説明

画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体

【課題】本発明は、色覚異常者に対する識別性の向上を図った画像処理を行う画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【解決手段】情報処理装置Jsは、領域情報抽出部31が、カラー画像データをオブジェクト毎に領域分類して各領域の該オブジェクトを抽出し、変換要否判定部33が、該オブジェクトの各領域に対して、予め設定された色覚異常者における識別性基準に基づいて、該入力カラー画像データに対してデータ変換を必要とするか否かを判定して、色面積拡大部36が、該データ変換が必要と判定された領域の色部分に対して色覚異常者の識別性を向上させるデータ変換を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、色覚異常者に対する視認性の向上を図った画像処理を行う画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化、情報のカラー化が進んできているが、このような状況の中で、公的、私的にかかわらず、さまざまな出力形態(例えば、液晶表示装置等の電子的出力媒体や用紙、フィルム等の物理的出力媒体等への出力)において、文書画像の強調を行って視覚に強く訴えるために、従来から、画像や文字の強調したい部分の色を他の部分の色と変えて強調することが行われている。このように強調部分にカラーを使用するのは、カラー部分に注目を集めることであるので、カラー部分には重要な情報が含まれる可能性が極めて高いが、カラーの用いられているドキュメントを正確に理解させるためには、カラー部分が適切に識別されることが重要である。
【0003】
ところが、カラーを用いたドキュメントは、重要な情報部分に適切なカラー配色を行うことで、通常の色覚特性を有した人にとっては、カラー部分が強調されて認識されるが、通常とは異なって、赤/緑や黄/青の違いを知覚しづらい、または、知覚できない色覚特性を有した人(以下、色覚異常者という。)がおり、このような色覚異常者にとっては必ずしも適切にカラー部分が強調されて認識されないことがある。そして、このような色覚異常者の割合は、日本人の男性では、5%、女性で、0.2%となっている。
【0004】
そこで、色覚異常者に対する識別性を向上させるために、従来、ドキュメント内から文字列の文字情報、色情報、スタイル情報を抽出し、スタイルが同一で色が異なる文字列があると、スタイルを異なるものに変更する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、従来、表示データのうち色/形状変換するものとしないものとを分類し、色/形状変換するものに分類された表示データの色は、予め定められた色と形状の対応関係に基づいて、所定の形状に変換する技術が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
そして、従来から、色覚異常者に対する視認性を向上させる画像処理方法としては、色変換処理、面形状の変形(ハッチングの実施)、輪郭強調等の画像処理方法が用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来公報に記載されている色覚異常者の色の識別性を向上させる従来技術にあっては、単に、スタイルが同じで色の異なる文字列をスタイルの異なる文字列に変更したり、表示データに色を付ける場合には、予め設定した形状に変換するのみであるため、形状から線同士、面同士の識別は可能だが、線と面では同じ色でも形状が異なるため、対応付けに関しては改良が必要であった。例えば、色変換やハッチングを施すことで色の違いを表現する場合、面積の狭い領域や細い線においては、色を知覚しづらく、色変換の効果を十分発揮させることができなかったり、ハッチングが1パターン分も入らず、ハッチングの違いを識別することができない。その結果、面積の狭い領域や細い線を、同一色の他の領域と対応付けることができず、識別性を向上させる上で、改良の必要があった。
【0008】
そこで、本発明は、オブジェクトに応じて該オブジェクトの色部分の色覚異常者に対する識別性を向上させることのできる画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、入力されるカラー画像データをオブジェクト毎に領域分類して各領域の該オブジェクトを抽出し、該オブジェクトの各領域に対して、予め設定された識別性基準に基づいて、該入力カラー画像データに対してデータ変換を必要とするか否かを判定して、該データ変換が必要と判定された領域の色部分に対して色覚異常者の識別性を向上させるデータ変換を行うことを特徴としている。
【0010】
また、本発明は、前記データ変換対象の色部分が文字であると、文字色と背景色を入れ替えるデータ変換を行い、グラフィックスであると、該グラフィックスの線に対しては、該線を太く、面に対しては、面積を拡大するデータ変換を行うことを特徴としてもよい。
【0011】
さらに、本発明は、文字色と背景色を入れ替えたデータ変換の結果が色覚異常者にとって文字の読みやすさを低下させるフォント種類であると、該文字を太字にデータ変換することを特徴としてもよい。
【0012】
