説明

生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法

【課題】良好な発泡状態を示し、優れた強度を有する製品を作製可能な生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法を提供すること。
【解決手段】生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂、生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂、及び、収縮防止剤を含有する樹脂組成物を押出発泡させて生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを製造する生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法であって、前記樹脂組成物には、190℃での溶融張力が0.5cN以上1.0cN以下で、且つ、温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下で測定される溶融粘度が200Pa・s以上600Pa・s以下となる生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、該生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)との融点の差が15℃以内となる生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)とが、55:45〜98:2の質量比率(A:B)で含有されており、且つ、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)との合計100質量部に対して前記収縮防止剤が0.05質量部以上5質量部以下となる割合で含有されていることを特徴とする生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法に関し、より詳しくは、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂、生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂、及び、収縮防止剤を含有する樹脂組成物を押出発泡させて生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを製造する生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエステル系樹脂発泡体は、軽量で緩衝性に優れており、しかも、多様な形状に成形加工が容易であることから包装材などに多用されている。
近年、山野、河川、或いは、海岸といった場所において不法に投棄された包装材で景観が損なわれるといった問題に対する対策が求められるようになってきており、自然環境下で分解可能な生分解性のポリエステル系樹脂の発泡体が包装材などに利用されるようになってきている。
また、この種の包装材とは別に園芸用、農業用の資材を生分解性の発泡体で形成させて土壌中において自然分解させることが行われたりもしている。
【0003】
このような発泡体の形成に用いられる生分解性のポリエステル系樹脂としては、脂肪族ポリエステル系樹脂や脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂が知られている。
この内、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂については、該生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする樹脂組成物を押出機で押出発泡させて発泡体を作製する技術が十分に確立がされておらず、特にシート状の発泡体(発泡シート)を良好な発泡状態で製造することが困難な状況となっている。
【0004】
一方で生分解性脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂は、下記特許文献1にも示されているように生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを形成させるための材料として検討がなされている。
しかし、生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂は、一般に軟質であるために得られる製品に十分な強度を付与することが困難な状況となっている。
【0005】
即ち、従来の生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法においては、良好な発泡状態を示し、優れた強度を有する製品が得られ難いという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−058352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決することを課題としており、良好な発泡状態を示し、優れた強度を有する製品を作製可能な生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、所定の溶融特性を有する生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を用いるとともに、該生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂と、生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂とを所定の比率で用い、しかも、該生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂として前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂に近い融点を有するものを採用することで良好な発泡状態を有する生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを優れた強度とし得ることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
【0009】
