説明

画像処理装置、携帯情報端末装置、画像処理方法、及びプログラム

【課題】撮像素子の特性に合わせた画質補正と電子ズーム機能とを提供することができ、撮影画像の画質向上と消費電力の低減を両立する。
【解決手段】ライン遅延処理部302は、RGB形式の画像データをライン単位で遅延した画像データを出力する。水平遅延処理部303は、RGB形式の画像データをサンプリング周波数単位で遅延した画像データを出力する。水平フィルタ304〜307は、水平方向に4画素単位で演算処理を行い、垂直フィルタ308〜311は、垂直方向に4画素単位で演算処理を行う。演算処理部313は、水平フィルタ304〜307、及び垂直フィルタ308〜311からの画素を用いて、選択的に、位相補正、または拡大処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相補正を必要とする撮像素子などからの画像データを処理する画像処理装置、携帯情報端末装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の撮像装置における電子ズームでは、CCD等の撮像素子により撮像した画像の一部を切り出し、切り出した画像を拡大、または縮小することによってズーム倍率に応じた大きさの被写体画像を得ることが行われていた。この場合、切り出し処理や、拡大、または縮小処理が不可欠であり、撮像時における信号の処理負担が大きくなる。
【0003】
そこで、例えば、撮像素子から撮像信号を読み出すとき、同一のフィルタ色の複数画素の信号電荷を加算して読み出す「画素加算読出し」や、撮像素子から画素間引きをして信号電荷を読み出す「間引き読み出し」を行うことで、撮像信号として読み出す画像の画素数を削減することにより、撮像時における切り出し処理等に要する信号の処理負担を低減している。
【0004】
しかしながら、これら画素加算読出しや、間引き読み出しを行ったとしても、画像の画素数を削減することはできるものの、電子ズーム倍率に応じた所定領域の切り出し処理が不可欠であり、また、撮像素子から読み出す撮像信号には、切り出し処理に際して切り出される所定領域以外の画素の信号が含まれることとなり、撮像装置における信号処理負担低減は不十分であった。
【0005】
そこで、従来、電子ズームを行う場合における信号処理負担を大幅に削減するための技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。該特許文献1では、電子ズーム処理に際して、撮像素子を、撮像領域のうちの所定の選択領域における垂直方向及び/又は水平方向の所定の画素数分の信号電荷を加算した撮像信号を出力する選択領域加算モードで駆動する。
【0006】
このとき、撮像領域のサイズ、及び電子ズーム倍率に応じて選択領域の画像サイズを設定する。同時に、垂直・水平方向の信号電荷の画素加算数を、加算後の画像サイズが、スルー画像のサイズ等の必要な画像サイズ以上となるように制御するとともに、電子ズーム倍率が低倍率になるほど大きくし、かつ高倍率になるほど小さくするよう段階的に切り替える。
【0007】
これにより、低倍率で表示画角が広い時には、加算処理によって撮像信号のデータ量を、小さくするとともに、画素加算効果によって、撮像感度を上げ画質の劣化を補う。また、高倍率で画角が狭い時には、加算数を減らすことにより、高精細の解像度を優先させるとともに、画角(=選択領域)を狭くすることでデータ量を所定以下に抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−17090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年の携帯電話端末等のような携帯情報端末装置には、被写体像を電子的な画像データとして記録媒体に記録するデジタルスチルカメラ、及びデジタルカムコーダ(以降、双方をデジタルカメラとして説明する)機能を搭載した機種が普及している。該デジタルカメラで撮像する撮像素子の数は、年々増加しており、画像処理の負担が大きくなってきている。
【0010】
図6は、撮像素子からの読出し方式の1つの画素加算読出しの一例を示す概念図である。画素加算読出しは、図中(a)のベイヤ配列の撮像素子から、図中(b)に示すように垂直方向1画素おきに同色の色フィルタが配置された2画素の加算を行うと、画素加算読出しした信号の重心は、加算される2画素の中間に位置することとなる。
