説明

生産管理方法および生産管理システム

【課題】生産管理方法において成形工程に用いる金型のメンテナンスを行いつつ、後生産工程を含めた生産ラインを稼動させる場合に、生産ライン全体としての生産性の低下を抑制することができるようにする。
【解決手段】品質推移モデル設定工程S1と、メンテナンス時期の見直しタイミングを含む生産スケジュールを設定する生産スケジュール初期設定工程S2と、見直しタイミングで生産ライン情報を取得する生産ライン情報取得工程S6と、見直しタイミングごとにメンテナンス時期候補を設定するメンテナンス時期候補設定工程S7と、生産シミュレーションを行う生産予測工程S6と、評価した予測結果のうちの1つを選択し対応するメンテナンス時期候補をメンテナンス時期として再設定する生産スケジュール再設定工程S9と、生産スケジュールを生産ラインに指示する生産スケジュール指示工程S3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産管理方法および生産管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工業製品の生産ラインは、金型を用いて成形を行う成形工程が組み込まれている場合がある。このような生産ラインでは、金型の使用履歴に基づく成形品の品質低下を防止するために、適宜間隔で金型のメンテナンスを行う必要がある。金型のメンテナンス期間中、成形装置は生産ができなくなるため、金型のメンテナンスによって生産性が低下しないように、生産スケジュールを設定する生産管理方法および生産管理システムが求められている。
このような生産管理方法および生産管理システムとして、例えば、特許文献1には、中央制御部は、各品種毎に入力される生産必要数及びその優先度と、情報記憶部に記憶されている現在金型収納部に保管する金型のデータと、メンテナンス工程部でメンテナンスを行う金型のデータと、メンテナンスに必要とされるメンテナンス時間とに基づいて生産スケジュールを作成し、作成された生産スケジュールに基づいて金型移送部に金型の移送を指示するとともに、情報記憶部に記憶される金型の成形条件を射出成形機に入力して成形を指示してなるように構成した射出成形加工システムの管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−254932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の生産管理方法および生産管理システムには以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、各品種毎に入力される生産必要数及びその優先度と、情報記憶部に記憶されている現在金型収納部に保管する金型のデータと、メンテナンス工程部でメンテナンスを行う金型のデータと、メンテナンスに必要とされるメンテナンス時間とに基づいて生産スケジュールを作成するため、ある程度は効率的な生産スケジュールを設定することができるが、生産ラインは、例えば何らかの生産トラブルや部品入荷状況の変化などによって、計画通りに稼動できるとは限らない。このため、生産の進捗状況によっては、予め設定した生産スケジュールでは予定通りの生産効率を達成できない場合があるという問題がある。
特に、工程内に中間在庫をできるだけ持たず、成形工程から組立等の後工程までを一貫して製造する流れ生産方式の生産システム(生産ライン)では、後工程で必要となる数量に合わせた成形が必要であるが、生産システム全体の生産進捗状況に応じて、後工程で必要となる成形品の数量は変動する。
ところが、特許文献1に記載の技術では、個々の金型のメンテナンスの必要性に応じて生産スケジュールを設定するため、生産システム全体の進捗に合わせた金型メンテナンスのスケジューリングができない。このため、生産システム全体としては生産性が落ちてしまうおそれがあるといった問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、成形工程に用いる金型のメンテナンスを行いつつ、後生産工程を含めた生産ラインを稼動させる場合に、生産ライン全体としての生産性の低下を抑制することができる生産管理方法および生産管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、金型を用いて成形を行う成形工程と、該成形工程で成形した成形品を用いて生産作業を行う後生産工程とを行う生産ラインにおける生産管理方法であって、前記金型の使用履歴に基づく成形品の品質推移モデルを設定する品質推移モデル設定工程と、前記生産ラインの稼動条件と、前記金型のメンテナンス時期と、該メンテナンス時期を見直す見直しタイミングと、を含む生産スケジュールを設定する生産スケジュール初期設定工程と、前記見直しタイミングにおいて、前記生産ラインの生産進捗データと、前記金型の使用履歴データとを取得する生産ライン情報取得工程と、前記見直しタイミングごとに、該見直しタイミング以後の前記金型のメンテナンス時期候補を複数通り設定するメンテナンス時期候補設定工程と、前記生産進捗データ、前記金型の使用履歴データ、前記品質推移モデル、および前記メンテナンス時期候補に基づいて、前記生産ラインでの生産シミュレーションを行い、前記見直しタイミング後の生産を予測する生産予測工程と、該生産予測工程で予測される生産の各予測結果を予め設定した条件に基づいて評価して、前記予測結果のうちの1つを選択し、該予測結果に対応する前記メンテナンス時期候補を前記生産スケジュールにおけるメンテナンス時期として再設定する生産スケジュール再設定工程と、前記生産スケジュール初期設定工程の終了時には該生産スケジュール初期設定工程で設定された生産スケジュールを前記生産ラインに指示し、前記生産スケジュール再設定工程の終了時には前記メンテナンス時期が再設定された生産スケジュールを前記生産ラインに指示する生産スケジュール指示工程と、を備える方法とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の生産管理方法において、前記品質推移モデルは、前記金型を用いた成形における良品率の推移を表す方法とする。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の生産管理方法において、前記生産スケジュール再設定工程では、前記条件として、一定時期までの間に前記生産ラインとしての生産量が最大になるメンテナンス時期候補を選択する方法とする。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項1または2に記載の生産管理方法において、前記生産スケジュール再設定工程では、前記条件として、一定時期において前記生産ライン内の前記成形品の中間在庫量が最小になるメンテナンス時期候補を選択する方法とする。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項1または2に記載の生産管理方法において、前記生産スケジュール再設定工程では、前記条件として、一定時期までの間の前記生産ラインの平均稼働率が最大になるメンテナンス時期候補を選択する方法とする。
【0011】
請求項6に記載の発明では、請求項1または2に記載の生産管理方法において、前記生産スケジュール再設定工程では、前記条件として、一定時期までの間に前記生産ラインで生産される製品の平均リードタイムが最小となるメンテナンス時期候補を選択する方法とする。
【0012】
請求項7に記載の発明では、請求項1または2に記載の生産管理方法において、前記生産スケジュール再設定工程では、前記条件として、一定時期までの間に前記生産ラインで生産される製品の納期遵守率が最大となるメンテナンス時期候補を選択する方法とする。
【0013】
