説明

生産管理実行支援システム、生産管理実行支援方法、生産管理実行支援プログラムおよび生産管理実行支援プログラム記録媒体

【課題】 複数製品を生産する混流生産工程におけるロットサイズと生産優先度の異なる複数の仕掛待ちロット集団の中での合理的に顧客の総待ち時間に係わる納期満足度を極大化しながら生産工程の着工順序決定を実現する、生産計画実行を支援する生産実行支援方法、生産実行支援装置、コンピュータプログラム、および記録媒体を提供する。
【解決手段】 製品の生産工程投入時期と投入時からの経過時間の両方、さらには工程の操業度により生産優先度情報を変動させて、ロットサイズと生産優先度情報の演算により、各工程での合理的な着工順番表を作成して、工程作業者に着工ロット情報を提供して、工程作業者がこの情報を参照しながら着工ロットを選択して作業を進める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハの加工および検査(以下、両方を含めて加工と称する)あるいは機械加工などのジョブショップ型の生産ラインおよび工程に見られるような、複数の装置を用いて生産優先度や加工処理方法の異なる複数の製品やその集まりであるロットを製造する場合の着工順序の設定を支援する、生産管理実行支援システム、生産管理実行支援方法、生産管理実行支援プログラムおよび生産管理実行支援プログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハや高度な機械のように複雑な加工工程を必要とし、かつ品種によって加工条件および手順や生産数が異なる製品の生産では、高価な製造装置(以下、装置と省略する)の有効活用を図るために、同種の装置を一か所に集めて装置群としたジョブショップ方式の装置レイアウトをとることが一般的である。
【0003】
このジョブショップ方式生産ラインで加工される製品には、生産の優先度が異なる複数の製品や、また同一の製品でも同じ装置でありながら加工進度に応じて別条件あるいは別種の加工を行う複数のロットが混在していること、さらにはロットを構成する数量、枚数、容量あるいは重量(以下、ロットサイズと称する)が異なることが一般的である。すなわち1種の装置の加工を待つ製品やロットの生産優先度は、全て異なるものと考えられる。このような生産優先度が異なる複数のロットのうち、あるものの加工を他より優先し、短期間で製品を完成しなければならないという状況がしばしば生ずる。
【0004】
特にライフサイクルが短い近年の製品にあっては加工プロセス検証用の試作品や顧客提出用のエンジニアリングサンプルを短期間に量産製品の生産と平行して試作することや、顧客の要求に柔軟に対応して生産するなどの納期や数量の要求に迅速に対応することが顧客の満足度向上に重要である。すなわち、生産優先度を顧客要求に柔軟に対応させることがメーカーとしての競争力向上のために極めて重要である。
【0005】
効率の良い生産のために特許文献1乃至7に開示されたような提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−145021号公報
【特許文献2】特開2007−233579号公報
【特許文献3】特開平6−176030号公報
【特許文献4】特開平6−266413号公報
【特許文献5】特開2002−73148号公報
【特許文献6】特開2002−173204号公報
【特許文献7】特開2003−288112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1はこのようなジョブショップ方式生産ラインを用いた半導体ウエハ製造の生産ラインの装置と工程端末の構成例である。この生産ラインでは、各々のジョブショップを工程1、工程2、工程3、工程4と示しており、各工程には生産指示情報の出力や加工結果の入力のための工程端末が設置され、生産ライン管理者の指示情報や工程でのロット加工開始やロット加工終了等の進捗報告情報が生産ライン管理コンピュータシステムと授受されている。
【0008】
このような生産ラインでは、工程1の装置群1aから1dのいずれかで製品の第1段階の加工が行われ、この加工を完了した製品は工程2における加工待ちロット待機棚(図示せず)に到着する。この製品の到着は、工程2の加工スケジュールとは非同期である。また、工程ごとの加工時間も製品やロットによってそれぞれ異なっていることが多い。
【0009】
そして、工程2に到着した製品は、工程2の装置群2aから2cのいずれかの装置で加工が行われ、この加工の完了した製品は、工程3へ進むか工程1へ戻る。以下、工程3、工程4へ進んだ製品は製品ごとに決められた加工手順に従い、工程1から工程4のいずれかを繰り返すかあるいは最終検査を経て完成することとなる。
【0010】
ここで、各工程(工程1、工程2、工程3、工程4)でのロットの加工順序、加工開始時刻の制御は、次のとおり行われるのが一般的である。
(a)直前のロットの加工が終了すると、作業者が到着済みの仕掛の中から最も生産優先度が高いと判断するロットを選んでこの装置で加工する。
(b)前工程から優先度の高いと判断するロットが到着しそうな場合には、前工程の作業者と連絡を取りながら、加工開始時刻を推定し、例えば、装置を空けた状態でそのロットの到着を待つなどして、加工順序を判断する。
(c)生産優先度の高いロットを確実に短工期で流したい場合には、そのロットに専任の進捗管理担当者を割り付け、この専任者の経験則に基づく判断によってロットの進捗に合わせて、次工程でのロットの受入、直ちに加工開始の調整を行うこともある。
【0011】
上記(a)から(c)にいたる制御方法において、顧客の期待を反映させた着工順番を実現させることが望ましいが、生産者が全顧客への納期影響度をロットサイズと順番の関係から評価していないと、これに応える合理的な着工順番算出ができず、顧客満足度は低下する危険性をもっている。例えば少量のロットを待つ顧客への納入が遅延した場合は少量であるがゆえに早く受け取るはずとの期待と遅延した現実のギャップの大きさがそのまま納期に関する満足度の低下となる。
【0012】
以下は、ロットサイズSの納期への影響と顧客の満足度を極大化する着工順序の決定方法の一般的な例であるが、例えば、非バッチ処理(別称:枚葉処理)を行う工程に、着工可能なロットがiロットあって、それぞれのロット名称がL1、L2、L3、・・・、Liであり、また、各ロットのサイズがS1、S2、S3、・・・、Siであって、各ロットを加工するに必要な工程生産所要時間がT1、T2、T3、・・・、Tiであるとき、各ロットの生産所要時間TiはロットサイズSiの関数F(Si)として表現すれば次のように取り扱える。各工程で決まる1単位サイズ生産に必要なサイクルタイムをaとし、各工程での着工前後にかけられる段取り時間と後処理時間の合計をbとすると、
[数1] T1=F(S1)=a*S1+b (1)
[数2] T2=F(S2)=a*S2+b (2)
[数3] T3=F(S3)=a*S3+b (3)


[数4] Ti=F(Si)=a*Si+b (4)
(式1)から(式4)において条件
[数5] S1≦S2≦S3≦・・・≦Si (5)
が成り立つときは
[数6] T1≦T2≦T3≦・・・≦Ti (6)
が成り立つ。このとき、工程で必要な総工程生産所要時間は
[数7]ΣTS=T1+T2+T3+・・・+Ti (7)
他方、バッチ処理工程における各ロットの生産所要時間TiはロットサイズSiによらず一定で、次の式8のようになる。
[数8] T1=T2=T3=・・・=Ti=a+b (8)
つまり総工程生産所要時間ΣTSはロットL1、L2、L3、・・、Liのなかでどのような着工順番をとっても式8で計算される値をとり、つまり着工順番により変わらないために、工程の着工順番決定にロットサイズの関係を盛り込むことを重要視することが稀である。
【0013】
ここで上記式1から式7の関係が成立する生産ラインのロットLiを待つ特定顧客に着目し、前記特定顧客がそのロットを待つ時間をTWiとすると、ロットの着工順番がL1→L2→L3→・・・・→Liなる時に、特定顧客の待ち時間TWiは次のとおりである。
[数9] TWi= T1+T2+T3+・・・+Ti (9)
式9の意味するところは、Liなるロットを待つ顧客は、L1の加工時間と、L2の加工時間と、L3の加工時間と、以降、Liまでの全ロットの加工時間を合計したものになる。今度は全顧客に着目し、工程での着工順番がL1→L2→L3→・・・→Liなるときの全顧客総待時間ΣTWSxは式9を全ロットすなわち全顧客に適用する結果、次のとおりとなる。
[数10] ΣTWSx=TW1+TW2+TW3+・・・・+TWi
=T1+(T1+T2)+(T1+T2+T3)+・・・+(T1+T2+T3+・・・+Ti) (10)
仮に着工順番をロットL1とロットL3の二つのロットについて入れ替えて、工程での着工順番がL3→L2→L1→・・・→Liなるときの全顧客総待時間ΣTWSyは次のとおりとなる。
[数11] ΣTWSy=TW3+TW2+TW1+・・・・+TWi
=T3+(T3+T2)+(T3+T2+T1)+・・・+(T1+T2+T3+・・・+Ti) (11)
式10と式11の全顧客総待時間の差ΣTDは
[数12] ΣTD=ΣTWSy−ΣTWSx
=(T3+(T3+T2)+(T3+T2+T1))−(T1+(T1+T2)+(T1+T2+T3))
=2×T3−2×T1 (12)
上記の式5が成り立つ条件なら式6が成り立ち、式6が成り立つ条件なら式12はゼロ以上であるから、ロットサイズS3がロットサイズS1より大きいときは、全顧客の総待時間ΣTWSが大きくなってしまうことを示している。結局のところ、同時に1ロットだけが生産可能な場合、式6と式7が成立する場合は全顧客の総待時間ΣTWSが最小値を得るのは、着工順番が次のようになるときであることがわかる。
【0014】
ロットサイズS1、S2、S3、・・・、Siの小さい順番すなわち L1→L2→L3→・・・→Liの順に着工すると工程の必要生産時間ΣTSは一定のまま、全顧客の総待ち時間ΣTWSが
[数13] ΣTWS=TW1+TW2+TW3+・・・+TWi
=T1+(T1+T2)+(T1+T2+T3)+・・・+(T1+T2+T3+・・・+Ti) (13)
であらわされる最小値をとる。つまり、全顧客の総待ち時間である式13のΣTWSの中身を見ると、自分の加工時間以外をなす着工待ち時間を最小にすることが製品を待つ全顧客の総時間を最小にすることにつながる。具体的にはロットサイズの最小のロットから着工し、順次ロットサイズの小さい順に進めて、最大のロットサイズのロットを最後に着工するのが最良の方法であることがわかる。個々の顧客の納期満足度が、顧客が製品を待つ時間の逆数と同等あるいは待ち時間の逆数に比例すると考えれば、各顧客の満足度の総和すなわち全顧客満足度総和値が極大値を採りえる着工順番は、ロットサイズの小さい順となる。従って、顧客満足度を低下させない為にロットサイズを考慮した合理的な着工順番算出が課題となる。
