説明

画像処理装置および結合ジョブ生成方法

【課題】複数の文書を結合して結合ジョブを生成する際、結合ジョブに関する文書構成を複数の定義項目にわたって定義した構成定義情報に対し、完全に適合しない文書が存在する場合であっても結合ジョブの生成を行うことができるようにする。
【解決手段】複数の文書A,B,Cを結合して結合ジョブを生成する画像処理装置は、結合ジョブボックス32に保存された構成定義情報41に基づいて複数の結合対象文書A,B,Cを取得する文書データ取得部53と、構成定義情報41に含まれる複数の定義項目のうち、複数の文書A,B,Cが少なくとも一部の定義項目において適合しているか否かの判定を行う結合ジョブ判定部54と、結合ジョブ判定部54において複数の文書A,B,Cが少なくとも一部の定義項目において適合していると判定された場合、複数の文書A,B,Cを結合して結合ジョブを生成する結合ジョブ生成部56とを備える構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の文書を結合して結合ジョブを生成する画像処理装置およびその結合ジョブ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の文書を1つのジョブに結合して出力する機能を備えた装置に関する技術がいくつか提案されている(例えば、特許文献1、2又は3)。
【0003】
そのうち例えば特許文献1の技術では、ネットワークに接続された各クライアントマシンで、1つの文書を構成する4つの原稿がそれぞれ作成され、各原稿は印刷制御装置に入力する。一方、印刷装置には、1つの文書を構成する各原稿の原稿名が記述された情報が予め登録されている。印刷制御装置は、その情報を参照することにより、1つの文書を構成する原稿を識別し、全ての原稿が揃った時点でそれら原稿を1つのジョブに結合して実行する。
【0004】
また特許文献2の技術では、コンピュータにおいてアプリケーションなどから印刷が指示されると、そのコンピュータは、ネットワークに接続されている印刷装置に予め保存されている印刷ジョブの情報を取得し、その情報に基づいて印刷ジョブのリストを表示する。そしてユーザがそのリストの中から現在実行しようとする印刷ジョブと結合するジョブを選択し、印刷実行を指示する。その結果、印刷装置は、現在のジョブと指定されたジョブとを結合して印刷ジョブを実行する。
【0005】
さらに特許文献3の技術では、1つの文書を構成する各文書と作成担当者とを対応付けて納期を設定し、納期遅延の場合に納期遅延情報を作成担当者に通知する。また各作成担当者から送付されてきた個別の文書を印刷データに変換し、その個別の印刷ジョブに対して相互の結合関係を付与して印刷出力を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−16343号公報
【特許文献2】特開2001−159961号公報
【特許文献3】特開2006−11944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、1つの結合文書を構成する複数の文書を複数人で分担して作成する場合、それぞれの文書作成者が用紙サイズや文字サイズ、カラー設定などを自由気儘に設定して作成作業を行うと、最終的に1つの結合文書に生成する際に文書の書式が統一されないという不都合が生じる。そのため、結合文書を作成する際には、通常、管理者が、1つの結合文書を構成する各文書の書式などを定義し、それを各文書作成者に対して事前に伝えておくことで個別文書の書式統一を図ることが必要である。
【0008】
この場合において、例えば各文書の書式設定やページ設定、印刷設定などの詳細な設定項目にわたって定義される設定値を構成定義情報として予め印刷装置などに登録しておくことが考えられる。構成定義情報を予め登録しておくことにより、各文書作成者が作成した複数の文書を結合する際には、それぞれの文書が構成定義情報に適合しているか否かを判別し、各文書が全ての項目において構成定義情報に適合している場合に限り、文書の結合を行うことで、文書全体で統一された書式での出力が可能になる。
【0009】
しかしながら、管理者が、各文書作成者に対し、書式などの各項目に対する設定値を事前に伝えていたとしても、その項目が多数ある場合には、文書作成者の不注意などにより、予め定義された書式が守られずに各文書の作成作業が進められることがある。このような場合、文書作成者が作成した文書は、いくつかの設定項目において構成定義情報に適合しないため、いつまで経っても結合ジョブは生成されず、複数の文書を結合した1つの文書を出力させることができないという問題がある。
