説明

画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラム

【課題】動被写体領域も静止被写体領域の双方について効果的なノイズ低減を実行する装置および方法を提供する。
【解決手段】複数の連続撮影画像のブレンド処理を実行する重ね合わせ処理部は、画像の動被写体領域を検出し、画像領域単位の動被写体情報に基づいて、静止被写体領域において高いブレンド比率とし、動被写体領域において低いブレンド比率とした複数画像のブレンド処理を実行して重ね合わせ画像を生成し、さらに重ね合わせ画像に対して、動被写体情報に基づいて、動被写体領域においてより強いノイズリダクション処理を実行する。ノイズリダクション処理においては、例えば動被写体領域においてより高いノイズ低減効果を奏する前記動被写体情報に依存した係数を持つローパスフィルタを適用した画素値更新処理を実行する。これらの処理により動被写体領域、静止被写体領域の双方においてノイズリダクションのなされた画像を生成することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムに関する。特に、画像のノイズ低減や解像度を高める処理を行う画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像のノイズ低減処理(NR:Noise Reduction)、あるいは低解像度の画像から高解像度の画像を生成する例えば超解像処理(SR:Super Resolution)と呼ばれる高解像化処理などの画像処理を実行する場合、例えば同じ被写体を含む連続撮影された複数枚の画像を適用した処理が行われる。なお、複数の画像を利用したノイズ低減等の画像処理技術を開示した従来技術としては、例えば、特許文献1(特開2009−194700)、あるいは特許文献2(特開2009−290827号公報)等がある。
【0003】
特許文献1(特開2009−194700)には、複数枚の画像を画像間の動き情報を参考に重ね合わせることでノイズ低減を図る撮像装置について開示している。特に、加算枚数が少ない部分に残留するノイズを除去する方法について開示している。具体的には、加算の程度に応じてノイズ除去フィルタ特性を変えた処理を行っている。画素毎に加算された枚数を記憶しておき、加算終了後にその枚数に応じたコアリング設定をおこなって、高周波の色ノイズを除去するよう構成されているが、画素ごとに加算枚数の記録を行う記憶領域が必要であるのと、加算枚数に応じたコアリング設定を用意する必要があるために、加算枚数・画素数が増えた場合にそれに応じて記憶領域・回路規模が増加してしまう問題があった。また、このような加算終了後のノイズ除去処理では、低周波の色ノイズの除去を行う場合に大きなタップのフィルタ処理を必要とするなど、回路規模上の問題がある。
【0004】
ノイズ低減処理、あるいは高解像化処理を行う場合、より多くの画像を利用することで、効果的なノイズ低減や高解像化が実現されることが知られている。従って、高品質の画像を生成する装置には、多くの枚数の画像を格納するメモリが必要となる。
【0005】
しかし、画像格納メモリを画像処理装置に多数、備えることはハードウェアの大型化やコスト高を招くことになる。従って、小型化や低コストの要請が大きい撮像装置に、このような多数のメモリを備えるのは難しいという問題がある。
【0006】
また、画像内に動く被写体、すなわち動被写体領域がある場合、複数の画像の重ね合わせを行ってもノイズの低減効果は少なく、かえってノイズを増加させてしまう場合があるといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−194700号公報
【特許文献2】特開2009−290827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡略化したハードウェア構成を用いて、複数の画像を利用した重ね併せ処理によるノイズ低減あるいは高解像化処理を実現可能とした画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【0009】
また、本開示の一実施例では、動被写体と推定される領域については例えばLPF(ローパスフィルタ)を適用したノイズ低減処理を実行する構成としてして、動被写体領域においてもノイズの少ない画像を生成可能とした画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1の側面は、
複数の連続撮影画像のブレンド処理を実行する重ね合わせ処理部を有し、
前記重ね合わせ処理部は、
画像の動被写体領域を検出し、画像領域単位の動被写体情報を生成する動被写体検出部と、
前記動被写体情報に基づいて、静止被写体領域において高いブレンド比率とし、動被写体領域において低いブレンド比率とした複数画像のブレンド処理を実行して重ね合わせ画像を生成するブレンド処理部と、
前記重ね合わせ画像に対して、前記動被写体情報に基づいて、動被写体領域においてより強い画素値平滑化処理を実行するノイズリダクション処理部と、
を有する画像処理装置にある。
【0011】
さらに、本開示の画像処理装置の一実施態様において、前記ノイズリダクション処理部は、ローパスフィルタを適用した画素値更新処理を実行する。
【0012】
さらに、本開示の画像処理装置の一実施態様において、前記ノイズリダクション処理部は、動被写体領域においてより高いノイズ低減効果を奏する前記動被写体情報に依存した係数を持つローパスフィルタを適用した画素値更新処理を実行する。
【0013】
さらに、本開示の画像処理装置の一実施態様において、前記重ね合わせ処理部は、連続撮影された複数の画像のグローバル動きベクトル(GMV)を算出するGMV算出部と、前記グローバル動きベクトル(GMV)に従って、参照画像の被写体位置を基準画像の位置に合わせた動き補償画像を生成する位置合わせ処理部を有し、前記動被写体検出部は、前記位置合わせ処理部の位置合わせ結果として得られる動き補償画像と基準画像との対応画素の画素差分に基づいて動被写体情報を取得し、前記ブレンド処理部は、前記基準画像と動き補償画像とを前記動被写体情報に基づくブレンド比率に基づいてブレンドして重ね合わせ画像を生成する。
【0014】
さらに、本開示の画像処理装置の一実施態様において、前記動被写体検出部は、前記位置合わせ処理部の位置合わせ結果として得られる動き補償画像と基準画像との対応画素の画素差分に基づいて動被写体情報を示すα値を画素単位の動被写体情報として算出し、前記ブレンド処理部は、前記α値の値に応じて動被写体である可能性の高い画素については前記動き補償画像のブレンド比率を低くし、動被写体である可能性の低い画素については前記動き補償画像のブレンド比率を高く設定したブレンド処理を実行する。
【0015】
さらに、本開示の画像処理装置の一実施態様において、前記重ね合わせ処理部は、処理対象画像の高解像化処理を実行する高解像度化処理部を有し、前記ブレンド処理部は、前記高解像度化処理部において高解像度化された画像の重ね合わせを実行する。
【0016】
さらに、本開示の画像処理装置の一実施態様において、前記画像処理装置は、前記GMV算出部がRAW画像に基づいて算出した画像のグローバル動きベクトル(GMV)を格納するGMV記録部を有し、前記重ね合わせ処理部がフルカラー画像を処理対象とした重ね合わせ処理を実行する際に前記GMV記録部に格納されたグローバル動きベクトル(GMV)を利用して処理を行う。
【0017】
さらに、本開示の画像処理装置の一実施態様において、前記重ね合わせ処理部は、処理対象画像としてRAW画像、またはフルカラー画像の輝度信号情報を選択的に入力して重ね合わせ処理を行う構成であり、2つの画像フレームを格納するメモリに格納するデータを順次更新して任意枚数の画像重ね合わせを可能とした処理を行う。
【0018】
さらに、本開示の画像処理装置の一実施態様において、前記重ね合わせ処理部は、前記メモリの一部に、重ね合わせ処理後の画像を上書き格納し、該メモリに格納した重ね合わせ処理画像を次回以降の重ね合わせ処理に使用する処理を行う。
【0019】
さらに、本開示の画像処理装置の一実施態様において、前記重ね合わせ処理部は、RAW画像を処理対象とする場合は前記メモリにRAW画像の各画素対応の画素値データを格納し、RAW画像の各画素対応の画素値データに基づく重ね合わせ処理を実行し、フルカラー画像を処理対象とする場合は前記メモリに各画素対応の輝度信号値データを格納し、フルカラー画像の各画素対応の輝度値データに基づく重ね合わせ処理を実行する。
【0020】
さらに、本開示の第2の側面は、
画像処理装置において実行する画像処理方法であり、
重ね合わせ処理部が、複数の連続撮影画像のブレンド処理を実行する重ね合わせ処理ステップを実行し、
前記重ね合わせ処理ステップは、
画像の動被写体領域を検出し、画像領域単位の動被写体情報を生成する動被写体検出処理と、
前記動被写体情報に基づいて、静止被写体領域において高いブレンド比率とし、動被写体領域において低いブレンド比率とした複数画像のブレンド処理を実行して重ね合わせ画像を生成するブレンド処理と、
前記重ね合わせ画像に対して、前記動被写体情報に基づいて、動被写体領域においてより強い画素値平滑化処理を実行するノイズリダクション処理を実行する画像処理方法にある。
【0021】
さらに、本開示の第3の側面は、
画像処理装置において画像処理を実行させるプログラムであり、
重ね合わせ処理部に、複数の連続撮影画像のブレンド処理を実行する重ね合わせ処理ステップを実行させ、
前記重ね合わせ処理ステップにおいて、
画像の動被写体領域を検出し、画像領域単位の動被写体情報を生成する動被写体検出処理と、
前記動被写体情報に基づいて、静止被写体領域において高いブレンド比率とし、動被写体領域において低いブレンド比率とした複数画像のブレンド処理を実行して重ね合わせ画像を生成するブレンド処理と、
前記重ね合わせ画像に対して、前記動被写体情報に基づいて、動被写体領域においてより強い画素値平滑化処理を実行するノイズリダクション処理を実行させるプログラムにある。
【0022】
