説明

画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラム

【課題】擬似中間調画像の拡大または縮小処理にモアレ防止機能を適用することに伴う出力画像の画質の劣化を最小化できる画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の画像処理装置は、擬似中間調画像である入力画像に拡大または縮小処理を施して得られる出力画像にモアレが生じることを防止するモアレ防止機能を有効にするか否かを切り替えて入力画像に拡大または縮小処理を施す画像処理装置であって、拡大または縮小処理の変倍率と出力画像の解像度とを認識する認識部と、認識部により認識された変倍率と解像度とに基づいて、モアレ防止機能を有効にするか否かを判断する判断部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擬似中間調画像を拡大または縮小するための画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スキャナ、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機器の機能を1台に搭載したMFP(Multi−Function Peripheral:多機能周辺機器)が普及している。
【0003】
MFPによりファクシミリ受信画像の印刷を行う場合、受信画像の解像度をMFPの出力解像度と同一の解像度に変換する必要がある。一般的なファクシミリ受信画像は、誤差拡散やディザスクリーン等の擬似中間調処理が施された白黒2値画像(擬似中間調画像)であり、このような画像の解像度を変換する場合、解像度を変換して得られる出力画像にモアレ(濃淡模様)が発生して画像が見難くなることがある。
【0004】
下記の特許文献1には、解像度変換前の入力画像と解像度変換後の出力画像との相対的な画素の位置をライン単位でランダムにずらすことにより、モアレの発生を防止する技術が開示されている。この技術によれば、モアレの発生を防止することはできるものの、その副作用として、ジャギーが発生して画像が粗くなるという問題がある。
【0005】
下記の特許文献2には、画像の変倍率が100%近辺でモアレが目立つことに着目し、変倍率90〜110%の範囲に限定してモアレの発生を防止するためのランダム化処理を適用することが記載されている。このような構成によれば、変倍率90〜110%の範囲のみでモアレの発生が選択的に防止されるため、変倍率90〜110%以外の範囲ではジャギーによる、画質の劣化が抑制される。
【0006】
しかしながら、印刷出力画像上のモアレは、画像の変倍率のみならず、出力画像の解像度の影響も受けて、認識される。したがって、出力画像の解像度まで考慮すれば、モアレの発生を防止するための処理は、変倍率90〜110%の範囲に適用するだけでは十分でない。実際、変倍率90〜110%以外の範囲でもモアレが顕在化する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−257305号公報
【特許文献2】特開平10−098612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の目的は、擬似中間調画像の拡大または縮小処理にモアレ防止機能を適用することに伴う出力画像の画質の劣化を最小化できる画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)擬似中間調画像である入力画像に拡大または縮小処理を施して得られる出力画像にモアレが生じることを防止するモアレ防止機能を有効にするか否かを切り替えて前記入力画像に前記拡大または縮小処理を施す画像処理装置であって、前記拡大または縮小処理の変倍率と前記出力画像の解像度とを認識する認識部と、前記認識部により認識された前記変倍率と前記解像度とに基づいて、前記モアレ防止機能を有効にするか否かを判断する判断部と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【0011】
(2)前記判断部は、前記変倍率と前記解像度とから前記モアレの周期を算出する周期算出部と、前記周期算出部により算出された前記周期が予め設定された数値範囲内にあるか否かを判定する周期判定部と、前記周期判定部により前記周期が前記数値範囲内にあると判定される場合、前記モアレ防止機能を有効にすると判断する有効判断部と、を有することを特徴とする上記(1)に記載の画像処理装置。
【0012】
(3)前記数値範囲は、0.6〜85mmの範囲であることを特徴とする上記(2)に記載の画像処理装置。
【0013】
(4)前記判断部は、前記周期判定部により前記周期が前記数値範囲内にあると判定される場合、画素の濃度が取り得る値に対する、前記出力画像を構成する画素の濃度の最大値と最小値との差の割合を算出する濃度振幅算出部と、前記濃度振幅算出部により算出された前記割合が予め設定された閾値を越えるか否かを判定する濃度振幅判定部と、をさらに有し、前記濃度振幅判定部により前記割合が前記閾値を超えると判定される場合、前記有効判断部は、前記モアレ防止機能を有効にすると判断することを特徴とする上記(2)または(3)に記載の画像処理装置。
【0014】
(5)前記閾値は、2%であることを特徴とする上記(4)に記載の画像処理装置。
