説明

画像処理装置、画像読取り装置、画像形成装置、印刷媒体、媒体管理方法、及びプログラム

【課題】 画像形成装置内で管理される内部データの外部への漏洩を抑止することにある。
【解決手段】 装置内で管理される内部データを記憶する内部データ記憶部31と、ユーザIDを伴う内部データの印刷指示を受け付ける指示受付部32と、指示された内部データに基づく文書画像を生成する文書画像生成部33と、文書画像が印刷される媒体を識別する媒体IDを生成する媒体ID生成部34と、媒体ID、ユーザID、出力日時、内部データの対応情報を対応情報記憶部36にて管理する対応情報管理部35と、媒体IDを示すコード画像を生成するコード画像生成部37と、文書画像とコード画像とを合成して合成画像を生成する画像合成部38と、この合成画像を出力する画像出力部39とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内で管理されるデータに基づいて媒体に印刷する画像を生成する画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置として、複写機能、FAX機能、プリンタ機能、スキャン機能等を複合した所謂複合機が商品化されている。このうち、FAX機能を用いる場合、FAX送信の宛先は、限られた数の取引先の中の1つであることが多い。従って、通常、画像形成装置では、頻繁にFAXを送信する相手先のFAX番号を事前に登録しておき、FAX送信時の宛先の指定を簡単な操作で行えるようにしている。
また、機種によっては、スキャン機能により読み取った原稿データを電子メールに添付して送信する機能(スキャンメール機能)を有するものもある。その場合も頻繁に電子メールを送信する相手先は決まってくるため、そのような相手先の電子メールアドレスを事前に登録することがよく行われる。
【0003】
こうしたことから、近年の画像形成装置は、その内部にFAX番号やメールアドレス等を記憶しているのが一般的である。ところが、FAX番号や電子メールアドレスも一種の個人情報であり、外部に漏洩することのないよう慎重に管理すべきものである。そこで、従来から、画像形成装置の内部で管理される重要なデータの外部へ漏洩を防止する手法が提案されていた(例えば、特許文献1)。
特に、昨今、個人情報保護法が施行される等、個人情報に関する社会的関心が高まっている。従って、画像形成装置の内部で管理される個人情報について、以前にもまして厳重に管理し、決して外部に漏れることのないような対策を講ずる必要に迫られているのである。
【0004】
【特許文献1】特開平7−319773号公報(第14頁、第12図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、画像形成装置の内部で管理されるデータの外部への漏洩等を防止するための手法は従来から存在した。例えば、特許文献1では、データへのアクセスを、許可フラグが「ON」であれば許可するようにしている。しかしながら、このような方法でアクセス制限をかけたのでは、アクセスが許可されて取り出されたデータについては、管理が十分に行えないという問題点があった。即ち、取り出されたデータが、外部へ漏洩した場合、それが誰によって取り出されたデータであるかすら分からないという状況が生じるのである。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的は、画像形成装置により管理されるデータの外部への漏洩を抑止することにある。
また、本発明の他の目的は、画像形成装置により管理されるデータが外部へ漏洩したとしても、漏洩に関与した者や漏洩した情報内容等を追跡できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的のもと、本発明では、画像形成装置内部に記憶されたFAX番号リスト等のデータを出力する際、出力した媒体を識別可能とすると共に、出力した内容を対応付けて管理するようにした。即ち、本発明の画像処理装置は、装置内で管理されるデータに基づく文書画像を生成する文書画像生成部と、文書画像を印刷する媒体を識別する媒体識別情報(以下、「媒体ID」という)を生成する媒体ID生成部と、管理されるデータと媒体IDとを対応付けた対応情報を記憶する対応情報記憶部と、媒体IDを示すコード画像を文書画像に重畳してなる画像を出力する画像出力部とを備えている。尚、本明細書において、「装置内で管理されるデータに基づく文書画像」というときは、装置内で管理されるデータを編集して文書画像とする態様だけでなく、装置内で管理されるURL(Uniform Resource Locator)等のアドレス情報を参照して装置外から得られるデータを編集して文書画像とする態様をも包含するものとする。
【0008】
また、本発明では、画像形成装置内部に記憶されたFAX番号リスト等のデータが出力された媒体が持ち出された場合に、誰がその媒体へのデータ出力に関与したか等を特定できるようにした。即ち、本発明の画像処理装置は、外部からの指示に応じて、装置内で管理されるデータに基づく文書画像を生成する文書画像生成部と、指示を特定するためのコード画像を生成するコード画像生成部と、コード画像を文書画像に重畳してなる画像を出力する画像出力部とを備えている。
【0009】
更に、本発明は、このようにコード画像と文書画像とが重畳して印刷された媒体から情報を読み取る画像読取り装置として捉えることもできる。その場合、本発明の画像読取り装置は、外部からの指示に応じて装置内で管理されるデータに基づく文書画像が印刷された媒体から、その文書画像に重畳して印刷されたコード画像を入力する画像入力部と、コード画像を解析して媒体を識別する媒体IDを取得する媒体ID取得部と、指示に関するデータ又は管理されるデータと、媒体IDとを対応付けた対応情報を、その媒体IDに基づいて検索するための情報を出力する情報出力部とを備えている。
【0010】
更にまた、本発明は、電子文書としては管理されないデータの出力時に媒体IDと出力内容とを重畳した画像を媒体に印刷する画像形成装置として捉えることもできる。その場合、本発明の画像形成装置は、装置内で管理されるデータに基づく文書画像を生成する文書画像生成部と、文書画像を印刷する媒体を識別する媒体IDを生成する媒体ID生成部と、媒体IDを示すコード画像と文書画像とを重畳して媒体に印刷する印刷処理部とを備えている。
【0011】
また、本発明は、このような画像形成装置で印刷された印刷媒体として捉えることもできる。その場合、本発明の印刷媒体は、装置内で管理されるデータに基づく文書画像が印刷されたものであり、印刷媒体を識別する媒体IDを示すコード画像が文書画像に重畳して印刷され、管理されるデータと媒体IDとの対応が管理された状態で提供されるものである。
