説明

画像処理回路

【課題】画像処理回路における演算処理を高速化する。
【解決手段】画像処理モジュール10は、起動信号STAに従って動作を開始し、2ポートメモリ30中の画像データの所定のライン(例えば、3ライン目)に対する細線化処理が終了したときに、終了信号FIN1を出力する。画像処理モジュール20は、終了信号FIN1に従って動作を開始し、1画面分の細線化処理が終了したときに、所定の条件を満たす細線化が完了したか否かを判定し、完了していればその旨の判定信号RESを出力する。完了していなければ、終了信号FIN2を出力する。画像処理モジュール10は、終了信号FIN2が与えられたときには、次の回の画面処理を開始する。これにより、画像処理モジュール10によって1,3,5,…画面目の画像処理が行われ、これにほぼ並行して、画像処理モジュール20によって2,4,6,…画面目の画像処理が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細線化処理等を行う画像処理回路における演算処理の高速化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図2は従来の画像処理回路を示す概略の構成図であり、図3は図2による画像処理の一例を示す説明図である。
【0003】
この画像処理回路は、例えばスキャナ等で読み取った指紋の画像データからその特徴点を抽出するために、その画像データから指紋の谷に沿った細い線の画像を生成するための処理を行うものである。画像処理回路は、図2に示すように、画像処理モジュール1とメモリ2で構成されている。画像処理モジュール1は、更に細線化の処理を行う演算部1aと、所定の条件を満たす細線化が完了したか否かを判定する終了判定部1bと、全体の制御を行うための図示しない制御部等とで構成されている。
【0004】
メモリ2は、図3に示すように、最初はスキャナで読み取られた指紋の画像データが格納され、その後は、画像処理モジュール1の演算部1aによって画像を構成するライン単位に読み出され、細線化処理が行われた結果を逐次再格納するための作業用に用いられ、最終的に細線化された処理結果の画像データを格納するために用いられるようになっている。
【0005】
次に動作を説明する。
細線化処理の開始に先立ち、スキャナ等で読み取った指紋の画像データがメモリ2に格納される。この画像データは、図3に示すように、例えば指紋の山の部分が白画素、谷の部分が黒画素となった2値データで、黒画素の部分がある程度の幅を有している。細線化処理は、指紋の特徴点を抽出するために、黒画素の部分が1本の連続する細い曲線になるように、黒画素を白画素に変更する処理である。
【0006】
演算部1aは、制御部等から与えられる起動信号STAによって起動されると、先ず、メモリ2からライン1〜ライン3の画像データを読み出し、この3ライン分の画像データに基づいて中央のライン、即ちライン2の細線化処理を行う。その処理結果は、メモリ2のライン2に書き戻される。このとき、ライン1とライン3の画像データは、更新されない。
【0007】
次に、演算部1aは、メモリ2からライン2〜ライン4の画像データを読み出し、この3ライン分の画像データに基づいて中央のライン、即ちライン3の細線化処理を行う。その処理結果は、メモリ2のライン3に書き戻される。このとき、ライン2とライン4の画像データは、更新されない。
【0008】
このような処理を、画像データの最終ライン(図3の例では、ライン100)まで順番に行う。これにより、メモリ2に格納された画像データの1回目の画面処理が終了し、ライン1,100を除き、ライン2〜99の画像データは1回目の処理結果に置き換えられる。
【0009】
図3には、ラインi(但し、i=2〜99)に対するj(但し、j=1,2,…)回目の細線化の処理が示されている。即ち、メモリ2には、j回目の細線化処理が行われたライン1〜i−1の画像データ1(j)〜i−1(j)と、j−1回目までの細線化処理が行われたラインi〜100の画像データi(j−1)〜100(j−1)が格納されている。演算部1aはメモリ2から、ラインi−1の画像データi−1(j)と、ラインiの画像データi(j−1)と、ラインi+1の画像データi+1(j−1)を読み出し、これらの3つの画像データに基づいて、ラインiの細線化された画像データi(j)を生成する。生成された画像データi(j)は、メモリ2のラインiの画像データとして書き戻される。
【0010】
1回目の画面処理が終了すると、終了判定部1bにより、予め定められた条件の細線化が完了したか否かが判定され、その判定結果の判定信号RESが出力される。条件が満たされていないに間は、メモリ2に格納されている画像データを用いて、演算部1aによる2回目、3回目、・・・の画面処理が行われる。