なお、本開示のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な情報処理装置やコンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体によって提供可能なプログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、情報処理装置やコンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
【0023】
本開示のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本開示の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【発明の効果】
【0024】
本開示の一実施例の構成によれば、動被写体領域と静止被写体領域の双方について効果的なノイズ低減を実行する装置および方法が実現される。
具体的には、複数の連続撮影画像のブレンド処理を実行する重ね合わせ処理部を有する。重ね合わせ処理部は、画像の動被写体領域を検出し、画像領域単位の動被写体情報を生成し、動被写体情報に基づいて、静止被写体領域において高いブレンド比率とし、動被写体領域において低いブレンド比率とした複数画像のブレンド処理を実行して重ね合わせ画像を生成し、さらに重ね合わせ画像に対して、動被写体情報に基づいて、動被写体領域においてより強いノイズリダクション処理を実行する。ノイズリダクション処理においては、例えば動被写体領域においてより高いノイズ低減効果を奏する前記動被写体情報に依存した係数を持つローパスフィルタを適用した画素値更新処理を実行する。
これらの処理により動被写体領域、静止被写体領域の双方においてノイズリダクションのなされた画像を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本開示の画像処理装置の一例である撮像装置100の構成例を示す図である。
【図2】ベイヤー配列について説明する図である。
【図3】重ね合わせ処理部a105の実行する処理について説明するフローチャートを示す図である。
【図4】ノイズリダクション処理部の適用するフィルタの構成例について説明する図である。
【図5】重ね合わせ処理部a108の実行する処理について説明するフローチャートを示す図である。
【図6】固体撮像素子からの入力画像(RAW画像)に対する画像重ね合わせ(ブレンド)処理を実行する重ね合わせ処理部の構成と処理について説明する図である。
【図7】図6に示す重ね合わせ処理部が、RAW画像の重ね合わせ処理を実行する場合の処理のタイミングチャートを示す図である。
【図8】図6に示す重ね合わせ処理部が、RAW画像の重ね合わせ処理を実行する場合の状態遷移を示す図である。
【図9】図6に示す重ね合わせ処理部が、RAW画像の重ね合わせ処理を実行する場合の状態遷移を示す図である。
【図10】図6に示す重ね合わせ処理部が、RAW画像の重ね合わせ処理を実行する場合の状態遷移を示す図である。
【図11】記録再生部からの出力画像に対する画像重ね合わせ(ブレンド)処理を実行する重ね合わせ処理部の構成と処理について説明する図である。
【図12】図11に示す重ね合わせ処理部が、フルカラー画像の重ね合わせ処理を実行する場合の処理のタイミングチャートを示す図である。
【図13】図11に示す重ね合わせ処理部が、フルカラー画像の重ね合わせ処理を実行する場合の状態遷移を示す図である。
【図14】高解像度化処理部を備えた重ね合わせ処理部の構成と処理について説明する図である。
【図15】GMV記録部を備えた画像処理装置の構成について説明する図である。
【図16】本開示の画像処理装置のハードウェア構成例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本開示の画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムの詳細について説明する。なお、説明は以下の項目に従って行う。
1.RAW画像とフルカラー画像の重ね合わせ処理を同一回路で実行する実施例
(1−1)撮影時のRAW画像に対する処理
(1−2)再生時のフルカラー画像に対する処理
2.重ね合わせ処理に利用するハードウェア構成例について
(2−1)固体撮像素子からの入力画像(RAW画像)に対する処理例
(2−2)記録再生部からの入力画像(YUV画像)に対する処理例
3.その他の実施例
(3−1)高解像度化処理部を設定した実施例
(3−2)RAW画像の重ね合わせ処理時に算出したGMVをフルカラー画像の重ね合わせ処理に際して利用する実施例
4.画像処理装置のハードウェア構成例について
5.本開示の構成のまとめ
【0027】
[1.RAW画像とフルカラー画像の重ね合わせ処理を同一回路で実行する実施例]
まず、本開示の画像処理装置の第1実施例として、RAW画像とフルカラー画像の重ね合わせ処理を同一回路で実行する実施例について説明する。
なお、本開示の画像処理装置は、たとえば撮像装置、あるいはPC等において実現されるが。以下では、本開示に従った画像処理を撮像装置において実行する場合の処理例について説明する。
図1は、本開示の画像処理装置の一例である撮像装置100の構成例を示している。撮像装置100は、画像撮影時に、撮影されるRAW画像、すなわちモザイク画像を入力して、ノイズ低減あるいは高解像化を実現するための画像重ね合わせ処理を行う。
このRAW画像に対する重ね合わせ処理を実行するのが図1に示す撮像装置100の重ね合わせ処理部a105である。
【0028】
また、本開示の画像処理装置の一例である撮像装置100は、RAW画像に基づいて生成されたフルカラー画像に対して、ノイズ低減あるいは高解像化を実現するための画像重ね合わせ処理を行う。
このフルカラー画像に対する重ね合わせ処理を実行するのが図1に示す撮像装置100の重ね合わせ処理部b108である。
【0029】
なお、重ね合わせ処理部a105と、重ね合わせ処理部b108は、図1においては、別ブロックとして示しているが、これらは共通のハードウェアを利用した回路構成として設定される。具体的な回路構成については後段で説明する。
【0030】
以下では、まず、
(1−1)撮影時のRAW画像に対する処理
(1−2)再生時のフルカラー画像に対する処理
これらの処理について順次説明する。
【0031】
(1−1)撮影時のRAW画像に対する処理
まず、図1を参照して、本開示の画像処理装置の一例である撮像装置において、撮像時にN+1枚のRAW画像を重ね合わせる処理について説明する。Nは1以上の整数である。なお、RAW画像に対する重ね合わせ処理は、静止画、動画いずれに対しても可能であるが、以下の実施例では、静止画に対する処理例について説明する。
【0032】
図1は、本開示の画像処理装置の一構成例としての撮像装置100の構成を示している。シャッタ等のユーザ入力部100の操作により、撮像を開始したタイミングで、固体撮像素子103は、レンズ(光学系)102から入射された光学像を2次元の電気信号(以下、画像データ)に変換する。なお。固体撮像素子103は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal OxideSemiconductor)である。
【0033】
単板方式固体撮像素子の場合は、出力は例えば図2に示すベイヤー配列のRAW画像となる。すなわち、カラーフィルタの構成に応じたRGBのいずれかの信号のみが、各画素の信号として生成される。この画像は例えばモザイク画像と呼ばれ、このモザイク画像を利用して、全ての画素にRGBの全画素値を設定する補間処理によってフルカラー画像が生成される。なお、この画素値補間処理は、例えばデモザイク処理と呼ばれる。
【0034】
前述したように、ノイズ低減処理、あるいは高解像化処理を行う場合、同じ被写体を含むより多くの画像を利用することで、効果的なノイズ低減や高解像化が実現されることが知られている。たとえば、これらのノイズ低減や高解像化のための画像処理に、例えばN+1枚の画像を利用する場合は、N+1枚の画像を連続撮影して、N+1枚のRAW画像を撮影し、N+1枚のRAW画像を適用した処理、あるいはN+1枚のRAW画像を適用して生成したN+1枚のフルカラー画像を適用した処理を行う。
【0035】
プリ処理部104では、撮影画像に含まれる例えば縦筋、横筋補正などイメージセンサの欠陥を補正する処理が行われる。プリ処理部104から出力された画像は、重ね合わせ処理部a105に入力され、N+1枚の画像の重ね合わせ処理を行う。ポスト処理部106では、RAW画像からフルカラー画像に変換する色補間処理(デモザイク処理)や、ホワイトバランス、色再現性を高めるリニアマトリクス、視認性を向上する輪郭強調処理などが行われ、JPEGなどの圧縮コーデックでエンコード後、記録再生部(SDメモリなど)107に保存される。
【0036】
重ね合わせ処理部a105の実行する処理について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
ステップS101において、N枚の画像の重ね合わせ処理を開始する。
なお、以下では、撮像装置が連続撮影したN+1枚の画像のうち、位置合わせの基準となる画像データを基準フレームと呼ぶ。基準フレームは、例えばシャッタが押下された直後に撮像された1枚の画像フレームを使用する。その後のN枚の画像フレームが参照フレームとなる。
N+1枚の画像のうち、重ね合わせ処理に使用されるフレームを参照フレームと呼ぶ。
【0037】
ステップS102ではグローバル動きベクトル(GMV)算出処理を実行する。このGMV算出処理は、基準フレームと参照フレームを入力とし、2枚のフレーム間の大域的(画像全体)な動きベクトル(Global Motion Vector)を算出する処理である。例えばカメラの動きに相当する動きベクトルを求める。
【0038】
次のステップS103では、位置合わせ処理を実行する。この位置合わせ処理は、基準フレームと、グローバル動きベクトル(GMV)を求めた1枚の参照フレームを読み出し、GMV算出処理において求められたGMVを用いて、参照フレームを基準フレームに位置合わせする処理である。この処理、すなわちGMVに基づいて参照フレームを基準フレームに位置合わせして生成した画像を動き補償画像とよぶ。
