸方向に長い楕円状である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテル。
(6) 前記カテーテルは、基端側より前記ルーメン内に液体を注入することにより、前記スリットが開き、該開いたスリットより液体を生体内に注入可能であり、かつ、基端側での前記ルーメン内の吸引時に、前記スリットが開き、該開いたスリットより体液を吸引可能である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテル。
【0007】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(7) 上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテルと、該カテーテルを着脱可能に装着する薬液注入部材とからなる薬液注入具であって、前記薬液注入部材は、開口部と、前記開口部と連通する薬液流入空間と、前記薬液流入空間と連通しかつ前記カテーテルを着脱可能に装着する排出ポートとを有する注入部材本体と、前記注入部材本体の前記開口部を封止するとともに薬液注入用針の刺通が可能なシール部とを備えるものである薬液注入具。
【0008】
(8) 前記注入部材本体は、前記薬液流入空間と連通する流通部を備え、前記排出ポートは、前記カテーテルの外径と同じ若しくは若干大きい内径を有し、一端側が前記流通部と連通し、他端側がカテーテル挿入口を形成し、前記カテーテルの基端部の挿入を可能とするカテーテル基端部装着部と、前記カテーテル基端部装着部の一端より所定長前記カテーテル挿入口側に位置するカテーテル抜け止め用の環状突出部とを備え、さらに、該環状突出部は、前記カテーテル基端部装着部の前記カテーテル挿入口側より一端側に向かって縮径する環状テーパー面と、前記カテーテルの外径より小さい内径を有し、かつ鋭角に形成された環状突出端部とを有するものである上記(7)に記載の薬液注入具。
(9) 前記薬液注入部材は、前記流通部と前記カテーテル基端部装着部の前記環状突出部との間により形成されたカテーテル基端収納部を備えている上記(8)に記載の薬液注入具。
(10) 前記カテーテル挿入口は、開口端方向に向かって拡径している上記(8)または(9)のいずれかに記載の薬液注入具。
(11) 前記薬液注入具は、前記流通部と前記カテーテル基端部装着部の前記環状突出部との間により形成されたカテーテル基端収納部を備え、さらに、前記薬液注入具の前記カテーテル基端収納部を形成する部位は、該カテーテル基端収納部に収納されたカテーテルの基端部を外部より視認可能な透明性を有している上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の薬液注入具。
【発明の効果】
【0009】
本発明の生体内挿入用カテーテルは、閉塞した先端と、内部ルーメンと、先端に向かって縮径する先端テーパー部と、先端より所定長基端側かつ先端テーパー部に設けられた側孔とを有する可撓性カテーテルチューブと、先端テーパー部の側孔形成部を被包し、かつ先端側固定部および基端側固定部によりカテーテルチューブに固着された筒状弾性スリーブとを備える。筒状弾性スリーブは、側孔のほぼ中心をカテーテルチューブの軸方向に横切るとともに、側孔の両端部を越えて所定長延びるスリットを備える。
特に、筒状弾性スリーブが、カテーテルチューブの先端テーパー部に固定されているため、スリーブが同一外径のチューブ部分に固定されたものに比べて、スリーブ先端部の生体内への挿入が容易となる。
【0010】
本発明の薬液注入具は、上記の生体内挿入用カテーテルと、カテーテルを着脱可能に装着する薬液注入部材とからなる薬液注入具であって、薬液注入部材は、開口部と、開口部と連通する薬液流入空間と、薬液流入空間と連通しかつカテーテルを着脱可能に装着する排出ポートとを有する注入部材本体と、注入部材本体の開口部を封止するとともに薬液注入用針の刺通が可能なシール部とを備えるものである。
この薬液注入具は、上述した生体内挿入用カテーテルを用いるため、カテーテルチューブ内の圧力変化時におけるスリーブの変形が良好となり、薬液注入および体液採取操作における応答性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施例の生体内挿入用カテーテルの正面図である。
【図2】図2は、図1の生体内挿入用カテーテルの先端部の拡大正面図である。
【図3】図3は、図1の生体内挿入用カテーテルの先端部の拡大背面図である。
【図4】図4は、図3に示した生体内挿入用カテーテルの先端部の断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例の生体内挿入用カテーテルの先端部を説明するための説明図である。
【図6】図6は、図1の生体内挿入用カテーテルの基端部の拡大断面図である。
【図7】図7は、本発明の他の実施例の生体内挿入用カテーテルの先端部の拡大正面図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施例の生体内挿入用カテーテルの先端部の拡大正面図である。
【図9】図9は、本発明の薬液注入具の外観図である。
【図10】図10は、生体内挿入用カテーテルを薬液注入部材に装着した状態の本発明の薬液注入具の外観図である。
【図11】図11は、生体内挿入用カテーテルが装着された状態の薬液注入部材の拡大正面図である。
【図12】図12は、図11に示した薬液注入部材の拡大平面図である。
【図13】図13は、図12のA−A線断面図である。
【図14】図14は、図11の薬液注入部材の排出ポート付近を説明するための説明図である。
【図15】図15は、本発明の薬液注入具に使用される薬液注入部材の他の例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の生体内挿入用カテーテルを図示する実施例の薬液注入具を用いて説明する。
本発明の生体内挿入用カテーテル1は、閉塞した先端21と、内部ルーメン22と、先端に向かって縮径する先端テーパー部20と、先端21より所定長基端側かつ先端テーパー部20に設けられた側孔23とを有する可撓性カテーテルチューブ2と、先端テーパー部20の側孔形成部を被包し、かつ先端側固定部33および基端側固定部34によりカテーテルチューブ2に固着された筒状弾性スリーブ3とを備える。筒状弾性スリーブ3は、側孔23のほぼ中心をカテーテルチューブ2の軸方向に横切るとともに、側孔23の両端部を越えて所定長延びるスリット31を備える。
また、本発明の生体内挿入用カテーテルは、血管内挿入用カテーテルであることが好ましい。
【0013】
この実施例の生体内挿入用カテーテル1は、先端に向かって縮径する先端テーパー部20と、先端21より所定長基端側かつ先端テーパー部20に設けられた側孔23とを有する可撓性カテーテルチューブ2と、先端テーパー部20の側孔形成部を被包する筒状弾性スリーブ3と、カテーテルチューブ2の基端に固定されたハブ4とからなる。
カテーテルチューブ2は、内部にルーメン22を有するチューブであり、閉塞した先端21より所定長基端側に延びる先端テーパー部20を有する。また、先端21の外面は、丸味を帯びたものとなっている。先端テーパー部20は、先端21に向かってなだらかに縮径している。先端テーパー部20の基端(終端)は、カテーテルチューブの先端21より、20〜70mm程度基端側であることが好ましい。また、カテーテルチューブ2の先端テーパー部20を除く部分は、ほぼ同一外径となっている。
【0014】
そして、この先端テーパー部20に側孔23が設けられている。側孔23は、閉塞先端21より、所定長基端側に位置する。この実施例では、側孔23は一つのみ設けられているが、向かい合うように2つ設けてもよい。そして、側孔23は、図2ないし4に示すように、カテーテルチューブ2の軸方向に長い楕円状となっている。具体的には、側孔23は、カテーテルチューブ2の周方向長よりも軸方向長が長いものとなっている。
なお、側孔としては、上記の形態のものに限定されるものではなく、図7に示す側孔23aのように、基端側の幅が広く、先端方向に向かって幅が小さくなるものであってもよい。さらに、図8に示す側孔23bおよびスリット31のように、側孔およびスリットは、カテーテルチューブ2の軸に対して所定角度斜めとなるものであってもよい。さらに、スリット31のみがカテーテルチューブ2の軸に対して所定角度斜めになっているものであってもよい。また、このように側孔をカテーテルチューブ2の軸に対して所定角度斜めとなるものとし、かつ、図7の側孔23aのように、基端側の幅が広く、先端方向に向かって幅が小さくなるものであってもよい。図8に示す側孔23aおよびスリット31のカテーテルチューブ2の軸に対する角度としては、5°〜60°であることが好ましく、10°〜30°であることが更に好ましい。
また、上述したすべての実施例において、側孔の先端は、カテーテルチューブ2の閉塞先端21より10〜20mmに位置することが好ましく、側孔の基端は、カテーテルチューブ2の閉塞先端21より10.3〜30mm基端側に位置することが好ましい。
【0015】
また、カテーテルチューブ2は、可撓性、好ましくはある程度の弾性を有するものが用いられる。カテーテルチューブの形成材料としては、例えば、オレフィン系エラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタンおよびウレタン系エラストマー、ポリアミドおよびアミド系エラストマー(例えば、ポリアミドエラストマー)、フッ素樹脂エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム等の可撓性を有する高分子材料により形成される。そして、カテーテルチューブ2の形成材料としては、熱可塑性材料であることが好ましい。
