説明

生産計画装置および生産計画方法

【課題】 機械加工ショップに設置された旋盤、ボール盤、多軸NC加工装置といった複数の切削加工装置を有効に使用して、機械加工ショップに投入されるワークの加工作業のスループットを最大にするための各切削加工装置への作業の割り当てを決定する。
【解決手段】 各切削加工装置の加工領域を登録する手段と、登録された各切削加工装置の加工領域を加工するNCデータを作成して、機械加工ショップのスケジューリングを行い、機械加工ショップのスループットと、各切削加工装置の稼働率を算出する手段と、加工装置の稼働率に基づき各切削加工装置の加工領域の修正解を登録する手段と、最大のスループットが得られる加工領域の割り当て方を決定する手段とを生産計画装置に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械加工ショップに設置された旋盤、ボール盤、多軸NC加工装置といった複数の切削加工装置を有効に使用して、機械加工ショップに投入されるワークの加工作業のスループットを最大にするための各切削加工装置への作業の割り当てを決定する機能を備えたCAM(Computer Aided Manufacturing) ソフトウェアの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2002−149223号公報(特許文献1)がある。この公報には、「鉄鋼製品の生産計画を短納期に正確に対応して短時間で作成する。オーダー入力手段で製品オーダーを入力することにより、通過工程決定手段で、製品の通過工程を決定し、生産計画形成手段で、製品オーダーの通過工程をもとに各通過工程毎のリードタイム及び能率を求め、これを製品オーダーの納期から積み上げて各通過工程の通過タイミング及び処理時間を決定し、これに基づいて各工程毎に時系列で各製品オーダーの処理時間を積み上げて設備毎の稼働率を演算してから、能力超過工程の有無を判定し、能力超過工程がないときにはそのまま生産計画を作成するが、能力超過工程がある場合には、該当工程での処理を納期と能力とに基づいて前後の通過タイミングに振り分ける山崩しを行って能力超過を抑制し、調整後に工程毎稼働率を再演算し、能力超過工程がなくなったときに、そのときの通過タイミング及び処理時間で生産計画を作成する。」と記載されている(要約参照)。
【0003】
また、特開2001−318711号公報(特許文献2)がある。この公報には、「日程計画時の過負荷の解消のみならず生産能力過剰に陥らないように負荷不足を解消し、負荷の平準化が可能なスケジューリング装置を提供する。製品の製造に必要な各工程の作業であるタスクの初期山積みを実施する初期タスク山積み部と、該初期タスク山積み部で山積みされた計画期間内で最も負荷の低い部分であるミニマムボトムを探索するボトムサーチ部と、前記ミニマムボトムに隣接するピークをサーチする隣接ピークサーチ部と、前記隣接ピークとミニマムボトムの間に存在するタスクを所定の方法により前記ミニマムボトムに移動し負荷平準化を行う負荷平準化処理部と、前記負荷平準化処理部での負荷平準化処理結果の評価を行う平準化度評価部と、平準化評価の結果をもとに処理の終了判定を実施する終了判定部と、負荷平準化処理結果を出力する計画出力部を有する。」と記載されている(要約参照)。
【0004】
また、特開昭62−295116号公報(特許文献3)がある。この公報には、「穴以外の加工領域を分類集約し、加工精度および加工能率を盛り込んで単純形状へと自動分割する実用的な自動加工機の加工領域分割処理装置を提供する。加工領域に対し使用する工具に対応した単純な領域形状に自動分割する自動加工機の加工領域分割処理装置であって、領域分割の判定基準および設定基準を用意する加工領域基準データメモリと、加工領域を溝加工、側面溝加工、側面加工、ポケット加工として領域形状を判定する領域形状判定部と、該領域形状判定部により判定され設定された加工領域データの加工巾および加工深さに対し前記加工領域基準データにより使用工具に対応して分割可能かを検討する加工領域分割判定部と、該加工領域分割判定部により判定された分割可能な加工領域データを前記加工領域基準データにより側面部と底面部と上面部に分割する加工領域分割処理部と、該加工領域分割処理部によって処理された加工領域データをファイルする加工領域データメモリとからなる自動加工機における加工領域分割処理装置。」と記載されている(要約、特許請求の範囲参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−149223号公報
【特許文献2】特開2001−318711号公報
【特許文献3】特開昭62−295116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、及び特許文献2のいずれも工程間の負荷分散を各工程の稼働率に着目して行うひとつの方法を開示している。しかし、本発明のように、各切削加工装置に割り振る加工領域を再構成して、負荷分散する方法ではない。
【0007】
また、特許文献3には、加工フィーチャに着目して加工領域を分割し、複数の加工機に分担させる技術が開示されている。しかし、本発明のように、各切削加工装置の稼働率に着目して、各切削加工装置に割り振る加工領域を再構成して、負荷分散する方法ではない。
【0008】
機械加工ショップに設置されている旋盤、ボール盤、多軸NC加工装置といった切削加工装置は、それらの機械の備えている構造、切削工具に基づいて、旋盤は円筒形状を持つ製品の加工を、ボール盤は各種穴形状を持つ製品の加工を、そして多軸NC加工装置は、各種平面、曲面、ポケット構造、溝構造、自由曲面の仕上げなどの加工を受け持つ役割が定着している。その他の特殊な加工も含めて、使用される切削加工装置が唯一に特定される仕上げ加工が多く存在することは事実である。
【0009】
しかし、製品を素材から粗加工によって中間加工品を作成して、さらに中間加工品を仕上げ加工によって仕上げる加工プロセスにおいて、特に粗加工の領域は複数の切削加工装置によって加工が可能な重複領域が存在する。
【0010】
機械加工ショップに設置されている旋盤、ボール盤、多軸NC加工装置など複数の切削加工装置を利用して、複数のワークを効率よく加工する場合に、どの装置にどの位の加工領域を振り分ければ機械加工ショップのスループットが最大になるか判らない課題がある。
【0011】
これは、ひとつの切削加工装置に作業が集中する一方で、他の切削加工装置は作業が割り当てられなくなるなど、作業工数(何分/作業)が装置間でバランスが取れていないことが原因である。
【0012】
