生体吸収性膜を備えたステント
本発明は管状壁を有するステント(10)に関し、管状壁の少なくとも一部は生体吸収性膜(12)からなる。管状壁の部分には生体吸収性膜が含まれ、ステントの部材(即ち、ストラット及び連結部)は生体吸収性膜に吸収される。少なくとも一実施例においてステントは治療薬を溶出もする。好適な実施例において、ステントは分岐し、少なくとも1つの側枝部(32)及び側枝開口部(26)からなる側枝(28)領域を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体吸収性膜を備えたステントに関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは体腔に案内される医療器具として公知である。通常、ステントはシース及びカテーテルのうち少なくともいずれか一方により径方向に縮径した状態に、任意により径方向に圧縮された状態に制限され、ステント搬送システムや「案内具」により血管内の内腔における狭窄や動脈瘤のような必要な部位に搬送されて、所謂「侵襲性を最小限に抑えた技術」により同部位に移植される。案内具は患者の肌を介して、或いは簡単な外科的処置により進入のための血管を暴露する「切開」技術により体外のアクセス部位から体に進入する。
【0003】
ステント、移植片、ステントグラフト、大静脈フィルタ、拡張可能な骨組み、及びこれらに類似する移植可能な医療器具は、径方向に拡張可能な人工器官であり、通常経管的に移植され、経皮的に案内された後に径方向に拡張される。ステントは血管系、尿路、胆管、卵管、冠状血管、副血管等の様々な体腔や血管に移植される。これらはバルーンに搭載された場合等に内側の径方向圧力によって拡張される自己拡張型であるか、自己拡張型及びバルーン拡張型の組み合わせ(ハイブリッド拡張型)である。
【0004】
ステントは、管状のシート素材から、切断及びエッチングされ巻かれる平坦なシートから、或いは1つ以上の編み込まれたワイヤや編組から切断やエッチングする工程を含む方法によって形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
血管系内において、狭窄症が血管の分岐部にて形成されることは珍しいことではない。分岐部は第1の(即ち、親の)血管が2つ以上の枝の血管に分岐する、血管系や体のその他の部分の領域であり、このような分岐部において狭窄疾患が生じる。患部は血管の1本のみ(即ち、枝血管又は親血管のいずれか)、血管のうち2本、或いは全ての3本の血管に影響を付与する。しかしながら、多くの公知のステントは、ステントを適用する所望の部位が並置されている場合や、動脈や静脈の分岐部、例えば哺乳動物の大動脈から通常の腸骨動脈への分岐部を横断して伸びる場合における使用等、全体的な需要を満たすものではない。
【0006】
本願において言及された全ての米国特許及び特許出願ならびに他の刊行物は、その全体が本明細書において開示されたものとする。
本発明の範囲を限定することなく、請求される本発明実施例の要約を以下に記載する。本発明の要約された実施形態の更なる詳細及び/又は本発明のさらなる実施形態については、以下の「発明の詳細な説明」に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による少なくとも一実施例において、ステントは、管状壁の少なくとも一部が生体吸収性膜からなる管状壁を有する。生体吸収性膜を含む管状壁の部分において、ステントの部材(即ち、ストラット及び連結部)は生体吸収性膜に埋め込まれる。
【0008】
本発明を特徴付けるこれらの実施例や他の実施例は、本明細書に添付されその一部を構成する特許請求の範囲において詳述される。しかしながら、本発明や、本発明を実施することにより得られる効果や目的をより理解するために、さらに本明細書の一部を構成する図面及びその説明を参照されるものであり、図面及びその説明において本発明の実施例について示し説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】生体吸収性膜に埋め込まれるストラットを示す図。
【図1B】生体吸収性膜に埋め込まれるストラットを示す図。
【図1C】生体吸収性膜に埋め込まれるストラットを示す図。
【図2】ストラットの環状リング及び生体吸収性膜の区分からなる管状体を備えるステントを示す展開図。
【図3】環状リングの区分が2つの環状生体吸収性膜によって相互に係合する、環状リングの区分を備えるステントを示す展開図。
【図4】ステントの周囲全体にわたって延びる2つの長尺状の生体吸収性膜によって相互に係合する環状リングの区分を備えたステントを示す展開図。
【図5】スリット及び生体吸収性膜を備えた、分岐ステントを示す展開図。
【図6】生体吸収性膜が側枝の少なくとも一部をなす、側枝を備えた分岐ステントを示す展開図。
【図7】図6のステントを示す分解側面図。
【図8】少なくとも1つの生体吸収性膜が側枝を周囲部に係合させる、図6の分岐ステントの側枝を示す拡大図。
【図9】1つの生体吸収性膜が側枝を周囲部に係合させる拡張した状態における図8の分岐ステントを示す図。
【図10】3つの生体吸収性膜が側枝を周囲部に係合させる拡張した状態における図8の分岐ステントを示す図。
【図11】4つのリングと4つの生体吸収性膜からなる伸縮自在な側枝を備えた、拡張した状態における分岐ステントを示す側面図。
【図12】2つのリング及び2つの生体吸収性膜からなる伸縮自在な側枝を備えたステントを示す展開図。
【図13】側枝ガイドワイヤハウジングの先端側端部領域を形成する生体吸収性膜を備えたステント搬送システムを示す側面図。
【図14】側枝ガイドワイヤハウジングの先端側端部領域の周囲部の一部を形成する生体吸収性膜を備えたステント搬送システムを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき、本発明を詳細に説明する。
本発明は様々な形態で実施することができるが、本明細書においては、特定の実施例について詳細に記載する。実施例の記載は、本発明の原理を例示するものであり、本発明を例示された特定の実施例に限定するものではない。
【0011】
本願においては、特に明示されない限り、各図面における同様の符号は同様の特徴を示すものである。
本発明の実施例におけるステントにおいて、生体吸収性膜12はステント10の管状壁の少なくとも一部を形成する。ステント10の管状壁は、例えばストラット及び連結部の部材からなる。少なくとも一実施例において、管状壁をなす部材の少なくとも一部は生体吸収性膜12に埋め込まれる。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は高い率の延びが可能であり、これによりステント10が拡張された場合に、生体吸収性膜12も延びる。生体吸収性膜12は、例えば網、織物、或いは編組として形成可能であるが、これらに限定されるものではない。従って、少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は、織物状の材料から形成される。
【0012】
図1A乃至1Cは、ステントの管状壁の断面図であり、これらの例においてステント10の一部であるストラット22は生体吸収性膜12に埋め込まれる。図1Aにおいてストラット22及び生体吸収性膜12は同じ厚みを有し、これによりステント10の管状壁はこの領域において均一の厚みを有する。本実施例においてストラット22の2つの側部のみが生体吸収性膜12と係合する。図1Bにおいて、ストラット22の全ての側部が生体吸収性膜12と係合する。従って、本実施例において、ステント10の該領域における管状壁の厚みは生体吸収性膜12の厚みに応じて変化する。付加的に、図1Bの生体吸収性膜12の厚みはストラット22の厚みより大きい。図1Bにおいて、ストラット22の全ての側部が生体吸収性膜12によって包囲されるが、図1Cに示すように、生体吸収性膜12がストラット22の3つの側部のみを包囲することも本発明の範囲内にある。
【0013】
本明細書において使用されるように、「生体吸収性」は、生物分解性、分解性、生物学的分解性、腐食性、生物再吸収性等も示す。生体吸収性膜12を形成することに使用される材料は、副作用を生じることなく体内において溶解、分離、或いは分解する。実施例において、生体吸収性膜12は多孔質な材料から形成される。別例において、生体吸収性膜12は、非多孔質な材料から形成される。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12を形成する材料は織り込まれる。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12を形成する材料は、編み込まれる。
【0014】
生体吸収性膜12の好適な材料の例は、ポリ(ヒドロキシバリレート)(poly(hydroxyvalerate))、ポリ(L−乳酸)、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)(poly(hydroxybutyrate ))、ポリ(ハイドロキシブチレート−コ−バリレート)(poly(hydroxybutyrate-co-valerate ))、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル(Polyorthoester)、ポリアンヒドリド(Polyanhydrides)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D、L−乳酸)、ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート)(poly(glycolic acid-co-trimethylene carbonate ))、ポリフォスフォエステルウレタン(polyphosphoester urethanes)、ポリ(アミノ酸)、シアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)(poly(iminocarbonate ))、コポリ(エーテル−エステル)(copoly(ether-esters)) (例えばPEO /PLA)、ポリアルキレンオギザレート(polyalkylene oxalates )、ポリホスファゼン(polyphosphazenes)、及びフィブリン、フィブリノゲン、セルロース、スターチ、コラーゲン、ヒアルロン酸等の生体分子、並びにこれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0015】
ここで使用されるように、用語「ポリラクチド」は乳酸のポリマを示す「ポリ(乳酸)」と同義である。特に、DL−ラクチドは、乳酸の大まかなラセミ混合物に由来する乳酸であり、この用語は(DL)乳酸に代えてもよい。同様に、用語、ポリグリコリド(polyglycolide )及びポリ(グリコール酸)は同義である。
【0016】
生体吸収性膜12に使用可能なその他の好適な材料は、発明の名称が高分子量生体吸収性ポリマ及びその移植可能な器具である米国特許第5358475号明細書、発明の名称が移植可能な弁補綴である米国特許第7070616号明細書、及び発明の名称が網状弾性基質並びにその製造方法及び移植可能な器具における使用方法である米国特許出願公開第2005/0043816号明細書に開示されている。これらはその全体がここで開示されたものとする。
