画像処理装置および画像処理方法
【課題】観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で再現するソフトプルーフ処理において、ユーザの観察照明環境を簡易に取得し、反映させる。
【解決手段】ユーザの観察照明の設置情報と発光情報をUI部17より取得する。プルーフ用データ生成部13では、環境データ保持部12より該設置情報に応じた照明画像データを選択し、メディアの変角反射特性に応じて生成されたローパスフィルタを用いたフィルタ処理を施すことでボケ画像データを生成する。画像処理部15はまず、メディアについて予め保持された色毎の光沢成分および拡散成分を、観察照明の発光情報に応じて補正する。そしてプルーフ対象画像の画素毎に、該画素の色に応じて、補正後の光沢成分と拡散成分の差分に当該画素位置に対応するボケ画像データを乗じ、さらに拡散成分を加算することで当該画素のプルーフ色を算出する。これによってプルーフ画像が生成され、表示部16に表示される。
【解決手段】ユーザの観察照明の設置情報と発光情報をUI部17より取得する。プルーフ用データ生成部13では、環境データ保持部12より該設置情報に応じた照明画像データを選択し、メディアの変角反射特性に応じて生成されたローパスフィルタを用いたフィルタ処理を施すことでボケ画像データを生成する。画像処理部15はまず、メディアについて予め保持された色毎の光沢成分および拡散成分を、観察照明の発光情報に応じて補正する。そしてプルーフ対象画像の画素毎に、該画素の色に応じて、補正後の光沢成分と拡散成分の差分に当該画素位置に対応するボケ画像データを乗じ、さらに拡散成分を加算することで当該画素のプルーフ色を算出する。これによってプルーフ画像が生成され、表示部16に表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で再現するソフトプルーフ処理を行う画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等による実印刷物の仕上がり具合についてパーソナルコンピュータ(PC)等でシミュレーションを行ったプルーフ画像を表示する処理は、ソフトプルーフ処理と呼ばれる。一般にソフトプルーフ処理においては、実印刷物の反射光の色成分(以下、拡散成分)に対してカラーマッチング処理を行い、その色味を忠実に表示デバイス上に再現する。近年のソフトプルーフ処理においては、コンピュータグラフィックス(CG)を利用することで、印刷物の拡散成分だけでなく、光沢成分(照明の写り込み)も含めてシミュレーションを行う技術が広まりつつある。
【0003】
従来、ユーザがソフトプルーフのアプリケーションを使用する場合、予め定められた仮想環境下でのプルーフ画像を表示させるか、あるいは高価な測定器を用いて実環境を測定し、該環境情報をアプリケーションに反映させてプルーフ画像を表示させていた。
【0004】
また、プルーフ画像に対し、メディア毎に異なる光沢成分を反映させることのできる光沢ソフトプルーフ処理を行う技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
さらに、プルーフ画像に環境情報を反映(環境マッピング)させる際に、別に作成した太陽の画像を環境画像に合成し、自動車表面の太陽の反射を再現する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−272705号公報
【特許文献2】特開2003−99801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、写り込む光沢成分としては予め用意されたものを使用するしかないため、ユーザの観察環境にあった光沢成分を用いることができない場合があった。
【0008】
また、上記特許文献2に記載の技術においては、太陽の画像はカメラで撮影したものではないため、太陽以外の光源を反映することは困難であった。
【0009】
そこで本発明は、ユーザの観察照明環境を簡易に取得してソフトプルーフ処理に反映させることで、該観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で高精度に再現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための一手段として、本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。
【0011】
すなわち、観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で再現するソフトプルーフ処理を行う画像処理装置であって、前記印刷物のメディアの変角反射特性を予め保持する変角反射特性保持手段と、複数種類の観察照明についての平面上での強度分布をそれぞれの照明画像データとして予め保持する照明画像保持手段と、前記メディアに複数色が印刷されたサンプル印刷物に対し、サンプル照明の正反射光による測色値を該複数色の色毎の光沢成分として予め保持する光沢成分保持手段と、前記サンプル印刷物に対し、前記サンプル照明の拡散反射光による測色値を前記複数色の色毎の拡散成分として予め保持する拡散成分保持手段と、前記観察照明について、その設置状態を示す設置情報と発光状態を示す発光情報を取得する環境取得手段と、前記照明画像保持手段から前記観察照明の設置情報に応じた照明画像データを選択する照明画像選択手段と、該選択された照明画像データに対し、前記変角反射特性に応じて生成されたローパスフィルタを用いたフィルタ処理を施すことでボケ画像データを生成するボケ画像生成手段と、前記光沢成分保持手段および前記拡散成分保持手段に保持された光沢成分および拡散成分を、前記観察照明の発光情報に応じて補正する補正手段と、プルーフ対象画像の画素毎に、該画素の色に応じて、前記補正手段による補正後の光沢成分と拡散成分の差分に当該画素位置に対応する前記ボケ画像データを乗じ、さらに該拡散成分を加算することで当該画素のプルーフ色を算出するプルーフ画像生成手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザの観察照明環境を簡易に取得してソフトプルーフ処理に反映させることで、該観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で高精度に再現することを目的とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態における画像処理装置のシステム構成を示すブロック図、
【図2】光沢ソフトプルーフ処理を示すフローチャート、
【図3】ユーザ環境取得用のUI例を示す図、
【図4】メディア表面凹凸データ取得用のUI例を示す図、
【図5】プルーフ用データ生成部の詳細構成を示すブロック図、
【図6】プルーフ用データ生成処理を示すフローチャート、
【図7】予め保持される照明画像データ例を示す図、
【図8】画像処理部の詳細構成を示すブロック図、
【図9】プルーフ画像生成処理を示すフローチャート、
【図10】ユーザ環境と白色点のXYZ値の関係例を示す図、
【図11】仮想環境例を示す図、
【図12】プルーフ画像の表示例を示す図、
【図13】第2実施形態における画像処理装置のシステム構成を示すブロック図、
【図14】光沢ソフトプルーフ処理を示すフローチャート、
【図15】照明画像データ例を示す図、
【図16】プルーフ用データ生成部の詳細構成を示すブロック図、
【図17】プルーフ用データ生成処理を示すフローチャート、である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に関る本発明を限定するものではなく、また、本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0015】
<第1実施形態>
●システム構成
図1は、本実施形態において観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で再現する、所謂ソフトプルーフ処理を行う画像処理装置のシステム構成を示したものである。同図においてユーザ環境取得部11は、ソフトプルーフ対象となるユーザの照明環境を含むユーザ環境の情報を取得する。環境データ保持部12は、印刷するメディアの反射特性と、ユーザ環境取得部11で取得されたユーザ照明環境に対応する、ソフトプルーフ処理で映り込ませる照明の画像データ(以下、照明画像データ)を保持している。プルーフ用データ生成部13は、環境データ保持部12から、印刷するメディアの反射特性と、ユーザ環境取得部11により取得されたユーザ照明環境に対応する照明画像データを取得し、ソフトプルーフ用のボケ画像データを生成する。画像保持部14は、ソフトプルーフ処理の対象となる画像(以下、プルーフ対象画像)と、該プルーフ対象画像のRGB値を光沢成分および拡散成分としてのXYZ値に変換するための情報(LUT)を保持する。画像処理部15は、プルーフ用データ生成部13で生成されたボケ画像データと、画像保持部14に保持されたプルーフ対象画像を用いて、表示対象となるプルーフ画像を生成する。表示部16は、画像処理部15で生成されたプルーフ画像を表示するモニタである。ユーザインタフェイス(UI)部17は、表示部16に表示されたプルーフ画像を回転させるための任意の回転角度情報を、ユーザ指示に基づいて入力する。なお、図1に示す各構成は、CPUやROM、RAM等からなる不図示の制御部によって統括的に制御される。
【0016】
●ソフトプルーフ処理概要
以下、本実施形態における光沢ソフトプルーフ処理の概要について説明する。本実施形態における光沢ソフトプルーフ処理は、所定のメディアに対するプルーフ対象画像の印刷物を、所定の仮想環境下で観察した際の見えをモニタ上で再現する。本実施形態では図11に示すような仮想環境がCGにより作成され、予め画像処理部15に設定されている。ここで、仮想環境は以下のように作成される。すなわち、まず図11に示すような、壁や天井、床などの3Dオブジェクトを設定して仮想空間1161を作成する。次に、仮想印刷物を観察する仮想照明1162を設定し、仮想印刷物1163を仮想空間の中央近辺に設定し、最後に仮想視点1164の位置を設定する。本実施形態におけるプルーフ対象画像の印刷物は、仮想印刷物1163として仮想空間1161内に設置され、これを仮想視点1164から観察した際の見えがプルーフ画像として再現される。
【0017】
