説明

用紙処理装置及び画像形成システム

【課題】小型の装置でプレスタック可能とする。
【解決手段】用紙に対して整合及び綴じ処理を施すジョガーフェンス33、基準フェンス35、ステープラ31が設けられた整合トレイ32と、シフト処理経路2に沿って搬入されてきた用紙を整合トレイ32に搬送する第2の搬送ローラと、シフト処理経路2の第2の搬送ローラの上流側で分岐し、整合トレイに用紙を搬送する前に、第2の搬送ローラを逆転させて用紙を退避させる第2の用紙収容部5と、を備え、第2の用紙収容部5に用紙を退避させる際、第2の搬送ローラ23は用紙の先端側を搬送ガイド板38の上面側から装置外に用紙を導き、用紙後端が第2の搬送ローラ23を通過する前に搬送方向を逆転させ、第2の用紙収容部5に用紙を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙処理装置及び画像形成システムに係り、特に用紙、記録紙、印刷用紙、転写紙などのシート状記録媒体(以下、単に「用紙」と称する。)に対して予め設定された処理を施す用紙処理装置、及び用紙に画像を形成する画像形成装置とこの画像形成装置に連結された用紙処理装置とからなる画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置から排出される画像形成済みの用紙にステープル処理を行う用紙処理装置以下、画像形成済みの用紙に対して処理を施すことから用紙後処理装置と称する。では、ステープル処理をしている間、次に搬送される用紙が搬送されてきても収容するトレイが塞っているため、次の用紙はトレイが開放されるまで待機する必要がある。このように次の用紙が待機すると、その分、生産性が落ちてしまう。この問題を解決するための公知技術として、用紙をステープル処理している間に次の用紙がステープル処理するトレイに進入してこないように、1枚又は複数枚の用紙を一時的に退避させるための経路を設けるようにした技術が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載された技術は、第1の搬送経路上に配置され、第1の搬送経路を搬送されるシート状媒体をスタックするプレスタック手段と、第1の搬送経路を経てきたシート状媒体に対してステープルを行うステープル手段と、シート状媒体の搬送を制御する制御手段と、プレスタック手段の下流で第1の搬送経路と合流し、所定形式に折られた折りシート状媒体が搬送される第2の搬送経路とを有し、制御手段は、折りシート状媒体に後続する後続シート状媒体をプレスタック手段にスタックしておき、折りシート状媒体及び後続シート状媒体をともに搬送できるようにするタイミングでスタックを解除し、両シート状媒体をともにステープル手段へ搬送するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この技術では、プレスタック手段を構成する退避経路は用紙整合トレイへ用紙を案内する第1の搬送経路と略平行に隣接して設けられている。この構成により用紙にステープル処理が施される間、次に搬送された用紙は前記退避経路で待機し、当該退避経路でステープル処理が完了するまで、後続の用紙を受け入れるので、画像形成装置側では、画像形成を待機させる必要がない。その結果、画像形成の待機によって生じる生産性の低下を防ぐことができる。しかし、このような退避経路は用紙を退避させるために、用紙を収納させる分の長さが必要になり、その分、機械を小型化することができなかった。なお、前記搬送された用紙を退避経路で待機させ、当該退避経路でステープル処理が完了するまで、後続の用紙を受け入れることを一般にプレスタックと称している。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、小型の装置でプレスタック可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、第1の手段は、用紙に対して予め設定された処理を施す処理手段が設けられた用紙の集積手段と、搬送路に沿って搬入されてきた用紙を前記集積手段に搬送する搬送手段と、前記搬送路の前記搬送手段の上流側で分岐し、前記集積手段に用紙を搬送する前に、前記搬送手段を逆転させて用紙を退避させる退避経路と、を備えた用紙処理装置であって、前記退避経路に用紙を退避させる際、前記搬送手段は用紙の先端側を装置外に導き、用紙後端が前記搬送手段を通過する前に搬送方向を逆転させ、前記退避経路に前記用紙を搬送することを特徴とする。
【0007】