また、本発明は、前記データ変換の要否の判定において、判定対象の前記オブジェクトが文字であると、フォントサイズを前記識別性基準としてデータ変換の要否を判定し、判定対象の前記オブジェクトがグラフィックスであると、該グラフィックスの種類を判定して、該グラフィックスの種類とそのサイズを前記識別性基準としてデータ変換の要否を判定することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、オブジェクトに応じて該オブジェクトの色部分の色覚異常者に対する識別性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例を適用した印刷システムのシステムブロック構成図。
【図2】情報処理装置の画像処理に関する機能ブロック構成図。
【図3】領域情報抽出部による領域抽出処理の説明図。
【図4】変換要否判定部の詳細なブロック構成図。
【図5】フォント情報データベースの一例を示す図。
【図6】グラフィックス情報データベースの一例を示す図。
【図7】色面積拡大部の詳細なブロック構成図。
【図8】基本画像処理を示すフローチャート。
【図9】変換要否判定処理の詳細な処理を含む画像処理を示すフローチャート。
【図10】色面積拡大処理の詳細な処理を含む画像処理を示すフローチャート。
【図11】変換後のグラフィックステーブルの一例を示す図。
【図12】変換後の文字テーブルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0016】
図1〜図12は、本発明の画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の一実施例を適用した印刷システム1のシステムブロック構成図である。
【0017】
図1において、印刷システム(画像処理装置)1は、情報処理装置JsとプリンタPrが有線または無線のネットワークNWで接続されており、ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)等の有線または無線のLAN(Local Area Network)、大規模ネットワーク(WAN:ワイドエリアネットワーク)、あるいは、インターネット等である。なお、画像処理装置としては、図1では、画像処理装置である印刷システム1がネットワークNWで接続された情報処理装置JsとプリンタPrで構成されているが、画像データ処理と出力処理が一体化した複合装置、複写装置等の画像処理装置であってもよい。
【0018】
情報処理装置Jsは、コンピュータ、携帯電話装置、PDA(Personal Digital Assistants )等の携帯情報端末装置等の印刷対象や表示対象の画像データに対して後述する色覚異常者に適した画像処理を施して出力する装置であれば、どのような装置であってもよい。情報処理装置Jsは、コントローラ部10、表示部11、操作部12及びプログラム読み取り部13等を備えており、コントローラ部10は、CPU(Central Processing Unit )21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、ハードディスク(HDD)24及びネットワークインターフェイス25等を備えていて、これら各部がバス26によって接続されている。
【0019】
ROM22は、情報処理装置Jsとしての基本プログラムや本発明の色覚異常者対応画像処理を行う画像処理プログラム等のプログラム及び必要なシステムデータを格納しており、CPU21が、ROM22内のプログラムに基づいてRAM23をワークメモリとして利用しつつ情報処理装置Jsの各部を制御して、情報処理装置Jsとしての基本処理を実行するとともに、本発明の画像処理を実行する。
【0020】
すなわち、情報処理装置Jsは、ROM、EEPROM(ElectricallyErasableandProgrammableReadOnlyMemory)、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(CompactDiscReadOnlyMemory)、CD−RW(CompactDiscRewritable)、DVD(DigitalVersatileDisk)、SD(SecureDigital)カード、MO(Magneto-OpticalDisc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の画像処理方法を実行する画像処理プログラムを読み込んでROM21やハードディスク24に導入することで、後述する色覚異常者に対しても視認性の良好な画像を生成する画像処理方法を実行する情報識別装置として構築されている。この画像処理プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0021】
ハードディスク24は、画像データその他のデータをCPU21の制御下で書き込まれ、読み出される。
【0022】
ネットワークインターフェイス25は、上記ネットワークNWに接続されており、プリンタPrやその他のネットワーク上の機器、例えば、パーソナルコンピュータやその他の情報処理装置、その他のプリンタや複合装置等の画像処理装置との間で、コマンドとデータの授受を行う。
【0023】
表示部11は、例えば、液晶ディスプレイ、タッチパネル付き液晶ディスプレイ等が用いられ、コントローラ10の制御下で、操作部12から入力された各種操作内容や情報処理装置Jsからユーザに通知する各種情報、特に、後述する色覚異常者に対応した画像処理において必要な各種情報を表示出力する。
