説明

画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム

【課題】原稿にひとまとまりの十分な余白領域が無くても容易に電子透かしデータを埋め込むことのできる画像処理装置を提供する。
【解決手段】電子透かしデータを埋め込み可能な画像処理装置において、原稿の印字することができる印字可能領域の周縁部における、印字対象でない周縁余白領域のサイズを算出する周縁余白算出手段と、前記周縁余白算出手段による算出結果に基づいて、前記印字可能領域の印字対象となる印字領域を前記周縁部にシフトする印字領域シフト手段と、前記印字領域シフト手段によるシフト後に新たに形成された周縁余白領域に電子透かしデータを埋め込む埋め込み手段とを備える。印字領域を印字可能領域の周縁部にシフトしてひとまとまりの十分な新たな周縁余白領域を形成し、その新たな周縁余白領域に電子透かしデータを埋め込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムに関し、特に電子透かしデータを埋め込み可能な画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置では、画像データをプリントした用紙や画像データ自体の不正コピーを抑止したり、用紙や画像データの流出元を特定したりするために電子透かしが用いられている。例えば画像データに、出力者の情報を電子透かしとして埋め込むことで、流出経路を追跡することができる。電子透かしは、改竄の有無や真正性を検証するのにも用いられている
このように利用される電子透かしについて、例えば特許文献1には、文字データが無い空白部分を検出して、その空白部分に電子透かしデータを埋め込む技術が記載されている。
【特許文献1】特開2005−38243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記技術では、原稿に十分な空白部分があれば電子透かしデータを埋め込むことは可能であるが、十分な空白部分が存在しない場合がある。このような場合、電子透かしを埋め込むためには、ユーザが画像データを縮小することで空白部分を形成してから、その空白部分に電子透かしデータを埋め込むという煩雑な手順をとっていた。
【0004】
本発明は、このような従来の技術における課題を鑑みてなされたものであり、原稿にひとまとまりの十分な空白部分が無くても容易に電子透かしデータを埋め込むことのできる画像処理装置等を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明の提供する画像処理装置は、電子透かしデータを埋め込み可能であることを前提とし、原稿の印字することができる印字可能領域の周縁部における、印字対象でない周縁余白領域のサイズを算出する周縁余白算出手段と、前記周縁余白算出手段による算出結果に基づいて、前記印字可能領域の印字対象となる印字領域を前記周縁部にシフトする印字領域シフト手段とを備える。
【0006】
周縁余白算出手段は、印刷画像データを視覚的に認知可能なイメージデータ(例えばビットマップデータ)に展開し、そのイメージデータから周縁余白領域のサイズを算出する。この算出結果に基づいて、印字領域シフト手段が印字領域をシフトさせる。例えば、周縁余白算出手段が、上縁部に300pix、左側縁部に250pixの周縁余白部を算出した場合、前記印字領域シフト手段は、印字領域を上方へ300pix、左方へ250pixシフトさせる。これにより、印字可能領域内には、印字領域シフト手段によるシフトの方向と反対方向に新たな周縁余白領域が形成される。
【0007】
また、画像処理装置は、前記印字領域シフト手段によるシフト後に新たに形成された周縁余白領域に電子透かしデータを埋め込む埋め込み手段を備える。この新たな周縁余白領域は、少なくともシフト前と比較すると、ひとつにまとまったより大きな周縁余白領域となっている。この新たな周縁余白領域を利用して、電子透かしデータを埋め込む。
【0008】
以上より、印字可能領域内に、電子透かしデータを埋め込むための一塊のまとまった余白領域がない場合であっても、印字領域を周縁部にシフトさせることで新たな周縁余白領域を形成することができる。したがって、従来のように、ユーザが印刷画像データを縮小させて余白領域を形成するという煩雑な操作をする必要はない。
【0009】
さらに、画像処理装置は、電子透かしデータとして埋め込む、複数のドットから構成されるドットパターンのサイズを算出するパターンサイズ算出手段と、印字可能領域内に前記ドットパターンより大きいサイズの印字対象でない余白領域があるか否かを判定する原稿余白判定手段とをさらに備え、前記原稿余白判定手段により前記余白領域がないと判定された場合にのみ、前記周縁余白算出手段と前記印字領域シフト手段と前記埋め込み手段とを動作させてもよい。
【0010】
パターンサイズ算出手段は、電子透かしデータを視覚的に認知可能なイメージデータ(例えばビットマップデータ)に展開し、そのイメージデータを参照することでサイズを算出する。原稿余白判定手段も同様にして、印刷画像データを例えばビットマップデータに展開してから余白領域があるか否かを判定する。
