説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理プログラム、および画像処理方法

【課題】 色変換後の画像から色変換前の色を正確に特定できるようにする。
【解決手段】 色変換時には、領域検出部32が、色変換前の対象画像内の処理対象領域を検出し、テクスチャーコード特定部33が、処理対象領域のカラー情報を特定し、特定したカラー情報に対応するテクスチャーコードを特定し、コード画像貼付部34が、特定されたテクスチャーコードに対応するコード画像を色変換後の対象画像に貼り付ける。色復元時には、コード検出部41が、対象画像内のコード画像を検出し、色特定部42が、そのコード画像に対応するテクスチャーコードを特定し、特定したテクスチャーコードに対応するカラー情報を特定し、色変換部43が、対象画像内においてコード画像が貼り付けられていた処理対象領域の色を、特定されたカラー情報により指定される色に変換しそのコード画像を対象画像から消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理プログラム、および画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー画像の色を変換する様々な技術がある。例えば、印刷コスト削減や環境負荷低減のために、カラー画像の原稿をモノクロ画像に変換した上で印刷することがある。この場合、モノクロ画像は、カラー画像の輝度データに基づきグレースケールで表現される。
【0003】
また、色弱者には識別が難しい色があるため、カラー画像において色弱者が識別しにくい色の領域を抽出し、その色を識別しやすい色に変換することがある。
【0004】
上述の場合、通常、色変換前の色は色変換後の画像から特定できない。このため、色変換前の色を色変換後の画像から特定できるようにする技術が提案されている。
【0005】
例えば、色変換後の輝度値を元の色に対応する値とするもの(例えば特許文献1参照)、色変換後の画像において、矢印の向き、矢印の方向における矢印の間隔、および矢印に対して垂直方向における矢印の間隔を色の色相、彩度、および明度とした、元の色を示す矢印を付加するもの(例えば特許文献2参照)などがある。
【0006】
なお、色変換前の特定色に対応する部分の視認性を高くするために、その部分に装飾(網掛けなど)を施すものがあるが(例えば特許文献3参照)、これについては、元の色を特定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−253666号公報
【特許文献2】特開2008−077307号公報
【特許文献3】特開2010−232736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の技術では、色変換前の色を正確に特定することは困難である。例えば、特許文献2記載の技術では、色を復元する際における、矢印の向き(角度)、矢印の方向における矢印の間隔、および矢印に対して垂直方向における矢印の間隔の検出誤差に起因して、色変換前の色を正確に特定することは困難である。特に、色変換後の画像を印刷し、その印刷物を画像スキャンして得られる画像データに対して色復元を行う場合には、その誤差は顕著になる。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、色変換後の画像から色変換前の色を正確に特定できるようにするための画像処理装置、画像形成装置、画像処理プログラム、および画像処理方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0011】
本発明に係る画像処理装置は、対象画像の一部または全部の色変換を実行する色変換部と、色変換前の対象画像内の処理対象領域を検出する領域検出部と、処理対象領域のカラー情報を特定し、特定したカラー情報に対応するテクスチャーコードを特定するテクスチャーコード特定部と、特定されたテクスチャーコードに対応するコード画像を色変換後の対象画像に貼り付けるコード画像貼付部とを備える。
【0012】
これにより、コード画像から一意にテクスチャーコードが得られ、テクスチャーコードから一意に色変換前の色が得られるので、色変換後の画像から色変換前の色を正確に特定できる。
【0013】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、テクスチャーコード特定部は、カラー情報における複数の色成分値に依存する単位コードを複数特定し、それらの単位コードを配列させてテクスチャーコードを特定する。
【0014】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、テクスチャーコード特定部は、カラー情報における複数の色成分値を2進数としたときの同一桁から得られる2進数から単位コードを特定する。
【0015】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、テクスチャーコード特定部は、処理対象領域のRGB値を量子化してカラー情報を特定する。
【0016】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、コード画像貼付部は、処理対象領域がテキストである場合、テキストを含む背景領域にテクスチャーを付加し、そのテクスチャー上にコード画像を貼り付ける。
