説明

画像処理装置および画像処理方法

【課題】 従来より利便性を向上させることができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】 複合機は、画像を記憶する利用者ボックスと、画像に対して実行される処理を利用者ボックス処理設定で設定する処理設定手段と、利用者ボックスに画像が記憶されたときに処理設定手段によって利用者ボックス処理設定で設定されている処理である画像変換(S101)、出力(S103)および削除(S105)を画像に対して実行する処理実行手段とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を処理することができる画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー、ファクシミリ、スキャナの各機能によって原稿を読み取るとき、原稿を多値で読み取ったオリジナルの画像と、各機能における画像変換の条件とを蓄積するとともに、オリジナルの画像を画像変換の条件で変換した後、変換後の画像を各機能で使用する画像形成システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、この画像形成システムにおいては、各機能で使用した画像をそのまま再利用する場合には、蓄積していたオリジナルの画像を、蓄積していた画像変換の条件で変換した後、変換後の画像を再利用するようになっており、各機能で使用した画像を利用者が新たに設定した画像変換の条件で変換して再利用する場合には、蓄積していたオリジナルの画像を、利用者が新たに設定した画像変換の条件で変換した後、変換後の画像を再利用するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−283713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている画像形成システムにおいては、利用者が新たに設定する画像変換の条件が毎回同じであったとしても、再利用の度に利用者に同じ画像変換の条件を設定させる必要があり、利用者にとって不便であるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、従来より利便性を向上させることができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、画像を記憶する画像記憶部と、前記画像に対して実行される処理を設定する処理設定手段と、前記画像記憶部に前記画像が記憶されたときに前記処理設定手段によって設定されている前記処理を前記画像に対して実行する処理実行手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の画像処理装置は、画像記憶部に画像が記憶されたときに画像に対して予め設定されている処理を自動的に実行するので、従来より利便性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明の画像処理装置は、ジョブを実行するジョブ実行手段と、前記ジョブによって利用される前記画像を前記画像記憶部に記憶させるか否かを設定する記憶設定手段とを備えており、前記ジョブ実行手段は、前記ジョブによって利用される前記画像を前記画像記憶部に記憶させると前記記憶設定手段によって設定されている場合、前記ジョブを実行するときに前記ジョブによって利用される前記画像を前記画像記憶部に記憶させることが好ましい。
【0009】
この構成により、本発明の画像処理装置は、ジョブを実行するときに画像に対して予め設定されている処理を自動的に実行することができる。
【0010】
本発明の画像処理方法は、画像に対して実行される処理の設定を行い、前記画像を記憶する画像記憶部に前記画像が記憶されたときに前記画像に対して前記処理を実行することを特徴とする。
【0011】
この構成により、本発明の画像処理方法は、画像記憶部に画像が記憶されたときに画像に対して予め設定されている処理を自動的に実行するので、従来より利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像処理装置は、従来より利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す利用者ボックス処理設定を指定する画面の例を示す図である。
【図3】利用者ボックスが使用される場合の図1に示す複合機の動作のフローチャートである。
【図4】図1に示すシステムボックス記憶設定およびシステムボックス処理設定を指定する画面の例を示す図である。
【図5】コピーのジョブを実行する場合の図1に示す複合機の動作のフローチャートである。
【図6】図1に示すシステムボックス記憶設定およびシステムボックス処理設定を指定する画面の例であって、図4に示す例とは異なる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
まず、本実施の形態に係る画像処理装置としての複合機の構成について説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る複合機10の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、複合機10は、複合機10全体を制御する制御部11と、種々の情報を記憶する記憶部12と、利用者によって種々の操作が入力される図示していない操作パネル上の操作部13と、種々の情報を表示する操作パネル上の表示部14と、原稿から画像を読み取るスキャナ部15と、印刷ジョブを印刷するプリンタ部16と、外部の装置とネットワークなどを介して通信を行うための通信部17とを備えている。