【0012】
更に、本発明は、媒体に対して印刷を行い、印刷後の媒体に基づいて印刷に関与したユーザや印刷されたデータを追跡するための方法として捉えることもできる。その場合、本発明の媒体管理方法は、外部からの指示に応じて、装置内で管理されるデータに基づく文書画像を生成するステップと、文書画像を印刷する媒体を識別する媒体IDを生成するステップと、指示に関するデータ又は管理されるデータと、媒体IDとを対応付けた対応情報を記憶装置に記憶するステップと、媒体IDを示すコード画像と文書画像とを重畳して媒体に印刷するステップと、所定の媒体に印刷されたコード画像から媒体IDを取得するステップと、記憶装置に記憶された対応情報から媒体IDに基づいて指示に関するデータ又は管理されるデータを取得するステップとを含んでいる。
【0013】
一方、本発明は、所定の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとして捉えることもできる。その場合、本発明のプログラムは、コンピュータに、外部からの指示に応じて、装置内で管理されるデータに基づく文書画像を生成する機能と、文書画像を印刷する媒体を識別する媒体IDを生成する機能と、指示に関するデータ又は管理されるデータと、媒体IDとを対応付けた対応情報を記憶装置に記憶する機能と、媒体IDを示すコード画像を文書画像に重畳してなる画像を出力する機能とを実現するためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像形成装置により管理されるデータの外部への漏洩を抑止できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置10の外観を示した図である。
図1に示すように、本実施の形態が適用される画像形成装置10は、入力された画像データを紙等の媒体に展開して印刷する装置本体20と、指示された画像データを処理する処理装置30と、画像形成装置10の各種機能の選択等を行うための操作パネルとして用いられる入出力装置40とを備えている。また、外部機器と接続される通信手段として機能する通信装置50と、各種DVD(Digital Versatile Disc)や各種CD等の光ディスク、各種メモリ型カード等の可搬性のある記録媒体を挿抜可能にするスロット60とが設けられている。
【0016】
装置本体20は、例えば電子写真方式を用いて、入力された画像データに基づきトナー像を形成してフルカラーのプリント画像を得るプリンタとして機能する。また、スキャナを備え、このスキャナにより読み取られた画像データを出力するデジタル複写機としても機能する。更には、スキャナにより読み取られた画像データを電話回線を介して送信したり、他の装置から電話回線を介して受信した画像データを出力したりするファクシミリとしても機能させることができる。
処理装置30は、パーソナルコンピュータ(PC)やサーバ等のコンピュータ装置であり、各種記録媒体からデータを読み取るドライブ装置を備えている。
入出力装置40は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイを備えている。ディスプレイの表面には、例えばタッチパネルを形成し、ユーザインタフェースとしての入力機能も備えることも可能である。タッチパネルの機能を備えていない場合には、例えば装置本体20の上面等に別に入力パネル(図示せず)やポインティングデバイス等を設け、ユーザが入出力装置40に対し操作入力できるように構成することも可能である。
【0017】
通信装置50は、例えばケーブルを備え、このケーブルに接続される機器の情報や画像データを取得できる。また、処理装置30からの命令を、ケーブルに接続される機器に送信できる双方向通信を可能としている。利用できるインタフェース規格としては、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronic Engineers1394)、SCSI(Small Computer System Interface)等がある。ケーブルを有する場合の他、これらのデータ伝送方法が利用できるインタフェースコネクタを有するだけの構成とすることも可能である。尚、通信装置50のケーブルは、ユーザの選別を容易にするために、例えば通信機能毎に色分けがなされたり、また、機器を接続する端子部にUSBやIEEE1394等の名称が書かれたタックが付加されたりしていることが好ましい。
【0018】
次に、処理装置30の機能構成について説明する。
図2は、処理装置30の機能構成を示したブロック図である。
処理装置30は、内部データ記憶部31と、指示受付部32と、文書画像生成部33と、媒体ID生成部34と、対応情報管理部35と、対応情報記憶部36と、コード画像生成部37と、画像合成部38と、画像出力部39とを含んでいる。
内部データ記憶部31は、画像形成装置10で管理されるデータ(以下、「内部データ」という)を記憶する。内部データとしては、FAX機能を用いる際の宛先として指定するFAX番号や、スキャンメール機能を用いる際の宛先として指定する電子メールアドレスが例示される。或いは、このような個人情報以外にも、画像形成装置10の設定情報等、外部への漏洩を防止すべきあらゆる情報を想定することができる。また、内部データ記憶部31は、例えば磁気ディスク等の外部記憶装置によって構成される。
【0019】
指示受付部32は、入出力装置40に対し情報の入力を促したり、入出力装置40からの指示を受け付けたりすると共に、その指示に従って画像生成の動作を制御する。
文書画像生成部33は、指示受付部32から指示された内部データを内部データ記憶部31から読み出し、その内部データに基づいて文書画像を生成する。
媒体ID生成部34は、指示受付部32からの指示に応じて、文書画像を印刷することとなる媒体を一意に識別する媒体IDを生成する。媒体IDは、例えば、画像形成装置10を一意に識別する装置IDと、この画像形成装置10で印刷する媒体の1枚1枚に付与される一連番号とを組み合わせることにより生成される。
対応情報管理部35は、指示受付部32から渡されたユーザID、文書画像生成部33が生成した文書画像、媒体ID生成部34が生成した媒体ID等を対応付けた対応情報を管理する。対応情報記憶部36は、その対応情報を記憶するメモリであり、例えば磁気ディスク等の外部記憶装置によって構成される。
コード画像生成部37は、媒体ID生成部34が生成した媒体IDを示すコード画像を生成する。
画像合成部38は、文書画像生成部33が生成した画像と、コード画像生成部37が生成した画像とを合成した合成画像を生成する。