【0039】
ステップS104では、動被写体検出処理を実行する。この処理は、基準フレームと基準フレームに位置合わせされた参照フレーム画像(動き補償画像)間の差分をとり、動被写体を検出する処理である。
【0040】
基準フレームと、基準フレームに位置合わせされた参照フレームは、被写体がすべて静止していれば、ステップS103における位置合わせによって2つの画像の対応画素位置には同じ被写体の同一部分が撮影されていることになり、2つの画像の画素値差分はほぼ0となる。しかし、例えば被写体が車や人などの動被写体が含まれる場合は、これ等の動被写体の画素部分は、画像全体の動きベクトルである前述のGMVとは異なる動きを持つ。従ってGMVに基づいて位置合わせを行っても、2つの画像に含まれる動被写体を含む対応画素位置には同じ被写体の同一部分が位置しないことになり、2つの画像の画素値差分は大きくなる。
【0041】
ステップS104では、このように、基準フレームと、基準フレームに位置合わせされた参照フレーム対応画素の差分を取得して動被写体検出処理を実行する。検出結果は、各画素単位の動き検出情報:α値(0<=α<=1,0:動きあり判定、1:静止(動きなし)判定)として出力する。
【0042】
ステップS105では、ステップS104において算出した各画素単位の動き検出情報:α値に基づいて、基準フレームと、GMVに基づく位置合わせ後の参照フレーム画像(動き補償画像)の重ね合わせ(ブレンド)を実行して、重ね合わせフレーム(ブレンド画像)を生成する。
【0043】
1枚の初期的な基準画像に対して、N枚の参照画像の重ね合わせを実行する場合は、ステップS102〜S106の処理をN回繰り返す。ステップS106において生成した重ね合わせフレームであるブレンド画像は、次の重ね合わせ処理の基準フレームとして利用される。
【0044】
ステップS105における基準フレームと、GMVに基づく位置合わせ後の参照フレーム画像(動き補償画像)の重ね合わせ(ブレンド)処理の詳細について説明する。
N回目の重ね合わせ処理時の基準フレーム(N−1回重ね合わせ処理がされたフレーム)および参照フレーム(N+1枚目のフレーム)の注目画素の画素値を、
基準フレーム:mltN−1
参照フレーム:frmN+1
と表す。なお、(N−1),(N+1)等のインデックスが大きいほど時間的に後に撮像されたことを意味する。
また、注目画素の動被写体検出結果をαとする。
以上のデータを用いたN回目の重ね合わせ処理時のブレンド式(式1)を以下に示す。
【0045】
【数1】

・・・(式1)
【0046】
上記式(式1)に従って、基準画像と、位置合わせ参照画像(動き補償画像)の対応画素の画素値をブレンドして重ね合わせフレーム(ブレンド画像)を生成する。
【0047】
ブレンド処理は、このように、N+1枚の静止画を処理対象としてN回の重ね合わせ処理を実行する場合、N回目の重ね合わせ処理を、
N−1回目の重ね合わせ処理画像mltN−1と、
N+1枚目の重ね合わせ未処理画像frmN+1を適用して上記式に従って実行する。
【0048】
各画素単位の動き検出情報:α値が大きい場合、すなわち静止被写体と推定される画素位置では、位置合わせ参照画像(動き補償画像)のブレンド比率が大きく設定されるが、各画素単位の動き検出情報:α値が小さい場合、すなわち動被写体と推定される画素位置では、位置合わせ参照画像(動き補償画像)のブレンド比率が小さく設定される。このようにして画素単位の動き情報に応じたブレンド処理が行われる。
【0049】
ステップS105において、上記のブレンド処理が行われた後に、ステップS106において、さらにノイズリダクション処理を行う。
ステップS106の処理は、N=2以上の場合に、以下の式(式2)に従って実行する画素値の平滑化を伴う画素値更新処理である。
先のステップS105におけるブレンド処理において算出したブレンド画像の画素値:mltの画像を以下の式(式2)に従って更新する。
mlt=LPF(α)※mlt
・・・(式2)
【0050】
ただし、上記式(式2)において、
※は、(LPF(α))で定義された2次元データと、mltという2次元画像との畳み込み演算(コンボルーション)を意味している。
αは、各画素単位の動き検出情報:α値(0<=α<=1,0:動きあり判定、1:静止(動きなし)判定)である。
LPF(α)は、αが大きい値になればなるほど、より低域成分のみを通すローパスフィルタのフィルタ係数であり、αが小さい値のときは、ほぼ全周波数帯域(即ち、高域成分も含めて)を通すフィルタ係数である。ローパスフィルタの具体的な数値例は、例えば図4に示す3×3個の2次元データからなるローパスフィルタである。
【0051】
図4に示すローパスフィルタは3×3画素に対応するローパスフィルタである。例えば処理画像の画像領域から更新画素を中心とした3×3画素を選択して、選択された3×3=9画素に対して、図4に示す9個のフィルタ係数を、それぞれ乗算して、加算した結果を更新画素値とするフィルタである。
【0052】
図4に示すように、係数は、動き検出情報:αに依存して設定される。すなわち、LPF(α)は、αが大きい値になればなるほど、より低域成分のみを通すローパスフィルタのフィルタ係数であり、αが小さい値のときは、ほぼ全周波数帯域(即ち、高域成分も含めて)を通すフィルタ係数である。
【0053】
すなわち、α値が大きい場合、すなわち静止被写体と推定される画素位置では、LPF処理後の更新値は、中心画素の画素値依存度が高くなり、LPFを適用した変化率は小さくなる。
一方、α値が大きい場合、すなわち動被写体と推定される画素位置では、周囲画素の依存度が高くなり、LPFを適用した変化率が大きく表れる。すなわち画素値が平滑化される。
結果として、動被写体領域に対するノイズ低減効果がより大きくなる。
【0054】
なお、N=1のときは、mltの更新は行わない。各画素単位の動き検出情報:α値が大きい場合、すなわち静止被写体と推定される画素位置では、ローパスフィルタの通過帯域は全周波数帯域となり、実質、画像の更新は行われないので、鮮明な画像のままとなる。一方、各画素単位の動き検出情報:α値が小さい場合、すなわち動被写体と推定される画素位置では、ローパスフィルタの通過帯域は低周波数成分のみに限定され、画像をスムーズにする処理が行われる。
【0055】
ステップS105におけるブレンド処理は、静止被写体領域では重ね合わせによるノイズリダクション効果が十分な効果として現れるが、動被写体領域では重ね合わせによるノイズリダクション効果が少ない。
しかし、このステップS106の処理を行うことで、ブレンド処理にて重ね合わせが行われなかった部分、例えば動被写体領域についてLPFによるノイズリダクションが行われ、結果として、α値によらず、すべての画素について、ノイズリダクションが行われることになる。
【0056】
すなわち、静止被写体領域についてはステップS105における画像重ね合わせによるノイズリダクションの効果が発揮され、一方、動被写体領域については、ステップS106におけるローパスフィルタ等を適用したノイズリダクション効果が発揮されることになる。
結果として、静止被写体領域、動被写体領域のいずれの領域においてもノイズ低減効果が発揮されることになる。
【0057】
(1−2)再生時のフルカラー画像に対する処理
続いて、フルカラー画像に対する処理例について説明する。この処理は、例えば図1に示す撮像装置100の表示部109に画像を表示する場合に実行される。なお、フルカラー画像に対する重ね合わせ処理は、静止画、動画いずれに対しても可能であるが、以下の実施例では、動画に対する処理例について説明する。
【0058】
図1に示す撮像装置100のポスト処理部106では、RAW画像からフルカラー画像に変換する色補間処理(デモザイク処理)や、ホワイトバランス、色再現性を高めるリニアマトリクス、視認性を向上する輪郭強調処理などが行われ、JPEGなどの圧縮コーデックでエンコード(動画コーデック(H.264、MPEG−2など))後、記録再生部(SDメモリなど)107に保存される。
【0059】
表示部109には、例えば記録再生部(SDメモリなど)107に格納済みのフルカラー画像に対応するサムネイル画像の一覧が表示される。ユーザによりあるサムネイル画像の選択、再生指示が入力されると、記録再生部107において選択されたサムネイルに対応する画像のデコードが行われる。デコードされた画像は例えば、RGB等のフルカラー画像フォーマットや、輝度、色差のYUV画像フォーマットを持つ画像データとなる。デコードされた画像は重ね合わせ処理部b108に入力される。
【0060】
重ね合わせ処理部b108では、フルカラー画像等のデコード画像を入力してノイズ低減や高解像化のための画像重ね合わせ処理を実行する。この重ね合わせ処理の結果が表示部109に送られ、表示される。
【0061】
重ね合わせ処理部b108の実行する処理の手順について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下に説明する処理例は動画の再生処理例として説明する、動画再生は一定の時間間隔で撮影された静止画を連続表示することで行われる。動画処理の再生時重ね合わせの場合は、例えば基準フレームとしては記録再生部107から入力する最も新しいフレームを基準フレームとし、基準フレームの前のフレームを参照フレームとする。
【0062】
記録再生部107からの入力画像がフルカラーフォーマット(RGB)で入力された時は、ステップS201において、RGB→YUV変換処理が実行され、輝度、色差信号に変換される。一方、YUVフォーマットで入力された時はステップS201のRGB→YUV変換処理は省略される。
【0063】
ステップS202では。グローバル動きベクトル(GMV)算出処理を実行する。このGMV算出処理は、基準フレームと参照フレームを入力とし、2枚のフレーム間の大域的(画像全体)な動きベクトル(Global Motion Vector)を算出する処理である。例えばカメラの動きに相当する動きベクトルを求める。