【0018】
制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶している不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)と、プログラムおよび各種のデータを記憶する書き換え可能な不揮発性のメモリであるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられる揮発性のメモリであるRAM(Random Access Memory)となどによって構成されているコンピュータである。CPUは、ROMやEEPROMに記憶されているプログラムを実行することによって制御部11を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0019】
制御部11は、プログラムを実行することによって、画像に対して実行される処理を設定する処理設定手段11aと、後述する利用者ボックス12aやシステムボックス12bに画像が記憶されたときに処理設定手段11aによって設定されている処理を画像に対して実行する処理実行手段11bと、ジョブを実行するジョブ実行手段11cと、ジョブによって利用される画像をシステムボックス12bに記憶させるか否かを設定する記憶設定手段11dとして機能するようになっている。
【0020】
記憶部12は、例えば、EEPROM、RAM、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶デバイスである。記憶部12は、画像を記憶する画像記憶部であって複合機10の利用者によって使用される利用者ボックス12aと、画像を記憶する画像記憶部であって複合機10によって使用されるシステムボックス12bと、利用者ボックス12aに記憶される画像に対して実行される処理の設定である利用者ボックス処理設定12cと、ジョブによって利用される画像をシステムボックス12bに記憶させるか否かの設定であるシステムボックス記憶設定12dと、システムボックス12bに記憶される画像に対して実行される処理の設定であるシステムボックス処理設定12eとを備えている。記憶部12は、複合機10の利用者毎に利用者ボックス12aおよび利用者ボックス処理設定12cを備えている。複合機10の利用者は、操作部13を操作することによって利用者自身の利用者ボックス12aおよび利用者ボックス処理設定12cを記憶部12に生成することができる。また、複合機10の利用者は、操作部13を操作することによってシステムボックス12b、システムボックス記憶設定12dおよびシステムボックス処理設定12eを記憶部12に生成することもできる。
【0021】
操作部13は、例えば、表示部14とともにタッチパネルを形成するボタンや、操作パネル上のボタンなどの入力デバイスである。
【0022】
表示部14は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである。
【0023】
スキャナ部15は、原稿から画像を読み取る読取デバイスである。
【0024】
プリンタ部16は、外部の装置からの印刷データの印刷ジョブや、スキャナ部15によって読み取られた画像の印刷ジョブであるコピーの印刷ジョブなどの印刷ジョブを印刷する印刷デバイスである。
【0025】
通信部17は、例えば、スキャナ部15によって読み取られた画像を外部の装置に送信したり、プリンタ部16によって印刷されるための印刷データを外部の装置から受信したりする通信デバイスである。
【0026】
次に、複合機10の動作について説明する。
【0027】
まず、利用者ボックス12aが使用される場合の複合機10の動作について説明する。
【0028】
図2は、利用者ボックス処理設定12cを指定する画面の例を示す図である。
【0029】
利用者は、利用者ボックス処理設定12cの指定の開始を操作部13を介して複合機10に指示することができる。複合機10の制御部11の機能の1つである処理設定手段11aは、利用者ボックス処理設定12cの指定の開始が操作部13を介して指示されると、図2に示す画面を表示部14に表示させる。
【0030】
そして、利用者は、表示部14に表示されている利用者ボックス処理設定12cの変更を操作部13を介して複合機10に指示することができる。処理設定手段11aは、利用者ボックス処理設定12cの変更が操作部13を介して指示されると、変更後の利用者ボックス処理設定12cを記憶部12に記憶させる。
【0031】
ここで、図2に示す画面における利用者ボックス処理設定12cの各項目を説明する。
【0032】
「出力先」は、利用者ボックス12aに記憶された画像が出力される宛先を設定するための項目であり、例えば「指定なし」、「利用者のPC」、「画像管理サーバー」などの選択肢がある。「指定なし」とは、利用者ボックス12aに記憶された画像を出力しないということである。「利用者のPC」は、実際には利用者のPC(Personal Computer)のアドレスが関連付けられている。同様に、「画像管理サーバー」は、実際には画像管理サーバーのアドレスが関連付けられている。
【0033】
「カラーモード」は、利用者ボックス12aに記憶された画像が画像変換されるカラーモードを設定するための項目であり、例えば「記憶時の設定に従う」、「フルカラー」、「グレースケール」、「白黒」などの選択肢がある。「記憶時の設定に従う」とは、スキャナ部15によって原稿から読み取られたときのカラーモードを変更しないということである。