第2の手段は、第1の手段に係る用紙処理装置を備えた画像形成システムを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型の装置でプレスタック可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置と用紙後処理装置とからなる画像形成システムの概略構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施形態におけるプレスタック動作を示す動作説明図である。
【図3】本発明の実施形態における用紙収容部の構成を示す図である。
【図4】第2の分岐爪と排紙ガイド板の動作を示す動作説明図である。
【図5】排出ガイド開放時に退避する空間をプルーフトレイの下面に設けた例を示す図である。
【図6】用紙収容部の搬送方向における長さが最大用紙長よりも短く設定された例を示す図である。
【図7】用紙収容部における用紙搬送方向が用紙整合トレイの傾斜角度に対して予め設定された角度上向きに設定した例を示す図である。
【図8】用紙収容部を搬送方向から見て略U字状に湾曲させた例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置と画像形成装置からなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、退避経路に用紙を退避させ、プレスタックする際、搬送手段によって用紙の先端側を装置外に導き、用紙後端が前記搬送手段を通過する前に搬送方向を逆転させ、前記退避経路に用紙を搬送してプレスタックさせ、反転させる際の搬送路を不要としたことを特徴とする。
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置と用紙後処理装置とからなる画像形成システムの概略構成を示すシステム構成図である。用紙処理装置は、本実施形態では画像形成装置によって画像形成された画像形成済みの用紙に対して後処理するので、以下の説明では用紙後処理装置と称する。
本実施形態に係る画像形成システムは、図1から分かるように画像形成装置PRと画像形成装置PRの後段に連結された用紙後処理装置Finとからなる。
【0012】
画像形成装置PRは、用紙に対して画像を形成する画像形成エンジンと、入力された画像データを出力画像データに変換し、前記画像形成エンジンを制御して画像を出力させる制御部とを備えている。画像形成の方式、言い換えれば画像形成エンジンの方式は、種々あるが、パーソナルで使用される画像エンジンの方式は、例えば電子写真方式及びインクジェット方式のものが大半である。
【0013】
用紙後処理装置Finは、画像形成済みの用紙に対して、穴明け、綴じ、整合及び製本などの各種の後処理を実行する。用紙後処理装置Finは、画像形成装置PRから搬入される画像形成済みの用紙を受け入れる導入経路1と、シフト処理を行うシフト処理経路2と、整合及びステープル綴じ等を行うステープル処理経路3と、を有する。
【0014】
導入経路1には用紙搬送方向上流側から入口センサ11及び入口ローラ12が配置されている。入口センサ11は、用紙が用紙後処理装置Fin内へ搬入されたことを検知し、入口ローラ12は画像形成装置PR側から搬入されてきた用紙を用紙後処理装置Finの下流側に搬送する。シフト処理経路2には上流側と下流側に第1及び第2の搬送ローラ21,23がそれぞれ設けられ、両搬送ローラ21,23の間であって、下流側の第2の搬送ローラ23の上流側の直前に搬送センサ24が配置されている。用紙は、搬送センサ24で検知され、その後、ステープル処理経路3へと搬送される。また、シフト処理経路2の第2の搬送ローラ23の上流側には第2の用紙収容部5に用紙を導くための第1の分岐爪22が設けられ、第2の搬送ローラ23の下流側には第1の用紙収容部4に用紙を導くための第2の分岐爪41が設けられている。
【0015】
用紙を部毎にソートするソートモード時には、シフト機構を有する第1の搬送ローラ21が図示しない駆動手段により、用紙搬送中に搬送方向と直角方向に一定量移動する。この移動に伴って、用紙は移動した一定量分だけシフトする。
【0016】
ステープル処理経路3の終端位置には用紙後端部と平行し(用紙搬送方向と直交する方向に)移動し、用紙後端の所定のステープル位置で綴じ処理を行うステープラ31と、用紙の搬送方向及び搬送方向と直交する方向を整合する整合トレイ32が配置されている。整合トレイ32は、用紙の搬送方向と直交する方向を整合するジョガーフェンス33と、用紙の搬送方向を整合する(後端)基準フェンス35及び戻しコロ34を備えている。
