画像データの色変換装置、画像データの色変換方法および記録媒体
【課題】画像データの色彩変化を容易に実現可能な色変換装置を提供する。
【解決手段】カメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換装置であって、操作つまみの配置状態に基づいて分光感度特性の状態を示す表示手段と、操作つまみの配置状態に基づいて色変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手段と、画像データと基準色の分光反射率に基づいて個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手段と、算出した分光感度と分光反射率と光源の分光分布に基づいて変換後の画像データを算出する第3の算出手段を備える。
【解決手段】カメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換装置であって、操作つまみの配置状態に基づいて分光感度特性の状態を示す表示手段と、操作つまみの配置状態に基づいて色変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手段と、画像データと基準色の分光反射率に基づいて個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手段と、算出した分光感度と分光反射率と光源の分光分布に基づいて変換後の画像データを算出する第3の算出手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操作者がパーソナルコンピューターなどに表示される操作画面を操作して画像データの色成分を変換することができる画像データの色変換装置、画像データの色変換方法およびその色変換方法のプログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルカメラの普及により、銀塩による写真フィルムは使われることが少なくなった。
しかし、デジタルカメラのユーザーには、銀塩カメラのように写真フィルムを交換して写真フィルム特有の色調の変化を楽しみたいというユーザーも多い。
一方、パーソナルコンピューターによる画像処理が一般化することにより、デジタルカメラのユーザーが、自分自身で画像の色調を調整することも可能となっている。
しかし、デジタルカメラのユーザーが、自分自身で画像の色調を写真フィルム特有の色調に調整するのは、銀塩フィルムの色調が複雑であるため、従来のトーンカーブ等による色変換では希望の色調に変換するのは困難である。
従来のトーンカーブによる色変換は、おおよそ以下のような方法であった。
【0003】
従来の画像処理プログラムなどで扱われる画像データの色変換の操作方法について、図21を用いて説明する。
図21は、パーソナルコンピューターなどのディスプレイ画面に表示される色変換用の操作画面の一部であり、操作者が画像データの色変換の操作を行うときに操作画面に表示されるユーザーインターフェースの一例を示したものである。
図21において、2101は色成分選択手段、2102はトーンカーブ、2103は操作つまみである。
【0004】
次に、従来の色変換の操作手順について説明する。
操作者は、再現した色彩像を見て、画像処理プログラムでパーソナルコンピューターなどのディスプレイ画面に表される画像データ(図示せず)を、変換したい色の成分を選択し、変換を加える量を指定する。
パーソナルコンピューター(単に、コンピュータとも称す)に対して操作者が色変換の指示をすると、画像処理プログラムは、元の画像を構成している画素のうち、変更したい色成分に、指定されただけの変換を加える。
例えば、夕焼けの風景を表わす色彩像の赤みを強くしたいときは、対象とする色成分は赤の色成分である。
【0005】
具体的な色成分変換の手順はつぎのようになる。
図21に示すユーザーインターフェースによる操作方法で、操作者は、まず色成分選択手段2101により、変換したい色成分を選択する。
色成分選択手段2101はメニュー形式になっており、色成分選択手段2101をクリックすることによりメニューが表示される。
色成分選択手段2101には、赤(R)、緑(G)、青(B)の色成分が予めメニューとして登録されており、登録されている色成分の中から所望の色成分を選択する。
【0006】
次に、選択した色系統のトーンカーブ2102の形状を変更し、色変換量を設定する。トーンカーブ2102の形状の変更は、操作つまみ2103を操作して行う。
なお、トーンカーブ2102は、色変換前の階調と、色変換後の階調を対応付けた曲線であり、トーンカーブ2102には操作つまみ2103が設置されている。
図21では、操作つまみ2103は、トーンカーブ2102に1つ配置されているが、トーンカーブ2102の形状をより複雑な形状に変更するため、操作つまみ2103を複数個配置する場合もある。
【0007】
操作者はトーンカーブ2102の操作つまみ2103を、マウスポインタのドラッグによって上下左右に移動させ、トーンカーブ2102の形状を変更することにより色変換が行われる。
図21では、操作つまみ2103が初期値より左上に移動した状態で図示されている。
トーンカーブ2102の初期状態では、入力階調と出力階調が等しくなるため、トーンカーブ2102は直線となる。
【0008】
前述した様に、操作者が画像処理プログラムでディスプレイ画面に表示される色彩像を見て、例えば、赤成分の中間階調の明るさをもっと明るい色に変換したいと考えて操作を行う場合、操作者はマウスなどを用いて、色成分選択手段2101によって赤成分(R)を選択する。
その後、赤成分の中間階調を明るくするため、操作つまみ2103をマウスによりクリックして、上側(明るさを明るくする方向)にスライドさせ、所望の位置でマウスのクリックボタンを離す。
【0009】
画像処理プログラムは、マウスのクリックボタンが離されたのを検知し、色変換処理を行う。
画像処理プログラムは、対象となる画像データを画像データの保存されている記憶装置から1画素分読み出し、読み出した画素の選択した色成分に対し色変換を行う。
【0010】
操作つまみ2103の位置によって、記憶装置から読み出した1画素の色選択手段2101で選択した色成分を変換するには、トーンカーブの横軸である入力軸を変換前の色成分の値、トーンカーブの縦軸である出力軸を変換後の色成分の値とすると、操作者がマウスのクリックボタンを離したときのトーンカーブ2102の形状によって、変換前の色成分の値と変換後の色成分の値との対応付けが行えるため、変換前の色成分を入力軸にとり、トーンカーブ2102を介して、対応する出力軸の値を変換後の色成分の値とする。
【0011】
色変換された画素は、画像データの保存されている記憶装置に書き戻される。
画像処理プログラムは、画像データの全ての画素に対して同様の処理を行い、色変換処理を終了する。
操作者は同じ色成分について色変換を行いたい場合は、続けて操作つまみを操作して変換処理を行う。
別の色成分について色変換を行いたい場合は、色成分選択手段2101により変換を行いたい色成分を選択し、操作つまみ2103を操作して変換処理を行う。
操作者は、画像処理プログラムでディスプレイに表される画像データを再現した色彩像の対象部分が、所望の色になるまで色変換の操作を繰り返す。
【0012】
従来の画像データの色変換方法は以上のように構成されているので、画像データの階調特性を操作することによって色変換することになる。
しかし、撮像装置のイメージセンサの分光感度特性は、波長に対応した感度特性によって定義されているため、階調操作により、分光感度特性が、どのように設定されるのかが操作者にとって直感的に把握し難いという不都合な問題があった。
また、微妙な色彩の調整を行うために、どの色系統を選択するのかを把握しにくい場合もあり、操作者が色変換を行う際のトライ・アンド・エラーの回数が嵩みがちであった。
このような従来の画像データの色変換方法については、例えば下記の非特許文献1など
に記載されている。
【非特許文献1】エクスメディア著「Photoshop CS for Windows(登録商標) & Macintosh(登録商標) MENU MASTER」P395 株式会社エクスメディア2004年3月8日初版発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、撮像装置のイメージセンサの分光感度特性を模したユーザーインターフェースを用いることにより、色変換量の設定を視覚的にわかりやすくして、容易に色変換操作ができる画像データの色変換装置、画像データの色変換方法を提供することを目的とする。
また、この発明による画像データの色変換方法のプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係る画像データの色変換装置は、デジタルカメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線を設け、該曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、上記デジタルカメラが撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換装置であって、
上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、上記イメージセンサの分光感度特性の状態を示す表示手段と、上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、色変換の変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手段と、上記画像データと基準色の分光反射率に基づいて、個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手段と、上記第1の算出手段で算出した分光感度と上記第2の算出手段で算出した分光反射率と光源の分光分布に基づいて、変換後の画像データを算出する第3の算出手段を備えたものである。
【0015】
また、この発明に係る画像データの色変換方法は、デジタルカメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線を設け、該曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、上記デジタルカメラが撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換方法であって、
上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、イメージセンサの分光感度特性の状態を示す表示手順と、上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、色変換の変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手順と、上記画像データと基準色の分光反射率に基づいて、個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手順と、上記第1の算出手順で算出した分光感度と上記第2の算出手順で算出した分光反射率と光源の分光分布に基づいて、変換後の画像データを算出する第3の算出手順を有したものである。
【0016】
また、この発明に係る記録媒体は、コンピュータで読み取りが可能な記録媒体であって、請求項6〜10のいずれか1項に記載の画像データの色変換方法を実行するためのプログラムが記録されているものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明による画像データの色変換装置あるいは色変換方法によれば、操作者は、撮像装置のイメージセンサの分光感度特性を模したユーザーインターフェースを用いることにより、色変換量を視覚的にわかりやすく設定して色変換操作ができる。
即ち、操作者が撮像装置のイメージセンサの分光感度特性のイメージどおりに操作可能なユーザーインターフェースのディスプレイ画面表示部分を提供できるので、操作者は直感的に操作がしやすく、操作が早く行えるので、操作時間が短くて済むという効果がある。
また、この発明による記録媒体は、本発明による画像データの色変換方法のプログラムを記録しているので、その記録媒体を任意の場所に運搬して、そこに設置されたコンピュータ(例えば、パーソナルコンピューター)でプログラムを実行すれば、どこででも本発明による画像データの色変換方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の一実施の形態例について説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による画像データの色変換方法が適用される色変換装置の概略構成を示す図である。
本実施の形態による色変換装置は、例えば図1に示すように、パーソナルコンピューター1とデジタルカメラ2およびディスプレイ3などの外部装置から構成されている。
また、パーソナルコンピューター1は、プログラムを動作させるCPU4と、データやプログラムを一時的に格納するメモリ5、データを保存するハードディスク6から構成されている。
【0019】
ハードディスク6には、予めプログラムを実行させるためのオペレーティングシステムと、本発明による色変換方法を搭載した色変換プログラムが保存されている。
また、デジタルカメラ2は、パーソナルコンピューター1に常時接続されている必要は無く、デジタルカメラ2で撮影した画像データをパーソナルコンピューター1に取り込む際に接続していればよく、それ以外の時は切り離されていてもよい。
【0020】
図2は、実施の形態1による色変換方法を搭載した色変換プログラムの操作画面の一例を示す概略図である。
なお、操作画面21は、図1に示したパーソナルコンピューター1のディスプレイ3に表示される。
