説明

画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法

【課題】使用状況に応じた適切な表示が可能である画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】画像処理装置10は、被検体KにX線を照射して前記被検体のX線撮像画像を得るX線撮像装置30の撮像画像を含む各種データを表示可能であって、かつ、その表示状態を切替可能な表示部36と、前記表示部36の表示状態は前記X線撮像装置30における撮像の有無に対応して切替える切替手段としてのシステム制御部12と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法に関し、特に、使用状況に応じた適切なデータを提供できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
X線撮像システムを用いる治療法として例えば血管内治療法等が知られている。この治療方法は、血管内にガイドワイヤ(以下、ワイヤと記載する)やカテーテルといったデバイスを挿入して進め、そのデバイスで患部を治療することにより、開腹治療よりも低侵襲で同等の治療効果が得られることから、近年急速に拡大している治癒法である。
【0003】
このような治療の際に、非侵襲で診断及び治療を行うために、術前に撮像したCT画像等のデータを検査室内に表示することがある。オペレータは、この画像を診断及び操作のナビゲーションとして用いる。このような治療では過去のデータを利用することにより、より正確に、より早く、より造影剤を少なくすることが試みられている。例えば、予め収集したCT画像等のデータを、三次元ワークステーションで画像処理し、画像処理後の静止画像や動画をネットワークで治療室に転送し、検査室内に表示している。
【0004】
これらの被検体の画像を診断目的で利用する場合、一般的には三次元画像を多方向から観察し、あるいは異なる表示方法で比較観察するために、複数のウィンドウに表示して多くのデータを一覧することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−183759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の技術には以下のような事情がある。すなわち、複数のウィンドウで各種の画像やデータを表示することは、あらゆるデータを必要とする診断の際には都合が良いが、オペレータが手を動かして被検体にデバイスを挿入する治療の際には、小さい複数のウィンドウからデータを読み取ることは困難であり、操作を妨げる原因となる。また、X線撮像装置で得られるリアルタイム透視画像と比較する場合等にはX線撮像装置に対応する画像を大きく表示する方が好ましい。このように、オペレータの作業の目的や状況等に応じて好ましい表示内容が異なるため、これに応じた適切な表示が望まれている。
【0006】
したがって、本発明は、作業の目的等の使用状況に応じた適切な表示が可能である画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る画像処理装置は、被検体にX線を照射して前記被検体のX線撮像画像を得るX線撮像装置の撮像画像を含む各種データを表示可能であって、かつ、その表示状態を切替可能な表示手段と、前記表示手段の表示状態は前記X線撮像装置における撮像の有無に対応して切替える切替手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の一形態に係る画像処理装置は、被検体にX線を照射して前記被検体のX線撮像画像を得るX線撮像装置の撮像画像及び他の各種データを表示可能であって、かつ、その表示状態を切替可能な表示手段と、前記表示手段の前記各種データの表示状態を、前記X線撮像装置における撮像の有無に対応して切替える切替手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の一形態に係るX線装置は、被検体にX線を照射して前記被検体のX線撮像画像を得るX線撮像装置と、各種データを表示可能な表示手段と、前記X線撮像装置における撮像の有無に基づいて前記表示手段の表示状態を切り替える切替手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の一形態に係る切替装置は、被検体にX線を照射して前記被検体のX線撮像画像を得るX線撮像装置の撮像の有無を切り替えるスイッチ機能を有する切替装置であって、前記X線撮像画像を含む各種データを表示可能な表示手段の表示状態の切替機能を兼ねることを特徴とする。
【0011】