【0017】
図2は生体吸収性膜12からなる管状壁と、ストラット22の少なくとも1つの環状リング20からなる少なくとも1つの区分14とを備えるステント10を示す。少なくとも一実施例において、少なくとも1つの区分14は、生体吸収性膜12内に埋め込まれる。図2に示すステント10の設計は例示に過ぎず、ステント10が少なくとも2つの区分14、即ち「ステント部分(stentlets )」からなる限り本発明の範囲内にあることに留意する必要がある。発明の名称がひだの径が変化するステントである米国特許出願第11/438934号明細書には少なくとも2つの独立した部分を備えるステントの設計の別の非限定的な例が開示されている。同明細書はその全体がここで開示されたものとする。
【0018】
図2のステント10は3つの区分14A,14B,14C、即ち、第1の区分14A、第2の区分14B、及び第3の区分14Cを有する。3つの区分14A,14B,14Cのみからなるステント10において、区分14はそれぞれ基端側区分14、中間の区分16、及び先端側区分18としてもよい。ステント10が任意の数の区分14、即ち「ステント部分」を有することも本発明の範囲内にある。従って、ステント10は1,2,3,4,5,6,7,8,9,10以上の区分14を有してもよい。図2に示すように、生体吸収性膜12はステント10の周囲全体にわたって延びる。図4に関して後述するように、少なくとも一実施例において生体吸収性膜12はステント10の周囲全体にわたって延びるものではない。
【0019】
生体吸収性膜12が隣接する区分14間において任意の長手方向の長さを有することも本発明の範囲内にある。従って、区分14間における生体吸収性膜12の長手方向の長さは、ステント10が位置される所定の体腔の外形に合わせて形成され、これによりステント部分14は体腔において相互に所定の距離を置いて離間する。少なくとも一実施例において、区分14間における生体吸収性膜12の長手方向の長さは同じである。少なくとも一実施例において、区分14間における生体吸収性膜12の長手方向の長さは異なる。
【0020】
各個別の区分14が、ステント10の各区分内にストラット22からなる1,2,3,4,5,6,7,8,9,10以上の環状リング20を有することも本発明の範囲内にある。少なくとも一実施例において、異なる区分14は異なる数の環状リング20有する。区分14内におけるストラット22の隣接する環状リング20は少なくとも1つの連結部24によって係合される。連結部は図2に示すような山と山の連結部であるか、山と谷の連結部である。
【0021】
少なくとも一実施例において、全ての3つの区分14A,14B,14Cは生体吸収性膜12内に埋め込まれる。生体吸収性膜12は区分14A,14B,14Cを相互に係合させるため、14A,14B,14Cを相互に係合させる部材23,24は不要であることに留意する必要がある。生体吸収性膜12が区分18を越えて延び、図2に示すようなステント10の先端部8を形成するること、区分14のストラット22の基端部(又は先端部)までのみ延び図2に示すようなステント10の基端部であるステント10の端部を形成すること、或いは区分14A,14B,14Cを係合することに要する最小限の距離だけ延び、管状ステント10を形成することも本発明の範囲内にある。例えば、図3は1つの生体吸収性膜12に代わる2つの生体吸収性膜12A,12Bを示す。この生体吸収性膜12は区分14A,14B,14Cを係合するが、ステント10の基端部6及び先端部8のいずれにも延びない。
【0022】
図3は、2つの生体吸収性膜12A,12Bを備えた図2のステント10を示す。図3に示すように、ステント10の基端側区分14の先端側環状リング20及び中間の区分16の基端側環状リング20は、第1の生体吸収性膜12Aに埋め込まれる。同様に、中間の区分16の先端側環状リング20及び先端側区分18の基端側環状リング20は、第2の生体吸収性膜12Bに埋め込まれる。第1の生体吸収性膜12Aの基端部がステント10の基端部6に延びること、及び第2の生体吸収性膜12Bの先端部がステント10の先端部8に延びることも本発明の範囲内にある。図3に示すように、第1の生体吸収性膜12A及び第2の生体吸収性膜12Bの間に空隙が存在する。空隙は任意の長さであり、第1の生体吸収性膜12Aの先端側縁が第2の生体吸収性膜12Bの基端側縁に接するように第1の生体吸収性膜12A及び第2の生体吸収性膜12Bが位置されることも本発明の範囲内にある。
【0023】
少なくとも一実施例において、基端側区分12及び中間の区分16を係合させる生体吸収性膜12Aは、中間の区分16及び先端側区分18を係合させる第2の生体吸収性膜12Bとは異なる。生体吸収性膜12A,12Bは異なる化学的組成や異なる分解速度を有する。
【0024】
図3において、2つの生体吸収性膜12A,12Bはそれぞれステント10の周囲全体にわたって延びる。図4に示すように、少なくとも一実施例において、ステント10は、ステント10の周囲より短い周囲部分を備えた少なくとも1つの生体吸収性膜12を有する。図4に示すように、ステント10は、異なる長手方向の長さを有する2つの生体吸収性膜12A,12Bを有する。しかしながら、生体吸収性膜は任意の長手方向の長さを有する。
【0025】
ステント10を所望の体腔内に位置させた後に、生体吸収性膜12は吸収され、これにより個別の区分14A,14B,14Cを体腔内に位置させる。この時点において、個別の区分14A,14B,14Cは個別に、分離したステント14A,14B,14Cとして機能する。上述したように、ステント10を体腔内に位置させた後に個別のステント部分が得られるように、所定のステント設計において生体吸収性膜12の様々な組み合わせ及び配置がある。少なくとも一実施例において、ステント10は、浅大腿動脈内に位置される。
少なくとも一実施例において、ステント10は体腔内に位置され、これにより生体吸収性膜12は不安定プラークに位置される。実施例において、生体吸収性膜12により、ステント10の搬送において不安定プラークの破壊が防止される。本実施例において、ステント10のストラット22は生体吸収性膜12内に埋め込まれ、これにより生体吸収性膜12はステント10の外側表面を形成する。本実施例において、個別のステント部分からなるステントの設計のみならず、任意のステント設計が利用可能である。
【0026】
少なくとも一実施例において、ステント10は分岐部に位置される。本実施例において、ステント10はステント10の2つの区分14が側枝血管の口の両側に設けられるように位置される。生体吸収性膜12の吸収により、血液は側枝血管口の両側の2つのステント部分14の間における主枝血管から側枝血管に流れる。本実施例により、連結部24によって係合される、ストラット22からなる隣接する環状リング20が側枝血管への血流を妨害する場合に生じるステントジェイルの課題が回避される。
【0027】
これに代えて、ステント10が分岐部に位置され、第2のバルーンカテーテルが、ステント10のストラット22及び連結部24の間の生体吸収性膜12における側枝血管口がステント10に接する部分を貫通する孔を打ち抜くことに使用されてもよい。続いて、公知のように、第2のバルーンが膨張され、ストラット22及び連結部24を拡張し、ステント10に側枝開口部を形成する。生体吸収性膜12は、第2のバルーンカテーテルによって貫通孔を設けられても、分岐部への搬送時においてステント10を堅固に保持する。血液は主枝血管から生体吸収性膜12に新たに形成された側枝開口部を通じて側枝血管に流れる。
【0028】
本発明において任意のステント設計が使用可能である。図2の個別の区分14を備えたステント設計に類似のものが使用される場合において、生体吸収性膜12が分解した後、ステント10は1つのステントから個別のステント部分14に変異する。ステント10が連結部24によって相互に係合される複数の環状リング20からなる場合に、ステント10は生体吸収性膜12を失うのみである。この場合において、第2のバルーンを側枝開口部を形成するべく使用することにより、ステントジェイルが防止される。
【0029】
図5はスリット30及び生体吸収性膜12を備えた分岐ステント10を示す。スリットを含むステント、及びこれらの分岐部への配置は、発明の名称がシース器具の配置及び方法である米国特許出願第11/507103号明細書に開示され、その全体がここで開示されたものとする。分岐ステント10は少なくとも1つの側枝部32と側枝開口部26とを含む側枝領域を有する。本実施例において、側枝開口部26は、ステント10の中間の区分16内に位置される。しかしながら、図5の分岐ステントの設計は、分岐ステントの設計の非制限的な例である。ステント10はステント10の側枝開口部から基端側縁6に延びるスリット30を有する限り任意の設計を有する。実施例において、スリット30の端部は開いており、スリット30の側部はステント10の本体の部分に追って画定される。少なくとも一実施例において、ステント10の少なくとも一部は生体吸収性膜12内に埋め込まれる。一実施例において、ステント10の基端側区分14は生体吸収性膜12内に埋め込まれる。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12はスリット30を備えた分岐ステントの周囲に設けられる。
【0030】
少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12はスリット30の側部の間をスリット30の長さ部分に沿って延びる。図5に示すように、スリット30は側枝開口部26の基端側縁からステント10の基端側縁6まで測定される長手方向の長さ(L)を有する。図5に示すように、実施例において、生体吸収性膜12の長手方向の長さはスリット30の長手方向の長さ(L)と等しい。しかしながら、生体吸収性膜12の長手方向の長さがスリット30の長手方向の長さ(L)より短いことも本発明の範囲内にある。
【0031】
使用において、ステント10は体腔内の所望の部位に進められる。米国特許出願第11/507103号明細書に開示されるように、スリット30を覆う生体吸収性膜12は、スリット30が開くことによりステント10の配置後に配置されたガイドワイヤが取り込まれることを防止するように分解する。
図6は側枝28を備えた分岐ステント10を示す。本実施例において、側枝部32は3つの同心リング36A,36B,36C及び螺旋状アーム38A,38B,38Cの組からなるが、本発明の範囲はその他の側枝の設計も含む。図6は実施例においてステント10の本体のストラット22及び連結部24とは別体の部材である周囲部34を更に示す。少なくとも一実施例において、周囲部34はステント10の本体のストラット22及び連結部24によって形成される。側枝の設計のその他の非制限的な例は、発明の名称が一体的な側枝突出部を備えた分岐ステントである米国特許出願第11/368964号明細書、及び発明の名称が螺旋状側枝支持体を備えたステントの設計である米国特許出願第11/273186号明細書に開示され、両者はその全体がここで開示されたものとする。
