説明

画像処理方法,画像処理装置およびそれを搭載した水中検査装置

【課題】画像情報のみを用いて、画像の振れを修正し、画像を安定化でき、水中検査装置の操作性が向上する画像処理方法,画像処理装置およびそれを搭載した水中検査装置を提供することにある。
【解決手段】ある時刻(t)における撮影画像33aの中に、時刻(t)における表示画像34がある。表示画像34は、初期状態は撮影画像33aの中央に位置し、以降は、以下に示す方法で更新する。時刻(t+1)における撮影画像33bの中で、時刻(t)における表示画像33aと相関が高い部分35を画像相関処理により探索する。予め設定した時定数で、時刻(t)における表示画像と相関が高い部分35から、時刻(t+1)における撮影画像33bの中心画像36に、移行するように、時刻(t)における表示画像34と類似した画像領域35と、時刻(t+1)における撮影画像の中心にある画像36、との間に位置する画像を、表示画像37として表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中移動体に搭載した撮影装置で撮影した画像を処理する画像処理方法,画像処理装置およびそれを搭載した水中検査装置に係り、特に、原子炉内を検査する水中検査装置,特に、原子炉内のシュラウドや圧力容器の他、ジェットポンプ等の炉内機器を目視点検する遊泳型の水中検査装置に用いるに好適な画像処理方法,画像処理装置およびそれを搭載した水中検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の移動体に搭載したカメラの撮影画像処理に関し、第1に、人間が頭部に装着するカメラの視認性を安定させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、第2に、撮影画像から動きベクトルを検出し、撮影画像のみを用いて画像の振れを抑止するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、水中検査装置に動き検出センサを搭載し、任意の方向に操舵するものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−97637号公報
【特許文献2】特開平5−219420号公報
【特許文献3】特開2006−224863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のものでは、人間が頭部に装着するカメラの視認性を安定させる装置に関するものであり、搭載したジャイロセンサを用いて、動きを検出するものである。また、特許文献2に記載のものでは、画像の相関処理により、動きを検出している。このように、特許文献1及び特許文献2記載のものは、画像の安定化を図るために、画像の振れを検出し、振れの分だけ補正するものである。
【0007】
しかしながら、本発明で対象としている水中検査装置は、装置が振れるだけでなく、装置の姿勢を故意に変換させる場合もあるため、正対する向きに画像を追従させる必要があるため、特許文献1,特許文献2記載の技術では、水中検査装置には適用できないものである。
【0008】
また、特許文献3に記載されたものは、ジャイロ等の内界センサを用いて姿勢を検出し、フィードバック制御することで、水中検査装置の姿勢を制御する装置であり、画像のみを安定化させるものではない。
【0009】
本発明の目的は、画像情報のみを用いて、画像の振れを修正し、画像を安定化でき、水中検査装置の操作性が向上する画像処理方法,画像処理装置およびそれを搭載した水中検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、移動体に搭載した撮影手段により撮影された撮影画像から予め設定した画像表示サイズの画像を切出し、切出した画像を表示する画像表示方法であって、表示する時刻における撮影画像の中において、当該時刻の直前の表示画像と類似した画像領域と、当該時刻の撮影画像の中心にある該画像表示サイズの画像、との間に位置する画像を、表示画像として表示するようにしたものである。
かかる方法により、画像情報のみを用いて、画像の振れを修正し、画像を安定化できるものとなる。
【0011】
(2)上記(1)において、好ましくは、該直前の表示画像をテンプレートとして、当該時刻の撮影画像の中において、画像相関演算を実施し、相関係数が予め設定した閾値以上となる領域を探索し、当該時刻の直前の表示画像と類似した画像領域とするものである。
【0012】
