説明

生体画像データ収集装置

【課題】
本発明の目的は、生体画像データの入力ミスが低減して認識精度算出を簡単に行え、算出した認識精度の確からしさを高くすることができる生体画像データ収集装置を提供することにある。
【解決手段】
生体データセンサ1で検出した被験者の指の生体画像データから特徴データを抽出する。照合手段4被験者の特徴データと同一被験者の新たに入力された生体画像データの特徴データを照合して照合値を求める。重複収集検出手段6は照合値に基づき同一被験者の同一指の生体画像データが重複して入力されていないかを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の指の生体情報(指紋、指静脈など)を用いた本人認証システムにおける生体画像データ収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体情報を使用した本人認証システムの研究開発が盛んに行われている。本人認証システムは出荷前に認識精度を評価するために数千人の被験者から生体画像データを収集している。例えば、指の静脈の場合、1指当たりの画像データは、静脈入力装置の形状の関係から1回の試行で1指1画像を収集し、一人の被験者から左右の人差し指、中指、薬指の指静脈画像データを収集している。さらに、1本の指について複数回の試行を実施し、1指当たり複数画像データ(例えば、10画像)を収集している。この例では、被験者一人から60画像データ(6指×10画像)を収集することになる。
【0003】
静脈入力装置は1回の試行で1指1画像の収集が一般的であり、被験者の操作回数が増大する。このため、被験者は操作ミスにより人差し指の指静脈画像データを中指あるいは薬指の指静脈画像データとして入力することがある。また、1指から10画像収集の条件があるにも拘らず、操作ミスによって1指20画像収集し、20画像のうちの10画像を別指の画像として記録することもある。
【0004】
生体情報が指紋の場合でも、指紋センサが1回の試行で1指1画像を収集するものであれば同様なことが発生する。
【0005】
なお、指紋については各指の位置に指紋を読み取る指紋センサを配置し、1回の試行で複数の指紋データを収集することが提案されている。このことは、例えば、下記の特許文献1に記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000‐268174公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術は指静脈入力装置や指紋センサなどの生体データセンサが1回の試行で1指1画像の収集するものであると、被験者の操作ミスにより間違った生体画像データを入力することがある。このため、本人認証システムは本人拒否率や他人受入率などの認識精度が悪化する。
【0008】
間違った生体画像データを入力すると、認識精度算出時に間違って入力した生体画像データを目視によりチェックしている。生体画像データは膨大な数(例えば、被験者が1000人で60000画像)であり多くの労力を要し認識精度算出が面倒になるという問題点を有する。また、膨大な数の生体画像データを全て正確にチェックすることは困難を伴い、間違った生体画像データが混入する可能性が高く、算出した認識精度の確からしさを低下させるという問題点もある。
【0009】
本発明の目的は、生体画像データの入力ミスが低減して認識精度算出を簡単に行え、算出した認識精度の確からしさを高くすることができる生体画像データ収集装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴とするところは、被験者の指の生体画像データを検出する生体データセンサで検出した生体画像データから被験者の特徴データを抽出し、抽出した被験者の特徴データと同一被験者の新たに入力された生体画像データの特徴データを照合して同一被験者の同一指の生体画像データが重複して入力されていないかを検出するようにしたことにある。
【0011】
本発明は、同一被験者の同一指の生体画像データが重複して入力されていないかを検出しているので生体画像データの入力ミスを低減できるので認識精度算出を簡単に行え、算出した認識精度の確からしさを高くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、同一被験者の同一指の生体画像データが重複して入力されていないかを検出しているので生体画像データの入力ミスを低減できるので認識精度算出を簡単に行え、算出した認識精度の確からしさを高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
生体データセンサは被験者の複数本の指の生体画像データを検出する。表示手段は被験者に特定指の生体画像データの入力をガイダンス表示する。特徴抽出手段は生体データセンサで検出した生体画像データから被験者の特徴データを抽出し記憶手段に記憶する。照合手段は記憶手段に記憶されている被験者の特徴データと同一被験者の新たに入力された生体画像データの特徴データを照合する。重複収集検出手段は照合手段の照合結果に基づき同一被験者の同一指の生体画像データが重複して入力されていないかを検出する。
【実施例】
【0014】
図1に本発明の一実施例を示す。
【0015】
図1において、生体データセンサ1は被験者(図示せず)の指の生体画像データを検出して特徴抽出手段2に加える。生体データセンサ1は生体データが指紋であれば指紋センサが用いられ、静脈であれば静脈入力装置が用いられる。特徴抽出手段2は入力した生体画像データから被験者の特徴を示す特徴データを抽出し記憶手段3に記憶する。特徴データは、指紋の場合は分岐や端点などのマニューシャであり、静脈の場合は血管パターンである。
【0016】
記憶手段3は被験者ID、指ID、画像データIDと特徴データが記憶される。照合手段4は記憶手段3に記憶された被験者ID、指IDの特徴データと、同一被験者の新たに入力された生体情報画像データの特徴データを照合する。照合手段4は照合で算出した類似度を表す照合値により被験者本人か他人かを識別する。照合値が大きいほど類似していることを意味する。
【0017】
表示手段5は、被験者が生体画像データを入力する際に画面にガイダンスを表示する。
重複収集検出手段6は照合手段4で照合した新たに入力された被験者の特徴データ(生体画像データ)と記憶手段3に記憶されている同一被験者の他指の特徴データとの照合値がしきい値より大きいか小さいかによって生体画像データが重複しているかを検出する。
【0018】
