説明

画像再構成装置、符号化装置、復号装置及びプログラム

【課題】動きぼけ関数を用いた画像再構成装置、符号化装置、復号装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の画像再構成装置20は、動画像の超解像処理における画像縮小後の画像信号を再構成して高解像画像を復元する装置であり、画像縮小後の画像信号又は画像縮小前の画像信号を用いて動き推定を行い、動き情報を取得する動き推定部201と、前記動き情報から、画像縮小された動画像の複数フレーム間で画素の対応付けを行い、当該画像縮小後のフレームの画素を、画像拡大するフレーム上に反映する対応付け情報を生成する画素対応付け処理部202と、前記動き情報を元に点広がり関数PSF(Point Spreading Function)を拡張した拡張動きぼけ関数を用いて、前記画像縮小後のフレームの画素を、前記画像拡大するフレーム上に反映するときの事後確率を最大にする高解像度画像の推定を行って、高解像度画像を再構成する再構成処理部203とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動きぼけ関数を用いた画像再構成装置、符号化装置、復号装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば復号画像の画像劣化に対する後処理として動きぼけ関数を用いた画像再構成処理が知られている。従来の画像再構成装置は、例えば画像の超解像処理において、画像劣化時の動きぼけ関数として点広がり関数PSF(Point Spreading Function)を用いて再構成処理を行う技術がある(例えば、非特許文献1,2,3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Sung C. Park, Min K. Park, Moon G. Kang., “Super-Resolution Image Reconstruction : A Technical Overview”, IEEE Signal Processing Magagine, vol. 20, no. 3, pp.21-36, 2003
【非特許文献2】David Capel,“Image Mosaicing and Super-resolution”, Springer出版杜, January 9, 2004
【非特許文献3】Tomomasa Gotoh, Masatoshi Okutomi,“Direct Super-Resolution and Registration Using Raw CFA Images”, Proceedings of IEEE Computer Society Conference on CVPR, vol.2, pp. 600-607, 2004.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像再構成装置は、画像の超解像処理において、画像劣化時の動きぼけ関数として点広がり関数PSF(Point Spreading Function)を用いて再構成処理を行う。しかし、この動きぼけ関数としての点広がり関数は、単純に解像度変換に伴う動きぼけのみを考慮したものであり、シーンやカメラの動き量と方向を考慮していないために、動画像に対して用いる際にはその性能は十分であるとは言えなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて為されたものであり、動きぼけ関数のPSFを動き情報を基に2次元方向に拡張して、画像の超解像処理における画像再構成を行う画像再構成装置、符号化装置、復号装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による第1の態様の画像再構成装置は、動画像の復号処理の後処理装置として構成され、動画像の複数フレームからの動き情報を元に被超解像フレーム上に画素の位置合わせを行って標本点を増やし、点広がり関数を動き情報を元に拡張した「拡張動きぼけ情報」として画像再構成処理に利用し、画像の先鋭化を行う。例えば、「拡張動きぼけ情報」は、シーンやカメラの動き量と方向を考慮するために動き情報を用い、動きぼけ関数のPSF(点広がり関数)を2次元方向に拡張したものとして生成される。
【0007】
画像再構成処理としては、MAP(Maximum A Posterior)法や、その他の方法を用いることができる。MAP法を用いる場合は、符号化側で画像縮小情報を補助情報として送信し、復号側での再構成処理に利用することができる。
【0008】
