説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理プログラム

【課題】特別な検出機構を用いずに原稿を含む画像から原稿端を線画などと区別して抽出する画像処理装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】直線検出部11は、入力画像から直線を検出し、均一度算出部12は、直線検出部11で検出した各直線の均一度を算出する。均一度として、例えば線幅の変動値や線の濃度の変動値、最大濃度位置の中央からのずれ度合いなどを算出する。判定部13では、均一度算出部12で算出された均一度をもとに、直線検出部11で検出した直線が原稿端部であるか否かを判定する。原稿端部であれば、原稿内に描かれた線分と比べて線幅の変動が大きく、また濃度の変動値が大きく、最大濃度位置は中央からずれているので、均一度の値からこれらを判定すればよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な方法により原稿端を検出している。旧来の方法としては、例えば特許文献1や特許文献2に記載されているように、特定の位置に原稿が存在するか否かを光学素子により検出する方法が用いられている。また、特許文献3では、読取用のCCDセンサとは別に原稿検出用のエリアセンサを設ける方法も考えられている。さらに、特許文献4では記録装置の用紙搬送路に画像読取手段を設置し、その画像読取手段によって読み取った画像信号から、明度とともに彩度も参照して、印刷用紙の端を検出している。これらの方法では、いずれも原稿の存在を検出するための特別な検出手段を使用する構成である。
【0003】
特別な検出手段を使用しない方法として、例えば特許文献5では、原稿の読み取り面とは反対の面から照明光を照射することにより原稿を影状に黒く見えるようにして、原稿端を検出している。また、例えば特許文献6では、原稿押さえに模様を施し、この模様とともに原稿を読み取って模様が原稿により隠された部分を認識している。これらの方法では、特別な検出方法は使用しないものの、読取装置の構成を部分的に変更することによって原稿部分を検出している。
【0004】
このように、従来の原稿端の検出方法では読取装置に特別な構成を加えることにより原稿端を検出している。これに対して、特別な構成が加えられていない読取装置で単に原稿を読み取った画像など、原稿を含む画像から原稿の端部を検出することが考えられている。また、例えば特許文献7では、原稿端ではないが、有効画像の広がりを判別することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3179857号公報
【特許文献2】特開平5−336315号公報
【特許文献3】特開2005−167802号公報
【特許文献4】特開2005−269124号公報
【特許文献5】特開平6−337923号公報
【特許文献6】特開2005−217509号公報
【特許文献7】特開2004−236026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特別な検出機構を用いずに原稿を含む画像から原稿端を線画などと区別して抽出する画像処理装置および画像処理プログラムと、そのような画像処理装置を用いた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載の発明は、原稿画像を含む入力画像から直線を検出する直線検出手段と、前記直線検出手段で検出した各直線の均一度を算出する均一度算出手段と、前記均一度算出手段で算出された均一度をもとに前記直線が原稿端部であるか否かを判定する判定手段を有することを特徴とする画像処理装置である。
【0008】
本願請求項2に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記均一度算出手段が、直線の幅の変動値を前記均一度として算出することを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
本願請求項3に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記均一度算出手段が、直線の濃度変動値を前記均一度として算出することを特徴とする画像処理装置である。
【0010】
本願請求項4に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記均一度算出手段が、直線の濃度境界度合いを前記均一度として算出することを特徴とする画像処理装置である。
【0011】
本願請求項5に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記均一度算出手段が、直線の最大濃度位置の変動値を前記均一度として算出することを特徴とする画像処理装置である。
