説明

生体電気信号検出装置、ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、及びプログラム

【課題】ユーザに発生する電気信号を検出する生体電気信号検出装置において、電磁波等に起因するノイズの軽減を、コスト及び消費電力の増大を抑えつつ実現する。
【解決手段】ユーザHに発生する電気信号を検出する一又は複数の電極Eと、電極Eで検出された電気信号に基づく出力信号を出力する出力部と、電極Eで検出された電気信号から所定周波数帯域の電気信号を取り出すフィルタ部40と、フィルタ部40から出力される電気信号の極性を反転させる反転回路と、この反転回路から出力される電気信号を、ユーザHに発生する電気信号、又は電極Eで検出される電気信号に加算させるフィードバック制御部50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体電気信号検出装置、ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人間の脳波や筋電を検出することが行われている。例えば、人間の頭部に接触させた電極から得られる脳波に基づいてコンピュータ等を操作する装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、生体電気信号検出装置から脳波を測定する際に、装置を頭部に装着しやすくした技術(特許文献2)や、検出した脳波に基づいてユーザの集中力を測定する方法(特許文献3)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−166050号公報
【特許文献2】特開2001−340312号公報
【特許文献3】特表2002−503505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的な生体電気信号検出装置によって検出される電気信号は、数μV程度の微弱なものである。ユーザを取り巻く電磁波の影響等によりノイズが発生し、脳波や筋電が正確に計測されない場合がある。即ち、例えば特許文献1の技術を使用しても、コンピュータ等に対してユーザが要求する入力を行うことができない。
【0006】
ノイズを抑制する手法として、フィルタを使用してノイズの周波数帯域の電気信号を除去することも考えられる。しかし、この手法では、ユーザに接触させる電極と同数のフィルタが必要になり、コストがかかるとともに、消費電力も大きくなる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ユーザに発生する電気信号を検出する生体電気信号検出装置において、電磁波等に起因するノイズの軽減を、コスト及び消費電力の増大を抑えつつ実現することが可能な生体電気信号検出装置、及びゲーム装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る生体信号検出装置は、ユーザに発生する電気信号を検出する一又は複数の電極と、前記電極で検出された電気信号に基づく出力信号を出力する出力部と、前記電極で検出された電気信号から所定周波数帯域の電気信号を取り出すフィルタ回路と、前記フィルタ回路から出力される電気信号の極性を反転させる反転回路と、前記反転回路から出力される電気信号を、前記ユーザに発生する電気信号、又は前記電極で検出される電気信号に加算させるフィードバック制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、電磁波等に起因するノイズの軽減を、コスト及び消費電力の増大を抑えつつ実現することが可能になる。
【0010】
また、本発明に係るゲーム装置は、請求項1に記載の生体電気信号検出装置を含むゲーム装置であって、前記生体電気信号検出装置の出力信号に基づいてゲームを制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るゲーム装置の制御方法は、請求項1に記載の生体電気信号検出装置を含むゲーム装置の制御方法であって、前記生体電気信号検出装置の出力信号に基づいてゲームを制御する制御ステップを含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るプログラムは、請求項1に記載の生体電気信号検出装置を含むコンピュータをゲーム装置として機能させるためのプログラムであって、前記生体電気信号検出装置の出力信号に基づいてゲームを制御する制御手段として前記コンピュータを機能させる。このコンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、携帯用ゲーム機、携帯電話機、携帯情報端末等である。また、プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記ゲーム装置は操作部材を含み、前記制御手段は、前記ゲームのおける操作対象を前記操作部材の操作状態に基づいて制御する手段と、前記操作対象が所定の状態にある場合に、前記生体電気信号検出装置の出力信号に基づいて前記操作対象を制御する手段と、を含む、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記生体信号検出装置の出力信号の振幅の累計値を取得する累計値取得手段を更に備え、前記制御手段は、前記生体信号検出装置の出力信号の振幅の累計値に基づいて前記操作対象を制御する手段を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る生体電気信号検出装置とゲーム機本体とを含むゲーム装置を示す説明図である。
【図2】生体電気信号検出装置の斜視図である。
【図3】締め付け部材の拡大図である。
【図4】(a)は、ユーザの前頭部における電極の配置であり、(b)は、ユーザの右側頭部における電極の配置であり、(c)は、ユーザの左側頭部における電極の配置を説明するための説明図である。
【図5】本実施形態における生体電気信号検出装置の回路構成の一例を示す模式図である。