即ち、上記課題を解決するための本発明に係る生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法は、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂、生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂、及び、収縮防止剤を含有する樹脂組成物を押出発泡させて生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを製造する生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法であって、前記樹脂組成物には、190℃での溶融張力が0.5cN以上1.0cN以下で、且つ、温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下で測定される溶融粘度が200Pa・s以上600Pa・s以下となる生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、該生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)との融点の差が15℃以内となる生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)とが、55:45〜98:2の質量比率(A:B)で含有されており、且つ、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)との合計100質量部に対して前記収縮防止剤が0.05質量部以上5質量部以下となる割合で含有されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、190℃での溶融張力が0.5cN以上1.0cN以下で、且つ、温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下で測定される溶融粘度が200Pa・s以上600Pa・s以下となる生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を用い、しかも、該生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂との融点の差が15℃以内となる生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂を前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂と所定の割合で用いることから良好な発泡状態を有し、優れた強度を有する生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを製造し得る。
例えば、本発明によれば、生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの発泡状態や厚みなどにもよるが、押出(MD)方向において測定した引張破断点エネルギーが1.1J以上もの値を示す強度に優れた生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
まず、生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを形成させるための原材料について説明する。
【0012】
本実施形態の生分解性ポリエステル系樹脂発泡シート(以下、単に「発泡シート」ともいう)の製造方法においては、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)、及び、収縮防止剤(C)を含有する樹脂組成物が用いられる。
前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、発泡シートの主成分となるもので190℃での溶融張力が0.5cN以上1.0cN以下で、且つ、温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下で測定される溶融粘度が200Pa・s以上600Pa・s以下となるものを用いる。
そして、本実施形態においては、190℃での溶融張力が0.5cN以上1.0cN以下となる低溶融張力の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を用いながらも強度に優れ良好な発泡状態の発泡シートが作製され得る。
【0013】
一方で、前記生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)は、発泡シートに優れた強度を付与するために重要な成分であり、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と該生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)とは、質量比率(A:B)で55:45〜98:2の範囲の内のいずれかとなるように樹脂組成物に含有させることが重要である。
【0014】
また、前記収縮防止剤(C)は、当該収縮防止剤(C)を含んだ前記樹脂組成物を押出発泡させるのに際してその発泡状態を安定させるための成分であり、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)との合計100質量部に対する割合が0.05質量部以上5質量部以下の範囲の内のいずれかとなるように前記樹脂組成物に含有させることが重要である。
【0015】
なお、本実施形態においては、生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを形成させるために前記樹脂組成物とともに該樹脂組成物を発泡させるための成分を押出機に供給してこれらを押出機で溶融混練した後に該押出機の先端に装着したダイの吐出口から押出して発泡させることから、通常、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂及び前記収縮防止剤以外に前記発泡のための成分として発泡剤(D)や気泡調整剤(E)が発泡シートの形成に用いられる。
以下に各材料についてより詳しく説明する。
【0016】
(A)生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂
