説明

産業用機器の監視装置

【課題】 遠隔地に設置された機器であっても迅速な保守を可能とする、産業用機器の監視装置を提供すること。
【解決手段】 LAN(109)を介して産業用機器(106)に接続された、該産業用機器を監視する監視装置(107)は、該LANを介して該産業用機器のトラブルの症状を示すステータス情報を取得し、該ステータス情報を、インターネットを介して該産業用機器の保守を集中管理する管理装置(108)に送信し、該通知に応答して該管理装置からインターネットを介して送信された応答情報を受信し、該応答情報に基づき、該産業用機器のソフトウェアを修正する、ように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用機器の遠隔保守のために使用される、産業用機器の監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保守を必要とする産業用機器、たとえば半導体デバイスの製造用の機器のトラブル対応や定期メンテナンスなどの保守は、保守要員がトラブル発生時に電話やファクシミリで対応したり、定期的もしくは緊急に保守要員が機器設置工場に赴いて、保守を行っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、近年の半導体生産投資の急増は、生産用機器の設置数の伸びに対して保守要員が慢性的に不足した状況を作り出しつつある。また、生産体制の世界的な広がりによって、より低コストな地域を目指して生産拠点が国内、海外各所の遠隔地に点在している。このような状況変化によって、従来に比べてトラブル対処や定期保守に対して迅速な対応が困難になりつつあり、これをいかに解決するかが大きな課題となっている。また、生産拠点の拡散に伴って、保守情報が各生産拠点にとどまって生産拠点を超えた情報の共有化が希薄になり、過去のトラブルの経験が生かしにくいという課題もある。
【0004】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、遠隔地に設置された機器であっても迅速な保守を可能とする、産業用機器の監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明の好ましい形態は、産業用機器とLANを介して接続された、該産業用機器を監視する監視装置であって、
該LANを介して該産業用機器のトラブルの症状を示すステータス情報を取得し、
該ステータス情報を、インターネットを介して該産業用機器の保守を集中管理する管理装置に送信し、
該送信に応答して該管理装置からインターネットを介して送信された応答情報を受信し、
該応答情報に基づき、該産業用機器のソフトウェアを修正する、
ことを特徴とする監視装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、遠隔地に設置された機器であっても迅速な保守を可能とする、産業用機器の監視装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0008】
<産業用機器の遠隔保守システムの第1の実施の形態>
図1は、本発明の好適な実施の形態に係る産業用機器の遠隔保守システムの概要を示す図である。101は、産業用機器を提供するベンダ(装置供給メーカ)の事業所である。この実施の形態は、産業用機器として、半導体製造工場で使用する半導体製造装置、例えば、前工程用機器(露光装置、塗布現像装置、熱処理装置等)や後工程用機器(組み立て装置、検査装置等)を想定している。
【0009】
102〜104は、産業用機器のユーザとしての半導体製造メーカの生産工場である。生産工場102〜104は、互いに異なるメーカに属する工場であっても良いし、同一のメーカに属する工場(例えば、前工程用の工場、後工程用の工場等)であっても良い。
【0010】
各工場102〜104には、夫々、複数の産業用機器106と、それらを結ぶLAN(イントラネット)109と、各産業用機器106の稼動状況を監視する監視装置としてのホストコンピュータ107とが設けられている。
【0011】
各工場102〜104に設けられたホストコンピュータ107は、世界的な規模で広がった通信手段であるインターネット105を介してベンダ101側の管理装置であるホストコンピュータ108に接続されている。ホストコンピュータ107は、このインターネット105を介して、各産業用機器106の稼動状況を示すステータス情報(例えば、トラブルが発生した産業用機器の症状)を工場側からベンダ側に通知する他、その通知に対応する応答情報(例えば、トラブルに対する対処方法を指示する情報、対処用のプログラムやデータ)をベンダ側から受け取ることができる。なお、以下では、ステータス情報及び/又は応答情報を保守情報という。
【0012】
各工場102〜104とベンダ101との間の通信および各工場内のLANでの通信には、インターネットで一般的に使用されているパケット通信プロトコル(TCP/IP)が使用される。
