画像処理方法、画像読取装置、および画像処理プログラム
【課題】色ずれが発生した場合であっても原稿がカラーであるかモノクロであるかを精度よく判定する画像処理方法、画像読取装置、および画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の画像処理方法は、原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得するステップ(S103)と、前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定するステップ(S104)と、前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定するステップ(S105)と、を有する。
【解決手段】本発明の画像処理方法は、原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得するステップ(S103)と、前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定するステップ(S104)と、前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定するステップ(S105)と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理方法、画像読取装置、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、複合機などの画像処理装置の多くは、読取った原稿がカラーであるのかモノクロであるのかを自動的に判定する機能を有する。このような画像処理装置では、通常、読取った原稿の画像を構成する各画素の彩度、明度などを規定の閾値と比較することにより、原稿がカラーであるかモノクロであるかを自動的に判定し、フルカラーモードで印刷するかモノクロモードで印刷するかを切り替えている。
【0003】
読取った原稿がカラーであるのかモノクロであるのかを判定する技術としては、たとえば下記特許文献1の画像処理装置が知られている。特許文献1の画像処理装置では、画像内の色画素および黒画素の出現状況に基づいて、読取った原稿がカラーであるのかモノクロであるのかを自動的に判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−320141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の画像処理装置では、原稿の搬送速度ムラなどに起因する色ずれが発生した場合、原稿上の画素が無彩色であるにもかかわらず色画素と判定されるという問題がある。その結果、モノクロ原稿をカラー原稿と誤って判定し、本来モノクロで印刷すべきものをフルカラーで印刷してしまうおそれがある。本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、色ずれが発生した場合であっても、原稿がカラーであるかモノクロであるかを精度よく判定する画像処理方法、画像読取装置、および画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記によって達成される。
【0007】
(1)原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得するステップ(a)と、前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定するステップ(b)と、前記前記ステップ(b)で設定したカラーモノクロ判定用パラメーターを用いて、前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定するステップ(c)と、を有する、画像処理方法。
【0008】
(2)前記画像内の色ずれが生じる領域は、色ずれの程度が異なる領域を含み、大きい色ずれが生じる領域では小さい色ずれが生じる領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする上記(1)に記載の画像処理方法。
【0009】
(3)所定のモノクロ原稿を光学的に読取り、前記モノクロ原稿のカラー画像を取得するステップ(d)と、前記モノクロ原稿のカラー画像に生じる色ずれを認識するステップ(e)と、さらに有し、前記ステップ(b)ではステップ(e)での色ずれの認識結果に基づいて前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の画像処理方法。
【0010】
(4)前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして彩度リファレンステーブルを設定し、前記画像の各々の画素の明度および彩度を算出し、前記彩度リファレンステーブルを参照して、前記画像の各々の画素が色画素であるか黒画素であるかを判定することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【0011】
(5)前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして黒画素周辺フィルターサイズを設定し、前記黒画素周辺フィルターサイズの黒画素周辺フィルターを、前記画像の各々の画素が色画素であるか黒画素であるかの判定結果に適用してフィルタリング処理を実行し、適用した前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つでも黒画素がある場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を黒画素として認識する一方で、前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つも黒画素がない場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を色画素として認識することを特徴とする上記(4)に記載の画像処理方法。
【0012】
(6)前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして黒画素周辺フィルターパターンを設定し、前記黒画素周辺フィルターパターンの黒画素周辺フィルターを、前記画像の各々の画素が色画素であるか黒画素であるかの判定結果に適用してフィルタリング処理を実行し、適用した前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つでも黒画素がある場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を黒画素として認識する一方で、前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つも黒画素がない場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を色画素として認識することを特徴とする上記(4)に記載の画像処理方法。
【0013】
(7)前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして色画素数閾値を設定し、前記画像を所定の色画素判定ブロックサイズで分割した色画素判定ブロック内における前記色画素の数が前記色画素数閾値以上である場合、前記色画素判定ブロックはカラーブロックであると判定し、前記色画素の数が前記色画素数閾値未満である場合、前記色画素判定ブロックはモノクロブロックであると判定することを特徴とする上記(4)〜(6)のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【0014】
(8)前記ステップ(c)において、前記カラーブロックの数がカラーブロック数閾値以上である場合、前記原稿はカラーであると判定し、前記カラーブロックの数が前記カラーブロック数閾値未満である場合、前記原稿はモノクロであると判定することを特徴とする上記(7)に記載の画像処理方法。
【0015】
(9)前記ステップ(c)において、前記色画素の数が所定の閾値以上である場合、前記原稿はカラーであると判定し、前記色画素の数が前記所定の閾値未満である場合、前記原稿はモノクロであると判定することを特徴とする上記(4)〜(6)のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【0016】
(10)前記画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて、少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定するステップ(f)と、前記色分解されたうちの1色を基準色とし、他の少なくとも1色を補正対象色とし、前記補正対象色の注目画素と当該注目画素に隣接する隣接画素との間に仮想画素を設定するステップ(g)と、前記色ずれ補正用パラメーターを用いて、前記注目画素の階調値および前記隣接画素の階調値に基づいて前記仮想画素の階調値を算出するステップ(h)と、前記注目画素の基準色の階調値が前記補正対象色の注目画素と前記仮想画素からなる仮想画素群の階調値の最小値以上最大値以下である場合、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記基準色の階調値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最大値を超える場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最大値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最小値未満の場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最小値に変換するステップ(i)と、を前記ステップ(a)の後にさらに有することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【0017】
(11)原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得する画像取得手段と、前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、カラーモノクロ判定用パラメーターを設定するカラーモノクロ判定用パラメーター設定手段と、前記カラーモノクロ判定用パラメーターを用いて前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定するカラーモノクロ判定手段と、を有する、画像読取装置。
【0018】
(12)前記画像内の色ずれが生じる領域は、色ずれの程度が異なる領域を含み、大きい色ずれが生じる領域では小さい色ずれが生じる領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする上記(11)に記載の画像読取装置。
【0019】
(13)前記画像取得手段で所定のモノクロ原稿を読取ることにより取得したカラー画像に生じる色ずれを認識する色ずれ認識手段をさらに有し、前記色ずれの認識結果に基づいて前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする上記(11)または(12)に記載の画像読取装置。
【0020】
(14)前記画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて、少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定する色ずれ補正用パラメーター設定手段と、前記色分解されたうちの1色を基準色とし、他の少なくとも1色を補正対象色とし、前記補正対象色の注目画素と当該注目画素に隣接する隣接画素との間に仮想画素を設定し、前記色ずれ補正用パラメーターを用いて、前記注目画素の階調値および前記隣接画素の階調値に基づいて前記仮想画素の階調値を算出する階調値算出手段と、前記注目画素の基準色の階調値が前記補正対象色の注目画素と前記仮想画素からなる仮想画素群の階調値の最小値以上最大値以下である場合、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記基準色の階調値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最大値を超える場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最大値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最小値未満の場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最小値に変換する変換手段と、をさらに有することを特徴とする上記(11)〜(13)のいずれか1つに記載の画像読取装置。
【0021】
(15)原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得する手順(a)と、前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、カラーモノクロ判定用のパラメーターを設定する手順(b)と、前記カラーモノクロ判定用のパラメーターを用いて前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定する手順(c)と、を有する、コンピューターに実行させるための画像処理プログラム。
【0022】
(16)前記画像内の色ずれが生じる領域は、色ずれの程度が異なる領域を含み、大きい色ずれが生じる領域では小さい色ずれが生じる領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする上記(15)に記載の画像処理プログラム。
【0023】
(17)所定のモノクロ原稿を光学的に読取り、前記モノクロ原稿のカラー画像を取得する手順(d)と、前記モノクロ原稿のカラー画像に生じる色ずれを認識する手順(e)と、をさらに有し、前記手順(b)では手順(e)での色ずれの認識結果に基づいて前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする上記(15)または(16)に記載の画像処理プログラム。
【0024】
(18)前記画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて、少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定する手順(f)と、前記色分解されたうちの1色を基準色とし、他の少なくとも1色を補正対象色とし、前記補正対象色の注目画素と当該注目画素に隣接する隣接画素との間に仮想画素を設定する手順(g)と、前記色ずれ補正用パラメーターに基づいて、前記注目画素の階調値および前記隣接画素の階調値に基づいて前記仮想画素の階調値を算出する手順(h)と、前記注目画素の基準色の階調値が前記補正対象色の注目画素と前記仮想画素からなる仮想画素群の階調値の最小値以上最大値以下である場合、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記基準色の階調値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最大値を超える場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最大値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最小値未満の場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最小値に変換する手順(i)と、を前記手順(a)の後にさらに有することを特徴とする上記(15)〜(17)のいずれか1つに記載の画像処理プログラム。
【0025】
(19)上記(15)〜(18)のいずれか1つに記載の画像処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0026】
本発明の画像処理方法、画像読取装置、および画像処理プログラムによれば、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなる。したがって、原稿を読取る際に色ずれが発生した場合であっても、原稿がカラーであるかモノクロであるかを精度よく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像形成システムの機能的な構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1の画像読取装置の構成を示す概略外観図である。
【図3】図1に示す画像読取装置における画像処理部の構成を説明するための概略ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるカラーモノクロ判定方法の処理手順について説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態における色ずれについて説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態においてカラーモノクロ判定用パラメーターを設定する手順について説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態における彩度リファレンステーブルについて説明するための図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における黒画素周辺フィルターについて説明するための図である。
【図9】本発明の第1の実施形態における黒画素周辺フィルターについて説明するための図である。
【図10】本発明の第1の実施形態におけるカラーモノクロ判定処理の手順について説明するフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態においてカラーモノクロ判定用パラメーターを設定する手順について説明するためのフローチャートある。
【図12】本発明の第2の実施形態において画像データをブロックで分割する方法を説明するための図である。
【図13】本発明の第2の実施形態におけるカラーモノクロ判定処理の手順について説明するフローチャートである。
【図14】本発明の第3の実施形態における画像処理を説明するための図である。
【図15】本発明の第3の実施形態における画像処理方法の処理手順ついて説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の第3の実施形態における色ずれ補正方法の仮想画素について説明するための図である。
【図17】本発明の第3の実施形態における色ずれ補正用パラメーターを設定する手順について説明するためのフローチャートである。
【図18】本発明の第3の実施形態において画像データをブロックで分割する方法を説明するための図である。
【図19】本発明の第3の実施形態における隣接画素ウィンドウを説明するための図である。
【図20】図15に示すフローチャートにおける色ずれ補正を説明するためのフローチャートである。
【図21】図20に示すフローチャートにおける色ずれ補正処理(R)を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0029】
(第1の実施形態)
以下、図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。図1は本発明の第1の実施形態における画像形成システムの機能的な構成を示す概略ブロック図であり、図2は図1の画像読取装置の構成を示す概略外観図である。また、図3は、図1に示す画像読取装置における画像処理部の構成を説明するための概略ブロック図である。
【0030】
本実施形態の画像処理方法、画像読取装置、および画像処理プログラムは、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定するものである。
【0031】
本実施形態の画像読取装置は、複写機、ファクシミリ、複合機などの画像形成システムに適用することができる。なお、以下では、本実施形態の画像読取装置の主要な構成を中心に説明し、従来の画像読取装置と同様の構成については説明を省略する。
【0032】
図1および図2に示すとおり、本実施形態の画像形成システム1は、原稿供給装置10、画像読取装置20、および画像印刷装置30を有する。原稿供給装置10は、読取り対象となる読取り原稿を画像読取装置20に供給し、画像印刷装置30は、画像読取装置20によって読込まれた原稿の画像を印刷する。本実施形態の画像印刷装置30は、従来の画像印刷装置と同様の構成および機能を有するので、詳しい説明を省略する。
【0033】
原稿供給装置10は、読取り原稿を画像読取装置20に供給する。本実施形態では、読取り原稿は、予め原稿供給装置10の所定位置に載置されており、原稿供給装置10は原稿を1枚ずつ順に画像読取装置20に供給する。本実施形態の原稿供給装置10は、一般的なADF(Auto Document Feeder)であるので、詳しい説明を省略する。
【0034】
画像読取装置20は、原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像(たとえばRGB画像)を取得する。画像読取装置20は、制御部200、画像読取部210、画像処理部220、操作部230、および表示部240を有する。制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201、記憶部202、専用ビデオI/F部203、および通信I/F部204を有する。