【図6】(a)は、ある電極から検出される電気信号の一例を表す図であり、(b)は、フィルタ部から出力される電気信号を表す図であり、(c)は、フィードバック制御部によってフィードバック制御が行われた電極の電気信号を表す図である。
【図7】記憶部に記憶される解析テーブルのデータ格納例を示す図である。
【図8】ゲーム機本体において実行されるゲームの一例である。
【図9】ゲーム機本体において所定周期毎に実行される処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の一例について図面に基づき詳細に説明する。ここでは、生体電気信号検出装置と、ゲーム機本体と、を接続したゲーム装置に本発明を適用した場合を説明する。
【0017】
ゲーム機本体は、例えば、携帯ゲーム機、家庭用ゲーム機(据置型ゲーム機)、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)又はパーソナルコンピュータ等によって実現される。本実施形態においては、このゲーム機本体を携帯ゲーム機によって実現する場合について説明する。
【0018】
[生体電気信号検出装置とゲーム機本体との関係]
まず、本発明に係る生体電気信号検出装置1について説明する。図1は、生体電気信号検出装置1とゲーム機本体100とを含むゲーム装置を示す説明図である。図1に示すように、生体電気信号検出装置1は、ユーザHの頭部に装着される。生体電気信号検出装置1は、ケーブルCを介してゲーム機本体100に接続される。
【0019】
ケーブルCは、生体電気信号検出装置1から出力される電気信号をゲーム機本体100に入力するためのものである。ケーブルCは、生体電気信号検出装置1とゲーム機本体100とを双方向にデータ送信可能に接続するものであってもよいし、生体電気信号検出装置1からゲーム機本体100に対するデータ入力のみが可能なものであってもよい。
【0020】
ゲーム機本体100は、ケーブルCを介して生体電気信号検出装置1の出力信号に基づいてゲームを制御する。
【0021】
[生体電気信号検出装置の構成]
図2は、生体電気信号検出装置1の斜視図である。図2に示すように、生体電気信号検出装置1は、前頭部バンド10、前頭部バンドケース11、左イヤーカップ12、右イヤーカップ13、後頭部バンド14、後頭部バンドケース15等から構成される。生体電気信号検出装置1は、複数の電極Eを備え、ユーザHの頭部に装着可能なヘッドホン型のものである。
【0022】
前頭部バンド10は、少なくとも一つの電極Eが備えられている。電極Eは、例えば、クロムメッキ電極等から構成され、ユーザHに発生する電気信号を検出するためのものである。電極Eのそれぞれは、右イヤーカップ13内等に格納された電気回路部1a(図2には示さず。図5参照。)に接続されている。電気回路部1aにおいては、電極Eで検出された電気信号に対して所定のフィルタ処理や増幅処理等を施す。
【0023】
前頭部バンド10は、ユーザHの前頭部(額等)に配置される。即ち、前頭部バンド10に含まれる電極Eは、ユーザHの前頭部に接触する。なお、電極Eの表面の形状は、ユーザHの額に接触するように湾曲されていてもよい。
【0024】
また、前頭部バンド10の両端には、長さ調整用の複数の凹凸10aが、連続して波状に形成されている。この凹凸10aは、ほぼ角筒状の前頭部バンドケース11の壁内面に設けられた係止部(図示せず)と係合して前頭部バンド10を弾性的に係止する。係止部の形状は、凹凸10aと係合する任意の形状であってよい。
【0025】
前頭部バンド10又は前頭部バンドケース11に対して外部からの圧力が加わった場合には、前頭部バンド10は、前頭部バンドケース11の内部を摺るようにして移動する。即ち、前頭部バンド10と前頭部バンドケース11とは、摺動可能に嵌合する。ユーザHは、前頭部バンド10を移動させることによって、前頭部バンド10の端部と各イヤーカップとの距離を調整することができる。
【0026】
また、図示はしないが、前頭部バンド10の端部の裏側面には、前頭部バンドケース11からの抜け止めに使用される弾性突起等が備えられていてもよい。この弾性突起を備えることにより、前頭部バンド10と前頭部バンドケース11とが外れることを防止することができる。
【0027】
左イヤーカップ12及び右イヤーカップ13は、ゲーム機本体100から入力される音声データ等を出力するためのステレオを備える。また、左イヤーカップ12及び右イヤーカップ13は、左右一対のイヤーカップであり、前頭部バンド10の両端部に前頭部バンドケース11を介して接続される。
【0028】
右イヤーカップ13には、電気回路部1aやマイコン部1b(図2には示さず。図5参照。)が内蔵されており、各電極Eと電気的に接続されている。
【0029】
各電極Eで検出された電気信号は、右イヤーカップ13内の電気回路部1aやマイコン部1bに入力される。マイコン部1bは、ケーブルCを介してゲーム機本体100と接続可能になっている。なお、電気回路部1aやマイコン部1bは、生体電気信号検出装置1の任意の位置に備えられていてよく、例えば、左イヤーカップ12に備えられていてもよい。
【0030】
本実施形態においては、左イヤーカップ12と右イヤーカップ13のそれぞれには、図2に示すように、前頭部バンド10の端部に対して延出するように前頭部バンドケース11が結合されている。
【0031】
なお、図2の例では、前頭部バンドケース11を2つとして説明しているが、1つであってもよい。この場合、前頭部バンドケース11は、左イヤーカップ12又は右イヤーカップ13の何れか一方に配置される。
【0032】
また、本実施形態においては、左イヤーカップ12及び右イヤーカップ13には、それぞれ1つずつ電極Eが備えられている。この電極Eは、例えば、ユーザHの耳たぶや耳下部の首元に接触する位置に備えられ、電気回路部1aやマイコン部1bと電気的に接続されている。つまり、この電極Eから検出された電気信号は、電気回路部1aやマイコン部1bに対して入力される。なお、左イヤーカップ12及び右イヤーカップ13には、複数の電極Eが備えられていてもよい。
【0033】