本発明は、機械加工ショップの複数の切削加工装置にワークの加工領域を振り分けた工程設計案を作成したものを、機械加工ショップのスケジューリングを行い、各切削加工装置の稼働率を評価して、切削加工装置の間の加工領域の割り振りを修正する作業を支援するCAMシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記解決課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
上記課題を解決するために本発明では、製品形状と素材形状を対比して表示し、素材形状の上に加工領域を定義するマンマシンインタフェースを提供して、各切削加工装置の加工領域を登録する手段と、登録された各切削加工装置の加工領域を加工するNCデータを作成して、機械加工ショップのスケジューリングを行い、機械加工ショップのスループットと、各切削加工装置の稼働率を算出する手段と、前記算出された最も大きな稼働率を属性値として有する加工領域を狭め、他の加工領域を広めるように、前記各切削加工装置の加工領域を修正定義するマンマシンインタフェースを提供して、各切削加工装置の加工領域の修正解を登録する手段と、各切削加工装置の加工領域、およびその修正解のそれぞれにおいて機械加工ショップのスケジューリングにより得られた機械加工ショップのスループットを比較して、最大のスループットが得られる加工領域の割り当て方を決定する手段とを備えた生産計画装置を構成した。
【0014】
また、上記課題を解決するために本発明では、生産計画装置にマンマシンインタフェース上に、旋盤、ボール盤、多軸NC加工装置のカテゴリに分けた加工フィーチャ定義ツールを提供して、ユーザによる各加工フィーチャを適用した加工領域の定義、及び加工機、工具、加工条件の選択を受付けて、それらのデータを関連付けて、各切削加工装置の加工領域を登録する手段を備えた。
【0015】
また、上記課題を解決するために本発明では、生産計画装置に登録された各切削加工装置の加工領域データを読み出し、加工条件と工具条件から加工領域を加工するツールパスを生成し、ツールパスと加工機条件よりNCデータを生成し、前記NCデータを加工シミュレーションして加工時間を算出して、以上のデータに基づき機械加工ショップのスケジューリングを行い、機械加工ショップのスループットと、各切削加工装置の稼働率を算出する手段を備えた。
【0016】
また、上記課題を解決するために本発明では、生産計画装置にマンマシンインタフェース上に、既登録の加工領域を定義する加工フィーチャを呼び出して、パラメータを修正する手段を提供し、加工領域の修正を受付けて、修正前と修正後の加工領域の除去ボリュームを算出して、各切削加工装置の加工領域の修正効果を提示する手段を備えた。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、機械加工ショップに設置された旋盤、ボール盤、多軸NC加工装置といった複数の切削加工装置を有効に使用して、機械加工ショップに投入されるワークの加工作業のスループットを最大にするための各切削加工装置への作業の割り当てを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実現形態である生産計画装置の概略図を示す図である。
【図2】本発明の一実現形態である加工条件データテーブルを示す図である。
【図3】本発明の一実現形態である工具条件データテーブルを示す図である。
【図4】本発明の一実現形態である装置条件データテーブルを示す図である。
【図5】本発明の一実現形態である加工フィーチャデータテーブルを示す図である。
【図6】本発明の一実現形態である加工フィーチャ例(1)を示す図である。
【図7(a)】本発明の一実現形態である加工フィーチャ例(2)を示す図である。
【図7(b)】本発明の一実現形態である加工フィーチャ例(3)を示す図である。
【図8】本発明の一実現形態である製品CADモデル例、および素材CADモデル例を示す図である。
【図9】本発明の一実現形態である生産計画データテーブルを示す図である。
【図10】本発明の一実現形態である領域生成ルールデータテーブルを示す図である。
【図11】本発明の一実現形態である機械加工ショップのスループットが最大となるように加工領域を複数の切削加工装置へ割り当てる処理を示すフローチャートを示す図である。
【図12】本発明の一実現形態である加工領域割り当てルール登録画面を示す図である。
【図13】本発明の一実現形態である加工領域割り当てルール修正画面を示す図である。
【図14】本発明の一実現形態である加工領域割り当てルール登録処理のフローチャートを示す図である。
【図15】本発明の一実現形態である加工領域割り当てルール修正処理のフローチャートを示す図である。
【図16】本発明の一実現形態である機械加工ショップスループット評価処理のマンマシンインタフェース画面を示す図である。
【図17】本発明の一実現形態であるスループット評価結果のデータテーブルを示す図である。
【図18】本発明の一実現形態である旋盤加工後、およびボール盤加工後の中間加工品CADモデル例を示す図である。
【図19】本発明の一実現形態であるハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実現形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態である、生産計画装置100の概略図である。図示するように、生産計画装置100は、演算部101と、記憶部102と、入力部103と、出力部104と、通信部105を備える。生産計画装置100の通信部105は、ネットワーク150を介して3次元CAD装置130、NC加工機140と接続される。
【0020】
演算部101は、領域生成ルール登録部110、3次元CAM部111、加工領域モデル生成部112、ツールパス生成部113、除去ボリューム算出部114、加工時間算出部115、加工ショップスケジューリング部116、および加工シミュレーション部117とを有する。
【0021】
記憶部102は、加工条件データ記憶領域120、工具条件データ記憶領域121、装置条件データ記憶領域122、加工フィーチャデータ記憶領域123、製品CADモデル記憶領域124、素材CADモデル記憶領域125、生産計画データ記憶領域126、領域生成ルール記憶領域127、およびNCデータ記憶領域128と、を有する。
【0022】
以上に記載した生産計画装置100は、例えば、図19(コンピュータ900の概略図)に示すような、CPU(Central Processing Unit)901と、メモリ902と、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置903と、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等の可搬性を有する記憶媒体904に対して情報を読み書きする読取装置908と、キーボードやマウスなどの入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、通信ネットワーク909に接続するためのNIC(Network Interface Card)等の通信装置905と、を備えた一般的なコンピュータ900で実現できる。