請求項8に記載の発明では、金型を用いて成形を行う成形部と、該成形部で成形した成形品を用いて生産作業を行う後工程部とを有する生産ラインにおける生産管理システムであって、前記金型の使用履歴に基づく成形品の品質推移モデルを設定する品質推移モデル設定部と、前記生産ラインの稼動条件と、前記金型のメンテナンス時期と、該メンテナンス時期を見直す見直しタイミングと、を含む生産スケジュールを設定する生産スケジュール初期設定部と、前記見直しタイミングにおいて、前記生産ラインの生産進捗データと、前記金型の使用履歴データとを取得する生産ライン情報取得部と、前記見直しタイミングごとに、該見直しタイミング以後の前記金型のメンテナンス時期候補を複数通り設定するメンテナンス時期候補設定部と、前記生産進捗データ、前記金型の使用履歴データ、前記品質推移モデル、および前記メンテナンス時期候補に基づいて、前記生産ラインでの生産シミュレーションを行い、前記見直しタイミング後の生産を予測する生産予測部と、該生産予測部で予測される生産の各予測結果を予め設定した条件に基づいて評価して、前記予測結果のうちの1つを選択し、該予測結果に対応する前記メンテナンス時期候補を前記生産スケジュールにおけるメンテナンス時期として再設定する生産スケジュール再設定部と、前記生産スケジュール初期設定部または前記生産スケジュール再設定部で設定された生産スケジュールを前記生産ラインに指示する生産スケジュール指示部と、を備える構成とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の生産管理方法および生産管理システムによれば、金型のメンテナンス時期を見直す見直しタイミングを設け、見直しタイミングごとに生産進捗データと金型の品質推移モデルとに基づいて生産シミュレーションを行って金型のメンテナンス時期を再設定するため、成形工程に用いる金型のメンテナンスを行いつつ、後生産工程を含めた生産ラインを稼動させる場合に、生産ライン全体としての生産性の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る生産管理システムの概略構成を示す模式的なブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る生産管理システムの成形部および後工程部の一例を示す模式的なシステム構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る生産管理方法の工程フローを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る生産管理方法における品質推移モデルの一例を示すグラフである。
【図5】本発明の実施形態に係る生産管理方法の作用について説明する成形装置の単位時間当たり生産量および後工程部における中間在庫量のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
まず、本発明の実施形態に係る生産管理システムについて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る生産管理システムの概略構成を示す模式的なブロック図である。図2は、本発明の実施形態に係る生産管理システムの成形部および後工程部の一例を示す模式的なシステム構成図である。
【0017】
本実施形態の生産管理システム1は、図1に示すように、製品25を生産する生産ライン10の生産管理を行うものである。
まず、生産ライン10の構成について説明する。
生産ライン10の概略構成は、成形部12、部品加工部26、後工程部13、および生産ライン制御部11を備える。
【0018】
成形部12は、成形材料20の供給を受けて金型(図1では図示略)を用いた成形を行うものである。成形部12の金型や成形の数は特に限定されず1以上の適宜数を採用することができる。
本実施形態では、一例として、図2に示すように、成形材料20a、20bをそれぞれ供給することによりそれぞれ金型K、Kを用いた成形を行う成形装置12a、12bと、メンテナンス時期にそれぞれの金型K、Kをメンテナンス済みの金型K、Kに交換する金型交換機14a、14bと、を備える。
成形材料20a、20bは、成形装置12a、12bにより成形可能な材料であれば、適宜の材料を採用することができる。成形材料20a、20bの例としては、例えば、合成樹脂、ガラス、金属等の材料を、ペレット状、塊状、粉末状、板状等の適宜形状にしたものを採用することができる。
成形装置12a、12bの成形種類は、特に限定されない。成形材料20a、20bの成形種類の例としては、例えば、射出成形、鋳造成形、押し出し成形、プレス成形等の例を挙げることができる。
以下では、成形装置12a、12bによる成形品21を区別する場合には、それぞれ成形品21a、21bと称する。
【0019】
部品加工部26は、加工材料27の供給を受け、加工材料27を金型を用いることなく加工して部品22cを形成するものである。部品加工部26は、複数の加工装置によって構成してもよいが、本実施形態では、一例として、図2に示すように、部品加工装置16cを備える。
部品加工装置16cは、金型を用いない加工であれば特に限定されない。部品加工装置16cの一例としては、例えば、旋盤やフライス盤などの例を挙げることができる。
【0020】
後工程部13は、成形部12で成形した成形品21を用いて生産作業を行って、製品25を生産するものである。すなわち後生産工程を行うものである。ここで、生産作業とは、成形品21から製品25を形成し生産ライン10から搬出するまでの間に、成形品21、部品22c、中間組立体(図1では図示略)、および製品25に対して行うべき作業を意味する。
生産作業の例としては、例えば、成形品21を加工する作業、成形品21同士または成形品21と他の部品とを組み立てる作業、成形品21や製品25等の検査を行う作業、製品25を梱包する作業などを挙げることができる。
後工程部13は、必要に応じてこれらの生産作業の1以上を組み合わせて構成することができる。
本実施形態における後工程部13は、一例として、図2に示すように、部品加工装置16a、16b、検査部30a、30b、組立装置18A、検査部31、組立装置18B、および検査部32、33を備える。
【0021】
部品加工装置16a(16b)は、成形品21a(21b)に何らかの加工や処理を施して、成形品21a(21b)から製品25の構成要素である部品22a(22b)を形成する加工装置である。
加工や処理の例としては、特に限定されないが、例えば、バリ除去、洗浄処理、切削加工、研磨加工、レーザ加工、表面処理などを挙げることができる。
【0022】
また、成形装置12a(12b)と部品加工装置16a(16b)との間には、成形品21a(21b)を搬送する搬送部15a(15b)が設けられている。
搬送部15a(15b)の構成は、例えば、ベルトコンベアや搬送ロボットなどを採用することができる。ただし、搬送部15a(15b)は、自動で搬送する構成には限定されず、人手を介して搬送を行う構成としてもよい。
また、搬送部15a(15b)の搬送動作は、生産ライン制御部11によって制御されており、必要に応じて、搬送を一時停止し、成形品21a(21b)の中間在庫を形成することが可能である。
【0023】
また、搬送部15a(15b)の近傍には、成形品21a(21b)の検査を行う検査部30a(30b)が設けられている。
検査部30a(30b)は、検査仕様に応じて自動検査を行う検査装置を採用してもよいし、適宜の検査用の測定器や観察装置を用いて人手によって検査を行う構成としてもよい。
【0024】
組立装置18Aは、部品22a、22b、22cを組み立てて部品組立体23を形成する装置であり、例えば、自動組立を行う組み立てロボットなどからなる。ただし、組立装置18Aは自動組立装置には限定されず、人手を要する半自動の組立装置や、手動による組み立てを支援する組立支援装置であってもよい。
なお、組立方法や固定方法は特に限定されず、例えば、部品同士の挿入、嵌合、螺設などの組立方法や、ねじ締結、接着、溶接、熱融着などの固定方法を採用することができる。
