説明

生物学的に活性な高分子の粘膜投与または経腸投与

生物学的に活性な組換え生体分子を生物学的に活性な形態でその必要性のある対象に全身送達する方法であって、この方法は、外因性の生物学的に活性な組換え生体分子を発現する植物細胞の治療的に有効な量を対象に経腸投与または粘膜投与し、それにより、生物学的に活性な組換え生体分子を生物学的に活性な形態で対象に全身送達することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的に活性な高分子を投与するための方法および組成物に関し、より具体的には、予防的適用または治療的適用のための生物学的に活性な組換えペプチドまたは組換えポリペプチドを発現する培養された植物細胞の経腸投与(例えば、経口投与)または粘膜投与に関する。
【背景技術】
【0002】
生物工学における様々な技術革新はタンパク質治療剤およびペプチド治療剤ならびに他の高分子薬物の数を著しく増大させている。84を超える高分子が現在、合衆国では市販薬として認可され、ほぼ350以上の高分子が臨床開発中である。さらに、ゲノム技術およびプロテオミクス技術における最近の進歩から、高分子治療剤候補物の情報経路を増大させ続けることが予想される。
【0003】
しかしながら、高分子を用いた研究では、通常、薬物開発者が、これらの化合物を安全かつ効果的な治療剤に首尾よく開発するために克服しなければならない課題が多数生じている。例えば、タンパク質およびペプチドはタンパク質分解酵素によって破壊されやすく、より高分子量のタンパク質の場合には、中和抗体を産生することがある。そのうえ、このような分子は低溶解性または安定性不足を示し、貯蔵寿命を短くし得る。結果として、高分子治療剤は、多くの場合、その有効性を急速に失うか、または、頻繁な投薬を必要とする。これらの要因は、治療費用だけでなく、患者の承諾および服薬遵守にも影響を与えるため、その治療的有用性に影響を及ぼしている。
【0004】
経口投与:
タンパク質およびペプチド系薬物送達のための最も一般的な方法は、薬物送達の観血的な方法(例えば、注射および注入など)による方法である。これらは、高分子薬物を全身性疾患のために投与するための主要な様式であるが、患者および医師にとって最も望ましくない様式でもある。この送達方法の明らかな欠点は、患者の承諾および服薬遵守であるため、ほとんどの高分子開発は、観血的な投与経路を使用する必要性が、付随する費用または不便さより重要でない適応症に限定されている。薬物を全身送達するための非観血的な方法として、経口投与は多くの利点をもたらす。例えば、使用の容易さおよび便利さ、広範囲の吸収性表面が利用できること、高度の脈管化、比較的長い保持時間、不活性な非代謝成分が自然に除去されることなど。
【0005】
それにもかかわらず、高分子医薬品の経口投与の研究は、この経路の潜在的可能性と一致するために満足するほどのレベルの効率を示していない。障害のいくつかが、ピルおよび他の固体配合物を摂取することの様々な困難さ、生物学的に活性な高分子のGI管における不安定性、粘膜における生物学的に活性な薬剤の濃縮、および、生物学的に活性な高分子に対するGI膜の透過性である。
【0006】
生物学的に活性な物質を投与する経口経路は、生物学的に活性な高分子がその意図された標的組織に達する前に、それらを不活性化または破壊し得る、胃における高い酸性度および酵素的分解の両方によって複雑になる。さらに、生物学的に活性な高分子の効果的な濃度を、GI管内で遭遇する大きな体積において達成することが困難である。従って、効果的であるために、ほとんどの薬物は、上部GI管における吸収および/または環境から保護されなければならず、その後、腸内または結腸内に突然に放出されなければならない。様々な方策が、治療用高分子(例えば、タンパク質など)の経口投与または経腸投与に関連する問題を克服するために製薬産業では使用され続けている。これらの方策には、過酷な条件(例えば、胃および上部GI管など)における活性成分の放出を遅くするか、または妨げるように設計されたキャリアとの共有結合、被覆および配合物(pH感受性被覆、ポリマーおよび多層被覆、カプセル化、徐放性配合物、生体接着剤系、浸透圧制御送達系など)が含まれる。しかしながら、生物学的に活性剤のそのような配合物での調製には、複雑で、費用のかかるプロセスを必要とする。粘膜接着剤および浸透増強剤(サリチル酸塩類、脂質・胆汁塩の混合ミセル、グリセリド、アシルカルニチン類など)もまた、粘膜における取り込みを増大させるために用いられる。しかしながら、これらのいくつかは重大な局所的毒性問題(例えば、局所的過敏、上皮層の剥離および組織の炎症など)を引き起こし得る。経口送達を改善するための他の方策には、生物学的に活性な薬剤をプロテアーゼ阻害剤(例えば、アプロチニン、ダイズトリプシン阻害剤およびアマスタチンなど)と混合することが含まれる。しかしながら、酵素阻害剤は非選択的であり、内因性の高分子も阻害するため、望ましくない副作用を引き起こす。従って、生物学的に活性な分子を経口投与する本方法は、標的組織における所望される生物学的活性の効率的な送達を保証することができない。
【0007】
植物バイオ医薬品:
哺乳動物細胞は、当然のこととして、哺乳動物遺伝子の発現に好適であると見なされる。しかしながら、その使用には、多くの問題がある。例えば、培養する費用が高いこと、および、最も懸念されることではあるが、汚染。インビトロでの哺乳動物細胞培養を用いて得られるタンパク質発現は、高い費用を招く非常に大きな体積を必要とする。トランスジェニック動物(マウス、ヒツジおよびウシ)の乳汁での組換えタンパク質の生産は、いくらかの生産コストを削減することを可能にする。しかしながら、倫理的な問題、ならびに、ウイルス汚染およびサブウイルス汚染(プリオンなど)の問題が残る。
【0008】
動物由来のペプチドおよびポリペプチドの供給源としての植物系を支持する要因には、低コストでのバイオマス生産、ウイルス、病原体および毒素による汚染の危険性が低いこと、多量体タンパク質の折り畳みおよび組み立てを行う植物細胞の能力、経口送達の場合に、下流側の処理要件が低いこと、ならびに、倫理的問題の減少が含まれる。従って、生物学的に活性なペプチドおよび/またはポリペプチドをコードする哺乳動物遺伝子の植物細胞への遺伝子導入は、新しい生物学的に活性な組換え分子を、低下した生産コストで、かつ、動物細胞ウイルス混入またはサブウイルス混入の危険性の多くを伴うことなく大量に製造するための望ましい経路を提供し得る。
【0009】
1983年に、いくつかの研究所が、異種由来の遺伝子を植物細胞のゲノムに導入すること(Bevan他、1983;Herrera−Estrella他、1983aおよび1983b)、および、このような遺伝子改変細胞からトランスジェニック植物を再生することが可能であることを発見した。2つの形質転換方法が、組換え医薬品を植物において生産するために一般に使用される。第1の方法では、安定的に形質転換されたトランスジェニック植物が、アグロバクテリウム媒介による形質転換、粒子衝撃または他の標準的な形質転換技術を使用して生産される。タバコ(Nicotiana tabacum)がモデル発現系として広く使用されるが、様々な他の植物がこれまで使用されており、これらには、ニコチアナ・ベタミアナ(Nicotiana bethamiana)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、トマト、バナナ、カブ、ササゲ、セイヨウアブラナ、アビシニアガラシ、ジャガイモ、イネ、コムギおよびトウモロコシが含まれる。第2の方策は、非トランスジェニック植物に、組換えウイルスの複製中に宿主において導入遺伝子を発現するその組換えウイルスを感染させることである。最も頻繁に使用される2つの宿主−ウイルス系がタバコ−タバコモザイクウイルス(TMV)またはササゲ−ササゲモザイクウイルス(CPMV)である。
【0010】
植物の遺伝子導入研究における初期の飛躍的進展の後、植物細胞および/またはトランスジェニック植物における哺乳動物の組換えタンパク質の生産において、多くの進歩がなされている。この分野における最初の真に著しい結果の1つが、トランスジェニックタバコ植物における抗体(「植物抗体」)の生産であった。数多くの診断用および治療用の「植物抗体」が現在、利用可能になりつつある。例えば、虫歯に対するタバコ抗連鎖球菌分泌性IgA(マウスGuy’s 13 IgG);診断用のアルファルファ抗ヒトIgG−マウスIgGシグナルペプチド−C5−1(IgG);抗ガン性のコムギガン胎児性抗原およびイネガン胎児性抗原−マウスIgGシグナルペプチド;KDEL−ScFvT84.66(ScFv);抗ガン性のタバコガン胎児性抗原−TMVリーダー;マウスIgGシグナルペプチド;KDEL−T84.66(IgG)(一過的にアグロバクテリウム浸潤を有する);タバコによるB細胞リンパ腫処置;イディオタイプワクチン−イネa−アミラーゼ−38C13(scFv)、タバコ抗結腸ガン表面抗原−マウスIgGシグナルペプチド;KDEL−CO17−1A(IgG)、およびダイズ抗単純ヘルペスウイルス2−タバコエクステンシンシグナルペプチド−抗HSV−2(IgG)。
【0011】
1990年に、Sijmonsおよび共同研究者らがヒト血清アルブミンの遺伝子をタバコおよびジャガイモの細胞において発現させた。総タンパク質の0.02%程度のヒト血清アルブミンレベルが、ジャガイモの葉、茎および塊茎において得られた。それ以降今日までに植物において生産されている他の哺乳動物組換えタンパク質には、ヒトヘモグロビン;アンチトリプシン、プロテアーゼ;プロテアーゼ阻害剤;コラーゲンおよびラクトフェリン(米国特許出願公開第20030229925号(Legrand他)、同第20040072317号(Lenee他)および同第20030096973号(Gruber他)を参照のこと);B型肝炎表面抗原;インターフェロン;コレラトキシン;ヒト上皮増殖因子(EGF);エリスロポイエチン;h−GM−CSFおよびインターロイキンが含まれる。加えて、ワクチン接種および免疫化のための組換え植物抗原(「プランチゲン(Plantigen)」)が開発されている。いくつかの企業が既に植物由来の医薬品を市販しており(TrypZean(商標)およびAproliZean(商標)、Prodigene,Inc.製)、または、臨床試験中である[Planet Biotechnology,Inc.(DoxoRx(商標)およびCaroRx(商標))およびMeristem Therapeutics(CFのための組換えヒトリパーゼ「Meripase(登録商標)」)]。
【0012】
ほとんどの場合において、植物由来の生物学的に活性な組換えタンパク質は宿主組織から単離する必要がある。高レベルの発現を達成し、抽出のための最も便利な植物材料を提供するために、様々な方法が、組換えタンパク質を特定の植物組織(例えば、種子、葉、根、塊茎など)およびオルガネラ(例えば、葉緑体など)に誘導するために利用することができる。組換えタンパク質はまた分泌させることができる。しかしながら、分泌型組換えタンパク質(例えば、分泌型「植物抗体」など)は、植物組織内に保持される組換えタンパク質よりも分解されやすい。組換えタンパク質を発現する植物全体または植物細胞培養物の投与が以前に提案されていることが理解される(例えば、アラビドプシスにおける組換えタンパク質発現、米国特許出願公開20030084484を参照のこと)。しかしながら、標的組織への組換えタンパク質の輸送を裏付ける実験データは提供されていない。
【0013】
植物細胞培養:
植物細胞培養を、組換えペプチドおよび組換えポリペプチドを生産するために使用することができる。植物細胞を、制御された条件下でバイオリアクターにおいて栄養培地で無菌的に成長させることができ、外来タンパク質をバイオマスまたは培養液から集めることができる。抗体および抗体フラグメント、酵素、インターロイキン、インターフェロン、ヒトホルモン、増殖因子、血液因子、ワクチン、リボソーム不活性化タンパク質、リシン、ならびに、ヒトアンチトリプシンをはじめとする様々な生物学的に活性な組換え高分子が植物細胞培養において生産されている(総説については、Doran、Current Opinion in Biotech、2000、11:199〜204を参照のこと)。農業的システムの方が全体として大きな収量をもたらし得るが、インビトロ細胞培養では、外来タンパク質のレベルを操作することができる能力がより大きなこと、より短い全体的な成長サイクル、および、調節目的のための成長環境のより大きい制御という利点がもたらされる。
【0014】
近年、本発明者らは、生物学的に活性なペプチドおよびポリペプチドの培養での生産に効果的であることが示されている、植物細胞のためのこれまでにない高収量の使い捨て可能な培養系を開示しており(PCT国際特許出願IL/2005/000228を参照のこと、これは参考として本明細書中に組み込まれる)、これにより、生物学的に活性なヒトβインターフェロン、ヒト第X因子、ヒトグルコセレブロシダーゼおよび伝染性ファブリキウス嚢病VPIIタンパク質の生産が明らかにされている。植物細胞由来の組換えグルコセレブロシダーゼが現在、ゴーシェ病のための処置としての将来の使用について評価中である。
【0015】
植物由来の生物学的に活性な組換え高分子の経口投与:
生物学的に活性な組換え薬剤を提供するための食用トランスジェニック植物の使用が農業での遺伝子工学の初期の頃から議論されている。食用の葉作物(例えば、レタスなど)、穀物(トウモロコシ、イネ、オオムギおよびコムギなど)、豆類(例えば、ダイズおよびエンドウ豆など)、ならびに、果実および野菜(例えば、ジャガイモ、ニンジン、トマトおよびバナナなど)の形質転換が、組換えワクチンの効率的な送達のために研究されている。抗原性タンパク質についての遺伝子を発現する食用トランスジェニック植物(トウモロコシ、ジャガイモ)による経口DNAワクチン接種が首尾よく実証されている。粘膜免疫応答および血清免疫応答が下記のように検出されている:トランスジェニックジャガイモが与えられたマウスにおいてコレラ毒素Bサブユニットに対して、トランスジェニックジャガイモの塊茎が与えられたヒトにおいてLT−Bエンテロトキシン抗原に対して(Mason他、Vaccine、1998、16:1336〜1340)、トランスジェニックルピナスおよびトランスジェニックレタスが与えられたヒトおよびマウスにおいてB型肝炎表面抗原に対して(Kapusta他、FASEB J、1999、13:1796〜99)、トランスジェニックオオブドウホオズキが与えられたヒトおよびマウスにおいてB型肝炎表面抗原に対して(Gao他、W Jour Gastroent、2003、9:996〜1002)。多成分の食用のHIVワクチンおよびHBVワクチンが近年、トマトで試験されている(Shchelkunov他、Vestn.Ross.Akad Med Nauk、2004、11:50〜55)。また、多成分の食用ジャガイモワクチンが近年、コレラ、ロタウイルスおよびETECに対して首尾よく試験されている(最近の総説については、Korban他、J Am Col Nutr、2002、21:212S〜217S)。Webstar他(J of Virol、2002、76:7910〜12)は、トランスジェニックジャガイモに由来する麻疹ウイルスヘマグルチニンタンパク質ワクチンによる、麻疹に対するマウスの成功した免疫化および追加抗原刺激を報告している。Smart他(J Immunol、2003、171:2116〜26)は、ヒマワリ種子抗原を発現するトランスジェニックルピナスを与えることにより、実験的喘息からの保護がマウスにもたらされ得ることを示している。
【0016】
経口投与されるトランスジェニック植物材料の調製および使用に対する様々な方法が提案されている。Kirk他(米国特許出願公開第20040175440号)は、組換え体の受精関連ペプチドおよび受精関連ポリペプチド(例えば、透明帯糖タンパク質、GnRH、LHRH、LH、LDHおよび抗精子抗原など)を効果的な避妊抗体の誘導のために含む、異種由来のタンパク質を発現するトランスジェニック植物の安定な乾燥ホモジネートの調製、および、そのようなホモジネートの経口投与を開示する。Brandle他(米国特許出願第02/137647号、2002年5月3日出願)は、活性な自己抗原に対する経口寛容性を刺激することによって自己免疫疾患(例えば、炎症性腸疾患(IBD)および糖尿病)を調節するために、ヒトの自己抗原および/またはサイトカインを発現する(食用穀物および非食料穀物での)トランスジェニック植物の生産、ならびに、そのような生物学的に活性な分子を抽出するための方法を開示する。
【0017】
しかしながら、上記の先行技術はどれも、生物学的に活性な組換え高分子を発現するトランスジェニック植物細胞培養物を経口投与することによる血液循環ならびに/または内部の器官または器官系への組換えペプチドおよび/または組換えポリペプチドの全身投与を教示していない。
【0018】
従って、トランスジェニック植物細胞の投与による生物学的に活性な高分子を経腸投与(例えば、経口投与)または粘膜投与するための方法および組成物が必要であることが広く認識されており、従って、そのような方法および組成物を有することは非常に好都合である。
【発明の開示】
【0019】
本発明の1つの態様によれば、生物学的に活性な組換え生体分子を生物学的に活性な形態でその必要性のある対象に全身送達する方法が提供され、この場合、この方法は、外因性の生物学的に活性な組換え生体分子を発現する植物細胞の治療的に有効な量を対象に経口投与または粘膜投与し、それにより、生物学的に活性な組換え生体分子を生物学的に活性な形態で対象に全身送達することを含む。
【0020】
本発明の別の態様によれば、生物学的に活性な組換え生体分子を生物学的に活性な形態でその必要性のある対象に局所送達する方法が提供され、この場合、この方法は、外因性の生物学的に活性な組換え生体分子を発現する植物細胞の治療的に有効な量を対象に経口投与または粘膜投与し、それにより、生物学的に活性な組換え生体分子を生物学的に活性な形態で対象に局所送達することを含む。
【0021】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、植物細胞は、実質的に無傷の細胞壁を含む。
【0022】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞は、実質的に無傷の細胞膜を含む。
【0023】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞は、実質的に無傷の細胞壁および細胞膜を含む。