【0010】
一方、構成定義情報を予め登録しておく場合、管理者がいつでもその構成定義情報を更新することができるようにすると、各文書作成者に混乱を招き、統一した書式での文書作成が困難になる。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、複数の文書を結合して結合ジョブを生成する際、結合ジョブに関する文書構成を複数の定義項目にわたって定義した構成定義情報に対し、完全に適合しない文書が存在する場合であっても結合ジョブの生成を行い、管理者或いは各文書作成者の負担を軽減することができるようにした画像処理装置および結合ジョブ生成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、複数の文書を結合して結合ジョブを生成する画像処理装置であって、前記結合ジョブに関する文書構成を定義した構成定義情報を記憶する記憶手段と、前記構成定義情報に基づいて複数の結合対象文書を取得する文書取得手段と、前記構成定義情報に含まれる複数の定義項目のうち、前記複数の結合対象文書が少なくとも一部の定義項目において適合しているか否かの判定を行う結合ジョブ判定手段と、前記結合ジョブ判定手段において前記複数の結合対象文書が前記複数の定義項目のうちの少なくとも一部の定義項目において適合していると判定された場合、前記複数の結合対象文書を結合して結合ジョブを生成する結合ジョブ生成手段とを備えることを特徴としている。
【0013】
かかる発明によれば、構成定義情報に対して完全に適合しない結合対象文書が存在する場合であっても、複数の結合対象文書が少なくとも一部の定義項目において適合していれば、結合ジョブが生成されるようになる。
【0014】
また請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像処理装置において、前記ジョブ判定手段は、前記複数の結合対象文書が、前記複数の定義項目のうちの所定数以上の定義項目において適合しているか否かを判定し、前記結合ジョブ生成手段は、前記複数の結合対象文書が前記所定数以上の定義項目において適合していれば、前記複数の結合対象文書を結合して結合ジョブを生成することを特徴としている。
【0015】
かかる発明によれば、構成定義情報に対して完全に適合しない結合対象文書が存在する場合であっても、複数の結合対象文書が所定数以上の定義項目において適合していれば、結合ジョブが生成されるようになる。
【0016】
また請求項3にかかる発明は、請求項1記載の画像処理装置において、前記ジョブ判定手段は、前記複数の結合対象文書が、前記複数の定義項目のうちの一部に対して予め定められた所定の定義項目において適合しているか否かを判定し、前記結合ジョブ生成手段は、前記複数の結合対象文書が前記所定の定義項目において適合していれば、前記複数の結合対象文書を結合して結合ジョブを生成することを特徴としている。
【0017】
かかる発明によれば、構成定義情報に対して完全に適合しない結合対象文書が存在する場合であっても、複数の結合対象文書が予め定められた所定の定義項目において適合していれば、結合ジョブが生成されるようになる。尚、この場合において所定の定義項目は、例えば重要項目などとして予め設定される。
【0018】
また請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置において、前記複数の結合対象文書のそれぞれにおいて前記構成定義情報に適合しない不適合項目に関する情報を生成して通知する不適合項目通知手段をさらに備えることを特徴としている。
【0019】
かかる発明によれば、構成定義情報に適合しない不適合項目に関する情報が通知されるので、管理者や文書作成者が不適合項目を把握することができ、文書を修正したり、或いは構成定義情報を修正したりすることが可能になる。
【0020】
また請求項5にかかる発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記記憶手段に記憶される前記構成定義情報の更新を規制する規制手段をさらに備え、前記規制手段は、前記不適合項目通知手段が不適合項目に関する情報を通知した後、前記構成定義情報に対する更新の規制を解除することを特徴としている。
【0021】
かかる発明によれば、構成定義情報が更新されることによる混乱の発生を防止しつつ、不適合項目が発生した場合には、それに応じて構成定義情報の更新を行うことができるようになる。
【0022】