【0013】
ベンダ101側のホストコンピュータ108は、インターネット105を介して、ユーザの各工場102〜104における産業用機器106の稼動状況を時々刻々把握することができる。また、これらの稼動状況や保守の状況などを示す保守情報は、ベンダ101の各部門、例えば、保守部門の他、製造部門、開発部門のコンピュータ110からも参照可能であり、これにより保守情報を製造、開発部門へフィードバックすることができる。
【0014】
図2は、各工場に設置されたホストコンピュータ107の動作を示すフローチャートである。ホストコンピュータ107は、このフローチャートに示す処理を定期的に実行することにより、LAN109を介して接続された複数(n)台の産業用機器106の稼動状況を定期的に監視する。そして、トラブルが発生している場合には、ホストコンピュータ107は、トラブルの症状その他のトラブルに関連するステータス情報を取得して、それをインターネット105を介してベンダ101側に通知する。
【0015】
図2のフローチャートに示す例では、ホストコンピュータ107は、監視対象の複数の産業用機器106を第1〜第nの産業用機器として識別し管理する。そして、パラメータiを順次インクリメントしながら(ステップS207,S208)、第iの産業用機器の稼動状況を監視し(ステップS203)、トラブルが発生している場合には、該当する産業用機器から、その稼動状態に関するステータス情報を取得し(ステップS204)、そのステータス情報をインターネット105を介してベンダ101側に報告する(ステップS205)。そして、ステータス情報の報告に応答してベンダ101側から送信されてくる応答情報に基づいて、可能な場合(例えば、ソフトウェアの更新等によりトラブルを解決可能な場合)には、LAN109を介してトラブルに係る産業用機器を自動で保守する(ステップS206)。なお、トラブルの自動保守ができない場合には、例えばディスプレイにその旨のメッセージを表示する。
【0016】
各産業用機器106は、ホストコンピュータ107からの要求に応じて、トラブルの発生の有無をホストコンピュータ107に通知し(ステップS203に対応)、更にそのトラブルの内容を特定して、その特定した内容を示すステータス情報(例えば、トラブルの内容を示すエラーコード)をホストコンピュータ107に通知する機能を有する(ステップS204に対応)。
【0017】
ステップS205において、ホストコンピュータ107がベンダ101側に通知するステータス情報には、例えば、トラブルが発生した産業用機器の機種、シリアルナンバー、エラーコード、トラブルの発生した時間等が含まれる。このエラーコードとトラブルの内容との対応関係は、例えば、インターネット105を介してベンダ101側のホストコンピュータ108から随時更新することができる。
【0018】
なお、トラブルの内容が予め登録されていない場合には、その旨を示すエラーコードをステータス情報に含めれば良い。この場合は、オペレータがベンダ側に電話、ファクシミリ、電子メール等の手段により詳細な情報を知らせることになる。
【0019】
一方、ベンダ101側の管理装置であるホストコンピュータ108は、各工場に設置されたホストコンピュータ107からの通信に対して、例えば24時間体制で待機する。図3は、ベンダ101側のホストコンピュータ108の動作を示すフローチャートである。
【0020】
ベンダ101側のホストコンピュータ108は、図3のフローチャートに示す処理を定期的に実行することにより、各工場102〜104の産業機器106の稼動状況を監視する。
【0021】
先ず、ホストコンピュータ108は、トラブルの報告(ステータス情報の通知)があるか否かを監視し(ステップS302)、報告があった場合には、その報告に係るステータス情報を取得する(ステップS303)。そして、ホストコンピュータ108は、このステータス情報に基づいて、各工場の産業用機器の保守を管理するためのトラブルデータベース(DB)を参照し、当該報告に係る産業用機器に関して、同一の症状が過去に発生したことがあるか否か、すなわち、同一の症状がトラブルデータベース(後述の501)に登録されているか否かを調査する(ステップS304)。
【0022】
その結果、登録されている場合(ステップS304において“yes”)には、更に、その症状に対する対処法がトラブルデータベースに登録されているか否かを判断(ステップS306)し、登録されている場合には、その登録された対処法に関する応答情報(例えば、対処法を示すコード情報やメッセージ、対処用のプログラムやデータ等)を、トラブルの報告に係る工場のホストコンピュータ107にインターネット105を介して通知する(ステップS307)。
【0023】
応答情報の通知を受けた工場側のホストコンピュータ107は、その応答情報に基づいて、可能な場合には、自動で該当する産業用機器を正常な状態に復帰させ、それが不可能な場合には、例えば、ディスプレイ等に当該産業用機器のオペレータに対するメッセージを出力する。
