説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】本発明は、リアリティ性を向上し得る画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提案する。
【解決手段】右眼用画像と左眼用画像とを交互に投影し、右眼用画像の投影像と左眼用画像の投影像とを分離することで3次元像を観測者に提示する。この際、右眼用画像及び左眼用画像を与えるべき観測者の視線方向を検出し、右眼用画像及び左眼用画像に対して視線方向を基準とする範囲を設定し、その範囲外の部分が不可視状態となるよう画素の輝度値を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関し、例えば3次元像を提示する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、視差を有する右眼用画像と左眼用画像とを、対応する観察者の眼に交互に与えることで、該観察者に対して3次元像を提示するといった技術がある(特許文献1,特許文献2参照)。この技術では、映像内の人物が立体的に見ることができるためリアリティ性が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−117362号公報
【特許文献2】特開2010−193409公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでゲームに関する映像など、ユーザの視点を画像に見立て表示する場合がある。このような場合に、リアリティ性を向上させる一環として、ユーザの視点を画像に見立てたままで、該ユーザがあたかもその場にいるかのような臨場感を与えるといった要請があった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、リアリティ性を向上し得る画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明は、画像処理装置であって、右眼用画像と左眼用画像とを交互に投影する投影手段と、右眼用画像の投影像と左眼用画像の投影像とを分離する分離手段と、右眼用画像及び左眼用画像を与えるべき観測者の視線方向を検出する視線検出手段と、右眼用画像及び左眼用画像に対して視線方向を基準とする範囲を設定し、その範囲外の部分が不可視状態となるよう画素の輝度値を調整する輝度調整手段とを有する。
【0007】
また本発明は、画像処理方法であって、右眼用画像及び左眼用画像を与えるべき観測者の視線方向を検出する視線検出ステップと、右眼用画像及び左眼用画像に対して視線方向を基準とする範囲を設定し、その範囲外の部分が不可視状態となるよう画素の輝度値を調整する輝度調整ステップと、調整される右眼用画像と左眼用画像とを交互に投影する投影ステップと、右眼用画像の投影像と左眼用画像の投影像とを分離する分離ステップとを有する。
【0008】
また本発明は、プログラムであって、コンピュータに対して、右眼用画像及び左眼用画像を与えるべき観測者の視線方向を検出すること、右眼用画像及び左眼用画像に対して視線方向を基準とする範囲を設定し、その範囲外の部分が不可視状態となるよう画素の輝度値を調整すること、調整される右眼用画像と左眼用画像とを交互に投影すること、右眼用画像の投影像と左眼用画像の投影像とを分離することを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によれば、観測者に対して、視線方向を中心として着目領域が制限され、夜などの暗い場所などでの実際の視野と近似した3次元像を提示することが可能となり、この結果、リアリティ性を向上し得る画像処理装置、画像処理方法及びプログラムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】映像提示システムの構成を示す概略図である。
【図2】メガネの構成を示す概略図である。
【図3】メガネの装着状態を示す概略図である。
【図4】画像処理装置の構成を示す概略図である。
【図5】CPUの機能的構成を示す概略図である。
【図6】視線と、電位差の符号及び大きさとの関係を示す概略図である。
【図7】投影像の提示状態例(1)を示す概略図である。
【図8】投影像の提示状態例(2)を示す概略図である。
【図9】映像提示処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下の順序とする。