【0015】
(6)前記モアレ防止機能が有効である場合、前記出力画像の画素ライン毎に前記入力画像との相対位置をランダムに変更して各画素ラインを拡大または縮小する一方で、前記モアレ防止機能が有効でない場合、前記相対位置をすべての画素ラインについて同一の値に設定して各画素ラインを拡大または縮小する画像処理部をさらに有することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0016】
(7)擬似中間調画像である入力画像に拡大または縮小処理を施して得られる出力画像にモアレが生じることを防止するモアレ防止機能を有効にするか否かを切り替えて前記入力画像に前記拡大または縮小処理を施す画像処理装置で使用される画像処理方法であって、前記拡大または縮小処理の変倍率と前記出力画像の解像度とを認識するステップ(a)と、前記ステップ(a)において認識された前記変倍率と前記解像度とに基づいて、前記モアレ防止機能を有効にするか否かを判断するステップ(b)と、を有することを特徴とする画像処理方法。
【0017】
(8)前記ステップ(b)は、前記変倍率と前記解像度とから前記モアレの周期を算出するステップ(b1)と、前記ステップ(b1)において算出された前記周期が予め設定された数値範囲内にあるか否かを判定するステップ(b2)と、前記ステップ(b2)において前記周期が前記数値範囲内にあると判定される場合、前記モアレ防止機能を有効にすると判断するステップ(b3)と、を有することを特徴とする上記(7)に記載の画像処理方法。
【0018】
(9)前記数値範囲は、0.6〜85mmの範囲であることを特徴とする上記(8)に記載の画像処理方法。
【0019】
(10)前記ステップ(b)は、前記ステップ(b2)において前記周期が前記数値範囲内にあると判定される場合、画素の濃度が取り得る値に対する、前記出力画像を構成する画素の濃度の最大値と最小値との差の割合を算出するステップ(b4)と、前記ステップ(b4)において算出された前記割合が予め設定された閾値を越えるか否かを判定するステップ(b5)と、をさらに有し、前記ステップ(b5)において前記割合が前記閾値を超えると判定される場合、前記ステップ(b3)において、前記モアレ防止機能を有効にすると判断されることを特徴とする上記(8)または(9)に記載の画像処理方法。
【0020】
(11)前記閾値は、2%であることを特徴とする上記(10)に記載の画像処理方法。
【0021】
(12)前記モアレ防止機能が有効である場合、前記出力画像の画素ライン毎に前記入力画像との相対位置をランダムに変更して各画素ラインを拡大または縮小する一方で、前記モアレ防止機能が有効でない場合、前記相対位置をすべての画素ラインについて同一の値に設定して各画素ラインを拡大または縮小するステップ(c)をさらに有することを特徴とする上記(7)〜(11)のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【0022】
(13)擬似中間調画像である入力画像に拡大または縮小処理を施して得られる出力画像にモアレが生じることを防止するモアレ防止機能を有効にするか否かを切り替えて前記入力画像に前記拡大または縮小処理を施す画像処理装置で実行される画像処理プログラムであって、前記拡大または縮小処理の変倍率と前記出力画像の解像度とを認識する手順(a)と、前記手順(a)において認識された前記変倍率と前記解像度とに基づいて、前記モアレ防止機能を有効にするか否かを判断する手順(b)と、を前記画像処理装置に実行させる画像処理プログラム。
【0023】
(14)前記手順(b)は、前記変倍率と前記解像度とから前記モアレの周期を算出する手順(b1)と、前記手順(b1)において算出された前記周期が予め設定された数値範囲内にあるか否かを判定する手順(b2)と、前記手順(b2)において前記周期が前記数値範囲内にあると判定される場合、前記モアレ防止機能を有効にすると判断する手順(b3)と、を有することを特徴とする上記(13)に記載の画像処理プログラム。
【0024】
(15)前記数値範囲は、0.6〜85mmの範囲であることを特徴とする上記(14)に記載の画像処理プログラム。
【0025】
(16)前記手順(b)は、前記手順(b2)において前記周期が前記数値範囲内にあると判定される場合、画素の濃度が取り得る値に対する、前記出力画像を構成する画素の濃度の最大値と最小値との差の割合を算出する手順(b4)と、前記手順(b4)において算出された前記割合が予め設定された閾値を越えるか否かを判定する手順(b5)と、をさらに有し、前記手順(b5)において前記割合が前記閾値を超えると判定される場合、前記手順(b3)において、前記モアレ防止機能を有効にすると判断されることを特徴とする上記(14)または(15)に記載の画像処理プログラム。
【0026】
(17)前記閾値は、2%であることを特徴とする上記(16)に記載の画像処理プログラム。
【0027】
(18)前記モアレ防止機能が有効である場合、前記出力画像の画素ライン毎に前記入力画像との相対位置をランダムに変更して各画素ラインを拡大または縮小する一方で、前記モアレ防止機能が有効でない場合、前記相対位置をすべての画素ラインについて同一の値に設定して各画素ラインを拡大または縮小する手順(c)をさらに前記画像処理装置に実行させることを特徴とする上記(13)〜(17)のいずれか1つに記載の画像処理プログラム。