本発明による第2の態様の画像再構成装置は、符号化装置や復号装置に備えられ、符号化側で原画像を用いて推定した動き情報を補助情報として送信し、復号側で再構成処理に利用することができる。また再構成処理としてMAP法を用いる場合は、符号化側で原画像の画像縮小を行った際の画像縮小情報と、「拡張動きぼけ情報」とを補助情報として送信し、復号側で再構成処理に利用する。即ち、符号化側で原画像を用いて推定した動き情報を生成するため高精度な動き情報が得られる。
【0009】
即ち、本発明の画像再構成装置は、動画像の超解像処理における画像縮小後の画像信号を再構成して高解像画像を復元する画像再構成装置であって、画像縮小後の画像信号又は画像縮小前の画像信号を用いて動き推定を行い、動き情報を取得する動き推定手段と、前記動き情報から、画像縮小された動画像の複数フレーム間で画素の対応付けを行い、当該画像縮小後のフレームの画素を、画像拡大するフレーム上に反映する対応付け情報を生成する画素対応付け処理手段と、前記動き情報を元に点広がり関数PSF(Point Spreading Function)を拡張した拡張動きぼけ関数を用いて、前記画像縮小後のフレームの画素を、前記画像拡大するフレーム上に反映するときの事後確率を最大にする高解像度画像の推定を行って、高解像度画像を再構成する再構成処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の画像再構成装置において、前記再構成処理手段は、前記拡張動きぼけ関数として、点広がり関数PSF(Point Spreading Function)を模擬する2次元ガウス関数近似を用いて、前記動き情報を元に動きぼけ関数情報の動きぼけ量を制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画像再構成装置において、前記再構成処理手段は、前記拡張動きぼけ関数として、前記2次元ガウス関数近似を用いて、前記動き情報を元に2次元ガウス関数近似の水平及び垂直方向の動きぼけ量を制御することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の画像再構成装置において、前記再構成処理手段は、MAP(Maximum A Posterior)法を用いて当該高解像画像を復元することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の符号化装置は、動画像の超解像処理における画像縮小を施して符号化する符号化装置であって、動画像の超解像処理における画像縮小を施す画像縮小手段と、画像縮小された動画像を符号化する符号化手段と、符号化した画像縮小後の動画像を局部復号する局部復号手段と、動画像の画像縮小前の画像信号を用いて動き推定を行い、動き情報を取得する動き推定手段と、前記動き情報から、画像縮小された動画像の複数フレーム間で画素の対応付けを行い、当該画像縮小後のフレームの画素を、画像拡大するフレーム上に反映する対応付け情報を生成する画素対応付け処理手段と、前記動き情報を元に点広がり関数PSF(Point Spreading Function)を拡張した拡張動きぼけ関数を用いて、前記画像縮小後のフレームの画素を、前記画像拡大するフレーム上に反映するときの事後確率を最大にする高解像度画像の推定を行う再構成処理手段とを備え、前記動き推定手段によって取得した動き情報、前記画素対応付け処理手段によって生成された対応付け情報、及び、前記再構成処理手段によって用いた拡張動きぼけ関数の情報は、前記符号化した画像縮小後の動画像の補助情報として復号側に伝送されるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の復号装置は、本発明の符号化装置によって符号化された画像信号を復号する復号装置であって、前記符号化した画像縮小後の動画像を復号する復号手段と、前記動き情報から、画像縮小された動画像の複数フレーム間で画素の対応付けを行い、当該画像縮小後のフレームの画素を、画像拡大するフレーム上に反映する対応付け情報を生成する第2の画素対応付け処理手段と、前記拡張動きぼけ関数の情報を用いて、前記画像縮小後のフレームの画素を、前記画像拡大するフレーム上に反映するときの事後確率を最大にする高解像度画像の推定を行って、高解像度画像を再構成する再構成処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明のプログラムは、動画像の超解像処理における画像縮小を施して符号化する符号化装置として構成するコンピュータに、動画像の超解像処理における画像縮小を施すステップと、画像縮小された動画像を符号化するステップと、符号化した画像縮小後の動画像を局部復号するステップと、動画像の画像縮小前の画像信号を用いて動き推定を行い、動き情報を取得するステップと、前記動き情報から、画像縮小された動画像の複数フレーム間で画素の対応付けを行い、当該画像縮小後のフレームの画素を、画像拡大するフレーム上に反映する対応付け情報を生成するステップと、前記動き情報を元に点広がり関数PSF(Point