前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂は、本実施形態に係る発泡シートの主成分であり、上記のような溶融特性を有する生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を採用することが重要なのは、温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下で測定される溶融粘度が200Pa・s未満となるようなものでは、該生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を含んだ樹脂組成物を押出発泡させる際において破泡が生じ易くなる結果良好な発泡状態の発泡シートを得ることが困難になるためである。
また、本実施形態において溶融粘度が600Pa・s以下の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を用いるのは、溶融粘度が600Pa・sを超える生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を用いると押出発泡において溶融樹脂の粘度が高すぎて十分な発泡倍率を有する発泡シートが得られ難くなるためである。
このような点においては、温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下で測定される溶融粘度は、210Pa・s以上580Pa・s以下が好ましく、220Pa・s以上550Pa・s以下がより好ましい。
【0017】
また、本実施形態においては、後述するような生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂とともに押出発泡させることから、従来、良好な押出発泡状態にすることが困難であると考えられて発泡シートの主成分として用いられるようなことがなかった190℃での溶融張力が1.0cN以下の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分として用いながらも良好なる発泡シートを得ることができる。
ただし、用いる生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂の溶融張力が過度に低いと押出発泡させる際において気泡膜が破れて連続気泡が形成され易くなり、良好な発泡シートを得ることが困難となる。
即ち、本実施形態においては、連続気泡率の低い、高い発泡倍率の発泡シートをより確実に得られ易くなることから前記のような溶融張力(190℃での溶融張力が0.5cN以上1.0cN以下)を有する生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を用いるものである。
【0018】
なお、前記溶融粘度、及び、前記溶融張力については、以下のような測定方法によって求められる。
(溶融粘度)
溶融粘度は、JIS K 7199:1999「プラスチック−キャピラリーレオメーター及びスリットダイレオメーターによるプラスチックの流れ特性試験方法」記載の方法により測定することができる。
即ち、ツインボアキャピラリーレオメーター(Rheologic 5000T(イタリア チアスト社製))を用いて測定することができ、垂直方向に配された内径15mmのバレル内に試料を収容させて、190℃の温度で5分間予備加熱して溶融させた後に、バレルの上部からピストンを挿入して、該ピストンの降下速度を0.0556mm/s(剪断速度:100.1s-1)の一定速度とし、前記バレルの下端に設けたキャピラリー(ダイ径:1.0mm、ダイ長さ:10mm、流入角度:90度(コニカル))から溶融樹脂を紐状に押出し、この時に観察される見かけの粘度を測定し溶融粘度とすることができる。
【0019】
(溶融張力(破断点張力))
溶融張力も、ツインボアキャピラリーレオメーター(Rheologic 5000T(イタリア チアスト社製))を用いて以下のようにして測定することができる。
即ち、垂直方向に配された内径15mmのバレル内に試料を収容させて、190℃の温度で5分間予備加熱して溶融させた後に、バレルの上部からピストンを挿入して、該ピストンで押出速度が0.0773mm/sの一定速度となるようにしてバレルの下端に設けたキャピラリー(ダイ径:2mm、ダイ長さ:8mm、流入角度:90度(コニカル))から溶融樹脂を紐状に押し出させ、この紐状物を、キャピラリーの下方250mmの位置に配された張力検出プーリーに巻き掛けた後、巻き取りロールを用いて巻き取らせ、巻取り初めの速度を4mm/sとし、その後の加速を12mm/s2として徐々に巻取り速度を速め、紐状物が破断する寸前において張力検出プーリーで観察される張力を溶融張力とすることができる。
なお、この時、張力の測定値が振れる場合は、破断直前の極大値と極小値の中間点を溶融張力とすることができる。
【0020】
なお、本実施形態においては、特開2003−335889号公報に好ましい生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂として具体的に開示されているような特殊な長鎖分岐を有する生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を用いる必要がなく、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂としては、長鎖分岐を有していないものを採用することができる。
本実施形態において好ましく用いられる生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、グリコールと脂肪族ジカルボン酸との重縮合などにより得られるポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンオキザレート、ポリブチレンオキザレート、ポリネオペンチルオキザレート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケートなどが挙げられる。
また、本実施形態において好ましく用いられる生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸などのようなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこれらの共重合体、ポリ(ε−カプロラクトン)やポリ(β−プロピオラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(3−ヒドロキシカプロレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシオクタノエート)のようなポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)及びポリ(4−ヒドロキシブチレート)などの脂肪族ポリエステルを挙げることができる。