後頭部バンド14は、生体電気信号検出装置1を支えるためのものである。後頭部バンド14は、左イヤーカップ12及び右イヤーカップ13に結合される。後頭部バンド14は、ユーザHの後頭部に配置される。後頭部バンド14には、長さ調整用の複数の凹凸14aが、連続して波状に形成されている。なお、凹凸14aの形状は、図2に示すように凹凸10aの形状と異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0034】
後頭部バンドケース15は、後頭部バンド14の長さを調整するためのものである。図2に示すように、後頭部バンドケース15は、ほぼ角筒状の形状を有し、後頭部バンド14を収納可能となっている。また、後頭部バンドケース15には、締め付け部材16が備えられる。
【0035】
締め付け部材16には、凹凸14aと係合して後頭部バンド14を弾性的に係止するための係止部16aが備えられている。本実施形態においては、締め付け部材16は回転可能とする。ユーザHが締め付け部材16を回転させることにより、後頭部バンド14と後頭部バンドケース15とは摺動可能に嵌合される。
【0036】
図3は、締め付け部材16の拡大図である。図3に示すように、締め付け部材16は、図2の斜視方向に対して裏面に、円状に複数の係止部16aが備えられている。係止部16aの形状は、凹凸14aと係合する任意の形状であってよい。
【0037】
係止部16aの何れかは、凹凸14aと係合する。ユーザHが締め付け部材16を回転させると、回転前に係合していた係止部16aの隣にある係止部16aと、回転前に係合していた凹凸14aの隣にある凹凸14aと、が係合する。この仕組みにより、ユーザHは、後頭部バンド14の長さを調整することができる。
【0038】
例えば、ユーザHが、締め付け部材16を一方に回転させると、左イヤーカップ12と右イヤーカップ13との距離が縮まる方向、即ち、ユーザHの頭部が締め付けられる方向に後頭部バンド14を摺動させることができる。この場合には、後頭部バンド14が短くなるように調整される。
【0039】
一方、ユーザHが、締め付け部材16を他方に回転させると、左イヤーカップ12と右イヤーカップ13との距離が広がる方向、即ち、ユーザHの頭部の締め付けを緩める方向に後頭部バンド14を摺動させることができる。この場合には、後頭部バンド14が長くなるように調整される。
【0040】
このように、締め付け部材16を回転させることにより、後頭部バンド14の長さ調整を容易に行うことができる。同様に、前頭部バンド10の長さ調整も、前頭部バンドケース11によって容易に行うことができる。
【0041】
ユーザHが前頭部バンド10と後頭部バンド14の長さを調整して、ユーザHの頭部に生体電気信号検出装置1を締め付けるようにして装着することによって、生体電気信号検出装置1がユーザHの頭部からずれないようにすることができる。つまり、ユーザHの前頭部に配置された電極Eの位置がずれないようにしつつ、ユーザHの頭のサイズに生体電気信号検出装置1を合わせることができる。電極EをユーザHの意図した位置に密着させることができるため、電極Eから正確な電気信号を得ることができる。
【0042】
[生体電気信号検出装置に配置される電極]
図4(a)は、ユーザHの前頭部における電極Eの配置を説明するための説明図である。図4(a)に示すように、本実施形態においては、生体電気信号検出装置1の前頭部バンド10には、5つの電極Eが備えられているものとする。この5つの電極Eを、それぞれ電極ch1、電極ch2、電極ch3、電極ch4、電極Gndとする。
【0043】
電極ch1と電極ch2は、主にユーザHの左目や左瞼の動きに対応する電気信号を検出するためのものである。電極ch3と電極ch4は、主にユーザHの右目や右瞼の動きに対応する電気信号を検出するためのものである。
【0044】
電極Gndは、他の電極Eによって検出されたノイズ成分が反転された電気信号をユーザHに送るためのものである。即ち、この電気信号をユーザHに流すことによって、ユーザHに発生するノイズ成分を打ち消すことができる。また、電極Gndは、ノイズ成分が打ち消されたユーザHの電位(基準電位)を測定する。電極Gndは、ユーザHの前頭部のうち、例えば、比較的ユーザHの皮膚や筋肉の動きが少ない領域(ユーザHの額の中央部等)に配置される。
【0045】
図4(b)は、ユーザHの右側頭部における電極Eの配置を説明するための説明図である。図4(b)に示すように、本実施形態においては、右イヤーカップ13に配置された電極Eが、ユーザHの右耳下部に触れるものとする。この電極Eを電極Refとする。詳細は後述するが、例えば、電極Refから検出される電気信号は、他の電極Eとの差分電圧をとることによってノイズ成分を打ち消すために使用される。
【0046】
図4(c)は、ユーザHの左側頭部における電極Eの配置を説明するための説明図である。図4(c)に示すように、本実施形態においては、左イヤーカップ12に配置された電極Eが、ユーザHの左耳下部に触れるものとする。この電極Eを電極ch5とする。電極ch5から検出される電気信号は、ユーザHの耳周辺の生体活動による電位変化を示すものである。
【0047】
左イヤーカップ12と右イヤーカップ13を耳に装着する位置は、どのユーザHであってもほぼ同じ位置であると考えられる。したがって、上記のように、左イヤーカップ12と右イヤーカップ13のそれぞれに電極Eを配置することにより、意図した位置に電極Eが配置されやすくなる。即ち、複数のユーザHのそれぞれが、生体電気信号検出装置1を装着した場合であっても、電極EがこれらのユーザHと接触する位置をほぼ同じようにすることができる。
【0048】
なお、本実施形態においては、図4(a)〜図4(c)に示すように電極Eを7つとして説明するが、電極Eの数は、ユーザHの脳波や筋電を計測するための任意の数が配置されればよく、これに限られない。例えば、ユーザHの後頭部の生体活動を主に計測したい場合には、後頭部バンド14に複数の電極Eが配置されるようにしてもよい。
【0049】
[生体電気信号検出装置の回路構成]