【0011】
したがって、重心位置に着目すると、各画素は垂直方向に均等ではなく、2ラインずつ接近した配置となってしまう。この信号を図中(c)に示すように均等な間隔で出力するため、画素加算読み出しした信号から、色差・輝度信号を生成すると、信号配置の偏りによって偽信号が生じ、エッジのがたつきや、画像のひずみといった悪影響が出てしまうという問題がある。
【0012】
領域選択読出しは、撮像素子から必要な領域の画素のみを切り出した後に、所望な表示領域に拡大縮小するため、画素加算読出しで生じる画像のひずみはないので、画質はよくなる利点がある。しかしながら、領域選択読出しは、撮像素子から読み出す画素数が増加するために、撮像素子の読出し速度を上げる必要があり、消費電力が増加する。また、ズーム倍率が高い撮影では、全撮像素子中の必要な領域の画素のみ読み出すため、広角な撮影はできない。また、撮像素子1つ当たりの受光量が1画素になるため、感度が低下し、暗所での撮影が厳しく困難になるといった課題もある。
【0013】
携帯機器に搭載される機能には、小型な筐体に収まること、かつ、低消費電力であることが望まれる。携帯機器は、バッテリ駆動になるため、長時間連続使用をできるように、大容量バッテリを使用することも考えられるが、小型な筐体に収めることができず、さらに筐体内が発熱するため、低消費電力で実現することが要求される。
【0014】
しかしながら、特許文献1に示す、ズーム倍率に応じて撮像素子の読出し方式を変換する場合、画素加算読出し時の重心ずれ(位相ずれ)によるエッジのがたつきや、画像のひずみの影響を補正する手段について記載が無いため、画質への影響がでてしまうという問題がある。
【0015】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、撮像素子の特性に合わせた画質補正と、電子ズーム機能とを提供することができ、撮影画像の画質向上と消費電力の低減を両立することができる画像処理装置、携帯情報端末装置、画像処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明は、位相情報にずれがある第1の画像データと、位相情報にずれがない第2の画像データのどちらか一方を入力し、画像処理を施す画像処理装置であって、前記第1の画像データ、または前記第2の画像データを保持し、それぞれの画像データの画素を、所定の順番で出力するバッファ手段と、入力データが前記第1の画像データであれば、前記バッファ手段から所定の順番で出力される前記第1の画像データの画素を用いて位相補正を行い、入力データが前記第2の画像データであれば、前記バッファ手段から所定の順番で出力される前記第2の画像データの画素を用いて拡大処理を行う演算処理手段とを備えることを特徴とした画像処理装置である。
【0017】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、撮像素子を備えた携帯情報端末装置であって、被写体の光学像を光電変換し電荷信号として出力する複数の撮像素子からなる撮像手段と、前記撮像手段からの読み出し方法を、前記撮像手段から垂直方向、及び/または水平方向に所定間隔で選択した複数の撮像素子から電荷信号を加算した撮像信号を出力する画素加算読み出し方式と、前記撮像手段の全撮像領域から垂直方向、及び/または水平方向の所定領域を選択し、画素数分の電荷信号を撮像信号として出力する領域選択読出し方式とを選択的に切り替え、前記画素加算読み出し方式、または前記領域選択読出し方式のいずれかで前記撮像手段から画像データを出力する撮像素子駆動制御手段と、前記撮像素子駆動制御手段から前記画素加算読み出し方式、または前記領域選択読出し方式のいずれかで出力される画像データを保持し、それぞれの画像データの画素を、所定の順番で出力するバッファ手段と、前記画素加算読み出し方式が選択された場合には、前記バッファ手段から所定の順番で出力される前記画像データの画素を用いて位相補正を行い、前記領域選択読出し方式が選択された場合には、前記バッファ手段から所定の順番で出力される前記画像データの画素を用いて拡大処理を行う演算処理手段とを備えることを特徴とした携帯情報端末装置である。
