説明

用紙浮きセンサ

【課題】搬送されている用紙に発生している所定以上の大きさの紙浮きを検出することができ、機械的移動機構の位置公差や経年変化に対して検出精度を高精度に保つことができる用紙浮き検出センサを提供すること。
【解決手段】用紙浮き検出センサを、用紙を支持する支持面を有し、用紙を支持面上に支持した状態で用紙搬送方向に沿って搬送する用紙搬送手段と、用紙搬送手段の用紙搬送路上の紙浮き検出位置に、用紙が到達したことを検出する用紙位置検出手段と、光学系と受光センサとから構成され、用紙が紙浮き検出位置に到達したときの用紙の端部に視野範囲を形成すると共に、光学系の光軸が支持面の法線に対して傾斜するように、支持面の上方に配置される少なくとも1つの受光手段とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置で搬送される紙などの媒体の端部の浮きを検出する用紙浮き検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタを用いて用紙などの媒体にインクを吐出させてプリントする際、プリントヘッドと媒体との間の間隔は、媒体上へのプリントの精度を維持するために、所定の小さな間隔に維持されなければならない。
【0003】
一方、媒体は、カットや、湿気や、吐出されたインクによる膨潤の影響で局所的に浮きを生ずることがある。このような浮きを生じた媒体に対してプリントヘッドを移動させたり、浮きを生じた媒体をプリントヘッドの下方を通過させたりすると、浮きを生じた部分がプリントヘッドに衝突してプリントヘッドを損傷させたり、媒体がプリントヘッドの下方でジャムを生じたりさせる問題がある。
【0004】
したがって、このような媒体の浮きを検出し、プリントヘッドの駆動を停止させるなどの制御を行なう必要がある。
【0005】
例えば、特許文献1は、インクジェット記録装置の記録ヘッドアレイと用紙の搬送ベルトとの間で光線を通過させることにより用紙の搬送ベルトからの浮き上がりを検出することが開示されている。光線は、投光センサから出て受光センサで光線の受光量を検出する。用紙が浮き上がっている場合には、光線が遮られ受光センサの受光量が減少するため、用紙の浮き上がりを検出することができる。光線は、搬送ベルトの面に平行で用紙の搬送方向に傾斜もしくは直交した方向に通過する。
【0006】
また、特許文献2は、キャリッジを走査させることにより記録媒体に記録を行なうインク式記録装置の用紙の浮きを検出することが開示されている。一実施形態の検出機構は、キャリッジに走査方向両端のレバーとして設けられ、キャリッジが走査する際、浮き上がった紙端によりこのレバーが押圧されることにより紙端の浮きが検出される。また、他の実施形態の検出機構は、用紙を搬送ローラと共に挟持する2つの対向するピンチローラの内側に取付けられた対向配置されたフォトインタラプタであり、これらフォトインタラプタ間の光線が紙浮きにより遮断されることにより用紙の浮きが検出される。
【特許文献1】特開2007−76109号公報
【特許文献2】特開平9−39221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている紙端浮き検出では、検出用の光線の光路が紙面と平行な方向に沿って設定されているため、例えば、用紙が厚さの薄い紙である場合、用紙の浮き上がり部分が光線を遮ったとしてもそのことが検出されにくい構成となっている。
【0008】
また、検出用の光線の光路が、用紙の搬送方向と垂直である場合、光線が用紙の浮き上がった端の下をくぐってしまい、光線が用紙により遮られないため、用紙の浮き上がりが検出されないということが生じうるという問題がある。
【0009】
さらに、検出用の光線の光路が、用紙の搬送方向に対して傾斜している場合、光線のスパンが長くなり検出のための構成が大型化してしまうという問題がある。
【0010】
特許文献2に開示されている紙浮き検出では、インク記録装置の動作に際して移動するキャリッジに検出手段が固定され、機械的な接触に基づいているため、キャリッジの移動機構の位置公差や経年変化による位置ずれにより紙浮きの検出精度が低下しうるという問題がある。
【0011】
本発明は、このような問題を鑑みてなされたものであり、搬送されている用紙に発生している所定以上の大きさの紙浮きを検出することができ、機械的移動機構の位置公差や経年変化に対して検出精度を高精度に保つことができる用紙浮き検出センサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、
用紙を支持する支持面を有し、前記用紙を前記支持面上に支持した状態で用紙搬送方向に沿って搬送する用紙搬送手段と、
前記用紙搬送手段の用紙搬送路上の紙浮き検出位置に、前記用紙が到達したことを検出する用紙位置検出手段と、
光学系と受光センサとから構成され、前記用紙が前記紙浮き検出位置に到達したときの前記用紙の端部に視野範囲を形成すると共に、前記光学系の光軸が前記支持面の法線に対して傾斜するように、前記支持面の上方に配置される少なくとも1つの受光手段と、を有することを特徴とする用紙浮き検出センサが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明による用紙浮き検出センサによれば、搬送されている用紙に発生している所定以上の紙浮きを検出することができ、移動機構の位置公差や経年変化に対して検出精度を高精度に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態による用紙浮き検出センサの概略的な構成図である。本実施形態の用紙浮き検出センサは、ラインヘッド型のプリンタ1として構成されている。
【0016】