本発明の一形態に係る画像処理方法は、被検体にX線を照射して前記被検体のX線撮像画像を得るX線撮像装置から前記X線撮像画像を得る工程と、各種データを表示可能であって、かつ、その表示状態を切替可能な表示手段で、画像を表示する工程と、前記X線撮像装置における撮像の有無に対応して前記表示手段の表示状態を切替える工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用状況に応じた適切な表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法について、図1乃至5を参照して説明する。図1は、X線システム1(X線装置)の構成を示すブロック図である。X線システム1は、画像処理装置10、CT装置20、X線診断治療装置30、三次元ワークステーション40を備えて構成される。
【0014】
画像処理装置10は、CTボリュームデータ取得部11と、システム制御部12と、操作部13と、画像記憶部14と、演算部15と、画像作成部16と、記憶部17と、表示制御部19と、撮影画像取得部21とを有して構成される。
【0015】
前記CTボリュームデータ取得部11は、CT装置20より所望のCTボリュームデータを取得するためのものである。システム制御部12(切替手段)は、画像処理装置10における全体の制御動作を司るものである。例えば、撮像スイッチ37の入力を受けてこれに応じた適切な画面を表示するように、表示制御部19を介して表示部36に表示される表示画面の種類や方法の切り替え等の制御を行う。操作部13は、画面上で特定箇所をクリックするための操作や、画像の選択等を行うためのものでコントロールパネル等により構成される。
【0016】
画像記憶部14は、前記画像を記憶する記憶手段である。また、演算部15は、画像処理や各種制御のための各種演算を行うものである。画像作成部16は、画像記憶部14と共に後述する表示部36に表示すべく画像を作成する。記憶部17は、後述するX線診断治療装置30のX線投影方向のデータ等を記憶するためのものである。
【0017】
表示制御部19は、前記画像記憶部14に記憶された画像や画像作成部16で作成された画像、さらには各種データを表示部36に表示するものである。支持器制御部23は、後述するX線診断治療装置30のCアーム33の位置、角度を制御するためのものである。また、X線撮像画像41取得部21は、後述するX線検出器35からのX線撮像画像41データを取得する手段である。
【0018】
X線診断治療装置30は、被検体Kを載置する寝台31と、架台32と、この架台32に支持されて図示A軸を中心に図示矢印R方向に回動可能なCアーム33と、このCアーム33の一方の端部に設けられたX線源34と、XCアーム33の他方の端部に設けられたX線検出器35と、画像等の各種データを表示する表示部36と、X線源34の動作を切り替える撮像スイッチ37(切替装置)と、前述した画像処理装置とを備えて構成される。
【0019】
寝台31は、鉛直方向及び水平方向に移動可能となっており、これにより被検体Kは、X線源34とX線検出器35との間に適当に配置される。
【0020】
Cアーム33は、X線源34及びX線検出器35を対向配置させて、これらを保持する構造になっている。X線源34は、図示されないが、被検体Kに対しX線を照射するX線管球と、当該X線管球から照射されたX線をコリメートするコリメータとを有している。一方、X線検出器35は、例えばI.I.(イメージ・インテンシファイア)と光学系とによって構成されており、I.I.によって被検体Kを透過したX線データを光学情報に変換し、光学系によってこの光学情報を光学レンズで集光する。尚、I.I.以外の検出装置としてX線平面検出器を用いても良い。
【0021】
表示部36は、表示制御部19を介して出力された画像等の各種データを画面上に表示するものである。ここで表示される画像は、例えば、Volume rendering (VR)、Maximum Intensity Projection (MIP)、Minimum Intensity Projection (MinIP)、Multiple Planar Recontruction (MPR)、Slab MIP、Curved MPR (CPR)、Short Axis (SA)、RaySum、Virtual Endoscopies、CathView等がある。この表示部36のオンオフ等の動作や、表示される画面の切り替え等の切替動作は、システム制御部12の制御により表示制御部19を介して制御される。
【0022】
撮像スイッチ37は、X線源34によるX線の照射状態等を切り替えるスイッチであり、例えば寝台31の下端近傍に位置する。治療や診断を行うオペレータOが撮像スイッチ37を足で押圧することによりX線照射撮像のオンオフ(有無)を切り替える操作をすることができる。
【0023】
以上のように構成されたX線システム1において、例えば、予めCT装置20等により収集したCT画像42等のデータを、三次元ワークステーション40で画像処理し、画像処理後の静止画像や動画をネットワークで治療室に転送し、検査室内の表示部36に表示している。オペレータOは検査室内で表示部36に表示される画像や各種データを用いて診断や治療の際の操作のナビゲーションとして用いることができる。
【0024】
