説明

画像内の異常を特定する方法、コンピューター読み取り可能な媒体、歪みマップ生成方法および歪みマップ生成システム

【課題】印刷されたドットパターン画像における欠陥検出を可能にすること。
【解決手段】本発明のいくつかの用途は印刷回路(PCB)基板の検査用システムの各種
実施形態における使用にある。生成された歪みマップは再構築されたドットパターン画像
、シミュレートされた基準ビットマップ、および再構築されたドットパターン画像と基準
ビットマップとの差を表すエラーマップに基づいている。さらに歪みマップのピクセルは
比較の結果発見された異常の位置および種類を特定するために色分けされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に画像処理に係わり、より具体的に印刷されたドットパターンビットマ
ップにおける欠陥検出のシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷技術はプリント回路基板(以後、PCBという)の製造などの用途において重要な
要素である。PCBの製造においてPCBのパターン画像がPCB基板に直接印刷され得
る。画像におけるエラーや異常は製造されたPCB基板におけるエラーをもたらし得るの
で、このPCB画像は可及的に正確であることが重要である。
【0003】
通常、PCBパターンは産業用インクジェットプリンターによりドットパターン画像と
して印刷される(例えば特許文献1参照)。このようなプリンターの印刷性能が一貫して
おり仕様を満足することを保証するためにプリンターの較正および品質管理を行なえるこ
とが重要である。インクジェットプリンターヘッドは1組のノズルを含み、特定ノズルの
射出は印刷されるドットパターン画像の領域と相関することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6546528号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ある期間プリンターが連続使用されると、ノズルはつまり、または別途うまく機能しな
いことがあり、これは印刷される画像におけるエラーまたは異常をもたらし得る。
【0006】
通常産業用インクジェットプリンターにより印刷されたセラミック製PCB基板は連続
印刷サイクルの途中で焼成プロセスにより硬化される。表面汚染物質の存在と硬化行為は
印刷された形体の歪みをもたらす可能性がある。印刷されたパターンは均一収縮に加え、
印刷された材料の局部的形状寸法に基づき非均一収縮も受ける。印刷されたパターンにお
ける歪みおよびインクジェットノズルの誤射も複数の印刷パスの間で開回路および短絡(
位相的歪み)、ならびに回路形体のずれ(幾何学的歪み)を起こす可能性がある。
【0007】
ノズルの「サイン」がドットパターンにおけるある領域の具現の品質という点で特性化
できれば、機能不良のプリンターおよび機能不良の原因は実現される画像の検査を通じて
特定できる。より費用のかかる製造エラーが起こる前に機能不良のプリンターによりもた
らされる印刷エラーを特定し補正できれば有益である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像内の異常を特定する方法は、ピクセルを有する画像内の異常を特定する方
法であって、関数を適用して前記画像内における複数ピクセルの強度値の差を増やすこと
により前記画像を調節するステップと、前記画像内における第1組のピクセルを前記画像
の基準ビットマップ内における第2組のピクセルとの比較に基づきエラーマップを生成す
るステップと、ユーザー入力パラメーターに少なくとも部分的に基づき前記エラーマップ
から第3組のピクセルを除去するステップと、前記画像内における異常を特定する歪みマ
ップを生成するステップとを有し、前記歪みマップは、前記エラーマップ、前記画像およ
び前記画像の基準ビットマップに少なくとも部分的に基づき生成されることを特徴とする

【0009】
また、本発明の画像内の異常を特定する方法において、前記画像を調節するステップは
、前記画像内におけるピクセルの強度値の分布を計算するステップと、下方強度閾値およ
び上方強度閾値を定義するステップと、前記分布内のピクセルが前記下方強度閾値未満の
強度を有することに応答し、前記ピクセルに第1強度値を割り当てるステップと、前記分
布内のピクセルが前記上方強度閾値を超える強度を有することに応答して、前記ピクセル
に第2強度値を割り当てるステップと、前記分布内のピクセルが前記下方強度閾値を超え
前記上方強度閾値未満の強度を有することに応答して、前記ピクセルに演算された強度値
を割り当てるステップとを有し、前記演算された強度値は、前記強度値に閾値関数を適用
することにより生成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の画像内の異常を特定する方法において、前記エラーマップを生成するス
テップは、前記画像内における第1ピクセルおよび前記基準ビットマップ内における第2
ピクセルを特定するステップであって、前記第1ピクセルおよび前記第2ピクセルは対応
する位置を有するステップと、前記第1ピクセルの第1強度と前記第2ピクセルの第2強
度との間の絶対差を計算するステップと、前記エラーマップ内における第3ピクセルを特
定するステップであって、前記第3ピクセルおよび前記第1ピクセルは対応する位置を有
するステップと、前記第3ピクセルの第3強度に絶対差を割り当てるステップとを有する
ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画像内の異常を特定する方法において、前記第3強度値に絶対差を割り
当てるステップは、前記絶対差が閾値を超えることに応答して行われることを特徴とする

【0012】
また、本発明の画像内の異常を特定する方法において、前記エラーマップからピクセル
を除去するステップは、最小許容エラー幅パラメーターおよび最小許容エラー高さパラメ
ーターを受信するステップと、前記エラーマップ内のピクセルに連結成分解析を適用する
ことにより連結成分の組を生成するステップであって、前記連結成分は少なくとも2つの
隣接ピクセルを有するステップと、少なくとも1つの前記連結成分の高さおよび幅を前記
最小許容エラー幅パラメーターおよび前記最小許容エラー高さパラメーターと比較するこ
とに基づき、前記連結成分の組から前記少なくとも1つの連結成分を除去するステップと
を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の画像内の異常を特定する方法において、前記連結成分の組から前記少な
くとも1つの連結成分を除去するステップは、前記連結成分の組内において連結成分の行
を特定するステップと、前記連結成分の行が最小許容エラー幅未満の幅を有する連結成分
を含むことに応答して、前記連結成分の行を除去するステップと、前記連結成分の組内に
おいて連結成分の列を特定するステップと、前記連結成分の列が最小許容エラー高さ未満
の高さを有する連結成分を含むことに応答して、前記連結成分の列を除去するステップと