本実施形態においては、これらのなかでもポリブチレンサクシネートが特に好ましく用いられ得る。
なお、本実施形態においては、上記例示の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂の内の一種類を選択して用い得る他に、上記例示の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂の内の複数を混合して用いることもでき、上記例示以外の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂も採用が可能である。
【0021】
(B)生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂
前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とともに本実施形態の発泡シートの製造に用いられる生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(以下「脂芳樹脂」ともいう)は、脂肪族エステルと芳香族エステルとが混在する樹脂である。
より詳しくは、脂肪族のジカルボン酸と芳香族のジカルボン酸とが混在し、これが脂肪族の二価アルコールとエステル結合して得られた樹脂である。
【0022】
本実施形態においては、通常、脂芳樹脂(B)を構成するジカルボン酸全体の中で、芳香族ジカルボン酸が5〜80モル%を占め、残りが脂肪族ジカルボン酸であるものを用いることができる。
なかでも、芳香族ジカルボン酸が10〜75モル%を占め残りが脂肪族ジカルボン酸となっているものが好ましく、芳香族ジカルボン酸が15〜70モル%を占め残りが脂肪族ジカルボン酸となっているものが特に好ましい。
また、脂芳樹脂は固有粘度(IV値)が0.8〜2.0のものが好ましく、0.9〜1.5のものが特に好ましい。
【0023】
脂芳樹脂を構成する二価アルコールとしては、通常、脂肪族のジオールが用いられる。
この脂肪族のジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
なお、多くの場合、これらのなかでも、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールが用いられている。
【0024】
また、脂芳樹脂を構成するジカルボン酸は、通常、脂肪族のジカルボン酸と芳香族のジカルボン酸との両者を含んでいる。
そのうちの脂肪族ジカルボン酸としては種々のものが知られており、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸及びそれらのエステル形成性誘導体が用いられている。
なお、多くの場合、これらのなかでも、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸が用いられている。
【0025】
また、脂芳樹脂を構成する芳香族ジカルボン酸としても種々のものが知られており、例えば、1,4−テレフタル酸、1,3−テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、及びそれらのエステル形成性誘導体が用いられている。
なお、多くの場合、これらのなかでも、1,4−テレフタル酸、1,3−テレフタル酸が用いられている。
【0026】
さらに、脂芳樹脂を構成する化合物としては、末端に水酸基とカルボキシル基とを持ったヒドロキシカルボン酸が知られている。
例えば、脂肪族のものとしては、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボン酸、ヒドロキシピバリン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、グリコール酸、乳酸及びそれらのエステル形成性誘導体が用いられおり、芳香族に属するヒドロキシカルボン酸としては、サリチル酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸等が用いられている。
【0027】
前記脂芳樹脂(B)は、上述のような二価アルコールとジカルボン酸とを重縮合させ、又はヒドロキシカルボン酸を重縮合させて得られた樹脂であり、本実施形態においては、このような脂芳樹脂として市販品を採用することができる。
例えば、ビーエーエスエフ(BASF)社からエコフレックス(Ecoflex)の商品名で市販されているものなどが採用可能である。
【0028】
なお、本実施形態においては、上記例示の脂芳樹脂(B)の内の一種類を選択して用い得る他に、上記例示の脂芳樹脂の内の複数を混合して用いることもでき、上記例示以外の脂芳樹脂も採用が可能である。
【0029】
ただし、本実施形態においては、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)との融点の差が15℃以内のものを用いることが重要である。
脂芳樹脂(B)に上記の規定を設けているのは、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の融点と脂芳樹脂(B)の融点との間に15℃を超える差異を生じさせると両樹脂の発泡適正温度域に大きな違いが生じて、良好な発泡シートを得ることができないおそれがあるためである。
なお、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、及び、脂芳樹脂(B)のいずれか一方、又は、両方に複数種類の樹脂が採用される場合には、それぞれ最も多く含有されるものどうしの間で融点の差が15℃以内となっていれば良く、僅かにしか含有されていない生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)や脂芳樹脂(B)にまで上記のような融点の関係が担保される必要はない。
ただし、より確実に良好な発泡シートを得るためには、全ての生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と全ての脂芳樹脂(B)との間に融点差15℃以内の関係が保たれていることが好ましい。
【0030】
前記のように本実施形態の生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを形成させるのに際しては、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記脂芳樹脂(B)とを質量比率(A:B)で55:45〜98:2の範囲内で用いる。
