説明

画像処理装置、画像形成装置及びプログラム

【課題】読取結果の最終的な出力の遅れを抑制する画像処理装置、画像形成装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】推定手段で推定された大きさと原稿の輪郭で囲まれた領域に相当する前記画像内の領域の大きさとが相違しない場合(ステップ220が否定判定の場合)、ステップ210の処理で加工して得られた第1加工済み画像を出力し(ステップ216)、推定された原稿の大きさと原稿の輪郭で囲まれた領域に相当する画像内の領域の大きさとが相違する場合(ステップ220が肯定判定となった場合)、画像蓄積部に蓄積されている画像に対して、現時点で保持されている第1加工済み画像を得るために行われた加工に相当する加工を行うと共に該加工を行って得られた第2加工済み画像を出力する(ステップ226)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動原稿送り装置を有し原稿の画像を読み取る読取手段と、該自動原稿送り装置に設けられ原稿の幅を検知するとともに搬送されている原稿の有無を検知する検知手段と、少なくとも前記検知手段で検知した原稿の幅と前記原稿用紙送り装置で所定長さだけ原稿を搬送したときの原稿の有無に基づいて原稿のサイズを判定する制御手段と、を有することを特徴とする原稿読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−136030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、読取結果の最終的な出力の遅れを抑制する画像処理装置、画像形成装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の画像処理装置を、読取対象とされた原稿の大きさを推定する推定手段と、前記原稿を読み取る読取手段と、前記読取手段による原稿の読み取り開始後に原稿の大きさを確定する確定手段と、前記読取手段で前記原稿を読み取って得られた画像を記憶する記憶手段と、前記読取手段で読み取られた画像に対して、前記推定手段により推定された原稿の大きさに基づいて向き及び大きさの少なくとも1つを変更する加工を行う加工手段と、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違しない場合、前記推定手段により推定された原稿の大きさに基づき前記加工手段で加工されて得られた第1加工済み画像を出力するように制御し、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違する場合、前記加工手段により、前記記憶手段に記憶されている画像に対して、前記確定手段により確定された原稿の大きさに基づいて向き及び大きさの少なくとも1つを変更する加工を行い、当該加工を行って得られた第2加工済み画像を出力するように制御する制御手段と、を含んで構成した。
【0006】
請求項1に記載の画像処理装置を、請求項2に記載の発明のように、前記加工手段で加工された第1加工済み画像を保持する保持手段と、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違する場合、現時点で前記保持手段に保持されている前記第1加工済み画像を消去する消去手段と、を更に含んで構成したものとした。
【0007】
請求項2に記載の画像処理装置を、請求項3に記載の発明のように、前記制御手段が、前記推定手段の推定結果を使用しない条件として予め定められた推定結果不使用条件を満足した場合、前記推定手段の推定結果に拘らず、前記第2加工済み画像を得るための加工を行うことなく、前記保持手段に保持されている画像を出力するように制御するものとした。
【0008】
請求項2又は請求項3に記載の画像処理装置を、請求項4に記載の発明のように、前記加工手段が、前記第1加工済み画像を生成して前記保持手段に出力し、前記保持手段が、前記加工手段から入力された前記第1加工済み画像を保持し、前記制御手段が、前記保持手段を使用しない条件として予め定められた保持手段不使用条件を満足した場合、前記加工手段から前記保持手段に前記第1加工済み画像を出力させないように制御すると共に、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとの相違及び非相違に拘らず、前記画像を前記記憶手段を経由させて出力するように制御するものとした。
【0009】
請求項4に記載の画像処理装置を、請求項5に記載の発明のように、前記保持手段不使用条件を、前記第2加工済み画像を後段に出力した、との条件としたものとした。
【0010】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像処理装置を、請求項6に記載の発明のように、前記加工の内容を示す加工内容情報を受け付ける加工内容受付手段を更に含み、前記加工手段が、前記加工内容受付手段によって受け付けられた加工内容情報に従って加工を行うものとした。
【0011】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の画像処理装置を、請求項7に記載の発明のように、前記読取手段が、前記画像の向き及び大きさを変更することなく前記記憶手段に出力し、前記記憶手段が、前記読取手段から入力された前記画像を記憶するものとした。
【0012】
上記課題を解決するために、請求項8に記載の画像形成装置を、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の画像処理装置と、前記第1加工済み画像及び前記第2加工済み画像の出力先であり、入力された前記第1加工済み画像及び前記第2加工済み画像の各々により示される画像を形成する画像形成手段と、を含んで構成した。
【0013】
上記課題を解決するために、請求項9に記載のプログラムを、読取対象とされた原稿の大きさを推定する推定手段、前記原稿を読み取る読取手段による原稿の読み取り開始後に原稿の大きさを確定する確定手段、前記読取手段で読み取られた画像に対して、前記推定手段により推定された原稿の大きさに基づいて向き及び大きさの少なくとも1つを変更する加工を行う加工手段、及び、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違しない場合、前記推定手段により推定された原稿の大きさに基づき前記加工手段で加工されて得られた第1加工済み画像を出力するように制御し、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違する場合、前記読取手段で前記原稿を読み取って得られた画像を記憶する記憶手段に記憶されている画像に対して、前記確定手段により確定された原稿の大きさに基づいて向き及び大きさの少なくとも1つを変更する加工を前記加工手段により行い、当該加工を行って得られた第2加工済み画像を出力するように制御する制御手段としてコンピュータを機能させるためのものとした。
【0014】