画像出力部39は、この合成画像を装置本体20に出力する。
【0020】
尚、これらの機能部分は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、処理装置30のCPUが、指示受付部32、文書画像生成部33、媒体ID生成部34、対応情報管理部35、コード画像生成部37、画像合成部38、画像出力部39の各機能を実現するプログラムを外部記憶装置から主記憶装置に読み込んで処理を行う。
【0021】
次に、処理装置30の動作について詳細に説明する。
図3は、処理装置30の動作を示したフローチャートである。
初期状態において、入出力装置40には、図4(a)に示すようなメニュー画面が表示されている。本実施の形態の動作は、図4(a)のメニューの中から「リスト出力」が選択されることにより開始される。即ち、処理装置30の指示受付部32が、「リスト出力」が選択されたかどうかを判定する(ステップ301)。その結果、「リスト出力」以外の「コピー」、「FAX」、「スキャン」が選択された場合、その選択された機能を実行する。
【0022】
一方、「リスト出力」が選択された場合、指示受付部32は、入出力装置40に対し、図4(b)に示すようなユーザID、パスワードの入力画面を表示する。これにより、ユーザが、ユーザID、パスワードを入力すると、指示受付部32は、これらの情報を受け付ける(ステップ302)。そして、入力されたユーザIDとパスワードの組み合わせが、登録済のユーザIDとパスワードの組み合わせと一致するかどうか判定する(ステップ303)。その結果、一致しない場合は、例えば「ユーザID、パスワードが不正です」といったメッセージを表示して処理を終了する。一方、一致する場合は、ステップ304以降の処理に進む。
尚、ここでは、ユーザの認証方法として、ユーザID、パスワードを画面から入力する方式を採用したが、これには限られない。例えば、各ユーザに配布された社員カード等のICカードを用いてユーザ認証を行うようにしてもよい。
【0023】
さて、ユーザ認証が完了すると、指示受付部32は、内部データの選択を受け付ける(ステップ304)。内部データとしては、様々な取引先について、FAX番号や電子メールアドレス等の宛先情報が記憶されていることが考えられる。そこで、例えば、どの企業についての宛先情報をリスト出力するか、宛先情報のうちどの種の情報をリスト出力するか等を指定するのである。
このようにして内部データが選択されると、選択に関する情報が、文書画像生成部33に渡される。これにより、文書画像生成部33は、選択された内部データを内部データ記憶部31から読み出す。そして、その読み出された内部データを印刷するための形式に編集した文書画像を生成する(ステップ305)。
また、指示受付部32は、媒体ID生成部34に対し、媒体IDの生成を指示する。これにより、媒体ID生成部34は、ステップ305で生成された文書画像が印刷されることとなる媒体を識別する媒体IDを生成する(ステップ306)。例えば、図示しないメモリに格納された装置IDと、図示しないメモリに格納され、印刷される媒体ごとにカウントアップされる一連番号とを結合することにより、媒体IDを生成する。
【0024】
このように、文書画像及び媒体IDが生成されると、対応情報管理部35が、媒体への印刷に関与したユーザや媒体に印刷された情報内容を追跡するために用いることとなる対応情報を対応情報記憶部36に記憶する(ステップ307)。ここで、対応情報とは、リスト出力が指示された内部データと、リスト出力を指示したユーザのユーザIDと、リスト出力の日時と、リストが出力される媒体の媒体IDとが対応付けられたものである。対応情報管理部35は、内部データを例えば文書画像生成部33から受け取り、ユーザIDを例えば指示受付部32から受け取り、出力日時を例えば図示しないタイマから受け取り、媒体IDを媒体ID生成部34から受け取ることにより、このような対応情報を登録することができる。
【0025】
この時の対応情報記憶部36の記憶内容の例を図5に示す。
図5に示すように、対応情報記憶部36は、媒体IDと、ユーザIDと、出力日時と、内部データとを対応付けた対応情報を記憶している。尚、媒体IDは、前半の6桁が装置IDを表し、後半の6桁がこの装置で出力される個々の媒体に付された一連番号を表している。また、内部データにおいて、「F」はFAX番号を表し、「E」は電子メールアドレスを表し、「FE」はその両方を表している。そして、括弧内の文字列が、どの取引先のFAX番号又は電子メールアドレスが出力されたかを示している。
【0026】
このような対応情報を記憶する一方で、媒体ID生成部34により生成された媒体IDがコード画像生成部37に渡される。そして、コード画像生成部37は、媒体IDを示すコード画像を生成する(ステップ308)。
図6(a),(b)は、コード画像生成部37により生成される2次元コード画像を説明するための図である。図6(a)は、配置される2次元コード画像の単位を模式的に示すために格子状に表現した図であり、図6(b)は、この2次元コード画像の1単位を拡大して示した図である。この2次元コード画像は、可視光領域(400nm〜700nm)における最大吸収率が例えば15%以下であり、近赤外領域(800nm〜1000nm)における吸収率が例えば20%以上の、所謂不可視トナーによって形成される。また、この不可視トナーは、画像の機械読み取りに必要な近赤外光吸収能力を高めるため、平均分散径が例えば100nm〜600nmの範囲のものが採用される。ここで、「可視」および「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。即ち、印刷された媒体に形成された画像が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで「可視」と「不可視」を区別している。尚、不可視トナーによる画像(不可視画像)の形成については、特開2003−186238号公報に詳しい。
【0027】
この図6(a),(b)に示す2次元コード画像は、赤外光照射による機械読み取りと復号化処理とが長期に亘って安定して可能で、かつ、情報が高密度に記録できる不可視画像で形成される。また、画像を出力する媒体表面の可視画像が設けられた領域とは関係なく、任意の領域に設けることが可能な不可視画像であることが好ましい。本実施の形態では、印刷される媒体の大きさに合わせて媒体面(紙面)の全面に不可視画像が形成される。また、例えば、目視した際に光沢差によって認識できる不可視画像であることが更に好ましい。但し、「全面」とは、用紙の四隅を全て含む意味ではない。電子写真方式等の装置では、通常、紙面の周囲は印刷できない範囲である場合が多いことから、かかる範囲には不可視画像を印刷する必要はない。