(3)上記(1)において、好ましくは、該当該時刻の直前の撮影画像の中から特徴点を含む特徴領域を探索し、前記特徴領域をテンプレートとして、当該時刻の撮影画像の中において、画像相関演算を実施し、相関係数が予め設定した閾値以上となるテンプレート移動領域を探索し、前記テンプレートに対す前記該テンプレート移動領域の相対位置を画像振れとし、当該時刻の直前の表示画像の撮影画像内における位置に、前記画像振れを加算して、当該時刻における切出し位置を定義し、当該時刻の撮影画像中の前記切り出し位置の画像を当該時刻の表示画像とするものである。
【0013】
(4)上記(1)において、好ましくは、前記表示画像の中心は、当該時刻の撮影画像の中における当該時刻の直前の表示画像と類似した画像領域の中心と、当該時刻の撮影画像の中心にある該画像表示サイズの画像の中心からなる線分上に位置し、当該時刻の撮影画像の中における当該時刻の直前の表示画像と類似した画像領域の中心からの距離は、予め設定した閾値以下に制限するようにしたものである。
【0014】
(5)また、上記目的を達成するために、本発明は、移動体に搭載した撮影手段と、該撮影手段での撮影画像から予め設定した画像表示サイズの画像を切出す画像表示制御手段と、該画像表示制御手段により切出した画像を表示する画像表示手段とを有する画像表示装置であって、表示画像を、当該時刻の撮影画像の中において、当該時刻の直前の表示画像と類似した画像領域と、当該時刻の撮影画像の中心にある該画像表示サイズの画像、との間に位置する画像として算出する画像表示処理手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、画像情報のみを用いて、画像の振れを修正し、画像を安定化できるものとなる。
【0015】
(6)さらに、上記目的を達成するために、本発明は、三次元に泳動可能な駆動機構と水中において構造物を視認できる撮影手段を有する検査用ビークルと、前記撮影手段での撮影画像から予め設定した画像表示サイズの画像を切出す画像表示制御手段と、前記画像表示制御手段により切出した画像を表示する画像表示手段とを有する水中検査装置であって、前記画像表示処理手段は、当該時刻の撮影画像の中において、当該時刻の直前の表示画像と類似した画像領域と、当該時刻の撮影画像の中心にある該画像表示サイズの画像との間に位置する画像として算出するようにしたものである。
かかる構成により、画像情報のみを用いて、画像の振れを修正し、画像を安定化でき、水中検査装置の操作性が向上するものとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像情報のみを用いて、画像の振れを修正し、画像を安定化でき、水中検査装置の操作性が向上するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1〜図4を用いて、本発明の一実施形態による水中検査装置の構成及び動作について説明する。本実施形態の水中検査装置は、原子炉内の欠陥検査、特に構造物を目視検査する際に用いられるものである。
【0018】
最初に、図1を用いて、本実施形態による水中検査装置を用いた水中検査作業時の機器配置について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による水中検査装置を用いた水中検査作業時の機器配置図である。
【0019】
原子炉1内には、シュラウド2,上部格子板3,炉心支持板4,シュラウドサポート5等の構造物があり、また、PLR配管6を初めとする配管が接続されている。また、原子炉1の上部には、作業スペースであるオペレーションフロア7あり、また同じく上方には、燃料交換装置8がある。
【0020】
原子炉1内に進入させた検査用ビークル9は、ビークル用ケーブル10を介して、制御装置11に接続される。制御装置11は、検査用ビークル9を水中で泳動させて航行させるための電力を供給するとともに、検査対象箇所において目視検査を実施するために、映像の通信を行う。また、制御装置11には表示装置12を接続され、検査用ビークルに撮像手段として搭載した撮像手段の画像を表示する。さらに、制御装置11にはコントローラ13を接続し、ビークル操作員14aが操作する。なお、燃料交換装置8の上では、操作補助員14bがビークル用ケーブル10を捌く。
【0021】
制御装置11は、その内部に、検査用ビークル9の位置移動を制御する位置制御手段と、検査用ビークル9に搭載された撮像手段により撮像された画像を、表示装置12に表示するための表示画像を生成する画像表示処理手段とを備えている。
【0022】
次に、図2を用いて、本実施形態による水中検査装置に用いる検査用ビークルの構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による水中検査装置に用いる検査用ビークルの構成を示す断面斜視図である。