【0032】
図6及び7に示すように、少なくとも一実施例において、少なくとも1つの生体吸収性膜12がリング36及び螺旋状アーム38の間の空隙やセルに跨る。本実施例において、ステントが非拡張状態にある場合に、生体吸収性膜12はステント10の管状壁の一部を形成する。図1Aに示すように、リング36及び螺旋状アーム38が埋め込まれた場合に、セル毎に1つの生体吸収性膜12を備えた複数の生体吸収性膜12が設けられる。図1A及び1Bの両者に示すように、リング36及び螺旋状アーム38が埋め込まれた場合に、1つの生体吸収性膜12が全てのセルに跨るべく使用される。これらの実施例において、1つ以上の生体吸収性膜12が相互に接触して1つの連続した生体吸収性膜12を形成してもよい。図6及び7に示すように、全てのセルに代えて選択したセルを生体吸収性膜12が跨るか覆うことも本発明の範囲内にある。生体吸収性膜12は同じ又は異なる化学的組成を有し、且つ同じ又は異なる分解速度を有してもよい。従って、側枝28の一区分は側枝28の他の区分に先立って生体吸収性膜12を失う。同様に、選択されたセルのみが生体吸収性膜12を有する場合に、選択されたセルは同じタイプの生体吸収性膜12又は異なるタイプの生体吸収性膜12を有する。
【0033】
図6及び7に示すように、側枝28の最も内側のリング36によって形成される領域は生体吸収性膜12を有さないため、ステント10が位置された場合に、血液は図7の矢印によって示すように、ステント10の主枝から側枝28を通じて側枝血管に流れる。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は側枝部32を補強し、付加的に指示する。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は竜骨、及び口の残部を覆う部分を広げる。
【0034】
図6の側枝の拡大図である図8に示すように、少なくとも一実施例において、少なくとも1つの生体吸収性膜12は、側枝28及びステント10の本体を係合させる。図8の側枝28の基端側半部に示すように、少なくとも一実施例において、1つの生体吸収性膜12は、周囲部34を第1のリング36Aに係合させる。図9は本実施例においてステント10が拡張状態にある場合を示す。本実施例において、生体吸収性膜12Aが分解する場合において、図2,3に示すように、側枝28は、主血管におけるステント10に取り付けられていない、側枝血管中の別体のステントである。
【0035】
図8の側枝28の先端側半部にて示すように、少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12の少なくとも2つの区分は周囲部34を第1のリング36Aに係合させる。図8及び10は、側枝28を周囲部34に係合させる3つの生体吸収性膜12A,12B,12Cを示す。生体吸収性膜12の区分が任意の寸法を有することも本発明の範囲内にある。生体吸収性膜12のこれらの区分は側枝28及び周囲部34を係合させるものとして機能する。上述したように、生体吸収性膜12の区分は同じか異なる化学的組成、及び同じか異なる分解速度を有する。
【0036】
少なくとも一実施例において、少なくとも1つの生体吸収性膜12は分岐部の領域の選択されたセルを覆う。図6乃至9に関して上述したように、これらの選択されたセルは側枝28の一部であるか、或いはこれらの選択されたセルは側枝28に隣接する。例えば、図6のセル40は少なくとも1つの生体吸収性膜12によって架橋される。少なくとも一実施例において、側枝28に隣接する全てのセルは少なくとも1つの生体吸収性膜12によって架橋される。分岐部の領域における全てのセルが識別されるわけではないことに留意する必要がある。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は、側枝28に隣接する選択されたセルを架橋することと同様に側枝28及び周囲部34を連結する。少なくとも一実施例において、側枝28に隣接するセルに跨る生体吸収性膜12は、竜骨、及び口の残部を付加的に覆う。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は側枝を補強し、側枝28を付加的に支持する。
【0037】
図11及び12はそれぞれ伸縮自在な側枝28を備える分岐ステント10を示す展開図及び拡大図である。伸縮自在な分岐を備えたステントは発明の名称が伸縮自在な分岐を備えたステントである米国特許出願第11/300210号明細書に詳細に開示され、その全体がここで開示されたものとする。分岐ステント10の本体は任意の構造体を有するが、図12に示すステント10の本体は任意の構造体を有さないことに留意する必要がある。
【0038】
側枝28は少なくとも側枝部32からなる。図11において、側枝28は4つの側枝部32を有し、それぞれリングの形態を採る。側枝28が1,2,3,4,5,6,7,8,9,10以上のリング32を有することも本発明の範囲内にある。リング32は任意の幅、厚み、周囲の長さ、及び形状を有する。少なくとも一実施例において、リング32は先端に向かって径が漸減する側枝28を形成すべく連続して漸減する外周を有する。
【0039】
側枝部32は少なくとも1つの生体吸収性膜12によって相互に係合し、側枝28の周囲部34に係合する。図11及び12に示すように、少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12はリング32間においてひだが形成され、折り畳まれる。図12において、ひだは破線によって示され、リング32間の生体吸収性膜12の折り畳みやひだは側枝28が拡張した状態にある場合にリング32間の距離を延ばす。生体吸収性膜12は任意の数のひだや折り目を有する。側枝28が非拡張状態にある場合において、側枝28はステント10の管状壁の一部をなす。従って、生体吸収性膜12はステント10の管状壁の一部をなす。
【0040】
上述したように、側枝28は少なくとも1つの生体吸収性膜12を有する。少なくとも一実施例において、側枝28を周囲部34に係合させる生体吸収性膜12は、リング32を相互に係合させる少なくとも1つの生体吸収性膜12とは異なる。上述したように、少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は、様々な化学的組成、及び異なる分解速度のうち少なくともいずれか一方を有する。
【0041】
上述した実施例において各ステントは、少なくとも1つの治療薬を搬送可能である。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12に埋め込まれていないステント10の部分は、治療薬を溶出する。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12に埋め込まれるステント10の部分は、治療薬を溶出する。少なくとも一実施例において、治療薬はコーティング保持具等の搬送機構が生体吸収性膜12の分解に伴い暴露されるまでステント10から溶出されない。
【0042】
別例において、治療薬は生体吸収性膜12が分解するに先立って生体吸収性膜12に埋め込まれるステント10部分から溶出される。本実施例において、ステント10の部材(ストラット22及び連結部24のうち少なくともいずれか一方)は図1A又は1Cの断面図にて示されるものと同様に埋め込まれる。これらの実施例の両者において、部材(ストラット22及び連結部24のうち少なくともいずれか一方)の少なくとも一表面から治療薬が溶出する。投薬する治療薬を搬送する機構及び治療薬の例は、発明の名称が腔内の穿孔を設けた径方向に拡張可能な薬物搬送プロテーゼ及びその製造方法である米国特許第7135039号明細書、及び発明の名称がコーティング保持性能を改良した血管内ステントである米国特許第6783543号明細書に詳細に開示され、両者はその全体がここで開示されたものとする。
【0043】
生体吸収性膜はステントの搬送に使用されるカテーテルの一部を形成することにも使用可能である。ステントを分岐部にて搬送することに使用されるカテーテルアセンブリは、通常分岐部にて分岐ステントを配向することに使用される側枝ガイドワイヤを有する。側枝ガイドワイヤハウジングは側枝ガイドワイヤを収容する。側枝ガイドワイヤハウジングはカテーテル及びステントの間に位置され、少なくとも一実施例において、ステントの側枝開口部を通じて延びる。側枝ガイドワイヤハウジングはカテーテルとは別体であるか、カテーテルと係合する。側枝ガイドワイヤルーメンを備えたカテーテルは、発明の名称がバルーンにて膨張可能なシース回転する分岐部搬送である米国特許出願公開第2004/0172121号明細書、及び発明の名称が分岐部へのステント配置方法である米国特許出願公開第2003/0181923号明細書に詳細に開示され、両者はその全体がここで開示されたものとする。上記2つの刊行物に示すように、このタイプのカテーテルアセンブリは多くの異なる構造体を有する。
【0044】
少なくとも一実施例において、生体吸収性膜は側枝ガイドワイヤハウジングの少なくとも一部を形成する。一実施例において、生体吸収性膜は側枝ガイドワイヤハウジングの先端側端部領域を形成する。図13は分岐ステント10、及び分岐ステント10及びカテーテル52の間の側枝ガイドワイヤハウジング54を備えるカテーテルアセンブリ50の非制限的な例を示す。図13に示すように、生体吸収性膜12は側枝ガイドワイヤハウジング54の先端側端部領域を形成し、平行線模様によって示される。別例において、生体吸収性膜12は、側枝ガイドワイヤハウジング54の先端側端部領域の周囲の一部を形成する。本実施例において、生体吸収性膜12は、側枝ガイドワイヤハウジング54の先端側端部領域の長さ部分に沿って延びるストリップを形成する。図14において平行線模様によって示すように、一実施例において、生体吸収性膜12のストリップはカテーテルアセンブリ50によって位置されるステント10の内側表面に隣接する側枝ガイドワイヤハウジング54の部分をなす。
【0045】
使用時において、分岐ステント10はカテーテルアセンブリ50と共に分岐部に位置される。生体吸収性膜12からなる側枝ガイドワイヤハウジング54の部分は吸収される。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12の吸収はカテーテルアセンブリ50の退出を補助する。
【0046】
本発明によるステントは1つ以上のポリマ、1つ以上の金属、或いはポリマ及び金属の組み合わせを含む任意の好適な生体適合性を備えた材料から形成される。好適な材料の例は生分解性を備えた材料を含み、これは生体適合性も備える。生分解性とは、材料が通常の生体内作用の一部として無害な化合物に分解されることを示す。好適な生分解性材料は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、コラーゲン、或いはその他の結合タンパク質や天然材料、ポリカプロラクトン、ヒアルロン酸、付加的なタンパク質、これらの共重合体の他、合成物及び組み合わせ、並びにその他の生分解性ポリマの組み合わせを含む。その他の使用可能なポリマはポリエステル及びポリカーボネート共重合体を含む。好適な金属の例は、ステンレス鋼、チタン、タンタラム、プラチナ、タングステン、金、及びこれらの金属のうち任意のものからなる合金を含むが、これらに限定されるものではない。好適な合金の例は、プラチナ−インジウム合金、Elgiloy (登録商標)、Phynox(登録商標)、MP35N (登録商標)を含むコバルト−クロム合金、及び例えばニチノール等のニッケル−チタン合金を含む。