【0017】
これにより、処理対象領域として複数のテキストが存在しても、各テキストにコード画像を正確に関連付けることができる。
【0018】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、色変換部は、対象画像をカラー画像からモノクロ画像へ変換する。
【0019】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、色変換部は、対象画像において色弱者が識別困難な特定色を有する部分の色を変換し、処理対象領域は、その特定色を有する。
【0020】
本発明に係る画像処理プログラムは、コンピューターを、対象画像の一部または全部の色変換を実行する色変換部、色変換前の対象画像内の処理対象領域を検出する領域検出部、処理対象領域のカラー情報を特定し、特定したカラー情報に対応するテクスチャーコードを特定するテクスチャーコード特定部、および、特定されたテクスチャーコードに対応するコード画像を色変換後の対象画像に貼り付けるコード画像貼付部として機能させる。
【0021】
これにより、コード画像から一意にテクスチャーコードが得られ、テクスチャーコードから一意に色変換前の色が得られるので、色変換後の画像から色変換前の色を正確に特定できる。
【0022】
本発明に係る画像処理方法は、対象画像の一部または全部の色変換を実行するステップと、色変換前の対象画像内の処理対象領域を検出するステップと、処理対象領域のカラー情報を特定し、特定したカラー情報に対応するテクスチャーコードを特定するステップと、特定されたテクスチャーコードに対応するコード画像を色変換後の対象画像に貼り付けるステップとを備える。
【0023】
これにより、コード画像から一意にテクスチャーコードが得られ、テクスチャーコードから一意に色変換前の色が得られるので、色変換後の画像から色変換前の色を正確に特定できる。
【0024】
また、本発明に係る画像処理装置は、対象画像内のコード画像を検出するコード画像検出部と、コード画像検出部により検出されたコード画像に対応するテクスチャーコードを特定し、特定したテクスチャーコードに対応するカラー情報を特定する色特定部と、対象画像内においてコード画像が貼り付けられていた処理対象領域の色を、色特定部により特定されたカラー情報により指定される色に変換するとともに、コード画像を対象画像から消去する色変換部とを備える。
【0025】
これにより、コード画像から一意にテクスチャーコードが得られ、テクスチャーコードから一意に色変換前の色が得られるので、対象画像から色変換前の色を正確に特定できる。
【0026】
本発明に係る画像処理プログラムは、コンピューターを、対象画像内のコード画像を検出するコード画像検出部、コード画像検出部により検出されたコード画像に対応するテクスチャーコードを特定し、特定したテクスチャーコードに対応するカラー情報を特定する色特定部、および、対象画像内においてコード画像が貼り付けられていた処理対象領域の色を、色特定部により特定されたカラー情報により指定される色に変換するとともに、コード画像を対象画像から消去する色変換部として機能させる。
【0027】
これにより、コード画像から一意にテクスチャーコードが得られ、テクスチャーコードから一意に色変換前の色が得られるので、対象画像から色変換前の色を正確に特定できる。
【0028】
本発明に係る画像処理方法は、対象画像内のコード画像を検出するステップと、検出したコード画像に対応するテクスチャーコードを特定し、特定したテクスチャーコードに対応するカラー情報を特定するステップと、対象画像内においてコード画像が貼り付けられていた処理対象領域の色を、色特定部により特定されたカラー情報により指定される色に変換するとともに、コード画像を対象画像から消去するステップとを備える。
【0029】
これにより、コード画像から一意にテクスチャーコードが得られ、テクスチャーコードから一意に色変換前の色が得られるので、対象画像から色変換前の色を正確に特定できる。
【0030】
本発明に係る画像形成装置は、上述の画像処理装置のいずれかを備え、その画像処理装置による色変換後の対象画像を出力する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、色変換後の画像から色変換前の色を正確に特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す画像処理装置による色変換処理について説明するフローチャートである。
【図3】図3は、図1に示す画像処理装置による色変換後のテキストに対するコード画像の貼り付けの一例を示す図である。
【図4】図4は、図1に示す画像処理装置による色変換後のグラフに対するコード画像の貼り付けの一例を示す図である。
【図5】図5は、図2のステップS4,S8におけるテクスチャーコードの特定について説明するフローチャートである。
【図6】図6は、テクスチャーコードとコード画像との対応関係の一例を示す図である。
【図7】図7は、図1に示す画像処理装置による色復元処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0034】
実施の形態1.
