画像処理装置およびシート搬送方法
【課題】深刻なジャムの発生を抑制しつつ、画像処理の生産性を向上する技術を提供すること。
【解決手段】画像処理装置は、シート5を利用して画像処理を行う画像処理部と、搬送経路43を有し、前記シートを当該搬送経路に沿って搬送する搬送機構と、搬送経路上を搬送されるシート5の先端部LTの位置(xl,yl)を検出する、少なくとも一個の位置検出部33と、先端部の位置が検出されるシートの斜行量θを検出する、少なくとも一個の斜行量検出部33と、位置検出部によって検出された先端部の位置(xl,yl)と、斜行量検出部によって検出された斜行量θとに基づき、シート搬送方向と直交する方向Xにおける所定幅Wtからシートの先端部LTが所定量ΔWt、はみ出す第1予測位置(xe,ye)を予測する予測部と、第1予測位置の手前で搬送機構を停止する停止部とを備える。
【解決手段】画像処理装置は、シート5を利用して画像処理を行う画像処理部と、搬送経路43を有し、前記シートを当該搬送経路に沿って搬送する搬送機構と、搬送経路上を搬送されるシート5の先端部LTの位置(xl,yl)を検出する、少なくとも一個の位置検出部33と、先端部の位置が検出されるシートの斜行量θを検出する、少なくとも一個の斜行量検出部33と、位置検出部によって検出された先端部の位置(xl,yl)と、斜行量検出部によって検出された斜行量θとに基づき、シート搬送方向と直交する方向Xにおける所定幅Wtからシートの先端部LTが所定量ΔWt、はみ出す第1予測位置(xe,ye)を予測する予測部と、第1予測位置の手前で搬送機構を停止する停止部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置およびシート搬送方法に関し、詳しくは画像処理装置における画像形成に係るシートのジャム発生を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置における画像形成シートのジャム発生を抑制する技術として、例えば、特許文献1には、シートの搬送方向移動量と画像読取の主走査方向の端部位置の変化量から求めた斜行量に基づいてシートの搬送を停止する画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−335525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シートが実際にジャムとなるほど傾いたことを検出してからシートの搬送を停止すると、シートの搬送停止が遅れ、シートが搬送ローラ等に食い込み、ジャムを解消しにくくなる虞があった。一方、前者の問題を防止するために、シートの搬送を停止する基準となる斜行量を小さく設定すると、深刻なジャムとなる前にシートの搬送を停止することができるが、実際はジャムとならないようなケースであっても、シートの搬送を停止することが多くなり、画像処理の生産性が低下する虞があった。
【0005】
本発明は、深刻なジャムの発生を抑制しつつ、画像処理の生産性を向上する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される画像形成装置は、シートを利用して画像処理を行う画像処理部を備える画像処理装置であって、搬送経路を有し、前記シートを当該搬送経路に沿って搬送する搬送機構と、前記搬送経路上を搬送される前記シートの先端部の位置を検出する、少なくとも一個の位置検出部と、前記先端部の位置が検出される前記シートの斜行量を検出する、少なくとも一個の斜行量検出部と、前記位置検出部によって検出された前記先端部の位置と、前記斜行量検出部によって検出された斜行量とに基づき、シート搬送方向と直交する方向における所定幅から前記シートの先端部が所定量はみ出す第1予測位置を予測する予測部と、前記第1予測位置の手前で搬送機構を停止する停止部と、を備える。
【0007】
また、上記画像処理装置において、前記少なくとも一個の位置検出部および前記少なくとも一個の斜行量検出部は、それぞれ一個の位置検出部および一個の斜行量検出部によって構成され、前記予測部は、前記一個の位置検出部および一個の斜行量検出部によって前回検出された前記先端部の位置および斜行量と、今回検出された先端部の位置および斜行量とに基づき、前記第1予測位置を予測するようにしてもよい。
【0008】
また、前記画像処理部は、前記シート上の画像を読み取って画像データを生成する画像読取部と、前記位置検出部と、前記斜行量検出部とを有するようにしてもよい。
【0009】
また、前記搬送機構は、前記画像処理部のシート搬送方向下流側に搬送ローラを有し、前記所定幅は、前記搬送経路の幅方向両側に設けられる2つの壁の距離であり、前記予測部は、前記シートの前記搬送ローラ到達時における前記シート先端部の前記所定幅方向の位置を予測し、前記停止部は、前記シートの前記搬送ローラ到達時に前記所定幅から前記シート先端部がはみ出すと予測される場合、前記搬送ローラの手前で搬送機構を停止するようにしてもよい。
【0010】
また、前記所定幅は、前記搬送経路の幅方向両側に設けられる2つの壁の距離であり、前記予測部は、前記所定幅からシート先端部がはみ出す際の斜行量を予測し、前記停止部は、予測斜行量が所定値より小さい場合、前記搬送機構による前記シートの搬送を継続させるようにしてもよい。
【0011】
また、前記所定幅は、前記搬送経路の幅方向両側に設けられる2つの壁の距離であり、前記予測部は、前記所定幅からシート先端部が所定量はみ出し、且つ斜行量が所定量以上となる第2予測位置を予測し、前記停止部は、前記第2予測位置がシート排出口よりも下流側である場合、前記搬送機構による前記シートの搬送を継続させるようにしてもよい。
【0012】
また、前記停止部は、前記シート先端部が、シート後端部の前記画像読取部通過後に、前記第1予測位置に到達する場合、画像読取動作が行われてから前記搬送機構を停止するようにしてもよい。
【0013】
また、前記搬送機構は、前記画像処理部のシート搬送方向下流側に搬送ローラを有し、前記停止部は、前記第1予測位置が前記搬送ローラよりも下流側である場合、前記シート先端部が前記搬送ローラに達する手前で前記搬送機構を停止するようにしてもよい。
【0014】
また、前記画像処理部は、前記原稿が該画像処理部を通過する際に、前記原稿の幅方向のエッジ位置を検出し、前記斜行量検出部は、検出された前記エッジ位置を用いて前記斜行量を検出し、前記位置検出部は、前記斜行量および前記搬送機構による前記搬送方向のシート搬送長さに基づいて、前記シートの先端部の位置を検出するようにしてもよい。
【0015】
また、本明細書によって開示される方法は、シートを利用して画像処理を行う画像処理部を備える画像処理装置における前記シートの搬送方法であって、前記シートを所定の搬送経路に沿って搬送する搬送工程と、搬送経路上を搬送される前記シートの先端部の位置を検出する位置検出工程と、前記先端部の位置を検出される前記シートの斜行量を検出する斜行量検出工程と、前記位置検出工程によって、前回および今回検出された前記先端部の位置と、前記斜行量検出工程によって、前回および今回検出された斜行量とに基づき、シート搬送方向と直交する方向における所定幅から前記シートの先端部が所定量はみ出す予測位置を予測する予測工程と、前記予測位置の手前で前記搬送工程を停止する停止工程とを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、位置検出部によって検出された先端部の位置と、斜行量検出部によって検出された斜行量とに基づき、シート搬送方向と直交する方向における所定幅からシートの先端部が所定量はみ出す第1予測位置が予測される。すなわち、ジャムの発生する位置が予測される。そして、第1予測位置の手前で搬送機構が停止される。そのため、深刻なジャムの発生を抑制しつつ、画像処理の生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1における複合機の外観を示す斜視図
【図2】複合機の画像読取装置の概略的な断面図
【図3】複合機の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図4】原稿と搬送路との位置関係を示す平面図
【図5】原稿読取のメインルーチンを示すフローチャート
【図6】メインルーチンにおける画像読込ルーチンを示すフローチャート
【図7】原稿傾きの検出方法を示す図
【図8】別の原稿傾きの検出方法を示す図
【図9】画像読込ルーチンにおける先端距離基準検出ルーチンを示すフローチャート
【図10】先端距離基準検出ルーチンにおける先端検出処理を示すフローチャート
【図11】画像読込ルーチンにおける先端位置判定ルーチンを示すフローチャート
【図12】先端位置の算出方法を示す図
【図13】実施形態2における原稿と搬送路との位置関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
次に本発明の実施形態1について図1から図12を参照して説明する。
【0019】
1.複合機の外観構成
図1は、本発明に係る画像読取装置3を含む複合機1の外観を示す斜視図であり、図2は画像読取装置3の概略的な断面図である。複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを備えた多機能周辺装置である。
【0020】
複合機1は、図1に示すように、本体部2の上方に原稿を読み取るための画像読取装置(画像処理装置の一例)3を備えている。画像読取装置3は、読取部(画像読取部、位置検出部、斜行量検出部の一例)30、自動原稿給紙装置(ADF)40、および原稿載置部50等を含む。なお、画像読取装置は、複合機1の一部には限られない。例えば、画像読取装置は、単独のスキャナ装置あるいはコピー機であってもよい。
【0021】
原稿載置部50は、図2に示されるように、透明なガラス板からなる第1プラテンガラス52および第2プラテンガラス53を含む。第1プラテンガラス52の上面は、原稿カバー48によって開閉可能に覆われている。
【0022】
原稿カバー48は、第1プラテンガラス52を覆う閉姿勢と第1プラテンガラス52を開放する開姿勢とに回動可能に、複合機1の筐体2の後側上方(操作部11、表示部12等が設けられる側を前側とする)に連結されている。原稿カバー48上に、ADF40が設けられている。