【0024】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞は、単離された細胞として投与される。
【0025】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞は、脱水された植物細胞として投与される。
【0026】
本発明のさらに別の態様によれば、活性成分として、外因性の生物学的に活性な組換え生体分子を発現する植物細胞を含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物が提供される。
【0027】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、医薬的に許容され得るキャリアは非免疫原性キャリアである。
【0028】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、医薬的に許容され得るキャリアは腸管関連リンパ系組織を刺激しない。
【0029】
本発明のさらに別の態様によれば、外因性の生物学的に活性な生体分子を発現する植物細胞の治療的に有効な量を含む、生物学的に活性な生体分子の対象における局所送達のための単位投薬形態物が提供される。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、外因性の生物学的に活性な生体分子を発現する植物細胞の治療的に有効な量を含む、生物学的に活性な生体分子の対象における全身送達のための単位投薬形態物が提供される。
【0031】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、単位投薬形態物は経口投与のために配合される。
【0032】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、単位投薬形態物は粘膜投与のために配合される。
【0033】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞は、脱水された植物細胞を含む。
【0034】
本発明のさらにさらなる態様によれば、疾患をその必要性のある対象において処置するための方法が提供され、この場合、この方法は、外因性の生物学的に活性な生体分子を発現する植物細胞の治療的に有効な量を対象に経腸投与または粘膜投与し、それにより、疾患を対象において処置することを含む。
【0035】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、生物学的に活性な生体分子は組換えヒトグルコセレブロシダーゼタンパク質を含み、疾患はゴーシェ病である。
【0036】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、生物学的に活性な生体分子は組換えヒトグルコセレブロシダーゼタンパク質を含み、疾患はファブリー病である。
【0037】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、生物学的に活性な生体分子は組換えヒトグルコセレブロシダーゼタンパク質を含み、疾患はガンである。
【0038】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、疾患は全身性疾患である。
【0039】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、疾患は慢性疾患である。
【0040】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、疾患は急性疾患である。
【0041】
本発明のさらにさらなる態様によれば、医薬品を製造するための、外因性の生物学的に活性な生体分子を発現する植物細胞の使用が提供される。
【0042】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞は、実質的に無傷の細胞壁を含む。
【0043】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞は、実質的に無傷の細胞膜を含む。
【0044】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞は、実質的に無傷の細胞壁および細胞膜を含む。
【0045】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞は、単離された細胞として投与される。
【0046】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞は、脱水された植物細胞として投与される。
【0047】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、組換え生体分子はポリヌクレオチドまたはポリペプチドである。
【0048】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、組換え生体分子はポリペプチドである。
【0049】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、組換え生体分子は、治療用生体分子、診断用生体分子および薬用化粧品である。
【0050】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、脱水された植物細胞はさらに賦形剤を含む。
【0051】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞はアルファルファ植物細胞を含む。
【0052】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞は、タバコから得られた植物細胞を含む。
【0053】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞は、タバコ細胞株から得られた植物細胞を含む。
【0054】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物細胞は植物の根細胞を含む。
【0055】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rihzogenes)により形質転換された根細胞、セロリ細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞およびニンジン細胞からなる群から選択される。
【0056】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、植物の根細胞はニンジン細胞である。
【0057】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、組換え生体分子は、原核生物タンパク質、真核生物タンパク質、キメラタンパク質、ウイルスタンパク質からなる群から選択される。
【0058】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ウイルスタンパク質は、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのウイルスタンパク質VPIIである。
【0059】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである。
【0060】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、真核生物タンパク質はヒト凝固因子である。
【0061】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、真核生物タンパク質はヒト第X因子である。
【0062】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である。
【0063】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、真核生物タンパク質はヒトグルコセレブロシダーゼである。
【0064】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、真核生物タンパク質はヒトαガラクトシダーゼである。
【0065】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、真核生物タンパク質はヒト成長ホルモンである。
【0066】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、真核生物タンパク質はFSHである。
【0067】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、真核生物タンパク質はアセチルコリンエステラーゼである。
【0068】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、組換え生体分子は非免疫原性である。
【0069】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、医薬品は全身送達のために配合される。
【0070】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、医薬品は局所送達のために配合される。
【0071】
本発明は、全身送達または局所送達に好適である生物学的に活性な高分子の粘膜投与または経腸投与のための方法および組成物を提供することによって、現在知られている構成の欠点に対処することに成功している。
【0072】
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0073】
図面の簡単な記述
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
図1は、組換えタンパク質を発現するニンジン培養物が与えられたマウスの肝臓におけるGCDの活性を示す棒グラフである。
図2は、未処理のBY2細胞が投与された動物と比較して、hGH発現BY2細胞が投与された下垂体切除ラットにおけるhGHの上昇したレベルを示す棒グラフである。
図3a〜図3bは、hGCD発現植物細胞が経口投与されたラットの脾臓(図3a)および肝臓(図3b)におけるhGCDの上昇したレベルを示す棒グラフである。ピークレベルが投与後1時間で明らかである。
図4は、FSH発現植物細胞が経口投与されたラットの血清におけるFSHの上昇したレベルを示す棒グラフである。ピークレベルが投与後10分で明らかである。
図5は、GCD発現細胞の乾燥/凍結乾燥細胞抽出物および新鮮細胞の抽出物に由来するGCDレベルを示すウエスタンブロット分析を示す顕微鏡写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
本発明は、診断目的、美容目的、予防目的または治療目的のために使用することができる生物学的に活性な高分子の粘膜投与または経腸投与(例えば、経口投与)のための方法および組成物に関する。
【0075】
本発明の原理および作用が、図面および付随する説明を参照してより十分に理解されることができる。
【0076】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明において示される細部、または、実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または、様々な方法で実施または実行される。また、本明細書中で用いられる表現法および用語法は記述のためであって、限定であると見なしてはならないことを理解しなければならない。
【0077】
バイオ医薬品の植物に基づく生産が今や実用化段階であり、いくつかの植物由来の治療用タンパク質についての臨床試験が進行中である。しかしながら、植物培養培地またはバイオマスからの生産物回収が、費用対効果、収率および活性に関して、そのような組換えタンパク質の大規模な商業的使用の妨げとなっている。
【0078】
治療用タンパク質を、例えば、その後の最小限のさらなる回収によって、または、その後のさらなる回収を行うことなく投与することが以前に提案されている(例えば、米国特許出願公開20040175440、同2003013588および同20030084484を参照のこと)。しかしながら、今日まで、実験的証拠が、循環への、または、標的器官もしくは標的組織への組換えタンパク質の実際の輸送については得られていない(すなわち、この場合、標的器官は胃腸管の部分ではない)。
【0079】
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、組換えタンパク質を発現する植物細胞の投与が、治療、診断および予防のための高分子(例えば、タンパク質、オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスなど)など)を全身投与するために使用され得ることを発見した。
【0080】
本明細書中下記および下記の実施例の節において例示されるように、本発明者らは、グルコセレブロシダーゼ(GCD)を発現するニンジン細胞培養物の経口投与が、そのようなニンジン細胞培養物が与えられたマウスの肝臓における活性な酵素の蓄積をもたらしたことを示すことができた(図1、実施例1を参照のこと)。加えて、ヒト成長ホルモン(hGH)、FSHおよびhGCDを発現する植物細胞の下垂体切除ラットへの投与では、ELISAアッセイによって明瞭に示されるように、循環器官および末梢器官へのタンパク質の良好な送達が示された(実施例2〜実施例4を参照のこと)。
【0081】
従って、本発明は、植物細胞が、生物学的に活性な生体分子(例えば、タンパク質など)の全身送達、粘膜送達または経腸送達のための効果的なキャリアとして使用できるという証拠を初めて提供する。
【0082】
従って、本発明の1つの態様によれば、生物学的に活性な組換え生体分子を生物学的に活性な形態でその必要性のある対象に全身送達する方法が提供される。
【0083】
本発明のこの態様の方法は、生物学的に活性な組換え生体分子を植物細胞において発現させること、および、生物学的に活性な外因性の組換え生体分子を発現する細胞の治療的に有効な量を対象に経腸投与(例えば、経口投与)または粘膜投与し、それにより、生物学的に活性な組換え生体分子を生物学的に活性な形態で対象に全身送達することによって行われる。
【0084】
本明細書中で使用される表現「全身送達する」は、身体の器官(内部または外部)に血液循環を介して提供することを示す。
【0085】
本明細書中で使用される表現「組換え生体分子」は、組換えDNA技術を使用して本発明の植物細胞において外因的に(mRNAレベルまたはタンパク質レベルで)発現されるポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリペプチドまたはペプチド(例えば、より大きなポリペプチドのペプチドフラグメントなど)を示す。
【0086】
本発明の教示に従って組換え発現することができるタンパク質の例には、原核生物タンパク質、真核生物タンパク質(例えば、哺乳動物、植物)、キメラタンパク質、ウイルスタンパク質およびペプチドが含まれるが、これらに限定されない。具体的な例には、抗体(例えば、抗虫歯)、ホルモン、増殖因子、プロテアーゼ、細胞外マトリックスタンパク質(例えば、コラーゲン)、酵素、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのウイルスタンパク質VPII、ヒトインターフェロンβ、ヒト凝固因子、ヒト第X因子、ヒトリソソーム酵素、ヒトグルコセレブロシダーゼ、ヒトαガラクトシダーゼ、ならびに、アセチルコリンエステラーゼおよび高マンノースタンパク質[例えば、ヒトCox−2、ヒトEGF、ヒト子宮組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、ヒトDNaseI、組換えgp120、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子、ヒトチログロブリン(hTG)、ヒトCD4およびヒトプラスミノーゲン]が含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
様々な他の生体分子が、本発明の教示を使用して送達され得ることが理解される[例えば、遺伝子サイレンシングに関与するオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスdsRNA、リボザイムおよびDNAザイムなど)など]。
【0088】
本明細書中で使用される表現「生物学的活性」は、ワクチン接種を意図するための免疫応答の誘発に好ましくは限定されない組換えタンパク質の本来的な生物学的活性(例えば、酵素活性、結合活性)を示す。
【0089】
本明細書中で使用される表現「その必要性のある対象」は、本発明から(例えば、臨床的、審美的に)利益を受け得る多細胞の動物生物(例えば、家禽、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)を示す。
【0090】
本明細書中で使用される表現「植物細胞」は、生物学的に活性な組換え(外因性)生体分子を発現する植物体、その一部(例えば、葉、根、実、種子)、または、それらから単離された細胞(細胞の均質集団または異質集団)を示す。
【0091】
本明細書中で使用される表現「単離された植物細胞」は、ばらばらにされた植物細胞組織または植物細胞培養物に由来する植物細胞を示す。
【0092】
本明細書中で使用される表現「植物細胞培養物」は、完全な植物を形成するように組み立てられず、その結果、植物の少なくとも1つの生物学的構造体が存在しない任意のタイプの天然の(自然界に存在する)植物細胞、植物細胞株および遺伝子操作された植物細胞を示す。場合により、本発明のこの態様の植物細胞は、特定のタイプの植物細胞、または、複数の異なるタイプの植物細胞を含む場合がある。場合により、特定のタイプの植物細胞を特徴とする植物培養物は元はそのような植物細胞の複数の異なるタイプに由来し得ることに留意しなければならない。
【0093】
本発明の植物細胞は無傷の細胞膜および/または細胞壁を含む。このことは、これらの構造体の意図的な破壊が、生物活性な分子を送達するために、投与に先だって必要でないことを示す。従って、好ましくは、投与された細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%が実質的に無傷の細胞膜および/または細胞壁を含む。