【0018】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、位相情報にずれがある第1の画像データと、位相情報にずれがない第2の画像データのどちらか一方を入力し、画像処理を施す画像処理方法であって、前記第1の画像データ、または前記第2の画像データを保持し、それぞれの画像データの画素を、所定の順番で出力するステップと、入力データが前記第1の画像データであれば、前記所定の順番で出力される前記第1の画像データの画素を用いて位相補正を行い、入力データが前記第2の画像データであれば、前記所定の順番で出力される前記第2の画像データの画素を用いて拡大処理を行う演算処理ステップとを含むことを特徴とした画像処理方法である。
【0019】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、位相情報にずれがある第1の画像データと、位相情報にずれがない第2の画像データのどちらか一方を入力し、画像処理を施す画像処理装置のコンピュータに、前記第1の画像データ、または前記第2の画像データを保持し、それぞれの画像データの画素を、所定の順番で出力するバッファ機能、入力データが前記第1の画像データであれば、前記所定の順番で出力される前記第1の画像データの画素を用いて位相補正を行い、入力データが前記第2の画像データであれば、前記所定の順番で出力される前記第2の画像データの画素を用いて拡大処理を行う演算処理機能を実行させることを特徴としたプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、撮像素子の特性に合わせた画質補正と電子ズーム機能とを提供することができ、撮影画像の画質向上と消費電力の低減を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態による画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本第1実施形態の画像処理装置3による画像データの位相ひずみ補正の動作を示す概念図である。
【図3】本第1実施形態による画像処理装置3を用いた画像データの拡大処理の動作を説明するための概念図である。
【図4】本第2実施形態による画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本第3実施形態による撮像素子付き携帯情報端末の構成を示すブロック図である。
【図6】撮像素子からの読出し方式の1つの画素加算読出しの一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
A.第1実施形態
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態による画像処理装置の構成を示すブロック図である。図において、入力端子301には、RGB形式の画像データが入力される。このとき、RGB形式の画像データとしては、画素加算読み出し方式(撮像部から垂直方向、及び/または水平方向に所定間隔で選択した複数の撮像素子から電荷信号を加算した撮像信号を出力する)、あるいは、領域選択読出し方式(撮像部の全撮像領域から垂直方向、及び/または水平方向の所定領域を選択し、画素数分の電荷信号を撮像信号として出力する)のいずれかの方式で読み出された画像データがある。ライン遅延処理部302は、例えば、メモリにより構成され、RGB形式の画像データをライン単位で遅延した画像データを出力する。水平遅延処理部303は、例えば、フリップフロップなどにより構成され、RGB形式の画像データをサンプリング周波数単位で遅延した画像データを出力する。
【0023】
水平フィルタ304、305、306、307は、例えば、水平方向に4画素単位で演算処理を行う構成とする。また、水平フィルタ304、305、306、307には、上記ライン遅延処理部302からライン単位で遅延された画素データが入力される。具体的な例として、水平フィルタ304には1ライン目、水平フィルタ305には2ライン目、水平フィルタ306には3ライン目、水平フィルタ307には4ライン目の画像データがサンプリング周波数単位で入力される。
【0024】
垂直フィルタ308、309、310、311は、例えば、垂直方向に4画素単位で演算処理を行う構成とする。また、垂直フィルタ308、309、310、311には、上記水平遅延処理部303から垂直方向に連続した4画素がサンプリング周波数単位で遅延され入力される。演算処理部313は、水平方向、及び垂直方向に処理された画像データの演算を行う。演算処理部313の演算方式(画素加算読み出し方式、または領域選択読出し方式)は、入力端子312からの入力に従って切替可能な構成とする。演算処理部313の演算結果は、出力端子314から出力される。