【0015】
他方、前記(a)から(c)にいたる制御方法における製品やロットの生産優先度の指定あるいは設定(以下、生産優先度の設定と称する)は非常に重要な課題であって、生産優先度情報を活用する生産ラインであるならば、生産優先度情報の有用性の維持のための合理的な更新手段が必要といえるが、前記(a)から(c)の手順として例えば特許文献1のような効率的な生産管理方法が提案されているが、優先度の合理的な更新方法やロットサイズに関連した提案は無い。
【0016】
特許文献1に対しては、例えば装置間の仕掛ロット総数の増加抑制を目指した特許文献2のような改良提案もなされている。この特許文献2の提案によれば、複数ある工程や装置の仕掛ロットの中で優先して着工すべき工程、装置を合理的に選定可能で、仕掛ロット総数の増加を抑制しながら工程滞留状態を緩和させるとしていて、優先度の活用は提案しているが優先度の合理的な更新方法やロットサイズに関連した提案は無い。
【0017】
また一方で、装置故障時に出現する当初の生産スケジュールとの乖離の度合いにより製品ごとの生産優先度を線形結合して生産優先度を改訂算出して加工待ち行列の順番決定を行う特許文献3の提案や、要求される納期と生産進捗を勘案した生産優先度決定の提案を行う特許文献4の提案、次工程の装置負荷率なる指標を基準に着工すべき製品の優先度設定を推奨する特許文献5の提案もあるが、前記特許文献1,2と同様に合理的な優先度の更新方法やロットサイズに関連した提案は無い。
【0018】
また、ロットサイズに着目して装置への割付すなわち着工ロットの選定を提案する特許文献6の提案があるが、前記背景技術でのべたロットサイズの昇順をとるべきとの一般性とは異なっている。バッチ組みされた製品の加工順番決定の為の提案として特許文献7はあるが、生産優先度およびその更新に関する提案はなく、ロットサイズは計算の一要素にすぎず順番決定の支配的地位には無い為、特許文献6と同じく前記背景技術でのべたロットサイズの昇順をとるべきとの一般性を持っていない。
【0019】
生産優先度を利用することは前記特許文献1乃至5に提案されているように優れた生産管理であるといえるが、生産優先度を固定されたものと扱うのは情報の陳腐化の懸念をもたらし有用性が低下する。有用性維持の為に生産優先度を更新しようとするとき合理的手段が無い場合は、多数ロットが混在する中では更新の手間が膨大となり、時間的制約の中では一旦設定された生産優先度を更新されることがまれとなるため、日々の生産状況の変化や顧客要求の変化に生産優先度を追従させることができるロット数は限定される。これに加えて試作製品の特急流動があるなら既存流動ロットと試作品ロットの生産優先度の調整を短時間で行う必要が加わり、量産ロットの生産優先度の更新にかけられる時間がさらに減って、益々生産優先度の有用性が低下してゆく。生産優先度を活用する生産ラインであるならば、その有用性の維持のための合理的な更新手段が必要といえる。付随して述べれば前記特許文献1乃至5の提案においては製品の優先度選択は行うが同一製品の中でロットの優先度選択は示されておらず、例えば試作ロットが加工待ち行列順番の中で先頭に着工させたいときなどの順番選定はできないものと推定される。ロット毎に生産優先度を設定し、かつこれを定期的に更新するのが良いといえる。
【0020】
また着工順番をロットサイズとの関連で考慮しない特許文献1乃至5においては生産者側の最適化を目指してはいるが、顧客側を見た場合は全顧客の総待ち時間はむしろ延びる可能性を持っていて顧客満足度低下の危険を内在している。さらに、特許文献6においては製造側の事情を優先させた方法なので上記背景技術で述べた一般性とは逆であってむしろ顧客満足度を低下させてしまうものと考えられる。
【0021】
前述の課題解決の方法、すなわち、生産優先度の有用性の維持のため合理的な更新手段が必要なこと、顧客満足度極大値をとるための着工順番はロットサイズの小さい順でなければならないこと、は明らかになったが、双方を両立させながら合理的に解決する手法がこれまで無いことで、生産工程における着工順番決定は依然として課題を持っていた。
【0022】
以上挙げた課題のほかに、バッチ処理工程における加工条件グループ分けの中でどの条件グループが優先して着工されるべきかの合理的で効果的な方法はいまだ提示されておらず、着工順序やロットの選択は依然工程の担当者や生産ライン管理者の裁量に任されているのが実情といえ、ロットサイズや生産優先度の両立を合理的に関係させる方法の無い状況は残ったままである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明では、複数製品を生産する混流生産工程における生産計画実行を、生産すべきロットに生産優先度情報を持たせて行う生産管理実行支援方法において、各ロットの生産優先度情報が生産優先度初期数と生産優先度更新数で構成され、生産優先度初期数と生産優先度更新数は相互に関連しない数量で設定することも選択可能なステップと、前記生産優先度情報はロットの加工投入時に生産優先度初期数を初期値として設定するステップと、加工途中にあるときは全ロット一斉に所定時間毎に生産優先度更新数だけ加算するステップと、前記のごとく更新された生産優先度情報を記憶するステップと、また、所定時間毎に各ロットのロットサイズを更新後の前記生産優先度情報で除して着工順番指数を作成するステップと、前記着工順番指数を記憶するステップと、ロットごとの着工順番指数の大小比較を行うステップと、前記大小比較の結果最小値を為したロットを最優先にするように並び替えするステップと、並び変えられた着工ロット順番情報を出力するステップを、含むことを特徴とする生産管理実行支援方法とする。
【0024】
また、前記生産優先度更新数は各製品毎に異なる数であることを許容する生産計画実行支援方法とする。
【0025】
また、前記生産優先度初期数は各製品毎に異なる数であることを許容する生産計画実行支援方法とする。
【0026】
また、前記生産優先度情報は、さらには生産途中で生産優先度更新数を変更するステップを含むことを許容する生産計画実行支援方法とする。
【0027】
また、前記生産優先度情報を、異なるロット間で受け渡しを行わせる為のステップを付加して、前記生産優先度情報は、同一製品の別ロットへ引渡し可能にしたことを特徴とする生産計画実行支援方法とする。
【0028】
また、前記着工順番指数計算ステップが、前記生産優先度情報を、前記生産優先度情報の2乗数に変換した後で着工順番指数を演算する生産管理実行支援方法とする。
【0029】
前記着工順番指数計算ステップが、前記生産優先度情報を、前記生産優先度情報の平方根数に変換した後で着工順番指数を演算する生産管理実行支援方法とする。
【0030】
また、前記着工順番指数計算ステップが複数の中から選択可能にした生産管理実行支援方法とする。
【0031】
また、前記着工順番指数計算ステップが、工場の製造能力最大数と製造必要数から算出する工場操業度指数を乗数に使って前記生産優先度情報を変換した後で着工順番指数を演算する生産管理実行支援方法とする。
【0032】
また、製品やロットの加工条件が必ずしも同一でないバッチ処理工程におけるバッチ着工順番指数を比較するステップが、同一加工条件のロット毎にロットサイズを優先度情報で演算するステップ、バッチごとの総和を求めるステップ、着工可能なバッチ別の演算結果の総和同士を比較するステップ、総和値の小さい順番にバッチ順番を作成するステップ、作成されたバッチ順番を出力するステップを備えた生産管理実行支援方法とする。
【0033】
また、前記着工可能なバッチ別の演算結果の総和同士を比較するステップは、フルバッチ状態のバッチ同士を比較し、総和値の小さい順番にバッチ順番とし、次いで、非フルバッチ状態のバッチ同士を比較し、総和値の小さい順番にバッチ順番とし、フルバッチ状態のバッチは非フルバッチ状態のバッチより優先して着工することを特徴とする生産管理実行支援方法とする。
【0034】
また、複数製品を生産する混流生産工程における生産計画実行を、生産すべきロットに生産優先度情報を持たせて行う生産管理実行支援プログラムにおいて、各ロットの生産優先度情報を生産優先度初期数と生産優先度更新数で構成する手順を持ち、前記生産優先度情報はロットの加工投入時に無次元で1以上である生産優先度初期数を初期値とする手順の後、加工途中にあるときは全ロット一斉に所定時間毎に無次元で1以上である生産優先度更新数だけ加算する手順と加算結果を記憶する手順を持ち、所定時間毎に各ロットのロットサイズを更新後の前記生産優先度情報で除して着工順番指数を作成する手順と、ロットごとの着工順番指数の大小比較により合理的な着工順番を作成と出力する手順を有する、生産管理実行支援プログラムとする。
【0035】
また、前記生産優先度更新数は製品毎に異なる数であることを許容する生産管理実行支援プログラムとする。
【0036】
また、前記生産優先度初期数は製品毎に異なる数であることを許容する生産管理実行支援プログラムとする。
【0037】
また、前記生産優先度情報は、さらには生産途中で前記生産優先度更新数を変更する手順を含むことを許容する生産管理実行支援プログラムとする。
【0038】
また、前記生産優先度度情報と前記生産優先度更新数を、異なるロット間で受け渡しを行わせる為の手順を付加して、前記生産優先度情報は、同一製品の別ロットへ引渡し可能にしたことを特徴とする生産管理実行支援プログラムとする。
【0039】
また、前記着工順番指数計算手順が、前記生産優先度情報を、前記生産優先度情報の2乗数に変換した後で為される生産管理実行支援プログラムとする。
【0040】
また、前記着工順番指数計算手順が、前記生産優先度情報を、前記生産優先度情報の平方根数に変換した後で為される生産管理実行支援プログラムとする。
【0041】
また、前記着工順番指数計算手順が複数の中から選択可能にした生産管理実行支援プログラムとする。
【0042】
また、生産能力情報データベース情報と営業の受注情報データベースから工場操業度指数を算出する手順を持ち、前記工場操業度指数を乗数に使って生産優先度情報を変換する手順の後で着工順番指数の演算手順を実行する生産管理実行支援プログラムとする。
【0043】
また、製品やロットの加工条件が必ずしも同一でないバッチ処理工程におけるバッチ着工順番指数の比較が、同一加工条件のロット毎にロットサイズを生産優先度情報で演算する手順、その後その総和を求める手順、さらに着工可能なバッチ別の演算結果の総和を求める手順、総和同士を比較する手順、総和値が最小値をなす条件のバッチを最優先に推奨する手順を有する生産管理実行支援プログラムとする。
【0044】