【0064】
次のステップS203では、位置合わせ処理を実行する。この位置合わせ処理は、基準フレームと、グローバル動きベクトル(GMV)を求めた1枚の参照フレームを読み出し、GMV算出処理において求められたGMVを用いて、参照フレームを基準フレームに位置合わせする処理である。この処理、すなわちGMVに基づいて参照フレームを基準フレームに位置合わせして生成した画像を動き補償画像とよぶ。
【0065】
ステップS204では、動被写体検出処理を実行する。この処理は、基準フレームと基準フレームに位置合わせされた参照フレーム画像(動き補償画像)間の差分をとり、動被写体を検出する処理である。検出結果は、各画素単位の動き検出情報:α値(0<=α<=1,0:動きあり判定、1:静止(動きなし)判定)として出力する。
【0066】
ステップS205では、ステップS204において算出した各画素単位の動き検出情報:α値に基づいて、基準フレームと、GMVに基づく位置合わせ後の参照フレーム画像(動き補償画像)をブレンドして、重ね合わせフレーム(ブレンド画像)を生成する。
【0067】
ステップS205におけるαブレンド処理(重ね合わせ処理)は、動被写体検出部から得られたα値に応じて、基準フレーム(N+1枚目のフレームfrmN+1)と参照フレーム(N−1回目の重ね合わせフレームmltN−1)をブレンドする。αブレンド処理(重ね合わせ処理)に際しては、YUVフォーマットの輝度(Y)信号に対してのみ重ね合わせ処理を行う。N回目の重ね合わせ処理の式(式3)を以下に示す。
【0068】
【数2】

・・・・(式3)
【0069】
上記式(式3)に従って、基準画像と、位置合わせ参照画像(動き補償画像)の対応画素の画素値をブレンドして重ね合わせフレーム(ブレンド画像)を生成する。
【0070】
ブレンド処理は、このように、N+1枚の動画を処理対象としてN回の重ね合わせ処理を実行する場合、N回目の重ね合わせ処理を、
N−1回目の重ね合わせ処理画像mltN−1と、
N+1枚目の重ね合わせ未処理画像frmN+1を適用して上記式に従って実行する。
【0071】
各画素単位の動き検出情報:α値が大きい場合、すなわち静止被写体と推定される画素位置では、位置合わせ参照画像(動き補償画像)のブレンド比率が大きく設定されるが、各画素単位の動き検出情報:α値が小さい場合、すなわち動被写体と推定される画素位置では、位置合わせ参照画像(動き補償画像)のブレンド比率が小さく設定される。このようにして画素単位の動き情報に応じたブレンド処理が行われる。
【0072】
ステップS205において、上記のブレンド処理が行われた後に、ステップS206において、さらにノイズリダクション処理を行う。
ステップS206の処理は、N=2以上の場合に、以下の式(式4)に従って実行する画素値の平滑化を伴う画素値更新処理である。
先のステップS205におけるブレンド処理において算出したブレンド画像の画素値:mltの画像を以下の式(式4)に従って更新する。
mlt=LPF(α)※mlt
・・・(式4)
【0073】
ただし、上記式(式4)において、
※は、(LPF(α))で定義された2次元データと、mltという2次元画像との畳み込み演算(コンボルーション)を意味している。
αは、各画素単位の動き検出情報:α値(0<=α<=1,0:動きあり判定、1:静止(動きなし)判定)である。
なお、上記式(式4)は先に図3のフローのステップS106の処理において説明した式(式2)と同様の式である。
【0074】
LPF(α)は、αが大きい値になればなるほど、より低域成分のみを通すローパスフィルタのフィルタ係数であり、αが小さい値のときは、ほぼ全周波数帯域(即ち、高域成分も含めて)を通すフィルタ係数である。ローパスフィルタの具体的な数値例は、例えば図4に示す3×3個の2次元データである。
【0075】
なお、N=1のときは、mltの更新は行わない。各画素単位の動き検出情報:α値が大きい場合、すなわち静止被写体と推定される画素位置では、ローパスフィルタの通過帯域は全周波数帯域となり、実質、画像の更新は行われないので、鮮明な画像のままとなる。一方、各画素単位の動き検出情報:α値が小さい場合、すなわち動被写体と推定される画素位置では、ローパスフィルタの通過帯域は低周波数成分のみに限定され、画像をスムーズにする処理が行われる。
【0076】
ステップS205におけるブレンド処理は、静止被写体領域では重ね合わせによるノイズリダクション効果が十分な効果として現れるが、動被写体領域では重ね合わせによるノイズリダクション効果が少ない。
しかし、このステップS206の処理を行うことで、ブレンド処理にて重ね合わせが行われなかった部分、例えば動被写体領域についてLPFによるノイズリダクションが行われ、結果として、α値によらず、すべての画素について、ノイズリダクションが行われることになる。
【0077】
すなわち、静止被写体領域についてはステップS205における画像重ね合わせによるノイズリダクションの効果が発揮され、一方、動被写体領域については、ステップS206におけるローパスフィルタ等を適用した画素値平滑化によるノイズリダクション効果が発揮されることになる。
結果として、静止被写体領域、動被写体領域のいずれの領域においてもノイズ低減効果が発揮されることになる。
【0078】
ステップS206の処理によって生成される重ね合わせフレームは次の重ね合わせ処理の参照フレームとなる。次フレームである最新フレームを基準フレームとして新たな重ね合わせ処理が行われる。
【0079】
最後に、ステップS207において、重ね合わせ処理が施された輝度信号(Y)と、RGB→YUV変換部より出力された色差信号(UV)に対してYUV→RGB変換処理を実行してフルカラーフォーマットに変換し、フルカラー画像を表示部109において表示する。
【0080】
上述した処理例は、
(1−1)撮影時のRAW画像に対する処理
(1−2)再生時のフルカラー画像に対する処理
これらの処理例であるが、再生時のフルカラー画像に対する処理に際しては、例えば、RGB→YUV変換し、YUVフォーマットの輝度(Y)信号に対してのみ重ね合わせ処理を行う。
このような処理を行うことで、重ね合わせ処理を実行する各画素単位の信号は、
(1−1)撮影時のRAW画像に対する処理の場合は、RAW画像の構成画素に設定された信号(例えばRGBのいずれかの信号)となる。
(1−2)再生時のフルカラー画像に対する処理の場合は、フルカラー画像を構成する各画素各々について、YUVフォーマットの輝度(Y)信号のみとなる。
【0081】
すなわち、RAW画像に対する重ね合わせ処理、フルカラー画像に対する重ね合わせ処理もいずれの場合も画像の構成画素各々について1つの信号値を用いて処理を行うことが可能となる。
この結果、RAW画像に対する重ね合わせ処理を実行する重ね合わせ処理部a105と、フルカラー画像に対する重ね合わせ処理を実行する重ね合わせ処理部b108は入力信号をRAW画像の各画素値とするか、フルカラー画像の各画素の輝度値(Y)とするかのみを異ならせることで、重ね合わせ処理の実行回路としては同一のものを利用することが可能となる。
【0082】
この構成により、RAW画像、フルカラー画像の2つの異なる画像データに対して1つの重ね合わせ処理回路を利用した処理が実現される。
【0083】
また、本実施例においては、動被写体が投影された為に、重ね合わせ効果によるノイズリダクション効果が期待できない画素については、空間的LPFにより、ノイズリダクションを行うことで、動被写体の有無にかかわらず、全ての画素について、ノイズのない画像を出力することが出来る。
【0084】
なお、先に従来技術として説明した特許文献1(特開2009−194700)では、重ねる枚数をカウントしておき、最後に、その枚数に依存してノイズリダクションの強弱を可変にしている。この従来技術では、重ねる枚数が少ないところは、ノイズリダクションの強めの効果をかけなくてはいけない。強めのノイズリダクションは、LPFのフィルタのタップ数(フィルタの大きさ)を大きくする必要があり、これは、回路規模や演算量の増大になってしまっていた。
【0085】
一方、本開示によれば、ノイズリダクション処理部2060でのLPFのフィルタのタップ数は少なくてよい。なぜなら、重ねる枚数が少ない場合には、画像が入力される毎に、ノイズリダクション処理部2060での処理が行わることになるからである。換言すれば、タップ数の少ないフィルタを複数回処理することになり、結果として、タップ数の多いフィルタ処理をしたことになるからである。このように、本開示の構成では、回路規模や演算量は少なくて済む。
【0086】
なお、処理対象画像は、動画、静止画のいずれでもよい。上述の例では、静止画のRAW画像と、動画のフルカラー画像に対する処理例を説明したが、動画のRAW画像や、静止画のフルカラー画像に対しても1つの共通回路を用いた重ね合わせ処理が可能となる。具体的な回路構成については、次の項目で説明する。
【0087】
[2.重ね合わせ処理に利用するハードウェア構成例について]
次に、重ね合わせ処理に利用するハードウェア構成例について説明する。
以下では、
(2−1)固体撮像素子からの入力画像(RAW画像)に対する処理例
(2−2)記録再生部からの入力画像(フルカラー画像(YUV画像))に対する処理例
これら2つの処理例について順次説明する。
なお、以下のハードウェアの説明では、RAW画像に対する処理とフルカラー画像に対する処理が1つの共通する回路構成で実現されることとともに、本開示の構成のもう一つの特徴である、重ね合わせ処理において必要となるメモリ容量の削減処理についても説明する。
【0088】
(2−1)固体撮像素子からの入力画像(RAW画像)に対する処理例
まず、図6〜図10を参照して固体撮像素子からの入力画像(RAW画像)に対する画像重ね合わせ(ブレンド)処理の処理例について説明する。
【0089】
図6は、図1に示す重ね合わせ処理部a105と重ね合わせ処理部b108として利用される共通の具体的回路構成である。
【0090】
図6に示すグローバル動きベクトル(GMV)算出部203は、図3に示すフローのステップS102の処理や、図5に示すフローのステップS202の処理を実行する。
