説明

画像ファイルの出力画像調整

【課題】個々の画像データに対応して画質を適切に自動調整すること。
【解決手段】カラープリンタ20の制御回路30は、スロット34にメモリカードMCが差し込まれると、メモリカードMCから画像処理制御情報GCを取得して解析する。CPU31は、画像処理制御情報GCを反映して画像データの特性を示す各画質パラメータに対する基準値を修正する。CPU31は、修正された基準値に近づけるよう各画質パラメータ値を補正して、補正された各画質パラメータ値を反映して画像データの画質を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像ファイルの画質を調整する画像調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルスチルカメラ(DSC)、ディジタルビデオカメラ(DVC)、スキャナ等によって生成された画像データの画質は、パーソナルコンピュータ上で画像レタッチアプリケーションを用いることによって任意に調整することができる。画像レタッチアプリケーションには、一般的に、画像データの画質を自動的に調整する画像調整機能が備えられており、この画像調整機能を利用すれば、出力装置から出力する画像データの画質を容易に向上させることができる。画像ファイルの出力装置としては、例えば、CRT、LCD、プリンタ、プロジェクタ、テレビ受像器などが知られている。
【0003】
また、出力装置の1つであるプリンタの動作を制御するプリンタドライバにも、画像データの画質を自動的に調整する機能が備えられており、このようなプリンタドライバを利用しても、印刷される画像データの画質を容易に向上させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら画像レタッチアプリケーションおよびプリンタドライバによって提供される画質自動調整機能では、一般的な画質特性を有する画像データを基準として画質補正が実行される。これに対して、画像処理の対象となる画像データは様々な条件下で生成され得るため、一律に画質自動調整機能を実行し、規定値を用いて画像データの画質パラメータ値を変更しても、画質を向上させることができない場合がある。
【0005】
また、DSC等の画像データ生成装置の中には、画像データ生成時に画像データの画質を任意に調整できるものもあり、ユーザは意図的に所定の画質を有する画像データを生成することができる。あるいは、ユーザは撮影条件に応じて予め設定された撮影画質にて撮影条件に適した画像データを生成することができる。このような画像データに対して、画質自動調整機能を実行すると、画像データが有する意図的な画質までも自動的に基準とする画質に基づいて調整されてしまい、ユーザの意図を反映した自動画質調整を実行することができないという問題があった。また、DSC側で設定された撮影条件が自動画質調整において上手く反映されないという問題があった。なお、こうした問題はDSCに限らず、DVC等の他の画像ファイル生成装置においても共通の課題である。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、個々の画像データに対応して画質を適切に自動調整することを目的とする。また、恣意的に設定された画質調整条件を損なうことなく画像データの画質を自動調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、画像データと、画像データの画質補正時に用いられる画像処理制御情報とを1つのファイル内に含む画像ファイルを用いて画像処理を行う画像処理装置であって、前記画像データを解析して、前記画像データの画質に関わる特性を示す情報である画質特性情報を取得する画質特性情報取得手段と、前記画像処理制御情報および前記取得された画質特性情報とに基づいて、前記画像データの画質を調整する画質調整手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の態様に係る画像処理装置によれば、画像データの画質を調整する際に用いられる画像処理制御情報、および取得した画像データの画質特性情報を反映して、画像データの画質を調整するので、個々の画像データに対応して画質を適切に自動調整することができる。また、恣意的に設定された画像処理制御情報を損なうことなく画像データの画質を自動調整することができる。
【0009】
本発明の第1の態様に係る画像処理装置において、前記画質特性情報は、前記画像データの画質の特性を示す複数の画質パラメータの値の組み合わせであり、前記画質調整手段による画質の調整は、前記画像処理制御情報を反映して前記画像データの画質を調整することにより実行されても良い。かかる構成を備えることにより、画像処理制御情報を直接反映させて画像データの画質を調整することができる。
【0010】
本発明の第1の態様に係る画像処理装置において、前記画質特性情報は、前記画像データの画質の特性を示す複数の画質パラメータの値の組み合わせであり、前記画質調整手段は、前記複数の画質パラメータ値に対してそれぞれ予め定められた、画質調整の基準となる基準画質パラメータ値を有し、前記画質調整手段による画質の調整は、前記基準画質パラメータ値と前記画質パラメータ値とに基づいて前記画像データを補正する補正量を求め、前記画像処理制御情報を解析した結果に基づいて前記補正量を増加または減少させ、その増加または減少された補正量を反映して前記画像データの画質を調整しても良い。かかる構成を備えることにより、画像データの画質を画質調整の基準に近づけること、あるいは、一致させることが可能となり、画像処理制御情報を間接反映させて画像データの画質を調整、向上させることができる。
【0011】
本発明の第1の態様に係る画像処理装置において、前記画像処理制御情報を解析した結果に基づく前記補正量の増加または減少は、前記画像処理制御情報を解析した結果に基づいて前記基準画質パラメータ値を修正することにより実行されても良く、あるいは、前記画像処理制御情報を解析した結果に基づいて前記補正量の適用レベルを決定することにより実行されてもよい。前者の場合には、画質パラメータ値の調整指標となる基準画質パラメータ値を修正することができるので、個々の画像データの特性を損なうことなく画質調整を実行することができる。後者の場合には、画像処理制御情報を解析した結果に基づいて補正量の適用レベルを決定することができるので、個々の画像データの特性を損なうことなく画質調整を実行することができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、画像データと、画像データの画質補正時における補正の目標となる基準画質情報とを1つのファイル内に含む画像ファイルを用いて画像処理を行う画像処理装置を提供する。本発明の第2の態様に係る画像処理装置、前記画像データを解析して、前記画像データの画質特性を示す画質パラメータの値を取得する画質パラメータ値取得手段と、前記基準画質情報に基づいて、前記画質パラメータに対して予め定められている基準画質パラメータの値を取得する基準画質パラメータ値取得手段と、前記取得した基準画質パラメータ値と前記取得された画質パラメータ値とに基づいて前記画像データの画質を調整する画質調整手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の態様に係る画像処理装置によれば、画像データの画質補正時に用いられる基準画質情報に基づいて画質調整の指標となる基準画質パラメータ値を取得し、取得した基準画質パラメータ値と画質パラメータとに基づいて画像データの画質を調整するので、個々の画像データに対応して画質を適切に自動調整することができる。また、恣意的に設定された画像処理制御情報を損なうことなく画像データの画質を自動調整することができる。さらに、画質調整の指標となる基準画質パラメータ値を基準画質情報に基づいて取得することができるので、容易に基準画質パラメータ値を取得することができる。
【0014】
本発明の第3の態様は、画像データと、画像データの画質調整時に用いられる画像処理制御情報とを1つのファイル内に含む画像ファイルを用いて画像処理を行う画像処理装置を提供する。本発明の第3の態様に係る画像処理装置は、前記画像データを解析して、前記画像データの画質特性を示す画質パラメータの値を取得する画質パラメータ値取得手段と、前記画像処理制御情報を解析し、その解析結果に基づいて前記画質パラメータに対して予め定められた基準画質パラメータの値を修正する基準画質パラメータ値修正手段と、前記修正された基準画質パラメータ値と前記取得された画質パラメータ値とに基づいて前記画像データの画質を調整する画質調整手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の態様に係る画像処理装置によれば、画質調整の指標となる基準画質パラメータ値を修正し、修正された画質パラメータ値と画質パラメータ値とに基づいて画像データの画質を調整するので、個々の画像データに対応して画質を適切に自動調整することができる。また、恣意的に設定された画像処理制御情報を損なうことなく画像データの画質を自動調整することができる。
【0016】
本発明の第1ないし第3の態様に係る画像処理装置において、前記基準画質パラメータ値は、前記画像処理制御情報に基づいて、前記取得された画質パラメータ値に対応する複数の値から選択されたパラメータ値の組み合わせであっても良い。また、前記画像処理制御情報は、少なくともコントラスト、明るさ、カラーバランス、彩度、シャープネス、記憶色、およびノイズ除去に関連する情報のいずれか1つの情報についての補正情報を含んでいても良く、更に、前記画像処理制御情報は、前記画像ファイルのユーザー定義領域に格納されていても良い。
【0017】