【0047】
本発明によるステントは超弾性ニチノールやバネ鋼等の形状記憶材料から形成されてもよく、塑性的に変形した材料から形成されてもよい。形状記憶材料の場合において、ステントは形状を記憶された後に縮径した形状に変形される。ステントは、遷移温度まで加熱され拘束物が取り払われると、記憶された形状に復帰する。
【0048】
本発明によるステントは、管状のシート素材から、切断及びエッチングされ巻かれる平坦なシートから、或いは1つ以上の編み込まれたワイヤや編組から切断やエッチングする工程を含む方法によって形成される。公知の、或いは改良された任意の好適なその他の技術もここで開示される本発明によるステントの製造に使用可能である。
【0049】
実施例において、ステント、搬送システムや、アセンブリのその他の部分は、X線、MRIや、超音波等の撮像様式により検出可能な1つ以上の領域、帯域、コーティング、部材等を含んでもよい。実施例において、ステント及び隣接したアセンブリのうち少なくともいずれか一方の少なくとも一部は、少なくとも部分的に放射線不透過性を備える。
【0050】
実施例において、ステントの少なくとも一部は治療薬を搬送するための1つ以上の機構を含む。薬剤は通常ステントの表面領域に位置される材料のコーティングやその他の単層(又は複層)の形態を採り、これらはステントを移植する部位やこれに隣接する領域にて解放される。
【0051】
治療薬は、非遺伝物質からなる治療薬、遺伝物質からなる治療薬、細胞物質等の薬剤や他の医薬品であってもよい。好適な非遺伝物質からなる治療薬の幾つかの例には、ヘパリンやヘパリン誘導体等の抗血栓剤、血管細胞増殖促進剤、成長因子阻害剤、パクリタキセル等が含まれるが、これらに限定されるものではない。治療薬が遺伝物質からなる治療薬を含む場合、そのような治療薬には、DNA、RNA、およびそれらの誘導体及び/又は構成要素、ヘッジホッグタンパク質等が含まれるが、これらに限定されるものではない。治療薬が細胞物質を含む場合、そのような細胞物質には、ヒト由来細胞及び/又は非ヒト由来細胞、およびそれらの構成要素及び/又は誘導体が含まれるが、これらに限定されるものではない。治療薬がポリマ剤を含む場合、そのようなポリマ剤には、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレン トリブロックコポリマー(SIBS)、ポリエチレンオキシド、シリコーンゴム及び/又は他の好適な物質であってもよい。
【0052】
上記の開示は例示的なものであり、包括的なものではない。これらの例および記載は、当業者に対して、様々な変更例や別例を提案するものである。各図面及び上記に示す様々な要素は、所望に応じて組み合わせたり変形可能である。これらすべての別例および変更例については、特許請求の範囲に含まれるものであり、特許請求の範囲における「〜からなる、〜から構成される」という語は「〜を含む」という意味であり、「〜に限定される」という意味ではない。
【0053】
更に、従属請求項に記載された特定の特徴は、発明の範囲内において他の方法で互いに組み合わせることができ、本願は、従属請求項に記載された特徴のその他全ての組み合わせによる他の実施例についても、範囲が及ぶものとする。例えば、請求項の公開のために、従属請求項は、多数項従属形式が管轄内で認められている場合には、その請求項で言及される既述の事項を全て含む先行する全ての請求項を引用する多数項従属形式で二者択一的に書かれていると解釈されるべきである。(例えば、直接請求項1に直接従属している各請求項は、先行する全ての請求項に従属するものと二者択一的に解釈される。)多数従属形式が禁止されている管轄区域においては、後続の各従属項についても、これら下位従属項に列挙される特定請求項以外の先行語を有する先行する一請求項にそれぞれ単独に従属する形式で択一的に記述されたものと解釈されるべきである。
【0054】
これにより本発明の明細書を締めくくる。当業者には、本願に記載された特定の実施例と均等である他の技術は、特許請求の範囲に包含されるものであることが理解されるであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は生体吸収性膜を備えたステントに関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは体腔に案内される医療器具として公知である。通常、ステントはシース及びカテーテルのうち少なくともいずれか一方により径方向に縮径した状態に、任意により径方向に圧縮された状態に制限され、ステント搬送システムや「案内具」により血管内の内腔における狭窄や動脈瘤のような必要な部位に搬送されて、所謂「侵襲性を最小限に抑えた技術」により同部位に移植される。案内具は患者の肌を介して、或いは簡単な外科的処置により進入のための血管を暴露する「切開」技術により体外のアクセス部位から体に進入する。
【0003】
ステント、移植片、ステントグラフト、大静脈フィルタ、拡張可能な骨組み、及びこれらに類似する移植可能な医療器具は、径方向に拡張可能な人工器官であり、通常経管的に移植され、経皮的に案内された後に径方向に拡張される。ステントは血管系、尿路、胆管、卵管、冠状血管、副血管等の様々な体腔や血管に移植される。これらはバルーンに搭載された場合等に内側の径方向圧力によって拡張される自己拡張型であるか、自己拡張型及びバルーン拡張型の組み合わせ(ハイブリッド拡張型)である。
【0004】
ステントは、管状のシート素材から、切断及びエッチングされ巻かれる平坦なシートから、或いは1つ以上の編み込まれたワイヤや編組から切断やエッチングする工程を含む方法によって形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
血管系内において、狭窄症が血管の分岐部にて形成されることは珍しいことではない。分岐部は第1の(即ち、親の)血管が2つ以上の枝の血管に分岐する、血管系や体のその他の部分の領域であり、このような分岐部において狭窄疾患が生じる。患部は血管の1本のみ(即ち、枝血管又は親血管のいずれか)、血管のうち2本、或いは全ての3本の血管に影響を付与する。しかしながら、多くの公知のステントは、ステントを適用する所望の部位が並置されている場合や、動脈や静脈の分岐部、例えば哺乳動物の大動脈から通常の腸骨動脈への分岐部を横断して伸びる場合における使用等、全体的な需要を満たすものではない。
【0006】
本願において言及された全ての米国特許及び特許出願ならびに他の刊行物は、その全体が本明細書において開示されたものとする。
本発明の範囲を限定することなく、請求される本発明実施例の要約を以下に記載する。本発明の要約された実施形態の更なる詳細及び/又は本発明のさらなる実施形態については、以下の「発明の詳細な説明」に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による少なくとも一実施例において、ステントは、管状壁の少なくとも一部が生体吸収性膜からなる管状壁を有する。生体吸収性膜を含む管状壁の部分において、ステントの部材(即ち、ストラット及び連結部)は生体吸収性膜に埋め込まれる。
【0008】
本発明を特徴付けるこれらの実施例や他の実施例は、本明細書に添付されその一部を構成する特許請求の範囲において詳述される。しかしながら、本発明や、本発明を実施することにより得られる効果や目的をより理解するために、さらに本明細書の一部を構成する図面及びその説明を参照されるものであり、図面及びその説明において本発明の実施例について示し説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】生体吸収性膜に埋め込まれるストラットを示す図。
【図1B】生体吸収性膜に埋め込まれるストラットを示す図。
【図1C】生体吸収性膜に埋め込まれるストラットを示す図。
【図2】ストラットの環状リング及び生体吸収性膜の区分からなる管状体を備えるステントを示す展開図。
【図3】環状リングの区分が2つの環状生体吸収性膜によって相互に係合する、環状リングの区分を備えるステントを示す展開図。
【図4】ステントの周囲全体にわたって延びる2つの長尺状の生体吸収性膜によって相互に係合する環状リングの区分を備えたステントを示す展開図。
【図5】スリット及び生体吸収性膜を備えた、分岐ステントを示す展開図。
【図6】生体吸収性膜が側枝の少なくとも一部をなす、側枝を備えた分岐ステントを示す展開図。
【図7】図6のステントを示す分解側面図。
【図8】少なくとも1つの生体吸収性膜が側枝を周囲部に係合させる、図6の分岐ステントの側枝を示す拡大図。
【図9】1つの生体吸収性膜が側枝を周囲部に係合させる拡張した状態における図8の分岐ステントを示す図。
【図10】3つの生体吸収性膜が側枝を周囲部に係合させる拡張した状態における図8の分岐ステントを示す図。
【図11】4つのリングと4つの生体吸収性膜からなる伸縮自在な側枝を備えた、拡張した状態における分岐ステントを示す側面図。
【図12】2つのリング及び2つの生体吸収性膜からなる伸縮自在な側枝を備えたステントを示す展開図。
【図13】側枝ガイドワイヤハウジングの先端側端部領域を形成する生体吸収性膜を備えたステント搬送システムを示す側面図。
【図14】側枝ガイドワイヤハウジングの先端側端部領域の周囲部の一部を形成する生体吸収性膜を備えたステント搬送システムを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき、本発明を詳細に説明する。
本発明は様々な形態で実施することができるが、本明細書においては、特定の実施例について詳細に記載する。実施例の記載は、本発明の原理を例示するものであり、本発明を例示された特定の実施例に限定するものではない。
【0011】
本願においては、特に明示されない限り、各図面における同様の符号は同様の特徴を示すものである。
本発明の実施例におけるステントにおいて、生体吸収性膜12はステント10の管状壁の少なくとも一部を形成する。ステント10の管状壁は、例えばストラット及び連結部の部材からなる。少なくとも一実施例において、管状壁をなす部材の少なくとも一部は生体吸収性膜12に埋め込まれる。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は高い率の延びが可能であり、これによりステント10が拡張された場合に、生体吸収性膜12も延びる。生体吸収性膜12は、例えば網、織物、或いは編組として形成可能であるが、これらに限定されるものではない。従って、少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は、織物状の材料から形成される。
【0012】