<1.実施の形態>
<2.他の実施の形態>
【0012】
<1.実施の形態>
3次元映像の提示方式は、時分割方式と偏光方式とに大別される。時分割方式は、視差を有する右眼用画像と左眼用画像とを時系列に沿って交互に投影し、左右の眼に割り当てられる液晶シャッターに対する透過タイミングを切り換えて3次元画像を提示させる方式である。
【0013】
一方、偏光方式は、互いに偏光方向の異なる右眼用画像と左眼用画像とを時系列に沿って交互に投影し、左右の眼に対して偏光方向が異なる状態として割り当てられるレンズを介して3次元映像を提示させる方式である。
【0014】
実施の形態として、時分割方式を用いた映像提示システムを一例として挙げる。
【0015】
[1−1.映像提示システムの構成]
図1に示すように、映像提示システム1は、メガネ10と画像処理装置20とを含む構成とされる。メガネ10と画像処理装置20とは有線又は無線によりデータを授受し得るようになされている。
【0016】
[1−2.メガネの構成]
メガネ10は、図2又は図3に示すように、フレーム(以下、これをメガネフレームとも呼ぶ)11を有し、該メガネフレーム11の所定位置には、左眼に割り当てるべき液晶シャッターLLと、右眼に割り当てるべき液晶シャッターLRとが設けられる。
【0017】
メガネフレーム11のうち、液晶シャッターLL,LRに介在するブリッジ部12の上側には投影部13が取り付けられる。投影部13は、液晶面と直交する前方向に向けて像を投影する。またブリッジ部BLPには3軸のジャイロスコープ14が内蔵される。
【0018】
メガネフレーム11のうち、顔面と対向される側には、左眼の左上側部位に接触される電極(以下、これを左上電極とも呼ぶ)15と、右眼の右下側部位に接触される電極(以下、これを右下電極とも呼ぶ)16とが設けられる。
【0019】
左上電極15が接触されるべき位置として、メガネフレーム11を装着した装着者の左眉毛の眉尻周辺がより好ましい。一方、右下電極16が接触されるべき位置として、メガネフレーム11を装着した装着者の右眼尻下方が好ましい。
【0020】
またメガネフレーム11のうち、耳かけ部の内側には、耳付近に接触される電極(以下、これを耳電極とも呼ぶ)16が設けられる。耳電極17が接触されるべき位置として、メガネフレーム11を装着した装着者の右又は左の下方が好ましい。耳朶であればより好ましい。
【0021】
なお、メガネフレーム11を装着したユーザの各部位に電極15〜17が接触可能であれば、メガネフレーム11と電極15〜17との設置形態は図示した形態に限定されるものではない。
【0022】
[1−3.画像処理装置の構成]
画像処理装置20は、図4に示すように、該画像処理装置20全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)21に対して各種ハードウェアを接続することにより構成される。
【0023】
具体的にはROM(Read Only Memory)22、CPU21のワークメモリとなるRAM(Random Access Memory)23、操作部24及びインターフェース25などがバス26を介して接続される。
【0024】
ROM22には、液晶シャッターLL,LR、投影部13、ジャイロスコープ14及び電極15〜17を適宜用いて、3次元像をユーザに提示させるためのプログラムが格納される。
【0025】
操作部24は、各種操作子を有し、該操作子に対するユーザの操作に応じた命令をCPU21に与えるものである。この命令は、例えば、3次元像に含まれる人又は3次元像自体を奥、手前、左又は右に移動させる、あるいは、3次元像の状態を変更するなど、該3次元像の制御に関する命令である。
【0026】
インターフェイス25には、液晶シャッターLL,LR、投影部13、ジャイロスコープ14、電極15〜17、記録媒体MRがそれぞれ接続される。記録媒体MRは、例えば、Blu−ray(ブルーレイディスクアソシエーション:登録商標)ディスク、ハードディスク又はメモリカードなどである。
【0027】
[1−4.映像提示処理]
CPU21は、映像を提示すべき命令が与えられた場合、ROM22に格納されたプログラムをRAM23に展開する。この場合、CPU21は、図5に示すように、プログラムに基づいて映像取得部31、同期信号生成部32、投影制御部33、シャッター制御部34、視線検出部35、輝度調整部36及び傾き調整部37として機能し、3次元像をユーザに提示させる処理を実行する。