操作画面21には、画像データを再現した色彩像を表示する画像ウィンドウ22と、画像データをハードディスク6からメモリ5に読み込み、画像ウィンドウ22に表示させる開くボタン23、画像データの色変換量を操作する操作パネル24、操作パネル24による色変換量の設定に基づき色変換を実行する実行ボタン25、色変換を行った画像データをハードディスク6に保存する保存ボタン26が配置されている。また、色変換プログラムの操作終了を指示する終了ボタン27が配置されている。
【0021】
色変換プログラムの動作の概略を、図3のフローチャートを用いて説明する。
ハードディスク6に保存されている色変換プログラムは、図1には示してはいないが、キーボードやマウスなどの入力デバイスにより、オペレーティングシステムを介して起動させられる。
色変換プログラムの起動後、色変換プログラムは、ステップ301で、図1に示されるディスプレイ3に図2で示される操作画面21を表示する。
色変換プログラムは、キーボードやマウスによって、開くボタン23、操作パネル24、実行ボタン25、保存ボタン26、終了ボタン27などによる操作指示をステップ302で判定するまで入力を待ち続ける待機状態になる。
【0022】
開くボタン23、操作パネル24、実行ボタン25、保存ボタン26、終了ボタン27のいずれかの操作指示が行われた場合は、操作指示の種類に応じた処理を行う。
例えば、開くボタン23の場合はステップ303の開く処理、操作パネル24の場合は操作パネルを再描画するためのステップ304の操作パネルの表示、実行ボタン25の場合はステップ305の実行処理、保存ボタン26の場合はステップ306の保存処理が行われる。
【0023】
各処理が終了すると、再び、開くボタン23、操作パネル24、実行ボタン25、保存ボタン26、終了ボタン27のいずれかの操作指示が与えられるのを判定する待機状態に入る。
色変換プログラムは、終了ボタン27による終了指示が与えられるまで上記動作を繰り返し、操作者が終了ボタン27により終了指示を与えた場合は、色変換プログラムは終了する。
【0024】
次に、図3のステップ303の開く処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。
色変換プログラムは、開くボタン23が押されると、操作者がデジタルカメラ2で撮影し、予めパーソナルコンピューター1のハードディスク6に、オペレーティングシステムの機能によりファイルとして保存されている画像データの中から、開く画像データのファイルを選択するため、ステップ401にてファイル選択画面を表示する。
ファイル選択画面にはハードディスク6内のファイル名が表示されるので、操作者は色変換を行うファイルをマウスなどで選択する。
色変換プログラムはステップ402で選択されたファイル名を取得し、ファイル選択画面を閉じる。
【0025】
色変換プログラムは、ステップ403でCPU4を制御して、ハードディスク6からメモリ5に選択したファイルをオペレーティングシステムの機能によりオープンし、画像データを読み込み、さらにステップ404で操作画面21の画像ウィンドウ22に選択したファイルの画像データを色彩像として表示する。
以上で開く処理は終了し、図3のステップ302に戻る。
【0026】
操作者は、画像ウィンドウ22に表示された画像データを再現した色彩像を見て、色彩の変更を検討し、所望の色系統に対する色変換量を操作画面21の操作パネル24を用いて設定する。
【0027】
ここで、操作パネル24による色変換量の設定方法について説明する。
図5は、実施の形態1の色変換方法による操作パネル24の概略図である。
操作パネル24は、デジタルカメラに搭載されているCCDなどのイメージセンサの分光感度特性をイメージした(分光感度特性を模した)分光感度曲線をグラフィック上に描画している。
分光感度曲線は、縦軸に感度、横軸に波長を表しており、曲線の縦軸方向の位置が各波長の感度を表している。表示されている波長の範囲は人間の可視光範囲である380nmから780nmとしている。感度方向は、感度の値の最大値を1として正規化された値で表示している。
分光感度曲線は、デジタルカメラのイメージセンサが一般的にR(赤)、G(緑)、B(青)の三原色によって構成されているため、図5で示されるB(青)の分光感度曲線501、G(緑)の分光感度曲線502、R(赤)の分光感度曲線503の3本の曲線を表示している。
【0028】
曲線の形状は、一般的なイメージセンサの感度を抽象化し、任意の中心波長を感度の最大値として、中心波長から距離が離れるほど感度が減衰する釣鐘型の形状にしている。
色変換量は、この3本の分光感度曲線の内、変換したい色系統の分光感度曲線を選択し、分光感度曲線の形状を変更することによって設定する。
【0029】
次に、分光感度曲線の変形方法について説明する。
各分光感度曲線には、曲線の形状を変更するための操作つまみを曲線上に複数配置している。
操作つまみは、分光感度曲線の中心波長と感度の強度を操作するための感度操作つまみと、分光感度曲線の釣鐘型形状の裾の広がり具合を操作するため波長操作つまみの2種類を配置している。
【0030】
図5に示すように、B(青)の分光感度曲線501にはB(青)の感度操作つまみ504、G(緑)の分光感度曲線502にはG(緑青)の感度操作つまみ505、R(赤)の分光感度曲線503にはR(赤)の感度操作つまみ506を配置している。
また、RGBの分光感度曲線にはそれぞれ2つづつの波長操作つまみを配置しており、例えば、図5に示すように、B(青)の分光感度曲線501には波長操作つまみ507、508、G(緑)の分光感度曲線502には波長操作つまみ509、510、R(赤)の分光感度曲線506には波長操作つまみ511、512を配置している。
【0031】
感度操作つまみの位置は、分光感度曲線の感度が最大値となる波長位置に配置し、波長操作つまみの位置は、感度が最大値となる波長から曲線上を波長方向に両側に進み、感度が最大値から50%に減衰した位置に配置している。
【0032】
Gの分光感度曲線を例にとって感度操作つまみの操作方法を、図6、図7を用いて説明する。
図6に示すように、初期の感度操作つまみ601の位置から、感度が増加する方向である上方向の感度操作つまみ602の位置と、感度が減少する方向である下方向の感度操作つまみ603の位置の上下方向に移動可能であり、各波長における感度が変化するよう曲線が変形する。
さらに、図7に示すように、初期の感度操作つまみ701の位置から、波長が増加する方向である右方向の感度操作つまみ702の位置と、波長が減少する方向である左方向の感度操作つまみ703の位置の左右方向にも移動可能であり、曲線の最大値や広がり具合はそのままで、中心波長の波長方向の位置が変化する。
【0033】
同じくGの分光感度曲線を例にとって波長操作つまみの操作方法を、図8を用いて説明する。
図8に示すように、波長操作つまみは、1つの分光感度曲線に対し初期の左の波長操作つまみ801の位置と、初期の右の波長操作つまみ802の位置に、左右に1つづつ配置しており、左右の波長操作つまみは、左右方向に移動可能である。
左右の波長操作つまみは連動しており、初期の左の波長操作つまみ801を左方向に移動させ、左側の広げた波長操作つまみ803の位置にすると、初期の右側の波長操作つまみ802も連動し、右側の広げた波長操作つまみ804の位置となる。
【0034】
反対に初期の左の波長操作つまみ801を右方向に移動させ、左側の狭めた波長操作つまみ805の位置にすると、初期の右側の波長操作つまみ802も連動し、右側の狭めた波長操作つまみ806の位置となる。
即ち、分光感度曲線の中心波長の位置を軸として左右対象に連動して移動し、左右どちらの操作つまみを用いて設定してもよく、最大値と中心波長はそのままで、釣鐘型の曲線の「裾の広がり具合」が変化する。
【0035】
次に、分光感度曲線の描画方法について説明する。
各分光感度曲線は、3つの操作つまみ(即ち、分光感度曲線の感度が最大値となる波長位置に配置する「感度操作つまみ」と感度が最大値から50%に減衰した位置に配置する2つの「波長操作つまみ」)を通過するように描画するが、本実施の形態では、下記の式(1)で示されるガウス曲線の式を使用してグラフィック上に描画する。
Y=s・EXP(−(X−μ)2/(2σ2)) ・・・ (1)
ここで、Yは、図5における縦方向軸の感度の値(即ち、分光感度データ)、Xは図5における横方向軸の波長の値、sは感度の最大値(以下、感度sと称す)、μはガウス曲線の平均であり分光感度曲線の中心波長の値(以下、中心波長μと称す)、σ2はガウス曲線の分散であり分光感度曲線の広がり具合を示す値(以下、分散σ2と称す)である。
【0036】
色変換プログラムでは、操作つまみの、操作パネルのグラフィック上の位置から、式(1)の感度s、波長μおよび分散σ2の各パラメータの設定値を取得する。
図9に示すように、例えば、Bの分光感度曲線の場合、操作パネル24の波長方向の1nmをグラフィックのx軸方向の1ドットに対応させ、感度方向の最大値を1とした場合の0.005をグラフィックのy軸方向の1ドットに対応させれば、描画される波長範囲である380nmから780nmは401ドット、感度方向の0から1は201ドットとなり、操作パネル24のグラフィックを構成できる。
以上のように構成した操作パネル24で、操作つまみ(即ち、感度操作つまみおよび波長操作つまみ)の位置は、横方向のx軸と縦方向のy軸の交点を原点としたグラフィックのxy方向のドット数で表現することが出来る。
【0037】
図9に示すように、感度操作つまみのx座標位置をx1、y座標位置をy1、波長操作つまみのx座標位置をx2、y座標位置をy2とすると、最大値sは式(2)より、中心波長μは式(3)より、分散σ2は式(4)より求められる。
波長操作つまみは左右のどちらの操作つまみを用いてもよく、本実施の形態では左側(短波長側)の操作つまみを使用する。
s=y1/YMAX ・・・ (2)
μ=x1 ・・・ (3)
σ2=−(x2−μ)2/(2・ln(y2/y1)) ・・・ (4)
ここで、YMAXは、y軸方向の最大ドット数であり、本実施の形態では、YMAXは200である。
【0038】
式(2)、式(3)、式(4)から求めた最大値s、中心波長μ、分散σ2の値を式(1)に代入して、色変換に使用する設定値を求める。
本実施の形態では、RGBの各分光感度曲線の波長を380nmから780nmまで10nm間隔で抽出し、例えばBの分光感度データであれば、図10に示すように分光感度曲線上に配置された小さな黒丸が示す41個のデータとなる。
式(1)より求めたRの分光感度データsr(i)、Gの分光感度データsg(i)、Bの分光感度データsb(i)[i=1〜41]を色変換の設定値として使用する。
なお、RGB毎に式(1)によって求めた値(即ち、Y)が、sr(i)、sg(i)、sb(i)である。
【0039】
また、操作パネル24は、グラフィック上に式(1)の分光感度曲線を色変換プログラムによって、x座標は式(1)のXの値から380を引いた値、y座標は式(1)のYの値を200倍して整数化した値をグラフィック上にプロットして描画される。
【0040】
また、本実施の形態では操作つまみを分光感度曲線毎に3点配置しているが、実際のイメージセンサの分光感度曲線は複雑なため、分光感度曲線上にさらに操作つまみを増やして、より実際のイメージセンサに近い複雑な曲線を描けるようにしてもよい。
また、実施の形態では、操作つまみを通過する曲線にガウス曲線を使用したが、スプライン曲線など他の方法を用いて曲線を描いても良い。
【0041】
操作者は、操作パネル24の操作つまみを、マウスでドラッグして移動させたり、キーボードの方向キーにより例えば左右の方向キーで波長方向に、上下の方向キーで感度方向に移動させることによって、分光感度曲線を変形し、色変換プログラムの色変換量を設定する。
【0042】
操作つまみの移動は、操作者が操作つまみを例えばマウスをクリックして移動させ、操作者が所望の位置まで移動させた後、クリックを離す。
クリックが離されたのを検知した色変換プログラムは、図3のステップ302で操作指示があったことを検知し、操作パネルへの操作指示に対応したステップ304の操作パネル表示によって、操作つまみが移動した状態の操作パネル24をディスプレイ上に再描画する。
【0043】
操作者は、キーボードやマウスなどを用いて図2の操作パネル24によって、色変換量の設定を行ったあと、実行ボタン25を押し、画像データの色変換を実行する。
色変換プログラムは、実行ボタン25が押されたのを検知し、図3のステップ305の実行処理を行う。
【0044】
次に、図3のステップ305の実行処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。
実行処理が開始されると、図11のステップ1101の操作つまみ位置検出にて、色変換プログラムは、R、G、Bの各分光感度曲線に配置されている感度操作つまみと波長操作つまみのグラフィック上の位置情報であるx値、y値を取得する。
ただし、波長操作つまみは、感度操作つまみに対して左右対称な位置に2ヶ所に配置され、位置の検出は左右どちらか一方の操作つまみに対して行えばよい。
本実施の形態では、左側(短波長側)の操作つまみの位置を検出する。
各操作つまみの値は、Bの感度操作つまみをx1b、y1b、Gの感度操作つまみをx1g、y1g、Rの感度操作つまみをx1r、y1r、Bの波長操作つまみをx2b、y2b、Gの波長操作つまみをx2g、y2g、Rの波長操作つまみをx2r、y2rとする。
【0045】
次にステップ1102の分光感度データ設定にて、検出した各操作つまみのx値、y値と、式(2)、式(3)、式(4)より、感度s、中心波長μ、分散σ2の各パラメータを求め、式(1)より分光感度データを算出する。
Bの分光感度曲線の場合は、式(2)、式(3)、式(4)のx1にx1b、y1にy1b、x2にx2b、y2にy2bを代入する。
Gの分光感度曲線の場合は、式(2)式(3)、式(4)のx1にx1g、y1にy1g、x2にx2g、y2にy2gを代入する。
Rの分光感度曲線の場合は、式(2)、式(3)、式(4)のx1にx1r、y1にy1r、x2にx2r、y2にy2rを代入する。
【0046】
算出したR、G、Bの各分光感度曲線の感度s、波長μ、分散σ2を代入した式(1)に、波長380nmから780nmまで10nm間隔の波長をXに代入し、算出される41個のY値を分光感度データとする。
