説明

画像処理装置、画像処理方法およびプログラム

【課題】適切タイミングで電力モードをコントロールすることができ、ユーザへの利便性と省電力性とを両立させることができる画像処理装置を提供すること。
【解決手段】移行指令を時計回路部から検知するサブ制御部と、メイン制御部への電源の供給を停止する第一省電力モードと、メイン制御部およびネットワーク制御部への電力の供給を停止する第二省電力モードとを切り替えるモード切替部とを備え、メイン制御部は第一省電力モードに移行する時に移行情報をサブ制御部に送信し、時計回路部は比較に基づいて現在時刻が時刻情報で指定される時刻になったと判定した場合に移行指令をサブ制御部に送信し、サブ制御部は第一省電力モードの間において移行指令を検知した場合に移行情報に応じて第一省電力モードから通常モードへの移行と、第一省電力モードから第二省電力モードへの移行とをモード切替部に切り替えさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力モードを有する画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、待機時の消費電力を抑えるための省電力モードを備える画像処理装置が知られている。このような画像処理装置の一例として、メインCPUと、サブCPUとを備えるシステムがある。このようなシステムでは、省電力モード中においては、メインCPUを省電力モードにするか、もしくは電力供給を行わない状態とし、消費電力が小さいサブCPUには通常の電力供給を行ったままの状態で省電力モードからの復帰要因を監視しつつ待機することが一般的である。
【0003】
また、ネットワーク機能を持つ情報処理システムでは、ネットワーク処理専用のCPU(ネットワークCPU)が用いられることもある。ネットワークCPUは高性能であることが求められることが多く、それゆえ消費電力も高い。よって省電力モード中には、ネットワークCPUをスタンバイモードにするか、もしくは電力供給を行わないようにすると共に、省電力モードにおいても自装置に対するネットワーク上のパケットを処理するためにより消費電力が小さいネットワーク用サブCPUやそれに相当するデバイスを用いて実現される。
【0004】
省電力モードから通常状態の復帰要因としては前記の特定ネットワークパケットの受信やFAX受信、キー操作、予約されたジョブ等が挙げられる。予約されたジョブとは例えば指定された時刻にFAX送信を行う時刻指定操作等がある。従来使用されるサブCPUは低機能のものが多く、サブCPU単体で指定時刻に処理を行うといった処理が困難の場合が多い。よって省電力モード中においても予約されたジョブで起動するためには、タイマ機能を持つRTC(Real Time Clock)を用いられる場合がある。
【0005】
例えば、特許文献1の技術では、省電力モード(省電力状態)では、ネットワーク(PHY)の電源が落とされている。そして、RTCは、収集開始時刻になると、省電力コントローラに割り込み信号を出力し、省電力信号に基づいてネットワーク(PHY)の電源がONにされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−165108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、省電力モード中においては少なくともサブCPUとネットワーク用サブCPUに対して電力供給が必要となるが、殊にほとんどネットワークが使用されないことが想定される休日や夜間の状況下においては、ネットワークパケットに対する処理はない。このためこのような状況下においては前記の省電力モードにおけるネットワーク用サブCPUに対する供給電力は無駄なものとなってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、適切タイミングで電力モードをコントロールすることができ、ユーザへの利便性と省電力性とを両立させることができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係る画像処理装置は、ネットワークに接続されるネットワーク制御部と、前記ネットワーク制御部を制御するメイン制御部と、予め設定された時刻情報を記憶し、かつ、時刻を計測し、記憶した前記時刻情報と計測した時刻とを比較して当該比較に結果に基づいて電力モードの移行のトリガーとなる移行指令を出力する時計回路部と、移行すべき電力モードを示す移行情報を記憶し、前記移行指令を前記時計回路部から検知するサブ制御部と、前記メイン制御部への電源の供給を停止する第一省電力モードと、前記メイン制御部および前記ネットワーク制御部への電力の供給を停止する第二省電力モードとを切り替えるモード切替部とを備え、前記メイン制御部は、前記第一省電力モードに移行する時に、前記移行情報を前記サブ制御部に送信し、前記時計回路部は、前記比較に基づいて現在時刻が前記時刻情報で指定される時刻になったと判定した場合に、前記移行指令を前記サブ制御部に送信し、前記サブ制御部は、前記第一省電力モードの間において前記移行指令を検知した場合に、前記移行情報に応じて、前記第一省電力モードから通常モードへの移行と、前記第一省電力モードから前記第二省電力モードへの移行とを前記モード切替部に切り替えさせることにより選択的に制御する。