【0028】
映像取得部31は、インターフェイス25を用いて、記憶媒体MRから有線又は無線の通信路を介して映像データを取得し、これを投影制御部33に送出する。この映像データは、視差の異なる右眼用画像と左眼用画像と単位として、時系列に沿った複数の画像をもつデータである。
【0029】
同期信号生成部32は、同期の制御に関する信号(以下、これを同期信号と呼ぶ)を生成し、これを投影制御部33、シャッター制御部34、輝度調整部36及び傾き調整部37に送出する。
【0030】
投影制御部33は、同期信号生成部32から与えられる同期信号にしたがって、映像取得部31から与えられる映像データを構成する複数の右眼用画像と左眼用画像とを、時系列に沿って交互に投影部13から投影させる。
【0031】
シャッター制御部34は、右眼用画像が右眼に与えられ左眼用画像が左眼に与えられるよう、同期信号生成部32から与えられる同期信号にしたがって、液晶シャッターLL,LRの開閉を交互に切り替える。
【0032】
視線検出部35では、耳電極17を基準とする左上電極15との電位差および右下電極16との電位差から、視線方向が検出される。
【0033】
ここで、左の耳朶に基準電極を配置し、左眼の左上及び右眼の右下に電極を配置し、様々な方向に視線を移動させた際の、各電極と基準電極との電位差、及び電極間の電位差を測定した実験結果を図6に示す。
【0034】
この測定では、視線を正面から左上、右下、上中央、下中央、右上、左下、右中央、左中央、正面の順に移動させ、それぞれの位置で所定時間だけ視線が停止された。図4に示すように、それぞれの方向で視線が停止している際、左上電極と基準電極との電位差、右下電極と基準電極との電位差、及び左上電極と右下電極との電位差は、視線が停止している方向によって符号及び大きさが異なる。
【0035】
なお、図6において、視線の移動時にそれぞれの電位差(眼電位に相当)が大きく変化しているのは、視線を移動させているときの筋電位が測定されるためである。筋電位は眼電位に対して約1000倍の大きさであるため、筋電位と眼電位とは容易に区別がつくものである。
【0036】
視線検出部35は、基準とされる耳電極17と左上電極15との電位差を増幅するとともに、該耳電極17と右下電極16との電位差を増幅し、所定間隔ごとに、増幅した電位差の値と、筋電位とみなすべき最低の値として規定される閾値とを比較する。
【0037】
耳電極17と左上電極15との電位差(以下、これを左電位差とも呼ぶ)及び耳電極17と右下電極16(以下、これを右電位差とも呼ぶ)との電位差の値がそれぞれ閾値以上であった場合、視線検出部35は視線を検出すべきではないものと判断する。
【0038】
一方、左電位差及び右電位差の値が閾値未満であった場合、視線検出部35は視線を検出すべきであると判断する。この場合、視線検出部35は、左電位差及び右電位差の符号及び大きさに対応する視線方向を、テーブルを参照して検出する。
【0039】
具体的には、例えば、9種類の視線方向を検出対象として設定された3段階の大きさである「大」、「中」及び「小」のいずれであるかがそれぞれ判断され、その判断結果と、図4に示したような9方向の視線方向での符号及び大きさを示したテーブルとが比較される。因みに9方向とは、「正面」、「上中央」、「下中央」、「右中央」、「左中央」、「右上」、「右下」、「左上」、「左下」である。
【0040】
視線検出部35は、視線方向を検出した場合、該視線方向を示すデータ(以下、これを視線データとも呼ぶ)を生成し、これを輝度調整部36に送出する。
【0041】
輝度調整部36は、視線検出部35から視線データが与えられた場合、同期信号生成部32から与えられる同期信号及び内蔵時計に基づいて、その視線データに示される視線方向が検出された時点に対応する右眼用画像及び左眼用画像を調整対象として認識する。
【0042】
そして輝度調整部36は、調整対象として認識した右眼用画像及び左眼用画像に対して視線方向を基準とする範囲を設定し、その範囲外の部分が不可視状態となるよう、該部分における画素の輝度値を所定値未満の値に変更する。
【0043】
また輝度調整部36は、設定した範囲がその中心から徐々に暗くなるよう、該範囲内における画素の輝度値を、中心から離れるほど当該輝度値に対する引き下げ割合を大きく変更する。
【0044】