【0025】
図2(a)〜(c)は、本第1実施形態の画像処理装置3による画像データの位相ひずみ補正の動作を示す概念図である。図中(a)は、入力端子301に入力される画素加算したBayer(ベイヤ)形式の画像データの一例を示す図である。図中(a)の画素G12と画素R15との間の水平方向には、画素加算前には2画素のデータがあり、間引かれた状態となっている。また、画素G21と画素R51との間の垂直方向には、2ライン分の画素データがあったが、こちらも間引かれた状態となっている。この画素データが、R11→G12→R15→G16....,G21→B22→G25→B26....と入力される。
【0026】
ライン遅延処理部302は、ライン毎に画素データを格納し、
水平フィルタ304には、R11→G12→R15→G16....,
水平フィルタ305には、G21→B22→G25→B26....,
水平フィルタ306には、R51→G52→R55→G56....,
水平フィルタ307には、G61→B62→G65→B66....,
が供給される。
【0027】
また、ライン遅延処理部302の出力は、水平遅延処理部303に供給され、
垂直フィルタ308には、R11,G21,R51,G61
垂直フィルタ309には、G12,B22,G52,B62
垂直フィルタ310には、R15,G25,R55,G65
垂直フィルタ311には、G16,B26,G56,B66
が供給される。
【0028】
このフィルタ処理により、図中(b)に示すように、ライン間、及び画素間演算を可能としている。例えば、垂直フィルタ308でG01,B31,G41,B71を生成し、垂直フィルタ309でR02,G32,R42,G72を生成し、垂直フィルタ310でG05,B35,G45,B75を生成し、垂直フィルタ309でR06,G36,R46,G76を生成する。
【0029】
また、水平方向には、水平フィルタ304でG10,B13,G14,B17を生成し、水平フィルタ305でR20,G23,R24,G27を生成し、水平フィルタ306でG50,B53,G54,B57を生成し、水平フィルタ307でR60,G63,R64,G67を生成する。
【0030】
演算処理部313では、各フィルタの出力からR00,G03,R04,G07,G30,B33,G34,B37,R40,G43,R44,G47,G70,B73,G74,B77を演算する。このときの演算は、画素間の内挿補正としているが、外挿補正としてもよい。また、RGBそれぞれについて、例えば、輝度成分に置き換えた後に処理してもよい。
【0031】
図中(c)には、演算の結果求められた周辺画素データを下に、位相補正処理を施した例を示している。周辺画素から位相間隔を保つことが可能な組み合わせから(R’の場合には、R00,R02,R20,R22、G’の場合には、G03,G12,G14,G23)から新たに、R’、G’、B’を求めることにより、正しい位相に補正することができる。
【0032】
図3(a)、(b)は、本第1実施形態による画像処理装置3を用いた画像データの拡大処理の動作を説明するための概念図である。図中(a)には、入力端子301に入力されるRGB形式の画像データの一例として、R成分のみを示しており、G成分、及びB成分についても同様となるため説明を省略している。
【0033】
画素データは、水平方向、及び垂直方向にも間引かれておらず、
00→R01→R02→R03....,
10→R11→R12→R13....,
の順番で入力端子301に入力される。
【0034】
ライン遅延処理部302は、ライン毎に画素データを格納する。ライン遅延処理部302は、ライン毎に画素データを格納し、
水平フィルタ304には、R00→R01→R02→R03....,
水平フィルタ305には、R10→R11→R12→R13....,
が供給される。
【0035】
また、ライン遅延処理部302の出力は、水平遅延処理部303に供給され、垂直フィルタ308には、R00,R10、垂直フィルタ309には、R01,R11が供給される。この画素データをフィルタ処理により、図中(b)に示すように、ライン間、及び画素間演算を行う。例えば、垂直フィルタ308でR0.5_0を生成し、垂直フィルタ309でR0.5_1を生成する。また、水平方向には、水平フィルタ304でR0_0.5を生成し、水平フィルタ305でR1_0.5を生成する。演算処理部313では、各フィルタの出力であるR0.5_0,R0.5_1,R0_0.5,R1_0.5からR0.5_0.5を演算する。