例えば、CT画像42は、人体の周囲360度に渡るX線撮像画像を収集し、これを再構成演算して2次元の断層画像に再構成するCT(Computed Tomography)装置によって撮像、再構成したボリューム(3D)データである。このボリュームデータを用いれば、目的の部位をあらゆる方向から観察すること、所望の臓器や血管や血管の芯線を抽出して観察すること、所望の位置における断面画像を観察すること等が可能である。
【0025】
次に、図2のフローチャートを参照して、本発明の第1実施形態に於ける画像処理装置の動作について説明する。
【0026】
まずステップ(ST)1において、表示装置の電源がオンであるかが検出され、さらにST2において、撮像スイッチ37の状態が検出される。
【0027】
なお、この実施形態では6つの画面から構成される表示部(表示手段)36のうち、隣接する2つの画面をそれぞれ第1画面36a、第2画面36bとして、これらを中心に説明するが、画面の数はいくつあってもよいし、その他の画面に別のデータが表示されていても良い。モニタの各画面には例えば、X線撮像画像41、X線撮影画像、X線撮影から構築した血管三次元画像、CT画像、MRI画像、PET画像、ECOH画像、IVUS画像、血管内内視鏡画像、各種グラフ、心電図等が表示される。
【0028】
本実施形態における画像処理装置10では、撮像装置で照射されるX線によって生成された画像をライブ画像で表示する撮像用画面を第1画面36aとし、過去時刻に生成された画像やCT画像等を表示する参照用画面を第2画面36bとする。これらの第1画面36aや第2画面36bはいくつあっても良い。後述するように、撮像スイッチ37がオフからオンとなると、撮像用の第1画面36aが動作して撮像画像を表示するとともに、これに対応して参照用の第2画面36bの表示状態も切り替わることを特徴とする。
【0029】
ST2において撮像スイッチ37がオフである場合には、図3に示すように、画面36aがオフ状態とされ、X線撮像画像41は表示されない(ST3)。また、その隣の画面36bにおいて診断用の表示がなされる(ST4)。
【0030】
この診断用表示では、例えば図3に示すように、複数の画像やデータが多ウィンドウにて表示される。この場合、オペレータOは表示された複数のデータを一覧しながら診断をし、治療計画を立てることができる。例えばこの複数ウィンドウのうちの1つのウィンドウ、図3においては画面36bの中央上部のウィンドウ、では、CT画像42であってさらにX線撮像装置30の撮像方向と同じ方向から被検体Kを観察した画像を表示する。
【0031】
一方、ST2において撮像スイッチ37がオンである場合には、図4に示すように、X線検出器を介して得られたX線撮像画像41が画面36aに表示される(ST5)。またこの場合はオペレータOがX線を照射してX線撮像画像41を見ながら操作を行っている治療中であるとして隣の画面36bには治療用表示がなされる(ST6)。
【0032】
この治療用表示は、例えば図4に示すように、X線撮像画像41に関係する画像として、X線撮像画像41と同方向から見たCT画像42が1つ大きく表示される。この場合、オペレータOは、X線撮像画像41と比較しながら大きな画面を確認しつつ治療を行うことができる。図5に、撮像スイッチ37、第1画面36a及び第2画面36bの動作の対応関係を示す。
【0033】
ついで、さらなる撮像スイッチ37の操作を検出し(ST7)、撮像スイッチ37が操作された場合には上記ST2に戻る。これらST2〜ST7の動作が表示電源がオフされるまで(ST8)繰り返される。
【0034】
第1実施形態にかかる画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法によれば、以下の効果が得られる。すなわち、撮像スイッチの動作に基づきオペレータOの作業に関連付けて表示動作を切り替えることにより、オペレータOの作業に対応した適切な表示をすることが可能である。
【0035】
通常、治療中にはX線撮像データを用いてナビゲーションを利用している場合が多く、また手を止めて診断している間はX線装置を停止させている場合が多いということを利用して、表示切替を撮像スイッチ37に連動させることにより、オペレータOの作業に応じた適切な切り替えを行うことができる。
【0036】
オペレータOが手を止めて診断している際、すなわちX線が停止している際には、表示部36に意識を集中してたくさんの情報を一覧することができるため、これに応じた多ウィンドウの複数画面表示を行うことで、診断に適した表示とし、治療中に手を動かして操作している際、すなわちX線が作動している際には、操作をナビゲートするためにX線撮像画像41と関係する大きな画像を表示することにより治療に適した表示とすることができる。
【0037】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態にかかる画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法について図6乃至図8を参照して説明する。なお、本実施形態において、ステップST21及びST22以外は第1実施形態にかかる画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法と同様であるため説明を省略する。