図6に示す位置合わせ処理部204は、図3に示すフローのステップS103の処理や、図5に示すフローのステップS203の処理を実行する。
図6に示す動被写体検出部205は、図3に示すフローのステップS104の処理や、図5に示すフローのステップS204の処理を実行する。
図6に示すブレンド処理部206は、図3に示すフローのステップS105の処理や、図5に示すフローのステップS205の処理を実行する。
図6に示すノイズリダクション処理部207は、図3に示すフローのステップS106の処理や、図5に示すフローのステップS206の処理を実行する。
【0091】
図6に示す重ね合わせ処理部200が図1に示す重ね合わせ処理部a105として機能する場合、固体撮像素子201(=図1の固体撮像素子103)からRAW画像を入力してRAW画像の重ね合わせ処理を実行する。
一方、図1に示す重ね合わせ処理部b108として機能する場合、記録再生部202(=図1の記録再生部107)からYUV画像の輝度信号(Y)を入力してフルカラー画像の重ね合わせ処理を実行する。
【0092】
図6中のフレームメモリa211、メモリb212はそれぞれ、
、固体撮像素子201(=図1の固体撮像素子103)の出力するRAW画像、または、
記録再生部202(=図1の記録再生部107)の出力するフルカラー画像を保存しておくメモリである。
【0093】
以下では、まず、図1に示す重ね合わせ処理部a105、すなわち、図3に示すフローチャートを参照して説明した処理を実行する場合の処理例について説明する。
図6に示す重ね合わせ処理部が、RAW画像の重ね合わせ処理を実行する場合の処理のタイミングチャートを図7に示す。
【0094】
図7は左から右に、時間経過、時間T0,T1,T2・・・を示している。
また、上から、以下の(1)〜(6)の各処理を示している。
(1)固体撮像素子201からメモリa211,メモリb212に対するRAW画像の書き込み(Write)処理、
(2)グローバル動きベクトル(GMV)算出部203に対する固体撮像素子201からの画像の入力処理、
(3)グローバル動きベクトル(GMV)算出部203によるメモリa211からの画像の読み取り(Read)処理、
(4)位置合わせ処理部204、動被写体検出部205、ブレンド処理部206、ノイズリダクション処理部207によるメモリa211からの画像読み取り(Read)処理、
(5)位置合わせ処理部204、動被写体検出部205、ブレンド処理部206、ノイズリダクション処理部207によるメモリb212からの画像読み取り(Read)処理、
(6)ブレンド処理部206、ノイズリダクション処理部207によるメモリa211に対する画像書き込み(Write)処理、
【0095】
なお、メモリa211,メモリb212に対して書き込まれる画像信号はRAW画像、またはRAW画像に基づいて生成される重ね合わせ画像であり、1つの画素に対してRGBいずれか1つの画素値である。すなわち1画素について1つの信号値のみが格納される。
【0096】
図7に示すfrm1、frm2、frm3・・・は、重ね合わせ処理において利用される重ね合わせ処理前の画像フレーム(RAW画像)を示し、mlt1、mlt2、mlt3、・・・は重ね合わせ処理のなされた画像フレームを示している。
【0097】
画像フレーム(frm1)と、画像フレーム(frm2)によって生成される最初の重ね合わせフレームが画像フレーム(mlt1)である。
これは、図7に示すタイミングチャートのT1〜T2の(4)と(5)に示す画像フレーム(frm1)と、画像フレーム(frm2)によって、(6)に示す最初の重ね合わせ画像フレーム(mlt1)が生成される処理に対応する。
【0098】
次の、タイミングT2〜T3では、図7に示すタイミングチャートのT2〜T3の(4)と(5)に示す最初の重ね合わせ画像フレーム(mlt1)と、画像フレーム(frm3)によって、(6)に示す2番目の重ね合わせ画像フレーム(mlt2)が生成される。
【0099】
このようにして、時間経過に伴い、直前で生成された重ね合わせ画像フレーム(mltn)と最新の入力画像(frmn+2)とを利用して、新たな重ね合わせ画像フレーム(mltn+1)が順次、生成され、更新されることになる。例えばN+1枚の画像を利用してN回の重ね合わせを実行する場合には、N回の重ね合わせ処理の後に生成される重ね合わせ画像フレーム(mltN)を生成して1単位の処理が終了する。
【0100】
以下、図6に示す重ね合わせ処理部200(=図1の重ね合わせ処理部a105=重ね合わせ処理部b108)において実行するRAW画像に対する重ね合わせ処理の処理シーケンスについて、図7のタイミングチャートと、図8〜図10の各タイミングにおける状態図を参照して説明する。
【0101】
シャッタが押下されるなどして、撮像を開始したタイミングT0〜T1(図7参照)では、図6に示す固体撮像素子201から出力された画像データ(frm1)がフレームメモリa211に書き込まれる。
このタイミングT0〜T1の状態を示したのが図8である。
【0102】
続いてタイミングT1では、2枚目の画像データ(frm2)が固体撮像素子201より送信され、今度はフレームメモリb212に書き込まれると同時にGMV算出部203に入力される。同時に、1枚目の画像データ(frm1)がフレームメモリa211よりGMV算出部203に入力され、GMV算出部203において1枚目の画像データ(frm1)と2枚目の画像データ(frm2)との2フレーム間のグローバル動きベクトル(GMV)が求められる。
このタイミングT1〜T2の状態を示したのが図9である。
【0103】
タイミングT2では、位置合わせ部204にフレームメモリb212から2枚目の画像データ(frm2)が入力される。
さらに、GMV算出部203が算出したGMV、すなわち、タイミングT1〜T2で求められた1枚目の画像データ(frm1)と2枚目の画像データ(frm2)間のGMVが入力されて、この入力GMVに基づいて2枚目の画像データ(frm2)を、1枚目の画像データ(frm1)の被写体位置に合わせる位置合わせ処理が行われる。すなわち動き補償画像の生成がなされる。
【0104】
なお、本処理例は、静止画に対する重ね合わせ処理例である。静止画の場合は、先行画像を基準画像として後続画像を参照画像とし、後続の参照画像を先行する基準画像の位置に合わせる位置合わせを行う。
【0105】
位置合わせされた2枚目の画像データ(frm2)は、1枚目の画像データ(frm1)と共に動被写体検出部205とブレンド処理部206に入力される。
【0106】
動被写体検出部205は、1枚目の画像データ(frm1)と位置合わせされた2枚目の画像データ(frm2)との対応位置の画素値比較を実行して差分に応じた画素単位の動き検出情報:α値(0<=α<=1,0:動きあり判定、1:静止(動きなし)判定)を生成してブレンド処理部206に出力する。
【0107】
ブレンド処理部206は、動被写体検出部205において求められた画素単位の動き検出情報:α値(0<=α<=1)を用いて、1枚目の画像データ(frm1)と位置合わせされた2枚目の画像データ(frm2)とのブレンド処理を実行して重ね合わせフレームの生成を行う。
先に説明した式(式1)に従って、基準画像と、位置合わせ参照画像(動き補償画像)の対応画素の画素値をブレンドして重ね合わせフレーム(ブレンド画像)を生成する。
【0108】
1枚目の画像データ(frm1)と位置合わせされた2枚目の画像データ(frm2)とのブレンド処理によって生成される1枚目のブレンド画像である重ね合わせフレーム(mlt1)が生成される。
【0109】
さらに、ノイズリダクション処理部207におけるノイズリダクション処理が実行される。すなわち、上記のブレンド処理が行われた後に、先に図3のフローにおいて説明したステップS106のノイズリダクション処理が実行される。
N=2以上の場合に、先に説明した式(式2)に従って画素値更新処理が行われる。すなわち、例えば図4に示すような係数を持つローパスフィルタによるノイズ提言処理が実行される。このLPFを適用した処理は、各画素単位の動き検出情報:α値が小さい場合、すなわち動被写体と推定される画素位置でローパスフィルタの通過帯域が低周波数成分のみに限定され、画像をスムーズにする効果が発揮されることになる。
このノイズリダクション処理部207の処理画像は、フレームメモリa211に上書きされる。
このタイミングT2〜T3の状態を示したのが図10である。
【0110】
図6〜図10を参照して説明した処理から理解されるように、図6に示す重ね合わせ処理部200を利用した重ね合わせ処理においては、2つの画像を格納する2つのメモリ、すなわちメモリa211、メモリb212を利用しているのみで、任意枚数、例えばN枚の画像の重ね合わせ処理を実現している。
【0111】
このように、本実施例では、重ね合わせ枚数によらず、フレームメモリに保存される最大の枚数はフレームメモリa,b分の2枚となる。本実施例ではフレームメモリ容量を節約しつつ、N+1枚全てをフレームメモリに保存する場合と同等の効果が得られる。
【0112】
(2−2)記録再生部からの入力画像(フルカラー画像(YUV画像))に対する処理例
続いて、記録再生部からの入力画像(フルカラー画像(YUV画像))に対する処理例について図11〜図13を参照して説明する。
【0113】
図11は、先に図6を参照して説明した回路とほぼ同様の回路であり、図1に示す重ね合わせ処理部a105と重ね合わせ処理部b108として利用される共通の回路構成である。ただし、重ね合わせ処理部b108として利用する場合、結線部251の接続構成を変更し、さらに入力を記録再生部202からの入力構成に変更している。これらはこれらの結線部251や記録再生部202の接続部に設定したスイッチの切り替え等によって実現される。
【0114】
以下では、図1に示す重ね合わせ処理部b108において実行する処理、すなわち、図5に示すフローチャートを参照して説明した処理を実行する場合の処理例について説明する。
図11の重ね合わせ処理部が、フルカラー画像に基づいて生成されるYUV画像の輝度信号(Y)を適用して重ね合わせ処理を実行する場合の処理のタイミングチャートを図12に示す。