【0036】
この結果、拡大処理により水平方向と垂直方向とに2倍の画素データが生成される。このときの演算は、画素間の内挿補正としているが、外挿補正としてもよい。また、RGBそれぞれについて、例えば、輝度成分に置き換えた後に処理してもよい。
【0037】
このように、画像処理部3は、位相補正処理と拡大処理とを、ほぼ同じ回路構成で行うことができるため、小規模で、かつ、消費電力を抑えた構成とすることができる。
【0038】
また、用途に合わせて、使い分けすることができるため、例えば、LSIや、FPGAに組み込む場合に使い勝手がよい構成となる。
【0039】
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図4は、本第2実施形態による画像処理装置の構成を示すブロック図である。図4において、入力端子201には、RGB形式の画像データが入力される。ライン遅延処理部202は、例えば、メモリにより構成され、RGB形式の画像データをライン単位で遅延した画像データを出力する。
【0040】
位相補正部203は、RGB形式の画像データの位相補正を行う。また、拡大処理部204は、RGB形式の画像データに対して、水平方向に2倍、垂直方向に2倍に拡大処理を行う。選択部205は、入力端子206の信号により、拡大処理部204、もしくは、位相補正処理部203のどちらか一方のRGB信号を選択し、出力端子207から出力する。
【0041】
本第2実施形態の構成によれば、前述した第1実施形態で説明した画像処理装置からライン遅延処理部202のみを共通化しており、同じく回路の小規模化を図ることができる。
【0042】
C.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図5は、本第3実施形態による撮像素子付き携帯情報端末の構成を示すブロック図である。本第3実施形態では、撮像素子付き携帯情報端末100に前述した第1実施形態による画像処理装置3を適用する。図5において、撮像素子付き携帯情報端末100は、光学レンズ部1から画像データをメモリカード9へ記録、もしくは、前記メモリカード9に記録した画像データを再生し、表示部7に表示することができる。
【0043】
光学レンズ部1は、被写体の焦点距離や、レンズを通過する光の量を調整するための絞りの調整を行う。撮像素子2は、例えば、CMOSや、CCDなどのセンサから構成され、光学レンズ部1からの被写体の光学像を電気信号に変換し、Bayer形式の画像データをRGB形式の画像データに変換して出力する。
【0044】
画像処理部3は、撮像素子2からの画素データに対して、位相補正処理、または、拡大処理を施す。DSP4は、画像処理部3からの画素データに対し、例えば、RGBからYUVにフォーマット変換、もしくは、ノイズ除去などの画像処理を行う。DSP4からの出力は、例えば、同期信号付の10bitの輝度信号、10bitの色差信号、1bitの伝送クロックで構成され、バックエンド処理部5に供給される。
【0045】
バックエンド処理部5は、DSP4から画像データを、表示部7の画素数に一致させるためのリサイズ処理を施して、LCDコントローラ6に出力する。LCDコントローラ6は、1画面、ないし2画面程度の画像を蓄えるメモリを内蔵しており、CPU13、または、バックエンド処理部5から、間欠的、または、部分的に送られてきた画像データのどちらか一方、または双方を合成してフレーム画像を生成し、60Hz程度の周波数で連続的に読み出して表示部7へ出力する。
【0046】
表示部7は、RGBの3ピクセルで1画素を構成するストライプ形式のものが使用可能であり、QVGA(320x240xRGB)、VGA(640x480xRGB)、(ワイドVGA(800x480xRGB)、フルワイドVGA(854x480xRGB)などの画素数を有する、多様な画素数のデバイスが使用可能である。
【0047】