を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の画像内の異常を特定する方法において、前記歪みマップを生成するステ
ップは、前記ピクセルを有してなる初期化された歪みマップを生成するステップであって
、前記初期化された歪みマップは前記エラーマップの高さおよび幅に対応する高さと幅と
を有するステップと、前記初期化された歪みマップ内における第1位置を有する第1ピク
セルに第1色強度を割り当てるステップであって、前記第1色強度は少なくとも部分的に
前記エラーマップの第1対応ピクセルにおける特定された異常に基づくステップと、前記
初期化された歪みマップ内における第2位置を有する第2ピクセルに第2色強度を割り当
てるステップであって、前記第2色強度は少なくとも部分的に前記エラーマップの第2対
応ピクセルにおける異常がないことに基づくステップとを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の画像内の異常を特定する方法において、前記第1色強度は、複数の色強
度値から選択されるとともに、前記エラーマップの第1対応ピクセルにおいて特定された
特有の種類の異常に関連することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の画像内の異常を特定する方法において、前記第1色強度は、複数の強度
値から選択されるとともに、前記異常が前記画像の前景部分に位置していることを特定す
ることを特徴とする。
【0017】
ここで、本発明のコンピューター読み取り可能な媒体は、上記本発明の画像内の異常を
特定する方法を実施する命令を有することを特徴とする。
【0018】
一方、本発明の歪みマップ生成方法は、ピクセルを有する画像内の異常を特定する歪み
マップを生成する歪みマップ生成方法であって、前記画像内における第1組のピクセルの
第1組の強度値を基準ビットマップ内における第2組のピクセルの第2組の強度値と比較
することによりエラーマップを生成するステップと、前記ピクセルを有する初期化された
歪みマップを生成するステップであって、前記初期化された歪みマップは前記エラーマッ
プの高さおよび幅に対応する高さと幅とを有するステップと、前記初期化された歪みマッ
プ内における複数のピクセルに複数の色強度値を割り当てるステップであって、前記複数
のピクセル内におけるピクセルのサブセット内の各ピクセルに対する色強度値は少なくと
も部分的に前記エラーマップにおける対応ピクセルの特定された異常に基づくステップと
を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の歪みマップ生成方法において、前記エラーマップを生成するステップは
、前記画像内における第1ピクセルおよび基準ビットマップ内における第2ピクセルを特
定するステップであって、前記第1ピクセルおよび前記第2ピクセルは対応する位置を有
するステップと、前記第1ピクセルの第1強度と前記第2ピクセルの第2強度との間の絶
対差を計算するステップと、前記エラーマップ内における第3ピクセルを特定するステッ
プであって、前記第3ピクセルおよび前記第1ピクセルは対応する位置を有するステップ
と、前記第3ピクセルの第3強度に絶対差を割り当てるステップとを有することを特徴と
する。
【0020】
また、本発明の歪みマップ生成方法において、前記第3強度値に絶対差を割り当てるス
テップは、前記絶対差が閾値を超えることに応答して行われることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の歪みマップ生成方法において、前記初期化された歪みマップ内における
複数のピクセルに複数の色強度値を割り当てるステップは、前記初期化された歪みマップ
内における第1位置を有する第1ピクセルに第1色強度を割り当てるステップであって、
前記第1色強度は少なくとも部分的に前記エラーマップの第1対応ピクセルにおける特定
された異常に基づくステップと、前記初期化された歪みマップ内における第2位置を有す
る第2ピクセルに第2色強度を割り当てるステップであって、前記第2色強度は少なくと
も部分的に前記エラーマップの第2対応ピクセルにおける異常がないことに基づくステッ
プとを有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の歪みマップ生成方法において、前記第1色強度は、複数の色強度値から
選択されるとともに、前記エラーマップの第1対応ピクセルにおいて特定された特有の種
類の異常に関連することを特徴とする。
【0023】
なお、本発明のコンピューター読み取り可能な媒体は、上記本発明の歪みマップ生成方
法を実施する命令を有することを特徴とする。
【0024】
ここで、本発明の歪みマップ生成システムは、画像内の異常を特定する歪みマップ生成
システムであって、前記画像および基準ビットマップを受信するよう連結されるエラーマ
ップ生成器であって、前記画像内における第1組のピクセルの第1組の強度値を前記基準
ビットマップ内における第2組のピクセルの第2組の強度値と比較することに基づきエラ
ーマップを作成するエラーマップ生成器と、前記エラーマップ、前記基準ビットマップお
よび前記画像を受信するよう連結される歪みマップ構築器とを有し、前記歪みマップ構築
器は、初期化された歪みマップマップ内における複数のピクセルに複数の色強度値を割り
当てるとともに、複数の前記ピクセル内におけるピクセルのサブセット内の各ピクセルに
対する色強度値は、少なくとも部分的に前記エラーマップにおける対応ピクセルの特定さ
れた異常に基づくことを特徴とする。
【0025】
また、本発明の歪みマップ生成システムにおいて、前記エラーマップを作成することは
さらに、生成された前記エラーマップから前記エラーマップ生成器により受信されたユー
ザー入力パラメーターに部分的に基づきピクセルを除去するステップを有することを特徴
とする。
【0026】
また、本発明の歪みマップ生成システムにおいて、前記初期化された歪みマップ内にお
ける複数のピクセルに複数の色強度値を割り当てることは、前記初期化された歪みマップ
内における第1位置を有する第1ピクセルに第1色強度を割り当てるステップであって、
前記第1色強度は少なくとも部分的に前記エラーマップの第1対応ピクセルにおける特定
された異常に基づくステップと、前記初期化された歪みマップ内における第2位置を有す
る第2ピクセルに第2色強度を割り当てるステップであって、前記第2色強度は少なくと
も部分的に前記エラーマップの前記第2対応ピクセルにおける異常がないことに基づくス
テップと、によって実施されることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の歪みマップ生成システムにおいて、前記第1色強度は、複数の色強度値
から選択されるとともに、前記エラーマップの第1対応ピクセルにおいて特定された特有
の種類の異常に関連することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の各種実施形態による、印刷されたPCBパターンのシミュレートされた基準ビットマップ、再構成されたビットマップ画像、および歪みビットマップの例を示す図である。
