説明

画像処理装置および画像処理システム

【課題】バックアップされた画像データを容易に閲覧することができる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】MFP1において、スキャナ部14は、原稿をスキャンして新たに作成した画像データ211を記憶部17に格納する。バックアップ処理部112は、画像データ211を暗号化した暗号化画像データ311を、ファイルサーバ5に作成された共有フォルダ51に保存する。MFP1は、PC3からの閲覧要求に応じて、暗号化画像データ311をファイルサーバ5から取得する。暗号化画像データ311のサイズが所定値より小さい場合、閲覧要求応答部115は、暗号化画像データ311を復号し、復号された画像データをPC3に送信する。暗号化画像データ311のサイズが所定値以上の場合、閲覧要求応答部114は、暗号化画像データ311をそのままPC3に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置が取得した画像データをバックアップする技術、およびバックアップされた画像データを閲覧する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファクシミリ(FAX)機能、スキャナ機能、コピー機能、およびプリンタ機能など様々な機能を備えた複合機(MFP:Multi Function Peripheral)が、オフィスなどで広く用いられている。MFPには、ハードディスク装置などの大容量の記憶装置を内蔵した機種が存在する。MFPに内蔵された記憶装置は、MFPが受信したFAX受信データ、およびスキャナが読み取った画像データなどを記憶する。ユーザは、PC(Personal Computer)などの端末装置を操作して、MFPに保存されたFAX受信データなどをPCのモニタに表示させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−352483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、PCなどの端末装置に送信する画像データを暗号化するMFPが開示されている。上記特許文献1に係るMFPは、スキャンの指示とともに、生成した画像データの送信先、画像形式、および復号タイミングの各種設定を受け付ける。原稿をスキャンして生成された画像データは、復号タイミングに関する情報がヘッダに付加された上で、指定された送信先に送信される。
【0005】
MFPが取得した画像データのバックアップを目的として、ネットワークに接続する外部の記憶装置に画像データを送信することがある。このとき、上記特許文献1のように、記憶装置に送信する画像データを暗号化することが考えられるが、バックアップされた画像データの閲覧時に、バックアップされた画像データを復号する必要がある。しかし、ユーザは、閲覧対象を指定するたびに、復号鍵としてパスワードなどを入力しなければならなかった。
【0006】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、バックアップされた画像データを容易に閲覧することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、画像処理装置であって、取得したオリジナル画像データを暗号化して記憶装置にバックアップするバックアップ部と、暗号化された状態で前記記憶装置に保存されているデータの閲覧要求を端末装置から受信した場合、前記閲覧要求で指定されたデータに対応する暗号化データを前記記憶装置から取得する取得部と、前記暗号化データが第1条件を満たす場合、前記暗号化データを復号して生成した復号画像データを前記端末装置に送信し、前記暗号化データが前記第1条件を満たさない場合、前記暗号化データを前記端末装置に送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記第1条件は、前記暗号化データのサイズが所定サイズより小さいという条件であることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記バックアップ部は、前記取得したオリジナル画像データからサムネイルを作成するサムネイル作成部と、前記取得したオリジナル画像データおよび前記サムネイルを暗号化して前記記憶装置に送信する暗号化部と、を含み、前記第1条件は、前記暗号化データが前記サムネイルを暗号化したデータであることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、ネットワークに接続される画像処理装置と、端末装置と、記憶装置と、を備える画像処理システムであって