【0012】
本願請求項6に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記均一度算出手段が、直線の最大濃度位置の中央からのずれ度合いを前記均一度として算出することを特徴とする画像処理装置である。
【0013】
本願請求項7に記載の発明は、本願請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発明の構成に、さらに、前記直線検出手段で検出した直線のうち画像の最も端に位置する直線を選択する選択手段をさらに有することを特徴とする画像処理装置である。
【0014】
本願請求項8に記載の発明は、原稿画像を含む画像を読み取って入力画像として出力する読取手段と、前記入力画像を受け取って原稿端を検出する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像処理装置と、画像を媒体上に形成する形成手段と、前記入力画像に対して前記画像処理装置で検出した前記原稿端をもとに前記形成手段で形成する画像を作成する画像作成手段を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0015】
本願請求項9に記載の発明は、コンピュータに、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像処理装置の機能を実行させるものであることを特徴とする画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本願請求項1に記載の発明によれば、原稿を含む画像から原稿端を線画などと区別して抽出することができる。
【0017】
本願請求項2に記載の発明によれば、画像を読み取る際に紙撚れ等による原稿の浮きがある場合に、本構成を有しない場合に比べて正確に原稿端を抽出することができる。
【0018】
本願請求項3に記載の発明によれば、画像を読み取った原稿の端部断面による影の濃度が不均一である場合に、本構成を有しない場合に比べて正確に原稿端を抽出することができる。
【0019】
本願請求項4に記載の発明によれば、画像を読み取った原稿の端部断面による影が周期的に不均一である場合に、本構成を有しない場合に比べて正確に原稿端を抽出することができる。
【0020】
本願請求項5に記載の発明によれば、画像を読み取る際に紙撚れ等による原稿の浮きがある場合に、本構成を有しない場合に比べて正確に原稿端を抽出することができる。
【0021】
本願請求項6に記載の発明によれば、画像を読み取った原稿による影が存在する場合に、本構成を有しない場合に比べて簡単に原稿端を抽出することができる。
【0022】
本願請求項7に記載の発明によれば、原稿に描かれている内容によらず、本構成を有しない場合に比べて正確に原稿端を抽出することができる。
【0023】
本願請求項8に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、入力画像中の原稿部分を正確に処理し、媒体上に形成することができる。
【0024】
本願請求項9に記載の発明によれば、本願請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の画像処理装置の実施の一形態を示す構成図である。
【図2】本発明の画像処理装置の実施の一形態における動作の一例を示す流れ図である。
【図3】本発明の画像処理装置の実施の一形態における動作の具体例の説明図である。
【図4】画像中に現れる原稿端の直線の一例の説明図である。
【図5】線幅の変動の一例の説明図である。
【図6】線の濃度の変動の一例の説明図である。
【図7】線の濃度境界の度合いの変動の一例の説明図である。
【図8】線の幅方向の最大濃度位置の変動の一例の説明図である。
【図9】本発明の画像処理装置の実施の一形態の変形例を示す構成図である。
【図10】入力画像中の原稿端に現れる各線分の違いの一例の説明図である。
【図11】本発明の画像形成装置の実施の一形態を示す構成図である。
【図12】本発明の画像処理装置の実施の一形態及びその変形例で説明した機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体とコンピュータの一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の画像処理装置の実施の一形態を示す構成図である。図中、11は直線検出部、12は均一度算出部、13は判定部である。処理対象となる入力画像はどのようなものでもよいが、原稿画像が含まれている場合に、その原稿の周囲である原稿端部を検出する。入力画像は、例えば画像読取装置などによって、原稿及び原稿外の部分を含めて読み取られた画像であってよい。