図5は、本実施形態における生体電気信号検出装置1の回路構成の一例を示す模式図である。図5に示すように、生体電気信号検出装置1は、電気回路部1aとマイコン部1bとから構成されている。マイコン部1bは、ケーブルCを介してゲーム機本体100と接続されている。
【0050】
電気回路部1aは、例えば、生体電気信号検出装置1に配置された各電極Eに対応する入力端子20,21,22,23,24,25,26と、オペアンプ30,31,32,33,34,35と、フィルタ部40と、フィードバック制御部50と、出力端子60と、から構成される。
【0051】
入力端子20は、電極ch1が検出した電気信号に対応する端子である。入力端子21は、電極ch2が検出した電気信号に対応する端子である。入力端子22は、電極ch3が検出した電気信号に対応する端子である。入力端子23は、電極ch4が検出した電気信号に対応する端子である。入力端子24は、電極ch5が検出した電気信号に対応する端子である。入力端子25は、電極Refが検出した電気信号に対応する端子である。入力端子26は、電極Gndが検出した電気信号に対応する端子である。
【0052】
オペアンプ30は、入力端子20の電圧と入力端子25の電圧との差分電圧を増幅させるためのものである。ユーザHの頭部には、電磁波によるノイズが略均等に発生していることが考えられるので、本実施形態においては、電極ch1の電気信号に含まれるノイズ成分と、電極Refの電気信号に含まれるノイズ成分とは、略均等の大きさであるとみなしている。電極Refは、ユーザHの生体活動による電気信号を計測する必要がない箇所に配置されるため、電極Refに含まれる成分は、例えば、ノイズ成分とみなしている。つまり、オペアンプ30によって得られる差分電圧は、電極ch1の電気信号に含まれるノイズ成分を、電極Refの電気信号に含まれるノイズ成分によって打ち消したものである。
【0053】
オペアンプ31は、入力端子21の電圧と入力端子25の電圧との差分電圧を増幅させるためのものである。オペアンプ32は、入力端子22の電圧と入力端子25の電圧との差分電圧を増幅させるためのものである。オペアンプ33は、入力端子23の電圧と入力端子25の電圧との差分電圧を増幅させるためのものである。オペアンプ34は、入力端子24の電圧と入力端子25の電圧との差分電圧を増幅させるためのものである。オペアンプ31〜オペアンプ34によって得られる差分電圧は、オペアンプ30と同様に、電極ch2〜電極ch5が検出する電気信号のノイズ成分を、電極Refによって打ち消したものである。
【0054】
オペアンプ31〜オペアンプ34から出力された電気信号は、フィルタ部40を介してオペアンプ35に入力される。フィルタ部40は、所定周波数帯域の電気信号を取り出すためのものである。例えば、フィルタ部40は、オペアンプ31〜オペアンプ34から出力された電気信号のそれぞれを加算させる加算回路を含み、この加算された電気信号から所定周波数帯域の電気信号を取り除く。即ち、フィルタ部40は、オペアンプ31〜オペアンプ34によって打ち消すことができなかった残存ノイズ成分を取り出すために使用される。
【0055】
例えば、フィルタ部40は、ハイパスフィルタであり、ノイズの周波数帯域に応じて電気信号を取り出す。即ち、50Hz以上でノイズが発生しており、生体電気信号検出装置1からの出力信号として50Hz未満の電気信号を使用したい場合には、ノイズを取り出すために50Hz以上の周波数の電気信号が、フィルタ部40によって取り出される。
【0056】
なお、フィルタ部40は、所定周波数帯域の電気信号を取り出すことができればよく、バンドパスフィルタ等であってもよい。フィルタ部40が取り出す電気信号の周波数帯域は、ユーザHに発生する電気信号のノイズの周波数に応じて適宜変更可能である。
【0057】
オペアンプ35は、入力端子の一端が接地されており、フィルタ部40から出力される電気信号の極性を反転させる反転回路として機能する。オペアンプ35によって極性が反転された電気信号は、フィードバック制御部50に対して入力される。なお、オペアンプ35は、反転した電気信号を増幅させる反転増幅回路としてもよい。
【0058】
なお、上記の各オペアンプにおいて電気信号を増幅させる際の差動利得は、任意の値であってよい。例えば、ユーザHの生体に関する電気信号は数μVであるので、この電気信号を数ボルトまで増幅させる差動利得が予め設定される。
【0059】
また、上記の各オペアンプは、図示しない電源により動作する。図5の例では、特に図示はしないが、例えば、各オペアンプは電源に接続されて電力が供給されることにより動作する。
【0060】
フィードバック制御部50は、ユーザHに発生するノイズを除去するために使用される。フィードバック制御部50は、自己に入力された電気信号をフィードバックさせる。例えば、フィードバック制御部50は、入力された電気信号を、各電極Eから検出される電気信号に加算させる。
【0061】
つまり、フィードバック制御部50は、入力端子20,21,22,23,24,25,26に対して、フィードバック制御部50に入力された電気信号を加算させる。また例えば、フィードバック制御部50は、自己に入力された電気信号を電極Gndを介してユーザHに対して流すことにより、ユーザHに発生するノイズを打ち消すようにしてもよい。つまり、フィードバック制御部50は、自己に入力された電気信号を、ユーザHに発生する電気信号に加算させるようにしてもよい。
【0062】
なお、図5に示す例では、オペアンプ34から出力される電気信号をフィルタ部40に入力させるようにしたが、オペアンプ30,31,32,33から出力される電気信号をフィルタ部40に入力させるようにしてもよい。このフィルタ部40に入力された電気信号から、図5と同様に所定周波数帯域の電気信号が取り出され、フィードバック制御部50に対して入力される。フィードバック制御部50に入力された電気信号は、上記と同様に、ユーザHに発生するノイズを打ち消すために使用される。
【0063】