【0038】
本実施形態では、ライブ画像であるX線撮像画像以外に、治療中、撮像中に、取得、撮像、撮影されているデータである他のリアルタイム系データが表示可能である。ここでは、例えばリアルタイム系データとして、例えば図6及び図7示すように、第2画面36bのうちの1つに、IVUS画像が表示されている。また他の第2画面36bには、予め取得されたデータであるポストプロセス系データとして、例えば過去X線画像やCTデータ等が表示されている。
【0039】
図6は、撮像スイッチ37がオフとなっている場合の診断用表示における表示部36の状態を示し、図7は撮像スイッチ37がオンとなっている場合の治療用表示における表示部36の状態を示す。
【0040】
なお、この実施形態では、ライブ画像であるX線撮像画像を表示する第1画面36aと、リアルタイム系データを表示する第2画面36bが2つ、図中左端に上下に並んで配置されるとともに、予め取得されている過去X線画像やCTデータ等のポストプロセス系データを示す第2画面36bが、4つ、右側に並列して設けられている。
【0041】
本実施形態では、図8に示されるように、上記第1実施形態と同様にST1乃至ST5までの処理がなされた後、リアルタイム系データの有無が判定される。例えば、ここでは、リアルタイム系データの一例であるIVUS信号の有無が検出される(ST21)。IVUS信号が検出された場合には、治療用表示においても、リアルタイム系データが優先される(ST22)。すなわち、リアルタイム系データの表示状態は変更せず、リアルタイムでないデータ、すなわちポストプロセス系データについてのみ、表示切替を行う。例えばここでは、図6に示す診断用表示から図7に示す治療用表示にする際、IVUS画像が表示されている第2画面36bについては表示の切替を行わず、ポストプロセス系データである過去X線画像やCTデータ等を示す右側の第2画面36bについてのみ、表示切替が行われる。以後、上記第1実施形態と同様の処理が行われる。
【0042】
本実施形態にかかる画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法においても上記第1実施形態にかかる画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法と同様の効果を得られる。また、操作中に、リアルタイム系データの表示状態の変更してしまうと操作の妨げとなるので、本実施形態では、リアルタイム系データはの表示状態は変更せずに、予め取得してあるポストプロセス系データ(CT、MR、X線過去画像)のみ、表示切替をすることにより、操作を妨げることなく、適切な表示とすることにより操作者の便宜を図ることができる。
【0043】
なお、リアルタイム系データは、上記本実施形態で例示したIVUS画像に限られるものではなく、例えば血管内内視鏡等、他のデータや映像にも適用可能である。
【0044】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態にかかる画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法について図9及び図12を参照して説明する。なお、本実施形態において、図9のフローチャートに示すステップST31及びST32以外は第1実施形態にかかる画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法と同様であるため説明を省略する。上記第1及び第2実施形態においては複数の表示画面のうち特定の表示画面の表示内容を切り替える場合であったが、この実施形態ではこれに代え、あるいはこれに加えて、表示画面の配置を切り替えるものである。
【0045】
本実施形態では、図10及び図12に示されるように、表示部36が6つの表示画面36a〜36fを並列して備えて構成されている場合の各画面の配列を切り替えるものである。ここでは、システム制御部12により、複数の表示画面36a〜36fに渡ってその表示内容や表示方法を制御することができる。この複数の表示画面36a〜36fに表示される画像配列は、診断目的で多情報を観察したい場合に操作することにより自由に設定変更等できるものである。
【0046】
本実施形態においては、上記第1実施形態と同様に、まずステップ(ST)1において、表示装置の電源がオンであるかが検出され、さらにST2において、撮像スイッチ37の状態が検出される。
【0047】
なお、この実施形態では表示部36を構成する6つの画面を図10に示す。この表示部36の各画面には、例えば、X線撮像画像41、X線撮影画像、X線撮影から構築した血管三次元画像、CT画像、MRI画像、PET画像、ECOH画像、IVUS画像、血管内内視鏡画像、各種グラフ等がそれぞれ表示される。このうちいくつかの画面を、複数の画像を含む多ウィンドウ表示としてもよい。
【0048】