【0027】
直線検出部11は、入力画像から直線(線分)を検出する。検出方法としては周知の方法を用いればよく、例えばハフ変換や、有意ドットを追跡する方法などを用いるとよい。
【0028】
均一度算出部12は、直線検出部11で検出した各直線の均一度を算出する。均一度としては、直線の幅の平均値の差や分散値の差などの幅の変動値、直線の濃度の平均値の差や分散値の差などの濃度の変動値、直線の濃度境界度合いの平均値の差や分散値の差、直線の最大濃度位置の変動値や中央からのずれ度合いなどを算出するとよい。これらの具体例については後述する。もちろん、これらの他にも直線が均一であるか否かを示す値であれば利用してもよく、また、いくつかの値を組み合わせて均一度として算出してもよい。
【0029】
判定部13は、均一度算出部12で算出された均一度をもとに、各直線が原稿の端部であるか否かを判定し、原稿端部である直線を特定する。原稿端により画像中に現れた線は、原稿中に描かれている直線と比べて線幅の変動や濃度の変動が大きく、また濃度境界度合いがばらつき、最大濃度位置が中央からずれて変動するなどの特徴を有している。均一度算出部12で算出された均一度をもとにこれらの特徴を判定すれば、原稿端の直線は原稿中に描かれている直線と区別して判定されることになる。
【0030】
本発明の画像処理装置の実施の一形態における動作の一例について、具体例を用いながら説明する。図2は、本発明の画像処理装置の実施の一形態における動作の一例を示す流れ図、図3は、同じく具体例の説明図である。図3(A)には入力画像の一例を示している。原稿内に文字や線分が描かれており、入力画像にはその原稿の画像とともに原稿外の部分が含まれている。
【0031】
図2のS71において、直線検出部11は、入力画像から直線(線分)を検出する。これにより、図3(B)に示す各直線が検出される。S72において、S71で検出された各直線について、均一度算出部12は均一度を算出する。算出する均一度の一例については後述する。そしてS73において、判定部13はS72で算出した均一度をもとに、S71で検出した各直線が原稿端であるか否かを判定する。これにより、図3(C)に示す原稿端が検出されることになる。
【0032】
以下、均一度算出部12において算出する均一度の一例について説明する。まず、入力画像中において原稿端がどのように現れるかについて説明する。図4は、画像中に現れる原稿端の直線の一例の説明図である。図中、21は光源、22は原稿である。例えばスキャナやデジタルカメラなどの画像読取装置によって原稿22の画像を、原稿22外の領域を含めて取得する場合には、図4(A)、(C)に示すように光源21からの光により原稿22の端部に影が生じ、この影が画像中に直線として現れてしまう。また、原稿22の端においては、光源21からの光が反射する特性も変化し、画像中の濃度や色が変化することになる。さらに、原稿22の色と背景の色との相違による濃度や色の境界が生じることになる。
【0033】
上述の原稿22による影は、例えば原稿22の浮きや端部の断面の不均一性などによって幅や強度が異なる。例えば図4(C)に示した例では図4(A)に示した例に比べて原稿22が背景から浮いており、その分だけ影の幅が大きくなっている。原稿22の端は均一でないことから位置によって浮きなどの状態は異なっている。そのため、画像中の原稿による影の部分の幅や濃度は位置によって異なってくる。
【0034】
また、この影の部分の濃度分布を見ると、図4(B)、(D)に示すように、原稿22の端に近いほど濃度が濃く、離れるほど薄くなるという傾向がある。そのため、影の濃い部分は原稿22の端に寄って現れることになる。
【0035】
均一度算出部12では、このような原稿22の端部によって画像中に生じる直線の傾向に基づき、入力画像から検出した直線についての均一度を算出し、算出した均一度から判定部13が原稿端であるか否かを判定する。
【0036】
均一度の第1の例として、直線の幅の変動値を均一度として算出する例を説明する。図5は、線幅の変動の一例の説明図である。図5(A)には原稿に描かれている線分を部分的に拡大して示しており、図5(B)には原稿端に現れる線分を部分的に拡大して示している。原稿内に描かれている線分については、線幅はほとんど変動しないが、図4でも説明したように、原稿端に現れる線分の幅は図5(B)に示すように原稿の状態により変動することになる。このような原稿端に現れる線分の線幅の変動を均一度として算出すれば、直線検出部11で検出した直線が原稿端に現れた線分であるのか、あるいは原稿内に描かれた線分であるのかが分かる。
【0037】