【0035】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図1に示す画像処理装置は、演算処理装置1、およびその演算処理装置1に接続される記憶装置2を備える。
【0036】
演算処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含むコンピューターを有し、ROM、記憶装置2などに記憶されているプログラムをRAMにロードしてCPUで実行して各種処理部を実現する。これらの処理部は、処理すべきデータや一時的なデータをRAMに格納しつつ処理を実行する。
【0037】
また、記憶装置2は、各種データを記憶する装置である。記憶装置2には、ハードディスクドライブ、半導体メモリーなどが使用される。この記憶装置2には、色変更プログラム11、色復元プログラム12、およびコード画像テーブル13が記憶されている。
【0038】
演算処理装置1では、色変更プログラム11により色変更部21が実現され、色復元プログラム12により色復元部22が実現される。
【0039】
色変更部21は、画像データに対して色変換処理を実行するとともに、色変換の処理対象領域に対して色変換後に色変換前の色を示すコード画像を貼り付ける。色変更部21は、色変換部31、領域検出部32、テクスチャーコード特定部33、およびコード画像貼付部34を有する。
【0040】
色変換部31は、対象画像の一部または全部の色変換を実行する処理部である。実施の形態1では、色変換部31は、対象画像の全部をカラー画像からモノクロ画像へ変換する。
【0041】
領域検出部32は、色変換前の対象画像内の処理対象領域を検出する処理部である。この実施の形態1では、処理対象領域として、テキスト、および図表・グラフが検出される。
【0042】
テクスチャーコード特定部33は、処理対象領域のカラー情報を特定し、特定したカラー情報に対応するテクスチャーコードを特定する処理部である。
【0043】
実施の形態1では、テクスチャーコード特定部33は、処理対象領域のRGB値を量子化してカラー情報を特定する。
【0044】
実施の形態1では、テクスチャーコード特定部33は、カラー情報における複数の色成分値を使用する所定の処理によって複数の単位コードを特定し、複数の単位コードを配列させてテクスチャーコードを生成する。具体的には、テクスチャーコード特定部33は、カラー情報における複数の色成分値を2進数としたときの同一桁から得られる2進数から単位コードを特定する。実施の形態1では、単位コードは2桁の10進数とされ、テクスチャーコードは6桁の10進数とされる。
【0045】
コード画像貼付部34は、コード画像テーブル13に基づいて、特定されたテクスチャーコードに対応するコード画像を特定し、そのコード画像を色変換後の対象画像に貼り付ける処理部である。このコード画像は(独自の)2次元コード画像であって、異なるテクスチャーコードに対応するコード画像は互いに異なり互いに混同しにくいパターン画像とされる。
【0046】
実施の形態1では、コード画像貼付部34は、処理対象領域がテキストである場合、テキストを含む背景領域にテクスチャーを付加し、そのテクスチャー上にコード画像を貼り付ける。また、実施の形態1では、コード画像貼付部34は、処理対象領域が図表・グラフである場合、図表・グラフ内の単一色領域ごとに、コード画像を貼り付ける。
【0047】
色復元部22は、コード画像を貼り付けられている画像の画像データに対して色復元処理を実行する。色復元部22は、コード画像検出部41、色特定部42、および色変換部43を有する。
【0048】
コード画像検出部41は、コード画像テーブル13に基づいて、対象画像内のコード画像を検出する処理部である。つまり、コード画像検出部41は、画像マッチング技術を使用して、コード画像テーブル13に登録されているコード画像を対象画像内で探索する。
【0049】
色特定部42は、コード画像検出部41により検出されたコード画像に対応するテクスチャーコードを特定し、特定したテクスチャーコードに対応するカラー情報を特定する。
【0050】
色変換部43は、対象画像内においてコード画像が貼り付けられていた処理対象領域の色を、色特定部42により特定されたカラー情報により指定される色に変換するとともに、そのコード画像を対象画像から消去する処理部である。そのコード画像の存在した部分の色は、その周囲の背景色と同一とされる。