、前記画像処理装置は、取得したオリジナル画像データを暗号化して前記記憶装置にバックアップするバックアップ部と、暗号化された状態で前記記憶装置に保存されているデータの閲覧要求を前記端末装置から受信した場合、前記閲覧要求で指定されたデータに対応する暗号化データを前記記憶装置から取得する取得部と、前記暗号化データが第1条件を満たす場合、前記暗号化データを復号して生成した復号画像データを前記端末装置に送信し、前記暗号化データが前記第1条件を満たさない場合、前記暗号化データを前記端末装置に送信する送信部と、を備え、前記端末装置は、前記閲覧要求を前記画像処理装置に送信する要求部と、前記閲覧要求に応じて受信したデータが前記暗号化データの場合、前記暗号化データを復号する復号部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る画像処理装置は、閲覧要求に基づいて記憶装置から暗号化データを取得し、取得した暗号化データが第1条件に該当する場合に、暗号化データを復号したデータを端末装置に送信する。これにより、端末装置のユーザは、バックアップされた画像データの閲覧を指示するたびにパスワードを入力しなくてもよいため、バックアップされた画像データの閲覧が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係るMFPの構成を含むネットワークシステムの構成図である。
【図2】ファイルサーバにおけるデータの格納状況を示す図である。
【図3】ネットワークシステムの処理の流れを示す図である。
【図4】PCのモニタに表示される選択リストを示す図である。
【図5】送信データの形式を決定するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係るMFP1の構成を含むネットワークシステムの構成図である。図1に示すネットワークシステムは、MFP1、2と、PC3、4と、ファイルサーバ5とがLAN(Local Area Network)6に接続された構成である。図1に示すネットワークシステムは、オフィスなどに構築される。
【0014】
MFP1、2は、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能、およびプリンタ機能などの様々な機能を有する多機能装置である。PC3、4は、オフィスの社員などのユーザが使用する端末装置である。ファイルサーバ5は、MFP1およびMFP2がFAX通信などによりそれぞれ取得したオリジナル画像データをバックアップするための記憶装置である。ファイルサーバ5には、オリジナル画像データと、オリジナル画像データから生成されるサムネイルデータとがバックアップデータとして格納される。なお、バックアップデータは、暗号化された状態である。
【0015】
PC3のユーザおよびPC4のユーザは、ファイルサーバ5に保存されたバックアップデータを閲覧することができる。バックアップデータの閲覧をPC3のユーザが指示した場合、PC3は、閲覧対象のバックアップデータの送信をMFP1に要求する。MFP1は、PC3の要求に応じた暗号化されたバックアップデータ(暗号化データ)をファイルサーバ5から取得し、暗号化データまたは復号された画像データをPC3に送信する。
【0016】
このように、PC3のユーザは、画像データのバックアップ先にアクセスすることなく、バックアップデータを閲覧することができる。バックアップデータの閲覧の詳細については、後述する。
【0017】
{MFPの構成}
次に、MFP1の構成について詳しく説明する。MFP1、2は、同一の構成を有している。このため、図1においてMFP2の構成の表示を省略するとともに、MFP2の構成の詳細な説明を省略する。
【0018】
MFP1は、制御部11と、操作部12と、タッチパネル式ディスプレイ13と、スキャナ部14と、FAX部15と、プリンタ部16と、記憶部17と、LANインタフェース18とを備える。
【0019】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などを有しており、MFP1の全体制御を行う。制御部11は、バックアップ設定部111と、バックアップ処理部112と、サムネイル作成部113と、リストデータ作成部114と、閲覧要求応答部115とを備えている。
【0020】
バックアップ設定部111は、MFP1が取得したオリジナル画像データのバックアップ先を示すバックアップ設定情報を管理する。バックアップ先には、ファイルサーバ5に作成された共有フォルダが指定される。バックアップ処理部112は、オリジナル画像データを、バックアップ設定情報に基づいてファイルサーバ5にバックアップする。サムネイル作成部113は、MFP1が取得したオリジナル画像データのサムネイルを生成する。