また請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記複数の定義項目は、文書の書式設定に関する項目、印刷出力時の印刷設定に関する項目、および、印刷出力後の後処理に関する項目のうちの少なくとも1つを含むことを特徴としている。
【0023】
また請求項7にかかる発明は、複数の文書を結合して結合ジョブを生成する画像処理装置であって、前記結合ジョブに関する文書構成を複数の定義項目について定義した構成定義情報を記憶する記憶手段と、前記構成定義情報に基づいて複数の結合対象文書を取得する文書取得手段と、前記複数の結合対象文章が前記複数の定義項目のうちの一部の定義項目において適合している場合、前記複数の結合対象文書を結合して結合ジョブを生成する自動判別モードと、前記複数の結合対象文章の前記複数の定義項目に対する適合性にかかわらず、前記複数の結合対象文書を強制結合して結合ジョブを生成する強制結合モードとのいずれか一方で結合ジョブを生成する結合ジョブ生成手段と、前記構成定義情報に含まれる結合判定情報に基づいて、前記結合ジョブ生成手段における前記自動判別モードと前記強制結合モードのうちのいずれか一方を選択的に機能させる結合ジョブ判定手段とを備えることを特徴としている。
【0024】
かかる発明によれば、構成定義情報に対して完全に適合しない結合対象文書が存在する場合であっても、自動判別モードと強制結合モードのいずれか一方を機能させることによって結合ジョブを生成することができるようになる。
【0025】
また請求項8にかかる発明は、複数の文書を結合して結合ジョブを生成する結合ジョブ生成方法であって、前記結合ジョブに関する文書構成を定義した構成定義情報を記憶するステップと、前記構成定義情報に基づいて複数の結合対象文書を取得するステップと、
前記構成定義情報に含まれる複数の定義項目のうち、前記複数の結合対象文書が少なくとも一定の定義項目において適合しているか否かを判断するステップと、前記複数の結合対象文書が少なくとも一部の定義項目において適合している場合、前記構成定義情報に基づいて前記複数の結合対象文書を結合して結合ジョブを生成するステップとを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、複数の文書を結合して結合ジョブを生成する際、結合ジョブに関する文書構成が構成定義情報に対して完全に適合しない文書が存在する場合であっても結合ジョブの生成を行うことができるようになり、管理者或いは各文書作成者の負担を軽減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】画像処理システムの一構成例を示す図である。
【図2】画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】画像処理装置の制御コンピュータによる結合ジョブの処理概念を示す図である。
【図4】構成定義情報の一例を示す図である。
【図5】制御コンピュータによって実現される詳細な機能構成を示すブロック図である。
【図6】文書データの属性情報の一例を示す図である。
【図7】画像処理装置が構成定義情報を受信した場合に行う処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】画像処理装置が結合ジョブボックスに保存された構成定義情報に基づいて結合ジョブを実行する場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】結合ジョブ自動判別処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】結合ジョブ自動判別処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】結合ジョブ強制実行処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0029】
図1は、本発明に関する一実施形態を示した画像処理システムの構成を示す図である。この画像処理システムは、画像処理装置1と、複数のコンピュータ11,12,13,…とを有し、それらがLANなどのネットワーク10を介して相互にデータ通信可能に接続された構成である。
【0030】
本実施形態における画像処理装置1は、例えばプリンタ機能の他、コピー機能、スキャナ機能、FAX機能などの複数の機能を備えた装置であって、一般に複合機やMFP(Multi Function Peripheral)などと称される装置である。
【0031】