【図2】本発明の各種実施形態による、印刷されたPCBビットマップの検査用システムのブロック図を示す図である。
【図3】本発明の各種実施形態による、印刷されたドットパターンビットマップで発見された欠陥の歪みマップを生成する欠陥検出システムのブロック図を示す図である。
【図4】本発明の各種実施形態による、印刷されたドットパターンビットマップで発見された欠陥の歪みマップを生成する方法を示す図である。
【図5】本発明の各種実施形態による、印刷されたドットパターンビットマップおよびシミュレートされた基準ビットマップにおけるピクセル強度の比較に基づきエラーマップを生成する方法を示す図である。
【図6】(a)は、本発明の各種実施形態による、ドットパターン画像内におけるピクセル分布の強度値への雑音切り落しの適用を示す図であり、(b)は、本発明の各種実施形態による、ドットパターン画像内におけるピクセル分布の強度値へのコントラスト引き伸ばしの適用を示す図である。
【図7】本発明の各種実施形態による、エラーマップ上のエラーを剪定する方法を示す図である。
【図8】本発明の各種実施形態による、歪みマップを生成する方法を示す図である。
【図9】演算システムのブロック図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態は印刷ドットパターン画像における欠陥検出を可能にする。本発明の
いくつかの用途は印刷回路(「PCB」)基板の検査用システムの各種実施形態における
使用にある。実施形態において、生成された歪みマップは再構築されたドットパターン画
像、シミュレートされた基準ビットマップ、および再構築されたドットパターン画像と基
準ビットマップとの差を表すエラーマップに基づいている。実施形態において、歪みマッ
プのピクセルは比較の結果発見された異常の位置および種類を特定するために色分けされ
る。
【0030】
本発明の概要としての実施形態において、画像内の異常を特定する方法は画像内におけ
るピクセルの強度値の差を増加させるために関数を適用して画像を調節すること、画像内
における1組のピクセルを画像の基準ビットマップ内における1組のピクセルと比較する
ことに基づきエラーマップを生成すること、ユーザー入力パラメーターに少なくとも部分
的に基づきエラーマップから1組のピクセルを除去すること、および画像内における異常
を特定する歪みマップを生成することを有してなることができる。歪みマップはエラーマ
ップ、画像、および画像の基準ビットマップに少なくとも部分的に基づき生成することが
できる。
【0031】
他の実施形態において、画像を調節することは画像内におけるピクセルの強度値の分布
を計算すること、下限強度閾値および上限強度閾値を定義すること、分布内におけるピク
セルが下限強度閾値未満の強度値を有する場合そのピクセルに第1強度値を割り当てるこ
と、分布内におけるピクセルが上限強度閾値を超える強度値を有する場合そのピクセルに
第2強度値を割り当てること、および強度値が上限強度[閾]値未満で下限強度閾値を超
える場合ピクセルの強度値に閾値関数を適用することにより演算される演算強度値を割り
当てることを有してなることができる。
【0032】
本概要部において発明の特長および利点のいくつかが全般的に説明された。しかしさら
なる特長、利点、および実施形態が本明細書で提示され、または本明細書の図面、明細、
およびクレームに照らし当業者に明らかになろう。従って、発明の範囲は本要約部に開示
される特定の実施形態により限定されないことが理解されよう。
【0033】
以下に本発明の実施形態について言及され、それらの例が添付図面において図示される
。これらの図は限定的ではなく、例示的であることが意図される。発明はこれらの実施形
態との関連で全般的に説明されるが、発明の範囲をこれらの特定実施形態に限定する意図
はないことが理解されよう。
【0034】
以下の記述では説明の目的から、発明の理解を提供すべく具体的な詳細が述べられる。
しかし当業者であれば発明はこれらの詳細なしでも実施できることが明らかであろう。当
業者であればいくつか以下に説明される本発明の実施形態はカメラ、スキャナー、プリン
ター、コンピューター、ファクシミリ機、ディスプレイまたはカメラ機能を有するものを
含む携帯装置、マルチメディア装置、等々、いくつかの異なるシステムおよび装置に組み
入れ得ることを理解しよう。本発明の実施形態はソフトウェア、ハードウェア、ファーム
ウェア、またはこれらの組み合わせにおいて実施することができる。
【0035】
ブロック図に示される構成要素またはモジュールは発明の代表的実施形態を図示し、発
明をあいまいにするのを避けることを意図している。本考察を通じ、構成要素はサブユニ
ットを有してなり得る別個の機能装置として説明され得ることも理解されようが、当業者
であれば各種構成要素またはその一部は別個の構成要素に分割され得、または単一のシス
テムまたは構成要素内への統合を含め、一体化されることができることを理解しよう。
【0036】
さらに、図中における構成要素/モジュール間の接続は直接接続に限定されることを意
図していない。逆にこれらの構成要素間のデータは中間の構成要素により改変、再フォー
マット、または他の方法で変えられることができる。またより多い、またはより少ない接
続を用いることができる。「連結された」または「通信上連結された」の用語は直接接続
、1つ以上の中間装置経由の間接接続、および無線接続を含むものと理解される。
【0037】
明細書において「一実施形態」または「実施形態」の言及はその実施形態に関連して説
明される特定の特長、構造、特性、または機能が発明の少なくとも1つの実施形態に含ま
れ、1つを超える実施形態に含まれ得ることを意味する。明細書の各所に現れる「一実施
形態において」または「実施形態において」の語句は必ずしも同じ実施形態を指すもので
はない。
【0038】
本発明のいくつかの用途は印刷回路(「PCB」)基板の検査用システムの各種実施形
態における使用にある。PCBパターンは産業用インクジェットプリンターによりドット
パターンとして基板に印刷することができる。ドットパターンはプチンタのインクノズル
のアレイにより形成される。ある期間プリンターが連続使用されると、ノズルはつまり、
または別途うまく機能しないことがあり、これは印刷されるドットパターンにおける異常
につながり得る。印刷されたPCBパターンにおける異常は短絡または接続破断など回路
の欠陥に対応し得る。
【0039】
インクジェットプリンターにより印刷されたPCB画像に検査システムが適用される。
このような検査システムは印刷されたPCB画像における欠陥の特定を可能にし、さらに
印刷画像上で特定された欠陥の位置にどのノズルが結び付いているかの判定を可能にし得
る。図1は発明の各種実施形態により印刷されたPCB画像における欠陥検出の例を図示
する。PCBパターンのドットパターン画像としての入力画像140をシミュレートされ
たPCBパターンの基準ビットマップ120と比較することができ、ドットパターン画像
としての入力画像140と基準ビットマップ120との差を表す歪みマップ160を生成
することができる。
【0040】