【0017】
ジョガーフェンス33は、整合トレイ32上を搬送方向と直角な方向に互いに近接離間する一対の板状の部材からなり、整合トレイ32上に排紙された用紙Pに対して用紙搬送方向と直交する方向から近接し、所定位置で用紙の両側を挟み込み、用紙の搬送方向と直交する方向(幅方向)を整合する。なお、一方のフェンスを固定し、他方のフェンスを一方のフェンスに対して近接離間させて用紙の搬送方向と直交する方向を整合する形式のジョガーフェンスもある。
【0018】
基準フェンス35は整合トレイ32の後端(ステープラ31配設側)に設けられ、用紙後端が突き当たることによって用紙搬送方向を整合する。重力だけでは、用紙が基準フェンスに突き当たるとは限らず、また、用紙は基準フェンス35に突き当たったとしても摩擦の影響により後端が揃うとは限らないので、振り子運動を行って用紙に当接し、用紙を基準フェンス35側に移動させて用紙後端を基準フェンスに突き当てる戻しコロ34が整合トレイ32の上方に設けられている。
【0019】
図2は本実施形態における所謂プレスタック動作を示す動作説明図である。以下、この動作に関係ある場合は、当該動作を示す図を指摘して本実施形態における用紙後処理装置Finの構成と動作について説明する。
【0020】
複数の用紙からなる用紙束を綴じるステープルモードが選択された場合、用紙は整合トレイ32に送られる。そこで、第2の分岐爪41はステープル処理経路3側に用紙を送り込むように切り換えられる。1ジョブ目(1部目)は整合トレイ32に用紙が集積されていないので、分岐爪41はステープル処理経路3側を開放し、1枚目のコピー用紙P11、2枚目のコピー用紙P12ともにステープル処理経路3側に導く。同様にして、以降に続く用紙も同じくステープル処理経路3から整合トレイ32に搬送され、整合トレイ32で集積されて揃え動作が終了した後、ステープラ31でステープル処理される。
【0021】
排紙トレイ61への排出口部は、排紙駆動ローラ36と排紙従動ローラ37とで用紙又は用紙束を挟持して排出する対構造となっている。これは、排紙駆動ローラ36に対する排紙従動ローラ37を備えた排紙ガイド板38の接離動作で、用紙又は用紙束を挟持して排出可能な閉状態と挟持しない開状態とを選択的に取り得るようになっており、ステープル処理が完了した後、用紙を挟持して排紙される。
【0022】
その間、画像形成装置PRでは2ジョブ目(2部目)の画像形成動作を実行しており、画像形成装置PRからは2ジョブ目の用紙が搬送されてくる。その時点で1ジョブ目の用紙束の処理は終了していないので、2ジョブ目の1枚目の用紙P21は第1の用紙収容部4に送り込まれる。すなわち、1ジョブ目の最終用紙P12がシフト処理経路2を抜けると、第2の分岐爪41がステープル処理経路3側を閉鎖し、第1の用紙収容部4側を開放するように切り換えられる(図2(a))。これにより2ジョブ目の1枚目の用紙P21は第1の用紙収容部4側に導かれ、第2の搬送ローラ23によって第1の用紙収容部4に送られる。
【0023】
2ジョブ目の1枚目の用紙P21が第1の用紙収容部4に搬送され、当該用紙P21の後端が第1の分岐爪22を通過すると(図2(b))、第2の搬送ローラ23を逆転させ、同時に第1の分岐爪22を第2の用紙収容部5側が開放されるように切り換える。これにより用紙後端は第2の用紙収容部5側に導かれ(図2(c))、第2の用紙収容部5で用紙P21を滞留させる(図2(d))。これにより、次用紙P22が搬送されてきたときに、第2の搬送ローラ23で先端が合うように重ね合せ、搬送ローラ5a,5b,5cとともに第2の用紙収容部5で滞留していた用紙P21を送り出し、ステープル搬送経路3に搬送することができる(図2(e))。ステープル搬送経路3に搬送された2ジョブ目の用紙束P21,P22は、1ジョブ目の用紙束P11,P12と同様にしてステープラ31によって綴じられ(図2(f))、1ジョブ目の用紙束P11,P12の上に排紙される。
【0024】
この動作を繰り返すことによって2枚以上の用紙を重ね合せて搬送し、ステープル処理経路3へ排出することが可能である。その際、画像形成装置PRから出力されてきた用紙先端の入口センサ11での検出タイミングを基準にして用紙収容部5に退避していた用紙の再搬送開始タイミングを決定する。
【0025】