図1A乃至1Cは、ステントの管状壁の断面図であり、これらの例においてステント10の一部であるストラット22は生体吸収性膜12に埋め込まれる。図1Aにおいてストラット22及び生体吸収性膜12は同じ厚みを有し、これによりステント10の管状壁はこの領域において均一の厚みを有する。本実施例においてストラット22の2つの側部のみが生体吸収性膜12と係合する。図1Bにおいて、ストラット22の全ての側部が生体吸収性膜12と係合する。従って、本実施例において、ステント10の該領域における管状壁の厚みは生体吸収性膜12の厚みに応じて変化する。付加的に、図1Bの生体吸収性膜12の厚みはストラット22の厚みより大きい。図1Bにおいて、ストラット22の全ての側部が生体吸収性膜12によって包囲されるが、図1Cに示すように、生体吸収性膜12がストラット22の3つの側部のみを包囲することも本発明の範囲内にある。
【0013】
本明細書において使用されるように、「生体吸収性」は、生物分解性、分解性、生物学的分解性、腐食性、生物再吸収性等も示す。生体吸収性膜12を形成することに使用される材料は、副作用を生じることなく体内において溶解、分離、或いは分解する。実施例において、生体吸収性膜12は多孔質な材料から形成される。別例において、生体吸収性膜12は、非多孔質な材料から形成される。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12を形成する材料は織り込まれる。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12を形成する材料は、編み込まれる。
【0014】
生体吸収性膜12の好適な材料の例は、ポリ(ヒドロキシバリレート)(poly(hydroxyvalerate))、ポリ(L−乳酸)、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)(poly(hydroxybutyrate ))、ポリ(ハイドロキシブチレート−コ−バリレート)(poly(hydroxybutyrate-co-valerate ))、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル(Polyorthoester)、ポリアンヒドリド(Polyanhydrides)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D、L−乳酸)、ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート)(poly(glycolic acid-co-trimethylene carbonate ))、ポリフォスフォエステルウレタン(polyphosphoester urethanes)、ポリ(アミノ酸)、シアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)(poly(iminocarbonate ))、コポリ(エーテル−エステル)(copoly(ether-esters)) (例えばPEO /PLA)、ポリアルキレンオギザレート(polyalkylene oxalates )、ポリホスファゼン(polyphosphazenes)、及びフィブリン、フィブリノゲン、セルロース、スターチ、コラーゲン、ヒアルロン酸等の生体分子、並びにこれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0015】
ここで使用されるように、用語「ポリラクチド」は乳酸のポリマを示す「ポリ(乳酸)」と同義である。特に、DL−ラクチドは、乳酸の大まかなラセミ混合物に由来する乳酸であり、この用語は(DL)乳酸に代えてもよい。同様に、用語、ポリグリコリド(polyglycolide )及びポリ(グリコール酸)は同義である。
【0016】
生体吸収性膜12に使用可能なその他の好適な材料は、発明の名称が高分子量生体吸収性ポリマ及びその移植可能な器具である米国特許第5358475号明細書、発明の名称が移植可能な弁補綴である米国特許第7070616号明細書、及び発明の名称が網状弾性基質並びにその製造方法及び移植可能な器具における使用方法である米国特許出願公開第2005/0043816号明細書に開示されている。これらはその全体がここで開示されたものとする。
【0017】
図2は生体吸収性膜12からなる管状壁と、ストラット22の少なくとも1つの環状リング20からなる少なくとも1つの区分14とを備えるステント10を示す。少なくとも一実施例において、少なくとも1つの区分14は、生体吸収性膜12内に埋め込まれる。図2に示すステント10の設計は例示に過ぎず、ステント10が少なくとも2つの区分14、即ち「ステント部分(stentlets )」からなる限り本発明の範囲内にあることに留意する必要がある。発明の名称がひだの径が変化するステントである米国特許出願第11/438934号明細書には少なくとも2つの独立した部分を備えるステントの設計の別の非限定的な例が開示されている。同明細書はその全体がここで開示されたものとする。
【0018】
図2のステント10は3つの区分14A,14B,14C、即ち、第1の区分14A、第2の区分14B、及び第3の区分14Cを有する。3つの区分14A,14B,14Cのみからなるステント10において、区分14はそれぞれ基端側区分14、中間の区分16、及び先端側区分18としてもよい。ステント10が任意の数の区分14、即ち「ステント部分」を有することも本発明の範囲内にある。従って、ステント10は1,2,3,4,5,6,7,8,9,10以上の区分14を有してもよい。図2に示すように、生体吸収性膜12はステント10の周囲全体にわたって延びる。図4に関して後述するように、少なくとも一実施例において生体吸収性膜12はステント10の周囲全体にわたって延びるものではない。
【0019】
生体吸収性膜12が隣接する区分14間において任意の長手方向の長さを有することも本発明の範囲内にある。従って、区分14間における生体吸収性膜12の長手方向の長さは、ステント10が位置される所定の体腔の外形に合わせて形成され、これによりステント部分14は体腔において相互に所定の距離を置いて離間する。少なくとも一実施例において、区分14間における生体吸収性膜12の長手方向の長さは同じである。少なくとも一実施例において、区分14間における生体吸収性膜12の長手方向の長さは異なる。
【0020】
各個別の区分14が、ステント10の各区分内にストラット22からなる1,2,3,4,5,6,7,8,9,10以上の環状リング20を有することも本発明の範囲内にある。少なくとも一実施例において、異なる区分14は異なる数の環状リング20有する。区分14内におけるストラット22の隣接する環状リング20は少なくとも1つの連結部24によって係合される。連結部は図2に示すような山と山の連結部であるか、山と谷の連結部である。
【0021】
少なくとも一実施例において、全ての3つの区分14A,14B,14Cは生体吸収性膜12内に埋め込まれる。生体吸収性膜12は区分14A,14B,14Cを相互に係合させるため、14A,14B,14Cを相互に係合させる部材23,24は不要であることに留意する必要がある。生体吸収性膜12が区分18を越えて延び、図2に示すようなステント10の先端部8を形成するること、区分14のストラット22の基端部(又は先端部)までのみ延び図2に示すようなステント10の基端部であるステント10の端部を形成すること、或いは区分14A,14B,14Cを係合することに要する最小限の距離だけ延び、管状ステント10を形成することも本発明の範囲内にある。例えば、図3は1つの生体吸収性膜12に代わる2つの生体吸収性膜12A,12Bを示す。この生体吸収性膜12は区分14A,14B,14Cを係合するが、ステント10の基端部6及び先端部8のいずれにも延びない。
【0022】
図3は、2つの生体吸収性膜12A,12Bを備えた図2のステント10を示す。図3に示すように、ステント10の基端側区分14の先端側環状リング20及び中間の区分16の基端側環状リング20は、第1の生体吸収性膜12Aに埋め込まれる。同様に、中間の区分16の先端側環状リング20及び先端側区分18の基端側環状リング20は、第2の生体吸収性膜12Bに埋め込まれる。第1の生体吸収性膜12Aの基端部がステント10の基端部6に延びること、及び第2の生体吸収性膜12Bの先端部がステント10の先端部8に延びることも本発明の範囲内にある。図3に示すように、第1の生体吸収性膜12A及び第2の生体吸収性膜12Bの間に空隙が存在する。空隙は任意の長さであり、第1の生体吸収性膜12Aの先端側縁が第2の生体吸収性膜12Bの基端側縁に接するように第1の生体吸収性膜12A及び第2の生体吸収性膜12Bが位置されることも本発明の範囲内にある。
【0023】
少なくとも一実施例において、基端側区分12及び中間の区分16を係合させる生体吸収性膜12Aは、中間の区分16及び先端側区分18を係合させる第2の生体吸収性膜12Bとは異なる。生体吸収性膜12A,12Bは異なる化学的組成や異なる分解速度を有する。
【0024】
図3において、2つの生体吸収性膜12A,12Bはそれぞれステント10の周囲全体にわたって延びる。図4に示すように、少なくとも一実施例において、ステント10は、ステント10の周囲より短い周囲部分を備えた少なくとも1つの生体吸収性膜12を有する。図4に示すように、ステント10は、異なる長手方向の長さを有する2つの生体吸収性膜12A,12Bを有する。しかしながら、生体吸収性膜は任意の長手方向の長さを有する。
【0025】
ステント10を所望の体腔内に位置させた後に、生体吸収性膜12は吸収され、これにより個別の区分14A,14B,14Cを体腔内に位置させる。この時点において、個別の区分14A,14B,14Cは個別に、分離したステント14A,14B,14Cとして機能する。上述したように、ステント10を体腔内に位置させた後に個別のステント部分が得られるように、所定のステント設計において生体吸収性膜12の様々な組み合わせ及び配置がある。少なくとも一実施例において、ステント10は、浅大腿動脈内に位置される。
少なくとも一実施例において、ステント10は体腔内に位置され、これにより生体吸収性膜12は不安定プラークに位置される。実施例において、生体吸収性膜12により、ステント10の搬送において不安定プラークの破壊が防止される。本実施例において、ステント10のストラット22は生体吸収性膜12内に埋め込まれ、これにより生体吸収性膜12はステント10の外側表面を形成する。本実施例において、個別のステント部分からなるステントの設計のみならず、任意のステント設計が利用可能である。
【0026】
少なくとも一実施例において、ステント10は分岐部に位置される。本実施例において、ステント10はステント10の2つの区分14が側枝血管の口の両側に設けられるように位置される。生体吸収性膜12の吸収により、血液は側枝血管口の両側の2つのステント部分14の間における主枝血管から側枝血管に流れる。本実施例により、連結部24によって係合される、ストラット22からなる隣接する環状リング20が側枝血管への血流を妨害する場合に生じるステントジェイルの課題が回避される。
【0027】