本発明の第4の態様は、画像データと、画像データの画像処理時に用いられる画像処理制御情報とを1つのファイル内に含む画像ファイルを用いて画像データを出力する出力装置を提供する。本発明の第4の態様に係る出力装置は、本発明の第1の発明に係る画像処理装置ないし第3の発明に係る画像処理装置のいずれかの画像処理装置と、前記画像処理装置にて画像処理が施された画像データを出力する画像データ出力手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の第4の態様に係る出力装置によれば、画像データの画質を調整する際に用いられる画像処理制御情報、および取得した画像データの画質特性情報を反映して、個々の画像データに対応して適切に画質が自動調整された画像データを出力することができる。また、恣意的に設定された画像処理制御情報を損なうことなく画質の調整された画像データを出力することができる。
【0019】
本発明の第5の態様は、画像データと、画像データの画質補正時に用いられる画像処理制御情報とを1つのファイル内に含む画像ファイルに対して画像データの画質調整を実行するためのプログラムを提供する。本発明の第5の態様に係るプログラムは、前記画像データを解析して、前記画像データの画質特性を示す画質パラメータの値を取得する機能と、前記画像処理制御情報を解析して、その解析結果に基づいて前記画質パラメータに対して予め定められた基準画質パラメータの値を修正する機能と、前記修正した基準画質パラメータ値と前記取得された画質パラメータ値とに基づいて前記画像データの画質を調整する機能とをコンピュータに実現させることを特徴とする。
【0020】
本発明の第6の態様は、画質調整処理が実行された画像データを出力する出力装置において用いられ得る画像ファイルを生成する画像ファイル生成装置を提供する。本発明の第6の態様に係る画像ファイル生成装置は、前記出力装置にて出力するための画像データを入力する画像データ入力手段と、前記出力装置において実行される前記画像データの画質調整処理の条件を指定する画質調整処理条件指定手段と、前記指定された画質調整処理条件に基づいて、画質調整データを生成する画質調整データ生成手段と、前記入力された画像データと画質調整データとを含む一つの画像ファイルを生成する画像ファイル生成手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の第6の態様に係る画像ファイル生成装置によれば、画像処理装置、および出力装置における画質調整処理の条件を指定する画質調整データと画像データとを含む1つの画像ファイルを生成することができるので、画質調整データと画像データとを適切に関連付けることが可能となり、個々の画像データに対する自動画質調整を容易に実現させることができる。また、恣意的に設定された画質調整処理条件と画像データとを関連付けることができるので、画質調整処理条件を反映して画像データの画質を自動調整することができる。
【0022】
本発明の第6の態様に係る画像ファイル生成装置において、前記画質調整データは、前記出力装置における画質調整処理において画質調整処理の基準として用いられる基準画質パラメータを修正するためのデータであっても良い。画質調整データが基準画質パラメータを修正するためのデータの場合には、出力装置または画像処理装置は、画質調整データの解析を経て基準画質パラメータを修正した後に画質調整処理を実行することができる。また、前記画質調整データは、前記出力装置における画質調整処理において画質調整処理の基準値として用いられる基準画質パラメータ値であっても良い。画質調整データが基準画質パラメータの場合には、出力装置または画像処理装置は、変更処理を実行することなく、直接、基準画質パラメータを用いて画質調整処理を実行することができる。更に、前記画質調整データは、前記画像データの画質を表す画質パラメータに対応していると共に、前記出力装置における画質調整処理の基準値として用いられる、複数の基準画質パラメータ値の組み合わせであっても良い。画質調整データが複数の基準画質パラメータ値の組み合わせの場合には、特定の撮影条件に応じて基準画質パラメータ値を組み合わせることができる。
【0023】
本発明の第6の態様に係る画像ファイル生成装置において、前記画質調整データは、前記出力装置における画質調整処理の基準値として用いられる基準画質パラメータ値と前記画像データの画質を表す画質パラメータ値とに基づいて求められる前記画像データを補正するための補正量の適用の程度を指定するためのデータであっても良い。かかる場合には、指定した補正量の適用の程度に従う画像データの補正を実現させることができる。また、前記画質調整データは、前記画像データの画質を表す画質パラメータに対応していると共に、前記出力装置における画質調整処理の基準値として用いられる、複数の基準画質パラメータ値の修正の傾向を指定するためのデータであっても良い。画質調整データが基準画質パラメータ値の修正の傾向を指定するためのデータの場合には、出力装置または画像処理装置は、指定された傾向に従って単一または複数の基準画質パラメータ値の修正を実行し、修正された基準画質パラメータ値に基づいて画質調整処理を実行することができる。さらに、前記画質調整データは、前記撮影条件毎に、少なくとも、コントラスト、明るさ、カラーバランス、彩度、シャープネス、記憶色、およびノイズ除去についての前記基準画質パラメータの修正の傾向を示すデータを含んでも良い。
【0024】
本発明の第6の態様に係る画像ファイル生成装置において、
前記画質調整処理条件指定手段は、
前記画質調整処理条件を表示する表示手段と、
前記画質調整処理条件を選択、決定するための決定手段とを備えても良い。
【0025】
本発明の第6の態様に係る画像ファイル生成装置において、前記画像ファイル生成手段は、前記画質調整データを前記画像ファイルのユーザ定義領域内に格納しても良い。本発明の第6の態様に係る画像ファイル生成装置はさらに、前記出力装置にて出力するために用いられる画像データを生成する画像データ生成手段を備えても良い。かかる場合には、生成した画像データに対応して画質調整データを生成することができる。
【0026】
本発明の第7の態様は、画質調整処理が実行された画像データを出力する出力装置において用いられ得る画像ファイルを生成するプログラムを提供する。本発明の第7の態様に係るプログラムは、前記出力装置にて出力するための画像データを取得する機能と、前記出力装置において実行される前記画像データの画質調整処理の条件を指定する機能と、前記指定した画質調整処理条件に基づいて画質調整データを生成する機能と、前記生成した画像データと画像出力制御データとを含む一つの画像ファイルを生成する機能とをコンピュータに実現させることを特徴とする。
【0027】
本発明の第7の態様に係るプログラムは、本発明の第6の態様に係る画像処理装置と作用効果を奏すると共に、本発明の第6の態様と同様にして種々の態様にて実現される。
【0028】
本発明の第8の態様は、画像データと、画像データの画質補正時に用いられる画像処理制御情報とを1つのファイル内に含む画像ファイルから画像データを出力する画像処理システムを提供する。本発明の第8の態様に係る画像処理システムは、
前記画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データの画質調整処理の条件を指定する画質調整処理条件指定手段と、
前記指定された画質調整処理条件に基づいて、画質調整データを生成する画質調整データ生成手段と、
前記取得された画像データと画像出力制御データとを含む一つの画像ファイルを生成する画像ファイル生成手段とを
備える画像ファイル生成装置と、
前記画像データを解析して、前記画像データの画質特性情報を取得する画質特性情報取得手段と、
前記画質調整処理条件および前記取得された画質特性情報を反映して、前記画像データの画質を調整する画質調整手段とを
備える画像処理装置とを
備えることを特徴とする。
【0029】
本発明の第8の態様に係る画像処理システムによれば、本発明の第1ないし第5の態様および本発明の第6並びに第7の態様によりもたらされる双方の作用効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る画像ファイルの画像調整について以下の順序にて図面を参照しつつ、いくつかの実施例に基づいて説明する。
A.画像処理システムの構成:
B.画像ファイルの構成:
C.画像出力装置の構成:
D.ディジタルスチルカメラにおける画像処理:
E.プリンタにおける画像処理:
F.その他の実施例:
【0031】
A.画像処理システムの構成:
第1の実施例に係る画像処理装置を適用可能な画像処理システムの構成について図1および図2を参照して説明する。図1は第1実施例に係る画像処理装置を適用可能な画像処理システムの一例を示す説明図である。図2は第1実施例に係る画像処理装置が出力する画像ファイル(画像データ)を生成可能なディジタルスチルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【0032】
画像処理システム10は、画像ファイルを生成する入力装置としてのディジタルスチルカメラ12、ディジタルスチルカメラ12にて生成された画像ファイルに基づいて画像処理を実行し、画像を出力する出力装置としてのカラープリンタ20を備えている。出力装置としては、プリンタ20の他に、CRTディスプレイ、LCDディスプレイ等のモニタ14、プロジェクタ等が用いられ得るが、以下の説明では、カラープリンタ20を出力装置として用いるものとする。
【0033】
ディジタルスチルカメラ12は、光の情報をディジタルデバイス(CCDや光電子倍増管)に結像させることにより画像を取得するカメラであり、図2に示すように光情報を収集するためのCCD等を備える光学回路121、光学回路121を制御して画像を取得するための画像取得回路122、取得したディジタル画像を加工処理するための画像処理回路123、メモリを備えると共に各回路を制御する制御回路124を備えている。ディジタルスチルカメラ12は、取得した画像をディジタルデータとして記憶装置としてのメモリカードMCに保存する。ディジタルスチルカメラ12における画像データの保存形式としては、JPEG形式が一般的であるが、この他にもTIFF形式、GIF形式、BMP形式、RAW形式等の保存形式が用いられ得る。
【0034】