また、前記着工可能なバッチ別の演算結果の総和同士を比較するステップは、フルバッチ状態のバッチ同士を比較し、総和値の小さい順番にバッチ順番とし、次いで、非フルバッチ状態のバッチ同士を比較し、総和値の小さい順番にバッチ順番とし、フルバッチ状態のバッチは非フルバッチ状態のバッチより優先して着工することを特徴とする生産管理実行支援プログラムとする。
【0045】
また、生産管理系システムと販売管理系システムと生産ライン系システムとからなり、複数の製品を複数の工程で生産する生産管理実行支援システムであって、前記生産管理系システムは製品情報データベースと生産能力情報データベースと在庫情報データベースとを記憶する外部記憶装置と、前記データベースを基に演算したり生産管理系全体を制御したりする制御部と、前記演算して得られた結果を記憶する主記憶装置と、時間情報を提供する時計部と、前記演算結果を出力する出力部と、データベースへの情報のインプットもしくは情報の出力指示を行う入出力部と、情報の受発信を行う通信部とから構成され、前記販売管理系システムは顧客からの受注情報をインプットする受注情報入出力部と、前記受注情報を記憶する受注情報データベースと、情報の受発信を行う通信部とから構成され、前記生産ライン系システムは生産ラインの各工程の装置と、前記装置と接続されて前記装置に対し製造指示を与えたり、装置の稼動状況を把握したりする工程端末部と、情報の受発信を行う通信部とから構成され、前記生産管理系システムと前記販売管理系システムと前記生産ライン系システムの各々の通信部は通信回線部に接続され互いに情報の受発信を行うことを特徴とする生産管理実行支援装置とする。
【0046】
また、コンピュータに、各ロットに対して生産優先度情報がそれぞれ無次元で1以上である生産優先度初期数と生産優先度更新数を設定するステップ、前記生産優先度初期数と同じく前記生産優先度更新数は相互に関連しない数量で設定することも選択可能なステップ、前記生産優先度情報はロットの加工投入時に生産優先度初期数を初期値として設定するステップ、加工途中にあるときは全ロット一斉に所定時間毎にその数値がゼロ以上である制限を持たせた生産優先度更新数だけ加算するステップ、前記のごとく設定あるいは更新された生産優先度情報を読み出し、記憶するステップ、また所定時間毎に各ロットのロットサイズを更新後の前記生産優先度情報で除して着工順番指数を作成するステップ、前記着工順番指数を記憶するステップ、ロットごとの着工順番指数の大小比較を行うステップ、前記大小比較の結果最小値を為したロットを最優先にするように並び替えするステップ、並び変えられた着工ロット順番情報を出力するステップ、を実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体とする。
【0047】
また、前記生産優先度情報を構成する生産優先度初期数と生産優先度更新数の片方または双方を生産途中で変更するステップ、を実行させるためのプログラムを付加記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体とする。
【0048】
また、前記生産優先度度情報を異なるロット間で受け渡しを行わせる為のステップ、を実行させるためのプログラムを付加記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体とする。
【0049】
また、前記着工順番指数計算過程で、前記生産優先度情報を前記生産優先度情報の2乗数に変換するステップを実行させるためのプログラムを付加記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体とする。
【0050】
また、前記着工順番指数計算過程で、前記生産優先度情報を前記生産優先度情報の平方根数に変換するステップ、を実行させるためのプログラムを付加記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体とする。
【0051】
また、前記着工順番指数計算ステップが複数の中から選択可能にするステップ、を実行させるためのプログラムを付加記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体とする。
【0052】
また、前記着工順番指数計算過程で、工場の製造能力最大数と製造必要数から算出するステップ、工場操業度指数を乗数に使って前記生産優先度情報を変換するステップ、を実行させるためのプログラムを付加記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体とする。
【0053】
また、バッチ着工順番指数を比較する為に、同一加工条件のロット毎にロットサイズを優先度情報で演算するステップ、バッチごとの総和を求めるステップ、着工可能なバッチ別の演算結果の総和同士を比較するステップ、総和値の小さい順番にバッチ順番を作成するステップ、作成されたバッチ順番を出力するステップ、を実行させるためのプログラムを付加記録させて、製品やロットの加工条件が必ずしも同一でないバッチ処理工程のためのコンピュータ読み取り可能な記録媒体とする。
【0054】
そして、前記着工可能なバッチ別の演算結果の総和同士を比較するステップは、フルバッチ状態のバッチ同士を比較し、総和値の小さい順番にバッチ順番とし、次いで、非フルバッチ状態のバッチ同士を比較し、総和値の小さい順番にバッチ順番とし、フルバッチ状態のバッチは非フルバッチ状態のバッチより優先して着工することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体とする。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、生産者の製造所要時間総和は変わらないままで、ロットサイズ情報を、一定時間サイクルで更新させて得られる時々刻々のロット個別の生産優先度情報を例えばそのまま、あるいは2乗数、さらには平方根数をとったもので、除算した結果得られる着工順番指数を昇順にならべて数値の小さい順を最優先とする比較を行うことで、飛躍的に合理性を増した着工順番が得られ、その結果全顧客が抱く納期満足度は本発明を実施しない場合よりも相対的に低下を防止できる。また、バッチ処理工程におけるバッチ組み別の着工優先順番も前記着工順番指数の各バッチ組み総和値を昇順にならべて数値の小さいバッチ組みを最優先とする比較を行うことで、同様に飛躍的に合理性を増した着工順番が得られ、全顧客が抱く納期満足度は本発明を実施しない場合よりも相対的に低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】ジョブショップ型生産ラインの構成図。
【図2】本発明の実施形態に係わる生産管理実行支援コンピュータシステム構成図
【図3】生産優先度情報Yの時間経過遷移図
【図4】従来の新規製造ロット手配書による新規ロット生成のサブ手順例図
【図5】本発明の実施形態に係わる新規ロット生成のサブ手順例説明図
【図6】本発明の実施形態に係わる生産優先度情報更新サブ手順例説明図
【図7】本発明の実施形態に係わる着工順番決定サブ手順例説明図
【図8】本発明の実施形態に係わる着工順番決定手順例説明図
【図9】従来の着工順番作成手順例
【図10】本発明の実施形態に係わる着工順番決定手順例説明図
【図11】本発明の実施形態に係わる着工順番決定手順例説明図
【図12】本発明の実施形態に係わる着工順番決定手順例説明図
【図13】本発明の実施形態に係わる着工順番決定手順例説明図
【図14】本発明の実施形態に係わる着工順番決定手順例説明図
【図15】本発明の実施形態に係わる着工順番決定手順例説明図
【図16】本発明の実施形態に係わる説明図
【図17】本発明の実施形態に係わる着工順番決定手順例説明図
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図1から図16の同一部分については同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0058】
図2は生産優先度情報Yの定期的な更新に基づく着工順番指数Jの合理的な算出を行う生産管理実行支援コンピュータシステムの実施例を示す構成図であり、図8は生産優先度情報Yの合理的な更新、更新された生産優先度情報Yを使って着工順番指数Jの演算、算出された着工順番指数Jを使い着工順番リストを得る生産管理実行支援方法のプログラムと手順の一実施例を示す。
【0059】
図2に示す生産管理実行支援コンピュータシステムは、生産管理系システムと販売管理系システムと生産ライン系システムとからなる。
【0060】
生産管理系システムは、試作品を含む全製品の製造に関わる情報である製品情報データベース1と、全製品の全工程の全装置の全加工条件および加工所要時間情報である生産能力情報データベース2と、全工程にある全ロットL1、L2、L3、・・・、Li、・・・Lmの加工順序情報や次の加工工程情報等々の加工進行状況とロットサイズS1、S2、S3、・・・、Si、・・・Smに関わる情報である在庫情報データベース3とを記憶する外部記憶装置14、これらの情報を基に演算を実施し、生産管理系全体を制御する制御部12、演算して得られた結果を記憶する主記憶装置13、時間情報を提供する時計部15、演算結果を出力する表示出力部7および印刷出力部6、前出のデータベースへの情報のインプットもしくは情報の出力指示を行う入出力部4、通信部5などから構成され、販売管理系システムは、販売者が顧客から受けた受注情報をインプットする受注情報入出力部10からインプットおよびそれを取り込む受注情報データベース11などから構成され、生産ライン系システムは、工場の生産ラインの各工程の装置と、その装置と接続されて装置に対し製造指示を与え、装置の稼動状況を把握し、通信部5を介して通信回線部9との情報の授受を行う工程端末部8などから構成される。生産管理系システムと販売管理系システムと生産ライン系システムは各々が有する通信部5,17,18,19,20,21を介して通信回線部9に接続され互いに情報の受発信を行っている。
【0061】
上述のように構成された生産管理実行支援コンピュータシステムにおいて、生産ライン系システムの加工進捗状況や加工完了ロット数などの情報は在庫情報データベースに記憶され、顧客から受けた受注情報と在庫情報データベースを照合し、各製品の不足状況確認し、新規投入必要ロット数を算出して新規ロットの投入を指示する。詳述すると次のようになる。すなわち、制御部12は時計部15に設定された時間間隔tに基づき定期的に計算開始タイミング情報を貰うと、通信部5、通信回線部9を通じて、受注情報データベース部11から製品別に展開された受注数情報を入手する。次に在庫情報データベース部3から在庫数情報を読み込み、主記憶装置13と外部記憶装置14を使って製品別の受注数情報と在庫数情報との演算により、製品別の不足数と、製品別の不足数の合計数なる不足総数Pが算出され、同じく生産能力情報データベース部2から製品別の製造歩留を使って製品別新規投入数を得る。ここで得た製品別新規投入数を在庫情報データベース部3へ記憶させて新規製造ロット手配書のデータとする。
