説明

画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム

【課題】撮像条件に影響されることなく、且つ従来よりも速いアルゴリズムで生体内画像に含まれる各領域のカテゴリを判別することができる画像処理装置等を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、生体内画像においてカテゴリ判別対象となる評価領域を設定する評価領域設定部16と、評価領域内の生体内画像からテクスチャ成分を取得するテクスチャ成分取得部17と、テクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出する偏り評価値算出部18と、上記評価値に基づいて評価領域のカテゴリを判別する判別部19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の生体内を撮像した生体内画像を処理する画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、患者等の被検者の体内に導入されて管腔内を観察する医用観察装置として、内視鏡が広く普及している。近年では、カプセル型の筐体内部に撮像装置及び通信装置等を収容し、撮像装置により撮像された画像データを体外に無線送信する飲み込み型の内視鏡(カプセル内視鏡)も開発されている。このような医用観察装置によって撮像された一連の生体内画像(消化管内画像)は膨大な数(数万枚以上)に上ると共に、各消化管内画像に対する観察及び診断には多くの経験が必要とされる。そのため、医師による診断を補助する医療診断支援機能が望まれている。この機能を実現する画像認識技術の1つとして、消化管内画像から病変等の異常部分を自動的に検出して、重点的に診断すべき画像を示す技術が提案されている。
【0003】
ところで、消化管内画像には、診断において観察対象となる粘膜領域の他に、残渣のように観察不要な内容物が映し出されている場合がある。このような粘膜領域と内容物領域(即ち、領域のカテゴリ)とを判別する技術として、例えば、特許文献1には、一連の消化管内画像から複数の画像を選択し、選択された複数の画像の画素毎又は小領域毎の色特徴量を算出し、これらの色特徴量に基づいて、一連の消化管内画像を構成する各画像内の粘膜領域を判別する画像処理方法が開示されている。
【0004】
また、画像に映し出された互いに異なる領域を判別する技術として、同時生起行列を用いたテクスチャ特徴量による方法も知られている(例えば、非特許文献1参照)。同時生起行列とは、画素iと、画素iから一定の変位δ=(d,θ)(dは距離、θは角度)だけ離れた画素jの画素値をそれぞれL、Lとした場合に、画素値の対(L,L)が生じる確率Pδ(L,L)を要素とする行列である。この行列を用いることにより、画素値の一様性、方向性及びコントラスト等の性質を示す特徴量が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−115413号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】奥富正敏、他編、「ディジタル画像処理」、CG−ARTS協会、第194〜195頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、生体内画像に映し出された各領域のカテゴリを、色特徴量を用いて判別する場合、撮像条件(照明条件等)の影響を受けることがある。また、同時生起行列を用いたテクスチャ特徴量を利用する場合、対象物を考慮したパラメータを用いなければならないため、処理時間の速いアルゴリズムを作成することが困難となる。そのため、消化管内画像のように画像枚数が非常に多い生体内画像について領域を判別する場合、処理時間が長くなってしまう。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生体内画像に含まれる各領域のカテゴリを、撮像条件に影響されることなく、且つ従来よりも速いアルゴリズムで適切に判別することができる画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、生体内画像においてカテゴリ判別対象となる評価領域を設定する評価領域設定手段と、前記評価領域内の生体内画像からテクスチャ成分を取得するテクスチャ成分取得手段と、前記テクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出する評価値算出手段と、前記評価値に基づいて、前記評価領域のカテゴリを判別する判別手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る画像処理方法は、生体内画像においてカテゴリ判別対象となる評価領域を設定する評価領域設定ステップと、前記評価領域内の生体内画像からテクスチャ成分を取得するテクスチャ成分取得ステップと、前記テクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出する評価値算出ステップと、前記評価値に基づいて、前記評価領域のカテゴリを判別する判別ステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る画像処理プログラムは、生体内画像においてカテゴリ判別対象となる評価領域を設定する評価領域設定手順と、前記評価領域内の生体内画像からテクスチャ成分を取得するテクスチャ成分取得手順と、前記テクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出する評価値算出手順と、前記評価値に基づいて、前記評価領域のカテゴリを判別する判別手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、評価領域内部における生体内画像のテクスチャ成分の均一性に基づいて当該評価領域のカテゴリを判別するので、撮像条件に影響されることなく、且つ処理時間の速いアルゴリズムで、適切な判別結果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、モフォロジのオープニング処理によるテクスチャ成分の取得方法を説明する図である。