前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記脂芳樹脂(B)とを上記のような比率で用いるのは、この範囲外では、発泡シートに十分な強度が発揮されなくなるおそれを有するためである。
【0031】
(C)収縮防止剤
本実施形態において生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの形成に用いる前記収縮防止剤(C)は、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記脂芳樹脂(B)との合計100質量部に対する割合が0.05質量部以上5質量部以下の範囲の内のいずれかとなるように前記樹脂組成物に含有される。
なお、収縮防止剤の含有量に上記のような範囲が設けられているのは、収縮防止剤の量が上記範囲未満であると製造時における発泡シートの収縮が大きくなって、十分発泡させることが困難になるおそれを有し、一方で過度に含有させると押出自体が困難になるおそれを有するためである。
即ち、本実施形態においては、良好な発泡状態の発泡シートを安定して製造するために前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記脂芳樹脂(B)との合計100質量部に対する前記収縮防止剤の割合を0.05質量部以上5質量部以下に設定している。
【0032】
該収縮防止剤(C)の具体例としては、例えば、ラウリン酸モノグリセライド、パルミチン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ペンタエリスリットモノカプレート、ペンタエリスリットモノオレエート、ペンタエリスリットモノラウレート、ジペンタエリスリットジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキ糖油脂肪酸エステル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、マンニタンモノオレエート、マンニタンモノラウレートなどの多価アルコールと高級脂肪酸のエステルの他、高級アルキルアミン、脂肪酸アミド、高級脂肪酸の完全エステルなどを挙げることができる。
本実施形態においては、これらのなかでもステアリン酸モノグリセライドが特に好ましく用いられ得る。
なお、本実施形態においては、上記例示の収縮防止剤の内の一種類を選択して用い得る他に、上記例示の収縮防止剤の内の複数を混合して用いることもでき、上記例示以外のもので従来収縮防止剤として公知のものも採用が可能である。
【0033】
前記発泡剤(D)としては、一般的な常温、常圧において気体となる揮発性発泡剤や、熱分解によって気体を発生させる分解型発泡剤を採用することができ前記揮発性発泡剤としては、例えば不活性ガス、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素等が採用可能である。
前記不活性ガスとしては、例えば、炭酸ガス、窒素等が挙げられる。
また、前記脂肪族炭化水素としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン等が挙げられ、前記脂環族炭化水素としては、例えば、シクロペンタン、シクロへキサン等が挙げられる。
本実施形態においては、上記の中でも特にノルマルブタンやイソブタンが好ましく用いられ得る。
【0034】
なお、前記分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、重炭素ナトリウム又はクエン酸のような有機酸もしくはその塩と重炭酸塩との混合物などが挙げられる。
【0035】
前記気泡調整剤(E)は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、タルク、水酸化アルミニウム、シリカなどが挙げられる。
なお、前記分解型発泡剤は、揮発性発泡剤と併用することで発泡状態を調整することができ、気泡調整剤として用いることができる。
【0036】
また、本実施形態においては、生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの形成に用いる樹脂組成物に、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、無機充填剤等の各種添加剤をさらに含有させることもできる。
【0037】
次いで、このような原材料を用いて生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを製造する製造方法について説明する。
本実施形態の生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法においては、押出機と、該押出機の先端に取り付けたダイとを用い、前記のような生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、脂芳樹脂(B)、収縮防止剤(C)、発泡剤(D)及び気泡調整剤(E)を含んだ樹脂組成物を前記押出機において溶融混練し、前記ダイの吐出口からシート状に押出発泡させる方法を採用することができる。
なお、発泡シートの製造に際しては、前記ダイとしてサーキュラーダイやフラットダイを用いるなどして前記樹脂組成物をシート状に押出発泡させることができる。
これらの内ではサーキュラーダイを用いることが好ましい。
このとき良好なる発泡状態の発泡シートを得る上においては、前記ダイでの剪断速度が1000sec-1以上となる条件で押出発泡させることが好ましい。
【0038】
前記剪断速度が1000sec-1以上となるように押出発泡させることが好ましいのは、本実施形態においては、前記のように溶融張力が低い生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を用いることから剪断速度が1000sec-1未満となるような緩やかな押出を実施したのでは、吐出口から押出される以前の段階(ダイの内部)において発泡が開始して、良好なる発泡状態の発泡シートが得られなくなるおそれを有するためである。
ただし、過度に剪断速度を向上させても、金型先端部において剪断発熱を起こし、発泡シートの発泡状態を一定以上には良好なものとすることができず、かえって気泡破れ等を生じてしまうため、通常、前記剪断速度は5000sec-1以下とされる。
【0039】
なお、この剪断速度は、発泡剤や気泡調整剤などを含めて単位時間当たりにダイから吐出される樹脂組成物の体積と、ダイの開口面積等から算出することができ、具体的には下記のようにして求めることができる。
【0040】
(サーキュラーダイにおける剪断速度の求め方)
サーキュラーダイの吐出口における剪断速度は、下記の計算式により算出される。