上記課題を解決するために、請求項10に記載のプログラムを、読取対象とされた原稿の大きさを推定する推定手段、前記原稿を読み取る読取手段による原稿の読み取り開始後に原稿の大きさを確定する確定手段、前記読取手段で読み取られた画像に対して、前記推定手段により推定された原稿の大きさに基づいて向き及び大きさの少なくとも1つを変更する加工を行う加工手段、及び、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違しない場合、前記読取手段で読み取られた画像に対して、前記推定手段により推定された原稿の大きさに基づき加工手段で加工された前記第1加工済み画像を出力するように制御し、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違する場合、前記読取手段で前記原稿を読み取って得られた画像を記憶する記憶手段に記憶されている画像に対して、前記確定手段により確定された原稿の大きさに基づいて向き及び大きさの少なくとも1つを変更する加工を前記加工手段により行い、当該加工を行って得られた第2加工済み画像を出力するように制御する制御手段としてコンピュータを機能させるためのものとした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び請求項8〜請求項10に係る発明によれば、読取結果の最終的な出力の遅れが抑制される、という効果が得られる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、画像情報を保持するために要する保持容量が容易に確保される、という効果が得られる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、推定結果不使用条件を満足した場合に、第2加工済み画像情報を得るための加工を行うことなく保持手段に保持されている画像を出力する構成を有しない場合に比べ、1枚目の原稿に係る画像情報が早く出力される、という効果が得られる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、推定された原稿の大きさと確定された原稿の大きさとの相違及び非相違に拘らず、画像を、記憶手段を経由させて出力する構成を有しない場合に比べ、先行の読取対象である原稿について推定された原稿の大きさが実際に読み取られた原稿の大きさと相違していた場合の生産性低下が抑制される、という効果が得られる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、保持手段不使用条件を、第2加工済み画像を後段に出力した、との条件としない場合に比べ、先行の読取対象である原稿について推定された原稿の大きさが実際に読み取られた原稿の大きさと相違していた場合の生産性低下を抑制するための制御が適切な時期に実行される、という効果が得られる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、加工内容受付手段によって受け付けられた加工内容情報に従って加工を行う構成を有しない場合に比べ、読取結果の最終的な出力の遅れが抑制されながらも、利用者の意図する加工が行われる、という効果が得られる。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、画像の向き及び大きさを変更することなく記憶手段に出力し、記憶手段が入力された画像情報を記憶する構成を有しない場合に比べ、推定手段で推定された大きさと原稿の輪郭で囲まれた領域に相当する画像内の領域の大きさとが相違する場合、利用者が意図する原稿の向き及び大きさに合わせて画像情報が容易に加工される、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態に係る画像処理装置の構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る画像処理装置の原稿台の構成の一例を示す概略平面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る画像処理装置のスキャナの構成の一例を示す概略端面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る画像処理装置の電気系の要部構成の一例を示すブロック図である。
【図5】第1の実施の形態に係るスキャナ側画像処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態に係る画像読取部の読取対象とされた原稿のサイズ、及び画像形成部によって形成されて出力される記録用紙のサイズとして指定されたサイズの一例を示す模式図である。
【図7】第1の実施の形態に係る画像処理装置で用いられるテーブルの一例を示す模式図である。
【図8】第1の実施の形態に係るコントローラ側画像処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態に係る画像処理装置における画像情報の出力経路の一例を示す模式図である。
【図10】第1の実施の形態に係る画像処理装置で生成された第2加工済み画像情報の出力経路の一例を示す模式図である。
【図11】推定された原稿のサイズと画像読取部の読取結果に基づいて算出された原稿のサイズとが相違していない場合と相違している場合との違いを示すシーケンス図である。
【図12】第1の実施の形態に係る画像処理装置における画像情報の出力経路を変更する時期を示すシーケンス図である。
【図13】第2の実施の形態に係る画像処理装置の電気系の要部構成の一例を示すブロック図である。
【図14】第2の実施の形態に係るスキャナ側画像処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態に係るコントローラ側画像処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図16】常にメモリへ画像情報を蓄積してから出力する場合のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための実施の形態の一例について詳細に説明する。
【0024】
[第1の実施の形態]
【0025】
図1は、本第1の実施の形態に係る画像処理装置10の概略構成の一例を示す図である。画像処理装置10は、スキャナ12、画像形成部14、給紙トレイ16、及びUI(ユーザ・インタフェース)パネル18を備えている。
【0026】
スキャナ12は、原稿台22及び排出台24を備えている。原稿台22の上面には1対のガイド26A,26Bが設けられている。1対のガイド26A,26Bは、その一方が原稿台22に置かれた原稿の幅方向に移動し、原稿台22に置かれた原稿が搬送される際に、原稿を案内する。スキャナ12は、原稿台22に置かれた原稿を一枚ずつ取り込み、取り込んだ原稿を輪郭を含んで読み取って、読み取った原稿の画像を示す画像情報を取得した後、原稿を排出台24に排出する。
【0027】
一方、画像形成部14は、給紙トレイ16に収容されている記録媒体の一例である記録用紙を取り出し、取り出した記録用紙に対して、スキャナ12で取得した画像情報に基づく画像を形成し、画像が形成された記録用紙を排出台32に排出する。