【0094】
本発明の植物細胞は、組換えタンパク質を植物において発現するように遺伝子改変することが容易である植物(またはその一部)、好ましくは食用植物に由来する。
【0095】
本発明のこの態様に従って使用し得る植物の例には、コケ、藻類、単子葉植物または双子葉植物、ならびに、他の植物が含まれるが、これらに限定されない。例には、葉作物、油料作物、アルファルファ、タバコ、トマト、バナナ、ニンジン、レタス、トウモロコシ、キュウリ、メロン、ジャガイモ、ブドウおよびホワイトクローバーが含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
植物細胞は、場合により、任意のタイプの植物細胞であってもよく、例えば、植物の根細胞(すなわち、植物の根に由来する細胞、植物の根から得られる細胞、または、元は植物の根に基づく細胞)などであり、より好ましくは、セロリ細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞およびニンジン細胞からなる群から選択される植物の根細胞である。
【0097】
本発明の現時点で知られている好ましい構成によれば、植物細胞はニンジンまたはタバコに由来する(下記の実施例の節の実施例2〜実施例4を参照のこと)。根以外の構造体に由来する植物細胞が、本明細書中下記においてさらに記載されるように、毛状根細胞の発達を誘導するアグロバクテリウム・リゾゲネスにより形質転換され得ることが理解される(例えば、米国特許第4588693号(Strobel他)を参照のこと)。従って、本明細書中上記で記載されたように、また、下記の実施例の節において詳述されるように、植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネスにより形質転換された根細胞であり得る。
【0098】
懸濁培養が、好ましくは、本発明のこの態様に従って使用されるが、カルス培養もまた使用することができる。
【0099】
上記の植物細胞培養の細胞における本発明のこの態様の生物学的に活性な組換えタンパク質の発現は、この組換えタンパク質を発現する核酸配列を、植物での発現に好適な核酸構築物に連結することによって行われる。加えて、上記の植物細胞培養の細胞における本発明のこの態様の生物学的に活性なタンパク質の発現は、植物遺伝子の過剰発現を行わせる核酸配列を連結することによって行われる。
【0100】
そのような核酸構築物はシス作用の調節領域(例えば、ポリヌクレオチド配列の転写を構成的様式または誘導可能な様式で細胞において導くためのプロモーター配列など)を含む。プロモーターは、形質転換された植物/細胞に対して同種由来のものでもよく、または異種由来のものであってもよい。あるいは、そのような核酸構築物は、植物遺伝子の近くにおいて植物ゲノムに挿入されるエンハンサー/プロモーターエレメントを含む(すなわち、ノックイン)。
【0101】
プロモーターは、連結された配列の高レベルの転写を宿主細胞(例えば、植物細胞および植物)において行わせることができる植物プロモーターまたは非植物プロモーターであってもよい。プロモーターは構成的または誘導可能のいずれであってもよい。例えば、限定としてではなく、誘導可能なプロモーターは、植物、植物組織または植物細胞の機械的な遺伝子活性化(MGA)の後でのリソソーム酵素ヌクレオチド配列の発現または増大した発現を促進するプロモーターであり得る。
【0102】
構成的な植物プロモーターの例には、CaMV35Sプロモーター、CaMV19Sプロモーター、FMV34Sプロモーター、サトウキビ桿状バドナウイルスプロモーター、CsVMVプロモーター、アラビドプシスのACT2/ACT8アクチンプロモーター、アラビドプシスのユビキチンUBQ1プロモーター、オオムギの葉チオニンBTH6プロモーター、イネのアクチンプロモーター、rbcS(葉緑体a/b結合タンパク質のためのプロモーター)、AdhI、NOSおよびHMG2、または、それらの改変体もしくは誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
誘導可能なプロモーターは、特定の刺激因子(例えば、光、温度、化学物質、渇水、高塩度、浸透圧ショック、酸化性条件、または病原性の場合を含むストレス条件など)によって誘導されるプロモーターである。通常、誘導可能なプロモーターは、植物が収穫される前に誘導され、そのため、収穫前プロモーターと呼ばれる。誘導可能な収穫前プロモーターの例には、エンドウマメのrbcS遺伝子に由来する光誘導可能なプロモーター、アルファルファのrbcS遺伝子に由来するプロモーター、渇水において活性なプロモーターであるDRE、MYCおよびMYB、高塩度および浸透圧ストレスにおいて活性なプロモーターであるINT、INPS、prxEa、Ha hsp17.7G4およびRD21、ならびに、病原性ストレスにおいて活性なプロモーターであるhsr2O3Jおよびstr246Cが含まれるが、これらに限定されない。
【0104】
誘導可能なプロモーターはまた、誘導可能な収穫後プロモーターであってもよく、例えば、誘導可能なMeGA(商標)プロモーター(米国特許第5689056号)である。MeGA(商標)プロモーターの迅速な誘導に利用される好ましいシグナルは、植物が収穫された後における局所的な傷である。
【0105】
本発明の核酸構築物はまた、所望されるように、核酸構築物に読み枠を合わせて融合された組換えタンパク質の植物内の小細胞内オルガネラへの輸送を可能にするシグナルペプチドをコードするさらなる核酸配列を含むことができる。植物細胞の小細胞内オルガネラの例には、白色体、葉緑体、有色体、ミトコンドリア、核、ペルオキシソーム、小胞体および液胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
本発明の宿主細胞を導入または形質転換するために使用される発現ベクターは、植物および植物細胞における異種由来の遺伝子の発現を強化または最適化するために当業者に知られている方法に従ってさらに改変することができる。そのような改変には、プロモーター強度を増大させるために、または、目的とするタンパク質を変化させるためにDNA調節エレメントを変異させること、ならびに、コドン使用頻度を最適化することが含まれるが、これに限定されない。コドン使用頻度を変化させることによる合成遺伝子の構築が、例えば、PCT国際特許出願93/07278に記載される。
【0107】
核酸構築物は、例えば、プラスミド、バクミド、ファージミド、コスミド、ファージ、ウイルスまたは人工染色体が可能である。好ましくは、本発明の核酸構築物はプラスミドベクターであり、より好ましくは、バイナリーベクターである。
【0108】
表現「バイナリーベクター」は、Tiプラスミド由来の改変されたT領域(大腸菌細胞およびアグロバクテリウム細胞の両方で増殖させることが可能である)を有し、かつ、通常の場合には、植物形質転換のための1つまたは複数のレポーター遺伝子を2つの境界領域の間に含む発現ベクターを示す。本発明に好適なバイナリーベクターには、pBI2113、pBI121、pGA482、pGAH、pBIG、pBI101(Clonetech)、pPI(下記の実施例の節の実施例5を参照のこと)、または、それらの改変体が含まれる。
【0109】
活性なポリペプチドの生産は、一部の場合には、ポリペプチドの発現から始まり、その後に翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、二量体化、メチル化およびスルフヒドリル化、ヒドロキシル化)が続くことがある一連の事象を含むことが理解される。
【0110】
植物はヒトタンパク質を正しい位置でグリコシル化することができるが、完全に処理された複雑な植物グリカンの組成は哺乳動物のN結合型グリカンとは異なる。植物グリカンは、動物グリカンでは一般的である末端のシアル酸残基またはガラクトース残基を有しておらず、多くの場合、哺乳動物では一般に見出されない結合によるキシロース残基またはフコース残基を含有する(Jenkins他、14 Nature Biotech、975〜981(1996);ChrispeelsおよびFaye、transgenic plants、99頁〜114頁(Owen,M.およびPen,J.編、Wiley&Sons、N.Y.、1996);Russell、240 Curr.Top.Microbio.Immunol.(1999))。
【0111】
本発明の核酸構築物は、植物細胞を安定的または一過性に形質転換するために利用することができる。安定的な形質転換では、本発明の核酸分子が植物のゲノムに組み込まれ、そのため、本発明の核酸分子は、安定した受け継がれる形質を表す。一過性の形質転換では、核酸分子は、形質転換された細胞によって発現されるがゲノム中に組み込まれておらず、そのため、特定のタンパク質の一過性の発現を表す。
【0112】
単子葉植物および双子葉植物の両方に外来遺伝子を導入する様々な方法が存在している(Potrykus,I.(1991).Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol 42,205−225;Shimamoto,K.ら(1989).Fertile transgenic rice plants regenerated from transformed protoplasts.Nature(1989).338:274−276)。
【0113】
外因性DNAの植物のゲノムDNAへの安定した組み込みの原則的な方法としては、2つの主なアプローチが挙げられる:
(i)アグロバクテリウムによって媒介される遺伝子導入:Klee,H.J.ら(1987).Annu Rev Plant Physiol 38,467−486;Klee,H.J.およびRogers,S.G.(1989).Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,第6巻,Molecular Biology of Plant Nuclear Genes,pp.2−25,J.SchellおよびL.K.Vasil,編,Academic Publishers,San Diego,Cal.;およびGatenby,A.A.(1989).Regulation and Expression of Plant Genes in Microorganisms,pp.93−112,Plant Biotechnology,S.Kung,およびC.J.Arntzen編,Butterworth Publishers,Boston,Mass.を参照のこと。これは根細胞が宿主細胞として使用される場合に特に好ましい。
(ii)直接DNA取り込み 例えば:Paszkowski,J.ら,(1989).Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,第6巻,Molecular Biology of Plant Nuclear Genes,pp.52−68,J.Schell,およびL.K.Vasil編,Academic Publishers,San Diego,Cal,;およびToriyama,K.ら,(1988).Bio/Technol 6,1072−1074(プロトプラストにDNAを直接取り込むための方法)を参照のこと。また、Zhangら,(1988).Plant Cell Rep 7,379−384;およびFromm,M.E.ら.,(1986).Stable transformation of maize after gene transfer by electroporation.Nature 319,791−793(植物細胞の短時間の電気的ショックによって誘導されるDNAの取り込み)を参照のこと。また、Kleinら,(1988).Bio/Technology 6:559−563;McCabe,D.E.ら.(1988).Stable transformation of soybean(Glycine max) by particle acceleration.Bio/Technology 6,923−926;およびSanford,J.C.(1990).Biolistic plant tansformation.Physiol Plant 79,206−209(粒子衝突による植物細胞または組織へのDNAの注入)を参照のこと。また、Neuhaus,J.M.ら,(1987).Theor Appl Genet 75,30−36;およびNeuhaus,J.M.およびSpangenberg,G.C.(1990).Physiol Plant 79,213−217(マイクロピペットシステムの使用)を参照のこと。米国特許第5464765号(細胞培養物、胚、またはカルス組織の、ガラス繊維または炭化シリコンウィスカー形質転換)を参照のこと。あるいは、DeWet,J.M.J.ら,(1985).「Exogenous gene transfer in maize(Zea mays) using DNA−treated pollen,」Experimental Manipulation of Ovule Tissue,G.P.Chapmanら編,Longman,New York−London,pp.197−209;およびOhta,Y.(1986).High−Efficiency Genetic Transformation of Maize by a Mixture of Pollen and Exogenous DNA.Proc Natl Acad Sci USA 83,715−719(発芽花粉とのDNAの直接のインキュベーション)を参照のこと。
【0114】
アグロバクテリウムによって媒介されるシステムには、植物のゲノムDNAに組み込まれる定義されたDNAセグメントを含むプラスミドベクターの使用が含まれる。植物組織の接種方法は、植物種、およびアグロバクテリウム送達システムに応じて様々である。広く使用されているアプローチは、リーフディスク手順であり、これは、全植物の分化の開始のための良好な供給源を提供する任意の組織外植片を用いて行うことができる(Horsch,R.B.ら,(1988).「Leaf disc transformation.」Plant Molecular Biology Manual A5,1−9,Kluwer Academic Publishers,Dordrecht)。補助的なアプローチでは、減圧浸透と組み合わせてアグロバクテリウム送達システムが使用される。アグロバクテリウムシステムは、トランスジェニック双子葉植物の作成において特に有用である。
【0115】
植物細胞への直接のDNAの導入については、種々の方法が存在している。エレクトロポレーションにおいては、プロトプラストは強い電場に短時間さらされ、DNAを中に入れるように小孔を開く。マイクロインジェクションでは、マイクロピペットを使用してDNAが細胞に直接機械的に注入される。マイクロ粒子衝突では、DNAは、硫酸マグネシウム結晶またはタングステン粒子のようなマイクロプロジェクタイル上に吸着させられ、マイクロプロジェクタイルは、細胞または植物組織の中に入るように物理的に加速される。
【0116】
安定的な形質転換が現時点では好ましいが、例えば、葉細胞、分裂組織細胞または植物体の一過性の形質転換もまた、本発明によって想定される。しかしながら、この場合、調節目的のための選択遺伝子(例えば、抗生物質抵抗性)またはウイルス配列を排除するための対策が取られる。
【0117】
一過性の形質転換を、上記で記載された直接的なDNA移動方法のいずれかによって、または、改変された植物ウイルスを使用するウイルス感染によって行うことができる。
【0118】
植物宿主の形質転換のために有用であることが示されているウイルスには、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)、タバコモザイクウイルス(TMV)およびバキュロウイルス(BV)が含まれる。植物ウイルスを使用する植物の形質転換が、例えば、米国特許第4855237号(ビーンゴールデンモザイクウイルス、BGMV);欧州特許EPA67553(TMV);特開昭63−14693(TMV);欧州特許EPA194809(BV);欧州特許EPA278667(BV);およびGluzman,Y.他(1988)、Communications in Molecular Biology:Viral Vectors(Cold Spring Harbor Laboratory、New York、172頁〜189頁)に記載される。外来DNAを、植物を含む多くの宿主において発現させることにおける偽ウイルス粒子の使用が国際特許出願公開WO87/06261に記載される。
【0119】
非ウイルス性の外因性核酸配列の植物における導入および発現のための植物RNAウイルスの構築が上記の参考文献によって記載され、また同様に、Dawson,W.O.他(1989)、タバコモザイクウイルスハイブリッドは付加遺伝子を発現および喪失する、Virology、172、285〜292;French,R.他(1986)、Science、231、1294〜1297;および、Takamatsu,N.他(1990)、タバコモザイクウイルスRNAベクターを使用するタバコプロトプラストにおけるエンケファリンの産生、FEBS Lett、269、73〜76によって記載される。
【0120】
形質転換用ウイルスがDNAウイルスであるならば、当業者は、ウイルス自体に対する好適な改変を行うことができる。あるいは、ウイルスを、外来DNAを伴う所望のウイルスベクターを構築することの容易さのために、最初に細菌プラスミドにクローン化することができる。その後、ウイルスをプラスミドから切り出すことができる。ウイルスがDNAウイルスであるならば、細菌の複製起点をウイルスDNAに付け加えることができ、その場合、ウイルスDNAが細菌によって複製される。DNAの転写および翻訳により、ウイルスDNAをカプシド形成によって包むコートタンパク質が産生される。ウイルスがRNAウイルスであるならば、ウイルスは一般にはcDNAとしてクローン化され、プラスミドに挿入される。その後、このプラスミドを使用して、植物の遺伝子構築物のすべてが作製される。その場合、RNAウイルスはプラスミドのウイルス配列から転写され、続いて、ウイルス遺伝子の翻訳により、ウイルスRNAをカプシド形成によって包むコートタンパク質が産生される。
【0121】
非ウイルス性の外因性核酸配列(例えば、本発明の構築物に含まれる核酸配列など)の植物における導入および翻訳のための植物RNAウイルスの構築が上記の参考文献ならびに米国特許第5316931号において明らかにされる。
