説明

生活流体地下設備の情報データ送信用テレメータ装置

【課題】マンホール内の生活流体地下設備に設置された各種センサーで検出した水道水などの圧力や流量などの各情報データを、地上の管理センターに設置された中央処理装置に長時間送給できるテレメータ装置を提供する。
【解決手段】マンホール3内の生活流体地下設備2に設置された各種センサー4の測定検出信号を情報データ収集部5とアンテナ6を介して地上の無線中継局7を経て管理センターの中央処理装置8に送信する無線部9を接続すると共に、該情報データ収集部と該無線部の駆動用バッテリー電源10をバッテリー保護部11を介して前記情報データ収集部5に接続して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋内や屋外に埋設されたマンホール内に設置された水道水管、消火設備、ガス管などの生活流体地下設備の圧力や流量などをセンサーで検出し収集した情報データを地上の中央処理装置に無線送信するテレメータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に地下には上水道管、下水道管、ガス管などの生活流体地下設備が埋設されている。また埋設された生活流体地下設備例えば上水道管の漏水や詰まり状態を調査するために、マンホール内の上水道管の圧力や流量などの情報をセンサーで検出し、この検出結果を測定器や観測器で監視する装置が手軽に利用できる利点から一般に利用されている。しかしながら車両の走行や人通りの多い道路に埋設されたマンホール内に設置された各種センサーを観測者が検知しまた観測する場合は、重いマンホール蓋の煩わしい開閉作業、狭隘なマンホール内の空間に地下ガスが淀む危険な観測環境、車両道路に埋設されたマンホールにおいては車両の走行を妨げ交通渋滞を引き起こす。この問題を解消する目的から、マンホール内のセンサーで検知した測定信号を遠隔監視装置すなわちテレメータを介して、無線通信で地上の管理センターに設けた中央処理装置に送信する情報データ送信システムが実用化されている。例えば特公平6−29753号公報の「地下タンク内の液位測定データを無線信号に変換し送信アンテナを接続した送信手段を設けて地下に埋設されたマンホールの上部開口を覆う鉄製蓋の裏面に、送信アンテナが着脱自在な凹部を設けかつ凹部の上面に非導電材で塞いで構成したもので、液位情報をマンホール位置から離れた位置の事務所モニター装置に支障なく送信する無線式液位測定装置」、特開平11−61867号公報の「地下の無線機と地上局との間の無線通信の電波通路に設置される導電性のマンホール蓋を、絶縁部材を介して導電性マンホール蓋受け部に支持してなる、電波遮断効果が低い無線通信用マンホール蓋」、特開2002−54167号公報の「携帯電話回線網のエリア内のマンホールに設置されたセンサー部と、このセンサー部の測定値を入力するデータロガ部と、このデータロガ部のデータを電磁波で放射する通信装置部と、前記したこれら各部を駆動する電源部と、前記通信装置部の電磁波を携帯回線網を介して受信する中央処理部とを備え、さらにマンホールを開閉する蓋に収納部を設けて収納部内に前記した通信装置部と電源部を収納して構成したもので、下水道施設の異常発生を早期発見できるマンホールの遠隔監視装置」がある。また、特開2003−74081号公報は「バッテリーとマンホール設備の状態に応じて作動する接点と、該接点の作動でバッテリーからの給電を開始しまた給電停止信号を受けて停止する給電回路と、マンホール特定情報の発信データを出力する制御回路と、電源供給で作動開始する制御回路の前記発信データをアンテナを介して管理センターに送信する発信回路と、該管理センターの給電停止信号を前記アンテナを介して受信し前記給電回路に給電停止信号を発信する受信回路を具備して構成し、コンパクトなバッテリーを使用して充電等の定期的な点検の頻度を軽減するマンホールの遠隔監視装置」を開発している。
さらに特開平8−53878号公報の様に「地表空間に測定信号電波を放射する地下埋設物の測定用蓋アンテナ」も開発されている。
【0003】
上記した何れのマンホール用テレメータ装置は、地下に埋設されたマンホール内の測定情報や監視情報を支障なく地上の遠隔地の管理センターに伝送するため、素早い対応策を実施する事ができる。
【特許文献1】特開2003−74081号
【特許文献2】特公平6−29753号
【特許文献3】特開平11−61867号
【特許文献4】特開2002−54167号
【特許文献5】特開平8−53878号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、今日まで開発されたテレメータ装置の電源には、ニッケル水素電池の他に上記した特公平6−29753号公報でも使用されるリチウム電池が使用されるが、これらの2次電池は放電の度に頻繁に充電を行う必要があった。この問題を軽減したのが上記した特開2003−74081号公報のマンホールの遠隔監視装置で、バッテリーから給電回路に給電停止信号を受けたときの給電停止機能いわゆる給電のON−OFF制御機能をもつリレー自己保持回路を設ける事によって、無駄な給電を停止させようとするものである。しかしながら該遠隔装置は、マンホールの蓋が閉じられた状態では運転を停止しているため、必要な時の情報のデータが得られない問題があった。また上記した特公平6−29753号などの遠隔監視装置の給電回路で使用されるバッテリーに対する適切な管理の検討がなされていない。一般的にリチウム電池等の2次電池を放電し続け最終放電電圧以下まで使用し続けるとバッテリーに対し著しくダメージを与えバッテリー本体の劣化を早め、バッテリー容量の減少や使用不可能な状態を招く問題があった。
【0005】