【0011】
そして、条件が満たされたことを示す判定信号RESが出力されると、この画像処理モジュール1の動作は終了し、メモリ2には細線化処理が完了した画像データが、処理結果として保持される。
【0012】
【特許文献1】特開2000−20693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来の画像処理回路では、1回目の画面処理が終了してから2回目の画面処理を開始し、2回目の画面処理が終了してから3回目の画面処理を開始するように、逐次処理をしているので、細線化処理が完了するまでに長時間がかかるという課題があった。
【0014】
本発明は、画像処理回路における演算処理の高速化を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、複数個の画像データを順番に並べて構成される1画面分の画像情報が記憶されたメモリから、その一部を構成する複数の画像データを順番に読み出して演算し、演算結果の画像データをそのメモリに書き戻す処理を行う1番目からN(但し、Nは2以上の整数)番目までの画像処理モジュールを順番に起動することを、所定の終了条件が満たされるまで繰り返す画像処理回路であって、1番目からN番目までの画像処理モジュールを次のように構成したことを特徴としている。
【0016】
即ち、1番目の画像処理モジュールは、外部からの起動信号または前記N番目の画像処理モジュールの終了信号に従って動作を開始し、前記メモリから複数の画像データを順番に読み出して演算し、演算結果を該メモリに書き戻す演算部と、該演算部の演算回数をカウントし、次の画像処理モジュールが処理を開始するための画像データが該メモリに揃った時点で、次の画像処理モジュールに対して終了信号を出力する演算カウンタを備えている。
【0017】
2番目以降の画像処理モジュールは、1つ前の画像処理モジュールの終了信号に従って動作を開始し、前記メモリから複数の画像データを順番に読み出して演算し、演算結果を該メモリに書き戻す演算部と、該演算部の演算回数をカウントし、次の画像処理モジュールが処理を開始するための画像データが該メモリに揃った時点で、次の画像処理モジュールに対して終了信号を出力する演算カウンタを備えている。
【0018】
そして、N番目の画像処理モジュールは、1つ前の画像処理モジュールの終了信号に従って動作を開始し、前記メモリから複数の画像データを順番に読み出して演算し、演算結果を該メモリに書き戻す演算部と、該演算部の処理が終了したときに所定の完了条件を満たしているか否かを判定し、満たしていないときは前記1番目の画像処理モジュールに対する終了信号を出力し、満たしているときは処理が完了した旨の完了信号を出力する終了判定部を備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数個の画像データで構成される1画面分の画像情報が記憶されたメモリから、それぞれ、その一部を構成する画像データを順番に読み出して処理する1番目からN番目までの複数の画像処理モジュールを用い、これらの画像処理モジュールを処理の進展に従って順次起動するようにしている。そのため、複数の画像処理モジュールによる並列処理が可能になり、演算処理の高速化ができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、次の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。但し、図面は、もっぱら解説のためのものであって、この発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1を示す画像処理回路の概略の構成図である。
この画像処理回路は、従来の図2と同様に、例えばスキャナ等で読み取った指紋の画像データからその特徴点を抽出するために、その画像データから指紋の谷に沿った細い線の画像を生成する処理を行うものである。
【0022】
画像処理回路は、画像処理モジュール10,20と、2ポートメモリ30とで構成されている。画像処理モジュール10は、2ポートメモリ30から画像データを読み出して細線化処理を行う演算部11と、画像データの内の何ライン目まで演算したかをカウントするカウンタ12と、図示しない制御部等とで構成されている。この画像処理モジュール10は、例えば図示しない制御部から与えられる起動信号STAに従って動作を開始し、画像データの所定のラインに対する細線化処理が終了したときに、終了信号FIN1を画像処理モジュール20に与えると共に、この画像処理モジュール20から終了信号FIN2が与えられたときには、次の回の画面処理を開始するようになっている。