【0028】
(19)上記(13)〜(18)のいずれか1つに記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、拡大または縮小処理の変倍率と出力画像の解像度とに基づいて、モアレ防止機能を有効にするか否かが判断されるため、擬似中間調画像の拡大または縮小処理にモアレ防止機能を適用することに伴う出力画像の画質の劣化が最小化される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係るMFPの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示される画像形成部の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示される画像処理部に含まれる画像拡縮回路の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示されるMFPにより実行されるモアレ防止機能適用判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】空間周波数と人間の相対的な視覚感度との関係を示す図である。
【図6】隣接する2つの入力画素から出力画素に濃度が配分される処理の一例を示す図である。
【図7】図1に示されるMFPにより実行される1ライン分の解像度変換処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】入力画像の各ラインと出力画像との相対位置のオフセット量を示す図である。
【図9】画像の拡大縮小処理の処理結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に係るMFPの構成を示すブロック図である。画像処理装置としてのMFP1は、制御部10、操作パネル20、画像読取部30、および画像形成部40を備える。
【0033】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、データ受信部14、FAX回路15、画像処理部16、フレームメモリ17、および描画信号生成部18を含み、これらは信号をやり取りするためのバスを介して相互に接続されている。
【0034】
CPU11は、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を行う。ROM12は、各種プログラムや各種データを格納する。また、ROM12には、モアレの発生を防止するモアレ防止機能を擬似中間調画像の拡大縮小処理に適用するか否かを判断するためのプログラムが格納されている。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。
【0035】
データ受信部14は、たとえば、ネットワークを介して外部機器と通信を行うためのNIC(Network Interface Card)である。FAX回路15は、固定電話網を介して他のファクシミリ装置との間でG3のプロトコルで画像データをやり取りするためのFAXモデムである。
【0036】
画像処理部16は、データ受信部14、FAX回路15、または画像読取部30により取得された画像データに対して、CPU11からの指令にしたがって、各種画像処理を施す。
【0037】
フレームメモリ17は、画像処理部16により画像処理が施された1ページ分の画像データを一時的に格納する。
【0038】
描画信号生成部18は、CPU11からの指令にしたがって、フレームメモリ17に格納されている1ページ分の画像データを順次読み出し、画像形成部40からの同期信号にしたがって、描画レーザを駆動するための描画パルス信号に変換して出力する。
【0039】
操作パネル20は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。
【0040】
画像読取部30は、所定の読み取り位置にセットされた原稿またはADF(Auto Document Feeder:自動原稿搬送装置)により所定の読み取り位置に搬送された原稿に蛍光ランプ等の光源で光を当て、その反射光をCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像装置で光電変換して、その電気信号から画像データを生成する。
【0041】
画像形成部40は、図2に示されるとおり、中間転写ベルトBの表面にカラー画像を形成し、それを記録用紙に転写する画像形成ユニット41、画像形成ユニット41に記録用紙を供給する給紙ユニット42、記録用紙に転写されたカラー画像を加熱・加圧により記録用紙上に定着させる定着ユニット43、定着ユニット43を経た記録用紙をMFP1の外部に排出する排紙ユニット44を備えている。
【0042】
画像形成ユニット41は、中間転写ベルトBに外接するように並列に配置されたCMYK各色用の感光体ドラムa1を備えており、各々の感光体ドラムa1の下方にはレーザ走査ユニットa2および現像ユニットa3が設けられている。レーザ走査ユニットa2は、感光体ドラムa1表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。現像ユニットa3は、静電潜像が形成された感光体ドラムa1表面に各色のトナーを供給することによりトナー画像を形成する。各色の感光体ドラムa1の表面に形成されたトナー画像は中間転写ベルトBに順次転写された後、転写ローラa4によりさらに記録用紙上に転写される。転写ローラによりトナー画像が転写された記録用紙は定着ユニット43に搬送される。