図6(a)は、上記のフィードバック制御をしない場合における、ある電極E(例えば電極ch5)から検出される電気信号の一例を表す図である。図6(a)に示すように、所定の周波数(図6(a)の例では、50Hz)付近において、信号強度が大きくなる。この信号強度が大きくなる所定周波数の電気信号は、ユーザHが受ける磁場等の影響によるノイズである。
【0064】
例えば、ユーザHが、家庭用電気コンセントの近くにいる場合、この家庭用電気コンセントから発生する磁場の影響を受ける。つまり、この磁場により、ノイズが発生する。ユーザHの生体に関する電気信号の周波数は、家庭用電気コンセントの周波数(例えば、50Hz)に比べて低周波(例えば、2Hz〜49Hz)であることが知られているが、ノイズの周波数帯域の信号強度の方が生体に関する信号強度よりも大きいため、図6(a)の状態では、正確な生体信号を取得することができない。
【0065】
図6(b)は、フィルタ部40から出力される電気信号を表す図である。図6(b)に示すように、例えば、所定の周波数(図6(b)の例では、50Hz)未満の帯域の電気信号が除去されてフィルタ部40から出力される。つまり、上記の例の場合、ノイズに対応する周波数帯域の電気信号のみ、フィルタ部40から出力されることになる。
【0066】
図6(c)は、フィードバック制御部50によってフィードバック制御が行われた電極Eの電気信号を表す図である。図6(c)の例では、図6(a)に示す電気信号に対して、図6(b)に示す電気信号の極性を反転してなる電気信号を加算させた場合を示す。
【0067】
図6(c)に示すように、ノイズの電気信号が除去され、ユーザHの生体に関する電気信号のみが検出される。即ち、図6(b)に示すノイズ成分の電気信号が、オペアンプ35によって反転され、図6(a)に示す電極Eからの電気信号に加算されるので、ノイズが除去された電気信号を取得することができる。
【0068】
なお、フィードバック制御部50が、自己に入力された電気信号をユーザHに対して流した場合も、図6(c)と同様の電気信号の波形が取得される。すなわち、ノイズが除去された電気信号を取得することができる。
【0069】
図5に戻り、マイコン部1bは、マイクロプロセッサや各種入出力インタフェース等から構成され、主に信号処理を行う。マイコン部1bは、オペアンプ30,31,32,33,34のそれぞれから、ノイズが除去された電気信号を取得する。マイコン部1bは、この取得したアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0070】
マイコン部1bは、変換されたデジタル信号を周波数分析する。マイコン部1bは、周波数ごとに電気信号の信号強度を測定して出力信号として、出力端子60とケーブルCを介してゲーム機本体100に対して出力する。マイコン部1bからゲーム機本体100に対して、各電極Eに対応する出力信号が送信される。
【0071】
なお、マイコン部1bからゲーム機本体100に対しては、各電極Eの周波数毎の電気信号の信号強度が加算されて送信されるようにしてもよい。この場合には、後述する被写体Hの状態の判別の際には、この加算された電気信号の特徴が使用されることになる。電気信号の特徴とは、電気信号の時系列的な変化の特徴であり、例えば、電気信号の信号強度の変化量(振幅)である。なお、ユーザHの状態は、電極Eからの電気信号に基づいた所定の判断方法により判別されればよく、これに限られない。
【0072】
[ゲーム機本体の構成]
図5に示すように、ゲーム機本体100は、マイクロプロセッサ110、主記憶120、記憶部130、表示部140、操作入力部150、入出力インタフェース(I/F)160等により構成される。ゲーム機本体100は、公知のコンピュータゲームシステムであり、各構成要素は図示しないバスにより接続される。
【0073】
マイクロプロセッサ110は、記憶部130等に記憶されるオペレーティングシステム、入出力インタフェース160を介して外部記憶媒体から読み出されるプログラムや各種データに基づいて、ゲーム機本体100の各部を制御する。
【0074】
また、マイクロプロセッサ110は、操作入力部150の操作状態に基づいてゲームにおける操作対象を制御する。また、本実施形態においては、マイクロプロセッサ110は、生体電気信号検出装置1の出力信号を入出力インタフェース160を介して受信し、この出力信号に基づいて操作対象を制御する。
【0075】
主記憶120は、RAM等から構成され、記憶部130等から読み出されたプログラムや各種データが必要に応じて書き込まれる。主記憶120は、マイクロプロセッサ110の作業用メモリとしても用いられる。また、主記憶120は、生体電気信号検出装置1が出力した出力信号を一時的に記憶する。
【0076】
記憶部130は、不揮発性メモリ等により構成され、オペレーティングシステムや各種パラメータ等を記憶する。また、記憶部130は、生体電気信号検出装置1が出力するユーザHに関する出力信号の特徴と、ユーザHの状態と、を対応付けた解析テーブルTを記憶する。
【0077】
図7は、記憶部130に記憶される解析テーブルTのデータ格納例を示す図である。図7に示すように、解析テーブルTは、ユーザHの状態と、生体電気信号検出装置1の出力信号の特徴と、が対応付けられて格納されたものである。
【0078】
解析テーブルTに格納されるユーザHの状態とは、ユーザHの生体に関する電気信号から判別される状態である。ユーザHの状態は、例えば、ユーザHが右目をウインク(右ウインク)したり、左目をウインク(左ウインク)する等である。
【0079】
解析テーブルTは、ゲーム制作者が予め作成しており、記憶部130に記憶されている。例えば、解析テーブルTは、多数のユーザHが右ウインク(又は左ウィンク)した場合の各電極Eの電気信号を収集し、それらの出力信号の特徴を分析することによって生成される。
【0080】
なお、解析テーブルTは、複数のユーザHに共通のものを使用してもよいし、ユーザH毎に記憶部130に記憶されるようにしてもよい。ユーザH毎に出力信号の特徴が異なる状態を解析する場合には、ユーザH毎に解析テーブルTが記憶される。
【0081】