【0024】
次いで、ホストコンピュータ108は、ベンダ101側の担当者に対して、トラブル発生の事実、トラブルの内容(ステータス情報)、対処法(応答情報)の通知の有無、現在の状態その他の関連する情報を報告する。この報告は、例えば、コンピュータ110のディスプレイに表示すると共に、ベンダ担当者のメールアドレス宛に、ホストコンピュータ108から自動的に報告の電子メールを送信して行なう。
【0025】
ここで、ステップS304において、当該トラブルに係る症状と同一の症状がトラブルデータベースに登録されていないと判断した場合には、当該症状をトラブルデータベースに新規に登録した後にステップS308を実行する。
【0026】
オペレータへの報告(ステップS308)が終ると、ホストコンピュータ108は、トラブルデータベースを更新する(ステップS309)。この更新により、例えば、対処法(応答情報)の送信の有無や、トラブルの報告を受けた時間等がトラブルデータベースに登録される。
【0027】
図4は、ステップS308で報告を受けた保守部門の担当者が取り得る措置の流れの一例を示す図である。先ず、担当者は、トラブルデータベースを参照して、トラブルの内容を把握し、対処が必要であるか否かを判断する(ステップS402)。そして、対処の必要がない場合(例えば、ステップS307で適正な対処法を該当する工場に通知している場合)には、例えばトラブルの再現に備えてインターネット105を介して該当する産業用機器106の稼動状態を監視する(ステップS404)。
【0028】
一方、対処が必要な場合(ステップS403において“Y”)には、担当者は、トラブルデータベースに蓄積された情報等を参照して最適な対処方針を選択する(ステップS403)。
【0029】
この対処方針としては、先ず、インターネット105を介してオンラインでトラブルを解決することが考えられる(ステップS407)。この一例として、トラブルの原因がソフトウェアの誤りに起因する場合が挙げられる。この場合、該当する産業用機器のメモリ内のパラメータやプログラムをインターネット105及び工場側のホストコンピュータ107を介してオンラインで修正することも可能である。
【0030】
他の対処方針としては、電子メール、ファクシミリ、電話等の手段により、工場のオペレータに対して、トラブルの解決方法を指示することが考えられる(ステップS406)。
【0031】
ステップS405及びS406のいずれの方法でも対処不能な重大なトラブルの場合には、工場を訪問して対処することになる(ステップS405)。
【0032】
対処が完了したら、担当者は、ホストコンピュータ108又はコンピュータ110を操作することにより、当該トラブルに関する情報に基づいてトラブルデータベースを更新する(ステップS408)。
【0033】
次に、ベンダ101側のホストコンピュータ108に備えられたトラブルデータベースに関して説明する。LAN109を介してホストコンピュータ108に接続された各コンピュータ110さらにはインターネットを介して接続された各工場の産業用機器106のコンソールは、専用又は汎用のブラウザソフトを内蔵しており、これにより、例えば図5に一例を示す様な画面のユーザインターフェースを構成している。
【0034】
ベンダ又は各工場のオペレータは、図5に一例を示す画面を参照しながら、産業用機器の機種(401)、シリアルナンバー(402)、トラブルの件名(403)、発生日(404)、緊急度(405)、症状(406)、対処法(407)、経過(408)等の情報を入力することができる。なお、前述のように、トラブルデータベースへの情報の入力は、ホストコンピュータ108により自動的に実行される場合もある。
【0035】
図5に示す画面に係るブラウザソフトは、ハイパーリンク機能(410〜412)を有し、これによりベンダの各部門の要員や工場のオペレータは、例えば、各項目の更に詳細な情報にアクセスしたり、ソフトウェアのライブラリから最新バージョンのソフトウェアを引出したり、工場のオペレータの参考に供する操作ガイド(補助情報)を引出したりすることができる。
【0036】
上記のようにベンダ101側の各部門、例えば保守部門、製造部門、開発部門の要員は、LAN109を介してホストコンピュータ108に接続されたコンピュータ110を用いてトラブルデータベースにアクセスすることができる。また、このトラブルデータベースには、外回りの保守要員もインターネット105を介して携帯端末等によりアクセスすることができる。これによって、ベンダの各部門の情報を一元的に管理することができ、各部門において、常に最新の情報を入手することができる。
【0037】
また、トラブルデータベースの一部の情報をユーザ(工場)側に開放することにより、ユーザは、過去に蓄積された様々な保守情報をインターネットを介して入手し、自らがトラブルに対して適切な対処を採ることができる。このように、この実施の基体においては、ベンダ及び複数のユーザ間で保守情報を共有化することにより、保守の効率を飛躍的に高めている。