【0043】
図3は、図1に示される画像処理部に含まれる画像拡縮回路の構成を示すブロック図である。
【0044】
画像拡縮回路16aは、入力画像メモリ51、出力画像メモリ52、画像拡縮演算部53、制御信号生成部54、および擬似中間調処理回路55を備える。画像拡縮回路16aは、1回の拡大縮小処理で画像の幅方向および長さ方向の一方について1ライン単位で解像度変換を行う。
【0045】
入力画像メモリ51は、入力画像の画像データ(ラスタイメージデータ)を一時的に格納する。出力画像メモリ52は、画像拡縮演算部53により解像度変換が行われた出力画像の画像データを一時的に格納する。
【0046】
画像拡縮演算部53は、あらかじめ設定されたアルゴリズムにしたがって、入力画像の解像度変換を行う。画像拡縮演算部53は、1回目の拡大縮小処理で幅方向の解像度変換を行った後、出力画像メモリ52に出力された画像をDMA(Direct Memory Access)転送により入力画像メモリ51に書き戻し、2回目の拡大縮小処理で長さ方向の解像度変換を行う。
【0047】
制御信号生成部54は、CPU11により設定されたレジスタ情報にしたがって、画像拡縮演算部53を制御する。また、制御信号生成部54は、入力画像メモリ51からの入力画素データの読み出し、および、出力画像メモリ52への出力画素データの書き込みを制御する。制御信号生成部54には、後述するモアレ防止機能の適用時に使用される擬似乱数発生回路(不図示)が備えられている。
【0048】
制御信号生成部54に対して設定されるレジスタ情報には、画像種類情報、画素数情報、アドレスオフセット情報、適用要否情報、およびオフセット情報が含まれる。画像種類情報は、入力画像の種類(白黒2値画像/8−bit多値画像)を示し、画素数情報は、入力画像の画像データの幅方向と長さ方向の画素数を示す。アドレスオフセット情報は、画像データのラスタ間のアドレスオフセットを示す。アドレスオフセット情報を参照することにより、画像を回転させることなく幅方向と長さ方向に画像を拡大または縮小することができる。適用要否情報は、モアレ防止機能の適用の要否(ON/OFF)を示し、オフセット情報は、入出力画像間のオフセット量を示す。
【0049】
擬似中間調処理回路55は、出力画像の画像データに対して擬似中間調処理を施す。擬似中間調処理が施された画像データは、フレームメモリ17に転送される。
【0050】
なお、MFP1は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0051】
次に、図4〜図9を参照して、本実施形態のMFP1の動作について説明する。本実施形態のMFP1では、擬似中間調画像の拡大縮小処理に先立って、拡大縮小処理の変倍率(拡縮比)および出力画像の解像度が認識され、認識された変倍率および解像度に基づいて、モアレの発生を防止するモアレ防止機能を拡大縮小処理に適用するか否かが判断される。
【0052】
図4は、図1に示されるMFPにより実行されるモアレ防止機能適用判定処理の手順を示すフローチャートである。なお、図4のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、MFP1のROM12にプログラムとして記憶されており、CPU11によって実行される。
【0053】
まず、入力解像度が取得される(ステップS101)。たとえば、ファクシミリ画像が受信された場合、ファクシミリ画像の解像度(画素数情報)が入力解像度(たとえば、200dpi)として取得される。
【0054】
続いて、出力解像度が取得される(ステップS102)。本実施形態では、MFP1の印刷設定が参照され、ファクシミリ画像用の出力解像度(たとえば、600dpi)が取得される。
【0055】
続いて、モアレ周期が算出される(ステップS103)。本実施形態では、ステップS101およびS102に示す処理において取得された入力解像度および出力解像度より定まる画像の変倍率と前記出力解像度とから、モアレのパターン周期が算出される。
【0056】
入力画素の画素幅を1.0として、出力画素の画素幅をN+d(ここで、Nは0以上の整数、−0.5<d≦0.5)で表す場合、1/d画素周期で出力画素に対する入力画素の重み付けが最大となるため、モアレは、1/d画素周期の縞模様となる。したがって、1/dと出力画素の大きさ(すなわち、出力解像度の逆数)との積がモアレ周期となる。たとえば、出力解像度が600dpiである場合、モアレ周期は、(25.4/600)×(1/d)mmとなる。
【0057】
続いて、モアレ周期が所定の数値範囲に含まれるか否かが判断される(ステップS104)。具体的には、ステップS103に示す処理で算出されたモアレ周期が、観察者によりモアレが視認されるレベルである0.6〜85mmの範囲に含まれるか否かが判断される。数値範囲は、ROM12に予め記憶されている。数値範囲についての詳細な説明は後述する。
【0058】
モアレ周期が所定の数値範囲に含まれないと判断される場合(ステップS104:NO)、観察者によりモアレが視認されないレベルであるとして、モアレ防止機能の適用が「OFF」に設定され(ステップS108)、処理が終了される。