【0023】
ADF40は、図2に示されるように、ADFカバー41、原稿トレイ42、搬送路(「搬送経路」に相当)43、一対の第1搬送ローラ44、一対の第2搬送ローラ(「搬送ローラ」の一例)44A、一対の排紙ローラ45等の各種のローラ、これらを駆動する図示しないステッピングモータ、および排紙トレイ46を含む。ADF40は、原稿トレイ42に載置されている原稿(「シート」の一例)5を一枚ずつ搬送して第2プラテンガラス53上を通過させ、排紙トレイ46に排出する。さらに、原稿トレイ42にセットされた原稿5を検出するための、フォトセンサ等の原稿センサ49が設けられている。ここで、搬送路43、第1搬送ローラ44、第2搬送ローラ44A、および排紙ローラ45は、搬送機構に相当する。また、搬送路43の一部はADFカバー41の側壁(「壁」の一例)41Aに囲まれている(図4参照)。
【0024】
読取部30は、図2に示されるように、原稿載置部50の下方に設けられている。読取部30は、ここではCIS(Contact Image Sensor)方式で原稿を読み取るように構成されている。読取部30は、複数の受光素子が紙面垂直方向に直線状に配列されているリニアイメージセンサ33、RGB3色の発光ダイオードなどで構成される光源31、原稿で反射された反射光をリニアイメージセンサ33の各受光素子に結像させるロッドレンズアレイ32、これらが搭載されるキャリッジ34、およびキャリッジ34を搬送する図示しない搬送機構を含む。なお、読取部30はCIS方式に限られず、縮小光学系およびCCD(電荷結合素子)イメージセンサを用いた、いわゆるCCD方式であってもよい。
【0025】
読取部30は、第1プラテンガラス12に載置されている原稿を読み取るときはキャリッジ34を、ホームポジションHPから第1プラテンガラス52の盤面に平行な副走査方向(図2中のA方向)に一定速度で搬送しながら読み取り、ADF40によって搬送される原稿5を読み取るときはキャリッジ34をホームポジションHPから第2プラテンガラス53の直下に停止させて読み取る。
【0026】
また、読取部30は、原稿の読み取りの他に、搬送経路43内を搬送される原稿5の先端部LT,RTの位置を検出する位置検出部として動作するとともに、読取部30は、先端部LT,RTの位置を検出される原稿5の斜行量θを検出する斜行量検出部として動作する(図4参照)。
【0027】
さらに、複合機1の前側には、各種のボタンからなる操作部11、例えば、液晶ディスプレイからなる表示部12、およびUSB接続部13が設けられている。
【0028】
2.複合機の電気的構成
図3は、複合機1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。複合機1は、図3に示すように、CPU20(予測部および停止部の一例)、ROM21、RAM22、NVRAM(不揮発性メモリ)23、ネットワークインターフェイス24、およびファクシミリインターフェイス25を備え、これらに画像形成部27、読取部30、操作部11、表示部12、および回転数カウンタ13などが接続されている。ここで、CPU20、画像形成部27、および読取部30によって画像処理部が構成される。すなわち、本実施形態では、画像処理部が通常の画像読取動作を行うとともに、位置検出部および斜行量検出部を兼ねる。
【0029】
ROM21には、複合機1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU20は、ROM21から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM22またはNVRAM23に記憶させながら、各部の制御を行う。回転数カウンタ13は、搬送ローラ44等の回転体の回転数、詳しくは、所定期間における回転体の総回転数をカウントする。これによって、CPU20によって原稿5の搬送距離等が算出される。
【0030】
ネットワークインターフェイス24は、通信回線(図示せず)を介して外部のコンピュータ等に接続され、ネットワークインターフェイス24を介して相互のデータ通信が可能となる。ファクシミリインターフェイス25は、電話回線(図示せず)に接続され、ファクシミリインターフェイス25を介して外部のファクシミリ装置等とファクシミリデータの通信が可能となる。画像形成部27は、用紙などの被記録媒体上に画像データに基づく画像を形成する。
【0031】
3.原稿読取処理
次に図4〜図8を参照して、本実施形態における画像読取装置3による「原稿読取処理」の概要を説明する。図4は搬送経路43と原稿5との位置関係を示す平面図である。図5は、原稿読取メインルーチンを示すフローチャートであり、図6は、原稿読取メインルーチンにおける「画像読込ルーチン」を示すフローチャートである。図7および図8は、「画像読込ルーチン」における「原稿傾き検出処理」を説明する図である。各処理は、ROM21等に格納された所定の制御プログラムにしたがってCPU20によって実行される。
【0032】
なお、実際の搬送経路43は、図2に示されるように、その搬送方向が180°変化するものであるが、図4には、搬送方向が一方向となるように、搬送経路43が引き延ばされた形で表示されている。また、画像読取装置は、本実施形態のように搬送経路43の搬送方向が180°変化するものに限られず、搬送方向が一方向に一定である画像読取装置であってもよい。そのため、搬送方向が一定である画像読取装置の場合には、図4は、搬送経路をそのまま平面的に示すものといえる。また、図4において、搬送経路43の左端であって、読取部30、詳しくはリニアイメージセンサ33の位置が、座標の基準点Po(0,0)とされる。また、基準点Po(0,0)に対応する搬送経路43の右端点を、Pw(0,Xw)とする。
【0033】
3−1.原稿読取メインルーチン
CPU20は、原稿読取メインルーチンを開始すると、図5に示されるように、まず、搬送機構を制御して、原稿5の搬送を開始する(ステップS10)。次いで、CPU20は、回転数カウンタ13を制御して、搬送ローラ44の回転数(総回転数)のカウントを開始させる。次いで、「画像読込ルーチン」(ステップS30)を実行して原稿5の画像を読み込み、原稿5の搬送が終了した場合(ステップS40:YES)に原稿読取メインルーチンを終了する。
【0034】
3−2.「画像読込ルーチン」
図6の「画像読込ルーチン」では、通常の原稿読込処理に加えて実行される、原稿5の位置検出に係る処理のみが示される。そのため、図6のフローチャートにおいて、通常の原稿読込処理は省略されている。なお、「画像読込ルーチン」は原稿5の搬送開始から終了までの期間内において、所定期間毎に実施される。所定期間は、例えば、原稿読込み走査単位期間の複数倍の期間とされる。
【0035】
CPU20は、ジャム発生を抑制するために、原稿5の先端部(LTあるいはLR)が搬送経路43の幅W(所定幅)から所定量ΔWtはみ出す位置(第1予測位置)を予測し、その位置の手前で搬送機構を停止させる。なお、図6のフローチャートにおいて、通常の原稿読込処理は省略されている。ここで、搬送路43の幅Wtは、図4に示されるように、搬送経43の幅方向(X軸方向)両側に位置する2つのADFカバー側壁41A間の距離である。また、所定量ΔWtは、ここでは、例えば、そのまま原稿5を搬送を続けても原稿5の傾きθがADFカバー側壁41Aによって元に戻る余地のある値として設定される。なお、原稿5は、実際に搬送経43からはみ出すわけではなく、ADFカバー側壁41Aに当接し、当接した部分が折曲がる等して、原稿5の搬送が継続されることとなる。
【0036】
具体的には、CPU20は、「画像読込ルーチン」を開始すると、図6に示されるように、まず、読取部30による読取データに基づいて、原稿5の左右エッジLA,RAを検出する。すなわち、左右エッジLA,RAのX座標Xl,Xrを検出する(ステップS305)。なお、ここで、座標の基準点Po(0,0)は、図4に示されるように、読取部30、詳しくは、リニアイメージセンサ33の左端とする。
【0037】
次いで、CPU20は、左右先端部LT,LRの距離基準が既に記録済みであるかどうか判定する(ステップS310)。距離基準が記録済みでないと判定された場合(ステップS310:NO)、左右先端部LT,LRの距離基準を検出するための「先端距離基準検出ルーチン」(ステップS325)が実行され、「画像読込ルーチン」が一旦終了される。
【0038】
一方、距離基準が記録済みであると判定された場合(ステップS310:YES)、CPU20は、原稿5の傾きθ(「斜行量」に相当する)を検出する(ステップS320)。原稿傾きθは、図7に示されるように、
θ=arctan(Xnewr−Xoldr)/Yd あるいは
θ=arctan(Xnewl−Xoldl)/Yd
によって求められる。
ここで、Xnewrは、今回検出の右エッジRA2のX座標であり、Xoldrは、前回検出の右エッジRA1のX座標である。また、Xnewlは、今回検出の左エッジLA2のX座標であり、Xoldlは、前回検出の左エッジLA1のX座標である。また、Ydは、今回と前回のエッジ検出時とにおけるY軸方向の距離である。距離Ydは、例えば、今回と前回のエッジ検出時とにおける搬送ローラ44の回転数差ΔNと、搬送ローラ44の円周長Lとに基づいて、Yd=L*ΔNによって算出される。
【0039】
また、読取部30が搬送経路43内の二箇所に設けられるタイプの場合、それぞれ一回のエッジ検出によって原稿5の傾きθは、図8に示されるように、
θ=arctan(X2r−X1r)/Ys あるいは
θ=arctan(X2l−X1l)/Ys
によって求められる。
ここで、X2rは、第2読取部のイメージセンサ33Bによって検出される右エッジRA2のX座標であり、X1rは、第1読取部のイメージセンサ33Aによって検出される右エッジRA1のX座標である。また、X2lは、イメージセンサ33Bによって検出される左エッジLA2のX座標であり、X1lは、メージセンサ33Aによって検出される左エッジLA1のX座標である。また、Ysは、イメージセンサ33Aとイメージセンサ33B間のY軸方向の距離である。
【0040】
