説明

生分解性ポリエステル樹脂およびこれを用いた接着剤

【課題】 ポリ乳酸素材への接着性が良好で、汎用溶剤に可溶で、しかも生分解性に優れる共重合ポリエステル樹脂を提供する。
【解決手段】 芳香族ジカルボン酸成分(A)、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸成分(B)および脂肪族グリコール成分(C)とから構成され、(A)/(B)のモル比が30〜70/70〜30であり、JIS K6953の試験手順に従ってコンポスト化したあと8週間後の生分解割合が60%以上の生分解性ポリエステル樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性に優れた共重合ポリエステル樹脂およびこれを用いた接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する意識の高まりから、生分解性プラスチック、特に、ポリ乳酸を利用した商品の開発がおこなわれ、これらの製品同士を接着させるための生分解性の接着剤の開発も盛んにおこなわれている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ポリ乳酸自体を接着剤として利用する方法が提案されているが、ポリ乳酸が硬くて脆いため、接着性に問題があった。また、特許文献2では、ポリ乳酸に可塑剤を添加して接着剤として利用することが提案されているが、ポリ乳酸は生分解性であるが、可塑剤が生分解性でないために、接着剤とポリ乳酸の成形品からなるものは、全体としては生分解性を有していなかった。
【0004】
特許文献3、特許文献4では、ポリ乳酸に他成分をブレンドして生分解性接着剤とすることが開示されているが、ブレンド工程が必要であるなど、経済的に不利であった。
【0005】
また、特許文献5、特許文献6、特許文献7では、ポリ乳酸にヒドロキシカルボン酸やポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、脂肪族ポリエステル等を共重合した樹脂を接着剤として利用する方法が提案されているが、これらの方法では接着剤が脂肪族系のモノマーとポリ乳酸のみで構成されているために、十分な接着性を保持することは困難であった。
【0006】
さらに、特許文献8、特許文献9、特許文献10では、アジピン酸、テレフタル酸、ブタンジオールの共重合体をイソシアネートで架橋したものを天然樹脂と混ぜて接着剤として利用することが提案されているが、そもそも、樹脂が汎用溶剤に溶解しないために、接着剤としての利用が困難であった。
【0007】
【特許文献1】特開2000−38118号公報
【特許文献2】特開2000−86877号公報
【特許文献3】特開平9−131835号公報
【特許文献4】特開2002−256250号公報
【特許文献5】特開平5−339557号公報
【特許文献6】特開2000−173589号公報
【特許文献7】特開2002−88334号公報
【特許文献8】特表平10−508640号公報
【特許文献9】特表平10−508647号公報
【特許文献10】特表2001−500907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、生分解性を備え、さらに、ポリ乳酸系樹脂基材をはじめとする生分解性基材への接着性に優れた溶剤型接着剤として利用可能なポリエステル樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意研究した結果、脂肪族ジカルボン酸成分として、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸を特定量含むことで、汎用溶剤に可溶で、かつ生分解割合が高いポリエステル樹脂ができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は第一に、芳香族ジカルボン酸成分(A)、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸成分(B)および脂肪族グリコール成分(C)とから構成され、(A)/(B)のモル比が30〜70/70〜30であり、JIS K6953の試験手順に従ってコンポスト化したあと8週間後の生分解割合が60%以上の生分解性ポリエステル樹脂であり、第二に、温度25℃において濃度25質量%以上で酢酸エチルに溶解することを特徴とする前記生分解性ポリエステル樹脂であり、第三に、前記生分解性ポリエステル樹脂を用いた接着剤である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、生分解性樹脂素材、特に、ポリ乳酸素材に対して十分な接着力と十分な溶剤溶解性を有する生分解性ポリエステル樹脂が提供され、接着剤として産業上の利用価値は極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分(A)、脂肪族ジカルボン酸成分(B)、脂肪族グリコール成分(C)から構成される。
【0014】
芳香族ジカルボン酸成分(A)としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4、4’−ジカルボキシフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が例示できる。
【0015】
脂肪族ジカルボン酸成分(B)としては、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸を使用する必要がある。7以下の炭素原子からなる脂肪族ジカルボン酸を共重合すると、汎用溶剤に不溶になるので好ましくなく、13以上からなる炭素原子を共重合すると、生分解性樹脂基材、特にポリ乳酸系樹脂基材への接着性が低くなるので好ましくない。炭素数8〜12の脂肪族カルボン酸としては、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸、2−メチル−1,8−オクタン二酸 、3−メチル−1,7−オクタン二酸、2−メチル−1,10−デカン二酸などがあげられ、直鎖型であっても分岐構造を有していてもよいが、生分解性の理由から、直鎖状のものが好ましい。また、とりわけ接着性と生分解性の理由から、炭素数9または10の脂肪族ジカルボン酸(例えば、アゼライン酸、セバシン酸など)が好ましい。
【0016】
脂肪族グリコール成分(C)としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂肪族グリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、中でも、汎用性があるエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールが好ましく、その中でも、1,4−ブタンジオールは生分解性が最も優れているので、最も好ましい。