【0035】
CPU201は、記憶部202に記憶されたソフトウェアプログラムにしたがって、原稿供給装置10、画像読取装置20、および画像印刷装置30を制御し、画像形成システム1を機能させる。
【0036】
本実施形態では、読取られた原稿がカラーであるのか、あるいはモノクロであるのかを判定するカラーモノクロ判定方法の手順が記述された画像処理プログラムをCPU201が実行することにより原稿がカラーであるのか、モノクロであるのかを判定する。CPU201は、色ずれ認識手段、カラーモノクロ判定用パラメーター設定手段、およびカラーモノクロ判定手段として機能する。カラーモノクロ判定方法の詳細については後述する。
【0037】
CPU201は、記憶部202のROM(Read Only Memory)に記憶されたカラーモノクロ判定プログラムを記憶部202のRAM(Random Access Memory)にロードし、当該プログラムにしたがって、モノクロ原稿のカラー画像取得、色ずれ認識、原稿画像取得、カラーモノクロ判定用パラメーター設定、およびカラーモノクロ判定の各処理を実行する。
【0038】
また、CPU201は、読取られた原稿の画像データから印刷画像データを生成して、専用ビデオI/F部203を介して画像印刷装置30へ出力する。また、CPU201は、LAN(Local Area Network)を介してクライアントPC(Personal Computer)から受信した印刷データから印刷画像データを生成して、専用ビデオI/F部203を介して画像印刷装置30へ出力する。
【0039】
記憶部202は、たとえばROMおよびRAMを有する。ROMには、各種ソフトウェアプログラム、各種演算処理に使用されるパラメーターなどが予め記憶されている。
【0040】
本実施形態では、記憶部202のROMには、カラーモノクロ判定を実施する画像処理プログラムと、画像処理プログラムで使用されるカラーモノクロ判定用パラメーターなどの各種パラメーターが記憶されている。
【0041】
また、RAMには、実行中のソフトウェアプログラム、演算処理結果、画像データ、印刷ジョブ、通信I/F部204の送受信データ、画像形成システム1のステータスなどが一時的に記憶される。
【0042】
通信I/F部204は、画像読取装置20をたとえばLANなどのネットワークに接続し、ネットワークの規格に応じてデータを送受信する。また、通信I/F部204は、たとえばクライアントPCからの印刷ジョブを受信する。受信した印刷ジョブは、CPU201を介して記憶部202のRAMに記憶される。
【0043】
画像読取部210は、画像取得手段として、原稿を光学的に読取り、画像データ信号を取得する。画像読取部210は、光源、光学系、イメージセンサー、およびアナログ・ディジタル変換回路を有する。画像読取部210において、光源は、(R,G,B)各色の光を原稿に順次照射する。光学系は、複数のミラーおよび結像レンズを有しており、原稿からの反射光は光学系のミラーおよび結像レンズを通じてイメージセンサーに結像される。イメージセンサーは、(R,G,B)各色に対応する反射光をラインごとに読取り、原稿からの反射光強度に応じて電気信号を生成する。生成された電気信号は、アナログ・ディジタル変換回路において、アナログ信号からディジタル信号に変換され、画像データ信号として画像処理部220に伝達される。
【0044】
画像処理部220は、画像データ信号に対して各種の画像処理を実施する。図3に示すとおり、画像処理部220は、シェーディング補正部221、γ補正部222、ライン間補正部223、色ずれ補正部224、拡大・縮小処理部225、色変換処理部226、画像補正部227、および像域識別処理部228を有する。
【0045】
画像処理部220の各部の構成は、専用のハードウェアで構成することができる。しかしながら、画像処理部220の各部をハードウェアで構成する代わりに、画像処理用のコンピューターを用いて画像処理部220の処理をソフトウェアで実行することもできる。
【0046】
画像処理用のコンピューターは、画像処理用のCPU、RAM、およびROMを備える。画像処理用のROMには、シェーディング補正処理、γ補正処理、ライン間補正処理、色ずれ補正処理などの各種画像処理用の画像処理プログラムが記憶されており、画像処理用のCPUは画像処理プログラムを実行することにより、画像データ信号に対して各種の画像処理を実施する。
【0047】
シェーディング補正部221は、画像読取部210における、光源の光量の不均一および各画素に対するイメージセンサーの出力特性のばらつきを補正し、主走査方向の均一性を確保する。
【0048】
γ補正部222は、後段の画像処理に適するように階調特性を調整する。また、γ補正部222は、機器間の個体差を吸収するため、(R,G,B)各々について、独立したルックアップテーブル(Lookup Table)を用いて階調値を変換する。
【0049】
ライン間補正部223は、(R,G,B)各色の発光タイミングに基づく位置の違いを補正する。(R,G,B)各色の位置の違いは、(R,G,B)各色の発光タイミング(1/3ラインずつ)の違いによって生じる。
【0050】
色ずれ補正部224は、主走査方向および副走査方向の色ずれを補正する。色ずれは、たとえば原稿に対する機械的振動、原稿の搬送速度ムラ、色収差、イメージセンサーの製造誤差などに起因する。色ずれ補正部224は、補正用パラメーター設定手段、階調値算出手段、および変換手段として機能する。色ずれ補正部224による色ずれ補正処理の詳細については第3の実施形態において述べる。
【0051】
拡大・縮小処理部225は、画像を拡大または縮小する。具体的には、拡大・縮小処理部225は、読取り画像の解像度の変換が必要な場合に、画像を拡大または縮小する。
【0052】
色変換処理部226は、画像印刷装置30の色空間の色値に適した画像データに画像データの形式を変換する。具体的には、画像印刷装置30において色材としてCMYKのトナーを使用している場合には、RGB形式からCMYK形式に画像データの形式を変換する。また、画像読取部210で読取ったデータをたとえばPDF(Portable Document Format)ファイル形式でクライアントPCにファイル送信するときには、sRGB形式などのモニタの特性に適した画像データの形式に変換する。
【0053】
画像補正部227は、画像の特徴に即して画像を補正する。具体的には、画像補正部227は、文字領域に対してシャープネス処理を実施し、網点領域に対してスムージング処理を実施する。画像補正部227からの出力信号は、専用ビデオI/F部203に伝達される。
【0054】
像域識別処理部228は、画素ごとの特徴を解析し、画像補正部227の補正に必要な各種の属性を識別して出力する。属性としては、たとえばエッジ領域、色画素/黒画素、網点などが挙げられる。
【0055】
操作部230は、制御部200に対するユーザーからの操作を受け付ける。具体的には、操作部230は、タッチパネル、コピー枚数などの数値を入力するためのテンキー、動作の開始を指示するためのスタートキー、動作の停止を指示するためのストップキー、各種設定条件を初期化するリセットキーなどを備える。
【0056】
表示部240は、画像形成システム1の状態および設定値の内容などを表示する。具体的には、表示部240は、液晶パネルディスプレイを備えており、操作部230を介して入力された数値、入力操作を促すメッセージ、警告メッセージなどを表示する。
【0057】
以下、図4を参照して、本実施形態の画像形成システム1が実行する画像処理方法としてのカラーモノクロ判定方法について説明する。図4は本発明の第1の実施形態におけるカラーモノクロ判定方法の処理手順ついて説明するためのフローチャートである。
【0058】
まず、モノクロ原稿のカラー画像を取得する(ステップS101)。具体的には、制御部200は、操作部230からの入力を受付けて、原稿供給装置10に対してモノクロ原稿を画像読取装置20に供給するように指示を出力する。上記モノクロ原稿には、黒色のストライプ状の模様が描かれている(以下、ラダーチャートと称する)。画像読取装置20は、供給されたモノクロ原稿を光学的に読取って複数色に色分解された画像を取得し、記憶部202に記憶する。本実施形態では、画像は、たとえばRGB形式で記憶部202に記憶される。
【0059】
画像供給装置10が原稿を供給するとき、原稿に機械的な衝撃が加えられたり、原稿の搬送速度にムラが生じたりすると、画像読取装置20の(R,G,B)各色のイメージセンサーが本来読取るべき位置とは異なった位置を読取ってしまうことがある。その結果、黒画素のエッジ部分に本来存在しないはずの色画素が現れて色ずれを引き起こす可能性がある。
【0060】
図5は、本発明の第1の実施形態における色ずれについて説明するための図である。図5には、ラダーチャートが描かれた原稿を画像読取装置20で読取った際に生じた色ずれが示されている。なお、図5においてX方向は主走査方向であり、Y方向は副走査方向である。色ずれが生じると、原稿が本来の色とは異なる色で出力されてしまう。
【0061】
一般に、原稿に対する機械的な衝撃および原稿の搬送速度ムラは搬送方向に生じやすい。したがって、色ずれは、原稿の搬送方向に沿う方向と一致する副走査方向に生じることが多い。説明を簡略化するため、以下では、副走査方向に色ずれが生じる場合について主に説明する。
【0062】
次に、図4に戻り、色ずれを認識する(ステップS102)。具体的には、制御部200は、記憶部202に記憶されたRGBデータを用いて、色ずれが生じている画像領域を特定する。さらに、図5に示すとおり、制御部200は、色ずれが生じている画像領域において、色ずれの大きさに応じて、小さい色ずれが発生する領域、中程度の色ずれが発生する領域、および大きい色ずれが発生する領域に画像を複数の領域に分割する。
【0063】
図5において、小さい色ずれが発生する領域は、黒画素を中心とした所定の大きさの領域(以下、エリアと称する)内に含まれる色画素が少ない領域である。一方、大きい色ずれが発生する領域は、同じ大きさのエリア内に含まれる色画素が多い領域である。中程度の色ずれが発生する領域は、同じ大きさのエリア内に含まれる色画素が中程度の領域である。
【0064】
したがって、画像を色ずれの大きさに応じて複数の色ずれ領域に分割するには、まず、画像を複数のエリアに等分割し、各エリア内の色画素数をカウントする。そして、小さい色ずれが発生する領域、中程度の色ずれが発生する領域、および大きい色ずれが発生する領域に対応する色画素数の閾値を設定し、各エリアの色画素数と閾値との大小関係にしたがって画像を複数の色ずれ領域に分割する。
【0065】
本実施形態では、制御部200は、画像内の分割された領域の位置と分割された領域の色ずれの大きさとを対応させて記憶部202に記憶する。たとえば、画像内の位置(X1,Y1)を始点とする分割領域は色ずれが小さい領域であることを記憶部202に記憶する。
【0066】
本実施形態では、副走査方向について、色ずれが生じない領域、小さい色ずれが生じる領域、中程度の色ずれが生じる領域、および大きい色ずれが生じる領域の4つの色ずれ領域に画像を分割する。しかしながら、副走査方向だけではなく、主走査方向についても、各エリアについて得られた色画素数の多少に応じて画像を領域に分割することができる。また、画像を色ずれ領域に分割する数は4つに限定されず、色ずれの多少に応じて2つ、3つあるいは5つ以上とすることもできる。
【0067】
なお、画像供給装置10に起因する色ずれは、画像供給装置10の構造に依存している。したがって、たとえば製品の出荷時に一度モノクロ原稿のカラー画像を取得して色ずれを認識し、記憶部202に記憶すれば、画像供給装置10の構造に変化がない限り、以降も色ずれに関する同じ情報を使用することができる。
【0068】
次に、再び図4に戻り、原稿の画像を取得する(ステップS103)。具体的には、制御部200は、操作部230からの入力を受付けて、原稿供給装置10に対して読取り対象となる原稿を画像読取装置20に供給するように指示を出力する。画像読取装置20は、供給された原稿を光学的に読取って複数色に色分解された画像を取得し、記憶部202に記憶する。本実施形態では、画像は、たとえばRGBデータ形式で記憶部202に記憶される。
【0069】
次に、カラーモノクロ判定用パラメーターを設定する(ステップS104)。具体的には、制御部200は、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してモノクロと判定されやすくなるように、少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定する。
【0070】
次に、カラーモノクロ判定を実施する(ステップS105)。具体的には、制御部200は、原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定する。カラーモノクロ判定処理の手順については後述する。カラーモノクロ判定を実施したのち、処理を終了する。
【0071】
以下、図6を参照して、本実施形態において、カラーモノクロ判定用パラメーターを設定する手順について説明する。図6は、本発明の第1の実施形態においてカラーモノクロ判定用パラメーターを設定する手順について説明するためのフローチャートである。
【0072】
本実施形態では、たとえば1つのカラーモノクロ判定用パラメーターに対して第1の設定〜第4の設定の判定基準が予め制御部200の記憶部202に記憶されている。そして、色ずれが生じない領域である場合は、第1の設定の判定基準が参照され、小さい色ずれが発生する領域である場合は、第2の設定の判定基準が参照されるように構成されている。また、中程度の色ずれが発生する領域である場合は第3の設定の判定基準が参照され、大きい色ずれが発生する領域である場合は第4の設定の判定基準が参照されるように構成されている。なお、後述する彩度リファレンステーブル、黒画素周辺フィルターサイズ、黒画素周辺フィルターパターンの各パラメーターは、第1の設定〜第4の設定の判定基準をそれぞれ備えている。
【0073】
カラーモノクロ判定用パラメーターを設定するには、図6に示すとおり、まず、色ずれ領域か否かを判断する(ステップS201)。具体的には、図4のステップS102で色ずれの有無および色ずれの大きさに応じて分割した領域について色ずれが生じる領域か否かを判断する。色ずれが生じる領域である場合(ステップS201:YES)、各カラーモノクロ判定用パラメーターについて、色ずれ領域用の判定基準を設定する(ステップS202)。一方、色ずれが生じない領域である場合(ステップS201:NO)、各カラーモノクロ判定用パラメーターについて、デフォルトの判定基準を設定する(ステップS203)。
【0074】
本実施形態では、デフォルトの判定基準として、第1の設定の判定基準を使用する。一方、色ずれ領域用の判定基準として、小さい色ずれが発生する領域に対して第2の設定の判定基準を使用し、中程度の色ずれが発生する領域に対して第3の設定の判定基準を使用し、大きい色ずれが発生する領域に対して第4の設定の判定基準を使用する。第2の設定の判定基準は、第1の設定の判定基準と比較してモノクロと判定されやすくなるように調整されている。また、第3の設定の判定基準は、第2の設定の判定基準と比較して、よりモノクロと判定されやすくなるように調整されており、第4の設定の判定基準は、第3の設定の判定基準と比較して、よりモノクロと判定されやすくなるように調整されている。
【0075】
次に、判定基準の設定が完了したか否かを判断する(ステップS204)。具体的には、図4のステップS102で色ずれの有無および色ずれの大きさに応じて分割したすべての領域について判定基準の設定が完了したか否かを判断する。判定基準の設定が完了した場合(ステップS204:YES)は、図4のステップS105のカラーモノクロ判定に移行する。
【0076】
一方、判定基準の設定が完了していない場合(ステップS204:NO)は、判定基準の設定が完了していない領域について、ステップS201の処理に移行する。
【0077】
以下、図7〜図9を参照して、本実施形態における判定基準について説明する。本実施形態では、カラーモノクロ判定用パラメーターとして、彩度リファレンステーブル、黒画素周辺フィルターサイズ、黒画素周辺フィルターパターンの各パラメーターが使用されうる。しかしながら、カラーモノクロ判定用パラメーターとしては、これらのパラメーターに限定されず、カラーモノクロ判定に関連する他のパラメーターを使用してもよい。
【0078】
図7は、本発明の第1の実施形態における彩度リファレンステーブルについて説明するための図である。彩度リファレンステーブルは、画素の明度および彩度の大きさから、当該画素が色画素であるのか、黒画素あるのかを判定するためのリファレンステーブルである。図7の曲線Cは、色ずれが生じない領域における画素の彩度および明度の大きさから、当該画素が色画素であるか黒画素であるかを判定するための第1の設定の判定基準の一例を示している。
【0079】
ここで、彩度および明度は、たとえばRGBデータから算出する。彩度は、R,G,Bデータの最大値と最小値との差分であり、明度Vは、α、β、γを任意の定数として、下記の数式(1)から求めることができる。
【0080】
【数1】
【0081】
本実施形態では、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較して画素が黒画素であると判定されやすくなるように、彩度リファレンステーブルを設定する。
【0082】
たとえば、小さい色ずれが生じる領域では、第2の設定の判定基準として、曲線Cを紙面の右上方向にシフトさせた曲線C1を有する彩度リファレンステーブルを使用する。
【0083】
また、中程度の色ずれが生じる領域では、第3の設定の判定基準として、曲線C1を紙面の右上方向にさらにシフトさせた曲線C2を有する彩度リファレンステーブルを使用する。
【0084】
さらに、大きい色ずれが生じる領域では、第4の設定の判定基準として、曲線C2を紙面の右上方向にさらにシフトさせた曲線C3を有する彩度リファレンステーブルを使用する。
【0085】
たとえば、曲線Cの彩度リファレンステーブルの場合、彩度が40で明度が150であるとき、画素は色画素であると判定される。一方、曲線C1の彩度リファレンステーブルの場合、彩度が40で明度が150であるとき、画素は黒画素であると判定される。このように、本実施形態では、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較して画素が黒画素であると判定されやすくなる。なお、読込まれた画像に白色の部分が含まれる場合、白色の部分は黒画素として扱われる。
【0086】
図8および図9は、本発明の第1の実施形態における黒画素周辺フィルターについて説明するための図である。黒画素周辺フィルターは、画像内の注目画素周辺における色画素および黒画素の出現状況に基づいて、注目画素が色画素であるのか、黒画素であるのかを判定するためのフィルターである。図8および図9において、7×7のマス目の中央に位置する画素が注目画素である。そして、注目画素の周辺に位置する灰色で示した画素について黒画素周辺フィルターをかける。
【0087】
図8(A)は、周辺画素に関わらず注目画素のみで判定する黒画素周辺フィルターを示す。この場合、黒画素周辺フィルターサイズは、1×1である。図8(B)は、注目画素とその周辺にある8画素で色画素か黒画素かを判定する黒画素周辺フィルターを示す。この場合、黒画素周辺フィルターサイズは、3×3である。また、図8(C)は、注目画素とその周辺にある24画素で色画素か黒画素かを判定する黒画素周辺フィルターを示す。この場合、黒画素周辺フィルターサイズは、5×5である。図8(D)は、注目画素とその周辺にある48画素で色画素か黒画素かを判定する黒画素周辺フィルターを示す。この場合、黒画素周辺フィルターサイズは、7×7である。
【0088】
黒画素周辺フィルターを使用すると、注目画素が色画素であるか、あるいは黒画素であるかを注目画素に加えて注目画素の周辺画素を考慮して判定することができる。黒画素周辺フィルターがかかっている画素の中に1つでも黒画素が存在すると、注目画素が黒画素であると判定される。したがって、黒画素周辺フィルターサイズを大きくして、より多くの周辺画素に黒画素周辺フィルターをかけることにより、注目画素が黒画素と判定されやすくなる。
【0089】
本実施形態では、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較して画素が黒画素と判定されやすくなるように、黒画素周辺フィルターサイズを設定する。
【0090】
たとえば、色ずれが生じない領域では、第1の設定の判定基準として、黒画素周辺フィルターサイズを1×1に設定する。これにより、注目画素のみに基づいて、注目画素が色画素であるか、あるいは黒画素であるかを判定する。
【0091】
また、小さい色ずれが生じる領域では、第2の設定の判定基準として、黒画素周辺フィルターサイズ3×3を設定する。これにより、注目画素を中心とする9画素のすべてが色画素である場合、注目画素を色画素と判定する。すなわち、注目画素およびその周辺8画素のいずれかに黒画素が存在する場合、注目画素を黒画素と判定する。
【0092】
また、中程度の色ずれが生じる領域では、第3の設定の判定基準として、黒画素周辺フィルターサイズ5×5を設定する。これにより、注目画素を中心とする25画素のすべてが色画素である場合、注目画素を色画素と判定する。すなわち、注目画素およびその周辺24画素のいずれかに黒画素が存在する場合、注目画素を黒画素と判定する。
【0093】