線幅の変動を示す値として、例えば線分を予め決めておいた長さ毎に区切って線幅の平均値を算出し、算出した平均値の差を均一度とするとよい。この場合、均一度が小さいほど線幅の変動は少なく、均一度が大きいほど線幅の変動が大きいことを示している。従って、原稿内に描かれている線分については均一度が小さく、原稿端に現れる線分については均一度が大きくなる。判定部13は均一度算出部12で算出された均一度が予め決めておいた値よりも大きければ原稿端と判定すればよい。
【0038】
線幅の平均値を用いるほか、線幅の分散値を用いてもよい。例えば線分を予め決めておいた長さ毎に区切って区間ごとに線幅の分散値を算出し、算出した分散値の平均値を均一度としたり、分散値の差を均一度とするとよい。この場合、線幅の変動が大きいほど分散値が大きくなることから、判定部13は均一度算出部12で算出された均一度が予め決めておいた値よりも大きければ原稿端と判定すればよい。
【0039】
上述の例では線分を予め決めておいた長さ毎に区切ってその区間の線幅の平均値や分散値を算出しているが、これに限らず、例えば予め決めておいた間隔で線幅を求めて、その線幅の差や分散値を求めてもよい。
【0040】
均一度の第2の例として、直線の濃度の変動値を均一度として算出する例を説明する。図6は、線の濃度の変動の一例の説明図である。図6(A)には原稿に描かれている線分を部分的に拡大して示しており、図6(B)には原稿端に現れる線分を部分的に拡大して示している。原稿内に描かれている線分については、線の濃度はほとんど変動しないが、図4でも説明したように、原稿端に現れる線分の濃度は図6(B)に示すように原稿の状態により変動することになる。このような原稿端に現れる線分の濃度の変動を均一度として算出すれば、直線検出部11で検出した直線が原稿端に現れた線分であるのか、あるいは原稿内に描かれた線分であるのかが分かる。
【0041】
濃度の変動を示す値として、例えば線分を予め決めておいた長さ毎に区切って濃度の平均値を算出し、算出した平均値の差を均一度とするとよい。この場合、均一度が小さいほど濃度の変動は少なく、均一度が大きいほど濃度の変動が大きいことを示している。従って、原稿内に描かれている線分については均一度が小さく、原稿端に現れる線分については均一度が大きくなる。判定部13は均一度算出部12で算出された均一度が予め決めておいた値よりも大きければ原稿端と判定すればよい。
【0042】
濃度の平均値を用いるほか、濃度の分散値を用いてもよい。例えば線分を予め決めておいた長さ毎に区切って区間ごとに濃度の分散値を算出し、算出した分散値の平均値を均一度としたり、分散値の差を均一度とするとよい。この場合、濃度の変動が大きいほど分散値が大きくなることから、判定部13は均一度算出部12で算出された均一度が予め決めておいた値よりも大きければ原稿端と判定すればよい。
【0043】
上述の例では線分を予め決めておいた長さ毎に区切った区間の濃度の平均値や分散値を算出しているが、これに限らず、例えば予め決めておいた間隔で線の濃度を求めて、その濃度の差や分散値を求めてもよい。
【0044】
均一度の第3の例として、直線の濃度境界の度合い境界の度合いを均一度として算出する例を説明する。図7は、線の濃度境界の度合いの変動の一例の説明図である。図7(A)には原稿に描かれている線分を部分的に拡大して示しており、図7(B)には原稿端に現れる線分を部分的に拡大して示している。原稿内に描かれている線分については、線の濃度境界ははっきりと現れ、その傾向はほとんど変動しない。しかし、図4でも説明したように、原稿端に現れる線分は濃度境界がはっきりとせず、図7(B)に示すようにはっきりとした濃度境界とはならない。しかも、濃度境界は原稿の状態により変動することになる。このような原稿端に現れる線分の濃度境界の変動を、例えばエッジ度などと呼ばれる濃度境界度合いとして算出し、均一度とすればよい。この濃度境界度合いにより、直線検出部11で検出した直線が原稿端に現れた線分であるのか、あるいは原稿内に描かれた線分であるのかが分かる。
【0045】
濃度境界度合いは、従来より用いられているエッジ度検出フィルタなどを用いて算出すればよい。例えば線分を予め決めておいた長さ毎に区切って、その区間における濃度境界度合いの平均値を算出し、算出した平均値あるいは平均値の差を均一度とするとよい。この場合、濃度境界度合いの平均値が大きいほどはっきりとした濃度境界であることを示し、濃度境界度合いの平均値が小さいほど濃度境界がぼけていることを示している。従って、原稿内に描かれている線分については均一度が大きく、原稿端に現れる線分については均一度が小さくなることから、判定部13は均一度算出部12で算出された均一度が予め決めておいた値よりも小さければ原稿端と判定すればよい。また、濃度境界度合いの平均値の差を用いる場合には、その差が小さいほど濃度境界の変動は少なく、差が大きいほど濃度境界の変動が大きいことを示すことになる。従って、原稿内に描かれている線分については濃度境界度合いの平均値の差が小さく、原稿端に現れる線分については差が大きくなることから、判定部13は均一度算出部12で算出された均一度が予め決めておいた値よりも大きければ原稿端と判定すればよい。