【0059】
一方、モアレ周期が所定の数値範囲に含まれると判断される場合(ステップS104:YES)、出力画像の濃度振幅が算出される(ステップS105)。本実施形態では、ステップS101およびS102に示す処理で取得された入力解像度および出力解像度より定まる画像の変倍率から、出力画像の濃度振幅が算出される。
【0060】
入力画素の画素幅を1.0として、出力画素の画素幅をM(M>0)で表す場合、出力1画素に対する入力1画素の重み付けは、最大で1/Mと1.0のいずれか小さい方となり、最小で0.5/Mと1.0のいずれか小さい方となる。したがって、解像度変換の際に発生するモアレ(濃淡模様)の濃度振幅は、白黒間の濃度振幅を1.0とすれば、最大で下記の(1)式のように見積もられる。
【0061】
(1/Mと1.0のいずれか小さい方)−(0.5/Mと1.0のいずれか小さい方) …(1)
続いて、濃度振幅が閾値以下であるか否かが判断される(ステップS106)。本実施形態では、ステップS105に示す処理で算出された出力画像の濃度振幅の割合(すなわち、(1)式の結果に100を乗じた値)が、観察者によりモアレが視認されないレベルである2%以下であるか否かが判断される。閾値は、ROM12に予め記憶されている。
【0062】
濃度振幅が閾値以下であると判断される場合(ステップS106:YES)、観察者によりモアレが視認されないレベルであるとして、モアレ防止機能の適用が「OFF」に設定され(ステップS108)、処理が終了される。
【0063】
一方、濃度振幅が閾値を越えると判断される場合(ステップS106:NO)、観察者によりモアレが視認されるレベルであるとして、モアレ防止機能の適用が「ON」に設定され(ステップS107)、処理が終了される。
【0064】
以上のとおり、図4に示されるフローチャートの処理によれば、まず、拡大縮小処理の変倍率と出力解像度とからモアレ周期が算出され、所定の数値範囲に含まれるか否かが判断される。モアレ周期が所定の数値範囲に含まれないと判断される場合、モアレは認識されないとして、モアレ防止機能の適用が「OFF」に設定される。一方、モアレ周期が所定の数値範囲に含まれると判断される場合、拡大縮小処理の変倍率から、出力画像の濃度振幅が算出される。そして、出力画像の濃度振幅が、閾値以下であると判断される場合には、モアレは認識されないとして、モアレ防止機能の適用が「OFF」に設定される。一方、モアレ周期が所定の数値範囲に含まれ、かつ、出力画像の濃度振幅が閾値を超えると判断される場合、モアレが認識されるとして、モアレ防止機能の適用が「ON」に設定される。
【0065】
図5は、空間周波数と人間の相対的な視覚感度との関係を示す図である。図5の横軸は空間周波数であり、縦軸は相対感度である。
【0066】
図5を参照すれば、15line/inch(すなわち、0.6line/mm:周期1.7mm)近辺で相対感度はピークとなり、0.3line/inch(0.01line/mm:周期85mm)以下および45line/inch(1.8line/mm:周期0.6mm)以上では、ピーク時の1/10以下の相対感度となることが分かる。また、モアレ周期が0.6mm以下の場合、観察者によりモアレが視認されないことが知られている。したがって、モアレ周期が0.6〜85mmの範囲に含まれる場合、観察者によりモアレが視認される可能性がある。
【0067】
そして、本実施形態によれば、モアレ周期が0.6〜85mmの範囲に含まれ、かつ、出力画像の濃度振幅が2%を超える場合に限り、画像の拡大縮小処理にモアレ防止機能が適用される。以下、図6〜図9を参照して、本実施形態の拡大縮小処理について説明する。
【0068】
まず、図6を参照して、本実施形態の拡大縮小処理において利用される面積平均法について説明する。面積平均法では、1ライン毎に、入力画素座標i、出力画素座標jの組み合せを順次移行させながら、入力画素Pi[i]から出力画素Px[j]に濃度が配分される。入力画像が白黒2値画像である場合、入力画素の濃度は、「0」(すなわち、白)または「1」(すなわち、黒)のいずれかであり、出力画素の濃度は、入力画素の濃度と重み付けにより定まる。出力画像の各画素の濃度に基づいて、出力画像には、擬似中間調処理が施される。
【0069】
図6は、隣接する2つの入力画素Pi[i]およびPi[i+1]から出力画素Px[j]に濃度が配分される処理の一例を示す図である。本実施形態の面積平均法では、入力画素サイズ(幅または高さ)をRatioXおよび出力画素サイズを1.0として、配分サイズP、入力残領域S、および出力空き領域Tの3つの内部係数が導入される。配分サイズPは、入力画素Pi[i],Pi[i+1]から出力画素Px[j]に配分される濃度比率である。入力残領域Sは、入力画素Pi[i],Pi[i+1]から次の出力画素以降(Px[j+1]〜)に配分される濃度比率であり、出力空き領域Tは、出力画素Px[j]が次の入力画素以降(Pi[i+1]〜)から配分される濃度比率である。
【0070】
たとえば、図6(A)に示されるとおり、まず、処理対象の入力画素である入力画素Pi[i]から、処理対象の出力画素である出力画素Px[j]に配分サイズPの濃度が配分される。そして、入力画素Pi[i]からの配分が終了すれば(すなわち、入力残領域Sが0になれば)、処理対象の入力画素が入力画素Pi[i+1]に移行する。続いて、図6(B)に示されるとおり、処理対象の入力画素である入力画素Pi[i+1]から、処理対象の出力画素である出力画素Px[j]に配分サイズPの濃度が配分される。ここで、配分サイズPは、出力画素Px[j]の出力空き領域Tと同じサイズである。