これに代えて、ステント10が分岐部に位置され、第2のバルーンカテーテルが、ステント10のストラット22及び連結部24の間の生体吸収性膜12における側枝血管口がステント10に接する部分を貫通する孔を打ち抜くことに使用されてもよい。続いて、公知のように、第2のバルーンが膨張され、ストラット22及び連結部24を拡張し、ステント10に側枝開口部を形成する。生体吸収性膜12は、第2のバルーンカテーテルによって貫通孔を設けられても、分岐部への搬送時においてステント10を堅固に保持する。血液は主枝血管から生体吸収性膜12に新たに形成された側枝開口部を通じて側枝血管に流れる。
【0028】
本発明において任意のステント設計が使用可能である。図2の個別の区分14を備えたステント設計に類似のものが使用される場合において、生体吸収性膜12が分解した後、ステント10は1つのステントから個別のステント部分14に変異する。ステント10が連結部24によって相互に係合される複数の環状リング20からなる場合に、ステント10は生体吸収性膜12を失うのみである。この場合において、第2のバルーンを側枝開口部を形成するべく使用することにより、ステントジェイルが防止される。
【0029】
図5はスリット30及び生体吸収性膜12を備えた分岐ステント10を示す。スリットを含むステント、及びこれらの分岐部への配置は、発明の名称がシース器具の配置及び方法である米国特許出願第11/507103号明細書に開示され、その全体がここで開示されたものとする。分岐ステント10は少なくとも1つの側枝部32と側枝開口部26とを含む側枝領域を有する。本実施例において、側枝開口部26は、ステント10の中間の区分16内に位置される。しかしながら、図5の分岐ステントの設計は、分岐ステントの設計の非制限的な例である。ステント10はステント10の側枝開口部から基端側縁6に延びるスリット30を有する限り任意の設計を有する。実施例において、スリット30の端部は開いており、スリット30の側部はステント10の本体の部分に追って画定される。少なくとも一実施例において、ステント10の少なくとも一部は生体吸収性膜12内に埋め込まれる。一実施例において、ステント10の基端側区分14は生体吸収性膜12内に埋め込まれる。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12はスリット30を備えた分岐ステントの周囲に設けられる。
【0030】
少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12はスリット30の側部の間をスリット30の長さ部分に沿って延びる。図5に示すように、スリット30は側枝開口部26の基端側縁からステント10の基端側縁6まで測定される長手方向の長さ(L)を有する。図5に示すように、実施例において、生体吸収性膜12の長手方向の長さはスリット30の長手方向の長さ(L)と等しい。しかしながら、生体吸収性膜12の長手方向の長さがスリット30の長手方向の長さ(L)より短いことも本発明の範囲内にある。
【0031】
使用において、ステント10は体腔内の所望の部位に進められる。米国特許出願第11/507103号明細書に開示されるように、スリット30を覆う生体吸収性膜12は、スリット30が開くことによりステント10の配置後に配置されたガイドワイヤが取り込まれることを防止するように分解する。
図6は側枝28を備えた分岐ステント10を示す。本実施例において、側枝部32は3つの同心リング36A,36B,36C及び螺旋状アーム38A,38B,38Cの組からなるが、本発明の範囲はその他の側枝の設計も含む。図6は実施例においてステント10の本体のストラット22及び連結部24とは別体の部材である周囲部34を更に示す。少なくとも一実施例において、周囲部34はステント10の本体のストラット22及び連結部24によって形成される。側枝の設計のその他の非制限的な例は、発明の名称が一体的な側枝突出部を備えた分岐ステントである米国特許出願第11/368964号明細書、及び発明の名称が螺旋状側枝支持体を備えたステントの設計である米国特許出願第11/273186号明細書に開示され、両者はその全体がここで開示されたものとする。
【0032】
図6及び7に示すように、少なくとも一実施例において、少なくとも1つの生体吸収性膜12がリング36及び螺旋状アーム38の間の空隙やセルに跨る。本実施例において、ステントが非拡張状態にある場合に、生体吸収性膜12はステント10の管状壁の一部を形成する。図1Aに示すように、リング36及び螺旋状アーム38が埋め込まれた場合に、セル毎に1つの生体吸収性膜12を備えた複数の生体吸収性膜12が設けられる。図1A及び1Bの両者に示すように、リング36及び螺旋状アーム38が埋め込まれた場合に、1つの生体吸収性膜12が全てのセルに跨るべく使用される。これらの実施例において、1つ以上の生体吸収性膜12が相互に接触して1つの連続した生体吸収性膜12を形成してもよい。図6及び7に示すように、全てのセルに代えて選択したセルを生体吸収性膜12が跨るか覆うことも本発明の範囲内にある。生体吸収性膜12は同じ又は異なる化学的組成を有し、且つ同じ又は異なる分解速度を有してもよい。従って、側枝28の一区分は側枝28の他の区分に先立って生体吸収性膜12を失う。同様に、選択されたセルのみが生体吸収性膜12を有する場合に、選択されたセルは同じタイプの生体吸収性膜12又は異なるタイプの生体吸収性膜12を有する。
【0033】
図6及び7に示すように、側枝28の最も内側のリング36によって形成される領域は生体吸収性膜12を有さないため、ステント10が位置された場合に、血液は図7の矢印によって示すように、ステント10の主枝から側枝28を通じて側枝血管に流れる。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は側枝部32を補強し、付加的に指示する。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は竜骨、及び口の残部を覆う部分を広げる。
【0034】
図6の側枝の拡大図である図8に示すように、少なくとも一実施例において、少なくとも1つの生体吸収性膜12は、側枝28及びステント10の本体を係合させる。図8の側枝28の基端側半部に示すように、少なくとも一実施例において、1つの生体吸収性膜12は、周囲部34を第1のリング36Aに係合させる。図9は本実施例においてステント10が拡張状態にある場合を示す。本実施例において、生体吸収性膜12Aが分解する場合において、図2,3に示すように、側枝28は、主血管におけるステント10に取り付けられていない、側枝血管中の別体のステントである。
【0035】
図8の側枝28の先端側半部にて示すように、少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12の少なくとも2つの区分は周囲部34を第1のリング36Aに係合させる。図8及び10は、側枝28を周囲部34に係合させる3つの生体吸収性膜12A,12B,12Cを示す。生体吸収性膜12の区分が任意の寸法を有することも本発明の範囲内にある。生体吸収性膜12のこれらの区分は側枝28及び周囲部34を係合させるものとして機能する。上述したように、生体吸収性膜12の区分は同じか異なる化学的組成、及び同じか異なる分解速度を有する。
【0036】
少なくとも一実施例において、少なくとも1つの生体吸収性膜12は分岐部の領域の選択されたセルを覆う。図6乃至9に関して上述したように、これらの選択されたセルは側枝28の一部であるか、或いはこれらの選択されたセルは側枝28に隣接する。例えば、図6のセル40は少なくとも1つの生体吸収性膜12によって架橋される。少なくとも一実施例において、側枝28に隣接する全てのセルは少なくとも1つの生体吸収性膜12によって架橋される。分岐部の領域における全てのセルが識別されるわけではないことに留意する必要がある。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は、側枝28に隣接する選択されたセルを架橋することと同様に側枝28及び周囲部34を連結する。少なくとも一実施例において、側枝28に隣接するセルに跨る生体吸収性膜12は、竜骨、及び口の残部を付加的に覆う。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は側枝を補強し、側枝28を付加的に支持する。
【0037】
図11及び12はそれぞれ伸縮自在な側枝28を備える分岐ステント10を示す展開図及び拡大図である。伸縮自在な分岐を備えたステントは発明の名称が伸縮自在な分岐を備えたステントである米国特許出願第11/300210号明細書に詳細に開示され、その全体がここで開示されたものとする。分岐ステント10の本体は任意の構造体を有するが、図12に示すステント10の本体は任意の構造体を有さないことに留意する必要がある。
【0038】
側枝28は少なくとも側枝部32からなる。図11において、側枝28は4つの側枝部32を有し、それぞれリングの形態を採る。側枝28が1,2,3,4,5,6,7,8,9,10以上のリング32を有することも本発明の範囲内にある。リング32は任意の幅、厚み、周囲の長さ、及び形状を有する。少なくとも一実施例において、リング32は先端に向かって径が漸減する側枝28を形成すべく連続して漸減する外周を有する。
【0039】
側枝部32は少なくとも1つの生体吸収性膜12によって相互に係合し、側枝28の周囲部34に係合する。図11及び12に示すように、少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12はリング32間においてひだが形成され、折り畳まれる。図12において、ひだは破線によって示され、リング32間の生体吸収性膜12の折り畳みやひだは側枝28が拡張した状態にある場合にリング32間の距離を延ばす。生体吸収性膜12は任意の数のひだや折り目を有する。側枝28が非拡張状態にある場合において、側枝28はステント10の管状壁の一部をなす。従って、生体吸収性膜12はステント10の管状壁の一部をなす。
【0040】
上述したように、側枝28は少なくとも1つの生体吸収性膜12を有する。少なくとも一実施例において、側枝28を周囲部34に係合させる生体吸収性膜12は、リング32を相互に係合させる少なくとも1つの生体吸収性膜12とは異なる。上述したように、少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12は、様々な化学的組成、及び異なる分解速度のうち少なくともいずれか一方を有する。
【0041】
上述した実施例において各ステントは、少なくとも1つの治療薬を搬送可能である。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12に埋め込まれていないステント10の部分は、治療薬を溶出する。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12に埋め込まれるステント10の部分は、治療薬を溶出する。少なくとも一実施例において、治療薬はコーティング保持具等の搬送機構が生体吸収性膜12の分解に伴い暴露されるまでステント10から溶出されない。
【0042】
