説明

生産監視システムの表示方法及び作業管理表示器

【課題】停止している複数の機械に対し、優先する機械から復旧させる作業指示を行い、生産目標を速やかに達成させる生産管理システムの表示方法及び作業管理表示器を提供する。
【解決手段】稼働停止している機械の中で早期に復旧しなければならない優先順序を判定する判定ソフトと、全ての機械の優先順位を順番に表示する作業管理表示器1よりなる生産監視システムの表示方法を構築し、作業管理表示器1には、全機械の中で停止している機械の復旧を優先すべき順番に表示するとともに、停止要因を決められた色や点滅方法で表示することにより全作業者が停止理由を知ることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造ラインの稼働状況を監視する生産監視システムの表示方法及び作業管理表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の工程からなる機械加工ラインにおいては、各工程や各ラインの稼働状況を監視して、加工の目標数と実績数及び達成率などを作業管理者や作業者に知らせる作業管理表示器に表示し、生産計画に遅れがでていないかを監視する生産監視システムが用いられている。
【0003】
また、各機械の運転状態を監視するために機械毎にシグナルタワーが設置され、各機械の稼働状態がたとえば正常運転中は緑色が点灯し、機械故障による停止中は赤色が点灯し、ワーク無しによる停止中は黄色を点灯させるというように、決められた表示灯を点灯または点滅させることにより各機械の状況を作業者に伝達する構成をとっている。
【0004】
機械が稼働停止した場合、その原因を作業者がシグナルタワーを見て稼働停止中の機械まで行き、停止している理由を判断してその原因を取り除き、再度稼働させる作業を行うが、通常作業者は各工程又は各ラインに数名しか配置されていないため、複数の機械が同時に稼働停止した場合、どの機械がなぜ停止中であるのかを判断し、目標数を達成するためにはどの機械を優先的に稼働させる必要があるのかを判断して対処する必要があるが、機械毎のシグナルタワーだけでは優先順位を判断できないため、作業管理表示器の数値と見比べて優先順位を決めることになるが、どの機械をはじめに稼働させるべきなのかわかりにくく間違えやすかった。
【0005】
そのため、この対策として、特開平6−222749号公報で提案されているように、作業管理表示器に異常停止している機械の場所を表示する構成の発明が提案されているが、この方法では単に停止している機械の場所を表示することで作業者が停止している機械に行きやすくするための発明であり、複数の機械が同時に停止した場合については考慮されていない。
【特許文献1】特開平6−222749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、停止している複数の機械を復旧するのに効果的な作業指示を行う生産管理システムの表示方法及び作業管理表示器を構成し、優先する機械を効果的に復旧して生産目標を早く達成する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記した課題を解決する手段として、機械毎の生産状況を監視する生産監視システム端末と、全ての機械の生産情報をメインコンピュータに送信する回路と、機械毎の生産量と稼働時間より集計した遅れ具合を自動計算する計算ソフトと、稼働停止している機械の中で早期に復旧しなければならない優先順序を判定する判定ソフトと、全ての機械の優先順位を順番に表示する作業管理表示器よりなる生産監視システムの表示方法を構成する。
【0008】
作業管理表示器には、全機械の中で停止している機械の復旧を優先すべき順番に表示するとともに、各機械の停止要因を機械に取り付けられた生産監視システムより判定し、ワーク待ちや刃具交換待ちや品質チェックなどの停止要因を決められた色や点滅方法で表示することにより全作業者が停止理由を知ることができるようにする。
【0009】
また、複数の作業者が機械の復旧作業を行う場合、第1優先の機械の復旧を行っていることを作業管理表示器で表示することにより、他の作業者は次に優先させる機械を復旧させるために迷い無く向かうことができるようにする。
【0010】
さらに、各機械や各工程の遅れ具合などの進捗情報を作業管理表示器に色や数字で表示することにより、全作業者が進捗情報を知ることができるようにする。
【0011】
作業管理表示器は行及び列をセル毎にチップ化し、行セル及び列セルの増設を簡単に行うことが出来る様にし、工程やラインの規模に合わせた大きさに簡単に対応できるようにする。
【発明の効果】
【0012】
全ての機械の生産情報をメインコンピュータで集計し、全体の生産状況を把握することで停止中の機械のどの機械を優先的に復旧させなければならないかを全ての作業者が一元的に情報を共有することができるため、間違いが無く、的確に行動することができる。
【0013】
また、各機械に取り付けなければならなかったシグナルタワーは、機械の大きさや配置のために機械に隠れて見にくい場所に設置されるものも多かったが、作業管理表示器を工場の上部に取り付けることによりどの場所からでも見ることができるようになるばかりでなく、全機械にシグナルタワーを取り付けなくても良いので、設備費を下げることができるようになった。
【0014】