【0046】
濃度境界度合いの平均値あるいは平均値の差を用いるほか、濃度境界度合いの分散値あるいは分散値の差を用いてもよい。この場合も、例えば線分を予め決めておいた長さ毎に区切って区間ごとに濃度境界度合いの分散値を算出し、算出した分散値の平均値を均一度としたり、分散値の差を均一度とするとよい。この場合、濃度境界度合いの変動が大きいほど分散値が大きくなることから、判定部13は均一度算出部12で算出された均一度が予め決めておいた値よりも大きければ原稿端と判定すればよい。
【0047】
上述の例では線分を予め決めておいた長さ毎に区切った区間の濃度境界度合いの平均値や平均値の差、分散値、分散値の差を算出しているが、これに限らず、例えば予め決めておいた間隔で線の濃度境界度合いを求めて、その濃度境界の度合いの差や分散値を求めてもよい。また、濃度境界度合いに限らず、色境界度合いを求めてもよい。
【0048】
均一度の第4の例として、直線の幅方向の最大濃度位置の変動値や中央からのずれ度合いを均一度として算出する例を説明する。図8は、線の幅方向の最大濃度位置の変動の一例の説明図である。図8(A)には原稿に描かれている線分を部分的に拡大して示しており、その幅方向の濃度分布を図8(B)に示している。また、図8(C)には原稿端に現れる線分を部分的に拡大して示しており、その幅方向の濃度分布を図8(D)に示している。原稿内に描かれている線分については、図8(A)、(B)に示すように、線の幅方向の濃度はほとんど変動せず、最大濃度位置は線の中央部となる。これに対し、図4でも説明したように、原稿端に現れる線分の幅方向の濃度分布は図8(D)にも示すように最大濃度位置が原稿端に近い側に寄って現れ、その位置も図8(C)に示すように変動する。このような原稿端に現れる線分の特徴から、直線の幅方向の最大濃度位置の変動値や中央からのずれ度合いを均一度として算出すれば、直線検出部11で検出した直線が原稿端に現れた線分であるのか、あるいは原稿内に描かれた線分であるのかが分かる。
【0049】
例えば直線の幅方向の最大濃度位置の線幅中央からのずれを均一度として算出する場合には、線分を予め決めておいた長さ毎に区切って最大濃度位置の線幅中央からのずれ量の平均値を算出し、算出した平均値を均一度とするとよい。あるいは、予め決めておいた間隔で最大濃度位置の線幅中央からのズレ量を求めて、そのズレ量の平均値を算出して均一度としてもよい。このようにして算出された均一度は、値が小さいほど最大濃度位置は線幅の中央からずれていないことを示し、値が大きいほど最大濃度位置は線幅の中央からずれていることを示している。従って、原稿内に描かれている線分については均一度が小さく、原稿端に現れる線分については均一度が大きくなる。判定部13は均一度算出部12で算出された均一度が予め決めておいた値よりも大きければ原稿端と判定すればよい。
【0050】
直線の幅方向の最大濃度位置の変動を均一度として算出する場合には、上述の平均値の差を求めたり、あるいは平均値の分散または分散の差を求めて均一度とするとよい。算出された均一度は、値が大きいほど最大濃度位置が変動していることを示しており、判定部13は均一度算出部12で算出された均一度が予め決めておいた値よりも大きければ原稿端と判定すればよい。
【0051】
なお、上述の幅の変動量、濃度の変動量、最大濃度位置の中央からのズレ量または変動などは、2以上を組み合わせて均一度としてもよい。また、このほかの指標を均一度としてもよいことは言うまでもない。
【0052】
図9は、本発明の画像処理装置の実施の一形態の変形例を示す構成図である。図中、14は選択部である。この変形例では、選択部14を設けた構成を示している。
【0053】
選択部14は、直線検出部11で検出した直線のうち、画像の端に位置する直線を選択する。原稿の端部は、原稿内に描かれている線分よりも画像の端に位置することから、この選択部14では原稿端と考えられる直線を選択し、処理対象とする。
【0054】
この変形例では、均一度算出部12は、選択部14で選択した直線について均一度を算出し、判定部13は、選択部14で選択した直線について均一度算出部12で算出された均一度をもとに原稿端であるか否かを判定することになる。
【0055】
この変形例の構成においては、上述のように選択部14で選択した各直線について均一度を算出するだけでなく、各直線の関係についても考慮して判定するとよい。
【0056】
図10は、入力画像中の原稿端に現れる各線分の違いの一例の説明図である。例えば図4で説明した例のようにスキャナなどの画像読取装置によって原稿の画像を、原稿外の領域を含めて取得する場合において、原稿に対する光の照射方法や照射方向等によって、原稿の各辺に生じる影がそれぞれ異なってくる。例えば図10に示した例では、辺aの影が4辺の中で最も濃く、続いて辺bと辺c、辺dの影が4辺の中で最も薄くなっているものとしている。影の濃さは、図示の関係上、斜線を変更して示している。
