説明

画像処理装置、画像処理方法およびプログラム

【課題】省電力モードからの復帰の際に消費電力を低減できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】メイン制御部およびサブ制御部からの信号に基づいて、電力の供給および電力の遮断を制御する電力供給スイッチ部と、少なくともメイン制御部、画像処理部、およびメインネットワーク制御部が接続され、省電力モードでは停止されるデータバスとを備え、サブネットワーク制御部は所定の信号を受信した場合にサブ制御部に解除要因としての起動要因検出信号を送り、起動要因検出信号を受信したサブ制御部はメイン制御部を起動し、当該起動が行われた場合にメイン制御部は、メインネットワーク制御部と共にデータバスに接続されるように、かつ、画像処理部がデータバスに接続されないように、データバスを初期化し、メインネットワーク制御部の信号処理により画像処理が必要となった場合に、画像処理部がデータバスにさらに接続されるようにデータバスを再初期化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力モードを有する画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリ装置、複合機などの画像処理装置では、消費電力を節約するため、一定の条件が満たされたとき(例えば、何らの動作すること無く所定時間が経過したとき、ユーザが所定の操作をしたときなど)により、不必要な部分への電力の供給を停止する省電力モードが設けられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−266661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に開示される画像処理装置には、内部に例えばPCIバス(Peripheral Components Interconnect bus)などのデータバス、が設けられており、ネットワーク通信部、PDL(Page Description Language)のラスタライズを行う画像処理部などがデータバスに接続される。データバスは、省電力モードでは停止しているが、ネットワーク通信部が所定のパケットを受信すると、省電力モードが解除される。省電力モードが解除されてデータバスの初期化処理(コンフィギュレーション)が行われると、データバスに接続される全てのデバイスが動作する状態となる。しかし、受信したパケットの全てが、画像処理部の画像処理を要求するものではないので、画像処理部をいつでも動作可能とするのは、電力を無駄に消費することとなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、省電力モードから復帰する場合に、より消費電力を低減することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係る画像処理装置は、省電力モードにおいて電力の供給が遮断されるメインネットワーク制御部と、前記省電力モードにおいて電力が供給され、ネットワークと接続されるサブネットワーク制御部とを有するネットワーク制御部と、前記ネットワーク制御部が前記ネットワークを介して受信したデータについて画像処理する画像処理部と、前記ネットワーク制御部および前記画像処理部を制御し、所定の条件が満たされた場合に省電力モードに移行させるメイン制御部と、前記省電力モードの解除要因を検出するサブ制御部と、前記メイン制御部および前記サブ制御部からの信号に基づいて、電力の供給および電力の遮断を制御する電力供給スイッチ部と、少なくとも前記メイン制御部、前記画像処理部、および前記メインネットワーク制御部が接続され、前記省電力モードでは停止されるデータバスとを備え、前記サブネットワーク制御部は、所定の信号を受信した場合に、前記サブ制御部に前記解除要因としての起動要因検出信号を送り、前記サブ制御部は、前記起動要因検出信号を受信した場合に、前記メイン制御部の起動を行い、前記メイン制御部は、当該起動が行われた場合に、前記メインネットワーク制御部と共に前記データバスに接続されるように、かつ、前記画像処理部が前記データバスに接続されないように、前記データバスを初期化し、前記メイン制御部は、前記メインネットワーク制御部の信号処理により画像処理が必要となった場合に、前記メイン制御部、前記メインネットワーク制御部および前記画像処理部が前記データバスに接続されるようにデータバスを再初期化する。
【0007】
これによれば、サブネットワーク制御部が所定の信号(IPパケット)を受信した状態では、画像処理が必要なIPパケットであるか否かはわからないため、画像処理部をデータバスに接続しないように、データバスの初期化を行う。つまり、画像処理部が動作しないようにして、データバスの初期化を行ってデータバスに接続される画像処理部以外のネットワーク制御部とメイン制御部との接続を行う。その後、画像処理部による画像処理が必要であることを、メインネットワーク制御部が信号処理を行うことにより判定した場合に、メイン制御部は画像処理部がデータバスに接続されるようにデータバスの再初期化を行う。
【0008】
