説明

画像処理による自動検卵機構

【課題】従来の画像処理による自動検卵機構を改良する。
【解決手段】有精卵を配置する検査用ホイルと有精卵内部に光を当てる照射手段と卵内部のカラー画像を撮像するカラーCCDカメラを備えた画像撮像と撮像した卵画像を用いて正卵判定する非破検査部とを備えた有精卵の検査装置において、割卵機から供給される液卵を収容して搬送されるカップを検知するセンサーと,該センサーのカップ検知によりCCDカラーカメラで液卵の画像を取り込む画像処理装置と、該画像処理装置に割卵機制御装置を介して不良液卵をカップから排出させる分別機構により、出力トリガ信号を送信する出力バッファとから構成されることを特徴とする画像受理による自動検卵機構の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有精卵の生死と発育状態を判定する非破壊検査装置に関するが、詳しくはその検査に画像処理方法を採用した画像処理による自動検卵機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から一般的な検卵方法としては、本願出願人が開示(特開2007−127467)した「画像処理による自動検卵装置」がある。この装置は、有精卵の検査法を実施する非破壊検査装置であって、有精卵を配置する検査用ホイル,有精卵内部に光を当てる照射手段と,卵内部のカラー画像を撮像するカラーCCDカメラを備えた画像撮像と、撮像した卵画像を用いて正卵判定する非破検査部とを備えた有精卵の検査装置において、割卵機から供給される液卵を収容して搬送されるカップを検知するセンサーと,該センサーのカップ検知によりCCDカラーカメラで液卵の画像を取り込む画像処理装置と、該画像処理装置に割卵機制御装置を介して不良液卵をカップから排出させる分別機構により出力トリガ信号を送信する出力バッファとから構成されることを特徴とする画像処理による自動検卵装置の提供にある。
【特許文献1】特開2007−127467号公報 この従来装置の具体的な構成は、図1から図3に示すように検査装置では専用トイレで搬送された多数の卵を検査用ホイルに1個毎に移載し、整列コンベアにて複数個並べてピックとプレスで複数個を一度に画像撮像部へ搬送する。この搬送された卵は、ホイル支持台を上昇させ画像処理時の外乱を防ぐため遮光性のある撮影用の筒に入れる。その際、撮影用筒の上部には照明装置の入った照明装置内蔵用の筒があり、該筒の先が卵に接するまでホイル支持台を上昇させて卵を気室側より照明する。この照明内蔵用筒の先端部は、卵形状やサイズが異なってもその先端から外部に照明光が漏れないように柔らかい材質で構成されている。また、カラーCCDカメラは撮影用筒の反対側に設置し、支持台の上昇端で1枚目の卵画像を撮影する。撮影後は撮影完了信号にて90度支持台を回転させ、停止後2枚目を撮影して正常卵を判定処理する。
【0003】
なお、4枚目の画像撮影の完了信号にて支持させ、ついで卵が整列コンベアより搬送されると撮影済み卵は画像撮像部より押し出されて選別コンベアで受け、さらに画像の撮影後から選別コンベアに移載されるまでの間に撮影した卵の正常卵の判定処理を行い選別コンベアに判定結果の信号を出力する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような本願出願人が開示した装置に改良を加えて、より優れた画像処理による自動式の検卵機構を提供するところに、本発明が解決しようとする課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の如き課題を解決するために開発したものであって、有精卵が配置されている検査用ホイル内部に光を当てる照射手段と卵内部のカラー画像を撮像するカラーCCDカメラを備えた画像撮像と撮像した卵画像を用いて正卵判定する非破検査部とから構成される有精卵の検査装置において、割卵機から供給される液卵を収容して搬送されるカップを検知するセンサーと,該センサーのカップ検知によりCCDカラーカメラで液卵の画像を取り込む画像処理装置と、該画像処理装置に割卵機制御装置を介して不良液卵をカップから排出させる分別機構により、出力トリガ信号を送信する出力バッファとから構成されることを特徴とする画像処理による自動検卵機構の提供にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明は有精卵が配置されている検査用ホイル内部に光を当てる照射手段と,卵内部のカラー画