【0051】
次に、上記画像処理装置の動作について説明する。ここでは、上記画像処理装置による色変換処理と色復元処理とについて説明する。
【0052】
(1)色変換処理
【0053】
図2は、図1に示す画像処理装置による色変換処理について説明するフローチャートである。
【0054】
色変換の対象となる対象画像のカラー画像データがこの画像処理装置に供給され、例えば演算処理装置1内のRAMに記憶される。領域検出部32、テクスチャーコード特定部33およびコード画像貼付部34は、所定の設定値を参照し、その設定値が所定の値であれば、後述のコード画像の貼り付けを行い、そうでなければ、後述のコード画像の貼り付けを行わない。
【0055】
コード画像の貼り付けを行う場合、まず、領域検出部32は、その画像データを読み出し、色変換前の対象画像内の処理対象領域を検出する(ステップS1)。このとき、単一色の各領域の形状、サイズ、配列状態などに基づいて、処理対象領域としての、テキスト、あるいは図表・グラフが検出される。
【0056】
次に、テクスチャーコード特定部33は、その処理対象領域がテキストであるか否かを判定する(ステップS2)。
【0057】
処理対象領域がテキストである場合、テクスチャーコード特定部33は、そのテキスト部分の色の平均値をそのテキストの色とし、その色(RGB値)からテクスチャーコードを特定する(ステップS3)。
【0058】
そして、色変換部31は、色変換前の画像データを読み出し、その画像データについて色変換を実行し、色変換後の画像データを書き込む(ステップS4)。実施の形態1では、色変換部31は、そのカラー画像データをモノクロ画像データへ変換する。
【0059】
コード画像貼付部34は、色変換後の画像データを読み出し、色変換後の画像においてそのテキストを含む背景領域にテクスチャー(コード画像ではなく固定的な模様としてのテクスチャー)を付加し(ステップS5)、そのテクスチャー上にコード画像を貼り付ける(ステップS6)。
【0060】
図3は、図1に示す画像処理装置による色変換後のテキストに対するコード画像の貼り付けの一例を示す図である。例えば図3に示すように、色変換前のカラーのテキスト101(図3(A))が、色変換後にモノクロのテキスト111(図3(B))とされ、さらにそのテキスト111を含む背景領域に矩形のテクスチャー112が付加され、そのテクスチャーの112の隅にコード画像113が貼り付けられる。このテクスチャー112には、テキスト111の視認性を低下させないようなパターンが使用される。
【0061】
一方、処理対象領域がテキストではない場合、テクスチャーコード特定部33は、その処理対象領域が図表・グラフであるか否かを判定する(ステップS7)。処理対象領域が図表・グラフではない場合(つまり、処理対象領域がテキストでも図表・グラフでもない場合)には、コード画像の貼り付けを行わない。
【0062】
処理対象領域が図表・グラフである場合、テクスチャーコード特定部33は、処理対象領域内の各単一色領域の色の平均値をその単一色領域の色とし、その色(RGB値)からテクスチャーコードを特定する(ステップS8)。
【0063】
そして、色変換部31は、その画像データについて色変換を実行する(ステップS9)。実施の形態1では、色変換部31は、そのカラー画像データをモノクロ画像データへ変換する。
【0064】
コード画像貼付部34は、色変換後の画像データを読み出し、色変換後の画像における各単一色領域上にコード画像を貼り付ける(ステップS10)。
【0065】
図4は、図1に示す画像処理装置による色変換後のグラフに対するコード画像の貼り付けの一例を示す図である。例えば図4に示すように、色変換前のカラーのグラフ内の、互いに異なる色の単一色領域121,122,123(図4(A))が、色変換後にモノクロのグラフ内の、領域131,132,133(図4(B))とされ、さらに、その領域131,132,133内に、コード画像134,135,136が貼り付けられる。なお、図4(B)では、領域131,132,133内において、コード画像134,135,136を繰り返し配列させてテクスチャーとして貼り付けている。
【0066】
このようにして、色変換後の処理対象領域にコード画像が貼り付けられる。
【0067】