【0122】
1つの実施形態において、ウイルス核酸に由来する生来的なコートタンパク質をコードする配列の欠失(非生来的(外来)植物ウイルスコートタンパク質コード配列)と、非生来的なプロモーター(好ましくは、非生来的コートタンパク質コード配列のサブゲノムプロモーター)とを含み、かつ、植物宿主における発現、組換え植物ウイルス核酸のパッケージング、および、組換え植物ウイルス核酸による宿主の全身的感染を確実にすることを可能にする植物ウイルス核酸が挿入のために提供される。あるいは、生来的なコートタンパク質コード配列は、非生来的なタンパク質が産生されるように、非生来的な核酸配列をその中に挿入することによって非転写性にすることができる。組換え植物ウイルス核酸構築物は1つ以上のさらなる非生来的なサブゲノムプロモーターを含有することができる。それぞれの非生来的なサブゲノムプロモーターは、隣接する遺伝子または核酸配列を植物宿主において転写または発現させることができ、かつ、相互の組換え、および、生来的なサブゲノムプロモーターとの組換えができない。加えて、組換え植物ウイルス核酸構築物は、トランス作用する調節因子と結合し、その下流側に位置するコード配列の転写を調節する1つ以上のシス作用調節エレメント(例えば、エンハンサーなど)を含有することができる。2つ以上の核酸配列が含まれるならば、非生来的な核酸配列を、生来的な植物ウイルスサブゲノムプロモーターに隣接して、または、生来的および非生来的な植物ウイルスサブゲノムプロモーターに隣接して挿入することができる。非生来的な核酸配列はサブゲノムプロモーターの制御下で宿主植物において転写または発現されて、所望の生成物を産生する。
【0123】
第2の実施形態では、生来的なコートタンパク質コード配列が、非生来的なコートタンパク質コード配列に隣接する代わりに、非生来的なコートタンパク質サブゲノムプロモーターの1つに隣接して設置されることを除いて、組換え植物ウイルス核酸構築物が第1の実施形態でのように提供される。
【0124】
第3の実施形態では、そのサブゲノムプロモーターに隣接して設置された生来的なコートタンパク質遺伝子と、ウイルス核酸構築物に挿入された1つ以上の非生来的なサブゲノムプロモーターとを含む組換え植物ウイルス核酸構築物が提供される。挿入された非生来的なサブゲノムプロモーターは隣接遺伝子を植物宿主において転写または発現させることができ、かつ、相互の組換え、および、生来的なサブゲノムプロモーターとの組換えができない。非生来的な核酸配列を非生来的なサブゲノム植物ウイルスプロモーターに隣接して挿入することができ、その結果、前記配列がサブゲノムプロモーターの制御下で宿主植物において転写または翻訳されて、所望の生成物を産生させるようにすることができる。
【0125】
第4の実施形態では、生来的なコートタンパク質コード配列が非生来的なコートタンパク質コード配列によって置き換えられることを除いて、組換え植物ウイルス核酸構築物が第3の実施形態でのように提供される。
【0126】
ウイルスベクターは、本明細書中上記で記載されるような組換え植物ウイルス核酸構築物によってコードされる発現したコートタンパク質によってカプシド形成して、組換え植物ウイルスを生じさせる。組換え植物ウイルス核酸構築物または組換え植物ウイルスは、適切な宿主植物に感染させるために使用される。組換え植物ウイルス核酸構築物は、宿主における複製、宿主内での全身的な拡大、および、所望のタンパク質を産生させるための宿主における1つ以上の外来遺伝子(単離された核酸)の転写または発現が可能である。
【0127】
別の実施形態において、形質転換ビヒクルは、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)、サブゲノムプロモーター、および/または、部分的もしくは完全な移動タンパク質配列を含むウイルス由来の配列を含み、この場合、これら上記の核酸フラグメントのすべてがバイナリーベクターにクローン化される(Gleba他、Current Opinion in Plant Biology、2004、7:182〜188)。上記に加えて、本発明の核酸分子はまた、葉緑体ゲノムに導入することができ、これにより、葉緑体での発現を可能にすることができる。
【0128】
外因性核酸配列を葉緑体のゲノムに導入するための技術が知られている。この技術は下記の手順を伴う。第1に、植物細胞を、細胞あたりの葉緑体の数を約1個に減らすように化学的に処理される。その後、外因性核酸が、少なくとも1つの外因性核酸分子を葉緑体に導入することを目指して、好ましくは粒子衝撃によって細胞に導入される。外因性核酸は、相同的組換え(これは葉緑体に固有の酵素によって容易に行われる)による葉緑体ゲノムへの組込みを可能にするように当業者によって選択される。この目的のために、外因性核酸は、目的とする遺伝子に加えて、葉緑体ゲノムに由来する少なくとも1つの核酸配列を含む。加えて、外因性核酸は選択マーカーを含み、そのような選択マーカーは、逐次的な選抜手法によって、そのような選抜の後の葉緑体ゲノムのすべてまたは実質的にすべてのコピー体が外因性核酸を含むことを確認することを当業者に可能するために役立つ。この技術に関するさらなる詳細が、米国特許第4945050号および同第5693507号に見出される(これらは参考として本明細書中に組み込まれる)。従って、ポリペプチドを葉緑体のタンパク質発現系によって産生させることができ、かつ、葉緑体の内膜に一体化させることができる。
【0129】
用いられた方法にかかわらず、形質転換後、植物の増殖が生じる。この場合、マイクロプロパゲーションが、初期の組織培養、および、さらなる使用のための十分な細胞を得るための組織培養増殖を含むように行われる。
【0130】
植物細胞を培養する様々な方法がこの分野で広く知られている。培養条件(例えば、培養培地、温度、ガス環境、バイオリアクター)を、最適な発現を達成するために、使用された植物細胞および発現したタンパク質に従って調節することができる。典型的には、培養は、任意の従来の植物培養培地を使用して標準的な植物細胞培養条件で行われる。植物培養培地には、水性培地、および、植物細胞を培養するための水性培地を作製するために水を加えることができる乾燥した濃縮培地の両方が含まれることが理解される(例えば、米国特許第6020169号および同第6589765号を参照のこと)。
【0131】
本発明に従って使用することができる植物培養培地の例には、下記の広く知られている植物培養培地が含まれるが、それらに限定されない:Anderson(Anderson、In Vitro、14:334、1978;Anderson、Act.Hort.、112:13、1980)、CheeおよびPool(Sci.Hort.、32:85、1987)、CLC/Ipomoea(CP)(Chee他、J.Am.Soc.Hort.Sci.、117:663、1992)、Chu(N.sub.6)(Chu他、Scientia Sinic.、18:659、1975;Chu、Proc.Symp.Plant Tiss.Cult.、Peking 43、1978)、DCR(GuptaおよびDurzan、Plant Cell Rep.、4:177、1985)、DKW/Juglans(DriverおよびKuniyuki、HortScience、19:507、1984;McGranahan他(BongaおよびDurzan編、Cell and Tissue Culture in Forestry、Martinus Nijhoff、Dordrecht、1987))、De GreefおよびJacobs(De GreefおよびJacobs、Plant Sci.Lett.、17:55、1979)、Eriksson(ER)(Eriksson、Physiol.Plant.、18:976、1965)、Gamborg’s B−5(Gamborg他、Exp.Cell Res.、50:151、1968)、GresshoffおよびDoy(DBM2)(GresshoffおよびDoy、Z Pflanzenphysiol.、73:132、1974)、Heller’s(Heller、Ann.Sci.Nat.Bot.Biol.Veg.、11th Ser.14:1、1953)、Hoagland’s(HoaglandおよびArnon、Circular 347、Calif.Agr.Exp.Stat.、Berkeley、1950)、KaoおよびMichayluk(KaoおよびMichayluk、Planta 126:105、1975)、LinsmaierおよびSkoog(LinsmaierおよびSkoog、Physiol.Plant.、18:100、1965)、Litvay’s(LM)(Litvay他、Plant Cell Rep.、4:325、1985)、McCown木本培地(LloydおよびMcCown、Proc.Int.Plant Prop.Soc.、30:421、1981)、MurashigeおよびSkoogならびにその様々な広く知られている改変物(MurashigeおよびSkoog、Physiol.Plant.、15:473、1962)、NitschおよびNitsch(NitschおよびNitsch、Science 163:85、1969)、QuoirinおよびLepoivre(Quoirin他、C.R.Res.Sta.Cult.Fruit Mar.、Gembloux 93、1977)、SchenkおよびHildebrandt(SchenkおよびHildebrandt、Can.J.Bot.、50:199、1972)、White’s(White、The Cultivation of Animal and Plant Cells、Ronald Press、NY、1963)など。数多くのそのような植物培養培地が、例えば、Sigma(St.Louis、Mo.)および他の供給者から乾燥(粉末化)培地および乾燥基礎塩混合物として市販されている。
【0132】
好ましくは、培養は、生物学的に活性なペプチドおよびポリペプチドを培養で生産するために効果的であることが示されている高収量の使い捨て可能な植物培養デバイスを使用して行われる(PCT国際特許出願IL/2005/000228を参照のこと、これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0133】
このデバイスは、本質的には使い捨て可能である一方で、細胞を含有する培地の少なくとも一部を集めることを可能にし、それにより、デバイスを1回以上のその後の連続する培養/回収サイクルのために継続して使用することを可能にするための再使用可能な回収用取り出し口を含むことを特徴とする。工業的環境では、回収時および回収後の回収用取り出し口の無菌性を、例えば、デバイスへの供給物およびデバイスからの取り出し物の必要な接続および断絶のすべてを行うことができる無菌フードを提供することによって、比較的低いコストで著しく高い程度に保証することができる。最終的にデバイスが汚染されるとき、その場合には、デバイスは、比較的少ない経済的損失で廃棄することができる。そのようなデバイスは、50lまたは100l以上の培養の生産量でさえ、安価に製造することができる。さらに、数多くの培養/回収サイクルを行うことができることは経済的に有利であり、このことはデバイスあたりの有効コストを一層さらに低下させる。
【0134】
そのようなデバイスの器具を経済的に配置することができ、器具におけるデバイスの数を、需要に合わせて生産をきっちりと一致させるために抑えることができる。従って、パイロットプラントでのバイオリアクターからの大規模な生産への移行もまた、より多くのデバイスを器具に付加することによって、比較的簡便かつ経済的な様式で達成することができる。さらに、それぞれのデバイスの比較的小さい生産量は、ソリッドミキサーがないことと一緒になって、典型的なステンレススチール製バイオリアクターと比較した場合、比較的より大きい収量をもたらす。
【0135】
従って、本発明に従った植物細胞の培養を、(PCT国際特許出願IL/2005/000228(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に詳しく記載されるように)、細胞を少なくとも1回のサイクルで、無菌状態で培養および回収するための使い捨て可能なデバイスを使用して行うことができる。そのようなデバイスは、好適な無菌の生物学的細胞培養培地および/または純培養の接種物および/または無菌の空気および/または要求される他の無菌の添加物で少なくとも部分的に満たすことができる、上端および下端を有する殺菌可能な使い捨て可能な容器を含み、この場合、この容器は、(i)過剰な空気および/または廃棄ガスを容器から除くためのガス排出口、(ii)接種物および/または培養培地および/または添加物を容器に導入するための添加物取り入れ口を含み、また、(iii)少なくとも、細胞を含有する培地の所望される一部を、所望されるときに回収することを可能にし、それにより、デバイスを少なくとも1回のさらなる培養/回収サイクルのために継続して使用することを可能にするための流量コントローラーを含む再使用可能なハーベスターをさらに含むことを特徴とし、この場合、細胞を含有する培地の残り部分(前回の回収サイクルから残留する部分)が、培養培地および/または要求される添加物が提供される次回の培養・回収サイクルのための接種物として役立ち得る。
【0136】
場合により、使い捨て可能な容器は透明および/または半透明である。同様に、場合により、デバイスはさらに、無菌のガスを第1の取り入れ口開口部から泡の形態で培養培地に導入するための空気取り入れ口を含み、この場合、空気取り入れ口は好適な空気供給に接続可能である。好ましくは、空気取り入れ口は、無菌のガスを培養期間中に2回以上導入するためのものである。より好ましくは、空気取り入れ口は、無菌のガスを連続して導入するためのものである。場合により、複数の異なるガスが空気取り入れ口から種々の時間および/または濃度で導入される。
【0137】
好ましくは、ハーベスターは、混入物がハーベスターから容器内に持ち込まれることを実質的に防止するための汚染防止装置を含む。
【0138】
場合により、容器は非剛直性である。好ましくは、容器は非剛直性のプラスチック材料から作製される。より好ましくは、そのような材料は、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンおよびナイロンのコポリマー、PVCおよびEVAからなる群から選択される。
【0139】
場合により、容器はそのような材料の2層以上の積層体から作製される。
【0140】
同様に、場合により、容器は、そのような材料の2つの好適なシートを所定の縫い目に沿って融着させることによって形成される。
【0141】
好ましくは、空気取り入れ口は、取り入れ口開口部から容器内部の所定場所または容器の底部端近くにまで延びる空気取り入れパイプを含む。
【0142】
同様に、好ましくは、少なくとも1つの空気取り入れ口は、無菌の空気を泡の形態で培養培地に導入するために、好適な空気供給に接続可能であり、かつ、その好適な取り入れ口開口部を介して容器内部の所定場所にまでそれぞれが延びる多数の二次的な取り入れパイプと連絡している少なくとも1つの空気取り入れパイプを含む。より好ましくは、デバイスは、全体的な長さ、高さおよび幅を有する実質的に箱様の幾何学的形態を含む。最も好ましくは、高さ対長さの比率が約1〜約3の間であり、好ましくは約1.85である。場合により、高さ対幅の比率が約5〜約30の間であり、好ましくは約13である。
【0143】
好ましくは、デバイスは、デバイスが好適な柱支持体で支えられることを可能にするように適合化された、デバイスの深さに実質的に及ぶ支持体開口部を含む。
【0144】
場合により、デバイスはさらに、デバイスを支えるための支持体構造を含む。好ましくは、そのような支持体構造は1対の向き合うフレームを含み、この場合、フレームのそれぞれが、上部支持体部材および下部支持体部材を、この上部支持体部材および下部支持体部材に好適に取り付けられた複数の実質的に平行する垂直な支持体部材によって間隔が置かれて含む。より好ましくは、そのような複数の垂直な支持体部材は、上部支持体部材および下部支持体部材のそれぞれの長さ方向の末端における少なくとも1つの垂直な支持体部材からなる。
【0145】
同様に、より好ましくは、フレームは、フレームに取り外し可能または一体的に取り付けられた、間隔を置いて設置されている複数の棒によって互いに間隔が置かれる。
【0146】
同様に、より好ましくは、間隔を置いて設置されている棒は、デバイスが挿入され、比較的容易に支持体構造から取り外され得るように効果的に配置される。
【0147】
場合により、それぞれのフレームの下部支持体部材は、デバイスの底部端の対応する部分を受け入れ、支えるために適合化された少なくとも1つの下部支持体を含む。
【0148】
好ましくは、それぞれの下部支持体は、向き合うフレームの方向で下部支持体部材のそれぞれから突き出る好適に形状化されたタブの形態である。
【0149】
場合により、フレームはそれぞれが、向き合う一対の仕切りがデバイスの幅を所定の位置で効果的に減らすように所定の位置においてデバイスの側壁を押すために、向き合うフレームの方向でそれぞれのフレームから突き出る少なくとも1つの仕切りを含む。
【0150】
好ましくは、仕切りは、上部支持体部材および下部支持体部材から、好適な上部支柱および下部支柱により向き合うフレームに向かう方向で間隔を置いて配置された好適な実質的に垂直な部材を含む。
【0151】
場合により、支持体構造は、デバイスを運ぶための複数のキャスターを含むことができる。
【0152】
場合により、気泡の少なくとも一部は約1mm〜約10mmの間での平均直径を含む。
【0153】
同様に、場合により、気泡の少なくとも一部は約4mmの平均直径を含む。
【0154】
場合により、容器は、混入物がガス排出口を介して容器内に持ち込まれることを実質的に防止するための、ガス排出口に取り付けられた好適なフィルターを含む。
【0155】
好ましくは、容器はさらに、混入物が添加物取り入れ口を介して容器内に持ち込まれることを実質的に防止するための、添加物取り入れ口に取り付けられた好適なフィルターを含む。
【0156】
同様に、好ましくは、U字型の液体トラップを含む汚染防止装置が存在し、この場合、その一方のアームが好適な無菌コネクターによってハーベスターの外部取り出し口に無菌的に取り付けられる。
【0157】
好ましくは、ハーベスターは容器の底部端の底部に設置される。
【0158】