ディジタルスチルカメラ12はまた、明度、コントラスト、露出補正量(露出補正値)、ホワイトバランス等の個別の画像処理制御パラメータ、および撮影条件に応じて予め複数の画像処理制御パラメータの値が設定されている撮影モードを設定するための選択・決定ボタン126、撮影画像をプレビューしたり、選択・決定ボタン126を用いて撮影モード等を設定するための液晶ディスプレイ127を備えている。選択・決定ボタン126および液晶ディスプレイ127を用いた撮影モード、画質パラメータの設定手順については後述する。
【0035】
本画像処理システム10に用いられるディジタルスチルカメラ12は、画像データGDに加えて画像データの画像処理制御情報GCを画像ファイルGFとしてメモリカードMCに格納する。すなわち、画像処理制御情報GCは、撮影時に画像データGDと共に自動的に画像ファイルGFとしてメモリカードMCに自動的に格納される。ユーザによって、人物、夜景、夕景といった撮影条件に適した撮影モードが選択された場合には、選択された撮影モードに対応する画像処理制御パラメータのパラメータ値を、あるいは、個別に、露光補正量、ホワイトバランス等の画像処理制御パラメータが任意の値に設定されている場合には、設定された画像処理制御パラメータの設定値を画像処理制御情報GCとして含む画像ファイルGFがメモリカードMCに格納される。
【0036】
ディジタルスチルカメラ12において、自動撮影モードにて撮影が実行された場合には、撮影時に自動的に設定された露出時間、ホワイトバランス、絞り、シャッタースピード、レンズの焦点距離等のパラメータの値が画像処理制御パラメータとして取り扱われ、これら画像処理制御パラメータを含む画像ファイルGFがメモリカードMCに格納される。なお、各撮影モードに適用されるパラメータ、およびパラメータ値はディジタルスチルカメラ12の制御回路124内のメモリ上に保有されている。
【0037】
ディジタルスチルカメラ12において生成された画像ファイルGFは、例えば、ケーブルCV、コンピュータPCを介して、あるいは、ケーブルCVを介してカラープリンタ20に送出される。あるいは、ディジタルスチルカメラ12にて画像ファイルGFが格納されたメモリカードMCが、メモリカード・スロットに装着されたコンピュータPCを介して、あるいは、メモリカードMCをプリンタ20に対して直接、接続することによって画像ファイルがカラープリンタ20に送出される。なお、以下の説明では、メモリカードMCがカラープリンタ20に対して直接、接続される場合に基づいて説明する。
【0038】
B.画像ファイルの構成:
図3を参照して本実施例にて用いられ得る画像ファイルの概略構成について説明する。図3は本実施例にて用いられ得る画像ファイルの内部構成の一例を概念的に示す説明図である。画像ファイルGFは、画像データGDを格納する画像データ格納領域101と、画像データの自動画質調整時に参照、適用される画像処理制御情報(画質調整処理条件)GCを格納する画像処理制御情報格納領域102を備えている。画像データGDは、例えば、JPEG形式で格納されており、画像処理制御情報GCはTIFF形式で格納されている。なお、本実施例中におけるファイルの構造、データの構造、格納領域といった用語は、ファイルまたはデータ等が記憶装置内に格納された状態におけるファイルまたはデータのイメージを意味するものである。
【0039】
画像処理制御情報GCは、ディジタルスチルカメラ12等の画像データ生成装置において生成された画像データを、画像処理する際の画像処理条件を指定する情報であり、ユーザにより任意に設定され得る露出時間、ISO感度、絞り、シャッタースピード、焦点距離に関するパラメータ、およびユーザによって任意に設定される露出補正量、ホワイトバランス、撮影モード、ターゲット色空間等の画像処理制御パラメータを含み得る。あるいは、ユーザにより撮影モードが指定されている場合には、撮影に伴い自動的に、指定された撮影モードに関連する画像処理制御パラメータの組み合わせが画像処理制御情報GCとして含まれ得る。
【0040】
本実施例に係る上記画像ファイルGFは、ディジタルスチルカメラ12の他、ディジタルビデオカメラ、スキャナ等の入力装置(画像ファイル生成装置)によっても生成され得る。ディジタルビデオカメラにて生成される場合には、例えば、静止画像データと出力制御情報とを格納する画像ファイル、あるいは、MPEG形式等の動画像データと出力制御情報とを含む動画像ファイルが生成される。この動画像ファイルが用いられる場合には、動画の全部または一部のフレームに対して出力制御情報に応じた出力制御が実行される。
【0041】
本実施例に係る画像ファイルGFは、基本的に上記の画像データ領域101と、画像処理制御情報格納領域102を備えていれば良く、既に規格化されているファイル形式に従ったファイル構造を取ることができる。以下、本実施例に係る画像ファイルGFを規格化されているファイル形式に適合させた場合について具体的に説明する。
【0042】
本実施例に係る画像ファイルGFは、例えば、ディジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格(Exif)に従ったファイル構造を有することができる。Exifファイルの仕様は、電子情報技術産業協会(JEITA)によって定められている。本実施例に係る画像ファイルGFが、このExifファイル形式に従うファイル形式を有する場合のファイル内部の概略構造について図4を参照して説明する。図4はExifファイル形式にて格納されている本実施例に係る画像ファイルGFの概略的な内部構造を示す説明図である。
【0043】
Exifファイルとしての画像ファイルGFEは、JPEG形式の画像データを格納するJPEG画像データ格納領域111と、格納されているJPEG画像データに関する各種情報を格納する付属情報格納領域112とを備えている。JPEGデータ格納領域111は、上記画像データ格納領域101に相当し、付属情報格納領域112は、上記画像処理制御情報格納領域102に相当する。すなわち、付属情報格納領域112には、撮影日時、露出、シャッター速度、ホワイトバランス、露出補正量、ターゲット色空間等といったJPEG画像を出力する際に参照される画像処理制御情報GC(画質調整処理条件)が格納されている。また、付属情報格納領域112には、画像処理制御情報GCに加えてJPEG画像データ格納領域111に格納されているJPEG画像のサムネイル画像データがTIFF形式にて格納されている。なお、当業者にとって周知であるように、Exif形式のファイルでは、各データを特定するためにタグが用いられており、各データはタグ名によって呼ばれることがある。
【0044】
付属情報格納領域112の詳細なデータ構造について図5を参照して説明する。図5は本実施例に用いられ得る画像ファイルGFの付属情報格納領域112のデータ構造の一例を示す説明図である。
【0045】
付属情報格納領域112には、図示するように露出時間、レンズF値、露出制御モード、ISO感度、露出補正量、ホワイトバランス、フラッシュ、焦点距離、撮影モード等の画像処理制御情報GCに対するパラメータ値が既定のアドレスまたはオフセット値に従って格納されている。出力装置側では、所望の情報(パラメータ)に対応するアドレスまたはオフセット値を指定することにより画像処理制御情報GCを取得することができる。なお、画像処理制御情報GCは、付属情報格納領域112内の未定義領域であって、ユーザに解放されているユーザ定義領域内に格納されている。
【0046】
C.画像出力装置の構成:
図6を参照して本実施例に係る画像出力装置、すなわち、カラープリンタ20の概略構成について説明する。図6は本実施例に係るカラープリンタ20の概略構成を示すブロック図である。
【0047】
カラープリンタ20は、カラー画像の出力が可能なプリンタであり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の色インクを印刷媒体上に噴射してドットパターンを形成することによって画像を形成するインクジェット方式のプリンタである。あるいは、カラートナーを印刷媒体上に転写・定着させて画像を形成する電子写真方式のプリンタである。色インクには、上記4色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)、ライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)を用いても良い。
【0048】
カラープリンタ20は、図示するように、キャリッジ21に搭載された印字ヘッド211を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、このキャリッジ21をキャリッジモータ22によってプラテン23の軸方向に往復動させる機構と、紙送りモータ24によって印刷用紙Pを搬送する機構と、制御回路30とから構成されている。キャリッジ21をプラテン23の軸方向に往復動させる機構は、プラテン23の軸と並行に架設されたキャリッジ21を摺動可能に保持する摺動軸25と、キャリッジモータ22との間に無端の駆動ベルト26を張設するプーリ27と、キャリッジ21の原点位置を検出する位置検出センサ28等から構成されている。印刷用紙Pを搬送する機構は、プラテン23と、プラテン23を回転させる紙送りモータ24と、図示しない給紙補助ローラと、紙送りモータ24の回転をプラテン23および給紙補助ローラに伝えるギヤトレイン(図示省略)とから構成されている。
【0049】
制御回路30は、プリンタの操作パネル29と信号をやり取りしつつ、紙送りモータ24やキャリッジモータ22、印字ヘッド211の動きを適切に制御している。カラープリンタ20に供給された印刷用紙Pは、プラテン23と給紙補助ローラの間に挟み込まれるようにセットされ、プラテン23の回転角度に応じて所定量だけ送られる。
【0050】
キャリッジ21にはインクカートリッジ212とインクカートリッジ213とが装着される。インクカートリッジ212には黒(K)インクが収容され、インクカートリッジ213には他のインク、すなわち、シアン(C),マゼンタ(M),イエロ(Y)の3色インクの他に、ライトシアン(LC),ライトマゼンタ(LM),ダークイエロ(DY)の合計6色のインクが収納されている。
【0051】