ここで、ステップS4,S8におけるテクスチャーコードの特定について詳細に説明する。図5は、図2のステップS4,S8におけるテクスチャーコードの特定について説明するフローチャートである。
【0068】
テクスチャーコード特定部33は、まず、処理対象領域のカラー情報を特定する(ステップS21)。実施の形態1では、テクスチャーコード特定部33は、処理対象領域内の全画素の色値(RGB値)の平均値を計算し、その平均値を量子化し、量子化後の値をカラー情報とする。
【0069】
ここでは、テクスチャーコード特定部33は、RGBの各値が8ビットの数値(0から255までのいずれかの値)であり、量子化幅を5として量子化する。なお、量子化幅は、視覚的に色の区別が難しい色値の幅とされる。量子化幅が5である場合、量子化後のRGBの各値は、0から51までのいずれかの値となり、6ビットの数値となる。例えば、(R,G,B)=(205,5,47)である場合、カラー情報は、(41,1,9)となる。
【0070】
次に、テクスチャーコード特定部33は、カラー情報の各色成分を2進数化し、カラー情報における複数の色成分値を使用して単位コードを特定する(ステップS22)。
【0071】
ここでは、テクスチャーコード特定部33は、カラー情報の3成分(2進数)の各同一桁から3桁の2進数を桁ごとに生成し、生成された複数の2進数を2つずつまとめて単位コードとする。
【0072】
例えば、カラー情報が(41,1,9)である場合、2進数では、(101001,000001,001001)となり、最上位の第1桁から「100」なる第1の2進数が生成され、第2桁から「000」なる第2の2進数が生成され、第3桁から「101」なる第3の2進数が生成され、第4桁から「000」なる第4の2進数が生成され、第5桁から「000」なる第5の2進数が生成され、第6桁から「111」なる第6の2進数が生成される。そして、第1の2進数「100」(10進数では4)と第2の2進数「000」(10進数では0)が1つの単位コードとされ、第3の2進数「101」(10進数では5)と第4の2進数「000」(10進数では0)が1つの単位コードとされ、第5の2進数「000」(10進数では0)と第6の2進数「111」(10進数では7)が1つの単位コードとされる。
【0073】
そして、テクスチャーコード特定部33は、生成した各単位コードを配列させてテクスチャーコードを生成する(ステップS23)。例えば、上述の例では、テクスチャーコードは、「405007」となる。
【0074】
そして、コード画像貼付部34は、コード画像テーブル13に基づいて、各単位コードに対応する単位コード画像を特定し、それらの単位コード画像を配列させてコード画像とする。実施の形態1では、コード画像テーブル13は、単位コードの各値に一意に対応する単位コード画像の画像データを有しており、コード画像貼付部34は、単位コードの値に応じた単位コード画像の画像データを読み出して、コード画像の画像データを生成する。
【0075】
例えば、上述のテクスチャーコード「405007」の場合、単位コードの値は100通りあるので、100通りの単位コード画像の画像データがコード画像テーブル13に含められ、各単位コード画像は、縦横3ブロックの計9ブロックの基本パターンにおいて、他の単位コード画像とは異なる配置パターンで黒(または特定色)のベタ塗りのブロックを配置して得られるものとされる。
【0076】
図6は、テクスチャーコードとコード画像との対応関係の一例を示す図である。図6(A)に示すように、コード画像テーブル13において、単位コードの各値ごとに異なる単位コード画像141〜143が割り当てられており、図6(B)に示すように、単位コード画像141〜143を配列させて、テクスチャーコードに対応するコード画像151が生成される。なお、図6では、単位コード画像におけるベタ塗りのブロックの数は2であるがその数は2に限定されるものではない。
【0077】
このようにして、テクスチャーコードが特定され、そのテクスチャーコードからコード画像が特定される。
【0078】
(2)色復元処理
【0079】
図7は、図1に示す画像処理装置による色復元処理について説明するフローチャートである。
【0080】
色復元の対象となる対象画像の画像データ(ここでは、モノクロ画像データ)がこの画像処理装置に供給され、例えば演算処理装置1内のRAMに記憶される。
【0081】