【0010】
これによれば、休日や夜間などネットワークでの通信が行われない環境の時刻が予め設定されており、当該時刻になれば、第一省電力モードから第一省電力モードより消費電力が小さい第二省電力モードへ移行し、ネットワーク制御への通電をオフにして、消費電力を抑えることができる。
【0011】
また、前記メイン制御部は、時刻が指定された予約ジョブがある場合には、通常モードへの移行を示す通常移行情報を前記サブ制御部に設定し、かつ、前記予約ジョブにより指定される時刻情報を前記時計回路部に設定し、時刻が予定された予約ジョブがない場合には、前記第二省電力モードへの移行を示す第二省電力移行情報を前記サブ制御部に設定し、かつ、予め設定された前記第二省電力モードへの移行時刻情報を前記時計回路部に設定することが好ましい。
【0012】
また、さらに、ファクシミリ呼出信号を検出するファクシミリ通信部を備え、前記ファクシミリ通信部は、前記第一省電力モードおよび前記第二省電力モードにおいても電源が供給され、前記サブ制御部は、前記ファクシミリ通信部が検出するファクシミリ呼出信号が前記サブ制御部に入力された場合に、前記メイン制御部を前記通常モードに復帰させることが好ましい。
【0013】
また、さらに、前記第一省電力モードおよび前記第二省電力モードのいずれにおいても、電力が供給されるキー操作部を備え、前記サブ制御部は、ユーザにより前記キー操作部からのキー操作信号が前記サブ制御部に入力された場合に、前記メイン制御部を前記通常モードに復帰させることが好ましい。
【0014】
これによれば、予約ジョブ(例えば、時刻指定ファクシミリ送信)がある場合には、設定された時刻になれば、通常モードに移行し、予約ジョブを実行できる。また、ファクシミリ呼出信号の受信またはキー操作部のキー操作があれば、第二省電力モードから通常モードへ復帰できる。
【0015】
また、本発明は、このような画像処理装置として実現できるだけでなく、画像処理装置が備える特徴的な処理部のそれぞれの動作をステップとして方法として実現することもでき、また、本発明は、各処理部の処理を行う集積回路として実現することもできる。さらに、本発明は、コンピュータに上記各ステップを実行させるためのプログラムとして実現することもできる。そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体またはインターネット等の伝送媒体を介して配信することもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る画像処理装置によれば、予め設定された時刻になれば第一省電力モードよりも消費電力が小さい第二省電力モードに移行させることができ、消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置を含む情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【図2】本実施の形態に係るネットワーク複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る画像処理装置の電力モード移行処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る画像処理装置の構成の概要について説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置100を含む情報処理システム200の構成の一例を示す図である。
【0021】
同図に示すように、このワークフローシステムは、ネットワーク複合機1および2、情報端末3および4、PSTN(Public Switched Telephone Networks:公衆電話交換回線網)5、並びにLAN(Local Area Network)6から構成される。
【0022】
情報端末3、4は、本実施の形態における情報処理装置として機能するコンピュータである。情報端末3、4は、本実施の形態では、ネットワーク複合機1、2を利用するユーザが使用するパーソナルコンピュータである。
【0023】
ネットワーク複合機1は、スキャナで読み取った書類を、例えば、PSTN5を介してネットワーク複合機2へファクシミリ送信すること、LAN6を介して情報端末3および4へ送信すること、内蔵されるプリンタでプリントアウトすること等ができる。
【0024】