【0024】
操作部12は、情報処理装置Jsを機能動作させるのに必要な各種ハードキーやタッチパネルに表示される機能キー等を有し、操作内容をコントロール部10に通知する。
【0025】
プログラム読み取り部13は、CD−ROM、フラッシュメモリ、光磁気ディスク等の記憶媒体からプログラムを読み込む。
【0026】
そして、情報処理装置Jsは、プログラム読み取り部13から読み込んだ上記画像処理プログラムをROM22やハードディスク24に導入して実行することで、図2に示すような本発明の画像処理に必要な機能ブロックが構築される。
【0027】
すなわち、情報処理装置Jsは、図2に示すように、領域情報抽出部31、色変換部32、変換要否判定部33、フォント情報データベース34、グラフィックス情報データベース35、色面積拡大部36及び画像合成部37等が構築される。
【0028】
領域情報抽出部(オブジェクト抽出手段)31は、入力されるR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)(以下、単に、RGBという。)のカラー画像データの各領域を、グラフィックス、文字、写真等のオブジェクトの種類によって分類し、各領域の情報をオブジェクトの種類に応じて抽出する。例えば、領域情報抽出部31は、入力画像データのページ記述言語の場合、例えば、図3に示すように、文字やグラフィックスの各領域情報を抽出し、抽出した各領域の情報を、オブジェクト毎に、グラフィックステーブル、文字テーブル等のように領域情報テーブル(グラフィックステーブル)としてまとめる。この場合、文字に関しては、領域情報テーブル(文字テーブル)には、String:文字領域に含まれる文字列、Position:文字領域の位置、FontType:フォントの種類、FontSize:フォントのサイズ、RGBColor:文字の色のRGB値、LabColor:文字の色のLab値、Decorated:装飾の有無、DecoLabColor:装飾の色のLab値、ConvJudge:面積変換の要否、StyleJudge:スタイル変更の要否のような項目が含まれ、グラフィックスに関しては、領域情報テーブルには、GraphicsType:グラフィックスの種類、Position:グラフィックスの位置、Size:グラフィックスのサイズ、RGBColor:グラフィックスの色のRGB値、LabColor:グラフィックスの色のLab値、ConvJudge:面積変換の要否のような項目が含まれる。そして、本実施例の情報処理装置Jsは、写真に関しては、変換を行わないため、領域情報抽出部31は、写真領域については、そのまま出力することのできる形式に変換して、写真領域情報として画像合成部37へ出力する。
【0029】
そして、領域情報抽出部31は、入力画像データから上記各オブジェクトの領域情報を、以下のようにして抽出する。すなわち、領域情報抽出部31は、文字に関しては、まず、ページ記述言語内からString等の文字を描画する記述を探し、該文字を抽出する記述の後の値を文字列として抽出する。領域情報抽出部31は、次に、抽出した文字列から前方を探索し、PositionやFont等の記述を探して、それらの記述の後ろの値を、位置、フォントの種類、サイズ、RGB値の情報として抜き出す。なお、Lab値に関しては、RGB値から後述する色変換部32が算出する。
【0030】
また、領域情報抽出部31は、グラフィックスに関しては、ページ記述言語内からLineやRectFill、Arc等の描画する記述を探し、該記述の種類によってその領域のグラフィックスの種類を判定して記録する。領域情報抽出部31は、さらに、抽出したグラフィックスの種類に応じて位置、サイズを抽出する。例えば、領域情報抽出部31は、記述がLineであれば、その前方を探索し、記述がPosition、setlinewidthであれば、その後方の値を位置、サイズとして記録する。また、領域情報抽出部31は、記述がRectであれば、RectFillの引数の1、2番目の引数を位置として、3、4番目の値からサイズを抜き出す。さらに、領域情報抽出部31は、グラフィックスに関して、RGB値を見つけるために、前方を探索し、グラフィックスの種類に応じて、LineColorやFillColorの後ろの値を抜き出す。なお、Lab値に関しては、文字と同様に色変換部32にて算出する。
【0031】
さらに、領域情報抽出部31は、文字の装飾の有無、装飾の色の抽出に関しては、上記抽出した文字情報の位置、サイズの情報から各文字列が描画されている範囲を取得し、各文字列と重なるグラフィックスの領域が有るか無いかを確認することで、文字に装飾が施されているか否か判断する。例えば、領域情報抽出部31は、文字の範囲と重なるようにグラフィックスRectが存在するような場合は、背景に色が付いているとして処理し、また、文字の範囲と横方向が重なって、縦方向が下端に位置しているグラフィックスLineが存在するような場合は、下線が引かれているとして処理する。領域情報抽出部31は、上述のようにして文字の装飾の有無を確認し、文字の装飾があるときには、その装飾の種類と色を文字テーブルに記載する。なお、ConvJudgeやStyleJudgeは、変換要否判定部33の判定に応じて記録される。
【0032】
なお、グラフィックステーブル及び文字テーブルの項目は、必要に応じて、削除したり、追加することができ、上記記載内容の項目に限定されるものではない。
【0033】