次に図7を参照してカラープリンタ20の制御回路30の内部構成について説明する。図7は、カラープリンタ20の制御回路30の内部構成を示す説明図である。図示するように、制御回路30の内部には、CPU31,PROM32,RAM33,メモリカードMCからデータを取得するPCMCIAスロット34,紙送りモータ24やキャリッジモータ22等とデータのやり取りを行う周辺機器入出力部(PIO)35,タイマ36,駆動バッファ37等が設けられている。駆動バッファ37は、インク吐出用ヘッド214ないし220にドットのオン・オフ信号を供給するバッファとして使用される。これらは互いにバス38で接続され、相互にデータにやり取りが可能となっている。また、制御回路30には、所定周波数で駆動波形を出力する発振器39、および発振器39からの出力をインク吐出用ヘッド214ないし220に所定のタイミングで分配する分配出力器40も設けられている。
【0052】
制御回路30は、メモリカードMCから画像ファイルGFを読み出し、付属情報AIを解析し、解析した制御情報AIに基づいて画像処理を実行する。制御回路30は、紙送りモータ24やキャリッジモータ22の動きと同期を採りながら、所定のタイミングでドットデータを駆動バッファ37に出力する。制御回路30によって実行される詳細な画像処理の流れについては後述する。
【0053】
D.ディジタルスチルカメラにおける画像処理:
以下、図8を参照してディジタルスチルカメラ12における画像処理について説明する。図8はディジタルスチルカメラ12における画像ファイルGFの生成処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
ディジタルスチルカメラ12の制御回路124は、撮影に先立ってユーザによって撮影モード、または、ホワイトバランス、露出補正量等の画像処理制御情報(画像処理制御パラメータ)が設定されているか否かを判定する(ステップS100)。これら画像処理制御情報の設定は、選択・設定ボタン126を操作して、液晶ディスプレイ127上に表示される、予め用意されている撮影モードの中からユーザが選択することにより実行される。あるいは、同様に選択・設定ボタン126を操作して、液晶ディスプレイ127上にて明度、コントラスト等の画像処理制御パラメータの値をユーザが設定することにより実行される。
【0055】
選択・設定ボタン126を用いて液晶ディスプレイ127上にて画像処理制御パラメータを設定する手順について図9〜図11を参照して説明する。図9〜図11は、液晶ディスプレイ127の例示的な表示態様を示す説明図である。選択・設定ボタン126を操作して液晶ディスプレイ127上に表示されている「画像処理制御」領域A1を選択すると(図9参照)、「撮影モード」領域A2および「画像処理制御パラメータ」領域A3が液晶ディスプレイ127上に表示される(図10参照)。撮影モードは番号1,2...によって設定され、画像処理制御パラメータは、所望の数字を入力することによって設定される。例えば、撮影モードのいずれかが設定された場合には、図11に示すように、設定された撮影モードにおいて設定された個々の画像処理制御パラメータの設定状態が液晶ディスプレイ127上に表示される。なお、この例示では、各画像処理制御パラメータの設定状態は、ユーザに分かり易い態様にて表示されているが、パラメータ値が表示されても良い。
【0056】
制御回路124は、画像処理制御情報が設定されていると判定した場合には(ステップS100:Yes)、撮影要求、例えば、シャッターボタンの押し下げに応じて、設定された画像処理制御情報によって規定されるパラメータ値を用いて画像データGDを生成する(ステップS110)。制御回路124は、生成した画像データGDと、任意設定された補正条件および自動的に付与される補正条件を含む画像処理制御情報GCとを画像ファイルGFとしてメモリカードMCに格納して(ステップS120)、本処理ルーチンを終了する。ディジタルスチルカメラ12において生成されたデータは、RGB色空間から変換され、YCbCr色空間によって表される。
【0057】
これに対して、制御回路124は、画像処理制御情報が設定されていないと判定した場合には(ステップS100:No)、撮影要求に応じて画像データGDを生成する(ステップS130)。制御回路124は、生成した画像データGDと、画像データ生成時に自動的に付与される補正条件を含む画像処理制御情報GCとを画像ファイルGFとしてメモリカードMCに格納し(ステップS140)、本処理ルーチンを終了する。なお、画像処理制御情報GCは、既述の通り、所定のファイル形式を有するファイル構造の中のユーザ定義領域内に格納される。
【0058】
ディジタルスチルカメラ12において実行される以上の処理によって、メモリカードMCに格納されている画像ファイルGFには画像データGDと共に画像データ生成時に自動的に付与される補正条件および任意に設定される補正条件を含む画像処理制御情報GCが備えられることとなる。
【0059】
E.カラープリンタ20における画像処理:
図12〜図15を参照して本実施例に係るカラープリンタ20における画像処理について説明する。図12は本実施例に係るカラープリンタ20における画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図13はカラープリンタ20における画像処理の流れを示すフローチャートである。図14はカラープリンタ20における自動画質調整処理の概念を示す説明図である。図15はカラープリンタ20における自動画質調整の処理ルーチンを示すフローチャートである。なお、本実施例に従うカラープリンタ20における画像処理は、色空間変換処理を先に実行し、後に自動画質調整を実行する。
【0060】
カラープリンタ20の制御回路30(CPU31)は、スロット34にメモリカードMCが差し込まれると、メモリカードMCから画像ファイルGFを読み出し、読み出した画像ファイルGFをRAM33に一時的に格納する(ステップS100)。CPU31は読み出した画像ファイルGFの付属情報格納領域102から画像データ生成時の情報を示す画像処理制御情報GCを検索する(ステップS110)。CPU31は、画像処理制御情報を検索・発見できた場合には(ステップS120:Yes)、画像データ生成時の画像処理制御情報GCを取得して解析する(ステップS130)。CPU31は、解析した画像処理制御情報GCに基づいて後に詳述する画像処理を実行し(ステップS140)、処理された画像データをプリントアウトする(ステップS150)。
【0061】
CPU31は、画像処理制御情報を検索・発見できなかった場合には(ステップS120:No)、画像データ生成時における画像処理制御情報を反映させることができないので、カラープリンタ20が予めデフォルト値として保有している画像処理制御情報、すなわち、各種パラメータ値をROM32から取得して通常の画像処理を実行する(ステップS160)。CPU31は、処理した画像データをプリントアウトして(ステップS150)、本処理ルーチンを終了する。
【0062】
カラープリンタ20において実行される画像処理について図13を参照して詳細に説明する。カラープリンタ20のCPU31は、読み出した画像ファイルGFから画像データGDを取りだす(ステップS200)。ディジタルスチルカメラ12は、既述のように画像データをJPEG形式のファイルとして保存しており、JPEGファイルでは、圧縮率を高くするためにYCbCr色空間を用いて画像データを保存している。
【0063】
CPU31は、YCrCb色空間に基づく画像データをRGB色空間に基づく画像データに変換するために3×3マトリックス演算Sを実行する(ステップS210)。マトリックス演算Sは以下に示す演算式である。
【0064】
【数1】

【0065】
CPU31は、こうして得られたRGB色空間に基づく画像データに対して、ガンマ補正、並びに、マトリックス演算Mを実行する(ステップS220)。ガンマ補正を実行する際には、CPU31は画像処理制御情報GCからDSC側のガンマ値を取得し、取得したガンマ値を用いて映像データに対してガンマ変換処理を実行する。すなわち、ガンマ値も画像処理制御情報GCによって指定される画像処理制御パラメータ値に含まれる。マトリックス演算MはRGB色空間をXYZ色空間に変換するための演算処理である。本実施例において用いられる画像ファイルGFは、画像処理時に用いるべき色空間情報を指定することができるので、画像ファイルGFが色空間情報を含んでいる場合には、CPU31は、マトリックス演算Mを実行するに際して、色空間情報を参照し、指定された色空間に対応するマトリックス(M)を用いてマトリックス演算を実行する。マトリックス演算Mは以下に示す演算式である。
【0066】
【数2】

【0067】
マトリックス演算Mの実行後に得られる画像データGDの色空間はXYZ色空間である。従来は、プリンタまたはコンピュータにおける画像処理に際して用いられる色空間はsRGBに固定されており、ディジタルスチルカメラ12の有する色空間を有効に活用することができなかった。これに対して、本実施例では、画像ファイルGFによって色空間が指定されている場合には、色空間情報に対応してマトリックス演算Mに用いられるマトリックス(M)を変更するプリンタ(プリンタドライバ)を用いている。したがって、ディジタルスチルカメラ12の有する色空間を有効に活用して、正しい色再現を実現することができる。
【0068】
CPU31は、画像処理制御情報GCに基づく画像調整を実行するために、画像データGDの色空間をXYZ色空間からwRGB色空間へ変換する処理、すなわち、マトリックス演算N-1および逆ガンマ補正を実行する(ステップS230)。なお、wRGB色空間はsRGB色空間よりも広い色空間である。ガンマ補正を実行する際には、CPU31はROM32からプリンタ側のデフォルトのガンマ値を取得し、取得したガンマ値の逆数を用いて映像データに対して逆ガンマ変換処理を実行する。マトリックス演算N-1を実行する場合には、CPU31はROM31からwRGB色空間への変換に対応するマトリックス(N-1)を用いてマトリックス演算を実行する。マトリックス演算N-1は以下に示す演算式である。
【0069】
【数3】

【0070】