図2は発明の各種実施形態により印刷されたドットパターン画像の検査用システム20
0のブロック図を示す。検査用システム200は検査されるドットパターンビットマップ
画像205を受信し、それを基準ビットマップ生成器215により生成されるシミュレー
トされた基準ビットマップ225の画像と比較する。基準ビットマップはドットパターン
ビットマップ画像のシミュレーションで、画像をPCB基板に印刷することに由来する異
常のすべてでないにしても大半を除外することを意図している。
【0041】
図1はPCBパターンのドットパターン画像の代表的なシミュレートされた基準ビット
マップ120のサムネイルを示す。シミュレートされた基準ビットマップは基準画像の解
像度を高めるために元となるドットパターン画像よりサイズが大きいかもしれない。各種
実施形態において、生成された基準ビットマップのサイズおよび構成は2008年2月14日に
出願された「Simulation of a Printed Dot-Pattern Bitmap」(「印刷されたドットパタ
ーンビットマップのシミュレーション」)と題する米国出願番号第12/03121号明
細書に説明されるように、ユーザー入力パラメーター210により決定されることができ
、同出願は引用により全体として本明細書に組み入れられる。
【0042】
ドットパターンビットマップ画像205および基準ビットマップ225の画像は画像プ
ロセッサー230により比較される。ユーザー入力パラメーター235により設定できる
欠陥検出器240がドットパターンビットマップ画像205と生成された基準ビットマッ
プ225の画像との比較の際、発見され得た異常について歪みマップ245を作成する。
図1に代表的な歪みマップ160を示す。
【0043】
入力されたドットパターンビットマップ画像205は非常に大きいこともある。大きい
ドットパターンビットマップ画像は部分に分割することができ、次に画像の選択された部
分を生成された基準ビットマップ画像の対応部分と比較することができる。実施形態にお
いて、比較される部分はユーザー入力パラメーター210により選択することができる。
除外マップ生成器220により生成されるドットパターン画像の除外マップ250を比較
する部分の選択に用いることができる。除外マップはドットパターンビットマップ画像2
05内の非検査区域を特定する。実施形態において、画像プロセッサー230は画像から
の1組の部分、入力されたドットパターンビットマップ画像205、基準ビットマップ2
25、および除外マップ250を部分的に用い欠陥検出の根拠となり得る再構築されたド
ットパターン画像を生成することができる。図1に代表的再構築PCBパターン画像のド
ットパターン画像としての入力画像140を示す。
【0044】
(システムの実施)
図3は発明の各種実施形態による欠陥検出器240のブロック図を示す。欠陥検出器2
40は基準ビットマップ225、再構築されたドットパターン画像265、およびユーザ
ー入力パラメーター235を受信し、再構築されたドットパターン画像265および基準
ビットマップ225間の差を表す歪みマップ245を生成する。欠陥検出器240はドッ
トパターンビットマップ画像205内の欠陥を特定する歪みマップ245を生成するため
に検査用システム200の実施形態で用いることができる。
【0045】
検査用システム200の実施形態において、1つのスキャンで取り込めない印刷された
ドットパターンの画像は印刷されたドットパターンの部分のスナップショットの1組から
再構築される。再構築されたドットパターン画像265は基準ビットマップ225との比
較によりエラーの検査がなされる。
【0046】
実施形態において、エラーマップ生成器255は再構築されたドットパターン画像26
5内におけるピクセルの強度値をドットパターン画像のシミュレートされた基準ビットマ
ップ225内における対応ピクセルの強度値と比較した結果の「エラーマップ」を形成す
る。エラーマップは再構築されたドットパターン画像における異常の描写である。
【0047】
実施形態において、再構築されたドットパターン画像265内の強度値に雑音切り落と
しおよびコントラスト引き伸ばしを適用することにより画像を向上させることができる。
例えば下方強度閾値にaおよび上方強度閾値にbを選択できる。画像内におけるピクセル
強度値の雑音切り落としはa未満の強度値を有するピクセルに0(黒)の強度値を割り当
て、bを超える強度値を有するピクセルに255(白)の強度値を割り当てることにより
実施することができる。画像ピクセルの強度分布の特徴を用いて下方強度閾値のaおよび
上方強度閾値のbを選ぶことができるが、当業者であれば下方強度閾値のaおよび上方強
度閾値のbに用いる特定値の選択はさまざまな要因により決定され得、この選択は発明に
肝要でないことを理解しよう。
【0048】
コントラスト引き伸ばしは下方強度閾値のaを超え、上方強度閾値のb未満のピクセル
強度値の組に適用することができる。コントラスト引き伸ばしは閾値化関数hを用いて強
度値の組における各強度値Iに対し新しい強度値h(I)を演算することにより強度値の
組内における差を強化する。当業者であればさまざまな閾値化関数が存在し、閾値化関数
の選択は発明に肝要でないことを理解しよう。
【0049】
実施形態において、再構築されたドットパターン画像と同じ構成を有するエラーマップ
は強化され再構築された画像の強度値h(I)および基準ビットマップの強度値Iref
おける対応ピクセルの強度値を比較する関数に基づきエラーマップの各ピクセルの強度値
errを演算することにより生成される。例えば、強度値Ierrは次の関数を用いて演算す
ることができる。
【0050】
【数1】

ここでTはエラーマップにおけるコントラストを強化する閾値である。
【0051】
実施形態において、生成されたエラーマップは有意な異常のみを描写するよう更新する
ことができる。有意な異常は最小許容エラー幅および高さを定義するユーザー入力パラメ
ーター235により決定することができる。これらのパラメーターはピクセルの数として
表すことができる。実施形態において、連結成分解析をエラーマップに対し実施すること
ができ、次に最小許容エラー幅および高さ未満の幅および高さを有する連結成分セグメン
トを除去することによりエラーマップを更新することができる。
【0052】
実施形態において、歪みマップ構築器260は特定された異常の位置および種類を強調
するために色分けされたエラーマップである歪みマップ245を形成する。代表的な歪み
マップ160が図1に図示される。
【0053】
実施形態において、歪みマップ構築器260は再構築されたドットパターン画像265
、基準ビットマップ225、および生成されたエラーマップ上における対応ピクセルの強
度値および位置に基づき歪みマップにおけるピクセルに色を割り当てる。当業者であれば
、差の特徴を有するさまざまな種類のマップを用いて再構築されたドットパターン画像2
65上の歪みを図示し得ることを理解しよう。
【0054】
(画像欠陥を表す歪みマップを生成する方法)
前述のように、ドットパターンビットマップ画像内における欠陥は再構築されたドット
パターン画像およびドットパターン画像の基準ビットマップ間の差を特定する歪みマップ