【0071】
図6に示される処理が、1ラインの一端の画素から他端の画素まで順次に実行されることにより、ライン単位で画像の拡大または縮小が実行される。
【0072】
図7は、MFPにより実行される1ライン分の解像度変換処理の手順を示すフローチャートである。なお、図7のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、画像処理部16の画像拡縮演算部53および制御信号生成部54によって実行される。
【0073】
まず、各パラメータが初期値に設定される(ステップS201)。本実施形態では、i=0、j=0、出力空き領域T=1.0−Doff、入力残領域S=RatioX、およびSUM=0に設定される。ここで、SUMは、出力画素用の蓄積バッファである。また、Doffは、入力画像の各ラインと出力画像との相対位置のオフセット量である(図8参照)。制御信号生成部54に設定されたレジスタ情報に含まれるモアレ防止機能の適用要否情報が「OFF」の場合、オフセット量は一定の値に設定される。一方、モアレ防止機能の適用要否情報が「ON」の場合、オフセット量はライン毎にランダムに設定される。ランダムに設定されるオフセット量は、制御信号生成部54に含まれる擬似乱数発生回路から取得される乱数値(0.0〜1.0相当)に、レジスタ情報に含まれるオフセット量を乗じて算出される。
【0074】
続いて、入力残領域Sが出力空き領域T未満であるか否かが判断される(ステップS202)。入力残領域Sが出力空き領域T未満であると判断される場合(ステップS202:YES)、入力残領域Sが配分サイズPに決定される(ステップS203)。
【0075】
一方、入力残領域Sが出力空き領域T以上であると判断される場合(ステップS202:NO)、出力空き領域Tが配分サイズPに決定される(ステップS204)。
【0076】
そして、配分サイズP分の入力画素の濃度が出力画素に配分される(ステップS205)。本実施形態では、ステップS203またはステップS204に示す処理で配分サイズPが決定された入力画素Pi[i]の濃度が、処理対象の出力画素Px[j]に配分される。
【0077】
続いて、入力残領域Sが出力空き領域T未満であるか否かが判断される(ステップS206)。入力残領域Sが出力空き領域T未満であると判断される場合(ステップS206:YES)、出力空き領域Tが更新される(ステップS207)。本実施形態では、出力空き領域Tから配分サイズP(すなわち、入力残領域S)が減じられる。
【0078】
一方、入力残領域Sが出力空き領域T以上であると判断される場合(ステップS206:NO)、入力残量域Sが更新される(ステップS208)。本実施形態では、入力残領域Sから配分サイズP(すなわち、出力空き領域T)が減じられる。
【0079】
続いて、出力空き領域Tが0であるか否かが判断される(ステップS209)。出力空き領域Tが0であると判断される場合(ステップS209:YES)、出力空き領域Tがなくなった出力画素が出力され、次の出力画素が処理対象の出力画素とされる(ステップS210)。
【0080】
一方、出力空き領域Tが0でないと判断される場合(ステップS209:NO)、入力残量域Sが0よりも大きいか否かが判断される(ステップS211)。入力残量域Sが0よりも大きいと判断される場合(ステップS211:YES)、ステップS202の処理に戻る。
【0081】
一方、入力残量域Sが0以下であると判断される場合(ステップS211:NO)、次の入力画素があるか否かが判断される(ステップS212)。次の入力画素があると判断される場合(ステップS212:YES)、次の入力画素が処理対象の入力画素とされ(ステップS213)、ステップS202の処理に戻る。
【0082】
一方、次の画素がないと判断される場合(ステップS213:NO)、処理が終了される。
【0083】
以上のとおり、図7に示されるフローチャートの処理によれば、入力画素座標i,出力画素座標jの組み合わせを順次移行させながら、入力画素Pi[i]から出力画素Px[j]に濃度が配分される。1ラインの一端の画素から他端の画素まで順次に濃度が配分されることにより、1ラインの画像の拡大または縮小が行われる。具体的には、画像が拡大される場合には、一部の出力画素に対して、隣接する2つの入力画素の重み付けに応じた濃度が配分される(図9(A)参照)。一方、画像が縮小される場合には、各出力画素に対して、複数の入力画素の重み付けに応じた濃度が配分される(図9(B)参照)。
【0084】
そして、図7に示されるフローチャートの処理が画像データのすべてのラインについて繰り返し実行されることにより、画像が拡大または縮小される。上述したとおり、モアレ防止機能を適用して拡大縮小処理を行う場合には、上記のオフセット量Doffがライン毎にランダムに設定され、モアレの発生が防止される。一方、モアレ防止機能を適用することなく拡大縮小処理を行う場合には、すべてのラインについて、オフセット量Doffが同一の値(たとえば、0)に設定され、ジャギーの発生が防止される。
【0085】