【0023】
また、画像処理モジュール20は、2ポートメモリ30から画像データを読み出して細線化処理を行う演算部21と、所定の条件を満たす細線化が完了したか否かを判定する終了判定部22と、図示しない制御部等とで構成されている。この画像処理モジュール20は、画像処理モジュール10からの終了信号FIN1に従って動作を開始し、1画面分の細線化処理が終了したときに、終了信号FIN2を画像処理モジュール10に与えると共に、所定の条件を満たす細線化が完了したか否かを示す判定信号RESを出力するようになっている。
【0024】
2ポートメモリ30は、独立した2つのポートから任意のタイミングで、自由に読み書きのアクセスができるように構成されたメモリであり、最初は図示しないスキャナ等で読み取られた指紋の画像データが格納されるようになっている。その後、2ポートメモリ30は、画像処理モジュール10,20の演算部11,21によって、画像を構成するライン単位に読み出され、逐次細線化処理が行われた結果を再格納するための作業用に用いられ、最終的に細線化された処理結果の画像データが格納されるようになっている。
【0025】
図4は、図1の動作を示す説明図である。以下、この図4を参照しつつ、図1の動作を説明する。なお、ここでは、画像データのライン数を10とする。
【0026】
細線化処理の開始に先立ち、スキャナ等で読み取った指紋の画像データが2ポートメモリ30に格納される。
【0027】
起動信号STAによって画像処理モジュール10が起動されると、画像処理モジュール10の演算部11は、先ず、2ポートメモリ30からライン1〜ライン3の画像データを読み出し、この3ライン分の画像データに基づいて中央のライン、即ちライン2の細線化処理を行う。その処理結果は、2ポートメモリ30のライン2に書き戻される。このとき、ライン1とライン3の画像データは、更新されない。ライン2の処理が終了したので、演算カウンタ12には、“2”がセットされる。
【0028】
次に、演算部11は、2ポートメモリ30からライン2〜ライン4の画像データを読み出し、この3ライン分の画像データに基づいて中央のライン、即ちライン3の細線化処理を行う。その処理結果は、2ポートメモリ30のライン3に書き戻される。このとき、ライン2とライン4の画像データは、更新されない。
【0029】
ここで、ライン3の処理が終了したので、演算カウンタ12は1だけ増加して、“3”がセットされる。演算カウンタ12に“3”がセットされると、画像処理モジュール20の処理に必要なデータが揃ったことになるので、画像処理モジュール10からこの画像処理モジュール20に対して、終了信号FIN1が出力される。画像処理モジュール10の演算部11は、引き続いてライン4に対する細線化処理を開始する。
【0030】
一方、画像処理モジュール10から終了信号FIN1が与えられた画像処理モジュール20は、2ポートメモリ30からライン1〜ライン3の画像データを読み出し、ライン2の細線化処理を開始する。このとき、2ポートメモリ30から読み出されたライン1〜ライン3の画像データは、画像処理モジュール10によって1回目の細線化処理が終了したものである。従って、画像処理モジュール20によって、2回目の細線化処理が開始されることになる。
【0031】
画像処理モジュール20による処理結果は、2ポートメモリ30のライン2に書き戻される。これと同時に画像処理モジュール10で行われていたライン4に対する1回目の細線化処理の結果が、2ポートメモリ30のライン4に書き戻される。
【0032】
このように、画像処理モジュール20では、画像処理モジュール10から2ライン遅れて2回目の細線化処理が順次行われる。
【0033】
画像処理モジュール10は、1回目のライン9に対する細線化処理を終了した時点で、一旦動作を停止する。一方、画像処理モジュール20は、2回目のライン9に対する細線化処理が終了するまで、動作を継続する。そして、2回目のライン9に対する細線化処理が終了した時点で、画像処理モジュール20の終了判定部22が起動され、所定の条件を満たす細線化が完了したか否かを示す判定信号RESを出力される。
【0034】
所定の細線化が完了していれば、画像処理モジュール10,20の動作は終了する。細線化が完了していないと判定されると、画像処理モジュール20から画像処理モジュール10に対して、終了信号FIN2が出力される。これにより、画像処理モジュール10による3回目の画面処理が開始される。
【0035】