算出したR、G、B毎の41個の分光感度データを、Rの分光感度データsr(i)、Gの分光感度データsg(i)、Bの分光感度データsb(i)[i=1〜41]とし、各データは一旦メモリ5に保存しておく。
【0047】
次に、図11のステップ1103の分光分布データ設定にて、本実施の形態の色変換に必要な光源の分光分布曲線のデータを準備する。
光源の分光分布曲線は、図12に示すように、分光感度曲線と同じく、人間の可視光範囲である380nmから780nmまでの波長範囲の光源の発光強度を曲線で表したもので、横軸に波長、縦軸に強度をとり各波長の強度をプロットしている。
強度の値は、強度の最大値を1として正規化した値とする。
分光分布データl(i)[i=1〜41]は、分光分布曲線上の380nmから780nmまで10nm間隔の41個の強度データとする。
分光分布データl(i)は予め、色変換プログラムと共にハードディスク6に格納されており、本ステップにて色変換プログラムがCPU4を制御してハードディスク6から読み出し、一旦メモリ5に保存しておく。
【0048】
分光分布データl(i)は、例えば、JISZ8720に記載されているD65などの標準的な光源の分光分布の値を用いても良い。
【0049】
次に、色変換プログラムは、ステップ1104にてCPU4を制御してメモリ5から、RGB形式の画像データR、G、Bを1画素分読み出す。
ステップ1105にて、読み出した1画素をRGB形式から本実施の形態による色変換で使用する分光形式のデータである分光反射率データr(i)[i=1〜41]に変換する。
分光反射率データr(i)は、図13に示すように、分光感度曲線と同じく、人間の可視光範囲である380nmから780nmまでの波長範囲の「物体の各波長」の反射率を曲線で表したもので、横軸に波長、縦軸に反射率をとり各波長の反射率をグラフ化している。
分光反射率データr(i)は、分光分布曲線上の380nmから780nmまでの10nm間隔の41個の反射率データとする。反射率データは、100%を1として正規化したデータを使用する。
【0050】
次に、RGB形式の画像データであるRGBデータR、G、Bから分光形式の分光反射率データr(i)への変換方法について説明する。
変換は、予め設定した色空間内で複数の基準となる色彩(基準色)を設定する。設定した基準色には、RGBデータと分光反射率データがあらかじめ対応付けされている。
色空間内の基準色と変換したい色との位置関係から、変換したい色の分光反射率データを基準色の分光反射率データから補間処理によって求める。
【0051】
本実施の形態では、図14に示されるHSI6角錐カラーモデル(参照:東京大学出版会、新編画像解析ハンドブック、P1187、2004年9月10日発行)による色空間において、RGB値から分光反射率データへの変換を行う。
【0052】
HSI6角錐カラーモデルは、R(赤)、M(マゼンタ)、B(青)、C(シアン)、G(緑)、Y(黄)、K(黒)を頂点とした6角錐で、6色の中心にW(白)を配置し、明度方向をI軸、彩度方向をS軸、色相方向をH軸としている。
【0053】
本実施の形態における本色空間の基準色は、R、M、B、C、G、Y、K、Wの8色とする。
8個の基準色に対応する(R、G、B)のデータは、R、G、Bが0から1の値をとるとすると、R=(1、0、0)、G=(0、1、0)、B=(0、0、1)、Y=(1、1、0)、M=(1、0、1)、C=(0、1、1)、K=(0、0、0)、W=(1、1、1)とする。
8個の基準色に対応する分光反射率データは、例えばJISZ8721に記載の標準色票などの色票から基準色に対応させる8色の色票を選択し、分光反射率を測定可能な測定器で測定したデータを用いても良い。
【0054】
ステップ1104でメモリから読み出した1画素分のR、G、Bのデータを、HSI値に変換し図14のHSI6角錐カラーモデル上にプロットした点を変換点Tとする。
RGB値からHSI値への変換方法は、以下の通りである。
I=Max(R、G、B)とすると、
I=0の場合
S=0、H=0 ・・・ (5)
I≠0の場合
i=Min(R、G、B) ・・・ (6)
S=(I−i)/I ・・・ (7)
r=(I−R)/(I−i) ・・・ (8)
g=(I−G)/(I−i) ・・・ (9)
b=(I−B)/(I−i) ・・・ (10)
R=Iの場合、H=π(b−g)/3 ・・ (11)
G=Iの場合、H=π(2+r−b)/3 ・・・ (12)
B=Iの場合、H=π(4+g−r)/3 ・・・ (13)
ただし、H<0の場合Hの値に2πを加える。
【0055】
変換色TのHSI値の内、Hの値より、HSI6角錐カラーモデルにおいて、基準色WとKを結ぶI軸を中心に基準色R、G、B、Y、M、Cの各頂点で6角錐を分割した6つの3角錐の内、変換点Tが含まれる3角錐を求める。
基準色R、G、B、Y、M、Cは、Rを0度として60度(π/3)づつ均等に配置されているものとする。
【0056】
例えば、変換点Tが、図15で示される3角錐CBWKに含まれる場合、変換点Tの分光反射率データを基準色C、B、W、Kに対応づけた分光反射率データから補間により算出する。
【0057】
3角錐CBWKにおいて、変換点Tの同一明度面と線分CK、線分BK、線分WKとの交点をそれぞれ補間点C´、B´、W´とする。
補間点C´、B´、W´に対応する分光反射率データを、rc´(i)、rb´(i)、rw´(i)[i=1〜41]とすると、補間点C´、B´、W´に対応する分光反射率データは、基準色C、B、W、Kの分光反射率データrc(i)、rb(i)、rw(i)、rk(i)[i=1〜41]と変換点TのHSI値より式(14)、式(15)、式(16)によって求めることができる。
rc´(i)=rk(i)
+(rc(i)−rk(i))・(It−Ik)/(Ic−Ik)
・・・ (14)
rb´(i)=rk(i)
+(rb(i)−rk(i))・(It−Ik)/(Ib−Ik)
・・・ (15)
rw´(i)=rk(i)
+(rw(i)−rk(i))・(It−Ik)/(Iw−Ik)
・・・ (16)
なお、式(14)〜式(16)において、i=1〜41である。
また、Itは変換点TのI座標、Ikは基準点KのI座標、Icは基準点CのI座標、Ibは基準点BのI座標、Iwは基準点WのI座標である。
【0058】
基準色C、B、Wの分光反射率データから変換色Tの分光反射率データを求めるための中間データである、補間点C´、B´、W´の分光反射率データは、式(14)、式(15)、式(16)のC、B、K、Wに、基準色C、B、K、Wの分光反射率データである380nmから780nmまで10nm間隔の41個のデータを10nm間隔の波長毎に代入し、C´、B´、W´の41個の分光反射率データを求める。
【0059】
図16は、3角錐CBWKにおける変換点Tの同一明度面である三角形W´C´B´を、図14に示すI軸方向から見た図である。
3角形W´C´B´において、W´を中心として、線分W´C´と線分W´B´を半径とした、弧C´B´と線分W´Tの延長線との交点をH´とする。
補間点H´に対応する分光反射率データをrh´(i)とすると、補間点H´に対応する分光反射率データは、補間点C´、B´に対応する分光反射率データと、W´を中心とした、C´とT、B´とTの角度比から式(17)によって求める。
rh´(i)=rc´(i)
+(rb´(i)−rc´(i))・∠C´W´H´/∠C´W´B´
・・・ (17)
なお、式(17)において、i=1〜41である。
【0060】
図16において、式(16)より求めた補間点W´と式(17)より求めた補間点H´の分光反射率データrw´(i)とrh´(i)、変換点TのS軸方向の値St、補間点H´のS軸方向の値Sh´より、式(18)によって変換点Tの分光反射率データr(i)を求める。
r(i)=rw´(i)
+(rh´(i)−rw´(i))・St/Sh´ ・・・ (18)
なお、式(18)において、i=1〜41である。
以上により、図11のステップ1105でメモリ5より読み出したRGBデータを分光反射率データr(i)へ変換し、再びメモリ5に保存する。
【0061】
次にステップ1106で、メモリ5に一時保存した分光反射率データr(i)と、ステップ1102でメモリ5に一時保存した分光感度データsr(i)、sg(i)、sb(i)、ステップ1203でメモリ5に一時保存した分光分布データl(i)より、色変換後のRGB値、R´、G´、B´を求める。
【0062】
式(19)、式(20)、式(21)で示すように、分光反射データと分光感度データと分光分布データの41個のデータから、同一波長のデータを読み出し、掛け合わせる。各波長の掛け合わせた結果をすべての波長について足し合わせ積分値を求める。
求めた積分値がとりうる最大値とRGB値の最大値が異なるため、白色の分光反射率データの積分値を、求める積分値の最大値として、求めた積分値を正規化し、RGB値の最大値と一致させる。
R´=Σ(r(i)・sr(i)・l(i))/
Σ(r(i)・W(i)・l(i)) ・・・ (19)
G´=Σ(r(i)・sg(i)・l(i))/
Σ(r(i)・W(i)・l(i)) ・・・ (20)
B´=Σ(r(i)・sb(i)・l(i))/
Σ(r(i)・W(i)・l(i)) ・・・ (21)
なお、式(19)〜式(21)において、i=1〜41である。
また、Σは、iに1から41までを代入した結果の和とする。
以上によって、画像データR、G、Bを画像データR´、G´、B´に色変換する。
【0063】
ステップ1107では、RGB形式の画像データR´、G´、B´を再びメモリ5に書き戻す。ステップ1108では、ステップ1104からステップ1107までの処理を全画素に対して行ったかを判定し、まだ全画素終了していなければ、ステップ1104に戻り処理を続ける。全画素終了すれば実行処理は終了となる。
【0064】
操作者は、実行処理終了後、画像ウィンドウ22に表示される色変換後の画像データを再現した色彩像を見て、所望の色変換が行われたかを確認する。
確認後、色変換された内容と操作者の希望する色変換の内容とが一致していれば、操作画面21の保存ボタン26を、マウスまたはキーボード等で押し、色変換プログラムに保存の指示を行う。
保存ボタン26が押されたのを検知した色変換プログラムは、保存処理を開始する。
【0065】
保存処理の動作を、図17のフローチャートを用いて説明する。
色変換プログラムは保存処理開始後、ステップ1701によってファイル保存画面を表示する。
ファイル保存画面は、図示はしていないが、保存するファイルのファイル名とハードディスク内の保存するディレクトリを指定するようになっている一般的なアプリケーションソフトウェアと同等なものである。
【0066】
ステップ1702でユーザーが入力したファイル名とステップ1703でユーザーが入力した保存場所を取得し、ステップ1704でメモリ5から画像データを読み出し、ユーザーが入力したファイル名でユーザーが入力したハードディスク6のディレクトリにオペレーションシステムの機能を利用してファイルとして書き込み保存する。
以上によりユーザーは画像データの色変換を行うことが出来る。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態の形態による画像データの色変換装置は、デジタルカメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線を設け、該曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、デジタルカメラが撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換装置であって、
ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、イメージセンサの分光感度特性の状態を示す表示手段と、ユーザーインターフェース上における操作つまみの配置状態に基づいて、色変換の変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手段と、画像データと基準色の分光反射率に基づいて、個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手段と、第1の算出手段で算出した分光感度と第2の算出手段で算出した分光反射率と光源の分光分布に基づいて、変換後の画像データを算出する第3の算出手段を備えている。
【0068】
また、本実施の形態の形態による画像データの色変換方法は、デジタルカメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線を設け、該曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、デジタルカメラが撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換方法であって、
ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、イメージセンサの分光感度特性の状態を示す表示手順と、ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、色変換の変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手順と、画像データと基準色の分光反射率に基づいて、個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手順と、第1の算出手順で算出した分光感度と第2の算出手順で算出した分光反射率と光源の分光分布に基づいて、変換後の画像データを算出する第3の算出手順を有している。
【0069】
従って、本実施の形態による画像データの色変換装置あるいは色変換方法によれば、操作者は、撮像装置のイメージセンサの分光感度特性を模したユーザーインターフェースを用いることにより、色変換量を視覚的にわかりやすく設定して色変換操作ができる。
即ち、操作者が撮像装置のイメージセンサの分光感度特性のイメージどおりに操作可能なユーザーインターフェースのディスプレイ画面表示部分を提供できるので、操作者は直感的に操作がしやすく、操作が早く行えるので、操作時間が短くて済む。
【0070】
実施の形態2.