【0017】
(A)/(B)のモル比は30〜70/70〜30、好ましくは、40〜65/60〜35、より好ましくは、50〜60/50〜40であることが必要である。(A)/(B)のモル比が70/30よりも大きい場合、生分解性が悪くなり、(A)/(B)のモル比が30/70よりも小さい場合、接着性が不良になるので好ましくない。
【0018】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂には、(A)と(B)の合計を100モル部とした場合、10モル部をこえない範囲で、他の脂肪族ジカルボン酸やヒドロキシカルボン酸を共重合してもよい。含有量が10モル部を超えると、生分解性樹脂基材への接着性が小さくなるので好ましくない。
【0019】
他の脂肪族ジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸の脂環族ジカルボン等を例示できる。
【0020】
ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、オキシラン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸等も共重合することができ、これらの中でも、生分解性が高い乳酸、ε−カプロラクトン等を共重合するとより好ましい。
【0021】
また、少量であれば、3官能以上のカルボン酸成分やアルコール成分を共重合成分として用いてもよい。
【0022】
3官能以上のカルボン酸成分としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水べンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸等の芳香族カルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族カルボン酸が挙げられる。
【0023】
3官能以上のアルコール成分としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトールが挙げられる。
【0024】
3官能以上の成分は、樹脂に対して付与したい特性に応じて2種以上混合して用いることができる。このとき、3官能以上のモノマーの割合としては、(A)と(B)の合計を100モル部とした場合、0.2〜5モル部程度が適当である。0.2モル部未満では添加した効果が発現せず、5モル部を超える量を含有した場合には、重合の際、ゲル化点を超えゲル化が問題になる場合がある。
【0025】
また、生分解性ポリエステル樹脂には、モノカルボン酸、モノアルコールが含まれていてもよい。モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸等、モノアルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0026】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂は、前記のモノマーを組み合わせて、公知の方法により重縮合させることにより製造することができ、例えば、全モノマー成分および/またはその低重合体を不活性雰囲気下で180〜250℃、2.5〜10時間程度エステル化反応をおこない、引き続いて、130Pa以下の減圧下に220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進めてポリエステル樹脂を得る方法等を挙げることができる。
【0027】
エステル化反応および重縮合反応の際には、必要に応じて、テトラブチルチタネ−トなどの有機チタン酸化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズなどの有機錫化合物を用いて重合をおこなう。その際の触媒使用量は、生成する樹脂質量に対し、1.0質量%以下で用いるのが好ましい。
【0028】
また、ポリエステル樹脂に所望の酸価や水酸基価を付与する場合には、前記の重縮合反応に引き続き、多塩基酸成分や多価アルコール成分をさらに添加し、不活性雰囲気下、解重合をおこなうことができる。
【0029】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂は、酢酸エチル、メチルエチルケトン(2−ブタノン)、アセトン、トルエン等汎用溶剤に、温度25℃において、濃度25質量%以上の溶液となるように溶解することが好ましく、上記溶剤の中で最も溶解力の低いとされている酢酸エチルに上記濃度で溶解することが特に好ましい。ここで、「溶解する」とは、樹脂と溶剤とが均一に混ざって透明になり、少なくとも1日の期間、透明な状態が維持されていることをいう。樹脂が溶剤に溶解しない場合には、接着剤として使用する際にハンドリングが悪くなるので好ましくない。
【0030】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂はJIS K6953の試験手順に従い、コンポスト化8週間後の生分解割合が60%以上である必要がある。コンポスト化したあと8週間後の生分解割合が60%よりも小さいと生分解性が不十分である。
【0031】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂の数平均分子量は4,000以上であることが好ましく、12,000以上であることがより好ましく、15,000以上であることが最適である。数平均分子量が4,000未満では、生分解性樹脂素材、特に、ポリ乳酸素材に対して十分な接着力を得られないことがある。
【0032】
生分解性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(以下、Tgとする)は、特に限定されないが、ポリエステルに対する接着性の面から40℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい。
【0033】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂には、必要に応じて硬化剤、各種添加剤、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の顔料、染料、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、セルロース誘導体等を配合することができる。