【図3】図3は、粘膜領域を主とする評価領域に対するテクスチャ成分の取得処理のシミュレーション結果を示す図である。
【図4】図4は、残渣領域を主とする評価領域に対するテクスチャ成分の取得処理のシミュレーション結果を示す図である。
【図5】図5は、図1に示す画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、図1に示す画像処理装置において処理される消化管内画像の一例を示す模式図である。
【図7】図7は、消化管内画像上に設定された評価領域の一例を示す模式図である。
【図8】図8は、テクスチャ成分を示す評価値の算出処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の実施の形態2に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、図9に示す画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は、粘膜領域における連続分布のテクスチャ成分から離散分布データを生成する方法を説明する図である。
【図12】図12は、残渣領域における連続分布のテクスチャ成分から離散分布データを生成する方法を説明する図である。
【図13】図13は、最近隣距離法により平均最近隣距離の算出方法を説明する図である。
【図14】図14は、評価領域における離散点のばらつきと評価値との関係を示す図である。
【図15】図15は、K−関数法による評価値の算出方法を説明する図である。
【図16】図16は、χ検定による評価値の算出方法を説明する図である。
【図17】図17は、本発明の実施3に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図18】図18は、粘膜成分のテクスチャ成分及びヒストグラムの一例を示す図である。
【図19】図19は、残渣成分のテクスチャ成分及びヒストグラムの一例を示す図である。
【図20】図20は、本発明の実施の形態3に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図21】図21は、実施の形態1〜3に係る画像処理装置をコンピュータシステムに適用した例を示すシステム構成図である。
【図22】図22は、図21に示す本体部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る画像処理装置について、図面を参照しながら説明する。なお、これら実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0015】
以下に説明する実施の形態に係る画像処理装置は、例えば内視鏡やカプセル内視鏡等の医用観察装置により撮像された被検者の生体内画像(消化管内画像)を処理するものであり、具体的には、消化管内画像に映し出された領域のカテゴリを判別(即ち、診断において観察対象となる粘膜領域や、観察が不要な残渣領域を識別)する処理を行う。また、以下の実施の形態において、医用観察装置によって撮像される消化管内画像は、例えば、各画素がR(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に対する画素レベル(画素値)を有するカラー画像である。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、画像処理装置1は、画像取得部11と、入力部12と、表示部13と、記録部14と、演算部15と、画像処理装置1全体の動作を制御する制御部10とを備える。
【0017】
画像取得部11は、医用観察装置によって撮像された消化管内画像の画像データを取得する。画像取得部11は、医用観察装置を含むシステムの態様に応じて適宜構成される。例えば、医用観察装置がカプセル内視鏡であり、医用観察装置との間の画像データの受け渡しに可搬型の記録媒体が使用される場合、画像取得部11は、この記録媒体を着脱自在に装着し、保存された消化管内画像の画像データを読み出すリーダ装置により実現される。また、医用観察装置によって撮像された消化管内画像の画像データを保存しておくサーバを設置する場合、画像取得部11は、サーバと接続される通信装置等により実現され、サーバとの間でデータ通信を行って消化管内画像の画像データを取得する。或いは、画像取得部11を、内視鏡等の医用観察装置からケーブルを介して画像信号を入力するインタフェース装置等で構成しても良い。
【0018】
入力部12は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル、各種スイッチ等の入力デバイスよって実現され、ユーザがこれらの入力デバイスを操作することにより入力された入力信号を制御部10に出力する。
【0019】
表示部13は、LCDやELディスプレイ等の表示装置によって実現され、制御部10の制御の下で、消化管内画像を含む各種画面を表示する。
【0020】
記録部14は、更新記録可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといったICメモリ、内蔵若しくはデータ通信端子で接続されたハードディスク、又は、CD−ROM等の情報記録媒体及びその読取装置等によって実現される。記録部14は、画像取得部11によって取得された消化管内画像の画像データの他、画像処理装置1を動作させると共に、種々の機能を画像処理装置1に実行させるためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等を格納する。具体的には、記録部14は、消化管内画像に含まれる粘膜領域と残渣領域とを判別するための画像処理プログラム141を格納する。
【0021】
演算部15は、CPU等のハードウェアと、そこに読み込まれた画像処理プログラム141とによって実現され、消化管内画像の画像データを処理して粘膜領域と残渣領域とを判別するための種々の演算処理を行う。演算部15は、評価領域設定部16と、テクスチャ成分取得部17と、評価領域におけるテクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出する評価値算出手段としての偏り評価値算出部18と、判別部19とを有する。