この結果、図7に示すように、ユーザに対して、視線方向を中心として着目領域が制限され、夜などの暗い場所などでの実際の視野と近似した3次元像が提示されることとなる。
【0045】
傾き調整部37は、メガネフレーム11が適正に装着された状態におけるジャイロスコープ14での計測値を基準データとして取得する。この基準データの取得手法には、例えば、予め記憶されたROM等などから読み出して取得する手法や、メガネフレーム11の装着されたことを検出した時点におけるジャイロスコープ14での計測値を基準データとして生成して取得する手法がある。
【0046】
傾き調整部37は、基準データを取得すると、該基準データを、ジャイロスコープ14から出力される計測値と定期的に比較し、その比較結果から基準面に対する傾き角を検出する。
【0047】
ここで、検出した傾き角が、傾きがあるものとして設定される最低値以上となる場合、傾き調整部37は、同期信号生成部32から与えられる同期信号及び内蔵時計に基づいて、その検出した時点に対応する右眼用画像及び左眼用画像を調整対象として認識する。
【0048】
そして傾き調整部37は、調整対象の右眼用画像及び左眼用画像の傾きを、傾き角が所定の角度未満となるよう補正する。
【0049】
この結果、図8に示すように、メガネフレーム11を装着するユーザにおける頭の傾きに応じて投影像も傾いてしまうといった事態が回避され、該ユーザに対して、実際の視界状態と一致した3次元像が提示されることとなる。
【0050】
このようにCPU21は、電極15〜17及びジャイロスコープ14を用いて、暗い場所での実際の視野と近似し、かつ実際の視界状態と一致するよう右眼用画像及び左眼用画像を補正した上で、3次元像を提示できるようになされている。
【0051】
[1−5.3次元像提示処理手順]
次に上述した3次元像提示処理の手順について図9に示すフローチャートを用いて説明する。CPU21は、映像を提示すべき命令が与えられと、3次元像提示処理を開始しステップSP1に進む。
【0052】
CPU21は、ステップSP1では、電極15〜17を用いて視線方向を検出するとともに、ジャイロスコープ14を用いて基準面に対する傾き角を検出し、ステップSP2に進む。
【0053】
CPU21は、ステップSP2では、記録媒体MRから、映像データを構成する1組の右眼用画像と左眼用画像を取得し、ステップSP3に進む。
【0054】
CPU21は、ステップSP3では、ステップSP1で検出した視線方向と、基準面に対する傾き角に基づいて、ステップSP2で取得した右眼用画像と左眼用画像を補正し、ステップSP4に進む。具体的には、右眼用画像と左眼用画像の輝度値が、ステップSP1で検出した視線方向を基準とする所定範囲が可視化されるよう補正され、右眼用画像と左眼用画像の傾きが、ステップSP1で検出した基準面に対する傾き角との差が所定未満となるよう補正される。
【0055】
CPU21は、ステップSP4では、ステップSP3で補正した右眼用画像と左眼用画像を交互に投影させるとともに、該投影時期に対応させて液晶シャッターLL,LRの開閉を切り替え、ステップSP5に進む。
【0056】
CPU21は、ステップSP5では、ステップSP1の検出時点から所定の期間が経過したか否かを判定する。この期間が未経過である場合、CPU21は、ステップSP2に戻って、記録媒体MRから、新たな1組の右眼用画像と左眼用画像を取得する。
【0057】
これに対して、ステップSP1の検出時点から所定の期間が経過した場合、CPU21はステップSP1に戻って、視線方向と、基準面に対する傾き角を再検出する。
【0058】
このようにしてCPU21は、映像の提示を終了すべき命令が当てられるまで、記録媒体MRに記憶される映像データに基づいて3次元像を提示するようになされている。
【0059】
なお、視線が移動していることなどに起因して、ステップSP1において視線方向が非検出となる場合がある。この場合、ステップSP3では、現取得対象である右眼用画像と左眼用画像の輝度値は、当該画像よりも前に取得された右眼用画像と左眼用画像に対して補正された輝度値と同様に補正される。
【0060】
また、ステップSP1において基準面に対する傾き角が、傾きがあるものとして設定される最低値未満であった場合、ステップSP3では、現取得対象である右眼用画像と左眼用画像の傾きは、当該画像よりも前に取得された右眼用画像と左眼用画像に対して補正された傾きと同様に補正される。
【0061】
[1−6.効果等]