さらに、大きい色ずれが生じる領域では、第4の設定の判定基準として、黒画素周辺フィルターサイズ7×7を設定する。これにより、注目画素を中心とする49画素のすべてが色画素である場合、注目画素を色画素と判定する。すなわち、注目画素およびその周辺48画素のいずれかに黒画素が存在する場合、注目画素を黒画素と判定する。
【0094】
また、本実施形態では、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較して注目画素が黒画素と判定されやすくなるように、黒画素周辺フィルターパターンを設定することもできる。
【0095】
図9(A)は周辺画素に関わらず注目画素のみで色画素か黒画素かを判定する場合を示し、図9(B)〜図9(D)は黒画素周辺フィルターサイズが5×5で、黒画素周辺フィルターパターンが互いに異なる黒画素周辺フィルターを示す。
【0096】
たとえば、色ずれが生じない領域では、第1の設定の判定基準として、図9(A)に示す黒画素周辺フィルターパターンの黒画素周辺フィルターを設定する。これにより、注目画素のみに基づいて、注目画素が色画素であるか、あるいは黒画素であるかを判定する。
【0097】
また、小さい色ずれが生じる領域では、第2の設定の判定基準として、図9(B)に示す黒画素周辺フィルターパターンの黒画素周辺フィルターを設定する。
【0098】
また、中程度の色ずれが生じる領域では、第3の設定の判定基準として、図9(C)に示す黒画素周辺フィルターパターンの黒画素周辺フィルターを設定する。
【0099】
さらに、大きい色ずれが生じる領域では、第4の設定の判定基準として、図9(D)に示す黒画素周辺フィルターパターンの黒画素周辺フィルターを設定する。
【0100】
このように、本実施形態では、注目画素が色画素であるか、あるいは黒画素であるかを注目画素に加えて注目画素の周辺画素を考慮して判定するので、色ずれが生じる領域において注目画素が黒画素と判定されやすくなる。したがって、色ずれが生じる領域において黒画素周辺の色ずれによる色画素をキャンセルすることができる。その結果、黒画素周辺の色ずれによる色画素が色画素として認識されることを低減できる。
【0101】
なお、本実施形態では、上述の黒画素周辺フィルター以外にも、色ずれの大きさに応じて多様なパターンおよびサイズのものを使用することができる。また、黒画素周辺フィルターのパターンおよびサイズは、主走査方向および副走査方向にそれぞれ自由に設定することができる。
【0102】
以下、図10を参照して、本実施形態のカラーモノクロ判定処理を説明する。図10は、本発明の第1の実施形態におけるカラーモノクロ判定処理の手順について説明するフローチャートである。
【0103】
まず、画素が色画素か黒画素かを判定する(ステップS301)。具体的には、彩度リファレンステーブルを参照して、画像の画素ごとに色画素であるか、黒画素であるかを判定する。
【0104】
次に、黒画素周辺の色画素をキャンセルする(ステップS302)。具体的には、色ずれの大きさに応じた黒画素周辺フィルターを、ステップS301で得られた色画素/黒画素判定結果全体に適用し、フィルタリング処理を実行する。適用した黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つでも黒画素がある場合、黒画素周辺フィルターの注目画素を黒画素として認識する。一方、適用した黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つも黒画素がない場合、黒画素周辺フィルターの注目画素を色画素として認識する。その結果、黒画素周辺の色画素がキャンセルされる。なお、黒画素周辺フィルターを色画素/黒画素判定結果全体に適用するのではなく、特定の部分に選択的に適用してもよい。
【0105】
次に、色画素数と所定の色画素数閾値とを比較する(ステップS303)。色画素数閾値は、原稿がカラー原稿であるか、モノクロ原稿であるかを判定するための閾値である。色画素数閾値は、制御部200の記憶部202に予め所定値が記憶されている。制御部200は、画像内の色画素数を算出し、色画素数閾値と比較する。色画素数が色画素数閾値以上の場合(ステップS303:YES)、原稿をカラーと判定する(ステップS304)。一方、色画素数が色画素数閾値未満の場合(ステップS303:NO)、原稿をモノクロと判定する(ステップS305)。
【0106】
以上のとおり、本実施形態の画像処理方法、画像読取装置20、および画像処理プログラムによれば、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなる。したがって、原稿を読取る際に色ずれが発生した場合であっても、原稿がカラーであるかモノクロであるかを精度よく判定することができる。
【0107】
また、画像内の色ずれが生じる領域において、色ずれの大きさに応じてカラーモノクロ判定用パラメーターを設定するので、カラーモノクロ判定の精度を向上させることができる。
【0108】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、原稿の画像全体の色画素数に基づいて、原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定する場合について説明した。第2の実施形態では、原稿の画像を複数のブロックで分割し、ブロック内の色画素数に基づいてブロックがカラーブロックであるかモノクロブロックであるかを判定し、カラーブロック数に基づいて原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定する場合について説明する。
【0109】
なお、本実施形態は、以下に述べるカラーモノクロ判定用パラメーター設定処理およびカラーモノクロ判定処理を除いて第1の実施形態と同じである。以下では、第1の実施形態と同じ構成および処理については説明を省略する。
【0110】
<カラーモノクロ判定用パラメーター設定処理>
以下、図11および図12を参照して、本実施形態において、カラーモノクロ判定用パラメーターを設定する手順について説明する。図11は本発明の第2の実施形態においてカラーモノクロ判定用パラメーターを設定する手順について説明するためのフローチャートであり、図12は本発明の第2の実施形態において画像をブロックで分割する方法を説明するための図である。本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、画像内の色画素判定ブロックごとにカラーモノクロ判定用パラメーターの判定基準を設定する。
【0111】
図11に示すとおり、まず、ブロックで画像を分割する(ステップS401)。具体的には、色画素判定ブロックサイズで表される大きさの色画素判定ブロックで画像を分割する。たとえば、図12(A)に示すとおり、座標(X1,Y1)、(X1,Y2)、(X1,Y3)を始点とした各々の色ずれ領域について、色画素判定ブロックサイズを色ずれ領域のY方向の長さと同じ長さにして、画像を分割する。
【0112】
また、図12(B)に示すとおり、すべての色ずれ領域のY方向の長さよりも短くなるように色画素判定ブロックサイズを決定し、各々の色ずれ領域をY方向について1つ以上の色画素判定ブロックで分割するようにして画像を分割してもよい。
【0113】
なお、色画素判定ブロックが他の色ずれ領域を跨ぐ場合は、他の色ずれ領域にかかる部分が削除され、元の色画素判定ブロックよりも小さい色画素判定ブロックで色ずれ領域を覆うことになる。
【0114】
次に、再び図11に戻り、色ずれ領域か否かを判断する(ステップS402)。具体的には、ステップS401で分割した色画素判定ブロックについて、色ずれが生じる領域内にあるか否かを判断する。色ずれが生じる領域内に色画素判定ブロックがある場合(ステップS402:YES)、各カラーモノクロ判定用パラメーターについて、色ずれ領域用の判定基準を設定する(ステップS403)。一方、色ずれが生じない領域内に色画素判定ブロックがある場合(ステップS402:NO)、各カラーモノクロ判定用パラメーターについて、デフォルトの判定基準を設定する(ステップS404)。
【0115】
本実施形態では、デフォルトの判定基準として、たとえば第1の設定の判定基準を使用する。一方、色ずれ領域用の判定基準として、たとえば小さい色ずれが発生する領域に対して第2の設定の判定基準を使用し、中程度の色ずれが発生する領域に対して第3の設定の判定基準を使用し、大きい色ずれが発生する領域に対して第4の設定の判定基準を使用する。第2の設定の判定基準は、第1の設定の判定基準と比較してモノクロと判定されやすくなるように調整されている。また、第3の設定の判定基準は、第2の設定の判定基準と比較して、よりモノクロと判定されやすくなるように調整されており、第4の設定の判定基準は、第3の設定の判定基準と比較して、よりモノクロと判定されやすくなるように調整されている。
【0116】
次に、判定基準の設定が完了したか否かを判断する(ステップS405)。具体的には、画像内のすべての色画素判定ブロックについて判定基準の設定が完了したか否かを判断する。なお、判定基準を設定する画像領域は操作部230を通じてユーザーが設定することもできる。判定基準の設定が完了した場合(ステップS405:YES)は、図4のステップS105のカラーモノクロ判定に移行する。
【0117】
一方、判定基準の設定が完了していない場合(ステップS405:NO)は、判定基準の設定が完了していない他の色画素判定ブロックについて、ステップS402の処理に移行する。以下、本実施形態におけるカラーモノクロ判定用パラメーターについて説明する。
【0118】
本実施形態では、カラーモノクロ判定用パラメーターとして、彩度リファレンステーブル、黒画素周辺フィルターサイズ、黒画素周辺フィルターパターン、および色画素数閾値の各パラメーターが使用されうる。なお、彩度リファレンステーブル、黒画素周辺フィルターサイズ、および黒画素周辺フィルターパターンについては、第1の実施形態と同様なので説明を省略する。また、カラーモノクロ判定用パラメーターとしては、これらのパラメーターに限定されず、カラーモノクロ判定に関連する他のパラメーターを使用してもよい。
【0119】
本実施形態の色画素数閾値は、第1の実施形態の色画素数閾値とは異なり、色画素判定ブロックがカラーブロックであるか、モノクロブロックであるかを判定するための閾値である。より具体的には、制御部200は、色画素判定ブロック内の色画素数を算出し、色画素数閾値と比較して、色画素判定ブロックがカラーブロックであるか、モノクロブロックであるかを判定する。
【0120】
本実施形態では、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してモノクロと判定されやすくなるように、色画素数閾値を設定する。
【0121】
色画素判定ブロック内の色画素数は、色画素判定ブロックの大きさ、すなわち色画素判定ブロックサイズに依存するので、色画素数閾値は、色画素判定ブロックサイズを勘案して調整される。なお、図12(B)に示すとおり、色画素判定ブロックサイズよりも小さい色画素判定ブロックで画像データを分割している場合についても、色画素判定ブロックの大きさを勘案してサイズ色画素数閾値が調整される。
【0122】
<カラーモノクロ判定処理>
図13は、本発明の第2の実施形態におけるカラーモノクロ判定処理の手順について説明するフローチャートである。図13に示すとおり、まず、画素が色画素か黒画素かを判定する(ステップS501)。具体的には、彩度リファレンステーブルを参照して、画像の画素ごとに黒画素であるか、色画素であるかを判定する。
【0123】
次に、黒画素の周辺の色画素をキャンセルする(ステップS502)。具体的には、色ずれの大きさに応じた黒画素周辺フィルターを、ステップS501で得られた色画素/黒画素判定結果全体に適用し、フィルタリング処理を実行する。適用した黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つでも黒画素がある場合、黒画素周辺フィルターの注目画素を黒画素として認識する。一方、適用した黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つも黒画素がない場合、黒画素周辺フィルターの注目画素を色画素として認識する。その結果、黒画素周辺の色画素がキャンセルされる。なお、黒画素周辺フィルターを色画素/黒画素判定結果全体に適用するのではなく、特定の部分に選択的に適用してもよい。
【0124】
次に、色画素数と色画素数閾値とを比較する(ステップS503)。具体的には、画像内の色画素判定ブロックについて、色画素判定ブロック内の色画素数を算出し、色画素数閾値と比較する。色画素数が色画素数閾値以上の場合(ステップS503:YES)、当該色画素判定ブロックをカラーブロックと判定する(ステップS504)。一方、色画素数が色画素数閾値未満の場合(ステップS503:NO)、当該色画素判定ブロックをモノクロブロックと判定する(ステップS505)。
【0125】
次に、色画素判定ブロックの判定が完了したか否かを判断する(ステップS506)。具体的には、ステップS401で分割したすべての色画素判定ブロックについて、カラーブロックか、あるいはモノクロブロックかの判定が完了したか否かを判断する。色画素判定ブロックの判定が完了した場合(ステップS506:YES)、ステップS507の処理に移行する。一方、色画素判定ブロックの判定が完了していない場合(ステップS506:NO)、色画素判定ブロックの判定が完了していない他の色画素判定ブロックについてステップS503の処理に移行する。
【0126】
次に、カラーブロック数とカラーブロック数閾値とを比較する(ステップS507)。具体的には、画像内のカラーブロック数を算出し、カラーブロック数閾値と比較する。カラーブロック数がカラーブロック数閾値以上の場合(ステップS506:YES)、原稿をカラー原稿と判定する(ステップS508)。一方、カラーブロック数がカラーブロック数閾値未満の場合(ステップS507:NO)、原稿をモノクロ原稿と判定する(ステップS509)。
【0127】
以上のとおり、本実施形態は第1の実施形態の効果に加えて以下の効果を奏する。
【0128】
本実施形態の画像処理方法、画像読取装置20、画像処理プログラムによれば、まず、色画素判定ブロックがカラーであるかモノクロかであるかを判定し、その結果に基づいて原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定するので、カラーモノクロ判定の信頼性を高めることができる。
【0129】
(第3の実施形態)
第1および第2の実施形態では、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してモノクロと判定されやすくなるように、カラーモノクロ判定用パラメーターを設定し、カラーモノクロ判定を実施する場合について説明した。第3の実施形態では、第1または第2の実施形態のカラーモノクロ判定処理に加えて、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれの大きさに応じて色ずれ補正用パラメーターを設定して、色ずれ補正処理を実施する場合について説明する。
【0130】
図14は、本発明の第3の実施形態における画像処理を説明するための図である。図14に示すとおり、本実施形態では、カラーモノクロ判定処理と平行して色ずれ補正処理が実施される。第1および第2の実施形態で説明したとおり、カラーモノクロ判定処理では、読取り対象となる原稿の画像が入力されると、原稿がカラーであるか、あるいはモノクロであるかについての判定結果が出力される。一方、色ずれ補正処理では、読取り対象となる原稿の画像が入力されると、色ずれ補正された画像が出力される。そして、色ずれ補正された画像は、画像印刷装置30にて画像印刷処理される。この際、画像印刷装置30は、カラーモノクロ判定処理で出力された判定結果を利用して、色ずれ補正された画像を印刷する。
【0131】
以下、図15を参照して、本実施形態における画像処理方法の処理手順ついて説明する。図15は、本発明の第3の実施形態における画像処理方法の処理手順ついて説明するためのフローチャートである。なお、本実施形態は、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれの大きさに応じて色ずれ補正用パラメーターを設定して、色ずれ補正処理を実施する構成を除いて第1および第2の実施形態と同じである。以下では、第1および第2の実施形態と同じ構成および処理については説明を省略する。
【0132】
図15において、ステップS601〜ステップS603は、第1の実施形態のステップS101〜ステップS103と同様の処理であるので説明を省略する。
【0133】
ステップS601〜ステップS603を実行したのち、カラーモノクロ判定用パラメーターおよび色ずれ補正用パラメーターを設定する(ステップS604およびステップS605)。カラーモノクロ判定用パラメーターの設定については、第1または第2の実施形態と同様なので説明を省略する。一方、色ずれ補正部224は、画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定する。色ずれ補正用パラメーターを設定する手順については後述する。
【0134】
次に、カラーモノクロ判定を実施し、色ずれを補正する(ステップS606およびステップS607)。カラーモノクロ判定については、第1または第2の実施形態と同様なので説明を省略する。一方、色ずれ補正部224は、ステップS605で設定した色ずれ補正用パラメーターに基づいて色ずれを補正する。色ずれを補正する手順については後述する。色ずれを補正したのち、処理を終了する。以下、図16を参照して、本実施形態の色ずれ補正方法について説明する。
【0135】
図16は、本発明の第3の実施形態における色ずれ補正方法の仮想画素について説明するための図である。
【0136】
以下では、ライン間補正部223から入力されたGの入力画像を基準として、Rの入力画像とBの入力画像を補正する場合を説明する。したがって、Gを基準色、RおよびBを補正対象色とする。しかしながら、Rの入力画像を基準として、Gの入力画像とBの入力画像を補正してもよい。また、Bの入力画像を基準として、Rの入力画像とGの入力画像を補正してもよい。
【0137】
また、以下では、補正対象色RおよびBに共通する処理について、Rに対する処理を代表して説明し、Bに対する処理の説明を省略する。
【0138】
色ずれが発生する部分では、イメージセンサーは、(R,G,B)について、相対的にずれた位置を読み取っている。色ずれが1画素以内の範囲であるとすると、色ずれが生じていない場合の画素は、注目画素と隣接画素との間に存在することになる。
【0139】
そこで、本実施形態では、注目画素を1画素以内の周囲に仮想的にずらした位置に仮想画素を設け、この仮想画素の階調値を算出し、この仮想画素および注目画素からなる仮想画素群の階調値に基づいて色ずれ補正を実施する。その結果、色ずれ部分の(R,G,B)を精度良く一致させることができるので、色ずれを低減することができる。
【0140】
具体的には、図16に示すとおり、注目画素R(X,Y)=r22から主走査方向にKh、副走査方向にKvの距離を隔てた位置(8点)を仮想画素の位置として設定する。そして、8点の仮想画素に注目画素を加えた9画素を仮想画素群とし、仮想画素群の階調値r11,r12,r13,r21,r22,r23,r31,r32,r33を、たとえばバイ・リニア(bi−Linear)補間法で算出する。以下、数式(2)〜(10)を用いて具体的な算出方法を示す。ここで、Kh'=256×Kh、および、Kv'=256×Kvである。
【0141】
【数2】
【0142】
なお、上述した例では、計算精度を向上させるため、KhおよびKvを256倍して固定小数点演算を実行している。しかしながら、より精度を必要とする場合は、たとえば512倍や1024倍にする構成を用いればよい。また、回路規模を削減する場合は、128倍、64倍にする構成を用いればよい。256倍を用いる場合、1画素の0.00390625=1/2256の距離の精度で、Kh、Kvの位置を調整することができる。
【0143】
以下、図17〜図19を参照して、色ずれ補正用パラメーターを設定する手順について説明する。図17は本発明の第3の実施形態における色ずれ補正用パラメーターを設定する手順について説明するためのフローチャートであり、図18は本発明の第3の実施形態において、画像をブロックで分割する方法を説明するための図である。また、図19は、本発明の第3の実施形態における隣接画素ウィンドウを説明するための図である。
【0144】
図17に示すとおり、まず、ブロックで画像を分割する(ステップS701)。具体的には、色ずれ補正用ブロックサイズで表される大きさの色ずれ補正用ブロックで画像を分割する。たとえば、図18(A)に示すとおり、座標(X1,Y1)、(X1,Y2)、(X1,Y3)を始点とした各々の色ずれ領域について、色画素判定ブロックサイズを色ずれ領域のY方向の長さと同じ長さにして、画像を分割する。
【0145】
また、図18(B)に示すとおり、すべての色ずれ領域のY方向の長さよりも短くなるように色ずれ補正用ブロックサイズを決定し、各々の色ずれ領域をY方向について1つ以上の色ずれ補正用ブロックで分割するようにして画像を分割してもよい。
【0146】
なお、色ずれ補正用ブロックが他の色ずれ領域を跨ぐ場合は、他の色ずれ領域にかかる部分が削除され、元の色ずれ補正用ブロックよりも小さい色ずれ補正用ブロックで色ずれ領域を覆うことになる。
【0147】