この画像処理装置1はその上部に、自動原稿搬送装置(ADF)2aとスキャナ部2bとを備える画像読取部2を有している。例えばユーザがコピージョブ、スキャナジョブ或いはFAX送信ジョブの実行を指示した場合に画像読取部2が機能し、原稿の画像を読み取ることができる。このときADF2aは複数枚の原稿を1枚ずつスキャナ部2bに搬送し、スキャナ部2bはADF2aによって搬送される原稿の画像を1枚ずつ読み取ることで複数枚の原稿の連続自動読み取りが可能である。
【0032】
また画像処理装置1はその下部に、プリンタ部3aと給紙部3bとを備える画像形成部3を有している。画像形成部3は、ユーザがプリントジョブ、コピージョブ或いはFAX受信ジョブの実行を指示した場合に機能し、印刷出力を行う。また画像形成部3は、後述する制御コンピュータ20が複数の文書を結合して結合ジョブを生成した場合にはその結合ジョブに基づくプリントジョブを実行するように構成されている。給紙部3bには、複数枚の出力用紙がストックされており、印刷出力を行う際には出力用紙を1枚ずつ取り出してプリンタ部3aに搬送する。プリンタ部3aは、給紙部3bから搬送される出力用紙に対して画像形成を行い、出力する。
【0033】
本実施形態のプリンタ部3aは、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色に対応した4つの画像形成ユニットを備えている。例えばカラー画像を形成する場合、各画像形成ユニットにおいて各色の印刷データに基づいてトナー像を形成し、給紙部3bから供給される出力用紙にそのトナー像を順次に転写・定着させていくことによりカラー画像を出力する。またモノクロ画像を形成する場合は、黒(K)に対応した画像形成ユニットのみが動作し、給紙部3bから供給される出力用紙に黒色のトナー像を転写・定着させることにより画像出力を行う。尚、各画像形成ユニットにおいて形成されるトナー像を、中間転写ベルトを介して出力用紙に転写するものであっても構わない。またこのようなプリンタ部3aは、出力用紙を反転させる機構を備えており、出力用紙の両面に対して画像形成を行うことができるようになっている。
【0034】
また画像処理装置1は、画像読取部2の正面側に、ユーザが操作可能な操作パネル4を備えている。操作パネル4は、ユーザに対して各種情報を表示するための液晶ディスプレイなどで構成された表示部と、ユーザが操作入力を行うための複数の操作キーで構成された操作部とを備えている。
【0035】
尚、図示を省略しているが、画像処理装置1は、画像形成部3において画像形成を行った後、複数枚の出力用紙を束ねた状態でステープルやパンチ、中綴じなどの後処理を行う後処理ユニットを備えたものであっても構わない。
【0036】
上記構成の画像処理装置1は、ネットワーク10に接続された複数のコンピュータ11,12,13,…のそれぞれから結合ジョブを構成する文書データを入力し、複数の文書を結合して1つの結合ジョブを生成し、その結合ジョブを実行することで複数の文書が結合された印刷出力を行うように構成される。
【0037】
一方、ネットワーク10に接続された複数のコンピュータ11,12,13,…はそれぞれ例えば一般的なパーソナルコンピュータ(PC)などで構成される。図例の場合、コンピュータ11はユーザAが使用するコンピュータとして割り当てられている。またコンピュータ12はユーザBが使用するコンピュータとして、コンピュータ12はユーザCが使用するコンピュータとしてそれぞれ割り当てられている。本実施形態では、ユーザAが管理者となり、1つの結合ジョブを構成する3つの文書をユーザA,B,Cがそれぞれ分担して作成し、画像処理装置1においてその結合ジョブを実行する場合を例示する。
【0038】
図2は、画像処理装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように画像処理装置1は、上述した画像読取部2、画像形成部3および操作パネル4の他に、制御コンピュータ20と、通信インタフェース27と、記憶装置26とを備えている。制御コンピュータ20は、CPU21とメモリ22とを備えており、記憶装置26に記憶されているプログラム31を読み出して実行することにより、各部の動作を制御する。通信インタフェース27は、ネットワーク10を介してコンピュータ11,12,13などとデータ通信を行うためのものであり、各コンピュータ11,12,13から受信するデータなどを制御コンピュータ20に出力するように構成される。記憶装置26は、例えばハードディスク装置などの不揮発性記憶装置によって構成され、画像処理装置1に予めインストールされたプログラム31を記憶する。
【0039】