【0023】
加工条件データ記憶領域120は、機械加工ショップに在る全ての切削加工装置を使用した際の切削加工条件を予め加工条件データテーブル120aに記憶する。例えば、本実施形態においては、図2に示すような加工条件データテーブル120aを記憶する。図示するように、加工条件データテーブル120aは、加工条件番号欄120bと、回転数欄120cと、送り速度欄120dと、一刃送り欄120eと、切削速度欄120fと、軸切込み欄120gと、径切込み欄120hと、を有する。
【0024】
回転数欄120cは、加工条件番号欄120bで特定される条件で、工具の回転数を特定する情報を格納する。
送り速度欄120dは、加工条件番号欄120bで特定される条件で、工具の送り速度を特定する情報を格納する。
一刃送り欄120eは、加工条件番号欄120bで特定される条件で、工具の一刃あたりの送り量の情報を格納する。
切削速度欄120fは、加工条件番号欄120bで特定される条件で、工具の切削速度を特定する情報を格納する。
軸切込み欄120gは、加工条件番号欄120bで特定される条件で、工具の軸方向の切込み深さを特定する情報を格納する。
径切込み欄120hは、加工条件番号欄120bで特定される条件で、径切込み量を特定する情報を格納する。
【0025】
図1に戻り、工具条件データ記憶領域121には、機械加工ショップに在る全ての切削加工装置で使用される工具の情報を予め工具条件データテーブル121aを記憶する。例えば、本実施形態においては、図3に示すような工具条件データテーブル121aを記憶する。
図示するように、工具条件データテーブル121aは、工具番号欄121bと、直径欄121cと、下側の半径欄121dと、工具長欄121eと、ホルダ直径欄121fと、ホルダ長さ欄121gと、を有する。
【0026】
直径欄121cは、工具番号欄121bで特定される条件で、工具の直径を特定する情報を格納する。
下側の半径欄121dは、工具番号欄121bで特定される条件で、工具の下側の半径を特定する情報を格納する。
工具長欄121eは、工具番号欄121bで特定される条件で、工具の長さを特定する情報を格納する。
ホルダ直径欄121fは、工具番号欄121bで特定される条件で、ホルダの直径を特定する情報を格納する。
ホルダ長さ欄121gは、工具番号欄121bで特定される条件で、ホルダの長さを特定する情報を格納する。
【0027】
図1に戻り、装置条件データ記憶領域122には、機械加工ショップに在る全ての切削加工機の装置情報を記憶する。例えば、本実施形態においては、図4に示すような装置条件データテーブル122aを記憶する。
図示するように、装置条件データテーブル122aは、加工機番号欄122bと、加工機名欄122cと、軸構成欄122dと、ストローク欄122eと、を有する。
【0028】
加工機番号欄122bには、切削加工機を特定する識別情報である加工機番号を格納する。
加工機名欄122cには、加工機の加工機名を特定する情報を格納する。
軸構成欄122dには、加工機の軸構成を特定する情報を格納する。
ストローク欄122eには、加工機の各軸における稼動範囲であるストロークを特定する情報を格納する。
【0029】
図1に戻り、加工フィーチャデータ記憶領域123には、加工領域を定義する際に使用する加工フィーチャデータを記憶する。加工フィーチャとは、例えば一本のバイトによって加工される円筒形状、一本のドリルで開けられる1つの穴、一本のエンドミルで切削される1つのまとまった領域など、1つの工具で加工されるひとまとまりの領域の単位を表わす。本実施例では、標準となる加工フィーチャをデータテーブルに予め登録してあり、それらの中より、適当な加工フィーチャをマンマシンインタフェース画面上で選択して、素材CADモデルの中に加工領域を定義する際に使用される。
【0030】
例えば、本実施形態においては、図6、図7(a)、図7(b)に加工フィーチャ例を示すような加工フィーチャデータを図5に示す加工フィーチャデータテーブル123aに登録している。
【0031】
図示するように、加工フィーチャデータテーブル123aは、加工フィーチャ番号欄123b、加工フィーチャ名称欄123c、パラメータ欄123d、位置決め代表点欄123e、および形状モデル欄123fを有する。
【0032】
加工フィーチャ番号欄123bには、加工フィーチャを特定する番号を格納する。
加工フィーチャ名称欄123cには、加工フィーチャ名を特定する番号を格納する。
パラメータ欄123dには、加工フィーチャの寸法を定義するパラメータ変数を格納する。
位置決め代表点欄123eには、加工フィーチャを素材CADモデルに位置決めして加工領域を作成する時に使用される加工フィーチャの代表点情報を格納する。
形状モデル欄123fには、マンマシンインタフェース画面上に加工フィーチャを表示して、加工形状を定義する際に使用される形状モデル情報を格納する。
【0033】
図1に戻り、製品CADモデル記憶領域124は、製品毎の加工仕上がり形状を表わす3次元CADデータを記憶する。フェイスモデル、ソリッドモデルのいずれか、または両形式のデータを記憶する。3次元CAD装置130において作成された3次元CADデータを通信部を介して受信して、格納する。例えば、本実施例においては、図8(a)に示すような製品名称X001Aの製品CADモデル801を記憶する。
【0034】
製品CADモデル記憶領域124は、例えばDXFファイル形式にて格納しており、フェイスモデルは要素定義部(ENTITIES)に図面を構成する各図形要素として定義されており、ソリッドモデルはブロック定義部(BLOCKS)にブロック図形要素として定義されている。本発明では、CADファイル形式は特に限定はしない。
【0035】
素材CADモデル記憶領域125は、製品毎の素材形状を表わす3次元CADデータを記憶する。フェイスモデル、ソリッドモデルのいずれか、または両形式のデータを記憶する。3次元CAD装置130において作成された3次元CADデータを通信部を介して受信して、格納する。例えば、本実施形態においては、図8(b)に示すような素材CADモデル802を記憶する。素材CADモデル記憶領域125のファイル形式についても、前記した製品CADモデル記憶領域124と同じファイル形式にて格納する。
【0036】