【0115】
図12は、図7と同様のタイミングチャートであり、左から右に、時間経過、時間T0,T1,T2・・・を示している。
また、上から、以下の(1)〜(6)の各処理を示している。
(1)記録再生部202からメモリa211,メモリb212に対するYUV画像中の輝度信号(Y)の書き込み(Write)処理、
(2)グローバル動きベクトル(GMV)算出部203に対する記録再生部202からのYUV画像中の輝度信号(Y)の入力処理、
(3)グローバル動きベクトル(GMV)算出部203によるメモリa211からの画像信号(輝度信号(Y))の読み取り(Read)処理、
(4)位置合わせ処理部204、動被写体検出部205、ブレンド処理部206、ノイズリダクション処理部207によるメモリa211からの画像信号(輝度信号(Y))読み取り(Read)処理、
(5)位置合わせ処理部204、動被写体検出部205、ブレンド処理部206、ノイズリダクション処理部207によるメモリb212からの画像信号(輝度信号(Y))読み取り(Read)処理、
(6)ブレンド処理部206、ノイズリダクション処理部207によるメモリa211に対する画像信号(輝度信号(Y))書き込み(Write)処理、
【0116】
なお、メモリa211,メモリb212に対して書き込まれる画像信号はYUV画像中の輝度信号(Y)画像、またはYUV画像中の輝度信号(Y)画像に基づいて生成される重ね合わせ画像であり、1つの画素に対して輝度信号(Y)1つの画素値である。すなわち1画素について1つの信号値のみが格納される。
【0117】
図12に示すfrm1、frm2、frm3・・・は、重ね合わせ処理において利用される重ね合わせ処理前の画像フレームを示し、mlt1、mlt2、mlt3、・・・は重ね合わせ処理のなされた画像フレームを示している。
【0118】
画像フレーム(frm1)と、画像フレーム(frm2)によって生成される最初の重ね合わせフレームが画像フレーム(mlt1)である。
これは、図12に示すタイミングチャートのT1〜T2の(4)と(5)に示す画像フレーム(frm1)と、画像フレーム(frm2)によって、(6)に示す最初の重ね合わせ画像フレーム(mlt1)が生成される処理に対応する。
【0119】
次の、タイミングT2〜T3では、図12に示すタイミングチャートのT2〜T3の(4)と(5)に示す最初の重ね合わせ画像フレーム(mlt1)と、画像フレーム(frm3)によって、(6)に示す2番目の重ね合わせ画像フレーム(mlt2)が生成される。
【0120】
このようにして、時間経過に伴い、直前で生成された重ね合わせ画像フレーム(mltn)と最新の入力画像(frmn+2)とを利用して、新たな重ね合わせ画像フレーム(mltn+1)が順次、生成され、更新されることになる。例えばN+1枚の画像を利用してN回の重ね合わせを実行する場合には、N回の重ね合わせ処理の後に生成される重ね合わせ画像フレーム(mltN)を生成して1単位の処理が終了する。
【0121】
以下、図11に示す重ね合わせ処理部200(=図1の重ね合わせ処理部b108=重ね合わせ処理部b105)において実行するYUV画像に対する重ね合わせ処理の処理シーケンスについて、図12のタイミングチャートを参照して説明する。
【0122】
先に図6〜図10を参照して説明したRAW画像に対する処理と異なる部分を中心として説明する。
この処理では、図11、図12に示すように、重ね合わせ処理部200に対する入力は固体撮像素子201ではなく、記録再生部202から行われる。
【0123】
例えばユーザ選択によって選択された再生対象画像が記録再生部107においてメモリから選択取得され、重ね合わせ処理部200に対して出力される。なお。記録再生部107は必要に応じてRGBフォーマットからからYUVフォーマットへのフォーマット変換が実行され、生成された輝度信号(Y)がメモリa211、メモリb212に供給されて処理を開始する。
【0124】
タイミングT0〜T1(図12参照)では、図11に示す記録再生部202から出力された画像データ(frm1)がフレームメモリa211に書き込まれる。なお、本例では、フレームメモリa211,フレームメモリb212へは輝度信号(Y)の書き込みが行われる。
このタイミングT0〜T1の状態は、先に説明した図8において、記録再生部202からデータが出力される点が異なるものとなる。
【0125】
続いてタイミングT1では、2枚目の画像データ(frm2)が記録再生部202から出力され、今度はフレームメモリb212に書き込まれると同時にGMV算出部203に入力される。同時に、1枚目の画像データ(frm1)がフレームメモリa211よりGMV算出部203に入力され、GMV算出部203において1枚目の画像データ(frm1)と2枚目の画像データ(frm2)との2フレーム間のグローバル動きベクトル(GMV)が求められる。
このタイミングT1〜T2の状態は、先に説明した図9において、記録再生部202からデータが出力される点が異なるものとなる。
【0126】
タイミングT2では、位置合わせ部204にフレームメモリa211から1枚目の画像データ(frm1)が入力され、T1〜T2で求められた1枚目の画像データ(frm1)と2枚目の画像データ(frm2)間のGMVが入力されて、この入力GMVに基づいて1枚目の画像データ(frm1)を、2枚目の画像データ(frm2)の被写体位置に合わせる位置合わせ処理が行われる。すなわち動き補償画像の生成がなされる。
【0127】
なお、本処理例は、動画に対する重ね合わせ処理例である。動画の場合は、後続画像を基準画像として先行画像を参照画像とし、先行の参照画像を後続の基準画像の位置に合わせる位置合わせを行う。
【0128】
位置合わせされた1枚目の画像データ(frm1)は、2枚目の画像データ(frm2)と共に動被写体検出部205とブレンド処理部206に入力される。
【0129】
動被写体検出部205は、位置合わせされた1枚目の画像データ(frm1)と2枚目の画像データ(frm2)との対応位置の画素値比較を実行して差分に応じた画素単位の動き検出情報:α値(0<=α<=1,0:動きあり判定、1:静止(動きなし)判定)を生成してブレンド処理部206に出力する。
【0130】
ブレンド処理部206は、動被写体検出部205において求められた画素単位の動き検出情報:α値(0<=α<=1)を用いて、位置合わせのなされた1枚目の画像データ(frm1)と2枚目の画像データ(frm2)とのブレンド処理を実行して重ね合わせフレームの生成を行う。
先に説明した式(式3)に従って、基準画像と、位置合わせ参照画像(動き補償画像)の対応画素の画素値をブレンドして重ね合わせフレーム(ブレンド画像)を生成する。
【0131】
位置合わせのなされた1枚目の画像データ(frm1)と2枚目の画像データ(frm2)とのブレンド処理によって生成される1枚目のブレンド画像である重ね合わせフレーム(mlt1)が生成される。
【0132】
さらに、ノイズリダクション処理部207におけるノイズリダクション処理が実行される。すなわち、上記のブレンド処理が行われた後に、先に図3のフローにおいて説明したステップS106のノイズリダクション処理が実行される。
N=2以上の場合に、先に説明した式(式4)に従って画素値更新処理が行われる。すなわち、例えば図4に示すような係数を持つローパスフィルタによるノイズ提言処理が実行される。このLPFを適用した処理は、各画素単位の動き検出情報:α値が小さい場合、すなわち動被写体と推定される画素位置でローパスフィルタの通過帯域が低周波数成分のみに限定され、画像をスムーズにする効果が発揮されることになる。
このノイズリダクション処理部207の処理画像は、フレームメモリa211に上書きされ、かつ表示部109に出力される。
このタイミングT2〜T3の状態を示したのが図13である。
【0133】
図6〜図10を参照して説明したRAW画像に対する重ね合わせ処理、さらに、図11〜図13を参照して説明したフルカラー画像に対する重ね合わせ処理から理解されるように、図6、図11に示す共通の重ね合わせ処理部200を利用してRAW画像に対する重ね合わせ処理と、フルカラー画像に対する重ね合わせ処理が実行される。
【0134】
さらに、これ等の異なる画像に対する重ね合わせ処理においては、2つの画像を格納する2つのメモリ、すなわちメモリa211、メモリb212を利用しているのみで、任意枚数、例えばN枚の画像の重ね合わせ処理が実現される。
【0135】
[3.その他の実施例]
次にその他の実施例について説明する。
(3−1)高解像度化処理部を設定した実施例
まず、図14を参照して重ね合わせ処理部に高解像度化処理部を設定した実施例について説明する。
【0136】
図14に示す重ね合わせ処理部300は、先に図6、図11を参照して説明した重ね合わせ処理部200に高解像度化処理部301、画像サイズ調整部302,303を追加した構成である。図1に示す重ね合わせ処理部a105と重ね合わせ処理部b108として利用される共通の回路構成である。ただし、静止画に対する重ね合わせ処理部a105として利用する場合、結線部351の接続構成を、図6を参照して説明したと同様に設定(図14の結線部351の点線)する。また、動画に対する重ね合わせ処理部b108として利用する場合、結線部351の接続構成を図11を参照して説明したと同様に設定(図14の結線部351の実線)する。
【0137】
さらに入力画像についても、静止画に対する重ね合わせ処理部a105として利用する場合、固体撮像素子201からの入力設定とし、動画に対する重ね合わせ処理部b108として利用する場合、記録再生部202からの入力構成に変更する。これらはこれらの結線部351や、固体撮像素子201と記録再生部202の接続部に設定したスイッチの切り替え等によって実現される。
【0138】
高解像度化処理部301は、解像度変換を行う。アップサンプル部11では、例えば1画素を4画素に設定する等の処理等の拡大画像の生成手法を適用して解像度変換を行う。
【0139】