同様に、好ましくは、ハーベスターは、それぞれの回収サイクルの終了時に、細胞を含有する培地の残り部分が、容器の底部において、ハーベスターのレベルよりも低いレベルに至るまで残留するように、容器の底部端の底部の近くに設置される。
【0159】
場合により、また、好ましくは、細胞を含有する培地の残り部分は、少なくとも部分的には、容器の底部からハーベスターまでの距離d2に従って決定される。
【0160】
好ましくは、細胞を含有する培地の残り部分は培養培地および接種物の最初の体積の約0.5%〜約45%を含む。より好ましくは、細胞を含有する培地の残り部分は培養培地および接種物の最初の体積の約10%〜約20%を含む。より好ましくは、細胞を含有する培地の残り部分は培養培地および接種物の最初の体積の約0.5%〜約2%を含む。
【0161】
場合により、底部端は実質的に凸型である。
【0162】
同様に、場合により、底部端は実質的に円錐台状である。
【0163】
好ましくは、容器は、約5l〜約200lの間での内部の充填可能な体積を含み、好ましくは、約50l〜約150lの間での内部の充填可能な体積を含み、好ましくは約100lの内部の充填可能な体積を含む。
【0164】
場合により、デバイスはさらに、デバイスを好適な支持体構造に取り付けるための好適な取り付け部を含む。好ましくは、取り付け部は、容器の上端に好ましくは一体的に取り付けられた好適な材料のループを含む。
【0165】
上記の組換えタンパク質を発現する植物細胞が得られると、その植物細胞は対象に投与される。
【0166】
本発明の細胞は、それ自体で(例えば、懸濁物または脱水されて)、あるいは、細胞が好適なキャリアまたは賦形剤と混合される医薬組成物で対象に投与することができる。
【0167】
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される有効成分の1つまたは複数と、他の化学的成分(例えば、生理学的に好適なキャリアおよび賦形剤)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、生物に対する化合物の投与を容易にすることである。
【0168】
本明細書中で使用される用語「活性成分(有効成分)」は、意図された生物学的効果を引き起こすことができる組換えタンパク質発現細胞を示す。下記の実施例の節の実施例5において明らかにされるように、本発明の細胞は、脱水したとき、生物学的活性を依然として維持するので、脱水することができる(例えば、10%未満の水分を含むことができる)。好ましくは、組換え生体分子は、脱水細胞調製物では、透明帯糖タンパク質、GnRH、LHRH、LHおよびLDHではない。
【0169】
以降、表現「生理学的に許容され得るキャリア」および表現「医薬的(薬学的)に許容され得るキャリア」は交換可能に使用することができ、生物に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、投与された調合物の生物学的活性および生物学的性質を阻害しないキャリアまたは希釈剤を示す。アジュバントはこれらの表現に含まれる。好ましくは、使用されるキャリアは非免疫原性キャリアであり、さらに好ましくは腸管関連リンパ系組織を刺激しない。
【0170】
本明細書中において、用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0171】
薬物の配合および投与のための様々な技術が“Remington’s Pharmaceutical Sciences”(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に見出され得る。
【0172】
好適な投与経路には、例えば、粘膜経路および経腸経路が含まれ得る。
【0173】
本明細書中で使用される表現「経腸投与」は、胃腸管の任意の部分を介した投与(例えば、直腸投与、結腸投与、腸投与(近位または遠位)および胃投与など)を示す。好ましくは、経腸投与は経口投与を示す。
【0174】
本発明に従って使用するための医薬組成物は有効成分を医薬として使用可能な製剤にする加工を容易にする賦形剤及び補助剤を含む一つ以上の生理学的に許容され得るキャリアを使用して従来のように配合されてもよい。適切な配合は選択された投与経路に依存する。
【0175】
経口投与の場合、医薬組成物は、活性な化合物を、この分野で十分に知られている医薬的に許容され得るキャリアと組み合わせることによって容易に配合することができる。そのようなキャリアにより、医薬組成物は、患者によって経口摂取される錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー剤、懸濁物などとして配合することが可能になる。経口使用される医薬的調製物は、錠剤または糖衣錠コアを得るために、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し、そして所望する場合には好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して作製することができる。好適な賦形剤は、具体的には、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に許容され得るポリマーである。所望する場合には、架橋型ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を加えることができる。
【0176】
糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。色素または顔料が、活性な化合物の量を明らかにするために、または活性な化合物の量の種々の組合せを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加され得る。
【0177】
経口使用され得る医薬組成物には、ゼラチンから作製されたプッシュ・フィット型カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤(グリセロールまたはソルビトールなど)から作製された軟密閉カプセルが含まれる。プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(ラクトースなど)、結合剤(デンプンなど)、滑剤(タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)および場合により安定化剤と混合された有効成分を含有し得る。軟カプセルでは、活性な化合物を好適な液体(脂肪油、流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁させることができる。さらに、安定化剤を加えることができる。経口投与される配合物はすべて、選ばれた投与経路に好適な投薬形態でなければならない。
【0178】
粘膜送達の例には、口腔送達、咽頭送達、食道送達、直腸送達および膣送達が含まれるが、これらに限定されない。
【0179】
好ましくは、粘膜送達の部位は口腔を介してである。口腔を介する粘膜送達を、舌下送達(これは、口底を裏打ちする粘膜を介する活性剤の全身送達である)または口内送達(これは、頬を裏打ちする粘膜(頬粘膜)を介する薬剤投与である)によって行うことができる。口腔粘膜送達のために特に有用である配合物には、口腔洗浄剤、条片、発泡体、チューインガム、口腔スプレー剤、トローチ剤、食物、練り歯みがきおよびカプセルが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい配合物がチューインガムである。
【0180】
配合物(例えば、チューインガム)は、低水分または高水分、糖含有または無糖、ワックス含有またはワックス非含有、低カロリー(高基剤増量剤または低カロリー増量剤による)が可能であり、かつ/または、歯科用薬剤を含有することができる。この場合、投与された細胞の膜および/または壁の機械的な破壊のために、本発明の活性成分が、(例えば、虫歯を処置または診断するために)口に直接に放出され、局所的に作用し得ることが理解される。
【0181】
本発明の活性剤(すなわち、植物細胞)はまた、粘膜配合物からの遅れた放出をもたらすためにカプセル化または封入してもよい。活性剤の部分的または完全なカプセル化をもたらす任意の標準的な技術を使用することができる。これらの技術には、噴霧乾燥、噴霧冷却、流動層被覆およびコアセルベーションが含まれるが、これらに限定されない。これらのカプセル化技術は、一段階プロセスでは個々に、または、多段階プロセスでは任意の組合せで使用してもよい。
【0182】
遅延放出配合物を提供する他の方法には、部分的なカプセル化をもたらすための凝集、部分的なカプセル化を同様にもたらす固定化または吸収、および、押し出し配合物への封入が含まれるが、これらに限定されない。
【0183】
活性剤の被覆材料またはカプセル化材料の量によりまた、チューインガムからのその放出についての時間の長さを制御し得る。
【0184】
一般に、被覆のレベルが高いほど、また、活性剤の量が少ないほど、放出は遅くなる。遅延放出配合物を配合するための様々な方法および材料がこの分野では知られている。例えば、PCT国際特許出願公開第WO00/35298号は、チューインガムでの遅延放出配合物を配合するための方法および材料を教示する。
【0185】
本発明の活性剤(すなわち、特定の果実細胞培養物に由来する活性剤)は種々の方法で配合して、同じビヒクルにより投与し得る。例えば、活性剤を、同じビヒクルにおいて、速い放出、適度な放出および遅い放出のためにカプセル化することができる。さらに、本発明の活性剤は速い放出のためにガムの被覆に加えし得、遅い放出のために、カプセル化とともに、または、カプセル化を伴うことなく、ガムの中心に加え得る。
【0186】
より速い吸収を、矯味矯臭剤レベルを増大させることによって、ならびに、他の矯味矯臭剤成分(例えば、メントールおよびメントール誘導体、リモネン、カルボン、イソメントール、オイカリプトール、メントン、ピネン、ショウノウおよびショウノウ誘導体、ならびに、モノテルペン天然産物、モノテルペン誘導体、および、セスキテルペン類(カリオフィレンおよびコパエンを含む)など)を加えることによって達成し得る。
【0187】
配合物は、粘膜を介して血液内への活性剤の浸透を高める他の薬剤を含み得る。そのような薬剤の例には、23−ラウリルエーテル、アプロチニン、アゾン、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、シクロデキストリン、デキストラン硫酸、ラウリン酸、ラウリン酸/プロピレングリコール、リゾホスファチジルコリン、メントール、メトキシサリチル酸塩、メチルオレイン酸塩、オレイン酸、ホスファチジルコリン、ポリオキシエチレン、ポリソルベート80、ナトリウムEDTA、グリココール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、スルホキシドおよび様々なアルキルグリコシドが含まれるが、これらに限定されない。
【0188】
他の改変もまた、粘膜内への活性剤の放出速度に影響を及ぼし得る。基部を軟らかくするための組織改変剤もまた、より速い放出をもたらすことができ、この場合、硬い基部はより遅い放出をもたらし得る。アルカリ性物質(例えば、重炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムなど)の添加は唾液をわずかにアルカリ性にすることができ、これにより、血流内への医薬品の口内/舌下吸収を増大させることができる。
【0189】
本発明の活性剤の放出はまた、配合物の形状およびサイズによって影響され得る。例えば、広い表面積を有するガムの平坦なスティック片は、噛んだとき、活性剤をより速くガムから唾液内に放出することができ、これに対して、丸いものまたは立方体は医薬品および活性剤をよりゆっくり放出することができる。
【0190】
チューインガムの錠剤化が、英国特許公開第1489832号、米国特許第4753805号、欧州特許公開第0221850号およびイタリア国特許公開第1273487号に開示される。これらの特許は、後で錠剤にされるチューインガムに添加された活性剤を開示する。
【0191】
着色剤もまた、配合物に加え得る。本発明によって意図される着色剤には、食品規格の色素が含まれる。シロップに好ましくは添加される薄膜形成剤には、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど、および、これらの組合せが含まれる。好ましい実施形態によれば、本発明の果実細胞培養物は非着色の高濃度で提供される。
【0192】
本発明の組換え生体分子を発現する植物細胞は単位投薬形態物(例えば、経口用の単位投薬形態物など)で配合され得ることに留意しなければならない。
【0193】
治療的に有効な量の決定は、特に本明細書中に与えられる詳細な開示に鑑みて、十分に当業者の範囲内である。
【0194】
本発明の方法に使用される調製物に対して、治療的に有効な量又は用量は最初にインビトロ分析および細胞培養分析から分析されることができる。例えば、用量は所望の濃度または滴定量を得るための動物モデルで配合されることができる。かかる情報は人間に有用な用量をより正確に決定するために使用されることができる。
【0195】
本明細書中に記載される有効成分の毒性および治療効力は、インビトロ、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法によって明らかにすることができる。これらのインビトロアッセイおよび細胞培養アッセイならびに動物研究から得られたデータは、ヒトへの使用のための投薬量範囲を定める際に使用することができる。投薬量は、用いられる投薬形態物および利用される投与経路に依存して変化し得る。正確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選ぶことができる(例えば、Fingl他、1975、“The Pharmacological Basis of Therapeutics”(第1章、1頁)を参照のこと)。
【0196】
投薬量および投薬間隔は、生物学的効果を誘導または抑制するための活性成分の十分な血漿レベルまたは脳レベル(すなわち、最小有効濃度、MEC)を提供するように個々に調節され得る。MECはそれぞれの調製物について変化するが、インビトロデータから推定することができる。MECを達成するために必要な投薬量は個々の特性および投与経路に依存する。様々な検出アッセイを、血漿中濃度を求めるために使用することができる。
【0197】
処置される状態の重篤度および応答性に依存して、投薬は単回投与または多回投与が可能であり、処置の経過が、数日から数週間まで、あるいは、治癒が達成されるまで、または、疾患状態の縮小が達成されるまで続く。
【0198】
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている対象、苦痛の重篤度、投与様式、主治医の判断などに依存する。
【0199】
本発明の組成物は、所望される場合には、活性成分を含有する一つ以上の単位投薬形態物を含有し得る、FDA承認キットなどのパックまたはディスペンサーデバイスで提供され得る。パックは、例えば、金属箔またはプラスチック箔を含むことができ、例えば、ブリスターパックなどである。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局により定められた形式で容器に付けられた通知が伴い得る。この場合、そのような通知は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物についての米国食品医薬品局により承認されたラベル書きであり得るか、または承認された製品添付文書であり得る。生理学的に許容されるキャリアに配合された本発明の調製物を含む組成物はまた、適切な容器に入れられ、上で述べられたように示された状態の処置のための表示をされることができる。
【0200】
記載されたように投与された組換えタンパク質は、治療、診断剤および化粧品において数多くの用途が見出され得る。
【0201】
従って、例えば、上記の教示は、本発明の生体分子の投与が治療的に有益であり得る任意の疾患(すなわち、慢性または急性)または状態を処置するために使用することができる。例えば、本発明者らは、GCDの蓄積を、この酵素が与えられたマウスの肝臓において示しており、このことはゴーシェ病の処置におけるその使用を示唆する。
【0202】
本発明の教示を使用して処置することができる他の疾患の例には、下記の疾患が含まれるが、それらに限定されない:
【0203】
炎症性疾患:これには、慢性の炎症性疾患および急性の炎症性疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0204】
過敏症に関連する炎症性疾患
過敏症の例には、I型過敏症、II型過敏症、III型過敏症、IV型過敏症、即時過敏症、抗体媒介過敏症、免疫複合体媒介過敏症、Tリンパ球媒介過敏症およびDTHが含まれるが、これらに限定されない。
【0205】
I型過敏症または即時過敏症、例えば、喘息など。
【0206】