なお、第1の用紙収納部4は図3に示すように排紙ガイド板38の上面38bとプルーフトレイ25の下面25aで構成される。プルーフトレイ25は、シフト搬送経路2から分岐した上搬送経路25cを搬送されてきた用紙が排紙され、集積されるトレイである。このプルーフトレイ25には、画像形成装置PRによって画像形成された用紙が何の後処理もせずにそのまま排紙される。上搬送経路25cへ用紙を搬送する場合には、シフト搬送経路2の最上流側に位置する第3の分岐爪25bの選択動作によって上搬送経路25c側が開放されたときに、導入経路1から導入された用紙が上方向に導かれ、シフト搬送経路2から分岐する
図4は第2の分岐爪41と排紙ガイド板38の動作を示す動作説明図である。第2の分岐爪41と排紙ガイド板38は支点41a,38aを中心に揺動可能に支持されている。第2の分岐爪41の支点41aは、用紙搬送方向下流側の端部に設けられ、排紙ガイド板38の支点38aは用紙搬送方向上流側の端部に設けられている。いずれも、図示しない駆動機構によって駆動される。駆動機構はモータと減速機構、あるいはソレノイドなどが使用される。
【0026】
図4(a)は第2の分岐爪41と排紙ガイド板38が連動して動作するように構成したときの例である。用紙が搬送され、整合トレイ32に集積される場合、整合トレイ32に集積された用紙束に所定の後処理がなされるまでの間、排紙駆動ローラ36と排紙従動ローラ37は離間しており、第2の分岐爪51は用紙整合トレイ側の経路を開放する側に倒れている。この状態で画像形成装置PRから用紙を受け入れると、受け入れた用紙が整合トレイ32に搬送される。このように用紙束に後処理を施しているときに次ジョブの用紙が整合トレイ32に排紙されると、後処理前の用紙束に衝突して用紙束の整合を乱してしまうため、画像形成装置PRからの受入を中断する必要がある。このように第2の分岐爪41と排紙ガイド板38が連動して動作するように構成した場合には、次ジョブの用紙の搬入を待機させる必要があり、この待機が画像形成装置PRの画像形成動作の中断につながるので、その中断の分だけ生産効率が落ちることになる。
【0027】
一方、図4(b)は第2の分岐爪41と排紙ガイド板38が独立して動作するように構成したときの例である。このように第2の分岐爪41と排紙ガイド板38の駆動機構がそれぞれ独立して動作できるよう構成すると、排紙ガイド板38を排紙従動ローラ37が駆動ローラ36から離間する位置に位置していたとしても、整合トレイ32側を閉鎖する側に第2の分岐爪41を倒すことができる。このように構成すると、前ジョブの用紙束が整合トレイ32に集積され、後処理が行われているときに、次ジョブの1枚目の用紙を第1の用紙収容部4に導くことができる。
【0028】
第2の分岐爪41の切り換えは前ジョブ最終紙の後端が第2の搬送ローラ23を抜けた後、予め設定された時間が経過した後に行われ、第1の用紙収容部4への経路が開放され、後処理が完了するまでの間も画像形成装置PRから用紙を受け入れることができる。
【0029】
図5は排出ガイド開放時に退避する空間をプルーフトレイの下面に設けた例を示す図で、同図(a)は排出ガイドが開放されたときの状態を、同図(b)は排出ガイドが閉鎖されたときの状態をそれぞれ示す。
【0030】
排紙ガイド板38は前述のように支点38aを中心に揺動可能に支持されており、ステープルモードが選択された場合、整合トレイ32に受け入れる用紙の搬送を遮らないよう、排紙ガイド板38は最大限開放される。言い換えれば、排紙ガイド板38は搬送される用紙が触れない高さまで図示しない開閉モータにより開放される。機械の小型化すると、排紙ガイド板38を開放したときに、プルーフトレイ25の下面と干渉し、排紙駆動ローラ36と排紙従動ローラ37間のスペースを大きく取ることができなくなる。その結果、整合トレイ32上には小枚数の用紙しか集積できなくなる。
【0031】
そこで、本実施形態では、プルーフトレイ25の下面25aに空間25bを設け、開閉モータによって持ち上げられた排紙ガイド板38をこの空間25aに退避させることができるようにした。これにより、1ジョブ目の用紙が整合トレイ32に搬送されている間、排紙ガイド板38は前記空間25aに退避させ、退避させた分、大きく開いた排紙駆動ローラ36と排紙従動ローラ37間に送り込まれる。1ジョブ目の最終紙用が整合トレイ32上に搬送されると、排紙ガイド板38が閉じられてプルーフトレイ25から離間し、第1の用紙収容部4に用紙を受け入れるための空間4aが形成される。この状態で、第2の分岐爪41は第1の用紙収容部4側の経路を開放し、用紙整合トレイ3側の経路を閉鎖するので、次に搬送されてくる用紙は、第1の用紙収容部4に導かれ、前記空間4aに用紙は収容される。これにより、多数枚の用紙束の収容及び処理と、次の搬送用紙の退避動作に確実に対応することができる。