特に、制御コンピュータ20は、画像処理装置1において実行する結合ジョブを管理するように構成されており、記憶装置26に対して結合ジョブごとの記憶領域である結合ジョブボックス32を作成し、その結合ジョブボックス32に、結合ジョブに関する文書構成を定義した構成定義情報41と、その結合ジョブを構成する複数の文書データ42,43,44を保存するように構成される。ここで例えば文書データ42はユーザAによって作成される文書Aに関するデータであり、文書データ43はユーザBによって作成される文書Bに関するデータである。また文書データ44はユーザCによって作成される文書Cに関するデータである。それぞれの文書データ42,43,44には、文書作成者が個別に設定した原稿書式やページ設定、印刷設定、後処理設定などの情報を含む属性情報45,46,47が付加されている。
【0040】
図3は、画像処理装置1の制御コンピュータ20による結合ジョブの処理概念を示す図である。まず、結合ジョブ実行の管理者であるユーザAは、結合ジョブを構成する各文書の原稿書式やページ設定、印刷設定、後処理設定などを定義する。このとき、結合した文書を出力したときの書式や体裁などを統一したものとするためには、原稿書式、ページ設定、印刷設定および後処理設定などを詳細に定義しておくことが好ましく、複数の定義項目にわたって管理者が設定値を決定する。このようにして決定された各文書の構成定義は、例えば管理者であるユーザAによって他のユーザB,Cに伝えられる。そして各ユーザA,B,Cは、管理者であるユーザAによって定義された設定値を、自身のコンピュータのアプリケーションなどに入力して設定し、文書作成を行うことになる。
【0041】
そして管理者であるユーザAは、自身のコンピュータ11を操作することによって、結合ジョブを構成する複数の文書を特定するための構成定義情報41を作成し、画像処理装置1に送信する。
【0042】
図4は、構成定義情報41の一例を示す図である。図4に示すように、構成定義情報41には、結合ジョブを識別するための結合ジョブ番号41a、結合ジョブの管理者を示す管理者情報41b、結合ジョブのスケジュールを示すスケジュール情報41c、結合対象文書を示す結合対象文書情報41d、結合ジョブの実行モードを設定したモード設定情報41e、および、管理者であるユーザAによって定義された設定値を格納した構成定義項目情報41fが含まれる。ここで構成定義項目情報41fの各項目には、管理者であるユーザAが上述のように予め定義した設定値が記録されている。図例の場合、原稿書式設定に含まれる項目として、フォント種類と、フォントサイズと、背景色とがあり、ページ設定に含まれる項目として原稿サイズと余白とがある。また印刷設定に含まれる項目として、用紙サイズと、倍率設定と、分割設定と、カラーモードと、両面印刷とがある。さらに後処理設定に含まれる項目として、ステープルと、パンチと、中綴じとがある。これらの各項目には、管理者であるユーザAによって予め定義された値が設定値として記録されている。また、結合対象文書情報41dには、結合ジョブを構成する複数の文書が登録されており、文書結合を行う際の結合順序や、各文書の保存場所、各文書を特定する文書データ名、各文書の作成者などの情報が含まれる。
【0043】
制御コンピュータ20は、ユーザAのコンピュータ11から構成定義情報41を受信すると、結合ジョブ番号41aに基づいて結合ジョブを判定し、新規の結合ジョブである場合、記憶装置26に結合ジョブボックス32を作成してその受信した構成定義情報41を保存する。そして制御コンピュータ20は、結合ジョブボックス32に保存した構成定義情報41を管理し、スケジュール情報41cに基づいて各ユーザA,B,Cのコンピュータ11,12,13から文書データ42,43,44を取得して結合ジョブボックス32に保存する。そして制御コンピュータ20は、モード設定情報41eで設定されている結合ジョブの実行モードに基づいて結合ジョブを生成するための処理を行う。
【0044】
ここで図4の例では、モード設定情報41eにおいて「自動判別モード」が設定されている。自動判別モードは、制御コンピュータ20において各ユーザA,B,Cの作成した文書が構成定義情報41に含まれる構成定義項目情報41fの各設定値に適合しているか否かを判断するモードであり、制御コンピュータ20はその判断結果に基づいて結合ジョブを生成するか否かを決定する。
【0045】