別例において、治療薬は生体吸収性膜12が分解するに先立って生体吸収性膜12に埋め込まれるステント10部分から溶出される。本実施例において、ステント10の部材(ストラット22及び連結部24のうち少なくともいずれか一方)は図1A又は1Cの断面図にて示されるものと同様に埋め込まれる。これらの実施例の両者において、部材(ストラット22及び連結部24のうち少なくともいずれか一方)の少なくとも一表面から治療薬が溶出する。投薬する治療薬を搬送する機構及び治療薬の例は、発明の名称が腔内の穿孔を設けた径方向に拡張可能な薬物搬送プロテーゼ及びその製造方法である米国特許第7135039号明細書、及び発明の名称がコーティング保持性能を改良した血管内ステントである米国特許第6783543号明細書に詳細に開示され、両者はその全体がここで開示されたものとする。
【0043】
生体吸収性膜はステントの搬送に使用されるカテーテルの一部を形成することにも使用可能である。ステントを分岐部にて搬送することに使用されるカテーテルアセンブリは、通常分岐部にて分岐ステントを配向することに使用される側枝ガイドワイヤを有する。側枝ガイドワイヤハウジングは側枝ガイドワイヤを収容する。側枝ガイドワイヤハウジングはカテーテル及びステントの間に位置され、少なくとも一実施例において、ステントの側枝開口部を通じて延びる。側枝ガイドワイヤハウジングはカテーテルとは別体であるか、カテーテルと係合する。側枝ガイドワイヤルーメンを備えたカテーテルは、発明の名称がバルーンにて膨張可能なシース回転する分岐部搬送である米国特許出願公開第2004/0172121号明細書、及び発明の名称が分岐部へのステント配置方法である米国特許出願公開第2003/0181923号明細書に詳細に開示され、両者はその全体がここで開示されたものとする。上記2つの刊行物に示すように、このタイプのカテーテルアセンブリは多くの異なる構造体を有する。
【0044】
少なくとも一実施例において、生体吸収性膜は側枝ガイドワイヤハウジングの少なくとも一部を形成する。一実施例において、生体吸収性膜は側枝ガイドワイヤハウジングの先端側端部領域を形成する。図13は分岐ステント10、及び分岐ステント10及びカテーテル52の間の側枝ガイドワイヤハウジング54を備えるカテーテルアセンブリ50の非制限的な例を示す。図13に示すように、生体吸収性膜12は側枝ガイドワイヤハウジング54の先端側端部領域を形成し、平行線模様によって示される。別例において、生体吸収性膜12は、側枝ガイドワイヤハウジング54の先端側端部領域の周囲の一部を形成する。本実施例において、生体吸収性膜12は、側枝ガイドワイヤハウジング54の先端側端部領域の長さ部分に沿って延びるストリップを形成する。図14において平行線模様によって示すように、一実施例において、生体吸収性膜12のストリップはカテーテルアセンブリ50によって位置されるステント10の内側表面に隣接する側枝ガイドワイヤハウジング54の部分をなす。
【0045】
使用時において、分岐ステント10はカテーテルアセンブリ50と共に分岐部に位置される。生体吸収性膜12からなる側枝ガイドワイヤハウジング54の部分は吸収される。少なくとも一実施例において、生体吸収性膜12の吸収はカテーテルアセンブリ50の退出を補助する。
【0046】
本発明によるステントは1つ以上のポリマ、1つ以上の金属、或いはポリマ及び金属の組み合わせを含む任意の好適な生体適合性を備えた材料から形成される。好適な材料の例は生分解性を備えた材料を含み、これは生体適合性も備える。生分解性とは、材料が通常の生体内作用の一部として無害な化合物に分解されることを示す。好適な生分解性材料は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、コラーゲン、或いはその他の結合タンパク質や天然材料、ポリカプロラクトン、ヒアルロン酸、付加的なタンパク質、これらの共重合体の他、合成物及び組み合わせ、並びにその他の生分解性ポリマの組み合わせを含む。その他の使用可能なポリマはポリエステル及びポリカーボネート共重合体を含む。好適な金属の例は、ステンレス鋼、チタン、タンタラム、プラチナ、タングステン、金、及びこれらの金属のうち任意のものからなる合金を含むが、これらに限定されるものではない。好適な合金の例は、プラチナ−インジウム合金、Elgiloy (登録商標)、Phynox(登録商標)、MP35N (登録商標)を含むコバルト−クロム合金、及び例えばニチノール等のニッケル−チタン合金を含む。
【0047】
本発明によるステントは超弾性ニチノールやバネ鋼等の形状記憶材料から形成されてもよく、塑性的に変形した材料から形成されてもよい。形状記憶材料の場合において、ステントは形状を記憶された後に縮径した形状に変形される。ステントは、遷移温度まで加熱され拘束物が取り払われると、記憶された形状に復帰する。
【0048】
本発明によるステントは、管状のシート素材から、切断及びエッチングされ巻かれる平坦なシートから、或いは1つ以上の編み込まれたワイヤや編組から切断やエッチングする工程を含む方法によって形成される。公知の、或いは改良された任意の好適なその他の技術もここで開示される本発明によるステントの製造に使用可能である。
【0049】
実施例において、ステント、搬送システムや、アセンブリのその他の部分は、X線、MRIや、超音波等の撮像様式により検出可能な1つ以上の領域、帯域、コーティング、部材等を含んでもよい。実施例において、ステント及び隣接したアセンブリのうち少なくともいずれか一方の少なくとも一部は、少なくとも部分的に放射線不透過性を備える。
【0050】
実施例において、ステントの少なくとも一部は治療薬を搬送するための1つ以上の機構を含む。薬剤は通常ステントの表面領域に位置される材料のコーティングやその他の単層(又は複層)の形態を採り、これらはステントを移植する部位やこれに隣接する領域にて解放される。
【0051】
治療薬は、非遺伝物質からなる治療薬、遺伝物質からなる治療薬、細胞物質等の薬剤や他の医薬品であってもよい。好適な非遺伝物質からなる治療薬の幾つかの例には、ヘパリンやヘパリン誘導体等の抗血栓剤、血管細胞増殖促進剤、成長因子阻害剤、パクリタキセル等が含まれるが、これらに限定されるものではない。治療薬が遺伝物質からなる治療薬を含む場合、そのような治療薬には、DNA、RNA、およびそれらの誘導体及び/又は構成要素、ヘッジホッグタンパク質等が含まれるが、これらに限定されるものではない。治療薬が細胞物質を含む場合、そのような細胞物質には、ヒト由来細胞及び/又は非ヒト由来細胞、およびそれらの構成要素及び/又は誘導体が含まれるが、これらに限定されるものではない。治療薬がポリマ剤を含む場合、そのようなポリマ剤には、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレン トリブロックコポリマー(SIBS)、ポリエチレンオキシド、シリコーンゴム及び/又は他の好適な物質であってもよい。
【0052】
上記の開示は例示的なものであり、包括的なものではない。これらの例および記載は、当業者に対して、様々な変更例や別例を提案するものである。各図面及び上記に示す様々な要素は、所望に応じて組み合わせたり変形可能である。これらすべての別例および変更例については、特許請求の範囲に含まれるものであり、特許請求の範囲における「〜からなる、〜から構成される」という語は「〜を含む」という意味であり、「〜に限定される」という意味ではない。
【0053】
更に、従属請求項に記載された特定の特徴は、発明の範囲内において他の方法で互いに組み合わせることができ、本願は、従属請求項に記載された特徴のその他全ての組み合わせによる他の実施例についても、範囲が及ぶものとする。例えば、請求項の公開のために、従属請求項は、多数項従属形式が管轄内で認められている場合には、その請求項で言及される既述の事項を全て含む先行する全ての請求項を引用する多数項従属形式で二者択一的に書かれていると解釈されるべきである。(例えば、直接請求項1に直接従属している各請求項は、先行する全ての請求項に従属するものと二者択一的に解釈される。)多数従属形式が禁止されている管轄区域においては、後続の各従属項についても、これら下位従属項に列挙される特定請求項以外の先行語を有する先行する一請求項にそれぞれ単独に従属する形式で択一的に記述されたものと解釈されるべきである。
【0054】
これにより本発明の明細書を締めくくる。当業者には、本願に記載された特定の実施例と均等である他の技術は、特許請求の範囲に包含されるものであることが理解されるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の管状本体を備え、同管状本体は主ルーメンを形成し、同管状本体は壁部と同壁部の少なくとも1つの開口部を形成する少なくとも1つの周囲部とを含み、同管状本体は、少なくとも1つの拡張可能な側枝を有し、同少なくとも1つの拡張可能な側枝は拡張した状態を有することと、拡張した状態において該少なくとも1つの拡張可能な側枝は副ルーメンを形成することと、該主ルーメンは壁部の少なくとも1つの開口部を通じて副ルーメンと連通することと、該少なくとも1つの側枝は複数の側枝部からなることと、同複数の側枝部は少なくとも1つの周囲部と係合することと、管状本体の少なくとも一部は少なくとも1つの生体吸収性膜に埋め込まれることとを特徴とするステント。
【請求項2】
前記少なくとも1つの周囲部は第1の周囲部からなることと、前記複数の側枝部は第1のリングからなることと、前記少なくとも1つの生体吸収性膜は第1の生体吸収性膜からなることとを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第1の生体吸収性膜は第1のリング及び第1の周囲部を互いに係合させることを特徴とする請求項2に記載のステント。
【請求項4】
前記第1の生体吸収性膜は少なくとも1つの折り目を有することを特徴とする請求項3に記載のステント。
【請求項5】
前記複数の側枝部は、第2のリングを更に備え、同第2のリングは第2の生体吸収性膜によって第2のリングと係合することを特徴とする請求項3に記載のステント。
【請求項6】
前記第2の生体吸収性膜は少なくとも1つの折り目を有することを特徴とする請求項5に記載のステント。
【請求項7】
前記第1の生体吸収性膜は、第2の生体吸収性膜とは異なる分解速度を有することを特徴とする請求項5に記載のステント。
【請求項8】
前記少なくとも1つの周囲部は第1の周囲部からなることと、前記複数の側枝部は第1のリングと、第2のリングと、複数の連結部とを含むことと、前記複数の連結部の第1の部分は第1のリング及び第2のリングと係合することとを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項9】
前記複数の連結部の第2の部分は第1のリング及び周囲部を係合させることと、前記少なくとも1つの生体吸収性膜は周囲部から第2のリングに向かって延びることを特徴とする請求項8に記載のステント。
【請求項10】
前記少なくとも1つの生体吸収性膜は第1のリング及び周囲部を係合させることを特徴とする請求項8に記載のステント。
【請求項11】