図2は、本実施の形態に係るネットワーク複合機1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0025】
同図に示すように、ネットワーク複合機1は、メインCPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、システムLSI(Large Scale Integration)13、モデム14、ネットワークCPU15、サブネットワークCPU16、PHY(物理層)17、電源制御部18、サブCPU19、RTC20、スキャナ部21、プリンタ部22、NCU(Network Control Unit)23、および操作パネル24を備えている。
【0026】
メインCPU10は、ROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、ネットワーク複合機1の全体を制御する。
【0027】
RAM11は、CPU10が制御プログラムを実行する際に用いられるワークデータ、およびスキャナ部21から得られた画像データ等を保持する読み書き可能なメモリである。
【0028】
ROM12は、CPU10が実行する制御プログラムを保持する読み出し専用メモリである。
【0029】
システムLSI13は、メインCPU10、RAM11、およびROM12と、ネットワークCPU15、スキャナ部21、およびプリンタ部22との間のデータの送受信を管理する。
【0030】
モデム14は、RAM11に保持された画像データ等をファクシミリ信号に変調して送信し、また外部から受信されたファクシミリ信号をラインデータに復調する。モデム14は、例えばG3規格に準拠したファックスモデムである。
【0031】
ネットワークCPU15は、LANI/F等のネットワークI/Fと接続され、主にネットワークからのパケット処理を行うCPUである。
【0032】
サブネットワークCPU16は、省電力状態においてネットワーク上のパケット処理を行う、ネットワークCPUよりも消費電力の少ないCPUである。
【0033】
PHY17は、本実施形態では、Ethernet(登録商標)規格のLANI/Fであって、ネットワーク複合機1とLANとを接続する通信アダプタである。
【0034】
電源制御部18は、サブCPU19の制御下で、各機器への電源供給のON/OFFを行う。電源制御部18は、サブCPU19の指令に基づいて、電力モードとしてオフモードと、スリープモードと、通常モードとを切り替える。オフモードは、VCC1電源端子からの電力をサブCPU19のみに供給する電力モードである。スリープモードは、VCC1電源端子にVCC2電源端子を接続することにより、サブCPU19に加えて、サブネットワークCPU16と、PHY17とに電源供給する電力モードである。通常モードは、スリープモードにさらにVCC1電源端子にVCC3電源端子を接続することにより、サブCPU19、サブネットワークCPU16、およびPHY17に加えて、メインCPU10、RAM11、ROM12、システムLSI13、モデム14、およびネットワークCPU15に電源供給する電力モードである。なお、スリープモードは、第一省電力モードであり、オフモードはスリープモードよりも電力消費量の少ない第二省電力モードである。
【0035】
サブCPU19は、電源制御部18に指令を出して、機器全体の電源制御を行う。つまり、電力モードの切替を電源制御部18に行わせる。この電源制御についての詳細は、後述する。
【0036】
RTC20は、予め設定された時刻(以下、「設定時刻」という)を記憶しており、時刻を計測することにより、計測した時刻が設定時刻になると、サブCPU19に対してタイマ割込信号を出力する。
【0037】
スキャナ部21は、画像読み取り装置であり、CPU10の制御下で、CCDを用いて原稿を光学的に読み取ることによって画像データを生成する。
【0038】
プリンタ部22は、印刷装置であり、CPU10の制御下で、例えばRAM11に保持された画像データによって表される画像イメージを印刷出力する。
【0039】
NCU23は、モデム14とPSTN5との接続を制御する網制御装置である。
【0040】
操作パネル24は、ユーザからの操作を受け付けるタッチパネルである。また、操作パネル24では、ユーザへの操作ガイド、またはネットワーク複合機1の動作状態を表示する表示装置が含まれており、例えばLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)である。
【0041】
図3は、本実施の形態に係る画像処理装置100の電力モード移行処理に係る機能構成を示すブロック図である。つまり、図3は、図2に示されるハードウェア構成によって発揮されるネットワーク複合機1の機能のうち、主に本実施の形態の電力モード移行処理に関わる機能の構成を示すブロック図である。
【0042】