このように、ネットワーク制御部がネットワークを介してIPパケットなどのデータを受信しても、画像処理部をデータバスに接続せずに、画像処理部が必要なデータである場合のみに画像処理部をデータバスに接続する。このため、画像処理部による処理が必要のないデータを受信しても、画像処理部に電力を供給しない状態とすることができる。これにより、画像処理装置が、省電力モードから復帰する場合に、より消費電力を低減することができる。
【0009】
また、前記メイン制御部は、前記データバスの初期化のときに、前記画像処理部をリセット状態に制御することが好ましい。
【0010】
また、前記メイン制御部は、前記データバスの初期化後であって前記画像処理部が必要になった場合には、リセット状態を解除して前記データバスの再初期化を行い、前記省電力モードに移行するための条件が満たされたと判定した場合には、前記画像処理部のリセット状態を維持したままとすることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、このような画像処理装置として実現できるだけでなく、画像処理装置が備える特徴的な処理部のそれぞれの動作をステップとして方法として実現することもでき、また、本発明は、各処理部の処理を行う集積回路として実現することもできる。さらに、本発明は、コンピュータに上記各ステップを実行させるためのプログラムとして実現することもできる。そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体またはインターネット等の伝送媒体を介して配信することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像処理装置によれば、省電力モードから復帰する場合に、より消費電力を低減することができる
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置を含む情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【図2】本実施の形態に係るネットワーク複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る画像処理装置の復帰処理に係る処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る画像処理装置の構成の概要について説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置100を含む情報システム200の構成の一例を示す図である。
【0017】
同図に示すように、このワークフローシステムは、ネットワーク複合機1および2、情報端末3および4、PSTN(Public Switched Telephone Networks:公衆電話交換回線網)5、並びにLAN(Local Area Network)6から構成される。
【0018】
情報端末3、4は、本実施の形態における情報処理装置として機能するコンピュータである。情報端末3、4は、本実施の形態では、ネットワーク複合機1、2を利用するユーザが使用するパーソナルコンピュータである。
【0019】
ネットワーク複合機1は、スキャナで読み取った書類を、例えば、PSTN5を介してネットワーク複合機2へファクシミリ送信すること、LAN6を介して情報端末3および4へ送信すること、内蔵されるプリンタでプリントアウトすること等ができる。
【0020】
図2は、本実施の形態に係るネットワーク複合機1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0021】
同図に示すように、ネットワーク複合機1は、メインCPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、システムLSI(Large Scale Integration)13、モデム14、PCIバス15、ネットワークCPU16、サブネットワークCPU17、PHY(物理層)18、PDL用CPU19、電源制御部20、サブCPU21、スキャナ部22、プリンタ部23、操作パネル24、およびNCU(Network Control Unit)25を備えている。
【0022】
メインCPU10は、ROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、ネットワーク複合機1の全体を制御する。
【0023】
RAM11は、メインCPU10が制御プログラムを実行する際に用いられるワークデータ、およびスキャナ部22から得られた画像データ等を保持する読み書き可能なメモリである。
【0024】
ROM12は、メインCPU10が実行する制御プログラムを保持する読み出し専用メモリである。
【0025】
システムLSI13は、メインCPU10、RAM11、およびROM12と、PCIバス15に接続されるネットワークCPU16およびPDL用CPU19、スキャナ部22、およびプリンタ部23との間のデータの送受信を管理する。
【0026】