ST2において撮像スイッチ37がオフである場合には、例えば図11に示すような診断用配列で表示部36に表示される。この診断用配列では、上記各種の画像やデータが、例えばオペレータOにより設定された自由な画像配列で、複数の画像やデータが表示される。(ST31)。この場合、オペレータOは表示された複数のデータを一覧しながら診断をし、治療計画を立てることができる。このとき、リアルタイムでのX線撮像画像41は表示されていない。
【0049】
一方、ST2において撮像スイッチ37がオンである場合には、図12に示す治療用配列で表示がなされる(ST32)この治療用配列では、X線検出器を介して得られたリアルタイムのX線撮像画像41が表示されるとともに、このリアルタイムの画像に対応する方向からのCT画像42が隣接して表示される。この治療用配置は、設定変更によらず、常に一定の配置で表示される。なお、この一定の配置は、操作者により予め設定、変更可能としてもよい。この場合には、操作者により設定された配置が維持される。
【0050】
この場合、オペレータOは、X線撮像画像41と比較しながら大きな画面を確認しつつ治療を行うことができる。ついで、上記第1実施形態におけるST7以降の動作が同様に行われる。
【0051】
本実施形態にかかる画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法においても上記第1実施形態にかかる画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法と同様の効果を得られる。また、本実施形態によれば、診断の際の配列は自由度が高く種類も豊富とするとともに、治療の際の配列は安定するとともにその種類も必要最低限に限られたものとすることにより、オペレータOの作業内容に応じた表示とすることができる。
【0052】
すなわち、診断の際に必要な情報は多く、またその配列も自由に並べられることが好ましいが、治療の際には多情報は不要となり、リアルタイムのX線撮像画像41と、この比較対象となる同方向の関連する画像のみで足りる。また治療時においては比較対象となる画像同士は隣接することが好ましく、また関連する画像は大きく表示されることが望ましい。
【0053】
診断時と治療時で同じ様に多情報を自由に配列すると、比較すべき対象が離れて表示され、あるいは治療動作毎に配置が換わってしまうので、治療のナビゲーションには不向きである。したがって、本実施形態のように撮像スイッチ37がオンである場合にのみ、所定の画面に所定の画像が一定の規則に従って整列して表示されることにより、オペレータOの作業に応じた適切な表示をすることが可能となる。さらに治療時においてはリアルタイムのX線撮像画像41と、関連する画像を大きく表示することが望ましい。
【0054】
なお、ここでは、この実施形態の特徴であるST31、ST32を、第1実施形態に組み合わせた場合について例示したが、これに限られるものではなく、上記第1または第2実施形態のいずれに組み合わせてもよい。
【0055】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態にかかる画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法について図13乃至図17を参照して説明する。なお、本実施形態において、2系統構造であること及びステップST41乃至ST44以外は、第1乃至第3実施形態にかかる画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法と同様であるため説明を省略する。
【0056】
本実施形態において、X線装置30は、図14に示すようにCアーム33、X線源34、X線検出器35で構成されるX線撮像系を、2系統有するバイプレーン装置である。図15に示すように、画像等の各種情報を表示する表示部36における各種画面36a〜36fのうち4つの画面36a,36b,36d,36eはこのバイプレーン装置における2系統のX線撮像系で得られる画像を夫々表示するX線用の画面である。
【0057】
本実施形態では2系統あるX線撮像系のうち一方のみが使用され、他方が使用されていない場合であって、画面が空いている場合に、この画面を有効活用するものである。
【0058】
ここでは、システム制御部12により、複数の表示画面36a〜36fに渡ってその表示内容や表示方法を制御することができる。これらの画面には、例えば、X線撮像画像41、X線撮影画像、X線撮影から構築した血管三次元画像、CT画像、MRI画像、PET画像、ECOH画像、IVUS画像、血管内内視鏡画像、心電図、各種グラフ等のうち任意の複数の画像やデータが並列されて表示される。
【0059】
図13のフローチャートに示すように、本実施形態においては、上記第1実施形態と同様に、まずステップ(ST)1において、表示装置の電源がオンであるかが検出され、さらにST2において、撮像スイッチ37の状態が検出される。
【0060】