次いで、CPU20は、前回検出した原稿傾きθと、今回検出した原稿傾きθを比較し、所定値以上に原稿傾きθが変化しかたどうか判定する(ステップS330)。所定値以上に原稿傾きθが変化していない場合(ステップS330:NO)、原稿5は搬送経路43の幅Wから所定量はみ出すことはなく、原稿5によるジャムは発生しないと予測して、「画像読込ルーチン」を一旦終了する。
【0041】
一方、所定値以上に原稿傾きθが変化した場合(ステップS330:YES)、原稿5の先端LT,RTの位置を判定する「先端位置判定ルーチン」(ステップS335)を実行する。次いで、「先端位置判定ルーチン」の結果から、左先端LTまたは右先端RTが搬送トレイ範囲Wの外に達するかどうかを、各X座標xl,xrに基づいて判定する(予測する)(ステップS340)。
【0042】
先端LT,RTのいずれかが搬送トレイ範囲Wの外に所定量ΔWt、はみ出すと予測された場合(ステップS340:YES)、CPU20は、搬送機構を制御して原稿5の搬送を停止させる(ステップS345)。一方、先端LT,RTのいずれもが搬送トレイ範囲Wの外に、はみ出さないと予測された場合(ステップS340:NO)、「画像読込ルーチン」を一旦終了する。
【0043】
3−3.「先端距離基準検出ルーチン」
次に、図9および図10を参照して、ステップS325の「先端距離基準検出ルーチン」を詳細に説明する。図9は、「先端距離基準検出ルーチン」を示すフローチャートであり、図10は、「先端距離基準検出ルーチン」における「先端検出処理」を示すフローチャートである。
【0044】
CPU20は、「先端距離基準検出ルーチン」を開始すると、図9に示されるように、まず、「先端検出処理」(ステップS100)を実行する。「先端検出処理」において、CPU20は、図10に示されるように、まず、既に原稿5の左先端LTが検出されているかどうか判定する(ステップS105)。左先端LTが検出されていないと判定された場合(ステップS105:NO)、既に原稿5の右先端RTが検出されているかどうか判定する(ステップS125)。
【0045】
右先端RTも検出されていないと判定された場合(ステップS125:NO)、原稿5の左右エッジLA,RAが検出されたかどうか判定する(ステップS145)。左右エッジLA,RAが検出されていないと判定された場合(ステップS145:NO)、原稿5が読取部30まで到達していない場合に相当し、「先端検出処理」を一旦終了する。
【0046】
一方、左右エッジLA,RAが検出されたと判定された場合(ステップS145:YES)、CPU20は、左右エッジLA,RAが、ともに中心線CLよりも左側にあるかどうか判定する。すなわち、左右エッジLA,RAのX座標Xl,Xrが中心線CLのX座標Xcよりも小さいかどうか判定する(ステップS150)。
【0047】
左右エッジLA,RAが、ともに中心線CLよりも左側にあると判定された場合(ステップS150:YES)、左先端LTの検出を完了して(ステップS155)、その時の左右エッジ座標Xl,Xrを、例えばRAM22に記憶するステップS160)。
【0048】
一方、左右エッジLA,RAが、ともに中心線CLよりも左側にあると判定されなかった場合(ステップS150:NO)、CPU20は、左右エッジLA,RAが、ともに中心線CLよりも右側にあるかどうか判定する。すなわち、左右エッジLA,RAのX座標Xl,Xrが中心線CLのX座標Xcよりも大きさいかどうか判定する(ステップS165)。
【0049】
左右エッジLA,RAが、ともに中心線CLよりも右側にあると判定された場合(ステップS165:YES)、右先端RTの検出を完了して(ステップS170)、その時の左右エッジ座標Xl,Xrを、例えばRAM22に記憶するステップS160)。一方、左右エッジLA,RAが、ともに中心線CLよりも右側にあると判定されかた場合、すなわち、左エッジLA中心線CLよりも左側にあり、右エッジRAが中心線CLよりも右側にあると判定された場合、(ステップS165:NO)、左先端LTの検出を完了する(ステップS175)。次いで、右先端RTの検出も完了し(ステップS180)、その時の左右エッジ座標Xl,Xrを、例えばRAM22に記憶する(ステップS160)。
【0050】
ここで、ステップS125に戻って、ステップS125において、既に右先端RTが検出されていると判定された場合(ステップS125:YES)、CPU20は、左エッジ座標Xlが記憶されている座標より左側であるかどうか、すなわち、記憶座標より小さいかどうか判定する(ステップS130)。左エッジ座標Xlが記憶されている座標より左側にある場合(ステップS130:YES)、今回の左エッジ座標Xlを新たに記憶する(ステップS135)。一方、左エッジ座標Xlが記憶されている座標より左側にない場合(ステップS130:NO)、原稿5の左先端LTが読取部30に到達したと判断し、左先端LTの検出を完了し(ステップS140)、「先端検出処理」を一旦終了する。
【0051】
また、ステップS105に戻って、ステップS105において、既に左先端LTが検出されていると判定された場合(ステップS105:YES)、CPU20は、右エッジ座標Xrが記憶されている座標より右側であるかどうか、すなわち、記憶座標より大きいかどうか判定する(ステップS110)。右エッジ座標Xlが記憶されている座標より右側にある場合(ステップS110:YES)、今回の右エッジ座標Xrを新たに記憶する(ステップS115)。一方、右エッジ座標Xrが記憶されている座標より右側にない場合(ステップS110:NO)、原稿5の右先端RTが読取部30に到達したと判断し、右先端RTの検出を完了し(ステップS120)、「先端検出処理」を一旦終了する。
【0052】
次に、図9の「先端距離基準検出ルーチン」に戻って、このようにして「先端検出処理」(ステップS100)を終了すると、CPU20は、「先端検出処理」において、左先端LTが検出されたかどうか判定する(ステップS205)。
左先端LTが検出されなかった場合(ステップS205:NO)、ステップS210に移行する。一方、左先端LTが検出された場合(ステップS205:YES)、左先端距離基準として現在の搬送ローラ44の回転数(回転開始からの総回転数)Nloを設定する。
【0053】
次いで、右先端RTが検出されたかどうか判定する(ステップS215)。
右先端RTが検出されなかった場合(ステップS215:NO)、本処理を終了する。一方、右先端RTが検出された場合(ステップS215:YES)、右先端距離基準として現在の搬送ローラ44の回転数Noを設定する。
【0054】
3−4.「先端位置判定ルーチン」
次に、図11および図12参照して、図6のステップS335の「先端位置判定ルーチン」を詳細に説明する。図11は、「先端位置判定ルーチン」を示すフローチャートであり、図12は、「先端位置判定ルーチン」における先端位置の算出を説明する図である。
【0055】
CPU20は、「先端位置判定ルーチン」を開始すると、図11に示されるように、「先端距離基準検出ルーチン」で検出した左右先端距離基準Noと、現在の搬送ローラ44の回転数Nから、左右先端位置LT,RTのy座標(yl,yr)をそれぞれ算出する(ステップS250)。また、CPU20は、ステップS305で検出した左右エッジLA,RAのX座標Xl,Xrと、ステップS320で検出した原稿傾きθとによって、左右先端位置LT,RTのx座標(xl,xr)をそれぞれ算出する(ステップS260)。
【0056】
すなわち、各座標は、図12に示されるように、
yr=L*(N−No)
xr=Xr−yr*cotθ=Xr−L*(N−No)*cotθ
xl=xr−W*cosθ=(Xr−L*(N−No)*cotθ)−W*cosθ
yl=yr−W*sinθ=L*(N−No)−W*sinθ
ここで、No:先端距離基準、N:現在(先端位置決定時)の搬送ローラ回転数、L:搬送ローラの円周、θ:原稿傾き、W:原稿の横幅(搬送方向に垂直方向の長さ)である。また、L*(N−No)は、搬送方向Yのシート搬送長さに相当する。
【0057】
このようにして、左先端位置LTの座標(xl,yl)および右先端部RTの座標(xr,yr)が算出され、左先端部LTおよび右先端位置RTが決定される。
【0058】
CPU20は、決定された左先端位置LTおよび右先端位置RTに基づいて、X軸方向(シート搬送方向と直交する方向)における搬送経路の幅(所定幅)Wtから原稿5の先端部(LTまたはRT)が所定量ΔWt、はみ出す先端部の予測位置(第1予測位置に相当:例えば、LTe(xe,ye))を予測する(図4参照)。そして、CPU20は、原稿5の先端部が予測位置に達する手前で搬送ローラ44(搬送機構の一例)の動作を停止させる(ステップS345参照)。
【0059】
なお、原稿5の先端部(LTまたはRT)の位置、すなわち、座標(xl,ylまたはxr,yr)の予測、実質的にはそのx座標(xlまたはxr)の予測は、原稿傾きθが一定の場合は、所定期間毎に、上記座標算出式にしたがって各座標を算出することによって行われる。
また、原稿傾きθが変化する場合には、x座標(xlまたはxr)の予測は、例えば、所定期間における傾き変化量Δθを、所定期間毎に検出される原稿傾きθの変化から算出し、所定期間毎に、原稿傾きを(θ+Δθ)として上記座標算出式にしたがって各座標を算出することによって行われる。なお、変化量Δθを原稿傾きθの変化から順次算出する際、イメージセンサ33によって検出される上記エッジ(LAまたはRA)のX座標(XlまたはXr)を固定値とすることにより、ジャム位置を、イメージセンサ33から搬送方向により近い位置として予測できる。すなわち、ジャム位置を、実際のジャム位置より、イメージセンサ33により近い位置として予測でき、より確実にジャムを回避できる。
【0060】
4.実施形態1の効果
原稿5のジャムの発生する位置(LTe(xe,ye))を、原稿先端部(LTまたはRT)の現在位置(LT(xl,yl))と原稿傾きθに基づいて予測する。そして、予測された位置(LTe(xe,ye)の手前までは原稿5を搬送してから、原稿5の搬送を停止するので、深刻なジャムの発生を抑制しつつ、画像処理の生産性を向上することができる。
【0061】
また、図6に示す「画像読込ルーチン」が、原稿搬送期間内において、所定期間毎に実施される。すなわち、原稿傾きθおよび先端位置の検出が所定期間毎に複数回行われる。そのため、読取部30(位置検出部および斜行量検出部)が一か所にしか設けられていない場合であっても、好適に、ジャムの発生する位置を予測し、予測された位置の手前まではシートを搬送してから搬送を停止させることができる。