Spreading Function)を拡張した拡張動きぼけ関数を用いて、前記画像縮小後のフレームの画素を、前記画像拡大するフレーム上に反映するときの事後確率を最大にする高解像度画像の推定を行うステップと、を実行させるためのプログラムとして構成される。
【0016】
さらに、本発明のプログラムは、本発明の符号化装置によって符号化された画像信号を復号する復号装置として構成するコンピュータに、前記符号化した画像縮小後の動画像を復号するステップと、前記動き情報から、画像縮小された動画像の複数フレーム間で画素の対応付けを行い、当該画像縮小後のフレームの画素を、画像拡大するフレーム上に反映する対応付け情報を生成するステップと、前記拡張動きぼけ関数の情報を用いて、前記画像縮小後のフレームの画素を、前記画像拡大するフレーム上に反映するときの事後確率を最大にする高解像度画像の推定を行って、高解像度画像を再構成するステップと、を実行させるためのプログラムとして構成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、従来よりも高画質な超解像処理における再構成処理を行うことができる。そして本発明の画像再構成装置を備えた符号化/復号装置においても、符号化側で原画像の画像縮小を行った際の画像縮小情報と、原画像を用いて動き推定した動き情報とを補助情報として利用することにより高画質な処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による第1の実施形態の画像再構成装置を示すブロック図である。
【図2】本発明による第2の実施形態の画像再構成装置を示すブロック図である。
【図3】本発明による画像再構成装置に画素対応付けを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明による第1の実施形態の画像再構成装置を説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明による第1の実施形態の画像再構成装置を示すブロック図である。本実施形態の画像再構成装置20は、超解像処理における画像縮小後の符号化信号を復号する動画像の復号装置10の後処理装置として構成され、画像縮小条件が未知である場合を想定している。画像再構成装置20の再構成処理は、超解像処理において画像を再構成して超解像画像を作成するプロセスである。通常、画像縮小の際に発生する動きぼけ関数として点広がり関数PSFを用い、画像拡大の際にその逆関数を利用して超解像を行う。したがって、画像再構成装置20は、未知の動きぼけ関数に対して再構成処理を実行する。
【0021】
再構成処理では、動きぼけ関数のパラメータを推定(或いは経験測に基づいて設定)して画像の先鋭化を行う必要がある。さらに、動画像の複数フレームを用いる超解像処理では、複数フレームからの動き情報を元に被超解像フレーム上に画素の位置合わせを行って標本点を増やし、その情報を利用した動きぼけ関数を用いて画像の先鋭化を行う必要がある。そこで、本実施形態の画像再構成装置20は、動画像の複数フレームからの動き情報を元に被超解像フレーム上に画素の位置合わせを行って標本点を増やし、点広がり関数を動き情報を元に拡張した「拡張動きぼけ情報」として画像再構成処理に利用し、この「拡張動きぼけ情報」は、シーンやカメラの動き量と方向を考慮するために動き情報を用い、動きぼけ関数のPSF(点広がり関数)を2次元方向に拡張したものとして生成される。
【0022】
より具体的には、本実施形態の画像再構成装置20は、再構成処理における動きぼけ関数情報としての点広がり関数を、動き情報を元に拡張した拡張動きぼけ情報として利用する装置として構成され、動き推定部201と、画素対応付け処理部202と、再構成処理部203とを備える。尚、復号装置10は、未知の条件で画像縮小を行って符号化された信号を入力し、この符号化に対応する復号処理を施して画像再構成装置20に送出する。
【0023】
動き推定部201は、画像縮小された動画像の複数フレームを用いて動き推定を行い、動き情報を取得して動画像とともに画素対応付け処理部202に送出する。
【0024】