図18は実施形態2における色変換プログラムの操作画面である。
図18では、実施の形態1の図2に示される色変換プログラムの操作画面に操作つまみの初期位置を選択するためのプルダウンメニュー1801が追加されている。
操作者がプルダウンメニュー1801をクリックすると、予めハードディスクなどに保存された「複数の操作つまみの初期位置データ」をプルダウン表示する。
なお、実施の形態1の場合と同様に、操作画面は図示しないパーソナルコンピューターのディスプレイに表示される。
操作者は、ディスプレイに表示された初期位置データから所望のデータを選択する。
色変換プログラムは、ハードディスクから選択した初期位置データを読み出し、操作パネルの操作つまみの位置を、読み出したデータに設定する。
プルダウンメニューによる初期設定位置の選択操作は、前掲の図3で示されるステップ303の開く処理等と同様に、操作画面に対し操作者が操作を行った際に行われる。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態の形態によれば、ユーザーインターフェースの操作つまみの初期位置を「予め準備しておいた複数の初期位置」から選択できるので、操作者は操作つまみを操作することなく複数の分光感度の設定を簡便に行うことが可能な画像データの色変換装置を実現できる。
【0072】
実施の形態3.
前述の実施の形態1では、第2の算出手段において、基準色の分光反射率を用いて画像データをRGB形式から分光反射率形式に変換している。
使用する基準色、色票などを想定しているため、実際の被写体とは分光反射率の形状が異なる。
そのため、光源の分光分布の形状によっては、色変換結果が異なることが予想される。
そこで、色変換の対象となる画像データに写っている被写体の分光反射率が既知であれば、基準色の分光反射率として代表的な被写体の分光反射率を使用すれば、画像データをRGB形式から分光反射率形式に変換する際の変換精度が高くなり、より正確な色変換を行うことが可能となる。
例えば、風景写真で、代表的な被写体である木の葉の緑色が撮影されていた場合の画像について色変換を行う場合は、基準色の緑色に「木の葉の分光反射率を」使用する。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態の形態によれば、第2の算出手段は、使用する基準色の分光反射率として代表的な被写体の分光反射率を使用するので、より色変換の精度が高い画像データの色変換装置を実現できる。
【0074】
実施の形態4.
図19は、実施の形態4における色変換プログラムの操作画面である。
図19では、前述した実施の形態1の図2に示される色変換プログラムの操作画面に、光源を選択するためのプルダウンメニュー1901が追加されている。
操作者がプルダウンメニュー1901をクリックすると、予めハードディスクなどに保存された「複数の光源の分光分布データ」をプルダウン表示する。
操作者は、表示された分光分布データから所望のデータを選択する。
色変換プログラムは、ハードディスクから選択した分光分布データを読み出し、実行処理で使用する分光分布データが保存されているハードディスクに書き込む。
実行処理が行われた場合は、プルダウンメニューで選択した分光分布が使用される。
プルダウンメニュー1901による分光分布データの選択操作は、図3で示される「ステップ303の開く処理」などと同様に、操作画面に対し操作者が操作を行った際に行われる。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態の形態によれば、第3の算出手段は、使用する光源の分光分布を予め準備しておいた複数の光源の分光分布から選択できるので、より色変換の自由度の高い画像データの色変換装置を実現できる。
【0076】
実施の形態5.
前述した実施形態1では、第3の算出手段において、分光反射率、分光感度、分光分布の3つの分光形式データの分光積から、RGB値を求めている。
本実施の形態では、写真撮影の際に、レンズ前面に配置し撮影画像の色補正を行うゼラチンなどの光学フィルターと同等の色補正効果を得るため、3つの分光形式データに図21に示される分光透過率のデータを加える。
分光透過率データを、分光反射率などと同様に、「380nmから780nmまでの10nm間隔で、透過率100%を1に正規化したデータ」であるt(i)[i=1〜41]とすると、色変換結果であるR´、G´、B´を求める実施の形態1における式(19)、式(20)、式(21)は、下記の式(22)、式(23)、式(24)となる。
R´=Σ(r(i)・sr(i)・l(i)・t(i))
/Σ(r(i)・W(i)・l(i)) ・・・ (22)
G´=Σ(r(i)・sg(i)・l(i)・t(i))
/Σ(r(i)・W(i)・l(i)) ・・・ (23)
B´=Σ(r(i)・sb(i)・l(i)・t(i))
/Σ(r(i)・W(i)・l(i)) ・・・ (24)
なお、式(22)〜式(24)において、i=1〜41である。
【0077】
分光透過率データは、予めハードディスクに保存され、実施の形態1の図11で示される実行処理のステップ1103の分光分布データ設定で、分光分布データがハードディスクから読み出されるタイミングと同じタイミングで読み出される。
【0078】
以上説明したように、本実施の形態の形態によれば、第3の算出手段の入力として、光学フィルターを模した分光透過率を追加したので、写真撮影に使用される光学フィルターと同等の効果が実施の形態1の色変換に加わるので、より色変換の自由度の高い画像データの色変換装置を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、デジタルカメラなどで撮影した画像の色を操作者が容易に補正(色変換)する用途に最適であるが、デジタルカメラの撮影画像のみならず、スキャナで取得した画像やドローソフトで描画したものをラスター画像に変換した画像など、あらゆるソースから得られたビットマップ画像の色変換に利用でき、印刷用画像、ウエッブ用画像のファイルデータの色補正の作業等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施の形態1による色変換方法が適用される色変換装置の概略の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1による色変換プログラムの操作画面を示す図である。
【図3】実施の形態1による色変換プログラムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施の形態1による色変換プログラムの開く処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】実施の形態1による色変換方法における操作パネルの概略図である。
【図6】実施の形態1による色変換方法において、感度操作つまみの感度方向の設定状態を示す図である。
【図7】実施の形態1による色変換方法において、感度操作つまみの感度方向の設定状態を示す図である。
【図8】実施の形態1による色変換方法において、波長操作つまみの設定状態を示す図である。
【図9】実施の形態1による操作パネルのグラフィック上の操作つまみの設定状態を示す図である。
【図10】実施の形態1による分光感度データをグラフィカルに示した図である。
【図11】実施の形態1による色変換プログラムの実行処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】実施の形態1による分光分布データをグラフィカルに示した図である。
【図13】実施の形態1による分光反射率データをグラフィカルに示した図である。
【図14】実施の形態1によるHSI6角錐カラーモデルを示した図である。
【図15】実施の形態1によるHSI6角錐カラーモデル内の変換点と基準色の関係を示した図である。
【図16】実施の形態1によるHSI6角錐カラーモデル内の変換点を含む等明度面と基準色の関係を示した図である。
【図17】実施の形態1による色変換プログラムの保存処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】実施の形態2による色変換プログラムの操作画面を示す図である。
【図19】実施の形態4による色変換プログラムの操作画面を示す図である。
【図20】実施の形態5による分光透過率データをグラフィカルに示した図である。
【図21】従来の画像データ色変換用のユーザーインターフェースの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0081】
1 パーソナルコンピューター 2 デジタルカメラ
3 ディスプレイ 4 CPU
5 メモリ 6 ハードディスク
21 操作画面 22 画像ウィンドウ
24 操作パネル
501〜503 分光感度曲線
504〜506、601〜603、701〜703 感度つまみ
508〜512、801〜806 波長操作つまみ
【技術分野】
【0001】
この発明は、操作者がパーソナルコンピューターなどに表示される操作画面を操作して画像データの色成分を変換することができる画像データの色変換装置、画像データの色変換方法およびその色変換方法のプログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルカメラの普及により、銀塩による写真フィルムは使われることが少なくなった。
しかし、デジタルカメラのユーザーには、銀塩カメラのように写真フィルムを交換して写真フィルム特有の色調の変化を楽しみたいというユーザーも多い。
一方、パーソナルコンピューターによる画像処理が一般化することにより、デジタルカメラのユーザーが、自分自身で画像の色調を調整することも可能となっている。
しかし、デジタルカメラのユーザーが、自分自身で画像の色調を写真フィルム特有の色調に調整するのは、銀塩フィルムの色調が複雑であるため、従来のトーンカーブ等による色変換では希望の色調に変換するのは困難である。
従来のトーンカーブによる色変換は、おおよそ以下のような方法であった。
【0003】
従来の画像処理プログラムなどで扱われる画像データの色変換の操作方法について、図21を用いて説明する。
図21は、パーソナルコンピューターなどのディスプレイ画面に表示される色変換用の操作画面の一部であり、操作者が画像データの色変換の操作を行うときに操作画面に表示されるユーザーインターフェースの一例を示したものである。
図21において、2101は色成分選択手段、2102はトーンカーブ、2103は操作つまみである。
【0004】
次に、従来の色変換の操作手順について説明する。
操作者は、再現した色彩像を見て、画像処理プログラムでパーソナルコンピューターなどのディスプレイ画面に表される画像データ(図示せず)を、変換したい色の成分を選択し、変換を加える量を指定する。
パーソナルコンピューター(単に、コンピュータとも称す)に対して操作者が色変換の指示をすると、画像処理プログラムは、元の画像を構成している画素のうち、変更したい色成分に、指定されただけの変換を加える。
例えば、夕焼けの風景を表わす色彩像の赤みを強くしたいときは、対象とする色成分は赤の色成分である。
【0005】
具体的な色成分変換の手順はつぎのようになる。
図21に示すユーザーインターフェースによる操作方法で、操作者は、まず色成分選択手段2101により、変換したい色成分を選択する。
色成分選択手段2101はメニュー形式になっており、色成分選択手段2101をクリックすることによりメニューが表示される。
色成分選択手段2101には、赤(R)、緑(G)、青(B)の色成分が予めメニューとして登録されており、登録されている色成分の中から所望の色成分を選択する。
【0006】
次に、選択した色系統のトーンカーブ2102の形状を変更し、色変換量を設定する。トーンカーブ2102の形状の変更は、操作つまみ2103を操作して行う。
なお、トーンカーブ2102は、色変換前の階調と、色変換後の階調を対応付けた曲線であり、トーンカーブ2102には操作つまみ2103が設置されている。
図21では、操作つまみ2103は、トーンカーブ2102に1つ配置されているが、トーンカーブ2102の形状をより複雑な形状に変更するため、操作つまみ2103を複数個配置する場合もある。
【0007】
操作者はトーンカーブ2102の操作つまみ2103を、マウスポインタのドラッグによって上下左右に移動させ、トーンカーブ2102の形状を変更することにより色変換が行われる。
図21では、操作つまみ2103が初期値より左上に移動した状態で図示されている。
トーンカーブ2102の初期状態では、入力階調と出力階調が等しくなるため、トーンカーブ2102は直線となる。
【0008】
前述した様に、操作者が画像処理プログラムでディスプレイ画面に表示される色彩像を見て、例えば、赤成分の中間階調の明るさをもっと明るい色に変換したいと考えて操作を行う場合、操作者はマウスなどを用いて、色成分選択手段2101によって赤成分(R)を選択する。