色変換部32は、領域情報抽出部31の抽出したRGBの文字領域情報とグラフィックス領域情報に対して、RGBを反対色信号(Lab信号)に変換して、変換したLabの文字領域情報及びグラフィックス領域情報として変換要否判定部33に出力する。なお、Lab信号は、L(明度:lightness)、a(規格にもとづく色の領域:aが+であると赤、−であると補色の緑)、b(規格にもとづく色の領域:bが+であると黄色、−であると補色の青)で示され、国際標準規格に基づく色のモードで表現できる色の領域が一番大きく、人間の可視範囲をすべて表現することが可能であると言われている。
【0034】
変換要否判定部(判定手段)33は、抽出されたLabの文字領域情報とグラフィックス領域情報に対して色覚異常者の識別性を基準(色覚異常者における識別性基準)として各領域の色覚対応変換の要否を判定する。この変換要否判定部33は、図4に示すように機能ブロック構成されており、標準色設定部41、文字変換判定部42及びグラフィックス変換判定部43等を備えている。
【0035】
標準色設定部41は、オブジェクト毎に分類された領域情報から、グラフィックス及び文字それぞれの標準色(文字標準色、グラフィックス標準色)を設定する。標準色は、黒等の画像データ全体で最も頻繁に出現する色、予め設定されている色、ユーザによって選択指定された色等が用いられ、標準色設定部41は、標準色となっている色領域に関しては、強調、分類の必要が無いと判断して、変換処理の対象としない。
【0036】
文字変換判定部42は、フォント情報データベース34に格納されているフォント情報及び文字標準色情報から各領域の変換の要否を判定し、判定結果の文字変換領域情報を色面積拡大部36に出力する。文字変換判定部42は、標準色と異なるカラーの文字及びサイズがフォント情報に示された既定のサイズに満たない文字については要変換領域(データ変換の必要な領域)と判定し、文字テーブル内のConvJudgeに「1」を記録する。逆に、文字変換判定部42は、標準色と異なるカラーの文字及びサイズがフォント情報に示された既定のサイズ(基準サイズ)に満たない文字以外の文字については、非変換領域(データ変換を必要としない領域)と判定し、文字テーブル内のConvJudgeに「0」を記録する。
【0037】
さらに、文字変換判定部42は、面積変換が必要と判定した領域に関しては、スタイル変更の要否についても判定する。まず、文字変換判定部42は、フォント情報データベース34から、該面積変換が必要と判定した領域に使用されているフォント種類にスタイル変更の指定がある場合には、その内容を文字テーブルに記録し、また、各文字領域の位置情報から隣接する領域の情報を探索して、該隣接領域の背景が文字色と同様の色であると、文字色を変換するように文字テーブルに記録する。例えば、変換対象の文字の隣接文字にマーカーが使用されている場合に、変換対象の文字と背景を入れ替えた上で、文字と背景を背景色相当の明度で隣接領域とは異なる彩度、色相に変更する情報を文字テーブルに記憶する。
【0038】
そして、上記フォント情報データベース34は、例えば、図5に示すようなテーブルとなっており、フォントの種類(Font Type)、そのフォント種類での変換要否を判定するためのサイズの閾値(Size Thresh)及び変換した際にスタイルの変更を必要とするか否かの情報(Style Shift)等が記録されている。例えば、フォント情報データベース34は、明朝では、24ポイント未満の文字に関しては面積変換が必要であり、スタイルをボールドに変更するが示されている。また、フォント情報データベース34は、ゴシックでは、20ポイント未満の文字に関しては面積変換が必要で、Times-Romanであれば、22ポイント未満のサイズの文字に関しては面積変換が必要であり、変換に伴うスタイルの変更は必要としないことが示されている。すなわち、フォント情報データベース34は、明朝のような線の細いフォント種類では、面積変換が必要となるフォントサイズが大きく、ゴシックのような線の太いフォント種類では、フォントサイズがある程度小さくても、面積変換を必要としないこととなっている。
【0039】
グラフィックス変換判定部43は、グラフィックス情報データベース35に格納されているグラフィック情報及びグラフィックス標準色情報から各領域の変換の要否を判定し、判定結果のグラフィックス変換領域情報を色面積拡大部36に出力する。グラフィックス変換判定部43は、標準色と異なるカラーであるグラフィックス及びサイズがグラフィックス情報に示された既定のサイズに満たないグラフィックスについては変換領域と判定し、グラフィックス情報データベース35のConvJudgeに「1」を記録する。逆に、グラフィックス変換判定部43は、標準色と異なるカラーであるグラフィックス及びサイズがグラフィックス情報に示された既定のサイズに満たないグラフィックス以外のグラフィックスについては、非変換領域と判定し、グラフィックステーブル内のConvJudgeに「0」を記録する。
【0040】
上記グラフィックス情報データベース35は、例えば、図6に示すようなテーブルとなっており、グラフィックス種類(Graphics Type)に応じて変換の要否を判定するためのサイズの閾値(Size Thresh)が種類に応じて登録されている。例えば、グラフィックス情報データベース35は、線については、サイズが5未満であれば変換が必要で、Rectについては、{x,y}のどちらかのサイズが10未満であれば、10未満であった方のサイズを変換する必要があることが示されている。