【0028】
図6(b)に示す2次元コードパターンは、回転角度が異なる複数の微小ラインビットマップで形成されている。より具体的には、相互に異なる傾きを有するスラッシュ「/」およびバックスラッシュ「\」を用いてビット0とビット1とを表現している。例えば、一方の傾きスラッシュ「/」がビット0を示し、片方の傾きバックスラッシュ「\」がビット1を示す。このような2種類の傾きからなる微小ラインビットマップを用いることで、可視画像に与えるノイズが極めて小さく、かつ、大量の情報を高密度にデジタル化して埋め込むことが可能な2次元コードパターンを提供することが可能となる。ここで、微小ラインの間隔は、例えば0.3mmであり、例えば8ドットの微小ラインでビットマップの1単位を構成することができる。この場合、1単位の大きさは約2.1mm程度となる。尚、この1単位としては、3〜10ドット程度が好ましい。小さすぎると情報量が少なく、10ドットを超える場合には、可視画像に対してノイズとして現れることから好ましくない。
このようにして形成される2次元コードには、誤り訂正、誤り検出等で符号化された媒体IDが格納される。そして、図6(a)に示すように、印刷される媒体の大きさに合わせて媒体面(紙面)の全面に、同じ媒体IDが格納された2次元コードが格子状に配置される。
尚、本実施の形態では、2次元コードには媒体IDが少なくとも含まれて入ればよいが、媒体面上の座標位置を用いて何らかの処理を行う場合は、2次元コードに座標情報を含めてもよい。
【0029】
さて、再び図3を参照して処理装置30の動作を説明すると、文書画像が文書画像生成部33から画像合成部38に送られ、コード画像がコード画像生成部37から画像合成部38に送られることにより、画像合成部38が、これらの画像を合成して合成画像を生成する(ステップ309)。そして、最後に、画像出力部39が、この合成画像を装置本体20に対して出力する(ステップ310)。
【0030】
図7は、装置本体20の構成例を示した図である。図7に示す装置本体20は、所謂タンデム型の装置であって、例えば、電子写真方式にて各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット21(21Y、21M、21C、21K、21I)、各画像形成ユニット21にて形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト26、中間転写ベルト26上に転写された重ね画像を用紙(媒体)Pに一括転写(二次転写)させる二次転写装置200、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置240を備えている。
【0031】
この装置本体20では、常用色(通常色)であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のトナー像を形成する画像形成ユニット21Y、21M、21Cの他に、赤外に吸収を持たない黒(K)のトナー像を形成する画像形成ユニット21K、不可視のトナー像を形成する画像形成ユニット21Iがタンデムを構成する画像形成ユニットの一つとして設けられている。尚、トナーの組成については、後で詳しく述べる。
【0032】
本実施の形態において、各画像形成ユニット21(21Y、21M、21C、21K、21I)は、矢印A方向に回転する感光体ドラム22の周囲に、これらの感光体ドラム22を帯電させる帯電器23、感光体ドラム22上に静電潜像を書き込むレーザ露光器24(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム22上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器25、感光体ドラム22上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト26に転写する一次転写ロール27、感光体ドラム22上の残留トナーを除去するドラムクリーナ28等の電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット21は、中間転写ベルト26の上流側から、黄(Y色)、マゼンタ(M色)、シアン(C色)、黒(K色)、不可視(I色)の順に配置されている。
【0033】
また、中間転写ベルト26は、各種ロールによって図に示すB方向に回動可能に構成されている。この各種ロールとして、図示しないモータにより駆動されて中間転写ベルト26を回動させる駆動ロール211、中間転写ベルト26に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト26の蛇行を防止する機能を備えたテンションロール212、中間転写ベルト26を支持するアイドルロール213、及び、バックアップロール202(後述)を有している。
【0034】
また、一次転写ロール27には、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加されるようになっており、これにより各々の感光体ドラム22上のトナー像が中間転写ベルト26に順次、静電吸引され、中間転写ベルト26上に重ねトナー像が形成されるようになっている。更に、二次転写装置200は、中間転写ベルト26のトナー像担持面側に圧接配置される二次転写ロール201と、中間転写ベルト26の裏面側に配置されて二次転写ロール21の対向電極をなすバックアップロール202とを備えており、このバックアップロール202には二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール203が当接配置されている。そして、二次転写ロール201には、二次転写ロール201に付着した汚れを除去するブラシロール204が接触配置されている。
【0035】
また、二次転写ロール201の下流側には二次転写後の中間転写ベルト26の表面をクリーニングするベルトクリーナ221が設けられている。一方、二次転写ロール201の上流側には、画質調整を行なうための画像濃度センサ222が配設されている。更に、Y色画像形成ユニット21Yの上流側には、各画像形成ユニット21における画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)223が配置されている。この基準センサ223は、中間転写ベルト26の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生し、この基準信号の認識に基づく制御部(図示せず)からの指示により、各画像形成ユニット21は画像形成を開始するように構成されている。