その後、赤成分の中間階調を明るくするため、操作つまみ2103をマウスによりクリックして、上側(明るさを明るくする方向)にスライドさせ、所望の位置でマウスのクリックボタンを離す。
【0009】
画像処理プログラムは、マウスのクリックボタンが離されたのを検知し、色変換処理を行う。
画像処理プログラムは、対象となる画像データを画像データの保存されている記憶装置から1画素分読み出し、読み出した画素の選択した色成分に対し色変換を行う。
【0010】
操作つまみ2103の位置によって、記憶装置から読み出した1画素の色選択手段2101で選択した色成分を変換するには、トーンカーブの横軸である入力軸を変換前の色成分の値、トーンカーブの縦軸である出力軸を変換後の色成分の値とすると、操作者がマウスのクリックボタンを離したときのトーンカーブ2102の形状によって、変換前の色成分の値と変換後の色成分の値との対応付けが行えるため、変換前の色成分を入力軸にとり、トーンカーブ2102を介して、対応する出力軸の値を変換後の色成分の値とする。
【0011】
色変換された画素は、画像データの保存されている記憶装置に書き戻される。
画像処理プログラムは、画像データの全ての画素に対して同様の処理を行い、色変換処理を終了する。
操作者は同じ色成分について色変換を行いたい場合は、続けて操作つまみを操作して変換処理を行う。
別の色成分について色変換を行いたい場合は、色成分選択手段2101により変換を行いたい色成分を選択し、操作つまみ2103を操作して変換処理を行う。
操作者は、画像処理プログラムでディスプレイに表される画像データを再現した色彩像の対象部分が、所望の色になるまで色変換の操作を繰り返す。
【0012】
従来の画像データの色変換方法は以上のように構成されているので、画像データの階調特性を操作することによって色変換することになる。
しかし、撮像装置のイメージセンサの分光感度特性は、波長に対応した感度特性によって定義されているため、階調操作により、分光感度特性が、どのように設定されるのかが操作者にとって直感的に把握し難いという不都合な問題があった。
また、微妙な色彩の調整を行うために、どの色系統を選択するのかを把握しにくい場合もあり、操作者が色変換を行う際のトライ・アンド・エラーの回数が嵩みがちであった。
このような従来の画像データの色変換方法については、例えば下記の非特許文献1など
に記載されている。
【非特許文献1】エクスメディア著「Photoshop CS for Windows(登録商標) & Macintosh(登録商標) MENU MASTER」P395 株式会社エクスメディア2004年3月8日初版発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、撮像装置のイメージセンサの分光感度特性を模したユーザーインターフェースを用いることにより、色変換量の設定を視覚的にわかりやすくして、容易に色変換操作ができる画像データの色変換装置、画像データの色変換方法を提供することを目的とする。
また、この発明による画像データの色変換方法のプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係る画像データの色変換装置は、デジタルカメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線を設け、該曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、上記デジタルカメラが撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換装置であって、
上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、上記イメージセンサの分光感度特性の状態を示す表示手段と、上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、色変換の変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手段と、上記画像データと基準色の分光反射率に基づいて、個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手段と、上記第1の算出手段で算出した分光感度と上記第2の算出手段で算出した分光反射率と光源の分光分布に基づいて、変換後の画像データを算出する第3の算出手段を備えたものである。
【0015】
また、この発明に係る画像データの色変換方法は、デジタルカメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線を設け、該曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、上記デジタルカメラが撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換方法であって、
上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、イメージセンサの分光感度特性の状態を示す表示手順と、上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、色変換の変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手順と、上記画像データと基準色の分光反射率に基づいて、個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手順と、上記第1の算出手順で算出した分光感度と上記第2の算出手順で算出した分光反射率と光源の分光分布に基づいて、変換後の画像データを算出する第3の算出手順を有したものである。
【0016】
また、この発明に係る記録媒体は、コンピュータで読み取りが可能な記録媒体であって、請求項6〜10のいずれか1項に記載の画像データの色変換方法を実行するためのプログラムが記録されているものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明による画像データの色変換装置あるいは色変換方法によれば、操作者は、撮像装置のイメージセンサの分光感度特性を模したユーザーインターフェースを用いることにより、色変換量を視覚的にわかりやすく設定して色変換操作ができる。
即ち、操作者が撮像装置のイメージセンサの分光感度特性のイメージどおりに操作可能なユーザーインターフェースのディスプレイ画面表示部分を提供できるので、操作者は直感的に操作がしやすく、操作が早く行えるので、操作時間が短くて済むという効果がある。
また、この発明による記録媒体は、本発明による画像データの色変換方法のプログラムを記録しているので、その記録媒体を任意の場所に運搬して、そこに設置されたコンピュータ(例えば、パーソナルコンピューター)でプログラムを実行すれば、どこででも本発明による画像データの色変換方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の一実施の形態例について説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による画像データの色変換方法が適用される色変換装置の概略構成を示す図である。
本実施の形態による色変換装置は、例えば図1に示すように、パーソナルコンピューター1とデジタルカメラ2およびディスプレイ3などの外部装置から構成されている。
また、パーソナルコンピューター1は、プログラムを動作させるCPU4と、データやプログラムを一時的に格納するメモリ5、データを保存するハードディスク6から構成されている。
【0019】
ハードディスク6には、予めプログラムを実行させるためのオペレーティングシステムと、本発明による色変換方法を搭載した色変換プログラムが保存されている。
また、デジタルカメラ2は、パーソナルコンピューター1に常時接続されている必要は無く、デジタルカメラ2で撮影した画像データをパーソナルコンピューター1に取り込む際に接続していればよく、それ以外の時は切り離されていてもよい。
【0020】
図2は、実施の形態1による色変換方法を搭載した色変換プログラムの操作画面の一例を示す概略図である。
なお、操作画面21は、図1に示したパーソナルコンピューター1のディスプレイ3に表示される。
操作画面21には、画像データを再現した色彩像を表示する画像ウィンドウ22と、画像データをハードディスク6からメモリ5に読み込み、画像ウィンドウ22に表示させる開くボタン23、画像データの色変換量を操作する操作パネル24、操作パネル24による色変換量の設定に基づき色変換を実行する実行ボタン25、色変換を行った画像データをハードディスク6に保存する保存ボタン26が配置されている。また、色変換プログラムの操作終了を指示する終了ボタン27が配置されている。
【0021】
色変換プログラムの動作の概略を、図3のフローチャートを用いて説明する。
ハードディスク6に保存されている色変換プログラムは、図1には示してはいないが、キーボードやマウスなどの入力デバイスにより、オペレーティングシステムを介して起動させられる。
色変換プログラムの起動後、色変換プログラムは、ステップ301で、図1に示されるディスプレイ3に図2で示される操作画面21を表示する。
色変換プログラムは、キーボードやマウスによって、開くボタン23、操作パネル24、実行ボタン25、保存ボタン26、終了ボタン27などによる操作指示をステップ302で判定するまで入力を待ち続ける待機状態になる。
【0022】
開くボタン23、操作パネル24、実行ボタン25、保存ボタン26、終了ボタン27のいずれかの操作指示が行われた場合は、操作指示の種類に応じた処理を行う。
例えば、開くボタン23の場合はステップ303の開く処理、操作パネル24の場合は操作パネルを再描画するためのステップ304の操作パネルの表示、実行ボタン25の場合はステップ305の実行処理、保存ボタン26の場合はステップ306の保存処理が行われる。
【0023】
各処理が終了すると、再び、開くボタン23、操作パネル24、実行ボタン25、保存ボタン26、終了ボタン27のいずれかの操作指示が与えられるのを判定する待機状態に入る。
色変換プログラムは、終了ボタン27による終了指示が与えられるまで上記動作を繰り返し、操作者が終了ボタン27により終了指示を与えた場合は、色変換プログラムは終了する。
【0024】
次に、図3のステップ303の開く処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。
色変換プログラムは、開くボタン23が押されると、操作者がデジタルカメラ2で撮影し、予めパーソナルコンピューター1のハードディスク6に、オペレーティングシステムの機能によりファイルとして保存されている画像データの中から、開く画像データのファイルを選択するため、ステップ401にてファイル選択画面を表示する。
ファイル選択画面にはハードディスク6内のファイル名が表示されるので、操作者は色変換を行うファイルをマウスなどで選択する。
色変換プログラムはステップ402で選択されたファイル名を取得し、ファイル選択画面を閉じる。
【0025】
色変換プログラムは、ステップ403でCPU4を制御して、ハードディスク6からメモリ5に選択したファイルをオペレーティングシステムの機能によりオープンし、画像データを読み込み、さらにステップ404で操作画面21の画像ウィンドウ22に選択したファイルの画像データを色彩像として表示する。
以上で開く処理は終了し、図3のステップ302に戻る。
【0026】
操作者は、画像ウィンドウ22に表示された画像データを再現した色彩像を見て、色彩の変更を検討し、所望の色系統に対する色変換量を操作画面21の操作パネル24を用いて設定する。
【0027】
ここで、操作パネル24による色変換量の設定方法について説明する。
図5は、実施の形態1の色変換方法による操作パネル24の概略図である。
操作パネル24は、デジタルカメラに搭載されているCCDなどのイメージセンサの分光感度特性をイメージした(分光感度特性を模した)分光感度曲線をグラフィック上に描画している。
分光感度曲線は、縦軸に感度、横軸に波長を表しており、曲線の縦軸方向の位置が各波長の感度を表している。表示されている波長の範囲は人間の可視光範囲である380nmから780nmとしている。感度方向は、感度の値の最大値を1として正規化された値で表示している。
分光感度曲線は、デジタルカメラのイメージセンサが一般的にR(赤)、G(緑)、B(青)の三原色によって構成されているため、図5で示されるB(青)の分光感度曲線501、G(緑)の分光感度曲線502、R(赤)の分光感度曲線503の3本の曲線を表示している。