【0062】
本発明の一実施手順例である図8では、ステップS10において時計部15の計算開始タイミング情報を貰うと、ステップS1000で受注情報データベース部11から通信部5、通信回線9を通じて得た受注情報データを生産管理情報へ展開して新規製造ロット手配書を作成する手順を実施する。前記新規製造ロット手配書を基にステップS2000で新規投入ロット生成手順を実施し、ここにおいて新規ロットにロットサイズ情報Sと、生産優先度初期数情報Ysと生産優先度更新数情報kとで構成された生産優先度情報Yが与えられる。また、一方新規ロット以外の既存の工程流動中ロットの生産優先度情報Yに対しては、処置を加えない。ステップS3000では全生産ロットすなわち生成された新規投入ロットおよび既存の工程流動中ロットの両方の生産優先度情報Yの更新手順を実施する。ステップS4000でロットサイズSと生産優先度情報Yを使い着工順番指数Jを演算の後、Jの値の小さい順にロットリストを並べ替えして、着工順番リストを作成する。以上のステップS10からステップS4000までの手順を時計部10に設定された時間サイクルで行うものである。
【0063】
図9は、図2に示される生産管理実行支援コンピュータシステムと同様のシステムを利用してなされる従来技術における着工順番リスト作成の一般的な例である。
【0064】
従来の一般的手順例である図9では、時計部15の計算開始タイミング情報をもらうか、生産ライン管理者が発意したときに、ステップS1000で受注情報データベース11から通信部5、通信回線9を通じて得た受注情報データを生産管理情報へ展開して新規製造ロット手配書を作成する手順を実施し、前記新規製造ロット手配書を基にステップS2000で新規投入ロット生成手順を実施し新規ロットの生成とロットサイズ情報Sと生産優先度情報Yを与える。新規ロット以外の既存の工程流動中ロットの生産優先度情報Yに対しては、処置を加えないことは本発明の一実施例に同じである。
【0065】
一般的手順例である図9におけるステップS3000では、前記新規投入ロットにステップS2000で付与された生産優先度情報Yとすでに投入時点で生産優先度情報を付与されて既存の工程流動中ロットの生産優先度情報Yを使い、新たに作成された全ロットの生産優先度情報Yの全体比較演算による暫定的な生産優先度リストを作成し、ステップS4000で前記暫定的な生産優先度リストを基に生産ライン管理者が定めたルールに従う順にロットリストを並べ替えして、ステップS5000で着工順番リストを出力する。ここにおいて、個々のロットの生産優先度情報Yは固定されたままか合理的な更新手段が無いため投入時に設定されたものが維持されることが一般的であり、相当時間さかのぼって行われたものであるから、現在の生産状況を正しく反映させることは困難であることは明らかである。なお、以上のステップS1000からステップS5000までの手順は、生産管理者が生産管理システムにあらかじめ設定した時間スケジュール、たとえば1日に1回や2回など行われるのが一般的である。
【0066】
従来の一般的手順図9におけるステップS2000をさらに詳細に展開した一般的なサブ手順例として図4を挙げる。サブ手順には製造手配数と歩留まりから追加生産必要数を求める手順S2040、投入ロット数を追加生産必要数とロット工整数から求める手順S2050、新ロットを生成する手順S2060、ロット番号を付番する手順S2070、新ロットに生産優先度情報を付与する手順S2075などが含まれる。。
【0067】
本発明の一実施手順例図8と一般的手順例図9とを比較すれば、一つは一定時間サイクルで着工優先順演算を行うか否かでありこれは図8のステップS5000からステップS10へ戻るループが相当し、さらに別の一つは着工優先順決定演算に係わる生産優先度情報Yが一定時間サイクルで増加更新されるか否かでありこれは図8のステップS3000のサブ手順とにある。
【0068】
着工優先順演算を行わないということは、生産ロットが流動するより相当時間さかのぼって設定された生産優先度情報Yを用いることであり、設定時の状態が引き継がれている場合は生産管理上の意味はある程度はあるが、直近の生産状況を正しく反映させているとは言いがたく、有用性に限界がある。
【0069】
また、着工優先順決定演算に係わる生産優先度情報Yを一定時間サイクルで増加更新することは、時間の経過とともに顧客納期に対する逼迫度が上昇するので、これに伴い生産の優先度を上げるのが必然であるべきであるから、増加更新しない方法よりも有効であると言える。
【0070】
以上述べた生産優先度情報Yの更新結果とロットサイズ情報Sとを利用して着工順番指数Jを計算して昇順に着工順番を決定することの効果を次に説明する。生産ライン内の着目する生産工程の着工可能なロットをL1、L2、L3、・・・、Liとし、各ロットの生産優先度情報YをY1,Y2、Y3、・・・、Yiとし、前記各ロットの生産優先度初期数Ysを等しくYsとし、生産優先度更新数情報kを同様に等しくkとする。ここで生産優先度初期数Ysと生産優先度更新数kは無次元の1以上の数値に限定する。
【0071】
入出力部4を通じて生産ライン管理者が設定した生産優先度更新繰り返しサイクル時間情報が時計部15に記憶されていて、時計部15は生産優先度更新繰り返しサイクル時間t毎に制御部12に対して生産優先度情報Y1、Y2、Y3、・・・、Yiの更新指示を行う。
【0072】
ある時刻のロットL1、L2、L3、・・・、Liの生産優先度情報Y1、Y2、Y3、・・・、Yiは各ロットが投入時点からK1時間、K2時間、K3時間、・・・、Ki時間経過しているなら次の式17から式20のように表現される。ここでK1からKiは相互に等しい場合もあれば異なることもあり、要するにゼロ以上の様々の値である。ただしロット投入順序に従うことは無論で、例えばロット投入順序がL1→L2→L3→・・・→Liならば K1≧K2≧K3≧・・・・≧Kiである。
[数14] Y1=Ys+k*(K1/t) (14)
[数15] Y2=Ys+k*(K2/t) (15)
[数16] Y3=Ys+k*(K3/t) (16)


[数17] Yi=Ys+k*(Ki/t) (17)
なお、正確には演算した結果の整数部分を取る等の操作が必要かもしれないが、ここでは概念を説明するのが目的であり、煩雑さを避けるためにそのような操作は行っていない。以下の説明でも同様である。
【0073】
前記式14から式17で表現されるY1からYiの変化を図示すれば概ね図3のようになる。生産優先度初期数Ysおよび生産優先度更新数kの双方が無次元の1以上の数値に限定されていることから、生産優先度情報Y1、Y2、Y3、・・・、Yiもまた無次元の1以上の数値に限定される。
【0074】
式14から式17および図3をみてわかる様に、全てのロットが、投入時点で同じ生産優先度初期数Ysを持ち、同じ生産優先度更新数kを持っていて、各ロット個別に生産終了まで一定数の増加更新を繰り返しながら維持されてゆく。つまり生産優先度情報Y1、Y2、Y3、・・・、Yiは定常的に増加更新されながら生産ライン管理者の期待する生産優先度状態を合理的に維持できることとなる。こうして維持された生産優先度情報Y1、Y2、Y3、・・・、Yiは大きい数値のロットを生産優先度が高いものと扱い、着工順番指数Jの計算に用いることとする。
【0075】
前述したロットサイズS1、S2、S3、・・・、Siのうちその数値の小さい順に着工して顧客の満足度の総和を極大にすることと、生産優先度情報Y1、Y2、Y3、・・・、Yiの数値の大きい順に着工して生産優先度順に着工することとを両立させる為に次のように着工順番指数 J1、J2、J3、・・・、Jiを計算する。
【0076】
時計部15の指示の都度、次の式21から式24となる着工順番指数J1、J2、J3、・・・、Jiの計算を制御部12で行い、順次在庫情報データベース部3へ記憶してゆく。
[数18] J1=S1/Y1 (18)
[数19] J2=S2/Y2 (19)
[数20] J3=S3/Y3 (20)


[数21] Ji=Si/Yi (21)
式18から式21をみて明らかなように、ロットサイズS1、S2、S3、・・・、Siの小さい数値のロットほど、またY1、Y2、Y3、・・・、Yiの数値の大きいロットほど着工順番指数J1、J2、J3、・・・、Jiは小さくなる。制御部12は加工中の全ロットを工程別にグループ分けし、必要ならば工程毎に加工条件別にグループ分けして着工順番指数Jを昇順に並べ替えて推奨する着工ロット順番を決定し、生産優先度と、全顧客が製品を待つ総待ち時間最小値の両立を目指した生産を継続できることとなる。
【0077】
また図10は一実施例の図で、図8に示した時計部開始指示待ちステップS10のループの途中に、生産優先度初期数Ysや生産優先度更新数kなどの生産優先度情報Yを格別に設定可能にするステップS09を追加したものである。これは特定製品や特定ロットの着工順番が格別に演算される着工順番リストを得る生産管理実行支援方法、プログラム、あるいは手順である。これは、生産優先度初期数Ysや生産優先度更新数kは製品毎やロット毎に決めることができることを意味しており、生産優先度初期数Ysのみを設定することもできるし、生産優先度更新数kのみを設定することもできる。さらには生産優先度初期数Ysおよび生産優先度情報kの両方を製品毎、ロット毎に設定することもできる。
【0078】
ロットL1、L2、L3、・・・、Liと各ロットの投入後の経過時間 K1、K2、K3、・・・、Kiとの生産優先度情報Y1、Y2、Y3、・・・、Yiの遷移との関係を式で表現すると次の式22から式26および図16のようになる。Ysおよびkは各ロットで異なり、添え字により区別される。K1からKiは相互に等しい場合もあれば異なることもあり、要するにゼロ以上の様々の値であることは図3の説明とおなじである。図16では、ロットLiは投入時間Kix経過後に生産ライン管理者の指示により生産優先度更新数kがkixからkiyに大きく変更された場合である。
[数22] Y1=Ys1+k1*(K1/t) (22)
[数23] Y2=Ys2+k2*(K2/t) (23)
[数24] Y3=Ys3+k3*(K3/t) (24)


[数25]
Yi=Ysi+kix*(Kix/t)+kiy*(Kiy/t) (25)
[数26] Kix+Kiy=Ki (26)
式22から式26および図16をみてわかる様に、ロット毎に生産優先度初期数Ysがロット間で異なることが許容されていて投入時点の生産速度の緩慢の差が生じ、生産中の生産速度の緩慢を表す生産優先度更新数kもやはりロット間で異なることが許容されていて、これが各ロット個別に生産終了まで増加更新を繰り返しながら維持されてゆく。つまり生産優先度情報Y1、Y2、Y3、・・・、Yiはロット毎に異なる数であり、さらに定常的に増加更新されながら生産ライン管理者の期待する生産優先度状態を合理的に維持することとなる。