以上のとおり、本実施形態によれば、観察者によりモアレが視認される範囲では、モアレ防止機能が有効化されてモアレの発生が防止される一方で、観察者によりモアレが視認されない範囲では、モアレ防止機能が有効化されずにジャギーの発生が防止される。したがって、擬似中間調画像の拡大縮小処理にモアレ防止機能を適用することに伴う出力画像の画質の劣化が最小化される。
【0086】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0087】
たとえば、上述した実施形態では、画像の解像度を変換する拡大縮小処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明の拡大縮小処理は、画像の解像度を変換する場合に限定されるものではなく、本発明の拡大縮小処理には、画像の解像度を変換することなく、出力用紙サイズを変更する処理も含まれる。
【0088】
また、上述した実施形態では、白黒2値画像の拡大縮小処理を実行する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明の画像処理方法は、カラー画像の拡大縮小処理にも適用可能である。この場合、たとえば、4つの画像拡縮回路が用意され、C、M、Y、およびKの各色に対して拡大縮小処理が並列に実行される。
【0089】
また、上述した実施形態では、本発明の画像処理装置をMFPに適用する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明の画像処理装置は、MFPに適用されるのみならず、ファクシミリ装置に適用されてもよい。
【0090】
本実施形態にかかる画像処理装置における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フレキシブルディスクおよびCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像処理装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 MFP、
10 制御部、
11 CPU、
12 ROM、
13 RAM、
14 データ受信部、
15 FAX回路、
16 画像処理部、
16a 画像拡縮回路、
17 フレームメモリ、
18 描画信号生成部、
20 操作パネル、
30 画像読取部、
40 画像形成部、
51 入力画像メモリ、
52 出力画像メモリ、
53 画像拡縮演算部、
54 制御信号生成部、
55 擬似中間調処理回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
擬似中間調画像である入力画像に拡大または縮小処理を施して得られる出力画像にモアレが生じることを防止するモアレ防止機能を有効にするか否かを切り替えて前記入力画像に前記拡大または縮小処理を施す画像処理装置であって、
前記拡大または縮小処理の変倍率と前記出力画像の解像度とを認識する認識部と、
前記認識部により認識された前記変倍率と前記解像度とに基づいて、前記モアレ防止機能を有効にするか否かを判断する判断部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記判断部は、
前記変倍率と前記解像度とから前記モアレの周期を算出する周期算出部と、
前記周期算出部により算出された前記周期が予め設定された数値範囲内にあるか否かを判定する周期判定部と、
前記周期判定部により前記周期が前記数値範囲内にあると判定される場合、前記モアレ防止機能を有効にすると判断する有効判断部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記数値範囲は、0.6〜85mmの範囲であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記判断部は、
前記周期判定部により前記周期が前記数値範囲内にあると判定される場合、画素の濃度が取り得る値に対する、前記出力画像を構成する画素の濃度の最大値と最小値との差の割合を算出する濃度振幅算出部と、
前記濃度振幅算出部により算出された前記割合が予め設定された閾値を越えるか否かを判定する濃度振幅判定部と、をさらに有し、
前記濃度振幅判定部により前記割合が前記閾値を超えると判定される場合、前記有効判断部は、前記モアレ防止機能を有効にすると判断することを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記閾値は、2%であることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記モアレ防止機能が有効である場合、前記出力画像の画素ライン毎に前記入力画像との相対位置をランダムに変更して各画素ラインを拡大または縮小する一方で、前記モアレ防止機能が有効でない場合、前記相対位置をすべての画素ラインについて同一の値に設定して各画素ラインを拡大または縮小する画像処理部をさらに有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
擬似中間調画像である入力画像に拡大または縮小処理を施して得られる出力画像にモアレが生じることを防止するモアレ防止機能を有効にするか否かを切り替えて前記入力画像に前記拡大または縮小処理を施す画像処理装置で使用される画像処理方法であって、