【0021】
リストデータ作成部114は、バックアップデータのリストを作成してPC3に送信する。閲覧要求応答部115は、バックアップデータの閲覧要求をPC3から受け付け、閲覧要求で指定された画像データに対応する暗号化データをファイルサーバ5から取得する。暗号化データ、および暗号化データが復号されたデータのいずれか一方が、閲覧要求の応答としてPC3に送信される。
【0022】
操作部12は、MFP1に対する各種の指示を入力するハードウェアキーなどで構成される。タッチパネル式ディスプレイ13は、MFP1に関する情報、および各種の操作メニューを表示する。ユーザは、操作部12およびタッチパネル式ディスプレイ13を利用して、MFP1の各種操作をすることができる。
【0023】
スキャナ部14は、オートドキュメントフィーダ(図示省略)にセットされた原稿、あるいはフラットベッドスキャナ(図示省略)のガラス板上にセットされた原稿を読み取ってスキャン画像データ211を作成する。FAX部15は、公衆回線網(図示省略)を介したファクシミリ通信を行う。プリンタ部16は、スキャン画像データ211、およびFAX部15が受信したFAX受信データなどを印刷する。
【0024】
記憶部17は、ハードディスク装置あるいはフラッシュメモリなどで構成される。記憶部17には、スキャン画像データ211と、サムネイルデータ221と、管理情報170と、認証情報40とが格納される。スキャン画像データ211は、図1に示していないスキャンフォルダに格納される。スキャン画像データ211、およびFAX受信データなど、MFP1が取得したオリジナル画像データは、MFP1の機能に応じた機能別フォルダに格納される。サムネイルデータ221は、スキャン画像データ211から生成される。管理情報170は、記憶部17に格納されている全ての画像データの名称、作成日時などの属性情報がリスト形式で登録された情報である。認証情報40は、MFP1を利用するユーザのユーザIDおよびパスワードが記録された情報である。
【0025】
LANインタフェース18は、LAN6を介して接続する各コンピュータの間で、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)などのプロトコルを利用してデータの送受信を行う。
【0026】
{PC3の構成}
PC3は、操作部31と、モニタ32と、WEBブラウザ33とを備える。操作部31は、マウスおよびキーボードなどであり、PC3に対する各種の指示を受け付ける。モニタ32は、液晶ディスプレイなどである。WEBブラウザ33は、MFP1から送信されるウェブページに基づいて、閲覧対象を選択する選択リスト70、あるいはバックアップデータなどをモニタ32に表示させる。
【0027】
{ファイルサーバ5におけるデータの格納状況}
次に、ファイルサーバ5に格納される暗号化データ、管理情報について説明する。暗号化データは、暗号化画像データと、暗号化サムネイルデータとを含む。暗号化画像データは、オリジナル画像データが暗号化されたデータである。暗号化サムネイルデータは、オリジナル画像データから生成されたサムネイルデータが暗号化されたデータである。
【0028】
図2は、ファイルサーバ5に保存されるデータの格納状況を示す図である。ファイルサーバ5には、MFP1から送信されたバックアップデータを格納する共有フォルダ51と、MFP2から送信されたバックアップデータを格納する共有フォルダ52とが作成されている。つまり、共有フォルダ51は、MFP1のバックアップフォルダであり、共有フォルダ52は、MFP2のバックアップフォルダである。
【0029】
共有フォルダ51は、管理情報510と、MFP1から送信された暗号化画像データ311、312および暗号化サムネイルデータ321、322とを格納する。暗号化画像データ311、暗号化サムネイルデータ321は、記憶部17に格納されているスキャン画像データ211、サムネイルデータ221がそれぞれ暗号化されたデータである。また、暗号化画像データ311、312および暗号化サムネイルデータ321、322は、PC3のユーザのパスワードを暗号鍵として暗号化されている。
【0030】
共有フォルダ52は、管理情報520と、MFP2から送信された暗号化画像データ313および暗号化サムネイルデータ323とを格納する。暗号化画像データ313および暗号化サムネイルデータ323は、PC4のユーザのパスワードを暗号鍵として暗号化されている。
【0031】
また、本実施の形態では、暗号化画像データのファイル名に「_s」を付加した文字列を、暗号化サムネイルデータのファイル名とする。たとえば、暗号化画像データ312のファイル名が「fileB」であり、暗号化サムネイルデータ322のファイル名が「fileB_s」であるため、両者は対応関係にあることがわかる。