【0028】
曲線の形状は、一般的なイメージセンサの感度を抽象化し、任意の中心波長を感度の最大値として、中心波長から距離が離れるほど感度が減衰する釣鐘型の形状にしている。
色変換量は、この3本の分光感度曲線の内、変換したい色系統の分光感度曲線を選択し、分光感度曲線の形状を変更することによって設定する。
【0029】
次に、分光感度曲線の変形方法について説明する。
各分光感度曲線には、曲線の形状を変更するための操作つまみを曲線上に複数配置している。
操作つまみは、分光感度曲線の中心波長と感度の強度を操作するための感度操作つまみと、分光感度曲線の釣鐘型形状の裾の広がり具合を操作するため波長操作つまみの2種類を配置している。
【0030】
図5に示すように、B(青)の分光感度曲線501にはB(青)の感度操作つまみ504、G(緑)の分光感度曲線502にはG(緑青)の感度操作つまみ505、R(赤)の分光感度曲線503にはR(赤)の感度操作つまみ506を配置している。
また、RGBの分光感度曲線にはそれぞれ2つづつの波長操作つまみを配置しており、例えば、図5に示すように、B(青)の分光感度曲線501には波長操作つまみ507、508、G(緑)の分光感度曲線502には波長操作つまみ509、510、R(赤)の分光感度曲線506には波長操作つまみ511、512を配置している。
【0031】
感度操作つまみの位置は、分光感度曲線の感度が最大値となる波長位置に配置し、波長操作つまみの位置は、感度が最大値となる波長から曲線上を波長方向に両側に進み、感度が最大値から50%に減衰した位置に配置している。
【0032】
Gの分光感度曲線を例にとって感度操作つまみの操作方法を、図6、図7を用いて説明する。
図6に示すように、初期の感度操作つまみ601の位置から、感度が増加する方向である上方向の感度操作つまみ602の位置と、感度が減少する方向である下方向の感度操作つまみ603の位置の上下方向に移動可能であり、各波長における感度が変化するよう曲線が変形する。
さらに、図7に示すように、初期の感度操作つまみ701の位置から、波長が増加する方向である右方向の感度操作つまみ702の位置と、波長が減少する方向である左方向の感度操作つまみ703の位置の左右方向にも移動可能であり、曲線の最大値や広がり具合はそのままで、中心波長の波長方向の位置が変化する。
【0033】
同じくGの分光感度曲線を例にとって波長操作つまみの操作方法を、図8を用いて説明する。
図8に示すように、波長操作つまみは、1つの分光感度曲線に対し初期の左の波長操作つまみ801の位置と、初期の右の波長操作つまみ802の位置に、左右に1つづつ配置しており、左右の波長操作つまみは、左右方向に移動可能である。
左右の波長操作つまみは連動しており、初期の左の波長操作つまみ801を左方向に移動させ、左側の広げた波長操作つまみ803の位置にすると、初期の右側の波長操作つまみ802も連動し、右側の広げた波長操作つまみ804の位置となる。
【0034】
反対に初期の左の波長操作つまみ801を右方向に移動させ、左側の狭めた波長操作つまみ805の位置にすると、初期の右側の波長操作つまみ802も連動し、右側の狭めた波長操作つまみ806の位置となる。
即ち、分光感度曲線の中心波長の位置を軸として左右対象に連動して移動し、左右どちらの操作つまみを用いて設定してもよく、最大値と中心波長はそのままで、釣鐘型の曲線の「裾の広がり具合」が変化する。
【0035】
次に、分光感度曲線の描画方法について説明する。
各分光感度曲線は、3つの操作つまみ(即ち、分光感度曲線の感度が最大値となる波長位置に配置する「感度操作つまみ」と感度が最大値から50%に減衰した位置に配置する2つの「波長操作つまみ」)を通過するように描画するが、本実施の形態では、下記の式(1)で示されるガウス曲線の式を使用してグラフィック上に描画する。
Y=s・EXP(−(X−μ)2/(2σ2)) ・・・ (1)
ここで、Yは、図5における縦方向軸の感度の値(即ち、分光感度データ)、Xは図5における横方向軸の波長の値、sは感度の最大値(以下、感度sと称す)、μはガウス曲線の平均であり分光感度曲線の中心波長の値(以下、中心波長μと称す)、σ2はガウス曲線の分散であり分光感度曲線の広がり具合を示す値(以下、分散σ2と称す)である。
【0036】
色変換プログラムでは、操作つまみの、操作パネルのグラフィック上の位置から、式(1)の感度s、波長μおよび分散σ2の各パラメータの設定値を取得する。
図9に示すように、例えば、Bの分光感度曲線の場合、操作パネル24の波長方向の1nmをグラフィックのx軸方向の1ドットに対応させ、感度方向の最大値を1とした場合の0.005をグラフィックのy軸方向の1ドットに対応させれば、描画される波長範囲である380nmから780nmは401ドット、感度方向の0から1は201ドットとなり、操作パネル24のグラフィックを構成できる。
以上のように構成した操作パネル24で、操作つまみ(即ち、感度操作つまみおよび波長操作つまみ)の位置は、横方向のx軸と縦方向のy軸の交点を原点としたグラフィックのxy方向のドット数で表現することが出来る。
【0037】
図9に示すように、感度操作つまみのx座標位置をx1、y座標位置をy1、波長操作つまみのx座標位置をx2、y座標位置をy2とすると、最大値sは式(2)より、中心波長μは式(3)より、分散σ2は式(4)より求められる。
波長操作つまみは左右のどちらの操作つまみを用いてもよく、本実施の形態では左側(短波長側)の操作つまみを使用する。
s=y1/YMAX ・・・ (2)
μ=x1 ・・・ (3)
σ2=−(x2−μ)2/(2・ln(y2/y1)) ・・・ (4)
ここで、YMAXは、y軸方向の最大ドット数であり、本実施の形態では、YMAXは200である。
【0038】
式(2)、式(3)、式(4)から求めた最大値s、中心波長μ、分散σ2の値を式(1)に代入して、色変換に使用する設定値を求める。
本実施の形態では、RGBの各分光感度曲線の波長を380nmから780nmまで10nm間隔で抽出し、例えばBの分光感度データであれば、図10に示すように分光感度曲線上に配置された小さな黒丸が示す41個のデータとなる。
式(1)より求めたRの分光感度データsr(i)、Gの分光感度データsg(i)、Bの分光感度データsb(i)[i=1〜41]を色変換の設定値として使用する。
なお、RGB毎に式(1)によって求めた値(即ち、Y)が、sr(i)、sg(i)、sb(i)である。
【0039】
また、操作パネル24は、グラフィック上に式(1)の分光感度曲線を色変換プログラムによって、x座標は式(1)のXの値から380を引いた値、y座標は式(1)のYの値を200倍して整数化した値をグラフィック上にプロットして描画される。
【0040】
また、本実施の形態では操作つまみを分光感度曲線毎に3点配置しているが、実際のイメージセンサの分光感度曲線は複雑なため、分光感度曲線上にさらに操作つまみを増やして、より実際のイメージセンサに近い複雑な曲線を描けるようにしてもよい。
また、実施の形態では、操作つまみを通過する曲線にガウス曲線を使用したが、スプライン曲線など他の方法を用いて曲線を描いても良い。
【0041】
操作者は、操作パネル24の操作つまみを、マウスでドラッグして移動させたり、キーボードの方向キーにより例えば左右の方向キーで波長方向に、上下の方向キーで感度方向に移動させることによって、分光感度曲線を変形し、色変換プログラムの色変換量を設定する。
【0042】
操作つまみの移動は、操作者が操作つまみを例えばマウスをクリックして移動させ、操作者が所望の位置まで移動させた後、クリックを離す。
クリックが離されたのを検知した色変換プログラムは、図3のステップ302で操作指示があったことを検知し、操作パネルへの操作指示に対応したステップ304の操作パネル表示によって、操作つまみが移動した状態の操作パネル24をディスプレイ上に再描画する。
【0043】
操作者は、キーボードやマウスなどを用いて図2の操作パネル24によって、色変換量の設定を行ったあと、実行ボタン25を押し、画像データの色変換を実行する。
色変換プログラムは、実行ボタン25が押されたのを検知し、図3のステップ305の実行処理を行う。
【0044】
次に、図3のステップ305の実行処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。
実行処理が開始されると、図11のステップ1101の操作つまみ位置検出にて、色変換プログラムは、R、G、Bの各分光感度曲線に配置されている感度操作つまみと波長操作つまみのグラフィック上の位置情報であるx値、y値を取得する。
ただし、波長操作つまみは、感度操作つまみに対して左右対称な位置に2ヶ所に配置され、位置の検出は左右どちらか一方の操作つまみに対して行えばよい。
本実施の形態では、左側(短波長側)の操作つまみの位置を検出する。
各操作つまみの値は、Bの感度操作つまみをx1b、y1b、Gの感度操作つまみをx1g、y1g、Rの感度操作つまみをx1r、y1r、Bの波長操作つまみをx2b、y2b、Gの波長操作つまみをx2g、y2g、Rの波長操作つまみをx2r、y2rとする。
【0045】
次にステップ1102の分光感度データ設定にて、検出した各操作つまみのx値、y値と、式(2)、式(3)、式(4)より、感度s、中心波長μ、分散σ2の各パラメータを求め、式(1)より分光感度データを算出する。
Bの分光感度曲線の場合は、式(2)、式(3)、式(4)のx1にx1b、y1にy1b、x2にx2b、y2にy2bを代入する。
Gの分光感度曲線の場合は、式(2)式(3)、式(4)のx1にx1g、y1にy1g、x2にx2g、y2にy2gを代入する。
Rの分光感度曲線の場合は、式(2)、式(3)、式(4)のx1にx1r、y1にy1r、x2にx2r、y2にy2rを代入する。
【0046】
算出したR、G、Bの各分光感度曲線の感度s、波長μ、分散σ2を代入した式(1)に、波長380nmから780nmまで10nm間隔の波長をXに代入し、算出される41個のY値を分光感度データとする。
算出したR、G、B毎の41個の分光感度データを、Rの分光感度データsr(i)、Gの分光感度データsg(i)、Bの分光感度データsb(i)[i=1〜41]とし、各データは一旦メモリ5に保存しておく。
【0047】
次に、図11のステップ1103の分光分布データ設定にて、本実施の形態の色変換に必要な光源の分光分布曲線のデータを準備する。
光源の分光分布曲線は、図12に示すように、分光感度曲線と同じく、人間の可視光範囲である380nmから780nmまでの波長範囲の光源の発光強度を曲線で表したもので、横軸に波長、縦軸に強度をとり各波長の強度をプロットしている。
強度の値は、強度の最大値を1として正規化した値とする。
分光分布データl(i)[i=1〜41]は、分光分布曲線上の380nmから780nmまで10nm間隔の41個の強度データとする。
分光分布データl(i)は予め、色変換プログラムと共にハードディスク6に格納されており、本ステップにて色変換プログラムがCPU4を制御してハードディスク6から読み出し、一旦メモリ5に保存しておく。
【0048】
分光分布データl(i)は、例えば、JISZ8720に記載されているD65などの標準的な光源の分光分布の値を用いても良い。
【0049】
次に、色変換プログラムは、ステップ1104にてCPU4を制御してメモリ5から、RGB形式の画像データR、G、Bを1画素分読み出す。
ステップ1105にて、読み出した1画素をRGB形式から本実施の形態による色変換で使用する分光形式のデータである分光反射率データr(i)[i=1〜41]に変換する。
分光反射率データr(i)は、図13に示すように、分光感度曲線と同じく、人間の可視光範囲である380nmから780nmまでの波長範囲の「物体の各波長」の反射率を曲線で表したもので、横軸に波長、縦軸に反射率をとり各波長の反射率をグラフ化している。
分光反射率データr(i)は、分光分布曲線上の380nmから780nmまでの10nm間隔の41個の反射率データとする。反射率データは、100%を1として正規化したデータを使用する。
【0050】
次に、RGB形式の画像データであるRGBデータR、G、Bから分光形式の分光反射率データr(i)への変換方法について説明する。
変換は、予め設定した色空間内で複数の基準となる色彩(基準色)を設定する。設定した基準色には、RGBデータと分光反射率データがあらかじめ対応付けされている。
色空間内の基準色と変換したい色との位置関係から、変換したい色の分光反射率データを基準色の分光反射率データから補間処理によって求める。
【0051】
本実施の形態では、図14に示されるHSI6角錐カラーモデル(参照:東京大学出版会、新編画像解析ハンドブック、P1187、2004年9月10日発行)による色空間において、RGB値から分光反射率データへの変換を行う。
【0052】