なお、図7では右ウインクと左ウインクを例に挙げて説明したが、解析テーブルTに格納されるユーザHの状態と出力信号の特徴とが対応付けられていればよい。出力信号の特徴は、ユーザHの状態に関する所定の特徴に対応した値が格納される。例えば、出力信号の特徴は、複数の電極E間の電気信号の信号強度の差の特徴量であってもよいし、位相差の特徴量であってもよい。
【0082】
表示部140は、LCD等から構成され、マイクロプロセッサ110からの指示により、各種ゲーム画面を表示する。このゲーム画面は、一定周期毎(例えば1/60秒毎)に更新される。
【0083】
操作入力部150は、ユーザHが、ゲームの各種指示入力をするためのものである。例えば、操作入力部150は、十字キーや複数の指示ボタン等の操作部材を含んで構成される。なお、操作入力部150は、操作レバーやタッチパネル等の操作部材を含むようにしてもよい。マイクロプロセッサ110は、一定周期毎(例えば1/60秒毎)に操作入力部150から入力される信号を受信する。
【0084】
入出力インタフェース(I/F)160は、マイク入力端子、アンプ出力端子、LANカード、各種記憶媒体を読み取るためのデバイス等から構成される。例えば、入出力インタフェース160は、生体電気信号検出装置1が出力した電気信号を、ケーブルCを介して受信する。
【0085】
また、入出力インタフェース160は、ゲームの音声データを生体電気信号検出装置1に対して送信する。生体電気信号検出装置1は、この音声データをマイコン部1bで受信し、左イヤーカップ12及び右イヤーカップ13に備えられたステレオからゲームの音楽等を出力する。
【0086】
[ゲームの動作例]
以降、生体電気信号検出装置1から出力された電気信号に基づいてゲーム機本体100がゲームを実行する際の動作例について説明する。
【0087】
図8は、ゲーム機本体100において実行されるゲームの一例である。図8に示すように、ゲーム機本体100は、例えば2つの筺体100a,100bを含む。これらの筺体100a,100bは、それぞれLCD等の表示部140を含み、互いにヒンジを介して結合される。ユーザHは、表示部140のそれぞれの画面を見ながらゲームをプレイする。例えば、筺体100bの表示部140にはタッチパネルが備えられており、ユーザHは、タッチペン等を使用して操作を行うことができる。
【0088】
ゲーム機本体100においては、例えば、仮想3次元空間が主記憶120に構築される。表示部140には、この仮想3次元空間が表示される。ゲーム機本体100においては、例えば、図8に示すようなカーレースゲームが実行される。表示部140には、カーオブジェクト140a(操作対象)やコースオブジェクト140b等が表示される。
【0089】
ユーザHは、操作入力部150から、カーオブジェクト140aの動作に関する各種指示入力を行うことができる。例えば、操作入力部150の十字ボタンを操作すると、カーオブジェクト140aを操作に対応する方向に曲げて走行させたり、ブレーキやアクセルに対応するボタンが操作されると、カーオブジェクト140aを発進又は停止させたりする。
【0090】
コースオブジェクト140bには、ジャンプ台オブジェクト140cが配置される。カーオブジェクト140aがジャンプ台オブジェクト140cを通過すると、カーオブジェクト140aはジャンプする。
【0091】
また、表示部140には、波形画像140dが表示される。波形画像140dは、生体電気信号検出装置1からの出力信号の所定周波数成分に対応する波形である。この波形は、生体電気信号検出装置1の任意の電極Eに対応する出力信号であってもよいし、各電極Eの出力信号を加算させた波形であってもよい。
【0092】
また、生体電気信号検出装置1からの出力信号の所定周波数成分の振幅の累積値が主記憶120に記憶される。例えば、波形画像140dに表示された波形の振幅が数値化されて、出力信号が受信されるたびに累積値に加算されて主記憶120に記憶される。
【0093】
以上説明したゲームは、例えば、マイクロプロセッサ110が、入出力インタフェース160に接続された記憶媒体からゲームプログラムを読み出し、このプログラムと協働することにより実行される。
【0094】
図9は、ゲーム機本体100において、上記カーゲームのレースがスタートした際に実行される処理の一例を示すフロー図である。図9の処理は、マイクロプロセッサ110が、入出力インタフェース160を介して記憶媒体から読み出したプログラムに従って動作することにより実行される。
【0095】
まず、図9に示すように、マイクロプロセッサ110は、操作入力部150からの入力に基づいて、カーオブジェクト140aのゲーム空間における位置や移動方向等の各種情報を取得する(S101)。これらの各種情報は、主記憶120に記憶されているものとする。
【0096】
マイクロプロセッサ110は、カーオブジェクト140aがジャンプ台に到達したか否かを判断する(S102)。例えば、カーオブジェクト140aのゲーム空間における位置を示す座標が、ジャンプ台オブジェクト140cの領域内にあるか否かによって判断される。
【0097】
カーオブジェクト140aがジャンプ台に到達した場合(S102;Y)、マイクロプロセッサ110は、生体電気信号検出装置1の出力信号の累積値を主記憶120から取得する(S103)。
【0098】
マイクロプロセッサ110は、S103で取得した累積値に基づいてカーオブジェクト130aのジャンプの程度を決定する(S104)。例えば、カーオブジェクト140aがジャンプ台オブジェクト140cでジャンプする際の飛距離が振幅の累積値に基づいて決定される。つまり、振幅の累積値が基準値以上であれば、基準値以下の場合の倍の飛距離と決定する等である。なお、振幅の累積値は、所定の条件を満たした場合に減少する。例えば、カーオブジェクト140aがジャンプをするたびに、振幅の累積値は、所定値だけ減少するようにしてもよい。
【0099】
マイクロプロセッサ110は、S104で決定したジャンプの程度に基づいて、カーオブジェクト140aをジャンプさせる(S105)。
【0100】