【0022】
評価領域設定部16は、消化管内画像から、粘膜領域と残渣領域とを判別する対象である評価領域を設定する。
【0023】
テクスチャ成分取得部17は、評価領域内の消化管内画像から構造成分を除くことにより、テクスチャ成分を取得する。テクスチャ成分の取得方法としては、例えば、モフォロジ(モルフォロジー)のオープニング処理(小畑秀文著、「モルフォロジー」、コロナ社、第82〜85頁参照)が用いられる。
【0024】
図2は、モフォロジのオープニング処理によりテクスチャ成分を取得する方法を説明する図である。モフォロジのオープニング処理においては、まず、2次元画像を構成するxy平面上の各画素の画素値を高度(z軸)とみなした3次元空間における画像Gに対し(図2(a))、構造要素と呼ばれる基準図形Gを、画像Gの画素値の小さい方から外接させながら移動させて、基準図形Gの外周の最大値が通過する軌跡SCを得る(図2(b))。この軌跡SCは、元の画像Gに含まれる構造成分に相当する。さらに、画像Gから軌跡(構造成分)SCを差し引くことにより、テクスチャ成分TCを得ることができる(図2(c))。
【0025】
図3は、粘膜領域からテクスチャ成分を取得したシミュレーション結果を示す。図3に示すように、粘膜領域の画像G(図3(a))から、オープニング処理により得られた構造成分SC(図3(b))を差し引くことにより、粘膜領域のテクスチャ成分TC(図3(c))が取得される。図3(c)に示すように、粘膜領域のテクスチャ成分TCは、比較的均質な性状となる。
【0026】
一方、図4は、残渣領域からテクスチャ成分を取得したシミュレーション結果を示す。図4に示すように、粘膜領域の画像G(図4(a))から、オープニング処理により得られた構造成分SC(図4(b))を差し引くことにより、残渣領域のテクスチャ成分TC(図4(c))が取得される。図4(c)に示すように、残渣領域のテクスチャ成分TCは、凹凸に富んだ非均質な性状となる。
【0027】
なお、テクスチャ成分の取得方法としては、上記説明以外にも、既知の様々な方法を用いることができる。例えば、消化管内画像にフーリエ変換を施し、ハイパスフィルタ処理を行って低周波成分をカットする。それによって得られた画像に逆フーリエ変換を施すことにより、テクスチャ成分を取得しても良い。
【0028】
偏り評価値算出部18は、座標空間上におけるテクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出する。具体的には、偏り評価値算出部18は、座標重心距離算出部181を備える。座標重心距離算出部181は、評価領域の内部において、座標重心と、テクスチャ成分の画素値(輝度)で重み付けした座標重心との間の距離を、均質性を示す評価値として算出する。
【0029】
判別部19は、偏り評価値算出部18により算出された評価値に基づいて、評価領域のカテゴリを判別する。具体的には、判別部19は、評価値がテクスチャ成分の均質性を示す場合、評価領域は粘膜領域であると判別する(図3(c)参照)。一方、判別部19は、評価値がテクスチャ成分の均質性を示さない場合、評価領域は残渣領域であると判別する(図4(c)参照)。評価値がテクスチャ成分の均質性を示すか否かは、当該評価値が所定の範囲に含まれるか否かによって判定される。
【0030】
制御部10は、CPU等のハードウェアによって実現され、記録部14に格納された各種プログラムを読み込むことにより、画像取得部11から入力される画像データや入力部12から入力される操作信号等に従って、画像処理装置1を構成する各部への指示やデータの転送等を行い、画像処理装置1全体の動作を統括的に制御する。
【0031】
次に、画像処理装置1の動作について、図5を参照しながら説明する。図5は、画像処理装置1による粘膜領域と残渣領域とを判別する画像処理の動作を示すフローチャートである。また、以下においては、図6に示す消化管内画像に対する画像処理を例として説明する。図6に示すように、消化管内画像100を含む一連の消化管内画像群には、粘膜領域101を主として、時に残渣領域102や、病変領域103等が映されている。
【0032】
画像処理装置1に取り込まれた消化管内画像群の画像データが記録部14に格納されると、演算部15は、記録部14から処理対象の消化管内画像100を読み出す(ステップS1)。
【0033】
ステップS2において、評価領域設定部16は、消化管内画像100に対して評価領域を設定する。具体的には、評価領域設定部16は、図7に示すように消化管内画像100を複数の矩形領域に分割し、各領域を順次評価領域105に設定する。なお、図7においては消化管内画像100を16個の領域に分割しているが、分割する数や、各領域の大きさ及び形状はこれに限定されず、所望に設定して良い。例えば、1つ又は数画素分の領域を1つの評価領域に設定しても良いし、消化管内画像100全体(即ち、分割しない)を1つの評価領域に設定しても良い。
【0034】
ステップS3において、テクスチャ成分取得部17は、消化管内画像100及び評価領域105を表す情報(例えば、座標情報)を受け取り、評価領域105内の消化管内画像から構造成分106を除去することにより、テクスチャ成分を取得する。
【0035】
ステップS4において、座標重心距離算出部181は、評価領域105におけるテクスチャ成分の均質性を示す評価値(以下、単に「評価値」ともいう)として、評価領域105内部の座標重心と、評価領域105内部をテクスチャ成分の画素値で重み付けした座標重心との間の距離である座標重心距離を算出する。
【0036】
図8は、テクスチャ成分の均質性を示す評価値の算出処理を示すフローチャートである。まず、ステップS11において、座標重心距離算出部181は、評価領域設定部16から、評価領域105を表す情報(例えば、座標情報)を取得すると共に、テクスチャ成分取得部17から評価領域105のテクスチャ成分を取得する。
【0037】