【0079】
図16をさらに詳述すれば、例えばロットL3のように投入当初からそれ以前に投入されたロットL1やL2よりも高い生産優先度情報Ys3をもって生産が開始されることを許容しており、さらには、ロットL3よりはるかに遅く投入されたロットLiの生産優先度情報Yiに生産優先度情報Y3が追い越されることも許容している。このことは、単純な先入れ先出し生産を遵守せずに生産ライン管理者が自由に優先度をコントロールできることを表している。こうして維持された生産優先度情報Y1、Y2、Y3、・・・、Yiは大きい数値であれば当該ロットは生産優先度が高いものと扱われて、着工順番指数Jの計算に用いられる。
【0080】
以下、ロットサイズSに係わり顧客の満足度の総和を極大にすることと、本発明に係わる生産優先度情報Yの数値の大きい順に着工して生産優先度順に着工することとを両立させる為に着工順番指数Jは前出の式18〜式21と同様に算出できる。
【0081】
図11は、例えば図10の途中ステップS09の前に、ステップS07で生産優先度情報Yについて特定ロットとの交換の必要があるか否かを判断し、必要があるならばステップS08でロット指定の上で生産優先度情報Yを入れ替えるなどの合計二つのステップS07、S08を追加した図である。こうすることで、特定の複数ロット間の着工順番を簡便に入れ替えられる為、例えば品質的な異常が生じたためでも所定納期に間に合わせる場合の挽回ロットの加速生産に効果を上げる手順の一実施例である。
【0082】
図12は、図11の一実施例の途中ステップS3000のあとのステップS3100で生産優先度情報Yを2乗演算の後ステップS4000で着工順番指数Jの演算に進めるようにした図である。このようにすることで着工順番指数Jの演算式における生産優先度情報Yの比重がロットサイズSの比重よりも大きくなって、例えば生産優先度Yを支配的な指標として着工順番を決定する生産管理を行いたい場合に効果を上げることができる。
【0083】
この条件で生産優先度情報Yの演算ステップS3100を実行するとステップS4000の実行段階には着工指数 J1、J2、J3、・・・、Jiは
[数27] J1=S1/(Y1*Y1) (27)
[数28] J2=S2/(Y2*Y2) (28)
[数29] J3=S3/(Y3*Y3) (29)


[数30] Ji=Si/(Yi*Yi) (30)
と演算されるようになっており、生産優先度情報Y1、Y2、Y3、・・・、Yiの大小の影響度をロットサイズSより大きくさせて、したがって相対的にロットサイズS1、S2、S3、・・・・、Siの大小の影響度を低く抑える効果をもった計算方法が実現できる。
【0084】
同じく図12の一実施例手順のステップS3100の演算では平方根を取るよう変更する結果、着工順番指数Jの演算式における生産優先度情報Yの比重がロットサイズSの比重よりも小さくなって、例えばロットサイズSを支配的な指標として着工順番を決定する生産管理を行いたい場合に効果を上げることができる。この条件で生産優先度情報Yの演算ステップS3100を実行すると、ステップS4000の実行段階には着工順番指数 J1、J2、J3、・・・、Jiは
[数31] J1=S1/√(Y1) (31)
[数32] J2=S2/√(Y2) (32)
[数33] J3=S3/√(Y3) (33)


[数34] Ji=Si/√(Yi) (34)
と演算されるようになっており、生産優先度情報Y1、Y2、Y3、・・・、Yiの大小の影響度をロットサイズSより小さくさせて、したがって相対的にロットサイズS1、S2、S3、・・・・、Siの大小の影響度を大きくする効果をもった計算方法が実現できる。
【0085】
図13は、図12の一実施例の途中ステップS07の前にステップS06で生産優先度情報Yについての演算方法を特定製品または特定ロットあるいは全製品および全ロットについて個別もしくは一括に選択する手順を追加する結果、着工順番指数 Jの演算式における生産優先度情報Yの比重を大きくも小さくも製品やロット個別に選択できることとなって、例えば着工順番を決定する生産管理の生産の加速や鈍化を任意に行いたい場合に効果を上げる手順の一実施例である。
【0086】
図14は、図13の一実施例の途中時計部15の開始指示待ちステップS10のあとのステップS500で製造能力データベース2と在庫情報データベース3および受注情報データベース情報を使って実質生産必要数である総不足数Pを製造能力データベース2の情報の一部である製造能力可能数Qで除算した結果得られる工場操業度指数Rを算出後、ステップS3100において工場操業度指数Rかもしくはその逆数を乗数に使って生産優先度情報を変換した後で、ステップS4000で着工順番指数の演算に進めるようにする結果、着工順番指数 Jの演算式における生産優先度情報YとロットサイズSの比重関係を工場操業度指数Rに応じて変える事で、例えば工場操業度指数Rを支配的な指標のひとつに加えるこ生産管理実行支援を行いたい場合に効果を上げる手順の一実施例である。
【0087】
全製品の不足総数P、製造能力最大数をQ、工場操業度指数をRとすると、着工順番指数J1、J2、J3、・・・、Jiの計算はステップS4000の実行段階で
[数35] R=P/Q (35)
[数36] J1=S1/(Y1のR乗) (36)
[数37] J2=S2/(Y2のR乗) (37)
[数38] J3=S3/(Y3のR乗) (38)


[数39] Ji=Si/(YiのR乗) (39)
となり、着工順番指数 Jの計算に工場の繁閑の実情を合理的に反映することが可能になる。ここで工場操業度指数Rは総不足数Pと製造能力可能数Qの大小関係で定まる無次元の数値でゼロ以上であることは無論であり、また1に近い数値であるのが一般的である。また事情によってはRのかわりにその逆数を使い、着工順番指数J1、J2、J3、・・・、Jiの計算は、工場操業度指数Rは式35のままで
[数40] J1=S1/(Y1の(1/R)乗) (40)
[数41] J2=S2/(Y2の(1/R)乗) (41)
[数42] J3=S3/(Y3の(1/R)乗) (42)


[数43] Ji=Si/(Yiの(1/R)乗) (43)
を使うこともありえる。
【0088】
工場操業度指数Rをそのまま着工順番指数Jの演算に用いるか、逆数なる(1/R)を着工順番指数Jの演算に用いるかは生産ライン管理者の選択に任しえるものである。
【0089】
図15は、図13や図14のステップS4000の詳細手順が展開されて実行される例である。例えば図14のステップS3100までの手順を実行の後、図15で示す手順に移行し、ステップS4100で開始宣言の後、ステップS4110で生産能力情報データベース2を読み込んでバッチ処理工程のバッチ処理条件とバッチ処理最大数を得る。次にステップS4120でバッチ処理を待つ全ロットについて、ロットサイズSと生産優先度情報Yと、工場操業度指数Rや生産優先度演算方法の選択など着工順番指数演算の指定に従いながら、着工順番指数Jを演算する。次にステップS4130で工程単位の着工順番演算開始を宣言して、工程単位に着工順番演算を開始する。
【0090】
ステップS4140で加工待ちロットを加工条件別にグループ分けして、ステップS4150で同一グループの中で着工順番指数Jの小さい順番に並べ替えてグループ内の着工順番を決める。さらにステップS4160で、ステップS4110で読み込んだ生産能力情報データベース2の情報が許容するバッチ1回での処理最大数まで前記ステップS4150で決めた順番にバッチ組ロットを集める。次のステップS4170で、前記ステップS4160で決めたバッチ組ロットの着工順番指数Jの総和をバッチ加工順番指数Vとして、以下、ステップS4180において同じ工程の全加工条件グループ全てについてバッチ加工順番指数Vを算出できたか判定の後、ステップS4200で全グループのバッチ加工順番指数Vを昇順に並べ替えて、ステップS4300でバッチグループの着工順番リストを作成する。
【0091】
前記ステップS4130からステップS4300までを全バッチ処理工程について繰り返すように述べたのがステップS4400であり、最終的にステップS4900で工程別にバッチ加工順番リストを出力する。バッチ処理工程では複数ロットの処理を一括して行うが、前記一括処理するロットの着工順番指数は一律にそろっているわけではない為、ロット単独の着工順番指数Jで着工順番を決定するのは必ずしも合理的な順番決定とはいえないので、単一ロットの着工順番指数を代表させて決定することをやめて、同時に着工するロット全部の着工順番指数Jを合算したバッチ着工順番指数Vを導入しこれを算出して、その後にバッチ着工順番指数Vを比較対象にしてバッチグループを昇順に並べて着工待ちグループ間の合理的順番を決定するように手順を進める。
【0092】
本発明の手順の一実施例について図17を参考にさらに詳述する。例えば図1のように生産ラインの中で工程1、工程2、工程3、がバッチ処理工程であって、それぞれの着工待ちロットが図17のようであるとする。すなわち、工程1着工待ちロット群をL1a1、L1a2、L1a3、L1a4、L1a5、L1b1、L1b2、L1b3、L1b4、L1c1、L1c2、L1c3、L1c4、L1c5、L1c6、L1c7の16ロットとし、各ロットのロットサイズがS1a1、S1a2、S1a3、S1a4、S1a5、S1b1、S1b2、S1b3、S1b4、S1c1、S1c2、S1c3、S1c4、S1c5、S1c6、S1c7であるとする。L1a1、L1a2、L1a3、L1a4、L1a5は加工条件が同じAという同一バッチで加工できるが、L1b1、L1b2、L1b3、L1b4、L1c1、L1c2、L1c3、L1c4、L1c5、L1c6、L1c7とは加工条件が異なるのでバッチを組めないし、またL1b1、L1b2、L1b3、L1b4は加工条件が同じBという同一バッチで加工できるが、L1c1、L1c2、L1c3、L1c4、L1c5、L1c6、L1c7とは加工条件が異なるのでバッチを組めないものとする。以下、工程2でもロットL2d1、L2d2、L2d3、L2d4、L2d5、L2e1、L2e2、L2e3、L2e4、L2f1、L2f2、L2f3、L2f4、L2f5、L2f6、L2f7の16ロットがあって各ロットのロットサイズがS2d1、S2d2、S2d3、S2d4、S2d5、S2e1、S2e2、S2e4、S2e5、S2f1、S2f2、S2f3、S2f4、S2f5、S2f6、S2f7であり加工条件D、E、Fに分かれ、工程3でもロットL3g1、L3g2、L3g3、L3g4、L3g5、L3h1、L3h2、L3h3、L3h4、L3m1、L3m2、L3m3、L3m4、L3m5、L3m6、L3m7の16ロットがあって各ロットのロットサイズがS3g1、S3g2、S3g3、S3g4、S3g5、S3h1、S3h2、S3h3、S3h4、S3m1、S3m2、S3m3、S3m4、S3m5、S3m6、S3m7であり加工条件G、H、Mに分かれ、工程2や工程3での同一バッチで加工が可能かどうかは工程1と同様であるとする。ここで工程1の加工条件A、B、Cと工程2の加工条件D、E、Fや工程3の加工条件G、H、Mとは工程が異なることから加工内容が異なるので相互の代替加工は不可能であるとする。