図1に戻り、生産計画データ記憶領域126には、機械加工ショップにて機械加工を実施する生産計画情報を記憶する。例えば、本実施形態においては、図9に示すような生産計画データテーブル126aを記憶する。生産計画データテーブル126aには、一連の生産計画を識別する生産計画番号毎に、計画日毎、製品名称毎の生産計画量126eを格納する。
【0037】
図1に戻り、領域生成ルール記憶領域127には、領域生成ルール登録部110によって登録される加工領域を定義する領域生成ルールを特定する情報が格納される。領域生成ルールの登録は、例えば、本実施形態おいては、図12に示すような加工領域割り当てルール登録画面300のようなマンマシンインタフェースをユーザに提示して、ユーザ入力によって、領域生成ルール(加工領域割り当てルール)が登録される。
【0038】
領域生成ルール(加工領域割り当てルール)とは、素材に施される1つの加工領域を1つの加工フィーチャで定義して、さらにその加工領域をどの加工機、およびどの工具を使って、どの加工条件を使用して加工するのかを定義して、加工領域情報、加工機選択情報、工具選択情報、および加工条件選択情報を関係付けて登録したものである。さらに、1つの加工フィーチャによって定義される加工領域を複数組み合わせて、素材から製品に至る一連の加工作業において、各加工機械が切削する複数の加工領域(複数の加工フィーチャによって定義される)を組み合わせて、1つの領域生成ルール番号によって、拡張して管理する。
【0039】
図10に示す領域生成ルールデータテーブル127aは、領域生成ルール番号欄127b、加工フィーチャ番号欄127c、加工フィーチャ代表点座標欄127d、加工フィーチャ姿勢ベクトル欄127e、加工フィーチャパラメータ値欄127f、加工条件選択欄127g、工具選択欄127h、加工機選択欄127i、および加工領域CADモデル欄127jを有する。
【0040】
領域生成ルール番号欄127bには、一連の加工作業によって加工される加工領域の組み合わせに対して付けられる領域生成ルール番号を特定する情報を格納する。
加工フィーチャ番号欄127cには、1つの加工領域を定義するときに選択された加工フィーチャ番号を特定する情報を格納する。
加工フィーチャ代表点座標欄127dには、加工フィーチャごとにその位置を特定するために決められた代表点があり、加工フィーチャによる加工領域が定義された時の代表点のX-Y-Z座標値を格納する。
加工フィーチャ姿勢ベクトル欄127eには、加工フィーチャによる加工領域が定義された時の加工フィーチャのX-Y-Z座標軸上の姿勢を表わす姿勢ベクトル情報を格納する。
加工フィーチャパラメータ値欄127fには、加工フィーチャによる加工領域が定義された時の加工フィーチャの各パラメータ変数に実際に定義された寸法値が格納される。
加工条件選択欄127gには、加工フィーチャにより定義された加工領域を加工する際に適用する加工条件番号を格納する。
工具選択欄127hには、加工フィーチャにより定義された加工領域を加工する際に使用する工具番号を格納する。
加工機選択欄127iには、加工フィーチャにより定義された加工領域を加工する際に使用する加工機番号を格納する。
加工領域CADモデル欄127jには、加工フィーチャにより定義された加工領域を表わすCADモデル情報を格納する。
【0041】
図11のフローチャートにより、本発明を搭載した生産計画装置100を使用して、機械加工ショップに備える全ての切削加工装置を有効に活用して、機械加工ショップのスループットが最大となるように加工領域を複数の切削加工装置へ割り当てる処理手順を説明する。
【0042】
ステップ200において、評価対象とする製品(ワーク)を機械加工ショップに有る切削加工装置を使用して加工するための、加工領域割り当てルールを作成して登録する。ここで、加工領域割り当てルールは、製品(ワーク)ごとに最低1つの案を作成する必要があり、別解がある場合には、複数案を作成して、それぞれのスループットの結果を比較することが望ましい。
【0043】
加工領域割り当てルールを作成して登録するために、本発明では図12に示す加工領域割り当てルール登録画面300のマンマシンインタフェースを提供する。加工領域割り当てルール登録画面300には、CADモデル表示領域301を備え、ここには、製品CADモデルと、素材CADモデル(中間加工品CADモデル)とを同じ座標軸上の同じ位置に対比させて表示する。
【0044】
図14に、加工領域割り当てルール登録処理のフローチャートを示す。
ステップ400では、対象製品と、ルール番号を指定する。図12では、新たに加工領域割り当てルールの番号を「1」と指定して、対象製品は、メニューより「X001A」を指定していることを示す。
ステップ401では、該当する製品CADモデル、素材CADモデルの情報を入力して、図12の表示を行う。
【0045】
加工すべき領域は、素材CADモデルより製品CADモデルを減算して残された領域として捉えられるが、本実施例では、加工フィーチャを選択して、素材CADモデル上に加工フィーチャを重ねて表示して、加工フィーチャの位置決め、サイズの変更、姿勢の変更などを、マウスによる選択手段、および画面には表示されない入力部103の入力手段によって、最終的に、位置決めとパラメータ値の決定がなされた加工フィーチャにより加工領域が定義される。
【0046】
図12に示す実施例では、旋盤加工フィーチャ選択部304のチェックボックスまたはラジオボタンをマウスでクリックすることによってプルダウンメニューが表示され、加工フィーチャデータ記憶領域123に登録されている旋盤に関わる加工フィーチャの一覧が表示され、円筒の加工フィーチャを選択したことを示す。加工フィーチャの選択の入力を受付けて、システムは、加工フィーチャテーブル123aの加工フィーチャ番号1の形状モデル123fを読み出して、図12の素材CADモデル上に円筒加工フィーチャを表示する。図12上には加工フィーチャは表示されていないが、ユーザは、3次元CAM部111が提供する加工フィーチャ操作手段を使って、素材CADモデル上に加工フィーチャを重ねて加工領域を決定する。なお、加工フィーチャが素材CADモデル内に含まれるわけではなくて、重複領域を加工領域として定義する。さらに、加工機選択部307において、装置条件データテーブル122aの内容のメニューより加工機番号を「3」と選択し、工具選択部308において、工具条件データテーブル121aの内容のメニューより工具番号を「7」と選択し、加工条件選択部309において、加工条件データテーブル120aの内容のメニューより加工条件番号を「10」と選択している。
【0047】
加工フィーチャを位置決めて、パラメータ値も入力した場合に、加工フィーチャの決定ボタン310の押下により、領域生成ルールデータテーブル127aの第2行目に示すように該当する加工フィーチャによる加工領域のデータが登録される。なお、加工領域CADモデル欄127jには、加工フィーチャと素材CADモデルとの重複領域を表わすCADモデルを形成して格納される。