【0041】
色面積拡大部(データ変換手段)36は、変換要否判定部33で変換が必要と判定された領域の色面積を拡大して、変換データを画像合成部37に出力する。この色面積拡大部36は、図7に示すように機能ブロック構成されており、文字色・背景色反転部51、文字スタイル変換部52及び線太さ・面積拡大部53を備えている。
【0042】
文字色・背景色反転部(文字変換手段)51には、変換要否判定部33の文字変換領域情報が入力され、文字色・背景色反転部51は、文字変換領域情報からConvJudgeの情報を読み出して、変換が必要「1」であった場合に、文字色と背景色を反転させる。なお、文字色・背景色反転部51は、文字色を変更する場合、明度をできるだけ維持して彩度、色相を変更し、文字色が白/黒である場合は、彩度、色相を変えることができないので、明度を調整してもよい。また、文字色・背景色反転部51は、上述のように、各文字領域に隣接する隣接領域の背景が文字色と同様の色であると、文字色と背景色を入れ替えた上で、文字と背景を背景色相当の明度で隣接領域とは異なる彩度、色相に変更する。例えば、変換対象の文字の隣接文字に文字色と近似のマーカーが使用されている場合に、変換対象の文字と背景を入れ替えた上で、文字と背景を背景色相当の明度で、マーカーの使われている隣接領域と異なる彩度、色相に変更する。
【0043】
文字スタイル変換部(文字スタイル変換手段)52は、文字変換領域情報からStyleJudgeの情報を読み出し、変更が必要「1」であると、文字スタイルの変更を行う。
【0044】
線太さ・面積拡大部(グラフィックス変換手段)53には、変換要否判定部33のグラフィックス変換領域情報が入力され、線太さ・面積拡大部53は、グラフィックスの変換領域情報からConvJudgeの情報を読み出して、変換が必要であると、線を太く、面積を広く変更する。線太さ・面積拡大部53は、この線の太化変更及び面積拡大変更を、グラフィックステーブルに記録されている該グラフィックス変換情報のSize_Threshの値を超えるようにサイズを変更することで行う。
【0045】
画像合成部37は、領域情報抽出部31で抽出された写真データ、変換要否判定部33で色覚対応変換が不要と判断された文字/グラフィックスの領域データ及び色面積拡大部36からの変換データである文字データ、グラフィックスデータを合成し、合成画像データをRGBに変換して出力データを生成して、最終的にプリンタPrに出力する。
【0046】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の印刷システム1の情報処理装置Jsは、入力画像データのオブジェクトを抽出して、オブジェクト毎に、色変換、スタイル変換、サイズ変換の要否を判定し、色覚異常者にも認識性の良好な画像データに変換する。
【0047】
すなわち、印刷システム1の情報処理装置Jsは、図8に示す基本画像処理に従って画像処理を実行する。すなわち、情報処理装置Jsは、情報処理装置Jsで作成、編集されたり、外部から受信したりした画像データに対して色覚異常者に視認性の良好な画像データの印刷出力が指定操作されると、図8に示すように、まず、領域情報抽出部31で、RGBの入力画像データから文字、グラフィック及び写真の各オブジェクトの種類、位置及びサイズ等の領域情報を、図3に示したように抽出する(ステップS101)。このとき、領域情報抽出部31は、上述のように、文字に関しては、文字の位置、フォントの種類、サイズ、RGB値の情報を抜き出し、グラフィックスに関しては、グラフィックスの種類、該グラフィックスの種類毎の位置、サイズを抽出する。さらに、領域情報抽出部31は、文字の装飾の有無、装飾の色についても、上述のように、抽出する。領域情報抽出部31は、写真領域については、そのまま出力することのできる形式に変換して、写真領域情報として画像合成部37へ出力する。
【0048】
情報処理装置Jsは、領域情報抽出部31の抽出したRGBの文字領域情報とグラフィックス領域情報を、色変換部32で、Lab信号に変換して、Labの文字領域情報及びグラフィックス領域情報として変換要否判定部33に出力する(ステップS102)。
【0049】
情報処理装置Jsは、色変換部32で抽出されたLabの文字領域情報とグラフィックス領域情報に基づいて、変換要否判定部33で、各領域の色覚対応変換の要否を判定し、色覚対応変換が不要と判定した領域については、そのまま画像合成部37へ、色覚対応変換が必要と判定した領域については、色面積拡大部34へ、それぞれ出力する(ステップS103)。
【0050】
情報処理装置Jsは、変換要否判定部33で色覚対応変換が必要と判定された領域に対して、色面積拡大部34で、該領域の色面積を拡大する処理を行い、画像合成部37に出力する(ステップS104)。
【0051】
情報処理装置Jsは、領域情報抽出部31で抽出された写真データ、変換要否判定部33で色覚対応変換が不要と判断された文字/グラフィックスの領域データ及び色面積拡大部36からの変換データである文字データ、グラフィックスデータを画像合成部37で合成し、合成画像データをRGBに変換して出力データを生成して、最終的に、プリンタPrに出力する(ステップS105)。
【0052】
そして、情報処理装置Jsは、上記図8の画像処理のうち、ステップS103の変換要否判定処理を詳細に示すと、図9のように示すことができる。なお、図9において、図8に示した処理ステップと同様の処理ステップについては、同一のステップナンバを付与してその説明を簡略化する。