【0032】
管理情報510、520は、各共有フォルダに格納されている暗号化データの名称、および作成日時などの属性情報がリスト形式で登録された情報である。管理情報510、520は、各MFPが取得したオリジナル画像データをバックアップする時、およびバックアップデータを閲覧する時に用いられる。
【0033】
{ネットワークシステムの処理の流れ}
以下、図1に示すネットワークシステムで実行される画像データのバックアップ処理の流れと、バックアップデータの閲覧処理の流れとについて説明する。図3は、図1に示すネットワークシステムの処理の流れを示す図である。
【0034】
{バックアップ処理の流れ}
初期状態として、記憶部17には、スキャン画像データ211およびサムネイルデータ221が格納されていないとする。つまり、管理情報170にスキャン画像データ211およびサムネイルデータ221の属性情報が登録されていない状態であり、管理情報510に暗号化画像データ311および暗号化サムネイルデータ321の属性情報が登録されていない状態である。
【0035】
まず、スキャナ部14が、PC3のユーザの指示に応じてスキャン画像データ211を作成する。具体的には、PC3のユーザが、操作部12およびタッチパネル式ディスプレイ13を操作して、ユーザ情報(ユーザIDおよびパスワード)を入力する。MFP1は、認証情報40と入力されたユーザ情報とに基づいて、PC3のユーザのログインを許可する。スキャナ部14は、操作部12およびタッチパネル式ディスプレイ13から入力されるPC3のユーザの指示に基づいて、原稿を読み取り、スキャン画像データ211を作成する。スキャン画像データ211は、記憶部17に作成されたスキャンフォルダに格納される。管理情報170には、スキャン画像データ211の属性情報が新たに登録される。
【0036】
MFP1は、予め設定された実行タイミングで、スキャンフォルダを含む機能別フォルダに新たに格納されたオリジナル画像データをバックアップする(ステップS1)。バックアップ処理部112には、実行タイミングとして毎週月曜日の午前0時などの時刻情報が設定される。また、6時間ごとなど、一定の時間間隔でバックアップするように実行タイミングを設定してもよい。これにより、バックアップ処理部112は、機能別フォルダに格納されたオリジナル画像データを定期的にバックアップすることができる。
【0037】
バックアップ処理部112は、管理情報510の送信をファイルサーバ5に要求する(ステップS11)。ファイルサーバ5は、管理情報510の送信要求に応じて、管理情報510をMFP1に送信する(ステップS12)。
【0038】
バックアップ処理部112は、管理情報170と取得した管理情報510とに基づいて、バックアップするオリジナル画像データを決定する。バックアップ処理(ステップS1)の開始前にスキャン画像データ211を作成されている。したがって、スキャン画像データ211の属性情報は、管理情報170に登録されており、スキャン画像データ211に対応する暗号化画像データ311の属性情報は、管理情報510に登録されていない。このため、バックアップ処理部112は、スキャン画像データ211のバックアップを決定する。
【0039】
サムネイル作成部113は、スキャン画像データ211からサムネイルデータ221を作成し、記憶部17に格納する(ステップS13)。このとき、サムネイルデータ211の属性情報が、管理情報170に登録される。バックアップ処理部112は、スキャンを指示したPC3のユーザのパスワードを暗号鍵として、スキャン画像データ211、サムネイルデータ221を暗号化する。暗号方式としては、たとえば、RC4などが用いられる。これにより、暗号化画像データ311および暗号化サムネイルデータ321が生成される。
【0040】
バックアップ処理部112は、暗号化画像データ311および暗号化サムネイルデータ321をファイルサーバ5へ送信する(ステップS14)。このとき、バックアップ設定部111が保持するバックアップ設定情報に基づいて、暗号化画像データ311および暗号化サムネイルデータ321の格納先が、MFP1のバックアップフォルダである共有フォルダ51に指定される。
【0041】
ファイルサーバ5は、受信した暗号化画像データ311および暗号化サムネイルデータ321を共有フォルダ51に保存する。管理情報510には、暗号化画像データ311および暗号化サムネイルデータ321の属性情報が追加される。これにより、バックアップ処理(ステップS1)が終了する。
【0042】
また、MFP2は、MFP1と同様に、上述のバックアップ処理を、予め設定されたタイミングで実行する(ステップS2)。これにより、暗号化画像データ313、暗号化サムネイルデータ323が共有フォルダ52に格納される。