以上の構成においてこの画像処理装置20は、3次元像を提示すべきユーザの視線方向を検出し、該ユーザの右眼に与えられる右眼用画像と、左眼に与えられる左眼用画像とに対して視線方向を基準とする範囲を設定する。そして画像処理装置20は、設定した範囲外の部分が不可視状態となるよう、該部分における画素の輝度値を調整する。
【0062】
したがってこの画像処理装置20は、ユーザに対して、視線方向を中心として着目領域が制限され、夜などの暗い場所などでの実際の視野と近似した3次元像を提示することが可能となる。このことは、ゲームに関する3次元像など、画面をユーザの視界と捉えて3次元像を提示する場合などでは特に有用である。
【0063】
これに加えてこの画像処理装置20は、ジャイロスコープでの計測値に基づいて基準面に対する傾き角を検出し、該傾き角が所定の角度未満となるよう右眼用画像及び左眼用画像の傾きを調整する。
【0064】
したがってこの画像処理装置20は、メガネフレーム11を装着するユーザにおける頭の傾きに応じて投影像も傾いてしまうといった事態が回避され、該ユーザに対して、実際の視界状態と一致した3次元像が提示することが可能となる。このことは、観測者に装着されるメガネフレーム11等の装具に対して、該観測者に観測させるべき像を投影する投影部13が設けられている形態の場合、特に有用である。
【0065】
以上の構成によれば、実際の視野と近似した3次元像や実際の視界状態と一致した3次元像を提示することができるようにしたことにより、リアリティ性を向上し得る画像処理装置20が実現できる。
【0066】
<2.他の実施の形態>
上述の実施の形態では、右眼用画像と左眼用画像との投影像を対応する眼に分離する手段として、液晶シャッターLL,LRが適用された。しかしながら分離手段はこの実施の形態に限定されるものではない。例えばレンチキュラースクリーンなどの適用が可能である。また時分割方式代えて偏光方式が適用される場合、液晶シャッターLL,LRに代えて液晶レンズ(偏光フィルター)などの適用が可能である。
【0067】
なお、時分割方式では、投影前の右眼用画像及び左眼用画像の輝度値及び傾きが補正されたが、偏光方式では、液晶レンズの偏光方向を調整することで、投影される右眼用画像及び左眼用画像の輝度値及び傾きが補正される。
【0068】
また上述の実施の形態では、電極15,16と電極17との電位差から視線方向が検出された。しかしながら視線方向の検出手段はこの実施の形態に限定されるものではない。例えば、右眼用画像及び左眼用画像を与えるべきユーザの眼を撮像する撮像部での撮像結果として得られる画像から視線方向が検出されてもよい。画像からの視線方向の検出手法は、具体例には、例えば瞼に挟まれる眼球領域の中心に対する瞳の中心のずれ量に基づいて視線方向を検出する手法などがある。
【0069】
また上述の実施の形態では、視線方向を検出対象として、「正面」、「上中央」、「下中央」、「右中央」、「左中央」、「右上」、「右下」、「左上」、「左下」の9方向が適用された。しかしながら視線方向を検出対象はこの実施の形態に限らず、様々な数を適用することができる。
【0070】
また上述の実施の形態では、左電位差及び右電位差の大きさが3段階に分類された。しかしながら大きさを分類すべき段数はこの実施の形態に限らず、様々な段数を適用することができる。
【0071】
また上述の実施の形態では、視線方向を基準とする範囲の形状が円とされた。しかしながら範囲の形状は円に限らず、様々な形状を適用することができる。
【0072】
また上述した実施の形態では、左電位差及び右電位差の符号及び大きさと、9方向の視線方向での符号及び大きさを示したテーブルとを比較して視線方向が検出された。しかしながら視線方向の検出手法はこの実施の形態に限らず、例えば、左電位差及び右電位差の符号及び大きさから演算により直接的に視線方向を検出する手法などを適用するようにしてもよい。
【0073】
また上述の実施の形態では、ユーザに装着可能な装着手段(装具)として、メガネフレーム11が適用された。しかしながら装着手段はこの実施の形態に限定されるものではない。例えば、ヘアバンド又は帽子など、様々なものを適用することができる。
【0074】
また上述した実施の形態では、電極を接触させるべき部位として、左眼の左上及び右眼の右下が適用された。しかしながら電極を接触させるべき部位は、上下方向及び左右方向の視線を検出することができるのであれば、左眼の左上及び右眼の右下に限るものではない。また、眼の近傍に接触させるべき電極数は、左右に1つずつとされたが、2以上とされてもよい。