部品加工装置16a、16b、16cと、組立装置18Aとの間には、部品22a、22b、22cを搬送する搬送部17が設けられている。
搬送部17の構成は、搬送部15aで採用可能な構成のうちから適宜選択することができる。
【0025】
また、搬送部17の近傍には、部品22a、22b、22cの検査を行う検査部31が設けられている。
検査部31の構成は、検査部30aで採用可能な構成のうちから必要に応じて適宜選択することができる。
【0026】
組立装置18Bは、部品組立体23と、生産ライン10の外部から供給される組立用部品24とを組み立てて製品25を形成する装置である。組立装置18Bの構成は、組立装置18Aで採用可能な構成のうちから適宜選択することができる。
【0027】
組立装置18A、18Bの間には、部品組立体23を搬送する搬送部19Aが設けられている。また、組立装置18Bの近傍には、製品25を生産ライン10の外部に搬送する搬送部19Bが設けられている。
搬送部19A、19Bの構成は、搬送部15aで採用可能な構成のうちから適宜選択することができる。
【0028】
また、搬送部19A、19Bの近傍には、それぞれ部品組立体23、製品25の検査を行う検査部32、33が設けられている。
検査部32、33の構成は、検査部30aで採用可能な構成のうちから必要に応じて適宜選択することができる。
【0029】
生産ライン制御部11は、生産ライン10内の制御対象である成形部12、部品加工部26、後工程部13、各搬送部、および各検査部と電気的に接続され、生産管理システム1から指示される後述の生産スケジュールに基づいて、これらの制御対象の制御を行うとともに、生産ライン10の生産進捗データおよび成形部12における金型の使用履歴データを取得するものである。
また、生産ライン10内で作業員による生産作業が行われる場合には、作業員に対する作業指示を画像や音響等によって行う指示出力部(図示略)や、作業員が必要に応じて生産進捗データおよび金型の使用履歴データの入力を行う入力部(図示略)を備えている。
【0030】
生産ライン10の生産進捗データは、本実施形態では、成形装置12a、12b、部品加工装置16a、16b、16c、組立装置18A、18B(以下、これらを特に区別しない場合には、まとめて生産装置と称する場合がある)のそれぞれの出来高(生産量)実績、良品率実績、稼働率実績、および中間在庫量実績のデータを含んでいる。
金型の使用履歴データは、例えば、累積成形回数、連続成形回数、メンテナンスを行うまでの最大許容成形回数のデータ、該当する金型で成型された成形品の成型面の面精度測定値、外観異物検査の測定値を含んでいる。
これらの生産進捗データは、本実施形態では、生産ライン10内の制御対象や、各検査部にそれぞれ記憶されている。
生産ライン制御部11の装置構成としては、CPU、メモリ、入出力インターフェース、外部記憶装置などを備えるコンピュータを採用している。
【0031】
次に、生産管理システム1の構成について説明する。
生産管理システム1の機能構成は、図1に示すように、品質推移モデル設定部8、生産スケジュール初期設定部2、生産スケジュール指示部3、生産ライン情報取得部5、メンテナンス時期候補設定部4、生産予測部6、および生産スケジュール再設定部7を備える。
生産管理システム1の装置構成は、本実施形態では、CPU、メモリ、入出力インターフェース、外部記憶装置などを備えるコンピュータを採用している。生産管理システム1では、このコンピュータによって、上記機能構成に対応する制御プログラムや演算プログラムを実行することにより、後述する各制御機能や演算機能を実現している。
【0032】
品質推移モデル設定部8は、金型K、Kの使用履歴に基づく成形品21a、21bの品質推移モデルを設定するものである。
例えば、一定の成形サイクルで一定期間の連続的な成形を行った後、成形の休止期間を挟んで同様の成形を繰り返す場合の品質推移モデルとしては、金型K、Kごとに、累積成形回数kと、連続成形回数kに対する良品率y、yの変化を表す次式(1a)、(1b)を採用することができる。
【0033】
=f(k,k) ・・・(1a)
=f(k,k) ・・・(1b)
【0034】
ここで、関数f、fは、予め実験を行って決めたり、過去の生産実績から決めたりすることができる。また、これらの品質推移モデルは、生産予測部6によって必要に応じ呼び出し可能な関数、数式、テーブル等の適宜形態で品質推移モデル設定部8に記憶される。
一般に、金型は、累積成形回数kが増大するにつれて、摩耗や汚れ付着等の経時変化が進行するため、良品率が低下する。
また、特に樹脂成形やガラス成形に用いる金型などでは、例えば、成形装置の温度分布の安定性等の理由により、連続成形を開始してから良品率が安定するまでに時間がかかる場合がある。このような場合には、連続成形回数kがある程度増えるまでは、良品率が低くなる。
ただし、金型により、連続成形回数kによる変化が無視できる場合や、累積成形回数kによる変化が無視できる場合には、それぞれ上記式(1a)、(1b)の独立変数を、累積成形回数kのみ、あるいは連続成形回数kのみとしてもよい。
また、稼動開始したらメンテナンス時期まで稼動停止しない稼動形態の場合には、累積成形回数kと連続成形回数kとは一致するため、独立変数は1変数である。
【0035】
生産スケジュール初期設定部2は、生産ライン10の稼動条件と、金型K、Kのメンテナンス時期Tma、Tmbと、これらメンテナンス時期Tma、Tmbを見直す見直しタイミングTと、を含む生産スケジュールを設定するものである。
生産ライン10の稼動条件は、製品25の生産計画(生産量、納期等)が達成できるように、各生産装置の稼動条件(動作、タクト等)と、生産装置間に成形品21a、21b、部品22a、22b、22c、部品組立体23、製品25を円滑に搬送するための搬送部15a、15b、17、19A、19Bの稼動条件とを従来と同様にして設定する。
これら稼動条件は、加工待ち、搬送待ちのために生産ライン10内に発生する中間在庫量ができるだけ少なくなるように設定することが好ましい。これは、例えば製品25の設計変更、生産計画の変更や中止などが生じた場合に、中間在庫が使用不能またはただちには使用できなくなる可能性があり、破棄による損失や、保管スペース、在庫管理に関わる負荷の増大が発生するためである。
【0036】
ただし、本実施形態では、生産ライン10の稼働中に金型K、Kのメンテナンスを行うため、金型K、Kのメンテナンス時期Tma、Tmbを予め設定し、メンテナンス期間中は、成形装置12a、12bの成形が停止することを前提として、生産ライン10全体としての稼動率が低下しにくいように稼動条件を調整しておく。
例えば、金型Kのメンテナンス時期Tmaからメンテナンス期間ΔTの間に、部品組立体23をM個組み立てることが必要であれば、メンテナンス時期Tmaまでに、組立装置18Aによる組立待ちの部品22aの中間在庫がM個以上形成されるように、成形装置12a、搬送部15a、部品加工装置16a、搬送部17の稼動条件を設定しておく。これにより、金型Kのメンテナンスを行う間も部品22aを必要数だけ供給できるため、金型Kのメンテナンスによる生産性の低下を防止できる。
【0037】
しかし、このような生産スケジュールでは、中間在庫量にあまり余裕がないため、例えば、生産装置の故障などが発生するなどして、計画外の停止が発生したり良品率が計画よりも低下したりすると、生産ライン全体の進捗に影響を与え、リードタイムの増加、納期遵守率の低下、中間在庫量の増加などが起こる。
例えば、メンテナンス時期Tmaの前に、何らかの理由で、部品加工装置16cにおける良品率が当初計画より低くなった場合、部品22cの不足により組立装置18Aにおける生産進捗が遅れ、部品22a、22bの中間在庫量が過剰となる。特に部品22aは、メンテナンス期間に必要な中間在庫量を蓄積しているため、中間在庫量が多くなってしまう。