重複収集検出手段6は、照合値(類似度)がしきい値より大きい場合は入力ミスで重複していると判定し表示手段5に警告メッセージを表示し、照合値がしきい値より小さい場合は重複なしとして名称付加保存手段7に与える。名称付加保存手段7は表示手段5に連動して収集した生体情報画像データに特定の名称を付加し保存する。名称付加保存手段7が付加する名称により被験者の生体情報画像データが一意に決定される。
【0019】
図2に記憶手段3の一例構成を示す。
【0020】
記憶手段3には図2に示すように被験者、指、画像データを識別する為の被験者ID、指ID、画像データIDと特徴データが格納されている。例えば、被験者IDが「1」、指IDが「1」、画像データIDが「1」で特徴データ(a)が記憶されている。また、被験者IDが「1」、指IDが「1」、画像データIDが「2」で特徴データ(a')が、さらに、被験者IDが「1」、指IDが「2」、画像データIDが「1」で特徴データ(b)が記憶されている。
【0021】
指IDは、例えば、「1」は右手人差し指、「2」は右手中指と設定されている。従って、表示手段5に、“右の中指を装置に入れてください”とガイダンス表示されているときに被験者1から収集した1番目の生体情報画像データのファイル名称は、例えば、「1-2-1」と命名される。また、この場合、生体画像データから抽出された特徴データ(b)と記憶される。
【0022】
また、生体情報の特性として、同一被験者の同一指から収集した画像データ同士は、その特徴データを照合すると類似度が高くなり、他指の特徴データと照合すると類似度が低くなる。
【0023】
次に、図3を参照して処理手順を説明する。
【0024】
被験者はステップS1において表示手段5のガイダンス内容に従って生体データセンサ1に指定の指を挿入する。生体データセンサ1はステップS2で生体画像データを検出して特徴抽出手段2に与える。特徴抽出手段2はステップS3で生体画像データから特徴データを抽出し、被験者IDや指IDと共に特徴データを記憶手段3に記憶する。
【0025】
照合手段4はステップS4において新たに抽出された特徴データと既に記憶手段3に記憶されている同一被験者の他指の特徴データとを照合して照合値を算出する。重複収集検出手段4はステップS5において照合手段4が算出した照合値がしきい値より大きいか小さいかを判定する。
【0026】
重複収集検出手段4は照合値がしきい値より大きいときに被験者の入力ミスによる重複検出と判断し、ステップS6で重複していることを表示手段5に表示する。重複収集検出手段4がステップS6で重複なしと判断すると、ステップS7に移行して名称付加保存手段7が生体情報画像データに名称を付加し保存する。
【0027】
このような処理手順を図2に示す記憶手段3に記憶されているID1の被験者が指ID2の生体画像データを収集処理の手順を具体的に説明する。
【0028】
被験者はステップS1において表示手段5の“右手の中指を装置に入力してください”とのガイダンス内容に従って生体データセンサ1に指定の指を挿入する。生体データセンサ1はステップS2で生体画像データを検出して特徴抽出手段2に与える。特徴抽出手段2はステップS3で生体画像データから特徴データを抽出し、被験者ID1や指ID2と画像データID2と共に特徴データを記憶手段3に記憶する。
【0029】
照合手段4はステップS4において新たに抽出された特徴データと既に記憶手段3に記憶されている同一被験者ID1の指ID1の特徴データ(a)と(a')を照合して照合値を算出する。照合値は例えば90とする。重複収集検出手段4はステップS5において照合手段4が算出した照合値がしきい値70より大きいか小さいかを判定する。
【0030】
重複収集検出手段4は照合値が90でしきい値70より大きいので被験者の入力ミスによる重複検出と判断し、ステップS6で重複していることを表示手段5に表示する。照合値が30の場合は、重複収集検出手段4がステップS6で重複なしと判断し、ステップS7に移行して名称付加保存手段7が生体情報画像データに「1-2-2」という名称を付加し保存する。
【0031】
このようにして被験者の指生体画像データを収集するのであるが、同一被験者の同一指の生体画像データが重複して入力されていないかを検出しているので生体画像データの入力ミスを低減できるので認識精度算出を簡単に行え、算出した認識精度の確からしさを高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の記憶手段の一例構成図である。
【図3】本発明の処理手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0033】
1…生体データセンサ、2…特徴抽出手段、3…記憶手段、4…照合手段、5…表示手段、6…重複収集検出手段、7…名称付加保存手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の指の生体画像データを検出する生体データセンサと、前記生体データセンサで検出した生体画像データから前記被験者の特徴データを抽出する特徴抽出手段と、前記特徴抽出手段で抽出した特徴データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記被験者の特徴データと同一被験者の新たに入力された生体画像データの特徴データを照合する照合手段と、前記照合手段の照合結果に基づき同一被験者の同一指の生体画像データが重複して入力されていないかを検出する重複収集検出手段とを具備することを特徴とする生体画像データ収集装置。
【請求項2】
被験者の複数本の指の生体画像データを検出する生体データセンサと、前記被験者に特定指の生体画像データの入力をガイダンス表示する表示手段と、前記生体データセンサで検出した生体画像データから前記被験者の特徴データを抽出する特徴抽出手段と、前記特徴抽出手段で抽出した特徴データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記被験者の特徴データと同一被験者の新たに入力された生体画像データの特徴データを照合する照合手段と、前記照合手段の照合結果に基づき同一被験者の同一指の生体画像データが重複して収集されていないかを検出する重複収集検出手段とを具備することを特徴とする生体画像データ収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−6608(P2006−6608A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187685(P2004−187685)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)
【Fターム(参考)】