【0032】
図6は用紙収容部の搬送方向における長さが最大用紙長よりも短く設定された例を示す図である。第1の用紙収容部4に収容される用紙の停止位置は搬送センサ24の検出タイミングを基準として決定し、用紙後端が搬送ローラ23を通過する手前の予め設定された位置Aで停止する。第1の用紙収容部4は排紙ガイド板38の終端部Bより下流側にガイドがなく、AB間の搬送距離は搬送方向における最大用紙長よりも短く設定されている。終端部Bから飛び出した用紙は自重によって下方に垂れ下がる。垂れ下がり量が大きいと排紙駆動ローラ対36,37からなる排出口を塞ぎ、整合トレイ32上での用紙束の整合を乱し、あるいは用紙束の排出不良を招く。そこで、垂れ下がりを防止する必要がある。
【0033】
終端部Bからの用紙の垂れ下がりを防止するには、終端部Bから飛び出す用紙長lが用紙幅Dより短いことが望ましい。そこで、用紙の最大用紙長をLとすると、
l<D
l=L−AB
∴AB>L−D
の関係式が得られる。この式からAB間の距離は、最大用紙長Lから用紙幅Dを差し引いた値より長く設定するとよいことが分かる。
【0034】
図7は、用紙収容部における用紙搬送方向が用紙整合トレイの傾斜角度に対して予め設定された角度上向きに設定した例を示す図である。第1の用紙収容部4の経路を構成する排紙ガイド板38の上面38bは整合トレイ32の用紙積載面に対して角度θ傾斜し、第1の用紙収容部4にある用紙と整合トレイ32上の用紙束の距離を遠ざける。こうすることによって、第1の用紙収容部4にある用紙が自重で下方に垂れ下がった場合でも整合トレイ32上にある用紙束に接触せず、用紙束の整合に影響を与えない。
【0035】
そこで、搬送ローラ23の用紙搬送方向と排出ガイドの上面38bがなす角度をθ’としたときに、
θ>0°
θ’<45°
の条件を満たす範囲内で排出ガイドの上面38bの角度を設定すればよい。
【0036】
図8は用紙収容部を搬送方向から見て略U字状に湾曲させた例を示す図で、同図(a)は正面から見た図、同図(b)は同図(a)のC方向矢視図である。同図(b)から分かるように用紙搬送方向(C方向)から見ると、排紙ガイド板38の上面38bは終端部B付近でU字状に湾曲している。湾曲形状は図6にあるように上に凸でも下に凸でもよい。このような形状にすると、用紙は搬送方向に対して垂直な方向(用紙の幅方向)でU字状に曲がり、前記用紙幅方向に反った形になる。これにより、用紙に所謂コシが付けられ、自重で下方に垂れ下がることを防止することができる。
【0037】
なお、排出ガイド39の上面38bだけでなく、プルーフトレイ25の下面25aについても同様に湾曲させると、用紙の垂れ下がり防止がより確実となる。しかし、厚紙搬送時に用紙をU字状に曲げると、搬送抵抗が過大となり、搬送ローラ23を駆動する図示しないモータのトルク不足を招くおそれがある。そこで、本実施形態では、搬送隙間Dを広めに設定している。
【0038】
このようなプレスタック制御は用紙後処理装置Finの制御回路によって実行される。図9は用紙後処理装置Finと画像形成装置PRからなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。用紙後処理装置FinはCPU_Fin1、I/OインターフェイスFin2等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路を備え、CPU_Fin1には、画像形成装置PRのCPUあるいは操作パネルPR1の各スイッチ等、及び図示しない各センサからの信号が通信インターフェイスPR2を介して入力され、CPU_Fin1は入力された信号に基づいて所定の制御を実行する。さらに、CPU_Fin1は、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御し、インターフェイスから装置内のセンサ情報を取得する。また、制御対象やセンサに応じてI/0インターフェイスFin2を介してモータドライバによってモータの駆動制御を行い、センサからセンサ情報を取得する。なお、前記制御は、図示しないROMに格納されたプログラムコードをCPU_Fin1が読み込んで図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
【0039】