【0028】
UIパネル18は、画像を表示するタッチパネルディスプレイ34及び各種設定等のために操作されるスイッチ36を備え、タッチパネルディスプレイ34及びスイッチ36を介して、スキャナ12による原稿の読み取り、及び画像形成部14による記録用紙への画像の形成等の各種指示がユーザによって入力されると共に、タッチパネルディスプレイ34に各種情報が表示される。
【0029】
図2は、本第1の実施の形態に係る画像処理装置10に設けられた原稿台22の上面図である。1対のガイド26A,26Bのうちのガイド26Aは原稿台22に固定されており、ガイド26Bは、一例として図2に示すように、原稿台22に置かれた原稿の幅方向(原稿の搬送方向に直交する方向であり、図2の矢印A方向)に移動自在に原稿台22に設けられている。また、原稿台22には、原稿が原稿台22に置かれたことを検知するセンサ28が設けられている。更に、ガイド26Bの下側には、原稿の幅を検知するセンサ29が設けられている。
【0030】
センサ29は、原稿の幅方向に沿って予め定められた間隔を隔てて配列された複数のフォトリフレクタ29Aを備えており、ガイド26Bが移動することによって、ガイド26Bの下に位置するフォトリフレクタ29Aはオン状態となる一方、ガイド26Bの下に位置しないフォトリフレクタ29Aはオフ状態となる。このように、センサ29は、ガイド26Bが原稿台22に置かれた原稿の幅に応じて移動することによりオン状態及びオフ状態が切り替わることで原稿台22に置かれた原稿の幅を検知する。
【0031】
また、本第1の実施の形態に係る画像処理装置10では、センサ28として、原稿台22に置かれた原稿を、フォトリフレクタを用いて光学的に検知するセンサを用いるが、フォトリフレクタに限らず、フォトインタラプタであっても良いし、メカニカル・スイッチ等を用いて機械的に検知するセンサであっても良く、原稿台22上で原稿のサイズの検知に寄与するセンサであれば如何なるものであっても良い。
【0032】
図3は、本第1の実施の形態に係るスキャナ12の構成の一例を示す概略端面図である。図3に示すように、スキャナ12は、上段に配置された原稿搬送部40と下段に配置された画像読取部42とに大別される。原稿搬送部40は、原稿台22に置かれた原稿を搬送するものである。画像読取部42は、原稿搬送部40によって搬送された原稿をその輪郭を含んで読み取り、読み取って得た画像を示す画像情報を出力する。
【0033】
原稿搬送部40は、上述した原稿台22を上昇および下降させる原稿台リフタ44、原稿台リフタ44により上昇された原稿台22の原稿の束の最上面に接触して、原稿を一枚ずつ取り込む原稿取込ローラ46、及び原稿取込ローラ46により取り込まれた原稿を搬送路48に送り出す送出ローラ50を備えている。
【0034】
原稿が搬送される搬送路48には、原稿をさらに搬送方向下流側(図3の矢印B方向)に搬送する搬送ローラ52、原稿を更に下流側に搬送すると共にループ作成を行うプレ位置合わせローラ54、原稿読み取り部に対してレジストレーション調整を施しながら原稿を供給する位置合わせローラ56、読取対象とされた原稿の搬送をアシストするプラテンローラ58、及び画像が読み取られた原稿を更に下流側に搬送するアウトローラ60を備えている。また、搬送路48には、搬送される原稿のループ状態に応じて支点を中心として回動するバッフル62、及びアウトローラ60よりも原稿の搬送方向下流側に設けられると共に、排出台24へ原稿を排出する排出ローラ64を備えている。
【0035】
また、スキャナ12は、搬送ローラ52とプレ位置合わせローラ54との間に原稿の先端及び後端を検知するセンサ30を備えている。なお、本第1の実施の形態では、センサ30として、フォトリフレクタを用いて光学的に検知するセンサを用いているが、これに限らず、フォトインタラプタであっても良いし、他のセンサを用いても良い。
【0036】
次に、本第1の実施の形態に係るスキャナ12における、原稿の搬送の動作について簡単に説明する。
【0037】
原稿取込ローラ46は、原稿の搬送を行わない待機時にはリフトアップされて退避位置に保持され、原稿搬送時にニップ位置(原稿搬送位置)へ降下して原稿台22上の最上位の原稿を搬送する。プレ位置合わせローラ54は、停止している位置合わせローラ56に原稿先端を突き当ててループを作成する。このループが形成されると、バッフル62は支点を中心として開き、原稿のループを妨げることのないように機能している。また、搬送ローラ52およびプレ位置合わせローラ54は、画像の読み取り中におけるループを保持している。このループ形成によって、原稿の読み取りタイミングが調整され、また、原稿の読み取り時における原稿搬送に伴うスキューを抑制して、位置合わせの調整機能を高める。そして、原稿の読み取りの開始タイミングに合わせて、停止されていた位置合わせローラ56が回転を開始し、原稿が搬送される。搬送された原稿は、プラテンローラ58によって、後述する第2プラテンガラス70Bに押圧されて下面方向から読み取られる。
【0038】
一方、画像読取部42は、原稿が置かれる透明な第1プラテンガラス70A、及び原稿搬送部40によって搬送中の原稿を読み取るための光の開口部を形成する透明な第2プラテンガラス70Bが設けられている。
【0039】
第1プラテンガラス70A及び第2プラテンガラス70Bの下側には、原稿の表面に向けて照明光を照射する光源72、原稿の表面で反射した反射光を受ける第1反射ミラー74、第1反射ミラー74で受けた反射光の進行方向を90°曲げるための第2反射ミラー76、及び第2反射ミラー76で受けた反射光の進行方向をさらに90°曲げるための第3反射ミラー78が備えられている。
【0040】
なお、本第1の実施の形態に係る画像読取部42では、光源72として蛍光ランプを用いるが、これに限らず、原稿の搬送方向と交差する方向に沿って配列された複数のLED(Light Emitting Diode)等、他の光源を用いても良い。
【0041】
さらに、画像読取部42は、レンズ80及び画像読取センサ82を備えており、画像読取部42は、第3反射ミラー78で反射された反射光を、レンズ80によって画像読取センサ82に結像させることにより、画像読取センサ82によって原稿を輪郭を含んで読み取る。
【0042】
なお、本第1の実施の形態に係る画像読取部42では、画像読取センサ82として複数のCCD(Charge Coupled Device)で構成されるCCDラインセンサを用いるが、CCDラインセンサに限らず、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子を用いても良い。
【0043】
また、本第1の実施の形態に係る画像読取部42は、光源72及び第1反射ミラー74がキャリッジ83Aによって、第2反射ミラー76及び第3反射ミラー78がキャリッジ83Bによって図3の矢印C方向に移動自在とされている。これにより、第1プラテンガラス70Aの上面に原稿が置かれた場合に、光源72から照明光を原稿に向けて照射しつつ、矢印C方向へ光源72、第1反射ミラー74、第2反射ミラー76、及び第3反射ミラー78を移動させて原稿を読み取る。