像を撮像するカラーCCDカメラを備えた画像撮像と撮像した卵画像を用いて正卵判定する非破検査部とから構成される有精卵の検査装置において、割卵機から供給される液卵を収容して搬送されるカップを検知するセンサーと,該センサーのカップ検知によりCCDカラーカメラで液卵の画像を取り込む画像処理装置と、該画像処理装置に割卵機制御装置を介して不良液卵をカップから排出させる分別機構により出力トリガ信号を送信する出力バッファとから構成されることを特徴とする画像処理による自動検卵装置であるから、従来装置の有精卵の内部色情報に基づき発育状況を検査することにより正常卵と死卵(発育不良卵,気室境界付近出血卵を含む)とを非破壊で確実に判定することができる効果に加え、さらに次のような多くの効果が得られる。
ア、本発明は発育しつつある有精卵の卵殻に光を当てて卵内の血管の発育状態及び活力を確認することは従来と変わらないが、本発明にすることによってハロゲンランプの強い光を複数の卵に同時に当て離れた位置から見ることにより、複数卵の発育状態を比較することができるので確実に優良な発育卵と不良卵を複数の作業員が確認でき、しかも学習できることにより作業員が職人化することを防ぎ誰でも検卵作業の交替ができる。
イ、また本発明によれば、個々卵の判断でなく複数の卵を比較することにより判断レベルを向上することでワクチン製造上、品質及び有効率向上を図ることができる。
ウ、さらに本発明のように自動システム化にすることによって、検卵精度を高めることができるとともに常に安定供給を図ることができるので大量の企業化が可能となる。
エ、さらに本発明によれば、自動画像通信システム用の見出しシートと発信局及び受信局を固定するデータを与える自動画像通信システム用の見出しシートを提供することが可能となる。
オ、さらに本発明によれば、通信回線を利用して鶏卵選別に遠隔監視することによって、通信費用の節減が図れるとともに各装置やシステムの異常有無の確認を可能にすることができる。
カ、なお、インフルエンザなどのワクチンが世界的にも不足しており、今後も一層不足が進む中で本発明のような装置を国内はもとより海外にも提供することによって、内外国の医療機関に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の最良な実施形態は、前述の従来装置を改良したものであるから基本的な実施形態の説明は省略し、その改良点のみ説明することにする。
【0008】
すなわち、本発明の構成は設定値が血卵を判定するための第1の設定値と腐敗卵を判定するための第2の設定値とが設定されており、第1の設定値の方が第2の設定値よりも高くなるように設定されている。また、これにより血卵と腐敗卵とを区別して判定することができるので、血卵と腐敗卵とを別々に回収することが可能になる。また、腐敗卵を判定するための第2の設定値の方が低いのは腐敗により光透過率が極端に低下するからである。更に、本発明の構成が光路にフィルターが配置された第1グループとフィルターが配置されない第2グループとに分けられており、また画像処理装置が第1グループとフィルターが配置されていない第2グループから取り込まれた第1画像の第1の平均明度値と、第2グループから取り込まれた第1画像の第2の平均明度値との差を求め、この差が予め設定された所定値以上の時に血卵であると判定するものがある。その結果、すべての光路にフィルターを配置する必要がないのでコスト的に有利である。
【0009】
なお、本発明で使用されている画像処理装置について下記のとおり説明する。この装置は基本的には従来公知のものであるから、ここではその要点についてのみ説明することにする。
【0010】
まず、画像をImage 1として入力する(♯01)。次に、画像のうち鶏卵が存在する部分の平均明度を求める(♯02)。つまり1個の鶏卵につき4回測定するから、その平均値を求めるのである。そして、求められた明度値が予め設定された第1の設定値よりも大きいか否かを判断する(♯03)。大きければ、正常卵であると判定される(♯04)。ステップ♯03で第1の設定値よりも小さいと判断されると、次に明度値が第2の設定値よりも大きいか否かを判断する(♯05)。この第2の設定値は、第1の設定値よりもかなり小さくなるように設定されている。ステップ♯05で第2の設定値よりも小さいと判断されれた場合は、腐敗卵であると判定されている(♯07)。また、そうでない場合には血卵であると判断される(♯06)。なお、ステップ♯05の判断を省略し、第1の設定値よりも小さな場合は腐敗卵または血卵のいずれかであると判定するように構成してもよい。