プリンタ1は、用紙100を供給する給紙部2と、以下で詳述する紙端浮き検出などを制御し、カウンタ3AとCPU3Bとを備える制御部3と、プリントされた用紙100が排出される排紙部4と、用紙100を搬送するベルトプラテン5と、ベルトプラテン5の上方に位置し搬送方向上流側の紙端位置センサ6と、ベルトプラテン5の上方に位置し搬送方向下流側のセンサユニット7と、搬送ローラに組込まれローラの回転に伴いパルスを発生する搬送ローラエンコーダ8と、ベルトプラテン5を駆動する駆動ローラ9と、各色用のラインヘッド10A、10B、10C、10Dを備えた記録ヘッド10とを備えている。
【0017】
図1には、簡単のために用紙100が1枚だけ搬送されていることが示されているが、勿論、ベルトプラテン5上には搬送方向に複数の用紙100があってもよい。また、用紙100の紙端100Aと、紙端位置センサ6と、センサユニット7と、記録ヘッド10とのそれぞれの相対的な高さの関係は図解のために誇張して示されている。
【0018】
また、本実施形態では、用紙100が搬送されることを想定しているが、搬送されるのは、本発明による用紙浮き検出センサで浮き検出が行なわれるような媒体であればなんであってもよい。
【0019】
図1では、用紙100の搬送手段としてベルトプラテン5と駆動ローラ9とが用いられているが、用紙100の表面側に空間が確保できれば、用紙100を挟む対向ローラと移動ベルトなどの一般的な他の搬送手段であってもよい。また、本実施形態では、搬送ローラエンコーダ8は、独立した検出を行なうが、駆動ローラ9に組込まれていてもよい。
【0020】
次に、図を参照して、用紙浮き検出の詳細を説明する。
【0021】
図2は、本発明の第1実施形態の用紙浮き検出センサの構成の詳細を示す図である。搬送方向に垂直で用紙100の面に平行な方向から見た側面図として示されている。この図でも用紙100の紙浮きは図解のため誇張して示されている。
【0022】
給紙部2から用紙100の供給を受けたベルトプラテン5は、例えば、空気吸引機構や静電吸着機構のような公知の手段により用紙100を吸引固定して、図2の左から右に向かって搬送する。
【0023】
特に、以下で述べるように、紙端位置センサ6で用紙100の紙端100Aを検出処理する場合は、紙端100Aが確実にベルトプラテン5に接していなければならない。そのため、例えば、ベルトプラテン5の紙端位置検出個所に相当する位置で局所的に強く吸着固定させることが好ましい。このために、当該位置で、空気吸着力を局所的に強くしたり、用紙100の表面に空気を吹きつけたり、また、羽根が用紙100の表面に接触するように用紙100の搬送方向に向かって回転する羽根車を用いるなどの手段を用いることができる。
【0024】
ベルトプラテン5の表面は、光の反射率が低くなるように、濃色とされており、黒色とされていることは好ましい。また、このベルトプラテン5の表面は、光の反射率が低くなるように、表面形状が例えばマット状に微細な凹凸を持つように構成されていてもよい。
【0025】
紙端位置センサ6は、用紙100の搬送により移動しないようにプリンタ1の固定部分に取付けられ、例えば、反射型のフォトインタラプタでよい。この場合、フォトインタラプタは、図2で紙端位置センサ6の下方に示されている矢印の方向に放射された検出光の反射光の強度を連続的に検出するセンサである。しかし、ベルトプラテン5が光透過性を持つ素材から形成されていれば、検出光をベルトプラテン5の下方で検出する透過型のフォトインタラプタであってもよい。また、レーザビームとフォトダイオードとで構成されるセンサを用いてもよい。
【0026】
用紙100の幅方向に対する紙端位置センサ6の位置は、例えばドッグイヤー(用紙100の角部の折曲)のような用紙100の角部の変形の影響を受けずに紙端位置センサ6を動作させるために、用紙100の搬送方向に直交する幅方向の中央付近が望ましい。また、最先端個所を検出処理することにより、より正確に紙端位置を検出できる。しかし、さらに何箇所かの平均を検出処理するために複数の紙端位置センサ6を設けることもできる。
【0027】
図1にも示されているように、ベルトプラテン5の上方で、紙端位置センサ6に対して搬送方向の下流側で、記録ヘッド10よりも上流側には、センサユニット7が設けられている。センサユニット7は、用紙100の搬送方向先頭側の紙端100Aの、搬送方向に直交する用紙100の幅方向に延びる矩形状の視野を検出するように配置されている。すなわち、センサユニット7は、ベルトプラテン5の面の上方に光軸(以下で述べるレンズ7Aの光軸)がこの面の法線に傾斜するように設けられている。
【0028】
このセンサユニット7も、用紙100の搬送により移動しないようにプリンタ1の固定部分に取付けられている。また、このセンサユニット7も用紙100の搬送方向に直交する幅方向の中央付近に設けられていることが望ましい。
【0029】
以下で、センサユニット7の構成を明らかにしながらこのことを詳述する。
まず、センサユニット7の構成について説明する。
センサユニット7は、レンズ7Aとラインセンサ7Bとを備えている。さらに、本実施形態では、センサユニット7には、センサユニット7のレンズ7Aの光軸方向に平行に用紙100の紙端100A付近を照明するように、照明11が設けられている。この照明11はLED等でよい。
【0030】
レンズ7Aは、通常の球面レンズ列や径方向に屈折率分布を与えた円柱状レンズをアレイ状に配列させたものを使うとセンサユニット7の小型化に資する。照明11の光量が検出のために十分であれば、前記レンズ等の代わりにピンホールをセンサユニット7の用紙100の紙端100Aに面した端部にピンホールを形成するだけでもよい。
【0031】