HSI6角錐カラーモデルは、R(赤)、M(マゼンタ)、B(青)、C(シアン)、G(緑)、Y(黄)、K(黒)を頂点とした6角錐で、6色の中心にW(白)を配置し、明度方向をI軸、彩度方向をS軸、色相方向をH軸としている。
【0053】
本実施の形態における本色空間の基準色は、R、M、B、C、G、Y、K、Wの8色とする。
8個の基準色に対応する(R、G、B)のデータは、R、G、Bが0から1の値をとるとすると、R=(1、0、0)、G=(0、1、0)、B=(0、0、1)、Y=(1、1、0)、M=(1、0、1)、C=(0、1、1)、K=(0、0、0)、W=(1、1、1)とする。
8個の基準色に対応する分光反射率データは、例えばJISZ8721に記載の標準色票などの色票から基準色に対応させる8色の色票を選択し、分光反射率を測定可能な測定器で測定したデータを用いても良い。
【0054】
ステップ1104でメモリから読み出した1画素分のR、G、Bのデータを、HSI値に変換し図14のHSI6角錐カラーモデル上にプロットした点を変換点Tとする。
RGB値からHSI値への変換方法は、以下の通りである。
I=Max(R、G、B)とすると、
I=0の場合
S=0、H=0 ・・・ (5)
I≠0の場合
i=Min(R、G、B) ・・・ (6)
S=(I−i)/I ・・・ (7)
r=(I−R)/(I−i) ・・・ (8)
g=(I−G)/(I−i) ・・・ (9)
b=(I−B)/(I−i) ・・・ (10)
R=Iの場合、H=π(b−g)/3 ・・ (11)
G=Iの場合、H=π(2+r−b)/3 ・・・ (12)
B=Iの場合、H=π(4+g−r)/3 ・・・ (13)
ただし、H<0の場合Hの値に2πを加える。
【0055】
変換色TのHSI値の内、Hの値より、HSI6角錐カラーモデルにおいて、基準色WとKを結ぶI軸を中心に基準色R、G、B、Y、M、Cの各頂点で6角錐を分割した6つの3角錐の内、変換点Tが含まれる3角錐を求める。
基準色R、G、B、Y、M、Cは、Rを0度として60度(π/3)づつ均等に配置されているものとする。
【0056】
例えば、変換点Tが、図15で示される3角錐CBWKに含まれる場合、変換点Tの分光反射率データを基準色C、B、W、Kに対応づけた分光反射率データから補間により算出する。
【0057】
3角錐CBWKにおいて、変換点Tの同一明度面と線分CK、線分BK、線分WKとの交点をそれぞれ補間点C´、B´、W´とする。
補間点C´、B´、W´に対応する分光反射率データを、rc´(i)、rb´(i)、rw´(i)[i=1〜41]とすると、補間点C´、B´、W´に対応する分光反射率データは、基準色C、B、W、Kの分光反射率データrc(i)、rb(i)、rw(i)、rk(i)[i=1〜41]と変換点TのHSI値より式(14)、式(15)、式(16)によって求めることができる。
rc´(i)=rk(i)
+(rc(i)−rk(i))・(It−Ik)/(Ic−Ik)
・・・ (14)
rb´(i)=rk(i)
+(rb(i)−rk(i))・(It−Ik)/(Ib−Ik)
・・・ (15)
rw´(i)=rk(i)
+(rw(i)−rk(i))・(It−Ik)/(Iw−Ik)
・・・ (16)
なお、式(14)〜式(16)において、i=1〜41である。
また、Itは変換点TのI座標、Ikは基準点KのI座標、Icは基準点CのI座標、Ibは基準点BのI座標、Iwは基準点WのI座標である。
【0058】
基準色C、B、Wの分光反射率データから変換色Tの分光反射率データを求めるための中間データである、補間点C´、B´、W´の分光反射率データは、式(14)、式(15)、式(16)のC、B、K、Wに、基準色C、B、K、Wの分光反射率データである380nmから780nmまで10nm間隔の41個のデータを10nm間隔の波長毎に代入し、C´、B´、W´の41個の分光反射率データを求める。
【0059】
図16は、3角錐CBWKにおける変換点Tの同一明度面である三角形W´C´B´を、図14に示すI軸方向から見た図である。
3角形W´C´B´において、W´を中心として、線分W´C´と線分W´B´を半径とした、弧C´B´と線分W´Tの延長線との交点をH´とする。
補間点H´に対応する分光反射率データをrh´(i)とすると、補間点H´に対応する分光反射率データは、補間点C´、B´に対応する分光反射率データと、W´を中心とした、C´とT、B´とTの角度比から式(17)によって求める。
rh´(i)=rc´(i)
+(rb´(i)−rc´(i))・∠C´W´H´/∠C´W´B´
・・・ (17)
なお、式(17)において、i=1〜41である。
【0060】
図16において、式(16)より求めた補間点W´と式(17)より求めた補間点H´の分光反射率データrw´(i)とrh´(i)、変換点TのS軸方向の値St、補間点H´のS軸方向の値Sh´より、式(18)によって変換点Tの分光反射率データr(i)を求める。
r(i)=rw´(i)
+(rh´(i)−rw´(i))・St/Sh´ ・・・ (18)
なお、式(18)において、i=1〜41である。
以上により、図11のステップ1105でメモリ5より読み出したRGBデータを分光反射率データr(i)へ変換し、再びメモリ5に保存する。
【0061】
次にステップ1106で、メモリ5に一時保存した分光反射率データr(i)と、ステップ1102でメモリ5に一時保存した分光感度データsr(i)、sg(i)、sb(i)、ステップ1203でメモリ5に一時保存した分光分布データl(i)より、色変換後のRGB値、R´、G´、B´を求める。
【0062】
式(19)、式(20)、式(21)で示すように、分光反射データと分光感度データと分光分布データの41個のデータから、同一波長のデータを読み出し、掛け合わせる。各波長の掛け合わせた結果をすべての波長について足し合わせ積分値を求める。
求めた積分値がとりうる最大値とRGB値の最大値が異なるため、白色の分光反射率データの積分値を、求める積分値の最大値として、求めた積分値を正規化し、RGB値の最大値と一致させる。
R´=Σ(r(i)・sr(i)・l(i))/
Σ(r(i)・W(i)・l(i)) ・・・ (19)
G´=Σ(r(i)・sg(i)・l(i))/
Σ(r(i)・W(i)・l(i)) ・・・ (20)
B´=Σ(r(i)・sb(i)・l(i))/
Σ(r(i)・W(i)・l(i)) ・・・ (21)
なお、式(19)〜式(21)において、i=1〜41である。
また、Σは、iに1から41までを代入した結果の和とする。
以上によって、画像データR、G、Bを画像データR´、G´、B´に色変換する。
【0063】
ステップ1107では、RGB形式の画像データR´、G´、B´を再びメモリ5に書き戻す。ステップ1108では、ステップ1104からステップ1107までの処理を全画素に対して行ったかを判定し、まだ全画素終了していなければ、ステップ1104に戻り処理を続ける。全画素終了すれば実行処理は終了となる。
【0064】
操作者は、実行処理終了後、画像ウィンドウ22に表示される色変換後の画像データを再現した色彩像を見て、所望の色変換が行われたかを確認する。
確認後、色変換された内容と操作者の希望する色変換の内容とが一致していれば、操作画面21の保存ボタン26を、マウスまたはキーボード等で押し、色変換プログラムに保存の指示を行う。
保存ボタン26が押されたのを検知した色変換プログラムは、保存処理を開始する。
【0065】
保存処理の動作を、図17のフローチャートを用いて説明する。
色変換プログラムは保存処理開始後、ステップ1701によってファイル保存画面を表示する。
ファイル保存画面は、図示はしていないが、保存するファイルのファイル名とハードディスク内の保存するディレクトリを指定するようになっている一般的なアプリケーションソフトウェアと同等なものである。
【0066】
ステップ1702でユーザーが入力したファイル名とステップ1703でユーザーが入力した保存場所を取得し、ステップ1704でメモリ5から画像データを読み出し、ユーザーが入力したファイル名でユーザーが入力したハードディスク6のディレクトリにオペレーションシステムの機能を利用してファイルとして書き込み保存する。
以上によりユーザーは画像データの色変換を行うことが出来る。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態の形態による画像データの色変換装置は、デジタルカメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線を設け、該曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、デジタルカメラが撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換装置であって、
ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、イメージセンサの分光感度特性の状態を示す表示手段と、ユーザーインターフェース上における操作つまみの配置状態に基づいて、色変換の変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手段と、画像データと基準色の分光反射率に基づいて、個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手段と、第1の算出手段で算出した分光感度と第2の算出手段で算出した分光反射率と光源の分光分布に基づいて、変換後の画像データを算出する第3の算出手段を備えている。
【0068】
また、本実施の形態の形態による画像データの色変換方法は、デジタルカメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線を設け、該曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、デジタルカメラが撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換方法であって、
ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、イメージセンサの分光感度特性の状態を示す表示手順と、ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、色変換の変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手順と、画像データと基準色の分光反射率に基づいて、個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手順と、第1の算出手順で算出した分光感度と第2の算出手順で算出した分光反射率と光源の分光分布に基づいて、変換後の画像データを算出する第3の算出手順を有している。
【0069】
従って、本実施の形態による画像データの色変換装置あるいは色変換方法によれば、操作者は、撮像装置のイメージセンサの分光感度特性を模したユーザーインターフェースを用いることにより、色変換量を視覚的にわかりやすく設定して色変換操作ができる。
即ち、操作者が撮像装置のイメージセンサの分光感度特性のイメージどおりに操作可能なユーザーインターフェースのディスプレイ画面表示部分を提供できるので、操作者は直感的に操作がしやすく、操作が早く行えるので、操作時間が短くて済む。
【0070】
実施の形態2.
図18は実施形態2における色変換プログラムの操作画面である。
図18では、実施の形態1の図2に示される色変換プログラムの操作画面に操作つまみの初期位置を選択するためのプルダウンメニュー1801が追加されている。
操作者がプルダウンメニュー1801をクリックすると、予めハードディスクなどに保存された「複数の操作つまみの初期位置データ」をプルダウン表示する。
なお、実施の形態1の場合と同様に、操作画面は図示しないパーソナルコンピューターのディスプレイに表示される。
操作者は、ディスプレイに表示された初期位置データから所望のデータを選択する。
色変換プログラムは、ハードディスクから選択した初期位置データを読み出し、操作パネルの操作つまみの位置を、読み出したデータに設定する。
プルダウンメニューによる初期設定位置の選択操作は、前掲の図3で示されるステップ303の開く処理等と同様に、操作画面に対し操作者が操作を行った際に行われる。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態の形態によれば、ユーザーインターフェースの操作つまみの初期位置を「予め準備しておいた複数の初期位置」から選択できるので、操作者は操作つまみを操作することなく複数の分光感度の設定を簡便に行うことが可能な画像データの色変換装置を実現できる。
【0072】
実施の形態3.