画素対応付け処理部202は、動き情報から、画像縮小された動画像の複数フレーム間で画素の対応付けを行い、超解像元フレーム(画像縮小されたフレーム)の画素を被超解像フレーム(画像拡大するフレーム)上に反映する対応付け情報を、再構成処理部203に送出する(図3参照)。
【0025】
再構成処理部203は、画像縮小後のフレームの画素を、画像拡大するフレーム上に反映するときの事後確率(被超解像フレーム上に複数の低解像度な超解像元フレームの画素が与えられた時の事後確率)を最大にする高解像度画像の推定を行って、高解像度画像を再構成する。この推定にはMAP(Maximum A Posterior)法や、その他の方法を用いることができる。また拡張動きぼけ関数は、動き情報を元に動きぼけ関数情報の動きぼけ量を制御するよう、PSFを拡張した動きぼけ関数である。詳細に後述するが、再構成処理部203は、拡張動きぼけ関数として、点広がり関数PSF(Point Spreading Function)を模擬する2次元ガウス関数近似を用いて、2次元ガウス関数近似の水平及び垂直方向の動きぼけ量を制御することができる。
【0026】
従来からのMAP法(以下、「従来MAP法」と称する)は、xを高解像度な画像復元されたフレーム画像ベクトル、yを低解像度な超解像元フレーム画像ベクトル、Nを入力フレーム数とした時の事後確率p(x|y,y,・・・,y)を最大にする高解像度フレーム画像を推定する方法である。
【0027】
従来MAP法によれば、誤差分布を正規分布と仮定した場合、推定される高解像度フレーム画像x(^)は、式(1)で計算される。
【0028】
【数1】

【0029】
式(1)での第1項では、Dはサブサンプリングを表す行列、Bは「動きぼけ関数情報」としての点広がり関数PSF(Point Spreading Function)行列、Wはシーンやカメラの動きを表す「動き情報」の行列を示す。
【0030】
ゆえに、式(1)の第1項の||y−D・B・W・x||は、k番目の低解像度の超解像元フレーム画像と、観測信号としての高解像度の画像復元されるフレーム画像に「動きぼけ関数情報」としてのPSFによる解像度変換時の動きぼけとk番目の超解像元フレームからの「動き情報」を与えてサブサンプリングした画像との二乗誤差となる。
【0031】
そして、式(1)の第2項のλ||C・x||は、λが事前情報の寄与度合いを示す変数量、Cが入力画像の事前情報として与えられる「画像縮小情報」の行列となる。
【0032】
ただし、従来MAP法では、「動きぼけ関数情報」、「動き情報」、「画像縮小情報」は補助情報としては与えられないことに注意する。ゆえに、従来MAP法におけるCは、例えば4近傍のMRF(Markov Random Field)を仮定して、4近傍のラプラシアンカーネルを利用するものであるため、シーンやカメラの動きに十分に対応できていなかった。
【0033】
また、従来MAP法の課題の1つに、式(1)における「動きぼけ関数情報」Bの設定を経験則的に求めていることにある。画像再構成装置20は、画像縮小された結果の観測画像のみが既知であり、画像縮小時の劣化過程は未知であるため、観測画像から超解像画像を復元する処理は、点拡がり関数 (PSF)が未知であるので完全なブラインド・デコンボリューションの処理となる。
【0034】
ゆえに、従来からの複数フレームの超解像処理では、再構成処理における画像拡大率などを元に、全てのフレームにおいてPSFを一定とし、その値を経験則的に求めている。さらに画像縮小の劣化過程も未知であるため、「画像縮小情報」Cの値も未知である。さらには、符号化劣化を含む縮小画像のみを用いて「動き推定」を行わなければならない。
【0035】
そこで、本実施形態の画像再構成装置20は、「動き情報」及び「画像縮小情報」が補助情報としては与えられない状況下で、式(1)の「動きぼけ関数情報」のPSF関数Bを、2次元ガウス関数近似による点広がり関数とし、動き推定においてブロックまたは画素単位で求めた動き情報(フレーム間動きベクトルの向きと大きさ)に応じて、2次元ガウス関数近似による点広がり関数の拡張を行う。この拡張された「動きぼけ関数情報」のPSF関数を拡張PSKカーネルEBとする。
【0036】
式(2)に、拡張動きぼけ関数の拡張PSKカーネルEBを用いたMAP再構成処理式を示す。
【0037】
【数2】

【0038】
より具体的に、「動きぼけ関数情報(2次元ガウス関数近似による点広がり関数PSK)」と、「拡張動きぼけ情報(拡張された2次元ガウス関数近似による点広がり関数PSK)」について、詳細に説明する。
【0039】
〔動きぼけ関数情報(2次元ガウス関数近似による点広がり関数)〕
PSKを、2次元のガウス関数で近似するあたり、式(3)のように、半値幅をwとし、面積が1の規格化ガウス関数の振幅をαとして定義する。