ラインセンサ7Bは、図3に一例として概略図として示されているように、寸法が数ミクロン程度のCCDやCMOS等の受光素子を直線状に1次元に複数個配列させて形成されている。この受光素子列を並列させて複数配置し、色検出を行ないカラー対応とするためRGBの各色の透過フィルタを設けたり、白黒対応とするため400乃至700nmまでの透過波長帯を有する被視感度フィルタを設けたりすることにより、各受光素子列の受光波長域を任意に設定できる。
【0032】
次に、このセンサユニット7を用いてどのように紙端100Aの浮きが検出されるのかについて説明する。
図4は、図2のように用紙100の紙端100Aが浮いている場合に、図2に示されている矢印βの向きに沿ってセンサユニット7から紙端100Aに臨んだ場合の用紙100の斜視図である。
【0033】
このように、紙端100Aに浮きが発生した場合、この浮きが発生しなければ用紙100に覆われていたベルトプラテン5の表面部分が、ラインセンサ7Bの視野に入る。(以下で説明するように、紙端100Aが、ラインセンサ7Bの視野に入るように用紙100の搬送が制御される。)
照明11から照射された光は、用紙100とベルトプラテン5とのそれぞれで反射される。しかしながら、上述のようにベルトプラテン5の表面は光の反射率が低くなるように構成されているため、用紙100からの反射光に比べて、ベルトプラテン5からの反射光は弱くなる。このように、紙端100Aに浮きが発生した場合、浮きが発生していない場合と比較して、反射光に低輝度部が発生する。紙端100Aの浮きの大小に応じた低輝度部が生ずるため、これをラインセンサ7Bで電気信号の大小に変換することができる。したがって、この低輝度部をラインセンサ7Bで検出することにより紙浮きとその大小が検出できる。
【0034】
図2を再び参照すると、このような低輝度部が斜線部として示されている。低輝度部を発生させる紙端100Aの位置での検出幅は、物体面検出可能幅Aoとして示されている。一方、前記低輝度部がラインセンサ7Bの位置で形成する幅は、像面検出可能幅Aiとして示されている。すなわち、像面検出可能幅Aiの範囲にラインセンサ7Bを位置させると低輝度部の検出が可能となる。
【0035】
レンズ7Aの物体距離をaとして、レンズ7Aの焦点距離をbとすると、次のレンズの公式
Ai=Ao×b/a
により、物体面検出可能幅Aoと像面検出可能幅Aiとの間の関係が規定される。
【0036】
図2に示されている紙端100Aの高さは、発生した低輝度部がラインセンサ7Bの検出部を完全に覆うため、検出可能最大量(t)である。(t1よりも紙端100Aの浮きが大きくなり低輝度部が広くなってもラインセンサ7Bで検出できないため事実上の検出可能最大量である。)
一方、図2に示されている紙端100Aの浮きよりも高さを減少させていくと、ラインセンサ7Bの検出部を覆う低輝度部が減少していく。最終的に、紙端100Aの浮きが、図2に示されている検出可能最小量(t)に対応する高さになると、紙端100Aの浮きがこれ以上減少した場合、低輝度部がラインセンサ7Bの検出部を覆わなくなる。したがって、紙端100Aの浮きが検出可能最小量tより小さいときは、ラインセンサ7Bは、紙端100Aの浮きに対して無感である。
【0037】
このように、紙端100Aの浮きの高さは、検出可能最小量tと検出可能最大量tとの間でセンサユニット7により検出可能である。したがって、この両者の間でラインセンサ7Bの用紙100の搬送方向の視野が形成される。また、センサユニット7による紙端100Aの浮きの高さの検出は、検出可能最小量tと検出可能最大量tとの間の浮きの大小に応じた電気信号の大小として検出される。
【0038】
このように、このラインセンサ7Bの視野の搬送方向の幅が、紙端100Aが浮いていない場合の紙端100Aの上流側(すなわち紙端100Aの浮きが生じた場合の低コントラスト部分)に含まれていなければならない。
【0039】
また、プリンタ1の動作の際、一般に紙端100Aの微小な浮きは、プリントの際に問題を生じないので許容される。以下で述べるように、プリンタ1は、紙端100Aの浮きが一定の閾値を超えると停止されるように制御される。この閾値は、上記の微小な浮きの高さの最大許容量に関連して決定される。したがって、この閾値は、検出可能最小量tと検出可能最大量tとの間に位置しなければならない。すなわち、検出可能最小量tは、この微小な浮きの高さの最大許容値より小さくなければならない。
【0040】
このような理由から、ラインセンサ7Bの視野の範囲と受光面の大きさとが適切に調整されなければならない。この際、受光光軸αと用紙100の面の法線とのなす角θを用いて次の式により浮き量の検出目標値
t1=Ao/sinθ
を設定すればよい。
【0041】
図2に示されている前記法線は、紙端100Aと重なるように示されている。実際には、プリンタ1は、浮きが生じていない状態の紙端100Aの位置に前記法線があるものとして用紙100の搬送と用紙浮き検出センサとの制御を行なう。浮きの有無によって法線の位置は異なるが、紙端100Aの浮き量が検出可能最大量tであってもこの位置の差は、十分小さく紙端浮き検出の際は問題とならない。
【0042】
用紙100の表面色や反射率が一定ではなく、特に各搬送ジョブごとに異なる場合、紙端100Aからのラインセンサ7Bの受光量に基づいて、紙端100Aの浮き量が所定値より大きいかどうかを判定するための適切な受光判定レベル(すなわち、上記の閾値)も、用紙100ごとに異なる。
【0043】
この場合、まず、この用紙100の紙端100Aが通過する時に求められた紙端100Aでのラインセンサ7Bの受光量を検出する。続いて、用紙100が確実にベルトプラテン5に接している用紙位置として、例えば、紙端100Aがラインセンサ7Bの視野範囲を通過した直後のラインセンサ7Bの受光量を100%の反射レベルとしてモニタする。そして、先に求めた紙端100Aからの受光量をこの100%の反射レベルで除して正規化処理を行なうことができる。このような処理により、異なる反射率を持つ用紙100に対しても用紙浮き検出センサを精度よく行なうことができる。