【0057】
このように、原稿端に現れる影による線分は、それぞれの辺により異なることから、このような各辺に生じる影の違いを均一度算出部12で算出された各線分の均一度から得て、判定部13において原稿端であるか否かを判定すればよい。あるいは、各直線が原稿端であるか否かの判定結果と、各直線間における判定結果とを組み合わせて用いてもよい。
【0058】
例えば均一度算出部12で直線の幅の変動値を均一度として算出する場合、各線分における幅の平均値の差や幅の分散値の差が、予め設定されている値より大きければ、各線分は原稿端に現れた直線であると判定すればよい。また、例えば均一度算出部12で直線の濃度の変動値を均一度として算出する場合には、各線分における濃度の平均値の差や濃度の分散値の差が、予め設定されている値より大きければ、各線分は原稿端に現れた直線であると判定すればよい。さらに、例えば均一度算出部12で直線の濃度境界度合いを均一度として算出する場合には、各線分における濃度境界度合いの平均値の差や濃度境界度合いの分散値の差が、予め設定されている値より大きければ、各線分は原稿端に現れた直線であると判定すればよい。さらにまた、例えば均一度算出部12で直線の幅方向の最大濃度位置の中央からのずれ度合いを均一度として算出する場合には、各線分における幅方向の最大濃度位置の中央からのズレ量の平均値が、予め設定されている値より大きければ、各線分は原稿端に現れた直線であると判定すればよい。
【0059】
図11は、本発明の画像形成装置の実施の一形態を示す構成図である。図中、31は読取部、32は画像処理部、33は画像作成部、34は形成部である。読取部31は、原稿に描かれている画像を、原稿外の部分を含めて読み取って入力画像として出力する。読み取り方法としては、周知の構成を適用すればよい。
【0060】
画像処理部32は、本発明の画像処理装置の実施の一形態及びその変形例として上述したものであり、読取部31で読み取った入力画像を受け取り、原稿端を検出して画像作成部33に検出結果を渡す。
【0061】
画像作成部33は、読取部31で読み取った入力画像に対して、画像処理部32から渡される原稿端の検出結果をもとに、形成部34で形成する画像を作成する。例えば、原稿端の検出結果から原稿の位置、大きさ、傾きなどが分かるので、傾きを補正し、補正後の原稿部分の画像を切り出せばよい。あるいはさらに、形成部34で使用する媒体の大きさに応じた拡大縮小処理などを行ってもよい。あるいは切り出した画像の大きさに応じたサイズの媒体を指定して形成部34に画像の形成を指示してもよい。また、例えば原稿端の検出結果から原稿端部分に対して補正処理を施して原稿端を画像から消去する、いわゆる枠消し機能を行ってもよい。
【0062】
形成部34は、画像作成部33で作成した画像を媒体上に形成する。
【0063】
図12は、本発明の画像処理装置の実施の一形態及びその変形例で説明した機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体とコンピュータの一例の説明図である。図中、41はプログラム、42はコンピュータ、51は光磁気ディスク、52は光ディスク、53は磁気ディスク、54はメモリ、61はCPU、62は内部メモリ、63は読取部、64はハードディスク、65はインタフェース、66は通信部である。
【0064】
上述の本発明の画像処理装置の実施の一形態及びその変形例で説明した各部の機能を全部あるいは部分的に、コンピュータにより実行可能なプログラム41によって実現してもよい。その場合、そのプログラム41およびそのプログラムが用いるデータなどは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶させておけばよい。記憶媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取部63に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取部63にプログラムの記述内容を伝達するものである。例えば、光磁気ディスク51,光ディスク52(CDやDVDなどを含む)、磁気ディスク53,メモリ54(ICカード、メモリカード、フラッシュメモリなどを含む)等である。もちろんこれらの記憶媒体は、可搬型に限られるものではない。
【0065】