【0023】
検査用ビークル9には、前部に撮像手段として広角レンズ付カメラ20および照明21を搭載している。カメラ20および照明21は、透明なドーム22の内部に収納されている。図1に示したビークル操作員14aは、カメラ20の映像を確認しながら、検査用ビークル9の移動等を操作できる構成となっている。
【0024】
また、前後に進行するための推進スラスタ24と、左右に旋回するための旋回スクリュー26、さらには、ピッチ姿勢を調整するための、バランスウェイト28を搭載している。推進スラスタ24は、ROV駆動用モータ23aにより駆動される。旋回スクリュー26は、ROV駆動用モータ23bにより駆動される。バランスウェイト28は、ROV駆動用モータ23cにより駆動される。なお、バランスウェイト28は、ROV駆動用モータ23cの動力を、複数のギア27を介して伝達する。旋回スクリュー26は、ROV駆動用モータ23bの動力を傘歯車25を介して伝達する。
【0025】
次に、図3を用いて、本実施形態による水中検査装置による画像表示方法の概念について説明する。
図3は、本発明の一実施形態による水中検査装置による画像表示方法の概念の説明図である。
【0026】
図3に示した画像例は、原子炉1内の、シュラウド2の一部を拡大したイメージである。そして、シュラウド2の底部に位置するシュラウド内壁30aとレグ30bの境界にある溶接線31を、図2に示した検査用ビークル9のカメラ20で撮影し、図1に示した表示装置12に表示される画像から、目視点検するイメージを示している。
【0027】
ある時刻(t)における撮影画像33aの中に、時刻(t)における表示画像34があるとする。この表示画像34は、初期状態は撮影画像33aの中央に位置し、以降は、以下に示す方法で更新していくものとする。時刻(t+1)における撮影画像33bが、時刻(t)における撮影画像と異なる位置に現れるとする。これは、検査用ビークル9の姿勢が、矢印A1のように、時刻(t)の位置から、図示の状態で右上方向に変ったことにより発生する事象である。姿勢の変化は、意図しない外乱による場合と、意図して方向を変換する場合がある。意図しない外乱としては、原子炉1の内部の水の流れなどである。意図して方向を変換する場合としては、溶接線31を点検する際には、例えば、検査用ビークル9を水平方向(X軸方向)に移動する。しかし、このような場合でも、小型の検査用ビークル9を用いる場合には、重量が軽いため、意図している移動量よりも大きく移動する場合がある。ここで、姿勢の変化が、意図しない外乱による場合であるか、意図して方向を変換する場合のいずかであるかは、長時間にわたって、姿勢が変化した状態が続く場合は、意図して方向を変換したものと解釈する。
【0028】
このような本来の予定している以上の姿勢の変化があった場合に、本実施形態では、図1に示した制御装置11は、以下に説明するように、姿勢変化に対応した、表示画像の追従処理を行うようにしている。
【0029】
ここで、時刻(t+1)における撮影画像33bの中で、時刻(t)における表示画像33aと相関が高い部分35を画像相関処理により探索する。時刻(t+1)における撮影画像33bの中心画像36は、検査用ビークル9が正面に正対する画像を示している。
【0030】
そこで、予め設定した時定数で、時刻(t)における表示画像と相関が高い部分35から、時刻(t+1)における撮影画像33bの中心画像36に、追従する処理を行う。そして、表示する画像は、図示する時刻(t+1)における表示画像37とする。具体的には、時刻(t)における表示画像33aから相関が高い部分35に移行する最大の変化の速度を表示画像の画素数に任意の値を除した量とする。例えば、画素数が480とし、任意の値を映像の更新周期(フレームレート)である30(fps)で除することで、16画素/フレームとする。
【0031】
例えば、相関が高い部分35と、中心画像36のX軸方向のずれ量がΔX1とする。例えば、ずれ量ΔX1は、数十画素分とする。このように、時刻(t)における表示画像に対して中心画像36が大幅に移動した場合には、時刻(t+1)に表示画像37は、X軸方向については、相関が高い部分35からΔX2(<ΔX1)しか動かさないようにする。移動量ΔX2は、上述の例では、16画素/フレームである。なお、Z軸方向についても、同様とする。
【0032】
これにより、例えば、溶接線31に沿って目視点検する際に、時刻(t)における表示画像34の状態から、時刻(t+1)における表示画像37に移行してしまうと、どこまで目視点検したかが不明となり、点検精度が低下することなるが、時刻(t+1)に表示画像37を表示することで、点検精度を向上できる。
【0033】