【0053】
図9において、情報処理装置Jsは、領域情報抽出部31で、RGBの入力画像データから文字、グラフィック及び写真の各オブジェクトの種類、位置及びサイズ等の領域情報を、図3に示したように抽出し(ステップS101)、領域情報抽出部31の抽出したRGBの文字領域情報とグラフィックス領域情報を、色変換部32で、RGBを反対色信号(Lab信号)に変換して、Labの文字領域情報及びグラフィックス領域情報として変換要否判定部33に出力する(ステップS102)。
【0054】
変換要否判定部33は、その標準色設定部41で、オブジェクト毎に分類された領域情報から、グラフィックス及び文字それぞれの標準色(文字標準色、グラフィックス標準色)を設定する(ステップS201)。
【0055】
変換要否判定部33は、その標準色設定部41で標準色設定の完了したグラフィックスの各領域に対して、グラフィックス変換判定部43で、グラフィックス情報データベース35に格納されているグラフィック情報及びグラフィックス標準色情報から各領域の変換の要否を判定し、判定結果のグラフィックス変換領域情報を色面積拡大部36に出力する(ステップS202)。
【0056】
また、変換要否判定部33は、その標準色設定部41で標準色設定の完了した文字の各領域に対して、その文字変換判定部42で、フォント情報データベース34に格納されているフォント情報及び文字標準色情報から各領域の変換の要否を判定し(ステップS203)、さらに、面積変換が必要と判定した領域に関しては、スタイル変更の要否についても判定して、判定結果の文字変換領域情報を色面積拡大部36に出力する(ステップS204)。
【0057】
情報処理装置Jsは、以下、図8の処理と同様に、変換要否判定部33で色覚対応変換が必要と判定された領域に対して、色面積拡大部34で、該領域の色面積を拡大する処理を行って画像合成部37に出力し(ステップS104)、画像合成部37で、領域情報抽出部31で抽出された写真データ、変換要否判定部33で色覚対応変換が不要と判断された文字/グラフィックスの領域データ及び色面積拡大部36からの変換データである文字データ、グラフィックスデータを合成する(ステップS105)。
【0058】
そして、情報処理装置Jsにおける上記図8及び図9の画像処理におけるステップS104の色面積拡大処理をさらに詳細に示すと、図10のように示すことができる。なお、図10において、図8及び図9に示した処理ステップと同様の処理ステップについては、同一のステップナンバを付与してその説明を簡略化する。
【0059】
図10において、情報処理装置Jsは、領域情報抽出部31で、RGBの入力画像データから文字、グラフィック及び写真の各オブジェクトの種類、位置及びサイズ等の領域情報を、図3に示したように抽出し(ステップS101)、領域情報抽出部31の抽出したRGBの文字領域情報とグラフィックス領域情報を、色変換部32で、RGBを反対色信号(Lab信号)に変換して、変換したLabの文字領域情報及びグラフィックス領域情報として変換要否判定部33に出力する(ステップS102)。
【0060】
変換要否判定部33は、その標準色設定部41で、オブジェクト毎に分類された領域情報から、グラフィックス及び文字それぞれの標準色(文字標準色、グラフィックス標準色)を設定する(ステップS201)。
【0061】
変換要否判定部33は、その標準色設定部41で標準色設定の完了したグラフィックスの各領域に対して、グラフィックス変換判定部43で、グラフィックス情報データベース35に格納されているグラフィック情報及びグラフィックス標準色情報から各領域の変換の要否を判定し、判定結果のグラフィックス変換領域情報を色面積拡大部36に出力する(ステップS202)。色面積拡大部36は、その線太さ・面積拡大部53が、グラフィックスの変換領域情報からConvJudgeの情報を読み出して、変換が必要であると、線を太く、面積を広く変更する(ステップS301)。線太さ・面積拡大部53は、この線の太化変更及び面積拡大変更を、上述のように、グラフィックステーブルに記録されている該グラフィックス変換情報のSize_Threshの値を超えるようにサイズを変更することで行う。例えば、図11に変換後のグラフィックステーブルを示すように、IDが「8」のRectの元サイズが、図3に示したように、{12,7}であるため、y方向の幅が最低サイズ「10」を満たしておらず、図11に示すように、線太さ・面積拡大部53は、「7」→「10」に変更して、Rectのサイズを{12,10}と拡大処理を行っている。
【0062】
また、変換要否判定部33は、その標準色設定部41で標準色設定の完了した文字の各領域に対して、その文字変換判定部42で、フォント情報データベース34に格納されているフォント情報及び文字標準色情報から各領域の変換の要否を判定し(ステップS2303)、さらに、面積変換が必要と判定した領域に関しては、スタイル変更の要否についても判定して、判定結果の文字変換領域情報を色面積拡大部36に出力する(ステップS204)。そして、色面積拡大部36は、その文字色・背景色反転部51が、文字変換領域情報からConvJudgeの情報を読み出して、変換が必要「1」であった場合に、文字色と背景色を反転させる(ステップS302)。なお、上述のように、文字色・背景色反転部51は、文字色を変更する場合、明度をできるだけ維持して彩度、色相を変更し、文字色が白/黒である場合は、彩度、色相を変えることができないので、明度を調整してもよい。色面積拡大部36は、さらに、その文字スタイル変換部52が、文字変換領域情報からStyleJudgeの情報を読み出し、変更が必要「1」であると、文字スタイルの変更を行う(ステップS303)。例えば、図12に変換後の文字テーブルを図3に示した変換前の文字テーブルと比較して分かるように、文字色・背景色反転部51は、IDが「11」のSampleに対して、フォントを太字に変更し、背景色の{95,0,0}を文字色に変更しているが、背景色を文字色で塗り替えた際に、隣接領域と色が近似してしまうため、ColorShift(文字色変更)を行って、彩度、色相を変更して{85,-15,10}としている。