次に、再び図17に戻り、色ずれ領域か否かを判断する(ステップS702)。具体的には、ステップS701で分割した色ずれ補正用ブロックについて、色ずれが生じる領域内にあるか否かを判断する。色ずれが生じる領域内に色ずれ補正用ブロックがある場合(ステップS702:YES)、色ずれ補正用パラメーターを設定する(ステップS703)。具体的には、色ずれ補正用パラメーターとして、たとえば第1〜第3の設定を使用する。たとえば、小さい色ずれが発生する領域に対して第1の設定を使用し、中程度の色ずれが発生する領域に対して第2の設定を使用し、大きい色ずれが発生する領域に対して第3の設定を使用する。一方、色ずれが生じる領域内に色ずれ補正用ブロックがない場合(ステップS702:NO)、ステップS704の処理に移行する。
【0148】
次に、色ずれ補正用パラメーター設定が完了したか否かを判断する(ステップS704)。具体的には、画像内のすべての色ずれ補正用ブロックについて色ずれ補正用パラメーターの設定が完了したか否かを判断する。なお、色ずれ補正用パラメーターを設定する画像領域は操作部230を通じてユーザーが設定することもできる。色ずれ補正用パラメーターの設定が完了した場合(ステップS704:YES)は、図15に示すフローチャートのステップS607の処理に移行する。
【0149】
一方、色ずれ補正用パラメーターの設定が完了していない場合(ステップS704:NO)は、色ずれ補正用パラメーター設定が完了していない他の色ずれ補正用ブロックについて、ステップS702の処理に移行する。以下、本実施形態における色ずれ補正用パラメーターについて説明する。
【0150】
本実施形態では、注目画素と仮想画素との間の距離KhおよびKv(以下、「距離KhおよびKv」と略記する)、仮想画素の補間方法、および隣接画素ウィンドウパターンを色ずれ補正用パラメーターとして使用することができる。しかしながら、色ずれ補正用パラメーターとしては、これらのパラメーターに限定されず、色ずれ補正に関連する他のパラメーターを使用してもよい。
【0151】
距離KhおよびKvは、色ずれの大きさに応じて設定される。色ずれが大きければ大きいほど、注目画素からのずれが大きいと考えられるので、大きい色ずれが生じる領域では、小さい色ずれが生じる領域と比べて距離KhおよびKvを大きく設定する。本実施形態では、色ずれの大きさに応じて第1〜第3の設定の距離KhおよびKvを使用する。第2の設定の距離KhおよびKvは、第1の設定の距離KhおよびKvと比較して、色ずれを強く補正するように調整されている。また、第3の設定の距離KhおよびKvは、第2の設定の距離KhおよびKvと比較して、色ずれを強く補正するように調整されている。なお、RとBとでは色ずれが異なる可能性があるため、距離KhおよびKvの値は、R、Bについて別々に設定できることが好ましい。
【0152】
また、仮想画素の補間方法は、色ずれの大きさに応じて切り替えて使用されうる。本実施形態では、バイ・リニア補間法、最近隣補間法などの公知の補間方法を使用することができる。たとえば、大きい色ずれが生じる領域では、第2および第3の設定の補間方法としてバイ・リニア補間法を使用し、小さい色ずれが生じる領域では、第1の設定の補間方法として最近隣補間法を使用することができる。
【0153】
また、隣接画素ウィンドウパターンは、色ずれの方向に応じて設定することができる。たとえば、画像の主走査方向および副走査方向についてどちらの方向に対しても色ずれが生じる領域である場合、図19(A)に示す隣接画素ウィンドウを設定する。図19(A)に示す隣接画素ウィンドウは、注目画素R(X,Y)と、これと隣接する8画素(隣接画素R(X−1,Y−1)〜R(X+1,Y+1)を合わせた9画素に対応する隣接画素ウィンドウパターンを有する。
【0154】
また、画像の主走査方向のみについて色ずれが生じる領域である場合、図19(B)に示す隣接画素ウィンドウを設定する。図19(B)に示す隣接画素ウィンドウは、注目画素および当該注目画素と主走査方向に隣接する画素に対応する隣接画素ウィンドウパターンを有する。仮想画素は、注目画素から主走査方向にKh隔てた位置(2箇所)に設けられている。この場合、主走査方向のみの色ずれ補正を実施することができる。
【0155】
また、画像の副走査方向のみについて色ずれが生じる色ずれ領域である場合、図19(C)に示す隣接画素ウィンドウを設定する。図19(C)に示す隣接画素ウィンドウは、注目画素および当該注目画素と副走査方向に隣接する画素に対応する隣接画素ウィンドウパターンを有する。仮想画素は、注目画素から副走査方向にKv隔てた位置(2箇所)に設けられている。この場合、副走査方向のみの色ずれ補正を実施することができる。
【0156】
以下、図20および図21を参照して、色ずれ補正の手順について説明する。図20は図15に示すフローチャートにおける色ずれ補正を説明するためのフローチャートであり、図21は図20に示すフローチャートにおける色ずれ補正処理(R)を説明するためのフローチャートである。
【0157】
以下の説明では、補正対象とする注目画素の座標を(X,Y)で表す。ここで、Xは主走査方向の座標を表し、Yは副走査方向の座標を表す。また、注目画素における補正前のRの階調値をR(X,Y)で表す。同様に、注目画素における補正前のGの階調値をG(X,Y)で表し、注目画素における補正前のBの階調値B(X,Y)で表す。ここで、階調値は、イメージセンサーに入力された輝度の物理量に相関する。また、注目画素における色ずれ補正部224の出力結果を、Rout(X,Y),Gout(X,Y),Bout(X,Y)と表す。
【0158】
本実施形態では、色ずれ補正部224は、(R,G,B)の各入力画像のそれぞれについて、注目画素(X,Y)を順次移動させながら各画素に対して、図20に示す色ずれ補正を実施する。
【0159】
図20に示すとおり、(R,G,B)のうち、Rの各画素について色ずれ補正処理(R)を実行する(ステップS801)。一方、Gの各画素については、色ずれ補正処理を実行せずにそのままG(X,Y)をGout(X,Y)として出力する処理を実行する(ステップS802)。また、Bの各画素についても色ずれ補正処理(B)を実行する(ステップS803)。
【0160】
以下、図21を参照して、本実施形態における色ずれ補正処理を説明する。なお、色ずれ補正処理(B)の処理内容は、色ずれ補正処理(R)の処理内容と同一なので、以下では色ずれ補正処理(R)についてのみ説明する。
【0161】
図21に示すとおり、まず、隣接画素ウィンドウを生成する(ステップS901)。具体的には、画像の主走査方向および副走査方向について、色ずれが生じる方向に応じて設定された隣接画素ウィンドウを生成する。
【0162】
次に、仮想画素の階調値を算出する(ステップS902)。具体的には、注目画素と隣接画素の間に仮想画素を設け、ステップS901で生成した隣接画素ウィンドウを適用して、仮想画素の階調値を上記の数式(2)〜(10)に基づいて算出する。
【0163】
次に、仮想画素群の階調値の最大値Rmaxを算出する(ステップS903)。具体的には、Rの仮想画素群の階調値(r11〜r33)の最大値Rmaxを算出する。
【0164】
次に、最大値Rmaxと注目画素のGの階調値G(X,Y)とを比較する(ステップS904)。比較の結果、Rmax<G(X,Y)である場合(ステップS904:YES)、RmaxをRの補正結果Rout(X、Y)として出力する(ステップS909)。Rmaxは、仮想画素の中で最もG(X,Y)に近い値である。そして、図15に戻り、処理を終了する。
【0165】
一方、Rmax<G(X,Y)ではない、すなわち、Rmax≧G(X,Y)である場合(ステップS904:NO)、仮想画素群の階調値の最小値Rminを算出する(ステップS905)。具体的には、Rの仮想画素群の階調値(r11〜r33)の最小値Rminを算出する。
【0166】
次に、最小値Rminと注目画素のGの階調値G(X,Y)とを比較する(ステップS906)。比較の結果、Rmin>G(X,Y)である場合(ステップS906:YES)、RminをRの補正結果Rout(X、Y)として出力する(ステップS907)。Rminは、仮想画素のなかで最もG(X,Y)に近い値である。
【0167】
一方、Rmin>G(X,Y)ではない、すなわち、Rmax≧G(X,Y)≧Rminである場合(ステップS906:NO)、G(X,Y)をRの補正結果Rout(X,Y)として出力する(ステップS908)。
【0168】
以上のとおり、本実施形態は、第1および第2の実施形態の効果に加えて以下の効果を奏する。
【0169】
本実施形態の画像処理方法、画像読取装置20、画像処理プログラムによれば、色ずれの大きさに応じて色ずれ補正用パラメーターを設定するので、色ずれ部分の(R,G,B)を精度良く一致させることができる。その結果、原稿がカラーであるか、あるいはモノクロであるかを精度よく判定できるだけではなく、原稿の色ずれを補正することもできる。
【0170】
以上のとおり、実施の形態において、本発明の画像処理方法、画像読取装置、および画像処理プログラムを説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができることはいうまでもない。
【0171】
たとえば、第1〜第3の実施形態では、ラダーチャートが描かれたモノクロ原稿を読取ることにより色ずれ情報を取得することについて説明した。しかしながら、色ずれ情報を別の方法で取得して予め制御部の記憶部に記憶させておいてもよい。
【0172】
また、第1〜第3の実施形態では、副走査方向について複数の色ずれ領域に画像データを分割することを説明した。しかしながら、主走査方向についても画像データを複数の色ずれ領域に分割することもできる。
【0173】
また、本発明の画像読取装置は、画像形成システムの一部としての画像読取装置だけではなく、たとえばスキャナ単体に適用することもできる。また、ファクシミリにおいて紙に出力せずにメモリにデータを格納する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0174】
1 画像形成システム、
10 原稿供給装置、
20 画像読取装置、
30 画像印刷装置、
200 制御部、
201 CPU、
202 記憶部、
203 専用ビデオI/F部、
204 通信I/F部、
210 画像読取部、
220 画像処理部、
230 操作部、
240 表示部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理方法、画像読取装置、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、複合機などの画像処理装置の多くは、読取った原稿がカラーであるのかモノクロであるのかを自動的に判定する機能を有する。このような画像処理装置では、通常、読取った原稿の画像を構成する各画素の彩度、明度などを規定の閾値と比較することにより、原稿がカラーであるかモノクロであるかを自動的に判定し、フルカラーモードで印刷するかモノクロモードで印刷するかを切り替えている。
【0003】
読取った原稿がカラーであるのかモノクロであるのかを判定する技術としては、たとえば下記特許文献1の画像処理装置が知られている。特許文献1の画像処理装置では、画像内の色画素および黒画素の出現状況に基づいて、読取った原稿がカラーであるのかモノクロであるのかを自動的に判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−320141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の画像処理装置では、原稿の搬送速度ムラなどに起因する色ずれが発生した場合、原稿上の画素が無彩色であるにもかかわらず色画素と判定されるという問題がある。その結果、モノクロ原稿をカラー原稿と誤って判定し、本来モノクロで印刷すべきものをフルカラーで印刷してしまうおそれがある。本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、色ずれが発生した場合であっても、原稿がカラーであるかモノクロであるかを精度よく判定する画像処理方法、画像読取装置、および画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記によって達成される。
【0007】
(1)原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得するステップ(a)と、前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定するステップ(b)と、前記前記ステップ(b)で設定したカラーモノクロ判定用パラメーターを用いて、前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定するステップ(c)と、を有する、画像処理方法。
【0008】
(2)前記画像内の色ずれが生じる領域は、色ずれの程度が異なる領域を含み、大きい色ずれが生じる領域では小さい色ずれが生じる領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする上記(1)に記載の画像処理方法。
【0009】
(3)所定のモノクロ原稿を光学的に読取り、前記モノクロ原稿のカラー画像を取得するステップ(d)と、前記モノクロ原稿のカラー画像に生じる色ずれを認識するステップ(e)と、さらに有し、前記ステップ(b)ではステップ(e)での色ずれの認識結果に基づいて前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の画像処理方法。
【0010】
(4)前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして彩度リファレンステーブルを設定し、前記画像の各々の画素の明度および彩度を算出し、前記彩度リファレンステーブルを参照して、前記画像の各々の画素が色画素であるか黒画素であるかを判定することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【0011】
(5)前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして黒画素周辺フィルターサイズを設定し、前記黒画素周辺フィルターサイズの黒画素周辺フィルターを、前記画像の各々の画素が色画素であるか黒画素であるかの判定結果に適用してフィルタリング処理を実行し、適用した前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つでも黒画素がある場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を黒画素として認識する一方で、前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つも黒画素がない場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を色画素として認識することを特徴とする上記(4)に記載の画像処理方法。
【0012】
(6)前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして黒画素周辺フィルターパターンを設定し、前記黒画素周辺フィルターパターンの黒画素周辺フィルターを、前記画像の各々の画素が色画素であるか黒画素であるかの判定結果に適用してフィルタリング処理を実行し、適用した前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つでも黒画素がある場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を黒画素として認識する一方で、前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つも黒画素がない場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を色画素として認識することを特徴とする上記(4)に記載の画像処理方法。
【0013】
(7)前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして色画素数閾値を設定し、前記画像を所定の色画素判定ブロックサイズで分割した色画素判定ブロック内における前記色画素の数が前記色画素数閾値以上である場合、前記色画素判定ブロックはカラーブロックであると判定し、前記色画素の数が前記色画素数閾値未満である場合、前記色画素判定ブロックはモノクロブロックであると判定することを特徴とする上記(4)〜(6)のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【0014】
(8)前記ステップ(c)において、前記カラーブロックの数がカラーブロック数閾値以上である場合、前記原稿はカラーであると判定し、前記カラーブロックの数が前記カラーブロック数閾値未満である場合、前記原稿はモノクロであると判定することを特徴とする上記(7)に記載の画像処理方法。
【0015】
(9)前記ステップ(c)において、前記色画素の数が所定の閾値以上である場合、前記原稿はカラーであると判定し、前記色画素の数が前記所定の閾値未満である場合、前記原稿はモノクロであると判定することを特徴とする上記(4)〜(6)のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【0016】
(10)前記画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて、少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定するステップ(f)と、前記色分解されたうちの1色を基準色とし、他の少なくとも1色を補正対象色とし、前記補正対象色の注目画素と当該注目画素に隣接する隣接画素との間に仮想画素を設定するステップ(g)と、前記色ずれ補正用パラメーターを用いて、前記注目画素の階調値および前記隣接画素の階調値に基づいて前記仮想画素の階調値を算出するステップ(h)と、前記注目画素の基準色の階調値が前記補正対象色の注目画素と前記仮想画素からなる仮想画素群の階調値の最小値以上最大値以下である場合、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記基準色の階調値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最大値を超える場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最大値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最小値未満の場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最小値に変換するステップ(i)と、を前記ステップ(a)の後にさらに有することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【0017】
(11)原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得する画像取得手段と、前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、カラーモノクロ判定用パラメーターを設定するカラーモノクロ判定用パラメーター設定手段と、前記カラーモノクロ判定用パラメーターを用いて前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定するカラーモノクロ判定手段と、を有する、画像読取装置。
【0018】
(12)前記画像内の色ずれが生じる領域は、色ずれの程度が異なる領域を含み、大きい色ずれが生じる領域では小さい色ずれが生じる領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする上記(11)に記載の画像読取装置。
【0019】
(13)前記画像取得手段で所定のモノクロ原稿を読取ることにより取得したカラー画像に生じる色ずれを認識する色ずれ認識手段をさらに有し、前記色ずれの認識結果に基づいて前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする上記(11)または(12)に記載の画像読取装置。
【0020】
(14)前記画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて、少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定する色ずれ補正用パラメーター設定手段と、前記色分解されたうちの1色を基準色とし、他の少なくとも1色を補正対象色とし、前記補正対象色の注目画素と当該注目画素に隣接する隣接画素との間に仮想画素を設定し、前記色ずれ補正用パラメーターを用いて、前記注目画素の階調値および前記隣接画素の階調値に基づいて前記仮想画素の階調値を算出する階調値算出手段と、前記注目画素の基準色の階調値が前記補正対象色の注目画素と前記仮想画素からなる仮想画素群の階調値の最小値以上最大値以下である場合、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記基準色の階調値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最大値を超える場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最大値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最小値未満の場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最小値に変換する変換手段と、をさらに有することを特徴とする上記(11)〜(13)のいずれか1つに記載の画像読取装置。