【0062】
<実施形態2>
次に本発明の実施形態2を、図13を参照して説明する。図13は実施形態2における原稿搬送状態を説明する図である。実施形態2では、第2搬送ローラ(「搬送ローラ」の一例)44Aとの関係を考慮して、原稿5が搬送路43からのはみ出しが予測される。
【0063】
すなわち、図13に示されるように、第2搬送ローラ44Aは、読取部(画像処理部)30の原稿搬送方向下流側に設けられる。そして、CPU20(予測部)は、原稿5(RTまたはLT)の第2搬送ローラ44Aへの到達時における原稿先端部(LTまたはRT)の搬送路幅Wt(所定幅)方向の位置を予測する。
【0064】
そして、CPU20(停止部)は、上記「先端位置判定ルーチン」の結果から、原稿5(RTまたはLT)の第2搬送ローラ44Aへの到達時に搬送路幅Wt(搬送路)から原稿先端部(LTまたはRT)がはみ出すと予測される場合、第2搬送ローラ44Aの手前で搬送機構(44、44A)を停止する(状態1および状態4参照)。
【0065】
5.実施形態2の効果
第2搬送ローラ44Aの位置において少しでも原稿先端部(LTまたはRT)がはみ出すと予測される場合、搬送を続けると原稿5がそのまま第2搬送ローラ44Aに絡みつく深刻なジャムの発生を抑制できる。すなわち、図13の状態4に示されるように、原稿先端部LTが搬送路43から搬送路幅Wt方向にはみ出すと、原稿先端部LTは、実際には側壁41Aに当接して原稿5が曲がることが予想される。その場合、原稿先端部LTの位置と第2搬送ローラ44Aとの距離が短い場合、曲がったままの状態で原稿5が第2搬送ローラ44Aに到達すると、高い確率で原稿5が傷む虞がある。そのため、第2搬送ローラ44Aの手前で搬送機構(44、44A)を停止することによって、原稿5の損傷を抑制することができる。
【0066】
なお、図13の状態1〜状態3に示されるように、上記「先端位置判定ルーチン」によって、原稿先端部LTが搬送路43から搬送路幅Wt方向に、はみ出していると判定される場合であっても、原稿先端部LTの位置と第2搬送ローラ44Aとにある程度の距離がある場合には、原稿5の搬送を停止しないようにしてもよい。すなわち、原稿5の搬送中に、上記原稿傾き検出処理(図6のステップS320)において検出される原稿傾きθに変化があり、原稿先端部LTが搬送範囲Wtに収まることが予側される場合には、そのまま原稿5の搬送を継続しても、原稿5を損傷させることは回避できる。
【0067】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0068】
(1)実施形態1において、CPU20(予測部)は、搬送路43の幅Wt(所定幅)から原稿先端部(LTまたはRT)がはみ出す際の斜行量θを予測し、CPU20(停止部)は、予測斜行量が所定値より小さい場合、搬送機構による原稿5の搬送を継続させるようにしてもよい。通常、原稿5が側壁41Aにぶつかって斜行が正されるような小さい斜行量ではみ出すケースは無視できる。そのため、この場合、なるべく搬送機構を停止させずに済み、生産性を向上できる。
【0069】
(2)実施形態2において、CPU20(停止部)は、第1予測位置(LTe等;図4参照)が第2搬送ローラ44Aよりも下流側である場合、第2搬送ローラ44Aの手前で搬送機構を停止するようにしてもよい。この場合、
(3)上記各実施形態において、CPU20(予測部)は、搬送路43の幅Wt(所定幅)から原稿先端部(LTまたはRT)が所定量はみ出し、且つ斜行量θが所定量以上となる第2予測位置を予測し、CPU20(停止部)は、第2予測位置が原稿排出口47(図2参照)よりも下流側である場合、搬送機構による原稿5の搬送を継続させるようにしてもよい。この場合、はみ出す所定量およびはみ出す際の斜行量θを適宜設定することにより、また、第2予測位置が原稿排出口47よりも下流側であることにより、原稿5が深刻なジャムの発生を抑制しつつ、画像処理の生産性を向上することができる。
【0070】
(4)上記各実施形態において、CPU20(停止部)は、原稿先端部(LTまたはRT)が、原稿後端部のリニアイメージセンサ33(画像読取部)通過後に、第1予測位置(LTe等:図4参照)に到達する場合、画像読取動作が行われてから搬送機構を停止するようにしてもよい。この場合、原稿5の搬送は中断されるものの画像読取動作はそのまま実行される。そのため、原稿5を搬送路43から取り出した後に、画像読取を再度行う必要がなく、動作画像処理の生産性を向上することができる。
【0071】
(3)実施形態1において、CPU20(予測部)は、搬送路43の幅Wt(所定幅)から原稿先端部(LTまたはRT)がはみ出す際の斜行量θを予測し、CPU20(停止部)は、予測斜行量が所定値より小さい場合、搬送機構による原稿5の搬送を継続させるようにしてもよい。通常、原稿5が側壁41Aにぶつかって斜行が正されるような小さい斜行量ではみ出すケースは無視できる。そのため、この場合、なるべく搬送機構を停止させずに済み、生産性を向上できる。
【0072】
(4)実施形態2において、CPU20(停止部)は、第1予測位置(LTe等;図4参照)が第2搬送ローラ44Aよりも下流側である場合、シート先端部が第2搬送ローラ44Aに達する手前で搬送機構を停止するようにしてもよい。この場合、第2搬送ローラ44Aによるジャム発生を未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0073】
1…複合機、3…画像読取装置、5…原稿、20…CPU、27…画像形成部、30…読取部、33,33A,33B…イメージセンサ、41A…ADFカバー壁、43…搬送路、44…第1搬送ローラ、44A…第2搬送ローラ、47…原稿排出口
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置およびシート搬送方法に関し、詳しくは画像処理装置における画像形成に係るシートのジャム発生を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置における画像形成シートのジャム発生を抑制する技術として、例えば、特許文献1には、シートの搬送方向移動量と画像読取の主走査方向の端部位置の変化量から求めた斜行量に基づいてシートの搬送を停止する画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−335525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シートが実際にジャムとなるほど傾いたことを検出してからシートの搬送を停止すると、シートの搬送停止が遅れ、シートが搬送ローラ等に食い込み、ジャムを解消しにくくなる虞があった。一方、前者の問題を防止するために、シートの搬送を停止する基準となる斜行量を小さく設定すると、深刻なジャムとなる前にシートの搬送を停止することができるが、実際はジャムとならないようなケースであっても、シートの搬送を停止することが多くなり、画像処理の生産性が低下する虞があった。
【0005】
本発明は、深刻なジャムの発生を抑制しつつ、画像処理の生産性を向上する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される画像形成装置は、シートを利用して画像処理を行う画像処理部を備える画像処理装置であって、搬送経路を有し、前記シートを当該搬送経路に沿って搬送する搬送機構と、前記搬送経路上を搬送される前記シートの先端部の位置を検出する、少なくとも一個の位置検出部と、前記先端部の位置が検出される前記シートの斜行量を検出する、少なくとも一個の斜行量検出部と、前記位置検出部によって検出された前記先端部の位置と、前記斜行量検出部によって検出された斜行量とに基づき、シート搬送方向と直交する方向における所定幅から前記シートの先端部が所定量はみ出す第1予測位置を予測する予測部と、前記第1予測位置の手前で搬送機構を停止する停止部と、を備える。
【0007】
また、上記画像処理装置において、前記少なくとも一個の位置検出部および前記少なくとも一個の斜行量検出部は、それぞれ一個の位置検出部および一個の斜行量検出部によって構成され、前記予測部は、前記一個の位置検出部および一個の斜行量検出部によって前回検出された前記先端部の位置および斜行量と、今回検出された先端部の位置および斜行量とに基づき、前記第1予測位置を予測するようにしてもよい。
【0008】
また、前記画像処理部は、前記シート上の画像を読み取って画像データを生成する画像読取部と、前記位置検出部と、前記斜行量検出部とを有するようにしてもよい。
【0009】
また、前記搬送機構は、前記画像処理部のシート搬送方向下流側に搬送ローラを有し、前記所定幅は、前記搬送経路の幅方向両側に設けられる2つの壁の距離であり、前記予測部は、前記シートの前記搬送ローラ到達時における前記シート先端部の前記所定幅方向の位置を予測し、前記停止部は、前記シートの前記搬送ローラ到達時に前記所定幅から前記シート先端部がはみ出すと予測される場合、前記搬送ローラの手前で搬送機構を停止するようにしてもよい。
【0010】
また、前記所定幅は、前記搬送経路の幅方向両側に設けられる2つの壁の距離であり、前記予測部は、前記所定幅からシート先端部がはみ出す際の斜行量を予測し、前記停止部は、予測斜行量が所定値より小さい場合、前記搬送機構による前記シートの搬送を継続させるようにしてもよい。
【0011】
また、前記所定幅は、前記搬送経路の幅方向両側に設けられる2つの壁の距離であり、前記予測部は、前記所定幅からシート先端部が所定量はみ出し、且つ斜行量が所定量以上となる第2予測位置を予測し、前記停止部は、前記第2予測位置がシート排出口よりも下流側である場合、前記搬送機構による前記シートの搬送を継続させるようにしてもよい。
【0012】
また、前記停止部は、前記シート先端部が、シート後端部の前記画像読取部通過後に、前記第1予測位置に到達する場合、画像読取動作が行われてから前記搬送機構を停止するようにしてもよい。
【0013】