【0044】
図4は、本第1の実施の形態に係る画像処理装置10の電気系の要部構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、画像処理装置10は、画像形成部14、UIパネル18、コントローラ100、二次記憶部102、外部I/F(インタフェース)104、及びI/O(入出力)ポート106を含んで構成されている。
【0045】
コントローラ100は、画像処理装置10全体の動作を制御するものであり、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)100A、RAM(Read Only Memory)100B及びROM(Read Only Memory)100Cを備えている。RAM100Bは、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるメモリであり、ROM100Cには、各種プログラムや各種パラメータ、各種テーブル情報等が予め記憶されている。CPU100Aは、ROM100Cに記憶されたプログラムをRAM100Bに取り込み、取り込んだプログラムを実行し、画像処理装置10全体の動作を制御する。
【0046】
外部I/F104は、パーソナル・コンピュータ等の外部装置110に接続されており、コントローラ100と外部装置110とが相互にデータの授受を行うためのものである。I/Oポート106は、スキャナ12に接続されており、コントローラ100とスキャナ12とがデータの授受を行うためのものである。
【0047】
CPU100A、RAM100B、ROM100C、二次記憶部102、UIパネル18、画像形成部14、外部I/F104及びI/Oポート106は互いにアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス108を介して接続されている。従って、CPU100Aは、RAM100B、ROM100C、及び二次記憶部102へのアクセスと、画像形成部14の動作状態の把握と、画像形成部14の動作の制御と、UIパネル18への各種情報の表示と、UIパネル18に対するユーザの操作指示内容の把握と、外部I/F104を介した外部装置110とのデータの授受と、I/Oポート106を介したスキャナ12とのデータの授受と、を各々行う。
【0048】
一方、スキャナ12は、原稿搬送部40、画像読取部42、CPU12A、RAM12B、ROM12C、原稿検知部12D、画像蓄積部12E、及びI/Oポート12Fを含んで構成されている。RAM12Bは、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるメモリであり、ROM12Cには、各種プログラムや各種パラメータ、各種テーブル情報等が予め記憶されている。CPU12Aは、ROM12Cに記憶されたプログラムをRAM12Bに取り込み、取り込んだプログラムを実行し、スキャナ12全体の動作を制御する。
【0049】
原稿検知部12Dは、センサ28〜30を含んで構成されており、原稿の輪郭の大きさ(例えば原稿のサイズ)を検知する。具体的には、センサ29により原稿の幅を検知し、センサ28,30により原稿の先後端を検知することで原稿の輪郭の大きさを検知する。
【0050】
画像蓄積部12Eは、画像読取部42で読み取って得られた画像情報を蓄積するメモリである。なお、本第1の実施の形態では、画像蓄積部12Eとしてフラッシュメモリを適用しているが、これに限らず、ハードディスク装置やEEPROMなどであっても良い。
【0051】
I/Oポート12Fは、I/Oポート106に接続されており、コントローラ100とデータの授受を行うためのものである。
【0052】
CPU12A、RAM12B、ROM12C、原稿検知部12D、画像蓄積部12E、I/Oポート12F、原稿搬送部40、及び画像読取部42は互いにアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス12Gを介して接続されている。従って、CPU12Aは、RAM12B、ROM12C、及び画像蓄積部12Eへのアクセスと、I/Oポート12Fを介したコントローラ100とのデータの授受と、原稿搬送部40及び原稿検知部12Dの動作の制御と、原稿搬送部40の動作状態の把握と、原稿検知部12Dの検知結果の把握と、を各々行う。
【0053】
ところで、本第1の実施の形態に係る画像処理装置は、原稿検知部12Dの検知結果に基づいて読取対象とされた原稿のサイズを推定すると共に、画像読取部42により原稿を読み取って得られた画像情報に基づいて原稿のサイズを確定する機能を備えている。
【0054】
しかし、従来は、推定された原稿のサイズが真の原稿のサイズと相違していた場合(推定された原稿のサイズと確定された原稿のサイズとが相違していた場合)、再度原稿を読み取って原稿のサイズを確定すべく原稿を再度搬送するようにしていた。そのため、再搬送及び再読み取りに要する時間だけ画像情報の最終的な出力が遅くなる虞があった。しかも、近年は、装置の小型化に伴って原稿の搬送経路を短くする傾向にあることから、読取対象として後続の原稿が控えている場合には、先行の原稿の再搬送及び再読み取りによって先行の原稿に搬送経路が占有されてしまうため、生産性の低下をもたらす可能性があった。
【0055】
そこで、本第1の実施の形態に係る画像処理装置10では、画像情報の最終的な出力の遅れを抑制すべくスキャナ側画像処理及びコントローラ側画像処理が実行される。
【0056】
本第1の実施の形態に係る画像処理装置10では、スキャナ側画像処理及びコントローラ側画像処理を実現するための各種処理がソフトウェア構成によって実現される。その一例としては、コンピュータを利用してプログラムを実行する形態が挙げられる。しかし、このようなソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現しても良いことは言うまでもない。
【0057】
以下では、本第1の実施の形態に係るスキャナ12のCPU12Aがスキャナ側画像処理プログラムを実行することによりスキャナ側画像処理を実現する場合、コントローラ100のCPU100Aがコントローラ側画像処理プログラムを実行することによりコントローラ側画像処理を実現する場合について説明する。この場合、スキャナ側画像処理プログラムをROM12Cに、コントローラ側画像処理プログラムをROM100Cに各々予め記憶させておく形態や、記憶内容がコンピュータによって読み取られる記録媒体に記憶された状態で提供される形態、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等を適用しても良い。
【0058】