【0036】
更に、本実施の形態では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ230、この用紙トレイ230に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール231、ピックアップロール231にて繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール232、搬送ロール232により搬送された用紙Pを二次転写装置200による二次転写位置へと送り込む搬送シュート233、二次転写後の用紙Pを定着装置240へと搬送する搬送ベルト234を備えている。
【0037】
次に、この装置本体20の作像プロセスについて説明する。ユーザによりスタートスイッチ(図示せず)がオン操作されると、所定の作像プロセスが実行される。具体的に述べると、例えばこの装置本体20をカラープリンタとして構成する場合には、処理装置30から送信されたデジタル画像信号をメモリに一時的に蓄積し、その蓄積されている5色(Y、M、C、K、I)のデジタル画像信号に基づいて各色のトナー像形成を行わせるようにする。
【0038】
即ち、画像処理によって得られた各色の画像記録信号に基づいて画像形成ユニット21(21Y、21M、21C、21K、21I)をそれぞれ駆動する。そして、各画像形成ユニット21Y、21M、21C、21K、21Iでは、帯電器23により一様に帯電された感光体ドラム22に画像記録信号に応じた静電潜像をレーザ露光器24にてそれぞれ書き込ませる。そして、形成された各静電潜像を各色のトナーが収容される現像器25により現像して各色のトナー像を形成させる。
【0039】
そして、各感光体ドラム22に形成されたトナー像は、各感光体ドラム22と中間転写ベルト26とが接する一次転写位置で、一次転写ロール27により印加される一次転写バイアスにより感光体ドラム22から中間転写ベルト26の表面に一次転写される。このようにして中間転写ベルト26に一次転写されたトナー像は中間転写ベルト26上で重ね合わされ、中間転写ベルト26の回動に伴って二次転写位置へと搬送される。
【0040】
一方、用紙Pは、所定のタイミングで二次転写装置200の二次転写位置へと搬送され、中間転写ベルト26(バックアップロール202)に対して二次転写ロール201が用紙Pをニップする。そして、二次転写ロール201とバックアップロール202との間に形成される二次転写電界の作用で、中間転写ベルト26に担持された重ねトナー像が用紙Pに二次転写される。
その後、トナー像が転写された用紙Pは、搬送ベルト234によって定着装置240へと搬送され、トナー像の定着が行われる。一方、二次転写後の中間転写ベルト26は、ベルトクリーナ221によって残留トナーが除去される。
【0041】
ここで、装置本体20で使用されるトナーについて詳細に説明する。
まず、画像形成ユニット21Yにて用いられるYトナー、画像形成ユニット21Mにて用いられるMトナー、画像形成ユニット21Cにて用いられるCトナーとしては、従来から使用されているトナーを用いる。
これに対し、本実施の形態では、画像形成ユニット21Kにて用いられるKトナーとして、特殊なトナーを用意する。従来から使用されている(カーボンブラックを黒色の色剤とする)Kトナーは、赤外光を吸収してしまうため、不可視トナーにより埋め込まれた情報を赤外光照射により読み取る本システムにおいて、情報が埋め込まれない通常の画像を形成するのに用いるのは適切ではないからである。即ち、本実施の形態では、赤外光の吸収率が極めて低く、かつ、黒色を印字可能なトナーをKトナーとして採用することとする。このようなトナーとしては、Yトナー、Mトナー、Cトナーを混合して得られるトナーが例示される。
尚、従来から使用されているKトナーとは性質の異なるものを用いてはいるが、本明細書では、このような特殊なトナーも便宜上、「Kトナー」として表記するものとする。
【0042】
また、Iトナーとしては、例えば、特開2003−186238号公報に記載された材料を用いることができる。即ち、結着樹脂と、無機材料粒子からなる近赤外光吸収材料とを含むものを用いることが考えられる。
ここで、結着樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
また、近赤外光吸収材料としては、少なくともCuOとPを含む無機材料粒子を用いることができる。尚、不可視トナー粒子中におけるCuOの含有濃度は、6質量%〜35質量%の範囲が好ましく、10質量%〜30質量%の範囲がより好ましい。更に、無機材料粒子は、不可視トナー中における無機材料粒子の均一分散性と、電子写真用の記録材料として必要となる適度な負極摩擦帯電性とを得るため、CuO、Al、P、及びKOを必須の構成成分とする銅燐酸結晶化ガラスからなることが好ましい。この銅燐酸結晶化ガラスの組成は、CuOが20質量%〜60質量%の範囲であり、Alが1質量%〜10質量%の範囲であり、Pが30質量%〜70質量%の範囲であり、KOが1質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。
【0043】
図8(a),(b)は、図3のフローチャートで示した処理により出力された画像が、図7の構成を有する装置本体20により媒体に印刷された結果としての印刷画像を例示したものである。ここでは、FAX番号リストを出力した場合の例を示している。
図8(a)は、内部データを編集して得られた文書画像が可視トナーを用いて印刷され、この文書画像に重畳してコード画像が不可視トナーを用いて印刷された媒体を示している。尚、不可視トナーによるコード画像は実際には目視で認識することはできないが、図8では、便宜上、網掛けで示している。
【0044】
ところで、このように不可視トナーで媒体IDが埋め込まれたFAX番号リストが外部に持ち出された場合を考える。例えば、FAX番号リストが持ち出された組織が比較的小規模であり、その組織の近辺でFAX番号リストが発見されたとすれば、そのFAX番号リストを印刷するのに用いられた画像形成装置10は、容易に特定できるかもしれない。そして、画像形成装置10が特定できれば、その中の対応情報記憶部36を検索することで、FAX番号リストの出力に関与した者やそのリストに含まれる情報を追跡することも容易である。
しかしながら、FAX番号リストが持ち出された組織の規模が大きく、どの画像形成装置10で印刷されたのかが全く特定できない場合は、そのような追跡が困難になってしまうことが考えられる。
【0045】