コード画像検出部41は、コード画像テーブル13に基づいて、対象画像内のコード画像を検出する(ステップS41)。コード画像検出部41は、コード画像テーブル13を読み出して単位コード画像を特定し、単位コード画像に一致する画像を対象画像内で探し、所定数(上述の図6の例では3個)の単位コード画像が配列しているコード画像を検出する。
【0082】
コード画像が検出されると、色特定部42は、そのコード画像がテキストに付加されているか否かを判定する(ステップS42)。このとき、コード画像の背景に上述のテクスチャーが存在する場合には、色特定部42は、そのコード画像がそのテクスチャー上のテキストに付加されたものと判定する。
【0083】
コード画像がテキストに付加されていると判定した場合、色特定部42は、そのコード画像に対応するテクスチャーコードを特定し、そのテクスチャーコードに対応するカラー情報を特定する(ステップS43)。このとき、色特定部42は、そのコード画像を単位コード画像に分解し、その単位コード画像に対応する単位コードを特定し、その単位コードを配列させてテクスチャーコードを特定する。
【0084】
そして、色変換部43は、そのテキストおよびコード画像の背景であるテクスチャー(例えば図3(B)のテクスチャー112)を除去し(ステップS44)、さらに、そのコード画像を除去した上で、そのテキストの色を、色特定部42により特定されたカラー情報により指定される色に変換する(ステップS45)。このとき、上述のようにして、カラー情報が量子化後の値を有する場合には、カラー情報の値に量子化幅を乗じた値が、カラー情報により指定される。例えば、上述のように量子化幅が5である場合には、カラー情報の値が(41,1,9)であれば、カラー情報の値が(41,1,9)であれば、テキストの色(RGB値)は(205,5,45)とされる。
【0085】
一方、コード画像がテキストに付加されていないと判定した場合、色特定部42は、そのコード画像が図表・グラフの単一色領域に付加されているか否かを判定する(ステップS46)。コード画像が図表・グラフの単一色領域に付加されていない場合(つまり、コード画像がテキストにも図表・グラフにも付加されたものではない場合)には、色復元を行わない。
【0086】
コード画像が図表・グラフの単一色領域に付加されていると判定した場合、色特定部42は、ステップS43と同様にして、そのコード画像に対応するテクスチャーコードを特定し、そのテクスチャーコードに対応するカラー情報を特定する(ステップS47)。
【0087】
そして、色変換部43は、そのコード画像を除去した上で、その単一色領域の色を、色特定部42により特定されたカラー情報により指定される色に変換する(ステップS48)。
【0088】
なお、対象画像内に複数のコード画像が存在する場合には、各コード画像について、上述の処理が行われる。
【0089】
このようにして、コード画像が付加されているテキストまたは図表・グラフの色が復元される。
【0090】
以上のように、上記実施の形態1によれば、色変更部21では、領域検出部32が、色変換前の対象画像内の処理対象領域を検出し、テクスチャーコード特定部33が、処理対象領域のカラー情報を特定し、特定したカラー情報に対応するテクスチャーコードを特定し、コード画像貼付部34が、特定されたテクスチャーコードに対応するコード画像を色変換後の対象画像に貼り付ける。
【0091】
これにより、コード画像から一意にテクスチャーコードが得られ、テクスチャーコードから一意に色変換前の色が得られるので、色変換後の画像から色変換前の色を正確に特定できる。
【0092】
また、上記実施の形態1によれば、色復元部22では、コード検出部41は、対象画像内のコード画像を検出し、色特定部42は、コード画像検出部41により検出されたコード画像に対応するテクスチャーコードを特定し、特定したテクスチャーコードに対応するカラー情報を特定し、色変換部43は、対象画像内においてコード画像が貼り付けられていた処理対象領域の色を、色特定部42により特定されたカラー情報により指定される色に変換するとともに、コード画像を対象画像から消去する。
【0093】
これにより、コード画像から一意にテクスチャーコードが得られ、テクスチャーコードから一意に色変換前の色が得られるので、対象画像から色変換前の色を正確に特定できる。
【0094】
実施の形態2.