このように、意図しない外乱による姿勢変化があった場合でも、時刻(t)における表示画像34に対して、例えば、16画素/フレームだけ移行した画像を表示することで、表示画像がほぼ保持された状態とすることができる。また、意図して姿勢変化を行った場合で、姿勢変化量が大きすぎた場合でも、時刻(t)における表示画像34に対して、例えば、16画素/フレームだけ移行した画像を表示することで、その姿勢変化方向の表示画像を得ることができる。
【0034】
次に、図4を用いて、本実施形態による水中検査装置による画像表示方法の処理内容について説明する。これらの処理は、図1に示した制御装置11の画像表示処理手段により実行される。
図4は、本発明の一実施形態による水中検査装置による画像表示方法の処理内容を示すフローチャートである。
【0035】
処理開始後、ステップS00において、初期画像処理を行う。まず、ステップS01において、初期画像を取込み、次に、ステップS02において、カメラのレンズに含まれる歪み補正を行う。次に、ステップS03において、初期有効画像を表示する。これは、ステップS03Aにおいて、撮影画像の中心に表示画像位置(例えば、640×480画素)を定義する。次に、ステップS03Bにおいて、その画像を切り出し、ステップS03Cにおいて、表示する。さらに、ステップS04において、テンプレート登録を行う。これは、ステップS04Aにおいて、撮影画像中の特徴量を抽出し、ステップS04Bにおいて、その周りのウインドウサイズを定義し、ステップS04Cにおいて、登録する。ここで、特徴量の抽出方法については、例えば、特開平5−219420号公報に記載されている方法を用いる。また、ウインドウサイズは、表示画像と同サイズとし、例えば640×480画素とする。
【0036】
次に、ステップS10の画像基本処理に入る。まず、画像基本処理として、ステップS11において、撮影画像の取得を行い、ステップS12において、歪み補正を行う。次に、ステップS20の画像振れ補正の処理に移る。まず、ステップS21において、登録してあるテンプレートを取得する。次に、ステップS22において、振れ量演算処理を実行する。初めに、ステップS22Aにおいて、撮影画像とテンプレート間の画像相関処理を行う。ここで、ステップS22Bにおいて、振れ量としては、撮影画像中において、テンプレートの画像相関係数が、予め設定した閾値以上となる部分と、前時刻の表示画像の位置の中心距離として定義する。その結果、ステップS22Cにおいて、表示画像の中心を前時刻の表示画像中心位置に振れ量を加算したものに更新する。さらに、ステップS23において、表示画像を切り出し、ステップS24において、表示する。
【0037】
続いて、ステップS30の姿勢変化追従処理に移る。まず、ステップS31において、追従量演算処理を行う。ここでは、ステップS31Aにおいて、表示画像中心から撮影画像中心の方向のベクトルを求め、追従方向とする。また、ステップS31Bにおいて、表示画像中心と撮影画像中心間の距離を計算し、中心ズレ量(Δmax)とする。さらに、ステップS31Cにおいて、追従制限量(Δlim)を、画像サイズの半値(ピクセル/fps)として求める。これらの演算結果に基づき、ステップS31Dにおいて、追従量を求める。ここでは、ステップS32において、中心ズレ量(Δmax)と追従制限量(Δlim)の小さい方の値と定義する。そして、ステップS33において、求めた追従量を表示画像中心位置に加算し、表示画像中心位置を更新する。ステップS34において、その結果である、表示画像を切り出し、表示する。
【0038】
最後に、ステップS40のテンプレート処理に移る。ステップS41において、表示画像をテンプレートとして登録する。
【0039】
さらに、ステップS50のループ処理に進み、ステップS51において、終了しな場合には、図4の(A)に戻り、画像基本処理からの一連の処理ループを繰り返す。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、画像情報のみを用いて、画像の振れを修正し、なおかつ、意図した姿勢の変化にも追従することが可能になる。その結果、移動体に搭載した撮影画像を安定化させることが可能になり、移動時における操作性を向上する。
【0041】
また、水中検査装置に搭載したカメラの画像を安定化させることが可能になり、目視点検における検査効率を向上できる。
【0042】
次に、図5及び図6を用いて、本発明の他の実施形態による水中検査装置の構成及び動作について説明する。本実施形態による水中検査装置を用いた水中検査作業時の機器配置は、図1に示したものと同様である。また、本実施形態による水中検査装置に用いる検査用ビークルの構成は、図2に示したものと同様である。