この場合、例えば、金型Kのメンテナンス時期を早めれば、成形装置12aの生産タクトを変えることなく、部品22aの中間在庫量を調整することができる。
このため、本実施形態では、生産スケジュールに、生産スケジュールを見直すための見直しタイミングTを設定している。
見直しタイミングTは、生産進捗の変化の実績値などを参考にして適宜の時間間隔に設定すればよい。少なくとも、メンテナンス時期Tma、Tmbのいずれよりも短い時間間隔に設定する。例えば、中間在庫量が当初計画に対して、想定以上に多くなったり、少なくなったりした時である。
本実施形態では、一例として一定周期となるように設定している。
【0038】
生産スケジュール指示部3は、生産スケジュール初期設定部2、生産スケジュール再設定部7、および生産ライン制御部11と通信可能に接続され、生産スケジュール初期設定部2または生産スケジュール再設定部7で設定された生産スケジュールを生産ライン制御部11に指示するものである。
また、生産スケジュール指示部3は、生産ライン情報取得部5とも通信可能に接続されており、生産ライン情報取得部5に対して、生産ライン情報取得部5の動作を開始する制御信号を送出するとともに、見直しタイミングTに同期した時刻tの情報を送出できるようになっている。
【0039】
生産ライン情報取得部5は、見直しタイミングTにおいて生産スケジュール指示部3から送出される制御信号に基づいて、生産ライン10の時刻tの現況を表す生産ライン情報である生産ライン制御部11から取得するものである。本実施形態の生産ライン情報は、生産ライン10の生産進捗データと、成形部12における金型K、Kの使用履歴データとからなる。
また、生産ライン情報取得部5は、生産ライン情報と時刻tの値とを、メンテナンス時期候補設定部4および生産予測部6に送出できるようになっている。
【0040】
メンテナンス時期候補設定部4は、生産ライン情報取得部5から送出される情報に基づいて、見直しタイミングT以後の金型のメンテナンス時期候補を複数通り設定するものである。
本実施形態では、生産ライン情報取得部5からの情報に基づいて、次式(2a)、(2b)によって金型K、Kに対するそれぞれのメンテナンス時期候補tmai、tmbjを設定する。
【0041】
mai=t+(Tlima−t)・(i/N) (2a)
mbj=t+(Tlimb−t)・(j/N) (2a)
【0042】
ここで、Tlima、Tlimbは、それぞれ金型K、Kにおいて許容できる最長のメンテナンス時期であり、金型K、Kの使用履歴データに含まれるそれぞれの最大許容成形回数に成形装置12a、12bの成形タクトを乗じて得ることができる。また、N、Nはそれぞれ2以上の整数であり、i=1,…,N、j=1,…,Nである。
【0043】
生産予測部6は、生産ライン情報取得部5、メンテナンス時期候補設定部4、および品質推移モデル設定部8と通信可能に接続され、生産ライン情報取得部5が取得した生産進捗データ、金型の使用履歴データ、品質推移モデル設定部8が設定した品質推移モデル、およびメンテナンス時期候補設定部4が設定したメンテナンス時期候補tmai、tmbjとに基づいて、生産ライン10での生産シミュレーションを行い、見直しタイミングT後の終了時刻tendまでの時系列の生産を予測するものである。
このため、生産予測部6は、生産ライン10内のすべての装置、および人手作業の稼動条件に基づいて生産の時系列変化を算出するシミュレーションプログラムを備えている。シミュレーションプログラムとしては、従来、生産ラインの生産スケジュールを設定する際に用いられるシミュレーションプログラムと同様の構成を採用することができる。
ここで、終了時刻tendは、生産シミュレーションの打ち切り時刻を表すもので、生産スケジュール再設定部7で行う生産シミュレーションの評価の内容に応じて適宜に設定することができる。
このため、終了時刻tendは、例えば、計画された生産終了時刻に合わせてもよいし、より短期であってもよい。また、例えば、一日、一週間というような適宜単位の区切りに合わせてもよい。
また、生産スケジュール再設定部7の評価が、例えば、一定出来高の製品25を生産するための生産ライン10のリードタイムである場合には、終了時刻tendを充分大きな値に設定しておき、出来高が目標値になったときに生産シミュレーションを終了すればよい。
【0044】
生産予測部6が行う生産シミュレーションでは、各生産装置の出来高、中間在庫量の初期値(t=tの値)は、生産進捗データにおける出来高実績、中間在庫量実績に基づいて設定する。
また、この生産シミュレーションにおいて、成形装置12a、12bを除く生産装置の良品率、稼働率は、生産進捗データにおける良品率、稼働率から、前回の見直しタイミングから現見直しタイミングまでの平均実績を設定する。
【0045】
また、成形装置12a、12bにおける出来高の予測は、金型K、Kのメンテナンスをメンテナンス時期候補tmai,tmbjのタイミングで行うものとして予測する。
ここで、終了時刻tendの関係で、生産シミュレーション上、金型のメンテナンスを複数回行う必要がある場合には、2回目以降もメンテナンス時期候補tmai,tmbjに対応するメンテナンス時期にメンテナンスを行うとして予測する。
このように、メンテナンス時期を変更すると、見直しタイミングTからメンテナンスを開始するまでの成形の単位時間当たり生産量は、上記式(1a)、(1b)に基づく良品率y、yの推移に応じて変化することになる。
【0046】
この生産シミュレーションでは、見直しタイミングT後の時系列の生産推移を表すデータ群が、N×N通りのケースについて得られることになる。以下では、この生産シミュレーションの結果を、予測結果Sij(ただし、i=1,…,N、j=1,…,N)と称する。
これらの予測結果Sijは、生産スケジュール再設定部7に送出される。
【0047】
生産スケジュール再設定部7は、生産予測部6で予測される生産の各予測結果Sijを、予め設定した条件に基づいて評価して、予測結果Sijのうちの1つを選択し、この予測結果Sijに対応するメンテナンス時期候補tmai,tmbjを生産スケジュールにおけるメンテナンス時期として再設定するものである。
【0048】
予測結果Sijを評価する条件としては、生産ライン10の生産性に対応する適宜の条件を設定することができる。
例えば、一定時期を評価時期testとして設定し、この評価時期testまでの間に生産ライン10としての出来高(生産量)が最大となる条件を採用することができる。
ここで、評価時期testは予測結果Sijが算出された範囲に属する時期であれば、必要に応じて設定することができる。
評価時期testの例としては、例えば、生産終了予定時期、特定の製品納期に合わせた時期、生産ライン10の終業時等を挙げることができる。
この場合、金型のメンテナンスを行うことによる出来高の低下傾向を予測結果Sijの範囲で最小化することができる。このため、生産ライン10の生産性の低下を抑制することができる。
【0049】
また、例えば、評価時期testにおいて生産ライン10内の成形品の中間在庫量が最小になる条件を採用することができる。ここで、中間在庫量を最小化する成形品は、成形品21a、21bのいずれかであってもよいし、両方であってもよいし、成形品21a、21bの中間在庫量の和であってもよい。
この場合、金型のメンテナンスを行うことによる成形品の中間在庫量を予測結果Sijの範囲で最小化することができる。このため、製品25の設計変更、生産計画の変更や中止などが生じた場合にも、中間在庫の破棄による損失や、保管スペース、在庫管理に関わる負荷の増大を抑制することができる。
【0050】
また、例えば、評価時期testまでの間の生産ライン10の平均稼働率が最大になる条件を採用することができる。
ここで、生産ライン10の平均稼働率は、生産ライン10内の各生産装置の稼働率の平均を意味する。