そして、筒状弾性スリーブ3が、カテーテルチューブ2の先端テーパー部20の側孔形成部を被包するようにカテーテルチューブ2に固定されている。スリーブ3は、先端側固定部33および基端側固定部34によりカテーテルチューブ2に固着されている。そして、先端側固定部33は、側孔23よりカテーテルチューブ2の先端側に位置し、基端側固定部34は、側孔23よりカテーテルチューブ2の基端側に位置する。
【0016】
そして、スリーブ3は、カテーテルチューブ2の側孔23のほぼ中心上をカテーテルチューブ2の軸方向に横切るとともに、側孔23の両端部を越えて所定長延びるスリット31を備えている。スリット31は、側孔23のない部分上に位置する先端部31aと基端部31bを有している。そして、本発明のカテーテル1は、このスリット31を有するため、カテーテル1の基端側よりルーメン22内に液体を注入することにより、スリット31が開き、開いたスリット31より液体を生体内に注入可能であり、かつ、基端側でのルーメン22内の吸引時に、スリット31が開き、開いたスリットより生体を吸引可能となっている。
また、筒状弾性スリーブ3は、カテーテルチューブ2に非伸張状態にて固着されている。このため、スリーブ3には、いずれの方向にもテンションがかかっておらず、カテーテルチューブ2のルーメン22内の圧力が通常状態では、スリット31は確実に閉塞した状態を確保し、カテーテルチューブ2のルーメン22内の圧力が陽圧となった場合および陰圧となった場合には、確実にかつ容易に開くものとなっている。
【0017】
また、筒状弾性スリーブ3は、全体にわたりほぼ同一外径およびほぼ同一内径の本体部32を有する。また、筒状弾性スリーブ3の先端部(非固着部の先端:本体部の先端)の内径は、スリーブ3の先端側固定部33(言い換えれば、先端側固定部33の基端、非固着部の先端)におけるカテーテルチューブ2の外径より若干大きいものとなっている。また、筒状弾性スリーブ3の基端部(非固着部の基端:本体部の基端)の内径は、スリーブの基端側固定部34(言い換えれば、基端側固定部34の先端、非固着部の基端)におけるカテーテルチューブ2の外径と等しいもしくは若干大きいものとなっている。これにより、筒状弾性スリーブ3の先端部(本体部の先端部)とカテーテルチューブ2の外面間に若干のゆとりがあるため、カテーテルチューブ2内の圧力変化時におけるスリーブ3の変形が良好となり、薬液注入および体液採取操作における良好な応答性を有する。
また、筒状弾性スリーブ3は、弾性を有するものが用いられる。筒状弾性スリーブ3の形成材料としては、例えば、オレフィン系エラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタンおよびウレタン系エラストマー、ポリアミドおよびアミド系エラストマー(例えば、ポリアミドエラストマー)、フッ素樹脂エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム等の可撓性を有する高分子材料により形成される。そして、筒状弾性スリーブ3の形成材料としては、熱可塑性材料であることが好ましく、特に、カテーテルチューブ2と加熱により固着可能な相溶性を有するものであることが好ましい。筒状弾性スリーブ3は、カテーテルチューブ2に、加熱、接着剤などにより固着される。
また、この実施例のカテーテル1では、筒状弾性スリーブ3の先端側固定部33の外面は、カテーテルチューブ2の先端側に向かって縮径するテーパー部となっている。また、スリーブ3の基端側固定部34の外面は、カテーテルチューブ2の基端側に向かって縮径するテーパー部となっている。このため、筒状弾性スリーブ3の両端部に、カテーテルチューブ2との間の段差がなく、カテーテル1の生体内への挿入および抜去を容易にしている。
また、筒状弾性スリーブ3の先端は、カテーテルチューブ2の閉塞先端21より4〜15mmに位置することが好ましく、筒状弾性スリーブ3の基端は、カテーテルチューブ2の閉塞先端21より15〜40mm基端側に位置することが好ましい。
【0018】
次に、図4および図5を参照して、本発明の生体内挿入用カテーテルの先端部について説明する。
カテーテルチューブ2の先端テーパー部のテーパー角度は、0.01°〜1.65°であることが好ましい。側孔23の先端付近におけるカテーテルチューブ2の内径N1は、0.1〜2.43mmであることが好ましい。側孔23の基端付近におけるカテーテルチューブ2の内径N2は、0.11〜2.55mmであることが好ましい。また、側孔23のカテーテルチューブ2の周方向長L1は、0.09〜2.5mmであることが好ましい。また、側孔23のカテーテルチューブ2の軸方向長L2は、0.1〜10mmであることが好ましい。筒状弾性スリーブ3の有効長(スリーブ3の非固着部の先端と基端間距離)M2は、0.13〜20mmであることが好ましい。筒状弾性スリーブ3の内径は、0.25〜4.4mmであることが好ましい。スリット31の長さM1は、0.13〜11mmであることが好ましい。側孔23の先端とスリット31の先端間の距離は、0.01〜0.5mmであることが好ましい。側孔23の基端とスリット31の基端間の距離は、0.01〜0.5mmであることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明のカテーテル1において、側孔23のカテーテルチューブ2の周方向長L1は、側孔23の中央部付近におけるカテーテルチューブ2の内径の0.6〜1.0倍であることが好ましい。また、側孔23のカテーテルチューブ2の軸方向長L2は、側孔23の中央部付近におけるカテーテルチューブ2の内径の0.65〜3.6倍であることが好ましい。また、スリット31の長さM1は、側孔23のカテーテルチューブ2の軸方向長L2の1.01〜1.5倍であることが好ましい。
また、筒状弾性スリーブ3の先端側固定部33(言い換えれば、先端側固定部の基端、非固着部の先端)におけるスリーブ3の内径は、スリーブ3の先端側固定部33(言い換えれば、先端側固定部の基端、非固着部の先端)におけるカテーテルチューブ2の外径より、0.01〜0.6mm大きいことが好ましい。そして、筒状弾性スリーブ3の内面とカテーテルチューブ2の外面との間の隙間は、スリーブ3の基端に向かうに従い減少し、スリーブ3の基端では、実質的に消失している。
【0020】
そして、この実施例の生体内挿入用カテーテル1では、図1および図6に示すように、カテーテルチューブ2の基端にハブ4が固定されている。ハブ4は、ハブ本体41と折曲がり防止チューブ42を備える。また、ハブ本体41は、拡張用流体注入ポート43を備えている。ハブ本体41の形成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。また、この実施例では、カテーテルチューブ2の基端部には、折曲がり防止用チューブ42が取り付けられている。折曲がり防止用チューブ42は、熱収縮性を有するものにて、熱収縮後の内径がカテーテルチューブ2の外径より若干小さくなるように形成し、このように形成されたチューブ42をカテーテルチューブ2の末端部に被嵌し、加熱(例えば、熱風をあてる)させて収縮させることにより取り付けられている。
【0021】
次に、本発明の薬液注入具を図9ないし図14に図示する実施例を用いて説明する。
本発明の薬液注入具10は、生体内挿入用カテーテル30と、カテーテル30を着脱可能に装着する薬液注入部材50とからなる。薬液注入部材50は、開口部と、開口部と連通する薬液流入空間56と、薬液流入空間56と連通しかつカテーテル30を着脱可能に装着する排出ポート54とを有する注入部材本体と、注入部材本体の開口部を封止するとともに薬液注入用針の刺通が可能なシール部52とを備えるものである。
図9は、カテーテルが薬液注入部材に装着されていない状態の本発明の薬液注入具を図示するものであり、図10は、カテーテルが薬液注入部材に装着された状態の本発明の薬液注入具を図示するものである。
【0022】
この実施例の薬液注入具10は、図10および図11に示すように、少なくとも先端部が生体内(具体的には、血管(静脈または動脈)、胆管、尿管などの脈管、硬膜外、くも膜下、腹腔)に挿入可能なカテーテル30と、カテーテル30を着脱可能に装着する薬液注入部材50とからなる。
そして、この実施例では、図11ないし図14に示すように、注入部材本体は、薬液流入空間56と連通する流通部75を備え、排出ポート54は、カテーテル30の基端部24の外径と等しいもしくは若干大きい内径を有し、一端側が流通部75と連通し、他端側にカテーテル挿入口86を有し、カテーテル30の基端部24の挿入を可能とするカテーテル基端部装着部87と、カテーテル基端部装着部87の一端より所定長カテーテル挿入口86側に位置するカテーテル抜け止め用の環状突出部83とを備える。環状突出部83は、カテーテル基端部装着部87のカテーテル挿入口86側より一端側に向かって縮径する環状テーパー面83aと、カテーテル30の基端部の外径より小さい内径を有し、かつ鋭角に形成された環状突出端部83bとを有する。
【0023】
この実施例の薬液注入具10に用いられているカテーテル30としては、ハブを備えない以外は、上述したカテーテル1と同じものが使用される。このカテーテル30は、上述したカテーテルチューブ2およびスリーブ3を備えている。なお、それらについては、上述したものと同じである。