図2に、本実施形態における光沢ソフトプル−フ処理の概要フローチャートを示す。なお、図2に示す各ステップの詳細についてはそれぞれ後述する。
【0018】
まずS11でユーザ環境取得部11において、ユーザ照明環境およびメディア凹凸等のユーザ環境を取得する。次にS12でプルーフ用データ生成部13において、環境データ保持部12に保持されているデータを用いて、上記ユーザ環境および仮想環境に基づくソフトプルーフ用のボケ画像データを生成する。そしてS13で画像処理部15においてプルーフ画像を生成し、該生成されたプルーフ画像をS14で表示部16に表示する。表示されたプルーフ画像は、UI部17からのユーザ入力に従って任意に回転させることが可能である。そしてS15において処理終了か否かを判断し、未終了であればS12のボケ画像データ生成処理に戻る。
【0019】
●ユーザ環境の取得処理
以下、上記S11におけるユーザ環境(ユーザ照明環境およびメディア凹凸情報)の取得処理について、詳細に説明する。
【0020】
まず、ユーザ照明環境を取得する処理について説明する。本実施形態におけるユーザ照明環境とは、ユーザによって印刷物の観察が行われる照明環境の情報であり、観察照明の設置状態を示す設置情報と、発光状態を示す発光情報に大別される。設置情報としては、想定される観察照明の種類及び形状、数、照射方法、印刷物までの距離、等がある。また発光情報としては、環境照明の色温度、印刷物上の照度、等がある。
【0021】
ここで、ユーザ環境取得部11の一例として、UIからのユーザ指示によってユーザ環境情報が入力される例を示す。ここでのUIはユーザ環境取得部11に設けられても良いし、UI部17を用いても良い。図3は、ユーザ環境取得部11としてのUI例を示す図である。このUIから設定されるユーザ環境情報としては、例えば観察照明の設置情報として「種類/形状」、「本数」、「個数」、「照射方法」、「距離」が設定され、さらに発光情報として「色温度」、「照度」等の各情報が設定されると良い。詳細には、照明の「種類/形状」としては、蛍光灯(丸)や蛍光灯(棒)、白熱灯、等から選択する。なお、照明の「個数」とは、いくつかの照明をまとめた照明ボックスの数を表し、「本数」とは照明ボックス内にある照明の数を表し、「距離」は照明と印刷物間の距離を表す。また、「色温度」は暖色系や寒色系などの観察照明の色を表し、「照度」は印刷メディア上の照度である。
【0022】
以上のように選択されたユーザ環境情報のうち、観察照明の設置情報(種類及び形状、本数、個数、照射方法、距離)はプルーフ用データ生成部13で使用され、発光情報(色温度、照度)は画像処理部15で使用される。なお、図3に示すUI例においては選択ボックスごとに既定値が設定されており、特にユーザによる設定がなされなかったボックスについては既定値が選択される。
【0023】
次に、印刷するメディア表面の凹凸情報取得処理について説明する。図4に、メディア表面凹凸データを取得するためのUI例を示す。メディアの表面凹凸を決定する要素として、凹凸の周期と振幅が挙げられる。そこで本実施形態では図4(a)に示すように、メディアの表面凹凸の周期と振幅を複数段階で変化させ、所定の照明を写りこませたサンプル画像を表示し、最も実メディアに近いものをユーザに選択させる。また、図4(a)に対応してメディアの表面凹凸の周期と振幅を表す模式図を図4(b)に示す。具体的には、まずはじめに周期、振幅ともに粗い間隔でサンプル画像を表示し、ひとつが選択されるごとに、該選択されたサンプル画像を中心に周期、振幅ともにより細かな間隔の新たなサンプル画像を表示するようにする。最終的な選択は、サンプル画像における周期、振幅の間隔が所定の閾値以下になった時点か、ユーザが2回連続で同じサンプル画像を選択した場合とする。このように選択されたサンプル画像における表面凹凸データは、画像処理部15におけるプルーフ画像生成処理において使用される。
【0024】
●プルーフ用データ生成処理
以下、上記S12におけるプルーフ用データ生成処理として、ボケ画像データを生成する処理について説明する。図5は、環境データ保持部12およびプルーフ用データ生成部13の詳細構成を示すブロック図である。環境データ保持部12は、印刷するメディアの反射特性を保持する変角反射特性保持部121と、複数の照明画像データを保持する照明画像保持部122を有する。またプルーフ用データ生成部13は、ローパスフィルタ生成部131とボケ画像生成部132、照明画像選択部133を有する。
【0025】
ここで、変角反射特性保持部121に予め保持されている変角反射特性について説明する。変角反射特性とは、メディアに対して光が照射された際にどのような角度にどのような強度で反射して色が遷移するかを示す特性であり、BRDF(Bidirection Reflectance Distribution Function)と称される。BRDFは、当該メディアの実印刷物における各色(RGB値)について、光を照射した際の反射色(XYZ値)を各出射角(θ)において予め測定したデータ(BRDF(θ))である。測定方法としては例えば、まずRGBの複数の色票を備えるサンプル画像を、本実施形態においてプルーフ対象となる印刷物と同様のメディアに印刷したサンプル印刷物を用意する。そして所定のサンプル照明下において、変角測定器を用いて該サンプル印刷物への入射光に対する各出射角θの反射光を測定すれば良い。なお、このときのサンプル照明については特に規定しない。なお、変角反射特性保持部121においては、プルーフ対象となる印刷メディアのみならず、複数種類のメディアについてのBRDFを予め保持しておいても良い。この場合、ユーザによる印刷対象メディアの指定に応じて、対応するBRDFを選択すれば良い。
【0026】
次に、照明画像保持部122に予め保持されている照明画像データについて説明する。本実施形態ではソフトプルーフ処理における仮想照明1162としてユーザ環境取得部11で取得された観察照明について、測色計等により予め取得した強度分布を設定する。この照明強度分布は、観察照明の発光強度を2次元の平面(例えば、仮想空間の天井面)上で測定したデータであり、2次元の照明画像データLUM(i,j)として、照明画像保持部122に保持されている。ここで(i,j)は、図11に示す仮想空間1161において仮想照明1162が設置されている平面(仮想空間の天井面に相当。以下、仮想照明面と称する)における位置座標に相当する。
【0027】
図7は、照明画像保持部122に格納される照明画像データの例を示す図である。照明画像選択部133では、先にユーザが図3のUIを介して指定した観察照明の設置情報(種類/形状、個数、本数、照射方法)に従って、最適な照明画像データLUM(i,j)を選択する。このとき、複数の照明画像データLUM(i,j)を組み合せて最適な照明画像データLUM(i,j)を新たに作成することも可能である。図7において、(a)〜(c)は観察照明の「種類/形状」を示すデータであり、(a)は丸型蛍光灯、(b)は棒状蛍光灯、(c)は白熱灯、を示す。また(d)、(e)は観察照明の「照射方法」を示すデータであり、(d)はルーバー、(e)は拡散、を示す。また(f)、(g)はユーザによって作成された照明画像データの例である。例えば、観察照明の「形状」が丸型蛍光灯で、「照射方法」が拡散の場合は、図7における(a)の形状(閉領域)と(e)の形状をAND合成することで、(f)に示すような新たな照明画像データLUM(i,j)が作成される。また、棒状蛍光灯が「個数」2(横)、「本数」2、「照射方法」むき出し、で設置されている場合、まず図7の(b)に示すデータを2本合成し、さらにこれを横に2個並べることで、(g)に示すような新たな照明画像データLUM(i,j)が作成される。
【0028】
なお、本実施形態では照明画像データを平面上の2次元データとして用いる例を示すが、該平面上の位置座標と照明強度の関係を保持できれば、特にそのデータ形式については限定しない。また、光沢成分のプルーフをより正確に行うために、実際に測定した照明強度分布を用いる例を示したが、予めCG内部に保持されているプリセットのデータ等を用いることも可能である。
【0029】
以下、プルーフ用データ生成部13におけるボケ画像データ生成処理について、図6のフローチャートを用いて詳細に説明する。まずS121において、ローパスフィルタ生成部131で変角反射特性保持部121に保持された変角反射特性BRDF(θ)を用いて、以下のようにローパスフィルタを生成する。まず、照明画像選択部133で先にユーザが図3のUIを介して指定した、観察照明と印刷物間の「距離」を、仮想照明1162と仮想印刷物1163間の距離Dis[pixel]として設定する。そして下式(1)に従って、変角反射特性BRDF(θ)の各出射角度θを、BRDF測定時の照射点からの距離を示す画素数であるPixに変換する。なお、θの範囲はBRDF(θ)の出射角度の範囲と対応しており、例えば0〜45度の範囲である。
【0030】
Pix=Dis×tanθ, 0≦θ≦45 ・・・(1)
その後、各PixにおけるBRDF(Pix)に基づき、下式(2)により2次元ローパスフィルタLPF(a,b)を生成する。式(2)において、a,bはBRDF測定時の印刷物上における照射点を原点とした周辺位置を示す座標である。また、Sはフィルタサイズを示すパラメータであり、上記式(1)において出射角度の最大値(45度)におけるPix値に相当する。
【0031】
LPF(a,b)=BRDF((a2+b2)1/2) ・・・(2)
-S≦a≦S, -S≦b≦S
S=Dis×tan45°
(a2+b2)1/2≧S の場合、(a2+b2)1/2=S
次にS122において、照明画像選択部133で図3のUIを介して選択されたユーザ環境に応じて、照明画像保持部122に格納されている複数の照明画像データの中から最適なものを選択し、これを照明画像データLUM(i,j)とする。なお、ユーザ指示に応じて、照明画像保持部122に格納されている複数の照明画像に基づき、最適な照明画像データLUM(i,j)を新たに作成し、これを選択することも可能である。
【0032】
次にS123でボケ画像生成部132において、先に生成したローパスフィルタLPF(a,b)を用いて照明画像データLUM(i,j)をボカした、ボケ画像データlum(i,j)を生成する。詳細には、照明画像データLUM(i,j)に対するローパスフィルタによるフィルタ処理、すなわち以下の式(3)を用いたローパスフィルタLPF(a,b)の畳み込み演算を行う。式(3)において、M,Nはそれぞれi,jの最大値である。
【0033】
【0034】
以上のように生成されたボケ画像データlum(i,j)は、画像処理部15で使用される。