マトリックス演算N-1実行後に得られる画像データGDの色空間はwRGB色空間である。このwRGB色空間は既述のように、sRGB色空間よりも広い色空間であり、ディジタルスチルカメラ12によって生成可能な色空間に対応している。
【0071】
CPU31は、画像画質の自動調整処理を実行する(ステップS240)。本実施例における画質自動調整処理の概念について図14を参照して説明する。画像ファイルGFには、画質調整の対象となる画像データGDと画質調整に際して用いられる画像処理制御情報GCが含まれている。カラープリンタ20(CPU31)は、画像データGDを解析して画像データGDの特性を示す画像統計値(特性パラメータ値)SVを取得すると共に、画像処理制御情報GCを解析して基準画質パラメータ値SP、および手動補正パラメータ値MPを取得する。カラープリンタ20は、画像統計値SVおよび基準画質パラメータ値SPに基づいて自動画質調整パラメータAPを決定し、さらに、最終画質調整パラメータFP=AP+MPを決定する。カラープリンタ20は、決定した最終画質調整パラメータFPを用いて画像データGDの画質を調整し、調整済みの画像データGD’をプリンタドライバへ出力する。
【0072】
この自動画質調整処理の詳細について図15を参照して詳細に説明する。CPU31は、先ず、画像データGDを解析して画像データGDの特性を示す各種の特性パラメータ値(画像統計値)SVを取得し、RAM32に一時的に格納する(ステップS300)。CPU31は、画像ファイルGFから画像処理制御情報GCを取得し(ステップS310)、画像処理制御情報GCに基づいて手動補正パラメータ値MPを取得する(ステップS320)。手動補正パラメータ値MPとして取得されるパラメータには、ホワイトバランス、露出補正量、露出時間、絞り、ISO、焦点距離等といった画像処理制御パラメータが含まれる。これら手動補正パラメータ値MPは、画像データGDの解析結果、すなわち、画像統計値SVとは独立した値であり、最終画質調整パラメータFPにそのままの値が反映される。
【0073】
CPU31は、取得した画像処理制御情報GCに撮影モードを指定するパラメータ値が含まれているか否かを判定する(ステップS320)。本実施例では、自動画質調整パラメータ値AP、すなわち、画像データGDの画像統計値SVを反映した自動画質調整量、を決定するにあたって、撮影シーン毎に複数の異なる画像処理制御パラメータが組み合わされた撮影モードを用いる。また、本実施例では、撮影モードは1,2...といった参照番号によって指定されるので、撮影モードが指定されている場合には、参照番号に基づいて各撮影モードを定義する個々の画像処理制御パラメータを解析、決定する必要が有る。CPU31は、撮影モードの指定がなされていると判定した場合には(ステップS330:Yes)、指定された参照番号に基づいて撮影モードを解析して撮影モードを定義する各画像処理制御パラメータを取得して、後述する手順にて基準画質パラメータ値SPを決定する(ステップS340)。なお、撮影モードが設定されている場合であっても、手動補正パラメータ値MPを並列して指定することができるのは既述の通りである。
【0074】
撮影モードを定義する各画像処理制御パラメータの組み合わせと、撮影モードを指定する数値の組み合わせは図16に示すとおりである。図16は、撮影モード、画質パラメータ、撮影モードを指定する数値の組み合わせの一例を示す説明図である。各撮影モードに対するコントラスト、明るさといった項目は、画質自動調整の結果として得られる画質の状態をわかりやすく示しており、各項目が指定する画質の状態はCPU31によって解析され、指定された画質の状態を実現するために、各項目に対して単数、または、複数の画像処理制御パラメータ値が設定される。撮影モード1は、例えば、標準的な撮影条件に適し、撮影モード2は、例えば、人物を撮影する撮影条件に適し、撮影モード3は、例えば、風景を撮影する撮影条件に適し、撮影モード4は、例えば、夕景を撮影する撮影条件に適し、撮影モード5は、例えば、夜景を撮影する撮影条件に適し、撮影モード6は、例えば、花を撮影する撮影条件に適する。撮影モード7は、例えば、マクロ撮影の撮影条件に適し、撮影モード8は、例えば、スポーツをしている人物を撮影する撮影条件に適し、撮影モード9は、例えば、逆光下での撮影条件に適し、撮影モード10は、例えば、紅葉を撮影する撮影条件に適し、撮影モード11は、例えば、記念撮影を撮影する撮影条件に適する。なお、撮影モードが設定されていない場合には、設定されている撮影モードを示すパラメータは、0に設定される。
【0075】
CPU31は、撮影モードの指定がなされていない、すなわち、撮影モードのパラメータが0に設定されている判定した場合には(ステップS330:No)、画質調整処理において個々に設定されている画像処理制御パラメータを反映するためステップS350の処理に進む。
【0076】
CPU31は、取得した画像処理制御パラメータの値を反映しつつ、各パラメータ毎に設定されている基準値を変更(修正)する。各パラメータ毎に設定されている基準値は、一般的な画像生成条件にて生成された画像データを想定した値である。そこで、撮影者(画像生成者)の意図を正しく反映した自動画質調整を実現するために、特に、撮影者が任意に設定可能な画像処理制御条件について、個々の画像処理制御条件を考慮して、基準値を変更する。なお、基準値は、定量評価と感応評価による画像評価によって予め定められた画像の出力結果が最適となるパラメータの指標値である。
【0077】
例えば、撮影モードのパラメータが2に設定されている場合、明度基準値は標準値128からやや明るい値144に変更され、彩度基準値は標準値128からやや弱い値102に変更され、シャープネス基準値は標準値200からやや弱い値150に変更される。また、コントラスト補正係数は標準値5からやや軟調な値2に変更され、カラーバランス補正係数は標準値5のまま維持される。各基準値、各係数の変更は、例えば、各基準値および各係数に対して数値を増減することにより、または、各基準値および各係数を所定の割合で増減することによって実現される。あるいは、例えば、明度基準値については、やや明るい値として144、やや暗い値として112をデフォルト値として用意しておき、やや明るい、やや暗いといった補正の傾向に応じて基準値を置き換えても良い。
【0078】
CPU31は、上記のようにして修正された基準画質パラメータ値SPと画質パラメータ値SVとの偏差を求め、その偏差を自動画質調整パラメータ値APに決定する(ステップS350)。例えば、画質パラメータ値SVとして、明度160、シャープネス155の場合には、明度についての自動画質調整パラメータ値AP=160−144=16、シャープネスについての自動画質調整パラメータ値AP=155−150=5となる。
【0079】
CPU31は、図17に示すように、決定した自動画質調整パラメータ値APと取得した手動補正パラメータ値MPとから最終画質調整パラメータFP(画像データ補正量)=AP+MPを求め、最終画質調整パラメータFPを反映して自動画質調整を実行する(ステップS360)。図17は、明度、シャープネスについて、各パラメータAP、MP、FP、FP’の例示値を示す説明図である。例えば、手動補正パラメータ値MPとして、明度+10、シャープネス−10が設定されている場合には、明度についての最終画質調整パラメータFP=16+10=26、シャープネスについての最終画質調整パラメータFP=5−10=−5となる。CPU31は、シャドウ、ハイライト、明度、コントラスト、カラーバランス、記憶色補正の各画質パラメータに対しては、図18に示す画像データGDのRGB成分の入力レベルと出力レベルとを対応付けるトーンカーブ(Sカーブ)を用いて画質の調整を実行する。図18は最終画質調整パラメータFPを反映して変更されるトーンカーブを例示する説明図である。トーンカーブを用いて画質を調整する場合には、各画質パラメータに対する各FPを反映して、RGBの各成分についてそれぞれの1つのトーンカーブを変更し、最後に、変更したRGBの各成分に対応する各トーンカーブを用いて画像データGDのRGBの各成分について入力−出力変換を行う。この結果、画質が調整された画像データGDが得られる。
【0080】
各画質パラメータに対する画質の自動調整処理は、例えば、以下のように具体的に実行される。
・コントラスト、シャドー、ハイライトについては、画像データからシャドウポイントとハイライトポイントとを検出して基準値に基づくレベル補正を実行し、ヒストグラムの伸張を実行する。また、輝度標準偏差に基づいて、基準値に基づいてトーンカーブの補正を実行する。
・明るさについては、画像データを14分割した個々の領域から計算される輝度値に基づいて、画像が暗い(露出不足)か明るい(露出超過)であるかを判定し、基準値に基づいてトーンカーブの補正を実行する。
・カラーバランスについては、画像データのR成分、G成分、B成分の各ヒストグラムからカラーバランスの偏りを分析し、R成分、G成分、B成分の各トーンカーブをRGB各成分に対する基準値に基づいてそれぞれ補正して色かぶりを軽減する。なお、撮影モードが4,5に設定されている場合には、たとえ色かぶりが発生していても意図的な色かぶりであるため、カラーバランスの自動調整は実行せず、ユーザの意図を反映させた画質補正を実行する。
・彩度については、画像データの彩度分布を分析し、基準値に基づいて彩度の強調を実行する。したがって、低彩度の画像データほど彩度強調のレベルが大きくなる。
・シャープネスについては、画像データの周波数とエッジの強度分布を解析し、基準値に基づいてアンシャープマスクを実施することにより補正が実行される。基準値は、周波数分布に基づいて決定され、高周波画像データ(風景等)ほど基準値が小さくなり、低周波画像データ(人物等)ほど基準値が大きくなる。また、アンシャープマスクの適用量は、エッジ強度分布に依存しており、ぼけた特性を有する画像データほどその適用量が大きくなる。
・記憶色については、一般的に、記憶色と呼ばれる「肌色」、「緑色」、「空色」、「夕陽の赤色」等について、画像データから該当する画層を抽出し、好ましいと思われる色になるよう補正を実行する。
・ノイズ除去については、YCbCrの色差成分CbCrについて平滑化フィルタを作用させることによって、カラーノイズを軽減することにより実行する。