そこで、図8(b)のように、画像形成装置10の装置IDだけは、可視トナーで印字するようにすることも有効である。具体的には、図8(b)は、「ABC001」という装置IDの画像形成装置10で印刷されたFAX番号リストであることを示している。これにより、装置ID「ABC001」の画像形成装置10に記憶される対応情報記憶部36を調査すれば、このFAX番号リストの出力に関与した者やそのリストに含まれる情報の追跡が容易に行える。
尚、図8(b)のように、装置IDを可視トナーで印字した場合は、装置IDを不可視トナーで印字する必要はなくなる。即ち、これまで媒体IDには装置IDが含まれるものとして説明してきたが、図8(b)のような印刷を行う場合は、媒体IDの中に装置IDを含めない構成としてもよい。
【0046】
ところで、図8に例示したような媒体IDが埋め込まれた媒体が外部に持ち出された場合、特殊な画像読取り装置を用いることにより、媒体から媒体IDを読み取ることが可能である。そこで、かかる画像読取り装置の1つであるペン型入力装置70による情報の読取りについて説明する。
図9は、ペン型入力装置70の構成を示した図である。尚、本実施の形態では、ペン型入力装置70は、媒体IDを読み取ることができれば十分であるが、ここでは、媒体に文字又は図形を筆記してその筆跡を読み取るために用いられるペン型入力装置70の構成を示している。
このペン型入力装置70は、コード画像と文書画像とが合成されて印刷された用紙(媒体)に通常のペンと同様の操作により文字や図形を記録する筆記部71と、筆記部71の動きを監視しペン型入力装置70が用紙に押し付けられていることを検出する筆圧検出部72とを備えている。また、ペン型入力装置70の全体の電子的な動作を制御する制御部73と、用紙上のコード画像を読み取るために赤外光を照射する赤外照射部74と、赤外光が照射されたコード画像を捕捉して入力する画像入力部75とを備えている。
【0047】
ここで、制御部73について更に詳しく説明する。
制御部73は、コード取得部731と、軌跡算出部732と、情報記憶部733とを備えている。コード取得部731は、画像入力部75から入力された画像を解析してコードを取得する部分であり、媒体IDの取得に着目すれば、媒体ID取得部として把握することも可能な部分である。軌跡算出部732は、コード取得部731により取得したコードに対し、筆記部71のペン先の座標と画像入力部75が捕捉した画像の座標とのずれを補正してペン先の軌跡を算出する部分である。情報記憶部733は、コード取得部731が取得したコードや軌跡算出部732が算出した軌跡情報を記憶する部分であり、記憶された情報の出力まで含めて考えれば、情報出力部として把握することも可能な部分である。
【0048】
図10は、ペン型入力装置70の主に制御部73にて実行される処理を示したフローチャートである。ペン型入力装置70が用紙に押し当てられると、制御部73は、押し当てられていることの検出信号を筆圧検出部72から取得する(ステップ701)。この検出信号を検出すると、制御部73は、赤外照射部74に対し、赤外光を用紙に照射するように指示する(ステップ702)。赤外照射部74によって用紙に照射される赤外光は不可視画像にて吸収される。画像入力部75ではこの赤外光が照射されたコード画像が捕捉される。制御部73は、画像入力部75を介してこの不可視画像の入力(スキャン)を行う(ステップ703)。
【0049】
その後、制御部73のコード取得部731では、ステップ704〜ステップ710に示すコード画像検出処理が実行される。まず、コード取得部731は、入力されたスキャン画像を整形する(ステップ704)。このスキャン画像の整形は、傾き補正やノイズ除去等である。そして、整形されたスキャン画像からスラッシュ「/」やバックスラッシュ「\」等のビットパターン(斜線パターン)を検出する(ステップ705)。また一方で、整形されたスキャン画像から、2次元コード位置決め用のコードである同期コードを検出する(ステップ706)。コード取得部731は、この同期コード位置を参照して2次元コードを検出する(ステップ707)。また、2次元コードからECC(Error Correcting Code:誤り訂正符号)等の情報を取り出し復号する(ステップ708)。そして、復号した情報を元の情報に復元する(ステップ709)。
【0050】
制御部73のコード取得部731では、以上のようにして復元したコード情報から媒体IDを取り出し、取り出した情報を情報記憶部733に記憶する(ステップ710)。この情報記憶部733に記憶された媒体IDは、媒体ID、ユーザID、出力日時、内部データを対応付けた対応情報を有する画像形成装置10に有線または無線で送信される(ステップ711)。
尚、ここでは、ペン型入力装置70は、赤外光照射によりコード画像を読み取るように構成したが、紫外光照射によりコード画像を読み取るように構成しても構わない。
【0051】
一方、画像形成装置10では、このようにして送信された媒体IDを通信装置50にて受信する。そして、受信した媒体IDは、処理装置30へと受け渡される。そこで、この場合の処理装置30の動作について図11を参照して説明する。
まず、処理装置30の指示受付部32は、通信装置50から媒体IDを取得する(ステップ351)。この媒体IDは、通常、画像形成装置10を一意に識別する装置IDと、その装置において画像形成がなされた媒体ごとの一連番号とから構成されている。従って、指示受付部32は、装置IDが一致するかどうかを判定する(ステップ352)。
その結果、装置IDが一致しない場合は、例えば「この装置で印刷したものではありません」といったメッセージを表示し、処理を終了する。一方、装置IDが一致する場合は、その装置において印刷された媒体であるので、媒体IDをキーとして対応情報記憶部36を検索し、ユーザID、内部データ等を得る(ステップ353)。そして、ユーザID、内部データ等を入出力装置40に対し出力する(ステップ354)。
尚、図8(b)のように装置IDを可視トナーで印字した場合、装置IDは目視で認識できるので、異なる装置IDの画像形成装置10に媒体IDを送信して追跡を行うことは考え難い。そこで、このような印刷を行う場合は、ステップ352での判断を行わないようにしてもよい。
以上により、本実施の形態の動作は終了する。
【0052】
尚、本実施の形態では、媒体IDを示すコード画像は、不可視トナーで印刷するものとした。ところが、かかる構成を採用した場合、以下のような不都合が生ずる。
即ち、図8のような不可視トナーで媒体IDを印刷したFAXリスト等が、通常の複写機で複写することにより、媒体IDが印刷されていないFAXリスト等になってしまうのである。通常の複写機では、不可視トナーによる透明な画像は認識できず、複写されないからである。仮に、図8(b)のように装置IDを可視トナーで印字したとしても、それを白の修正液等で塗りつぶして複写すれば、同様に媒体IDの全く不明なFAXリスト等が出来上がってしまうのである。