さらに、各機械や各工程の遅れ具合などの進捗情報を作業管理表示器に色や数字で表示することにより、全作業者が進捗情報を知ることができるので、たとえばライン毎に作業管理表示器が設置されている場合、遅れているラインに他のラインから作業者を回す必要があるかを判断することができるようになり、ライン毎のみならず、工場全体の生産を監視し、的確な指示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の実施例1の生産監視システムの表示方法を示す説明図である。各機械4にはそれぞれ生産監視システムの端末3が取り付けられているのと同時に各機械の機械番号が付けられており、各機械4の稼働状況をメインコンピュータ2に送信し、メインコンピュータ2が機械毎の生産状況を自動計算ソフトで計算し、集計を行っている。
【0017】
メインコンピュータ2は、各機械の中で規定の時間以上に稼働停止している機械を抽出し、その稼働停止要因を生産監視システムの端末3より情報を収集して記憶し、機械番号と停止理由と進捗状況を生産管理表示器に送信し、表示する。
【0018】
複数の機械が稼働停止している場合、これまでの生産数と目標値を比較し、優先させなければならない機械をあらかじめ定められた条件にのっとり優先順位判定ソフトで判定し、生産管理表示器の優先順位1番に表示させ、他の機械も同様に判定して優先順位にのっとり表示する。このとき優先順序は、生産数と目標数の比較だけでは無く、停止要因や復旧作業時間などの条件を考慮して決定するのが良い。
【0019】
生産管理表示器1は、優先順位を表示する優先番号表示部5と、機械番号やライン番号を表示する機械番号表示部6と、停止理由を表示する停止理由表示部7と、進捗状況表示部8が設けられており、メインコンピュータ2で判定された順位に従って優先順位毎に各機械4の停止理由が表示される。
【0020】
停止理由は前もって決められている色や点滅方法で表示することにより停止理由がわかるようになっている。たとえば、ワーク待ちは青色の発光で、刃具交換待ちは緑色で、品質チェックは黄色で、その他の異常は赤色の発光というように決められており、作業者が機械に行く前に停止理由がわかるようになっている。
【0021】
作業者が機械4に到着し、稼働停止の原因を解決する作業に入る場合、生産監視システムの端末3から復旧作業中である事を発信すると、作業管理表示器1の機械番号表示部6又は停止理由表示部7が点滅するようになっており、他の作業者がその機械に向かうという無駄な動作を防止することができ、次に優先順位の高い機械に向かう事ができる。
【0022】
復旧作業が完了して機械が稼働し始めると、生産管理表示器1からそのきかいの情報が消え、下位の機械が上位にずれて優先順位が上がるので、常に優先順位の高い機械を作業者が認識して復旧する順番を迷うことが無い。
【0023】
図3及び図4は、セル化した増設行セル9及び増設列セル10の一例を示し、生産管理表示器1は升目状に構成しており、各升目はセルの状態で構成しているため、表示できる機械の数や項目を簡単に増設することができる。そのため、ライン構成を変更して機械を増設した場合や、表示する項目を増やしたい場合でも簡単に増やすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の生産監視システムの表示方法を説明する説明図
【図2】実施例1の作業管理表示器の全体図
【図3】増設行セルを示す説明図
【図4】増設列セルを示す説明図
【符号の説明】
【0025】
1 作業管理表示器
2 メインコンピュータ
3 生産監視システム端末
4 機械
5 優先番号表示部
6 機械番号表示部
7 停止理由表示部
8 進捗状況表示部
9 増設行セル
10 増設列セル



【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械毎の生産状況を監視する生産監視システム端末と、全ての機械の生産情報をメインコンピュータに送信する回路と、機械毎の生産量と稼働時間より集計した遅れ具合を自動計算する計算ソフトと、稼働停止している機械の中で早期に復旧しなければならない優先順序を判定する判定ソフトと、全ての機械の優先順位を順番に表示する作業管理表示器よりなる生産監視システムの表示方法。
【請求項2】
作業管理表示器は、全機械の中で停止している機械を稼働させる優先すべき順番に表示するとともに、各機械の停止要因を機械に取り付けられた生産監視システムより判定し、停止要因を決められた色や点滅方法で表示するようにしたことを特徴とする生産管理表示器。
【請求項3】
作業者が機械の復旧を行っていることを作業管理表示器で色や点滅方法で表示することを特徴とする請求項2の生産管理表示器。
【請求項4】
作業管理表示器は行又は列をセル毎にチップ化し、行セル及び列セルの増設を行うことができることを特徴とする請求項2及び請求項3の生産管理表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−26725(P2010−26725A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186433(P2008−186433)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(591113024)株式会社近藤製作所 (33)
【Fターム(参考)】