また、ここでは、液晶ディスプレイで構成した場合の例について説明するが、自発光型の有機ELディスプレイで構成してもよい。また、バックエンド処理部15、メモリカード9にDSP4からの画像データに、例えば、画像データを動画像の符号化技術である、MPEG2(ISO/IEC 13813−2, International Standard)や、H.264(ITE/ISO 14496−10/H.264AVC)/AVC(Advanced Video Coding)などの高圧縮処理を施し、メモリカード9へ記録する。また、画像データを、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などの圧縮処理を施した静止画データとして記録する。
【0048】
バックエンド処理部5は、メモリカード9に記録した圧縮データを読出し、デコード処理した後の画像データを、LCDコントローラ6に出力する。また、音声は、デコードした後、DAC10を介してスピーカ11から出力する。さらに、バックエンド処理部5は、メモリカード9から取得した映像/音声ストリームについても同様の処理を行う。
【0049】
メモリカード9には、上述した映像と音声とが多重化された動画ストリームの他、静止画や、アニメーションの画像ファイル、音声のみのファイルなどが保持可能である。また、バックエンド処理部5とCPU13とは、バックエンド処理部5側に接続されたデバイスの制御コマンドや、映像/音声データのやり取りが可能である。
【0050】
メモリ18は、CPUバス8を介してCPU13と接続され、各種制御用のプログラム、データベース、電話帳、アドレス帳、着信メロディ、楽曲データ、動画や、静止画などの画像データなどを格納する。DAC10は、CPU13から出力される着信音や、通話音声等のデジタル音声信号をアナログ信号に変換し、スピーカ11へ供給する。スピーカ11は、DAC10から供給されたアナログ信号に基づいて、着信音や、通話音声等を出力する。
【0051】
CPU13は、キー12の操作内容の検出処理、音声通話処理、音楽や、画像の再生処理、そして、撮像素子付き携帯情報端末100全般に関する制御を行う。例えば、CPU13は、CPUバス8を介してメモリ18からプログラムを取得し、符号/復号処理回路21、無線回路20を制御して、着信待ちに係る処理を行う。一方、着信時には、CPU13は、メモリ18の電話帳から発信者の名前や、着信メロディ、着信画像などを読み出す。そして、CPU13は、音声データについては、DAC10へ出力する一方、相手の電話番号や、名前、画像データについては、バックエンド処理部5を介して、LCDコントローラ6へ出力する。
【0052】
電源制御部15は、充電用の入力端子に接続される電源14から供給される充電電流を電源制御部15に接続された図示されていないバッテリへ供給することにより、バッテリの充電を行う。また、電源制御部15は、バッテリから出力される電力を撮像素子付き携帯情報端末100の各部へ供給する。
【0053】
通信アンテナ19は、空中を伝送されてきた電波を受信し、高周波電気信号に変換し、無線回路20に入力する。また、通信アンテナ19は、無線回路20から出力された高周波電気信号を電波に変換して発信する。無線回路20は、CPU13の指示に基づき、通信アンテナ19で受信した高周波電気信号を復調し、符号/復号処理回路21に入力する。また、無線回路20は、符号/復号処理回路21の出力信号に変調処理を施し、高周波電気信号に変換して通信アンテナ19へ出力する。
【0054】
符号/復号処理回路21は、CPU13の制御に従って、無線回路20の出力信号に復号処理を施し、通話用音声信号をレシーバ23に出力し、文字データや、画像データ等をCPU13へ出力する。また、符号/復号処理回路21は、マイク22を介して入力されたユーザ等の音声、または、ユーザがキー12を操作して編集した文字や、メモリ18から読み取った画像データ等に符号化処理を施し、その結果得られた信号を無線回路20へ出力する。
【0055】
この構成により、広角撮影時であれば、撮像素子2を画素加算した信号を出力するように設定する。同時に、CPU13は、画像処理部3の選択部205を、位相補正処理部203からの信号を選択するように、入力端子206を制御する。これにより、画素加算時に発生する画素データの位相ずれを補正でき、画素加算による画像の歪みの影響をなくすことができる。
【0056】
また、高倍率での撮影時には、画素加算することなく、撮像素子2の一部を切り出して、切り出した範囲の全ての画素を読み出す設定とする。同時に、CPU13は、画像処理部3の選択部205を、拡大処理部204からの信号を選択するように、入力端子206を制御する。この場合、撮像素子2は、画素加算されていないため、位相補正をする必要がないので、ライン処理部202を拡大処理204用として使用することができる。