図5は、本第1の実施の形態に係るスキャナ側画像処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、錯綜を回避するために、原稿台22に置かれた原稿が読取対象とされ、原稿の読み取りを開始する指示がUIパネル18によって受け付けられた場合について説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、原稿の読み取りを開始する指示がUIパネル18によって受け付けられると、原稿台22上の原稿が原稿搬送部40に取り込まれて搬送される場合について説明する。更に、ここでは、錯綜を回避するために、原稿が予め定められた速度で搬送され、その速度に変化がない場合について説明する。
【0059】
図5のステップ200では、原稿検知部12Dが原稿を検知した後、ステップ202に移行し、上記ステップ200の処理での検知結果に基づいて現時点で搬送対象とされている原稿のサイズ(例えば、B5LやB4S等という一般的に広く用いられている定型サイズ)を推定する。
【0060】
次のステップ204では、画像読取部42が原稿の輪郭を含む所定領域(ここでは、一例として原稿の輪郭で囲まれた領域)の読み取りを開始した後、ステップ206に移行し、上記所定領域の画像の読み取りが終了するまで待機し、その後ステップ208に移行する。ステップ208では、上記ステップ204,206の処理で読み取って得られた画像情報を加工することなくそのまま画像蓄積部12Eに出力する。画像蓄積部12Eは、上記ステップ208の処理で出力された画像情報が加工されることなくそのまま入力され、入力された画像情報を記憶することにより蓄積する。なお、本第1の実施の形態では、説明の便宜上、画像蓄積部12Eへの出力を上記ステップ206の処理が終了した後に実行する場合の形態例を挙げているが、これに限らず、読み取り開始と共に画像蓄積部12Eへの出力を開始するようにしても良い。
【0061】
次のステップ210では、上記ステップ202の処理での推定結果に基づいて、上記ステップ204,206の処理で読み取って得られた画像情報に対して、予め定められた加工を行って所定の記憶領域(一例としてキャッシュメモリ)に記憶した後、ステップ212に移行する。ここで言う「予め定められた加工」とは、例えば利用者によって事前に指定された加工内容に従った加工を意味する。例えば図6に示すように、利用者によってUIパネル18を介して、自動倍率モード(例えば画像が形成される対象とされる原稿の用紙サイズ(出力用紙サイズ)に合わせて画像を拡大又は縮小するモード)で出力用紙サイズがA4L(297×210)に設定されている場合、ステップ202の処理で原稿サイズがB5L(257×182)と推定されると、B5Lの原稿のサイズをA4Lの原稿のサイズに合わせ込む倍率で拡大するように画像情報を加工することや、ステップ202の処理で原稿のサイズがB4S(257×364)と推定されると、B4Sの原稿の向きをA4Lの原稿の向きに変更(回転)すると共にB4Sの原稿をA4Lの原稿のサイズに合わせ込む倍率で縮小するように画像情報を加工することを意味する。なお、これに限らず、画像処理装置10の出荷前に加工内容が予め設定され、その設定された加工内容に従った加工であっても良い。
【0062】
ステップ212では、上記ステップ202の処理で推定(予測)結果に基づいて画像蓄積部12Eに蓄積されている画像情報を使用する条件として予め定められた蓄積画像不使用条件を満足していないか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ214に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ218に移行する。本第1の実施の形態では、上記の「蓄積画像不使用条件」として、図7に示すテーブルにおける該当する項目の内容を適用している。すなわち、図7に示す例では、「予測あり」に該当する場合に上記ステップ212が肯定判定となって、上記ステップ202の処理で推定(予測)した原稿のサイズと画像読取部42で読み取って得られた画像情報に基づいて算出された原稿のサイズとが相違していれば画像蓄積部12Eに蓄積されている画像情報を使用し、「予測なし」に該当する場合に上記ステップ212が否定判定となって、上記ステップ202の処理で推定(予測)した原稿のサイズと画像読取部42で読み取って得られた画像情報に基づいて算出された原稿のサイズとが相違していても画像蓄積部12Eに蓄積されている画像情報を使用しないことになる。
【0063】
また、図7に示すテーブルは、例えば二次記憶部102に記憶されており、テーブルの内容(「予測なし」と「予測あり」)を、UIパネル18を介した利用者の指示に従って変更しても良い。
【0064】
なお、図7に示すテーブルを用いずに、推定(予測)した原稿のサイズと画像読取部42で読み取って得られた画像情報に基づいて算出された原稿のサイズとが相違している場合に画像蓄積部12Eに蓄積されている画像情報を使用する、との指示、又は推定(予測)した原稿のサイズと画像読取部42で読み取って得られた画像情報に基づいて算出された原稿のサイズとが相違している場合に画像蓄積部12Eに蓄積されている画像情報を使用しない、との指示を利用者がUIパネル18を介して事前に行い、この指示内容に含まれる条件を満足しているか否かによってステップ214に移行するかステップ218に移行するかを決定しても良い。
【0065】
ステップ214では、画像蓄積部12Eに蓄積されている画像情報を消去した後、ステップ216に移行し、上記ステップ210の処理で加工して得られた第1加工済み画像情報をコントローラ100に出力すると共に第1加工済み画像情報を所定の記憶領域から消去した後、ステップ228に移行する。
【0066】
ステップ218では、上記ステップ204,206の処理で画像読取部42により読みって得られた画像情報に基づいて原稿のサイズを算出することにより確定する。ここでは、画像情報により示される画像に含まれる原稿の輪郭で囲まれる領域のサイズを原稿のサイズとして算出する。
【0067】
ステップ220では、上記ステップ202の処理で推定された原稿のサイズと上記ステップ218の処理で算出された原稿のサイズとが相違しているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ222に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ214に移行する。本ステップ220では、例えば、上記ステップ202の処理で推定された原稿のサイズがB5Lであり、上記ステップ218の処理で算出された原稿のサイズがA4Lであった場合は「相違している」と判定し、上記ステップ202の処理で推定された原稿のサイズがA4Lであり、上記ステップ218の処理で算出された原稿のサイズがA4Lであった場合は「相違していない」と判定する。
【0068】
ステップ222では、画像蓄積部12Eから画像情報を読み出した後、ステップ224に移行し、上記ステップ210の処理で実行した加工に相当する加工(一例として上記ステップ210の処理に相当する処理)を実行した後、ステップ226に移行する。ステップ226では、上記ステップ224の処理で加工して得られた第2加工済み画像情報をコントローラ100に出力した後、ステップ228に移行する。
【0069】