II型過敏症には、下記の疾患が含まれるが、それらに限定されない:リウマチ様疾患、リウマチ様自己免疫疾患、リウマチ様関節炎(Krenn V.他、Histol Histopathol、2000(Jul)、15(3):791)、脊椎炎、強直性脊椎炎(Jan Voswinkel他、Arthritis Res、2001、3(3):189)、全身性疾患、全身性自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス(Erikson J.他、Immunol Res、1998、17(1−2):49)、硬化症、全身性硬化症(Renaudineau Y.他、Clin Diagn Lab Immunol、1999(Mar)、6(2):156);Chan OT.他、Immunol Rev、1999(Jun)、169:107)、腺疾患、腺の自己免疫疾患、膵臓の自己免疫疾患、糖尿病、I型糖尿病(Zimmet P.、Diabetes Res Clin Pract、1996(Oct)、34 Suppl:S125)、甲状腺疾患、自己免疫性甲状腺疾患、グレーヴス病(Orgiazzi J.、Endocrinol Metab Clin North Am、2000(Jun)、29(2):339)、甲状腺炎、自発性自己免疫性甲状腺炎(Braley−Mullen H.およびYu S、J Immunol、2000(Dec 15)、165(12):7262)、橋本甲状腺炎(Toyoda N.他、Nippon Rinsho、1999(Aug)、57(8):1810)、粘液水腫、特発性粘液水腫(Mitsuma T.、Nippon Rinsho、1999(Aug)、57(8):1759)、自己免疫性生殖疾患、卵巣疾患、卵巣の自己免疫性(Garza KM.他、J Reprod Immunol、1998(Feb)、37(2):87)、自己免疫性抗精子不妊症(Diekman AB.他、Am J Reprod Immunol、2000(Mar)、43(3):134)、反復した胎児消失(Tincani A.他、Lupus、1998、7 Suppl 2:S107−9)、神経変性疾患、神経学的疾患、神経学的自己免疫疾患、多発性硬化症(Cross AH.他、J Neuroimmunol、2001(Jan 1)、112(1−2):1)、アルツハイマー病(Oron L.他、J Neural Transm Suppl、1997;49:77)、重症筋無力症(Infante AJ.およびKraig E、Int Rev Immunol、1999、18(1−2):83)、運動神経障害(Kornberg AJ.、J Clin Neurosci、2000(May)、7(3):191)、ギラン・バレー症候群、神経障害および自己免疫性神経障害(Kusunoki S.、Am J Med Sci、2000(Apr)、319(4):234)、筋無力症疾患、ランバード・イートン筋無力症症候群(Takamori M.、Am J Med Sci、2000(Apr)、319(4):204)、腫瘍随伴性神経学的疾患、小脳萎縮症、腫瘍随伴性小脳萎縮症、腫瘍非随伴性スティッフマン症候群、小脳萎縮症、進行性小脳萎縮症、脳炎、ラスムッセン脳炎、筋萎縮性側索硬化症、シドナム舞踏病、ジル・ド・ラ・ツレット症候群、多発性内分泌腺症、自己免疫性多発性内分泌腺症(Antoine JC.およびHonnorat J.、Rev Neurol(Paris)、2000(Jan)、156(1):23)、神経障害、異常免疫性神経障害(Nobile−Orazio E.他、Electroencephalogr Clin Neurophysiol Suppl、1999、50:419);ニューロミオトニー、後天性ニューロミオトニー、先天性多発性関節拘縮症(Vincent A.他、Ann N Y Acad Sci、1998(May 13)、841:482)、心臓血管疾患、心臓血管の自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化(Matsuura E.他、Lupus、1998、7 Suppl 2:S135)、心筋梗塞(Vaarala O.、Lupus、1998、7 Suppl 2:S132)、血栓症(Tincani A.他、Lupus、1998、7 Suppl 2:S107〜9)、肉芽腫症、ヴェーゲナー肉芽腫症、動脈炎、高安動脈炎および川崎症候群(Praprotnik S.他、Wien Klin Wochenschr、2000(Aug 25)、112(15−16):660);抗第VIII因子の自己免疫疾患(Lacroix−Desmazes S.他、Semin Thromb Hemost、2000、26(2):157);血管炎、壊死性小血管血管炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、糸球体腎炎、少免疫性巣状壊死性糸球体腎炎、半月体形成性糸球体腎炎(Noel LH.、Ann Med Interne(Paris)、2000(May)、151(3):178);抗リン脂質症候群(Flamholz R.他、J Clin Apheresis、1999、14(4):171);心不全、心不全におけるアゴニスト様β−アドレナリン作動性受容体抗体(Wallukat G.他、Am J Cardiol、1999(Jun 17)、83(12A):75H)、血小板減少性紫斑病(Moccia F.、Ann Ital Med Int、1999(Apr−Jun)、14(2):114);溶血性貧血、自己免疫性溶血性貧血(Efremov DG.他、Leuk Lymphoma、1998(Jan)、28(3−4):285)、胃腸疾患、胃腸管の自己免疫疾患、腸疾患、慢性炎症性腸疾患(Garcia Herola A.他、Gastroenterol Hepatol、2000(Jan)、23(1):16)、セリアック病(Landau YE.およびShoenfeld Y.、Harefuah、2000(Jan 16)、138(2):122)、筋組織の自己免疫疾患、筋炎、自己免疫性筋炎、シェーグレン症候群(Feist E.他、Int Arch Allergy Immunol、2000(Sep)、123(1):92);平滑筋の自己免疫疾患(Zauli D.他、Biomed Pharmacother、1999(Jun)、53(5−6):234)、肝疾患、肝臓の自己免疫疾患、自己免疫性肝炎(Manns MP.、J Hepatol、2000(Aug)、33(2):326)および原発性胆汁性肝硬変(Strassburg CP.他、Eur J Gastroenterol Hepatol、1999(Jun)、11(6):595)。
【0207】
IV型過敏症またはT細胞媒介過敏症には、下記の疾患が含まれるが、それらに限定されない:リウマチ様疾患、リウマチ様関節炎(Tisch R、McDevitt HO、Proc Natl Acad Sci USA、1994(Jan 18)、91(2):437)、全身性疾患、全身性自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス(Datta SK.、Lupus、1998、7(9):591)、腺疾患、腺の自己免疫疾患、膵臓疾患、膵臓の自己免疫疾患、I型糖尿病(Castano L.およびEisenbarth GS.、Ann.Rev.Immunol.、8:647)、甲状腺疾患、自己免疫性甲状腺疾患、グレーヴス病(Sakata S.他、Mol Cell Endocrinol、1993(Mar)、92(1):77)、卵巣疾患(Garza KM.他、J Reprod Immunol、1998(Feb)、37(2):87)、前立腺炎、自己免疫性前立腺炎(Alexander RB.他、Urology、1997(Dec)、50(6):893)、多腺性症候群、自己免疫性多腺性症候群、I型自己免疫性多腺性症候群(Hara T.他、Blood、1991(Mar 1)、77(5):1127)、神経学的疾患、自己免疫性神経学的疾患、多発性硬化症、神経炎、視神経炎(Soderstrom M.他、J Neurol Neurosurg Psychiatry、1994(May)、57(5):544)、重症筋無力症(Oshima M.他、Eur J Immunol、1990(Dec)、20(12):2563)、スティッフマン症候群(Hiemstra HS.他、Proc Natl Acad Sci USA、2001(Mar 27)、98(7):3988)、心臓血管疾患、シャガス病における心臓の自己免疫性(Cunha−Neto E.他、J Clin Invest、1996(Oct 15)、98(8):1709)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(Semple JW.他、Blood、1996(May 15)、87(10):4245)、抗ヘルパーTリンパ球自己免疫性(Caporossi AP.他、Viral Immunol、1998、11(1):9)、溶血性貧血(Sallah S.他、Ann Hematol、1997(Mar)、74(3):139)、肝疾患、肝臓の自己免疫疾患、肝炎、慢性活動性肝炎(Franco A.他、Clin Immunol Immunopathol、1990(Mar)、54(3):382)、胆汁性肝硬変、原発性胆汁性肝硬変(Jones DE.、Clin Sci(Colch)、1996(Nov)、91(5):551)、腎疾患、腎臓の自己免疫疾患、腎炎、間質性腎炎(Kelly CJ.、J Am Soc Nephrol、1990(Aug)、1(2):140)、結合組織疾患、耳疾患、自己免疫性結合組織疾患、自己免疫性耳疾患(Yoo TJ.他、Cell Immunol、1994(Aug)、157(1):249)、内耳の疾患(Gloddek B.他、Ann N Y Acad Sci、1997(Dec 29)、830:266)、皮膚疾患、皮膚病、皮膚の疾患、水疱性皮膚疾患、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡および落葉状天疱瘡。
【0208】
遅発型過敏症の例には、接触性皮膚炎および薬疹が含まれるが、これらに限定されない。
【0209】
様々なタイプのTリンパ球媒介過敏症の例には、ヘルパーTリンパ球および細胞障害性Tリンパ球が含まれるが、これらに限定されない。
【0210】
ヘルパーTリンパ球媒介過敏症の例には、T1リンパ球媒介過敏症およびT2リンパ球媒介過敏症が含まれるが、これらに限定されない。
【0211】
自己免疫疾患
これには、心臓血管疾患、リウマチ様疾患、腺疾患、胃腸疾患、皮膚疾患、肝疾患、神経学的疾患、筋疾患、腎疾患、生殖関連疾患、結合組織疾患および全身性疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0212】
自己免疫性による心臓血管疾患の例には、アテローム性動脈硬化(Matsuura E他、Lupus、1998、7 Suppl 2:S135)、心筋梗塞(Vaarala O、Lupus、1998、7 Suppl 2:S132)、血栓症(Tincani A他、Lupus、1998、7 Suppl 2:S107〜9)、ヴェーゲナー肉芽腫症、高安動脈炎および川崎症候群(Praprotnik S他、Wien Klin Wochenschr、2000(Aug 25)、112(15−16):660)、抗第VIII因子による自己免疫疾患(Lacroix−Desmazes S他、Semin Thromb Hemost、2000、26(2):157)、壊死性小血管血管炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、少免疫性巣状壊死性糸球体腎炎および半月体形成性糸球体腎炎(Noel LH、Ann Med Interne(Paris)、2000(May)、151(3):178)、抗リン脂質症候群(Flamholz R他、J Clin Apheresis、1999、14(4):171)、抗体誘導の心不全(Wallukat G他、Am J Cardiol、1999(Jun 17)、83(12A):75H)、血小板減少性紫斑病(Moccia F、Ann Ital Med Int、1999(Apr−Jun)、14(2):114;Semple JW他、Blood、1996(May 15)、87(10):4245)、自己免疫性溶血性貧血(Efremov DG他、Leuk Lymphoma、1998(Jan)、28(3−4):285;Sallah S他、Ann Hematol、1997(Mar)、74(3):139)、シャガス病における心臓の自己免疫性(Cunha−Neto E他、J Clin Invest、1996(Oct 15)、98(8):1709)、および、抗ヘルパーTリンパ球による自己免疫性(Caporossi AP他、Viral Immunol、1998、11(1):9)が含まれるが、これらに限定されない。
【0213】
自己免疫によるリウマチ様疾患の例には、リウマチ様関節炎(Krenn V他、Histol Histopathol、2000(Jul)、15(3):791;Tisch R、McDevitt HO、Proc Natl Acad Sci units S A、1994(Jan 18)、91(2):437)および強直性脊椎炎(Jan Voswinkel他、Arthritis Res、2001、3(3):189)が含まれるが、これらに限定されない。
【0214】
自己免疫による腺疾患の例には、膵臓疾患、I型糖尿病、甲状腺疾患、グレーヴス病、甲状腺炎、突発性自己免疫性甲状腺炎、橋本甲状腺炎、特発性粘液水腫、卵巣の自己免疫性、自己免疫性抗精子不妊症、自己免疫性前立腺炎およびI型自己免疫性多腺性症候群が含まれるが、これらに限定されない。疾患には、膵臓の自己免疫疾患、I型糖尿病(Castano LおよびEisenbarth GS、Ann.Rev.Immunol.、8:647;Zimmet P、Diabetes Res Clin Pract、1996(Oct)、34 Suppl:S125)、自己免疫性甲状腺疾患、グレーヴス病(Orgiazzi J、Endocrinol Metab Clin North Am、2000(Jun)、29(2):339;Sakata S他、Mol Cell Endocrinol、1993(Mar)、92(1):77)、突発性自己免疫性甲状腺炎(Braley−Mullen HおよびYu S、J Immunol、2000(Dec 15)、165(12):7262)、橋本甲状腺炎(Toyoda N他、Nippon Rinsho、1999(Aug)、57(8):1810)、特発性粘液水腫(Mitsuma T、Nippon Rinsho、1999(Aug)、57(8):1759)、卵巣の自己免疫性(Garza KM他、J Reprod Immunol、1998(Feb)、37(2):87)、自己免疫性抗精子不妊症(Diekman AB他、Am J Reprod Immunol、2000(Mar)、43(3):134)、自己免疫性前立腺炎(Alexander RB他、Urology、1997(Dec)、50(6):893)およびI型自己免疫性多腺性症候群(Hara T他、Blood、1991(Mar 1)、77(5):1127)が含まれるが、これらに限定されない。
【0215】
自己免疫による胃腸疾患の例には、慢性炎症性腸疾患(Garcia Herola A他、Gastroenterol Hepatol、2000(Jan)、23(1):16)、セリアック病(Landau YEおよびShoenfeld Y、Harefuah、2000(Jan 16)、138(2):122)、大腸炎、回腸炎およびクローン病が含まれるが、これらに限定されない。
【0216】
自己免疫による皮膚疾患の例には、自己免疫による水疱性の皮膚疾患(例えば、尋常性天疱瘡、水疱性天疱瘡および落葉状天疱瘡など、これらに限定されない)が含まれるが、これらに限定されない。
【0217】
自己免疫による肝疾患の例には、肝炎、自己免疫性慢性活動性肝炎(Franco A他、Clin Immunol Immunopathol、1990(Mar)、54(3):382)、原発性胆汁性肝硬変(Jones DE、Clin Sci(Colch)、1996(Nov)、91(5):551;Strassburg CP他、Eur J Gastroenterol Hepatol、1999(Jun)、11(6):595)および自己免疫性肝炎(Manns MP、J Hepatol、2000(Aug)、33(2):326)が含まれるが、これらに限定されない。
【0218】
自己免疫による神経学的疾患の例には、多発性硬化症(Cross AH他、J Neuroimmunol、2001(Jan 1)、112(1−2):1)、アルツハイマー病(Oron L他、J Neural Transm Suppl、1997、49:77)、重症筋無力症(Infante AJおよびKraig E、Int Rev Immunol、1999、18(1−2):83;Oshima M他、Eur J Immunol、1990(Dec)、20(12):2563)、神経障害、運動神経障害(Kornberg AJ、J Clin Neurosci、2000(May)、7(3):191)、ギラン・バレー症候群および自己免疫性神経障害(Kusunoki S、Am J Med Sci、2000(Apr)、319(4):234)、筋無力症、ランバード・イートン筋無力症症候群(Takamori M、Am J Med Sci、2000(Apr)、319(4):204)、腫瘍随伴性神経学的疾患、小脳萎縮症、腫瘍随伴性の小脳萎縮症およびスティッフマン症候群(Hiemstra HS他、Proc Natl Acad Sci units S A、2001(Mar 27)、98(7):3988);腫瘍非随伴性スティッフマン症候群、進行性小脳萎縮症、脳炎、ラスムッセン脳炎、筋萎縮性側索硬化症、シドナム舞踏病、ジル・ド・ラ・ツレット症候群および自己免疫性多発性内分泌腺症(Antoine JCおよびHonnorat J、Rev Neurol(Paris)、2000(Jan)、156(1):23);異常免疫による神経障害(Nobile−Orazio E他、Electroencephalogr Clin Neurophysiol Suppl、1999、50:419);後天性ニューロミオトニー、先天性多発性関節拘縮症(Vincent A他、Ann N Y Acad Sci、1998(May 13)、841:482)、神経炎、視神経炎(Soderstrom M他、J Neurol Neurosurg Psychiatry、1994(May)、57(5):544)および神経変性疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0219】
自己免疫による筋疾患の例には、筋炎、自己免疫性筋炎および原発性シェーグレン症候群(Feist E他、Int Arch Allergy Immunol、2000(Sep)、123(1):92)、および、平滑筋の自己免疫疾患(Zauli D他、Biomed Pharmacother、1999(Jun)、53(5−6):234)が含まれるが、これらに限定されない。
【0220】
自己免疫による腎疾患の例には、腎炎、および、自己免疫性間質性腎炎(Kelly CJ、J Am Soc Nephrol、1990(Aug)、1(2):140)が含まれるが、これらに限定されない。
【0221】
生殖に関連する自己免疫疾患の例には、反復した胎児消失(Tincani A他、Lupus、1998、7 Suppl 2:S107〜9)が含まれるが、これに限定されない。
【0222】
自己免疫による結合組織疾患の例には、耳の疾患、自己免疫による耳の疾患(Yoo TJ他、Cell Immunol、1994(Aug)、157(1):249)、および、内耳の自己免疫疾患(Gloddek B他、Ann N Y Acad Sci、1997(Dec 29)、830:266)が含まれるが、これらに限定されない。