モデム14は、RAM11に保持された画像データ等をファクシミリ信号に変調して送信し、また外部から受信されたファクシミリ信号をラインデータに復調する。モデム14は、例えばG3規格に準拠したファックスモデムである。
【0027】
PCIバス15は、ネットワークCPU16と、PDL用CPU19とを接続するデータバスである。
【0028】
ネットワークCPU16は、LANI/F等のネットワークI/Fと接続され、主にネットワークからのパケット処理を行うCPUである。
【0029】
サブネットワークCPU17は、省電力状態においてネットワーク上のパケット処理を行う、ネットワークCPUよりも消費電力の少ないCPUである。
【0030】
PHY18は、本実施形態では、Ethernet(登録商標)規格のLANI/Fであって、ネットワーク複合機1とLAN6とを接続する通信アダプタである。
【0031】
PDL用CPU19は、LANI/Fから受信したプリントジョブにおいてページ記述言語に対する解析および画像形成を行う。具体的には、PDL用CPU19は、ベクタ形式のデータをラスタライズしてビットマップイメージを作成する。
【0032】
電源制御部20は、サブCPU21の制御下で、各機器への電源供給のON/OFFを行う。
【0033】
サブCPU21は、電源制御部20に指令を出して、機器全体の電源制御を行う。この電源制御についての詳細は、後述する。
【0034】
スキャナ部22は、画像読み取り装置であり、CPU10の制御下で、CCDを用いて原稿を光学的に読み取ることによって画像データを生成する。
【0035】
プリンタ部23は、印刷装置であり、CPU10の制御下で、例えばRAM11に保持された画像データによって表される画像イメージを印刷出力する。
【0036】
操作パネル24は、ユーザからの操作を受け付けるタッチパネルである。また、操作パネル24では、ユーザへの操作ガイド、またはネットワーク複合機1の動作状態を表示する表示装置が含まれており、例えばLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)である。
【0037】
NCU25は、モデム14とPSTN5との接続を制御する網制御装置である。
【0038】
図3は、本実施の形態に係る画像処理装置100の省電力モードからの復帰処理(以下、「復帰処理」という)に係る機能構成を示すブロック図である。つまり、図3は、図2に示されるハードウェア構成によって発揮されるネットワーク複合機1の機能のうち、主に本実施の形態の電源制御の省エネ処理に関わる機能の構成を示すブロック図である。
【0039】
画像処理装置100は、機能的には、メイン制御部30と、データバス31と、ネットワーク制御部32と、画像処理部35と、電源供給スイッチ部36と、サブ制御部37と、操作部38と、ファクシミリ通信部39とから構成される。
【0040】
メイン制御部30は、図2におけるメインCPU10、RAM11、ROM12、システムLSI13等によって実現される処理部である。メイン制御部30は、ネットワーク制御部32および画像処理部35を制御し、所定の条件が満たされた場合に省電力モードに移行させる。なお、ここに言う「所定の条件が満たされた場合」とは、本実施形態では、ユーザが操作パネル24を操作せず、かつ、所定時間FAX等のデータを受信しない状態が所定時間(例えば1時間)続いた場合、または、ユーザにより省電力モードに設定された場合である。メイン制御部30はまた、メイン制御部30の起動が行われた場合に、後述するメインネットワーク制御部33と共にデータバス31に接続されるように、かつ、画像処理部35がデータバス31に接続されないように、データバス31を初期化する。つまり、メイン制御部30は、このデータバス31を初期化するときに、画像処理部35がデータバス31に接続されないように、画像処理部35をリセット状態に制御する。このように、メイン制御部30がデータバス31を初期化しても画像処理部35をリセット状態に維持したままとするため、画像処理部35は、データバス31に接続されず、電源供給されないままの状態となる。そして、メイン制御部30は、メインネットワーク制御部33の信号処理により画像処理が必要となった場合に、メイン制御部30、メインネットワーク制御部33および画像処理部35がデータバス31に接続されるようにデータバス31を再初期化する。画像処理部35は、メイン制御部30により画像処理が必要であると判定されて、リセット状態を解除された状態でデータバス31がメイン制御部30により再初期化されることにより初めて、データバス31と接続されて電源供給される状態となる。つまり、メイン制御部30は、データバス31の初期化後であって画像処理部が必要になった場合には、リセット状態を解除してデータバス31の再初期化を行う。一方で、メイン制御部30は、省電力モードに移行するための条件が満たされたと判定した場合には、画像処理部35のリセット状態を維持したままとする。
【0041】
データバス31は、図2におけるPCIバス15によって実現される。データバス31は、少なくともメイン制御部30、画像処理部35、およびメインネットワーク制御部33が接続される。データバス31はまた、省電力モードにおいて停止される。
【0042】