また、前記搬送機構は、前記画像処理部のシート搬送方向下流側に搬送ローラを有し、前記停止部は、前記第1予測位置が前記搬送ローラよりも下流側である場合、前記シート先端部が前記搬送ローラに達する手前で前記搬送機構を停止するようにしてもよい。
【0014】
また、前記画像処理部は、前記原稿が該画像処理部を通過する際に、前記原稿の幅方向のエッジ位置を検出し、前記斜行量検出部は、検出された前記エッジ位置を用いて前記斜行量を検出し、前記位置検出部は、前記斜行量および前記搬送機構による前記搬送方向のシート搬送長さに基づいて、前記シートの先端部の位置を検出するようにしてもよい。
【0015】
また、本明細書によって開示される方法は、シートを利用して画像処理を行う画像処理部を備える画像処理装置における前記シートの搬送方法であって、前記シートを所定の搬送経路に沿って搬送する搬送工程と、搬送経路上を搬送される前記シートの先端部の位置を検出する位置検出工程と、前記先端部の位置を検出される前記シートの斜行量を検出する斜行量検出工程と、前記位置検出工程によって、前回および今回検出された前記先端部の位置と、前記斜行量検出工程によって、前回および今回検出された斜行量とに基づき、シート搬送方向と直交する方向における所定幅から前記シートの先端部が所定量はみ出す予測位置を予測する予測工程と、前記予測位置の手前で前記搬送工程を停止する停止工程とを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、位置検出部によって検出された先端部の位置と、斜行量検出部によって検出された斜行量とに基づき、シート搬送方向と直交する方向における所定幅からシートの先端部が所定量はみ出す第1予測位置が予測される。すなわち、ジャムの発生する位置が予測される。そして、第1予測位置の手前で搬送機構が停止される。そのため、深刻なジャムの発生を抑制しつつ、画像処理の生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1における複合機の外観を示す斜視図
【図2】複合機の画像読取装置の概略的な断面図
【図3】複合機の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図4】原稿と搬送路との位置関係を示す平面図
【図5】原稿読取のメインルーチンを示すフローチャート
【図6】メインルーチンにおける画像読込ルーチンを示すフローチャート
【図7】原稿傾きの検出方法を示す図
【図8】別の原稿傾きの検出方法を示す図
【図9】画像読込ルーチンにおける先端距離基準検出ルーチンを示すフローチャート
【図10】先端距離基準検出ルーチンにおける先端検出処理を示すフローチャート
【図11】画像読込ルーチンにおける先端位置判定ルーチンを示すフローチャート
【図12】先端位置の算出方法を示す図
【図13】実施形態2における原稿と搬送路との位置関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
次に本発明の実施形態1について図1から図12を参照して説明する。
【0019】
1.複合機の外観構成
図1は、本発明に係る画像読取装置3を含む複合機1の外観を示す斜視図であり、図2は画像読取装置3の概略的な断面図である。複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを備えた多機能周辺装置である。
【0020】
複合機1は、図1に示すように、本体部2の上方に原稿を読み取るための画像読取装置(画像処理装置の一例)3を備えている。画像読取装置3は、読取部(画像読取部、位置検出部、斜行量検出部の一例)30、自動原稿給紙装置(ADF)40、および原稿載置部50等を含む。なお、画像読取装置は、複合機1の一部には限られない。例えば、画像読取装置は、単独のスキャナ装置あるいはコピー機であってもよい。
【0021】
原稿載置部50は、図2に示されるように、透明なガラス板からなる第1プラテンガラス52および第2プラテンガラス53を含む。第1プラテンガラス52の上面は、原稿カバー48によって開閉可能に覆われている。
【0022】
原稿カバー48は、第1プラテンガラス52を覆う閉姿勢と第1プラテンガラス52を開放する開姿勢とに回動可能に、複合機1の筐体2の後側上方(操作部11、表示部12等が設けられる側を前側とする)に連結されている。原稿カバー48上に、ADF40が設けられている。
【0023】
ADF40は、図2に示されるように、ADFカバー41、原稿トレイ42、搬送路(「搬送経路」に相当)43、一対の第1搬送ローラ44、一対の第2搬送ローラ(「搬送ローラ」の一例)44A、一対の排紙ローラ45等の各種のローラ、これらを駆動する図示しないステッピングモータ、および排紙トレイ46を含む。ADF40は、原稿トレイ42に載置されている原稿(「シート」の一例)5を一枚ずつ搬送して第2プラテンガラス53上を通過させ、排紙トレイ46に排出する。さらに、原稿トレイ42にセットされた原稿5を検出するための、フォトセンサ等の原稿センサ49が設けられている。ここで、搬送路43、第1搬送ローラ44、第2搬送ローラ44A、および排紙ローラ45は、搬送機構に相当する。また、搬送路43の一部はADFカバー41の側壁(「壁」の一例)41Aに囲まれている(図4参照)。
【0024】
読取部30は、図2に示されるように、原稿載置部50の下方に設けられている。読取部30は、ここではCIS(Contact Image Sensor)方式で原稿を読み取るように構成されている。読取部30は、複数の受光素子が紙面垂直方向に直線状に配列されているリニアイメージセンサ33、RGB3色の発光ダイオードなどで構成される光源31、原稿で反射された反射光をリニアイメージセンサ33の各受光素子に結像させるロッドレンズアレイ32、これらが搭載されるキャリッジ34、およびキャリッジ34を搬送する図示しない搬送機構を含む。なお、読取部30はCIS方式に限られず、縮小光学系およびCCD(電荷結合素子)イメージセンサを用いた、いわゆるCCD方式であってもよい。
【0025】
読取部30は、第1プラテンガラス12に載置されている原稿を読み取るときはキャリッジ34を、ホームポジションHPから第1プラテンガラス52の盤面に平行な副走査方向(図2中のA方向)に一定速度で搬送しながら読み取り、ADF40によって搬送される原稿5を読み取るときはキャリッジ34をホームポジションHPから第2プラテンガラス53の直下に停止させて読み取る。
【0026】
また、読取部30は、原稿の読み取りの他に、搬送経路43内を搬送される原稿5の先端部LT,RTの位置を検出する位置検出部として動作するとともに、読取部30は、先端部LT,RTの位置を検出される原稿5の斜行量θを検出する斜行量検出部として動作する(図4参照)。
【0027】
さらに、複合機1の前側には、各種のボタンからなる操作部11、例えば、液晶ディスプレイからなる表示部12、およびUSB接続部13が設けられている。
【0028】
2.複合機の電気的構成
図3は、複合機1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。複合機1は、図3に示すように、CPU20(予測部および停止部の一例)、ROM21、RAM22、NVRAM(不揮発性メモリ)23、ネットワークインターフェイス24、およびファクシミリインターフェイス25を備え、これらに画像形成部27、読取部30、操作部11、表示部12、および回転数カウンタ13などが接続されている。ここで、CPU20、画像形成部27、および読取部30によって画像処理部が構成される。すなわち、本実施形態では、画像処理部が通常の画像読取動作を行うとともに、位置検出部および斜行量検出部を兼ねる。
【0029】
ROM21には、複合機1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU20は、ROM21から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM22またはNVRAM23に記憶させながら、各部の制御を行う。回転数カウンタ13は、搬送ローラ44等の回転体の回転数、詳しくは、所定期間における回転体の総回転数をカウントする。これによって、CPU20によって原稿5の搬送距離等が算出される。
【0030】
ネットワークインターフェイス24は、通信回線(図示せず)を介して外部のコンピュータ等に接続され、ネットワークインターフェイス24を介して相互のデータ通信が可能となる。ファクシミリインターフェイス25は、電話回線(図示せず)に接続され、ファクシミリインターフェイス25を介して外部のファクシミリ装置等とファクシミリデータの通信が可能となる。画像形成部27は、用紙などの被記録媒体上に画像データに基づく画像を形成する。
【0031】
3.原稿読取処理
次に図4〜図8を参照して、本実施形態における画像読取装置3による「原稿読取処理」の概要を説明する。図4は搬送経路43と原稿5との位置関係を示す平面図である。図5は、原稿読取メインルーチンを示すフローチャートであり、図6は、原稿読取メインルーチンにおける「画像読込ルーチン」を示すフローチャートである。図7および図8は、「画像読込ルーチン」における「原稿傾き検出処理」を説明する図である。各処理は、ROM21等に格納された所定の制御プログラムにしたがってCPU20によって実行される。
【0032】
なお、実際の搬送経路43は、図2に示されるように、その搬送方向が180°変化するものであるが、図4には、搬送方向が一方向となるように、搬送経路43が引き延ばされた形で表示されている。また、画像読取装置は、本実施形態のように搬送経路43の搬送方向が180°変化するものに限られず、搬送方向が一方向に一定である画像読取装置であってもよい。そのため、搬送方向が一定である画像読取装置の場合には、図4は、搬送経路をそのまま平面的に示すものといえる。また、図4において、搬送経路43の左端であって、読取部30、詳しくはリニアイメージセンサ33の位置が、座標の基準点Po(0,0)とされる。また、基準点Po(0,0)に対応する搬送経路43の右端点を、Pw(0,Xw)とする。
【0033】
3−1.原稿読取メインルーチン