そこで、このような不都合を生じないようにするため、本実施の形態は、図8(a),(b)の網掛け部分を可視トナーで印刷するように変形することも考えられる。このような構成とすれば、媒体IDは、通常の複写機で複写しても消えないで残るようになる。また、媒体IDを白の修正液等で塗りつぶそうとしてもFAX番号も同時に塗りつぶしてしまうことになるので、媒体IDを消した状態での複写が極めて困難になる。
【0053】
また、このように可視トナーで媒体IDを印刷した場合、赤外光等の照射機能を有する特殊な画像読取り装置ではなく、通常のスキャナを用いた媒体IDの読取りも可能となる。尚、この場合のスキャナとしては、画像形成装置10の一部を構成するスキャナであってもよいし、読み取った媒体IDを画像形成装置10に有線または無線で送信可能なスキャナ専用機であってもよい。但し、スキャナで読み取ったコード画像を解析して媒体IDを取得するアプリケーションプログラムが動作することが必要である。
【0054】
また、本実施の形態では、ユーザIDを対応情報に含めて管理し、それと関連付けられた媒体IDを媒体に埋め込むようにしたが、ユーザIDを直接媒体に埋め込むようにしてもよい。
更に、対応情報には、内部データそのものを含めるようにしたが、このような構成には限らない。即ち、内部データに基づいて生成された文書画像を含めるようにしてもよいし、文書画像を更に所定のフォーマット(PDF等)に変換したファイルを含めるようにしてもよい。
【0055】
更にまた、本実施の形態では、媒体ID、ユーザID、出力日時、内部データの対応情報は、あくまでその媒体への印刷を行った画像形成装置内に記憶されるものとした。しかしながら、複数の画像形成装置をネットワークを介してサーバコンピュータに接続したシステムとし、各画像形成装置における対応情報をサーバコンピュータに集約して管理するような構成としてもよい。このような構成とすれば、外部で発見された印刷媒体がどの画像形成装置で印刷されたものであるかは、サーバコンピュータに問い合わせることにより容易に分かるので、印刷に関与したユーザ等の追跡も容易に行えるようになる。
また、本実施の形態では、媒体に印刷するデータとしては、画像形成装置内で管理されるデータを想定したが、これには限られない。例えば、画像形成装置内に記憶されたURL等のアドレス情報を参照して外部から入手できるデータであっても構わない。
【0056】
以上述べたように、本実施の形態では、内部データを媒体に印刷する際、その媒体を識別する媒体IDと内部データとの対応情報を記憶しておくようにした。これにより、媒体の一部が破られて持ち去られたとしても、他の部分から媒体IDを認識できれば、持ち去られた媒体の一部に印刷された内部データを特定することが可能となる。このような媒体の一部からの媒体IDの認識は、媒体の全面に渡って媒体IDを所定のピッチで印刷することにより可能となる。
【0057】
また、本実施の形態では、内部データを媒体に印刷する際、その媒体を識別する媒体IDと印刷を指示したユーザを識別するユーザIDとの対応情報を記憶しておくようにした。これにより、内部データが印刷された媒体が外部に持ち出された場合、誰がいつ出力した媒体であるかを容易に特定することが可能となる。例えば、内部データの印刷に制限をかけたとしても、権限を持つ者が媒体の管理を怠ったために、第三者が媒体を持ち出すことはあり得る。また、第三者が権限を持つ者になりすまして内部データの印刷を行うことも考えられる。このような場合に、情報漏洩のきっかけを与えてしまったその権限ある者や、その者が出力した日時を特定することが容易になるのである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態が適用される画像形成装置の外観を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態の画像形成装置における処理装置の機能構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態の画像形成装置における処理装置の動作を示したフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態の画像形成装置における入出力装置に表示される画面の例を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態の画像形成装置における対応情報記憶部の記憶内容の例を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態の画像形成装置におけるコード画像生成部によって生成される2次元コード画像を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態の画像形成装置における装置本体の構成例を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態の画像形成装置により出力された印刷画像の例を示した図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるペン型入力装置の構成例を示した図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるペン型入力装置の動作を示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態の画像形成装置における処理装置の追跡時の動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
10…画像形成装置、20…装置本体、30…処理装置、31…内部データ記憶部、32…指示受付部、33…文書画像生成部、34…媒体ID生成部、35…対応情報管理部、36…対応情報記憶部、37…コード画像生成部、38…画像合成部、39…画像出力部、40…入出力装置、50…通信装置、60…スロット、70…ペン型入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内で管理されるデータに基づく文書画像を生成する文書画像生成部と、
前記文書画像を印刷する媒体を識別する媒体IDを生成する媒体ID生成部と、
前記管理されるデータと前記媒体IDとを対応付けた対応情報を記憶する対応情報記憶部と、