ネットワーク制御部32は、メインネットワーク制御部33と、サブネットワーク制御部34とから成る。
【0043】
メインネットワーク制御部33は、図2におけるネットワークCPU16等によって実現される処理部である。メインネットワーク制御部33は、省電力モードにおいて電力の供給が遮断される。つまりメインネットワーク制御部33は、省電力モードにおいて停止された状態となる。
【0044】
サブネットワーク制御部34は、図2におけるサブネットワークCPU17、PHY18等によって実現される処理部である。サブネットワーク制御部34は、ネットワークと接続され、外部の機器とネットワークを介してデータを送受信する。サブネットワーク制御部34はまた、省電力モードにおいて電力が供給される。つまり、サブネットワーク制御部34は、省電力モードにおいても起動した状態となる。サブネットワーク制御部34は、所定の信号を受信した場合に、サブ制御部37に省電力モードの解除要因としての起動要因検出信号を送る。
【0045】
画像処理部35は、図2におけるPDL用CPU19等によって実現される処理部である。画像処理部35は、ネットワーク制御部32がLAN等のネットワークを介して受信したデータについて画像処理(主にベクタ形式のデータのラスタライズ処理)を行う。
【0046】
電源供給スイッチ部36は、図2における電源制御部20によって実現される。電源供給スイッチ部36は、メイン制御部30およびサブ制御部37からの信号に基づいて、電力の供給および電力の遮断を制御する。電源供給スイッチ部36には、省電力モードにおいても電源供給される。
【0047】
サブ制御部37は、図2におけるサブCPU21等によって実現される処理部である。サブ制御部37は、省電力モードの解除要因を検出する。サブ制御部37は、起動要因検出信号を受信した場合に、メイン制御部30の起動を行う。サブ制御部37は、メイン制御部30の起動を行うことにより、省電力モードを解除する。サブ制御部37には、省電力モードにおいても電源供給される。サブ制御部37はまた、電源供給スイッチ部36に信号を送ることにより、電源供給スイッチ部36に電力の供給および電力の遮断を行わせる。
【0048】
操作部38は、図2における操作パネル24によって実現される処理部である。操作部38は、ユーザからの操作を受け付けた場合に、サブ制御部37に省電力モードの解除要因として起動要因検出信号を出力する。
【0049】
ファクシミリ通信部39は、図2におけるモデム14およびNCU25によって実現される処理部である。ファクシミリ通信部39は、PSTN5を介して呼出信号(CI)を受信した場合に、サブ制御部37に省電力モードの解除要因として起動要因検出信号を出力する。
【0050】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る画像処理装置100による復帰処理の処理手順について説明する。
【0051】
図4は、本実施の形態に係る画像処理装置100の復帰処理に係る処理手順を示すフローチャートである。なお、図4では、メインネットワーク制御部を「メインNW制御部」と表記し、サブネットワーク制御部を「サブNW制御部」と表記する。
【0052】
図4に示すように、サブネットワーク制御部34は、LAN上のMACフレームおよびMACフレームの中のIPパケットの解析を行い、MACフレームおよびIPパケットが自装置宛のデータか否かを判定する(S11)。
【0053】
サブネットワーク制御部34は、自装置宛のMACフレームの内容がARP等の単純なIPパケットであるか否かを判定し(S12)、単純なIPパケットである場合(S12:Yes)には、サブネットワーク制御部34自身が応答し処理を行う(S13)。
【0054】
サブネットワーク制御部34は、自装置宛のMACフレームの内容が、サブネットワーク制御部34自身が対応できないIPパケットの場合には、対応できないことをサブ制御部37に通知する(S14)。このとき、IPパケットは、サブネットワーク制御部34内のRAM(図示せず)に一時的に格納される。なお、ここに言う「サブネットワーク制御部34自身が対応できないIPパケット」とは、例えば、プリント要求に関するIPパケット、機器情報の問い合わせに関するIPパケット等である。
【0055】
サブ制御部37は、電源供給スイッチ部36を制御し、画像処理装置100全体の電源を投入する(S15)。
【0056】
メイン制御部30は、画像処理部35をリセット状態に維持したまま、データバス31上のコンフィグレーション(初期化)を行う(S16)。ここでは、メインネットワーク制御部33に対してコンフィグレーションが行われるため、メイン制御部30は、データバス31上のメインネットワーク制御部33と接続される。これによりメイン制御部30は、メインネットワーク制御部33と通信可能な状態となる。
【0057】
コンフィグレーション終了後、メインネットワーク制御部33は、サブネットワーク制御部34に対してパケットを受け取ることが可能である旨を通知する(S17)。
【0058】
サブネットワーク制御部34は、当該通知を受けてサブネットワーク制御部34内のRAMに格納されたIPパケットをメインネットワーク制御部33に出力する(S18)。
【0059】