このように、画像処理モジュール10よりも2ライン遅れて画像処理モジュール20による画面処理が並行して行われ、画像処理モジュール20による画面処理の終了毎に、細線化が完了しているか否かが判定される。そして、所定の条件を満たす細線化が完了したときに、その旨を示す判定信号RESが出力され、細線化処理が終了する。
【0036】
以上のように、この実施例1の画像処理回路によれば、i(但し、iは奇数)回目の画面処理を行う画像処理モジュール10と、2ライン遅れでi+1回目の画面処理を行う画像処理モジュール20との2つの画像処理モジュールを有し、ほぼ並行して画面処理を行うようにしているので、処理時間をほぼ半減することができるという利点がある。
【実施例2】
【0037】
図5は、本発明の実施例2の画像処理回路の動作を示す説明図である。
この実施例2の画像処理回路は、図1とほぼ同様である。但し、実施例1の画像処理モジュール10では、ライン2の処理が終了したときにのみ、画像処理モジュール20に終了信号FIN1を出力していたが、この実施例2では、各ラインの処理が終了したときに、そのライン番号(演算カウンタ12のカウント値)を終了信号FIN1として出力するようにしている。一方、画像処理モジュール20では、画像処理モジュール10から与えられる終了信号FIN1で示されたライン番号に基づいて、該当するラインの処理を開始するように構成している。その他の構成は実施例1と同様である。
【0038】
これにより、実施例1の場合には、画像処理モジュール10,20での各ラインの処理時間が、画像データの内容に拘らず同一となるようにしておく必要があったが、この実施例2では、画像データによって処理時間が異なる回路を採用することが可能になる。
【0039】
従って、この実施例2では、例えば白画素が集中している部分の処理を行わない等の、画像データによって処理時間の短縮が可能な回路を採用することにより、実施例1よりも更に処理時間を短縮することができるという利点がある。
【実施例3】
【0040】
図6は、本発明の実施例3を示す画像処理回路の概略の構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0041】
この画像処理回路は、画像処理モジュール10A,20Aと、メモリ30Aとで構成されている。画像処理モジュール10Aは、メモリ30Aから画像データを読み出して細線化処理を行う演算部11と、画像データの内の何ライン目まで演算したかをカウントするカウンタ12と、所定の条件を満たす細線化が完了したか否かを判定する終了判定部13と、図示しない制御部等とで構成されている。
【0042】
画像処理モジュール10Aは、起動信号STAに従って動作を開始し、画像データの所定のラインに対する細線化処理が終了したときに、終了信号FIN1を画像処理モジュール20Aに与え、1画面分の細線化処理が終了したときには、所定の条件を満たす細線化が完了したか否かを示す判定信号RES1を出力するようになっている。また、画像処理モジュール10Aは、細線化が完了していないときには、画像処理モジュール20Aからの終了信号FIN2を待って、次の回の画面処理を開始するようになっている。
【0043】
更に、この画像処理モジュール10Aは、画像処理モジュール20Aからメモリ30Aに対するアクセスの要求信号REQが入力されたときに、このメモリ30Aに対する読み書きを行っていなければ、メモリアクセスを認める肯定応答信号ACKを出力するようになっている。
【0044】
一方、画像処理モジュール20Aは、メモリ30Aから画像データを読み出して細線化処理を行う演算部21と、所定の条件を満たす細線化が完了したか否かを判定する終了判定部22と、図示しない制御部等とで構成されている。この画像処理モジュール20Aは、画像処理モジュール10Aからの終了信号FIN1に従って動作を開始し、1画面分の細線化処理が終了したときに、終了信号FIN2を画像処理モジュール10に与えると共に、所定の条件を満たす細線化が完了したか否かを示す判定信号RES2を出力するようになっている。
【0045】
更に、この画像処理モジュール20Aは、メモリ30Aに対する読み書きのアクセスが必要になったときに、画像処理モジュール10Aに要求信号REQを出力し、画像処理モジュール10Aからの肯定応答信号ACKを待って、このメモリ30Aに対するアクセスを行うように構成されている。
【0046】
なお、メモリ30Aは、画像処理モジュール10A,20Aとの間を共通のバスで接続された、通常の1ポートメモリであり、最初は図示しないスキャナで読み取られた指紋の画像データが格納されるようになっている。その後、メモリ30Aは、画像処理モジュール10A,20Aの演算部11,21によって、画像を構成するライン単位に読み出され、逐次細線化処理が行われた結果を再格納するための作業用に用いられ、最終的に細線化された処理結果の画像データが格納されるようになっている。