【0034】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂には、必要に応じて、顔料分散剤、紫外線吸収剤、離型剤、顔料分散剤、滑剤等の添加剤を配合することができる。
【0035】
発明の接着剤を適用することのできる被着体としては、特に限定されないが、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の生分解性樹脂への接着性が強いためこれらに用いることが好ましく、特に、ポリ乳酸が好ましい。また、被着体の形状も特に限定されないが、フィルム、シート、フラットケーブル等の成形体の接着に特に適している。
【実施例】
【0036】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
(1)ポリエステル樹脂の組成
1H−NMR分析(バリアン社製,300MHz)より求めた。
(2)ポリエステル樹脂の数平均分子量
GPC分析(島津製作所製の送液ユニットLC−10ADvp型、および紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用し、検出波長:254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めた。
(3)ポリエステル樹脂のガラス転移温度
ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7型)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定をおこない、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値を求め、これをガラス転移温度(Tg)とした。
(4)相対粘度
ポリエステル樹脂100mgをフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=5/5(質量比)の混合溶媒20mlに溶解し、ウベローデ型粘度計を用いて20±0.01℃の温度にて試料溶液および溶媒それぞれの流下時間を測定し、(試料溶液の流下時間/溶媒の流下時間)にて相対粘度を算出した。
(5)溶解性
25℃において、ポリエステル樹脂25gと酢酸エチル75gとをペイントシェーカーに入れて120分間振動させ、25℃に保って1日静置した。このとき、前記振動操作によって溶液が透明になり、その状態が1日維持されていた場合を「○」と判定し、前記振動操作によって溶液が透明にならなかった場合や、この操作時には透明であったが、1日後には溶液が濁ったり不均一になった場合を「×」と判定した。
(6)生分解性
JIS K6953の試験手順に従い、コンポスト化したあと8週間後の生分解割合が60%以上のものを生分解性がある(○)とし、60%未満のものを生分解性がない(×)と判定した。
(7)接着強度
卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用いて、ポリ乳酸フィルム(厚さ25μm、ユニチカ社製)に樹脂液をコーティングした。100℃に設定されたオーブン中で1分間加熱することにより、基材上に厚み約10μmの樹脂被膜を形成させ、続いて、コーティングしたポリ乳酸フィルムを2枚用意し、塗布面同士を仮接着後、85℃に設定したホットプレスで1分間圧着し、15mm幅に切断したサンプルを作製した。その後、インテスコ社製精密万能材料試験機2020型を用いて温度20℃湿度50%の雰囲気下で、引張速度50mm/分の接着強力を測定した。10N/20mm以上を合格(○)とし、10N/20mm未満を不合格(×)と判定した。
【0037】
実施例1
テレフタル酸415g(25モル部)、イソフタル酸498g(30モル部)、セバシン酸910g(45モル部)、ブタンジオール1217g(135モル部)からなる混合物を、攪拌しながら、オートクレーブ中で240℃で3時間加熱してエステル化反応をおこなった。次いで、触媒としてテトラブチルチタネート2.0gを投入し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとし、重縮合反応をおこなった。4時間後、系を窒素ガスで加圧状態にしてシート状に樹脂を払い出し表2の共重合ポリエステルを得た。このポリエステルの数平均分子量は35000、ガラス転移点は−41℃、溶解性、生分解性、接着強度はいずれも○であった。仕込み組成と製造条件を表1に、結果を表2に示す。
【0038】
実施例2〜7、比較例1〜4
使用するモノマーとそのモル比を表1のように変え、実施例1と同様の操作をおこなって、表2の共重合ポリエステルを得た。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
実施例1〜4において得られたポリエステルは、いずれも優れた溶解性、生分解性、接着強度を有していた。
【0042】
これに対して、各比較例では次のような不具合があった。
【0043】
比較例1では、炭素数7以下の脂肪族ジカルボン酸を使用したため、溶解性が劣っていた。
【0044】
比較例2では、炭素数13以上の脂肪族ジカルボン酸を使用したため、接着性が劣っていた。
【0045】
比較例3では、脂肪族ジカルボン酸成分の割合が本発明で規定する下限を下回っていたため、生分解性に劣っていた。
【0046】
比較例4では、脂肪族ジカルボン酸成分の割合が本発明で規定する上限を上回っていたため、接着性に劣っていた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジカルボン酸成分(A)、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸成分(B)および脂肪族グリコール成分(C)とから構成され、(A)/(B)のモル比が30〜70/70〜30の範囲であり、JIS K6953の試験手順に従ってコンポスト化したあと8週間後の生分解割合が60%以上の生分解性ポリエステル樹脂。
【請求項2】
温度25℃において濃度25質量%以上で酢酸エチルに溶解することを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル樹脂。
【請求項3】
請求項1または2記載の生分解性ポリエステル樹脂を用いた接着剤。

【公開番号】特開2006−160787(P2006−160787A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−349972(P2004−349972)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【出願人】(591158690)ダイアボンド工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】