【0223】
自己免疫全身性疾患の例には、全身性エリテマトーデス(Erikson J他、Immunol Res、1998、17(1−2):49)および全身性硬化症(Renaudineau Y他、Clin Diagn Lab Immunol、1999(Mar)、6(2):156;Chan OT他、Immunol Rev、1999(Jun)、169:107)が含まれるが、これらに限定されない。
【0224】
感染性疾患
感染性疾患の例には、慢性の感染性疾患、亜急性の感染性疾患、急性の感染性疾患、ウイルス疾患、細菌疾患、原虫疾患、寄生虫疾患、真菌疾患、マイコプラズマ疾患およびプリオン疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0225】
移植片拒絶疾患
移植片の移植に関連する疾患の例には、移植片拒絶、慢性の移植片拒絶、亜急性の移植片拒絶、超急性の移植片拒絶、急性の移植片拒絶および移植片対宿主病が含まれるが、これらに限定されない。
【0226】
アレルギー性疾患
アレルギー性疾患の例には、喘息、皮疹、じんま疹、花粉アレルギー、ほこり・ダニアレルギー、毒液アレルギー、化粧品アレルギー、ラテックスアレルギー、化学物質アレルギー、薬物アレルギー、昆虫咬傷アレルギー、動物鱗屑アレルギー、刺毛植物アレルギー、ツタウルシアレルギーおよび食物アレルギーが含まれるが、これらに限定されない。
【0227】
ガン性疾患
ガンの例には、ガン腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血球が含まれるが、これらに限定されない。ガン性疾患の具体的な例には、下記の疾患が含まれるが、それらに限定されない:骨髄性白血球、例えば、慢性骨髄性白血病、成熟に伴う急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、増大した好塩基球を伴う急性非リンパ球性白血病、急性単球性白血球、好酸球増加症を伴う急性骨髄単球性白血病など;悪性リンパ腫、例えば、バーキットリンパ腫、非ホジキンリンパ腫など;リンパ性白血病、例えば、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病など;骨髄増殖性疾患、例えば、固形腫瘍、良性髄膜腫、唾液腺の混合腫瘍、慢性腺腫など;腺ガン、例えば、小細胞肺ガン、腎臓、子宮、前立腺、膀胱、卵巣、結腸、肉腫、脂肪肉腫、粘液様、滑膜肉腫、横紋筋肉腫(肺胞)、骨外性粘液様軟骨肉腫、ユーイング肉腫など。他のガンには、精巣および卵巣の未分化胚細胞腫、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、神経芽細胞腫、悪性メラノーマ、中脾腫、乳房、皮膚、前立腺および卵巣が含まれる。
【0228】
本出願によって想定される他の疾患には、ホルモンおよび増殖因子の欠乏症;小人症、臓器(例えば、腎臓)不全、(EPO)欠乏症などが含まれる。
【0229】
述べられたように、上記の教示はまた、診断適用のために使用することができる。従って、組換えタンパク質は、標的器官に蓄積することができる診断用タンパク質であってもよく、また、インビボ画像化のために好適な検出可能な標識(例えば、GFP)をさらに含むことができる。
【0230】
本発明による診断用タンパク質/試薬の一例が、抗体またはその抗原結合性フラグメントである。抗体は二重鎖または短鎖であってもよい。
【0231】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴が、限定であることが意図されない下記の実施例を検討したとき、当業者には明らかになる。加えて、本明細書中上記に描かれるような、また、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0232】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0233】
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学および組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている。例えば以下の諸文献を参照されたい:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrook他(1989);Ausubel,R.M.編「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻(1994)、Ausubel他著;「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア(1989);Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク(1988);Watson他、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birren他編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1998);米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号および5272057号に記載される方法;Cellis,J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻(1994);Coligan,J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻(1994);Stites他編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク(1994);MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク(1980);また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている:米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号および5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」(1984);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」(1985);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Transcription and Translation」(1984);Freshney,R.I.編「Animal Cell Culture」(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.著(1984)および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(1990);Marshak他、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press、(1996);なおこれらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである。その外の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。本明細書に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。本明細書に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
【0234】
(実施例1)
GCDを発現するニンジン細胞培養物が経口投与されたマウスの肝臓におけるGCDの蓄積
動物、材料および実験手順
マウス:BALB/Cの雌マウス、7週齢〜8週齢。
植物細胞の調製
発現プラスミドの構築−GCDをコードするcDNA(ATTCクローン#65696、配列番号3〜配列番号4)を、シロイヌナズナの塩基性エンドキチナーゼ遺伝子に由来するER標的化シグナルと、タバコのキチナーゼAに由来する液胞標的化シグナルとを含有するプラスミドにサブクローン化した。オープンリーディングフレームの5’末端において、プラスミドは、カリフラワーモザイクウイルスに由来する35Sプロモーターと、それに続くタバコモザイクウイルス(TMV)ω翻訳エンハンサーエレメントとを含有した。3’末端には、アグロバクテリウム・ツメファシエンスに由来するオクトピンシンターゼの終結配列が挿入された。このカセットを中間ベクターから取り出し、バイナリーベクターに連結した。カナマイシン抵抗性が、nosプロモーターにより駆動されるNPTII遺伝子によってもたらされた。
【0235】
ニンジン細胞の形質転換および単離−ニンジン細胞の懸濁培養物を、アグロバクテリウムを使用して形質転換した。簡単に記載すると、アグロバクテリウム細菌をエレクトロポレーションによって上記のGCD含有ベクターを使用して形質転換し、30mg/mlのパロモマイシンを使用して選抜した。ニンジン細胞をアグロバクテリウム細菌により形質転換し、液体培地において60mg/mlのパロモマイシンを使用して選抜した。形質転換されたニンジン細胞を固体の選択培地に置床し、カルスを個々の細胞から形成させた。高タンパク質発現系統を特定し、選抜した。カルスをさらに拡大培養し、液体培地に移した。
【0236】
ウエスタンブロッティングによるGCD発現の測定−ウエスタンブロッティングのために、タンパク質抽出物をSDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜(Amersham Life Science)に転写し、GCDを、抗GCD抗体(1:6500で希釈)およびペルオキシダーゼ共役化抗ウサギHRP二次抗体(1:15000で希釈、Sigma)を使用して検出した。
【0237】
バイオリアクターにおけるスケールアップ−選択されたカルスの懸濁培養物を、4.4g/lのMSD培地(Duchefa、オランダ)、9.9mg/mlのチアミンHCl(Duchefa、オランダ)、30g/lのグルコースおよび0.1mg/lの2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(Sigma)を含有するムラシゲ・スクーグ(MS)液体培地で培養した。懸濁細胞培養物を、10lのポリエチレンバイオリアクターへの接種のために使用された振とうする三角フラスコで培養し、その後、100lのポリエチレンバイオリアクターにスケールアップした。遺伝子改変された細胞をバイオリアクターにおける反復した成長サイクルのために培養した。
【0238】
経口投与:マウスを一晩(14時間〜16時間)絶食させ、その後、動物ケージの内部に置かれた植物細胞物を与えた。2時間後、植物細胞物を除き、動物にはその通常食を与えた。動物を、さらに1時間、2時間、4時間および18時間の後で屠殺した。それぞれの動物からの肝臓を取り出し、液体窒素で凍結し、分析まで−70℃で保存した。
【0239】
肝臓組織サンプルの調製:それぞれの肝臓組織サンプルを0.9%NaClで洗浄し、ULTRA−TURRAX T25簡易IKA−WERKEホモジナイザーを低速度(11000〜13000l/分)で使用して氷上で45秒間〜60秒間、均質化緩衝液(60mMリン酸塩/クエン酸塩、1.5%TritonX−100、1mM PMSF)(1グラムの組織あたり5mlの緩衝液)とともに均質化した。サンプルを、4℃で10分間、10000gで遠心分離した。上清を集め、将来の分析のために小分けし、−70℃で凍結した。
【0240】
インビトログリコシダーゼ活性アッセイ:prGCDの酵素活性を、p−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシド(Sigma)を基質として使用して求めた。アッセイ緩衝液は、60mMリン酸塩/クエン酸塩緩衝液(pH=5.5)、0.15%TritonX−100、0.125%タウロコール酸ナトリウムを含有した。アッセイを、アッセイ緩衝液とインキュベーションされた、30μl、12μlまたは6μlのサンプルを使用して5.5mlの総体積における3つの異なる希釈度で行い、基質を4mMの最終濃度に加えた。15分毎に、それぞれのサンプルの970μlを取り出し、30μlの5N NaOHをそれぞれのサンプルに加えた。活性を、401nmでの吸光度によって検出される生成物(p−ニトロフェニル;pNP)形成の速度によって測定した(Freiman、1999)。
【0241】
結果
GCDを発現するニンジン培養物を、生成した組換えタンパク質の標的器官における蓄積を調べるために使用し、また、本発明の教示に従って投与した。図1から明らかであるように、肝臓におけるGCD活性のピークが給餌の2時間後で認められた(酵素活性における30%の増大)。この活性は給餌後4時間で通常のレベルに戻った。
【0242】
(実施例2)
下垂体切除ラットへの植物組換え成長ホルモン(hGH)の経口送達
GI管を経由して組換えhGHを全身送達することを植物細胞ができることを、内因性の成長ホルモンを発現せず、hGHレベルの分析をより簡便かつ正確にする下垂体切除ラットにおいて調べた。
【0243】
実験手順
植物細胞の調製−hGHを産生するタバコBY−2細胞を、誘導可能なRNA依存性RNAポリメラーゼにより強化された安定的な細胞発現系を使用して生産した。系を2つのプラスミドに組み立てた。第1のプラスミドはリプレッサー(LacI遺伝子)を35Sプロモーターの制御下に有し、IRES(内部リボソーム組込み部位)に従ったヒグロマイシン選択を有した。第2のプラスミドにおいて、生来的リーダーおよびER保持シグナルが隣接する、植物コドンで最適化されたhGH遺伝子(配列番号1〜配列番号2)を、誘導可能なRNA依存性RNAポリメラーゼのサブゲノムプロモーターの制御下にクローン化した。加えて、このプラスミドは、RNA依存性RNAポリメラーゼ(TVCV(タバコ葉脈透化ウイルス)に由来する)、IRES−NPTII選択マーカー遺伝子、および、ウイルスの複製装置を阻止するLacI結合部位を含有した。20mMのIPTGを、両方のプラスミドを有する細胞に加え、これにより、GHの発現を誘導した。発現レベルは1gの新鮮重量あたり50μg〜700μgの間であった。
【0244】
組換えhGHの取り込みの測定を、hGH(GenBankアクセス番号P01241)が与えられたラットの血清および様々な器官におけるhGHについてELISAを使用して行った。
【0245】
n=4のラット(下垂体切除されたSprague Dawley)の2つの群に、(1)天然のBY2細胞(Tabocco BY−2 Cells、編者:Nagata,Toshiyuki;Hasegawa,Seiichiro;Inz’,Dirk Springer、2004)、および(2)GHを発現するBY細胞(By2 Iconリプレッサー(B5.1+21450)(IPTGにより誘導されたGHs Nat ER系統18)を与えた。
【0246】
ラットには、24時間、植物細胞のみを自由に取らせた(ラット食なし)。24時間後、ラットを麻酔し、採血し、その後、ラットを屠殺し、その様々な器官をhGH取り込み測定のために採取した。採取された器官には、筋肉、肝臓および脾臓が含まれた。血清を血液から分離した。すべての器官を分析まで−70℃で保存した。血清および器官におけるhGHレベルをELISAによって測定した(ヒト成長ホルモン酵素免疫アッセイ試験キット:BioCheck,Inc.、カタログ番号BC−1033)。
【0247】
結果
GHを発現するBY2細胞が与えられた4匹のラットのうち1匹が、血清におけるhGHの著しく上昇したレベルを示した。GHを発現するBY2細胞が与えられた4匹のラットのうち2匹が、その筋肉におけるGHの著しく上昇したレベルを有した。すべての他のラット(コントロール、BY2未処理の細胞が与えられたラット)は、それらの下垂体切除表現型と一致して、検出可能なGHレベルを血清または筋肉において有していなかった。結果が図2に示され、下記の表1にまとめられる。

【0248】
(実施例3)
ラットへの植物組換えhGCDの経口送達
体内への組換えタンパク質の取り込みのために消化管を経由して組換えhGCDを送達することを植物細胞ができることを、上記の実施例1に記載されるように調べた。
【0249】
動物、材料および実験手順
ラット:12匹のSprauge Dawleyの雌ラット(10週齢〜11週齢)を使用した。
経口投与:ラットを一晩(14時間〜16時間)絶食させ、その後、動物ケージの内部に置かれた植物細胞物を与えた(自由摂取、10gr/ラット)。2時間後、植物細胞物を除き、動物にはその通常食を与えた。動物を、さらに1時間、2時間、4時間および24時間の後で屠殺した(それぞれの時点で3匹)。それぞれの動物からの肝臓および脾臓を取り出し、液体窒素で凍結し、分析まで−70℃で保存した。
【0250】
脾臓組織および肝臓組織の調製:実施例1に記載される通り。
結果
GCDを発現するニンジン培養物を、生成した組換えタンパク質の標的器官における蓄積を調べるために使用し、本発明の教示に従って経口投与した。図3aおよび図3bから明らかであるように、GCD活性の増大が肝臓組織および脾臓組織において観測され、GCD活性のピークが給餌後の1時間後で認められた(酵素活性における脾臓での26%の増大、肝臓での44%の増大)。この活性は給餌後4時間で通常のレベルに戻った。
【0251】
(実施例4)
下垂体切除ラットへの植物組換えFSHの経口送達
GI管を経由してFSHを血液に送達することを植物細胞ができることを、植物細胞物の単回経口(PO)投与の後で調べた。
【0252】
実験手順
植物細胞の調製
発現プラスミドの構築−FSHのα鎖およびβ鎖をそれらの生来的シグナルとともにコードするDNAを、カリフラワーモザイクウイルスに由来する35Sプロモーターと、それに続くタバコモザイクウイルス(TMV)ω翻訳エンハンサーエレメントとを含有するプラスミドにサブクローン化した。3’末端には、アグロバクテリウム・ツメファシエンスに由来するオクトピンシンターゼの終結配列が挿入された。このカセットを中間ベクターから取り出し、バイナリーベクターに連結した。FSHのβ鎖は、nosプロモーターにより駆動されるNPTII遺伝子によってもたらされるカナマイシン抵抗性を有し、FSHのα鎖は、nosプロモーターにより駆動されるaphIII遺伝子によってもたらされるヒグロマイシン抵抗性を有した。