本発明は、この様な問題を解消すると共に給電回路の電源として使用されるバッテリーを有効的に使用し延いては長時間稼働できるテレメータ装置を開発する事を目的に種々検討した結果、給電回路に放電電圧が最終放電電圧に達する前にバッテリー負荷を強制的に切断してバッテリーの劣化を防止し長時間稼働や長寿命化するバッテリー保護部(回路)を接続する事により、発明の目的が達成されるテレメータを提供できる事を知見した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこの知見に基づいて構成したもので、その要旨は、マンホール内の生活流体地下設備に設置された各種センサーの測定検出信号を入力する情報データ収集部と該情報データ収集部の測定検出信号をアンテナを介して地上の無線中継局を経て管理センターの中央処理装置に送信する無線部を接続すると共に、該情報データ収集部と該無線部の駆動用バッテリー電源はバッテリー保護部を介して前記情報データ収集部に接続して構成した生活流体地下設備の情報データ送信用テレメータ装置である。
【発明の効果】
【0007】
上記の様に構成された本発明のテレメータ装置は、作動源のバッテリー電源にバッテリー保護回路を介して情報データ収集部と無線部に接続されているため、不必要な放電を防止してバッテリーの容量を適切かつ有効的に使用するため、結果としてテレメータ装置の長時間稼働やバッテリーの長寿命化に効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例を示したものである。図1において、1はテレメータ装置である。
テレメータ装置1は、地下に埋設された生活流体地下設備2を流れる上水道、下水道、ガス等の生活流体の圧力や流量及び浸水などの情報データをマンホール3内で検知する圧力センサーや流量計及び浸水検知器などの各種のセンサー4の測定検出信号である4〜20mAのアナログ信号や検出器のON−OFF信号を入力し、必要に応じてその情報を蓄積する情報データ収集部5と該情報データ収集部の測定検出信号をアンテナ6を介して地上の無線中継局7を経て管理センターの中央処理装置8に送信する無線部9を接続すると共に、情報データ収集部5と無線部9を駆動するリチウム電池やニッケル水素電池等の2次電池である駆動用バッテリー電源10をバッテリー保護部11を介して前記した情報データ収集部5に接続して構成されている。なお、本発明においてバッテリー保護部11はテレメータ装置1を駆動する場合に駆動用バッテリー電源10のバッテリーの状態を常に検出し過放電の状態にならないようバッテリー負荷を切断し、該バッテリーが適正な充電状態でない場合はバッテリー負荷が入らないようにバッテリーの寿命を保護する機能を有する。すなわち本発明は、生活流体地下設備2の情報データをマンホール3内に設置したテレメータ装置1により無線中継局7を介して管理センターの中央処理装置8に無線伝送で情報データを伝送するが、その際テレメータ1の駆動用バッテリー電源10のバッテリーがバッテリー保護部11で適切に管理される効果をもったテレメータ装置を提供する。
【0009】
上記のように構成された本発明のテレメータ装置は、必要に応じて開閉蓋を設けた機密性または防水性で持ち運びに便利な任意な形状と大きさのケースに収容してもよい。
また、無線部9は携帯用データ通信網やPHS通信網及び特定小電力無線の無線を利用する事が可能であり、それぞれの通信環境に応じて選択する事もできる。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明の生活流体地下設備の情報データ送信用テレメータ装置は、測定情報や監視情報が支障なく管理センターに伝送される事が望まれる中で給電源のバッテリーの劣化を軽減しつつ長時間稼働できる利点から、今後ますます使用される可能性が高いものと思われる。
更に本発明の中にある無線部として携帯用データ通信網やPHS通信網の無線を利用する事が可能であるので、これらの無線をマンホールの中に設置し該マンホールの蓋を閉じると通信が不通になると判断されがちであるが、通信環境によっては十分にデータ伝送が可能である。万一、これらの通信環境が悪い場合であっても400MHz帯の特定小電力無線を利用すればマンホール周辺の数十m以内であれば通信可能である事から特定小電力無線の多段中継や、その中継局において携帯用データ通信網やPHS通信網に交信する事により長距離伝送が可能になり実用的なシステムとして活用する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の生活流体地下設備の情報データ送信用テレメータ装置の構造をブロック図で示す。
【符号の説明】
【0012】
1 テレメータ装置
2 生活流体地下設備
3 マンホール
4 各種センサー
5 情報データ収集部
6 アンテナ
7 無線中継局
8 中央処理装置
9 無線部
10 駆動用バッテリー電源
11 バッテリー保護部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール内の生活流体地下設備に設置された各種センサーの測定検出信号を入力する情報データ収集部と該情報データ収集部の測定検出信号をアンテナを介して地上の無線中継局を経て管理センターの中央処理装置に送信する無線部を接続すると共に、該情報データ収集部と該無線部の駆動用バッテリー電源部はバッテリー保護部を介して前記情報データ収集部に接続して構成した事を特徴とする生活流体地下設備の情報データ送信用テレメータ装置。























【図1】
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【公開番号】特開2011−28546(P2011−28546A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174266(P2009−174266)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(306047365)有限会社コムテック創研 (2)
【Fターム(参考)】