メインネットワーク制御部33は、サブネットワーク制御部34により出力されたIPパケットの解析を行い、メインネットワーク制御部33のみで対応できるIPパケットであるか否かを判定する(S19)。
【0060】
当該IPパケットがメインネットワーク制御部33で対応できるIPパケットである場合には、メインネットワーク制御部33が当該IPパケットに対して応答する(S20)。
【0061】
メイン制御部30は、省電力モードに移行させることをサブ制御部37に通知する(S21)。サブ制御部37は、電源供給スイッチ部36を制御することにより、サブネットワーク制御部34、電源供給スイッチ部36、およびサブ制御部37以外の電源を遮断して復帰処理を終了する。
【0062】
一方で当該IPパケットがメインネットワーク制御部33で対応できないIPパケットである場合には、当該IPパケットがプリント要求等の画像処理部35の起動がIPパケットであるか否かを判定する(S22)。
【0063】
当該IPパケットが画像処理部35の起動が必要なIPパケットである場合には、メイン制御部30は、画像処理部35のリセット状態を解除して、データバス31の再コンフィグレーション(最初期化)を行う(S23)。これにより、画像処理部35はデータバス31に接続されることになり、メイン制御部30と画像処理部35とは通信可能な状態となる。その後、ネットワーク経由で受けたIPパケットが画像処理部35により解析され、復帰処理を終了する。
【0064】
一方でIPパケットが画像処理部35の起動が必要でないIPパケットである場合には、メイン制御部30がIPパケットの処理を行い、復帰処理を終了する(S24)。
【0065】
以上のように本実施形態の画像処理装置100によれば、サブネットワーク制御部34がIPパケット(所定の信号)を受信した状態では、画像処理か否かはわからないため、画像処理部35がリセットされた状態で、データバス31のコンフィグレーションを行う。つまり、画像処理部35が動作しないようにして、データバス31のコンフィグレーションを行ってデータバス31に接続される画像処理部35以外のネットワーク制御部32とメイン制御部30との接続を行う。その後、画像処理部35による画像処理が必要であることを、メインネットワーク制御部33がIPパケットを解析することにより判定した場合に、メイン制御部30は画像処理部35のリセットを解除した状態でデータバス31の最コンフィグレーションを行う。このように、ネットワーク制御部32がネットワークを介してIPパケットなどのデータを受信しても、画像処理部35をデータバス31に接続せずに、画像処理部35が必要なIPパケットである場合のみに画像処理部35をデータバスに接続する。このため、画像処理部35が必要のないIPパケットを受信しても、画像処理部35に電力を供給しない状態とすることができる。これにより、省電力効果を高めることができる。
【0066】
また、本発明は、このような画像処理装置として実現できるだけでなく、画像処理装置が備える特徴的な処理部のそれぞれの動作をステップとして方法として実現することもでき、また、本発明は、各処理部の処理を行う集積回路として実現することもできる。さらに、本発明は、コンピュータに上記各ステップを実行させるためのプログラムとして実現することもできる。そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体またはインターネット等の伝送媒体を介して配信することもできる。
【0067】
以上、本発明に係る画像処理装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0068】
つまり、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0069】
例えば、上記実施の形態では、ネットワーク制御部32がネットワークを介してIPパケットなどのデータを受信したときに、メイン制御部30が画像処理部35をリセット状態に維持したままデータバス31のコンフィグレーションを行っているが、これに限らない。例えばデータバス31と画像処理部35との間にスリーステートバッファ(three state buffer)を入れることによっても上記リセット状態と同様のことを実現してもよい。具体的には、スリーステートバッファの入力端子をメイン制御部30側(つまりデータバス31)と接続し、スリーステートバッファの出力端子を画像処理部35と接続する。そして、スリーステートバッファの制御信号を0にすることによりスリーステートバッファへの入力にかかわらず、スリーステートバッファの出力をハイ・インピーダンス(high impedance)にできる。つまり、画像処理部35がメイン制御部30から切り離された状態とすることができ、上記実施の形態におけるリセット状態と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、省電力モードから復帰する場合に、より消費電力を低減することができる画像処理装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1、2 ネットワーク複合機