この実施例の薬液注入具10に用いられている薬液注入部材50は、図9ないし図13に示すように、注入部材本体と、注入部材本体の開口部を封止するとともに薬液注入用針の刺通が可能なシール部52とを備える。注入部材本体は、上部開口部および底部開口部を有するリング状本体部材51と、底部開口部を封止する底板部材53とを備える。そして、底板部材53は、排出ポート70を構成する筒状部73を備えている。
リング状本体部材51は、図13に示すように、上部にシール部収納部を備えるとともに、開口部に形成された環状リブ60を備えている。リング状本体部材51の環状リブ60は、シール部52に設けられたフランジ部62と当接し、シール部52の本体部材51からの離脱を防止する。
シール部52は、薬液注入用針の刺通が可能であり、薬液注入用針の抜去後に刺通部がシールされるものとなっている。シール部52は、弾性材料により形成されている。シール部52の形成材料としては、シリコーンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム等の各種ゴム類、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリブタジエン、軟質塩化ビニル等の各種樹脂、またはこれらのうち2以上を組み合わせたもの等が挙げられるが、そのなかでも特に、生体に対し不活性で、比較的物性変化の少ないシリコーンゴムが好ましい。そして、上述したように、シール部52は、その上面より若干下面側となる部位に設けられたフランジ部62を有し、このフランジ部62は、リング状本体部材51の環状リブ60と係合する。言い換えれば、シール部52は、上部が小径部61となっており、この小径部61が、リング状本体部材51の上部開口部内に進入したものとなっている。
【0024】
そして、リング状本体部材51の底部には、本体部材51の底部開口部を封止する底板部材53が固定されている。底板部材53は、底板部71とその中央部に設けられ、上方に延びる円筒部72と、排出ポート70を構成するための筒状部73を備えている。シール部52は、リング状本体部材51と底板部材53の円筒部72との間により挟持されている。また、シール部52の下面と底板部材53の内面との間により、薬液流入空間56が形成されている。この実施例では、薬液流入空間56は、所定の厚さを有する円盤状空間となっている。
注入部材本体は、図14に示すように、薬液流入空間56と連通する流通部75を備え、排出ポート70は、一端側が流通部75と連通するカテーテル基端部装着部87を備える。そして、カテーテル基端部装着部87の内部(内面)に、カテーテル抜け止め用の環状突出部83が設けられている。具体的には、底板部材53は、円筒部72の側壁に形成され、薬液流入空間56とカテーテル基端部装着部87(排出ポート70を構成するための筒状部73)内とを連通する流通部75を備え、この流通部75の内径は、カテーテルチューブ2の外径より小さい内径となっているものであれば良く、カテーテルチューブ2の基端部24の内径と同じ若しくは若干大きい内径となっている。そして、流通部75とカテーテル基端部装着部87の境界部(具体的には、大径部76の流通部側端面76a)は、カテーテルチューブ2の基端が当接可能な当接部となっている。また、流通部75は、流通部75の排出ポート側開口が、カテーテルチューブ2の基端の外径より小さい内径となっているものであればよく、流通部75の薬液流入空間側開口は、カテーテルチューブ2の基端の外径より大きいものであってもよい。具体的には、流通部75は、流通部75の排出ポート側端面方向に縮径する流路であってもよい。本発明の薬液注入具10では、流通部75の排出ポート側開口がカテーテルチューブ2の内径とほぼ同じであるため、薬液注入用針をシール部5に穿刺して、薬液流入空間9内に薬液を導入し、薬液を薬液流入空間9から流通部75を通してカテーテル3に注入するときに、狭窄部分がないので、薬液流入空間9内の圧力が上昇することを抑制できる。このため、薬液流入空間9内の圧力が上昇することにより、カテーテル3が外れることを防止することができる。
【0025】
この実施例の薬液注入部材50では、排出ポート70は、底板部材53に設けられた筒状部73と、筒状部73の開口部に固定されたポート形成部材80とにより構成されている。また、カテーテル基端部装着部87は、底板部材53の筒状部73の内部側端部(一端側部分)とポート形成部材80の内部により構成されている。底板部材53の筒状部73は、上述した流通部75と連通し、かつ、カテーテル3の外径と等しいもしくは若干大きい外径を有する大径部76を備えている。さらに、大径部76より開口部側には、大径部76より大径となっている拡径部を備え、その内面には、雌ねじ部74が設けられている。
また、ポート形成部材80は、カテーテル挿入口86を有するフランジ部82と、このフランジ部82より一端側に延びる筒状部81を有している。そして、筒状部81の一端部には、カテーテル抜け止め用の環状突出部83が設けられている。特に、この実施例のものでは、抜け止め用の環状突出部83は、筒状部81の端部に設けられている。なお、抜け止め用の環状突出部83は、このように端部に設けることが好ましいが、端部よりより若干内側(カテーテル挿入口側)となる位置に設けてもよい。また、筒状部81は、底板部材53の筒状部73の内面に設けられた雌ねじ部74と螺合するための雄ねじ部85を側面に備えている。なお、ポート形成部材80の筒状部81の一端部84は、雄ねじ部を備えないものとなっている。
【0026】
ポート形成部材80に設けられたカテーテル抜け止め用の環状突出部83は、カテーテル挿入口86側より一端側に向かって縮径する環状テーパー面83aと、カテーテル3の外径より小さい内径を有し、かつ鋭角に形成された環状突出端部83bとを有する。さらに、この実施例では、環状突出部83の一端側は、ポート形成部材80の中心軸に対してほぼ直交する起立面83cとなっている。また、ポート形成部材80に設けられたカテーテル挿入口86は、開口端方向に向かって拡径している。このため、カテーテルの基端の挿入を容易なものとなっている。
そして、注入部材本体は、流通部75(具体的には、大径部76の流通部側端面76a)と環状突出部83との間により形成されたカテーテル基端収納部を備えている。カテーテルチューブ2の基端部は、カテーテル挿入口86よりカテーテル基端部装着部87内に進入し、大径部76の流通部側端面76aに当接するまで、挿入可能となっている。
カテーテル30は、カテーテル基端部装着部87に、カテーテルチューブ2の基端が環状突出部83を通過するように装着されており、カテーテル30を牽引した場合、カテーテルチューブ2の外面と鋭角に形成された環状突出端部83がくさび状に接触するため、容易に離脱することがない。また、装着されたカテーテルチューブ2は、ゆっくり若干捻りながら引くことにより、薬液注入部材より離脱させることも可能である。
【0027】
そして、図14に示すように、カテーテル抜け止め用の環状突出部83の内径P1は、カテーテルチューブ2の外径S1より、0.03〜1mm小さいことが好ましく、特に、0.1〜0.38mm小さいことが好ましい。また、カテーテル基端部装着部87の内径P4(ポート形成部材80の筒状部81の内径)は、カテーテルチューブ2の外径S1と等しいもしくは若干大きいものであり、0.05〜0.2mm大きいことが好ましく、特に、0.05〜0.1mm大きいことが好ましい。また、カテーテル基端部装着部87の内径P4(ポート形成部材80の筒状部81の内径)は、カテーテル抜け止め用の環状突出部83の内径P1より、0.03〜1.2mm大きいことが好ましく、特に、0.1〜0.58mm大きいことが好ましい。また、流通部75の内径P2は、カテーテルチューブ2の内径S2とほぼ等しく、もしくは若干大きくても良い。また、底板部材53の筒状部73の大径部76の内径P3は、カテーテルチューブ2の外径S1と等しいもしくは若干大きいものであり、0.05〜0.5mm大きいことが好ましく、特に、0.05〜0.2mm大きいことが好ましい。また、カテーテル抜け止め用の環状突出部83と底板部材53の大径部76の流通部側端面76a間の距離T1は、0.5〜5mmであることが好ましく、特に、0.5〜3mmであることが好ましい。また、環状突出端部83bの角度θ1(環状突出部83bの排出ポートの軸方向断面における角度)は、60°〜85°であることが好ましく、特に、63°〜80°であることが好ましい。
【0028】
さらに、この実施例のものでは、図14に示すように、底板部材53の大径部76の端部と雌ねじ部74の端部との間には、流通部75方向に向かって縮径するテーパー部79が設けられている。また、ポート形成部材80の一端部の外縁は面取りされた角部となっている。このため、ポート形成部材80の一端部が上記テーパー部79に当接しても損傷を与えないものとなっている。
また、この実施例の薬液注入具10では、図9、図10および図12示すように、注入部材本体(具体的には、底板部材53)には、筒状部73を挟むように延びる2つの平板状延出部を有し、それぞれの延出部には、皮下組織への固定時に使用する貫通孔77,78が形成されている。薬液注入部材50の固定は、例えば、各貫通孔77,78に糸を通し、その糸を筋等の皮下組織に結ぶことにより行われる。
【0029】
さらに、この実施例の薬液注入具10では、注入部材本体の流通部75とカテーテル基端部装着部87の環状突出部83との間となるカテーテル基端収納部を形成する部位は、カテーテル基端部収納部に収納されたカテーテルの基端を外部より視認可能な透明性を有している。このため、カテーテルチューブ2のカテーテル基端部装着部87への装着を視認により容易に確認できる。