【0035】
●プルーフ画像生成処理
以下、上記S13におけるプルーフ画像生成処理の詳細について説明する。図8は、画像保持部14および画像処理部15の詳細構成を示すブロック図である。画像保持部14は、元画像保持部141と、光沢LUT・拡散LUT保持部142を有する。画像処理部15は、光沢成分画像生成部151、拡散成分画像生成部152、プルーフ画像生成部153、およびLUT補正部154を有する。
【0036】
ここで、光沢LUT・拡散LUT保持部142に保持されている光沢LUTおよび拡散LUTの作成方法について説明する。まず、RGBの複数の色票を備えるサンプル画像を、本実施形態においてプルーフ対象となる印刷物と同様のメディアに印刷したサンプル印刷物を用意する。このサンプル印刷物としては、上述したBRDF測定時に用いたサンプル印刷物と同じものを用いることができる。そして所定のサンプル照明下において、該サンプル印刷物に特に該サンプル照明を写り込ませずに測色し、該色毎に得られたXYZ値を拡散成分保持手段としての拡散LUTに保持する。すなわち拡散LUTは、サンプル印刷物における代表的なRGB値についての拡散反射光を予め測色したXYZ値(Xdiff,Ydiff,Zdiff)を、拡散成分として保持している。この拡散成分はすなわち、サンプル印刷物にサンプル照明が反射しない状態、言い換えればサンプル照明の写り込みがない場合の反射光の色成分である。
【0037】
また光沢LUTは、上記サンプル印刷物にサンプル照明を写り込ませて測色したXYZ値を色毎に保持する光沢成分保持手段である。すなわち、サンプル印刷物における代表的なRGB値について、サンプル照明の正反射光を測色したXYZ値(Xspec,Yspec,Zspec)を、光沢成分として保持している。光沢成分はすなわち、サンプル印刷物にサンプル照明が反射した状態で測色されたものであり、言い換えれば拡散成分に対してサンプル照明による写り込み、すなわち光沢成分が上乗せされたものである。したがって、プルーフ対象画像の入力画素値RGBから拡散LUTや光沢LUTを参照する際には、RGB値をインデックスとして対応するXYZ値をそれぞれ取得すれば良い。ただし、拡散LUTや光沢LUTに処理対象のRGB値が存在しない場合には、四面体補間等の補間によりこれを算出しても良い。なお、上記サンプル印刷物としては、複数色を含む画像が当該メディアに印刷されたものであれば適用可能である。
【0038】
図9は、画像処理部15におけるプルーフ画像生成処理を示すフローチャートである。まずS131でLUT補正部154において、光沢LUT・拡散LUT保持部142に保持されている光沢LUTおよび拡散LUTのそれぞれを、設定されたユーザ環境に応じて補正する。すなわち、上述したように光沢LUTおよび拡散LUTは、所定のサンプル照明下での測色値を保持しているため、これを指定されたユーザ環境にしたがって補正する。詳細には、サンプル照明と、ユーザ環境として指定された照明とで、その色温度に応じて互いの白色点のXYZ値を対応付け、他のRGB値についてもそれに応じて補正することで、各LUTの値がユーザ環境に適したものとなるように変換すれば良い。なお白色点のXYZ値(Xu,Yu,Zu)としては、例えば図10に示すように、ユーザ環境取得部11で発光情報として取得された「色温度」の設定(Xt,Yt,Zt)と対応させると良い。さらに、このときに設定している照度Lを用いて、以下の(4)式で算出すると良い。ただし、πは円周率である。
【0039】
Xu=L/πxXt/100
Yu=L/πxYt/100 …(4)
Zu=L/πxZt/100
各LUT値の変換には周知のブラッドフォード変換等を用いることができる。その際のユーザ環境のXYZ値は(4)式で求めた値を用い、LUTの白色点XYZ値は別に持っていても良いし、Y値が最大となる値を白色点XYZ値としても良い。
【0040】
次にS132で光沢成分画像生成部151において、元画像保持部141に保持されている元画像データのRGB値を、先に補正した光沢LUTを用いて光沢XYZデータ(Xgloss,Ygloss,Zgloss)に変換する。そしてS133では拡散成分画像生成部152において、元画像保持部141に保持されている元画像データのRGB値を、先に補正した拡散LUTを用いて拡散XYZデータ(Xdiff,Ydiff,Zdiff)に変換する。S132,S133における変換は、例えば四面体補間などを用いると良い。
【0041】
次にS134でプルーフ画像生成部153において、光沢XYZデータおよび拡散XYZデータを用いてプルーフ画像を生成する。上述したように、本実施形態において生成されるプルーフ画像は図11に示すような仮想環境内にあると仮定される。仮想照明1162が設置されている平面(仮想空間の天井面に相当。以下、仮想照明面と称する)に、先に生成したボケ画像データlum(i,j)が貼り付けられている。仮想印刷物1163はプルーフ対象画像であり、ユーザの任意に回転させることが可能であるため、マウス等でその向きを仮に指定できるようにすると良い。S134ではまず、仮想視点1164からプルーフ対象画像(仮想印刷物1163)の各画素を見たときの照明の映り込みを算出するために、仮想印刷物1163の法線ベクトル上にある、仮想照明面上のボケ画像の画素値LUM(x,y)を取得する。ここで(x,y)は、仮想印刷物1163における位置座標である。そして、該取得された画素値を用いて、先に変換した光沢XYZ(Xgloss,Ygloss,Zgloss)と拡散XYZ(Xdiff,Ydiff,Zdiff)を合成して、プルーフ画像(Xout,Yout,Zout)を生成する。この合成は以下の式(5)に基づいて行われる。すなわち、プルーフ対象画像の画素毎に、該画素の色に応じた補正後の光沢成分と拡散成分の差分に、当該画素に対応するボケ画像データを乗じることでプルーフ光沢成分を算出し、該プルーフ光沢成分に拡散成分を加算して、該画素のプルーフ色を算出する。
【0042】
Xout=(Xgloss−Xdiff)×LUM(x,y)+Xdiff
Yout=(Ygloss−Ydiff)×LUM(x,y)+Ydiff ・・・(5)
Zout=(Zgloss−Zdiff)×LUM(x,y)+Zdiff
なお、法線ベクトルは仮想印刷物1163の位置および向きによって決定されるため、表示部16においてプルーフ画像の回転等が発生すると、新たな法線ベクトルの情報が入力され、プルーフ画像の再生成がなされる。
【0043】
次にS135でプルーフ画像生成部153において、S134で生成されたプルーフ画像(Xout,Yout,Zout)に対し、先に選択したメディアの表面凹凸データを反映させる。すなわち、プルーフ画像(Xout,Yout,Zout)に対し、先に選択したメディアの表面凹凸データを周知のバンプマップ法により合成する。
【0044】
●プルーフ画像表示
以下、上記S14における、プルーフ画像表示処理について説明する。上述したように生成されたプルーフ画像(Xout,Yout,Zout)は、表示部16に表示される。図12に、表示部16におけるプルーフ画像の表示例を示す。同図に示すように表示されているプルーフ画像161は、UI部17において例えばマウス等のポインティングデバイスを用いてマウスポインタ162を移動させることにより、回転させることが可能である。この回転により変化した仮想環境下での仮想印刷物から仮想照明面への法線ベクトルの情報は、随時画像処理部15へ送られ、プルーフ画像が再生成される。すなわちプルーフ画像生成部153において、UI部17より入力されたプルーフ画像の回転指示に応じて、プルーフ対象となる元画像データの画素毎に、対応するボケ画像データの画素位置を変更してプルーフ画像を再生成する。
【0045】
以上説明したように第1実施形態によれば、ユーザは高価な測定器等を用いることなく、自身の環境における観察照明の情報を指示するだけで、該観察環境に最適なソフトプルーフ画像を表示することが可能となる。
【0046】
<第2実施形態>
以下、本発明に係る第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では観察照明の環境をUIを介して指定する例を示したが、第2実施形態ではこのUI入力に代えて、ユーザが観察照明の撮影画像を入力することを特徴とする。
【0047】
●システム構成
図13は、第2実施形態におけるソフトプルーフ処理を行う画像処理装置のシステム構成を示したものである。同図において、上述した第1実施形態で図1に示した構成と同様の構成には同一番号を付し、説明を省略する。図13においてユーザ環境自動識別部21は、ソフトプルーフ対象となるユーザの照明環境(ユーザ環境)を、観察照明の撮影画像に基づいて自動的に識別する。環境データ保持部22は、印刷するメディアの反射特性を保持している。プルーフ用データ生成部23は、環境データ保持部12から、メディアの反射特性と、ユーザ環境自動識別部21により識別されたユーザ環境に対応する照明画像データを取得し、ソフトプルーフ用のボケ画像データを生成する。
【0048】
●ユーザ環境自動識別処理
以下、ユーザ環境自動識別部21におけるユーザ環境の識別処理について、図14のフローチャートを用いて説明する。まずS211で、ユーザが撮影した照明の画像データ(以下、照明画像データ)を入力する。ここで入力される照明画像データの例を、図15(a),(c)に示す。図15(a),(c)において、2101,2103は光源の部分(以下、光源領域)、2102,2104は地の部分(以下、地領域)である。
【0049】
次にS212において、入力した照明画像データの光源領域を取得する。すなわち照明画像データにおける明るい部分を取得すれば良く、例えば所定の閾値を設定し、該閾値よりも大きい画素値からなる領域がある程度以上の面積を有していれば、これを光源領域とする。またS213において、照明画像データの地領域を取得する。例えば、照明画像データにおいて先にS212で取得した光源領域以外の領域を、地領域として認識すれば良い。
【0050】
次にS214において、入力した照明画像データの撮影時における色温度設定、焦点距離、撮影距離、の各撮影情報を取得する。また、撮影情報としてさらに、撮影時のISO感度ISO、シャッター速度SS、絞りFの情報についても取得しておく。これらの撮影情報は、照明画像データのexifファイルから取得すれば良い。
【0051】