この場合、金型のメンテナンスを行うことによる生産ライン10の平均稼働率の低下を抑制し、予測結果Sijの範囲で最大化することができる。このため、生産ライン10の生産装置の設備利用効率が向上することができる。
【0051】
また、例えば、生産ライン10で生産される製品25の平均リードタイムが最小となる条件を採用することができる。ここで、予測結果Sijを比較する時期は、必要に応じて、評価時期testで行ってもよいし、一定の出来高を生産した時期で行ってもよい。
この場合、金型のメンテナンスを行うことによる製品25のリードタイムの増大を抑制し、予測結果Sijの範囲で製品25の平均リードタイムを最小化することができる。このため、生産ライン10の生産性を向上することができるとともに、製品25の納期を短縮したり、製造コストを低減したりすることができる。
【0052】
また、例えば、評価時期testまでの間に生産ライン10で生産される製品25の納期遵守率が最大となる条件を採用することができる。
この場合、金型のメンテナンスを行うことによる製品25の納期遵守率の低下を抑制し、予測結果Sijの範囲で製品25の納期遵守率を最大化することができる。
【0053】
以上に説明した評価条件は、一例であってこれらの評価条件に限定されるものではない。
また、上記の評価条件は、上記の2以上の条件を組み合わせてもよい。例えば、納期遵守率は、複数の予測結果Sijにおいて最大値100%となる可能性があるため、例えば、中間在庫量の評価条件と組み合わせて、納期遵守率が最大となる複数の予測結果Sijのうちでは中間在庫量が最小となるものを選択する、といった条件を採用することができる。
これは、例えば、条件X、Yがある場合に、条件Xにおいて優れる優良グループGを抽出し、優良グループG内で条件Yの下に最良となる予測結果を選択する評価に相当する。
別の評価としては、例えば、条件X、Yがある場合、条件Yの制約を満足する制約グループGを抽出し、制約グループG内で条件Xにおいて最良となる予測結果を選択する評価を採用してもよい。
【0054】
複数の評価条件の具体例としては、以下の例(1)〜(3)を挙げることができる。
(1)生産ライン全体としての完成品のスループット最大化が求められている場合、評価期間内での良品率の最低ラインとしての最低良品率と、金型の次のメンテナンスまでの最低連続成形数を条件設定して、予測結果からスループット最大のものを選択する。ここでスループットとは、評価期間内での生産数量を意味する。
(2)搬送待ち、処理待ちの工程内在庫量を最小化する場合に、評価期間内の最低良品率と、最低連続成形数を条件設定して、予測結果からスループットが一定以上となる予測結果を抽出し、この中から工程内在庫量が最低のものを選択する。
(3)生産ライン全体の累積不良損金を最小化する場合に、評価期間内の最低良品率と、最低連続成形数を条件設定して、予測結果からスループットが一定以上、納期遵守率が一定値以上、かつ工程内在庫量が一定範囲となる予測結果を抽出し、この中から生産ライン全体の累積不良損金が最小となるものを選択する。ここで不良損金は、例えば、累積不良品数×不良品1個当たりのコストとして求める。
【0055】
次に、生産管理システム1の動作の一例について、本実施形態の生産管理方法を中心として説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る生産管理方法の工程フローを示すフローチャートである。図4は、本発明の実施形態に係る生産管理方法における品質推移モデルの一例を示すグラフである。図4の横軸は成形回数k(回)、縦軸は良品率y(%)を示す。図5(a)、(b)は、それぞれ本発明の実施形態に係る生産管理方法の作用について説明する成形品の単位時間当たり生産量および後工程部における中間在庫量のグラフである。図5(a)の横軸は時間、縦軸は成形品の単位時間当たり生産量を示す。図5(b)の横軸は時間、縦軸は後工程部の中間在庫量を示す。
【0056】
生産管理システム1を用いた本実施形態の生産管理方法は、金型を用いて成形を行う成形工程と、この成形工程で成形した成形品を用いて生産作業を行う後生産工程とを行う生産ラインにおける生産管理方法であって、品質推移モデル設定工程、生産スケジュール初期設定工程、生産ライン情報取得工程、メンテナンス時期候補設定工程、生産予測工程、生産スケジュール再設定工程、および生産スケジュール指示工程を備え、これらを図3に示す工程フローに従って行う方法である。
【0057】
まず、ステップS1では、品質推移モデル設定工程を行う。本工程は、金型の使用履歴に基づく成形品の品質推移モデルを設定する工程である。
まず、予め実験を行ったり、過去の生産実績を調べたりして、金型K、Kごとに、累積成形回数kと、連続成形回数kに対する良品率y、yの関係を表す関数f、fを求めて、上記式(1a)、(1b)を決定する。そして、品質推移モデル設定部8に、上記式(1a)、(1b)を関数、数式、テーブル等の適宜形態で記憶させる。
以上でステップS1が終了する。
【0058】
以下では、成形装置12a、12bは、メンテナンスを除いては休止期間を設けないものとして説明する。この場合、上記式(1a)、(1b)において、累積成形回数kと連続成形回数kとは一致するため、これらを単に成形回数kと称する。したがって、上記式(1a)、(1b)は、次式(3a)、(3b)のようになる。
【0059】
=f(k) ・・・(3a)
=f(k) ・・・(3b)
【0060】
例えば、図4に示すグラフは、上記式(3a)に対応する品質推移モデルの一例である。曲線100が表す関数fは、成形回数kが1からkまでの間、良品率yがyからyに急峻に増大し、成形回数kがkからkまでの間、良品率yが、yからyまで略一定で推移し、成形回数kがkより増大すると、良品率yが漸減した後、急峻に減少する変化を示す。金型Kの使用限界kは、例えば、成形回数k以上で、良品率yがy以下となる条件として予め設定しておく。ここで、1<k<k<k、y<y、y<yであり、y、yは、略100%、例えば、95%〜100%である。
曲線100は、成形品21aの単位時間当たりの生産量の推移に対応している。
また、成形回数kに成形タクトΔTをかけると成形開始からの経過時間tが得られるから、上記式(1a)、(1b)、(3a)、(3b)から、成形品21aの出来高の推移を求めることができる。
本例において、成形回数k以下で良品率yが低くなっている理由は、本例の金型Kが射出成形用金型であり、成形回数k以下では熱的条件が安定しておらず、これにより成形品21aの寸法精度が安定しないためである。例えば、プレス金型等では、このような初期の良品率低下は発生しにくい。
また、成形回数k以上で良品率yが低下するのは、金型Kに汚れや劣化が生じて不良品が増えていくためである。
【0061】
次に、ステップS2では、生産スケジュール初期設定工程を行う。本工程は、生産ラインの稼動条件と、金型のメンテナンス時期と、このメンテナンス時期を見直す見直しタイミングと、を含む生産スケジュールを設定する工程である。
本工程では、生産スケジュール初期設定部2に上記に説明したように、製品25の生産計画に基づいて、生産スケジュールを設定する。生産スケジュール初期設定部2は、設定された生産スケジュールを、生産スケジュール指示部3に送出する。
以上で、ステップS2が終了する。
【0062】
次に、ステップS3では、生産スケジュール指示工程を行う。本工程は、ステップS2の終了時に実行される場合、生産スケジュール初期設定工程で設定された生産スケジュールを生産ラインに指示する工程である。
すなわち、生産スケジュール初期設定部2から送出された生産スケジュールを、生産ライン10の生産ライン制御部11に送信することによって、生産スケジュールを生産ライン10に指示する。これにより、生産ライン10における生産が開始される。
以上で、ステップS3が終了する。
【0063】
次に、ステップS4は、生産管理を終了するかどうか判定するステップである。
生産スケジュール指示部3は、経過時間を参照して、生産ライン10に指示した生産スケジュールにおける生産終了予定時刻に達したかどうかを判定する。