【0040】
【数3】

【0041】
式(3)より、2次元のガウス関数は、式(4)のようになる。ここで、水平方向の基準位置はx、垂直方向の基準位置はyとなる。
【0042】
【数4】

【0043】
〔拡張動きぼけ情報(拡張された2次元ガウス関数近以による点広がり関数)〕
本実施形態の画像再構成装置20は、式(4)の点広がり関数を拡張する。動きベクトルmの水平方向の動き量をm、垂直方向の動き量をmとすると、式(4)のガウス関数における水平方向と垂直方向の半値幅は、式(5)のように制御される。
【0044】
【数5】

【0045】
式(5)は、動きベクトルの向きと大きさに応じて点広がり関数の広がり方向と広がり量を制御するものである。
【0046】
画像再構成装置20の再構成処理では、式(2)の拡張PSKカーネルEBを式(5)の2次元のガウス関数として、画像拡大倍率に応じて式(5)の半値幅wを決定し、式(2)のλを変化させながら式(2)の繰り返し演算を行い、最適な高解像度画像を求めることができる。
【0047】
次に、本発明による第2の実施形態の画像再構成装置を説明する。
【0048】
(第2の実施形態)
図2は、本発明による第2の実施形態の画像再構成装置を備える符号化装置30及び復号装置40を示すブロック図である。図1と図2における画像再構成装置は同様の処理を行う機能部を有するが、利用形態に応じて入力される補助情報が異なる。即ち、第1の実施形態の画像再構成装置20では、「動き情報」及び「画像縮小情報」が補助情報としては与えられない状況下の例を説明したが、第2の実施形態の画像再構成装置を備える符号化装置30及び復号装置40を構成することで、「動きぼけ関数情報」、「動き情報」、「画像縮小情報」は補助情報としては与えられるように構成することができるため、より優れた超解像度処理を実現することができる。
【0049】
符号化装置30は、原画像信号を入力して画像縮小を施し、符号化する装置であり、画像縮小部301と、符号化部302と、局部復号部303と、第2の実施形態の画像再構成装置304とを備える。画像再構成装置304は、動き推定部3041と、画素対応付け処理部3042と、再構成処理部3043とを備える。
【0050】
復号装置40は、符号化装置30によって符号化された信号を入力して画像拡大を行って復号する装置であり、復号部401と、第2の実施形態の画像再構成装置402とを備える。画像再構成装置402は、画素対応付け処理部4021と、再構成処理部4022とを備える。
【0051】
画像縮小部301は、動画像の複数フレームからなる原画像信号を入力し、画像縮小を施して符号化部302に送出する。ここで、画像縮小部301における「画像縮小」は、任意の方法を用いることができ、例えば、線形フィルタによる縮小やウェーブレット分解の低周波画像を用いる縮小を用いることができる。また、画像縮小部301は、縮小方法やフィルタ係数等の情報を、補助情報である「画像縮小情報」として、復号側(再構成処理部4022)及び再構成処理部3043に伝送する。
【0052】
符号化部302は、画像縮小を施した動画像の複数フレームの信号を入力し、予め定めた符号化方式に従う符号化処理を施して復号装置40に伝送する。利用する符号化方式は、例えば、H.264/MPEG−4AVCによる方法や別の符号化方式も用いることができる。
【0053】
局部復号部303は、符号化部302によって符号化した画像縮小を施した動画像の複数フレームの信号を復号して超解像元フレームを画素対応付け処理部3042に送出する。
【0054】
動き推定部3041は、画像縮小を施した動画像の複数フレームの信号を入力して動き推定を行って高精度且つ高確度の動き情報を抽出する。「動き推定」の方法は、任意の方法を用いることができる。例えば、全探索ブロツクマッチング法などが利用できる。動き推定は、小数画素精度で行う。動き推定部3041は、補助情報として動き情報を復号側(画素対応付け処理部4021)に伝送することができる。
【0055】
画素対応付け処理部3042は、動き推定部3041から取得する動き情報を用いて、局部復号部303から復号して得られる超解像元フレームの画素の対応付けを行い、被超解像フレーム上に反映する対応付け情報を、再構成処理部3043に送出する(図3参照)。
【0056】
再構成処理部3043は、動き情報に基づいて設定された対応付け情報を用いて、画素の対応付けによって得られた画素情報の事後確率(被超解像フレーム上に複数の低解像度な超解像元フレームの画素が与えられた時の事後確率)を最大にする高解像度画像の推定を行って、画素単位またはブロック単位毎に動きぼけ関数(即ち、拡張動きぼけ情報)を設定し、この「拡張動きぼけ情報」を復号側(再構成処理部4022)に送出する。従来符号化における従来複数フレーム超解像処理において、この推定にはMAP法や、その他方法を用いることができる。