前述の実施の形態1では、第2の算出手段において、基準色の分光反射率を用いて画像データをRGB形式から分光反射率形式に変換している。
使用する基準色、色票などを想定しているため、実際の被写体とは分光反射率の形状が異なる。
そのため、光源の分光分布の形状によっては、色変換結果が異なることが予想される。
そこで、色変換の対象となる画像データに写っている被写体の分光反射率が既知であれば、基準色の分光反射率として代表的な被写体の分光反射率を使用すれば、画像データをRGB形式から分光反射率形式に変換する際の変換精度が高くなり、より正確な色変換を行うことが可能となる。
例えば、風景写真で、代表的な被写体である木の葉の緑色が撮影されていた場合の画像について色変換を行う場合は、基準色の緑色に「木の葉の分光反射率を」使用する。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態の形態によれば、第2の算出手段は、使用する基準色の分光反射率として代表的な被写体の分光反射率を使用するので、より色変換の精度が高い画像データの色変換装置を実現できる。
【0074】
実施の形態4.
図19は、実施の形態4における色変換プログラムの操作画面である。
図19では、前述した実施の形態1の図2に示される色変換プログラムの操作画面に、光源を選択するためのプルダウンメニュー1901が追加されている。
操作者がプルダウンメニュー1901をクリックすると、予めハードディスクなどに保存された「複数の光源の分光分布データ」をプルダウン表示する。
操作者は、表示された分光分布データから所望のデータを選択する。
色変換プログラムは、ハードディスクから選択した分光分布データを読み出し、実行処理で使用する分光分布データが保存されているハードディスクに書き込む。
実行処理が行われた場合は、プルダウンメニューで選択した分光分布が使用される。
プルダウンメニュー1901による分光分布データの選択操作は、図3で示される「ステップ303の開く処理」などと同様に、操作画面に対し操作者が操作を行った際に行われる。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態の形態によれば、第3の算出手段は、使用する光源の分光分布を予め準備しておいた複数の光源の分光分布から選択できるので、より色変換の自由度の高い画像データの色変換装置を実現できる。
【0076】
実施の形態5.
前述した実施形態1では、第3の算出手段において、分光反射率、分光感度、分光分布の3つの分光形式データの分光積から、RGB値を求めている。
本実施の形態では、写真撮影の際に、レンズ前面に配置し撮影画像の色補正を行うゼラチンなどの光学フィルターと同等の色補正効果を得るため、3つの分光形式データに図21に示される分光透過率のデータを加える。
分光透過率データを、分光反射率などと同様に、「380nmから780nmまでの10nm間隔で、透過率100%を1に正規化したデータ」であるt(i)[i=1〜41]とすると、色変換結果であるR´、G´、B´を求める実施の形態1における式(19)、式(20)、式(21)は、下記の式(22)、式(23)、式(24)となる。
R´=Σ(r(i)・sr(i)・l(i)・t(i))
/Σ(r(i)・W(i)・l(i)) ・・・ (22)
G´=Σ(r(i)・sg(i)・l(i)・t(i))
/Σ(r(i)・W(i)・l(i)) ・・・ (23)
B´=Σ(r(i)・sb(i)・l(i)・t(i))
/Σ(r(i)・W(i)・l(i)) ・・・ (24)
なお、式(22)〜式(24)において、i=1〜41である。
【0077】
分光透過率データは、予めハードディスクに保存され、実施の形態1の図11で示される実行処理のステップ1103の分光分布データ設定で、分光分布データがハードディスクから読み出されるタイミングと同じタイミングで読み出される。
【0078】
以上説明したように、本実施の形態の形態によれば、第3の算出手段の入力として、光学フィルターを模した分光透過率を追加したので、写真撮影に使用される光学フィルターと同等の効果が実施の形態1の色変換に加わるので、より色変換の自由度の高い画像データの色変換装置を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、デジタルカメラなどで撮影した画像の色を操作者が容易に補正(色変換)する用途に最適であるが、デジタルカメラの撮影画像のみならず、スキャナで取得した画像やドローソフトで描画したものをラスター画像に変換した画像など、あらゆるソースから得られたビットマップ画像の色変換に利用でき、印刷用画像、ウエッブ用画像のファイルデータの色補正の作業等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施の形態1による色変換方法が適用される色変換装置の概略の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1による色変換プログラムの操作画面を示す図である。
【図3】実施の形態1による色変換プログラムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施の形態1による色変換プログラムの開く処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】実施の形態1による色変換方法における操作パネルの概略図である。
【図6】実施の形態1による色変換方法において、感度操作つまみの感度方向の設定状態を示す図である。
【図7】実施の形態1による色変換方法において、感度操作つまみの感度方向の設定状態を示す図である。
【図8】実施の形態1による色変換方法において、波長操作つまみの設定状態を示す図である。
【図9】実施の形態1による操作パネルのグラフィック上の操作つまみの設定状態を示す図である。
【図10】実施の形態1による分光感度データをグラフィカルに示した図である。
【図11】実施の形態1による色変換プログラムの実行処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】実施の形態1による分光分布データをグラフィカルに示した図である。
【図13】実施の形態1による分光反射率データをグラフィカルに示した図である。
【図14】実施の形態1によるHSI6角錐カラーモデルを示した図である。
【図15】実施の形態1によるHSI6角錐カラーモデル内の変換点と基準色の関係を示した図である。
【図16】実施の形態1によるHSI6角錐カラーモデル内の変換点を含む等明度面と基準色の関係を示した図である。
【図17】実施の形態1による色変換プログラムの保存処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】実施の形態2による色変換プログラムの操作画面を示す図である。
【図19】実施の形態4による色変換プログラムの操作画面を示す図である。
【図20】実施の形態5による分光透過率データをグラフィカルに示した図である。
【図21】従来の画像データ色変換用のユーザーインターフェースの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0081】
1 パーソナルコンピューター 2 デジタルカメラ
3 ディスプレイ 4 CPU
5 メモリ 6 ハードディスク
21 操作画面 22 画像ウィンドウ
24 操作パネル
501〜503 分光感度曲線
504〜506、601〜603、701〜703 感度つまみ
508〜512、801〜806 波長操作つまみ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルカメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線を設け、該曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、上記デジタルカメラが撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換装置であって、
上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、上記イメージセンサの分光感度特性の状態を示す表示手段と、
上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、色変換の変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手段と、
上記画像データと基準色の分光反射率に基づいて、個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手段と、
上記第1の算出手段で算出した分光感度と上記第2の算出手段で算出した分光反射率と光源の分光分布に基づいて、変換後の画像データを算出する第3の算出手段を備えたことを特徴とする画像データの色変換装置。
【請求項2】
上記ユーザーインターフェースの操作つまみの初期位置を、予め準備しておいた複数の初期位置から選択できることを特徴とする請求項1に記載の画像データの色変換装置。
【請求項3】
上記第2の算出手段が使用する上記基準色の分光反射率として、代表的な被写体の分光反射率を使用することを特徴とする請求項1に記載の画像データの色変換装置。
【請求項4】
上記第3の算出手段が使用する光源の分光分布を、予め準備しておいた複数の光源の分光分布から選択できることを特徴とする請求項1に記載の画像データの色変換装置。
【請求項5】
上記第3の算出手段の入力として、光学フィルターを模した分光透過率を追加したことを特徴とする請求項1に記載の画像データの色変換装置。
【請求項6】
デジタルカメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線を設け、該曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、上記デジタルカメラが撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換方法であって、
上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、イメージセンサの分光感度特性の状態を示す表示手順と、
上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、色変換の変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手順と、
上記画像データと基準色の分光反射率に基づいて、個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手順と、
上記第1の算出手順で算出した分光感度と上記第2の算出手順で算出した分光反射率と光源の分光分布に基づいて、変換後の画像データを算出する第3の算出手順を備えたことを特徴とする画像データの色変換方法。
【請求項7】
上記ユーザーインターフェースの操作つまみの初期位置を、予め準備しておいた複数の初期位置から選択できることを特徴とする請求項6に記載の画像データの色変換方法。
【請求項8】
上記第2の算出手順で使用する上記基準色の分光反射率として、代表的な被写体の分光反射率を使用することを特徴とする請求項6に記載の画像データの色変換方法。
【請求項9】
上記第3の算出手順で使用する光源の分光分布を、予め準備しておいた複数の光源の分光分布から選択できることを特徴とする請求項6に記載の画像データの色変換方法。
【請求項10】
上記第3の算出手順における入力として、光学フィルターを模した分光透過率を追加したことを特徴とする請求項6に記載の画像データの色変換方法。
【請求項11】
コンピュータで読み取りが可能な記録媒体であって、上記請求項6〜10のいずれか1項に記載の画像データの色変換方法を実行するためのプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体。
【請求項1】
デジタルカメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線を設け、該曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、上記デジタルカメラが撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換装置であって、
上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、上記イメージセンサの分光感度特性の状態を示す表示手段と、
上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、色変換の変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手段と、
上記画像データと基準色の分光反射率に基づいて、個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手段と、
上記第1の算出手段で算出した分光感度と上記第2の算出手段で算出した分光反射率と光源の分光分布に基づいて、変換後の画像データを算出する第3の算出手段を備えたことを特徴とする画像データの色変換装置。
【請求項2】
上記ユーザーインターフェースの操作つまみの初期位置を、予め準備しておいた複数の初期位置から選択できることを特徴とする請求項1に記載の画像データの色変換装置。
【請求項3】
上記第2の算出手段が使用する上記基準色の分光反射率として、代表的な被写体の分光反射率を使用することを特徴とする請求項1に記載の画像データの色変換装置。
【請求項4】
上記第3の算出手段が使用する光源の分光分布を、予め準備しておいた複数の光源の分光分布から選択できることを特徴とする請求項1に記載の画像データの色変換装置。
【請求項5】
上記第3の算出手段の入力として、光学フィルターを模した分光透過率を追加したことを特徴とする請求項1に記載の画像データの色変換装置。
【請求項6】
デジタルカメラのイメージセンサの分光感度特性を模した曲線を設け、該曲線に色変換の変換量設定用の操作つまみを配置したユーザーインターフェースを用いて色変換の変換量設定を行う色変換量設定手段を有し、上記デジタルカメラが撮像した被写体の画像データを画素毎に色変換する画像データの色変換方法であって、
上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、イメージセンサの分光感度特性の状態を示す表示手順と、
上記ユーザーインターフェース上における上記操作つまみの配置状態に基づいて、色変換の変換量設定の際に用いる分光感度データを算出する第1の算出手順と、
上記画像データと基準色の分光反射率に基づいて、個々の画素の分光反射率の値を算出する第2の算出手順と、
上記第1の算出手順で算出した分光感度と上記第2の算出手順で算出した分光反射率と光源の分光分布に基づいて、変換後の画像データを算出する第3の算出手順を備えたことを特徴とする画像データの色変換方法。
【請求項7】
上記ユーザーインターフェースの操作つまみの初期位置を、予め準備しておいた複数の初期位置から選択できることを特徴とする請求項6に記載の画像データの色変換方法。
【請求項8】
上記第2の算出手順で使用する上記基準色の分光反射率として、代表的な被写体の分光反射率を使用することを特徴とする請求項6に記載の画像データの色変換方法。
【請求項9】
上記第3の算出手順で使用する光源の分光分布を、予め準備しておいた複数の光源の分光分布から選択できることを特徴とする請求項6に記載の画像データの色変換方法。
【請求項10】
上記第3の算出手順における入力として、光学フィルターを模した分光透過率を追加したことを特徴とする請求項6に記載の画像データの色変換方法。
【請求項11】
コンピュータで読み取りが可能な記録媒体であって、上記請求項6〜10のいずれか1項に記載の画像データの色変換方法を実行するためのプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−103758(P2010−103758A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273232(P2008−273232)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(395013603)三菱電機マイコン機器ソフトウエア株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(395013603)三菱電機マイコン機器ソフトウエア株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]