【0011】
原稿余白判定手段が余白領域がないと判定した場合にのみ、前記周縁余白算出手段と前記印字領域シフト手段と前記埋め込み手段とを動作させる。即ち、原稿余白判定手段が余白領域があると判定した場合には、前記埋め込み手段は前記余白領域に電子透かしデータを埋め込む。
【0012】
他の観点によれば、本発明は、上述の画像処理装置としてコンピュータを機能させるための画像処理プログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上の構成を採用することにより、原稿に十分な余白部分がなくても、ユーザに煩雑な手続きの負担をかけることなく、容易に電子透かしデータを埋め込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態における画像処理システムの全体構成の簡略図である。
【0015】
本発明は、例えばプリンタ102や複合機103などの印刷装置101とネットワーク104を介して接続されたコンピュータ100及びそのコンピュータ100上で動作する画像処理プログラムとして具体化される。コンピュータ100は、例えばパーソナルコンピュータやサーバなどの一般的な汎用コンピュータを用いることが出来る。このコンピュータ100が、電子透かしを生成して、電子透かしを印刷画像データに埋め込む。そして、コンピュータ100は、電子透かしが埋め込まれた印刷画像データを印刷装置に出力する。印刷装置101は、取得した電子透かし入り印刷画像データに基づいて、電子透かしが埋め込まれた印刷画像を用紙に印刷する。
【0016】
本実施形態では、電子透かしとして埋め込まれるデータは、ドットパターン(複数のドットから構成され、地紋パターン、地紋タイルともいう。)として印字される地紋画像データとなっている。印刷画像を印刷した用紙が流出しても、ドットパターンに埋め込まれた追跡情報により、流出源を特定することができ、結果的に不正流出が抑止される。
【0017】
図2は、画像処理に用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ100は、CPU201やバス202を有する。CPU201はバス202を通じてROM203やRAM204と接続される。ROM203に記憶されたプログラムの指令にしたがってコンピュータ102が起動すると、CPU201はRAM204上でOS205の一部または全部を動作させる。また、RAM204には、ユーザの入力に基づき、印刷画像データ210や地紋画像データ211のファイルが格納される。
【0018】
バス202には、入力装置206や表示装置207、通信インターフェイス208も接続されている。入力装置206には、マウスやトラックボールのようなカーソルデバイスや、キーボードを用いることができる。表示装置207には、液晶ディスプレイやCRTディスプレイを用いることができる。通信インターフェイス208は、ネットワーク104にコンピュータ100を接続する。
【0019】
さらにバス202には、記憶装置の一つとして、HDD209も接続されている。HDD209は、コンピュータ100を画像処理装置として機能させるための、印刷画像データ210の処理を実行する画像処理プログラム212のファイルを格納している。CPU201は、バス202を介して画像処理プログラム212をHDD209から読み出し、そのプログラム212の指令に従って印刷画像データ210の処理を実行する。この処理には、前記地紋画像データ211を印刷画像データ210に埋め込む処理も含まれる。
【0020】
さらに、HDD209は、画像処理プログラム212のファイルのほか、プリンタドライバ213のファイルも格納している。プリンタドライバ213のファイルは、コンピュータ100のユーザが用いる印刷装置101に応じて予めHDD209に格納され、ユーザによる印刷指示を受けると呼び出される。プリンタドライバ213は、対応する印刷装置101が処理可能な形式にデータを変換し、その印刷データをその印刷装置101に出力する。例えばネットワーク104を通じ、その印刷データをプリンタ105が受信すると、プリンタコントローラ215の制御にしたがってプリンタエンジン216がそのデータを用紙に印刷する。
【0021】
以上のように、コンピュータ100は、画像処理プログラム212やプリンタドライバ213の指令にしたがって、ROM203やHDD209上のファイルに対して入出力を行い、ROM203に格納された印刷画像データを処理する画像処理装置として機能する。
【0022】
図3は、地紋データのデータ構成の一例を示す図である。地紋データは、流出元を特定するための出力者の情報であって、ユーザによって前記入力装置から入力される。地紋データ301としては、ネットワークを介してデータを送受信するのに必要なコンピュータ固有のアドレス(例えばMAC(Media Access Control)アドレス、IPアドレス)、ネットワーク上でコンピュータに付与されるホスト名、印刷日時、文書名、ユーザ定義(例えばユーザのコード又は氏名など)等を用いることができる。ユーザは、必ずしもこれらの地紋データ301の全ての項目を入力する必要は無く、所望のデータ項目に限定して入力してもよい。この地紋データを基に、地紋画像データ(すなわち複数のドットからなるドットパターン)が生成される。