【0057】
したがって、拡大処理部204により、水平、及び垂直方向の拡大処理が可能となる。また、撮像素子2からの画素データが画素加算されていないため、画質のよい、拡大処理を行うことができる。
【0058】
また、画像処理部3の入力端子206の制御を、撮像素子付き携帯情報端末100の使用用途により、切り替えてもよい。例えば、低照度撮影時には、撮像素子2の読み出しを画素加算した信号とし、画像処理部3を位相補正処理とすることにより、画素加算の利点である、複数画素を加算することによる感度があがりノイズを低減することができる。
本発明は、ビデオカメラ機能、及び電子ズーム機能付の携帯電話などに利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 光学レンズ部
2 撮像素子部
3 画像処理部
4 DSP
5 バックエンド処理部
6 LSDコントローラ部
7 表示部
8 CPUバス
9 メモリカード
10、16 DAC
11、17、23 スピーカ
12 キー入力部
13 CPU
14 電源部
15 電源制御部
18 メモリ
19 通信アンテナ
20 無線回路
21 符号/復号処理回路
22 マイク
100 撮像素子付き携帯情報端末
201、206、301、312 入力端子
202、302 ライン遅延処理部
203 位相処理部
204 拡大処理部
205 選択部
207、314 出力端子
206 選択部
303 水平遅延処理部
304、305、306、307 水平フィルタ
308、309、310、311 垂直フィルタ
313 演算処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相情報にずれがある第1の画像データと、位相情報にずれがない第2の画像データのどちらか一方を入力し、画像処理を施す画像処理装置であって、
前記第1の画像データ、または前記第2の画像データを保持し、それぞれの画像データの画素を、所定の順番で出力するバッファ手段と、
入力データが前記第1の画像データであれば、前記バッファ手段から所定の順番で出力される前記第1の画像データの画素を用いて位相補正を行い、入力データが前記第2の画像データであれば、前記バッファ手段から所定の順番で出力される前記第2の画像データの画素を用いて拡大処理を行う演算処理手段と
を備えることを特徴とした画像処理装置。
【請求項2】
前記バッファ手段は、
前記第1の画像データ、または前記第2の画像データを、ライン単位で遅延して出力するライン遅延処理手段と、
前記ライン遅延処理手段からのライン単位で遅延された画像データを、サンプリング周波数単位で遅延して出力する水平遅延処理手段と
を備え、
前記演算処理手段は、
前記ライン遅延処理手段からのライン単位で遅延された画像データの画素と前記水平遅延処理手段からのサンプリング周波数単位で遅延された画像データの画素とを用いて、ライン間、及び画素間演算を行うフィルタ手段と、
前記フィルタ手段によりライン間、及び画素間演算が行われた画像データの画素に対して、入力データが前記第1の画像データであれば、位相補正を行い、入力データが前記第2の画像データであれば、拡大処理を行う演算手段と
を備える、
ことを特徴とした請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記バッファ手段は、
前記第1の画像データ、または前記第2の画像データを、ライン単位で遅延して出力するライン遅延処理手段を備え、
前記演算処理手段は、
入力データが前記第1の画像データであれば、前記ライン遅延処理手段からのライン単位で遅延された画像データの画素を用いて位相補正を行う位相補正手段と、
入力データが前記第2の画像データであれば、前記ライン遅延処理手段からのライン単位で遅延された画像データの画素を用いて拡大処理を行う拡大処理手段と
を備える、
ことを特徴とした請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
撮像素子を備えた携帯情報端末装置であって、
被写体の光学像を光電変換し電荷信号として出力する複数の撮像素子からなる撮像手段と、