【0043】
図5は、本発明の他の実施形態による水中検査装置による画像表示方法の概念の説明図である。図6は、本発明の他の実施形態による水中検査装置による画像表示方法の処理内容を示すフローチャートである。
【0044】
本実施形態は、前述の実施形態と同一目的を達成しようとするものであるが、表示画像の中に、特徴点が無く、画像相関を取り難い場合に好適なものである。
【0045】
最初に、図5を用いて、画像処理方法の概念について説明する。図5に示した画像例は、第一の実施形態と同様である。
【0046】
まず、ある時刻(t)における撮影画像41aの中に、時刻(t)における表示画像42を定義する。この表示画像42は、初期状態は撮影画像41aの中央に位置する。ただし、この例では、表示画像の中に、溶接線の像はあるものの、線上の像であり、画像相関を計算することはできない。この様に表示画像42の中に特徴点が無い場合、表示画像42以外の領域から、時刻(t)における特徴点43aを探索し、仮のテンプレートとして登録する。次に、時刻(t+1)における撮影画像41bが、時刻(t)における撮影画像42と異なる位置に現れるとする。ここで、時刻(t+1)における撮影画像41bの中で、時刻(t)における特徴点を含む仮のテンプレートと相関が高い部分43bを探索する。次に、時刻(t)における特徴点を含む仮のテンプレート43aが現れていた位置44と、43bを画像相関処理により探索する。その結果から、仮のテンプレートの移動した量を算出し、その量を時刻(t)における表示画像42の位置に加算し、時刻(t+1)における中心画像とする。
【0047】
次に、本実施形態による水中検査装置による画像表示方法の処理内容について説明する。
【0048】
全体的な処理内容は、図4に示したものと同様であるが、ステップS20の画像振れ処理の内容が異なっている。図6は、画像振れ補正の処理の内容を示している。図6においては、図4に比べて、ステップS21とステップS22の間に、ステップS26〜S28及びS22’が追加されている。
【0049】
まず、ステップS21において、テンプレート,すなわち、前時刻における表示画像を取得し、ステップS26において、テンプレート内に特徴点があるかどうか判定する。ここで特徴点があれば、図4と同様に、ステップS22〜S24により、振れ量を演算し、表示画像を切り出して、表示する。
【0050】
テンプレート内に特徴点が無ければ、ステップS27において、前時刻の撮影画像全体の中から特徴点を抽出する。そして、ステップS28において、その特徴点を含む領域を仮テンプレートとして登録する。なお、仮テンプレートは、表示画像のサイズである必要はなく任意に設定でき、例えば、表示画像が640×480の場合、100×100とすることになる。
【0051】
次に、ステップS22’において、振れ量を演算する。ここでは、ステップS22A’において、現時刻の撮影画像の中から仮テンプレートと相関の高い領域を探索する。この場合も図4に示した例と同様に、画像相関係数が、予め設定した閾値以上となる部分を探索する。これにより、仮テンプレートの位置の移動量が求められる。ここで、ステップS22B’において、振れ量としては、撮影画像中において、仮テンプレートの画像相関係数が、予め設定した閾値以上となる部分と、前時刻の表示画像の位置の中心距離として定義する。その結果、ステップS22Cにおいて、表示画像の中心を前時刻の表示画像中心位置に振れ量を加算したものに更新する。さらに、ステップS23において、表示画像を切り出し、ステップS24において、表示する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、画像情報のみを用いて、画像の振れを修正し、なおかつ、意図した姿勢の変化にも追従することが可能になる。その結果、移動体に搭載した撮影画像を安定化させることが可能になり、移動時における操作性を向上する。
【0053】
また、水中検査装置に搭載したカメラの画像を安定化させることが可能になり、目視点検における検査効率を向上できる。
【0054】
さらに、表示画像の中に、特徴点が存在しない場合でも、画像相関を計算し、画像の振れを修正することができる。ただし、撮影画像全体の中に、特徴量が無い場合は、適用することはできないが、撮影手段として、広角レンズを用いることで視野を広くすることができ、回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態による水中検査装置を用いた水中検査作業時の機器配置図である。