CPU20は、原稿読取メインルーチンを開始すると、図5に示されるように、まず、搬送機構を制御して、原稿5の搬送を開始する(ステップS10)。次いで、CPU20は、回転数カウンタ13を制御して、搬送ローラ44の回転数(総回転数)のカウントを開始させる。次いで、「画像読込ルーチン」(ステップS30)を実行して原稿5の画像を読み込み、原稿5の搬送が終了した場合(ステップS40:YES)に原稿読取メインルーチンを終了する。
【0034】
3−2.「画像読込ルーチン」
図6の「画像読込ルーチン」では、通常の原稿読込処理に加えて実行される、原稿5の位置検出に係る処理のみが示される。そのため、図6のフローチャートにおいて、通常の原稿読込処理は省略されている。なお、「画像読込ルーチン」は原稿5の搬送開始から終了までの期間内において、所定期間毎に実施される。所定期間は、例えば、原稿読込み走査単位期間の複数倍の期間とされる。
【0035】
CPU20は、ジャム発生を抑制するために、原稿5の先端部(LTあるいはLR)が搬送経路43の幅W(所定幅)から所定量ΔWtはみ出す位置(第1予測位置)を予測し、その位置の手前で搬送機構を停止させる。なお、図6のフローチャートにおいて、通常の原稿読込処理は省略されている。ここで、搬送路43の幅Wtは、図4に示されるように、搬送経43の幅方向(X軸方向)両側に位置する2つのADFカバー側壁41A間の距離である。また、所定量ΔWtは、ここでは、例えば、そのまま原稿5を搬送を続けても原稿5の傾きθがADFカバー側壁41Aによって元に戻る余地のある値として設定される。なお、原稿5は、実際に搬送経43からはみ出すわけではなく、ADFカバー側壁41Aに当接し、当接した部分が折曲がる等して、原稿5の搬送が継続されることとなる。
【0036】
具体的には、CPU20は、「画像読込ルーチン」を開始すると、図6に示されるように、まず、読取部30による読取データに基づいて、原稿5の左右エッジLA,RAを検出する。すなわち、左右エッジLA,RAのX座標Xl,Xrを検出する(ステップS305)。なお、ここで、座標の基準点Po(0,0)は、図4に示されるように、読取部30、詳しくは、リニアイメージセンサ33の左端とする。
【0037】
次いで、CPU20は、左右先端部LT,LRの距離基準が既に記録済みであるかどうか判定する(ステップS310)。距離基準が記録済みでないと判定された場合(ステップS310:NO)、左右先端部LT,LRの距離基準を検出するための「先端距離基準検出ルーチン」(ステップS325)が実行され、「画像読込ルーチン」が一旦終了される。
【0038】
一方、距離基準が記録済みであると判定された場合(ステップS310:YES)、CPU20は、原稿5の傾きθ(「斜行量」に相当する)を検出する(ステップS320)。原稿傾きθは、図7に示されるように、
θ=arctan(Xnewr−Xoldr)/Yd あるいは
θ=arctan(Xnewl−Xoldl)/Yd
によって求められる。
ここで、Xnewrは、今回検出の右エッジRA2のX座標であり、Xoldrは、前回検出の右エッジRA1のX座標である。また、Xnewlは、今回検出の左エッジLA2のX座標であり、Xoldlは、前回検出の左エッジLA1のX座標である。また、Ydは、今回と前回のエッジ検出時とにおけるY軸方向の距離である。距離Ydは、例えば、今回と前回のエッジ検出時とにおける搬送ローラ44の回転数差ΔNと、搬送ローラ44の円周長Lとに基づいて、Yd=L*ΔNによって算出される。
【0039】
また、読取部30が搬送経路43内の二箇所に設けられるタイプの場合、それぞれ一回のエッジ検出によって原稿5の傾きθは、図8に示されるように、
θ=arctan(X2r−X1r)/Ys あるいは
θ=arctan(X2l−X1l)/Ys
によって求められる。
ここで、X2rは、第2読取部のイメージセンサ33Bによって検出される右エッジRA2のX座標であり、X1rは、第1読取部のイメージセンサ33Aによって検出される右エッジRA1のX座標である。また、X2lは、イメージセンサ33Bによって検出される左エッジLA2のX座標であり、X1lは、メージセンサ33Aによって検出される左エッジLA1のX座標である。また、Ysは、イメージセンサ33Aとイメージセンサ33B間のY軸方向の距離である。
【0040】
次いで、CPU20は、前回検出した原稿傾きθと、今回検出した原稿傾きθを比較し、所定値以上に原稿傾きθが変化しかたどうか判定する(ステップS330)。所定値以上に原稿傾きθが変化していない場合(ステップS330:NO)、原稿5は搬送経路43の幅Wから所定量はみ出すことはなく、原稿5によるジャムは発生しないと予測して、「画像読込ルーチン」を一旦終了する。
【0041】
一方、所定値以上に原稿傾きθが変化した場合(ステップS330:YES)、原稿5の先端LT,RTの位置を判定する「先端位置判定ルーチン」(ステップS335)を実行する。次いで、「先端位置判定ルーチン」の結果から、左先端LTまたは右先端RTが搬送トレイ範囲Wの外に達するかどうかを、各X座標xl,xrに基づいて判定する(予測する)(ステップS340)。
【0042】
先端LT,RTのいずれかが搬送トレイ範囲Wの外に所定量ΔWt、はみ出すと予測された場合(ステップS340:YES)、CPU20は、搬送機構を制御して原稿5の搬送を停止させる(ステップS345)。一方、先端LT,RTのいずれもが搬送トレイ範囲Wの外に、はみ出さないと予測された場合(ステップS340:NO)、「画像読込ルーチン」を一旦終了する。
【0043】
3−3.「先端距離基準検出ルーチン」
次に、図9および図10を参照して、ステップS325の「先端距離基準検出ルーチン」を詳細に説明する。図9は、「先端距離基準検出ルーチン」を示すフローチャートであり、図10は、「先端距離基準検出ルーチン」における「先端検出処理」を示すフローチャートである。
【0044】
CPU20は、「先端距離基準検出ルーチン」を開始すると、図9に示されるように、まず、「先端検出処理」(ステップS100)を実行する。「先端検出処理」において、CPU20は、図10に示されるように、まず、既に原稿5の左先端LTが検出されているかどうか判定する(ステップS105)。左先端LTが検出されていないと判定された場合(ステップS105:NO)、既に原稿5の右先端RTが検出されているかどうか判定する(ステップS125)。
【0045】
右先端RTも検出されていないと判定された場合(ステップS125:NO)、原稿5の左右エッジLA,RAが検出されたかどうか判定する(ステップS145)。左右エッジLA,RAが検出されていないと判定された場合(ステップS145:NO)、原稿5が読取部30まで到達していない場合に相当し、「先端検出処理」を一旦終了する。
【0046】
一方、左右エッジLA,RAが検出されたと判定された場合(ステップS145:YES)、CPU20は、左右エッジLA,RAが、ともに中心線CLよりも左側にあるかどうか判定する。すなわち、左右エッジLA,RAのX座標Xl,Xrが中心線CLのX座標Xcよりも小さいかどうか判定する(ステップS150)。
【0047】
左右エッジLA,RAが、ともに中心線CLよりも左側にあると判定された場合(ステップS150:YES)、左先端LTの検出を完了して(ステップS155)、その時の左右エッジ座標Xl,Xrを、例えばRAM22に記憶するステップS160)。
【0048】
一方、左右エッジLA,RAが、ともに中心線CLよりも左側にあると判定されなかった場合(ステップS150:NO)、CPU20は、左右エッジLA,RAが、ともに中心線CLよりも右側にあるかどうか判定する。すなわち、左右エッジLA,RAのX座標Xl,Xrが中心線CLのX座標Xcよりも大きさいかどうか判定する(ステップS165)。
【0049】
左右エッジLA,RAが、ともに中心線CLよりも右側にあると判定された場合(ステップS165:YES)、右先端RTの検出を完了して(ステップS170)、その時の左右エッジ座標Xl,Xrを、例えばRAM22に記憶するステップS160)。一方、左右エッジLA,RAが、ともに中心線CLよりも右側にあると判定されかた場合、すなわち、左エッジLA中心線CLよりも左側にあり、右エッジRAが中心線CLよりも右側にあると判定された場合、(ステップS165:NO)、左先端LTの検出を完了する(ステップS175)。次いで、右先端RTの検出も完了し(ステップS180)、その時の左右エッジ座標Xl,Xrを、例えばRAM22に記憶する(ステップS160)。
【0050】
ここで、ステップS125に戻って、ステップS125において、既に右先端RTが検出されていると判定された場合(ステップS125:YES)、CPU20は、左エッジ座標Xlが記憶されている座標より左側であるかどうか、すなわち、記憶座標より小さいかどうか判定する(ステップS130)。左エッジ座標Xlが記憶されている座標より左側にある場合(ステップS130:YES)、今回の左エッジ座標Xlを新たに記憶する(ステップS135)。一方、左エッジ座標Xlが記憶されている座標より左側にない場合(ステップS130:NO)、原稿5の左先端LTが読取部30に到達したと判断し、左先端LTの検出を完了し(ステップS140)、「先端検出処理」を一旦終了する。
【0051】
また、ステップS105に戻って、ステップS105において、既に左先端LTが検出されていると判定された場合(ステップS105:YES)、CPU20は、右エッジ座標Xrが記憶されている座標より右側であるかどうか、すなわち、記憶座標より大きいかどうか判定する(ステップS110)。右エッジ座標Xlが記憶されている座標より右側にある場合(ステップS110:YES)、今回の右エッジ座標Xrを新たに記憶する(ステップS115)。一方、右エッジ座標Xrが記憶されている座標より右側にない場合(ステップS110:NO)、原稿5の右先端RTが読取部30に到達したと判断し、右先端RTの検出を完了し(ステップS120)、「先端検出処理」を一旦終了する。
【0052】
次に、図9の「先端距離基準検出ルーチン」に戻って、このようにして「先端検出処理」(ステップS100)を終了すると、CPU20は、「先端検出処理」において、左先端LTが検出されたかどうか判定する(ステップS205)。
左先端LTが検出されなかった場合(ステップS205:NO)、ステップS210に移行する。一方、左先端LTが検出された場合(ステップS205:YES)、左先端距離基準として現在の搬送ローラ44の回転数(回転開始からの総回転数)Nloを設定する。