【0038】
さらに、この実施の形態では、第三者がインターネットを介してトラブルデータベースをアクセスすることにより機密情報を入手することを禁止するための通信セキュリティシステムを備えている。
【0039】
すなわち、このシステムでは、ファイアーウォールを設けて、パスワードによる認証に加えて、アクセスを許可するコンピュータを予めベンダ101のホストコンピュータ108に登録することにより、登録したコンピュータ以外のコンピュータによるアクセスを禁止している。
【0040】
図6は、この実施の形態に係る通信セキュリティシステムの構成を示す図である。ユーザがブラウザ500を用いてベンダ101側のホストコンピュータ108のトラブルデータベース501にアクセスする際の通信は、暗号化されたパケット通信によって行われる。両ホストコンピュータ107,108は、暗号・復号器502,504を及び通信コントローラ503,505を夫々備えている。暗号・復号のアルゴリズムは、各工場(ユーザ)毎に個別に設け(ベンダ側の暗号・復号器は複数のアルゴリズムに対応させる)、更に、この暗号・復号のアルゴリズムを定期的に変更することにより、セキュリティを高めることができる。
【0041】
以上のように本実施形態のシステムにおいては、既存のインフラであるインターネット及びその通信プロトコル、さらにはインターネットアクセス用のソフトウェアを活用して産業用機器の保守情報を通信するようにしたので、専用通信ラインの敷設や新たなソフトウェア開発の負担などを軽減し、迅速で低コストな遠隔保守システムの構築を可能としている。
【0042】
また、産業用機器を設置した複数の工場と、ベンダーの管理システムとを通信手段で接続して、さまざまな保守情報を集中的に管理して情報を共有化することで、生産拠点を超えて過去のトラブルの経験を生かすことができ、トラブルに対して迅速に対応することができる。特に、異なるユーザー企業間でも保守情報を共有するようにすれば、産業全体の効率化向上にも貢献することができる。
【0043】
<産業用機器の遠隔保守システムの第2の実施形態>
図7は本発明の第2の実施形態の産業用機器保守システムの概念図である。先の実施形態では、それぞれが産業用機器を備えた複数のユーザー工場と、該産業用機器のベンダーの管理システムとを通信手段で接続して、該通信手段を介して各工場の産業用機器の保守情報を通信するものであったが、本実施形態では、更に加えて複数のベンダーの産業用機器を備えた工場と、該複数の産業用機器のそれぞれのベンダーの管理システムとをインターネットを利用した通信手段で接続して、該通信手段を介して各産業用機器の保守情報を通信するものである。
【0044】
図7において、201は産業用機器ユーザー(半導体デバイス製造メーカー)の生産工場であり、工場の生産ラインには半導体デバイス製造用装置である露光装置202、塗布現像装置203、熱処理装置204などが導入されている。なお図7では生産工場201は1つだけ描いているが、実際は複数の工場が同様にネットワーク化されている。これらの各装置はLAN206(イントラネット)で接続され、生産管理用ホストコンピュータ205でラインの稼動管理されている。一方、露光装置メーカー210、塗布現像装置メーカー220、熱処理装置メーカー230などベンダー(装置供給メーカー)の各事業所には、それぞれ供給機器の遠隔保守を行なうためのホスト管理システム211,221,231を備えている。そして、ユーザーの生産工場内の各装置を管理するホストコンピュータ205と、各装置のベンダーの管理システム211,221,231とは、通信手段であるインターネット200によって接続されている。なお、各ベンダー210,220,230では、先の図1の例で説明したように、複数のユーザーの工場内の自分が供給した装置の保守を集中管理している。
【0045】
このシステムにおいて、生産ラインの一連の生産機器の中のどれかにトラブルが起きると、生産ラインの稼動が止まってしまうが、トラブルが起きた機器のベンダーからインターネット200を介した遠隔保守を受けることで迅速な対応が可能で、生産ラインの休止を最小限に抑えることができる。各ベンダーのホスト管理システムは上記第1の実施形態で説明したようなトラブルデータベースを備え、保守情報が蓄積されている。また、生産工場と各ベンダーとの通信には異なる通信セキュリティシステムを備え機密の漏洩を防止している。具体的な保守の内容や方法は、第1の実施形態と同様であるので詳しい説明は省略する。
【0046】
以上のように本実施形態のシステムにおいては、複数のベンダーの産業用機器を生産ラインに持つ同一又は異なるユーザーの複数の工場と、各ベンダーの管理システムとを通信手段で接続して保守情報を通信するようにしたので、生産中にある機器でトラブルが生じても対応するベンダーから迅速な保守を受けることが可能で、ラインが止まる時間を最小限に抑えて生産効率を高めることができる。特に、異なるユーザー企業同士あるいは異なるベンダー企業同士でも保守情報を共有するようにすれば、産業全体の効率化向上にも貢献することができる。