次いで、マイクロプロセッサ110は、生体電気信号検出装置1から入力された電気信号と、記憶部130に記憶された解析テーブルTと、に基づいてユーザHの状態を解析する(S106)。S106においては、主記憶120に記憶された出力信号が、解析テーブルTに格納された出力信号の特徴を満たすか否かによって解析される。この特徴を満たすレコードに対応するユーザHの状態が、S106において、解析結果として取得される。
【0101】
次いで、マイクロプロセッサ110は、カーオブジェクト140a(操作対象)が所定の状態にあるか否かを判断する(S107)。S107における所定の状態とは、生体電気信号検出装置1の出力信号に基づいて操作対象の制御を行うために必要な条件のことであり、ゲーム内容に応じた任意の条件を設定可能とする。
【0102】
S107においては、例えば、図8に示すカーオブジェクト140aがジャンプをして空中に浮いているか否かに基づいて判断される。カーオブジェクト140aが空中に浮いているか否かは、例えば、仮想3次元空間における各オブジェクトに対応する座標に基づいて判断される。カーオブジェクト140aが空中に浮いている場合、S107において所定の状態にあると判断される。
【0103】
操作対象が所定の状態にない場合(S107;N)、処理はS110に移行する。
【0104】
操作対象が所定の状態にある場合(S107;Y)、マイクロプロセッサ110は、ユーザHの状態に対応する指示入力に基づいて操作対象を制御する(S108)。具体的には、マイクロプロセッサ110は、ユーザHの状態に対応する操作対象に対する指示入力を判別し、この指示入力に基づいて操作対象を制御する。
【0105】
ユーザHの状態と、指示入力と、は予め対応付けられて記憶部130等に記憶されている。例えば、ユーザHの状態が右ウインクである場合には、カーオブジェクト140aを空中で右方向に移動させる等である。この状態においては、操作入力部150を用いた操作が制限されるようにしてもよい。なお、S108においては、予め記憶部130等に定められた任意の制御を行うことが可能である。
【0106】
マイクロプロセッサ110は、カーオブジェクト140aが着地したか否かを判断する(S109)。例えば、仮想3次元空間におけるカーオブジェクト140aに対応する座標とコースオブジェクト140bに対応する座標とに基づいて判断される。
【0107】
カーオブジェクト140aが着地していない場合(S109;N)、処理はS106に戻り、マイクロプロセッサ110は、ユーザHの状態を解析する。
【0108】
カーオブジェクト140aが着地した場合(S109;Y)、マイクロプロセッサ110は、カーオブジェクト140aがゴールしたか否かを判断する(S110)。例えば、仮想3次元空間におけるカーオブジェクト140aに対応する座標が、予め定められたゴールを示す領域内にあるか否かによって判断される。
【0109】
一方、カーオブジェクト140aがジャンプ台に到達していない場合(S102;N)、カーオブジェクト140aがゴールしていない場合(S110;N)、処理はS101に戻り、マイクロプロセッサ110は、カーオブジェクト140aのゲーム空間における位置や移動方向等の各種情報を取得する。
【0110】
[実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態に係る生体電気信号検出装置1によれば、フィルタ部40が、所定周波数帯域の電気信号を取り出し、フィードバック制御部50が、ユーザHに発生するノイズを除去する。本発明に係る生体電気信号検出装置1によれば、ノイズが除去されるため、ユーザHの生体に関する電気信号を正確に取得することが可能となる。
【0111】
本実施形態のように、フィルタ部40を使用することにより、電極E毎にフィルタを使用する必要がなくなるので、低コスト化及び低電力化を実現しつつ、ノイズを除去するアクティブシールドを実現することができる。
【0112】
また、ゲーム機本体100は、電極ch1〜ch5で検出された電気信号の特徴に基づいて、ユーザHの状態を判別することができる。
【0113】
また、生体電気信号検出装置1とゲーム機本体100とを含むゲーム装置によれば、ノイズが除去された電気信号に基づいてゲームを実行することができる。ゲーム機本体100が実行するゲームの操作対象が所定の状態にある場合に、生体電気信号検出装置1の出力信号に対応する指示入力を判別して操作対象を制御することができる。
【0114】
また、ゲーム機本体100は、操作入力部150の入力に基づいたゲームの制御と、ユーザHの状態に応じた制御を使い分けることができる。
【0115】
なお、ゲーム機本体100は、例えば、所定の条件を満たした場合、生体電気信号検出装置1の出力信号に基づいてゲームを制御し、所定の条件を満たしていない場合、生体電気信号検出装置1の出力信号に基づいたゲームの制御を制限するようにしてよい。この所定の条件は、例えば、ゲームに関する条件、又は、生体電気信号検出装置1の出力信号に関する条件(例えば、出力信号に基づいて得られるユーザHの状態が所定の状態であるか否か等)であってよい。
【0116】
例えば、所定の条件は、生体電気信号検出装置1の出力信号の累積値が所定範囲になったか否かであってよい。この場合、ゲーム機本体100は、生体電気信号検出装置1の出力信号の累積値が所定範囲になった場合に、生体電気信号検出装置1の出力信号に基づいてゲームを制御する。出力信号の累積値は、生体電気信号検出装置1の出力信号に基づいてゲームが制御される場合に所定値だけ減少するようにしてもよい。出力信号の累積値が所定範囲になるまでには、ある程度時間がかかるため、ユーザHを適度に休ませながらウインク等をさせてゲーム操作を行わせることができる。
【0117】
また例えば、所定の条件は、所定のゲームイベントが発生したか否かであってよい。他にも例えば、所定の条件は、実行中のゲームが所定の状況(例えば、ゲームオーバーになりそうか否か等)になったか否かであってよい。このように、所定の場合にのみユーザHの状態に応じた制御を行うことができるので、常にユーザHの状態に応じたゲーム処理が行われる場合に比べて、ユーザHに対する操作負担が軽減される。
【0118】