【図2】本発明の一実施形態による水中検査装置に用いる検査用ビークルの構成を示す断面斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による水中検査装置による画像表示方法の概念の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態による水中検査装置による画像表示方法の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態による水中検査装置による画像表示方法の概念の説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態による水中検査装置による画像表示方法の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1…原子炉
2…シュラウド
3…上部格子板
4…炉心支持板
5…シュラウドサポート
6…PLR配管
7…オペレーションフロア
8…燃料交換装置
9…検査用ビークル
20…広角レンズ付カメラ
21…照明
22…透明ドーム
23a,23b,23c…ROV駆動用モータ
24…推進スラスタ
25…傘歯車
26…旋回スクリュー
27…ギアボックス
28…バランサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載した撮影手段により撮影された撮影画像から予め設定した画像表示サイズの画像を切出し、切出した画像を表示する画像表示方法であって、
表示する時刻における撮影画像の中において、当該時刻の直前の表示画像と類似した画像領域と、当該時刻の撮影画像の中心にある該画像表示サイズの画像、との間に位置する画
像を、表示画像として表示することを特徴とする画像表示方法。
【請求項2】
請求項1記載の画像表示方法において、
該直前の表示画像をテンプレートとして、当該時刻の撮影画像の中において、画像相関演算を実施し、相関係数が予め設定した閾値以上となる領域を探索し、当該時刻の直前の表示画像と類似した画像領域とすることを特徴とする画像表示方法。
【請求項3】
請求項1記載の画像表示方法において、
該当該時刻の直前の撮影画像の中から特徴点を含む特徴領域を探索し、
前記特徴領域をテンプレートとして、当該時刻の撮影画像の中において、画像相関演算を実施し、相関係数が予め設定した閾値以上となるテンプレート移動領域を探索し、前記テンプレートに対す前記該テンプレート移動領域の相対位置を画像振れとし、
当該時刻の直前の表示画像の撮影画像内における位置に、前記画像振れを加算して、当該時刻における切出し位置を定義し、当該時刻の撮影画像中の前記切り出し位置の画像を当該時刻の表示画像とすることを特徴とする画像表示方法。
【請求項4】
請求項1記載の画像表示方法において、
前記表示画像の中心は、当該時刻の撮影画像の中における当該時刻の直前の表示画像と類似した画像領域の中心と、当該時刻の撮影画像の中心にある該画像表示サイズの画像の中心からなる線分上に位置し、
当該時刻の撮影画像の中における当該時刻の直前の表示画像と類似した画像領域の中心からの距離は、予め設定した閾値以下に制限することを特徴とする画像表示方法。
【請求項5】
移動体に搭載した撮影手段と、該撮影手段での撮影画像から予め設定した画像表示サイズの画像を切出す画像表示制御手段と、該画像表示制御手段により切出した画像を表示する画像表示手段とを有する画像表示装置であって、
表示画像を、当該時刻の撮影画像の中において、当該時刻の直前の表示画像と類似した画像領域と、当該時刻の撮影画像の中心にある該画像表示サイズの画像、との間に位置する画像として算出する画像表示処理手段を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
三次元に泳動可能な駆動機構と水中において構造物を視認できる撮影手段を有する検査用ビークルと、前記撮影手段での撮影画像から予め設定した画像表示サイズの画像を切出す画像表示制御手段と、前記画像表示制御手段により切出した画像を表示する画像表示手段とを有する水中検査装置であって、
前記画像表示処理手段は、当該時刻の撮影画像の中において、当該時刻の直前の表示画像と類似した画像領域と、当該時刻の撮影画像の中心にある該画像表示サイズの画像との間に位置する画像として算出することを特徴とする水中検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−66963(P2010−66963A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232066(P2008−232066)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】