前記媒体IDを示すコード画像を前記文書画像に重畳してなる画像を出力する画像出力部と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記管理されるデータは、前記装置の通信先として登録されたアドレスに関するデータであることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記対応情報記憶部は、前記文書画像の印刷を指示したユーザを識別するユーザIDを更に対応付けた対応情報を記憶することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
外部からの指示に応じて、装置内で管理されるデータに基づく文書画像を生成する文書画像生成部と、
前記指示を特定するためのコード画像を生成するコード画像生成部と、
前記コード画像を前記文書画像に重畳してなる画像を出力する画像出力部と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記コード画像は、前記指示を行ったユーザとの対応関係が記憶装置に記憶された所定の識別情報を示す画像であることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記コード画像は、前記指示を行ったユーザを識別するユーザIDを示す画像であることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項7】
外部からの指示に応じて装置内で管理されるデータに基づく文書画像が印刷された媒体から、当該文書画像に重畳して印刷されたコード画像を入力する画像入力部と、
前記コード画像を解析して前記媒体を識別する媒体IDを取得する媒体ID取得部と、
前記指示に関するデータ又は前記管理されるデータと、前記媒体IDとを対応付けた対応情報を、当該媒体IDに基づいて検索するための情報を出力する情報出力部と
を備えたことを特徴とする画像読取り装置。
【請求項8】
前記画像入力部は、前記コード画像による赤外光又は紫外光の吸収を検出することにより、当該コード画像を入力することを特徴とする請求項7記載の画像読取り装置。
【請求項9】
前記画像入力部は、前記コード画像による可視光の反射又は吸収を検出することにより、当該コード画像を読み取ることを特徴とする請求項7記載の画像読取り装置。
【請求項10】
装置内で管理されるデータに基づく文書画像を生成する文書画像生成部と、
前記文書画像を印刷する媒体を識別する媒体IDを生成する媒体ID生成部と、
前記媒体IDを示すコード画像と前記文書画像とを重畳して前記媒体に印刷する印刷処理部と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記印刷処理部は、前記コード画像を、不可視トナーを用いて印刷することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記印刷処理部は、前記装置を識別する装置IDを、可視トナーを用いて印刷することを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記媒体IDは、前記装置IDを含まないことを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記印刷処理部は、前記コード画像を、可視トナーを用いて印刷することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
【請求項15】
装置内で管理されるデータに基づく文書画像が印刷された印刷媒体であって、
前記印刷媒体を識別する媒体IDを示すコード画像が前記文書画像に重畳して印刷され、
前記管理されるデータと前記媒体IDとの対応が管理された状態で提供されることを特徴とする印刷媒体。
【請求項16】
前記文書画像は、可視画像として印刷され、
前記コード画像は、不可視画像として印刷されたことを特徴とする請求項15記載の印刷媒体。
【請求項17】
前記装置を識別する装置IDを示す画像が、可視画像として、前記コード画像とは別に印刷されたことを特徴とする請求項16記載の印刷媒体。
【請求項18】
前記文書画像及び前記コード画像は、可視画像として印刷されたことを特徴とする請求項15記載の印刷媒体。
【請求項19】
外部からの指示に応じて、装置内で管理されるデータに基づく文書画像を生成するステップと、
前記文書画像を印刷する媒体を識別する媒体IDを生成するステップと、
前記指示に関するデータ又は前記管理されるデータと、前記媒体IDとを対応付けた対応情報を記憶装置に記憶するステップと、
前記媒体IDを示すコード画像と前記文書画像とを重畳して前記媒体に印刷するステップと、
所定の媒体に印刷されたコード画像から前記媒体IDを取得するステップと、
前記記憶装置に記憶された前記対応情報から前記媒体IDに基づいて前記指示に関するデータ又は前記管理されるデータを取得するステップと
を含むことを特徴とする媒体管理方法。
【請求項20】
前記媒体IDを取得するステップでは、前記コード画像を、その赤外光又は紫外光の吸収を検出することによって読み取り、当該コード画像を解析することにより当該媒体IDを取得することを特徴とする請求項19記載の媒体管理方法。
【請求項21】
前記媒体IDを取得するステップでは、前記コード画像を、その可視光の反射又は吸収を検出することによって読み取り、当該コード画像を解析することにより当該媒体IDを取得することを特徴とする請求項19記載の媒体管理方法。
【請求項22】
コンピュータに、
外部からの指示に応じて、装置内で管理されるデータに基づく文書画像を生成する機能と、
前記文書画像を印刷する媒体を識別する媒体IDを生成する機能と、
前記指示に関するデータ又は前記管理されるデータと、前記媒体IDとを対応付けた対応情報を記憶装置に記憶する機能と、
前記媒体IDを示すコード画像を前記文書画像に重畳してなる画像を出力する機能と
を実現するためのプログラム。
【請求項23】
前記指示に関するデータは、当該指示を行ったユーザに関するデータであることを特徴とする請求項22記載のプログラム。
【請求項24】
前記管理されるデータは、前記装置の通信先として登録されたアドレスに関するデータであることを特徴とする請求項22記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−319603(P2006−319603A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−139421(P2005−139421)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】