ポート形成部材80として、X線不透過性材料又は非磁性体金属からなる非透明性材料により形成されたものを用いた場合において、ポート形成部材80の一端より流出するカテーテルチューブ2の基端を確認できるため、特に有効である。
注入部材本体、具体的には、リング状本体部材51および底板部材53の形成材料としては、ある程度の透明性を有する材料が好ましく、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂、ポリアセタールなどが用いられる。
また、薬液注入部材としては、上述したようにカテーテル基端収納部を有するタイプのものが好ましいが、例えば、図15に示すようなものであってもよい。この実施例の薬液注入部材50aでは、注入部材本体(具体的には、底板部材53)の筒状部73内に、筒状のポート形成部材90の基端部が挿入され固定されている。ポート形成部材90は、フランジ状の本体部91とカテーテルチューブ2の基端内に挿入される細径部92と、薬液流入空間56と連通する薬液流通部93と、カテーテルチューブ2の基端内に進入可能であり、カテーテルチューブ2の抜け止めとして機能する環状リブ94を備えている。
【符号の説明】
【0030】
1 生体内挿入用カテーテル
2 可撓性カテーテルチューブ
3 筒状弾性スリーブ
20 先端テーパー部
21 閉塞先端
22 内部ルーメン
23 側孔
31 スリット
10 薬液注入具
30 生体内挿入用カテーテル
50 薬液注入部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液を患者の生体内に注入する生体内挿入用カテーテルおよび薬液注入具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
癌などの治療で、血管内に抗癌剤を注入したり、疼痛緩和などで、硬膜外、くも膜下に麻酔薬を注入する薬液注入療法が行われている。
このような薬液注入療法では、血管(静脈や動脈)、胆管、尿管、硬膜外、くも膜下、腹腔などの生体内に挿入されるカテーテルが用いられる。薬液注入療法では、カテーテルは、生体内に留置されるため、体液がカテーテル内に流入可能かつ、カテーテルより薬液を生体内に注入可能であることが必要となる。
上記のような目的に使用可能なカテーテルとしては、特公平5−18591号公報(特許文献1)、特開2002−369880号公報(特許文献2)がある。
また、薬液注入療法に用いるための薬液注入具が提案されている。薬液注入具としては、例えば、特公平4−10832号公報(特許文献3)、さらには、本願出願人が提案する特開2004−350937号公報(特許文献4)および特許第3137360号公報(特許文献5)などがある。
これら薬液注入具は、本体と、この本体内に形成された内部空間と、この空間に連通する薬液注入口および薬液流出用の流路と、この薬液注入口に装着されたゴム製の栓体(セプタム)とを有する薬液注入ポートと、薬液注入用のルーメンが形成されたカテーテルとを有する。
そして、薬液注入具は、カテーテルを目的生体に挿入し、その先端を目的部位に位置させた後、カテーテルの基端側の余剰部分を切断し、その切断端部を薬液注入ポートに接続した後、薬液注入ポートを皮下組織に固定することにより生体内に留置される。このため、カテーテルの生体内への挿入は、早期に行えることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平5−18591号公報
【特許文献2】特開2002−369880号公報
【特許文献3】特公平4−10832号公報
【特許文献4】特開2004−350937号公報
【特許文献5】特許第3137360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、以下の開示がある。
第7図乃至第10図を参照すると、本発明のさらに別の実施例が図示されている。この構成において、カテーテル32の末梢端の部分断面図は、ルーメンを備えて図示されており、この組立体30は、鎧装34の端部壁36により開放末梢端33を覆う鎧装38を備える状態が図示されている。しかし、この場合、別個の穴40が、カテーテル32の環状壁に位置決めされている。カテーテル32の穴40内にて鎧装34には、スリット弁38が位置決めされている。このようにして、端部壁36を除いて、弁組立体30は第1図の実施例と同様の二重壁構造体を備え、カテーテル組立体30の末梢端に対してより大きい嵩を提供する。これは、上述のように、カテーテル32の損傷及び(又は)変形を防止する効果があり、カテーテル32を通るいずれの方向への流体の流れを閉塞することがなく、薬剤を一方向に投与するか、又は、血液標本を反対方向に採取することが出来る。
この構成の場合、第1図に図示した構成の場合と同様に、スリット弁38は、本発明の組立体が注入位置にあるときに、比較的肉厚の薄い鎧装34の壁のために、任意の速度にて圧力差に対して迅速に応答し、流体を矢印44,46の方向に流動させ、弁38のフラップ42を開放させ、又、流体を流動させる。勿論、弁38は第1図に図示した実施例と同一の方法にて、反対方向に作動し、血液標本を採取することが出来ることが理解されよう。
特許文献2には、以下の開示がある。
実施例6この実施例の腹腔−静脈シャント用カテーテル20は、カテーテル本体19の長さ中間の対向側部に、図6に示すように、長円状の通液側孔からなる排出口31、32が開口され、これらの排出口31、32を覆うようにカテーテル本体19に円筒状の軟質カバー33が外装され、軟質カバー33には排出口31、32に対応する位置にそれぞれ直線状のスリット34が形成されたものである。スリット34は、カテーテル内部を流れる液体の圧が外部圧より所定値高くなれば、軟質カバー33の弾性に抗して開き液体を流出させるが、内圧がこの値より低いと、軟質カバー33の弾性復元力によって閉じて液体の逆流を阻止する。したがって、スリット34は逆流阻止弁としても機能する。軟質シート10はゴム製のものが好ましいが、軟質プラスチック製のものでもよい。
上記のものである程度の効果を有するが、生体内への挿入が容易であり、かつ、薬液注入および体液採取操作における応答性がより良好であることが望ましい。
本発明の目的は、生体内への挿入が容易であり、かつ、薬液注入および体液採取操作における応答性がより良好である生体内挿入用カテーテルおよび薬液注入具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 閉塞した先端と、内部ルーメンと、前記先端に向かって縮径する先端テーパー部と、前記先端より所定長基端側かつ前記先端テーパー部に設けられた側孔とを有する可撓性カテーテルチューブと、前記先端テーパー部の前記側孔形成部を被包し、かつ先端側固定部および基端側固定部により前記カテーテルチューブに固着された筒状弾性スリーブとを備え、前記筒状弾性スリーブは、前記側孔のほぼ中心を前記カテーテルチューブの軸方向に横切るとともに、前記側孔の両端部を越えて所定長延びるスリットを備える生体内挿入用カテーテル。
【0006】
(2) 前記筒状弾性スリーブは、前記カテーテルチューブに非伸張状態にて固着されている上記(1)に記載の生体内挿入用カテーテル。
(3) 前記筒状弾性スリーブは、ほぼ同一内径を有し、前記スリーブの先端部の内径は、該スリーブの前記先端側固定部における前記カテーテルチューブの外径より若干大きいものであり、前記スリーブの基端部の内径は、該スリーブの前記基端側固定部における前記カテーテルチューブの外径と等しいもしくは若干大きいものである上記(1)または(2)に記載の生体内挿入用カテーテル。
(4) 前記スリーブの前記先端側固定部の外面は、前記カテーテルチューブの先端側に向かって縮径するテーパー部となっており、前記スリーブの前記基端側固定部は、前記カテーテルチューブの基端側に向かって縮径するテーパー部となっている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテル。
(5) 前記側孔は、前記カテーテルチューブの軸方向に長い楕円状である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテル。
(6) 前記カテーテルは、基端側より前記ルーメン内に液体を注入することにより、前記スリットが開き、該開いたスリットより液体を生体内に注入可能であり、かつ、基端側での前記ルーメン内の吸引時に、前記スリットが開き、該開いたスリットより体液を吸引可能である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテル。
【0007】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(7) 上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテルと、該カテーテルを着脱可能に装着する薬液注入部材とからなる薬液注入具であって、前記薬液注入部材は、開口部と、前記開口部と連通する薬液流入空間と、前記薬液流入空間と連通しかつ前記カテーテルを着脱可能に装着する排出ポートとを有する注入部材本体と、前記注入部材本体の前記開口部を封止するとともに薬液注入用針の刺通が可能なシール部とを備えるものである薬液注入具。
【0008】