【0081】
画像処理制御パラメータには、最終画質調整パラメータFPの適用のレベル、すなわち、画像データDGを基準値に基づく画像データに近づける程度を指定するレベル指定パラメータLPも含まれる。レベル指定パラメータLPは、例えば、FP’=AP*(LP/5)+MPといったように用いられ、自動補正パラメータ値APに対してのみ反映され、手動補正パラメータ値MPには反映されない。したがって、例えば、LP=10の場合には、図17に示すように最終画質調整パラメータAPの値が2倍され、LP=5の場合には、最終画質調整パラメータAPの値は1倍される。トーンカーブは、FP’に基づいて変更され、LP=10の場合には、トーンカーブの変更量が2倍となる。また、基準値を変更することなく、基準値へ近づけるレベルのみを画像処理制御情報GCに基づいて変更しても良い。
【0082】
次に、測光方式、レンズ焦点距離といったディジタルスチルカメラ12の作動(撮影)条件に対応する画像処理制御パラメータを反映した画質自動調整処理について説明する。測光方式の画像処理制御パラメータが、スポット測光、マルチスポット測光、部分測光を示す場合には、明度(明るさ)についての自動画質調整処理を行わない。一般的な測光方式では、画面全体の明るさを演算して適正露出を取得するが、スポット測光では、画面の部分的な明るさを測光して、測光した領域が適正になるように露出を決定する。つまり、ユーザによって、画面の特定の領域を適正露出にして欲しいとの意図が指示されることになる。このような場合に、明度を自動調整してしまうと、ユーザの意図が反映されない画質調整処理が実行されることになる。したがって、これら3つの測光モードの時には、明度の自動調整を実行しない。
【0083】
撮影時におけるレンズ焦点距離とFナンバーとに基づいて、シャープネスの基準値を変更する。一般的に、「ぼけ」はレンズの焦点距離とFナンバー(絞り)とによって決定される。したがって、シャープネスを自動調整する際に、シャープネスに対応する基準値をレンズ焦点距離とFナンバーとに関連づけることによって、撮影時に想定されたぼけを反映した画質調整処理を実行することができる。例えば、広角レンズ(35mm以下)でF13(絞り大)の場合、一般的に、風景や記念撮影などで手前から背景に至るまで画面全体にわたってピントを合わせてシャープに撮影したいという意図が撮影者にはあるものと判定することができる。そこで、かかる場合には、シャープネスの基準値を小さくしてより多くの画祖にシャープネス効果を与え、シャープネスの適用量を多くしてよりシャープになるように画質調整を実行する。一方、望遠レンズ(100mm以上)でF2(絞り開放)の場合、一般的に、ポートレイトなどで、被写体を浮き上がらせるために背景をぼかしたいという意図が撮影者にはあるものと判定することができる。そこで、かかる場合には、シャープネスの基準値を大きくして、肌などの滑らかな領域にはシャープネス効果を与えず、背景と被写体との境界画素にのみシャープネス効果を与え、シャープネスの適用量を小さくして、肌などを荒らさないように画質調整処理を実行する。
【0084】
レンズ焦点距離f(mm)とFナンバーとから求められるぼかし指数をf/Fと定義すると図19に示すような関係となる。図19はレンズ焦点距離f(mm)とFナンバーとから求められるぼかし指数をf/Fを説明する説明図である。
【0085】
CPU31は、上記の画質自動調整を実行した後(ステップS360)、メインルーチンである画像処理ルーチンにリターンする。
【0086】
CPU31は、画質自動調整処理を終了すると、印刷のためのwRGB色変換処理およびハーフトーン処理を実行する(ステップS250)。wRGB色変換処理では、CPU31は、ROM31内に格納されているwRGB色空間に対応したCMYK色空間への変換用ルックアップテーブル(LUT)を参照し、画像データの色空間をwRGB色空間からCMYK色空間へ変更する。すなわち、R・G・Bの階調値からなる画像データをカラープリンタ20で使用する、例えば、C・M・Y・K・LC・LMの各6色の階調値のデータに変換する。
【0087】
ハーフトーン処理では、色変換済みの画像データを受け取って、階調数変換処理を行う。本実施例においては、色変換後の画像データは各色毎に256階調幅を持つデータとして表現されている。これに対し、本実施例のカラープリンタ20では、「ドットを形成する」,「ドットを形成しない」のいずれかの状態しか採り得ず、本実施例のカラープリンタ20は局所的には2階調しか表現し得ない。そこで、256階調を有する画像データを、カラープリンタ20が表現可能な2階調で表現された画像データに変換する。この2階調化(2値化)処理の代表的な方法として、誤差拡散法と呼ばれる方法と組織的ディザ法と呼ばれる方法とがある。
【0088】
カラープリンタ20では、色変換処理に先立って、画像データの解像度が印刷解像度よりも低い場合は、線形補間を行って隣接画像データ間に新たなデータを生成し、逆に印刷解像度よりも高い場合は、一定の割合でデータを間引くことによって、画像データの解像度を印刷解像度に変換する解像度変換処理を実行する。また、カラープリンタ20は、ドットの形成有無を表す形式に変換された画像データを、カラープリンタ20に転送すべき順序に並べ替えてるインターレス処理を実行する。
【0089】
以上、説明したように本実施例におけるディジタルスチルカメラ12によれば、ディジタルスチルカメラ12上において、プリンタ20において実行される画質調整処理における画像処理制御条件を設定することができる。したがって、撮影時に、画像データに対する所望の画像処理制御条件を設定することが可能となり、撮影時に望んでいた画像処理制御条件を適切に反映した画質調整処理を実現することができる。また、画像データと撮影時に想定した画像処理制御条件とを容易に関連付けることができると共に、各画像データに適した個々の画像処理制御条件を付すことができる。さらに、画像データの画質を自動調整する際に、改めて画像処理制御条件を設定する必要がなく、画像処理制御条件を反映した画質調整処理を容易化することができる。
【0090】
また、本実施例におけるカラープリンタ20によれば、画像ファイルGF内に含まれる画像処理制御情報GCを反映して画像データGDの画質を自動調整することができる。したがって、撮影時の撮影条件を反映して、個々の画像データに適した画質自動調整を実行することができる。さらに、ユーザによって恣意的に画像データの画質調整条件が設定されている場合には、恣意的に設定された画像処理制御条件を反映して画質自動調整が実行されるので、恣意的な出力画質調整条件が修正され、ユーザの意図を反映することができないという、従来の画質自動調整機能における問題を解決することができる。
【0091】
また、画像ファイルGFに含まれている画像処理制御情報GCを用いて自動的に画質を調整することができるので、フォトレタッチアプリケーションまたはプリンタドライバ上で画質調整を行うことなく、手軽にユーザの撮影意図を反映した、高品質の印刷結果を得ることができる。
【0092】
なお、上記実施例では、自動的に画質調整処理を実行する例について説明しているが、カラープリンタ20の操作パネル上に画質自動調整ボタンを供え、かかる画質自動調整ボタンによって画質自動調整が選択されている場合にだけ、上記実施例の画質自動調整処理を実行するようにしても良い。
【0093】
F.その他の実施例:
上記実施例では、画像処理制御情報GCを反映するにあたって、画像処理制御情報GCを解析し、画像処理制御パラメータを取得して基準値、適用レベルを変更しているが、画像処理制御情報GCに基づいて画像データGDを直接補正しても良い。このとき、画像処理制御情報GCは、画像データGDをどの程度変化させるか、例えば、明度の補正量を+10増加させる、明度を+10%増加させるといった情報を有すればよい。かかる場合には、画像データGDの画質特性に左右されることなく、ユーザの意図する補正の傾向を画質調整処理に反映することができる。
【0094】
上記実施例では、パーソナルコンピュータPCを介することなく、カラープリンタ20において全ての画像処理を実行し、生成された画像データGDに従って、ドットパターンが印刷媒体上に形成されるが、画像処理の全て、または、一部をコンピュータ上、ネットワークを介したサーバ上で実行するようにしても良い。この場合には、コンピュータのハードディスク等にインストールされている、レタッチアプリケーション、プリンタドライバといった画像データ処理アプリケーション(プログラム)に図14を参照して説明した画像処理機能を持たせることによって実現される。ディジタルスチルカメラ12にて生成された画像ファイルGFは、ケーブルを介して、あるいは、メモリカードMCを介してコンピュータに対して提供される。コンピュータ上では、ユーザの操作によってアプリケーションが起動され、画像ファイルGFの読み込み、画像処理制御情報GCの解析、画像データGDの変換、調整が実行される。あるいは、メモリカードMCの差込を検知することによって、またあるいは、ケーブルの差込を検知することによって、アプリケーションが自動的に起動し、画像ファイルGFの読み込み、画像処理制御情報GCの解析、画像データGDの変換、調整が自動的になされても良い。
【0095】
さらに、画質自動調整を実行する特性パラメータ値を選択できるようにしても良い。例えば、カラープリンタ20にパラメータの選択ボタン、あるいは、被写体に応じて所定のパラメータの組み合わせた撮影モードパラメータの選択ボタンを供え、これら選択ボタンによって画質自動調整を実行するパラメータを選択しても良い。また、画質自動調整がパーソナルコンピュータ上で実行される場合には、プリンタドライバまたはレタッチアプリケーションのユーザーインタフェース上にて画質自動調整を実行するパラメータが選択されても良い。
【0096】
カラープリンタ20における画像処理は、図20に示すように画質自動調整処理を先に実行し、後に色空間の変換を実行しても良い。基本情報を処理しても良い。
【0097】