【0043】
{選択リスト表示処理}
PC3のユーザは、選択リスト70を利用して、バックアップデータを閲覧することができる。選択リスト70は、閲覧対象に設定されている共有フォルダに格納されているバックアップデータのリストである。リストデータ作成部113には、閲覧対象の共有フォルダとして、共有フォルダ51、52が予め設定されている。
【0044】
PC3のユーザは、操作部31を操作して、WEBブラウザ33を起動させ、MFP1にログインする。そして、PC3のユーザが選択リスト70の表示を指示することにより、選択リスト表示処理(ステップS3)が開始される。
【0045】
PC3は、選択リスト表示要求をMFP1に送信する(ステップS31)。選択リスト表示要求に応じて、リストデータ作成部114は、閲覧対象に設定されている共有フォルダ51、52に対応する管理情報510、520の送信をファイルサーバ5に要求する(ステップS32)。
【0046】
ファイルサーバ5は、ステップS32に示す管理情報の送信要求に基づいて、管理情報510、520をMFP1に送信する(ステップS33)。リストデータ作成部114は、受信した管理情報510、520に基づいて選択リスト70を作成し、選択リスト70をウェブページとしてPC3に送信する(ステップS34)。PC3のWEBブラウザ33は、受信したウェブページに基づいて選択リスト70をモニタ32に表示させる。
【0047】
図4は、モニタ32に表示される選択リスト70を示す図である。図4に示すように、リスト表示部71には、バックアップデータのリストとして、閲覧対象の共有フォルダ51、52に格納された暗号化画像データのリストが表示される。暗号化サムネイルデータ321などはリスト表示部71には含まれない。これは、暗号化画像データと暗号化サムネイルデータとが関連のないデータであると誤認されることを防止するためである。
【0048】
画像表示ボタン72は、リスト表示部71において選択された画像データの表示を指示するボタンである。サムネイル表示ボタン73は、選択された画像データのサムネイルの表示を指示するボタンである。
【0049】
なお、リストデータ作成部114には、閲覧対象の共有フォルダとして、共有フォルダ51、52のいずれか一方が設定されていてもよい。共有フォルダ52が閲覧対象に設定されていた場合、選択リスト70は、管理情報520に基づいて作成され、リスト表示部71には、暗号化画像データ313のみが表示される。
【0050】
{バックアップデータの閲覧}
PC3のユーザは、モニタ32に表示された選択リスト70を操作して、閲覧対象の表示を指示する。たとえば、PC3のユーザが、ファイル名「fileB」を選択した後に、画像表示ボタン72またはサムネイル表示ボタン73をクリックする。これにより、バックアップデータ送信処理(ステップS4)が開始される。
【0051】
PC3は、閲覧対象のファイル名と閲覧形式情報とを含む閲覧要求をMFP1に送信する(ステップS41)。閲覧形式情報は、通常の画像データの表示およびサムネイル表示のいずれかを指示する情報である。
【0052】
閲覧要求応答部115は、閲覧要求で指定された条件を満たす画像データが記憶部17に格納されていないことを、管理情報170に基づいて確認する。閲覧要求応答部115は、閲覧形式情報に対応する暗号化データの送信をファイルサーバ5に要求する(ステップS42)。具体的には、画像表示ボタン72がクリックされていた場合、暗号化画像データ312の送信要求がファイルサーバ5に送信される。一方、サムネイル表示ボタン73がクリックされていた場合、暗号化サムネイルデータ322の送信要求がファイルサーバ5に送信される。
【0053】
ファイルサーバ5は、暗号化データ送信要求に基づいて、暗号化画像データ312または暗号化サムネイルデータ322をMFP1に送信する(ステップS43)。なお、MFP1が閲覧要求をファイルサーバ5に転送してもよい。この場合、ファイルサーバ5が、MFP1に送信する暗号化データを決定する。
【0054】
閲覧要求応答部115は、受信した暗号化データの送信形式を決定する(ステップS44)。図5は、暗号化データの送信形式を決定する処理(ステップS44)の流れを示すフローチャートである。
【0055】
閲覧要求応答部115は、受信した暗号化データのサイズが予め設定されているしきい値より大きいか否かを確認する(ステップS441)。しきい値として100KBが閲覧要求応答部115に設定されている。
【0056】