ステップS12において、座標重心距離算出部181は、式(1)を用いて評価領域105内に含まれる画素の座標重心(g,g)を算出する。
【数1】

式(1)において、Xiは評価領域105内に位置するi番目の画素i(x,y)のx座標であり、Yiは評価領域105内に位置するi番目の画素i(x,y)のy座標である。また、Nは評価領域105に含まれる画素の総数である。
【0038】
ステップS13において、座標重心距離算出部181は、式(2)を用いて評価領域105内に含まれる画素をテクスチャ成分の画素値で重み付けした座標重心(G,G)を算出する。
【数2】

式(2)において、Ti(x,y)は、評価領域105内に位置するi番目の画素におけるテクスチャ成分の画素値である。
【0039】
さらに、ステップS14において、ステップS12及びS13の算出結果及び式(3)を用いて、座標重心距離DG-gを算出する。
【数3】

この後、動作はメインルーチンに戻る。
【0040】
ここで、テクスチャ成分が均質である場合、重み付けした座標重心(G,G)は、座標重心(g,g)とほぼ一致するため、座標重心距離DG-gの値は小さくなる。一方、テクスチャ成分が均質でない場合、重み付けした座標重心(G,G)が座標重心(g,g)から離れるため、座標重心距離DG-gの値は大きくなる。
【0041】
座標重心距離算出部181は、上記ステップS11〜S14の処理により算出された座標重心距離DG-gを、テクスチャ成分の均質性を示す評価値として判別部19に出力する。
【0042】
ステップS5において、判別部19は、座標重心距離算出部181により算出された座標重心距離DG-gを評価値として、評価領域105のカテゴリを判別する。具体的には、判別部19は、まず、評価値を予め設定された所定の閾値と比較する。そして、この評価値が所定の閾値より小さい場合、テクスチャ成分は均質であり、評価領域105は粘膜領域であると判別する。一方、評価値が所定の閾値以上である場合、判別部19は、テクスチャ成分は非均質であり、評価領域105は残渣領域であると判別する。さらに、判別部19は、評価領域105の判別結果を出力して表示部13に表示させると共に、この判別結果を記録部14に記録させる(ステップS6)。
【0043】
カテゴリの判別が終了していない評価領域105が残っている場合(ステップS7:No)、動作はステップS2に移行する。一方、全ての評価領域105について判別処理が実行されると(ステップS7:Yes)、消化管内画像100に対する画像処理の動作は終了する。
【0044】
以上説明したように、実施の形態1によれば、評価領域におけるテクスチャ成分の均質性に着目して、評価領域が粘膜領域であるか残渣領域であるかを判別する。従って、様々な大きさや形状を取り得る判別対象領域(評価領域)に対し、処理時間の速いアルゴリズムで、且つ撮影条件に影響されることなく適切にカテゴリを判別することが可能となる。また、実施の形態1によれば、テクスチャ成分の均質性を示す評価値として座標重心距離を算出するので、簡単な演算処理でテクスチャ成分の均質性を判定することが可能となる。
【0045】
(変形例1−1)
評価領域の設定(ステップS2)は、上述した方法以外にも様々な方法で行うことができる。例えば、消化管内画像を色特徴量ごとに分割し(特許文献1参照)、分割された各領域を評価領域としても良い。或いは、動的輪郭法(snakes法)により抽出された閉曲線の内部を1つの評価領域としても良い。動的輪郭法とは、初期値として与えられた閉曲線の形状を変形させながら、閉曲線の連続性や滑らかさ、閉曲線上でのエッジ強度に基づくエネルギー和が最も安定するような閉曲線を抽出するものである(参考:CG−ARTS協会、ディジタル画像処理、p.197〜p.199)。
【0046】
(変形例1−2)
テクスチャ成分の画素値で重み付けした座標重心を算出する際には(ステップS13)、全ての画素を画素値で重み付けするのではなく、所定の条件を満たす画素のみを重み付けしても良い。具体的には、評価領域内における画素値の最大値に対し、所定の割合(例えば50%)以上の画素値を有する画素を重み付けする。或いは、テクスチャ成分の連続分布において画素値がピークとなる画素(即ち、一次微分がゼロ、且つ二次微分が負となる画素)のみに対して重み付けしても良い。それにより、テクスチャ成分が非均質の場合、通常の座標重心(g,g)と重み付けした座標重心(G,G)との乖離がさらに顕著となるので、粘膜領域と残渣領域との判別がより簡単になる。
【0047】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る画像処理装置について説明する。
図9は、実施の形態2に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図9に示す画像処理装置2は、演算部20を備える。演算部20は、評価値算出手段としての偏り評価値算出部21と、偏り評価値算出部21の算出結果に基づいて評価領域のカテゴリを判別する判別部22とを有する。本実施の形態2における演算部20は、評価領域のテクスチャ成分を連続分布から離散分布に変換し、この離散分布に基づいてテクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出することを特徴とする。その他の構成は、図1に示すものと同様である。
【0048】
偏り評価値算出部21は、離散分布算出部211及び均質性評価値算出部212を有する。離散分布算出部211は、連続分布で表されたテクスチャ成分から、複数の離散点からなる離散分布データを生成する。均質性評価値算出部212は、この離散分布データから、テクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出する。判別部22は、この評価値からテクスチャ成分の均質性を判定し、さらに、この判定結果に基づいて、評価領域が粘膜領域であるか又は残渣領域であるかの判別を行う。
【0049】
次に、画像処理装置2の動作について、図10〜図12を参照しながら説明する。図10は、画像処理装置2の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS1〜S3、S6、及びS7の動作は、実施の形態1において説明したものと同様である。