(8) 前記注入部材本体は、前記薬液流入空間と連通する流通部を備え、前記排出ポートは、前記カテーテルの外径と同じ若しくは若干大きい内径を有し、一端側が前記流通部と連通し、他端側がカテーテル挿入口を形成し、前記カテーテルの基端部の挿入を可能とするカテーテル基端部装着部と、前記カテーテル基端部装着部の一端より所定長前記カテーテル挿入口側に位置するカテーテル抜け止め用の環状突出部とを備え、さらに、該環状突出部は、前記カテーテル基端部装着部の前記カテーテル挿入口側より一端側に向かって縮径する環状テーパー面と、前記カテーテルの外径より小さい内径を有し、かつ鋭角に形成された環状突出端部とを有するものである上記(7)に記載の薬液注入具。
(9) 前記薬液注入部材は、前記流通部と前記カテーテル基端部装着部の前記環状突出部との間により形成されたカテーテル基端収納部を備えている上記(8)に記載の薬液注入具。
(10) 前記カテーテル挿入口は、開口端方向に向かって拡径している上記(8)または(9)のいずれかに記載の薬液注入具。
(11) 前記薬液注入具は、前記流通部と前記カテーテル基端部装着部の前記環状突出部との間により形成されたカテーテル基端収納部を備え、さらに、前記薬液注入具の前記カテーテル基端収納部を形成する部位は、該カテーテル基端収納部に収納されたカテーテルの基端部を外部より視認可能な透明性を有している上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の薬液注入具。
【発明の効果】
【0009】
本発明の生体内挿入用カテーテルは、閉塞した先端と、内部ルーメンと、先端に向かって縮径する先端テーパー部と、先端より所定長基端側かつ先端テーパー部に設けられた側孔とを有する可撓性カテーテルチューブと、先端テーパー部の側孔形成部を被包し、かつ先端側固定部および基端側固定部によりカテーテルチューブに固着された筒状弾性スリーブとを備える。筒状弾性スリーブは、側孔のほぼ中心をカテーテルチューブの軸方向に横切るとともに、側孔の両端部を越えて所定長延びるスリットを備える。
特に、筒状弾性スリーブが、カテーテルチューブの先端テーパー部に固定されているため、スリーブが同一外径のチューブ部分に固定されたものに比べて、スリーブ先端部の生体内への挿入が容易となる。
【0010】
本発明の薬液注入具は、上記の生体内挿入用カテーテルと、カテーテルを着脱可能に装着する薬液注入部材とからなる薬液注入具であって、薬液注入部材は、開口部と、開口部と連通する薬液流入空間と、薬液流入空間と連通しかつカテーテルを着脱可能に装着する排出ポートとを有する注入部材本体と、注入部材本体の開口部を封止するとともに薬液注入用針の刺通が可能なシール部とを備えるものである。
この薬液注入具は、上述した生体内挿入用カテーテルを用いるため、カテーテルチューブ内の圧力変化時におけるスリーブの変形が良好となり、薬液注入および体液採取操作における応答性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施例の生体内挿入用カテーテルの正面図である。
【図2】図2は、図1の生体内挿入用カテーテルの先端部の拡大正面図である。
【図3】図3は、図1の生体内挿入用カテーテルの先端部の拡大背面図である。
【図4】図4は、図3に示した生体内挿入用カテーテルの先端部の断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例の生体内挿入用カテーテルの先端部を説明するための説明図である。
【図6】図6は、図1の生体内挿入用カテーテルの基端部の拡大断面図である。
【図7】図7は、本発明の他の実施例の生体内挿入用カテーテルの先端部の拡大正面図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施例の生体内挿入用カテーテルの先端部の拡大正面図である。
【図9】図9は、本発明の薬液注入具の外観図である。
【図10】図10は、生体内挿入用カテーテルを薬液注入部材に装着した状態の本発明の薬液注入具の外観図である。
【図11】図11は、生体内挿入用カテーテルが装着された状態の薬液注入部材の拡大正面図である。
【図12】図12は、図11に示した薬液注入部材の拡大平面図である。
【図13】図13は、図12のA−A線断面図である。
【図14】図14は、図11の薬液注入部材の排出ポート付近を説明するための説明図である。
【図15】図15は、本発明の薬液注入具に使用される薬液注入部材の他の例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の生体内挿入用カテーテルを図示する実施例の薬液注入具を用いて説明する。
本発明の生体内挿入用カテーテル1は、閉塞した先端21と、内部ルーメン22と、先端に向かって縮径する先端テーパー部20と、先端21より所定長基端側かつ先端テーパー部20に設けられた側孔23とを有する可撓性カテーテルチューブ2と、先端テーパー部20の側孔形成部を被包し、かつ先端側固定部33および基端側固定部34によりカテーテルチューブ2に固着された筒状弾性スリーブ3とを備える。筒状弾性スリーブ3は、側孔23のほぼ中心をカテーテルチューブ2の軸方向に横切るとともに、側孔23の両端部を越えて所定長延びるスリット31を備える。
また、本発明の生体内挿入用カテーテルは、血管内挿入用カテーテルであることが好ましい。
【0013】
この実施例の生体内挿入用カテーテル1は、先端に向かって縮径する先端テーパー部20と、先端21より所定長基端側かつ先端テーパー部20に設けられた側孔23とを有する可撓性カテーテルチューブ2と、先端テーパー部20の側孔形成部を被包する筒状弾性スリーブ3と、カテーテルチューブ2の基端に固定されたハブ4とからなる。
カテーテルチューブ2は、内部にルーメン22を有するチューブであり、閉塞した先端21より所定長基端側に延びる先端テーパー部20を有する。また、先端21の外面は、丸味を帯びたものとなっている。先端テーパー部20は、先端21に向かってなだらかに縮径している。先端テーパー部20の基端(終端)は、カテーテルチューブの先端21より、20〜70mm程度基端側であることが好ましい。また、カテーテルチューブ2の先端テーパー部20を除く部分は、ほぼ同一外径となっている。
【0014】
そして、この先端テーパー部20に側孔23が設けられている。側孔23は、閉塞先端21より、所定長基端側に位置する。この実施例では、側孔23は一つのみ設けられているが、向かい合うように2つ設けてもよい。そして、側孔23は、図2ないし4に示すように、カテーテルチューブ2の軸方向に長い楕円状となっている。具体的には、側孔23は、カテーテルチューブ2の周方向長よりも軸方向長が長いものとなっている。
なお、側孔としては、上記の形態のものに限定されるものではなく、図7に示す側孔23aのように、基端側の幅が広く、先端方向に向かって幅が小さくなるものであってもよい。さらに、図8に示す側孔23bおよびスリット31のように、側孔およびスリットは、カテーテルチューブ2の軸に対して所定角度斜めとなるものであってもよい。さらに、スリット31のみがカテーテルチューブ2の軸に対して所定角度斜めになっているものであってもよい。また、このように側孔をカテーテルチューブ2の軸に対して所定角度斜めとなるものとし、かつ、図7の側孔23aのように、基端側の幅が広く、先端方向に向かって幅が小さくなるものであってもよい。図8に示す側孔23aおよびスリット31のカテーテルチューブ2の軸に対する角度としては、5°〜60°であることが好ましく、10°〜30°であることが更に好ましい。
また、上述したすべての実施例において、側孔の先端は、カテーテルチューブ2の閉塞先端21より10〜20mmに位置することが好ましく、側孔の基端は、カテーテルチューブ2の閉塞先端21より10.3〜30mm基端側に位置することが好ましい。
【0015】
また、カテーテルチューブ2は、可撓性、好ましくはある程度の弾性を有するものが用いられる。カテーテルチューブの形成材料としては、例えば、オレフィン系エラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタンおよびウレタン系エラストマー、ポリアミドおよびアミド系エラストマー(例えば、ポリアミドエラストマー)、フッ素樹脂エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム等の可撓性を有する高分子材料により形成される。そして、カテーテルチューブ2の形成材料としては、熱可塑性材料であることが好ましい。
そして、筒状弾性スリーブ3が、カテーテルチューブ2の先端テーパー部20の側孔形成部を被包するようにカテーテルチューブ2に固定されている。スリーブ3は、先端側固定部33および基端側固定部34によりカテーテルチューブ2に固着されている。そして、先端側固定部33は、側孔23よりカテーテルチューブ2の先端側に位置し、基端側固定部34は、側孔23よりカテーテルチューブ2の基端側に位置する。
【0016】
そして、スリーブ3は、カテーテルチューブ2の側孔23のほぼ中心上をカテーテルチューブ2の軸方向に横切るとともに、側孔23の両端部を越えて所定長延びるスリット31を備えている。スリット31は、側孔23のない部分上に位置する先端部31aと基端部31bを有している。そして、本発明のカテーテル1は、このスリット31を有するため、カテーテル1の基端側よりルーメン22内に液体を注入することにより、スリット31が開き、開いたスリット31より液体を生体内に注入可能であり、かつ、基端側でのルーメン22内の吸引時に、スリット31が開き、開いたスリットより生体を吸引可能となっている。