【0063】
情報処理装置Jsは、以下、図8の処理と同様に、変換要否判定部33で色覚対応変換が必要と判定された領域に対して、色面積拡大部34で、該領域の色面積を拡大する処理を行って画像合成部37に出力し(ステップS104)、画像合成部37で、領域情報抽出部31で抽出された写真データ、変換要否判定部33で色覚対応変換が不要と判断された文字/グラフィックスの領域データ及び色面積拡大部36からの変換データである文字データ、グラフィックスデータを合成する(ステップS105)。
【0064】
このように、本実施例の印刷システム1は、情報処理装置Jsが、領域情報抽出部31で、カラー画像データをオブジェクト毎に領域分類して各領域の該オブジェクトを抽出し、変換要否判定部33で、該オブジェクトの各領域に対して、予め設定された色覚異常者における識別性基準に基づいて、該入力カラー画像データに対してデータ変換を必要とするか否かを判定して、色面積拡大部36で、該データ変換が必要と判定された領域の色部分に対して色覚異常者の識別性を向上させるデータ変換を行っている。
【0065】
したがって、色覚異常者にとって識別しにくいオブジェクトの色部分に対して色覚異常者の識別性を向上させるデータ変換を行うことができ、色覚異常者にとって、オブジェクトに応じて該オブジェクトの色部分の識別性を向上させることができる。
【0066】
また、本実施例の情報処理装置Jsは、色面積拡大部36が、データ変換対象の色部分が文字であると、文字色と背景色を入れ替えるデータ変換を行う文字色・背景色反転部51と、データ変換対象がグラフィックスであると、該グラフィックスの線に対しては、該線を太く、面に対しては、面積を拡大するデータ変換を行う線太さ・面積拡大部53と、を備えている。
【0067】
したがって、色覚異常者にとって識別しにくい文字及びグラフィックスの色部分に対して、色覚異常者の識別性を適切に向上させるデータ変換を行うことができ、色覚異常者にとって、オブジェクトに応じて該オブジェクトの色部分の識別性をより一層向上させることができる。
【0068】
さらに、本実施例の情報処理装置Jsは、色面積拡大部36が、文字色・背景色反転部51によって文字色と背景色の入れ替えられたデータ変換の結果が色覚異常者にとって文字の読みやすさを低下させるフォント種類であると、該文字を太字にデータ変換する文字スタイル変換部52を備えている。
【0069】
したがって、色覚異常者にとって、文字色と背景色を入れ替えても識別性を向上させることのできない文字と背景の色部分の識別性を向上させることができる。
【0070】
また、本実施例の情報処理装置Jsは、文字スタイル変換部52が、文字色・背景色反転部51によって文字色と背景色の入れ替えられたデータ変換後の背景色が、隣接領域の背景色と同様の色であると、該文字色を該背景色相当の明度であって異なる彩度、色相にデータ変換している。
【0071】
したがって、例えば、変換対象の文字の隣接文字にマーカーが使用されていて、文字色と背景色を入れ替えた背景色が隣接文字の背景であるマーカーの色と同様の色である場合等においても、文字の識別性を向上させることができる。
【0072】
さらに、本実施例の情報処理装置Jsは、変換要否判定部34が、判定対象のオブジェクトが文字であると、フォントサイズを識別性基準としてデータ変換の要否を判定し、判定対象のオブジェクトがグラフィックスであると、該グラフィックスの種類を判定して、該グラフィックスの種類とそのサイズを識別性基準としてデータ変換の要否を判定している。
【0073】
したがって、小さいフォントの文字及び細い線や小さい面積等のグラフィックスを、色覚異常者にとって識別性を向上させるデータ変換することができ、これらの識別性を向上させることができる。
【0074】
また、本実施例の情報処理装置Jsは、変換要否判定部34が、入力カラー画像データにおける所定の標準色と同じ色のオブジェクトの領域に対しては、データ変換を不要と判定している。
【0075】
したがって、画像データ全体で標準的な色として使用されている色(最も頻出する色、所定の色、ユーザによる指定色等)の文字、グラフィックスの領域に関しては、文字色・背景色の入れ替えや線太さ・面積拡大を行わないことで、画像データの画質やユーザの画像データに対する意図を適切に維持しつつ、色覚異常者の識別性を向上させることができる。
【0076】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、色覚異常者にとって視認性の向上を図った画像処理を行うコンピュータ、携帯電話装置、携帯情報端末、複合装置等の画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 印刷システム
Js 情報処理装置