【0044】
次に、上記のような紙端浮き検出を用いたプリンタ1の制御について説明する。
図5は、プリンタ1の制御信号の処理を示すブロック構成図である。図6は、プリンタ1の制御のフローチャートを示す図である。
【0045】
プリンタ1で、用紙100の給紙、搬送、排出が問題なく行なわれている状態を考える。この場合、駆動ローラ9はCPU3Bから制御線を介して制御を受け、ベルトプラテン5を駆動している。搬送ローラエンコーダ8は、ベルトプラテン5を介して回転され自身の回転速度を検出しパルス信号を発している。
【0046】
紙端位置センサ6からベルトプラテン5の面に形成されるセンサユニット7の検出視野位置までの距離は、組付け固定された配置寸法により予め定まっている。一定時間当たりに進むベルトプラテン5の進行距離、すなわち用紙100の搬送距離を、パルス信号の回数により計測することができる。従って、このパルス信号をカウントすることにより用紙100の搬送距離を求めることができる。また、紙端位置センサ6からセンサユニット7の上記検出視野位置までの所定カウント数も定まっている。
【0047】
搬送ローラエンコーダ8の発する信号は、カウンタ3Aに制御線を介して入力されるが、カウンタ3Aは、CPU3Bの指示を受けなければこの信号をカウントしない。
【0048】
以下では、図6のフローチャートを参照しながら、プリンタ1の制御について説明する。
まず、給紙部2からベルトプラテン5に給紙された直後にフローを開始する(ステップS1)。続いて、供給された用紙100は、先頭位置を紙端位置センサ6で検出される(ステップS2)。紙端位置センサ6の検出信号は、信号線を介してCPU3Bに送られる。
【0049】
CPU3Bは、上記のように搬送ローラエンコーダ8からカウンタ3Aに入力されているパルス信号のカウントを開始するようにカウンタ3Aに制御線を介して指示を出す。この結果、カウンタ3Aは、搬送ローラエンコーダ8からのパルス信号のカウントを開始する(ステップS3)。
【0050】
上述のように、搬送ローラエンコーダ8からのパルス信号をカウントすることにより用紙100の搬送距離を計測できる。カウンタ3Aは、カウント数を、信号線を介してCPU3Bに伝達する。CPU3Bは、伝達されたカウントが上記の所定カウント数に達したか否かを判定する(ステップS4)。
【0051】
このステップS4をNOに分岐する場合、紙端100Aが、まだセンサユニット7の上記検出視野に到達していないことを意味する。フローは、再びステップS4に戻り、CPU3Bは、カウンタ3Aからの信号を判定する。
【0052】
上記ステップS4をYESに分岐する場合、紙端100Aが、センサユニット7の上記検出視野に到達したことを意味する。この瞬間に、CPU3Bは、信号線を介して接続されたセンサユニット7の検出信号を読込み、この検出信号に基づいて紙浮き検出を行なう(ステップS5)。
【0053】
この検出の結果、紙端の浮きが、上記の閾値以内であるかどうかが判定される(ステップS6)。紙端の浮きが、この閾値以内である場合には、このステップS6をNOに分岐する。この場合、プリンタ1の動作を継続しても問題ないので、ステップS1に戻る(ステップS7)。
【0054】
紙端の浮きが、上記の閾値を超える場合は、ステップS6をYESに分岐する。この場合、CPU3Bは、紙端100Aが記録ヘッド10に衝突するのを防止するため、駆動ローラ9を停止させる(ステップS8)。続いて、CPU3Bは、プリンタ1の紙浮きエラーフラグを有効にする(ステップS9)。この紙浮きエラーフラグは、例えば、ユーザが、問題を解決し、再びプリンタ1を始動させるときに無効になるものである。続いて、プリンタ1は、紙浮きエラーフラグに基づいて、ユーザにエラーを報知して(ステップS10)、フローを終了する(ステップS11)。
【0055】
上記の説明では、紙端の検出は、用紙100の搬送方向下流側の紙端を検出することにより行なわれているが、用紙100の搬送方向上流側の紙端を検出することによって用紙の搬送、紙端の浮き検出を制御することもできる。用紙100の搬送方向上流側の紙端を検出することにより制御する制御方法も上述の制御方法と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0056】
以上、第1実施形態による用紙浮き検出センサの説明をしてきたが、以下のような変形例が考えられる。
まず、紙端位置センサ6は、省略することができる場合がある。例えば、ドッグイヤーと称されるような用紙100の角部の局所的な浮きに対して、ラインセンサ7Bから出力される信号に局所的な偏りがないかを連続的に判定することにより検出することが可能である。
【0057】
また、照明11は、紙端100Aの浮きが生じた場合、ベルトプラテン5上にコントラストを生じさせることができ、プリンタ1の固定部分に設置されていればどこに設置されてもよい。例えば、照明11は、紙端の浮き検出をする位置にある用紙100の上方から垂直下方に照射するように配置されていてもよい。
【0058】
特に、用紙100がこの位置にある場合に、紙端100Aの垂直上方の位置から垂直下方に照射すると、紙端の浮きが発生している場合に浮きの直下のベルトプラテン5のコントラストが強くなり好都合である。すなわち、用紙100の表面には照射されるが、用紙100の背面側のベルトプラテン5の表面には、照射されない。従って、センサユニット7で用紙表面の散乱光を検出する際に、紙の浮きがない部分は比較的明るく、紙が浮いている部分は、ベルトプラテン5の面がより暗くなるようにラインセンサ7Bで光量が検出されるために、用紙100の浮きに対する検出感度が大きくなるという利点がある。さらに、高密度にプリントされたために反射率が低くなった用紙に対しても安定した検出ができる。