また、図9における用紙後処理装置Finの制御は画像形成装置PRのCPUからの指示若しくは情報に基づいて実行される。ユーザの操作指示は画像形成装置PRの操作パネルPR1から行われる。これにより、画像形成装置PRからは用紙後処理装置Finへ操作パネルPR1からの操作信号が送信され、また、用紙後処理装置Finの処理状態や機能が操作パネルPR1を介してユーザに通知される。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、
1)ステープル処理経路3と第1の用紙収容部4が排紙ガイド板38を共有し、当該排紙ガイド板38の前者は下面側、後者は上面側に設定されるので、専用のガイド板が不要となる。その結果、専用のガイド板が不要となる分装置の小型化を図ること及び低コスト化を図ることができる。
2)プルーフトレイ25の下面25aに空間25bを設け、持ち上げられた排紙ガイド板38をこの空間25aに退避させることができるようにしたので、排紙ガイド板38の開閉スペースを大きく取る必要がなくなる。これにより、装置の高さ方向に関して小型化を図ることができる。
3)次ジョブの用紙P21の先端部を第1の用紙収容部4から外側、すなわち装置の外側に突出させ、その後、逆方向に搬送するので、第1の用紙収容部4の搬送路長は用紙の最大搬送長さよりも短く設定することが可能となり、装置の幅方向に関して小型化を図ることができる。
4)排紙ガイド板38の上側に用紙を案内するときの当該排紙ガイド板38の上側の角度が整合トレイ32の傾斜角度よりも大きな角度に設定されているので、第1の用紙収容部4にある用紙が自重で下方に垂れ下がった場合でも整合トレイ32上にある用紙束に接触することがなく、用紙束の整合が乱れるのを防止することができる。
5)排紙ガイド板38の上側は、搬送方向から見て略U字状に湾曲しているので、第1の用紙収容部4内をスイッチバック搬送される用紙の先端部が搬送方向から見て略U字状に曲げられた状態となり、用紙が自重で下方に垂れ下がるのを防止することができる。これにより、ステープル処理経路3にある用紙束と接触することがなくなり、用紙同士が擦れて生じる画像汚れを防止することができる。
などの効果を奏する。
【0041】
なお、特許請求の範囲における処理手段は本実施形態ではジョガーフェンス33、基準フェンス35、戻しコロ34及びステープラ31に、集積手段は整合トレイ32に、搬送路はシフト処理経路2に、搬送手段は第2の搬送ローラ23に、退避経路は第2の用紙収容部5に、一方のローラは排紙従動ローラ37に、搬送ガイド板は符号38に、他方のローラは排紙駆動ローラ36に、積載手段は排紙トレイ61に、排紙手段は排紙駆動ローラ36及び排紙従動ローラ37に、第1の切り換え手段は第1の分岐爪22に、排紙ガイド板の上面は符号38bに、第2の切り換え手段は第2の分岐爪41に、制御手段はCPU_Fin1に、プルーフトレイは符号25に、プルーフトレイの下面は符号25aに、空間は符号4aに、支点は符号41a,38aに、退避空間は符号25bに、画像形成システムは用紙後処理装置(用紙処理装置)Finと画像形成装置PRに、それぞれ対応する。
【0042】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
2 シフト処理経路
4 第2の用紙収容部
4a 空間
5 第2の用紙収容部
22 第1の分岐爪
23 第2の搬送ローラ
25 プルーフトレイ
25a プルーフトレイの下面
25b 退避空間
31 ステープラ
32 整合トレイ
33 ジョガーフェンス
34 戻しコロ
35 基準フェンス
36 排紙駆動ローラ
37 排紙従動ローラ
38 搬送ガイド板
38a 支点
38b 排紙ガイド板の上面
41 第2の分岐爪
41a 支点
61 排紙トレイ
Fin 用紙後処理装置(用紙処理装置)
Fin1 CPU
PR 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開2009−292540号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対して予め設定された処理を施す処理手段が設けられた用紙集積手段と、
搬送路に沿って搬入されてきた用紙を前記集積手段に搬送する搬送手段と、
前記搬送路の前記搬送手段の上流側で分岐し、前記集積手段に用紙を搬送する前に、前記搬送手段を逆転させて用紙を退避させる退避経路と、
を備えた用紙処理装置であって、
前記退避経路に用紙を退避させる際、前記搬送手段は用紙の先端側を装置外に導き、用紙後端が前記搬送手段を通過する前に搬送方向を逆転させ、前記退避経路に前記用紙を搬送すること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の用紙処理装置であって、