として表すことができる。実施形態において、1つのスキャンから取り込むことのできな
い印刷されたドットパターンの画像は印刷されたドットパターンにおける部分の1組のス
ナップショットから再構築される。再構築されたドットパターン画像はそれを基準ビット
マップと比較することによりエラーの検査がなされ、検査の結果が歪みマップである。
【0055】
図4は発明の各種実施形態により、構造に関係なく印刷されたドットパターンビットマ
ップにおいて発見された欠陥の歪みマップを生成する方法300を示す。方法300は検
査用システム200における欠陥検出器240の実施形態において実施することができる
。方法300は再構築されたドットパターン画像を強化するステップ(ステップS305
)、エラーマップを生成するステップ(ステップS310)、生成されたエラーマップを
更新するステップ(ステップS315)および生成されたエラーマップ、再構築されたド
ットパターン画像、および基準ビットマップに基づき歪みマップを生成するステップ(ス
テップS320)の各ステップを有してなる。方法300は検査用システム200の欠陥
検出器240の実施形態において実施することができる。
【0056】
(エラーマップの生成)
実施形態において、「エラーマップ」画像は再構築されたドットパターン画像内におけ
るピクセルの強度値をドットパターン画像のシミュレートされた基準ビットマップ内にお
ける対応ピクセルの強度値と比較した結果得られる。エラーマップは再構築されたドット
パターン画像における異常の描写である。
【0057】
(ピクセル強度値の雑音切り落としおよびコントラス引き伸ばし)
実施形態において、再構築されたドットパターン画像は画像内におけるピクセルの強度
値に雑音切り落としおよびコントラスト引き伸ばしを適用することにより強化することが
できる(ステップS305)。
【0058】
図5は発明の各種実施形態により、構造に関係なく画像内におけるピクセルの強度値に
雑音切り落としを適用する方法400を示す。方法400は方法300の実施形態のステ
ップS305内、およびエラーマップ生成器255の実施形態で実施することができる。
【0059】
実施形態において、強度値の下限としての下方強度閾値に(a)および強度値の上限と
しての上方強度閾値に(b)を選択できる(ステップS405)。画像内におけるピクセ
ル強度値の雑音切り落としは(a)未満の強度値を有するピクセル(ステップS415)
に0(黒)の強度値を割り当て(ステップS420)、(b)を超える強度値を有するピ
クセル(ステップS415)に255(白)の強度値を割り当てること(ステップS42
5)により実施することができる。画像ピクセルの強度分布の特徴を用いて下方強度閾値
の(a)および上方強度閾値の(b)を選ぶことができるが、当業者であれば下方強度閾
値の(a)および上方強度閾値の(b)に用いる特定値の選択はさまざまな要因により決
定され得、この選択は発明に肝要でないことを理解しよう。
【0060】
図6(a)は発明の各種実施形態により画像505内におけるピクセルの強度値分布5
10の代表的ヒストグラム描写を示す。下方強度閾値515(aで示す)および上方強度
閾値520(bで示す)はヒストグラムにオーバーレイされた垂直の点線で指定される。
【0061】
実施形態において、コントラスト引き伸ばしは分布内において下方強度閾値515(a
で示す)を超え、上方強度閾値520(bで示す)未満のピクセル強度値の組(図6(a
)に示されるヒストグラムにおいて強度値の囲まれた領域)に適用することができる。コ
ントラスト引き伸ばしは閾値化関数hを用いて強度値の組における各強度値Iに対し新し
い強度値h(I)を演算することにより強度値の組内における差を強化する。当業者であ
ればさまざまな閾値化関数が存在し、閾値化関数の選択は発明に肝要でないことを理解し
よう。
【0062】
図6(b)は発明の各種実施形態による、雑音切り落としおよびコントラスト引き伸ば
し双方を含む代表的な閾値化関数hの図式的な描写を示す。この代表的な閾値化関数hは
図6(a)に示されるピクセル強度値の代表的な分布に適用され、方法300の実施形態
におけるステップS305として実施することができる。下方強度閾値515(aで示す
)未満の強度値Iを有するピクセルについて強度値h(I)(符号530で示す)の値は
「0」で、上方強度閾値520(bで示す)を超える強度値Iを有するピクセルについて
強度値h(I)(符号530で示す)の値は「255」である。この例において、強度値
h(I)(符号530で示す)は分布内の下方強度閾値515(aで示す)を超え、上方
強度閾値520(bで示す)未満の強度値Iの値(強度値I(符号525で示す)の囲ま
れた領域)は線形関数になる。
【0063】
(エラーマップの生成および更新)
実施形態において、再構築されたドットパターン画像と同じ構成を有するエラーマップ
は強化され再構築された画像の強度値h(I)および基準ビットマップの強度値Iref
おける対応ピクセルの強度値を比較する関数に基づきエラーマップの各ピクセルの強度値
errを演算することにより生成される(ステップS310)。
【0064】
例えば、実施形態において強度値Ierrは次の関数を用いて演算することができる。
【0065】
【数2】

ここでTはエラーマップにおけるコントラストを強化する閾値である。
【0066】
図7は発明の各種実施形態により、構造に関係なくエラーマップ上のエラーを剪定する
方法600を示す。方法600は方法300の実施形態でのステップS315においてス
テップとして、およびエラーマップ生成器255の実施形態において実施できる。
【0067】
実施形態において、生成されたエラーマップは指定基準を満足しない異常を剪定するこ
とにより有意な異常のみを描写するよう更新することができる。有意な異常は最小許容エ
ラー幅および高さを定義するユーザー入力パラメーターにより決定することができる(ス
テップS605)。これらのパラメーターはピクセルの数として表すことができる。
【0068】
エラーマップは層にセグメント化することができ、エラーマップ610の前景ピクセル
に対し連結成分解析(「CCA」)を実施することができる。CCAの1例は画像内にお
けるピクセルの各行をスキャンし、1行における各ピクセルの成分ラベルを判定すること
である。ピクセルの成分ラベルを判定するには該当ピクセルのラベルがピクセルを囲む3
×3の近傍内にある8つのピクセルのラベルに基づくよう「8連結性」の原則が適用され
る。当業者であればこれは例であり、画像に対しさまざまなCCAの方法を用い得ること
を理解しよう。連結成分は前景ピクセルの連結された組を囲む境界のある領域として定義
することができる。
【0069】
最小巨砲エラー幅および高さを用いてエラーマップ内において特定された連結成分セグ
メントの組を剪定することができる。連結成分の行をスキャンし、最小許容エラー幅未満
の幅の連結成分セグメントを有する行を除去することができる(ステップS615)。連
結成分の列をスキャンし、許容エラー高さ未満の高さの連結成分セグメントを有する列を
除去することができる(ステップS620)。
【0070】
(歪みマップの生成)