【0048】
上記の加工フィーチャの決定処理によって、素材CADモデルに旋盤加工がなされたことになり、その結果の中間加工品CADモデルとして、図18(a)に示す中間加工品CADモデル803を、図12の素材CADモデル、中間加工品CADモデルの表示領域301に表示する。
【0049】
ユーザは続いて、ボール盤による加工を意図して、ボール盤加工フィーチャ選択部305より、上記した操作と同様にして、ボール盤の加工フィーチャを選択して、システムはその選択を受けて、中間加工品CADモデル上に重ねて、穴加工の加工フィーチャを表示する。ユーザは、穴加工フィーチャを位置決めして、パラメータ値を決定して、加工機選択、工具選択、加工条件選択を行った後で、加工フィーチャの決定ボタン310をクリックして加工領域の登録を行う。図10の領域生成ルールデータテーブル127aの3行目に示す通り、ボール盤による加工領域を定義する。なお、ボール盤による穴加工は1箇所だけではなくて、所定の間隔で、一部の領域が重なるように空けられる。それらは、繰り返しをコピーの機能によって作成して、代表点座標値が異なるデータが、領域生成ルールデータテーブル127aに登録される。全てのボール盤加工の加工領域が登録された結果、中間加工品CADモデルは、例えば図18(b)に示される中間加工品CADモデル804のように、図12の表示領域に表示される。
【0050】
ユーザは続いて、多軸NC加工装置の加工フィーチャを多軸NC加工装置加工フィーチャ選択部306より上記と同様にして選択する。例えば、加工フィーチャ番号28の自由曲面の場合には、製品CADモデルより、所望の自由曲面要素を取り出して、加工フィーチャとすることができる。また、粗加工を指定すれば、製品CADモデルの自由曲面から所定のオフセットを持った自由曲面が作成され、仕上げ加工を指定すれば、製品CADモデルの自由曲面に沿った加工フィーチャが作成される。
【0051】
以上のようにして、ステップ402において、旋盤、ボール盤による粗加工領域、仕上げ加工領域を加工フィーチャを選択して定義する。
続いて、ステップ403において、多軸NC加工装置による粗加工領域、仕上げ加工領域を加工フィーチャを選択して定義する。
全ての加工領域を定義し終えたら、図12の加工領域割り当てルールの登録ボタン312をクリックして、指定したルール番号1の加工領域割り当てルールの登録を完了する。この際に、全ての加工領域を組み合わせた加工領域のCADモデルを作成して、領域生成ルールデータテーブルに記憶する。
【0052】
図11のステップ200では、製品(ワーク)ごとに1つ以上の加工領域割り当てルールを作成する。そして、機械加工ショップに複数種の製品(ワーク)を投入する場合には、各製品(ワーク)ごとに異なる加工領域割り当てルールを作成して、異なる番号で登録する。
【0053】
図11のステップ201において、図16の機械加工ショップスループット評価処理のマンマシンインタフェース画面を表示する。
ユーザは、評価対象の製品(ワーク)を加工する加工領域割り当てルールを、プルダウンのメニュー601より領域生成ルール番号127bを選択する。複数ある場合には全てのルール番号を指定する。また、生産計画選択部602において、今回の評価に使用する生産計画を生産計画データテーブル126aより生産計画番号を指定する。
ユーザは、機械加工ショップ装置構成部605のプルダウンメニューにより、機械加工ショップを構成する全ての切削加工装置の中で、今回の評価対象製品の加工に係ることが無い装置、または評価対象期間には稼動していない装置を除外して、評価対象の切削加工装置を選択することが可能とする。ユーザの選択によって、丸印が付けられている。
ユーザは、加工順番選択部603のプルダウンメニューより、加工順番を選択可能とする。領域生成ルール(加工領域割り当てルール)を作成するときに加工フィーチャによる加工領域の定義の順番に従って加工の順番が決められているが、加工順番選択部603において変えることが出来て、例えば、図16では、旋盤加工を先に行って、次にボール盤の加工を行うことを指定している。
ユーザは、更に、投入製品選択部604において、評価対象の製品を選択して指定し、スケジュール期間606、機械加工ショップの稼動時間帯607を選択指定する。
以上の設定の後、評価開始ボタン608をクリックして機械加工ショップのスループット評価処理を開始する。
【0054】
図11のステップ201において、機械加工ショップのスループット評価処理の開始を受けて、ツールパス生成部113は、評価対象の加工領域割り当てルールで指定された領域生成ルールデータ、加工条件データ、工具条件データを読み出し、全ての該当する加工領域を機械加工するツールパスを生成する。旋盤、およびボール盤は、NC加工機であれば、ツールパスを作成し、NC加工機でなければツールパスは作成しない。ツールパス生成部113は、加工領域CADモデルに対してツールパスを作成する既存のCAM機能を使用する。
【0055】
続いて、ステップ202において、3次元CAM部111は、前記作成されたツールパスデータと、加工機番号で選択された装置条件データに基づき切削加工装置毎のNCデータを作成する。作成したNCデータはNCデータ記憶領域128に記憶する。NCデータの作成処理は、既存のCAM機能を使用する。
【0056】
続いて、ステップ203において、加工時間算出部115は、前記作成されたNCデータを加工シミュレーション部117により切削加工装置毎の加工シミュレーションを実行して、加工時間を算出する。なお、旋盤、およびボール盤がNC加工機でなければ、作業者による標準リードタイムを参照して、加工時間を算出する。加工シミュレーション部117は、既存のCAM機能を使用する。
【0057】
続いて、ステップ204において、加工ショップスケジューリング部116は、機械加工ショップにおける機械加工プロセスのシミュレーションモデルを、コンピュータ上に作成する。そのモデルの中で、ユーザが選択した切削加工装置と、生産計画データに従ったワークの投入と、領域生成ルール(加工領域割り当てルール)に従った加工領域の切削加工と、加工順序に従った工程経路と、スケジューリング期間、稼動時間帯とを、(本実施例では作業者の勤務計画、作業者の技能的差異などは考慮しない。)コンピュータ上で再現することによって、機械加工ショップの加工プロセス全体の時間推移を模擬し、機械加工ショップに投入された全てのワークの進行計画を作成する。作成した全てのワークの進行計画から、スケジューリング期間における機械加工ショップのスループット、および切削加工装置を旋盤、ボール盤、多軸NC加工装置といったカテゴリに分けて、それぞれのカテゴリに属する切削加工装置の稼動率の平均を算出する。