ステップ228では、原稿台22に次の原稿が存在しないか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ200に戻る一方、肯定判定となった場合には本スキャナ側画像処理プログラムを終了する。
【0070】
図8は、本第1の実施の形態に係るコントローラ側画像処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0071】
図8のステップ250では、CPU12Aによって上記スキャナ側画像処理プログラムのステップ216又はステップ226が実行されることによって出力された第1加工済み画像情報又は第2加工済み画像情報の入力待ちを行った後、ステップ252に移行する。ステップ252では、上記ステップ250の処理で入力された第1加工済み画像情報又は第2加工済み画像情報を画像形成部14に出力した後、本コントローラ側画像処理プログラムを終了する。画像形成部14は、上記ステップ252の処理で出力された第1加工済み画像情報又は第2加工済み画像情報が入力されると、入力された第1加工済み画像情報又は第2加工済み画像情報により示される画像を記録用紙に形成し、画像が形成された記録用紙を排出台32に排出する。
【0072】
このように、本第1の実施の形態に係る画像処理装置10では、推定された原稿のサイズと画像読取部42で読み取って得られた原稿のサイズとが相違しない場合、スキャナ12に保持されている第1加工済み画像情報をコントローラ100に出力し、推定された原稿のサイズと画像読取部42で読み取って得られた原稿のサイズと相違する場合、画像蓄積部12Eに蓄積されている画像情報に対して加工を行うと共にこの加工によって得られた第2加工済み画像情報をコントローラ100に出力するので、原稿を再搬送して再読み取りを行う従来例に比べ、画像情報の最終的な出力(例えばコントローラ100から画像形成部14への出力)の遅れが抑制される。
【0073】
図9は、本第1の実施の形態に係る画像処理装置10における画像情報の出力経路の一例を示す模式図である。画像処理装置10は、図9に示すように、画像読取部42で読み取って得られた画像情報がコントローラ100へ出力される出力経路(第1パス)と画像読取部42で読み取って得られた画像情報が画像蓄積部12Eへ出力される出力経路(第2パス)とを備えている。コントローラ100は、上記ステップ202の処理による原稿のサイズの推定結果が画像読取部42の読取結果に基づいて算出された原稿のサイズと相違していない場合に第1パスを経由して得た第1加工済み画像情報を画像形成用の画像情報として採用し、相違している場合に第2パスを経由して得た第2加工済み画像情報を画像形成用の画像情報として採用する。
【0074】
例えば、出力用紙サイズがA4Lに設定されており、図6に示すようにB5LとB4Sの原稿が混在した状態で原稿台22に置かれている場合、原稿のサイズがB4Sと推定される。そして、読取対象の原稿が読み取られて得られた画像情報は、この画像情報により示される画像が回転及び縮小(具体的には所定方向への90度の回転及び81.6%の縮小)されることによって加工され、これによって得られた画像を示す第1加工済み画像情報がコントローラ100に出力されると共に、等倍画像(拡縮(伸縮)されていない画像)を示す画像情報が画像蓄積部12Eに蓄積される。ここで、原稿のサイズがB4Sと推定されているにも拘らず画像読取部42で読み取って得られた画像情報により示される画像に含まれる原稿の輪郭がB4SでなくB5Lであった場合、現時点でコントローラ100に保持されている第1加工済み画像情報が消去されると共に、一例として図10に示すように画像蓄積部12Eの画像情報に対して、この画像情報により示される画像を拡大(具体的には115%に拡大)する加工が行われ、この加工によって得られた第2加工済み画像情報がコントローラ100に出力される。なお、次の読取対象である原稿のサイズがB4Sと推定されると、コントローラ100は、第1パスを経由して得た第1加工済み画像情報を画像形成用の画像情報として採用する。
【0075】
図16は、本第1の実施の形態で説明したメモリへ画像情報を蓄積する手法を常時用いながらもコントローラ100へ画像情報を出力しない場合の態様を示すシーケンス図である。同図において、上段のシーケンス図は、原稿のサイズを推定(予測)し、推定された原稿のサイズ(予測サイズ)と画像読取部42の読取結果に基づいて算出されて確定された原稿のサイズ(真のサイズ)とが相違しない場合を示しており、下段のシーケンス図は、予測サイズと真のサイズとが相違する場合を示している。
図16に示す例では、予測サイズと真のサイズとが相違しない場合であっても相違する場合であっても一旦メモリに画像情報を蓄積してコントローラ100には画像情報が出力されない。この場合、コントローラ100への出力開始時期は予測サイズと真のサイズとが相違する場合及び相違しない場合共に変わらないものの、先頭の一枚目(「1−1」:1枚目のSIDE1(おもて面))の出力開始が遅れてしまう。
【0076】
しかし、本第1の実施の形態において予測サイズと真のサイズとが相違しない場合には、一例として図11の上段のシーケンス図に示すように、スキャナ12からコントローラ100へ画像情報(予測に基づく加工が施された画像情報である第1加工済み画像情報)を直接出力しているので(画像情報を一旦メモリに蓄えてからコントローラ100へ出力するわけではないので)、先頭の1枚目(「1−1」)のコントローラ100からの出力開始が、図16の上段のシーケンス図に示す場合に比べて早くなる。なお、この場合、CPU12Aが、メモリに予備用に蓄積されている画像情報を消去する(捨てる)。そのため、メモリからコントローラ100への出力はない。また、メモリに空き容量が生じるため後続の画像情報をメモリに取り込むための準備が整うことになる。
【0077】
他方、本第1の実施の形態において予測サイズと真のサイズとが相違する場合には、一例として図11の下段のシーケンス図に示すように、メモリに蓄積されている画像情報をCPU12Aが読み出し、読み出した画像情報に加工を施し、この加工によって得た第2加工済み画像情報をコントローラ100に出力するので、原稿を再搬送して再読み取りする必要がなくなり、その分だけコントローラ100からの最終的な出力が図16の下段のシーケンス図に示す場合に比べて早くなる。なお、この場合、コントローラ100が画像形成用の画像情報として第2加工済み画像情報を採用し、これに伴って第1加工済み画像情報を消去する(捨てる)。そのため、コントローラ100が第1加工済み画像情報を画像形成用の画像情報として採用することはない。
【0078】
このように、原稿のサイズが予測通りの場合、第1加工済み画像情報を画像形成用の画像情報として採用し、原稿のサイズの予測が外れたとしても、メモリに蓄積されている画像情報を加工して画像形成用の画像情報として採用するので、原稿を再搬送して読み取りを再実行する従来例に比べて、最終的な出力を得るまでに要する時間が短縮される。よって、結果的に、次の原稿の読み取り時期が早められ、生産性の向上に寄与することになる。
【0079】