【0050】
ステップS21において、離散分布算出部211は、連続分布で表されたテクスチャ成分から離散分布データを生成する。図11は、粘膜領域におけるテクスチャ成分を表す離散分布データを生成する処理を説明する図である。図12は、残渣領域におけるテクスチャ成分を表す離散分布データを生成する処理を説明する図である。具体的には、離散分布算出部211は、評価領域設定部16から評価領域を表す情報(座標情報)を受け取ると共に、テクスチャ成分取得部17から連続分布で表されたテクスチャ成分を受け取り、評価領域内における画素値の最大値を取得する(図11(a)、図12(a))。
【0051】
続いて、離散分布算出部211は、画素値の最大値に対する所定の割合の値(以下、サンプリング値という)を取得する。図11(a)及び図12(a)においては、一例として、サンプリング値を最大値の50%としている。さらに、離散分布算出部211は、サンプリング値と同じ画素値を有する画素(座標)を抽出し、これらの画素を、離散分布を構成する点(離散点P)として離散分布データを生成する(図11(b)、図12(b))。
【0052】
ステップS22において、均質性評価値算出部212は、離散分布算出部211により生成された離散分布データに基づいて、テクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出する。その際に、均質性評価値算出部212は、所謂空間解析法を用いる。空間解析法は、離散分布データを「分散型」又は「集中型」に分類する方法である。実施の形態2においては、空間解析法の一例として、離散点P間の距離に基づいて離散点Pの分布を解析する最近隣距離法を用いる方法を説明する。
【0053】
まず、図13に示すように、離散分布データを構成する各離散点P(i=1〜n)から最も近い別の離散点までの距離dを求める。そして、これらの距離dの平均である平均最近隣距離Wを、式(4)を用いて算出する。
【数4】

式(4)において、nは離散分布データに含まれる離散点Pの総数である。このようにして算出された平均最近隣距離Wが、テクスチャ成分の均質性を示す評価値として用いられる。
【0054】
図14は、評価領域A1における離散点Pのばらつき(分散又は集中)と、そのときの平均最近隣距離Wとの関係を示す図である。離散点Pが評価領域A1のほぼ1箇所に集中している場合(図14(a))、平均最近隣距離Wは比較的小さい値となる(W=W)。また、離散点Pの集中箇所が増加すると(図14(b))、平均最近隣距離Wは若干大きくなる(W=W>W)。例えば、図14(b)において、離散点Pは評価領域A1の2箇所に集中している。これらの場合の平均最近隣距離の値W、Wは、例えば図12(b)のように、テクスチャ成分の分布が非均一であることを示す。一方、離散点Pが評価領域A1の全体に広がっている場合(図14(c))、平均最近隣距離Wは大きくなる(W=W>W)。このような場合の平均最近隣距離の値Wは、例えば図11(b)のように、テクスチャ成分が均一であることを示す。
【0055】
続くステップS23において、判別部22は、均質性評価値算出部212により算出された評価値(平均最近隣距離W)に基づいて、テクスチャ成分の均質性及び評価領域のカテゴリを判別する。具体的には、判別部22は、式(5)により算出される期待値E[W]を閾値として、評価値の均質性を判定する。式(5)に示す期待値E[W]は、離散分布データにおいて離散点Pがランダムに分布していると仮定した場合の期待値である。
【数5】

式(5)において、kは実験測により得られた係数(定数)であり、Sは評価領域A1の面積である。
【0056】
これより、テクスチャ成分の均質性は以下のように判定される。
W<E[W] :均質である
W≧E[W] :均質でない
【0057】
さらに、判別部21は、テクスチャ成分が均質である場合、評価領域は粘膜領域であると判別する。一方、テクスチャ成分が均質でない場合、評価領域は残渣領域であると判別する。
【0058】
以上説明したように、実施の形態2によれば、テクスチャ成分を表す離散分布データに基づいて、テクスチャ成分の均質性及び評価領域のカテゴリを判別するので、トータルの演算量を低減して、より短時間で判別結果を得ることができる。
【0059】
なお、離散分布データに基づく評価値の算出(ステップS22)は、上述した方法以外にも様々な方法で行うことができる。以下に、離散分布データに基づく評価値の別の算出方法の例を変形例2−1〜2−3として説明する。
【0060】
(変形例2−1)K−関数法による評価値の算出
K−関数法は、最近隣距離法では判別が困難な分布を識別するために開発された方法である。K−関数法による評価値K(h)は、式(6)により算出される。
【数6】

式(6)において、k(h)は離散分布データの各離散点Pから距離hの範囲内に存在する別の離散点の数を示す。例えば、図15の評価領域A2に示すある離散点Pの場合、k(h)=4となる。また、λは、評価領域A2における離散点Pの密度(λ=n/S)である。
【0061】
このような評価値K(h)を用いる場合、テクスチャ分布の均質性の判定及び評価領域のカテゴリの判別は以下のように行われる。
まず、式(7)により、K−関数の期待値E[K(h)]を算出する。
【数7】

ここで、πは円周率である。
【0062】
テクスチャ分布の均質性は、この期待値E[K(h)]を閾値として以下のように判定される。
K(h)<E[K(h)] :均質である
K(h)≧E[K(h)] :均質でない
これより、テクスチャ成分が均質である場合、評価領域は粘膜領域であると判別される。一方、テクスチャ成分が均質でない場合、評価領域は残渣領域と判別される。
【0063】
(変形例2−2)χ検定による評価値の算出