【0058】
スループット評価結果は、例えば図17に示すデータテーブル610にてマンマシンインタフェースに表示する。評価対象の加工領域割り当てルールは、当初、1,2を指定して評価を実行したので、図17のデータテーブル610には、加工領域割り当てルール番号が1,2の評価結果が表示される。
【0059】
続いて、ステップ205において、図17の2通りの加工領域割り当てルールにおける評価結果をユーザが見比べて、いずれも多軸NC加工装置による加工作業の稼働率が76%と77.5%と高く、多軸NC加工装置がスループットを上げるためのボトルネックとなっていることがわかる。そして、加工領域割り当てルール番号=2のスループットの方がわずかに大きく、ボール盤による加工作業の稼働率をさらに上げるように加工領域の形状を修正する余地があり、相対的に多軸NC加工装置による加工作業の稼働率を下げることが見込めることが判断できる。従って、さらにスループットを改善する加工領域割り当てルールが存在すると判定する。
【0060】
従って、ステップ206において、次のステップ207へ移行する。
【0061】
続いて、ステップ207において、各加工領域割り当てルールごとに、旋盤の稼動率を旋盤によって加工されるボリュームを表わす属性値、ボール盤の稼動率をボール盤によって加工されるボリュームを表わす属性値、および多軸NC加工装置の稼動率を多軸NC加工装置によって加工されるボリュームを表わす属性値として記憶する。
【0062】
続いて、ステップ208において、生産計画装置100は、図13に示す加工領域割り当てルール修正画面320をマンマシンインタフェース画面に表示する。加工領域割り当てルール修正画面320には、加工領域割り当てルール登録画面300と同様にCADモデル表示領域321を備え、ここには、製品CADモデルと、素材CADモデル(中間加工品CADモデル)とを同じ座標軸上の同じ位置に対比させて表示する。
【0063】
図15に、加工領域割り当てルール修正処理のフローチャートを示す。
ステップ500では、対象製品と、ルール番号を指定する。図13では、既に評価済みの加工領域割り当てルールの番号「2」を、新たな番号「3」の加工領域割り当てルールに修正することを、ルール番号表示部322において指定入力する。
【0064】
生産計画装置100は、ルール番号の指定入力を受け付けて、既作成の加工領域割り当てルール「2」のデータを領域生成ルールデータテーブル127aより読み出して、例えばボール盤加工フィーチャ選択部325のプルダウンメニューには、加工領域割り当てルール「2」の加工フィーチャ番号を列挙して、ユーザの選択を受け付ける。図13では、ボール盤加工フィーチャ番号「12」を指定して、修正を行うところを示している。番号「12」の加工フィーチャは複数ある。図13の画面には示していない入力部103の入力手段によって、ユーザは、番号「12」の加工フィーチャの配置の修正(代表点座標の修正)、パラメータ値の修正などを行う。または、ボール盤加工フィーチャ選択部325より新たな加工フィーチャの追加を指示することも出来る。修正処理中に、修正された加工フィーチャの加工領域を確認するために、CADモデル表示領域321の中間加工品CADモデルは、常に修正後の形状を表示する。
【0065】
ボール盤加工フィーチャの修正が終わったなら、ユーザは加工フィーチャの決定ボタン332をクリックして、領域生成ルール登録部110は、新たな領域生成ルール番号「3」の新たなデータレコードを領域生成ルールデータテーブルに登録する。同様にして、旋盤加工フィーチャ選択部323、多軸NC加工装置加工フィーチャ選択部327より、加工フィーチャの修正を指示して、新たな領域生成ルール番号「3」の新たなデータレコードを領域生成ルールデータテーブルに登録することができる。これらの加工フィーチャの修正処理の際に、加工機修正選択部329、工具修正選択部330、加工条件修正選択部331において、修正すべきデータがあれば修正してから加工フィーチャを決定する。もし、修正がなければ、領域生成ルール番号「2」の既存のデータがコピーされる。
【0066】
前記したように、ボール盤加工フィーチャの修正処理の終了後、加工フィーチャの決定ボタン332のクリックを受け付けると、領域生成ルール登録部110は、修正前の領域生成ルール番号「2」と修正後の領域生成ルール番号「3」のボール盤による加工ボリュームをそれぞれ、除去ボリューム算出部114によって算出して、ボール盤加工ボリューム修正部326に修正前と修正後の加工除去ボリュームを対比して表示する。例えば、単位は、mm3である。その際に、その他の旋盤、および多軸NC加工装置の加工領域は、加工フィーチャが修正されていなくても、ボール盤の加工領域が変化することによって、相対的に変化することがあるため、いずれも領域生成ルール番号「2」の既存のデータを使用して、除去ボリューム算出部114により算出して、旋盤加工ボリューム修正部324、多軸NC加工ボリューム修正部328に、修正前と修正後の加工除去ボリュームを対比して表示する。図13の表示例では、旋盤加工ボリューム修正部324では除去ボリュームが変化しないが、多軸NC加工ボリューム修正部328では、減少していることが判る。除去ボリューム算出部114の処理は、NCデータを作成して、加工シミュレーション処理によって算出するが、既存のCAM機能を使用する。
【0067】
図15のステップ501では、旋盤、ボール盤、多軸NC加工装置の加工フィーチャの修正、新規追加、削除などを逐次受け付けて、ユーザに修正後の中間加工品CADモデルの形状を随時見せる応答を行い、ステップ502では、前記したように、修正、または新規に加えられた加工フィーチャによる加工領域データに基づいて、それ以外の加工領域は修正前の領域生成ルールデータを参照して、各切削加工装置における除去ボリュームを計算して、修正前と修正後の除去ボリュームを対比してユーザに提示する。
【0068】
図15のステップ503では、ユーザによる加工領域割り当てルールの修正登録ボタン334のクリックの指示を待ち、修正登録の指示を受け付けたら、ステップ504へ移行して、修正された新たな番号「3」の加工領域割り当てルールの登録を行う。ステップ503において、さらに修正などの指示があれば、ステップ501へ移行する。
【0069】
図11のステップ208において、加工領域割り当てルール修正処理は、最も大きな切削加工装置の稼働率を属性値として有する加工領域を狭めて(すなわち、除去ボリュームを減少させて)、他の切削加工装置の加工領域を広めるように(すなわち、除去ボリュームを増やすように)、各切削加工装置に割り当てる加工領域を再設定する。そして、修正された新たな加工領域割り当てルールを領域生成ルールデータテーブル127aに登録する。