なお、上記第1の実施の形態では、図7に示すテーブルに従って、推定された原稿のサイズと画像読取部42の読取結果に基づいて算出された原稿のサイズとが相違している場合に画像蓄積部12Eに蓄積されている画像情報を利用するか否かを決定する場合の形態例を挙げて説明したが、図7に示すテーブルを用いずに、例えば図12に示すように、推定された原稿のサイズと画像読取部42の読取結果に基づいて算出された原稿のサイズとが相違していると判定された場合、これ以降、原稿を画像読取部42で読み取る毎に、画像読取部42で読み取って得られた画像情報を画像蓄積部12Eに蓄積し、画像蓄積部12Eに蓄積されている画像情報を利用する処理(画像情報の出力について上記第2パスを利用する処理)を実行することにしても良く、例えば、予測サイズと真のサイズとが相違した場合(予測はずれが生じた場合)に図16に示す動作モードから図11に示す動作モードへ切り替えるようにしても良い。これにより、後続の原稿に係る第1加工済み画像情報が上記第1パスを経由してコントローラ100に出力されることがなくなるので、後続の原稿に係る第1加工済み画像情報と先行の原稿に係る第2加工済み画像情報とが衝突するという事態の発生が回避される。
【0080】
[第2の実施の形態]
【0081】
本第2の実施の形態では、上記第1の実施の形態で説明したスキャナ12で実行された処理の一部をコントローラ100に実行させる場合の形態例を挙げて説明する。なお、以下では、上記第1の実施の形態で説明した構成については相違しない符号を付してその説明を省略する。
【0082】
本第2の実施の形態に係る画像処理装置10Bは、上記第1の実施の形態で説明した画像処理装置10に比べ、スキャナ12に代えてスキャナ299を適用した点が異なっている。また、スキャナ299は、スキャナ12に比べ、原稿搬送部40、原稿検知部12D及び画像蓄積部12Eが除かれた点が異なっている。なお、バス108には、スキャナ12から除かれた原稿搬送部40、原稿検知部12D及び画像蓄積部12Eが接続されている。
【0083】
図14は、本第2の実施の形態に係るスキャナ側画像処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0084】
図14のステップ300では、上記ステップ204の処理に相当する処理を実行し、ステップ302では、上記ステップ206の処理に相当する処理を実行した後、ステップ303に移行する。ステップ303では、上記ステップ300,302の処理で読み取って得られた画像情報をコントローラ100に出力した後、ステップ304に移行する。なお、ここでは、上記ステップ300,302の処理後に画像情報をコントローラ100に出力しているが、これに限らず、上記ステップ300の処理の開始に伴って画像情報をコントローラ100に出力するようにしても良い。
【0085】
ステップ304では、上記ステップ208に相当する処理を実行した後、ステップ306に移行し、ステップ306では、加工後出力条件を満足したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ308に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ312に移行する。ここで言う「加工後出力条件」とは、上記ステップ300,302の処理で読み取って得られた画像情報を加工してからコントローラ100に出力する条件を意味しており、本実施の形態では、UIパネル18に対して、画像情報を加工してからコントローラ100に出力する指示が利用者から与えられた、との条件を適用しているが、これはあくまでも一例であり、これに以外の条件であっても良い。
【0086】
ステップ308では、上記ステップ210の処理に相当する処理を実行した後、ステップ310に移行し、上記ステップ216の処理に相当する処理を実行した後、ステップ312に移行する。ステップ312では、原稿台22に次の原稿が存在しないか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ300に戻る一方、肯定判定となった場合には本スキャナ側画像処理プログラムを終了する。
【0087】
図15は、本第2の実施の形態に係るコントローラ側画像処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0088】
図15のステップ350では、上記ステップ200の処理に相当する処理を実行した後、ステップ352に移行し、上記ステップ202の処理に相当する処理を実行した後、ステップ354に移行する。ステップ354では、蓄積画像不使用条件を満足していないか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ356に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ362に移行する。
【0089】
ステップ356では、CPU12Aによって本第2の実施の形態に係るスキャナ側画像処理プログラムのステップ310の処理が実行されることで出力された第1加工済み画像情報の入力待ちを行った後、ステップ358に移行し、上記ステップ214の処理に相当する処理を実行した後、ステップ360に移行する。ステップ360では、上記ステップ356の処理で入力された第1加工済み画像情報を画像形成部14に出力した後、ステップ374に移行する。
【0090】
ステップ362では、CPU12Aによって本第2の実施の形態に係るスキャナ側画像処理プログラムのステップ303の処理が実行されることで出力された画像情報の入力待ちを行った後、ステップ364に移行し、上記ステップ362の処理で入力された画像情報に基づいて原稿のサイズを算出することにより確定した後、ステップ366にて、上記ステップ352の処理で推定された原稿のサイズと上記ステップ364の処理で算出されて確定された原稿のサイズとが相違しているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ368に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ356に移行する。
【0091】
ステップ368では、上記ステップ222の処理に相当する処理を実行した後、ステップ370に移行し、上記ステップ224の処理に相当する処理を実行した後、ステップ372に移行する。ステップ372では、上記ステップ370の処理で加工して得られた第2加工済み画像情報をコントローラ100に出力した後、ステップ374に移行する。
【0092】
ステップ374では、原稿台22に次の原稿が存在しないか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ350に戻る一方、肯定判定となった場合には本コントローラ側画像処理プログラムを終了する。
【0093】
以上のように、本第2の実施の形態に係る画像処理装置10では、推定された原稿のサイズと画像読取部42で読み取って得られた原稿のサイズとが相違しない場合、コントローラ100に保持されている第1加工済み画像情報を画像形成部14に出力し、推定された原稿のサイズと画像読取部42で読み取って得られた原稿のサイズと相違する場合、画像蓄積部12Eに蓄積されている画像情報に対して加工を行うと共にこの加工によって得られた第2加工済み画像情報を画像形成部14に出力するので、画像情報の最終的な出力の遅れが抑制される。