前記拡大または縮小処理の変倍率と前記出力画像の解像度とを認識するステップ(a)と、
前記ステップ(a)において認識された前記変倍率と前記解像度とに基づいて、前記モアレ防止機能を有効にするか否かを判断するステップ(b)と、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
前記ステップ(b)は、
前記変倍率と前記解像度とから前記モアレの周期を算出するステップ(b1)と、
前記ステップ(b1)において算出された前記周期が予め設定された数値範囲内にあるか否かを判定するステップ(b2)と、
前記ステップ(b2)において前記周期が前記数値範囲内にあると判定される場合、前記モアレ防止機能を有効にすると判断するステップ(b3)と、を有することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記数値範囲は、0.6〜85mmの範囲であることを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記ステップ(b)は、
前記ステップ(b2)において前記周期が前記数値範囲内にあると判定される場合、画素の濃度が取り得る値に対する、前記出力画像を構成する画素の濃度の最大値と最小値との差の割合を算出するステップ(b4)と、
前記ステップ(b4)において算出された前記割合が予め設定された閾値を越えるか否かを判定するステップ(b5)と、をさらに有し、
前記ステップ(b5)において前記割合が前記閾値を超えると判定される場合、前記ステップ(b3)において、前記モアレ防止機能を有効にすると判断されることを特徴とする請求項8または9に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記閾値は、2%であることを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記モアレ防止機能が有効である場合、前記出力画像の画素ライン毎に前記入力画像との相対位置をランダムに変更して各画素ラインを拡大または縮小する一方で、前記モアレ防止機能が有効でない場合、前記相対位置をすべての画素ラインについて同一の値に設定して各画素ラインを拡大または縮小するステップ(c)をさらに有することを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項13】
擬似中間調画像である入力画像に拡大または縮小処理を施して得られる出力画像にモアレが生じることを防止するモアレ防止機能を有効にするか否かを切り替えて前記入力画像に前記拡大または縮小処理を施す画像処理装置で実行される画像処理プログラムであって、
前記拡大または縮小処理の変倍率と前記出力画像の解像度とを認識する手順(a)と、
前記手順(a)において認識された前記変倍率と前記解像度とに基づいて、前記モアレ防止機能を有効にするか否かを判断する手順(b)と、
を前記画像処理装置に実行させる画像処理プログラム。
【請求項14】
前記手順(b)は、
前記変倍率と前記解像度とから前記モアレの周期を算出する手順(b1)と、
前記手順(b1)において算出された前記周期が予め設定された数値範囲内にあるか否かを判定する手順(b2)と、
前記手順(b2)において前記周期が前記数値範囲内にあると判定される場合、前記モアレ防止機能を有効にすると判断する手順(b3)と、を有することを特徴とする請求項13に記載の画像処理プログラム。
【請求項15】
前記数値範囲は、0.6〜85mmの範囲であることを特徴とする請求項14に記載の画像処理プログラム。
【請求項16】
前記手順(b)は、
前記手順(b2)において前記周期が前記数値範囲内にあると判定される場合、画素の濃度が取り得る値に対する、前記出力画像を構成する画素の濃度の最大値と最小値との差の割合を算出する手順(b4)と、
前記手順(b4)において算出された前記割合が予め設定された閾値を越えるか否かを判定する手順(b5)と、をさらに有し、
前記手順(b5)において前記割合が前記閾値を超えると判定される場合、前記手順(b3)において、前記モアレ防止機能を有効にすると判断されることを特徴とする請求項14または15に記載の画像処理プログラム。
【請求項17】
前記閾値は、2%であることを特徴とする請求項16に記載の画像処理プログラム。
【請求項18】
前記モアレ防止機能が有効である場合、前記出力画像の画素ライン毎に前記入力画像との相対位置をランダムに変更して各画素ラインを拡大または縮小する一方で、前記モアレ防止機能が有効でない場合、前記相対位置をすべての画素ラインについて同一の値に設定して各画素ラインを拡大または縮小する手順(c)をさらに前記画像処理装置に実行させることを特徴とする請求項13〜17のいずれか1項に記載の画像処理プログラム。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか1項に記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−235430(P2012−235430A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104561(P2011−104561)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】