画像サイズ調整部302は、メモリa211からの入力画像を、GMV算出部203でのGMV算出対象となる記録再生部202からの入力画像のサイズに合わせる処理を行う。これは、高解像度化処理部301における高解像度化に際して、画像の拡大が行われる場合があり、この拡大された画像をGMV算出部203でのGMV算出対象となる記録再生部202からの入力画像のサイズに合わせるための処理である。
【0140】
画像サイズ調整部303も、その後の処理で実行される画像の位置合わせ等のために2つの画像のサイズを調整する処理を行う。
【0141】
本実施例で実行するシーケンスは、以下のようになる。
RAW画像に対する処理では、先に図3を参照して説明したフローチャートに従った処理を基本処理とし、ステップS103とステップS104の間に高解像度化処理を実行する。さらに、各ステップの前段に必要に応じて画像サイズ調整処理を実行する設定となる。
【0142】
また、フルカラー画像に対する処理では、先に図5を参照して説明したフローチャートに従った処理を基本処理とし、ステップS203とステップS204の間に高解像度化処理を実行する。さらに、各ステップの前段に必要に応じて画像サイズ調整処理を実行する設定となる。
【0143】
本実施例では、入力フレームを高解像度化後に重ね合わせ処理を行う。これにより、拡大によって生ずる、エッジ部のジャギー(ぎざぎざ)を低減することができる。なお、GMV算出部203で得られたGMVは高解像度画像の動き量に変換して使用する。
また、本実施例の変形として、高解像度化によるぼけを補償するため、入力フレームにラプラシアンフィルタなどのHPFをかける構成としてもよい。
【0144】
(3−2)RAW画像の重ね合わせ処理時に算出したGMVをフルカラー画像の重ね合わせ処理に際して利用する実施例
次に、RAW画像の重ね合わせ処理時に算出したGMVをフルカラー画像の重ね合わせ処理に際して利用する実施例について説明する。
【0145】
先に説明した実施例では、RAW画像の重ね合わせ処理においてもGMVの算出を逐次実行しており、さらにフルカラー画像の重ね合わせ処理においてもGMVの算出処理を逐次、実行する構成としていた。
【0146】
しかし、フルカラー画像はRAW画像から生成したものであり、GMVの算出対象となる2つの画像のペアがおなじであればRAW画像から算出したGMVもフルカラー画像から算出したGMVも同じになるはずである。従って、例えば撮影の際にRAW画像の重ね合わせ処理において算出したGMVを各画像に対応づけたデータとしてメモリに記録しておけば、フルカラー画像の重ね合わせ処理に際して、このGMVデータを取得することが可能となり、新たにGMVを算出する処理を行う必要がなくなり処理が簡略化され高速化することがてきる。
【0147】
この処理を実行する画像処理装置の構成例を図15に示す。
図15は、本開示の画像処理装置の一例である撮像装置500の構成例を示している。撮像装置500は、先に説明した図1に示す画像処理装置100と同様、画像撮影時に、撮影されるRAW画像、およびRAW画像に基づいて生成されたフルカラー画像に対して、ノイズ低減あるいは高解像化を実現するための画像重ね合わせ処理を行う。
【0148】
RAW画像に対する重ね合わせ処理を実行するのが図15に示す撮像装置500の重ね合わせ処理部a105である。フルカラー画像に対する重ね合わせ処理を実行するのが図15に示す撮像装置500の重ね合わせ処理部b108である。これらは2つのブロックとして示してあるが、先に説明したように共通の回路を利用して構成される。
【0149】
図1を参照して説明した画像処理装置100との差異は、図15に示す画像処理装置500は、GMV記録部501を有する点である。
【0150】
GMV記録部501は、重ね合わせ処理部a105において実行するRAW画像の重ね合わせ処理時に算出したGMVを記録する記憶部(メモリ)である。フルカラー画像に対する重ね合わせ処理を実行する重ね合わせ処理部b108は、GMV算出を実行せず、GMV記録部501に記録されたGMVを利用する。
【0151】
GMV記録部501には、GMVのデータが、GMV算出のなされた2つの画像フレーム識別子情報に対応づけて格納される。フルカラー画像に対する重ね合わせ処理を実行する重ね合わせ処理部b108は、GMV算出対象となる画像のペアの識別子に基づいてGMV記録部501に記録されたGMVを選択して利用する。
【0152】
この実施例によれば、フルカラー画像の重ね合わせ処理に際して、このGMVデータを取得することが可能となり、新たにGMVを算出する処理を行う必要がなくなり処理が簡略化され高速化することがてきる。また、コーデック前の画像を使うことで、GMVの精度を向上させることができるというメリットもある。
【0153】
[4.画像処理装置のハードウェア構成例について]
最後に、図16を参照して、上述した処理を実行する画像処理装置の1つのハードウェア構成例について説明する。CPU(Central Processing Unit)901は、ROM(Read Only Memory)902、または記憶部908に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。例えば、上述の各実施例において説明した画像重ね合わせ(ブレンド)処理やLPF(ローパスフィルタ)によるによるノイズ低減や高解像化のための画像処理を実行する。RAM(Random Access Memory)903には、CPU901が実行するプログラムやデータなどが適宜記憶される。これらのCPU901、ROM902、およびRAM903は、バス904により相互に接続されている。
【0154】
CPU901はバス904を介して入出力インタフェース905に接続され、入出力インタフェース905には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部906、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部907が接続されている。CPU901は、入力部906から入力される指令に対応して各種の処理を実行し、処理結果を例えば出力部907に出力する。
【0155】
入出力インタフェース905に接続されている記憶部908は、例えばハードディスクからなり、CPU901が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部909は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介して外部の装置と通信する。
【0156】
入出力インタフェース905に接続されているドライブ910は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア911を駆動し、記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記憶部908に転送され記憶される。
【0157】
[5.本開示の構成のまとめ]
以上、特定の実施例を参照しながら、本開示の実施例について詳解してきた。しかしながら、本開示の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本開示の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0158】
なお、本明細書において開示した技術は、以下のような構成をとることができる。
(1)複数の連続撮影画像のブレンド処理を実行する重ね合わせ処理部を有し、
前記重ね合わせ処理部は、
画像の動被写体領域を検出し、画像領域単位の動被写体情報を生成する動被写体検出部と、
前記動被写体情報に基づいて、静止被写体領域において高いブレンド比率とし、動被写体領域において低いブレンド比率とした複数画像のブレンド処理を実行して重ね合わせ画像を生成するブレンド処理部と、
前記重ね合わせ画像に対して、前記動被写体情報に基づいて、動被写体領域においてより強い画素値平滑化処理を実行するノイズリダクション処理部と、
を有する画像処理装置。
【0159】
(2)前記ノイズリダクション処理部は、ローパスフィルタを適用した画素値更新処理を実行する前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)前記ノイズリダクション処理部は、動被写体領域においてより高いノイズ低減効果を奏する前記動被写体情報に依存した係数を持つローパスフィルタを適用した画素値更新処理を実行する前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(4)前記重ね合わせ処理部は、連続撮影された複数の画像のグローバル動きベクトル(GMV)を算出するGMV算出部と、前記グローバル動きベクトル(GMV)に従って、参照画像の被写体位置を基準画像の位置に合わせた動き補償画像を生成する位置合わせ処理部を有し、前記動被写体検出部は、前記位置合わせ処理部の位置合わせ結果として得られる動き補償画像と基準画像との対応画素の画素差分に基づいて動被写体情報を取得し、前記ブレンド処理部は、前記基準画像と動き補償画像とを前記動被写体情報に基づくブレンド比率に基づいてブレンドして重ね合わせ画像を生成する前記(1)〜(3)いずれかに記載の画像処理装置。
【0160】
(5)前記動被写体検出部は、前記位置合わせ処理部の位置合わせ結果として得られる動き補償画像と基準画像との対応画素の画素差分に基づいて動被写体情報を示すα値を画素単位の動被写体情報として算出し、前記ブレンド処理部は、前記α値の値に応じて動被写体である可能性の高い画素については前記動き補償画像のブレンド比率を低くし、動被写体である可能性の低い画素については前記動き補償画像のブレンド比率を高く設定したブレンド処理を実行する前記(4)に記載の画像処理装置。
【0161】
(6)前記重ね合わせ処理部は、処理対象画像の高解像化処理を実行する高解像度化処理部を有し、前記ブレンド処理部は、前記高解像度化処理部において高解像度化された画像の重ね合わせを実行する前記(4)または(5)に記載の画像処理装置。