画像処理装置100は、機能的には、メイン制御部30と、時計回路部32と、ネットワーク制御部33と、電力モード切替部36と、サブ制御部37と、キー操作部38と、ファクシミリ通信部39とから構成される。
【0043】
メイン制御部30は、図2におけるメインCPU10、RAM11、ROM12、システムLSI13等によって実現される処理部である。メイン制御部30は、ネットワーク制御部33を制御する。メイン制御部30はまた、第一省電力モード(スリープモード)に移行する時に、移行すべき電力モードを示す移行情報をサブ制御部37に送信する。
【0044】
時計回路部32は、図2におけるRTC20によって実現される処理部である。時計回路部32は、予め設定された時刻情報を記憶し、かつ、時刻を計測する。そして、時計回路部32は、記憶した時刻情報と計測した時刻とを比較し、当該比較に結果に基づいて電力モードの移行のトリガーとなる移行指令をサブ制御部37に出力する。より具体的には、時計回路部32は、比較に基づいて現在時刻が時刻情報で指定される時刻になったと判定した場合に、移行指令をサブ制御部37に送信する。
【0045】
ネットワーク制御部33は、図2におけるネットワークCPU15、サブネットワークCPU16、PHY17等によって実現される処理部である。ネットワーク制御部33は、ネットワークに接続され、外部の機器とネットワークを介してデータを送受信する。
【0046】
電力モード切替部36は、図2における電源制御部18によって実現される。電力モード切替部36は、メイン制御部30への電源の供給を停止する第一省電力モード(スリープモード)と、メイン制御部30およびネットワーク制御部33への電力の供給を停止する第二省電力モード(オフモード)とを切り替える。
【0047】
サブ制御部37は、図2におけるサブCPU19等によって実現される処理部である。サブ制御部37は、移行すべき電力モードを示す移行情報を記憶し、移行指令を時計回路部から検知する。サブ制御部37は、第一省電力モード(スリープモード)の間において移行指令を時計回路部32から検知した場合に、移行情報に応じて通常モードへの移行と、第二省電力モード(オフモード)への移行とを選択的に制御する。
【0048】
キー操作部38は、図2における操作パネル24によって実現される。キー操作部38は、第一省電力モード(スリープモード)および第二省電力モード(オフモード)のいずれにおいても、電力が供給される。キー操作部38からのキー操作信号がサブ制御部37に入力された場合に、サブ制御部37によってメイン制御部30が通常モードに復帰される。
【0049】
ファクシミリ通信部39は、図2における、モデム14およびNCU23等によって実現される。ファクシミリ通信部39は、ファクシミリ呼出信号を検出する。ファクシミリ通信部39は、第一省電力モード(スリープモード)および第二省電力モード(オフモード)においても電源が供給される。ファクシミリ通信部39が検出するファクシミリ呼出信号がサブ制御部37に入力された場合に、メイン制御部30がサブ制御部37により通常モードに復帰される。
【0050】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る画像処理装置100による復帰処理の処理手順について説明する。
【0051】
図4は、本実施の形態に係る画像処理装置100の電力モード移行処理に係る処理手順を示すフローチャートである。電力モード移行処理では、既に第一省電力モードであるスリープモードの状態からの移行についてのみ記載する。スリープモードへの移行は、通常モードにおいて、ユーザが操作パネル24を操作せず、かつ、所定時間FAX等のデータを受信しない状態が所定時間(例えば1時間)続いた場合、ユーザの操作により省電力モードに設定された場合などに行われる。
【0052】
メイン制御部30は、スリープモードに移行する時に、移行すべき電力モードを示す移行情報をサブ制御部37に送信し、電力モードを移行する時刻を時計回路部32に送信する(S11)。メイン制御部30は、時刻が指定された予約ジョブがユーザによって設定されている場合には、通常モードへの移行を示す通常移行情報をサブ制御部37に設定し、かつ、予約ジョブにより指定される時刻情報を時計回路部32に設定する。メイン制御部30はまた、時刻が予定された予約ジョブがない場合には、第二省電力モード(オフモード)への移行を示す第二省電力移行情報をサブ制御部37に設定し、かつ、予め設定された第二省電力モード(オフモード)への移行時刻情報を時計回路部32に設定する。
【0053】
時計回路部32は、予約ジョブにより指定される指定時刻情報またはオフモードへの移行時刻情報と計測した時刻とを比較して、現在時刻が指定時刻情報または移行時刻情報であるか否かを判定する(S12)。
【0054】
現在時刻が指定時刻情報または移行時刻情報になったと時計回路部32が判定した場合(S12:Yes)に、移行指令をサブ制御部37に送信する(S13)。
【0055】