【0075】
また上述した実施の形態では、映像提示処理を実行するためのプログラムがROMに格納された。しかしながらプログラムの格納場所はこの実施の形態に限定されるものではない。画像処理装置20の外部又は内部における様々な記憶媒体が適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、ゲーム産業、医療産業などに利用可能性がある。
【符号の説明】
【0077】
1……映像提示システム、10……メガネ、11……メガネフレーム、12……ブリッジ部、13……投影部、14……ジャイロスコープ、20……画像処理装置、21……CPU、22……ROM、23……RAM、24……操作部、25……インターフェース、31……映像取得部、32……同期信号生成部、33……投影制御部、34……シャッター制御部、35……視線検出部、36……輝度調整部、37……傾き調整部、LL,LR……液晶シャッター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
右眼用画像と左眼用画像とを交互に投影する投影手段と、
右眼用画像の投影像と左眼用画像の投影像とを分離する分離手段と、
上記右眼用画像及び上記左眼用画像を与えるべき観測者の視線方向を検出する視線検出手段と、
上記右眼用画像及び上記左眼用画像に対して上記視線方向を基準とする範囲を設定し、その範囲外の部分が不可視状態となるよう画素の輝度値を調整する輝度調整手段と
を有する画像処理装置。
【請求項2】
上記観測者に装着可能な装着手段と、
上記装着手段に設けられるジャイロスコープと、
上記ジャイロスコープでの計測値に基づいて基準面に対する傾き角を検出し、該傾き角が所定の角度未満となるよう上記右眼用画像及び上記左眼用画像の傾きを調整する傾き調整手段と
をさらに有する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記輝度調整手段は、
上記範囲が上記基準から徐々に暗くなるよう、該範囲内における画素の輝度値を調整する
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記分離手段は1対の液晶シャッターであり、上記装着手段はメガネフレームであり、
上記投影手段は、上記メガネフレームが装着されるユーザの前方向が投影方向となるよう該装着手段に設けられ、
上記液晶シャッターは、上記メガネフレームが装着されるユーザにおける一方の眼の前方に配されるよう該装着手段に設けられる
請求項2又は請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記メガネフレームに設けられ、該メガネフレームが装着されるユーザの一方の眼と、他方の眼とで上下方向及び左右方向の異なる位置に配される2つの電極と、
基準とされる電位を測定する基準電極と
をさらに具え、
上記視線検出部は、
上記電極と上記基準電極との電位差から上記ユーザの視線方向を検出する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
右眼用画像及び左眼用画像を与えるべき観測者の視線方向を検出する視線検出ステップと、
上記右眼用画像及び上記左眼用画像に対して上記視線方向を基準とする範囲を設定し、その範囲外の部分が不可視状態となるよう画素の輝度値を調整する輝度調整ステップと、
調整される右眼用画像と左眼用画像とを交互に投影する投影ステップと、
右眼用画像の投影像と左眼用画像の投影像とを分離する分離ステップと
を有する画像処理方法。
【請求項7】
コンピュータに対して、
右眼用画像及び左眼用画像を与えるべき観測者の視線方向を検出すること、
上記右眼用画像及び上記左眼用画像に対して上記視線方向を基準とする範囲を設定し、その範囲外の部分が不可視状態となるよう画素の輝度値を調整すること、
調整される右眼用画像と左眼用画像とを交互に投影すること、
右眼用画像の投影像と左眼用画像の投影像とを分離すること
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−85106(P2012−85106A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229770(P2010−229770)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】