【0053】
次いで、右先端RTが検出されたかどうか判定する(ステップS215)。
右先端RTが検出されなかった場合(ステップS215:NO)、本処理を終了する。一方、右先端RTが検出された場合(ステップS215:YES)、右先端距離基準として現在の搬送ローラ44の回転数Noを設定する。
【0054】
3−4.「先端位置判定ルーチン」
次に、図11および図12参照して、図6のステップS335の「先端位置判定ルーチン」を詳細に説明する。図11は、「先端位置判定ルーチン」を示すフローチャートであり、図12は、「先端位置判定ルーチン」における先端位置の算出を説明する図である。
【0055】
CPU20は、「先端位置判定ルーチン」を開始すると、図11に示されるように、「先端距離基準検出ルーチン」で検出した左右先端距離基準Noと、現在の搬送ローラ44の回転数Nから、左右先端位置LT,RTのy座標(yl,yr)をそれぞれ算出する(ステップS250)。また、CPU20は、ステップS305で検出した左右エッジLA,RAのX座標Xl,Xrと、ステップS320で検出した原稿傾きθとによって、左右先端位置LT,RTのx座標(xl,xr)をそれぞれ算出する(ステップS260)。
【0056】
すなわち、各座標は、図12に示されるように、
yr=L*(N−No)
xr=Xr−yr*cotθ=Xr−L*(N−No)*cotθ
xl=xr−W*cosθ=(Xr−L*(N−No)*cotθ)−W*cosθ
yl=yr−W*sinθ=L*(N−No)−W*sinθ
ここで、No:先端距離基準、N:現在(先端位置決定時)の搬送ローラ回転数、L:搬送ローラの円周、θ:原稿傾き、W:原稿の横幅(搬送方向に垂直方向の長さ)である。また、L*(N−No)は、搬送方向Yのシート搬送長さに相当する。
【0057】
このようにして、左先端位置LTの座標(xl,yl)および右先端部RTの座標(xr,yr)が算出され、左先端部LTおよび右先端位置RTが決定される。
【0058】
CPU20は、決定された左先端位置LTおよび右先端位置RTに基づいて、X軸方向(シート搬送方向と直交する方向)における搬送経路の幅(所定幅)Wtから原稿5の先端部(LTまたはRT)が所定量ΔWt、はみ出す先端部の予測位置(第1予測位置に相当:例えば、LTe(xe,ye))を予測する(図4参照)。そして、CPU20は、原稿5の先端部が予測位置に達する手前で搬送ローラ44(搬送機構の一例)の動作を停止させる(ステップS345参照)。
【0059】
なお、原稿5の先端部(LTまたはRT)の位置、すなわち、座標(xl,ylまたはxr,yr)の予測、実質的にはそのx座標(xlまたはxr)の予測は、原稿傾きθが一定の場合は、所定期間毎に、上記座標算出式にしたがって各座標を算出することによって行われる。
また、原稿傾きθが変化する場合には、x座標(xlまたはxr)の予測は、例えば、所定期間における傾き変化量Δθを、所定期間毎に検出される原稿傾きθの変化から算出し、所定期間毎に、原稿傾きを(θ+Δθ)として上記座標算出式にしたがって各座標を算出することによって行われる。なお、変化量Δθを原稿傾きθの変化から順次算出する際、イメージセンサ33によって検出される上記エッジ(LAまたはRA)のX座標(XlまたはXr)を固定値とすることにより、ジャム位置を、イメージセンサ33から搬送方向により近い位置として予測できる。すなわち、ジャム位置を、実際のジャム位置より、イメージセンサ33により近い位置として予測でき、より確実にジャムを回避できる。
【0060】
4.実施形態1の効果
原稿5のジャムの発生する位置(LTe(xe,ye))を、原稿先端部(LTまたはRT)の現在位置(LT(xl,yl))と原稿傾きθに基づいて予測する。そして、予測された位置(LTe(xe,ye)の手前までは原稿5を搬送してから、原稿5の搬送を停止するので、深刻なジャムの発生を抑制しつつ、画像処理の生産性を向上することができる。
【0061】
また、図6に示す「画像読込ルーチン」が、原稿搬送期間内において、所定期間毎に実施される。すなわち、原稿傾きθおよび先端位置の検出が所定期間毎に複数回行われる。そのため、読取部30(位置検出部および斜行量検出部)が一か所にしか設けられていない場合であっても、好適に、ジャムの発生する位置を予測し、予測された位置の手前まではシートを搬送してから搬送を停止させることができる。
【0062】
<実施形態2>
次に本発明の実施形態2を、図13を参照して説明する。図13は実施形態2における原稿搬送状態を説明する図である。実施形態2では、第2搬送ローラ(「搬送ローラ」の一例)44Aとの関係を考慮して、原稿5が搬送路43からのはみ出しが予測される。
【0063】
すなわち、図13に示されるように、第2搬送ローラ44Aは、読取部(画像処理部)30の原稿搬送方向下流側に設けられる。そして、CPU20(予測部)は、原稿5(RTまたはLT)の第2搬送ローラ44Aへの到達時における原稿先端部(LTまたはRT)の搬送路幅Wt(所定幅)方向の位置を予測する。
【0064】
そして、CPU20(停止部)は、上記「先端位置判定ルーチン」の結果から、原稿5(RTまたはLT)の第2搬送ローラ44Aへの到達時に搬送路幅Wt(搬送路)から原稿先端部(LTまたはRT)がはみ出すと予測される場合、第2搬送ローラ44Aの手前で搬送機構(44、44A)を停止する(状態1および状態4参照)。
【0065】
5.実施形態2の効果
第2搬送ローラ44Aの位置において少しでも原稿先端部(LTまたはRT)がはみ出すと予測される場合、搬送を続けると原稿5がそのまま第2搬送ローラ44Aに絡みつく深刻なジャムの発生を抑制できる。すなわち、図13の状態4に示されるように、原稿先端部LTが搬送路43から搬送路幅Wt方向にはみ出すと、原稿先端部LTは、実際には側壁41Aに当接して原稿5が曲がることが予想される。その場合、原稿先端部LTの位置と第2搬送ローラ44Aとの距離が短い場合、曲がったままの状態で原稿5が第2搬送ローラ44Aに到達すると、高い確率で原稿5が傷む虞がある。そのため、第2搬送ローラ44Aの手前で搬送機構(44、44A)を停止することによって、原稿5の損傷を抑制することができる。
【0066】
なお、図13の状態1〜状態3に示されるように、上記「先端位置判定ルーチン」によって、原稿先端部LTが搬送路43から搬送路幅Wt方向に、はみ出していると判定される場合であっても、原稿先端部LTの位置と第2搬送ローラ44Aとにある程度の距離がある場合には、原稿5の搬送を停止しないようにしてもよい。すなわち、原稿5の搬送中に、上記原稿傾き検出処理(図6のステップS320)において検出される原稿傾きθに変化があり、原稿先端部LTが搬送範囲Wtに収まることが予側される場合には、そのまま原稿5の搬送を継続しても、原稿5を損傷させることは回避できる。
【0067】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0068】
(1)実施形態1において、CPU20(予測部)は、搬送路43の幅Wt(所定幅)から原稿先端部(LTまたはRT)がはみ出す際の斜行量θを予測し、CPU20(停止部)は、予測斜行量が所定値より小さい場合、搬送機構による原稿5の搬送を継続させるようにしてもよい。通常、原稿5が側壁41Aにぶつかって斜行が正されるような小さい斜行量ではみ出すケースは無視できる。そのため、この場合、なるべく搬送機構を停止させずに済み、生産性を向上できる。
【0069】
(2)実施形態2において、CPU20(停止部)は、第1予測位置(LTe等;図4参照)が第2搬送ローラ44Aよりも下流側である場合、第2搬送ローラ44Aの手前で搬送機構を停止するようにしてもよい。この場合、
(3)上記各実施形態において、CPU20(予測部)は、搬送路43の幅Wt(所定幅)から原稿先端部(LTまたはRT)が所定量はみ出し、且つ斜行量θが所定量以上となる第2予測位置を予測し、CPU20(停止部)は、第2予測位置が原稿排出口47(図2参照)よりも下流側である場合、搬送機構による原稿5の搬送を継続させるようにしてもよい。この場合、はみ出す所定量およびはみ出す際の斜行量θを適宜設定することにより、また、第2予測位置が原稿排出口47よりも下流側であることにより、原稿5が深刻なジャムの発生を抑制しつつ、画像処理の生産性を向上することができる。
【0070】
(4)上記各実施形態において、CPU20(停止部)は、原稿先端部(LTまたはRT)が、原稿後端部のリニアイメージセンサ33(画像読取部)通過後に、第1予測位置(LTe等:図4参照)に到達する場合、画像読取動作が行われてから搬送機構を停止するようにしてもよい。この場合、原稿5の搬送は中断されるものの画像読取動作はそのまま実行される。そのため、原稿5を搬送路43から取り出した後に、画像読取を再度行う必要がなく、動作画像処理の生産性を向上することができる。
【0071】
(3)実施形態1において、CPU20(予測部)は、搬送路43の幅Wt(所定幅)から原稿先端部(LTまたはRT)がはみ出す際の斜行量θを予測し、CPU20(停止部)は、予測斜行量が所定値より小さい場合、搬送機構による原稿5の搬送を継続させるようにしてもよい。通常、原稿5が側壁41Aにぶつかって斜行が正されるような小さい斜行量ではみ出すケースは無視できる。そのため、この場合、なるべく搬送機構を停止させずに済み、生産性を向上できる。
【0072】
(4)実施形態2において、CPU20(停止部)は、第1予測位置(LTe等;図4参照)が第2搬送ローラ44Aよりも下流側である場合、シート先端部が第2搬送ローラ44Aに達する手前で搬送機構を停止するようにしてもよい。この場合、第2搬送ローラ44Aによるジャム発生を未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0073】
1…複合機、3…画像読取装置、5…原稿、20…CPU、27…画像形成部、30…読取部、33,33A,33B…イメージセンサ、41A…ADFカバー壁、43…搬送路、44…第1搬送ローラ、44A…第2搬送ローラ、47…原稿排出口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを利用して画像処理を行う画像処理部を備える画像処理装置であって、