また、筒状弾性スリーブ3は、カテーテルチューブ2に非伸張状態にて固着されている。このため、スリーブ3には、いずれの方向にもテンションがかかっておらず、カテーテルチューブ2のルーメン22内の圧力が通常状態では、スリット31は確実に閉塞した状態を確保し、カテーテルチューブ2のルーメン22内の圧力が陽圧となった場合および陰圧となった場合には、確実にかつ容易に開くものとなっている。
【0017】
また、筒状弾性スリーブ3は、全体にわたりほぼ同一外径およびほぼ同一内径の本体部32を有する。また、筒状弾性スリーブ3の先端部(非固着部の先端:本体部の先端)の内径は、スリーブ3の先端側固定部33(言い換えれば、先端側固定部33の基端、非固着部の先端)におけるカテーテルチューブ2の外径より若干大きいものとなっている。また、筒状弾性スリーブ3の基端部(非固着部の基端:本体部の基端)の内径は、スリーブの基端側固定部34(言い換えれば、基端側固定部34の先端、非固着部の基端)におけるカテーテルチューブ2の外径と等しいもしくは若干大きいものとなっている。これにより、筒状弾性スリーブ3の先端部(本体部の先端部)とカテーテルチューブ2の外面間に若干のゆとりがあるため、カテーテルチューブ2内の圧力変化時におけるスリーブ3の変形が良好となり、薬液注入および体液採取操作における良好な応答性を有する。
また、筒状弾性スリーブ3は、弾性を有するものが用いられる。筒状弾性スリーブ3の形成材料としては、例えば、オレフィン系エラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタンおよびウレタン系エラストマー、ポリアミドおよびアミド系エラストマー(例えば、ポリアミドエラストマー)、フッ素樹脂エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム等の可撓性を有する高分子材料により形成される。そして、筒状弾性スリーブ3の形成材料としては、熱可塑性材料であることが好ましく、特に、カテーテルチューブ2と加熱により固着可能な相溶性を有するものであることが好ましい。筒状弾性スリーブ3は、カテーテルチューブ2に、加熱、接着剤などにより固着される。
また、この実施例のカテーテル1では、筒状弾性スリーブ3の先端側固定部33の外面は、カテーテルチューブ2の先端側に向かって縮径するテーパー部となっている。また、スリーブ3の基端側固定部34の外面は、カテーテルチューブ2の基端側に向かって縮径するテーパー部となっている。このため、筒状弾性スリーブ3の両端部に、カテーテルチューブ2との間の段差がなく、カテーテル1の生体内への挿入および抜去を容易にしている。
また、筒状弾性スリーブ3の先端は、カテーテルチューブ2の閉塞先端21より4〜15mmに位置することが好ましく、筒状弾性スリーブ3の基端は、カテーテルチューブ2の閉塞先端21より15〜40mm基端側に位置することが好ましい。
【0018】
次に、図4および図5を参照して、本発明の生体内挿入用カテーテルの先端部について説明する。
カテーテルチューブ2の先端テーパー部のテーパー角度は、0.01°〜1.65°であることが好ましい。側孔23の先端付近におけるカテーテルチューブ2の内径N1は、0.1〜2.43mmであることが好ましい。側孔23の基端付近におけるカテーテルチューブ2の内径N2は、0.11〜2.55mmであることが好ましい。また、側孔23のカテーテルチューブ2の周方向長L1は、0.09〜2.5mmであることが好ましい。また、側孔23のカテーテルチューブ2の軸方向長L2は、0.1〜10mmであることが好ましい。筒状弾性スリーブ3の有効長(スリーブ3の非固着部の先端と基端間距離)M2は、0.13〜20mmであることが好ましい。筒状弾性スリーブ3の内径は、0.25〜4.4mmであることが好ましい。スリット31の長さM1は、0.13〜11mmであることが好ましい。側孔23の先端とスリット31の先端間の距離は、0.01〜0.5mmであることが好ましい。側孔23の基端とスリット31の基端間の距離は、0.01〜0.5mmであることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明のカテーテル1において、側孔23のカテーテルチューブ2の周方向長L1は、側孔23の中央部付近におけるカテーテルチューブ2の内径の0.6〜1.0倍であることが好ましい。また、側孔23のカテーテルチューブ2の軸方向長L2は、側孔23の中央部付近におけるカテーテルチューブ2の内径の0.65〜3.6倍であることが好ましい。また、スリット31の長さM1は、側孔23のカテーテルチューブ2の軸方向長L2の1.01〜1.5倍であることが好ましい。
また、筒状弾性スリーブ3の先端側固定部33(言い換えれば、先端側固定部の基端、非固着部の先端)におけるスリーブ3の内径は、スリーブ3の先端側固定部33(言い換えれば、先端側固定部の基端、非固着部の先端)におけるカテーテルチューブ2の外径より、0.01〜0.6mm大きいことが好ましい。そして、筒状弾性スリーブ3の内面とカテーテルチューブ2の外面との間の隙間は、スリーブ3の基端に向かうに従い減少し、スリーブ3の基端では、実質的に消失している。
【0020】
そして、この実施例の生体内挿入用カテーテル1では、図1および図6に示すように、カテーテルチューブ2の基端にハブ4が固定されている。ハブ4は、ハブ本体41と折曲がり防止チューブ42を備える。また、ハブ本体41は、拡張用流体注入ポート43を備えている。ハブ本体41の形成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。また、この実施例では、カテーテルチューブ2の基端部には、折曲がり防止用チューブ42が取り付けられている。折曲がり防止用チューブ42は、熱収縮性を有するものにて、熱収縮後の内径がカテーテルチューブ2の外径より若干小さくなるように形成し、このように形成されたチューブ42をカテーテルチューブ2の末端部に被嵌し、加熱(例えば、熱風をあてる)させて収縮させることにより取り付けられている。
【0021】
次に、本発明の薬液注入具を図9ないし図14に図示する実施例を用いて説明する。
本発明の薬液注入具10は、生体内挿入用カテーテル30と、カテーテル30を着脱可能に装着する薬液注入部材50とからなる。薬液注入部材50は、開口部と、開口部と連通する薬液流入空間56と、薬液流入空間56と連通しかつカテーテル30を着脱可能に装着する排出ポート54とを有する注入部材本体と、注入部材本体の開口部を封止するとともに薬液注入用針の刺通が可能なシール部52とを備えるものである。
図9は、カテーテルが薬液注入部材に装着されていない状態の本発明の薬液注入具を図示するものであり、図10は、カテーテルが薬液注入部材に装着された状態の本発明の薬液注入具を図示するものである。
【0022】
この実施例の薬液注入具10は、図10および図11に示すように、少なくとも先端部が生体内(具体的には、血管(静脈または動脈)、胆管、尿管などの脈管、硬膜外、くも膜下、腹腔)に挿入可能なカテーテル30と、カテーテル30を着脱可能に装着する薬液注入部材50とからなる。
そして、この実施例では、図11ないし図14に示すように、注入部材本体は、薬液流入空間56と連通する流通部75を備え、排出ポート54は、カテーテル30の基端部24の外径と等しいもしくは若干大きい内径を有し、一端側が流通部75と連通し、他端側にカテーテル挿入口86を有し、カテーテル30の基端部24の挿入を可能とするカテーテル基端部装着部87と、カテーテル基端部装着部87の一端より所定長カテーテル挿入口86側に位置するカテーテル抜け止め用の環状突出部83とを備える。環状突出部83は、カテーテル基端部装着部87のカテーテル挿入口86側より一端側に向かって縮径する環状テーパー面83aと、カテーテル30の基端部の外径より小さい内径を有し、かつ鋭角に形成された環状突出端部83bとを有する。
【0023】
この実施例の薬液注入具10に用いられているカテーテル30としては、ハブを備えない以外は、上述したカテーテル1と同じものが使用される。このカテーテル30は、上述したカテーテルチューブ2およびスリーブ3を備えている。なお、それらについては、上述したものと同じである。
この実施例の薬液注入具10に用いられている薬液注入部材50は、図9ないし図13に示すように、注入部材本体と、注入部材本体の開口部を封止するとともに薬液注入用針の刺通が可能なシール部52とを備える。注入部材本体は、上部開口部および底部開口部を有するリング状本体部材51と、底部開口部を封止する底板部材53とを備える。そして、底板部材53は、排出ポート70を構成する筒状部73を備えている。
リング状本体部材51は、図13に示すように、上部にシール部収納部を備えるとともに、開口部に形成された環状リブ60を備えている。リング状本体部材51の環状リブ60は、シール部52に設けられたフランジ部62と当接し、シール部52の本体部材51からの離脱を防止する。
シール部52は、薬液注入用針の刺通が可能であり、薬液注入用針の抜去後に刺通部がシールされるものとなっている。シール部52は、弾性材料により形成されている。シール部52の形成材料としては、シリコーンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム等の各種ゴム類、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリブタジエン、軟質塩化ビニル等の各種樹脂、またはこれらのうち2以上を組み合わせたもの等が挙げられるが、そのなかでも特に、生体に対し不活性で、比較的物性変化の少ないシリコーンゴムが好ましい。そして、上述したように、シール部52は、その上面より若干下面側となる部位に設けられたフランジ部62を有し、このフランジ部62は、リング状本体部材51の環状リブ60と係合する。言い換えれば、シール部52は、上部が小径部61となっており、この小径部61が、リング状本体部材51の上部開口部内に進入したものとなっている。