次にS215において、S214で取得した焦点距離および撮影距離を用いて、照明画像データを、所定の標準撮影画像と同サイズとなるように補正する。ここで標準撮影画像とは、照明画像データを撮影したカメラによって、焦点距離をFstd、撮影距離をLstdとして撮影した画像であるとする。今回撮影した照明画像データについての焦点距離をF、撮影距離をLとすると、以下の(6)式により補正倍率Mが算出される。
【0052】
M=(Fstd/F)×(L/Lstd) ・・・(6)
第2実施形態では照明画像データに対し、この補正倍率Mを用いて、バイリニア法やバイキュービック法等による拡大/縮小のサイズ補正を行う。このとき、光源領域を1.0、地領域を0.0に正規化することで、図15(b),(d)に示すような補正後データを得る。この補正後データが照明画像データLUM(i,j)として、以降のプルーフ用データ生成処理において第1実施形態と同様に利用される。
【0053】
そしてS216において、照明画像データの撮影時のISO感度ISO、シャッター速度SS、絞りF、上記補正倍率Mを用いて、以下の(7)式より照度Lxを算出する。
【0054】
Lx=M×ISO/(SS×F) ・・・(7)
ここで算出された観察照明の照度Lxは、上記S214で取得された色温度設定とともに、画像処理部15におけるプルーフ画像生成処理において、光沢・拡散LUTの補正の際に用いられる。
【0055】
●プルーフ用データ生成処理
以下、第2実施形態におけるプルーフ用データ生成処理について説明する。図16は、環境データ保持部22およびプルーフ用データ生成部23の詳細構成を示すブロック図である。環境データ保持部22は、メディアのBRDFを保持する変角反射特性保持部121のみを有し、第1実施形態における照明画像保持部(図5の122)を持たない。また、プルーフ用データ生成部13はローパスフィルタ生成部131とボケ画像生成部221を有し、第1実施形態における照明画像選択部(図5の133)を持たない。
【0056】
図17は、プルーフ用データ生成部23におけるボケ画像データ生成処理を示すフローチャートである。まずS221でローパスフィルタ生成部131において、上記第1実施形態における図6のS121と同様に、変角反射特性保持部121に保持されたBRDF(θ)を用いてローパスフィルタを生成する。次にS222でボケ画像生成部221において、先に生成したローパスフィルタLPF(a,b)を用いて、ユーザ環境自動識別部21で生成した照明画像データLUM(i,j)をボカした、ボケ画像データlum(i,j)を生成する。この生成は、上述した第1実施形態と同様に照明画像データLUM(i,j)に対するローパスフィルタLPF(a,b)の畳み込み演算によって行われる。以上のように生成されたボケ画像データlum(i,j)は、第1実施形態と同様に画像処理部15で使用される。
【0057】
以上説明したように第2実施形態によれば、ユーザが観察照明についての煩雑な設定を行うことなく、観察照明を撮影した照明画像データを入力するだけで、上述した第1実施形態と同様に、該観察環境に最適なソフトプルーフ処理を行うことが可能となる。さらに、画像処理装置内に複数種類の照明画像データを予め保持しておく必要がないため、使用メモリ容量を削減できる。
【0058】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で再現するソフトプルーフ処理を行う画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等による実印刷物の仕上がり具合についてパーソナルコンピュータ(PC)等でシミュレーションを行ったプルーフ画像を表示する処理は、ソフトプルーフ処理と呼ばれる。一般にソフトプルーフ処理においては、実印刷物の反射光の色成分(以下、拡散成分)に対してカラーマッチング処理を行い、その色味を忠実に表示デバイス上に再現する。近年のソフトプルーフ処理においては、コンピュータグラフィックス(CG)を利用することで、印刷物の拡散成分だけでなく、光沢成分(照明の写り込み)も含めてシミュレーションを行う技術が広まりつつある。
【0003】
従来、ユーザがソフトプルーフのアプリケーションを使用する場合、予め定められた仮想環境下でのプルーフ画像を表示させるか、あるいは高価な測定器を用いて実環境を測定し、該環境情報をアプリケーションに反映させてプルーフ画像を表示させていた。
【0004】
また、プルーフ画像に対し、メディア毎に異なる光沢成分を反映させることのできる光沢ソフトプルーフ処理を行う技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
さらに、プルーフ画像に環境情報を反映(環境マッピング)させる際に、別に作成した太陽の画像を環境画像に合成し、自動車表面の太陽の反射を再現する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−272705号公報
【特許文献2】特開2003−99801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、写り込む光沢成分としては予め用意されたものを使用するしかないため、ユーザの観察環境にあった光沢成分を用いることができない場合があった。
【0008】
また、上記特許文献2に記載の技術においては、太陽の画像はカメラで撮影したものではないため、太陽以外の光源を反映することは困難であった。
【0009】
そこで本発明は、ユーザの観察照明環境を簡易に取得してソフトプルーフ処理に反映させることで、該観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で高精度に再現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための一手段として、本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。
【0011】
すなわち、観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で再現するソフトプルーフ処理を行う画像処理装置であって、前記印刷物のメディアの変角反射特性を予め保持する変角反射特性保持手段と、複数種類の観察照明についての平面上での強度分布をそれぞれの照明画像データとして予め保持する照明画像保持手段と、前記メディアに複数色が印刷されたサンプル印刷物に対し、サンプル照明の正反射光による測色値を該複数色の色毎の光沢成分として予め保持する光沢成分保持手段と、前記サンプル印刷物に対し、前記サンプル照明の拡散反射光による測色値を前記複数色の色毎の拡散成分として予め保持する拡散成分保持手段と、前記観察照明について、その設置状態を示す設置情報と発光状態を示す発光情報を取得する環境取得手段と、前記照明画像保持手段から前記観察照明の設置情報に応じた照明画像データを選択する照明画像選択手段と、該選択された照明画像データに対し、前記変角反射特性に応じて生成されたローパスフィルタを用いたフィルタ処理を施すことでボケ画像データを生成するボケ画像生成手段と、前記光沢成分保持手段および前記拡散成分保持手段に保持された光沢成分および拡散成分を、前記観察照明の発光情報に応じて補正する補正手段と、プルーフ対象画像の画素毎に、該画素の色に応じて、前記補正手段による補正後の光沢成分と拡散成分の差分に当該画素位置に対応する前記ボケ画像データを乗じ、さらに該拡散成分を加算することで当該画素のプルーフ色を算出するプルーフ画像生成手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザの観察照明環境を簡易に取得してソフトプルーフ処理に反映させることで、該観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で高精度に再現することを目的とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態における画像処理装置のシステム構成を示すブロック図、
【図2】光沢ソフトプルーフ処理を示すフローチャート、
【図3】ユーザ環境取得用のUI例を示す図、
【図4】メディア表面凹凸データ取得用のUI例を示す図、
【図5】プルーフ用データ生成部の詳細構成を示すブロック図、
【図6】プルーフ用データ生成処理を示すフローチャート、
【図7】予め保持される照明画像データ例を示す図、
【図8】画像処理部の詳細構成を示すブロック図、
【図9】プルーフ画像生成処理を示すフローチャート、
【図10】ユーザ環境と白色点のXYZ値の関係例を示す図、
【図11】仮想環境例を示す図、
【図12】プルーフ画像の表示例を示す図、
【図13】第2実施形態における画像処理装置のシステム構成を示すブロック図、
【図14】光沢ソフトプルーフ処理を示すフローチャート、
【図15】照明画像データ例を示す図、
【図16】プルーフ用データ生成部の詳細構成を示すブロック図、
【図17】プルーフ用データ生成処理を示すフローチャート、である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に関る本発明を限定するものではなく、また、本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0015】
<第1実施形態>
●システム構成
図1は、本実施形態において観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で再現する、所謂ソフトプルーフ処理を行う画像処理装置のシステム構成を示したものである。同図においてユーザ環境取得部11は、ソフトプルーフ対象となるユーザの照明環境を含むユーザ環境の情報を取得する。環境データ保持部12は、印刷するメディアの反射特性と、ユーザ環境取得部11で取得されたユーザ照明環境に対応する、ソフトプルーフ処理で映り込ませる照明の画像データ(以下、照明画像データ)を保持している。プルーフ用データ生成部13は、環境データ保持部12から、印刷するメディアの反射特性と、ユーザ環境取得部11により取得されたユーザ照明環境に対応する照明画像データを取得し、ソフトプルーフ用のボケ画像データを生成する。画像保持部14は、ソフトプルーフ処理の対象となる画像(以下、プルーフ対象画像)と、該プルーフ対象画像のRGB値を光沢成分および拡散成分としてのXYZ値に変換するための情報(LUT)を保持する。画像処理部15は、プルーフ用データ生成部13で生成されたボケ画像データと、画像保持部14に保持されたプルーフ対象画像を用いて、表示対象となるプルーフ画像を生成する。表示部16は、画像処理部15で生成されたプルーフ画像を表示するモニタである。ユーザインタフェイス(UI)部17は、表示部16に表示されたプルーフ画像を回転させるための任意の回転角度情報を、ユーザ指示に基づいて入力する。なお、図1に示す各構成は、CPUやROM、RAM等からなる不図示の制御部によって統括的に制御される。