図16に示す評価領域A3について評価する場合、まず、評価領域A3を、形状及び面積の等しい複数の領域(例えば矩形領域)Bに分割することを想定する。評価領域A3に離散点Pが均等に分布していると仮定すると、各領域Bに含まれる離散点Pの生起確率は一定となる。例えば、図16(a)においては、各領域Bに1つの離散点Pが等しい確率で存在している。一方、図16(b)に示すように、離散点Pの分布に偏りがある場合、各領域Bにおける離散点Pの生起確率は異なってくる。従って、離散点Pが均等であると仮定した場合の離散点Pの生起確率と、実際の離散点Pの生起確率との乖離の度合いを求めれば、この乖離の度合いをテクスチャ成分の均質性を示す評価値として利用することができる。
【0064】
χ検定は、j番目の領域Bに離散点Pが入る確率をPRとした場合、該確率による理論値と、n個の離散点Pの実際の分布とが一致するか否かを検定する方法である。χ検定を用いてテクスチャ成分の均質性を判定する際には、全ての領域Bの生起確率PRをPR=1/M(Mは矩形領域Cの数)として、式(8)によりχを算出する。
【数8】

式(8)において、Cはj番目の領域Bに含まれる離散点Pの個数である。また、nは評価領域A3に含まれる離散点Pの総数である。
【0065】
上式(8)により算出されたχが、テクスチャ分布の均質性を示す評価値として用いられる。即ち、χが所定の閾値より小さい場合(即ち、上記乖離の度合いが小さい場合)、テクスチャ分布は均一と判定される。この場合、評価領域は粘膜領域であると判別される。一方、χが所定の閾値以上の場合(即ち、上記乖離の度合いが大きい場合)、テクスチャ成分は非均一であると判定される。この場合、評価領域は残渣領域であると判別される。
【0066】
(変形例2−3)多様度指数による評価値の算出
図16(a)に示すように、評価領域A3に離散点Pが均等に分布している場合、離散点Pを含む領域Bの数が多くなる。一方、図16(b)に示すように、離散点Pの分布に偏りがある場合、離散点Pを含まない領域Bは増加する。従って、複数の領域Bへの離散点Pの分布の度合いを求めれば、この度合いをテクスチャ成分の均質性を示す評価値として利用することができる。
【0067】
複数の領域Bへの離散点Pの分布の度合いを算出する手段としては、例えば多様度指数が用いられる。多様度指数は、群集(N)の中に種類(M)がどの程度豊富に含まれるかを評価する指標である。具体的には、種類(M)として領域Bの個数を用い、式(9)を用いてシンプソン(Simpson)の多様度指数Dを算出する。
【数9】

式(9)において、Cはj番目の領域Bに含まれる離散点Pの個数である。また、nは評価領域A3に含まれる離散点Pの総数である。
【0068】
このような多様度指数Dを用いる場合、テクスチャ分布の均質性の判定及び評価領域のカテゴリの判別は次のように行われる。即ち、多様度指数Dが所定の閾値より大きい場合(即ち、離散点Pの分布が多様である場合)、テクスチャ分布は均一であり、評価領域は粘膜領域であると判別される。一方、多様度指数Dが所定の閾値以下の場合(即ち、離散点Pの分布が偏っている場合)、テクスチャ成分は非均一であり、評価領域は残渣領域であると判別される。
【0069】
或いは、複数の領域Bへの離散点Pの分布の度合いとして、式(10)によるシャノン(Shannon)指数H’を算出しても良い。
【数10】

【0070】
この場合、シャノン指数H’が所定の閾値より大きい場合、テクスチャ分布は均一であり、評価領域は粘膜領域であると判別される。一方、シャノン指数H’が所定の閾値より小さい場合、テクスチャ成分の分布は非均一であり、評価領域は残渣領域であると判別される。
【0071】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る画像処理装置について説明する。
図17は、実施の形態3に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図17に示す画像処理装置3は、演算部30を備える。演算部30は、評価値算出手段としての歪み評価値算出部31と、歪み評価値算出部31の算出結果に基づいて評価領域のカテゴリを判別する判別部32とを有する。その他の構成は、図1に示すものと同様である。
【0072】
歪み評価値算出部31は、評価領域のテクスチャ成分について画素値(強度)の頻度分布を求め、この頻度分布の形状の歪みに基づいて、テクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出する。判別部32は、この評価値からテクスチャ成分の均質性を判定し、さらに、この判定結果に基づいて、評価領域が粘膜領域であるか又は残渣領域であるかの判別を行う。
【0073】
ここで、図18及び図19を参照しながら、実施の形態3におけるカテゴリの判別原理について説明する。図18(a)及び図19(a)において、横軸は、評価領域に含まれる画素のx座標を示し、縦軸は、画素値Iと評価領域における画素値の平均μとの差分I’を示す。また、図18(b)及び図19(b)において、横軸は画素値Iと平均μとの差分I’を示し、縦軸は差分I’の頻度を示す。
【0074】
図18(a)は、粘膜領域のテクスチャ成分の特性を示す。粘膜領域において、テクスチャ成分の画素値は比較的均一になっている。このようなテクスチャ成分についてヒストグラムを作成する場合、ヒストグラムは、平均値(I’=0)を中心に左右対称の歪みの少ない形状となる(図18(b))。一方、図19(a)は、残渣領域のテクスチャ成分の特性を示す。残渣領域において、テクスチャ成分の画素値には大きなバラツキが見られる。このようなテクスチャ成分についてヒストグラムを作成する場合、ヒストグラムに歪みが生じる(図19(b))。そこで、テクスチャ成分の画素値のヒストグラムについての対称性(歪み)を求めることにより、テクスチャ成分の均質性を判定することができ、この均一性に基づいて評価領域が粘膜領域か残渣領域であるかを判別することができる。
【0075】
次に、画像処理装置3の動作について説明する。図20は、画像処理装置3の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS1〜S3、S6、及びS7の動作は、実施の形態1において説明したものと同様である。
【0076】
まず、ステップS31において、歪み評価値算出部31は、テクスチャ成分取得部17からテクスチャ成分を取得し、画素値の頻度分布を算出する。