【0093】
図15の手順によれば、まずステップS4110で生産能力情報データベース2から、工程1のバッチ処理最大数Smax1、工程2のバッチ処理最大数Smax2、工程3のバッチ処理最大数Smax3を読み込み、次にステップS4120で全ロットの着工順番指数 Jを演算しており、本実施例では J1a1、J1a2、J1a3、J1a4、J1a5、J1b1、J1b2、J1b3、J1b4、J1c1、J1c2、J1c3、J1c4、J1c5、J1c6、J1c7、J2d1、J2d2,J2d3、J2d4、J2d5、J2e1、J2e2、J2e3、J2e4、J2f1、J2f2、J2f3、J2f4、J2f5、J2f6、J2f7、J3g1、J3g2、J3g3、J3g4、J3g5、J3h1、J3h2、J3h3、J3h4、J3m1、J3m2、J3m3、J3m4、J3m5、J3m6、J3m7の全てを算出する。
【0094】
ステップS4130で工程1における着工順番開始を宣言し、ステップS4140で着工順番指数 Jを加工条件Aなるグループと加工条件Bなるグループと加工条件Cなるグループにグループ分けする。
【0095】
加工条件Aなるグループの着工順番指数 J1a1、J1a2、J1a3、J1a4、J1a5を昇順に並べ替えて、この結果が数値の小さい順にJ1a1、J1a2、J1a3、J1a4、J1a5であったとする。同様に、加工条件Bなるグループの着工順番指数を昇順に並べ替えた結果、数値の小さい順がJ1b1、J1b2、J1b3、J1b4であってまた、加工条件Cなるグループの着工順番指数を昇順に並べ替えた結果、数値の小さい順がJ1c1、J1c2、J1c3、J1c4、J1c5、J1c6、J1c7であったとして詳述を続ける。
【0096】
まず、加工条件Aの第1のバッチについて、そのロット構成およびバッチ加工順番指数V1a1を検討する。加工条件Aなるグループの中のロットサイズS1a1、S1a2、S1a3、S1a4、S1a5の加算結果が工程1のバッチ処理最大数Smax1を超えないか等しくなるまで着工順番指数の小さい順位に加算してゆく。最初のロットのロットサイズをバッチ処理最大数Smax1と比べると、
[数44] S1a1 < Smax1 (44)
この時
[数45] V1a1=J1a1 (45)
次の着工順番のロットL1a2を加えてバッチ処理最大数Smax1と比べると
[数46] S1a1+S1a2 < Smax1 (46)
この時
[数47] V1a1=J1a1+J1a2 (47)
さらに次の着工順番のロットL1a3を加えてバッチ処理最大数Smax1と比べると
[数48] S1a1+S1a2+S1a3<Smax1 (48)
この時
[数49] V1a1=J1a1+J1a2+J1a3 (49)
さらに次の着工順番のロットL1a4を加えてバッチ処理最大数Smax1と比較すると
[数50] S1a1+S1a2+S1a3+S1a4>Smax1 (50)
となってしまうので、ロットL1a4を加えないで第1のバッチはロットL1a1、L1a2、LIa3で構成されフルバッチ状態である。そして、バッチ加工順番指数V1a1は式52に示した通りとなる。
【0097】
次に、加工条件Aの第2のバッチについて、そのロット構成およびバッチ加工順番指数を求める。第2のバッチは加工条件Aの残りロットで構成することにする。ロットL1a4のロットサイズは式54に示すとおり、Smax1より小さい。
[数51] S1a4 < Smax1 (51)
この時
[数52] V1a2=J1a4 (52)
次の着工順番のロットL1a5を加えてバッチ処理最大数Smax1条件と比べると
[数53] S1a4+S1a5<Smax1 (53)
この時
[数54] V1a2=J1a4+J1a5 (54)
ここで第2のバッチは第1のバッチと違いフルバッチ状態ではなく着工待ちロットがあれば、それを加えることができるが、これ以上に加工条件Bの着工待ちロットがないのでバッチ加工順番指数V1a2は式54のままとなる。
以上の手順で、V1a1=J1a1+J1a2+J1a3、V1a2=J1a4+J1a5を得る。
【0098】
次に、加工条件Bの第1のバッチについて、そのロット構成およびバッチ加工順番指数V1b1について検討する。加工条件Bなるグループの中のロットサイズS1b1、S1b2、S1b3、S1b4の加算結果が工程1のバッチ処理最大数Smax1を超えないか等しくなるまで着工順番指数の小さい順位に加算してゆく。最初のロットのロットサイズをバッチ処理最大数Smax1と比べると、
[数55] S1b1 < Smax1 (55)
この時
[数56] V1b1=J1b1 (56)
次の着工順番のロットL1b2を加えてバッチ処理最大数Smax1と比較すると
[数57] S1b1+S1b2 < Smax1 (57)
この時
[数58] V1b1=J1b1+J1b2 (58)
さらに次の着工順番のロットL1b3を加えてバッチ処理最大数Smax1と比較すると
[数59] S1b1+S1b2+S1b3>Smax1 (59)
となってしまうので、ロットL1b3を加えないで第1のバッチはロットLIb1、L1b2で構成されフルバッチ状態である。そしてバッチ加工順番指数V1b1は式61に示した通りとなる。
【0099】
次に、加工条件Bの第2のバッチについて、そのロット構成およびバッチ加工順番指数を求める。第2のバッチは加工条件Bの残りロットで構成することにする。ロットL1b3のロットサイズは式63に示すとおり、Smax1より小さい。
[数60] S1b3 < Smax1 (60)
この時
[数61] V1b2=J1b3 (61)
次の着工順番のロットL1b4を加えてバッチ処理最大数Smax1条件と比べると
[数62] S1b3+S1b4<Smax1 (62)
この時
[数63] V1b2=J1b3+J1b4 (63)
ここで第2のバッチは第1のバッチと違いフルバッチ状態ではなく着工待ちロットがあれば、それを加えることができるが、これ以上に加工条件Bの着工待ちロットがないのでバッチ加工順番指数V1b2は式66のままとなる。
以上の手順で、V1b1=J1b1+J1b2、V1b2=J1b3+J1b4を得る。
【0100】
加工条件Cなるグループにおいても加工条件Aや加工条件Bにて行ったごとくバッチ加工順番指数V1c1=J1c1+J1c2+J1c3+J1c4、バッチ加工順番指数V1c2=J1c5+J1c6+J1c7 が得られたものとして詳述を進める。
【0101】
以上のV1a1、V1a2、V1b1、V1b2、V1c1、V1c2はステップS4150からステップS4180の繰り返しループの中で実行されて得られるものである。
【0102】
ステップS4180で着工待ちしている工程1での全条件のバッチ加工順番指数V1a1、V1a2、V1b1、V1b2、V1c1、V1c2の演算が終了するので、ステップS4200においてフルバッチ状態のバッチどうしのバッチ加工順番指数を比較する。上述の例では第1のバッチはフルバッチ状態、第2のバッチを非フルバッチ状態としたので、まず、フルバッチ状態のV1a1、V1b1、V1c1を比較し、その値が小さい順から着工する。そして、非フルバッチ状態のV1a2、V1b2、V1c2を比較し昇順に並べ替えて、バッチ着工順番とする。
【0103】
具体的には例えば、
[数64]
V1a1<V1c1<V1b1、そして、V1c2<V1b2<V1a2 (64)
であったならば工程Aにおいて現時点で推奨するバッチ着工順番は
第1順位; 加工条件AのロットL1a1、L1a2、L1a3のバッチ組み
第2順位; 加工条件CのロットL1c1、L1c2、L1c3、L1c4のバッチ組み
第3順位; 加工条件BのロットL1b1、L1b2のバッチ組み
第4順位; 加工条件CのロットL1c5、L1c6、L1c7のバッチ組み
第5順位; 加工条件BのロットL1b3、L1b4のバッチ組み
第6順位; 加工条件AのロットL1a4、L1a5のバッチ組み
として、ステップS4300でリストが作成される。
【0104】
変形例を用いて着工順番について再度説明する。加工条件P,Qの着工待ちロットが複数あってバッチ組みされたとする。加工条件Pの場合はP1、P2、P3というバッチが出来、P1およびP2はフルバッチ状態でP3は非フルバッチ状態とする。加工条件Qの場合はQ1,Q2というバッチが出来、Q1のみがフルバッチ状態でQ2は非フルバッチ状態とする。この場合はフルバッチ状態のP1、P2、Q1の3つのバッチのバッチ加工順番指数V1p1、V1p2、V1q1を比較し、その値が小さい順から着工する。また、非フルバッチ状態のP3、Q2の2つのバッチのバッチ加工指数V1p3、V1q2を比較し、その値が小さい順から着工する。例えば、V1q1<V1p1<V1p2で、V1p3<V1q2であれば、
第1順位; 加工条件EのバッチQ1
第2順位; 加工条件DのバッチP1
第3順位; 加工条件DのバッチP2
第4順位; 加工条件DのバッチP3
第5順位; 加工条件EのバッチQ2
という順番で着工することになる。
【0105】
以下、手順を順次進めて、ステップS4400からステップS4490において、工程1と同様の手順で工程2、工程3の現時点で推奨するバッチ着工順番リストを作成する。
【0106】
以上、本発明を手順例図8、図10、図11、図12、図13、図14、図15、を説明したが、図8における新規ロット生成ステップS2000をより詳細に展開したサブ手順例図5、同じく図8における生産優先度情報Yの更新ステップS3000をより詳細に展開したサブ手順例図6、同じく図8における着工順番決定ステップS4000をより詳細に展開したサブ手順例図7、また一般的手順例図9における新規ロット生成ステップS2000をより詳細に展開したサブ手順例図4を付け加える。
【0107】
図5は、図8におけるステップS2000に相当する新規投入ロット生成のサブ手順例を説明する図であって、ステップS2010で新規製造ロット手配書データを読み込み、ステップS2020で生産能力情報データベース部2から製品別の過去の歩留実績情報と製品別のロットサイズ構成数情報を読み込んで新規ロット生成の準備を行う。以下、製品別のロット展開を始める。
【0108】