前記撮像手段からの読み出し方法を、前記撮像手段から垂直方向、及び/または水平方向に所定間隔で選択した複数の撮像素子から電荷信号を加算した撮像信号を出力する画素加算読み出し方式と、前記撮像手段の全撮像領域から垂直方向、及び/または水平方向の所定領域を選択し、画素数分の電荷信号を撮像信号として出力する領域選択読出し方式とを選択的に切り替え、前記画素加算読み出し方式、または前記領域選択読出し方式のいずれかで前記撮像手段から画像データを出力する撮像素子駆動制御手段と、
前記撮像素子駆動制御手段から前記画素加算読み出し方式、または前記領域選択読出し方式のいずれかで出力される画像データを保持し、それぞれの画像データの画素を、所定の順番で出力するバッファ手段と、
前記画素加算読み出し方式が選択された場合には、前記バッファ手段から所定の順番で出力される前記画像データの画素を用いて位相補正を行い、前記領域選択読出し方式が選択された場合には、前記バッファ手段から所定の順番で出力される前記画像データの画素を用いて拡大処理を行う演算処理手段と
を備えることを特徴とした携帯情報端末装置。
【請求項5】
前記バッファ手段は、
前記撮像素子駆動制御手段から前記画素加算読み出し方式、または前記領域選択読出し方式のいずれかで出力される画像データを、ライン単位で遅延して出力するライン遅延処理手段と、
前記ライン遅延処理手段からのライン単位で遅延された画像データを、サンプリング周波数単位で遅延して出力する水平遅延処理手段と
を備え、
前記演算処理手段は、
前記ライン遅延処理手段からのライン単位で遅延された画像データの画素と前記水平遅延処理手段からのサンプリング周波数単位で遅延された画像データの画素とを用いて、ライン間、及び画素間演算を行うフィルタ手段と、
前記フィルタ手段によりライン間、及び画素間演算が行われた画像データの画素に対して、前記画素加算読み出し方式が選択された場合には、位相補正を行い、前記領域選択読出し方式が選択された場合には、拡大処理を行う演算手段と
を備える、
ことを特徴とした請求項4に記載の携帯情報端末装置。
【請求項6】
前記バッファ手段は、
前記撮像素子駆動制御手段から前記画素加算読み出し方式、または前記領域選択読出し方式のいずれかで出力される画像データを、ライン単位で遅延して出力するライン遅延処理手段を備え、
前記演算処理手段は、
前記画素加算読み出し方式が選択された場合には、前記ライン遅延処理手段からのライン単位で遅延された画像データの画素を用いて位相補正を行う位相補正手段と、
前記領域選択読出し方式が選択された場合には、前記ライン遅延処理手段からのライン単位で遅延された画像データの画素を用いて拡大処理を行う拡大処理手段と
を備える、
ことを特徴とした請求項4に記載の携帯情報端末装置。
【請求項7】
位相情報にずれがある第1の画像データと、位相情報にずれがない第2の画像データのどちらか一方を入力し、画像処理を施す画像処理方法であって、
前記第1の画像データ、または前記第2の画像データを保持し、それぞれの画像データの画素を、所定の順番で出力するステップと、
入力データが前記第1の画像データであれば、前記所定の順番で出力される前記第1の画像データの画素を用いて位相補正を行い、入力データが前記第2の画像データであれば、前記所定の順番で出力される前記第2の画像データの画素を用いて拡大処理を行う演算処理ステップと
を含むことを特徴とした画像処理方法。
【請求項8】
位相情報にずれがある第1の画像データと、位相情報にずれがない第2の画像データのどちらか一方を入力し、画像処理を施す画像処理装置のコンピュータに、
前記第1の画像データ、または前記第2の画像データを保持し、それぞれの画像データの画素を、所定の順番で出力するバッファ機能、
入力データが前記第1の画像データであれば、前記所定の順番で出力される前記第1の画像データの画素を用いて位相補正を行い、入力データが前記第2の画像データであれば、前記所定の順番で出力される前記第2の画像データの画素を用いて拡大処理を行う演算処理機能
を実行させることを特徴としたプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−90212(P2012−90212A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237244(P2010−237244)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】