【0016】
●ソフトプルーフ処理概要
以下、本実施形態における光沢ソフトプルーフ処理の概要について説明する。本実施形態における光沢ソフトプルーフ処理は、所定のメディアに対するプルーフ対象画像の印刷物を、所定の仮想環境下で観察した際の見えをモニタ上で再現する。本実施形態では図11に示すような仮想環境がCGにより作成され、予め画像処理部15に設定されている。ここで、仮想環境は以下のように作成される。すなわち、まず図11に示すような、壁や天井、床などの3Dオブジェクトを設定して仮想空間1161を作成する。次に、仮想印刷物を観察する仮想照明1162を設定し、仮想印刷物1163を仮想空間の中央近辺に設定し、最後に仮想視点1164の位置を設定する。本実施形態におけるプルーフ対象画像の印刷物は、仮想印刷物1163として仮想空間1161内に設置され、これを仮想視点1164から観察した際の見えがプルーフ画像として再現される。
【0017】
図2に、本実施形態における光沢ソフトプル−フ処理の概要フローチャートを示す。なお、図2に示す各ステップの詳細についてはそれぞれ後述する。
【0018】
まずS11でユーザ環境取得部11において、ユーザ照明環境およびメディア凹凸等のユーザ環境を取得する。次にS12でプルーフ用データ生成部13において、環境データ保持部12に保持されているデータを用いて、上記ユーザ環境および仮想環境に基づくソフトプルーフ用のボケ画像データを生成する。そしてS13で画像処理部15においてプルーフ画像を生成し、該生成されたプルーフ画像をS14で表示部16に表示する。表示されたプルーフ画像は、UI部17からのユーザ入力に従って任意に回転させることが可能である。そしてS15において処理終了か否かを判断し、未終了であればS12のボケ画像データ生成処理に戻る。
【0019】
●ユーザ環境の取得処理
以下、上記S11におけるユーザ環境(ユーザ照明環境およびメディア凹凸情報)の取得処理について、詳細に説明する。
【0020】
まず、ユーザ照明環境を取得する処理について説明する。本実施形態におけるユーザ照明環境とは、ユーザによって印刷物の観察が行われる照明環境の情報であり、観察照明の設置状態を示す設置情報と、発光状態を示す発光情報に大別される。設置情報としては、想定される観察照明の種類及び形状、数、照射方法、印刷物までの距離、等がある。また発光情報としては、環境照明の色温度、印刷物上の照度、等がある。
【0021】
ここで、ユーザ環境取得部11の一例として、UIからのユーザ指示によってユーザ環境情報が入力される例を示す。ここでのUIはユーザ環境取得部11に設けられても良いし、UI部17を用いても良い。図3は、ユーザ環境取得部11としてのUI例を示す図である。このUIから設定されるユーザ環境情報としては、例えば観察照明の設置情報として「種類/形状」、「本数」、「個数」、「照射方法」、「距離」が設定され、さらに発光情報として「色温度」、「照度」等の各情報が設定されると良い。詳細には、照明の「種類/形状」としては、蛍光灯(丸)や蛍光灯(棒)、白熱灯、等から選択する。なお、照明の「個数」とは、いくつかの照明をまとめた照明ボックスの数を表し、「本数」とは照明ボックス内にある照明の数を表し、「距離」は照明と印刷物間の距離を表す。また、「色温度」は暖色系や寒色系などの観察照明の色を表し、「照度」は印刷メディア上の照度である。
【0022】
以上のように選択されたユーザ環境情報のうち、観察照明の設置情報(種類及び形状、本数、個数、照射方法、距離)はプルーフ用データ生成部13で使用され、発光情報(色温度、照度)は画像処理部15で使用される。なお、図3に示すUI例においては選択ボックスごとに既定値が設定されており、特にユーザによる設定がなされなかったボックスについては既定値が選択される。
【0023】
次に、印刷するメディア表面の凹凸情報取得処理について説明する。図4に、メディア表面凹凸データを取得するためのUI例を示す。メディアの表面凹凸を決定する要素として、凹凸の周期と振幅が挙げられる。そこで本実施形態では図4(a)に示すように、メディアの表面凹凸の周期と振幅を複数段階で変化させ、所定の照明を写りこませたサンプル画像を表示し、最も実メディアに近いものをユーザに選択させる。また、図4(a)に対応してメディアの表面凹凸の周期と振幅を表す模式図を図4(b)に示す。具体的には、まずはじめに周期、振幅ともに粗い間隔でサンプル画像を表示し、ひとつが選択されるごとに、該選択されたサンプル画像を中心に周期、振幅ともにより細かな間隔の新たなサンプル画像を表示するようにする。最終的な選択は、サンプル画像における周期、振幅の間隔が所定の閾値以下になった時点か、ユーザが2回連続で同じサンプル画像を選択した場合とする。このように選択されたサンプル画像における表面凹凸データは、画像処理部15におけるプルーフ画像生成処理において使用される。
【0024】
●プルーフ用データ生成処理
以下、上記S12におけるプルーフ用データ生成処理として、ボケ画像データを生成する処理について説明する。図5は、環境データ保持部12およびプルーフ用データ生成部13の詳細構成を示すブロック図である。環境データ保持部12は、印刷するメディアの反射特性を保持する変角反射特性保持部121と、複数の照明画像データを保持する照明画像保持部122を有する。またプルーフ用データ生成部13は、ローパスフィルタ生成部131とボケ画像生成部132、照明画像選択部133を有する。
【0025】
ここで、変角反射特性保持部121に予め保持されている変角反射特性について説明する。変角反射特性とは、メディアに対して光が照射された際にどのような角度にどのような強度で反射して色が遷移するかを示す特性であり、BRDF(Bidirection Reflectance Distribution Function)と称される。BRDFは、当該メディアの実印刷物における各色(RGB値)について、光を照射した際の反射色(XYZ値)を各出射角(θ)において予め測定したデータ(BRDF(θ))である。測定方法としては例えば、まずRGBの複数の色票を備えるサンプル画像を、本実施形態においてプルーフ対象となる印刷物と同様のメディアに印刷したサンプル印刷物を用意する。そして所定のサンプル照明下において、変角測定器を用いて該サンプル印刷物への入射光に対する各出射角θの反射光を測定すれば良い。なお、このときのサンプル照明については特に規定しない。なお、変角反射特性保持部121においては、プルーフ対象となる印刷メディアのみならず、複数種類のメディアについてのBRDFを予め保持しておいても良い。この場合、ユーザによる印刷対象メディアの指定に応じて、対応するBRDFを選択すれば良い。
【0026】
次に、照明画像保持部122に予め保持されている照明画像データについて説明する。本実施形態ではソフトプルーフ処理における仮想照明1162としてユーザ環境取得部11で取得された観察照明について、測色計等により予め取得した強度分布を設定する。この照明強度分布は、観察照明の発光強度を2次元の平面(例えば、仮想空間の天井面)上で測定したデータであり、2次元の照明画像データLUM(i,j)として、照明画像保持部122に保持されている。ここで(i,j)は、図11に示す仮想空間1161において仮想照明1162が設置されている平面(仮想空間の天井面に相当。以下、仮想照明面と称する)における位置座標に相当する。
【0027】
図7は、照明画像保持部122に格納される照明画像データの例を示す図である。照明画像選択部133では、先にユーザが図3のUIを介して指定した観察照明の設置情報(種類/形状、個数、本数、照射方法)に従って、最適な照明画像データLUM(i,j)を選択する。このとき、複数の照明画像データLUM(i,j)を組み合せて最適な照明画像データLUM(i,j)を新たに作成することも可能である。図7において、(a)〜(c)は観察照明の「種類/形状」を示すデータであり、(a)は丸型蛍光灯、(b)は棒状蛍光灯、(c)は白熱灯、を示す。また(d)、(e)は観察照明の「照射方法」を示すデータであり、(d)はルーバー、(e)は拡散、を示す。また(f)、(g)はユーザによって作成された照明画像データの例である。例えば、観察照明の「形状」が丸型蛍光灯で、「照射方法」が拡散の場合は、図7における(a)の形状(閉領域)と(e)の形状をAND合成することで、(f)に示すような新たな照明画像データLUM(i,j)が作成される。また、棒状蛍光灯が「個数」2(横)、「本数」2、「照射方法」むき出し、で設置されている場合、まず図7の(b)に示すデータを2本合成し、さらにこれを横に2個並べることで、(g)に示すような新たな照明画像データLUM(i,j)が作成される。
【0028】
なお、本実施形態では照明画像データを平面上の2次元データとして用いる例を示すが、該平面上の位置座標と照明強度の関係を保持できれば、特にそのデータ形式については限定しない。また、光沢成分のプルーフをより正確に行うために、実際に測定した照明強度分布を用いる例を示したが、予めCG内部に保持されているプリセットのデータ等を用いることも可能である。
【0029】
以下、プルーフ用データ生成部13におけるボケ画像データ生成処理について、図6のフローチャートを用いて詳細に説明する。まずS121において、ローパスフィルタ生成部131で変角反射特性保持部121に保持された変角反射特性BRDF(θ)を用いて、以下のようにローパスフィルタを生成する。まず、照明画像選択部133で先にユーザが図3のUIを介して指定した、観察照明と印刷物間の「距離」を、仮想照明1162と仮想印刷物1163間の距離Dis[pixel]として設定する。そして下式(1)に従って、変角反射特性BRDF(θ)の各出射角度θを、BRDF測定時の照射点からの距離を示す画素数であるPixに変換する。なお、θの範囲はBRDF(θ)の出射角度の範囲と対応しており、例えば0〜45度の範囲である。
【0030】
Pix=Dis×tanθ, 0≦θ≦45 ・・・(1)
その後、各PixにおけるBRDF(Pix)に基づき、下式(2)により2次元ローパスフィルタLPF(a,b)を生成する。式(2)において、a,bはBRDF測定時の印刷物上における照射点を原点とした周辺位置を示す座標である。また、Sはフィルタサイズを示すパラメータであり、上記式(1)において出射角度の最大値(45度)におけるPix値に相当する。