【0057】
復号部401は、符号化部302によって符号化された超解像元フレームの信号を入力し、この符号化に対応する復号処理を施して画像再構成装置4021に送出する。
【0058】
画素対応付け処理部4021は、動き推定部3041から得られる動き情報を用いて、復号部401から復号して得られる超解像元フレームの画素の対応付けを行い、被超解像フレーム上に反映する対応付け情報を、再構成処理部4022に送出する。
【0059】
再構成処理部4022は、画像縮小部301から得られる「画像縮小情報」Cと、再構成処理部3043から得られる「拡張動きぼけ情報」を用いて、画素対応付け処理部4021の画素の対応付けによって得られた画素情報の事後確率(被超解像フレーム上に複数の低解像度な超解像元フレームの画素が与えられた時の事後確率)を最大にする高解像度画像の推定を行って、高解像度画像を再構成し、外部に送出する。
【0060】
本実施形態の画像再構成装置304,402では、式(2)における「画像縮小情報」Cは、理想上は既知となり得るが、劣化した空間周波数を完全に復元する逆フィルタを定義することは事実上不可能であるところ、画像縮小部301から補助情報として画像縮小情報を取得することにより、理想に近い式(2)における「画像縮小情報」Cを設計することができる。
【0061】
具体的には、画像縮小部301によって、画像縮小に任意のマザーウェーブレットによるウェーブレット分解を用いた場合、「画像縮小情報」はそのウェーブレット分解用のマザーウェーブレットとすることができ、式(2)における「画像縮小情報」Cには「画像縮小情報」と対をなすウェーブレット再構成用のマザーウェーブレットとすることができる。
【0062】
さらに、本実施形態の画像再構成装置304を備える符号化装置30では、原画像を用いて「動き情報」の推定を行うため、高精度かつ高確度の動き情報が得られ、本実施形態の画像再構成装置304の再構成処理において、画素単位またはブロック単位毎に動きぼけ関数を設定し、「拡張動きぼけ情報」としての拡張PSFカーネルEBを生成することができるため、画像縮小や拡大における動きぼけだけでなく、シーンやカメラワークの動きに起因する動きぼけも考慮することができるようになる。
【0063】
また、本実施形態の画像再構成装置304を備える符号化装置30は、「画像縮小情報」C、「動き情報」、及び「拡張動きぼけ情報」の値を補助情報として復号装置40に伝送するため、復号装置40は、この補助情報を再構成処理に用いることで高画質な超解像処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、画像符号化全般に用いることができる。特に、目標とする符号化ビットレートが低い場合に有効である。またストレージメディアヘの圧縮記録等の利用も可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 復号装置
20 画像再構成装置
30 符号化装置
40 復号装置
201 動き推定部
202 画素対応付け処理部
203 再構成処理部
301 画像縮小部
302 符号化部
303 局部復号部
304 画像再構成装置
401 復号部
402 画像再構成装置
3041 動き推定部
3042 画素対応付け処理部
3043 再構成処理部
4021 画素対応付け処理部
4022 再構成処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像の超解像処理における画像縮小後の画像信号を再構成して高解像画像を復元する画像再構成装置であって、
画像縮小後の画像信号又は画像縮小前の画像信号を用いて動き推定を行い、動き情報を取得する動き推定手段と、
前記動き情報から、画像縮小された動画像の複数フレーム間で画素の対応付けを行い、当該画像縮小後のフレームの画素を、画像拡大するフレーム上に反映する対応付け情報を生成する画素対応付け処理手段と、
前記動き情報を元に点広がり関数PSF(Point Spreading Function)を拡張した拡張動きぼけ関数を用いて、前記画像縮小後のフレームの画素を、前記画像拡大するフレーム上に反映するときの事後確率を最大にする高解像度画像の推定を行って、高解像度画像を再構成する再構成処理手段と、
を備えることを特徴とする画像再構成装置。
【請求項2】