【0034】
「解像度」は、利用者ボックス12aに記憶された画像が画像変換される解像度を設定するための項目であり、例えば「記憶時の設定に従う」、「200dpi」、「300dpi」、「400dpi」、「600dpi」などの選択肢がある。「記憶時の設定に従う」とは、スキャナ部15によって原稿から読み取られたときの解像度を変更しないということである。
【0035】
「ファイル形式」は、利用者ボックス12aに記憶された画像が画像変換されるファイル形式を設定するための項目であり、例えば「記憶時の設定に従う」、「PDF」、「XPS」、「TIFF」、「JPEG」などの選択肢がある。「記憶時の設定に従う」とは、スキャナ部15によって原稿から読み取られたときのファイル形式を変更しないということである。
【0036】
「出力後削除」は、利用者ボックス12aに記憶された画像を出力後に利用者ボックス12aから削除するか否かを設定するための項目であり、「削除する」、「削除しない」という選択肢がある。
【0037】
図3は、利用者ボックス12aが使用される場合の複合機10の動作のフローチャートである。
【0038】
利用者は、スキャナ部15によって原稿から画像を読み取らせて、スキャナ部15によって読み取らせた画像を利用者ボックス12aに記憶させること(以下「ScanTo利用者ボックス」という。)を、操作部13を介して複合機10に指示することができる。制御部11は、ScanTo利用者ボックスが操作部13を介して指示されると、ScanTo利用者ボックスを実行する。そして、制御部11がScanTo利用者ボックスを実行すると、制御部11の機能の1つである処理実行手段11bは、利用者ボックス12aに記憶させられた画像に対して図3に示す処理の実行を開始する。
【0039】
図3に示すように、処理実行手段11bは、利用者ボックス12aに記憶された画像に対して利用者ボックス処理設定12c内の画像変換の設定に基づいて画像変換を実行する(S101)。つまり、処理実行手段11bは、「カラーモード」、「解像度」、「ファイル形式」の設定に基づいて画像変換を実行する。
【0040】
なお、「カラーモード」が「記憶時の設定に従う」であり、「解像度」が「記憶時の設定に従う」であり、「ファイル形式」が「記憶時の設定に従う」である場合、処理実行手段11bは、利用者ボックス12aに記憶された画像に対して、実際には画像変換を行わない。つまり、利用者ボックス12aには、スキャナ部15によって原稿から読み取られたままの画像が記憶され続ける。
【0041】
処理実行手段11bは、S101の処理を実行すると、利用者ボックス処理設定12cに出力の設定があるか否かを判断する(S102)。ここで、処理実行手段11bは、「出力先」が「指定なし」ではない場合、出力の設定があると判断する。
【0042】
処理実行手段11bは、利用者ボックス処理設定12cに出力の設定があるとS102において判断すると、利用者ボックス12aに記憶された画像に対して利用者ボックス処理設定12c内の出力の設定に基づいて出力を実行する(S103)。
【0043】
次いで、処理実行手段11bは、利用者ボックス処理設定12cに出力後削除の設定があるか否かを判断する(S104)。ここで、処理実行手段11bは、「出力後削除」が「削除する」である場合、出力後削除の設定があると判断し、「出力後削除」が「削除しない」である場合、出力後削除の設定がないと判断する。
【0044】
処理実行手段11bは、利用者ボックス処理設定12cに出力後削除の設定があるとS104において判断すると、利用者ボックス12aに記憶された画像を利用者ボックス12aから削除する(S105)。
【0045】
処理実行手段11bは、利用者ボックス処理設定12cに出力の設定がないとS102において判断したとき、または、利用者ボックス処理設定12cに出力後削除の設定がないとS104において判断したとき、図3に示す処理の実行を終了する。
【0046】
なお、処理実行手段11bは、利用者ボックス処理設定12cに出力の設定がないとS102において判断したとき、または、利用者ボックス処理設定12cに出力後削除の設定がないとS104において判断したとき、利用者ボックス12aに記憶された画像を利用者ボックス12aから削除しない。したがって、利用者は、利用者ボックス12aに記憶されている画像を複合機10に送信させたり印刷させたりすることができる。
【0047】
利用者ボックス処理設定12cが図2に示す例である場合、処理実行手段11bは、利用者ボックス12aに記憶させられた画像を、「カラーモード」が「フルカラー」であり、「解像度」が「300dpi」であり、「ファイル形式」が「PDF」である画像に画像変換して更新し(S101)、通信部17を介して「利用者のPC」に宛てて送信し(S103)、利用者ボックス12aから削除する(S105)。
【0048】
なお、利用者ボックス処理設定12cに含まれる項目の構成は、上述した構成に限られない。例えば、利用者ボックス処理設定12cは、利用者ボックス12aに記憶させられた画像の出力方法として、電子メールでの送信や、FTP(File Transfer Protocol)での送信などを設定可能に構成されることもできる。
【0049】