上記実施例では、共に出力装置としてカラープリンタ20を用いているが、出力装置にはCRT、LCD、プロジェクタ等の表示装置を用いることもできる。かかる場合には、出力装置としての表示装置によって、例えば、図12、図13等を用いて説明した画像処理を実行する画像処理プログラム(ディスプレイドライバ)が実行される。あるいは、CRT等がコンピュータの表示装置として機能する場合には、コンピュータ側にて画像処理プログラムが実行される。ただし、最終的に出力される画像データは、CMYK色空間ではなくRGB色空間を有している。
【0098】
かかる場合には、カラープリンタ20を介した印刷結果に画像データ生成時の情報を反映できたのと同様にして、CRT等の表示装置における表示結果に画像データ生成時の画像処理制御情報GCを反映することができる。したがって、ディジタルスチルカメラ12によって生成された画像データGDをより正確に表示させることができる。
【0099】
以上、実施例に基づき本発明に係る出力装置、画像処理装置、プログラムを説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0100】
上記実施例では、ディジタルスチルカメラ12において撮影モード、画像処理制御パラメータが設定され、設定された撮影モード、画像処理制御パラメータをプリンタ20において解析した後に、基準値を変更している。すなわち、画像処理制御コマンドを用いて画像データGDの自動画質調整処理が実行されている。しかしながら、ディジタルスチルカメラ12において撮影モード、画像処理制御パラメータから基準値を変更する処理を実行し、プリンタ20に対しては基準値、適用レベル、すなわち、値そのものを提供するようにしてもよい。かかる場合には、プリンタ20には基準値を用いた画質調整機能が備わっていれば、個々の撮影条件にあった画質調整処理、ユーザの意図を反映した画質調整処理を自動的に実行することができる。
【0101】
上記実施例では、画像処理制御情報GCとして、光源、露出補正量、ターゲット色空間、明るさ、シャープネスといったパラメータを用いているが、どのパラメータを画像処理制御情報GCとして用いるかは任意の決定事項である。
【0102】
また、図8の表に例示した各パラメータの値は、あくまでも例示に過ぎず、この値によって本願に係る発明が制限されることはない。さらに、各数式におけるマトリックスS、M、N-1の値は例示に過ぎず、ターゲットとする色空間、あるいは、カラープリンタ20において利用可能な色空間等によって適宜変更され得ることはいうまでもない。
【0103】
上記実施例では、画像ファイル生成装置としてディジタルスチルカメラ12を用いて説明したが、この他にもスキャナ、ディジタルビデオカメラ等が用いられ得る。スキャナを用いる場合には、画像ファイルGFの取り込みデータ情報の指定はコンピュータPC上で実行されても良く、あるいは、スキャナ上に情報設定用に予め設定情報が割り当てられているプリセットボタン、任意設定のための表示画面および設定用ボタンを供えておき、スキャナ単独で実行可能にしてもよい。
【0104】
上記実施例では、sRGB色空間からwRGB色空間への色空間特性の変更に際して、マトリクスMおよびマトリクスN-1をそれぞれ独立して演算処理しているが、マトリクスMおよびマトリクスN-1を合成した合成マトリクス(MN-1)を用いたマトリクス演算によって実行されても良い。さらに、必要に応じて様々な変換系マトリクスを合成するようにしても良い。マトリクスの合成により、一連のマトリクス演算処理を高速化することができる。
【0105】
上記実施例では、画像ファイルGFの具体例としてExif形式のファイルを例にとって説明したが、本発明に係る画像ファイルの形式はこれに限られない。すなわち、画像データ生成装置において生成された画像データと、画像データの生成時条件(情報)を記述する画像処理制御情報GCとが含まれている画像ファイルであれば良い。このようなファイルであれば、画像ファイル生成装置において生成された画像データの画質を、適切に自動調整して出力装置から出力することができる。
【0106】
上記実施例において用いたディジタルスチルカメラ12、カラープリンタ20はあくまで例示であり、その構成は各実施例の記載内容に限定されるものではない。ディジタルスチルカメラ12にあっては、上記実施例に係る画像ファイルGFを生成できる機能を少なくとも備えていればよい。また、カラープリンタ20にあっては、少なくとも、本実施例に係る画像ファイルGFの画像処理制御情報GCを解析し、特に明度に関してユーザの意図を反映して画質を自動調整し、画像を出力(印刷)できればよい。
【0107】
なお、画像データと画像処理制御情報GCとが含まれる画像ファイルGFには、画像処理制御情報GCとを関連付ける関連付けデータを生成し、1または複数の画像データと画像処理制御情報GCとをそれぞれ独立したファイルに格納し、画像処理の際に関連付けデータを参照して画像データと画像処理制御情報GCとを関連付け可能なファイルも含まれる。かかる場合には、画像データと画像処理制御情報GCとが別ファイルに格納されているものの、画像処理制御情報GCを利用する画像処理の時点では、画像データおよび画像処理制御情報GCとが一体不可分の関係にあり、実質的に同一のファイルに格納されている場合と同様に機能するからである。すなわち、少なくとも画像処理の時点において、画像データと画像処理制御情報GCとが関連付けられて用いられる態様は、本実施例における画像ファイルGFに含まれる。さらに、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM等の光ディスクメディアに格納されている動画像ファイルも含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】第1の実施例に係る画像処理装置を適用可能な画像データ処理システムの一例を示す説明図である。
【図2】第1の実施例に係る画像処理装置が処理する画像ファイル(画像データ)を生成可能なディジタルスチルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施例において用いられ得る画像ファイルの内部構成を概念的に示す説明図である。
【図4】Exifファイル形式にて格納されている画像ファイルの概略的な内部構造を示す説明図である。
【図5】第1の実施例に用いられ得る画像ファイルGFの付属情報格納領域112のデータ構造の一例を示す説明図である。
【図6】第1の実施例におけるカラープリンタ20の概略構成を示すブロック図である。
【図7】カラープリンタ20の制御回路30の内部構成を示す説明図である。
【図8】ディジタルスチルカメラ12における画像ファイルGFの生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】液晶ディスプレイ127の例示的な表示態様を示す説明図である。
【図10】液晶ディスプレイ127の例示的な表示態様を示す説明図である。
【図11】液晶ディスプレイ127の例示的な表示態様を示す説明図である。
【図12】第1の実施例におけるカラープリンタ20における画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図13】第1の実施例におけるカラープリンタ20において実行される画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第1の実施例におけるカラープリンタ20における自動画質調整処理の概念を示す説明図である。
【図15】カラープリンタ20における自動画質調整の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図16】撮影モード、画質パラメータ、撮影モードを指定する参照番号の組み合わせの一例を示す説明図である。
【図17】明度、シャープネスについて、各パラメータAP、MP、FP、FP’の例示値を示す説明図である。
【図18】最終画質調整パラメータFPを反映して変更されるトーンカーブを例示する説明図である。
【図19】レンズ焦点距離f(mm)とFナンバーとから求められるぼかし指数をf/Fを説明する説明図である。
【図20】他の実施例における画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
10…画像処理システム
12…ディジタルスチルカメラ
121…光学回路
122…画像取得回路
123…画像処理回路
124…制御回路
126…選択・決定ボタン
127…液晶ディスプレイ
14…ディスプレイ
20…カラープリンタ
21…キャリッジ
211…印字ヘッド
212…インクカートリッジ
213…インクカートリッジ
214〜220…インク吐出用ヘッド
22…キャリッジモータ
23…プラテン
24…紙送りモータ
25…摺動軸
26…駆動ベルト
27…プーリ
28…位置検出センサ
29…操作パネル
30…制御回路
31…演算処理装置(CPU)
32…プログラマブルリードオンリメモリ(PROM)
33…ランダムアクセスメモリ(RAM)
34…PCMCIAスロット
35…周辺機器入出力部(PIO)
36…タイマ
37…駆動バッファ
38…バス
39…発振器
40…分配出力器
100…画像ファイル(Exifファイル)
101…JPEG画像データ格納領域
102…付属情報格納領域
103…Makernote格納領域
MC…メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データと、画像データの画質補正時に用いられる画像処理制御情報とを1つのファイル内に含む画像ファイルを用いて画像処理を行う画像処理装置であって、
前記画像データを解析して、前記画像データの画質に関わる特性を示す情報である画質特性情報を取得する画質特性情報取得手段と、
前記画像処理制御情報および前記取得された画質特性情報とに基づいて、前記画像データの画質を調整する画質調整手段とを備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記画質特性情報は、前記画像データの画質の特性を示す複数の画質パラメータの値の組み合わせであり、
前記画質調整手段による画質の調整は、前記画像処理制御情報を反映して前記画像データの画質を調整することにより実行されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記画質特性情報は、前記画像データの画質の特性を示す複数の画質パラメータの値の組み合わせであり、