【0059】
さらに、照射光が搬送方向上流側から下流側に、浮いた紙端に、ベルトプラテン5の面の法線に対して傾斜して当たるように、照明11を設けると、浮いた紙端の影がベルトプラテン5の面上で搬送方向下流側に比較的長く延びるため、センサユニット7の視野領域の位置選択のための幅が広がり好都合である。
【0060】
照明11は、用紙100の浮きのコントラストを強めるために複数個配置されてもよい。
【0061】
さらに、センサユニット7は、図2に示されているように搬送方向下流側から紙端の浮きに臨むように、ベルトプラテン5の面に対して上方に位置し、レンズ7Aの光軸とベルトプラテン5の法線とを含む平面において、当該法線に対してレンズ7Aの光軸が傾斜し、かつ、前記平面が搬送方向に平行になるように、ベルトプラテン5の幅の中央近くに配置される以外に、以下のように配置されてもよい。
【0062】
すなわち、センサユニット7は、搬送方向下流側から紙端の浮きに臨むようにベルトプラテン5の面に対して上方に位置し、前記法線に対してレンズ7Aの光軸が傾斜されて配置されていれば、前記法線とレンズ7Aの光軸とを含む平面が、必ずしも搬送方向に対して平行に配置されている必要はない。
【0063】
例えば、センサユニット7は、紙端100Aの前方左右のいずれかから紙端の浮きに臨むように、前記法線とレンズ7Aの光軸とを含む平面が、搬送方向に対して左右に傾斜するように配置されていてもよい。この場合、センサユニット7は、左右いずれの位置にも設けられていてもよい。また、図2に示されているようなセンサユニット7に加えて、このような複数のセンサユニット7をさらに設けてもよい。追加されるセンサユニット7の数や配置は、用途に応じて任意である。
【0064】
また、このような搬送方向下流側の紙端の浮きに臨むような1つ以上のセンサユニット7に加えて、用紙100の搬送方向両端の間に形成され、用紙100の搬送方向に直交する用紙100の幅方向に延びるように形成されたトンネル状の紙の浮き(たるみ)を検出するために、以下のように、追加のセンサユニット7を設けてもよい。
【0065】
このような追加のセンサユニット7は、ベルトプラテン5の面の上方に位置し、レンズ7Aの光軸とベルトプラテン5の法線を含む平面において、レンズ7Aの光軸が当該法線に対して傾斜し、かつ、このレンズ7Aの光軸が、当該法線と搬送方向に直交する方向とを含む平面内に含まれるように設けられる。この場合、センサユニット7は、ベルトプラテン5に対して左右のいずれかの側に、もしくは左右のいずれの側にも設けることができる。
【0066】
このように真横から用紙100に臨むようにセンサユニット7が配置された場合、紙端100Aの浮きがない場合にも、用紙100の紙端100Aから離れた位置で搬送方向に傾斜して延びるようなトンネル状に形成された浮き(たるみ)の検出が可能である。
【0067】
すなわち、紙端位置センサ6で紙端100Aの検出を行なった後、紙端100Aが真横に設けられたセンサユニット7の前方を通過してから、用紙100の搬送方向上流側の紙端がこのセンサユニット7の前方を通過するまで、センサユニット7の信号を連続的に判定し、所定の閾値を超える信号が検出された際は、駆動ローラ9を停止する。
【0068】
このタイプのセンサユニット7は、紙端100Aに搬送方向下流側から臨むような上記のセンサユニット7の検出範囲に紙端100Aが到達する前に行なわれるため、紙端100Aを検出するセンサユニット7よりも搬送方向上流側に設けられていることが望ましい。このような真横に設けられたセンサユニット7の信号の判定は、連続的に行なわれるが、図6に示されたフローチャートを適宜変更して行なうことができるので説明を省略する。
【0069】
さらに、上記のように複数のセンサユニット7が設けられる場合、ベルトプラテン5とセンサユニット7の光軸とのなす角(図4のθに相当する角)は、複数のセンサユニット7の各々で検出の有効性に応じて異なっていてもよい。
【0070】
なお、本実施形態のセンサユニット7は、走査方向(搬送方向と直交する方向)に対する用紙100の幅方向位置と記録ヘッド10との相対位置を検出する、いわゆるレジストレーション検出にも用いられる。すなわち、用紙100がセンサユニット7の視野内に位置するタイミングでセンサユニットの出力信号を判定することにより用紙位置を知ることができる。用紙100の走査方向位置のずれが、ラインセンサ7Bの左右端部の画素からの信号強度の変化として検出されるためである。
【0071】
この検出結果に基づいて、記録ヘッド10の吐出ノズルを走査方向に再配分し、すなわちこれらの使用される吐出ノズルの範囲を用紙100の幅方向にずらし、用紙100に対するプリント位置を制御する。
【0072】
本発明では、このセンサユニットを用紙100の紙端100Aの紙浮き検出にも同時に用いることにより、紙浮きを検出する専用のセンサを追加する必要がなくなるため、コストを低減することができる。また、用紙などの媒体の搬送部にセンサユニットを固定するため、プリンタ1のフレームの変形や経年変化に対して検出位置精度が悪化することなく高精度な検出を維持できる。
【0073】
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態の用紙浮き検出センサの構成を示す概略図である。図示を簡単にするため、図2と共通する構成、すなわち紙端位置センサやセンサユニットのハウジングなどを省略して示す。同等又は対応する構成要素には、同一の参照符号が付されている。
【0074】
本実施形態では、像面検出可能幅Ai方向に2列のラインセンサ7B1、7B2を並列させて配列し、ラインセンサ列7Bを構成したものである。