以上に説明したように、複合機10は、ScanTo利用者ボックスが実行されて利用者ボックス12aに画像が記憶されたときに、利用者ボックス12aに記憶させられた画像に対して、予め設定されている処理、すなわち、利用者ボックス処理設定12cに応じた処理を自動的に実行する。そのため、利用者は、スキャナ部15によって読み取られせる画像に対する処理を毎回設定しなくても、複合機10にScanTo利用者ボックスを実行させる操作を行うのみで、画像に対して毎回同じ処理を複合機10に実行させることができる。したがって、複合機10は、従来より利便性を向上させることができる。
【0050】
次に、システムボックス12bが使用される場合の複合機10の動作について説明する。
【0051】
図4は、システムボックス記憶設定12dおよびシステムボックス処理設定12eを指定する画面の例を示す図である。
【0052】
利用者は、システムボックス記憶設定12dおよびシステムボックス処理設定12eの指定の開始を操作部13を介して複合機10に指示することができる。複合機10の制御部11の機能の1つである処理設定手段11aおよび記憶設定手段11dは、システムボックス記憶設定12dおよびシステムボックス処理設定12eの指定の開始が操作部13を介して指示されると、図4に示す画面を表示部14に表示させる。
【0053】
そして、利用者は、表示部14に表示されているシステムボックス記憶設定12dの変更を操作部13を介して複合機10に指示することができる。記憶設定手段11dは、システムボックス記憶設定12dの変更が操作部13を介して指示されると、変更後のシステムボックス記憶設定12dを記憶部12に記憶させる。
【0054】
同様に、利用者は、表示部14に表示されているシステムボックス処理設定12eの変更を操作部13を介して複合機10に指示することができる。処理設定手段11aは、システムボックス処理設定12eの変更が操作部13を介して指示されると、変更後のシステムボックス処理設定12eを記憶部12に記憶させる。
【0055】
ここで、図4に示す画面におけるシステムボックス記憶設定12dを説明する。「システムボックス経由」は、ジョブによって利用される画像をシステムボックス12bに記憶させるか否かを設定するための項目であり、「経由する」、「経由しない」という選択肢がある。「経由する」は、ジョブによって利用される画像をシステムボックス12bに記憶させるということである。一方、「経由しない」は、ジョブによって利用される画像をシステムボックス12bに記憶させないということである。
【0056】
システムボックス処理設定12eの各項目については、上述した利用者ボックス処理設定12cの各項目と同様であるので、説明を省略する。
【0057】
図5は、コピーのジョブを実行する場合の複合機10の動作のフローチャートである。
【0058】
利用者は、コピーのジョブ、すなわち、スキャナ部15によって原稿から画像を読み取らせて、読み取らせた画像をプリンタ部16に印刷させること(以下「ScanToPrint」という。)を、操作部13を介して複合機10に指示することができる。制御部11は、ScanToPrintが操作部13を介して指示されると、図5に示す処理の実行を開始する。
【0059】
図5に示すように、制御部11の機能の1つであるジョブ実行手段11cは、システムボックス記憶設定12dに経由の設定があるか否かを判断する(S121)。ここで、ジョブ実行手段11cは、「システムボックス経由」が「経由する」である場合、経由の設定があると判断し、「経由しない」である場合、経由の設定がないと判断する。
【0060】
ジョブ実行手段11cは、システムボックス記憶設定12dに経由の設定がないとS121において判断すると、ScanToPrintを実行して(S122)、図5に示す処理を終了する。
【0061】
一方、ジョブ実行手段11cは、システムボックス記憶設定12dに経由の設定があるとS121において判断すると、画像処理フローであるScanToPrintを分割する(S123)。つまり、ジョブ実行手段11cは、スキャナ部15によって原稿から画像を読み取らせて、スキャナ部15によって読み取らせた画像をシステムボックス12bに記憶させること(以下「ScanToシステムボックス」という。)と、システムボックス12bに記憶させた画像をプリンタ部16に印刷させること(以下「システムボックスToPrint」という。)とに、ScanToPrintを分割する。
【0062】
次いで、ジョブ実行手段11cは、ScanToシステムボックスを実行した後(S124)、システムボックスToPrintを実行して(S125)、図5に示す処理を終了する。
【0063】
ジョブ実行手段11cがS124の処理を実行してから図5に示す処理を終了すると、処理実行手段11bは、S124においてシステムボックス12bに記憶させられた画像に対してシステムボックス処理設定12eに基づいて図3に示す処理と同様の処理を実行する。
【0064】
システムボックス記憶設定12dおよびシステムボックス処理設定12eが図4に示す例である場合、ジョブ実行手段11cは、スキャナ部15によって読み取らせた画像をシステムボックス12bに記憶させてからコピーのジョブを終了する。そして、処理実行手段11bは、システムボックス12bに記憶させられた画像を画像変換せず、何処にも送信せず、システムボックス12bから削除もしない。したがって、利用者は、コピーのジョブが終了した後、システムボックス12bに記憶させられた画像をプリンタ部16に印刷させることによって、コピーのジョブによって生成された印刷物と同一の印刷物を再び得ることができる。つまり、利用者は、いわゆる再コピーを複合機10に実行させることができる。