生産終了予定時刻に達した場合には、生産管理を終了する。
生産終了予定時刻に達していない場合には、ステップS5に移行する。
【0064】
ステップS5は、見直しタイミングに達したかどうか判定するステップである。
生産スケジュール指示部3は、経過時間を参照して、生産ライン10に指示した見直しタイミングTに達したかどうかを判定する。
見直しタイミングTに達した場合には、生産スケジュール指示部3は、見直しタイミングTに達したことを生産ライン情報取得部5に通知する。これによりステップS6に移行する。
見直しタイミングTに達していない場合には、ステップS4に移行する。
【0065】
ここで、生産ライン制御部11の制御フローについて説明する。
生産ライン制御部11は、制御動作を開始すると、生産管理システム1から生産スケジュールが指示されるまで待機する。
上記ステップS3が行われて、生産スケジュール指示部3から生産スケジュールが指示されると、ステップS20が開始される。
ステップS20は、生産スケジュール指示部3からの指示に基づいて、生産スケジュールを設定するステップである。
生産ライン制御部11は、生産スケジュール指示部3からの生産スケジュールの指示を受けると、必要に応じて生産スケジュールを、生産ライン10の各装置部分の制御情報に変換して記憶する。
以上で、ステップS20が終了する。
【0066】
次に、ステップS21は、生産スケジュールが終了するかどうか判定するステップである。
生産ライン制御部11は、経過時間を参照して、生産スケジュール指示部3から指示された生産スケジュールにおける生産終了予定時刻に達したかどうかを判定する。
生産終了予定時刻に達した場合には、生産を終了する制御を行う。
生産終了予定時刻に達していない場合には、ステップS22に移行する。
なお、ステップS21を最初に実行する時は、生産を開始していないため、生産終了予定時刻にも達していないと判定する。
【0067】
ステップS22は、生産スケジュールにおける金型K、Kのメンテナンス時期に達したかどうか判定するステップである。
生産ライン制御部11は、経過時間を参照して、金型K、Kのいずれかのメンテナンス時期に達したかどうかを判定する。
メンテナンス時期に達した場合には、ステップS23に移行する。
メンテナンス時期に達していない場合には、ステップS23をスキップして、ステップS24に移行する。
なお、ステップS22を最初に実行する時は、生産を開始していないため、メンテナンス時期にも達していないと判定する。
【0068】
ステップS23は、メンテナンス時期に達した金型をメンテナンスするステップである。
本実施形態では、金型K(K)をメンテナンスする場合、金型交換機14a(14b)によって、予め用意した交換用の金型K(K)を自動交換する。そして、成形装置12a(12b)から下ろした金型は、検査、修理、清掃等のメンテナンス作業をオフラインで行う。
このため、交換時間の間がメンテナンスによる成形の停止期間になる。
ただし、金型の種類によって、交換用の金型を常に用意しておくことができない場合には、外した金型Kをメンテナンスして成形装置12a(12b)に戻すまでをメンテナンス期間として、成形を停止してもよい。
【0069】
ステップS24は、生産スケジュールにより生産ライン10における制御対象の制御を行うステップである。
すなわち、生産スケジュールが生産ライン制御部11に設定されると、生産ライン制御部11は、生産スケジュールにおける生産ライン10の稼動条件に基づいて、成形装置12a、12b、部品加工装置16a、16b、16c、組立装置18A、18Bと、搬送部15a、15b、17、19A、19Bとの動作を制御する。これにより、生産ライン10による生産作業が行われていく。
ここで、人手を介する生産作業に関する指示は、図示略の指示出力部によってなされる。
また、ステップS20によって生産スケジュールに変更されている場合には、変更された生産スケジュールに基づいて制御を切り換える。
以上で、ステップS24が終了し、後述するステップS25に移行する。
【0070】
ここで、生産ライン10における生産の流れを簡単に説明する。
図2に示すように、成形装置12a(12b)では、金型交換機14a(14b)によって、金型K(K)が装着され、成形材料20a(20b)が供給されると、それぞれの成形タクトにしたがって成形が行われる。これにより形成された成形品21a(21b)は、それぞれ搬送部15a(15b)によって検査部30a(30b)に搬送されて、それぞれ検査が行われる。
検査に合格した成形品21a(21b)は、搬送部15a(15b)により部品加工装置16a(16b)に搬送される。部品加工装置16a(16b)の進捗が滞っている場合には、搬送待ちとなって成形装置12a(12b)の中間在庫になるか、または、部品加工装置16a(16b)に搬送後に加工待ちとなって部品加工装置16aの中間在庫になる。
部品加工装置16a(16b)で加工された部品22a(22b)は、搬送部17によって検査部31に搬送されて検査された後、組立装置18Aに搬送される。
これに並行して、部品加工装置16cでは、加工材料27が加工されて部品22cが製造され、搬送部17によって検査部31に搬送されて検査された後、組立装置18Aに搬送される。
【0071】
組立装置18Aは、部品22a、22b、22cを組み立てるため、それぞれが1以上搬送されていないと組み立てることができず、生産進捗に遅れが生じる。
例えば、成形装置12aの良品率が低下して成形品21aの出来高が生産計画に比べて減少したり、部品加工装置16aにトラブルが生じて生産タクトや良品率が低下したりすると、成形品21aや部品22aの供給不足が生じて、このような生産進捗の遅れにつながる。
組立に必要な部品数が揃うと、部品組立体23が形成され、搬送部19Aによって検査部32に搬送された後、良品が組立装置18Bに搬送される。
組立装置18Bでは、外部から供給される組立用部品24と部品組立体23とが組み立てられ、製品25として最終の検査を行う検査部33に搬送される。検査部33によって良品と判定されると、出荷在庫として保持され、予定個数がまとまると、生産ライン10の外部に出荷される。
【0072】
ステップS25は、生産ライン制御部11が生産スケジュール指示部3から生産ライン情報を取得するとの指示があるかどうかを判定するステップである。
指示がない場合には、ステップS21に移行して上記の各ステップを繰り返す。
指示がある場合には、ステップS26に移行する。
【0073】
ステップS26は、生産ライン制御部11が、生産ライン情報を収集して生産管理システム1の生産ライン情報取得部5に送信するステップである。
本実施形態では、生産ライン制御部11は、生産ライン情報として、生産ライン10の生産進捗データと、金型の使用履歴データと、を取得して生産ライン情報取得部5に送信する。
以上で、ステップS26が終了する。
ステップS26が終了すると、生産ライン制御部11は、ステップS21に移行して上記の各ステップを繰り返す。
【0074】
次に、生産管理システム1のフローに戻り、ステップS6以降のステップについて説明する。
ステップS6では、生産ライン情報取得工程を行う。本工程は、見直しタイミングにおいて、生産ライン情報である、生産ラインの生産進捗データと、金型の使用履歴データとを取得する工程である。
すなわち、生産ライン情報取得部5は、生産スケジュール指示部3からの通知に基づいて、生産ライン10の生産ライン制御部11に対して、時刻tにおける、生産ライン10の生産進捗データと、成形部12における金型K、Kの使用履歴データとを取得するとの指示を表す制御信号を送出し、生産ライン制御部11からのデータ受信待ちとなる。
生産ライン制御部11において、ステップS26が実行されると、生産進捗データと金型K、Kの使用履歴データとが送信され、生産ライン情報取得部5によって受信される。