【0021】
(15)原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得する手順(a)と、前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、カラーモノクロ判定用のパラメーターを設定する手順(b)と、前記カラーモノクロ判定用のパラメーターを用いて前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定する手順(c)と、を有する、コンピューターに実行させるための画像処理プログラム。
【0022】
(16)前記画像内の色ずれが生じる領域は、色ずれの程度が異なる領域を含み、大きい色ずれが生じる領域では小さい色ずれが生じる領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする上記(15)に記載の画像処理プログラム。
【0023】
(17)所定のモノクロ原稿を光学的に読取り、前記モノクロ原稿のカラー画像を取得する手順(d)と、前記モノクロ原稿のカラー画像に生じる色ずれを認識する手順(e)と、をさらに有し、前記手順(b)では手順(e)での色ずれの認識結果に基づいて前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする上記(15)または(16)に記載の画像処理プログラム。
【0024】
(18)前記画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて、少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定する手順(f)と、前記色分解されたうちの1色を基準色とし、他の少なくとも1色を補正対象色とし、前記補正対象色の注目画素と当該注目画素に隣接する隣接画素との間に仮想画素を設定する手順(g)と、前記色ずれ補正用パラメーターに基づいて、前記注目画素の階調値および前記隣接画素の階調値に基づいて前記仮想画素の階調値を算出する手順(h)と、前記注目画素の基準色の階調値が前記補正対象色の注目画素と前記仮想画素からなる仮想画素群の階調値の最小値以上最大値以下である場合、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記基準色の階調値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最大値を超える場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最大値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最小値未満の場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最小値に変換する手順(i)と、を前記手順(a)の後にさらに有することを特徴とする上記(15)〜(17)のいずれか1つに記載の画像処理プログラム。
【0025】
(19)上記(15)〜(18)のいずれか1つに記載の画像処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0026】
本発明の画像処理方法、画像読取装置、および画像処理プログラムによれば、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなる。したがって、原稿を読取る際に色ずれが発生した場合であっても、原稿がカラーであるかモノクロであるかを精度よく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像形成システムの機能的な構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1の画像読取装置の構成を示す概略外観図である。
【図3】図1に示す画像読取装置における画像処理部の構成を説明するための概略ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるカラーモノクロ判定方法の処理手順について説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態における色ずれについて説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態においてカラーモノクロ判定用パラメーターを設定する手順について説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態における彩度リファレンステーブルについて説明するための図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における黒画素周辺フィルターについて説明するための図である。
【図9】本発明の第1の実施形態における黒画素周辺フィルターについて説明するための図である。
【図10】本発明の第1の実施形態におけるカラーモノクロ判定処理の手順について説明するフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態においてカラーモノクロ判定用パラメーターを設定する手順について説明するためのフローチャートある。
【図12】本発明の第2の実施形態において画像データをブロックで分割する方法を説明するための図である。
【図13】本発明の第2の実施形態におけるカラーモノクロ判定処理の手順について説明するフローチャートである。
【図14】本発明の第3の実施形態における画像処理を説明するための図である。
【図15】本発明の第3の実施形態における画像処理方法の処理手順ついて説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の第3の実施形態における色ずれ補正方法の仮想画素について説明するための図である。
【図17】本発明の第3の実施形態における色ずれ補正用パラメーターを設定する手順について説明するためのフローチャートである。
【図18】本発明の第3の実施形態において画像データをブロックで分割する方法を説明するための図である。
【図19】本発明の第3の実施形態における隣接画素ウィンドウを説明するための図である。
【図20】図15に示すフローチャートにおける色ずれ補正を説明するためのフローチャートである。
【図21】図20に示すフローチャートにおける色ずれ補正処理(R)を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0029】
(第1の実施形態)
以下、図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。図1は本発明の第1の実施形態における画像形成システムの機能的な構成を示す概略ブロック図であり、図2は図1の画像読取装置の構成を示す概略外観図である。また、図3は、図1に示す画像読取装置における画像処理部の構成を説明するための概略ブロック図である。
【0030】
本実施形態の画像処理方法、画像読取装置、および画像処理プログラムは、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定するものである。
【0031】
本実施形態の画像読取装置は、複写機、ファクシミリ、複合機などの画像形成システムに適用することができる。なお、以下では、本実施形態の画像読取装置の主要な構成を中心に説明し、従来の画像読取装置と同様の構成については説明を省略する。
【0032】
図1および図2に示すとおり、本実施形態の画像形成システム1は、原稿供給装置10、画像読取装置20、および画像印刷装置30を有する。原稿供給装置10は、読取り対象となる読取り原稿を画像読取装置20に供給し、画像印刷装置30は、画像読取装置20によって読込まれた原稿の画像を印刷する。本実施形態の画像印刷装置30は、従来の画像印刷装置と同様の構成および機能を有するので、詳しい説明を省略する。
【0033】
原稿供給装置10は、読取り原稿を画像読取装置20に供給する。本実施形態では、読取り原稿は、予め原稿供給装置10の所定位置に載置されており、原稿供給装置10は原稿を1枚ずつ順に画像読取装置20に供給する。本実施形態の原稿供給装置10は、一般的なADF(Auto Document Feeder)であるので、詳しい説明を省略する。
【0034】
画像読取装置20は、原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像(たとえばRGB画像)を取得する。画像読取装置20は、制御部200、画像読取部210、画像処理部220、操作部230、および表示部240を有する。制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201、記憶部202、専用ビデオI/F部203、および通信I/F部204を有する。
【0035】
CPU201は、記憶部202に記憶されたソフトウェアプログラムにしたがって、原稿供給装置10、画像読取装置20、および画像印刷装置30を制御し、画像形成システム1を機能させる。
【0036】
本実施形態では、読取られた原稿がカラーであるのか、あるいはモノクロであるのかを判定するカラーモノクロ判定方法の手順が記述された画像処理プログラムをCPU201が実行することにより原稿がカラーであるのか、モノクロであるのかを判定する。CPU201は、色ずれ認識手段、カラーモノクロ判定用パラメーター設定手段、およびカラーモノクロ判定手段として機能する。カラーモノクロ判定方法の詳細については後述する。
【0037】
CPU201は、記憶部202のROM(Read Only Memory)に記憶されたカラーモノクロ判定プログラムを記憶部202のRAM(Random Access Memory)にロードし、当該プログラムにしたがって、モノクロ原稿のカラー画像取得、色ずれ認識、原稿画像取得、カラーモノクロ判定用パラメーター設定、およびカラーモノクロ判定の各処理を実行する。
【0038】
また、CPU201は、読取られた原稿の画像データから印刷画像データを生成して、専用ビデオI/F部203を介して画像印刷装置30へ出力する。また、CPU201は、LAN(Local Area Network)を介してクライアントPC(Personal Computer)から受信した印刷データから印刷画像データを生成して、専用ビデオI/F部203を介して画像印刷装置30へ出力する。
【0039】
記憶部202は、たとえばROMおよびRAMを有する。ROMには、各種ソフトウェアプログラム、各種演算処理に使用されるパラメーターなどが予め記憶されている。
【0040】
本実施形態では、記憶部202のROMには、カラーモノクロ判定を実施する画像処理プログラムと、画像処理プログラムで使用されるカラーモノクロ判定用パラメーターなどの各種パラメーターが記憶されている。
【0041】
また、RAMには、実行中のソフトウェアプログラム、演算処理結果、画像データ、印刷ジョブ、通信I/F部204の送受信データ、画像形成システム1のステータスなどが一時的に記憶される。
【0042】
通信I/F部204は、画像読取装置20をたとえばLANなどのネットワークに接続し、ネットワークの規格に応じてデータを送受信する。また、通信I/F部204は、たとえばクライアントPCからの印刷ジョブを受信する。受信した印刷ジョブは、CPU201を介して記憶部202のRAMに記憶される。
【0043】
画像読取部210は、画像取得手段として、原稿を光学的に読取り、画像データ信号を取得する。画像読取部210は、光源、光学系、イメージセンサー、およびアナログ・ディジタル変換回路を有する。画像読取部210において、光源は、(R,G,B)各色の光を原稿に順次照射する。光学系は、複数のミラーおよび結像レンズを有しており、原稿からの反射光は光学系のミラーおよび結像レンズを通じてイメージセンサーに結像される。イメージセンサーは、(R,G,B)各色に対応する反射光をラインごとに読取り、原稿からの反射光強度に応じて電気信号を生成する。生成された電気信号は、アナログ・ディジタル変換回路において、アナログ信号からディジタル信号に変換され、画像データ信号として画像処理部220に伝達される。
【0044】
画像処理部220は、画像データ信号に対して各種の画像処理を実施する。図3に示すとおり、画像処理部220は、シェーディング補正部221、γ補正部222、ライン間補正部223、色ずれ補正部224、拡大・縮小処理部225、色変換処理部226、画像補正部227、および像域識別処理部228を有する。
【0045】
画像処理部220の各部の構成は、専用のハードウェアで構成することができる。しかしながら、画像処理部220の各部をハードウェアで構成する代わりに、画像処理用のコンピューターを用いて画像処理部220の処理をソフトウェアで実行することもできる。
【0046】
画像処理用のコンピューターは、画像処理用のCPU、RAM、およびROMを備える。画像処理用のROMには、シェーディング補正処理、γ補正処理、ライン間補正処理、色ずれ補正処理などの各種画像処理用の画像処理プログラムが記憶されており、画像処理用のCPUは画像処理プログラムを実行することにより、画像データ信号に対して各種の画像処理を実施する。
【0047】
シェーディング補正部221は、画像読取部210における、光源の光量の不均一および各画素に対するイメージセンサーの出力特性のばらつきを補正し、主走査方向の均一性を確保する。
【0048】
γ補正部222は、後段の画像処理に適するように階調特性を調整する。また、γ補正部222は、機器間の個体差を吸収するため、(R,G,B)各々について、独立したルックアップテーブル(Lookup Table)を用いて階調値を変換する。
【0049】
ライン間補正部223は、(R,G,B)各色の発光タイミングに基づく位置の違いを補正する。(R,G,B)各色の位置の違いは、(R,G,B)各色の発光タイミング(1/3ラインずつ)の違いによって生じる。
【0050】
色ずれ補正部224は、主走査方向および副走査方向の色ずれを補正する。色ずれは、たとえば原稿に対する機械的振動、原稿の搬送速度ムラ、色収差、イメージセンサーの製造誤差などに起因する。色ずれ補正部224は、補正用パラメーター設定手段、階調値算出手段、および変換手段として機能する。色ずれ補正部224による色ずれ補正処理の詳細については第3の実施形態において述べる。
【0051】
拡大・縮小処理部225は、画像を拡大または縮小する。具体的には、拡大・縮小処理部225は、読取り画像の解像度の変換が必要な場合に、画像を拡大または縮小する。
【0052】
色変換処理部226は、画像印刷装置30の色空間の色値に適した画像データに画像データの形式を変換する。具体的には、画像印刷装置30において色材としてCMYKのトナーを使用している場合には、RGB形式からCMYK形式に画像データの形式を変換する。また、画像読取部210で読取ったデータをたとえばPDF(Portable Document Format)ファイル形式でクライアントPCにファイル送信するときには、sRGB形式などのモニタの特性に適した画像データの形式に変換する。
【0053】
画像補正部227は、画像の特徴に即して画像を補正する。具体的には、画像補正部227は、文字領域に対してシャープネス処理を実施し、網点領域に対してスムージング処理を実施する。画像補正部227からの出力信号は、専用ビデオI/F部203に伝達される。
【0054】
像域識別処理部228は、画素ごとの特徴を解析し、画像補正部227の補正に必要な各種の属性を識別して出力する。属性としては、たとえばエッジ領域、色画素/黒画素、網点などが挙げられる。
【0055】
操作部230は、制御部200に対するユーザーからの操作を受け付ける。具体的には、操作部230は、タッチパネル、コピー枚数などの数値を入力するためのテンキー、動作の開始を指示するためのスタートキー、動作の停止を指示するためのストップキー、各種設定条件を初期化するリセットキーなどを備える。
【0056】
表示部240は、画像形成システム1の状態および設定値の内容などを表示する。具体的には、表示部240は、液晶パネルディスプレイを備えており、操作部230を介して入力された数値、入力操作を促すメッセージ、警告メッセージなどを表示する。
【0057】
以下、図4を参照して、本実施形態の画像形成システム1が実行する画像処理方法としてのカラーモノクロ判定方法について説明する。図4は本発明の第1の実施形態におけるカラーモノクロ判定方法の処理手順ついて説明するためのフローチャートである。
【0058】
まず、モノクロ原稿のカラー画像を取得する(ステップS101)。具体的には、制御部200は、操作部230からの入力を受付けて、原稿供給装置10に対してモノクロ原稿を画像読取装置20に供給するように指示を出力する。上記モノクロ原稿には、黒色のストライプ状の模様が描かれている(以下、ラダーチャートと称する)。画像読取装置20は、供給されたモノクロ原稿を光学的に読取って複数色に色分解された画像を取得し、記憶部202に記憶する。本実施形態では、画像は、たとえばRGB形式で記憶部202に記憶される。
【0059】
画像供給装置10が原稿を供給するとき、原稿に機械的な衝撃が加えられたり、原稿の搬送速度にムラが生じたりすると、画像読取装置20の(R,G,B)各色のイメージセンサーが本来読取るべき位置とは異なった位置を読取ってしまうことがある。その結果、黒画素のエッジ部分に本来存在しないはずの色画素が現れて色ずれを引き起こす可能性がある。
【0060】
図5は、本発明の第1の実施形態における色ずれについて説明するための図である。図5には、ラダーチャートが描かれた原稿を画像読取装置20で読取った際に生じた色ずれが示されている。なお、図5においてX方向は主走査方向であり、Y方向は副走査方向である。色ずれが生じると、原稿が本来の色とは異なる色で出力されてしまう。
【0061】
一般に、原稿に対する機械的な衝撃および原稿の搬送速度ムラは搬送方向に生じやすい。したがって、色ずれは、原稿の搬送方向に沿う方向と一致する副走査方向に生じることが多い。説明を簡略化するため、以下では、副走査方向に色ずれが生じる場合について主に説明する。
【0062】
次に、図4に戻り、色ずれを認識する(ステップS102)。具体的には、制御部200は、記憶部202に記憶されたRGBデータを用いて、色ずれが生じている画像領域を特定する。さらに、図5に示すとおり、制御部200は、色ずれが生じている画像領域において、色ずれの大きさに応じて、小さい色ずれが発生する領域、中程度の色ずれが発生する領域、および大きい色ずれが発生する領域に画像を複数の領域に分割する。
【0063】
図5において、小さい色ずれが発生する領域は、黒画素を中心とした所定の大きさの領域(以下、エリアと称する)内に含まれる色画素が少ない領域である。一方、大きい色ずれが発生する領域は、同じ大きさのエリア内に含まれる色画素が多い領域である。中程度の色ずれが発生する領域は、同じ大きさのエリア内に含まれる色画素が中程度の領域である。
【0064】
したがって、画像を色ずれの大きさに応じて複数の色ずれ領域に分割するには、まず、画像を複数のエリアに等分割し、各エリア内の色画素数をカウントする。そして、小さい色ずれが発生する領域、中程度の色ずれが発生する領域、および大きい色ずれが発生する領域に対応する色画素数の閾値を設定し、各エリアの色画素数と閾値との大小関係にしたがって画像を複数の色ずれ領域に分割する。
【0065】
本実施形態では、制御部200は、画像内の分割された領域の位置と分割された領域の色ずれの大きさとを対応させて記憶部202に記憶する。たとえば、画像内の位置(X1,Y1)を始点とする分割領域は色ずれが小さい領域であることを記憶部202に記憶する。
【0066】
本実施形態では、副走査方向について、色ずれが生じない領域、小さい色ずれが生じる領域、中程度の色ずれが生じる領域、および大きい色ずれが生じる領域の4つの色ずれ領域に画像を分割する。しかしながら、副走査方向だけではなく、主走査方向についても、各エリアについて得られた色画素数の多少に応じて画像を領域に分割することができる。また、画像を色ずれ領域に分割する数は4つに限定されず、色ずれの多少に応じて2つ、3つあるいは5つ以上とすることもできる。
【0067】
なお、画像供給装置10に起因する色ずれは、画像供給装置10の構造に依存している。したがって、たとえば製品の出荷時に一度モノクロ原稿のカラー画像を取得して色ずれを認識し、記憶部202に記憶すれば、画像供給装置10の構造に変化がない限り、以降も色ずれに関する同じ情報を使用することができる。
【0068】
次に、再び図4に戻り、原稿の画像を取得する(ステップS103)。具体的には、制御部200は、操作部230からの入力を受付けて、原稿供給装置10に対して読取り対象となる原稿を画像読取装置20に供給するように指示を出力する。画像読取装置20は、供給された原稿を光学的に読取って複数色に色分解された画像を取得し、記憶部202に記憶する。本実施形態では、画像は、たとえばRGBデータ形式で記憶部202に記憶される。
【0069】
次に、カラーモノクロ判定用パラメーターを設定する(ステップS104)。具体的には、制御部200は、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してモノクロと判定されやすくなるように、少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定する。
【0070】
次に、カラーモノクロ判定を実施する(ステップS105)。具体的には、制御部200は、原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定する。カラーモノクロ判定処理の手順については後述する。カラーモノクロ判定を実施したのち、処理を終了する。