また、ユーザHの状態に応じたゲーム制御を行うことができ、操作入力部150からの入力以外の指示入力を受け付けることができる。即ち、ユーザHの直感に基づいた指示入力を行うことができる。
【0119】
また、主記憶120に記憶された振幅の累積値に基づいてゲーム中の操作対象を制御することができる。生体電気信号検出装置1の出力信号の振幅をゲームに反映させることができる。
【0120】
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では携帯ゲーム機を例に挙げて説明したが、ゲームセンター等に設置されるアーケード型ゲーム機であってもよい。
【0121】
また、本発明をパーソナルコンピュータ等に適用した場合には、ケーブルCを双方向データ通信が可能なケーブルを使用し、ゲーム機本体100から生体電気信号検出装置1に対して所定の指示が送信されるようにしてもよい。
【0122】
なお、ユーザHの状態を判別するのは、ゲーム機本体100であってもよいし、生体電気信号検出装置1であってもよい。例えば、生体電気信号検出装置1のマイコン部1bがユーザHの状態を判別する場合には、ケーブルCを介して、この判別結果のみをゲーム機本体100に対して入力する。
【0123】
また、本実施形態においては、生体電気信号検出装置1に含まれるイヤーカップを2つとしたが、片耳のみであってもよい。また、生体電気信号検出装置1から出力信号を送信するのは、ケーブルCのような有線に限られず、無線通信方式であってもよい。
【0124】
また、締め付け部材16は、回転するものとして説明したが、後頭部バンド14を摺動可能とする構成であればよく、これに限られない。例えば、前頭部バンドケース11のような形状であってもよい。
【0125】
また、本実施形態においては、ユーザHの状態と出力信号の特徴とを対応付けるものとして、解析テーブルTを例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、所定の数式に出力信号の信号強度を代入して得られた値によって、ユーザHの状態が判別されるようにしてもよい。
【0126】
なお、前頭部バンド10と前頭部バンドケース11とを係合させるための形状は、互いに係合するための任意の形状であればよく、本実施形態において説明した波型の凹凸10aと、これに対応する形状の係止部に限られない。後頭部バンド14と後頭部バンドケース15とを係合させるための形状も同様である。
【0127】
また、本実施形態においては、ゲーム機本体100において実行されるゲームをカーゲームとして説明したが、任意の各種ゲームが実行可能であり、これに限られない。ゲーム機本体100において実行されるゲームにおいて、本発明に係るゲーム装置が判別するユーザHの状態に対応する指示入力がなされてゲームが制御されるようにすればよい。
【符号の説明】
【0128】
1 生体電気信号検出装置、1a 電気回路部、1b マイコン部、10 前頭部バンド、10a 凹凸、11 前頭部バンドケース、12 左イヤーカップ、13 右イヤーカップ、14 後頭部バンド、14a 凹凸、15 後頭部バンドケース、16 締め付け部材、16a 係合部、100 ゲーム機本体、100a,100b 筺体、110 マイクロプロセッサ、120 主記憶、130 記憶部、140 表示部、140a カーオブジェクト、140b コースオブジェクト、140c ジャンプ台オブジェクト、140d 波形画像、150 操作入力部、160 入出力インタフェース、C 通信ケーブル、E 電極、H ユーザ、T 解析テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに発生する電気信号を検出する一又は複数の電極と、
前記電極で検出された電気信号に基づく出力信号を出力する出力部と、
前記電極で検出された電気信号から所定周波数帯域の電気信号を取り出すフィルタ回路と、
前記フィルタ回路から出力される電気信号の極性を反転させる反転回路と、
前記反転回路から出力される電気信号を、前記ユーザに発生する電気信号、又は前記電極で検出される電気信号に加算させるフィードバック制御部と、
を備えることを特徴とする生体電気信号検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生体電気信号検出装置を含むゲーム装置であって、前記生体電気信号検出装置の出力信号に基づいてゲームを制御する制御手段を備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
前記ゲーム装置は操作部材を含み、
前記制御手段は、
前記ゲームのおける操作対象を前記操作部材の操作状態に基づいて制御する手段と、
前記操作対象が所定の状態にある場合に、前記生体電気信号検出装置の出力信号に基づいて前記操作対象を制御する手段と、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記生体信号検出装置の出力信号の振幅の累計値を取得する累計値取得手段を更に備え、
前記制御手段は、前記生体信号検出装置の出力信号の振幅の累計値に基づいて前記操作対象を制御する手段を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
請求項1に記載の生体電気信号検出装置を含むゲーム装置の制御方法であって、前記生体電気信号検出装置の出力信号に基づいてゲームを制御する制御ステップを含むことを特徴とするゲーム装置の制御方法。
【請求項6】
請求項1に記載の生体電気信号検出装置を含むコンピュータをゲーム装置として機能させるためのプログラムであって、前記生体電気信号検出装置の出力信号に基づいてゲームを制御する制御手段として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−55587(P2012−55587A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203722(P2010−203722)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】