【0075】
図7では、図2と対照的に紙端100Aの浮きが検出可能最小量tである状態が示されている。その結果、ラインセンサ列7Bには、低輝度部がかかっていない。ラインセンサ7B1、7B2のいずれも検出光の高輝度部内にあるため、これら2つのラインセンサから大きな電気信号が得られ、紙端100Aの浮きが検出可能最小量以下であることが検出される。
【0076】
紙端100Aの浮きが第1検出量tの高さの場合は、ラインセンサ7B1が、低輝度部内に入る。従って、ラインセンサ7B1からの電気信号が低下し、ラインセンサ7B2の電気信号は変化しないため、紙端100Aの浮きが第1検出量tの高さであることが検出される。
【0077】
紙端100Aの浮きがさらに高くなり、検出可能最大量tの高さを超えると、ラインセンサ7B1、7B2の両方が低輝度部内に入る。従って、ラインセンサ7B1、7B2の両方からの電気信号が低下し、紙端100Aの浮きが検出可能最大量tを超えていることが検出される。
【0078】
このように、ラインセンサを複数並列に配置することにより、紙浮きの量を複数の判定値で検出することが可能となり、紙の種類や搬送速度などが異なる場合でも、記録ヘッド10(図示されていない)への衝突を一定以下に抑えることができる。
【0079】
もちろん、ラインセンサの数は、2個に限定されず、用途に応じて3つ以上であってもよい。
【0080】
また、本実施形態は、図2に示されているような、検出可能最大量tと、検出可能最小量tとを変化させずに、レンズの位置や複数のラインセンサの配置を決定すれば、検出可能最大量tと、検出可能最小量tとの間の検出の像面検出可能幅Ai方向の解像度を増加させる構成であると解することもできる。
【0081】
本実施形態では、照明11は、紙端100Aの上方から垂直下方の紙端100Aに照射するように配置されている。しかしながら、この照明11の配置は、紙端100Aの浮きを検出するために有利な配置ならばこれに限定されず他の配置であってもよく、例えば第1実施形態のように、照射光の方向がセンサユニット7(図示されていない)の光軸と平行になるように配置されていてもよい。この点は、第1実施形態に関して述べたので説明を省略する。
【0082】
また、本実施形態は、センサユニット7が、用紙100の搬送方向の下流側から上流側に向かって紙端100Aの浮きに臨むように、ベルトプラテン5の面の上方で、この面の法線に光軸が傾斜するように配置されている。また、光軸は用紙100の搬送方向と平行であり、センサユニット7のベルトプラテン5の幅方向の位置は、ベルトプラテン5のほぼ中央である。
【0083】
しかしながら、第1実施形態に関して述べたように、センサユニット7の配置、数は、本実施形態に限定されない。この点について、第1実施形態に関して述べたので説明を省略する。
【0084】
また、検出や搬送の制御は、図5、6を参照して説明した第1実施形態の検出、搬送の制御と同様であるため説明を省略する。
【0085】
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態の用紙浮き検出センサの構成を示す概略図である。図示を簡単にするため、図2、7と共通する構成、すなわち紙端位置センサやセンサユニットのハウジングなどを省略して示す。同等又は対応する構成要素には、同一の参照符号が付されている。
【0086】
本実施形態では、照明11をベルトプラテン5の下方からほぼ垂直上方に照射光を発するように配置し、アパーチャ12の開口制限を介して照射している。本実施形態では、ベルトプラテン5には、光透過性の材料とするか、又は部分的に光を貫通させるようなホールやスリット状の開口部が形成されている。
【0087】
このように、構成することにより、ベルトプラテン5の照明11の直上部分が2次光源となる。この2次光源は、紙端100Aの浮きが生じた部分は、高輝度であり、浮きが生じていない部分は、低輝度である。
【0088】
したがって、紙端100Aの浮きとセンサユニット7で検出される検出光の輝度との関係は、上記の第1及ぶ第2実施形態と逆となる。具体的には、紙端100Aの浮きが生じた場合には、その浮きの大きさに応じて、2次光源の強度の大小が生じ、センサユニット7は、浮きが大きいほど大きな電気信号を出力するようにして、浮きの大小を検出する。このように構成することにより、紙端浮きの検出感度をより大きくすることができる。
【0089】
図8に図示されていないセンサユニット7のラインセンサは、第1実施形態のように単一でもよく、第2実施形態のように複数設けられていてもよい。
【0090】
また、ラインセンサの配置や数について、第1実施形態に関して説明したので説明を省略する。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改良と変更とが可能である。
【0092】
例えば、前述した本発明の各実施形態に示された構成から複数の構成要素を削除してもよく、各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0093】
前述した本発明の実施形態による用紙浮き検出センサを、ヘッド固定のフルラインタイプのプリンタだけでなく、キャリッジスキャンさせるシリアルプリンタに対しても適用できる。他に、ソータやスタッカー、カッター搬送系など、紙やフィルムなどの媒体の搬送機能を有するプリンタ周辺装置にも適用できる。
【0094】
さらに、本発明は、用紙のような媒体の浮きが検出される必要があるような媒体の搬送装置であれば何にでも適用することができる。
【0095】
(付記)
前記の具体的実施形態から、以下のような構成の発明を抽出することができる。
(1)媒体を支持する支持面を備えた媒体搬送路を有し、前記媒体を前記支持面に支持した状態で媒体搬送方向に沿って搬送する媒体搬送手段と、