前記搬送路の下流側に位置し、一方のローラが搬送ガイド板に他方のローラに対して開閉可能に支持され、前記集積手段に集積された用紙束を後段の積載手段に排紙する排紙手段と、
前記搬送路と前記退避経路の分岐部に設けられ、前記搬送手段によって搬入方向とは逆方向に搬送されてくる用紙の搬送方向を切り換え、当該用紙を前記退避経路に案内する第1の切り換え手段と、
前記搬送手段の下流側に設けられ、前記集積手段又は前記排紙ガイド板の上面に用紙の搬送方向を切り換え、前記退避経路に用紙を退避させる前に、前記排紙ガイド板の上面に用紙を案内する第2の切り換え手段と、
を備えていることを特徴とする用紙処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の用紙処理装置であって、
前記搬送手段、前記排紙手段、前記第1の切り換え手段及び前記第2の切り換え手段の動作を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記退避経路に前記用紙を退避させる際、前記第2の切り換え手段によって前記次に搬送されてくる用紙の先端部を前記排紙ガイド板の上面に案内し、
当該用紙の後端部が前記搬送手段を抜ける前に当該搬送手段によって前記用紙を搬入方向とは逆方向に搬送して前記第1の切り換え手段によって前記退避経路に案内し、
前記処理手段による処理終了とタイミングを合わせて前記退避経路で退避していた1枚以上の用紙を次に搬送されてくる用紙と重ね合わせて前記搬送手段によって搬入方向に搬送して前記集積手段に排紙すること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の用紙処理装置であって、
前記排紙ガイド板は用紙処理装置のプルーフトレイの下側に位置し、前記排紙ガイド板の上面と前記プルーフトレイの下面との間の空間に前記用紙が案内されること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記第2の切り換え手段は用紙搬送方向上流側に、前記排紙ガイド板は用紙搬送方向下流側にそれぞれ支点を有し、当該支点を中心として揺動可能に支持され、両者は独立して動作すること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項6】
請求項4記載の用紙処理装置であって、
前記排紙ガイド板は用紙搬送方向下流側に支点を有し、当該支点を中心として揺動可能に支持され、
前記プルーフトレイの下面側には、前記排紙ガイド板が上昇したときに当該排紙ガイド板が退避可能な退避空間を備えていること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項7】
請求項2ないし6のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記排紙ガイド板の用紙搬送方向最下流側の端部と、前記搬送手段の用紙を挟持する部分との間の距離が、用紙の最大搬送長さよりも短く設定されていること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項8】
請求項2ないし7のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記排紙ガイド板の上面に用紙を案内するときの当該排紙ガイド板の上面の角度が前記集積手段の傾斜角度よりも大きな角度に設定されていること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項9】
請求項2ないし8のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記排紙ガイド板の上面は、搬送方向から見て略U字状に湾曲していること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の用紙処理装置を備えていること
を特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−39997(P2013−39997A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176968(P2011−176968)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】