ステップS2030で製品別製造手配数を読み込み、ステップS2040で製造手配数と歩留の演算により追加生産必要数を算出する。ステップS2050で追加生産必要数と製品別ロットサイズ情報の演算で新規に投入すべきロット数が算出される。ステップS2060で前記ステップS2050で算出した新規投入数分のロットを新規に生成し、ステップS2070で新規投入ロットにロット番号が付番されるが、ここで付番されたロット番号は生産ライン稼動の長期間の歴史の中で他のロットと混同されない、いわゆる単独、単一でユニークであるとみなす一般的な生産管理方法と同じ性格を持つ。ステップS2075において各ロットに、製品別に生産管理者が定める無時限で1以上なる生産優先度初期数Ysを与え、また生産が進展するに従い生産優先度情報Yが単調増加を維持する無時限で1以上なる生産優先度更新数kも与える。こうしてステップS2030からステップS2075で新規投入ロットにかかわるロット情報が生成されて、このロット情報はステップS2080で在庫情報データベース部3へ記憶される。
【0109】
以上のステップS2030からステップS2075が全製品について実行完了までステップS2090で監視して、全製品の新規ロット生成完了後にステップS2100で新規投入ロットのリストを出力してサブ手順ステップS2000が完了する。
【0110】
図6は、図8おけるステップS3000に相当する生産優先度情報Yの更新のサブ手順例を説明する図である。工程中にあるロットの一つについてステップS3010でロットの現在の生産優先度情報Yを在庫情報データベース部3から読み込み、ステップS3020でロットの生産優先度更新数kを同じく在庫情報データベース部3から読み込み、更新後の生産優先度は前記ステップS3010で読み込んだ生産優先度情報Yと前記ステップS3020で読み込んだ生産優先度更新数kとを加算した値となるように入れ替えて、ステップS3040で在庫情報データベース3へ記憶される。
【0111】
以上のステップS3010からステップS3040が全ロットについて実行完了までステップS3050で監視して、全ロットの生産優先度情報Yの更新サブ手順ステップS2000が完了する。ステップS3010で読み込む順番についてはロット番号の昇順、降順あるいは生成日付および時刻順その他いかなる順番でも良いがサブ手順S3000の中では1回だけ行われるように制限することは無論である。
【0112】
図7は、図8におけるステップS4000に相当する着工順番リスト作成のサブ手順例を説明する図である。ステップS4010で工程中にある全ロットの生産優先度情報Yを在庫情報データベース部3から読み込み、ステップS4020で全ロットのロットサイズ情報Sを同じく在庫情報データベース部3から読み込み、以下ロットごとに着工順番指数 JをステップS4030で次のとおり演算する。着工順番指数 Jは前記ステップS4020で読み込んだロットサイズ情報Sを前記ステップS4010で読み込んだ生産優先度情報Yで除算した値となし、この着工順番指数 JをいったんステップS4040で在庫情報データベース3へ記憶する。
【0113】
以上のステップS4030からステップS4040が全ロットについて実行完了までステップS4050で監視して着工順番指数 Jの演算完了後、ステップS4060で改めて全ロットの着工順番指数 Jと着工を待っている滞在工程情報を在庫情報データベース3から読み込んで、ステップS4070で着工順番指数 Jを滞在工程別にグループ分けして、ステップS4080で工程毎に着工順番指数Jの比較並べ替えを昇順に行って、グループ内で着工順番指数Jが最小値をとったロットがその工程での先頭着工ロットであるように順番を決定するよう、全工程について着工順番指数 Jの昇順並べ替えを完了させて、着工順番決定サブ手順ステップS4000が完了する。
【0114】
上記の各手順はプログラムとして例えば図2の主記憶装置13に記憶させて制御部12により動作させる事が可能である。また、プログラムはCDあるいはDVDに代表される記録媒体に収納して保管・移動等することが可能である。
【0115】
以上、本発明の一実施例について詳細に説明したが、容易に推定されるように本発明で言うロットサイズは個数や枚数等に代表される数量、重量、容量に相当し、同一工程では同じ物理次元を用いることは無論である。
【0116】
他方で、半導体装置のように機能や性能の違いが電気特性の検査時間を大きく左右する製品では、ロットサイズを構成する数量とロット検査総時間の大小関係が異なることはしばしば起こるが、このような場合は、前述までの説明に用いたロットサイズSを半導体装置1個の検査時間xとロット構成個数yを使って、例えば
[数65] x×y=S (65)
とxとyの積に置き換えることで合理的な着工順番指数が得られる。
【符号の説明】
【0117】
1 製品情報データベース部
2 生産能力情報データベース部
3 在庫管理データベース部
4 入出力部
5 通信部
6、7 生産管理コンピュータシステムの印刷出力部と表示出力部
8 工程端末部
9 通信回線部
10 販売管理コンピュータシステムの受注情報入出力部
11 受注情報データベース
12 生産管理コンピュータシステムの制御部
13 生産管理コンピュータシステムの主記憶装置
14 生産管理コンピュータシステムの外部記憶装置
15 時計部
17 販売管理コンピュータシステムの通信部
18、19、20、21、 生産ライン工程端末の通信部
a 各工程で決まる1単位サイズ生産に必要なサイクルタイム時間
b 各工程での着工前後の段取り時間と後処理時間の合計時間
F(Si) ロットサイズSiなるロットの生産所要時間関数
i ロットサイズと総生産所要時間の関係を説明するロット数
J 着工順番指数
K、K1,K2、K3、Ki、Kix ロット投入時点からの経過時間
Kiy ロットLiの生産優先度更新数変更後の経過時間
k、k1、k2、k3、ki、 生産優先度更新数
L1、L2、L3、Li、 ロット番号
L1a1、L1a2、L1a3、L1a4、L1a5、L1b1、L1b2、L1b3、L1b4、L1c1、L1c2、L1c3、L1c4、L1c5、L1c6、L1c7、L2d1、L2d2、L2d3、L2d4、L2d5、L2e1、L2e2、L2e3、L2e4、L2f1、L2f2、L2f3、L2f4、L2f5、L2f6、L2f7、L3g1、L3g2、L3g3、L3g4、L3g5、L3h1、L3h2、L3h3、L3h4、L3m1、L3m2、L3m3、L3m4、L3m5、L3m6、L3m7 ロット番号
P1、P2、P3、Q1、Q2 バッチ番号
S、S1、S2、S3、Si、 ロットサイズ情報
S1a1、S1a2、S1a3、S1a4、S1a5、S1b1、S1b2、S1b3、S1b4、S1c1、S1c2、S1c3、S1c4、S1c5、S1c6、S1c7、S2d1、S2d2、S2d3、S2d4、S2d5、S2e1、S2e2、S2e4、S2e5、S2f1、S2f2、S2f3、S2f4、S2f5、S2f6、S2f7、S3g1、S3g2、S3g3、S3g4、S3g5、S3h1、S3h2、S3h3、S3h4、S3m1、S3m2、S3m3、S3m4、S3m5、S3m6、S3m7 ロットサイズ情報
Y、Y1、Y2、Y3、Yi、 生産優先度情報
Ys、Ys1、Ys2、Ys3、Ysi 生産優先度初期数
P 不足総数
Q 製造能力最大数
R 工場操業度指数
V、V1a1、V1a2、V1b1、V1b2、V1c1、V1c2、V1d1、V1d2、V1d3、V1e1、V1e2 バッチ加工順番指数
T,T1、T2、T3、Ti 工程生産所要時間情報
TWi ロットLiを待つ顧客のロット待ち時間
ΣTWSx、ΣTWSy 全顧客総待時間
ΣTD 全顧客総待時間の差
t 生産優先度更新繰り返しサイクル時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数製品を生産する混流生産工程における生産計画実行を、生産すべき各ロットにそれぞれ生産優先度初期数Ysと生産優先度更新数kとから求まる生産優先度情報Yを持たせて行う生産管理実行支援方法であって、
前記各ロットの加工に先立ち前記各ロットが有する前記生産優先度初期数Ysに初期値を設定するステップと、
加工途中で所定時間毎に前記各ロットが有する前記生産優先度更新数kを加算するステップと、
前記生産優先度初期数Ysと前記生産優先度更新数kとから前記各ロットが有する前記生産優先度情報Yを更新するステップと、
更新された前記生産優先度情報Yを記憶するステップと、
所定時間毎に前記各ロットのロットサイズSを更新された前記生産優先度情報Yで除して着工順番指数を作成するステップと、
前記着工順番指数を記憶するステップと、
ロットごとの着工順番指数の大小比較を行うステップと、
前記大小比較の結果に応じて各ロットの着工順番を並び替えるステップと、
を備える着工順番を推奨する生産管理実行支援方法。
【請求項2】
前記生産優先度更新数は製品毎に異なる数である請求項1に記載の生産計画実行支援方法。
【請求項3】
前記生産優先度初期数は製品毎に異なる数である請求項1に記載の生産計画実行支援方法。
【請求項4】
前記生産優先度初期数および前記生産優先度更新数は製品毎に異なる数であり、さらに生産途中で生産優先度更新数を変更するステップを含むことを許容する請求項1に記載の生産計画実行支援方法。
【請求項5】
さらに、前記生産優先度情報を、異なるロット間で受け渡しを行わせる為のステップを有し、前記生産優先度情報は、同一製品の別ロットへ引渡し可能にしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生産計画実行支援方法。
【請求項6】
前記着工順番指数計算ステップが、前記生産優先度情報を、前記生産優先度情報の2乗数に変換した後で着工順番指数を演算する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の生産管理実行支援方法。
【請求項7】
前記着工順番指数計算ステップが、前記生産優先度情報を、前記生産優先度情報の平方根数に変換した後で着工順番指数を演算する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の生産管理実行支援方法。
【請求項8】
前記着工順番指数計算ステップは複数の中から選択可能である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の生産管理実行支援方法。
【請求項9】
前記着工順番指数計算ステップが、工場の製造能力最大数と製造必要数から算出する工場操業度指数を乗数に使って前記生産優先度情報を変換した後で着工順番指数を演算する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の生産管理実行支援方法。
【請求項10】
製品やロットの加工条件が必ずしも同一でないバッチ処理工程におけるバッチ着工順番指数を比較するステップが、同一加工条件のロット毎にロットサイズを優先度情報で演算するステップ、バッチごとの総和を求めるステップ、着工可能なバッチ別の演算結果の総和同士を比較するステップ、総和値の小さい順番にバッチ順番を作成するステップ、作成されたバッチ順番を出力するステップを備えた請求項1乃至9のいずれか1項に記載の生産管理実行支援方法。