剪断速度γ(sec-1)=(6×Q)/〔π×(D/10)×(t/10)2

ただし、「Q(cm3 /s)」は、単位時間当たりに押出される樹脂組成物の体積であり、「 D(mm)」は吐出口の内側開口縁の直径で「t(mm)」は吐出口の開口幅である。
【0041】
(フラットダイにおける剪断速度の求め方)
フラットダイの吐出口における剪断速度は、下記の計算式により算出される。

剪断速度γ(sec-1)=(6×Q)/〔(W/10)×(t/10)2

ただし、但し、「Q(cm3 /s)」は、単位時間当たりに押出される樹脂組成物の体積であり、「W(mm)」は吐出口の長さで、「t(mm)」は吐出口の開口幅である。
【0042】
なお、このダイにおける剪断速度以外の押出条件については、通常の押出発泡と同様の条件とすることができる。
例えば、融点115℃程度の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を脂芳樹脂(B)とともにブタンなどの揮発性発泡剤で発泡させるのであれば、一旦、樹脂組成物を押出機で200℃程度に加熱して前記揮発性発泡剤を樹脂組成物中に分散させた後、発泡に適した115℃〜125℃程度の温度に冷却して押出発泡を実施させることができる。
【0043】
このような押出発泡によって形成させる発泡シートとしては、従来の製造方法では良好な発泡状態とすることが困難で、本発明の効果をより顕著に発揮させ得る点において厚みが0.2mm以上1.0mm以下の発泡シートが好ましく、密度が0.1g/cm3以上0.4g/cm3以下の発泡シートが好ましい。
【0044】
なお、本発明においては、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記脂芳樹脂(B)とを所定の比率で用いることで、密度(発泡度)やシート厚みにもよるが、押出(MD)方向に引張って測定を行った際の引張破断点エネルギーが、例えば、上記のような密度(0.1〜0.4g/cm3)で上記のような厚み(0.2〜1.0mm)を有するものであれば1.1J以上の値を示す優れた強度の発泡シートとすることができる。
【0045】
このような強度を有することにより、製造時における破断を防止することができるとともに、使用時における破断も防止することができ、農業用マルチシートなどに好適な発泡シートとすることができる。
なお、本発明においては、製造する生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを上記用途に限定するものではない。
また、生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの原材料や製造方法などの技術事項も上記例示のものに限定されるものではなく、本発明の効果を著しく損なわない範囲において適宜変更が可能なものである。
【実施例】
【0046】
以下に、実施例を示して生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法を具体的に説明するが、本発明の生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法は以下に例示の方法に限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
まず、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)であるポリブチレンサクシネート樹脂〔三菱化学社製、商品名「GS−Pla FZ91D」、融点115℃、溶融粘度(190℃、100sec-1):260Pa・s 溶融張力(190℃):0.72cN〕90質量部と生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)であるポリブチレンアジペート・テレフタレート〔BASF社製「エコフレックス」融点:110〜120℃〕10質量部との合計100質量部に対して収縮防止剤(C)であるステアリン酸モノグリセライド〔花王社製「エキセル84」〕0.5質量部、気泡調整剤(E)〔重炭酸塩/有機酸混合マスターバッチ、大日精化工業社製、商品名「ファインセルマスター SSC PO410K」〕0.5質量部の割合で配合した原材料を用意した。
50mmのシリンダー径の押出機(第一押出機)と60mmのシリンダー径の押出機(第二押出機)とが連結されたタンデム型押出機に前記原材料を供給し、前記第一押出機のシリンダー温度を220℃に設定して該第一押出機で前記原材料を溶融混練させた後、発泡剤としてブタンガスを前記原材料とブタンガスとを併せた総質量に占める割合が3質量%となるように圧入してさらに溶融混練させた。
この第一押出機で溶融混練した混練物を第二押出機で発泡に適した状態となるように冷却し、該第二押出機の先端に取り付けたサーキュラーダイの吐出口〔ダイスリット間隔(t)0.21mm、ダイスリット径(D)70mm〕から温度が115℃となるようにして樹脂組成物を押出発泡させ、発泡シートを円筒状に押出した。
その後、円筒状の発泡シートを直径220mmのマンドレルに沿わせ冷却した後にカッターで押出方向に沿って連続的に切り込みを入れて展開し、厚み0.21mm、密度0.28g/cm3の発泡シートを得た。
この押出発泡における吐出量は26.5kg/hで、ダイでの剪断速度は3614sec-1であった。
この実施例においては、押出発泡の状態も安定しており、良好なる発泡状態の発泡シートを得ることができた。
また、この発泡シートの押出方向における引張破断点エネルギーを測定したところ、1.29Jであった。
【0048】
なお、この引張破断点エネルギーは、JIS K6767 「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」 の引張強さ及び伸びの測定方法に基づいて測定した。
すなわち、まず発泡シートサンプルから押出方向が長手方向となるようにISO1798:2008タイプ1に規定されるダンベル状試験片を5個作製し、オリエンテック社製の引張試験機「テンシロン万能試験機 UCT−10T」をチャック間が100mmとなるようにセットし、該チャックに前記試験片を挟んで500mm/minの試験速度で引張り試験を行い、それぞれの試験片の伸びの原点から試験片が破断した点までの荷重を変位で積分し、該積分値を平均して引張破断点エネルギーを求めた。
なお、ロードセルは1kNのものを用い、測定レンジ幅を0〜200Nに設定し試験片の伸びの変位はチャック間隔で計測し、伸びの原点は、試験片の引張り弾性率の傾き直線が変位軸と交差した点とした。