【0070】
続いて、再びステップ201へ移行して、生産計画装置100は、機械加工ショップスループット評価画面600をユーザへ提示して、それに対してユーザは、評価対象の加工領域割り当てルールの選択領域601に、新たに修正登録したルール番号「3」の加工領域割り当てルールを指定して、その他の設定項目は前回の評価と同じであるので修正はせずに、評価開始ボタン608より評価処理を指示する。生産計画装置100は、評価開始の指示に従って、加工領域割り当てルール(領域生成ルール)番号「3」のデータに基づき、ステップ201、202、203、および204の処理を実行して、機械加工ショップのスループット、および旋盤、ボール盤、多軸NC加工装置といったカテゴリに分けて、それぞれのカテゴリに属する切削加工装置の稼動率の平均を算出する。その結果は、図17のスループット評価結果データテーブルに示す通り、前回の評価結果である加工領域割り当てルール「1」「2」の評価結果と並べて今回の加工領域割り当てルール「3」の評価結果を提示する。
【0071】
ステップ205において、今回の加工領域割り当てルール「3」の評価結果が、スループットが最大となっていることを評価する。そして、ボール盤、または旋盤による加工領域の除去ボリューム量を、加工領域割り当てルール「3」の他に、さらに増加させるような効率的に妥当な加工作業が見出せないと判断して、加工領域割り当てルール「3」の加工方法が本評価対象の機械加工ショップにおける最大のスループットを与えるものと、ユーザが最終判定する。
【0072】
従って、ステップ206において、生産計画装置100を使用した、機械加工ショップのスループットが最大となるように加工領域を複数の切削加工装置へ割り当てる処理手順を終了する。
【0073】
以上の処理に続いて、生産計画装置100は、最大のスループットを与える加工領域割り当てルール「3」の加工領域モデルを各切削加工装置が加工するためのNCデータが、以上の処理においてNCデータ記憶領域128に記憶されているものを読み出し、通信部105を介して各NC加工機へダウンロードする。また、NC加工機ではない切削加工装置に対しては、領域生成ルールデータテーブルに登録されたデータに基づいて、作業指示書などを作成して、出力部104より出力するものとする。
【0074】
以上のように、本実施形態によれば、生産計画装置100は、機械加工ショップに設置された旋盤、ボール盤、多軸NC加工装置といった複数の切削加工装置を有効に使用して、機械加工ショップに投入されるワークの加工作業のスループットを最大にするための各切削加工装置への作業の割り当てを決定することを支援して、各NC加工機へNCデータを供給することができる。
【符号の説明】
【0075】
100…生産計画装置、 101…演算部、 102…記憶部、 103…入力部、 104…出力部、 105…通信部、
110…領域生成ルール登録部、 111…3次元CAM部、 112…加工領域モデル生成部、 113…ツールパス生成部、 114…除去ボリューム算出部、 115…加工時間算出部、 116…加工ショップスケジューリング部、 117…加工シミュレーション部、
120…加工条件データ記憶領域、 120a…加工条件データテーブル, 120b…加工条件番号欄, 120c…回転数欄, 120d…送り速度欄, 120e…一刃送り欄, 120f…切削速度欄, 120g…軸切込み欄, 120h…径切込み欄,
121…工具条件データ記憶領域、 121a…工具条件データテーブル、 121b…工具番号欄, 121c…直径欄, 121d…下側の半径欄、 121e…工具長欄, 121f…ホルダ直径欄, 121g…ホルダ長さ欄,
122…装置条件データ記憶領域、 122a…装置条件データテーブル、 122b…加工機番号欄, 122c…加工機欄, 122d…軸構成欄, 122e…ストローク欄,
123…加工フィーチャデータ記憶領域、 123a…加工フィーチャデータテーブル、 123b…加工フィーチャ番号欄、 123c…加工フィーチャ名称欄、 123d…パラメータ欄、 123e…位置決め代表点欄、 123f…形状モデル欄、
124…製品CADモデル記憶領域、 125…素材CADモデル記憶領域、
126…生産計画データ記憶領域、 126a…生産計画データテーブル、 126b…生産計画番号欄、 126c…計画日欄、 126d…製品名称欄、 126e…生産計画量、
127…領域生成ルール記憶領域、 127a…領域生成ルールデータテーブル、 127b…領域生成ルール番号欄、 127c…加工フィーチャ番号欄、 127d…加工フィーチャ代表点座標欄、 127e…加工フィーチャ姿勢ベクトル欄、 127f…加工フィーチャパラメータ値欄、 127g…加工条件選択欄、 127h…工具選択欄、 127i…加工機選択欄、 127j…加工領域CADモデル欄、 128…NCデータ記憶領域、
130…3次元CAD装置、 140…NC加工機、 150…ネットワーク、
300…加工領域割り当てルール登録画面、 301…CADモデル表示領域、 302…新規登録ルール番号欄、 303…製品名称欄、 304…旋盤加工フィーチャ選択部、 305…ボール盤加工フィーチャ選択部、 306…多軸NC加工装置加工フィーチャ選択部、 307…加工機選択部、 308…工具選択部、 309…加工条件選択部、 310…加工フィーチャの決定ボタン、 311…加工順序の決定ボタン、 312…加工領域割り当てルールの登録ボタン、
320…加工領域割り当てルール修正画面、 321…CADモデル表示領域、 322…ルール番号表示部、 323…旋盤加工フィーチャ選択部、 324…旋盤加工ボリューム修正部、 325…ボール盤加工フィーチャ選択部、 326…ボール盤加工ボリューム修正部、 327…多軸NC加工装置加工フィーチャ選択部、 328…多軸NC加工ボリューム修正部、 329…加工機修正選択部、 330…工具修正選択部、 331…加工条件修正選択部、 332…加工フィーチャの決定ボタン、 333…加工順序の修正ボタン、 334…加工領域割り当てルールの修正登録ボタン
600…機械加工ショップスループット評価画面、 601…評価対象の加工領域割り当てルールの選択領域、 602…生産計画選択部、 603…加工順番選択部、 604…投入製品選択部、 605…機械加工ショップ装置構成部、 606…スケジュール期間指定部、 607…稼動時間帯指定部、 608…評価開始ボタン、 610…スループット評価結果データテーブル、 611…加工領域割り当てルール番号欄、 612…旋盤による加工作業の稼働率欄、 613…ボール盤による加工作業の稼働率欄、 614…多軸NC加工装置による加工作業の稼働率欄、 615…スループット欄、