前記媒体搬送手段の媒体搬送路上の紙浮き検出位置に、前記媒体が到達したことを検出する媒体位置検出手段と、
前記紙浮き検出位置における前記媒体を照明する光照射手段と、
前記媒体の上方に配置された少なくとも1つの光検出手段とを具備し、
前記光検出手段は、
前記媒体が前記紙浮き検出位置に到達したときの前記媒体の前記媒体搬送方向先端近傍に、前記搬送面に対して傾斜するように延びる光軸を有する集光手段と、
前記集光手段を介した入射光を検出して、前記当該先端近傍に視野範囲を形成する受光手段とを有することを特徴とする媒体浮き検出センサ。
【0096】
(対応する実施形態)
この(1)に記載の媒体浮き検出センサに関する実施形態は、第1乃至第3実施形態が対応する。これらの実施形態において、ベルトプラテン5、搬送ローラエンコーダ8、及び駆動ローラ9が媒体搬送手段に、紙端位置センサ6、制御部3、搬送ローラエンコーダ8、及び駆動ローラ9が媒体位置検出手段に、照明11が照明手段に、センサユニット7が受光手段に、それぞれ対応する。
【0097】
(作用効果)
この(1)に記載の媒体浮き検出センサによれば、搬送されている媒体に発生している所定以上の浮きを検出することができ、移動機構の位置公差や経年変化に対して検出精度を高精度に保つことができる。
【0098】
(2)前記媒体位置検出手段は、
前記紙浮き検出位置よりも前記媒体搬送方向の上流側に配置され、前記媒体搬送路上の基準位置に前記媒体が到達したことを検出する基準位置検出手段と、
前記基準位置で前記媒体が検出されてから、前記基準位置から前記紙浮き検出位置までの所定の媒体搬送距離分だけ前記媒体が搬送されたことを検出する媒体搬送距離検出手段とを有することを特徴とする(1)に記載の媒体浮き検出センサ。
【0099】
(対応する実施形態)
この(2)に記載の媒体浮き検出センサに関する実施形態は、第1乃至第3実施形態が対応する。これらの実施形態において、紙端位置センサ6が基準位置検出手段に、制御部3及び搬送ローラエンコーダ8が媒体搬送距離検出手段に、それぞれ対応する。
【0100】
(作用効果)
この(2)に記載の媒体浮き検出センサによれば、搬送される媒体の浮き位置と受光手段の検出視野を精度よく合わせることができる。
【0101】
(3)前記基準位置検出手段は、前記基準位置で前記媒体搬送方向の媒体先端又は媒体後端を検出する媒体端検出手段であることを特徴とする(2)に記載の媒体浮き検出センサ。
【0102】
(対応する実施形態)
この(3)に記載の媒体浮き検出センサに関する実施形態は、第1乃至第3実施形態が対応する。
【0103】
(作用効果)
この(3)に記載の媒体浮き検出センサによれば、搬送される媒体の浮き位置と受光手段の検出視野を精度よく合わせることができる。
【0104】
(4)前記媒体搬送距離検出手段は、
前記媒体搬送手段の一部を構成し、前記媒体搬送手段の駆動に対応してパルスを出力するエンコーダと、
前記エンコーダからの前記パルスの出力を計数するカウンタと、
を有し、前記カウンタが計数したパルス数が、前記基準位置から前記紙浮き検出位置までの前記所定の媒体搬送距離に相当するパルス数に達したかどうかを判断することを特徴とする(2)に記載の媒体浮き検出センサ。
【0105】
(対応する実施形態)
この(4)に記載の媒体浮き検出センサに関する実施形態は、第1乃至第3実施形態が対応する。これらの実施形態において、駆動ローラ9が搬送ローラに、搬送ローラエンコーダ8がエンコーダに、カウンタ3Aがカウンタに、それぞれ対応する。
【0106】
(作用効果)
この(4)に記載の媒体浮き検出センサによれば、搬送される媒体の浮き位置と受光手段の検出視野を精度よく合わせることができる。
【0107】
(5)前記支持面は、前記媒体の光反射率と異なる光反射率を有することを特徴とする(1)に記載の媒体浮き検出センサ。
【0108】
(対応する実施形態)
この(5)に記載の媒体浮き検出センサに関する実施形態は、第1及び第2実施形態が対応する。
【0109】
(作用効果)
この(5)に記載の媒体浮き検出センサによれば、媒体表面と支持面とのコントラストの相違が大きくなるため、受光手段による検出精度が向上する。
【0110】
(6)前記光照射手段は、紙浮きに伴って前記支持面に前記媒体の影が形成されるように、前記媒体の上方又は下方に配置されることを特徴とする(1)に記載の媒体浮き検出センサ。
【0111】
(対応する実施形態)
この(6)に記載の媒体浮き検出センサに関する実施形態は、第1乃至第3実施形態が対応する。これらの実施形態において、第1及び第2実施形態が、光照射手段が媒体の上方に配置され、第3実施形態が、光照射手段が媒体の下方に配置される。
【0112】
(作用効果)
この(6)に記載の媒体浮き検出センサによれば、媒体r表面と支持面とのコントラストの相違が大きくなるため、受光手段による検出精度が向上する。
【0113】
(7)前記光検出手段は、前記支持面における前記媒体搬送方向に直交する幅方向の媒体位置を検出する幅方向位置センサとして動作することを特徴とする(1)に記載の媒体浮き検出センサ。
【0114】
(対応する実施形態)
この(7)に記載の媒体浮き検出センサに関する実施形態は、第1乃至第3実施形態が対応する。
【0115】
(作用効果)
この(7)に記載の媒体浮き検出センサによれば、受光手段が、幅方向における媒体位置を検出する幅方向センサとしても用いられるため、当該検出用の専用のセンサを追加する必要がなくなるためコストを低減することができる。また、構成を簡単化できる。
【0116】
(8)前記受光手段は、前記媒体搬送方向と直交する幅方向に平行に延びるように複数並列して配置され、複数の前記受光手段の視野位置は、前記媒体の複数の浮きの大きさに対応することを特徴とする(1)に記載の媒体浮きセンサ。