【0077】
続くステップS32において、歪み評価値算出部31は、式(11)を用い、ステップS31において求めた頻度分布の対称性を示す評価値として、歪度(Skewness)Skを算出する。
【数11】

式(11)において、Iはi番目の画素の画素値であり、μは画素値の平均であり、σは画素値の標準偏差であり、nは画素値の頻度の総和(即ち、画素数)である。
【0078】
歪度Skは、データ(画素値I)が平均値(平均μ)に対して非対称に分布している度合いを示す値である。頻度分布に歪みがない場合(即ち、正規分布)、歪度Skはゼロとなり、歪みが大きくなるほど、歪度Skはゼロから離れる。なお、頻度分布がI’<0側に偏っている場合(例えば、図19(a)に示す場合)、Sk<0となる。一方、頻度分布がI’>0側に偏っている場合、Sk>0となる。
【0079】
ステップS33において、判別部32は、歪み評価値算出部31によって算出された評価値(歪度)に基づいて、テクスチャ成分の均質性及び評価領域のカテゴリを判別する。具体的には、判別部32は、式(11)により算出される歪度Skを予め取得された所定の閾値Thresh1及びThresh2と比較することにより、以下のとおりテクスチャ成分の均質性を判定する。
Thresh1<Sk<Thresh2 :均質である
Thresh1≧Sk、又は、Thresh2≦Sk :均質でない
【0080】
さらに、判別部32は、テクスチャ成分が均質である場合、評価領域は粘膜領域であると判別する。一方、テクスチャ成分が均質でない場合、評価領域は残渣領域であると判別する。
【0081】
以上説明したように、実施の形態3によれば、画素値の頻度分布に基づいて、テクスチャ成分の均質性及び評価領域のカテゴリを判別するので、処理時間の速いアルゴリズムで判別結果を得ることができる。
【0082】
以上の実施の形態1〜3においてそれぞれ説明した画像処理装置1〜3は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。以下、画像処理装置1〜3と同様の機能を有し、記録部14に格納された画像処理プログラム141を実行するコンピュータシステムについて説明する。
【0083】
図21は、コンピュータシステム4を示すシステム構成図である。また、図22は、図21に示す本体部41の構成を示すブロック図である。図21に示すように、コンピュータシステム4は、本体部41と、本体部41からの指示によって表示画面421に画像等の情報を表示するためのディスプレイ42と、このコンピュータシステム4に種々の情報を入力するためのキーボード43と、ディスプレイ42の表示画面421上の任意の位置を指定するためのマウス44とを備える。
【0084】
本体部41は、CPU411と、RAM412と、ROM413と、ハードディスクドライブ(HDD)414と、CD−ROM46を受け入れるCD−ROMドライブ415と、USBメモリ47を着脱可能に接続するUSBポート416と、ディスプレイ42、キーボード43、及びマウス44を接続するI/Oインタフェース417と、ローカルエリアネットワーク又は広域エリアネットワーク(LAN/WAN)N1に接続するためのLANインタフェース418とを備える。
【0085】
さらに、コンピュータシステム4には、インターネット等の公衆回線N3に接続するためのモデム45が接続されるとともに、LANインタフェース418及びローカルエリアネットワーク又は広域エリアネットワークN1を介して、他のコンピュータシステムであるパーソナルコンピュータ(PC)5、サーバ6、プリンタ7等が接続される。
【0086】
コンピュータシステム4は、記録媒体に記録された画像処理プログラム(例えば図1に示す画像処理プログラム141)を読み出して実行することで、実施の形態1〜3において説明した画像処理装置1〜3を実現する。ここで、記録媒体とは、CD−ROM46やUSBメモリ47の他、MOディスクやDVDディスク、フレキシブルディスク(FD)、光磁気ディスク、ICカード等を含む「可搬用の物理媒体」、コンピュータシステム4の内外に備えられるHDD414やRAM412、ROM413等の「固定用の物理媒体」等、コンピュータシステム4によって読み取り可能な画像処理プログラムを記録するあらゆる記録媒体を含む。この意味で、モデム45を介して接続される公衆回線N3や、他のコンピュータシステムであるPC5やサーバ6が接続されるローカルエリアネットワーク又は広域エリアネットワークN1等のように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを記憶する「通信媒体」等も記録媒体に含まれる。なお、画像処理プログラムは、コンピュータシステム4によって実行されることに限定されるものではなく、他のコンピュータシステムであるPC5やサーバ6が画像処理プログラムを実行する場合や、これらが協働して画像処理プログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0087】
なお、本発明は、実施の形態1〜3及び各々の変形例に限定されるものではなく、各実施の形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成できる。例えば、各実施の形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を除外して形成しても良いし、異なる実施の形態や変形例に示した構成要素を適宜組み合わせて形成しても良い。
【符号の説明】
【0088】
1、2、3 画像処理装置
4 コンピュータシステム
5 パーソナルコンピュータ(PC)
6 サーバ
7 プリンタ
10 制御部
11 画像取得部
12 入力部
13 表示部
14 記録部
141 画像処理プログラム
15、20、30 演算部
16 評価領域設定部
17 テクスチャ成分取得部
18 偏り評価値算出部
181 座標重心距離算出部
19、22、32 判別部
21 偏り評価値算出部
211 離散分布算出部
212 均質性評価値算出部
31 歪み評価値算出部
41 本体部
42 ディスプレイ
43 キーボード
44 マウス
45 モデム