【0095】
本発明の実施の形態2に係る画像処理装置は、色変換部31が、対象画像において色弱者が識別困難な特定色を有する部分を特定し、その部分の色を色弱者が識別容易な特定色へ変換し、その部分を処理対象領域として、コード画像を貼り付ける。
【0096】
なお、実施の形態2に係る画像処理装置の基本的な構成および動作は、実施の形態1の場合と同様であるが、実施の形態2では以下のように各部が動作する。
【0097】
実施の形態2では、領域検出部32が、対象画像において色弱者が識別困難な特定色を有する部分(テキストまたは図表・グラフ)を処理対象領域として検出し、色変換部31が、その部分の色を色弱者が識別容易な特定色へ変換する(つまり、その他の部分の色は変換されない)。
【0098】
多くの色弱者には、緑色と赤色との見分けが難しく、紫色と青色との見分けが難しい。また、緑色や赤色は、色弱者には茶色に見えるため、緑色や赤色と茶色との見分けが難しい。例えば、背景が茶色でありテキストが緑色であると、色弱者がそのテキストを識別しにくいため、そのテキストが処理対象領域として検出される。
【0099】
そして、実施の形態2では、テクスチャーコード特定部33は、実施の形態1と同様にして、その処理対象領域の色に対応するテクスチャーコードを特定し、コード画像貼付部34は、実施の形態1と同様にして、そのテクスチャーコードに対応するコード画像を貼りつける。
【0100】
なお、対象画像において色弱者が識別困難な特定色、および色弱者が識別容易な特定色は予め設定しておいてもよいし、色の組合せのリストを図示せぬ表示装置に表示させて、そのリストから、識別しにくい色の組合せをユーザーに選択させ図示せぬ入力装置に対するユーザーの選択操作に従って識別困難な色と識別容易な色を特定するようにしてもよい。
【0101】
このようにして、色変更部21による色変更の処理が行われる。なお、実施の形態2における色復元部22による色復元の処理は、実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0102】
以上のように、上記実施の形態2によれば、色弱者用に色が変更された画像から、元の色を正確に復元することができる。
【0103】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0104】
例えば、上記の各実施の形態に係る画像処理装置は、例えばプリンター、コピー機、複合機などの画像形成装置に内蔵されたり、パーソナルコンピューターなどにインストールされたプログラムに基づいて実現されたりする。
【0105】
また、上記の各実施の形態において、図表・グラフにおける単一色領域内にコード画像が収まらない場合には、テキストと同様に背景にテクスチャーを付加して、そのテクスチャー上にコード画像を貼り付けるようにしてもよい。
【0106】
また、上記の各実施の形態では、処理対象領域の色値を量子化してカラー情報を生成しているが、量子化せずに色値をそのままカラー情報としてもよい。
【0107】
また、上記の各実施の形態において、色変更プログラム11および色復元プログラムは、可搬性のある記録媒体に記録しておき、その記録媒体用のデータ読取装置を使用して上述の装置へインストールされるようにしてもよい。
【0108】
また、上記の各実施の形態において、色変更プログラム11および色復元プログラムは、2つのうちのいずれか1つのみがインストールされていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、例えば、画像形成装置やそのドライバープログラムに適用可能である。
【符号の説明】
【0110】
1 演算処理装置(コンピューターの一例)
11 色変更プログラム(画像処理プログラムの一例)
12 色復元プログラム(画像処理プログラムの一例)
31 色変換部
32 領域検出部
33 テクスチャーコード特定部
34 コード画像貼付部
41 コード画像検出部
42 色特定部
43 色変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象画像の一部または全部の色変換を実行する色変換部と、
色変換前の前記対象画像内の処理対象領域を検出する領域検出部と、
前記処理対象領域のカラー情報を特定し、特定したカラー情報に対応するテクスチャーコードを特定するテクスチャーコード特定部と、