3、4 情報端末
5 PSTN
6 LAN
10 メインCPU
11 RAM
12 ROM
13 システムLSI
14 モデム
15 PCIバス
16 ネットワークCPU
17 サブネットワークCPU
18 PHY
19 PDL用CPU
20 電源供給スイッチ部
21 サブCPU
22 スキャナ部
23 プリンタ部
24 操作パネル
25 NCU
30 メイン制御部
31 データバス
32 ネットワーク制御部
33 メインネットワーク制御部
34 サブネットワーク制御部
35 画像処理部
36 電源制御部
37 サブ制御部
38 操作部
39 ファクシミリ通信部
100 画像処理装置
200 情報システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
省電力モードにおいて電力の供給が遮断されるメインネットワーク制御部と、前記省電力モードにおいて電力が供給され、ネットワークと接続されるサブネットワーク制御部とを有するネットワーク制御部と、
前記ネットワーク制御部が前記ネットワークを介して受信したデータについて画像処理する画像処理部と、
前記ネットワーク制御部および前記画像処理部を制御し、所定の条件が満たされた場合に省電力モードに移行させるメイン制御部と、
前記省電力モードの解除要因を検出するサブ制御部と、
前記メイン制御部および前記サブ制御部からの信号に基づいて、電力の供給および電力の遮断を制御する電力供給スイッチ部と、
少なくとも前記メイン制御部、前記画像処理部、および前記メインネットワーク制御部が接続され、前記省電力モードでは停止されるデータバスと
を備え、
前記サブネットワーク制御部は、所定の信号を受信した場合に、前記サブ制御部に前記解除要因としての起動要因検出信号を送り、
前記サブ制御部は、前記起動要因検出信号を受信した場合に、前記メイン制御部の起動を行い、
前記メイン制御部は、当該起動が行われた場合に、前記メインネットワーク制御部と共に前記データバスに接続されるように、かつ、前記画像処理部が前記データバスに接続されないように、前記データバスを初期化し、
前記メイン制御部は、前記メインネットワーク制御部の信号処理により画像処理が必要となった場合に、前記メイン制御部、前記メインネットワーク制御部および前記画像処理部が前記データバスに接続されるようにデータバスを再初期化する
画像処理装置。
【請求項2】
前記メイン制御部は、前記データバスの初期化のときに、前記画像処理部をリセット状態に制御する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記メイン制御部は、前記データバスの初期化後であって前記画像処理部が必要になった場合には、リセット状態を解除して前記データバスの再初期化を行い、前記省電力モードに移行するための条件が満たされたと判定した場合には、前記画像処理部のリセット状態を維持したままとする
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
省電力モードにおいて電力の供給が遮断されるメインネットワーク制御部と、前記省電力モードにおいて電力が供給され、ネットワークと接続されるサブネットワーク制御部とを有するネットワーク制御部と、前記ネットワーク制御部が前記ネットワークを介して受信したデータについて画像処理する画像処理部と、前記ネットワーク制御部および前記画像処理部を制御し、所定の条件が満たされた場合に省電力モードに移行させるメイン制御部と、前記省電力モードの解除要因を検出するサブ制御部と、前記メイン制御部および前記サブ制御部からの信号に基づいて、電力の供給および電力の遮断を制御する電力供給スイッチ部と、少なくとも前記メイン制御部、前記画像処理部、および前記メインネットワーク制御部が接続され、前記省電力モードでは停止されるデータバスとを備える画像処理装置において行われる画像処理方法であって、
前記サブネットワーク制御部が、所定の信号を受信した場合に、前記サブ制御部に前記解除要因としての起動要因検出信号を送る起動要因送信ステップと、
前記サブ制御部が、前記起動要因検出信号を受信した場合に、前記メイン制御部の起動を行うメイン制御部起動ステップと、
前記メイン制御部が、当該起動が行われた場合に、前記メインネットワーク制御部と共に前記データバスに接続されるように、かつ、前記画像処理部が前記データバスに接続されないように、前記データバスを初期化するデータバス初期化ステップと、
前記メイン制御部が、前記メインネットワーク制御部の信号処理により画像処理が必要となった場合に、前記メイン制御部、前記メインネットワーク制御部および前記画像処理部が前記データバスに接続されるようにデータバスを再初期化するデータバス再初期化ステップと
を含む画像処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−17054(P2013−17054A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148557(P2011−148557)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】