47 メモリ
100 消化管内画像
101 粘膜領域
102 残渣領域
103 病変領域
105 評価領域
106 構造成分
415 ドライブ
416 ポート
417 インタフェース
418 インタフェース
421 表示画面
N1 ローカルエリアネットワーク又は広域エリアネットワーク
N3 公衆回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内画像においてカテゴリ判別対象となる評価領域を設定する評価領域設定手段と、
前記評価領域内の生体内画像からテクスチャ成分を取得するテクスチャ成分取得手段と、
前記テクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出する評価値算出手段と、
前記評価値に基づいて、前記評価領域のカテゴリを判別する判別手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記生体内画像は消化管内画像であり、
前記判別手段は、前記評価値が、前記テクスチャ成分が均質であることを示す所定の範囲に含まれる場合、前記評価領域のカテゴリは粘膜領域であると判別することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記評価値算出手段は、座標空間上におけるテクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出する偏り評価値算出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記偏り評価値算出部は、前記評価領域の座標重心と、前記評価領域に含まれる画素を前記テクスチャ成分の画素値で重み付けた重み付け座標重心との間の距離を算出することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記偏り評価値算出部は、前記評価領域の一部の画素を前記テクスチャ成分の画素値で重み付けることにより、前記重み付け座標重心を算出することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記偏り評価値算出部は、前記テクスチャ成分の画素値の最大値に対して所定の割合以上の画素値を有する画素に対して重み付けを行うことにより、前記重み付け座標重心を算出することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記偏り評価値算出部は、
連続分布で表された前記テクスチャ成分から、複数の離散点からなる離散分布データを生成する離散分布算出部と、
前記複数の離散点の座標情報に基づいて、前記評価値を算出する均質性評価値算出部と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記離散分布算出部は、前記テクスチャ成分の画素値の最大値に対して所定の割合の画素値を有する画素を抽出することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記均質性評価値算出部は、前記複数の離散点間の距離に基づいて前記複数の離散点の分布を解析することにより、前記評価値を算出することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記均質性評価値算出部は、各離散点と、各離散点に最も近い別の離散点との間の距離を用いて、前記評価値を算出することを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記均質性評価値算出部は、各離散点と、各離散点から所定の距離の範囲内に含まれる離散点の個数を用いて、前記評価値を算出することを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記均質性評価値算出部は、前記評価領域を形状及び面積が互いに等しい複数の領域にそれぞれ含まれる離散点の数に基づいて、前記評価値を算出することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記均質性評価値算出部は、χ検定を用いて前記評価値を算出することを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記均質性評価値算出部は、群集の中に含まれる種類の多様度を表す多様度指数を用いて前記評価値を算出することを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記評価値算出手段は、前記テクスチャ成分の画素値の頻度分布の歪みに基づいて、前記評価値を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項16】
生体内画像においてカテゴリ判別対象となる評価領域を設定する評価領域設定ステップと、
前記評価領域内の生体内画像からテクスチャ成分を取得するテクスチャ成分取得ステップと、
前記テクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出する評価値算出ステップと、
前記評価値に基づいて、前記評価領域のカテゴリを判別する判別ステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項17】
生体内画像においてカテゴリ判別対象となる評価領域を設定する評価領域設定手順と、
前記評価領域内の生体内画像からテクスチャ成分を取得するテクスチャ成分取得手順と、
前記テクスチャ成分の均質性を示す評価値を算出する評価値算出手順と、
前記評価値に基づいて、前記評価領域のカテゴリを判別する判別手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−115342(P2012−115342A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265795(P2010−265795)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】