特定された前記テクスチャーコードに対応するコード画像を色変換後の前記対象画像に貼り付けるコード画像貼付部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記テクスチャーコード特定部は、前記カラー情報における複数の色成分値に依存する単位コードを複数特定し、それらの単位コードを配列させて前記テクスチャーコードを特定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記テクスチャーコード特定部は、前記カラー情報における複数の色成分値を2進数としたときの同一桁から得られる2進数から前記単位コードを特定することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記テクスチャーコード特定部は、前記処理対象領域のRGB値を量子化して前記カラー情報を特定することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記コード画像貼付部は、前記処理対象領域がテキストである場合、前記テキストを含む背景領域にテクスチャーを付加し、そのテクスチャー上に前記コード画像を貼り付けることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記色変換部は、前記対象画像をカラー画像からモノクロ画像へ変換することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記色変換部は、前記対象画像において色弱者が識別困難な特定色を有する部分の色を変換し、
前記処理対象領域は、前記特定色を有すること、
を特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の画像処理装置を備え、
前記画像処理装置による色変換後の前記対象画像を出力すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
コンピューターを、
対象画像の一部または全部の色変換を実行する色変換部、
色変換前の前記対象画像内の処理対象領域を検出する領域検出部、
前記処理対象領域のカラー情報を特定し、特定したカラー情報に対応するテクスチャーコードを特定するテクスチャーコード特定部、および、
特定された前記テクスチャーコードに対応するコード画像を色変換後の前記対象画像に貼り付けるコード画像貼付部、
として機能させる画像処理プログラム。
【請求項10】
対象画像の一部または全部の色変換を実行するステップと、
色変換前の前記対象画像内の処理対象領域を検出するステップと、
前記処理対象領域のカラー情報を特定し、特定したカラー情報に対応するテクスチャーコードを特定するステップと、
特定された前記テクスチャーコードに対応するコード画像を色変換後の前記対象画像に貼り付けるステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
対象画像内のコード画像を検出するコード画像検出部と、
前記コード画像検出部により検出された前記コード画像に対応するテクスチャーコードを特定し、特定したテクスチャーコードに対応するカラー情報を特定する色特定部と、
前記対象画像内において前記コード画像が貼り付けられていた処理対象領域の色を、前記色特定部により特定されたカラー情報により指定される色に変換するとともに、前記コード画像を前記対象画像から消去する色変換部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
請求項11記載の画像処理装置を備え、
前記画像処理装置による色変換後の前記対象画像を出力すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
コンピューターを、
対象画像内のコード画像を検出するコード画像検出部、
前記コード画像検出部により検出された前記コード画像に対応するテクスチャーコードを特定し、特定したテクスチャーコードに対応するカラー情報を特定する色特定部、および、
前記対象画像内において前記コード画像が貼り付けられていた処理対象領域の色を、前記色特定部により特定されたカラー情報により指定される色に変換するとともに、前記コード画像を前記対象画像から消去する色変換部、
として機能させる画像処理プログラム。
【請求項14】
対象画像内のコード画像を検出するステップと、
検出した前記コード画像に対応するテクスチャーコードを特定し、特定したテクスチャーコードに対応するカラー情報を特定するステップと、
前記対象画像内において前記コード画像が貼り付けられていた処理対象領域の色を、前記色特定部により特定されたカラー情報により指定される色に変換するとともに、前記コード画像を前記対象画像から消去するステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−205019(P2012−205019A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66764(P2011−66764)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】