実施形態において、歪みマップは特定された異常の位置および種類を強調するために色
分けされたエラーマップである。代表的な歪みマップ160が図1に図示される。
【0071】
図8は構造に関係なく、再構築されたドットパターン画像、シミュレートされた基準ビ
ットマップ、ならびに再構築されたドットパターン画像および基準ビットマップ間の差を
表すエラーマップに基づき歪みマップを生成する方法700を示す。方法700は方法3
00の実施形態におけるステップS320として、および歪みマップ構築器260の実施
形態において実施することができる。
【0072】
実施形態において、エラーマップと同じ高さと幅を有する初期化された歪みマップが生
成される。すべてのピクセルの強度値Idistortionは0(黒)に設定される(ステップS
705)。次に再構築されたドットパターン画像、シミュレートされた基準ビットマップ
、およびエラーマップ上の対応ピクセルの比較の結果に基づき各ピクセルの強度値Idist
ortionが再度割り当てられる(ステップS710)。
【0073】
再構築されたドットパターン画像において「0」の強度値Iを有する対応ピクセルがあ
り、エラーマップ上には対応ピクセルがない場合、歪みマップ上のピクセルの強度値Idi
stortionは「0」に設定されたままにされる(ステップS715)。
【0074】
エラーマップ上に対応ピクセルがある場合(ステップS715)、歪みマップ上のピク
セルの強度値Idistortionは色強度値を割り当てられる。ピクセルが画像の前景にある場
合、エラーマップで示される異常はPCB要素が関係し、従って欠陥を表す可能性がある
(ステップS725)。再構築された画像の前景にのみ対応ピクセルがある場合(ステッ
プS730)、強度値Idistortionは赤に設定される(ステップS735)。基準ビット
マップの前景にのみ対応ピクセルがある場合(ステップS730)、強度値Idistortion
は青に設定される(ステップS740)。
【0075】
ピクセルが画像の背景にある場合、エラーマップで示される異常はPCB要素に関係な
く、従って欠陥を表さないかもしれない(ステップS725)。基準ビットマップの背景
にのみ対応ピクセルがある場合(ステップS745)、強度値Idistortionは白に設定さ
れる(ステップS750)。再構築された画像の背景にのみ対応ピクセルがある場合(ス
テップS745)、強度値Idistortionは緑に設定される(ステップS755)。
【0076】
(演算システムの実施)
本発明は汎用コンピューターおよびデータ処理用の特殊用途コンピューターを含むがこ
れらに限定されず、データを処理できる任意の命令実行/演算装置またはシステムにおい
て実施できることが特記される。本発明はさらにデジタルカメラ、プリンター、スキャナ
ー、多機能プリンター/スキャナー、ファクシミリ機、マルチメディア装置、およびデー
タを処理、取り込み、伝送、または記憶する他の任意の装置を含むがこれらに限定されず
、他の演算装置およびシステムに実装することもできる。さらに、いずれの装置内で本発
明の態様をソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせを
含み多種多様な方法で実施することができる。例えば、本発明の各種態様を実施する機能
は個別論理素子、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、および/またはプログ
ラム制御プロセッサーを含む多種多様な方法で実装されるコンポーネントにより実行され
得る。これらの要素が実装される方法は本発明に重要ではないことが特記される。
【0077】
図9は本発明の実施形態を実施または具現し得る命令実行/演算装置1100の実施形
態の機能的ブロック図を示す。図9に示すように、プロセッサー802がソフトウェア命
令を実行し、他のシステムコンポーネントと相互に作用する。一実施形態において、プロ
セッサー802はAMDプロセッサー、INTELプロセッサー、SUN MICROS
YSTEMS SPARC、またはPOWERPC対応CPUなど汎用プロセッサーであ
って良く、またはプロセッサーは1つまたは複数の特定用途向けプロセッサーであること
ができる。プロセッサー802に連結した記憶装置804がデータおよびソフトウェアプ
ログラムの長期記憶を提供する。記憶装置804はハードディスクドライブおよび/また
はコンピューター読み取り可能な媒体(例、ディスケット、テープ、コンパクトディスク
、DVD、等々)のドライブまたはソリッドステートメモリー装置など、データを記憶で
きる別の装置であって良い。記憶装置804はプロセッサー802で用いるプログラム、
命令、および/またはデータを保持することができる。一実施形態において、記憶装置8
04に記憶され、またはそこからロードされるプログラムまたは命令はメモリー806に
ロードされ、プロセッサー802により実行されることができる。一実施形態において、
記憶装置804はプロセッサーでオペレーティングシステムを実施する命令を保持してい
る。一実施形態において、あり得るオペレーティングシステムはUNIX(登録商標)、
AIX、LINUX(登録商標)、Microsoft Windows(登録商標)、
およびApple MAC OSを含むがこれらに限定されない。実施形態において、オ
ペレーティングシステムは演算システム800上で実行され、その動作を制御する。
【0078】
プロセッサー802に連結されたアドレス可能なメモリー806を用いてプロセッサー
802により実行されるデータおよびソフトウェア命令を記憶することができる。メモリ
ー806は例えばファームウェア、読み取り専用メモリー(ROM)、フラッシュメモリ
ー、不揮発性ランダムアクセスメモリー(NVRAM)、ランダムアクセスメモリー(R
AM)、またはこれらの組み合わせであって良い。一実施形態において、メモリー806
は別途サービス、ユーティリティー、またはモジュールとして知られるいくつかのソフト
ウェアオブジェクトを記憶する。当業者であれば、記憶装置804およびメモリー806
は同じ要素で双方の立場で機能し得ることを理解しよう。一実施形態において、図2およ
び図3における1つ以上のコンポーネントは記憶装置804、メモリー806に記憶され
、プロセッサー802により実行されるモジュールであって良い。
【0079】
一実施形態において、演算システム800は他の装置、他のネットワーク、または双方
と通信する能力を提供する。演算システム800は演算システム800を他のネットワー
クおよび装置と通信できるよう連結する1つ以上のネットワークインターフェイス812
または通信ポート814を含むことができる。例えば、演算システム800は各々プロセ
ッサー802に通信できるよう連結され、演算システム800を他の演算システム、ネッ
トワーク、および装置に連結するために用い得るネットワークインターフェイス812、
通信ポート814、または双方を含むことができる。
【0080】
一実施形態において、演算システム800は図形およびテキストの表示を促進するため
にプロセッサー802に連結される1つ以上の出力装置808を含むことができる。出力