前記再構成処理手段は、前記拡張動きぼけ関数として、点広がり関数PSF(Point Spreading Function)を模擬する2次元ガウス関数近似を用いて、前記動き情報を元に動きぼけ関数情報の動きぼけ量を制御することを特徴とする、請求項1に記載の画像再構成装置。
【請求項3】
前記再構成処理手段は、前記拡張動きぼけ関数として、前記2次元ガウス関数近似を用いて、前記動き情報を元に2次元ガウス関数近似の水平及び垂直方向の動きぼけ量を制御することを特徴とする、請求項2に記載の画像再構成装置。
【請求項4】
前記再構成処理手段は、MAP(Maximum A Posterior)法を用いて当該高解像画像を復元することを特徴とする、請求項3に記載の画像再構成装置。
【請求項5】
動画像の超解像処理における画像縮小を施して符号化する符号化装置であって、
動画像の超解像処理における画像縮小を施す画像縮小手段と、
画像縮小された動画像を符号化する符号化手段と、
符号化した画像縮小後の動画像を局部復号する局部復号手段と、
動画像の画像縮小前の画像信号を用いて動き推定を行い、動き情報を取得する動き推定手段と、
前記動き情報から、画像縮小された動画像の複数フレーム間で画素の対応付けを行い、当該画像縮小後のフレームの画素を、画像拡大するフレーム上に反映する対応付け情報を生成する画素対応付け処理手段と、
前記動き情報を元に点広がり関数PSF(Point Spreading Function)を拡張した拡張動きぼけ関数を用いて、前記画像縮小後のフレームの画素を、前記画像拡大するフレーム上に反映するときの事後確率を最大にする高解像度画像の推定を行う再構成処理手段とを備え、
前記動き推定手段によって取得した動き情報、前記画素対応付け処理手段によって生成された対応付け情報、及び、前記再構成処理手段によって用いた拡張動きぼけ関数の情報は、前記符号化した画像縮小後の動画像の補助情報として復号側に伝送されるように構成されていることを特徴とする符号化装置。
【請求項6】
請求項5に記載の符号化装置によって符号化された画像信号を復号する復号装置であって、
前記符号化した画像縮小後の動画像を復号する復号手段と、
前記動き情報から、画像縮小された動画像の複数フレーム間で画素の対応付けを行い、当該画像縮小後のフレームの画素を、画像拡大するフレーム上に反映する対応付け情報を生成する第2の画素対応付け処理手段と、
前記拡張動きぼけ関数の情報を用いて、前記画像縮小後のフレームの画素を、前記画像拡大するフレーム上に反映するときの事後確率を最大にする高解像度画像の推定を行って、高解像度画像を再構成する再構成処理手段と、
を備えることを特徴とする復号装置。
【請求項7】
動画像の超解像処理における画像縮小を施して符号化する符号化装置として構成するコンピュータに、
動画像の超解像処理における画像縮小を施すステップと、
画像縮小された動画像を符号化するステップと、
符号化した画像縮小後の動画像を局部復号するステップと、
動画像の画像縮小前の画像信号を用いて動き推定を行い、動き情報を取得するステップと、
前記動き情報から、画像縮小された動画像の複数フレーム間で画素の対応付けを行い、当該画像縮小後のフレームの画素を、画像拡大するフレーム上に反映する対応付け情報を生成するステップと、
前記動き情報を元に点広がり関数PSF(Point Spreading Function)を拡張した拡張動きぼけ関数を用いて、前記画像縮小後のフレームの画素を、前記画像拡大するフレーム上に反映するときの事後確率を最大にする高解像度画像の推定を行うステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項5に記載の符号化装置によって符号化された画像信号を復号する復号装置として構成するコンピュータに、
前記符号化した画像縮小後の動画像を復号するステップと、
前記動き情報から、画像縮小された動画像の複数フレーム間で画素の対応付けを行い、当該画像縮小後のフレームの画素を、画像拡大するフレーム上に反映する対応付け情報を生成するステップと、
前記拡張動きぼけ関数の情報を用いて、前記画像縮小後のフレームの画素を、前記画像拡大するフレーム上に反映するときの事後確率を最大にする高解像度画像の推定を行って、高解像度画像を再構成するステップと、
を実行させるためのプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−60306(P2012−60306A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199990(P2010−199990)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】