また本実施形態では、モード設定情報41eの設定値として、「自動判別モード」の他に、「強制結合モード」を設定することができる。強制結合モードは、制御コンピュータ20において各ユーザA,B,Cの作成した文書が構成定義情報41に含まれる構成定義項目情報41fの各設定値に適合しているか否かにかかわず、複数の文書を結合して結合ジョブを生成するモードである。つまり、モード設定情報41eに「強制結合モード」が設定されている場合、制御コンピュータ20は、結合ジョブを生成することを決定する。
【0046】
図5は、制御コンピュータ20がプログラム31を実行することによって実現される詳細な機能構成を示すブロック図である。尚、図5では、複数の文書を結合して1つの結合ジョブを生成するための機能のみを示しており、単独文書を印刷する場合の機能やコピー機能、スキャン機能、FAX機能などのその他の機能については図示を省略している。図5に示すように、制御コンピュータ20は、プログラム31を実行することにより、構成定義情報管理部51、スケジュール判定部52、文書データ取得部53、結合ジョブ判定部54、不適合項目通知部55、結合ジョブ生成部56および結合ジョブ実行部57として機能する。
【0047】
構成定義情報管理部51は、ユーザAのコンピュータ11から構成定義情報41を入力すると、その構成定義情報41を結合ジョブボックス32に保存する。このとき、構成定義情報管理部51は、上述したように結合ジョブ番号41aに基づいて新規な結合ジョブであるか否かを判定し、新規な結合ジョブであれば、それに対応する結合ジョブボックス32を記憶装置26に作成し、そこに構成定義情報41を保存する。
【0048】
また構成定義情報管理部51は、更新規制部51aを備えており、更新規制部51aは、結合ジョブボックス32に対して構成定義情報41が保存されると、その構成定義情報41に対する書き換えなどの更新を規制するために、構成定義情報41をロックする。そのため、構成定義情報管理部51は、ユーザAのコンピュータ11から既に結合ジョブボックス32に保存されている構成定義情報41の更新情報を入力した場合でも、構成定義情報41がロックされた状態であれば、結合ジョブボックス32に保存されている構成定義情報41の更新は行わない。これに対し、ユーザAのコンピュータ11から既に結合ジョブボックス32に保存されている構成定義情報41の更新情報を入力したとき、構成定義情報41のロックが解除された状態であれば、構成定義情報管理部51は、結合ジョブボックス32に保存されている構成定義情報41を更新情報に基づいて更新する。
【0049】
構成定義情報41は、上述したように各ユーザA,B,Cが文書作成を行う際に基準とする構成定義項目情報41fを含む情報であるため、これを管理者であるユーザAがいつでも書き換え可能とすると、それによって構成定義項目情報41fの各設定値が従前の値から変更されてしまうため、特に管理者であるユーザA以外の他のユーザB,Cに混乱を生じさせることとなる。更新規制部51aは、そのような混乱を生じないようにするため、結合ジョブボックス32に対して一旦保存した構成定義情報41を管理者であるユーザAが安易に変更できないように管理する。
【0050】
スケジュール判定部52は、構成定義情報41に含まれるスケジュール情報41cに基づいてスケジュール判定を行う処理部である。具体的に説明すると、スケジュール情報41cには図4に示すように結合ジョブを実行する日時が登録されており、スケジュール判定部52は、そのスケジュール情報41cに基づいて結合ジョブを実行するタイミングに至ったか否かを判定する。
【0051】
文書データ取得部53は、構成定義情報41に含まれる結合対象文書情報41dに基づいて結合ジョブを構成する各文書データを取得する処理部である。各ユーザA,B,Cは、それぞれにコンピュータ11,12,13を操作することにより、自身が担当する文書の作成を行い、文書作成が完了すると、その文書データを所定の保存場所に保存する。例えば、自身のコンピュータに設けられたハードディスク装置の所定のフォルダ(記憶領域)に保存しても良いし、また画像処理装置1の記憶装置26においてユーザ自身に割り当てられているボックス(記憶領域)に保存しても良い。また各ユーザは、自身で作成した文書データを結合ジョブボックス32に保存しても良い。文書データ取得部53は、スケジュール判定部52から結合ジョブを実行するタイミングであることが通知されると、構成定義情報41を参照し、結合ジョブボックス32に全ての結合対象文書の文書データが揃っているか否かを判断し、揃っていない場合には、結合対象文書情報41dを参照して各文書の保存場所から文書データを取得し、結合ジョブボックス32に保存する。また、各ユーザが自身で作成した文書データを結合ジョブボックス32に対して直接保存する場合にも文書データ取得部53が機能し、各ユーザのコンピュータから入力する文書データを文書データ取得部53が取得して結合ジョブボックス32に保存する。