ST2において撮像スイッチ37がオフである場合には、図11に示すような診断用配列で表示部36に表示される(ST41)。この診断用配列では、上記各種の画像やデータが、例えばオペレータOにより設定された自由な画像配列で、複数の画像やデータが表示される。この場合、オペレータOは表示された複数のデータを一覧しながら診断をし、治療計画を立てることができる。このとき、リアルタイムでのX線撮像画像41は表示されていない。
【0061】
一方、ST2において撮像スイッチ37がオンである場合には、ST42において、X線撮像系が全て使用されているか否か、すなわち4つの表示画面が全てX線撮像画像41で埋まるか否かが判定される。ここでは、例えばX線撮像装置20の撮像スイッチ37の入力状態を検出し、2つの撮像系が両方ともオンであるか、または1つのみがオンであるか等を検出することで判定が可能である。例えば一方のみがオンで他方がオフである場合には空き画面があると判定され、両方の撮像系がオンである場合には空き画面がないと判定される。
【0062】
ここで、ST42において、バイプレーン装置であるX線撮像装置20のX線撮像系が両方使用されている場合には、図15に示すような治療用配列で表示がなされる(ST444)。この治療用配列では、X線検出器35を介して得られたリアルタイムのX線撮像画像41が画面36a,36b,36d,36eに表示されるとともに、このリアルタイムの画像に対応する方向からのCT画像42が隣接して36cに表示される。
【0063】
一方のX線撮像系のみが使用され、他方が使用されていない場合には、図16に示すように、未使用の表示画面、ここでは36d,eが存在してしまう。したがって、このような場合には空き画面を優先的に使用するよう制御され(ST43)、図17で示すような治療用配置で表示がなされる(ST44)。
【0064】
本実施形態にかかる画像処理装置、X線装置、切替装置及び画像処理方法においても上記第1実施形態と同様の効果を得られる。また、本実施形態によれば、X線撮像装置30がバイプレーン装置である場合にも有効に表示画面を活用することができる。
【0065】
なお、ここでは、この実施形態の特徴であるST41乃至44を、第1実施形態に組み合わせた場合について例示したが、これに限られるものではなく、上記第1乃至第3実施形態のいずれに組み合わせてもよい。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0067】
なお、上記第1実施形態において、治療用としてX線撮像画像41と対応するCT画像42を表示する場合について例示したが、これに限られず、治療用表示として最後に操作されたウィンドウを拡大して表示してもよい。また、治療用表示として、診断用表示の際における一番大きなウィンドウを、拡大して表示することとしてもよい。また、治療用表示において拡大されるウィンドウは、診断用表示時には他のウィンドウと区別されているように構成してもよい。例えば、ウィンドウの枠の形状や色等を、他のウィンドウと異なるようにする。これにより、操作者は次に透視スイッチをオンした場合にどのウィンドウが拡大表示されるかを予め知ることができる。
【0068】
また、表示手段のモニタの数や画面の数は上記実施形態に限られるものではない。例えば図18乃至図29に示すように、2つ、3つ、6つの場合など、いくつであっても適用可能である。図18,20,22,24,26,28は、それぞれモニタが2つ、3つ、6つの場合における診断用表示、すなわち、撮像していない場合の表示状態を示し、図19,21,23,25,27,29は同実施形態における治療用表示、すなわち、撮像している場合の表示状態を示す。なお、図18と図19,図20と図21、図22と図23,図24と図25、図26と図27.図28と図29とがそれぞれ対応している。
【0069】
また、1つのモニタに1つの画面やウィンドウが表示されるものに限らず、1つのモニタが多分割されて多数の画像や情報が表示され、あたかもモニタが複数あるように見えるものも含む。すなわち、モニタは複数のウィンドウや複数の画面を備えるものであってもよい。
【0070】
さらに、上記実施形態では、X線照射用の撮像スイッチ37がオフの際には、診断用表示として、第1画面36aをオフ状態とする場合について例示したが、これに限られるものではなく、図20、図21,図22、23、図26,27に示すように、診断用表示の際には、撮像画像用の第1画面36aに、例えばライブ直前の過去の撮像画像等、他の参照画像を表示可能として、治療用表示の際にこの画面にX線のライブ画像を表示することとしてもよい。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0072】
さらに、治療用表示としてX線撮像画面と関係する画像として、X線によるX線撮像画像41と同じ方向から見た画像を配置したが、これに代えて、90度、または180度、ずらした方向から見た画像を表示しても良い。
【0073】
さらに、治療用表示がされた後に撮像スイッチ37がオフされた場合にはすぐに切り替えを行わず、一定の時間をおいてから診断用表示に戻すようにしてもよい。
【0074】