【0031】
LPF(a,b)=BRDF((a2+b2)1/2) ・・・(2)
-S≦a≦S, -S≦b≦S
S=Dis×tan45°
(a2+b2)1/2≧S の場合、(a2+b2)1/2=S
次にS122において、照明画像選択部133で図3のUIを介して選択されたユーザ環境に応じて、照明画像保持部122に格納されている複数の照明画像データの中から最適なものを選択し、これを照明画像データLUM(i,j)とする。なお、ユーザ指示に応じて、照明画像保持部122に格納されている複数の照明画像に基づき、最適な照明画像データLUM(i,j)を新たに作成し、これを選択することも可能である。
【0032】
次にS123でボケ画像生成部132において、先に生成したローパスフィルタLPF(a,b)を用いて照明画像データLUM(i,j)をボカした、ボケ画像データlum(i,j)を生成する。詳細には、照明画像データLUM(i,j)に対するローパスフィルタによるフィルタ処理、すなわち以下の式(3)を用いたローパスフィルタLPF(a,b)の畳み込み演算を行う。式(3)において、M,Nはそれぞれi,jの最大値である。
【0033】
【0034】
以上のように生成されたボケ画像データlum(i,j)は、画像処理部15で使用される。
【0035】
●プルーフ画像生成処理
以下、上記S13におけるプルーフ画像生成処理の詳細について説明する。図8は、画像保持部14および画像処理部15の詳細構成を示すブロック図である。画像保持部14は、元画像保持部141と、光沢LUT・拡散LUT保持部142を有する。画像処理部15は、光沢成分画像生成部151、拡散成分画像生成部152、プルーフ画像生成部153、およびLUT補正部154を有する。
【0036】
ここで、光沢LUT・拡散LUT保持部142に保持されている光沢LUTおよび拡散LUTの作成方法について説明する。まず、RGBの複数の色票を備えるサンプル画像を、本実施形態においてプルーフ対象となる印刷物と同様のメディアに印刷したサンプル印刷物を用意する。このサンプル印刷物としては、上述したBRDF測定時に用いたサンプル印刷物と同じものを用いることができる。そして所定のサンプル照明下において、該サンプル印刷物に特に該サンプル照明を写り込ませずに測色し、該色毎に得られたXYZ値を拡散成分保持手段としての拡散LUTに保持する。すなわち拡散LUTは、サンプル印刷物における代表的なRGB値についての拡散反射光を予め測色したXYZ値(Xdiff,Ydiff,Zdiff)を、拡散成分として保持している。この拡散成分はすなわち、サンプル印刷物にサンプル照明が反射しない状態、言い換えればサンプル照明の写り込みがない場合の反射光の色成分である。
【0037】
また光沢LUTは、上記サンプル印刷物にサンプル照明を写り込ませて測色したXYZ値を色毎に保持する光沢成分保持手段である。すなわち、サンプル印刷物における代表的なRGB値について、サンプル照明の正反射光を測色したXYZ値(Xspec,Yspec,Zspec)を、光沢成分として保持している。光沢成分はすなわち、サンプル印刷物にサンプル照明が反射した状態で測色されたものであり、言い換えれば拡散成分に対してサンプル照明による写り込み、すなわち光沢成分が上乗せされたものである。したがって、プルーフ対象画像の入力画素値RGBから拡散LUTや光沢LUTを参照する際には、RGB値をインデックスとして対応するXYZ値をそれぞれ取得すれば良い。ただし、拡散LUTや光沢LUTに処理対象のRGB値が存在しない場合には、四面体補間等の補間によりこれを算出しても良い。なお、上記サンプル印刷物としては、複数色を含む画像が当該メディアに印刷されたものであれば適用可能である。
【0038】
図9は、画像処理部15におけるプルーフ画像生成処理を示すフローチャートである。まずS131でLUT補正部154において、光沢LUT・拡散LUT保持部142に保持されている光沢LUTおよび拡散LUTのそれぞれを、設定されたユーザ環境に応じて補正する。すなわち、上述したように光沢LUTおよび拡散LUTは、所定のサンプル照明下での測色値を保持しているため、これを指定されたユーザ環境にしたがって補正する。詳細には、サンプル照明と、ユーザ環境として指定された照明とで、その色温度に応じて互いの白色点のXYZ値を対応付け、他のRGB値についてもそれに応じて補正することで、各LUTの値がユーザ環境に適したものとなるように変換すれば良い。なお白色点のXYZ値(Xu,Yu,Zu)としては、例えば図10に示すように、ユーザ環境取得部11で発光情報として取得された「色温度」の設定(Xt,Yt,Zt)と対応させると良い。さらに、このときに設定している照度Lを用いて、以下の(4)式で算出すると良い。ただし、πは円周率である。
【0039】
Xu=L/πxXt/100
Yu=L/πxYt/100 …(4)
Zu=L/πxZt/100
各LUT値の変換には周知のブラッドフォード変換等を用いることができる。その際のユーザ環境のXYZ値は(4)式で求めた値を用い、LUTの白色点XYZ値は別に持っていても良いし、Y値が最大となる値を白色点XYZ値としても良い。
【0040】
次にS132で光沢成分画像生成部151において、元画像保持部141に保持されている元画像データのRGB値を、先に補正した光沢LUTを用いて光沢XYZデータ(Xgloss,Ygloss,Zgloss)に変換する。そしてS133では拡散成分画像生成部152において、元画像保持部141に保持されている元画像データのRGB値を、先に補正した拡散LUTを用いて拡散XYZデータ(Xdiff,Ydiff,Zdiff)に変換する。S132,S133における変換は、例えば四面体補間などを用いると良い。
【0041】
次にS134でプルーフ画像生成部153において、光沢XYZデータおよび拡散XYZデータを用いてプルーフ画像を生成する。上述したように、本実施形態において生成されるプルーフ画像は図11に示すような仮想環境内にあると仮定される。仮想照明1162が設置されている平面(仮想空間の天井面に相当。以下、仮想照明面と称する)に、先に生成したボケ画像データlum(i,j)が貼り付けられている。仮想印刷物1163はプルーフ対象画像であり、ユーザの任意に回転させることが可能であるため、マウス等でその向きを仮に指定できるようにすると良い。S134ではまず、仮想視点1164からプルーフ対象画像(仮想印刷物1163)の各画素を見たときの照明の映り込みを算出するために、仮想印刷物1163の法線ベクトル上にある、仮想照明面上のボケ画像の画素値LUM(x,y)を取得する。ここで(x,y)は、仮想印刷物1163における位置座標である。そして、該取得された画素値を用いて、先に変換した光沢XYZ(Xgloss,Ygloss,Zgloss)と拡散XYZ(Xdiff,Ydiff,Zdiff)を合成して、プルーフ画像(Xout,Yout,Zout)を生成する。この合成は以下の式(5)に基づいて行われる。すなわち、プルーフ対象画像の画素毎に、該画素の色に応じた補正後の光沢成分と拡散成分の差分に、当該画素に対応するボケ画像データを乗じることでプルーフ光沢成分を算出し、該プルーフ光沢成分に拡散成分を加算して、該画素のプルーフ色を算出する。
【0042】
Xout=(Xgloss−Xdiff)×LUM(x,y)+Xdiff
Yout=(Ygloss−Ydiff)×LUM(x,y)+Ydiff ・・・(5)
Zout=(Zgloss−Zdiff)×LUM(x,y)+Zdiff
なお、法線ベクトルは仮想印刷物1163の位置および向きによって決定されるため、表示部16においてプルーフ画像の回転等が発生すると、新たな法線ベクトルの情報が入力され、プルーフ画像の再生成がなされる。
【0043】
次にS135でプルーフ画像生成部153において、S134で生成されたプルーフ画像(Xout,Yout,Zout)に対し、先に選択したメディアの表面凹凸データを反映させる。すなわち、プルーフ画像(Xout,Yout,Zout)に対し、先に選択したメディアの表面凹凸データを周知のバンプマップ法により合成する。
【0044】
●プルーフ画像表示
以下、上記S14における、プルーフ画像表示処理について説明する。上述したように生成されたプルーフ画像(Xout,Yout,Zout)は、表示部16に表示される。図12に、表示部16におけるプルーフ画像の表示例を示す。同図に示すように表示されているプルーフ画像161は、UI部17において例えばマウス等のポインティングデバイスを用いてマウスポインタ162を移動させることにより、回転させることが可能である。この回転により変化した仮想環境下での仮想印刷物から仮想照明面への法線ベクトルの情報は、随時画像処理部15へ送られ、プルーフ画像が再生成される。すなわちプルーフ画像生成部153において、UI部17より入力されたプルーフ画像の回転指示に応じて、プルーフ対象となる元画像データの画素毎に、対応するボケ画像データの画素位置を変更してプルーフ画像を再生成する。
【0045】
以上説明したように第1実施形態によれば、ユーザは高価な測定器等を用いることなく、自身の環境における観察照明の情報を指示するだけで、該観察環境に最適なソフトプルーフ画像を表示することが可能となる。
【0046】
<第2実施形態>
以下、本発明に係る第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では観察照明の環境をUIを介して指定する例を示したが、第2実施形態ではこのUI入力に代えて、ユーザが観察照明の撮影画像を入力することを特徴とする。
【0047】
●システム構成
図13は、第2実施形態におけるソフトプルーフ処理を行う画像処理装置のシステム構成を示したものである。同図において、上述した第1実施形態で図1に示した構成と同様の構成には同一番号を付し、説明を省略する。図13においてユーザ環境自動識別部21は、ソフトプルーフ対象となるユーザの照明環境(ユーザ環境)を、観察照明の撮影画像に基づいて自動的に識別する。環境データ保持部22は、印刷するメディアの反射特性を保持している。プルーフ用データ生成部23は、環境データ保持部12から、メディアの反射特性と、ユーザ環境自動識別部21により識別されたユーザ環境に対応する照明画像データを取得し、ソフトプルーフ用のボケ画像データを生成する。
【0048】
●ユーザ環境自動識別処理