受信された各データは、メンテナンス時期候補設定部4および生産予測部6に送出される。
以上で、ステップS6が終了する。
【0075】
次に、ステップS7では、メンテナンス時期候補設定工程を行う。本工程は、見直しタイミングごとに、この見直しタイミング以後の金型のメンテナンス時期候補を複数通り設定する工程である。
すなわち、メンテナンス時期候補設定部4は、上記式(2a)、(2b)によって、メンテナンス時期候補tmai、tmbjを設定し、生産予測部6に送出する。
以上で、ステップS7が終了する。
【0076】
次に、ステップS8では、生産予測工程を行う。本工程は、生産進捗データ、金型の使用履歴データ、品質推移モデル、およびメンテナンス時期候補に基づいて、生産ラインでの生産シミュレーションを行い、見直しタイミング後の生産を予測する工程である。
生産予測部6は、生産ライン情報取得部5から送出された生産進捗データ、金型の使用履歴データ、品質推移モデル設定部8で設定された品質推移モデル、メンテナンス時期候補設定部4から送出されたメンテナンス時期候補tmai、tmbjとに基づいて、生産ライン10での生産シミュレーションを行い終了時刻tendまでの時系列の生産を予測する。
予測結果Sijは、生産スケジュール再設定部7に送出する。
以上で、ステップS8が終了する。
【0077】
一般に、生産ライン10全体の進捗が遅れている場合には、当初の計画どおりに金型のメンテナンスをするべきか、メンテナンスの時期を変更するのかを判断することは容易ではない。
メンテナンス時期を早めれば、成形品の良品率が低下する前にメンテナンスを行うことになり、不良損金の発生を抑えることができ、中間在庫量も減らすことができるが、早い時期のメンテナンスを何サイクルか繰り返せば、合計としてはメンテナンス回数の増加につながりスループットが低下する。また、メンテナンスから復帰し再び生産開始することのできる時期もずれるため、この生産復帰のタイミングが生産システムから必要とされるタイミングにリアルタイムで成形品を供給できるのか判断ができない。
逆にメンテナンス時期を遅らせると、当面の成形個数を確保しておくことはできるが、メンテナンス時期を遅らせることによる成形品の良品率の低下が起き、合計としてのスループットが低下すると共に、不良損金の増加の可能性もある。また、メンテナンス後に再び生産開始できる時期がずれるため、生産システム全体からのリアルタイムの要求にこたえられるのか判断できないためである。
【0078】
本実施形態の予測結果Sijには、見直しタイミングTにおける生産進捗実績と、生産ライン10のすべての生産装置の連関とに基づく生産装置ごとの生産量、中間在庫量、稼働率の推移等の予測が含まれる。これにより生産ライン10全体としての出来高、在庫量、平均稼働率、納期遵守率、製品の平均リードタイムなどが予測可能になっている。
以下では、生産シミュレーションの作用について説明するため、成形装置12aの予測結果の一例について説明する。
【0079】
例えば、成形装置12aにおける成形品21aの単位時間当たり生産量が、時刻tから時刻tまでに、図5(a)の曲線abのように変化したとすると、生産量bの大きさや、時刻tまでの累積生産量が、生産進捗データとして取得されている。ここで、時刻tは、金型Kをメンテナンスして生産を再開した時刻であり、時刻tは見直しタイミングTである。
図5(a)の曲線abは、例えば、図4に示す成形装置12aにおける成形回数1回からk回までの良品率の変化に対応しており、成形の初期には良品率yが低いため、生産量が少なくなり、一定の成形回数を超えると略一定の単位時間当たり生産量が得られる。
このとき、組立装置18Aにおける組立待ちの部品22aの中間在庫量の変化実績は、例えば、図5(b)の曲線ABに示す通りである。すなわち、時刻t以前は成形装置12aがメンテナンスによって停止しているため、中間在庫量は減少する。時刻tから成形品21aの供給が開始されると、部品加工装置16aによる部品22aの加工が始まるため、中間在庫量の減少が低減され、やがて中間在庫量の増大に転じる。
【0080】
メンテナンス時期候補設定部4で設定されたメンテナンス時期候補ごとに、生産シミュレーションを行うと、時刻t以降の金型のメンテナンスによる成形の休止を考慮した成形品21aの生産量が予測できる。
例えば、一例として、図5(a)に示すメンテナンス時期候補tma1、tma2(ただし、tma1<tma2)がメンテナンス時期として設定される。これらは、成形回数では、それぞれkとkとの間の成形回数に対応する。
【0081】
部品22aの生産予測は、部品加工装置16aの稼働率、良品率を、時刻tまでの実績値を用いることにより得られる。同様に、組立装置18Aの稼働率も時刻tまでの実績値を用いることにより得られる。
この結果、図5(b)に示すように、時刻tma1からメンテナンスを行う場合には実線で示す曲線104の推移が、時刻tma2からメンテナンスを行う場合には破線で示す曲線105の推移が、それぞれ予測結果として得られる。図5(b)において、直線106は、組立装置18Aの組立が停止しないための必要在庫量を示す。
曲線104、105は、いずれも、時刻tから時刻tma1、tma2のわずか後までの間は部品在庫量が増大するものの、ピーク(図5(b)の点C、C参照)を迎えた後に減少に転じ、メンテナンス期間終了後に最小となってから(図5(b)の点D、D参照)、成形装置12aの成形が再開されることで再び増大することが分かる。
【0082】
曲線104の推移は、成形装置12aにおいて良品率が高いうちにメンテナンスを開始する場合に得られ、曲線105の推移は、成形装置12aにおいて、良品率が減少しても成形を続ける場合に得られる。
成形の効率や中間在庫量を増やさないという観点では、曲線105の推移よりも曲線104の推移が望ましいが、曲線104の推移では、メンテナンスの終了前に組立装置18Aの組立に必要な在庫量を割ってしまうことになる。このため、部品切れによって組立装置18Aの組立が停止され、部品組立体23の生産量の低下を招くことになる。
したがって、後工程部13における生産性が低下し、生産ライン10全体としての出来高は、曲線104の推移の方が低下することになる。
【0083】
次に、ステップS9では、生産スケジュール再設定工程を行う。本工程は、生産予測工程で予測される生産の各予測結果を予め設定した条件に基づいて評価して、予測結果のうちの1つを選択し、この予測結果に対応するメンテナンス時期候補をメンテナンス時期として再設定する工程である。
すなわち、生産スケジュール再設定部7は、生産予測部6から送出された予測結果Sijを、予め設定した条件に基づいて評価して、予測結果Sijのうちの1つを選択し、この予測結果Sijに対応するメンテナンス時期候補tmai,tmbjをメンテナンス時期として再設定する。
評価条件としては、すでに説明した種々の条件を採用することができる。
例えば、図5(b)に示す例において、生産ライン10の出来高を左右するのが、組立装置18Aの稼働率である場合に、生産ライン10の出来高を最大化する条件で評価すると、メンテナンス時期がtma2に再設定される。
また、例えば、図5(b)に示す例において、生産ライン10の中間在庫量を左右するのが、成形装置12aの中間在庫量である場合に、生産ライン10の中間在庫量が最小となる条件で評価すると、メンテナンス時期がtma1に再設定される。
【0084】
このようにして、ステップS9が終了すると、ステップS3に移行し、ステップS3からの各ステップを繰り返す。
これにより、ステップS3が実行される2回目以降は、生産スケジュール再設定工程によって、メンテナンス時期が再設定された生産スケジュールが、生産ライン制御部11に指示されることになる。
したがって、生産ライン制御部11のステップS23では、見直しタイミングT以降では、生産ライン10の生産進捗および金型のメンテナンスによる生産性の変化を考慮した生産シミュレーションに基づく予測結果Sijの範囲で、一定の評価条件の下に最適なメンテナンス時期が指示されることになる。