【請求項11】
前記着工可能なバッチ別の演算結果の総和同士を比較するステップは、フルバッチ状態のバッチ同士を比較し、総和値の小さい順番にバッチ順番とし、次いで、非フルバッチ状態のバッチ同士を比較し、総和値の小さい順番にバッチ順番とし、フルバッチ状態のバッチは非フルバッチ状態のバッチより優先して着工することを特徴とする請求項10に記載の生産管理実行支援方法。
【請求項12】
複数製品を生産する混流生産工程における生産計画実行を、生産すべきロットに生産優先度情報を持たせて行う生産管理実行支援プログラムにおいて、
各ロットの生産優先度情報を生産優先度初期数と生産優先度更新数で構成する手順を持ち、
前記生産優先度情報はロットの加工投入時に無次元で1以上である生産優先度初期数を初期値とする手順の後、
加工途中にあるときは全ロット一斉に所定時間毎に無次元で1以上である生産優先度更新数だけ加算する手順と加算結果を記憶する手順を持ち、
所定時間毎に各ロットのロットサイズを更新後の前記生産優先度情報で除して着工順番指数を作成する手順と、
ロットごとの着工順番指数の大小比較により合理的な着工順番を作成と出力する手順を有する、生産管理実行支援プログラム。
【請求項13】
前記生産優先度更新数は製品毎に異なる数である請求項12に記載の生産管理実行支援プログラム。
【請求項14】
前記生産優先度初期数は製品毎に異なる数である請求項12に記載する生産管理実行支援プログラム。
【請求項15】
前記生産優先度更新数および前記生産優先度初期数は製品毎に異なる数であり、さらに、生産途中で前記生産優先度更新数を変更する手順を含む請求項12に記載の生産管理実行支援プログラム。
【請求項16】
さらに、前記生産優先度度情報と前記生産優先度更新数を、異なるロット間で受け渡しを行わせる為の手順を有し、前記生産優先度情報は、同一製品の別ロットへ引渡し可能にしたことを特徴とする請求項12乃至15のいずれか1項に記載の生産管理実行支援プログラム。
【請求項17】
前記着工順番指数計算手順は、前記生産優先度情報を、前記生産優先度情報の2乗数に変換した後で為される、請求項12乃至16のいずれか1項に記載の生産管理実行支援プログラム。
【請求項18】
前記着工順番指数計算手順は、前記生産優先度情報を、前記生産優先度情報の平方根数に変換した後で為される、請求項12乃至16のいずれか1項に記載の生産管理実行支援プログラム。
【請求項19】
前記着工順番指数計算手順は、複数の中から選択可能である請求項12乃至18のいずれか1項に記載の生産管理実行支援プログラム。
【請求項20】
生産能力情報データベース情報と営業の受注情報データベースから工場操業度指数を算出する手順を持ち、前記工場操業度指数を乗数に使って生産優先度情報を変換する手順の後で着工順番指数の演算手順を実行する、請求項12乃至19のいずれか1項に記載の生産管理実行支援プログラム。
【請求項21】
製品やロットの加工条件が必ずしも同一でないバッチ処理工程におけるバッチ着工順番指数の比較が、同一加工条件のロット毎にロットサイズを生産優先度情報で演算する手順、その後その総和を求める手順、さらに着工可能なバッチ別の演算結果の総和を求める手順、総和同士を比較する手順、総和値が最小値をなす条件のバッチを最優先に推奨する手順を有する、請求項12乃至20のいずれか1項に記載の生産管理実行支援プログラム。
【請求項22】
前記着工可能なバッチ別の演算結果の総和同士を比較するステップは、フルバッチ状態のバッチ同士を比較し、総和値の小さい順番にバッチ順番とし、次いで、非フルバッチ状態のバッチ同士を比較し、総和値の小さい順番にバッチ順番とし、フルバッチ状態のバッチは非フルバッチ状態のバッチより優先して着工することを特徴とする請求項21に記載する生産管理実行支援プログラム。
【請求項23】
生産管理系装置と販売管理系装置と生産ライン系装置とからなり、複数の製品を複数の工程で生産する生産管理実行支援装置であって、
前記生産管理系装置は製品情報データベースと生産能力情報データベースと在庫情報データベースとを記憶する外部記憶装置と、前記データベースを基に演算をして生産管理系全体を制御する制御部と、前記演算して得られた結果を記憶する主記憶装置と、時間情報を提供する時計部と、前記演算結果を出力する出力部と、データベースへの情報のインプットもしくは情報の出力指示を行う入出力部と、情報の受発信を行う通信部とから構成され、
前記販売管理系装置は顧客からの受注情報をインプットする受注情報入出力部と、前記受注情報を記憶する受注情報データベースと、情報の受発信を行う通信部とから構成され、
前記生産ライン系装置は生産ラインの各工程の装置と、前記装置と接続されて前記装置に対し製造指示を与えたり、装置の稼動状況を把握したりする工程端末部と、情報の受発信を行う通信部とから構成され、
前記生産管理系装置と前記販売管理系装置と前記生産ライン系装置の各々の通信部は通信回線部に接続され互いに情報の受発信を行うことを特徴とする生産管理実行支援装置。
【請求項24】
生産管理系システムと販売管理系システムと生産ライン系システムとからなる、複数の製品を複数の工程で生産するための生産管理実行支援システムであって、
前記生産管理系システムは製品情報データベースと生産能力情報データベースと在庫情報データベースとを記憶する外部記憶装置と、前記データベースを基に演算をして生産管理系全体を制御する制御部と、前記演算して得られた結果を記憶する主記憶装置と、時間情報を提供する時計部と、前記演算結果を出力する出力部と、データベースへの情報のインプットもしくは情報の出力指示を行う入出力部と、情報の受発信を行う通信部とから構成され、
前記販売管理系システムは顧客からの受注情報をインプットする受注情報入出力部と、前記受注情報を記憶する受注情報データベースと、情報の受発信を行う通信部とから構成され、
前記生産ライン系システムは生産ラインの各工程の装置と、前記装置と接続されて前記装置に対し製造指示を与え、装置の稼動状況を把握する工程端末部と、情報の受発信を行う通信部とから構成され、
前記生産管理系システムと前記販売管理系システムと前記生産ライン系システムの各々の通信部は通信回線部に接続され互いに情報の受発信を行うことを特徴とする生産管理実行支援システム。
【請求項25】
コンピュータに、各ロットに対して生産優先度情報がそれぞれ無次元で1以上である生産優先度初期数と生産優先度更新数を設定するステップ、前記生産優先度初期数と同じく前記生産優先度更新数は相互に関連しない数量で設定することも選択可能なステップ、前記生産優先度情報はロットの加工投入時に生産優先度初期数を初期値として設定するステップ、加工途中にあるときは全ロット一斉に所定時間毎にその数値がゼロ以上である制限を持たせた生産優先度更新数だけ加算するステップ、前記のごとく設定あるいは更新された生産優先度情報を読み出し、記憶するステップ、また所定時間毎に各ロットのロットサイズを更新後の前記生産優先度情報で除して着工順番指数を作成するステップ、前記着工順番指数を記憶するステップ、ロットごとの着工順番指数の大小比較を行うステップ、前記大小比較の結果最小値を為したロットを最優先にするように並び替えするステップ、並び変えられた着工ロット順番情報を出力するステップ、を実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項26】
前記生産優先度情報を構成する生産優先度初期数と生産優先度更新数の片方または双方を生産途中で変更するステップ、を実行させるためのプログラムを付加記録したことを特徴とする請求項25に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項27】
前記生産優先度度情報を異なるロット間で受け渡しを行わせる為のステップ、を実行させるためのプログラムを付加記録したことを特徴とする請求項25あるいは26に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項28】
前記着工順番指数計算過程で、前記生産優先度情報を前記生産優先度情報の2乗数に変換するステップを実行させるためのプログラムを付加記録したことを特徴とする請求項25乃至請求項27のいずれか1項に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項29】
前記着工順番指数計算過程で、前記生産優先度情報を前記生産優先度情報の平方根数に変換するステップ、を実行させるためのプログラムを付加記録したことを特徴とする請求項25乃至請求項27のいずれか1項に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項30】
前記着工順番指数計算ステップは、複数の中から選択可能とするステップ、を実行させるためのプログラムを付加記録したことを特徴とする請求項25乃至請求項30のいずれか1項に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項31】
前記着工順番指数計算過程で、工場の製造能力最大数と製造必要数から算出するステップ、工場操業度指数を乗数に使って前記生産優先度情報を変換するステップ、を実行させるためのプログラムを付加記録したことを特徴とする請求項25乃至請求項30のいずれか1項に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項32】
バッチ着工順番指数を比較する為に、同一加工条件のロット毎にロットサイズを優先度情報で演算するステップ、バッチごとの総和を求めるステップ、着工可能なバッチ別の演算結果の総和同士を比較するステップ、総和値の小さい順番にバッチ順番を作成するステップ、作成されたバッチ順番を出力するステップ、を実行させるためのプログラムを付加記録させて、製品やロットの加工条件が必ずしも同一でないバッチ処理工程のための請求項25乃至請求項31のいずれか1項に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項33】
前記着工可能なバッチ別の演算結果の総和同士を比較するステップは、フルバッチ状態のバッチ同士を比較し、総和値の小さい順番にバッチ順番とし、次いで、非フルバッチ状態のバッチ同士を比較し、総和値の小さい順番にバッチ順番とし、フルバッチ状態のバッチは非フルバッチ状態のバッチより優先して着工することを特徴とする請求項32に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−170368(P2010−170368A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12645(P2009−12645)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】