【符号の説明】
【0094】
10 画像処理装置
12A,100A CPU
12D 原稿検知部
12E 画像蓄積部
14 画像形成部
18 UIパネル
42 画像読取部
100 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象とされた原稿の大きさを推定する推定手段と、
前記原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段による原稿の読み取り開始後に原稿の大きさを確定する確定手段と、
前記読取手段で前記原稿を読み取って得られた画像を記憶する記憶手段と、
前記読取手段で読み取られた画像に対して、前記推定手段により推定された原稿の大きさに基づいて向き及び大きさの少なくとも1つを変更する加工を行う加工手段と、
前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違しない場合、前記推定手段により推定された原稿の大きさに基づき前記加工手段で加工されて得られた第1加工済み画像を出力するように制御し、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違する場合、前記加工手段により、前記記憶手段に記憶されている画像に対して、前記確定手段により確定された原稿の大きさに基づいて向き及び大きさの少なくとも1つを変更する加工を行い、当該加工を行って得られた第2加工済み画像を出力するように制御する制御手段と、
を含む画像処理装置。
【請求項2】
前記加工手段で加工された第1加工済み画像を保持する保持手段と、
前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違する場合、現時点で前記保持手段に保持されている前記第1加工済み画像を消去する消去手段と、を更に含む請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記推定手段の推定結果を使用しない条件として予め定められた推定結果不使用条件を満足した場合、前記推定手段の推定結果に拘らず、前記第2加工済み画像を得るための加工を行うことなく、前記保持手段に保持されている画像を出力するように制御する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記加工手段は、前記第1加工済み画像を生成して前記保持手段に出力し、
前記保持手段は、前記加工手段から入力された前記第1加工済み画像を保持し、
前記制御手段は、前記保持手段を使用しない条件として予め定められた保持手段不使用条件を満足した場合、前記加工手段から前記保持手段に前記第1加工済み画像を出力させないように制御すると共に、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとの相違及び非相違に拘らず、前記画像を前記記憶手段を経由させて出力するように制御する請求項2又は請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記保持手段不使用条件を、前記第2加工済み画像を後段に出力した、との条件とした請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記加工の内容を示す加工内容情報を受け付ける加工内容受付手段を更に含み、
前記加工手段は、前記加工内容受付手段によって受け付けられた加工内容情報に従って加工を行う請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記読取手段は、前記画像の向き及び大きさを変更することなく前記記憶手段に出力し、
前記記憶手段は、前記読取手段から入力された前記画像を記憶する請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の画像処理装置と、
前記第1加工済み画像及び前記第2加工済み画像の出力先であり、入力された前記第1加工済み画像及び前記第2加工済み画像の各々により示される画像を形成する画像形成手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項9】
コンピュータを、
読取対象とされた原稿の大きさを推定する推定手段、
前記原稿を読み取る読取手段による原稿の読み取り開始後に原稿の大きさを確定する確定手段、
前記読取手段で読み取られた画像に対して、前記推定手段により推定された原稿の大きさに基づいて向き及び大きさの少なくとも1つを変更する加工を行う加工手段、
及び、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違しない場合、前記推定手段により推定された原稿の大きさに基づき前記加工手段で加工されて得られた第1加工済み画像を出力するように制御し、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違する場合、前記読取手段で前記原稿を読み取って得られた画像を記憶する記憶手段に記憶されている画像に対して、前記確定手段により確定された原稿の大きさに基づいて向き及び大きさの少なくとも1つを変更する加工を前記加工手段により行い、当該加工を行って得られた第2加工済み画像を出力するように制御する制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
読取対象とされた原稿の大きさを推定する推定手段、
前記原稿を読み取る読取手段による原稿の読み取り開始後に原稿の大きさを確定する確定手段、
前記読取手段で読み取られた画像に対して、前記推定手段により推定された原稿の大きさに基づいて向き及び大きさの少なくとも1つを変更する加工を行う加工手段、
及び、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違しない場合、前記読取手段で読み取られた画像に対して、前記推定手段により推定された原稿の大きさに基づき加工手段で加工された前記第1加工済み画像を出力するように制御し、前記推定手段で推定された原稿の大きさと前記確定手段により確定された原稿の大きさとが相違する場合、前記読取手段で前記原稿を読み取って得られた画像を記憶する記憶手段に記憶されている画像に対して、前記確定手段により確定された原稿の大きさに基づいて向き及び大きさの少なくとも1つを変更する加工を前記加工手段により行い、当該加工を行って得られた第2加工済み画像を出力するように制御する制御手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−90042(P2013−90042A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226838(P2011−226838)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】