【0065】
以上においては、コピーのジョブについて説明しているが、スキャナ部15によって読み取らせた画像を扱うジョブであれば、スキャナ部15によって読み取らせた画像をFAXで送信するFAX送信のジョブ、スキャナ部15によって読み取らせた画像を電子メールで送信する電子メール送信のジョブ、スキャナ部15によって読み取らせた画像をFTPで送信するFTP送信のジョブなど、コピーのジョブ以外のジョブであっても同様である。
【0066】
例えば、FAX送信のジョブについて説明する。
【0067】
図6は、システムボックス記憶設定12dおよびシステムボックス処理設定12eを指定する画面の例であって、図4に示す例とは異なる例を示す図である。
【0068】
システムボックス記憶設定12dおよびシステムボックス処理設定12eが図6に示す例である場合、ジョブ実行手段11cは、スキャナ部15によって読み取らせた画像をシステムボックス12bに記憶させてからFAX送信のジョブを終了する。そして、処理実行手段11bは、システムボックス12bに記憶させられた画像を、「カラーモード」が「フルカラー」であり、「解像度」が「300dpi」であり、「ファイル形式」が「PDF」である画像に画像変換して更新し、通信部17を介して「画像管理サーバー」に宛てて送信し、システムボックス12bから削除しない。したがって、複合機10は、FAX送信のジョブが終了した後、利用者によって指定された設定に基づいて画像を画像変換し、利用者によって指定された宛先である画像管理サーバーに送信することができる。つまり、利用者は、いわゆる原稿控え送信を複合機10に実行させることができる。
【0069】
なお、システムボックス記憶設定12dは、ジョブによって利用される画像をシステムボックス12bに記憶させるか否かを、ジョブの種類によって設定されるようになっていても良い。例えば、システムボックス記憶設定12dは、ジョブがコピーのジョブである場合には、ジョブによって利用される画像をシステムボックス12bに記憶させ、ジョブがFAX送信のジョブである場合には、ジョブによって利用される画像をシステムボックス12bに記憶させないと設定されるようになっていても良い。
【0070】
同様に、システムボックス処理設定12eは、ジョブの種類によって設定されるようになっていても良い。例えば、システムボックス処理設定12eは、ジョブがコピーのジョブである場合には、図4に示すように設定され、ジョブがFAX送信のジョブである場合には、図6に示すように設定されるようになっていても良い。
【0071】
また、システムボックス処理設定12eに含まれる項目の構成は、上述した構成に限られない。例えば、システムボックス処理設定12eは、システムボックス12bに記憶させられた画像の出力方法として、電子メールでの送信や、FTPでの送信などを設定可能に構成されることもできる。
【0072】
以上に説明したように、複合機10は、ジョブが実行されてシステムボックス12bに画像が記憶されたときに、システムボックス12bに記憶させられた画像に対して、予め設定されている処理、すなわち、システムボックス処理設定12eに応じた処理を自動的に実行する。そのため、利用者は、スキャナ部15によって読み取られせる画像に対する処理のうち、ジョブの処理以外の処理を毎回設定しなくても、複合機10にジョブを実行させる操作を行うのみで、画像に対して毎回同じ処理を複合機10に実行させることができる。したがって、複合機10は、従来より利便性を向上させることができる。
【0073】
なお、本発明の画像処理装置は、本実施の形態において複合機について説明しているが、コピー機など、複合機以外の画像処理装置であっても良い。
【符号の説明】
【0074】
10 複合機(画像処理装置)
11a 処理設定手段
11b 処理実行手段
11c ジョブ実行手段
11d 記憶設定手段
12a 利用者ボックス(画像記憶部)
12b システムボックス(画像記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を記憶する画像記憶部と、前記画像に対して実行される処理を設定する処理設定手段と、前記画像記憶部に前記画像が記憶されたときに前記処理設定手段によって設定されている前記処理を前記画像に対して実行する処理実行手段とを備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
ジョブを実行するジョブ実行手段と、前記ジョブによって利用される前記画像を前記画像記憶部に記憶させるか否かを設定する記憶設定手段とを備えており、
前記ジョブ実行手段は、前記ジョブによって利用される前記画像を前記画像記憶部に記憶させると前記記憶設定手段によって設定されている場合、前記ジョブを実行するときに前記ジョブによって利用される前記画像を前記画像記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
画像に対して実行される処理の設定を行い、前記画像を記憶する画像記憶部に前記画像が記憶されたときに前記画像に対して前記処理を実行することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−188194(P2011−188194A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50689(P2010−50689)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】