以下、ユーザ環境自動識別部21におけるユーザ環境の識別処理について、図14のフローチャートを用いて説明する。まずS211で、ユーザが撮影した照明の画像データ(以下、照明画像データ)を入力する。ここで入力される照明画像データの例を、図15(a),(c)に示す。図15(a),(c)において、2101,2103は光源の部分(以下、光源領域)、2102,2104は地の部分(以下、地領域)である。
【0049】
次にS212において、入力した照明画像データの光源領域を取得する。すなわち照明画像データにおける明るい部分を取得すれば良く、例えば所定の閾値を設定し、該閾値よりも大きい画素値からなる領域がある程度以上の面積を有していれば、これを光源領域とする。またS213において、照明画像データの地領域を取得する。例えば、照明画像データにおいて先にS212で取得した光源領域以外の領域を、地領域として認識すれば良い。
【0050】
次にS214において、入力した照明画像データの撮影時における色温度設定、焦点距離、撮影距離、の各撮影情報を取得する。また、撮影情報としてさらに、撮影時のISO感度ISO、シャッター速度SS、絞りFの情報についても取得しておく。これらの撮影情報は、照明画像データのexifファイルから取得すれば良い。
【0051】
次にS215において、S214で取得した焦点距離および撮影距離を用いて、照明画像データを、所定の標準撮影画像と同サイズとなるように補正する。ここで標準撮影画像とは、照明画像データを撮影したカメラによって、焦点距離をFstd、撮影距離をLstdとして撮影した画像であるとする。今回撮影した照明画像データについての焦点距離をF、撮影距離をLとすると、以下の(6)式により補正倍率Mが算出される。
【0052】
M=(Fstd/F)×(L/Lstd) ・・・(6)
第2実施形態では照明画像データに対し、この補正倍率Mを用いて、バイリニア法やバイキュービック法等による拡大/縮小のサイズ補正を行う。このとき、光源領域を1.0、地領域を0.0に正規化することで、図15(b),(d)に示すような補正後データを得る。この補正後データが照明画像データLUM(i,j)として、以降のプルーフ用データ生成処理において第1実施形態と同様に利用される。
【0053】
そしてS216において、照明画像データの撮影時のISO感度ISO、シャッター速度SS、絞りF、上記補正倍率Mを用いて、以下の(7)式より照度Lxを算出する。
【0054】
Lx=M×ISO/(SS×F) ・・・(7)
ここで算出された観察照明の照度Lxは、上記S214で取得された色温度設定とともに、画像処理部15におけるプルーフ画像生成処理において、光沢・拡散LUTの補正の際に用いられる。
【0055】
●プルーフ用データ生成処理
以下、第2実施形態におけるプルーフ用データ生成処理について説明する。図16は、環境データ保持部22およびプルーフ用データ生成部23の詳細構成を示すブロック図である。環境データ保持部22は、メディアのBRDFを保持する変角反射特性保持部121のみを有し、第1実施形態における照明画像保持部(図5の122)を持たない。また、プルーフ用データ生成部13はローパスフィルタ生成部131とボケ画像生成部221を有し、第1実施形態における照明画像選択部(図5の133)を持たない。
【0056】
図17は、プルーフ用データ生成部23におけるボケ画像データ生成処理を示すフローチャートである。まずS221でローパスフィルタ生成部131において、上記第1実施形態における図6のS121と同様に、変角反射特性保持部121に保持されたBRDF(θ)を用いてローパスフィルタを生成する。次にS222でボケ画像生成部221において、先に生成したローパスフィルタLPF(a,b)を用いて、ユーザ環境自動識別部21で生成した照明画像データLUM(i,j)をボカした、ボケ画像データlum(i,j)を生成する。この生成は、上述した第1実施形態と同様に照明画像データLUM(i,j)に対するローパスフィルタLPF(a,b)の畳み込み演算によって行われる。以上のように生成されたボケ画像データlum(i,j)は、第1実施形態と同様に画像処理部15で使用される。
【0057】
以上説明したように第2実施形態によれば、ユーザが観察照明についての煩雑な設定を行うことなく、観察照明を撮影した照明画像データを入力するだけで、上述した第1実施形態と同様に、該観察環境に最適なソフトプルーフ処理を行うことが可能となる。さらに、画像処理装置内に複数種類の照明画像データを予め保持しておく必要がないため、使用メモリ容量を削減できる。
【0058】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で再現するソフトプルーフ処理を行う画像処理装置であって、
前記印刷物のメディアの変角反射特性を予め保持する変角反射特性保持手段と、
複数種類の観察照明についての平面上での強度分布をそれぞれの照明画像データとして予め保持する照明画像保持手段と、
前記メディアに複数色が印刷されたサンプル印刷物に対し、サンプル照明の正反射光による測色値を該複数色の色毎の光沢成分として予め保持する光沢成分保持手段と、
前記サンプル印刷物に対し、前記サンプル照明の拡散反射光による測色値を前記複数色の色毎の拡散成分として予め保持する拡散成分保持手段と、
前記観察照明について、その設置状態を示す設置情報と発光状態を示す発光情報を取得する環境取得手段と、
前記照明画像保持手段から前記観察照明の設置情報に応じた照明画像データを選択する照明画像選択手段と、
該選択された照明画像データに対し、前記変角反射特性に応じて生成されたローパスフィルタを用いたフィルタ処理を施すことでボケ画像データを生成するボケ画像生成手段と、
前記光沢成分保持手段および前記拡散成分保持手段に保持された光沢成分および拡散成分を、前記観察照明の発光情報に応じて補正する補正手段と、
プルーフ対象画像の画素毎に、該画素の色に応じて、前記補正手段による補正後の光沢成分と拡散成分の差分に当該画素位置に対応する前記ボケ画像データを乗じ、さらに該拡散成分を加算することで当該画素のプルーフ色を算出するプルーフ画像生成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記環境取得手段は、前記観察照明の設置情報として、該観察照明の種類および形状、照明ボックス内の該観察照明の数、該照明ボックスの個数、照射方法、該観察照明と前記印刷物間の距離、の各情報をユーザ指示に応じて取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記照明画像選択手段は、前記環境取得手段で取得した前記観察照明の設置情報に応じて前記照明画像保持手段に保持された複数の照明画像データを合成して新たな照明画像データを生成し、該新たな照明画像データを選択することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ローパスフィルタは、前記環境取得手段で前記設置情報として取得された前記観察照明と前記印刷物間の距離を示す情報と、前記変角反射特性に応じて生成されることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記環境取得手段は、前記観察照明の発光情報として該観察照明の色温度をユーザ指示に応じて取得し、
前記補正手段は、前記光沢成分保持手段および前記拡散成分保持手段に保持された光沢成分および拡散成分を、前記色温度によって示される白色点に応じて補正することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記環境取得手段は、前記観察照明の発光情報として前記印刷物上の照度をユーザ指示に応じて取得し、
前記補正手段は、前記光沢成分保持手段および前記拡散成分保持手段に保持された光沢成分および拡散成分を、前記照度に応じて補正することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記メディアの表面凹凸を示す凹凸データを取得する凹凸情報取得手段と、
前記プルーフ画像生成手段で生成された前記プルーフ画像に対し、前記凹凸データを合成する合成手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記プルーフ画像を前記モニタに表示する表示手段と、
該モニタ上に表示されたプルーフ画像に対してユーザからの回転指示を入力するインタフェイス手段と、をさらに有し、
前記プルーフ画像生成手段は、前記インタフェイス手段より入力された回転指示に応じて、前記プルーフ対象画像の画素毎に、対応する前記ボケ画像データの画素位置を変更して前記プルーフ画像を再生成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で再現するソフトプルーフ処理を行う画像処理装置であって、
前記印刷物のメディアの変角反射特性を予め保持する変角反射特性保持手段と、
複数種類の観察照明についての平面上での強度分布をそれぞれの照明画像データとして予め保持する照明画像保持手段と、
前記メディアに複数色が印刷されたサンプル印刷物に対し、サンプル照明の正反射光による測色値を該複数色の色毎の光沢成分として予め保持する光沢成分保持手段と、
前記サンプル印刷物に対し、前記サンプル照明の拡散反射光による測色値を前記複数色の色毎の拡散成分として予め保持する拡散成分保持手段と、
前記観察照明を撮影した照明画像データを入力する入力手段と、
前記照明画像データのサイズをその撮影情報に応じて補正するサイズ補正手段と、
該補正後の照明画像データに対し、前記変角反射特性に応じて生成されたローパスフィルタを用いたフィルタ処理を施すことでボケ画像データを生成するボケ画像生成手段と、
前記光沢成分保持手段および前記拡散成分保持手段に保持された光沢成分および拡散成分を、前記画像データの撮影情報から取得される前記観察照明の発光情報に応じて補正する補正手段と、
プルーフ対象画像の画素毎に、該画素の色に応じて、前記補正手段による補正後の光沢成分と拡散成分の差分に当該画素位置に対応する前記ボケ画像データを乗じ、さらに該拡散成分を加算することで当該画素のプルーフ色を算出するプルーフ画像生成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
変角反射特性保持手段、照明画像保持手段、光沢成分保持手段、拡散成分保持手段と、環境取得手段、照明画像選択手段、ボケ画像生成手段、補正手段、プルーフ画像生成手段を有し、観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で再現するソフトプルーフ処理を行う画像処理装置における画像処理方法であって、