また、変形例として、治療用表示がなされた後に撮像スイッチ37がオフに切り替えられた場合、診断用表示に戻さず、そのまま治療用表示を継続してもよい。
【0075】
また、変形例として、治療用表示がなされた後に撮像スイッチ37がオフに切り替えられた場合には、さらに操作部13等において表示切替を指示するクリック等の所定の操作がされることを条件として、所定操作がされた場合にのみ、診断用表示に切り替えることとしてもよい。
【0076】
更に、前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るX線装置の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態に於ける制御手順について説明するためのフローチャート。
【図3】同実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図4】同実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図5】同実施形態に於けるスイッチと表示部の対応関係の説明図。
【図6】本発明の第2の実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図7】同実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図8】同実施形態に係る制御手順について説明するためのフローチャート。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る制御手順について説明するためのフローチャート。
【図10】同実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図11】同実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図12】同実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る制御手順について説明するためのフローチャート。
【図14】同実施形態に於けるX線撮像装置の斜視図。
【図15】同実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図16】同実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図17】同実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図18】本発明の他の実施形態に於ける表示部の診断用表示の表示状態の説明図。
【図19】本発明の他の実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図20】本発明の他の実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図21】本発明の他の実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図22】本発明の他の実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図23】本発明の他の実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図24】本発明の他の実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図25】本発明の他の実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図26】本発明の他の実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図27】本発明の他の実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図28】本発明の他の実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【図29】本発明の他の実施形態に於ける表示部の表示状態の説明図。
【符号の説明】
【0078】
10…画像処理装置、11…CTボリュームデータ取得部、12…システム制御部、13…操作部、14…画像記憶部、15…演算部、16…画像作成部、17…記憶部、19…表示制御部、20…CT装置、23…支持器制御部、21…X線撮像画像41取得部、30…X線診断治療装置、31…寝台、32…架台、33…Cアーム、34…X線源、35…X線検出器、36…表示部、36a〜36f…画面、37…撮像スイッチ、40…三次元ワークステーション。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体にX線を照射して前記被検体のX線撮像画像を得るX線撮像装置の撮像画像を含む各種データを表示可能であって、かつ、その表示状態を切替可能な表示手段と、