【0011】
次に、血卵の検出に関する第2実施形態を説明する。すべての光源(光路)に関してフィルターを配置するのではなく、搬送方向に沿って並べられた4つの照明装置のうちの上流側の2つの光源に関してのみ導光部にフィルターを配置するのである。なお、照明装置例にフィルターを配置するのではなく、搬送方向に沿って2つ並べられたCCDカメラのうちの上流側のCCDカメラの前面にフィルターを配置するようにしてもよい。なお、説明の便宜上フィルターを介して撮像される照明装置とCCDカメラの組み合わせを第1グループと称し、フィルターを介してないものを第2グループと称する。
【0012】
次に、手順の概要を説明すれば、まずCCDカメラにより画像(第1画像)を取り込む(♯10)。ここで取り込まれる画像は第1グループのものと第2グループのものがある。次に、第1グループで取り込まれた画像の平均明度値と、第2グループで取り込まれた画像の平均明度値とを測定する(♯11)。そして、これら平均明度値の差を演算する(♯12)。次に、明度差が所定値以上であるか否かを判断する(♯13)。所定値以上でなければ、正常卵であると判定する(♯13)。所定値以上でなければ正常卵(♯14)、所定値以上であれば血卵であると判定する(♯15)。なお、この手順に腐敗卵の検出手順を組み合わせることができるのは言うまでもないことである。
【0013】
更に、汚卵検出の手順次に汚卵の検出手順を説明すれば、汚卵とは鶏卵の表面に汚れがある。まず、CCDカメラからの濃淡画像をimage 1として取り込む(♯20)。このimage 1を所定のしきい値で2値化して卵存在部分と背景とを区分したマスク画像をimage 2として作成する(♯21)。また、image 1の各画素に対して近傍n* nの平均をとった平均化画像をimage 3として作成する(♯22)。image 3の画像と濃度分布は、汚れのある部分は明度が少し低下していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明装置の概略構成図。
【図2】図1の画像撮像概略図。
【図3】本発明装置の実施構成図。
【図4】本発明の照明装置を示した作成概要図。
【図5】本発明装置の汚卵・腐敗卵検出フローチャート。
【図6】本発明装置の血卵検出フローチャート。
【符号の説明】
【0015】
1 カップ 2 液卵
3 センサ 4 ストロボ(光源)
6 CCDカラーカメラ 7 画像処理装置
8 割卵機制御装置 9 分別機構
10 排出アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有精卵を配置する検査用ホイルと有精卵内部に光を当てる照射手段と卵内部のカラー画像を撮像するカラーCCDカメラを備えた画像撮像と撮像した卵画像を用いて正卵判定する非破検査部とを備えた有精卵の検査装置において、割卵機から供給される液卵を収容して搬送されるカップを検知するセンサーと,該センサーのカップ検知によりCCDカラーカメラで液卵の画像を取り込む画像処理装置と、該画像処理装置に割卵機制御装置を介して不良液卵をカップから排出させる分別機構により出力トリガ信号を送信する出力バッファと、から構成されることを特徴とする画像処理による自動検卵機構。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理による自動検卵装置において,CCDカラーカメラが画像を取り込むトリガ信号を出カトリガ信号に流用させ、かつセンサーがカップの搬送方向と平行させて複数個が距離をずらして配置して不良液卵の検出・分別する請求項1記載の画像処理による自動検卵機構。
【請求項3】
請求項1記載の画像処理による自動検卵装置において、画像通信システムが通信回線を利用して卵選別の遠隔監視システムを備えてなる請求項1及び2記載の画像処理による自動検卵機構。

































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−13586(P2012−13586A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151550(P2010−151550)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(591206728)
【Fターム(参考)】