【0023】
図4は、印刷画像データが前記印字可能領域に出力された状態のイメージ画像を示す図である。印刷画像データは、ユーザによって前記入力装置から入力される。例えば図4に示すように、本実施形態の印字可能領域401は、原稿の印字面全域に渡っており、印字対象となる印字領域402(すなわち、印字される予定の領域)と印字対象とならない余白領域403(すなわち、印字されない予定の領域)とで構成される。なお、余白領域403の形状は、ドットパターンと同様に正方形(用紙縦方向の長さと用紙横方向の長さとの積)に設定される。図4では、500pix(縦)×500pix(横)のサイズの余白領域403が形成される。
【0024】
次に、印刷画像データを処理するための具体的な各手段について説明する。以下に示す各手段は、CPU201がプログラムを実行することによって動作する。
【0025】
図5は画像処理装置の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。図6は、図4と同様、印刷画像データが前記印字可能領域に出力された状態のイメージ画像を示す図である。コンピュータ100は、地紋データ受付部501、地紋画像データ生成部502、地紋画像データ記憶部503、パターンサイズ算出部504を備えている。
【0026】
地紋データ受付部501は、ユーザによって入力装置から設定された地紋データを受け付ける。
【0027】
地紋画像データ生成部502は、ユーザが入力した地紋データに基づいて、地紋画像データを生成する。上述のように、地紋データ401のデータ量が大きい場合には、優先度の高い地紋データ401を抽出して、抽出した地紋データ401に基づいて地紋画像データを生成する。生成された地紋画像データは、地紋画像データ記憶部503に記憶される。
【0028】
パターンサイズ算出部504は、前記地紋画像データに基づいて、地紋として埋め込まれるドットパターンのサイズを算出する。具体的には、地紋画像データ記憶部503から地紋画像データを読み出し展開する。この実施形態では、ドットパターンを所定形状にならんだ点(ドット)の集合として表現するビットマップデータが用いられる。続いて、このビットマップデータのイメージ画像を参照して、ドットパターン1単位のサイズを算出する。ドットパターンの形状はユーザによって予め設定される。本実施形態のドットパターンは正方形に設定され、縦方向の長さと横方向の長さ(例えば400pix(縦)×400pix(横))により求められる。
【0029】
また、コンピュータ100は、印刷画像データ受付部505、印刷画像データ記憶部506、余白判定部507、周縁余白検出部508、周縁余白算出部509、印字領域シフト部510を備える。
【0030】
印刷画像データ受付部505は、上述のように、ユーザによって入力装置から入力された印刷画像データを受け付け、受け付けた印刷画像データを印刷画像データ記憶部502に記憶する。
【0031】
余白判定部507は、原稿の印字することができる印字可能領域内に前記ドットパターンより大きいサイズの印字対象でない余白領域があるか否かを判定する。具体的には、まず、印刷画像データ記憶部502から印刷画像データを読み出し、例えばビットマップデータに展開し、このビットマップデータのイメージ画像を参照して、ドットパターンのサイズより大きい余白領域(すなわち、ドットが打たれていない領域)があるか否かを判定する。
【0032】
例えば図4では、ドットパターンのサイズ(400pix(縦)×400pix(横)より大きい余白領域(500pix(縦)×500pix(横)があると判定される。これに対して、例えば図6では、ドットパターンのサイズより大きい余白領域はないと判定される。
【0033】
周縁余白検出部308は、印字可能領域の周縁部における、印字対象でない周縁余白領域があるか否かを検出する。印字可能領域の周縁部とは、図6に示すように、上下左右の周縁部601、すなわち上縁部601a、下縁部601b、左側縁部601c、右側縁部601dとで構成される。本実施形態の周縁余白検出部508は、前記余白判定部507によってドットパターンより大きいサイズの余白領域503がないと判定された場合にのみ検出する。したがって、図4に示すようにドットパターン以上の余白領域403がある場合は、周縁余白検出部508は動作しない。他方、図6に示すようにドットパターン以上の余白領域がない場合には、周縁余白検出部308は動作する。周縁余白検出部308は、前記余白判定部による判定方法と同様に、印刷画像データをビットマップデータに展開し、そのビットマップデータを参照することで周縁余白領域602があるか否かを検出する。この検出は、上縁部601a、下縁部601b、左側縁部601c、右側縁部601d毎にそれぞれ行われる。例えば上縁部601aについては、印字可能領域401の上縁部601aに印字領域502があるか否かによって検出される。図6では、印字可能領域401の上縁部601a、下縁部601b、左側縁部601c、右側縁部601dの全てにおいて周縁余白領域602が検出される。