【0117】
(対応する実施形態)
この(8)に記載の媒体浮きセンサに関する実施形態は、第1乃至第3実施形態が対応する。
【0118】
(作用効果)
この(8)に記載の媒体浮きセンサによれば、受光手段が並列に複数配置されるため、媒体の浮きの大きさを複数の判定値で検出することが可能となり、媒体の種類や搬送速度が異なる場合でも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】ラインヘッド型のプリンタとして構成された、本発明の第1実施形態による紙浮き検出器の概略的な構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態の用紙浮き検出センサの構成の詳細を示す図である。
【図3】ラインセンサの構成の概略を示す図である。
【図4】用紙の紙端が浮いている場合に、図2に示されている矢印βの向きに沿ってセンサユニットから紙端に臨んだ場合の用紙の斜視図である。
【図5】プリンタの制御信号の処理を示すブロック構成図である。
【図6】プリンタの制御のフローチャートを示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態の用紙浮き検出センサの構成を示す概略図である。
【図8】本発明の第3実施形態の用紙浮き検出センサの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0120】
1…プリンタ、 2…給紙部、 3…制御部、 3A…カウンタ、 3B…CPU、 4…排紙部、 5…ベルトプラテン、 6…紙端位置センサ、 7…センサユニット、 7A…レンズ、 7B…ラインセンサ、ラインセンサ列、 7B1…ラインセンサ、 7B2…ラインセンサ、 8…搬送ローラエンコーダ、 9…駆動ローラ、 10…記録ヘッド、 10A、10B、10C、10D…ラインヘッド、 11…照明、 12…アパーチャ、 100…用紙、 100A…紙端、 t…検出可能最大量、 t…検出可能最小量、 t…第1検出量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を支持する支持面を有し、前記用紙を前記支持面上に支持した状態で用紙搬送方向に沿って搬送する用紙搬送手段と、
前記用紙搬送手段の用紙搬送路上の紙浮き検出位置に、前記用紙が到達したことを検出する用紙位置検出手段と、
光学系と受光センサとから構成され、前記用紙が前記紙浮き検出位置に到達したときの前記用紙の端部に視野範囲を形成すると共に、前記光学系の光軸が前記支持面の法線に対して傾斜するように、前記支持面の上方に配置される少なくとも1つの受光手段と、を有することを特徴とする用紙浮き検出センサ。
【請求項2】
前記用紙位置検出手段は、
前記紙浮き検出位置よりも前記用紙搬送方向の上流側に配置され、前記用紙搬送路上の基準位置に前記用紙が到達したことを検出する基準位置検出手段と、
前記基準位置で前記用紙が検出されてから、前記基準位置から前記紙浮き検出位置までの所定の用紙搬送距離分だけ前記用紙が搬送されたことを検出する用紙搬送距離検出手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の用紙浮き検出センサ。
【請求項3】
前記基準位置検出手段は、前記基準位置にて用紙先端又は用紙後端を検出する用紙端検出手段であることを特徴とする請求項2に記載の用紙浮き検出センサ。
【請求項4】
前記用紙搬送距離検出手段は、
前記用紙搬送手段の一部を構成する駆動ローラ及びエンコーダと、
前記エンコーダからのパルス出力を計数するカウンタと、
を有し、前記カウンタが計数したパルス数が、前記基準位置から前記紙浮き検出位置までの前記所定の用紙搬送距離に相当するパルス数に達したかどうかを判断することを特徴とする請求項2に記載の用紙浮き検出センサ。
【請求項5】
前記支持面は、前記用紙の光反射率と異なる光反射率を有することを特徴とする請求項1に記載の用紙浮き検出センサ。
【請求項6】
前記紙浮き検出位置における前記用紙を照射する光照射手段をさらに有し、
当該光照射手段は、紙浮きに伴って前記支持面上に前記用紙の影が形成されるように、前記用紙の上方又は下方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の用紙浮き検出センサ。
【請求項7】
前記受光手段は、前記支持面における前記用紙搬送方向に直交する幅方向における用紙位置を検出する幅方向位置センサとして兼用されることを特徴とする請求項1に記載の用紙浮き検出センサ。
【請求項8】
前記受光センサは、前記支持面と平行な方向に沿って並列に複数配置され、前記複数の受光センサの視野位置は、前記用紙の複数の浮きの距離に対応することを特徴とする請求項1に記載の用紙浮き検出センサ。
【請求項9】
前記受光手段は、前記支持面の法線と前記光学系の光軸とが含まれる平面を、前記用紙搬送方向と平行になるように、前記光学系の光軸が配置されることを特徴とする請求項1に記載の用紙浮き検出センサ。
【請求項10】
前記受光手段は、前記支持面の法線と前記光学系の光軸とが含まれる平面を、前記用紙搬送方向に対して傾斜するように、前記光学系の光軸が配置されることを特徴とする請求項1に記載の用紙浮き検出センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−166999(P2009−166999A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9518(P2008−9518)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】