前記少なくとも1つの周囲部はスリット領域を更に形成することと、同スリット領域は基端部及び先端部を有することと、同スリット領域の基端部は円筒状管状本体の基端部であることと、該スリット領域の先端部は壁部の少なくとも1つの開口部であることと、該スリット領域は第1の側部及び第2の側部を有することと、該少なくとも1つの生体吸収性膜はスリットの第1の側部及び第2の側部の間を延び、管状本体の一部を形成することと、該少なくとも1つの生体吸収性膜は最大で、スリット領域の基端部から壁部の少なくとも1つの開口部までの距離と等しい長さを有することとを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項12】
前記少なくとも1つの生体吸収性膜は、管状本体の少なくとも2つの部分を係合させることを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項13】
前記管状本体の少なくとも2つの部分は、管状本体の側枝及び壁部であることを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項14】
円筒状の管状本体を備え、同管状本体は壁部を含むことと、同壁部は第1の区分、第2の区分、及び少なくとも1つの生体吸収性膜からなることと、該第1の区分は複数のストラットからなる少なくとも1つの環状リングを含むことと、該第2の区分は複数のストラットからなる少なくとも1つの環状リングを含むことと、該少なくとも1つの生体吸収性膜は第1の生体吸収性膜からなることと、同第1の生体吸収性膜は、第1の区分の少なくとも一部と第2の区分の少なくとも一部に係合することと、同第1の区分の少なくとも一部と第2の区分の少なくとも一部は第1の生体吸収性膜に埋め込まれることとを特徴とするステント。
【請求項15】
前記壁部は第3の区分を更に含むことと、前記少なくとも1つの生体吸収性膜は第2の生体吸収性膜を更に含むことと、同第2の生体吸収性膜は、第2の区分の少なくとも一部と第3の区分の少なくとも一部と係合することと、同第2の区分の少なくとも一部及び第3の区分の少なくとも一部は第2の生体吸収性膜に埋め込まれることとを特徴とする請求項14に記載のステント。
【請求項16】
前記壁部は第3の区分を更に備えることと、前記第1の生体吸収性膜は該第3の区分の少なくとも一部と係合することと、該第3の区分の少なくとも一部は第1の生体吸収性膜に埋め込まれることとを特徴とする請求項14に記載のステント。
【請求項17】
前記第1の区分、第2の区分、及び第3の区分は全て第1の生体吸収性膜に埋め込まれることを特徴とする請求項16に記載のステント。
【請求項18】
分岐用ステントの製造方法であって、
複数のストラットからなる複数の環状リングと、ストラットからなる隣接する環状リングは複数の連結部によって係合することと、該複数の環状リング及び複数の連結部は生体吸収性膜に埋め込まれることとからなるステントを供給する工程と、
該ステントを拡張する工程と、
該生体吸収性膜に開口部を形成する工程であって、同開口部は分岐部と並んで設けられ、これにより血液が主枝血管から側枝血管に流れる開口部形成工程とを含むことを特徴とする分岐用ステントの製造方法。
【請求項19】
主カテーテルと、側枝ガイドワイヤハウジングと、同側枝ガイドワイヤハウジングの少なくとも一部からなる生体吸収性膜とを備えることを特徴とするカテーテルアセンブリ。
【請求項20】
前記側枝ガイドワイヤハウジングは先端側端部領域を含み周囲部を有し、生体吸収性膜は先端側端部領域の周囲部の少なくとも一部からなることを特徴とする請求項19に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項21】
前記生体吸収性膜は、先端側端部領域の周囲部からなることを特徴とする請求項20に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項1】
円筒状の管状本体を備え、同管状本体は主ルーメンを形成し、同管状本体は壁部と同壁部の少なくとも1つの開口部を形成する少なくとも1つの周囲部とを含み、同管状本体は、少なくとも1つの拡張可能な側枝を有し、同少なくとも1つの拡張可能な側枝は拡張した状態を有することと、拡張した状態において該少なくとも1つの拡張可能な側枝は副ルーメンを形成することと、該主ルーメンは壁部の少なくとも1つの開口部を通じて副ルーメンと連通することと、該少なくとも1つの側枝は複数の側枝部からなることと、同複数の側枝部は少なくとも1つの周囲部と係合することと、管状本体の少なくとも一部は少なくとも1つの生体吸収性膜に埋め込まれることとを特徴とするステント。
【請求項2】
前記少なくとも1つの周囲部は第1の周囲部からなることと、前記複数の側枝部は第1のリングからなることと、前記少なくとも1つの生体吸収性膜は第1の生体吸収性膜からなることとを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第1の生体吸収性膜は第1のリング及び第1の周囲部を互いに係合させることを特徴とする請求項2に記載のステント。
【請求項4】
前記第1の生体吸収性膜は少なくとも1つの折り目を有することを特徴とする請求項3に記載のステント。
【請求項5】
前記複数の側枝部は、第2のリングを更に備え、同第2のリングは第2の生体吸収性膜によって第2のリングと係合することを特徴とする請求項3に記載のステント。
【請求項6】
前記第2の生体吸収性膜は少なくとも1つの折り目を有することを特徴とする請求項5に記載のステント。
【請求項7】
前記第1の生体吸収性膜は、第2の生体吸収性膜とは異なる分解速度を有することを特徴とする請求項5に記載のステント。
【請求項8】
前記少なくとも1つの周囲部は第1の周囲部からなることと、前記複数の側枝部は第1のリングと、第2のリングと、複数の連結部とを含むことと、前記複数の連結部の第1の部分は第1のリング及び第2のリングと係合することとを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項9】
前記複数の連結部の第2の部分は第1のリング及び周囲部を係合させることと、前記少なくとも1つの生体吸収性膜は周囲部から第2のリングに向かって延びることを特徴とする請求項8に記載のステント。
【請求項10】
前記少なくとも1つの生体吸収性膜は第1のリング及び周囲部を係合させることを特徴とする請求項8に記載のステント。
【請求項11】
前記少なくとも1つの周囲部はスリット領域を更に形成することと、同スリット領域は基端部及び先端部を有することと、同スリット領域の基端部は円筒状管状本体の基端部であることと、該スリット領域の先端部は壁部の少なくとも1つの開口部であることと、該スリット領域は第1の側部及び第2の側部を有することと、該少なくとも1つの生体吸収性膜はスリットの第1の側部及び第2の側部の間を延び、管状本体の一部を形成することと、該少なくとも1つの生体吸収性膜は最大で、スリット領域の基端部から壁部の少なくとも1つの開口部までの距離と等しい長さを有することとを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項12】
前記少なくとも1つの生体吸収性膜は、管状本体の少なくとも2つの部分を係合させることを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項13】
前記管状本体の少なくとも2つの部分は、管状本体の側枝及び壁部であることを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項14】
円筒状の管状本体を備え、同管状本体は壁部を含むことと、同壁部は第1の区分、第2の区分、及び少なくとも1つの生体吸収性膜からなることと、該第1の区分は複数のストラットからなる少なくとも1つの環状リングを含むことと、該第2の区分は複数のストラットからなる少なくとも1つの環状リングを含むことと、該少なくとも1つの生体吸収性膜は第1の生体吸収性膜からなることと、同第1の生体吸収性膜は、第1の区分の少なくとも一部と第2の区分の少なくとも一部に係合することと、同第1の区分の少なくとも一部と第2の区分の少なくとも一部は第1の生体吸収性膜に埋め込まれることとを特徴とするステント。
【請求項15】
前記壁部は第3の区分を更に含むことと、前記少なくとも1つの生体吸収性膜は第2の生体吸収性膜を更に含むことと、同第2の生体吸収性膜は、第2の区分の少なくとも一部と第3の区分の少なくとも一部と係合することと、同第2の区分の少なくとも一部及び第3の区分の少なくとも一部は第2の生体吸収性膜に埋め込まれることとを特徴とする請求項14に記載のステント。
【請求項16】
前記壁部は第3の区分を更に備えることと、前記第1の生体吸収性膜は該第3の区分の少なくとも一部と係合することと、該第3の区分の少なくとも一部は第1の生体吸収性膜に埋め込まれることとを特徴とする請求項14に記載のステント。
【請求項17】
前記第1の区分、第2の区分、及び第3の区分は全て第1の生体吸収性膜に埋め込まれることを特徴とする請求項16に記載のステント。
【請求項18】
分岐用ステントの製造方法であって、
複数のストラットからなる複数の環状リングと、ストラットからなる隣接する環状リングは複数の連結部によって係合することと、該複数の環状リング及び複数の連結部は生体吸収性膜に埋め込まれることとからなるステントを供給する工程と、
該ステントを拡張する工程と、
該生体吸収性膜に開口部を形成する工程であって、同開口部は分岐部と並んで設けられ、これにより血液が主枝血管から側枝血管に流れる開口部形成工程とを含むことを特徴とする分岐用ステントの製造方法。
【請求項19】
主カテーテルと、側枝ガイドワイヤハウジングと、同側枝ガイドワイヤハウジングの少なくとも一部からなる生体吸収性膜とを備えることを特徴とするカテーテルアセンブリ。
【請求項20】
前記側枝ガイドワイヤハウジングは先端側端部領域を含み周囲部を有し、生体吸収性膜は先端側端部領域の周囲部の少なくとも一部からなることを特徴とする請求項19に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項21】
前記生体吸収性膜は、先端側端部領域の周囲部からなることを特徴とする請求項20に記載のカテーテルアセンブリ。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2010−532683(P2010−532683A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515255(P2010−515255)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/069035
【国際公開番号】WO2009/009376
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/069035
【国際公開番号】WO2009/009376
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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