【0034】
周縁余白算出部509は、周縁余白検出部508により周縁余白領域602が検出された場合、その周縁余白領域602のサイズを算出する。この算出は、上縁部601a、下縁部601b、左側縁部601c、右側縁部601d毎に行われる。具体的には、上縁部601aと下縁部601bについては用紙縦方向の長さ、左側縁部601cと右側縁部601dについては用紙横方向の長さが求められる。例えば、印刷可能領域401の上端から300pix離れた箇所に印字領域402が位置する場合には、上縁部601aの周縁余白領域602は300pix(縦方向)と算出される。例えば、図6では、上縁部601aには300pix(縦方向)、下縁部601bには200pix(縦方向)、両側縁部601c、601dにはそれぞれ250pix(横方向)の周縁余白領域602が算出される。
【0035】
印字領域シフト部510は、周縁余白算出部509による算出結果に基づいて、印字領域402を原稿の周縁部604にシフトする。すなわち、周縁余白算出部509から周縁余白領域602のサイズ情報を取得し、取得したサイズ情報に従って印字領域402をシフトする。
【0036】
例えば図6では、上縁部601aに300pix、左側縁部601cに250pixの周縁余白領域602があるので、上方向へ300pix、左方向へ250pixだけ印字領域502をシフトさせることができる。このシフトにより周縁余白領域が新たに形成される。
【0037】
図7は、印刷画像データがシフトされた状態のイメージ画像を示す図である。印字可能領域501内におけるシフト方向と反対方向の周縁部601(図6では、下縁部601b、右側縁部601d)にまとまった新たな周縁余白領域701が形成される。このシフト後の新たな周縁余白領域701は、少なくともシフト前の周縁余白領域602と比較すると、上下左右の周縁余白領域602が一つにまとまって大きく形成される。
【0038】
さらに、コンピュータ100は、地紋埋め込み部311、合成画像出力部312を備える。
【0039】
地紋埋め込み部311は、シフト後の新たに形成された余白領域505に地紋画像データを埋め込み、印刷画像に地紋画像が埋め込まれた合成画像データを生成する。ただし、必要に応じて画像全面に埋め込んでも良い。
【0040】
合成画像データ出力部312は、前記合成画像データを、例えばプリンタ102に出力する。具体的には、ユーザがアプリケーションソフトから印刷を実行すると、OSからの処理の要求を受けたプリンタドライバが、対応するプリンタが処理可能な形式に合成画像データを変換し、変換した合成画像データをそのプリンタに出力する。
【0041】
以下、コンピュータが地紋を埋め込む処理手順について説明する。図6は、本実施形態のコンピュータが地紋を埋め込む処理手順を示すフローチャートである。
【0042】
ユーザの入力によって印刷画像データを受け付けると(S1)、その印刷画像データを印刷画像データ記憶部に記憶する(S2)。そして、印刷画像データをビットマップデータに展開して、印字可能領域内の余白領域のサイズを算出する(S3)。
【0043】
次に、ユーザの入力によって地紋データを受け付けると(S4)、その地紋データから地紋画像データを生成するとともに(S5)、一時的に地紋画像データ記憶部に記憶する(S6)。そして、地紋画像データを参照して、地紋として埋め込むドットパターンのサイズを算出する(S7)
続いて、S7で求めたドットパターンのサイズとS3で求めた余白領域のサイズとを比較し、ドットパターンのサイズ以上の余白領域があるか否かを判定する(S8)。ドットパターン以上の余白領域があると判定された場合(S8の判定がYESの場合)、その余白領域に地紋を埋め込む(S9)。
【0044】
これに対して、ドットパターン以上の大きさの余白領域がないと判定された場合(S8の判定がNOの場合)は、続いて印字可能領域内に周縁余白領域があるかを検出する(S10)。
【0045】
周縁余白領域が検出されると(S10の判定がYESの場合)、その周縁余白領域のサイズを算出する(S11)。そして、印字領域シフト部が、周縁余白領域のサイズに基づいて、印字領域を原稿印字面の周縁部にシフトさせる(S12)。このシフトにより、シフト方向と反対方向にまとまった新たな周縁余白領域が形成される。
【0046】
続いて、地紋埋め込み部が、新たな余白領域に地紋画像データを埋め込み、印刷画像データと地紋画像データとを合成した地紋入りの合成画像データを生成する(S13)。
【0047】
なお、S10で周縁余白領域が検出されなかった場合(S10の判定がNOの場合)、例えば印刷を停止し、埋め込み領域の確保を促すメッセージをプリンタドライバ画面に出力する。ユーザが地紋入りの印刷画像データを出力させたい場合には、例えば印字領域を縮小することで余白領域を形成し、その余白領域に地紋を埋め込む。
【0048】
以上のように、本実施の形態における画像処理装置では、地紋を埋め込む余白領域がない場合であっても、印字領域を周縁部にシフトさせることで新たな周縁余白領域を形成する。新たな周縁余白領域はシフト前よりもまとまって形成され、煩雑な手順をふまなくても地紋を埋め込むのに必要な余白領域を容易に確保することができる。