MFP1が暗号化サムネイルデータ322を受信した場合について説明する。暗号化サムネイルデータ322のファイルサイズが38KBであり(図2参照)、しきい値より小さいことから(ステップS441においてYes)、閲覧要求応答部115は、暗号化サムネイルデータ322の復号を決定する(ステップS442)。暗号化サムネイルデータ322は、認証情報40に登録されたPC3のユーザのパスワードに基づいて復号され(ステップS443)、サムネイルデータ222が生成される。
【0057】
閲覧要求応答部115は、閲覧要求(ステップS41)の応答として、サムネイルデータ222をPC3に送信する(ステップS45)。PC3のウェブブラウザ33は、受信したサムネイルデータ222をモニタ32に表示させる。
【0058】
なお、図2において、暗号化画像データ311〜313のサイズが全て100KB以上であるが、サイズが100KB以下の暗号化画像データは、閲覧要求応答部115により復号された上でPC3に転送される。
【0059】
次に、MFP1が受信したデータが暗号化画像データ312の場合について説明する。暗号化画像データ312のサイズが8MBであり(図2参照)、しきい値以上であるため(ステップS441においてNo)、閲覧要求応答部115は、暗号化画像データ312の送信を決定する(ステップS444)。暗号化画像データ312が、閲覧要求(ステップS41)の応答として、PC3に送信される。
【0060】
PC3が暗号化画像データ312を受信した場合、WEBブラウザ33は、パスワードの入力画面をモニタ32に表示する。PC3のユーザは、操作部31を操作して、MFP1のログインに使用するパスワードを入力する。WEBブラウザ33は、入力されたパスワードに基づいて暗号化画像データ312を復号する。暗号化画像データ312の復号により生成された画像データが、モニタ32に表示される。
【0061】
PC3のユーザが、MFP2で作成された「fileC」を選択し、画像表示ボタン72をクリックした場合を考える。この場合、上記と同様の処理が実行され、暗号化画像データ313がPC3に送信される。しかし、PC3のユーザは、暗号化画像データ313の復号に必要なPC4のユーザのパスワードを入力できないため、WEBブラウザ33は、エラーメッセージをモニタ32に表示する。このように、本実施の形態では、所定サイズ以上のバックアップデータが他のユーザに閲覧されることを防止できる。
【0062】
また、PC3のユーザが、「fileC」を選択し、サムネイル表示ボタン73をクリックした場合を考える。この場合、MFP1は、PC3の閲覧要求に応じて取得した暗号化サムネイルデータ323を、PC4のユーザのパスワードで復号する。暗号化サムネイルデータの復号により生成されたサムネイルデータが、PC3のモニタ32に表示される。なお、MFP1は、PC3のユーザのパスワードで暗号化サムネイルデータ323を復号できないことを確認した上で、エラーメッセージをPC3に送信してもよい。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態に係るMFP1は、閲覧要求に応じてファイルサーバ5から取得した暗号化データをPC3に転送する場合、所定サイズ以下の暗号化データを復号した上で転送する。これにより、PC3のユーザは、バックアップデータの閲覧を指示するたびに、パスワードを入力しなくてもよい。また、暗号化データのサイズが所定サイズより大きい場合、MFP1は、暗号化データを復号することなくPC3に送信する。サイズの大きい暗号化データがMFP1で復号されないため、MFP1の制御部11に大きな負荷がかかることを防止し、MFP1が実行する他の処理に遅延が発生することを防止できる。
【0064】
なお、本実施の形態において、暗号化されたバックアップデータ、または復号されたバックアップデータが、閲覧要求に応じてPC3に送信される例について説明したが、これに限られない。PC3のユーザがバックアップデータのダウンロードを要求してもよい。この場合、暗号化されたバックアップデータ、または復号されたバックアップデータが、上記と同様の処理によりPC3に送信される。PC3が受信したバックアップデータが暗号化されていれば、PC3は、暗号化されたバックアップデータを復号した上で、PC3が有する記憶装置に保存する。
【0065】
なお、バックアップデータ送信処理(ステップS4)において、閲覧要求(ステップS41)で指定されたオリジナル画像データまたはサムネイルデータが記憶部17に格納されていることがある。この場合、閲覧要求応答部115は、ステップS42〜S44の処理を省略し、記憶部17に格納されているデータを閲覧要求の応答として送信すればよい(ステップS45)。
【0066】
{変形例}
上記実施の形態では、MFP1が、取得した暗号化データのサイズに基づいて、暗号化データを復号するかどうかを決定した。本変形例では、閲覧要求応答部115は、PC3からの閲覧要求に応じて取得した暗号化データの復号の可否を、暗号化データのファイル名に基づいて決定する。