これらの記憶媒体にプログラム41を格納しておき、例えばコンピュータ42の読取部63あるいはインタフェース65にこれらの記憶媒体を装着することによって、コンピュータからプログラム41を読み出し、内部メモリ62またはハードディスク64(磁気ディスクやシリコンディスクなどを含む)に記憶し、CPU61によってプログラム41を実行することによって、上述の本発明の画像処理装置の実施の一形態及びその変形例で説明した機能が全部あるいは部分的に実現される。あるいは、通信路を介してプログラム41をコンピュータ42に転送し、コンピュータ42では通信部66でプログラム41を受信して内部メモリ62またはハードディスク64に記憶し、CPU61によってプログラム41を実行することによって実現してもよい。
【0066】
コンピュータ42には、このほかインタフェース65を介して様々な装置と接続してもよい。例えば情報を表示する表示手段や利用者からの情報を受け付ける受付手段等も接続されていてもよい。また、例えば原稿の画像を読み取る画像読取装置がインタフェース65を介して接続され、画像読取装置で読み取った画像を入力画像として原稿端を検出してもよい。さらに、画像形成装置がインタフェース65を介して接続され、画像作成部33の機能を含めて上述の本発明の画像形成装置の実施の一形態で示した構成を実現してもよい。
【0067】
もちろん、部分的にハードウェアによって構成することもできるし、全部をハードウェアで構成してもよい。あるいは、他の構成とともに本発明の画像処理装置の実施の一形態及びその変形例で説明した機能の全部あるいは部分的に含めたプログラムとして構成してもよい。上述のように本発明の画像形成装置の実施の一形態で示した画像作成部33の機能を実現するプログラムとともに構成してもよい。もちろん、他の用途に適用する場合には、その用途におけるプログラムと一体化してもよい
【符号の説明】
【0068】
11…直線検出部、12…均一度算出部、13…判定部、14…選択部、21…光源、22…原稿、31…読取部、32…画像処理部、33…画像作成部、34…形成部、41…プログラム、42…コンピュータ、51…光磁気ディスク、52…光ディスク、53…磁気ディスク、54…メモリ、61…CPU、62…内部メモリ、63…読取部、64…ハードディスク、65…インタフェース、66…通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を含む入力画像から直線を検出する直線検出手段と、前記直線検出手段で検出した各直線の均一度を算出する均一度算出手段と、前記均一度算出手段で算出された均一度をもとに前記直線が原稿端部であるか否かを判定する判定手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記均一度算出手段は、直線の幅の変動値を前記均一度として算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記均一度算出手段は、直線の濃度変動値を前記均一度として算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記均一度算出手段は、直線の濃度境界度合いを前記均一度として算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記均一度算出手段は、直線の最大濃度位置の変動値を前記均一度として算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記均一度算出手段は、直線の最大濃度位置の中央からのずれ度合いを前記均一度として算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
さらに、前記直線検出手段で検出した直線のうち画像の最も端に位置する直線を選択する選択手段をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
原稿画像を含む画像を読み取って入力画像として出力する読取手段と、前記入力画像を受け取って原稿端を検出する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像処理装置と、画像を媒体上に形成する形成手段と、前記入力画像に対して前記画像処理装置で検出した前記原稿端をもとに前記形成手段で形成する画像を作成する画像作成手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
コンピュータに、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像処理装置の機能を実行させるものであることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−151714(P2011−151714A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13054(P2010−13054)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】