(7)前記画像処理装置は、前記GMV算出部がRAW画像に基づいて算出した画像のグローバル動きベクトル(GMV)を格納するGMV記録部を有し、前記重ね合わせ処理部がフルカラー画像を処理対象とした重ね合わせ処理を実行する際に前記GMV記録部に格納されたグローバル動きベクトル(GMV)を利用して処理を行う前記(4)〜(6)いずれかに記載の画像処理装置。
【0162】
(8)前記重ね合わせ処理部は、処理対象画像としてRAW画像、またはフルカラー画像の輝度信号情報を選択的に入力して重ね合わせ処理を行う構成であり、2つの画像フレームを格納するメモリに格納するデータを順次更新して任意枚数の画像重ね合わせを可能とした処理を行う前記(1)〜(7)いずれかに記載の画像処理装置。
(9)前記重ね合わせ処理部は、前記メモリの一部に、重ね合わせ処理後の画像を上書き格納し、該メモリに格納した重ね合わせ処理画像を次回以降の重ね合わせ処理に使用する処理を行う前記(8)に記載の画像処理装置。
(10)前記重ね合わせ処理部は、RAW画像を処理対象とする場合は前記メモリにRAW画像の各画素対応の画素値データを格納し、RAW画像の各画素対応の画素値データに基づく重ね合わせ処理を実行し、フルカラー画像を処理対象とする場合は前記メモリに各画素対応の輝度信号値データを格納し、フルカラー画像の各画素対応の輝度値データに基づく重ね合わせ処理を実行する前記(8)または(9)に記載の画像処理装置。
【0163】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0164】
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【産業上の利用可能性】
【0165】
以上、説明したように、本開示の一実施例の構成によれば、動被写体領域と静止被写体領域の双方について効果的なノイズ低減を実行する装置および方法が実現される。
具体的には、複数の連続撮影画像のブレンド処理を実行する重ね合わせ処理部を有する。重ね合わせ処理部は、画像の動被写体領域を検出し、画像領域単位の動被写体情報を生成し、動被写体情報に基づいて、静止被写体領域において高いブレンド比率とし、動被写体領域において低いブレンド比率とした複数画像のブレンド処理を実行して重ね合わせ画像を生成し、さらに重ね合わせ画像に対して、動被写体情報に基づいて、動被写体領域においてより強いノイズリダクション処理を実行する。ノイズリダクション処理においては、例えば動被写体領域においてより高いノイズ低減効果を奏する前記動被写体情報に依存した係数を持つローパスフィルタを適用した画素値更新処理を実行する。
これらの処理により動被写体領域、静止被写体領域の双方においてノイズリダクションのなされた画像を生成することが可能となる。
【符号の説明】
【0166】
100 画像処理装置
101 ユーザ入力部
102 レンズ
103 固体撮像素子
104 プリ処理部
105 重ね合わせ処理部a
106 ポスト処理部
107 記録再生部
108 重ね合わせ処理部b
109 表示部
200 重ね合わせ処理部
201 固体撮像素子
202 記録再生部
203 GMV算出部
204 位置合わせ処理部
205 動被写体検出部
206 ブレンド処理部
207 ノイズリダクション処理部
211,212 メモリ
300 重ね合わせ処理部
301 高解像度化処理部
302,303 画像サイズ調整部
500 画像処理装置
501 GMV記録部
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 バス
905 入出力インタフェース
906 入力部
907 出力部
908 記憶部
909 通信部
910 ドライブ
911 リムーバブルメディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の連続撮影画像のブレンド処理を実行する重ね合わせ処理部を有し、
前記重ね合わせ処理部は、
画像の動被写体領域を検出し、画像領域単位の動被写体情報を生成する動被写体検出部と、
前記動被写体情報に基づいて、静止被写体領域において高いブレンド比率とし、動被写体領域において低いブレンド比率とした複数画像のブレンド処理を実行して重ね合わせ画像を生成するブレンド処理部と、
前記重ね合わせ画像に対して、前記動被写体情報に基づいて、動被写体領域においてより強い画素値平滑化処理を実行するノイズリダクション処理部と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記ノイズリダクション処理部は、ローパスフィルタを適用した画素値更新処理を実行する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ノイズリダクション処理部は、動被写体領域においてより高いノイズ低減効果を奏する前記動被写体情報に依存した係数を持つローパスフィルタを適用した画素値更新処理を実行する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記重ね合わせ処理部は、
連続撮影された複数の画像のグローバル動きベクトル(GMV)を算出するGMV算出部と、
前記グローバル動きベクトル(GMV)に従って、参照画像の被写体位置を基準画像の位置に合わせた動き補償画像を生成する位置合わせ処理部を有し、
前記動被写体検出部は、
前記位置合わせ処理部の位置合わせ結果として得られる動き補償画像と基準画像との対応画素の画素差分に基づいて動被写体情報を取得し、
前記ブレンド処理部は、
前記基準画像と動き補償画像とを前記動被写体情報に基づくブレンド比率に基づいてブレンドして重ね合わせ画像を生成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記動被写体検出部は、
前記位置合わせ処理部の位置合わせ結果として得られる動き補償画像と基準画像との対応画素の画素差分に基づいて動被写体情報を示すα値を画素単位の動被写体情報として算出し、
前記ブレンド処理部は、
前記α値の値に応じて動被写体である可能性の高い画素については前記動き補償画像のブレンド比率を低くし、動被写体である可能性の低い画素については前記動き補償画像のブレンド比率を高く設定したブレンド処理を実行する請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記重ね合わせ処理部は、
処理対象画像の高解像化処理を実行する高解像度化処理部を有し、
前記ブレンド処理部は、前記高解像度化処理部において高解像度化された画像の重ね合わせを実行する請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理装置は、
前記GMV算出部がRAW画像に基づいて算出した画像のグローバル動きベクトル(GMV)を格納するGMV記録部を有し、
前記重ね合わせ処理部がフルカラー画像を処理対象とした重ね合わせ処理を実行する際に前記GMV記録部に格納されたグローバル動きベクトル(GMV)を利用して処理を行う請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記重ね合わせ処理部は、
処理対象画像としてRAW画像、またはフルカラー画像の輝度信号情報を選択的に入力して重ね合わせ処理を行う構成であり、
2つの画像フレームを格納するメモリに格納するデータを順次更新して任意枚数の画像重ね合わせを可能とした処理を行う請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記重ね合わせ処理部は、
前記メモリの一部に、重ね合わせ処理後の画像を上書き格納し、該メモリに格納した重ね合わせ処理画像を次回以降の重ね合わせ処理に使用する処理を行う請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記重ね合わせ処理部は、
RAW画像を処理対象とする場合は前記メモリにRAW画像の各画素対応の画素値データを格納し、RAW画像の各画素対応の画素値データに基づく重ね合わせ処理を実行し、
フルカラー画像を処理対象とする場合は前記メモリに各画素対応の輝度信号値データを格納し、フルカラー画像の各画素対応の輝度値データに基づく重ね合わせ処理を実行する請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項11】
画像処理装置において実行する画像処理方法であり、
重ね合わせ処理部が、複数の連続撮影画像のブレンド処理を実行する重ね合わせ処理ステップを実行し、
前記重ね合わせ処理ステップは、
画像の動被写体領域を検出し、画像領域単位の動被写体情報を生成する動被写体検出処理と、
前記動被写体情報に基づいて、静止被写体領域において高いブレンド比率とし、動被写体領域において低いブレンド比率とした複数画像のブレンド処理を実行して重ね合わせ画像を生成するブレンド処理と、
前記重ね合わせ画像に対して、前記動被写体情報に基づいて、動被写体領域においてより強い画素値平滑化処理を実行するノイズリダクション処理を実行する画像処理方法。
【請求項12】
画像処理装置において画像処理を実行させるプログラムであり、
重ね合わせ処理部に、複数の連続撮影画像のブレンド処理を実行する重ね合わせ処理ステップを実行させ、
前記重ね合わせ処理ステップにおいて、
画像の動被写体領域を検出し、画像領域単位の動被写体情報を生成する動被写体検出処理と、
前記動被写体情報に基づいて、静止被写体領域において高いブレンド比率とし、動被写体領域において低いブレンド比率とした複数画像のブレンド処理を実行して重ね合わせ画像を生成するブレンド処理と、
前記重ね合わせ画像に対して、前記動被写体情報に基づいて、動被写体領域においてより強い画素値平滑化処理を実行するノイズリダクション処理を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−186593(P2012−186593A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47360(P2011−47360)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】