装置808はディスプレイ、LCD画面、CRTモニター、プリンター、タッチ画面、ま
たは情報を表示する他の装置を含むことができるが、これらに限定されない。演算システ
ム800はさらに出力装置808において情報または画像を表示するのを助長するグラフ
ィックスアダプター(図示せず)を含むことができる。
【0081】
プロセッサー802に連結された1つ以上の入力装置810を用いてユーザー入力を助
長することができる。入力装置810はマウス、トラックボール、またはタッチパッドを
含むがこれらに限定されず、さらに演算システム800にデータまたは命令を入力するキ
ーボードまたはキーパッドを含むことができる。
【0082】
一実施形態において、演算システム800は通信ポート814、ネットワークインター
フェイス812、記憶装置804、メモリー806に記憶されたデータ、または入力装置
810から、スキャナー、コピー機、ファクシミリ機、または他の演算装置を通してなど
入力を受信することができる。
【0083】
当業者であれば、いずれの演算システムも本発明の実施に肝要でないことを理解しよう
。当業者であればさらに上述の要素のいくつかは物理的および/または機能的にサブモジ
ュールに分けられるか、またはいっしょに組み合わされるかできることを理解しよう。
【0084】
本発明の実施形態はさらに各種コンピューター実施の操作を行なうためのコンピュータ
ーコードを有するコンピューター読み取り可能な媒体に関連できることが特記される。媒
体およびコンピューターコードは本発明の目的向けに特別に設計され構築されたものでも
良く、または関連技術の当業者が周知または入手可能な種類であることもできる。コンピ
ューター読み取り可能な媒体の例は、ハードディスク、フロッピー(登録商標)・ディス
ク、および磁気テープなどの磁気媒体、CD−ROMおよびホログラフィ装置などの光学
媒体、光磁気媒体、および特別用途向け集積回路(ASIC)、プログラマーブル論理装
置(PLD)、フラッシュメモリー装置、ならびにROM装置およびRAM装置などプロ
グラムコードを記憶し、または記憶して実行するよう特別に構成されるハードウェア装置
を含むがこれらに限定されない。コンピューターコードの例にはコンパイラーにより作成
されるような機械コード、およびインタープリターを用いてコンピューターにより実行さ
れるより高位のコードを含むファイルが含まれる。
【0085】
発明は各種の改変および別の形態が許されるが、その具体的な例が図面に示され本明細
書において詳細に説明された。しかし発明は開示された特定の形に限定されず、逆に発明
は添付クレームの範囲に入るすべての改変、同等物、および代替に及ぶものとする。
【符号の説明】
【0086】
120,225…基準ビットマップ、140…ドットパターン画像としての入力画像、
160,245…歪みマップ、200…検査用システム、205…ドットパターンビット
マップ画像、210,235…ユーザー入力パラメーター、215…基準ビットマップ生
成器、220…除外マップ生成器、230…画像プロセッサー、240…欠陥検出器、2
50…除外マップ、255…エラーマップ生成器、260…歪みマップ構築器、265…
ドットパターン画像、300,400,600,700…方法、505…画像、510…
強度値分布、515…下方強度閾値、520…上方強度閾値、610…エラーマップ、8
00…演算システム、802…プロセッサー、804…記憶装置、806…メモリー、8
08…出力装置、810…入力装置、812…ネットワークインターフェイス、814…
通信ポート、1100…命令実行/演算装置、h…閾値化関数、h(I),Idistortion
,Ierr,Iref,I…強度値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピクセルを有する画像内の異常を特定する方法であって、
関数を適用して前記画像内における複数ピクセルの強度値の差を増やすことにより前記
画像を調節するステップと、
前記画像内における第1組のピクセルを前記画像の基準ビットマップ内における第2組
のピクセルと比較することによりエラーマップを生成するステップと、
ユーザー入力パラメーターに少なくとも部分的に基づき前記エラーマップから第3組の
ピクセルを除去するステップと、
前記画像内における異常を特定する歪みマップを生成するステップとを有し、前記歪み
マップは、前記エラーマップ、前記画像および前記画像の基準ビットマップに少なくとも
部分的に基づき生成されることを特徴とする画像内の異常を特定する方法。
【請求項2】
前記画像を調節するステップは、
前記画像内におけるピクセルの強度値の分布を計算するステップと、
下方強度閾値および上方強度閾値を定義するステップと、
前記分布内のピクセルが前記下方強度閾値未満の強度を有することに応答して、前記ピ
クセルに第1強度値を割り当てるステップと、
前記分布内のピクセルが前記上方強度閾値を超える強度を有することに応答して、前記
ピクセルに第2強度値を割り当てるステップと、
前記分布内のピクセルが前記下方強度閾値を超え前記上方強度閾値未満の強度を有する
ことに応答して、前記ピクセルに演算された強度値を割り当てるステップとを有し、
前記演算された強度値は、前記強度値に閾値関数を適用することにより生成されること
を特徴とする請求項1に記載の画像内の異常を特定する方法。
【請求項3】
前記エラーマップを生成するステップは、
前記画像内における第1ピクセルおよび前記基準ビットマップ内における第2ピクセル
を特定するステップであって、前記第1ピクセルおよび前記第2ピクセルは対応する位置
を有するステップと、
前記第1ピクセルの第1強度と前記第2ピクセルの第2強度との間の絶対差を計算する
ステップと、
前記エラーマップ内における第3ピクセルを特定するステップであって、前記第3ピク
セルおよび前記第1ピクセルは対応する位置を有するステップと、
前記第3ピクセルの第3強度に絶対差を割り当てるステップとを有することを特徴とす
る請求項1に記載の画像内の異常を特定する方法。
【請求項4】
前記第3強度値に絶対差を割り当てるステップは、前記絶対差が閾値を超えることに応
答して行われることを特徴とする請求項3に記載の画像内の異常を特定する方法。
【請求項5】
前記エラーマップからピクセルを除去するステップは、
最小許容エラー幅パラメーターおよび最小許容エラー高さパラメーターを受信するステ
ップと、
前記エラーマップ内のピクセルに連結成分解析を適用することにより連結成分の組を生
成するステップであって、前記連結成分は少なくとも2つの隣接ピクセルを有するステッ
プと、
少なくとも1つの前記連結成分の高さおよび幅を前記最小許容エラー幅パラメーターお
よび前記最小許容エラー高さパラメーターと比較することに基づき、前記連結成分の組か
ら前記少なくとも1つの連結成分を除去するステップとを有することを特徴とする請求項
1に記載の画像内の異常を特定する方法。
【請求項6】
前記連結成分の組から前記少なくとも1つの連結成分を除去するステップは、
前記連結成分の組内において連結成分の行を特定するステップと、
前記連結成分の行が最小許容エラー幅未満の幅を有する連結成分を含むことに応答して