前記表示手段の表示状態を、前記X線撮像装置における撮像の有無に対応して切替える切替手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
被検体にX線を照射して前記被検体のX線撮像画像を得るX線撮像装置の撮像画像及び他の各種データを表示可能であって、かつ、その表示状態を切替可能な表示手段と、
前記表示手段の前記各種データの表示状態を、前記X線撮像装置における撮像の有無に対応して切替える切替手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記表示手段は、複数のウィンドウを表示可能であり、前記X線撮像装置が撮像している場合には、前記X線撮像装置が撮像していない場合よりも多くのウィンドウが表示されることを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示手段は、第1画面及び第2画面を有し、
前記X線撮像装置が撮像していない場合には、前記第2画面には複数のウィンドウに分割されて複数種のデータが表示され、
前記X線撮像装置が撮像している場合には、前記第1画面に前記X線撮像装置において取得された被検体のX線撮像画像が表示され、前記第2画面における前記複数のウィンドウに渡る領域に、前記X線撮像画像と関係するデータが拡大されて表示されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記被検体の撮像中に取得される情報及び予め取得された情報を表示可能であり、
前記切替手段により、前記X線撮像装置における撮像の有無に対応して、前記予め取得された情報のみ、その表示状態が切替えられ、
前記撮像中の情報についての表示は維持されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記表示手段は複数の画面を有し、かつ、これら複数の画面に表示されるデータの配置が設定変更可能であるとともに、
前記X線撮像装置が撮像している場合は、前記配置は、X線撮像画像と前記X線撮像画像に関係するデータとが隣接する所定の配置で固定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記X線撮像装置はX線撮像系を複数有し、
前記表示手段は、それぞれの前記X線撮像系に対応する複数の表示画面を有し、
複数の前記X線撮像系におけるいずれかで撮像されているとともに、他のいずれかで撮像されていない場合には、これに対応する表示画面に、他のデータが表示されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記表示手段には、X線透視画像、X線撮影画像、X線撮影から構築した血管三次元画像、CT画像、MRI画像、PET画像、ECOH画像、IVUS画像、血管内内視鏡画像、グラフ、心電図、及びこれらの組み合わせのうち少なくともいずれかが表示されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記X線撮像画像と関係するデータは、X線撮像の方向と同じ方向、90度異なる方向、または180度異なる方向から前記被検体を観察した画像であることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項10】
被検体にX線を照射して前記被検体のX線撮像画像を得るX線撮像装置と、
各種データを表示可能な表示手段と、
前記X線撮像装置における撮像の有無に基づいて前記表示手段の表示状態を切り替える切替手段と、を備えたことを特徴とするX線装置。
【請求項11】
被検体にX線を照射して前記被検体のX線撮像画像を得るX線撮像装置の撮像の有無を切り替えるスイッチ機能を有する切替装置であって、
前記X線撮像画像を含む各種データを表示可能な表示手段の表示状態の切替機能を兼ねることを特徴とする切替装置。
【請求項12】
被検体にX線を照射して前記被検体のX線撮像画像を得るX線撮像装置から前記X線撮像画像を得る工程と、
各種データを表示可能であって、かつ、その表示状態を切替可能な表示手段で、画像を表示する工程と、
前記X線撮像装置における撮像の有無に対応して前記表示手段の表示状態を切替える工程と、を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
X線撮像装置において、被検体にX線を照射して前記被検体のX線撮像画像を得るX線撮像装置から前記X線撮像画像を得る工程と、
表示手段において各種データを表示する工程と、
前記X線撮像装置の撮像の有無に基づいて前記表示状態を切り替える工程と、を備えたことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−189556(P2009−189556A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33359(P2008−33359)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】