現在時刻が指定時刻情報または移行時刻情報になっていなかったと時計回路部32が判定した場合(S12:No)に、ステップS12に戻る。
【0056】
サブ制御部37は、メイン制御部30により設定された移行情報が、通常移行情報であるか、第二省電力移行情報であるかを判定する(S14)。
【0057】
サブ制御部37に設定された移行情報が通常移行情報である場合に、電力モードをスリープモードから通常モードへ移行して、電力モード移行処理を終了する(S15)。
【0058】
サブ制御部37に設定された移行情報が第二省電力移行情報である場合に、電力モードをスリープモードからオフモードへ移行して、電力モード移行処理を終了する(S16)。
【0059】
なお、電力モードがスリープモードまたはオフモードである場合において、ファクシミリ通信部39がファクシミリ呼出信号を検出したとき、サブ制御部37によりスリープモードまたはオフモードから通常モードへ電力モードの移行が行われる。つまり、メイン制御部30に電力が供給されるようになる。
【0060】
また、同じく電力モードがスリープモードまたはオフモードである場合において、ユーザによりキー操作部38のキー操作信号がサブ制御部37に入力されたとき、サブ制御部37によりスリープモードまたはオフモードから通常モードへ電力モードの移行が行われる。
【0061】
具体的には、オフモードへの移行時刻情報が平日の22時に設定されており、通常モードへの移行時刻情報が平日の8時に設定されているとする。この場合に、電力モードがスリープモードであれば、事前にメイン制御部30がスリープモードに移行する際にサブ制御部37に、当該スリープモードの次に移行すべき電力モードを移行情報として通知している。例えば、現在時刻が21時である場合にメイン制御部30が次に移行すべき電力モードの移行情報として予め設定されている第二省電力移行情報をサブ制御部37に通知する。そして、時計回路部は、平日の22時になるとサブ制御部37に移行指令を送信し、移行指令を受け取ったサブ制御部37は移行指令をトリガーとして電力モードの移行を行う。このときサブ制御部37は、予めメイン制御部30により受信した第二省電力移行情報に基づいて電力モードの移行を行うため、スリープモードから通常モードへの移行が行われることになる。
【0062】
以上のように本実施形態の画像処理装置100によれば、休日や夜間などネットワークでの通信が行われない環境の時刻が予め設定されており、当該時刻になれば、スリープモードからスリープモードより消費電力が小さいオフモードへ電力モードの移行が行われる。このため、休日や夜間に使用されないネットワーク制御部33への通電をオフにすることができ、消費電力を抑えることができる。
【0063】
また、本実施形態の画像処理装置100によれば、これによれば、予約ジョブ(例えば、時刻指定ファクシミリ送信)がある場合には、設定された時刻になれば、通常モードに移行し、予約ジョブを実行できる。また、ファクシミリ呼出信号の受信またはユーザによるキー操作部38のキー操作があれば、第二省電力モードから通常モードへ復帰できる。このように、画像処理装置100の処理が必要な場合にはそのことを検知して、自動的にオフモードから通常モードへ復帰するため、適切なタイミングで画像処理装置100に処理を行わせることができる。このため、適切タイミングで画像処理装置100の電力モードをコントロールすることができ、ユーザへの利便性と省電力性とを両立させることができる。
【0064】
また、本発明は、このような画像処理装置として実現できるだけでなく、画像処理装置が備える特徴的な処理部のそれぞれの動作をステップとして方法として実現することもでき、また、本発明は、各処理部の処理を行う集積回路として実現することもできる。さらに、本発明は、コンピュータに上記各ステップを実行させるためのプログラムとして実現することもできる。そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体またはインターネット等の伝送媒体を介して配信することもできる。
【0065】
以上、本発明に係る情報処理システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0066】
つまり、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、適切タイミングで電力モードをコントロールすることができ、ユーザへの利便性と省電力性とを両立させることができる画像処理装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1、2 ネットワーク複合機
3、4 情報端末
5 PSTN
6 LAN
10 メインCPU
11 RAM
12 ROM
13 システムLSI
14 モデム
15 ネットワークCPU
16 サブネットワークCPU
17 PHY
18 電源制御部