【0071】
以下、図6を参照して、本実施形態において、カラーモノクロ判定用パラメーターを設定する手順について説明する。図6は、本発明の第1の実施形態においてカラーモノクロ判定用パラメーターを設定する手順について説明するためのフローチャートである。
【0072】
本実施形態では、たとえば1つのカラーモノクロ判定用パラメーターに対して第1の設定〜第4の設定の判定基準が予め制御部200の記憶部202に記憶されている。そして、色ずれが生じない領域である場合は、第1の設定の判定基準が参照され、小さい色ずれが発生する領域である場合は、第2の設定の判定基準が参照されるように構成されている。また、中程度の色ずれが発生する領域である場合は第3の設定の判定基準が参照され、大きい色ずれが発生する領域である場合は第4の設定の判定基準が参照されるように構成されている。なお、後述する彩度リファレンステーブル、黒画素周辺フィルターサイズ、黒画素周辺フィルターパターンの各パラメーターは、第1の設定〜第4の設定の判定基準をそれぞれ備えている。
【0073】
カラーモノクロ判定用パラメーターを設定するには、図6に示すとおり、まず、色ずれ領域か否かを判断する(ステップS201)。具体的には、図4のステップS102で色ずれの有無および色ずれの大きさに応じて分割した領域について色ずれが生じる領域か否かを判断する。色ずれが生じる領域である場合(ステップS201:YES)、各カラーモノクロ判定用パラメーターについて、色ずれ領域用の判定基準を設定する(ステップS202)。一方、色ずれが生じない領域である場合(ステップS201:NO)、各カラーモノクロ判定用パラメーターについて、デフォルトの判定基準を設定する(ステップS203)。
【0074】
本実施形態では、デフォルトの判定基準として、第1の設定の判定基準を使用する。一方、色ずれ領域用の判定基準として、小さい色ずれが発生する領域に対して第2の設定の判定基準を使用し、中程度の色ずれが発生する領域に対して第3の設定の判定基準を使用し、大きい色ずれが発生する領域に対して第4の設定の判定基準を使用する。第2の設定の判定基準は、第1の設定の判定基準と比較してモノクロと判定されやすくなるように調整されている。また、第3の設定の判定基準は、第2の設定の判定基準と比較して、よりモノクロと判定されやすくなるように調整されており、第4の設定の判定基準は、第3の設定の判定基準と比較して、よりモノクロと判定されやすくなるように調整されている。
【0075】
次に、判定基準の設定が完了したか否かを判断する(ステップS204)。具体的には、図4のステップS102で色ずれの有無および色ずれの大きさに応じて分割したすべての領域について判定基準の設定が完了したか否かを判断する。判定基準の設定が完了した場合(ステップS204:YES)は、図4のステップS105のカラーモノクロ判定に移行する。
【0076】
一方、判定基準の設定が完了していない場合(ステップS204:NO)は、判定基準の設定が完了していない領域について、ステップS201の処理に移行する。
【0077】
以下、図7〜図9を参照して、本実施形態における判定基準について説明する。本実施形態では、カラーモノクロ判定用パラメーターとして、彩度リファレンステーブル、黒画素周辺フィルターサイズ、黒画素周辺フィルターパターンの各パラメーターが使用されうる。しかしながら、カラーモノクロ判定用パラメーターとしては、これらのパラメーターに限定されず、カラーモノクロ判定に関連する他のパラメーターを使用してもよい。
【0078】
図7は、本発明の第1の実施形態における彩度リファレンステーブルについて説明するための図である。彩度リファレンステーブルは、画素の明度および彩度の大きさから、当該画素が色画素であるのか、黒画素あるのかを判定するためのリファレンステーブルである。図7の曲線Cは、色ずれが生じない領域における画素の彩度および明度の大きさから、当該画素が色画素であるか黒画素であるかを判定するための第1の設定の判定基準の一例を示している。
【0079】
ここで、彩度および明度は、たとえばRGBデータから算出する。彩度は、R,G,Bデータの最大値と最小値との差分であり、明度Vは、α、β、γを任意の定数として、下記の数式(1)から求めることができる。
【0080】
【数1】
【0081】
本実施形態では、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較して画素が黒画素であると判定されやすくなるように、彩度リファレンステーブルを設定する。
【0082】
たとえば、小さい色ずれが生じる領域では、第2の設定の判定基準として、曲線Cを紙面の右上方向にシフトさせた曲線C1を有する彩度リファレンステーブルを使用する。
【0083】
また、中程度の色ずれが生じる領域では、第3の設定の判定基準として、曲線C1を紙面の右上方向にさらにシフトさせた曲線C2を有する彩度リファレンステーブルを使用する。
【0084】
さらに、大きい色ずれが生じる領域では、第4の設定の判定基準として、曲線C2を紙面の右上方向にさらにシフトさせた曲線C3を有する彩度リファレンステーブルを使用する。
【0085】
たとえば、曲線Cの彩度リファレンステーブルの場合、彩度が40で明度が150であるとき、画素は色画素であると判定される。一方、曲線C1の彩度リファレンステーブルの場合、彩度が40で明度が150であるとき、画素は黒画素であると判定される。このように、本実施形態では、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較して画素が黒画素であると判定されやすくなる。なお、読込まれた画像に白色の部分が含まれる場合、白色の部分は黒画素として扱われる。
【0086】
図8および図9は、本発明の第1の実施形態における黒画素周辺フィルターについて説明するための図である。黒画素周辺フィルターは、画像内の注目画素周辺における色画素および黒画素の出現状況に基づいて、注目画素が色画素であるのか、黒画素であるのかを判定するためのフィルターである。図8および図9において、7×7のマス目の中央に位置する画素が注目画素である。そして、注目画素の周辺に位置する灰色で示した画素について黒画素周辺フィルターをかける。
【0087】
図8(A)は、周辺画素に関わらず注目画素のみで判定する黒画素周辺フィルターを示す。この場合、黒画素周辺フィルターサイズは、1×1である。図8(B)は、注目画素とその周辺にある8画素で色画素か黒画素かを判定する黒画素周辺フィルターを示す。この場合、黒画素周辺フィルターサイズは、3×3である。また、図8(C)は、注目画素とその周辺にある24画素で色画素か黒画素かを判定する黒画素周辺フィルターを示す。この場合、黒画素周辺フィルターサイズは、5×5である。図8(D)は、注目画素とその周辺にある48画素で色画素か黒画素かを判定する黒画素周辺フィルターを示す。この場合、黒画素周辺フィルターサイズは、7×7である。
【0088】
黒画素周辺フィルターを使用すると、注目画素が色画素であるか、あるいは黒画素であるかを注目画素に加えて注目画素の周辺画素を考慮して判定することができる。黒画素周辺フィルターがかかっている画素の中に1つでも黒画素が存在すると、注目画素が黒画素であると判定される。したがって、黒画素周辺フィルターサイズを大きくして、より多くの周辺画素に黒画素周辺フィルターをかけることにより、注目画素が黒画素と判定されやすくなる。
【0089】
本実施形態では、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較して画素が黒画素と判定されやすくなるように、黒画素周辺フィルターサイズを設定する。
【0090】
たとえば、色ずれが生じない領域では、第1の設定の判定基準として、黒画素周辺フィルターサイズを1×1に設定する。これにより、注目画素のみに基づいて、注目画素が色画素であるか、あるいは黒画素であるかを判定する。
【0091】
また、小さい色ずれが生じる領域では、第2の設定の判定基準として、黒画素周辺フィルターサイズ3×3を設定する。これにより、注目画素を中心とする9画素のすべてが色画素である場合、注目画素を色画素と判定する。すなわち、注目画素およびその周辺8画素のいずれかに黒画素が存在する場合、注目画素を黒画素と判定する。
【0092】
また、中程度の色ずれが生じる領域では、第3の設定の判定基準として、黒画素周辺フィルターサイズ5×5を設定する。これにより、注目画素を中心とする25画素のすべてが色画素である場合、注目画素を色画素と判定する。すなわち、注目画素およびその周辺24画素のいずれかに黒画素が存在する場合、注目画素を黒画素と判定する。
【0093】
さらに、大きい色ずれが生じる領域では、第4の設定の判定基準として、黒画素周辺フィルターサイズ7×7を設定する。これにより、注目画素を中心とする49画素のすべてが色画素である場合、注目画素を色画素と判定する。すなわち、注目画素およびその周辺48画素のいずれかに黒画素が存在する場合、注目画素を黒画素と判定する。
【0094】
また、本実施形態では、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較して注目画素が黒画素と判定されやすくなるように、黒画素周辺フィルターパターンを設定することもできる。
【0095】
図9(A)は周辺画素に関わらず注目画素のみで色画素か黒画素かを判定する場合を示し、図9(B)〜図9(D)は黒画素周辺フィルターサイズが5×5で、黒画素周辺フィルターパターンが互いに異なる黒画素周辺フィルターを示す。
【0096】
たとえば、色ずれが生じない領域では、第1の設定の判定基準として、図9(A)に示す黒画素周辺フィルターパターンの黒画素周辺フィルターを設定する。これにより、注目画素のみに基づいて、注目画素が色画素であるか、あるいは黒画素であるかを判定する。
【0097】
また、小さい色ずれが生じる領域では、第2の設定の判定基準として、図9(B)に示す黒画素周辺フィルターパターンの黒画素周辺フィルターを設定する。
【0098】
また、中程度の色ずれが生じる領域では、第3の設定の判定基準として、図9(C)に示す黒画素周辺フィルターパターンの黒画素周辺フィルターを設定する。
【0099】
さらに、大きい色ずれが生じる領域では、第4の設定の判定基準として、図9(D)に示す黒画素周辺フィルターパターンの黒画素周辺フィルターを設定する。
【0100】
このように、本実施形態では、注目画素が色画素であるか、あるいは黒画素であるかを注目画素に加えて注目画素の周辺画素を考慮して判定するので、色ずれが生じる領域において注目画素が黒画素と判定されやすくなる。したがって、色ずれが生じる領域において黒画素周辺の色ずれによる色画素をキャンセルすることができる。その結果、黒画素周辺の色ずれによる色画素が色画素として認識されることを低減できる。
【0101】
なお、本実施形態では、上述の黒画素周辺フィルター以外にも、色ずれの大きさに応じて多様なパターンおよびサイズのものを使用することができる。また、黒画素周辺フィルターのパターンおよびサイズは、主走査方向および副走査方向にそれぞれ自由に設定することができる。
【0102】
以下、図10を参照して、本実施形態のカラーモノクロ判定処理を説明する。図10は、本発明の第1の実施形態におけるカラーモノクロ判定処理の手順について説明するフローチャートである。
【0103】
まず、画素が色画素か黒画素かを判定する(ステップS301)。具体的には、彩度リファレンステーブルを参照して、画像の画素ごとに色画素であるか、黒画素であるかを判定する。
【0104】
次に、黒画素周辺の色画素をキャンセルする(ステップS302)。具体的には、色ずれの大きさに応じた黒画素周辺フィルターを、ステップS301で得られた色画素/黒画素判定結果全体に適用し、フィルタリング処理を実行する。適用した黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つでも黒画素がある場合、黒画素周辺フィルターの注目画素を黒画素として認識する。一方、適用した黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つも黒画素がない場合、黒画素周辺フィルターの注目画素を色画素として認識する。その結果、黒画素周辺の色画素がキャンセルされる。なお、黒画素周辺フィルターを色画素/黒画素判定結果全体に適用するのではなく、特定の部分に選択的に適用してもよい。
【0105】
次に、色画素数と所定の色画素数閾値とを比較する(ステップS303)。色画素数閾値は、原稿がカラー原稿であるか、モノクロ原稿であるかを判定するための閾値である。色画素数閾値は、制御部200の記憶部202に予め所定値が記憶されている。制御部200は、画像内の色画素数を算出し、色画素数閾値と比較する。色画素数が色画素数閾値以上の場合(ステップS303:YES)、原稿をカラーと判定する(ステップS304)。一方、色画素数が色画素数閾値未満の場合(ステップS303:NO)、原稿をモノクロと判定する(ステップS305)。
【0106】
以上のとおり、本実施形態の画像処理方法、画像読取装置20、および画像処理プログラムによれば、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなる。したがって、原稿を読取る際に色ずれが発生した場合であっても、原稿がカラーであるかモノクロであるかを精度よく判定することができる。
【0107】
また、画像内の色ずれが生じる領域において、色ずれの大きさに応じてカラーモノクロ判定用パラメーターを設定するので、カラーモノクロ判定の精度を向上させることができる。
【0108】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、原稿の画像全体の色画素数に基づいて、原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定する場合について説明した。第2の実施形態では、原稿の画像を複数のブロックで分割し、ブロック内の色画素数に基づいてブロックがカラーブロックであるかモノクロブロックであるかを判定し、カラーブロック数に基づいて原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定する場合について説明する。
【0109】
なお、本実施形態は、以下に述べるカラーモノクロ判定用パラメーター設定処理およびカラーモノクロ判定処理を除いて第1の実施形態と同じである。以下では、第1の実施形態と同じ構成および処理については説明を省略する。
【0110】
<カラーモノクロ判定用パラメーター設定処理>
以下、図11および図12を参照して、本実施形態において、カラーモノクロ判定用パラメーターを設定する手順について説明する。図11は本発明の第2の実施形態においてカラーモノクロ判定用パラメーターを設定する手順について説明するためのフローチャートであり、図12は本発明の第2の実施形態において画像をブロックで分割する方法を説明するための図である。本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、画像内の色画素判定ブロックごとにカラーモノクロ判定用パラメーターの判定基準を設定する。
【0111】
図11に示すとおり、まず、ブロックで画像を分割する(ステップS401)。具体的には、色画素判定ブロックサイズで表される大きさの色画素判定ブロックで画像を分割する。たとえば、図12(A)に示すとおり、座標(X1,Y1)、(X1,Y2)、(X1,Y3)を始点とした各々の色ずれ領域について、色画素判定ブロックサイズを色ずれ領域のY方向の長さと同じ長さにして、画像を分割する。
【0112】
また、図12(B)に示すとおり、すべての色ずれ領域のY方向の長さよりも短くなるように色画素判定ブロックサイズを決定し、各々の色ずれ領域をY方向について1つ以上の色画素判定ブロックで分割するようにして画像を分割してもよい。
【0113】
なお、色画素判定ブロックが他の色ずれ領域を跨ぐ場合は、他の色ずれ領域にかかる部分が削除され、元の色画素判定ブロックよりも小さい色画素判定ブロックで色ずれ領域を覆うことになる。
【0114】
次に、再び図11に戻り、色ずれ領域か否かを判断する(ステップS402)。具体的には、ステップS401で分割した色画素判定ブロックについて、色ずれが生じる領域内にあるか否かを判断する。色ずれが生じる領域内に色画素判定ブロックがある場合(ステップS402:YES)、各カラーモノクロ判定用パラメーターについて、色ずれ領域用の判定基準を設定する(ステップS403)。一方、色ずれが生じない領域内に色画素判定ブロックがある場合(ステップS402:NO)、各カラーモノクロ判定用パラメーターについて、デフォルトの判定基準を設定する(ステップS404)。
【0115】
本実施形態では、デフォルトの判定基準として、たとえば第1の設定の判定基準を使用する。一方、色ずれ領域用の判定基準として、たとえば小さい色ずれが発生する領域に対して第2の設定の判定基準を使用し、中程度の色ずれが発生する領域に対して第3の設定の判定基準を使用し、大きい色ずれが発生する領域に対して第4の設定の判定基準を使用する。第2の設定の判定基準は、第1の設定の判定基準と比較してモノクロと判定されやすくなるように調整されている。また、第3の設定の判定基準は、第2の設定の判定基準と比較して、よりモノクロと判定されやすくなるように調整されており、第4の設定の判定基準は、第3の設定の判定基準と比較して、よりモノクロと判定されやすくなるように調整されている。
【0116】
次に、判定基準の設定が完了したか否かを判断する(ステップS405)。具体的には、画像内のすべての色画素判定ブロックについて判定基準の設定が完了したか否かを判断する。なお、判定基準を設定する画像領域は操作部230を通じてユーザーが設定することもできる。判定基準の設定が完了した場合(ステップS405:YES)は、図4のステップS105のカラーモノクロ判定に移行する。
【0117】
一方、判定基準の設定が完了していない場合(ステップS405:NO)は、判定基準の設定が完了していない他の色画素判定ブロックについて、ステップS402の処理に移行する。以下、本実施形態におけるカラーモノクロ判定用パラメーターについて説明する。
【0118】
本実施形態では、カラーモノクロ判定用パラメーターとして、彩度リファレンステーブル、黒画素周辺フィルターサイズ、黒画素周辺フィルターパターン、および色画素数閾値の各パラメーターが使用されうる。なお、彩度リファレンステーブル、黒画素周辺フィルターサイズ、および黒画素周辺フィルターパターンについては、第1の実施形態と同様なので説明を省略する。また、カラーモノクロ判定用パラメーターとしては、これらのパラメーターに限定されず、カラーモノクロ判定に関連する他のパラメーターを使用してもよい。
【0119】
本実施形態の色画素数閾値は、第1の実施形態の色画素数閾値とは異なり、色画素判定ブロックがカラーブロックであるか、モノクロブロックであるかを判定するための閾値である。より具体的には、制御部200は、色画素判定ブロック内の色画素数を算出し、色画素数閾値と比較して、色画素判定ブロックがカラーブロックであるか、モノクロブロックであるかを判定する。
【0120】
本実施形態では、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してモノクロと判定されやすくなるように、色画素数閾値を設定する。
【0121】
色画素判定ブロック内の色画素数は、色画素判定ブロックの大きさ、すなわち色画素判定ブロックサイズに依存するので、色画素数閾値は、色画素判定ブロックサイズを勘案して調整される。なお、図12(B)に示すとおり、色画素判定ブロックサイズよりも小さい色画素判定ブロックで画像データを分割している場合についても、色画素判定ブロックの大きさを勘案してサイズ色画素数閾値が調整される。
【0122】
<カラーモノクロ判定処理>
図13は、本発明の第2の実施形態におけるカラーモノクロ判定処理の手順について説明するフローチャートである。図13に示すとおり、まず、画素が色画素か黒画素かを判定する(ステップS501)。具体的には、彩度リファレンステーブルを参照して、画像の画素ごとに黒画素であるか、色画素であるかを判定する。
【0123】
次に、黒画素の周辺の色画素をキャンセルする(ステップS502)。具体的には、色ずれの大きさに応じた黒画素周辺フィルターを、ステップS501で得られた色画素/黒画素判定結果全体に適用し、フィルタリング処理を実行する。適用した黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つでも黒画素がある場合、黒画素周辺フィルターの注目画素を黒画素として認識する。一方、適用した黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つも黒画素がない場合、黒画素周辺フィルターの注目画素を色画素として認識する。その結果、黒画素周辺の色画素がキャンセルされる。なお、黒画素周辺フィルターを色画素/黒画素判定結果全体に適用するのではなく、特定の部分に選択的に適用してもよい。
【0124】
次に、色画素数と色画素数閾値とを比較する(ステップS503)。具体的には、画像内の色画素判定ブロックについて、色画素判定ブロック内の色画素数を算出し、色画素数閾値と比較する。色画素数が色画素数閾値以上の場合(ステップS503:YES)、当該色画素判定ブロックをカラーブロックと判定する(ステップS504)。一方、色画素数が色画素数閾値未満の場合(ステップS503:NO)、当該色画素判定ブロックをモノクロブロックと判定する(ステップS505)。
【0125】