、前記連結成分の行を除去するステップと、
前記連結成分の組内において連結成分の列を特定するステップと、
前記連結成分の列が最小許容エラー高さ未満の高さを有する連結成分を含むことに応答
して、前記連結成分の列を除去するステップとを有することを特徴とする請求項5に記載
の画像内の異常を特定する方法。
【請求項7】
前記歪みマップを生成するステップは、
前記ピクセルを有してなる初期化された歪みマップを生成するステップであって、前記
初期化された歪みマップは前記エラーマップの高さおよび幅に対応する高さと幅とを有す
るステップと、
前記初期化された歪みマップ内における第1位置を有する第1ピクセルに第1色強度を
割り当てるステップであって、前記第1色強度は少なくとも部分的に前記エラーマップの
第1対応ピクセルにおける特定された異常に基づくステップと、
前記初期化された歪みマップ内における第2位置を有する第2ピクセルに第2色強度を
割り当てるステップであって、前記第2色強度は少なくとも部分的に前記エラーマップの
第2対応ピクセルにおける異常がないことに基づくステップとを有することを特徴とする
請求項1に記載の画像内の異常を特定する方法。
【請求項8】
前記第1色強度は、複数の色強度値から選択されるとともに、前記エラーマップの第1
対応ピクセルにおいて特定された特有の種類の異常に関連することを特徴とする請求項7
に記載の画像内の異常を特定する方法。
【請求項9】
前記第1色強度は、複数の強度値から選択されるとともに、前記異常が前記画像の前景
部分に位置していることを特定することを特徴とする請求項7に記載の画像内の異常を特
定する方法。
【請求項10】
請求項1に記載の画像内の異常を特定する方法を実施する命令を有することを特徴とす
るコンピューター読み取り可能な媒体。
【請求項11】
ピクセルを有する画像内の異常を特定する歪みマップを生成する歪みマップ生成方法で
あって、
前記画像内における第1組のピクセルの第1組の強度値を基準ビットマップ内における
第2組のピクセルの第2組の強度値と比較することによりエラーマップを生成するステッ
プと、
前記ピクセルを有する初期化された歪みマップを生成するステップであって、前記初期
化された歪みマップは前記エラーマップの高さおよび幅に対応する高さと幅とを有するス
テップと、
前記初期化された歪みマップ内における複数のピクセルに複数の色強度値を割り当てる
ステップであって、前記複数のピクセル内におけるピクセルのサブセット内の各ピクセル
に対する色強度値は少なくとも部分的に前記エラーマップにおける対応ピクセルの特定さ
れた異常に基づくステップとを有することを特徴とする歪みマップ生成方法。
【請求項12】
前記エラーマップを生成するステップは、
前記画像内における第1ピクセルおよび基準ビットマップ内における第2ピクセルを特
定するステップであって、前記第1ピクセルおよび前記第2ピクセルは対応する位置を有
するステップと、
前記第1ピクセルの第1強度と前記第2ピクセルの第2強度との間の絶対差を計算する
ステップと、
前記エラーマップ内における第3ピクセルを特定するステップであって、前記第3ピク
セルおよび前記第1ピクセルは対応する位置を有するステップと、
前記第3ピクセルの第3強度に絶対差を割り当てるステップとを有することを特徴とす
る請求項11に記載の歪みマップ生成方法。
【請求項13】
前記第3強度値に絶対差を割り当てるステップは、前記絶対差が閾値を超えることに応
答して行われることを特徴とする請求項12に記載の歪みマップ生成方法。
【請求項14】
前記初期化された歪みマップ内における複数のピクセルに複数の色強度値を割り当てる
ステップは、
前記初期化された歪みマップ内における第1位置を有する第1ピクセルに第1色強度を
割り当てるステップであって、前記第1色強度は少なくとも部分的に前記エラーマップの
第1対応ピクセルにおける特定された異常に基づくステップと、
前記初期化された歪みマップ内における第2位置を有する第2ピクセルに第2色強度を
割り当てるステップであって、前記第2色強度は少なくとも部分的に前記エラーマップの
第2対応ピクセルにおける異常がないことに基づくステップとを有することを特徴とする
請求項11に記載の歪みマップ生成方法。
【請求項15】
前記第1色強度は、複数の色強度値から選択されるとともに、前記エラーマップの第1
対応ピクセルにおいて特定された特有の種類の異常に関連することを特徴とする請求項1
4に記載の歪みマップ生成方法。
【請求項16】
請求項11に記載の歪みマップ生成方法を実施する命令を有することを特徴とするコン
ピューター読み取り可能な媒体。
【請求項17】
画像内の異常を特定する歪みマップを生成する歪みマップ生成システムであって、
前記画像および基準ビットマップを受信するよう連結されるエラーマップ生成器であっ
て、前記画像内における第1組のピクセルの第1組の強度値を前記基準ビットマップ内に
おける第2組のピクセルの第2組の強度値と比較することによりエラーマップを作成する
エラーマップ生成器と、
前記エラーマップ、前記基準ビットマップおよび前記画像を受信するよう連結される歪
みマップ構築器とを有し、
前記歪みマップ構築器は、初期化された歪みマップマップ内における複数のピクセルに
複数の色強度値を割り当てるとともに、
複数の前記ピクセル内におけるピクセルのサブセット内の各ピクセルに対する色強度値
は、少なくとも部分的に前記エラーマップにおける対応ピクセルの特定された異常に基づ
くことを特徴とする歪みマップ生成システム。
【請求項18】
前記エラーマップを作成することはさらに、生成された前記エラーマップから前記エラ
ーマップ生成器により受信されたユーザー入力パラメーターに部分的に基づきピクセルを
除去するステップを有することを特徴とする請求項17に記載の歪みマップ生成システム

【請求項19】
前記初期化された歪みマップ内における複数のピクセルに複数の色強度値を割り当てる
ことは、
前記初期化された歪みマップ内における第1位置を有する第1ピクセルに第1色強度を
割り当てるステップであって、前記第1色強度は少なくとも部分的に前記エラーマップの
第1対応ピクセルにおける特定された異常に基づくステップと、
前記初期化された歪みマップ内における第2位置を有する第2ピクセルに第2色強度を
割り当てるステップであって、前記第2色強度は少なくとも部分的に前記エラーマップの
前記第2対応ピクセルにおける異常がないことに基づくステップと、によって実施される
ことを特徴とする請求項17に記載の歪みマップ生成システム。
【請求項20】
前記第1色強度は、複数の色強度値から選択されるとともに、前記エラーマップの第1
対応ピクセルにおいて特定された特有の種類の異常に関連することを特徴とする請求項1
9に記載の歪みマップ生成システム。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−27054(P2010−27054A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167533(P2009−167533)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】