【0067】
閲覧要求応答部115は、取得した暗号化データのファイル名の末尾に文字列「_s」が付加されていた場合、取得した暗号化データが暗号化サムネイルデータであると判断する。そして、閲覧要求応答部115は、暗号化サムネイルデータから復号したサムネイルデータを、PC3に送信する。この結果、PC3のユーザは、復号に必要なパスワードを入力することなく、暗号化サムネイルデータを閲覧することができる。
【0068】
一方、取得した暗号化データのファイル名の末尾に文字列「_s」が付加されていない場合、暗号化データが、オリジナル画像データが暗号化されたデータであると判定される。閲覧要求応答部115は、取得した暗号化データを、復号することなくPC3に送信する。PC3のユーザは、バックアップされたオリジナル画像データを閲覧するためには、パスワードを入力する必要がある。本変形例では、バックアップされたオリジナル画像データは、サイズに関係なく、暗号化された状態でPC3に送信される。このため、作成者以外のユーザがバックアップされたオリジナル画像データを閲覧することを、確実に防ぐことができる。また、作成者以外のユーザがバックアップされたオリジナル画像データをダウンロードしたとしても、バックアップされたオリジナル画像データの編集などが行われることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0069】
1、2 MFP
3、4 PC
5 ファイルサーバ
6 LAN
11 制御部
17 記憶部
51、52 共有フォルダ
111 バックアップ設定部
112 バックアップ処理部
113 サムネイル作成部
114 リストデータ作成部
115 閲覧要求応答部
211 画像データ
221、222 サムネイルデータ
311、312、313 暗号化画像データ
321、322、323 暗号化サムネイルデータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得したオリジナル画像データを暗号化して記憶装置にバックアップするバックアップ部と、
暗号化された状態で前記記憶装置に保存されているデータの閲覧要求を端末装置から受信した場合、前記閲覧要求で指定されたデータに対応する暗号化データを前記記憶装置から取得する取得部と、
前記暗号化データが第1条件を満たす場合、前記暗号化データを復号して生成した復号画像データを前記端末装置に送信し、前記暗号化データが前記第1条件を満たさない場合、前記暗号化データを前記端末装置に送信する送信部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記第1条件は、前記暗号化データのサイズが所定サイズより小さいという条件であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記バックアップ部は、
前記取得したオリジナル画像データからサムネイルを作成するサムネイル作成部と、
前記取得したオリジナル画像データおよび前記サムネイルを暗号化して前記記憶装置に送信する暗号化部と、
を含み、
前記第1条件は、前記暗号化データが前記サムネイルを暗号化したデータであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
ネットワークに接続される画像処理装置と、端末装置と、記憶装置と、を備える画像処理システムであって、
前記画像処理装置は、
取得したオリジナル画像データを暗号化して前記記憶装置にバックアップするバックアップ部と、
暗号化された状態で前記記憶装置に保存されているデータの閲覧要求を前記端末装置から受信した場合、前記閲覧要求で指定されたデータに対応する暗号化データを前記記憶装置から取得する取得部と、
前記暗号化データが第1条件を満たす場合、前記暗号化データを復号して生成した復号画像データを前記端末装置に送信し、前記暗号化データが前記第1条件を満たさない場合、前記暗号化データを前記端末装置に送信する送信部と、
を備え、
前記端末装置は、
前記閲覧要求を前記画像処理装置に送信する要求部と、
前記閲覧要求に応じて受信したデータが前記暗号化データの場合、前記暗号化データを復号する復号部と、
を備えることを特徴とする画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−199967(P2010−199967A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42269(P2009−42269)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】