前記変角反射特性保持手段は、前記印刷物のメディアの変角反射特性を予め保持しており、
前記照明画像保持手段は、複数種類の観察照明についての平面上での強度分布をそれぞれの照明画像データとして予め保持しており、
前記光沢成分保持手段は、前記メディアに複数色が印刷されたサンプル印刷物に対し、サンプル照明の正反射光による測色値を該複数色の色毎の光沢成分として予め保持しており、
前記拡散成分保持手段は、前記サンプル印刷物に対し、前記サンプル照明の拡散反射光による測色値を前記複数色の色毎の拡散成分として予め保持しており、
前記環境取得手段が、前記観察照明について、その設置状態を示す設置情報と発光状態を示す発光情報を取得する環境取得ステップと、
前記照明画像選択手段が、前記照明画像保持手段から前記観察照明の設置情報に応じた照明画像データを選択する照明画像選択ステップと、
前記ボケ画像生成手段が、該選択された照明画像データに対し、前記変角反射特性に応じて生成されたローパスフィルタを用いたフィルタ処理を施すことでボケ画像データを生成するボケ画像生成ステップと、
前記補正手段が、前記光沢成分保持手段および前記拡散成分保持手段に保持された光沢成分および拡散成分を、前記観察照明の発光情報に応じて補正する補正ステップと、
前記プルーフ画像生成手段が、プルーフ対象画像の画素毎に、該画素の色に応じて、前記補正手段による補正後の光沢成分と拡散成分の差分に当該画素位置に対応する前記ボケ画像データを乗じ、さらに該拡散成分を加算することで当該画素のプルーフ色を算出するプルーフ画像生成ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
コンピュータで実行されることにより、該コンピュータを請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で再現するソフトプルーフ処理を行う画像処理装置であって、
前記印刷物のメディアの変角反射特性を予め保持する変角反射特性保持手段と、
複数種類の観察照明についての平面上での強度分布をそれぞれの照明画像データとして予め保持する照明画像保持手段と、
前記メディアに複数色が印刷されたサンプル印刷物に対し、サンプル照明の正反射光による測色値を該複数色の色毎の光沢成分として予め保持する光沢成分保持手段と、
前記サンプル印刷物に対し、前記サンプル照明の拡散反射光による測色値を前記複数色の色毎の拡散成分として予め保持する拡散成分保持手段と、
前記観察照明について、その設置状態を示す設置情報と発光状態を示す発光情報を取得する環境取得手段と、
前記照明画像保持手段から前記観察照明の設置情報に応じた照明画像データを選択する照明画像選択手段と、
該選択された照明画像データに対し、前記変角反射特性に応じて生成されたローパスフィルタを用いたフィルタ処理を施すことでボケ画像データを生成するボケ画像生成手段と、
前記光沢成分保持手段および前記拡散成分保持手段に保持された光沢成分および拡散成分を、前記観察照明の発光情報に応じて補正する補正手段と、
プルーフ対象画像の画素毎に、該画素の色に応じて、前記補正手段による補正後の光沢成分と拡散成分の差分に当該画素位置に対応する前記ボケ画像データを乗じ、さらに該拡散成分を加算することで当該画素のプルーフ色を算出するプルーフ画像生成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記環境取得手段は、前記観察照明の設置情報として、該観察照明の種類および形状、照明ボックス内の該観察照明の数、該照明ボックスの個数、照射方法、該観察照明と前記印刷物間の距離、の各情報をユーザ指示に応じて取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記照明画像選択手段は、前記環境取得手段で取得した前記観察照明の設置情報に応じて前記照明画像保持手段に保持された複数の照明画像データを合成して新たな照明画像データを生成し、該新たな照明画像データを選択することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ローパスフィルタは、前記環境取得手段で前記設置情報として取得された前記観察照明と前記印刷物間の距離を示す情報と、前記変角反射特性に応じて生成されることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記環境取得手段は、前記観察照明の発光情報として該観察照明の色温度をユーザ指示に応じて取得し、
前記補正手段は、前記光沢成分保持手段および前記拡散成分保持手段に保持された光沢成分および拡散成分を、前記色温度によって示される白色点に応じて補正することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記環境取得手段は、前記観察照明の発光情報として前記印刷物上の照度をユーザ指示に応じて取得し、
前記補正手段は、前記光沢成分保持手段および前記拡散成分保持手段に保持された光沢成分および拡散成分を、前記照度に応じて補正することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記メディアの表面凹凸を示す凹凸データを取得する凹凸情報取得手段と、
前記プルーフ画像生成手段で生成された前記プルーフ画像に対し、前記凹凸データを合成する合成手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記プルーフ画像を前記モニタに表示する表示手段と、
該モニタ上に表示されたプルーフ画像に対してユーザからの回転指示を入力するインタフェイス手段と、をさらに有し、
前記プルーフ画像生成手段は、前記インタフェイス手段より入力された回転指示に応じて、前記プルーフ対象画像の画素毎に、対応する前記ボケ画像データの画素位置を変更して前記プルーフ画像を再生成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で再現するソフトプルーフ処理を行う画像処理装置であって、
前記印刷物のメディアの変角反射特性を予め保持する変角反射特性保持手段と、
複数種類の観察照明についての平面上での強度分布をそれぞれの照明画像データとして予め保持する照明画像保持手段と、
前記メディアに複数色が印刷されたサンプル印刷物に対し、サンプル照明の正反射光による測色値を該複数色の色毎の光沢成分として予め保持する光沢成分保持手段と、
前記サンプル印刷物に対し、前記サンプル照明の拡散反射光による測色値を前記複数色の色毎の拡散成分として予め保持する拡散成分保持手段と、
前記観察照明を撮影した照明画像データを入力する入力手段と、
前記照明画像データのサイズをその撮影情報に応じて補正するサイズ補正手段と、
該補正後の照明画像データに対し、前記変角反射特性に応じて生成されたローパスフィルタを用いたフィルタ処理を施すことでボケ画像データを生成するボケ画像生成手段と、
前記光沢成分保持手段および前記拡散成分保持手段に保持された光沢成分および拡散成分を、前記画像データの撮影情報から取得される前記観察照明の発光情報に応じて補正する補正手段と、
プルーフ対象画像の画素毎に、該画素の色に応じて、前記補正手段による補正後の光沢成分と拡散成分の差分に当該画素位置に対応する前記ボケ画像データを乗じ、さらに該拡散成分を加算することで当該画素のプルーフ色を算出するプルーフ画像生成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
変角反射特性保持手段、照明画像保持手段、光沢成分保持手段、拡散成分保持手段と、環境取得手段、照明画像選択手段、ボケ画像生成手段、補正手段、プルーフ画像生成手段を有し、観察照明下における印刷物の画像をモニタ上で再現するソフトプルーフ処理を行う画像処理装置における画像処理方法であって、
前記変角反射特性保持手段は、前記印刷物のメディアの変角反射特性を予め保持しており、
前記照明画像保持手段は、複数種類の観察照明についての平面上での強度分布をそれぞれの照明画像データとして予め保持しており、
前記光沢成分保持手段は、前記メディアに複数色が印刷されたサンプル印刷物に対し、サンプル照明の正反射光による測色値を該複数色の色毎の光沢成分として予め保持しており、
前記拡散成分保持手段は、前記サンプル印刷物に対し、前記サンプル照明の拡散反射光による測色値を前記複数色の色毎の拡散成分として予め保持しており、
前記環境取得手段が、前記観察照明について、その設置状態を示す設置情報と発光状態を示す発光情報を取得する環境取得ステップと、
前記照明画像選択手段が、前記照明画像保持手段から前記観察照明の設置情報に応じた照明画像データを選択する照明画像選択ステップと、
前記ボケ画像生成手段が、該選択された照明画像データに対し、前記変角反射特性に応じて生成されたローパスフィルタを用いたフィルタ処理を施すことでボケ画像データを生成するボケ画像生成ステップと、
前記補正手段が、前記光沢成分保持手段および前記拡散成分保持手段に保持された光沢成分および拡散成分を、前記観察照明の発光情報に応じて補正する補正ステップと、
前記プルーフ画像生成手段が、プルーフ対象画像の画素毎に、該画素の色に応じて、前記補正手段による補正後の光沢成分と拡散成分の差分に当該画素位置に対応する前記ボケ画像データを乗じ、さらに該拡散成分を加算することで当該画素のプルーフ色を算出するプルーフ画像生成ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
コンピュータで実行されることにより、該コンピュータを請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図4】
【図7】
【図11】
【図12】
【図15】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図4】
【図7】
【図11】
【図12】
【図15】
【公開番号】特開2012−44421(P2012−44421A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183393(P2010−183393)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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