次に、色画素判定ブロックの判定が完了したか否かを判断する(ステップS506)。具体的には、ステップS401で分割したすべての色画素判定ブロックについて、カラーブロックか、あるいはモノクロブロックかの判定が完了したか否かを判断する。色画素判定ブロックの判定が完了した場合(ステップS506:YES)、ステップS507の処理に移行する。一方、色画素判定ブロックの判定が完了していない場合(ステップS506:NO)、色画素判定ブロックの判定が完了していない他の色画素判定ブロックについてステップS503の処理に移行する。
【0126】
次に、カラーブロック数とカラーブロック数閾値とを比較する(ステップS507)。具体的には、画像内のカラーブロック数を算出し、カラーブロック数閾値と比較する。カラーブロック数がカラーブロック数閾値以上の場合(ステップS506:YES)、原稿をカラー原稿と判定する(ステップS508)。一方、カラーブロック数がカラーブロック数閾値未満の場合(ステップS507:NO)、原稿をモノクロ原稿と判定する(ステップS509)。
【0127】
以上のとおり、本実施形態は第1の実施形態の効果に加えて以下の効果を奏する。
【0128】
本実施形態の画像処理方法、画像読取装置20、画像処理プログラムによれば、まず、色画素判定ブロックがカラーであるかモノクロかであるかを判定し、その結果に基づいて原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定するので、カラーモノクロ判定の信頼性を高めることができる。
【0129】
(第3の実施形態)
第1および第2の実施形態では、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してモノクロと判定されやすくなるように、カラーモノクロ判定用パラメーターを設定し、カラーモノクロ判定を実施する場合について説明した。第3の実施形態では、第1または第2の実施形態のカラーモノクロ判定処理に加えて、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれの大きさに応じて色ずれ補正用パラメーターを設定して、色ずれ補正処理を実施する場合について説明する。
【0130】
図14は、本発明の第3の実施形態における画像処理を説明するための図である。図14に示すとおり、本実施形態では、カラーモノクロ判定処理と平行して色ずれ補正処理が実施される。第1および第2の実施形態で説明したとおり、カラーモノクロ判定処理では、読取り対象となる原稿の画像が入力されると、原稿がカラーであるか、あるいはモノクロであるかについての判定結果が出力される。一方、色ずれ補正処理では、読取り対象となる原稿の画像が入力されると、色ずれ補正された画像が出力される。そして、色ずれ補正された画像は、画像印刷装置30にて画像印刷処理される。この際、画像印刷装置30は、カラーモノクロ判定処理で出力された判定結果を利用して、色ずれ補正された画像を印刷する。
【0131】
以下、図15を参照して、本実施形態における画像処理方法の処理手順ついて説明する。図15は、本発明の第3の実施形態における画像処理方法の処理手順ついて説明するためのフローチャートである。なお、本実施形態は、画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれの大きさに応じて色ずれ補正用パラメーターを設定して、色ずれ補正処理を実施する構成を除いて第1および第2の実施形態と同じである。以下では、第1および第2の実施形態と同じ構成および処理については説明を省略する。
【0132】
図15において、ステップS601〜ステップS603は、第1の実施形態のステップS101〜ステップS103と同様の処理であるので説明を省略する。
【0133】
ステップS601〜ステップS603を実行したのち、カラーモノクロ判定用パラメーターおよび色ずれ補正用パラメーターを設定する(ステップS604およびステップS605)。カラーモノクロ判定用パラメーターの設定については、第1または第2の実施形態と同様なので説明を省略する。一方、色ずれ補正部224は、画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定する。色ずれ補正用パラメーターを設定する手順については後述する。
【0134】
次に、カラーモノクロ判定を実施し、色ずれを補正する(ステップS606およびステップS607)。カラーモノクロ判定については、第1または第2の実施形態と同様なので説明を省略する。一方、色ずれ補正部224は、ステップS605で設定した色ずれ補正用パラメーターに基づいて色ずれを補正する。色ずれを補正する手順については後述する。色ずれを補正したのち、処理を終了する。以下、図16を参照して、本実施形態の色ずれ補正方法について説明する。
【0135】
図16は、本発明の第3の実施形態における色ずれ補正方法の仮想画素について説明するための図である。
【0136】
以下では、ライン間補正部223から入力されたGの入力画像を基準として、Rの入力画像とBの入力画像を補正する場合を説明する。したがって、Gを基準色、RおよびBを補正対象色とする。しかしながら、Rの入力画像を基準として、Gの入力画像とBの入力画像を補正してもよい。また、Bの入力画像を基準として、Rの入力画像とGの入力画像を補正してもよい。
【0137】
また、以下では、補正対象色RおよびBに共通する処理について、Rに対する処理を代表して説明し、Bに対する処理の説明を省略する。
【0138】
色ずれが発生する部分では、イメージセンサーは、(R,G,B)について、相対的にずれた位置を読み取っている。色ずれが1画素以内の範囲であるとすると、色ずれが生じていない場合の画素は、注目画素と隣接画素との間に存在することになる。
【0139】
そこで、本実施形態では、注目画素を1画素以内の周囲に仮想的にずらした位置に仮想画素を設け、この仮想画素の階調値を算出し、この仮想画素および注目画素からなる仮想画素群の階調値に基づいて色ずれ補正を実施する。その結果、色ずれ部分の(R,G,B)を精度良く一致させることができるので、色ずれを低減することができる。
【0140】
具体的には、図16に示すとおり、注目画素R(X,Y)=r22から主走査方向にKh、副走査方向にKvの距離を隔てた位置(8点)を仮想画素の位置として設定する。そして、8点の仮想画素に注目画素を加えた9画素を仮想画素群とし、仮想画素群の階調値r11,r12,r13,r21,r22,r23,r31,r32,r33を、たとえばバイ・リニア(bi−Linear)補間法で算出する。以下、数式(2)〜(10)を用いて具体的な算出方法を示す。ここで、Kh'=256×Kh、および、Kv'=256×Kvである。
【0141】
【数2】
【0142】
なお、上述した例では、計算精度を向上させるため、KhおよびKvを256倍して固定小数点演算を実行している。しかしながら、より精度を必要とする場合は、たとえば512倍や1024倍にする構成を用いればよい。また、回路規模を削減する場合は、128倍、64倍にする構成を用いればよい。256倍を用いる場合、1画素の0.00390625=1/2256の距離の精度で、Kh、Kvの位置を調整することができる。
【0143】
以下、図17〜図19を参照して、色ずれ補正用パラメーターを設定する手順について説明する。図17は本発明の第3の実施形態における色ずれ補正用パラメーターを設定する手順について説明するためのフローチャートであり、図18は本発明の第3の実施形態において、画像をブロックで分割する方法を説明するための図である。また、図19は、本発明の第3の実施形態における隣接画素ウィンドウを説明するための図である。
【0144】
図17に示すとおり、まず、ブロックで画像を分割する(ステップS701)。具体的には、色ずれ補正用ブロックサイズで表される大きさの色ずれ補正用ブロックで画像を分割する。たとえば、図18(A)に示すとおり、座標(X1,Y1)、(X1,Y2)、(X1,Y3)を始点とした各々の色ずれ領域について、色画素判定ブロックサイズを色ずれ領域のY方向の長さと同じ長さにして、画像を分割する。
【0145】
また、図18(B)に示すとおり、すべての色ずれ領域のY方向の長さよりも短くなるように色ずれ補正用ブロックサイズを決定し、各々の色ずれ領域をY方向について1つ以上の色ずれ補正用ブロックで分割するようにして画像を分割してもよい。
【0146】
なお、色ずれ補正用ブロックが他の色ずれ領域を跨ぐ場合は、他の色ずれ領域にかかる部分が削除され、元の色ずれ補正用ブロックよりも小さい色ずれ補正用ブロックで色ずれ領域を覆うことになる。
【0147】
次に、再び図17に戻り、色ずれ領域か否かを判断する(ステップS702)。具体的には、ステップS701で分割した色ずれ補正用ブロックについて、色ずれが生じる領域内にあるか否かを判断する。色ずれが生じる領域内に色ずれ補正用ブロックがある場合(ステップS702:YES)、色ずれ補正用パラメーターを設定する(ステップS703)。具体的には、色ずれ補正用パラメーターとして、たとえば第1〜第3の設定を使用する。たとえば、小さい色ずれが発生する領域に対して第1の設定を使用し、中程度の色ずれが発生する領域に対して第2の設定を使用し、大きい色ずれが発生する領域に対して第3の設定を使用する。一方、色ずれが生じる領域内に色ずれ補正用ブロックがない場合(ステップS702:NO)、ステップS704の処理に移行する。
【0148】
次に、色ずれ補正用パラメーター設定が完了したか否かを判断する(ステップS704)。具体的には、画像内のすべての色ずれ補正用ブロックについて色ずれ補正用パラメーターの設定が完了したか否かを判断する。なお、色ずれ補正用パラメーターを設定する画像領域は操作部230を通じてユーザーが設定することもできる。色ずれ補正用パラメーターの設定が完了した場合(ステップS704:YES)は、図15に示すフローチャートのステップS607の処理に移行する。
【0149】
一方、色ずれ補正用パラメーターの設定が完了していない場合(ステップS704:NO)は、色ずれ補正用パラメーター設定が完了していない他の色ずれ補正用ブロックについて、ステップS702の処理に移行する。以下、本実施形態における色ずれ補正用パラメーターについて説明する。
【0150】
本実施形態では、注目画素と仮想画素との間の距離KhおよびKv(以下、「距離KhおよびKv」と略記する)、仮想画素の補間方法、および隣接画素ウィンドウパターンを色ずれ補正用パラメーターとして使用することができる。しかしながら、色ずれ補正用パラメーターとしては、これらのパラメーターに限定されず、色ずれ補正に関連する他のパラメーターを使用してもよい。
【0151】
距離KhおよびKvは、色ずれの大きさに応じて設定される。色ずれが大きければ大きいほど、注目画素からのずれが大きいと考えられるので、大きい色ずれが生じる領域では、小さい色ずれが生じる領域と比べて距離KhおよびKvを大きく設定する。本実施形態では、色ずれの大きさに応じて第1〜第3の設定の距離KhおよびKvを使用する。第2の設定の距離KhおよびKvは、第1の設定の距離KhおよびKvと比較して、色ずれを強く補正するように調整されている。また、第3の設定の距離KhおよびKvは、第2の設定の距離KhおよびKvと比較して、色ずれを強く補正するように調整されている。なお、RとBとでは色ずれが異なる可能性があるため、距離KhおよびKvの値は、R、Bについて別々に設定できることが好ましい。
【0152】
また、仮想画素の補間方法は、色ずれの大きさに応じて切り替えて使用されうる。本実施形態では、バイ・リニア補間法、最近隣補間法などの公知の補間方法を使用することができる。たとえば、大きい色ずれが生じる領域では、第2および第3の設定の補間方法としてバイ・リニア補間法を使用し、小さい色ずれが生じる領域では、第1の設定の補間方法として最近隣補間法を使用することができる。
【0153】
また、隣接画素ウィンドウパターンは、色ずれの方向に応じて設定することができる。たとえば、画像の主走査方向および副走査方向についてどちらの方向に対しても色ずれが生じる領域である場合、図19(A)に示す隣接画素ウィンドウを設定する。図19(A)に示す隣接画素ウィンドウは、注目画素R(X,Y)と、これと隣接する8画素(隣接画素R(X−1,Y−1)〜R(X+1,Y+1)を合わせた9画素に対応する隣接画素ウィンドウパターンを有する。
【0154】
また、画像の主走査方向のみについて色ずれが生じる領域である場合、図19(B)に示す隣接画素ウィンドウを設定する。図19(B)に示す隣接画素ウィンドウは、注目画素および当該注目画素と主走査方向に隣接する画素に対応する隣接画素ウィンドウパターンを有する。仮想画素は、注目画素から主走査方向にKh隔てた位置(2箇所)に設けられている。この場合、主走査方向のみの色ずれ補正を実施することができる。
【0155】
また、画像の副走査方向のみについて色ずれが生じる色ずれ領域である場合、図19(C)に示す隣接画素ウィンドウを設定する。図19(C)に示す隣接画素ウィンドウは、注目画素および当該注目画素と副走査方向に隣接する画素に対応する隣接画素ウィンドウパターンを有する。仮想画素は、注目画素から副走査方向にKv隔てた位置(2箇所)に設けられている。この場合、副走査方向のみの色ずれ補正を実施することができる。
【0156】
以下、図20および図21を参照して、色ずれ補正の手順について説明する。図20は図15に示すフローチャートにおける色ずれ補正を説明するためのフローチャートであり、図21は図20に示すフローチャートにおける色ずれ補正処理(R)を説明するためのフローチャートである。
【0157】
以下の説明では、補正対象とする注目画素の座標を(X,Y)で表す。ここで、Xは主走査方向の座標を表し、Yは副走査方向の座標を表す。また、注目画素における補正前のRの階調値をR(X,Y)で表す。同様に、注目画素における補正前のGの階調値をG(X,Y)で表し、注目画素における補正前のBの階調値B(X,Y)で表す。ここで、階調値は、イメージセンサーに入力された輝度の物理量に相関する。また、注目画素における色ずれ補正部224の出力結果を、Rout(X,Y),Gout(X,Y),Bout(X,Y)と表す。
【0158】
本実施形態では、色ずれ補正部224は、(R,G,B)の各入力画像のそれぞれについて、注目画素(X,Y)を順次移動させながら各画素に対して、図20に示す色ずれ補正を実施する。
【0159】
図20に示すとおり、(R,G,B)のうち、Rの各画素について色ずれ補正処理(R)を実行する(ステップS801)。一方、Gの各画素については、色ずれ補正処理を実行せずにそのままG(X,Y)をGout(X,Y)として出力する処理を実行する(ステップS802)。また、Bの各画素についても色ずれ補正処理(B)を実行する(ステップS803)。
【0160】
以下、図21を参照して、本実施形態における色ずれ補正処理を説明する。なお、色ずれ補正処理(B)の処理内容は、色ずれ補正処理(R)の処理内容と同一なので、以下では色ずれ補正処理(R)についてのみ説明する。
【0161】
図21に示すとおり、まず、隣接画素ウィンドウを生成する(ステップS901)。具体的には、画像の主走査方向および副走査方向について、色ずれが生じる方向に応じて設定された隣接画素ウィンドウを生成する。
【0162】
次に、仮想画素の階調値を算出する(ステップS902)。具体的には、注目画素と隣接画素の間に仮想画素を設け、ステップS901で生成した隣接画素ウィンドウを適用して、仮想画素の階調値を上記の数式(2)〜(10)に基づいて算出する。
【0163】
次に、仮想画素群の階調値の最大値Rmaxを算出する(ステップS903)。具体的には、Rの仮想画素群の階調値(r11〜r33)の最大値Rmaxを算出する。
【0164】
次に、最大値Rmaxと注目画素のGの階調値G(X,Y)とを比較する(ステップS904)。比較の結果、Rmax<G(X,Y)である場合(ステップS904:YES)、RmaxをRの補正結果Rout(X、Y)として出力する(ステップS909)。Rmaxは、仮想画素の中で最もG(X,Y)に近い値である。そして、図15に戻り、処理を終了する。
【0165】
一方、Rmax<G(X,Y)ではない、すなわち、Rmax≧G(X,Y)である場合(ステップS904:NO)、仮想画素群の階調値の最小値Rminを算出する(ステップS905)。具体的には、Rの仮想画素群の階調値(r11〜r33)の最小値Rminを算出する。
【0166】
次に、最小値Rminと注目画素のGの階調値G(X,Y)とを比較する(ステップS906)。比較の結果、Rmin>G(X,Y)である場合(ステップS906:YES)、RminをRの補正結果Rout(X、Y)として出力する(ステップS907)。Rminは、仮想画素のなかで最もG(X,Y)に近い値である。
【0167】
一方、Rmin>G(X,Y)ではない、すなわち、Rmax≧G(X,Y)≧Rminである場合(ステップS906:NO)、G(X,Y)をRの補正結果Rout(X,Y)として出力する(ステップS908)。
【0168】
以上のとおり、本実施形態は、第1および第2の実施形態の効果に加えて以下の効果を奏する。
【0169】
本実施形態の画像処理方法、画像読取装置20、画像処理プログラムによれば、色ずれの大きさに応じて色ずれ補正用パラメーターを設定するので、色ずれ部分の(R,G,B)を精度良く一致させることができる。その結果、原稿がカラーであるか、あるいはモノクロであるかを精度よく判定できるだけではなく、原稿の色ずれを補正することもできる。
【0170】
以上のとおり、実施の形態において、本発明の画像処理方法、画像読取装置、および画像処理プログラムを説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができることはいうまでもない。
【0171】
たとえば、第1〜第3の実施形態では、ラダーチャートが描かれたモノクロ原稿を読取ることにより色ずれ情報を取得することについて説明した。しかしながら、色ずれ情報を別の方法で取得して予め制御部の記憶部に記憶させておいてもよい。
【0172】
また、第1〜第3の実施形態では、副走査方向について複数の色ずれ領域に画像データを分割することを説明した。しかしながら、主走査方向についても画像データを複数の色ずれ領域に分割することもできる。
【0173】
また、本発明の画像読取装置は、画像形成システムの一部としての画像読取装置だけではなく、たとえばスキャナ単体に適用することもできる。また、ファクシミリにおいて紙に出力せずにメモリにデータを格納する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0174】
1 画像形成システム、
10 原稿供給装置、
20 画像読取装置、
30 画像印刷装置、
200 制御部、
201 CPU、
202 記憶部、
203 専用ビデオI/F部、
204 通信I/F部、
210 画像読取部、
220 画像処理部、
230 操作部、
240 表示部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得するステップ(a)と、
前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定するステップ(b)と、
前記ステップ(b)で設定したカラーモノクロ判定用パラメーターを用いて、前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定するステップ(c)と、
を有する、画像処理方法。
【請求項2】
前記画像内の色ずれが生じる領域は、色ずれの程度が異なる領域を含み、大きい色ずれが生じる領域では小さい色ずれが生じる領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
所定のモノクロ原稿を光学的に読取り、前記モノクロ原稿のカラー画像を取得するステップ(d)と、
前記モノクロ原稿のカラー画像に生じる色ずれを認識するステップ(e)と、
をさらに有し、
前記ステップ(b)ではステップ(e)での色ずれの認識結果に基づいて前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして彩度リファレンステーブルを設定し、
前記画像の各々の画素の明度および彩度を算出し、前記彩度リファレンステーブルを参照して、前記画像の各々の画素が色画素であるか黒画素であるかを判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして黒画素周辺フィルターサイズを設定し、
前記黒画素周辺フィルターサイズの黒画素周辺フィルターを、前記画像の各々の画素が色画素であるか黒画素であるかの判定結果に適用してフィルタリング処理を実行し、適用した前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つでも黒画素がある場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を黒画素として認識する一方で、前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つも黒画素がない場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を色画素として認識することを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして黒画素周辺フィルターパターンを設定し、
前記黒画素周辺フィルターパターンの黒画素周辺フィルターを、前記画像の各々の画素が色画素であるか黒画素であるかの判定結果に適用してフィルタリング処理を実行し、適用した前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つでも黒画素がある場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を黒画素として認識する一方で、前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つも黒画素がない場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を色画素として認識することを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして色画素数閾値を設定し、