【0024】
そして、リング状本体部材51の底部には、本体部材51の底部開口部を封止する底板部材53が固定されている。底板部材53は、底板部71とその中央部に設けられ、上方に延びる円筒部72と、排出ポート70を構成するための筒状部73を備えている。シール部52は、リング状本体部材51と底板部材53の円筒部72との間により挟持されている。また、シール部52の下面と底板部材53の内面との間により、薬液流入空間56が形成されている。この実施例では、薬液流入空間56は、所定の厚さを有する円盤状空間となっている。
注入部材本体は、図14に示すように、薬液流入空間56と連通する流通部75を備え、排出ポート70は、一端側が流通部75と連通するカテーテル基端部装着部87を備える。そして、カテーテル基端部装着部87の内部(内面)に、カテーテル抜け止め用の環状突出部83が設けられている。具体的には、底板部材53は、円筒部72の側壁に形成され、薬液流入空間56とカテーテル基端部装着部87(排出ポート70を構成するための筒状部73)内とを連通する流通部75を備え、この流通部75の内径は、カテーテルチューブ2の外径より小さい内径となっているものであれば良く、カテーテルチューブ2の基端部24の内径と同じ若しくは若干大きい内径となっている。そして、流通部75とカテーテル基端部装着部87の境界部(具体的には、大径部76の流通部側端面76a)は、カテーテルチューブ2の基端が当接可能な当接部となっている。また、流通部75は、流通部75の排出ポート側開口が、カテーテルチューブ2の基端の外径より小さい内径となっているものであればよく、流通部75の薬液流入空間側開口は、カテーテルチューブ2の基端の外径より大きいものであってもよい。具体的には、流通部75は、流通部75の排出ポート側端面方向に縮径する流路であってもよい。本発明の薬液注入具10では、流通部75の排出ポート側開口がカテーテルチューブ2の内径とほぼ同じであるため、薬液注入用針をシール部5に穿刺して、薬液流入空間9内に薬液を導入し、薬液を薬液流入空間9から流通部75を通してカテーテル3に注入するときに、狭窄部分がないので、薬液流入空間9内の圧力が上昇することを抑制できる。このため、薬液流入空間9内の圧力が上昇することにより、カテーテル3が外れることを防止することができる。
【0025】
この実施例の薬液注入部材50では、排出ポート70は、底板部材53に設けられた筒状部73と、筒状部73の開口部に固定されたポート形成部材80とにより構成されている。また、カテーテル基端部装着部87は、底板部材53の筒状部73の内部側端部(一端側部分)とポート形成部材80の内部により構成されている。底板部材53の筒状部73は、上述した流通部75と連通し、かつ、カテーテル3の外径と等しいもしくは若干大きい外径を有する大径部76を備えている。さらに、大径部76より開口部側には、大径部76より大径となっている拡径部を備え、その内面には、雌ねじ部74が設けられている。
また、ポート形成部材80は、カテーテル挿入口86を有するフランジ部82と、このフランジ部82より一端側に延びる筒状部81を有している。そして、筒状部81の一端部には、カテーテル抜け止め用の環状突出部83が設けられている。特に、この実施例のものでは、抜け止め用の環状突出部83は、筒状部81の端部に設けられている。なお、抜け止め用の環状突出部83は、このように端部に設けることが好ましいが、端部よりより若干内側(カテーテル挿入口側)となる位置に設けてもよい。また、筒状部81は、底板部材53の筒状部73の内面に設けられた雌ねじ部74と螺合するための雄ねじ部85を側面に備えている。なお、ポート形成部材80の筒状部81の一端部84は、雄ねじ部を備えないものとなっている。
【0026】
ポート形成部材80に設けられたカテーテル抜け止め用の環状突出部83は、カテーテル挿入口86側より一端側に向かって縮径する環状テーパー面83aと、カテーテル3の外径より小さい内径を有し、かつ鋭角に形成された環状突出端部83bとを有する。さらに、この実施例では、環状突出部83の一端側は、ポート形成部材80の中心軸に対してほぼ直交する起立面83cとなっている。また、ポート形成部材80に設けられたカテーテル挿入口86は、開口端方向に向かって拡径している。このため、カテーテルの基端の挿入を容易なものとなっている。
そして、注入部材本体は、流通部75(具体的には、大径部76の流通部側端面76a)と環状突出部83との間により形成されたカテーテル基端収納部を備えている。カテーテルチューブ2の基端部は、カテーテル挿入口86よりカテーテル基端部装着部87内に進入し、大径部76の流通部側端面76aに当接するまで、挿入可能となっている。
カテーテル30は、カテーテル基端部装着部87に、カテーテルチューブ2の基端が環状突出部83を通過するように装着されており、カテーテル30を牽引した場合、カテーテルチューブ2の外面と鋭角に形成された環状突出端部83がくさび状に接触するため、容易に離脱することがない。また、装着されたカテーテルチューブ2は、ゆっくり若干捻りながら引くことにより、薬液注入部材より離脱させることも可能である。
【0027】
そして、図14に示すように、カテーテル抜け止め用の環状突出部83の内径P1は、カテーテルチューブ2の外径S1より、0.03〜1mm小さいことが好ましく、特に、0.1〜0.38mm小さいことが好ましい。また、カテーテル基端部装着部87の内径P4(ポート形成部材80の筒状部81の内径)は、カテーテルチューブ2の外径S1と等しいもしくは若干大きいものであり、0.05〜0.2mm大きいことが好ましく、特に、0.05〜0.1mm大きいことが好ましい。また、カテーテル基端部装着部87の内径P4(ポート形成部材80の筒状部81の内径)は、カテーテル抜け止め用の環状突出部83の内径P1より、0.03〜1.2mm大きいことが好ましく、特に、0.1〜0.58mm大きいことが好ましい。また、流通部75の内径P2は、カテーテルチューブ2の内径S2とほぼ等しく、もしくは若干大きくても良い。また、底板部材53の筒状部73の大径部76の内径P3は、カテーテルチューブ2の外径S1と等しいもしくは若干大きいものであり、0.05〜0.5mm大きいことが好ましく、特に、0.05〜0.2mm大きいことが好ましい。また、カテーテル抜け止め用の環状突出部83と底板部材53の大径部76の流通部側端面76a間の距離T1は、0.5〜5mmであることが好ましく、特に、0.5〜3mmであることが好ましい。また、環状突出端部83bの角度θ1(環状突出部83bの排出ポートの軸方向断面における角度)は、60°〜85°であることが好ましく、特に、63°〜80°であることが好ましい。
【0028】
さらに、この実施例のものでは、図14に示すように、底板部材53の大径部76の端部と雌ねじ部74の端部との間には、流通部75方向に向かって縮径するテーパー部79が設けられている。また、ポート形成部材80の一端部の外縁は面取りされた角部となっている。このため、ポート形成部材80の一端部が上記テーパー部79に当接しても損傷を与えないものとなっている。
また、この実施例の薬液注入具10では、図9、図10および図12示すように、注入部材本体(具体的には、底板部材53)には、筒状部73を挟むように延びる2つの平板状延出部を有し、それぞれの延出部には、皮下組織への固定時に使用する貫通孔77,78が形成されている。薬液注入部材50の固定は、例えば、各貫通孔77,78に糸を通し、その糸を筋等の皮下組織に結ぶことにより行われる。
【0029】
さらに、この実施例の薬液注入具10では、注入部材本体の流通部75とカテーテル基端部装着部87の環状突出部83との間となるカテーテル基端収納部を形成する部位は、カテーテル基端部収納部に収納されたカテーテルの基端を外部より視認可能な透明性を有している。このため、カテーテルチューブ2のカテーテル基端部装着部87への装着を視認により容易に確認できる。
ポート形成部材80として、X線不透過性材料又は非磁性体金属からなる非透明性材料により形成されたものを用いた場合において、ポート形成部材80の一端より流出するカテーテルチューブ2の基端を確認できるため、特に有効である。
注入部材本体、具体的には、リング状本体部材51および底板部材53の形成材料としては、ある程度の透明性を有する材料が好ましく、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂、ポリアセタールなどが用いられる。
また、薬液注入部材としては、上述したようにカテーテル基端収納部を有するタイプのものが好ましいが、例えば、図15に示すようなものであってもよい。この実施例の薬液注入部材50aでは、注入部材本体(具体的には、底板部材53)の筒状部73内に、筒状のポート形成部材90の基端部が挿入され固定されている。ポート形成部材90は、フランジ状の本体部91とカテーテルチューブ2の基端内に挿入される細径部92と、薬液流入空間56と連通する薬液流通部93と、カテーテルチューブ2の基端内に進入可能であり、カテーテルチューブ2の抜け止めとして機能する環状リブ94を備えている。
【符号の説明】
【0030】
1 生体内挿入用カテーテル
2 可撓性カテーテルチューブ
3 筒状弾性スリーブ
20 先端テーパー部
21 閉塞先端
22 内部ルーメン
23 側孔
31 スリット
10 薬液注入具
30 生体内挿入用カテーテル