【0047】
この画像処理回路におけるメインの画像処理の動作、即ち、i(但し、iは奇数)回目の画面処理を行う画像処理モジュール10Aと、2ライン遅れでi+1回目の画面処理を行う画像処理モジュール20Aとの2つの画像処理モジュールにより、ほぼ並行して2回分の画面処理を行うことは、実施例1で説明した通りである。但し、i回目の画面処理の終了時にも、画像処理モジュール10Aの終了判定部13から、所定の条件を満たす細線化が完了したか否かを示す判定信号RES1が出力されることが異なる。
【0048】
更に、画像処理モジュール10Aは、画像処理モジュール20Aから要求信号REQが入力されたときに、メモリ30Aに対するアクセスを行っていなければ肯定応答信号ACKを出力する。その後、要求信号REQが停止するまでの間、肯定応答信号ACKは連続して出力され、画像処理モジュール10Aのメモリ30Aに対するアクセスは禁止される。
【0049】
一方、画像処理モジュール20Aは、メモリ30Aに対するアクセスが必要になったとき、要求信号REQを画像処理モジュール20Aに出力し、画像処理モジュール10Aからの肯定応答信号ACKを待って、メモリ30Aに対するアクセスを開始する。メモリ30Aに対するアクセスの実行中、画像処理モジュール20Aは、継続して要求信号REQを出力し、アクセスが終了したときに、要求信号REQを停止する。
【0050】
以上のように、この実施例3の画像処理回路によれば、2つの画像処理モジュール10A,20Aに、それぞれ終了判定部13,22を設けたので、実施例1と同様の利点に加えて、更に早く細線化処理の終了を検出することができるという利点がある。
【0051】
しかも、画像処理モジュール10A,20Aの間で、メモリアクセスの競合を防ぐための要求信号REQと肯定応答信号ACKによるハンドシェークを採用したので、複雑な2ポートメモリを使用する必要がなくなり、一般的なメモリを使用することができるという利点がある。
【0052】
なお、本発明は、上記実施例に限定されず、種々の変形が可能である。この変形例としては、例えば、次の(a)〜(e)のようなものがある。
(a) 指紋の画像データに対する細線化処理を例に説明したが、例えば文字認識等の、その他の画像データに対する処理にも同様に適用可能である。
(b) 実施例3の構成で、実施例2のように、処理ライン単位に終了信号FIN1を出力するような動作を行うことも可能である。
(c) 画像処理モジュールを3個以上設け、ほぼ並行した処理を行うようにすることもできる。その場合、例えば図1において、画像処理モジュール10,20の間に中間の画像処理モジュールを配置し、画像処理モジュール20の終了信号FIN2を、画像処理モジュール10に与えるようにすれば良い。
(d) 演算部11,21では、連続する3ラインの画像データを用いて処理を行っているが、3ラインに限らず、複数ラインの画像データを用いる処理に対しても適用可能である。また、処理対象のラインは連続しているものに限らず、例えば、1ラインおきでも良い。更に、処理対象の画像データは、ライン単位に限らず、縦および横の画素が数画素からなる正方形または長方形のブロック単位でも良い。
(e) 終了判定部13,22では、所定の細線化状態が達成されたことを終了の判定条件としているが、判定条件は任意である。例えば、予め設定された回数を繰り返したことを判定条件としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例1を示す画像処理回路の概略の構成図である。
【図2】従来の画像処理回路の概略の構成図である。
【図3】図2による画像処理の一例を示す説明図である。
【図4】図1の動作を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例2の画像処理回路の動作を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例3を示す画像処理回路の概略の構成図である。
【符号の説明】
【0054】
10,10A,20,20A 画像処理モジュール
11,21 演算部
12 演算カウンタ
13,22 終了判定部
30 2ポートメモリ
30A メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の画像データを順番に並べて構成される1画面分の画像情報が記憶されたメモリから、その一部を構成する複数の画像データを順番に読み出して演算し、演算結果の画像データをそのメモリに書き戻す処理を行う1番目からN(但し、Nは2以上の整数)番目までの画像処理モジュールを順番に起動することを、所定の終了条件が満たされるまで繰り返す画像処理回路であって、