前記画像を所定の色画素判定ブロックサイズで分割した色画素判定ブロック内における前記色画素の数が前記色画素数閾値以上である場合、前記色画素判定ブロックはカラーブロックであると判定し、前記色画素の数が前記色画素数閾値未満である場合、前記色画素判定ブロックはモノクロブロックであると判定することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記ステップ(c)において、前記カラーブロックの数がカラーブロック数閾値以上である場合、前記原稿はカラーであると判定し、前記カラーブロックの数が前記カラーブロック数閾値未満である場合、前記原稿はモノクロであると判定することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記ステップ(c)において、前記色画素の数が所定の閾値以上である場合、前記原稿はカラーであると判定し、前記色画素の数が前記所定の閾値未満である場合、前記原稿はモノクロであると判定することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて、少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定するステップ(f)と、
前記色分解されたうちの1色を基準色とし、他の少なくとも1色を補正対象色とし、前記補正対象色の注目画素と当該注目画素に隣接する隣接画素との間に仮想画素を設定するステップ(g)と、
前記色ずれ補正用パラメーターを用いて、前記注目画素の階調値および前記隣接画素の階調値に基づいて前記仮想画素の階調値を算出するステップ(h)と、
前記注目画素の基準色の階調値が前記補正対象色の注目画素と前記仮想画素からなる仮想画素群の階調値の最小値以上最大値以下である場合、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記基準色の階調値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最大値を超える場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最大値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最小値未満の場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最小値に変換するステップ(i)と、
を前記ステップ(a)の後にさらに有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項11】
原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得する画像取得手段と、
前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、カラーモノクロ判定用パラメーターを設定するカラーモノクロ判定用パラメーター設定手段と、
前記カラーモノクロ判定用パラメーターを用いて前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定するカラーモノクロ判定手段と、
を有する、画像読取装置。
【請求項12】
前記画像内の色ずれが生じる領域は、色ずれの程度が異なる領域を含み、大きい色ずれが生じる領域では小さい色ずれが生じる領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする請求項11に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記画像取得手段で所定のモノクロ原稿を読取ることにより取得したカラー画像に生じる色ずれを認識する色ずれ認識手段をさらに有し、
前記色ずれの認識結果に基づいて前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする請求項11または12に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて、少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定する色ずれ補正用パラメーター設定手段と、
前記色分解されたうちの1色を基準色とし、他の少なくとも1色を補正対象色とし、前記補正対象色の注目画素と当該注目画素に隣接する隣接画素との間に仮想画素を設定し、前記色ずれ補正用パラメーターを用いて、前記注目画素の階調値および前記隣接画素の階調値に基づいて前記仮想画素の階調値を算出する階調値算出手段と、
前記注目画素の基準色の階調値が前記補正対象色の注目画素と前記仮想画素からなる仮想画素群の階調値の最小値以上最大値以下である場合、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記基準色の階調値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最大値を超える場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最大値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最小値未満の場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最小値に変換する変換手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項15】
原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得する手順(a)と、
前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、カラーモノクロ判定用のパラメーターを設定する手順(b)と、
前記カラーモノクロ判定用のパラメーターを用いて前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定する手順(c)と、
を有する、コンピューターに実行させるための画像処理プログラム。
【請求項16】
前記画像内の色ずれが生じる領域は、色ずれの程度が異なる領域を含み、大きい色ずれが生じる領域では小さい色ずれが生じる領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする請求項15に記載の画像処理プログラム。
【請求項17】
所定のモノクロ原稿を光学的に読取り、前記モノクロ原稿のカラー画像を取得する手順(d)と、
前記モノクロ原稿のカラー画像に生じる色ずれを認識する手順(e)と、
をさらに有し、
前記手順(b)では手順(e)での色ずれの認識結果に基づいて前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする請求項15または16に記載の画像処理プログラム。
【請求項18】
前記画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて、少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定する手順(f)と、
前記色分解されたうちの1色を基準色とし、他の少なくとも1色を補正対象色とし、前記補正対象色の注目画素と当該注目画素に隣接する隣接画素との間に仮想画素を設定する手順(g)と、
前記色ずれ補正用パラメーターに基づいて、前記注目画素の階調値および前記隣接画素の階調値に基づいて前記仮想画素の階調値を算出する手順(h)と、
前記注目画素の基準色の階調値が前記補正対象色の注目画素と前記仮想画素からなる仮想画素群の階調値の最小値以上最大値以下である場合、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記基準色の階調値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最大値を超える場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最大値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最小値未満の場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最小値に変換する手順(i)と、
を前記手順(a)の後にさらに有することを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載の画像処理プログラム。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれか1項に記載の画像処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得するステップ(a)と、
前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定するステップ(b)と、
前記ステップ(b)で設定したカラーモノクロ判定用パラメーターを用いて、前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定するステップ(c)と、
を有する、画像処理方法。
【請求項2】
前記画像内の色ずれが生じる領域は、色ずれの程度が異なる領域を含み、大きい色ずれが生じる領域では小さい色ずれが生じる領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
所定のモノクロ原稿を光学的に読取り、前記モノクロ原稿のカラー画像を取得するステップ(d)と、
前記モノクロ原稿のカラー画像に生じる色ずれを認識するステップ(e)と、
をさらに有し、
前記ステップ(b)ではステップ(e)での色ずれの認識結果に基づいて前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして彩度リファレンステーブルを設定し、
前記画像の各々の画素の明度および彩度を算出し、前記彩度リファレンステーブルを参照して、前記画像の各々の画素が色画素であるか黒画素であるかを判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして黒画素周辺フィルターサイズを設定し、
前記黒画素周辺フィルターサイズの黒画素周辺フィルターを、前記画像の各々の画素が色画素であるか黒画素であるかの判定結果に適用してフィルタリング処理を実行し、適用した前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つでも黒画素がある場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を黒画素として認識する一方で、前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つも黒画素がない場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を色画素として認識することを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして黒画素周辺フィルターパターンを設定し、
前記黒画素周辺フィルターパターンの黒画素周辺フィルターを、前記画像の各々の画素が色画素であるか黒画素であるかの判定結果に適用してフィルタリング処理を実行し、適用した前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つでも黒画素がある場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を黒画素として認識する一方で、前記黒画素周辺フィルターのフィルタリング処理範囲に1つも黒画素がない場合、前記黒画素周辺フィルターの注目画素を色画素として認識することを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記ステップ(b)において、前記カラーモノクロ判定用パラメーターの1つとして色画素数閾値を設定し、
前記画像を所定の色画素判定ブロックサイズで分割した色画素判定ブロック内における前記色画素の数が前記色画素数閾値以上である場合、前記色画素判定ブロックはカラーブロックであると判定し、前記色画素の数が前記色画素数閾値未満である場合、前記色画素判定ブロックはモノクロブロックであると判定することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記ステップ(c)において、前記カラーブロックの数がカラーブロック数閾値以上である場合、前記原稿はカラーであると判定し、前記カラーブロックの数が前記カラーブロック数閾値未満である場合、前記原稿はモノクロであると判定することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記ステップ(c)において、前記色画素の数が所定の閾値以上である場合、前記原稿はカラーであると判定し、前記色画素の数が前記所定の閾値未満である場合、前記原稿はモノクロであると判定することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて、少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定するステップ(f)と、
前記色分解されたうちの1色を基準色とし、他の少なくとも1色を補正対象色とし、前記補正対象色の注目画素と当該注目画素に隣接する隣接画素との間に仮想画素を設定するステップ(g)と、
前記色ずれ補正用パラメーターを用いて、前記注目画素の階調値および前記隣接画素の階調値に基づいて前記仮想画素の階調値を算出するステップ(h)と、
前記注目画素の基準色の階調値が前記補正対象色の注目画素と前記仮想画素からなる仮想画素群の階調値の最小値以上最大値以下である場合、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記基準色の階調値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最大値を超える場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最大値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最小値未満の場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最小値に変換するステップ(i)と、
を前記ステップ(a)の後にさらに有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項11】
原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得する画像取得手段と、
前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、カラーモノクロ判定用パラメーターを設定するカラーモノクロ判定用パラメーター設定手段と、
前記カラーモノクロ判定用パラメーターを用いて前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定するカラーモノクロ判定手段と、
を有する、画像読取装置。
【請求項12】
前記画像内の色ずれが生じる領域は、色ずれの程度が異なる領域を含み、大きい色ずれが生じる領域では小さい色ずれが生じる領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする請求項11に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記画像取得手段で所定のモノクロ原稿を読取ることにより取得したカラー画像に生じる色ずれを認識する色ずれ認識手段をさらに有し、
前記色ずれの認識結果に基づいて前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする請求項11または12に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて、少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定する色ずれ補正用パラメーター設定手段と、
前記色分解されたうちの1色を基準色とし、他の少なくとも1色を補正対象色とし、前記補正対象色の注目画素と当該注目画素に隣接する隣接画素との間に仮想画素を設定し、前記色ずれ補正用パラメーターを用いて、前記注目画素の階調値および前記隣接画素の階調値に基づいて前記仮想画素の階調値を算出する階調値算出手段と、
前記注目画素の基準色の階調値が前記補正対象色の注目画素と前記仮想画素からなる仮想画素群の階調値の最小値以上最大値以下である場合、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記基準色の階調値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最大値を超える場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最大値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最小値未満の場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最小値に変換する変換手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項15】
原稿を光学的に読取り、複数色に色分解された画像を取得する手順(a)と、
前記画像内の色ずれが生じる領域では、色ずれが生じない領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、カラーモノクロ判定用のパラメーターを設定する手順(b)と、
前記カラーモノクロ判定用のパラメーターを用いて前記原稿がカラーであるかモノクロであるかを判定する手順(c)と、
を有する、コンピューターに実行させるための画像処理プログラム。
【請求項16】
前記画像内の色ずれが生じる領域は、色ずれの程度が異なる領域を含み、大きい色ずれが生じる領域では小さい色ずれが生じる領域と比較してカラーよりもモノクロと判定されやすくなるように、前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする請求項15に記載の画像処理プログラム。
【請求項17】
所定のモノクロ原稿を光学的に読取り、前記モノクロ原稿のカラー画像を取得する手順(d)と、
前記モノクロ原稿のカラー画像に生じる色ずれを認識する手順(e)と、
をさらに有し、
前記手順(b)では手順(e)での色ずれの認識結果に基づいて前記少なくとも1つのカラーモノクロ判定用パラメーターを設定することを特徴とする請求項15または16に記載の画像処理プログラム。
【請求項18】
前記画像内の色ずれが生じる領域における色ずれの大きさに応じて、少なくとも1つの色ずれ補正用パラメーターを設定する手順(f)と、
前記色分解されたうちの1色を基準色とし、他の少なくとも1色を補正対象色とし、前記補正対象色の注目画素と当該注目画素に隣接する隣接画素との間に仮想画素を設定する手順(g)と、
前記色ずれ補正用パラメーターに基づいて、前記注目画素の階調値および前記隣接画素の階調値に基づいて前記仮想画素の階調値を算出する手順(h)と、
前記注目画素の基準色の階調値が前記補正対象色の注目画素と前記仮想画素からなる仮想画素群の階調値の最小値以上最大値以下である場合、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記基準色の階調値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最大値を超える場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最大値に変換し、前記注目画素の基準色の階調値が前記仮想画素群の階調値の最小値未満の場合は、前記補正対象色の注目画素の階調値を前記仮想画素群の階調値の最小値に変換する手順(i)と、
を前記手順(a)の後にさらに有することを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載の画像処理プログラム。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれか1項に記載の画像処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−74314(P2013−74314A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209612(P2011−209612)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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