19 サブCPU
20 RTC
21 スキャナ部
22 プリンタ部
23 NCU
24 操作パネル
30 メイン制御部
32 時計回路部
33 ネットワーク制御部
36 電力モード切替部
37 サブ制御部
38 キー操作部
39 ファクシミリ通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されるネットワーク制御部と、
前記ネットワーク制御部を制御するメイン制御部と、
予め設定された時刻情報を記憶し、かつ、時刻を計測し、記憶した前記時刻情報と計測した時刻とを比較して当該比較に結果に基づいて電力モードの移行のトリガーとなる移行指令を出力する時計回路部と、
移行すべき電力モードを示す移行情報を記憶し、前記移行指令を前記時計回路部から検知するサブ制御部と、
前記メイン制御部への電源の供給を停止する第一省電力モードと、前記メイン制御部および前記ネットワーク制御部への電力の供給を停止する第二省電力モードとを切り替えるモード切替部と
を備え、
前記メイン制御部は、前記第一省電力モードに移行する時に、前記移行情報を前記サブ制御部に送信し、
前記時計回路部は、前記比較に基づいて現在時刻が前記時刻情報で指定される時刻になったと判定した場合に、前記移行指令を前記サブ制御部に送信し、
前記サブ制御部は、前記第一省電力モードの間において前記移行指令を検知した場合に、前記移行情報に応じて、前記第一省電力モードから通常モードへの移行と、前記第一省電力モードから前記第二省電力モードへの移行とを前記モード切替部に切り替えさせることにより選択的に制御する
画像処理装置。
【請求項2】
前記メイン制御部は、
時刻が指定された予約ジョブがある場合には、通常モードへの移行を示す通常移行情報を前記サブ制御部に設定し、かつ、前記予約ジョブにより指定される時刻情報を前記時計回路部に設定し、
時刻が予定された予約ジョブがない場合には、前記第二省電力モードへの移行を示す第二省電力移行情報を前記サブ制御部に設定し、かつ、予め設定された前記第二省電力モードへの移行時刻情報を前記時計回路部に設定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
さらに、
ファクシミリ呼出信号を検出するファクシミリ通信部を備え、
前記ファクシミリ通信部は、前記第一省電力モードおよび前記第二省電力モードにおいても電源が供給され、
前記サブ制御部は、前記ファクシミリ通信部が検出するファクシミリ呼出信号が前記サブ制御部に入力された場合に、前記メイン制御部を前記通常モードに復帰させる
請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
さらに、
前記第一省電力モードおよび前記第二省電力モードのいずれにおいても、電力が供給されるキー操作部を備え、
前記サブ制御部は、ユーザにより前記キー操作部からのキー操作信号が前記サブ制御部に入力された場合に、前記メイン制御部を前記通常モードに復帰させる
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
ネットワークに接続されるネットワーク制御部と、前記ネットワーク制御部を制御するメイン制御部と、予め設定された時刻情報を記憶し、かつ、時刻を計測し、記憶した前記時刻情報と計測した時刻とを比較して当該比較に結果に基づいて電力モードの移行のトリガーとなる移行指令を出力する時計回路部と、移行すべき電力モードを示す移行情報を記憶し、前記移行指令を前記時計回路部から検知するサブ制御部と、前記メイン制御部への電源の供給を停止する第一省電力モードと、前記メイン制御部および前記ネットワーク制御部への電力の供給を停止する第二省電力モードとを切り替えるモード切替部とを備える画像処理装置において行われる画像処理方法であって、
前記メイン制御部が、前記第一省電力モードに移行する時に、前記移行情報を前記サブ制御部に送信する移行情報送信ステップと、
前記時計回路部が、前記比較に基づいて現在時刻が前記時刻情報で指定される時刻になったと判定した場合に、前記移行指令を前記サブ制御部に送信する移行指令送信ステップと、
前記サブ制御部が、前記第一省電力モードの間において前記移行指令を検知した場合に、前記移行情報に応じて、前記第一省電力モードから通常モードへの移行と、前記第一省電力モードから前記第二省電力モードへの移行とを前記モード切替部に切り替えさせることにより選択的に制御する選択ステップと
を含む画像処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−14076(P2013−14076A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148473(P2011−148473)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】