701…円筒加工フィーチャ、 702…テーパ円筒加工フィーチャ、 703…貫通孔加工フィーチャ、 704…盲穴加工フィーチャ、 705…閉ポケット加工フィーチャ、 706…開ポケット加工フィーチャ、 707…開溝加工フィーチャ、 708…面加工フィーチャ、 709…自由曲面加工フィーチャ、
801…製品CADモデル例、 802…素材CADモデル例、 803…旋盤加工後の中間加工品CADモデル例、 804…ボール盤加工後の中間加工品CADモデル例、
900…コンピュータ、 901…CPU、 902…メモリ、 903…外部記憶装置、 904…可搬性を有する記憶媒体、 905…通信装置、 906…入力装置、 907…出力装置、 908…読取装置、 909…通信ネットワーク、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品形状と素材形状を対比して表示し、素材形状の上に加工領域を定義するマンマシンインタフェースを提供して、各切削加工装置の加工領域を登録する手段と、
登録された各切削加工装置の加工領域を加工するNCデータを作成して、機械加工ショップのスケジューリングを行い、機械加工ショップのスループットと、各切削加工装置の稼働率を算出する手段と、
前記算出された最も大きな稼働率を属性値として有する加工領域を狭め、他の加工領域を広めるように、前記各切削加工装置の加工領域を修正定義するマンマシンインタフェースを提供して、各切削加工装置の加工領域の修正解を登録する手段と、
各切削加工装置の加工領域、およびその修正解のそれぞれにおいて機械加工ショップのスケジューリングにより得られた機械加工ショップのスループットを比較して、最大のスループットが得られる加工領域の割り当て方を決定する手段を備えたことを特徴とする生産計画装置。
【請求項2】
前記各切削加工装置の加工領域を登録する手段は、マンマシンインタフェース上に、旋盤、ボール盤、多軸NC加工装置のカテゴリに分けた加工フィーチャ定義ツールを提供して、ユーザによる各加工フィーチャを適用した加工領域の定義、及び加工機、工具、加工条件の選択を受付けて、それらのデータを関連付けて、各切削加工装置の加工領域を登録することを特徴とする請求項1に記載の生産計画装置。
【請求項3】
前記機械加工ショップのスループットと、各切削加工装置の稼働率を算出する手段は、登録された各切削加工装置の加工領域データを読み出し、加工条件と工具条件から加工領域を加工するツールパスを生成し、ツールパスと加工機条件よりNCデータを生成し、前記NCデータを加工シミュレーションして加工時間を算出して、以上のデータに基づき機械加工ショップのスケジューリングを行い、機械加工ショップのスループットと、各切削加工装置の稼働率を算出することを特徴とする請求項1に記載の生産計画装置。
【請求項4】
前記各切削加工装置の加工領域の修正解を登録する手段は、マンマシンインタフェース上に、既登録の加工領域を定義する加工フィーチャを呼び出して、パラメータを修正する手段を提供し、加工領域の修正を受付けて、修正前と修正後の加工領域の除去ボリュームを算出して、各切削加工装置の加工領域の修正効果を提示することを特徴とする請求項1に記載の生産計画装置。
【請求項5】
前記最大のスループットが得られる加工領域の割り当て方を決定する手段の決定に従い、該当する加工領域のNCデータが作成されているものは、ネットワークを介してNC加工機へNCデータをダウンロードすることを特徴とする請求項1に記載の生産計画装置。
【請求項6】
機械加工ショップに設置された旋盤、ボール盤、多軸NC加工装置のカテゴリに分けた複数の切削加工装置を有効に使用して、機械加工ショップに投入されるワークの加工作業のスループットを最大にするための各切削加工装置への作業の割り当てを決定する生産計画方法であって、
ユーザに製品形状と素材形状を対比して表示し、素材形状の上に加工領域を定義するマンマシンインタフェースを提供して、ユーザの定義を受付けて各切削加工装置の加工領域を登録する工程と、
登録された各切削加工装置の加工領域を加工するNCデータを作成して、機械加工ショップのスケジューリングを行い、機械加工ショップのスループットと、各切削加工装置の稼働率を算出する工程と、
前記算出された最も大きな稼働率を属性値として有する加工領域を狭め、他の加工領域を広めるように、前記各切削加工装置の加工領域を修正定義するマンマシンインタフェースをユーザに提供して、ユーザの修正を受付けて各切削加工装置の加工領域の修正解を登録する工程と、
各切削加工装置の加工領域、およびその修正解のそれぞれにおいて機械加工ショップのスケジューリングにより得られた機械加工ショップのスループットを比較して、最大のスループットが得られる加工領域の割り当て方を決定する工程とを有することを特徴とする生産計画方法。
【請求項7】
前記各切削加工装置の加工領域を登録する工程は、マンマシンインタフェース上に、旋盤、ボール盤、多軸NC加工装置のカテゴリに分けた加工フィーチャ定義ツールを提供して、ユーザによる各加工フィーチャを適用した加工領域の定義、及び加工機、工具、加工条件の選択を受付けて、それらのデータを関連付けて、各切削加工装置の加工領域を登録する工程であることを特徴とする請求項6に記載の生産計画方法。
【請求項8】
前記機械加工ショップのスループットと、各切削加工装置の稼働率を算出する工程は、登録された各切削加工装置の加工領域データを読み出し、加工条件と工具条件から加工領域を加工するツールパスを生成し、ツールパスと加工機条件よりNCデータを生成し、前記NCデータを加工シミュレーションして加工時間を算出して、以上のデータに基づき機械加工ショップのスケジューリングを行い、機械加工ショップのスループットと、各切削加工装置の稼働率を算出する工程であることを特徴とする請求項6に記載の生産計画方法。
【請求項9】
前記各切削加工装置の加工領域の修正解を登録する工程は、マンマシンインタフェース上に、既登録の加工領域を定義する加工フィーチャを呼び出して、パラメータを修正する手段を提供し、加工領域の修正を受付けて、修正前と修正後の加工領域の除去ボリュームを算出して、各切削加工装置の加工領域の修正効果を提示する工程を有することを特徴とする請求項6に記載の生産計画方法。
【請求項10】
前記最大のスループットが得られる加工領域の割り当て方を決定する工程の決定に従い、該当する加工領域のNCデータが作成されているものは、ネットワークを介してNC加工機へNCデータをダウンロードする工程を更に有することを特徴とする請求項6に記載の生産計画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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