前記画質調整手段は、前記複数の画質パラメータ値に対してそれぞれ予め定められた、画質調整の基準となる基準画質パラメータ値を有し、
前記画質調整手段による画質の調整は、前記基準画質パラメータ値と前記画質パラメータ値とに基づいて前記画像データを補正する補正量を求め、前記画像処理制御情報を解析した結果に基づいて前記補正量を増加または減少させ、その増加または減少された補正量を反映して前記画像データの画質を調整することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記画像処理制御情報を解析した結果に基づく前記補正量の増加または減少は、前記画像処理制御情報を解析した結果に基づいて前記基準画質パラメータ値を修正することにより実行されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記画像処理制御情報を解析した結果に基づく前記補正量の増加または減少は、前記画像処理制御情報を解析した結果に基づいて前記補正量の適用レベルを決定することにより実行されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
画像データと、画像データの画質補正時における補正の目標となる基準画質情報とを1つのファイル内に含む画像ファイルを用いて画像処理を行う画像処理装置であって、
前記画像データを解析して、前記画像データの画質特性を示す画質パラメータの値を取得する画質パラメータ値取得手段と、
前記基準画質情報に基づいて、前記画質パラメータに対して予め定められている基準画質パラメータの値を取得する基準画質パラメータ値取得手段と、
前記取得した基準画質パラメータ値と前記取得された画質パラメータ値とに基づいて前記画像データの画質を調整する画質調整手段とを備える画像処理装置。
【請求項7】
画像データと、画像データの画質調整時に用いられる画像処理制御情報とを1つのファイル内に含む画像ファイルを用いて画像処理を行う画像処理装置であって、
前記画像データを解析して、前記画像データの画質特性を示す画質パラメータの値を取得する画質パラメータ値取得手段と、
前記画像処理制御情報を解析し、その解析結果に基づいて前記画質パラメータに対して予め定められた基準画質パラメータの値を修正する基準画質パラメータ値修正手段と、
前記修正された基準画質パラメータ値と前記取得された画質パラメータ値とに基づいて前記画像データの画質を調整する画質調整手段とを備える画像処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理装置において、
前記基準画質パラメータ値は、前記画像処理制御情報に基づいて、前記取得された画質パラメータ値に対応する複数の値から選択されたパラメータ値の組み合わせであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記画像処理制御情報は、少なくともコントラスト、明るさ、カラーバランス、彩度、シャープネス、記憶色、およびノイズ除去に関連する情報のいずれか1つの情報についての補正情報を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記画像処理制御情報は、前記画像ファイルのユーザー定義領域に格納されていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
画像データと、画像データの画像処理時に用いられる画像処理制御情報とを1つのファイル内に含む画像ファイルを用いて画像データを出力する出力装置であって、
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置にて画像処理が施された画像データを出力する画像データ出力手段とを備える出力装置。
【請求項12】
画像データと、画像データの画質補正時に用いられる画像処理制御情報とを1つのファイル内に含む画像ファイルに対して画像データの画質調整を実行するためのプログラムであって、
前記画像データを解析して、前記画像データの画質特性を示す画質パラメータの値を取得する機能と、
前記画像処理制御情報を解析して、その解析結果に基づいて前記画質パラメータに対して予め定められた基準画質パラメータの値を修正する機能と、
前記修正した基準画質パラメータ値と前記取得された画質パラメータ値とに基づいて前記画像データの画質を調整する機能とをコンピュータに実現させるプログラム。
【請求項13】
画質調整処理が実行された画像データを出力する出力装置において用いられ得る画像ファイルを生成する画像ファイル生成装置であって、
前記出力装置にて出力するための画像データを入力する画像データ入力手段と、
前記出力装置において実行される前記画像データの画質調整処理の条件を指定する画質調整処理条件指定手段と、
前記指定された画質調整処理条件に基づいて、画質調整データを生成する画質調整データ生成手段と、
前記入力された画像データと画質調整データとを含む一つの画像ファイルを生成する画像ファイル生成手段とを備える画像ファイル生成装置。
【請求項14】
請求項13記載の画像ファイル生成装置において、
前記画質調整データは、前記出力装置における画質調整処理において画質調整処理の基準として用いられる基準画質パラメータを修正するためのデータであることを特徴とする画像ファイル生成装置。
【請求項15】
請求項13に記載の画像ファイル生成装置において、
前記画質調整データは、前記出力装置における画質調整処理において画質調整処理の基準値として用いられる基準画質パラメータ値であることを特徴とする画像ファイル生成装置。
【請求項16】
請求項13に記載の画像ファイル生成装置において、
前記画質調整データは、前記画像データの画質を表す画質パラメータに対応していると共に、前記出力装置における画質調整処理の基準値として用いられる、複数の基準画質パラメータ値の組み合わせであることを特徴とする画像ファイル生成装置。
【請求項17】
請求項13に記載の画像ファイル生成装置において、
前記画質調整データは、前記出力装置における画質調整処理の基準値として用いられる基準画質パラメータ値と前記画像データの画質を表す画質パラメータ値とに基づいて求められる前記画像データを補正するための補正量の適用の程度を指定するためのデータであることを特徴とする画像ファイル生成装置。
【請求項18】
請求項13に記載の画像ファイル生成装置において、
前記画質調整データは、前記画像データの画質を表す画質パラメータに対応していると共に、前記出力装置における画質調整処理の基準値として用いられる、複数の基準画質パラメータ値の修正の傾向を指定するためのデータであることを特徴とする画像ファイル生成装置。
【請求項19】
請求項18に記載の画像ファイル生成装置において、
前記画質調整データは、前記撮影条件毎に、少なくとも、コントラスト、明るさ、カラーバランス、彩度、シャープネス、記憶色、およびノイズ除去についての前記基準画質パラメータの修正の傾向を示すデータを含むことを特徴とする画像ファイル生成装置。
【請求項20】
請求項13ないし請求項19のいずれかに記載の画像ファイル生成装置において、
前記画質調整処理条件指定手段は、
前記画質調整処理条件を表示する表示手段と、
前記画質調整処理条件を選択、決定するための決定手段とを備えることを特徴とする画像ファイル生成装置。
【請求項21】
請求項13ないし請求項19のいずれかに記載の画像ファイル生成装置において、
前記画像ファイル生成手段は、前記画質調整データを前記画像ファイルのユーザ定義領域内に格納することを特徴とする画像ファイル生成装置。
【請求項22】
請求項13ないし請求項19のいずれかに記載の画像ファイル生成装置はさらに、
前記出力装置にて出力するための画像データを生成する画像データ生成手段を備えることを特徴とする画像ファイル生成装置。
【請求項23】
画質調整処理が実行された画像データを出力する出力装置において用いられ得る画像ファイルを生成するプログラムであって、
前記出力装置にて出力するための画像データを取得する機能と、
前記出力装置において実行される前記画像データの画質調整処理の条件を指定する機能と、
前記指定した画質調整処理条件に基づいて画質調整データを生成する機能と、
前記取得した画像データと画像出力制御データとを含む一つの画像ファイルを生成する機能とをコンピュータに実現させるプログラム。
【請求項24】
画像データと、画像データの画質補正時に用いられる画像処理制御情報とを1つのファイル内に含む画像ファイルから画像データを出力する画像処理システムであって、
前記画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データの画質調整処理の条件を指定する画質調整処理条件指定手段と、
前記指定された画質調整処理条件に基づいて、画質調整データを生成する画質調整データ生成手段と、
前記取得された画像データと画像出力制御データとを含む一つの画像ファイルを生成する画像ファイル生成手段とを
備える画像ファイル生成装置と、
前記画像データを解析して、前記画像データの画質特性情報を取得する画質特性情報取得手段と、
前記画質調整処理条件および前記取得された画質特性情報を反映して、前記画像データの画質を調整する画質調整手段とを
備える画像処理装置とを
備える画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−278519(P2008−278519A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150033(P2008−150033)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【分割の表示】特願2002−150448(P2002−150448)の分割
【原出願日】平成13年8月21日(2001.8.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】