Pr プリンタ
NW ネットワーク
10 コントローラ部
11 表示部
12 操作部
13 プログラム読み取り部
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 ハードディスク(HDD)
25 ネットワークインターフェイス
26 バス
31 領域情報抽出部
32 色変換部
33 変換要否判定部
34 フォント情報データベース
35 グラフィックス情報データベース
36 色面積拡大部
37 画像合成部
41 標準色設定部
42 文字変換判定部
43 グラフィックス変換判定部
51 文字色・背景色反転部
52 文字スタイル変換部
53 線太さ・面積拡大部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開2007−226448号公報
【特許文献2】特開2004−178513号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されるカラー画像データをオブジェクト毎に領域分類して各領域の該オブジェクトを抽出するオブジェクト抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトの各領域に対して、予め設定された色覚異常者における識別性基準に基づいて前記入力カラー画像データに対してデータ変換を必要とするか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段がデータ変換を必要と判定した領域の色部分に対して色覚異常者の識別性を向上させるデータ変換を行うデータ変換手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記データ変換手段は、
前記データ変換対象の色部分が文字であると、文字色と背景色を入れ替えるデータ変換を行う文字変換手段と、
前記データ変換対象がグラフィックスであると、該グラフィックスの線に対しては、該線を太く、面に対しては、面積を拡大するデータ変換を行うグラフィックス変換手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記データ変換手段は、前記文字変換手段が文字色と背景色を入れ替えたデータ変換の結果が色覚異常者にとって文字の読みやすさを低下させるフォント種類であると、該文字を太字にデータ変換する文字スタイル変換手段を、さらに備えていることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記文字スタイル変換手段は、前記文字変換手段が文字色と背景色を入れ替えたデータ変換後の背景色が、隣接領域の背景色と同様の色であると、該文字色を該背景色相当の明度であって異なる彩度、色相のうち少なくとも一方が異なる色にデータ変換することを特徴とする請求項2または請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記判定手段は、判定対象の前記オブジェクトが文字であると、フォントサイズを前記識別性基準としてデータ変換の要否を判定し、判定対象の前記オブジェクトがグラフィックスであると、該グラフィックスの種類を判定して、該グラフィックスの種類とそのサイズを前記識別性基準としてデータ変換の要否を判定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記入力カラー画像データにおける所定の標準色と同じ色のオブジェクトの領域に対しては、前記データ変換を不要と判定することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
入力されるカラー画像データをオブジェクト毎に領域分類して各領域の該オブジェクトを抽出するオブジェクト抽出処理ステップと、
抽出された前記オブジェクトの各領域に対して、予め設定された色覚異常者における識別性基準に基づいて前記入力カラー画像データに対してデータ変換を必要とするか否かを判定する判定処理ステップと、
前記判定処理ステップでデータ変換が必要と判定された領域の色部分に対して色覚異常者の識別性を向上させるデータ変換を行うデータ変換処理ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
入力されるカラー画像データをオブジェクト毎に領域分類して各領域の該オブジェクトを抽出するオブジェクト抽出処理と、
抽出された前記オブジェクトの各領域に対して、予め設定された色覚異常者における識別性基準に基づいて前記入力カラー画像データに対してデータ変換を必要とするか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理でデータ変換が必要と判定された領域の色部分に対して色覚異常者の識別性を向上させるデータ変換を行うデータ変換処理と、
を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項9】
請求項7記載の画像処理プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−188367(P2011−188367A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53470(P2010−53470)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】