【0253】
ニンジン細胞の形質転換および単離−ニンジン細胞の懸濁培養物を、アグロバクテリウムを使用して形質転換した。簡単に記載すると、アグロバクテリウム細菌をエレクトロポレーションによって上記のFSHβベクターにより形質転換し、30mg/mlのパロモマイシンを使用して選抜した。ニンジン細胞をアグロバクテリウム細菌により形質転換し、液体培地において60mg/mlのパロモマイシンを使用して選抜した。形質転換されたニンジン細胞を固体の選択培地に置床し、カルスを個々の細胞から形成させた。高タンパク質発現系統を特定し、選抜した。カルスをさらに拡大培養し、液体培地に移した。その後、細胞を、上記のように、FSHα鎖を有するプラスミドにより再び形質転換し、100mg/mlのヒグロマイシンを使用して選抜した。最も良く発現する系統を、発現レベルを評価するために、ウエスタンブロットおよびELISAアッセイを使用して選抜した。発現レベルは1μg/gFW〜20μg/gFWであった。
【0254】
動物および経口投与−3匹の11週齢のラット(200gr)に、10ml/kgの植物ニンジン細胞マッシュを経口胃管法によって投与した。血液サンプルを、投与前、ならびに、投与後の10分、20分、30分、60分、120分および240分で採取し、FSH濃度を、BioCheck,Inc.から得られるキットを使用してELISAによって測定した。
【0255】
結果
図4に示されるように、FSHの血清レベルが投与後10分で少なくとも5倍増大し、その後、基底状態に戻った。
【0256】
(実施例5)
凍結乾燥されたニンジン細胞は無傷のGCDのレベルおよび活性を発現し、維持する
本発明の植物細胞が脱水後に活性を維持することができることを明らかにした。
【0257】
実験手順
上記の実施例1に記載されるように作製された、GCDを発現するニンジン細胞の100グラムを凍結乾燥し、特定のタンパク質の発現および活性について試験した(上記の実施例1および実施例3を参照のこと)。
【0258】
溶解物の調製−50mgの乾燥細胞を1mlの抽出緩衝液(pH=7.2)(20mMリン酸塩緩衝液(pH=7.2)、20mM EDTA、20mM L−アスコルビン酸、1%TritonX−100)により抽出した。
【0259】
ウエスタンブロッティングによるGCD発現の測定−ウエスタンブロッティングのために、タンパク質抽出物をSDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜(Amersham Life Science)に転写し、抗GCD抗体(1:6500で希釈)およびペルオキシダーゼ共役化ヤギ抗ウサギHRP二次抗体(1:15000で希釈)(Sigma)を使用して検出した。
【0260】
結果
図5は、新鮮な細胞に対する、凍結乾燥された植物細胞におけるGCD発現を示す。タンパク質負荷はBradfordによる総タンパク質測定に基づいた。示されるように、乾燥調製物におけるGCD発現のレベルは新鮮な調製物のGCD発現レベルと類似していた。溶解物における総タンパク質を測定し、凍結乾燥された細胞の溶解物および新鮮な細胞の溶解物の両方における活性なGCDの量を評価した。結果が下記の表2に示される。

【0261】
従って、本発明の乾燥調製物がその生物学的活性を維持することは明白である。
【0262】
まとめると、上記の結果は、植物により発現された単離されていない組換えタンパク質がGI管を横断し、内部器官に蓄積することができることを初めて明らかにする。
【0263】
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0264】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更及び変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更及び変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許及び特許願ならびにGenBankアクセッション番号はすべて、個々の刊行物、特許または特許願、またはGenBankアクセッション番号が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用又は確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0265】
【図1】組換えタンパク質を発現するニンジン培養物が与えられたマウスの肝臓におけるGCDの活性を示す棒グラフである。
【図2】未処理のBY2細胞が投与された動物と比較して、hGH発現BY2細胞が投与された下垂体切除ラットにおけるhGHの上昇したレベルを示す棒グラフである。
【図3】hGCD発現植物細胞が経口投与されたラットの脾臓(図3a)および肝臓(図3b)におけるhGCDの上昇したレベルを示す棒グラフである。
【図4】FSH発現植物細胞が経口投与されたラットの血清におけるFSHの上昇したレベルを示す棒グラフである。
【図5】GCD発現細胞の乾燥/凍結乾燥細胞抽出物および新鮮細胞の抽出物に由来するGCDレベルを示すウエスタンブロット分析を示す顕微鏡写真である。
【配列表フリーテキスト】
【0266】
配列番号1は、ヒト成長ホルモンをコードする合成コドン変形構築物の配列である。
配列番号2は、合成ヒト成長ホルモンの配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的に活性な組換え生体分子を生物学的に活性な形態でその必要性のある対象に全身送達する方法であって、外因性の生物学的に活性な組換え生体分子を発現する植物細胞の治療的に有効な量を対象に経口投与または粘膜投与し、それにより、生物学的に活性な組換え生体分子を生物学的に活性な形態で対象に全身送達することを含む方法。
【請求項2】
生物学的に活性な組換え生体分子を生物学的に活性な形態でその必要性のある対象に局所送達する方法であって、外因性の生物学的に活性な組換え生体分子を発現する植物細胞の治療的に有効な量を対象に経口投与または粘膜投与し、それにより、生物学的に活性な組換え生体分子を生物学的に活性な形態で対象に局所送達することを含む方法。
【請求項3】
前記植物細胞は、実質的に無傷の細胞壁を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記植物細胞は、実質的に無傷の細胞膜を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記植物細胞は、実質的に無傷の細胞壁および細胞膜を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記植物細胞は、単離された細胞として投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記植物細胞は、脱水された植物細胞として投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記組換え生体分子はポリヌクレオチドまたはポリペプチドである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記組換え生体分子はポリペプチドである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記組換え生体分子は、治療用生体分子、診断用生体分子および薬用化粧品からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記脱水された植物細胞はさらに賦形剤を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記植物細胞はアルファルファ植物細胞を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
前記植物細胞は、タバコ植物細胞を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
前記植物細胞は、タバコ細胞株から得られた植物細胞を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
前記植物細胞は植物の根細胞を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項16】
前記植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rihzogenes)により形質転換された根細胞、セロリ細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞およびニンジン細胞からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記植物の根細胞はニンジン細胞である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記組換え生体分子は、原核生物タンパク質、真核生物タンパク質、キメラタンパク質、およびウイルスタンパク質からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項19】
前記ウイルスタンパク質は、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのウイルスタンパク質VPIIである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記真核生物タンパク質はヒト第X因子である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記真核生物タンパク質はヒト高マンノースタンパク質である、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記真核生物タンパク質はヒトグルコセレブロシダーゼである、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記真核生物タンパク質はヒトαガラクトシダーゼである、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記真核生物タンパク質はヒト成長ホルモンである、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記真核生物タンパク質はFSHである、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記真核生物タンパク質はアセチルコリンエステラーゼである、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
前記組換え生体分子は前記対象において非免疫原性である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項31】
活性成分として、外因性の生物学的に活性な組換え生体分子を発現する植物細胞を含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物。
【請求項32】
前記医薬的に許容され得るキャリアは非免疫原性キャリアである、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記医薬的に許容され得るキャリアは腸管関連リンパ系組織を刺激しない、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項34】
外因性の生物学的に活性な生体分子を発現する植物細胞の治療的に有効な量を含む、生物学的に活性な生体分子の対象における局所送達のための単位投薬形態物。
【請求項35】
経口投与のために配合される、請求項34に記載の単位投薬形態物。
【請求項36】
粘膜投与のために配合される、請求項34に記載の単位投薬形態物。
【請求項37】
前記植物細胞は脱水された植物細胞を含む、請求項34に記載の単位投薬形態物。
【請求項38】
外因性の生物学的に活性な生体分子を発現する植物細胞の治療的に有効な量を含む、生物学的に活性な生体分子の対象における全身送達のための単位投薬形態物。
【請求項39】
経口投与のために配合される、請求項38に記載の単位投薬形態物。
【請求項40】
粘膜投与のために配合される、請求項38に記載の単位投薬形態物。
【請求項41】
前記植物細胞は脱水された植物細胞を含む、請求項38に記載の単位投薬形態物。
【請求項42】
疾患をその必要性のある対象において処置するための方法であって、外因性の生物学的に活性な生体分子を発現する植物細胞の治療的に有効な量を対象に経腸投与または粘膜投与し、それにより、疾患を対象において処置することを含む方法。
【請求項43】
前記生物学的に活性な生体分子は組換えヒトグルコセレブロシダーゼタンパク質を含み、疾患はゴーシェ病である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記生物学的に活性な生体分子は組換えヒトグルコセレブロシダーゼタンパク質を含み、疾患はファブリー病である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記生物学的に活性な生体分子は組換えヒトグルコセレブロシダーゼタンパク質を含み、疾患はガンである、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記疾患は全身性疾患である、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記疾患は慢性疾患である、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記疾患は急性疾患である、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
医薬品を製造するための、外因性の生物学的に活性な生体分子を発現する植物細胞の使用。
【請求項50】
前記植物細胞は、実質的に無傷の細胞壁を含む、請求項49に記載の使用。
【請求項51】
前記植物細胞は、実質的に無傷の細胞膜を含む、請求項49に記載の使用。
【請求項52】
前記植物細胞は、実質的に無傷の細胞壁および細胞膜を含む、請求項49に記載の使用。
【請求項53】
前記植物細胞は、単離された細胞として投与される、請求項49に記載の使用。
【請求項54】
前記植物細胞は、脱水された植物細胞として投与される、請求項49に記載の使用。
【請求項55】
前記組換え生体分子はポリヌクレオチドまたはポリペプチドである、請求項49に記載の使用。
【請求項56】
前記組換え生体分子はポリペプチドである、請求項49に記載の使用。
【請求項57】
前記組換え生体分子は、治療用生体分子、診断用生体分子および薬用化粧品からなる群から選択される、請求項49に記載の使用。
【請求項58】
前記脱水された植物細胞はさらに賦形剤を含む、請求項54に記載の使用。
【請求項59】
前記植物細胞はアルファルファ植物細胞を含む、請求項49に記載の使用。
【請求項60】
前記植物細胞は、タバコから得られた植物細胞を含む、請求項49に記載の使用。
【請求項61】
前記植物細胞は、タバコ細胞株から得られた植物細胞を含む、請求項49に記載の使用。
【請求項62】
前記植物細胞は植物の根細胞を含む、請求項49に記載の使用。
【請求項63】
前記植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネスにより形質転換された根細胞、セロリ細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞およびニンジン細胞からなる群から選択される、請求項62に記載の使用。
【請求項64】
前記植物の根細胞はニンジン細胞である、請求項62に記載の使用。
【請求項65】
前記組換え生体分子は、原核生物タンパク質、真核生物タンパク質、キメラタンパク質、およびウイルスタンパク質からなる群から選択される、請求項49に記載の使用。
【請求項66】
前記ウイルスタンパク質は、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのウイルスタンパク質VPIIである、請求項65に記載の使用。
【請求項67】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである、請求項65に記載の使用。
【請求項68】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である、請求項65に記載の使用。
【請求項69】
前記真核生物タンパク質はヒト第X因子である、請求項65に記載の使用。
【請求項70】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である、請求項65に記載の使用。
【請求項71】
前記真核生物タンパク質はヒトグルコセレブロシダーゼである、請求項65に記載の使用。
【請求項72】
前記真核生物タンパク質はヒトαガラクトシダーゼである、請求項65に記載の使用。
【請求項73】
前記真核生物タンパク質はヒト成長ホルモンである、請求項65に記載の使用。
【請求項74】
前記真核生物タンパク質はFSHである、請求項65に記載の使用。
【請求項75】
前記真核生物タンパク質はアセチルコリンエステラーゼである、請求項65に記載の使用。
【請求項76】
前記真核生物タンパク質は高マンノースタンパク質である、請求項65に記載の使用。
【請求項77】
前記組換え生体分子は非免疫原性である、請求項49に記載の使用。
【請求項78】
前記医薬品は全身送達のために配合される、請求項49に記載の使用。
【請求項79】
前記医薬品は局所送達のために配合される、請求項49に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−501784(P2009−501784A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522173(P2008−522173)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000832
【国際公開番号】WO2007/010533
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(505161910)プロタリクス リミテッド (8)
【Fターム(参考)】