前記1番目の画像処理モジュールは、
外部からの起動信号または前記N番目の画像処理モジュールの終了信号に従って動作を開始し、前記メモリから複数の画像データを順番に読み出して演算し、演算結果を該メモリに書き戻す演算部と、該演算部の演算回数をカウントし、次の画像処理モジュールが処理を開始するための画像データが該メモリに揃った時点で、次の画像処理モジュールに対して終了信号を出力する演算カウンタとを備え、
前記2番目以降の画像処理モジュールは、
1つ前の画像処理モジュールの終了信号に従って動作を開始し、前記メモリから複数の画像データを順番に読み出して演算し、演算結果を該メモリに書き戻す演算部と、該演算部の演算回数をカウントし、次の画像処理モジュールが処理を開始するための画像データが該メモリに揃った時点で、次の画像処理モジュールに対して終了信号を出力する演算カウンタとを備え、
前記N番目の画像処理モジュールは、
1つ前の画像処理モジュールの終了信号に従って動作を開始し、前記メモリから複数の画像データを順番に読み出して演算し、演算結果を該メモリに書き戻す演算部と、該演算部の処理が終了したときに所定の完了条件を満たしているか否かを判定し、満たしていないときは前記1番目の画像処理モジュールに対する終了信号を出力し、満たしているときは処理が完了した旨の完了信号を出力する終了判定部とを備えた、
ことを特徴とする画像処理回路。
【請求項2】
N(但し、Nは3以上の複数)個の画像データを順番に並べて構成される1画面分の画像情報が記憶されたメモリから、連続するm(但し、mは2以上でNよりも小さい整数)個の画像データを順番に読み出して演算し、演算結果の画像データをそのメモリに書き戻す処理を所定の条件が満たされるまで繰り返す画像処理回路であって、
i(但し、iは1から始まる奇数)回目の画面処理を行う第1の画像処理モジュール、及びi+1回目の画面処理を行う第2の画像処理モジュールを有し、
前記第1の画像処理モジュールは、
外部からの起動信号または前記第2の画像処理モジュールからの第2の終了信号に従ってi回目の画面処理を開始し、前記メモリから連続するm個の画像データを順番に読み出して演算し、演算結果を該メモリに書き戻す処理を1画面分の画像データに対して行う第1の演算部と、
前記第1の演算部におけるi回目の画面処理ごとに演算回数をカウントし、前記第2の画像処理モジュールがi+1回目の画面処理を開始するための画像データが前記メモリに揃った時点で、第1の終了信号を出力する演算カウンタとを備え、
前記第2の画像処理モジュールは、
前記第1の終了信号に従ってi+1回目の画面処理を開始し、前記メモリから連続するm個の画像データを順番に読み出して演算し、演算結果を該メモリに書き戻す処理を1画面分の画像データに対して行う第2の演算部と、
前記i+1回目の画面処理が終了したときに前記メモリの画像データが所定の条件を満たしているか否かを判定し、満たしていないときは前記第2の終了信号を出力し、満たしているときは処理が完了した旨の完了信号を出力する終了判定部とを備えた、
ことを特徴とする画像処理回路。
【請求項3】
前記第1の画像処理モジュールは、前記i回目の画面処理が終了したときに前記メモリの画像データが所定の条件を満たしているか否かを判定し、満たしていないときは前記第1の終了信号を出力し、満たしているときは処理が完了した旨の完了信号を出力する終了判定部を有することを特徴とする請求項2記載の画像処理回路。
【請求項4】
前記第1及び第2の画像処理モジュールは、前記メモリに対するアクセスの競合を防止するために、ハンドシェークを行うことを特徴とする請求項2または3記載の画像処理回路。
【請求項5】
前記メモリには、複数のラインで構成される画像データによる画像情報が記憶され、前記各画像処理モジュールは、該メモリから順番に連続する3ライン分の画像データを読み出して演算し、その中央のラインに対する新しい画像データを算出して該メモリに書き戻すことを特徴とする請求項1〜4の内のいずれか1項に記載の画像処理回路。
【請求項6】
前記メモリに記憶される画像情報は指紋の画像であり、前記各画像処理モジュールによる演算は細線化処理であることを特徴とする請求項5記載の画像処理回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−287551(P2008−287551A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132596(P2007−132596)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】