【0049】
上述の実施の形態で利用した画像処理プログラムは、インターネットなどの電気通信回線を用いたり、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納したりすることで、関係者や第三者に提供することができる。例えばプログラムの指令を電気信号や光信号、磁気信号などで表現し、その信号を搬送波に載せて送信することで、同軸ケーブルや銅線、光ファイバのような伝送媒体でそのプログラムを提供することができる。またコンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROMやCD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RWなどの光学メディアや、フレキシブルディスクのような磁気メディア、フラッシュメモリやRAMのような半導体メモリを利用することができる。
【0050】
また上述した実施の形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る画像処理装置等によれば、地紋を埋め込むための十分な余白領域がなくても新たな余白領域を形成することができ、コンピュータや、コンピュータプログラムなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施の形態における画像処理システムの全体構成の簡略図。
【図2】本実施の形態におけるコンピュータの機械的構成図。
【図3】地紋データファイルのデータ構成図。
【図4】印刷画像データが出力される状態のイメージ画像を示す図。
【図5】本実施の形態におけるコンピュータの機能ブロック図。
【図6】印刷画像データが出力される状態のイメージ画像を示す図。
【図7】印刷画像データがシフト後に出力される状態のイメージ画像を示す図。
【図8】本実施の形態におけるコンピュータの画像処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0053】
100 コンピュータ
101 印刷装置
102 プリンタ
103 複合機
210 印刷画像データ
211 地紋画像データ
212 画像処理プログラム
213 プリンタドライバ
501 地紋データ受付部
502 地紋画像データ生成部
503 地紋画像データ記憶部
504 パターンサイズ算出部
505 印刷画像データ受付部
506 印刷画像データ記憶部
507 余白領域判定部
508 周縁余白領域検出部
509 周縁余白領域算出部
510 印字領域シフト部
511 地紋埋め込み部
512 合成画像データ出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子透かしデータを埋め込み可能な画像処理装置であって、
原稿の印字することができる印字可能領域の周縁部における、印字対象でない周縁余白領域のサイズを算出する周縁余白算出手段と、
前記周縁余白算出手段による算出結果に基づいて、前記印字可能領域の印字対象となる印字領域を前記周縁部にシフトする印字領域シフト手段と、
前記印字領域シフト手段によるシフト後に新たに形成された周縁余白領域に電子透かしデータを埋め込む埋め込み手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
電子透かしデータとして埋め込む、複数のドットから構成されるドットパターンのサイズを算出するパターンサイズ算出手段と、
印字可能領域内に前記ドットパターンより大きいサイズの印字対象でない余白領域があるか否かを判定する余白判定手段と、をさらに備え、
前記余白判定手段により前記ドットパターンより大きい余白領域がないと判定された場合にのみ、前記周縁余白算出手段と前記印字領域シフト手段と前記埋め込み手段とを動作させる
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置としてコンピュータを機能させるための画像処理プログラム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像処理装置としてコンピュータを機能させるための画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項5】
原稿の印字することができる印字可能領域の周縁部における、印字対象でない周縁余白領域のサイズを算出する算出ステップと、
前記印字可能領域の印字対象となる印字領域を前記周縁部にシフトするシフトステップと、
前記シフトステップにおいてシフトされた後に新たに形成された周縁余白領域に電子透かしデータを埋め込むステップと
を備える画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−235967(P2008−235967A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68184(P2007−68184)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】