このような工程フローにより、生産スケジュール上の生産終了時刻となるまで、製品25の生産が続けられる。
【0085】
生産管理システム1を用いた本実施形態の生産管理方法によれば、金型のメンテナンス時期を見直す見直しタイミングを設け、見直しタイミングごとに生産進捗データと金型の品質推移モデルとに基づいて生産シミュレーションを行って金型のメンテナンス時期を再設定するため、生産進捗に変化するなど生産計画からのずれが生じても、金型のメンテナンスの生産性に及ぼす影響を抑制することができる。このため、成形工程に用いる金型のメンテナンスを行いつつ、後生産工程を含めた生産ラインを稼動させる場合に、生産ライン全体としての生産性の低下を抑制することができる。
【0086】
なお、上記の実施形態の説明では、生産ライン10が金型交換機14a、14bを備えることにより、生産ライン制御部11の制御信号により金型が自動交換される場合の例で説明したが、金型は、生産ライン制御部11からの指示出力部に表示される指示に基づいて人手によって交換、またはメンテナンスしてもよい。
【0087】
また、上記の実施形態の説明では、金型のメンテナンス時期候補を、等間隔に設定する場合の例で説明したが、これは一例であって、メンテナンス時期候補は、不等間隔に設定してもよい。
【0088】
また、上記の実施形態の説明では、生産ライン10が成形部12、後工程部13の他に部品加工部26を備える場合の例で説明したが、部品加工部26は削除してもよい。
【0089】
また、上記の実施形態で説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせたり、削除したりして実施することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 生産管理システム
2 生産スケジュール初期設定部
3 生産スケジュール指示部
4 メンテナンス時期候補設定部
5 生産ライン情報取得部
6 生産予測部
7 生産スケジュール再設定部
8 品質推移モデル設定部
10 生産ライン
11 生産ライン制御部
12 成形部
12a、12b 成形装置
13 後工程部
16a、16b、16c 部品加工装置
18A、18B 組立装置
21、21a、21b 成形品
22a、22b 部品
23 部品組立体
24 組立用部品
25 製品
26 部品加工部
30a、30b、31、32、33 検査部
、K 金型
Tr 見直しタイミング
、y 良品率
Sij 予測結果
ma、Tmb メンテナンス時期
mai、tmbj メンテナンス時期候補

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型を用いて成形を行う成形工程と、該成形工程で成形した成形品を用いて生産作業を行う後生産工程とを行う生産ラインにおける生産管理方法であって、
前記金型の使用履歴に基づく成形品の品質推移モデルを設定する品質推移モデル設定工程と、
前記生産ラインの稼動条件と、前記金型のメンテナンス時期と、該メンテナンス時期を見直す見直しタイミングと、を含む生産スケジュールを設定する生産スケジュール初期設定工程と、
前記見直しタイミングにおいて、前記生産ラインの生産進捗データと、前記金型の使用履歴データとを取得する生産ライン情報取得工程と、
前記見直しタイミングごとに、該見直しタイミング以後の前記金型のメンテナンス時期候補を複数通り設定するメンテナンス時期候補設定工程と、
前記生産進捗データ、前記金型の使用履歴データ、前記品質推移モデル、および前記メンテナンス時期候補に基づいて、前記生産ラインでの生産シミュレーションを行い、前記見直しタイミング後の生産を予測する生産予測工程と、
該生産予測工程で予測される生産の各予測結果を予め設定した条件に基づいて評価して、前記予測結果のうちの1つを選択し、該予測結果に対応する前記メンテナンス時期候補を前記生産スケジュールにおけるメンテナンス時期として再設定する生産スケジュール再設定工程と、
前記生産スケジュール初期設定工程の終了時には該生産スケジュール初期設定工程で設定された生産スケジュールを前記生産ラインに指示し、前記生産スケジュール再設定工程の終了時には前記メンテナンス時期が再設定された生産スケジュールを前記生産ラインに指示する生産スケジュール指示工程と、
を備えることを特徴とする生産管理方法。
【請求項2】
前記品質推移モデルは、前記金型を用いた成形における良品率の推移を表す
ことを特徴とする請求項1に記載の生産管理方法。
【請求項3】
前記生産スケジュール再設定工程では、
前記条件として、一定時期までの間に前記生産ラインとしての生産量が最大になるメンテナンス時期候補を選択する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の生産管理方法。
【請求項4】
前記生産スケジュール再設定工程では、
前記条件として、一定時期において前記生産ライン内の前記成形品の中間在庫が最小になるメンテナンス時期候補を選択する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の生産管理方法。
【請求項5】
前記生産スケジュール再設定工程では、
前記条件として、一定時期までの間の前記生産ラインの平均稼働率が最大になるメンテナンス時期候補を選択する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の生産管理方法。
【請求項6】
前記生産スケジュール再設定工程では、
前記条件として、一定時期までの間に前記生産ラインで生産される製品の平均リードタイムが最小となるメンテナンス時期候補を選択する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の生産管理方法。
【請求項7】
前記生産スケジュール再設定工程では、
前記条件として、一定時期までの間に前記生産ラインで生産される製品の納期遵守率が最大となるメンテナンス時期候補を選択する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の生産管理方法。
【請求項8】
金型を用いて成形を行う成形部と、該成形部で成形した成形品を用いて生産作業を行う後工程部とを有する生産ラインにおける生産管理システムであって、
前記金型の使用履歴に基づく成形品の品質推移モデルを設定する品質推移モデル設定部と、
前記生産ラインの稼動条件と、前記金型のメンテナンス時期と、該メンテナンス時期を見直す見直しタイミングと、を含む生産スケジュールを設定する生産スケジュール初期設定部と、
前記見直しタイミングにおいて、前記生産ラインの生産進捗データと、前記金型の使用履歴データとを取得する生産ライン情報取得部と、
前記見直しタイミングごとに、該見直しタイミング以後の前記金型のメンテナンス時期候補を複数通り設定するメンテナンス時期候補設定部と、
前記生産進捗データ、前記金型の使用履歴データ、前記品質推移モデル、および前記メンテナンス時期候補に基づいて、前記生産ラインでの生産シミュレーションを行い、前記見直しタイミング後の生産を予測する生産予測部と、
該生産予測部で予測される生産の各予測結果を予め設定した条件に基づいて評価して、前記予測結果のうちの1つを選択し、該予測結果に対応する前記メンテナンス時期候補を前記生産スケジュールにおけるメンテナンス時期として再設定する生産スケジュール再設定部と、
前記生産スケジュール初期設定部または前記生産スケジュール再設定部で設定された生産スケジュールを前記生産ラインに指示する生産スケジュール指示部と、
を備えることを特徴とする生産管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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