搬送経路を有し、前記シートを当該搬送経路に沿って搬送する搬送機構と、
前記搬送経路上を搬送される前記シートの先端部の位置を検出する、少なくとも一個の位置検出部と、
前記先端部の位置が検出される前記シートの斜行量を検出する、少なくとも一個の斜行量検出部と、
前記位置検出部によって検出された前記先端部の位置と、前記斜行量検出部によって検出された斜行量とに基づき、シート搬送方向と直交する方向における所定幅から前記シートの先端部が所定量はみ出す第1予測位置を予測する予測部と、
前記第1予測位置の手前で搬送機構を停止する停止部と、を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記少なくとも一個の位置検出部および前記少なくとも一個の斜行量検出部は、それぞれ一個の位置検出部および一個の斜行量検出部によって構成され、
前記予測部は、前記一個の位置検出部および一個の斜行量検出部によって前回検出された前記先端部の位置および斜行量と、今回検出された先端部の位置および斜行量とに基づき、前記第1予測位置を予測する、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、
前記画像処理部は、
前記シート上の画像を読み取って画像データを生成する画像読取部と、前記位置検出部と、前記斜行量検出部とを有する、画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記搬送機構は、前記画像処理部のシート搬送方向下流側に搬送ローラを有し、
前記所定幅は、前記搬送経路の幅方向両側に設けられる2つの壁の距離であり、
前記予測部は、前記シートの前記搬送ローラ到達時における前記シート先端部の前記所定幅方向の位置を予測し、
前記停止部は、前記シートの前記搬送ローラ到達時に前記所定幅から前記シート先端部がはみ出すと予測される場合、前記搬送ローラの手前で搬送機構を停止する、画像処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記所定幅は、前記搬送経路の幅方向両側に設けられる2つの壁の距離であり、
前記予測部は、前記所定幅からシート先端部がはみ出す際の斜行量を予測し、
前記停止部は、予測斜行量が所定値より小さい場合、前記搬送機構による前記シートの搬送を継続させる、画像処理装置。
【請求項6】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記所定幅は、前記搬送経路の幅方向両側に設けられる2つの壁の距離であり、
前記予測部は、前記所定幅からシート先端部が所定量はみ出し、且つ斜行量が所定量以上となる第2予測位置を予測し、
前記停止部は、前記第2予測位置がシート排出口よりも下流側である場合、前記搬送機構による前記シートの搬送を継続させる、画像処理装置。
【請求項7】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記停止部は、前記シート先端部が、シート後端部の前記画像読取部通過後に、前記第1予測位置に到達する場合、画像読取動作が行われてから前記搬送機構を停止する、画像処理装置。
【請求項8】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記搬送機構は、前記画像処理部のシート搬送方向下流側に搬送ローラを有し、
前記停止部は、前記第1予測位置が前記搬送ローラよりも下流側である場合、前記シート先端部が前記搬送ローラに達する手前で前記搬送機構を停止する、画像処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記画像処理部は、前記原稿が該画像処理部を通過する際に、前記原稿の幅方向のエッジ位置を検出し、
前記斜行量検出部は、検出された前記エッジ位置を用いて前記斜行量を検出し、
前記位置検出部は、前記斜行量および前記搬送機構による前記搬送方向のシート搬送長さに基づいて、前記シートの先端部の位置を検出する、画像処理装置。
【請求項10】
シートを利用して画像処理を行う画像処理部を備える画像処理装置における前記シートの搬送方法であって、
前記シートを所定の搬送経路に沿って搬送する搬送工程と、
搬送経路上を搬送される前記シートの先端部の位置を検出する位置検出工程と、
前記先端部の位置を検出される前記シートの斜行量を検出する斜行量検出工程と、
前記位置検出工程によって、前回および今回検出された前記先端部の位置と、前記斜行量検出工程によって、前回および今回検出された斜行量とに基づき、シート搬送方向と直交する方向における所定幅から前記シートの先端部が所定量はみ出す予測位置を予測する予測工程と、
前記予測位置の手前で前記搬送工程を停止する停止工程と、
を含むシート搬送方法。
【請求項1】
シートを利用して画像処理を行う画像処理部を備える画像処理装置であって、
搬送経路を有し、前記シートを当該搬送経路に沿って搬送する搬送機構と、
前記搬送経路上を搬送される前記シートの先端部の位置を検出する、少なくとも一個の位置検出部と、
前記先端部の位置が検出される前記シートの斜行量を検出する、少なくとも一個の斜行量検出部と、
前記位置検出部によって検出された前記先端部の位置と、前記斜行量検出部によって検出された斜行量とに基づき、シート搬送方向と直交する方向における所定幅から前記シートの先端部が所定量はみ出す第1予測位置を予測する予測部と、
前記第1予測位置の手前で搬送機構を停止する停止部と、を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記少なくとも一個の位置検出部および前記少なくとも一個の斜行量検出部は、それぞれ一個の位置検出部および一個の斜行量検出部によって構成され、
前記予測部は、前記一個の位置検出部および一個の斜行量検出部によって前回検出された前記先端部の位置および斜行量と、今回検出された先端部の位置および斜行量とに基づき、前記第1予測位置を予測する、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、
前記画像処理部は、
前記シート上の画像を読み取って画像データを生成する画像読取部と、前記位置検出部と、前記斜行量検出部とを有する、画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記搬送機構は、前記画像処理部のシート搬送方向下流側に搬送ローラを有し、
前記所定幅は、前記搬送経路の幅方向両側に設けられる2つの壁の距離であり、
前記予測部は、前記シートの前記搬送ローラ到達時における前記シート先端部の前記所定幅方向の位置を予測し、
前記停止部は、前記シートの前記搬送ローラ到達時に前記所定幅から前記シート先端部がはみ出すと予測される場合、前記搬送ローラの手前で搬送機構を停止する、画像処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記所定幅は、前記搬送経路の幅方向両側に設けられる2つの壁の距離であり、
前記予測部は、前記所定幅からシート先端部がはみ出す際の斜行量を予測し、
前記停止部は、予測斜行量が所定値より小さい場合、前記搬送機構による前記シートの搬送を継続させる、画像処理装置。
【請求項6】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記所定幅は、前記搬送経路の幅方向両側に設けられる2つの壁の距離であり、
前記予測部は、前記所定幅からシート先端部が所定量はみ出し、且つ斜行量が所定量以上となる第2予測位置を予測し、
前記停止部は、前記第2予測位置がシート排出口よりも下流側である場合、前記搬送機構による前記シートの搬送を継続させる、画像処理装置。
【請求項7】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記停止部は、前記シート先端部が、シート後端部の前記画像読取部通過後に、前記第1予測位置に到達する場合、画像読取動作が行われてから前記搬送機構を停止する、画像処理装置。
【請求項8】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記搬送機構は、前記画像処理部のシート搬送方向下流側に搬送ローラを有し、
前記停止部は、前記第1予測位置が前記搬送ローラよりも下流側である場合、前記シート先端部が前記搬送ローラに達する手前で前記搬送機構を停止する、画像処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記画像処理部は、前記原稿が該画像処理部を通過する際に、前記原稿の幅方向のエッジ位置を検出し、
前記斜行量検出部は、検出された前記エッジ位置を用いて前記斜行量を検出し、
前記位置検出部は、前記斜行量および前記搬送機構による前記搬送方向のシート搬送長さに基づいて、前記シートの先端部の位置を検出する、画像処理装置。
【請求項10】
シートを利用して画像処理を行う画像処理部を備える画像処理装置における前記シートの搬送方法であって、
前記シートを所定の搬送経路に沿って搬送する搬送工程と、
搬送経路上を搬送される前記シートの先端部の位置を検出する位置検出工程と、
前記先端部の位置を検出される前記シートの斜行量を検出する斜行量検出工程と、
前記位置検出工程によって、前回および今回検出された前記先端部の位置と、前記斜行量検出工程によって、前回および今回検出された斜行量とに基づき、シート搬送方向と直交する方向における所定幅から前記シートの先端部が所定量はみ出す予測位置を予測する予測工程と、
前記予測位置の手前で前記搬送工程を停止する停止工程と、
を含むシート搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−206858(P2012−206858A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76119(P2011−76119)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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