【0047】
<半導体デバイス生産方法の実施形態>
次に上記説明した遠隔保守システムを利用した設備における半導体デバイスの生産方法の例を説明する。
【0048】
図8は微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ2(マスク製作)では設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これを出荷(ステップ7)する。前工程と後工程はそれぞれ専用の別の工場で行い、これらの工場毎に上記説明した遠隔保守システムによって保守がなされる。
【0049】
図9は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンを形成する。各工程で使用する生産機器は上記説明した遠隔保守システムによって保守がなされているので、トラブルを未然に防ぐと共に、もしトラブルが発生しても迅速な復旧が可能で、従来に比べて半導体デバイスの生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る産業用機器の遠隔保守システムの概要を示す図である。
【図2】ユーザ(工場)側に設置された監視装置としてのホストコンピュータの動作を示すフローチャートである。
【図3】ベンダー側に設置された管理装置としてのホストコンピュータの動作を示す図である。
【図4】保守部門の担当者が取り得る措置の一例を示す図である。
【図5】トラブルデータベースのユーザインターフェースである入力画像の一例を示す図である。
【図6】通信セキュリティシステムの構成を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る産業用機器の遠隔保守システムの概要を示す図である。
【図8】半導体デバイスの製造フローを示す図である。
【図9】ウェハプロセスを示す図である。
【符号の説明】
【0051】
101 ベンダーの事業所
102〜104 ユーザーの生産工場
105 インターネット
106 産業用機器
107 各工場(ユーザー)のホストコンピュータ
108 ベンダーのホストコンピュータ
109 LAN
110 ベンダーの各部門のコンピュータ
200 インターネット
201 ユーザーの生産工場
202 露光装置
203 塗布現像装置
204 熱処理装置
205 生産管理用ホストコンピュータ
206 LAN
210 露光装置メーカー事業所
211 ホスト管理システム
220 塗布現像装置メーカーの事業所
221 ホスト管理システム
230 熱処理装置メーカーの事業所
231 ホスト管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LANを介して産業用機器に接続された、該産業用機器を監視する監視装置であって、
該LANを介して該産業用機器のトラブルの症状を示すステータス情報を取得し、
該ステータス情報を、インターネットを介して該産業用機器の保守を集中管理する管理装置に送信し、
該送信に応答して該管理装置からインターネットを介して送信された応答情報を受信し、
該応答情報に基づき、該産業用機器のソフトウェアを修正する、
ことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
該応答情報に基づき、該産業用機器のメモリ内のパラメータを修正する、ことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
該応答情報に基づき、該産業用機器のメモリ内のプログラムを修正する、ことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項4】
該送信および該受信は、暗号・復号アルゴリズムにしたがって行う、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の監視装置。
【請求項5】
該産業用機器は、半導体製造装置である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−272926(P2007−272926A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166353(P2007−166353)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【分割の表示】特願2005−329162(P2005−329162)の分割
【原出願日】平成9年6月24日(1997.6.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】