なお、引張り弾性率の傾き直線は、引張試験で測定される荷重の値がフルスケール(200N)に対して0.2%〜30%となる区間を0.3%ピッチで区切り、それぞれの区間における荷重差と変位差とにより傾きを求め、傾きの最大値から2番目、3番目、4番目の傾きを元データとして最小二乗法により求められる直線である。
【0049】
(実施例2)
生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)であるポリブチレンサクシネート樹脂〔三菱化学社製、商品名「GS−Pla FZ91D」、融点115℃、溶融粘度(190℃、100sec-1):260Pa・s 溶融張力(190℃):0.72cN〕80質量部と生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)であるポリブチレンアジペート・テレフタレート〔BASF社製「エコフレックス」融点:110〜120℃〕20質量部との合計100質量部に対して収縮防止剤(C)であるステアリン酸モノグリセライド〔花王社製「エキセル84」〕0.5質量部、気泡調整剤(E)〔重炭酸塩/有機酸混合マスターバッチ、大日精化工業社製、商品名「ファインセルマスター SSC PO410K」〕0.5質量部の割合で配合した原材料を用意した。
40mmのシリンダー径の押出機(第一押出機)と50mmのシリンダー径の押出機(第二押出機)とが連結されたタンデム型押出機に前記原材料を供給し、前記第一押出機のシリンダー温度を220℃に設定して該第一押出機で前記原材料を溶融混練させた後、発泡剤としてブタンガスを前記原材料とブタンガスとを併せた総質量に占める割合が3質量%となるように圧入してさらに溶融混練させた。
この第一押出機で溶融混練した混練物を第二押出機で発泡に適した状態となるように冷却し、該第二押出機の先端に取り付けたサーキュラーダイの吐出口〔ダイスリット間隔(t)0.31mm、ダイスリット径(D)30mm〕から温度が119℃となるようにして樹脂組成物を押出発泡させ、発泡シートを円筒状に押出した。
その後、円筒状の発泡シートを直径100mmのマンドレルに沿わせ冷却した後にカッターで押出方向に沿って連続的に切り込みを入れて展開し、厚み0.41mm、密度0.16g/cm3の発泡シートを得た。
この押出発泡における吐出量は10.7kg/hで、ダイでの剪断速度は1562sec-1であった。
この実施例においては、押出発泡の状態も安定しており、良好なる発泡状態の発泡シートを得ることができた。
また、この発泡シートの押出方向における引張破断点エネルギーを先の実施例と同様に測定したところ、1.67Jであった。
【0050】
(実施例3)
生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)との質量比率を80:20に代えて60:40とした以外は、実施例2と同様に押出発泡を実施した。
なお、ここでは、厚み0.22mm、密度0.30g/cm3、押出方向の引張破断点エネルギーが1.47Jの発泡シートを得た。
また、この時の樹脂温度は121℃、吐出量は10.6kg/hでダイでの剪断速度は1548sec-1であった。
【0051】
(比較例1)
生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)との質量比率を90:10に代えて50:50とした以外は、実施例1と同様に押出発泡を実施した。
なお、ここでは、厚み0.21mm、密度0.28g/cm3の発泡シートを得た。
また、この時の樹脂温度は115℃、吐出量は26.4kg/hでダイでの剪断速度は3600sec-1で、実施例1と略同条件であったが、得られた発泡シートの押出方向における引張破断点エネルギーは1.04Jと低いものであった。
以上のことからも、本発明によれば、良好な発泡状態を示し、十分な強度を有する製品を作製可能な生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法が提供され得ることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂、生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂、及び、収縮防止剤を含有する樹脂組成物を押出発泡させて生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを製造する生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法であって、
前記樹脂組成物には、190℃での溶融張力が0.5cN以上1.0cN以下で、且つ、温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下で測定される溶融粘度が200Pa・s以上600Pa・s以下となる生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、該生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)との融点の差が15℃以内となる生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)とが55:45〜98:2の質量比率(A:B)で含有されており、且つ、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)との合計100質量部に対して前記収縮防止剤が0.05質量部以上5質量部以下となる割合で含有されていることを特徴とする生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法。
【請求項2】
前記収縮防止剤が、ステアリン酸モノグリセライドである請求項1記載の生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法。
【請求項3】
製造する生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの厚みが0.2mm以上1.0mm以下で、密度が0.1g/cm3以上0.4g/cm3以下である請求項1又は2記載の生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法。

【公開番号】特開2012−211295(P2012−211295A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160135(P2011−160135)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】