50 薬液注入部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞した先端と、内部ルーメンと、前記先端に向かって縮径する先端テーパー部と、前記先端より所定長基端側かつ前記先端テーパー部に設けられた側孔とを有する可撓性カテーテルチューブと、前記先端テーパー部の前記側孔形成部を被包し、かつ先端側固定部および基端側固定部により前記カテーテルチューブに固着された筒状弾性スリーブとを備え、前記筒状弾性スリーブは、前記側孔のほぼ中心を前記カテーテルチューブの軸方向に横切るとともに、前記側孔の両端部を越えて所定長延びるスリットを備えることを特徴とする生体内挿入用カテーテル。
【請求項2】
前記筒状弾性スリーブは、前記カテーテルチューブに非伸張状態にて固着されている請求項1に記載の生体内挿入用カテーテル。
【請求項3】
前記筒状弾性スリーブは、ほぼ同一内径を有し、前記スリーブの先端部の内径は、該スリーブの前記先端側固定部における前記カテーテルチューブの外径より若干大きいものであり、前記スリーブの基端部の内径は、該スリーブの前記基端側固定部における前記カテーテルチューブの外径と等しいもしくは若干大きいものである請求項1または2に記載の生体内挿入用カテーテル。
【請求項4】
前記スリーブの前記先端側固定部の外面は、前記カテーテルチューブの先端側に向かって縮径するテーパー部となっており、前記スリーブの前記基端側固定部は、前記カテーテルチューブの基端側に向かって縮径するテーパー部となっている請求項1ないし3のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテル。
【請求項5】
前記側孔は、前記カテーテルチューブの軸方向に長い楕円状である請求項1ないし4のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテル。
【請求項6】
前記カテーテルは、基端側より前記ルーメン内に液体を注入することにより、前記スリットが開き、該開いたスリットより液体を生体内に注入可能であり、かつ、基端側での前記ルーメン内の吸引時に、前記スリットが開き、該開いたスリットより体液を吸引可能である請求項1ないし5のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテル。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテルと、該カテーテルを着脱可能に装着する薬液注入部材とからなる薬液注入具であって、前記薬液注入部材は、開口部と、前記開口部と連通する薬液流入空間と、前記薬液流入空間と連通しかつ前記カテーテルを着脱可能に装着する排出ポートとを有する注入部材本体と、前記注入部材本体の前記開口部を封止するとともに薬液注入用針の刺通が可能なシール部とを備えるものであることを特徴とする薬液注入具。
【請求項8】
前記注入部材本体は、前記薬液流入空間と連通する流通部を備え、前記排出ポートは、前記カテーテルの外径と同じ若しくは若干大きい内径を有し、一端側が前記流通部と連通し、他端側がカテーテル挿入口を形成し、前記カテーテルの基端部の挿入を可能とするカテーテル基端部装着部と、前記カテーテル基端部装着部の一端より所定長前記カテーテル挿入口側に位置するカテーテル抜け止め用の環状突出部とを備え、さらに、該環状突出部は、前記カテーテル基端部装着部の前記カテーテル挿入口側より一端側に向かって縮径する環状テーパー面と、前記カテーテルの外径より小さい内径を有し、かつ鋭角に形成された環状突出端部とを有するものである請求項7に記載の薬液注入具。
【請求項9】
前記薬液注入部材は、前記流通部と前記カテーテル基端部装着部の前記環状突出部との間により形成されたカテーテル基端収納部を備えている請求項8に記載の薬液注入具。
【請求項10】
前記カテーテル挿入口は、開口端方向に向かって拡径している請求項8または9のいずれかに記載の薬液注入具。
【請求項11】
前記薬液注入具は、前記流通部と前記カテーテル基端部装着部の前記環状突出部との間により形成されたカテーテル基端収納部を備え、さらに、前記薬液注入具の前記カテーテル基端収納部を形成する部位は、該カテーテル基端収納部に収納されたカテーテルの基端部を外部より視認可能な透明性を有している請求項8ないし10のいずれかに記載の薬液注入具。
【請求項1】
閉塞した先端と、内部ルーメンと、前記先端に向かって縮径する先端テーパー部と、前記先端より所定長基端側かつ前記先端テーパー部に設けられた側孔とを有する可撓性カテーテルチューブと、前記先端テーパー部の前記側孔形成部を被包し、かつ先端側固定部および基端側固定部により前記カテーテルチューブに固着された筒状弾性スリーブとを備え、前記筒状弾性スリーブは、前記側孔のほぼ中心を前記カテーテルチューブの軸方向に横切るとともに、前記側孔の両端部を越えて所定長延びるスリットを備えることを特徴とする生体内挿入用カテーテル。
【請求項2】
前記筒状弾性スリーブは、前記カテーテルチューブに非伸張状態にて固着されている請求項1に記載の生体内挿入用カテーテル。
【請求項3】
前記筒状弾性スリーブは、ほぼ同一内径を有し、前記スリーブの先端部の内径は、該スリーブの前記先端側固定部における前記カテーテルチューブの外径より若干大きいものであり、前記スリーブの基端部の内径は、該スリーブの前記基端側固定部における前記カテーテルチューブの外径と等しいもしくは若干大きいものである請求項1または2に記載の生体内挿入用カテーテル。
【請求項4】
前記スリーブの前記先端側固定部の外面は、前記カテーテルチューブの先端側に向かって縮径するテーパー部となっており、前記スリーブの前記基端側固定部は、前記カテーテルチューブの基端側に向かって縮径するテーパー部となっている請求項1ないし3のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテル。
【請求項5】
前記側孔は、前記カテーテルチューブの軸方向に長い楕円状である請求項1ないし4のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテル。
【請求項6】
前記カテーテルは、基端側より前記ルーメン内に液体を注入することにより、前記スリットが開き、該開いたスリットより液体を生体内に注入可能であり、かつ、基端側での前記ルーメン内の吸引時に、前記スリットが開き、該開いたスリットより体液を吸引可能である請求項1ないし5のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテル。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の生体内挿入用カテーテルと、該カテーテルを着脱可能に装着する薬液注入部材とからなる薬液注入具であって、前記薬液注入部材は、開口部と、前記開口部と連通する薬液流入空間と、前記薬液流入空間と連通しかつ前記カテーテルを着脱可能に装着する排出ポートとを有する注入部材本体と、前記注入部材本体の前記開口部を封止するとともに薬液注入用針の刺通が可能なシール部とを備えるものであることを特徴とする薬液注入具。
【請求項8】
前記注入部材本体は、前記薬液流入空間と連通する流通部を備え、前記排出ポートは、前記カテーテルの外径と同じ若しくは若干大きい内径を有し、一端側が前記流通部と連通し、他端側がカテーテル挿入口を形成し、前記カテーテルの基端部の挿入を可能とするカテーテル基端部装着部と、前記カテーテル基端部装着部の一端より所定長前記カテーテル挿入口側に位置するカテーテル抜け止め用の環状突出部とを備え、さらに、該環状突出部は、前記カテーテル基端部装着部の前記カテーテル挿入口側より一端側に向かって縮径する環状テーパー面と、前記カテーテルの外径より小さい内径を有し、かつ鋭角に形成された環状突出端部とを有するものである請求項7に記載の薬液注入具。
【請求項9】
前記薬液注入部材は、前記流通部と前記カテーテル基端部装着部の前記環状突出部との間により形成されたカテーテル基端収納部を備えている請求項8に記載の薬液注入具。
【請求項10】
前記カテーテル挿入口は、開口端方向に向かって拡径している請求項8または9のいずれかに記載の薬液注入具。
【請求項11】
前記薬液注入具は、前記流通部と前記カテーテル基端部装着部の前記環状突出部との間により形成されたカテーテル基端収納部を備え、さらに、前記薬液注入具の前記カテーテル基端収納部を形成する部位は、該カテーテル基端収納部に収納されたカテーテルの基端部を外部より視認可能な透明性を有している請求項8ないし10のいずれかに記載の薬液注入具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図11】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−120736(P2011−120736A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280811(P2009−280811)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(591140938)テルモ・クリニカルサプライ株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(591140938)テルモ・クリニカルサプライ株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
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