【0052】
結合ジョブ判定部54は、結合ジョブボックス32に保存された複数の文書を結合して結合ジョブを生成するか否かを判定する処理部である。結合ジョブ判定部54は、構成定義情報41に含まれるモード設定情報41eを参照し、「自動判別モード」と「強制結合モード」のいずれが設定されているかを判定する。
【0053】
ここでモード設定情報41eに「自動判別モード」が設定されている場合について説明する。「自動判別モード」が設定されている場合、結合ジョブ判定部54は、構成定義情報41に含まれる複数の定義項目のそれぞれにおいて、結合対象文書である各文書A,B,Cの設定値が定義項目の設定値に適合しているか否かの判定を行う。この判定は、構成定義情報41に含まれる構成定義項目情報41fと、各文書データ42,43,44に付加されている属性情報45,46,47とを対比することによって行う。
【0054】
図6は、文書データ42の属性情報45の一例を示す図である。尚、文書データ43,44の属性情報46,47についても図6と同様の情報が含まれる。図6に示すように属性情報45は、文書データAを特定するための文書データ情報45aと、作成者を特定するための作成者情報45bと、複数の設定項目から成る文書設定項目情報45fとを含んでいる。文書設定項目情報45fの各項目には、文書作成者が個別の文書を作成する際に設定した設定値が記憶されている。文書設定項目情報45fに含まれる項目は、例えば構成定義情報41の構成定義項目情報41fに含まれる項目と同様であり、図例の場合、原稿書式設定に含まれる項目として、フォント種類と、フォントサイズと、背景色とがあり、ページ設定に含まれる項目として原稿サイズと余白とがある。また印刷設定に含まれる項目として、用紙サイズと、倍率設定と、分割設定と、カラーモードと、両面印刷とがある。さらに後処理設定に含まれる項目として、ステープルと、パンチと、中綴じとがある。これらの各項目には、各ユーザによって設定された設定値が記録されている。
【0055】
尚、図6の場合、属性情報45の文書設定項目情報45fは、図4に示した構成定義情報41の構成定義項目情報41fと、印刷設定のカラーモードおよび両面印刷の2つの項目において互いに異なる値となっており、文書データ42が構成定義情報41に対して2つ項目で適合していない状態となっていることを示している。
【0056】
結合ジョブ判定部54は、文書設定項目情報45fに含まれる各項目の設定値が、構成定義項目情報41fに含まれる各項目の設定値に適合しているか否かの判定を行うことにより、各ユーザの作成した文書A,B,Cの設定値が構成定義項目情報41fに含まれる複数の定義項目の全てにおいて完全に適合している場合、原稿書式設定、ページ設定、印刷設定および後処理設定の全ての詳細項目において統一された文書が作成されていることになるため、結合ジョブを生成することを決定する。
【0057】
一方、各ユーザの作成した文書A,B,Cの設定値が、構成定義項目情報41fに含まれる各定義項目の設定値に完全に適合していない場合、複数の文書A,B,Cのうちの少なくとも1つは管理者の意図した文書設定がなされていないことになる。このような場合、全く結合ジョブを生成しないこととすると、いつまで経っても結合ジョブを生成することができない可能性がある。これを防止するため、本実施形態では、複数の文書A,B,Cの設定値が、構成定義項目情報41fに含まれる各定義項目の設定値に完全に適合していない場合でも、所定の条件を満たしていれば、結合ジョブ判定部54が、結合ジョブを生成することを決定するように構成されている。
【0058】
すなわち、結合ジョブ判定部54は、属性情報45,46,47のそれぞれの文書設定項目情報45fと、構成定義情報41の構成定義項目情報41fとを対比することにより、ユーザA,B,Cが個別に作成した複数の文書A,B,Cの各項目の設定値が、構成定義項目情報41fに含まれる複数の定義項目のうちの少なくとも一部において適合しているか否かを判定し、適合していれば、結合ジョブの生成を決定する。
【0059】
この判定では、例えば構成定義項目情報41fに含まれる複数の定義項目のうち、所定数以上の項目数において各文書A,B,Cの設定値が適合しているか否かを判定する第1の判定手法と、例えば構成定義項目情報41fに含まれる複数の定義項目のうち、管理者であるユーザAによって予め選択された幾つかの重要項目において各文書A,B,Cの設定値が適合しているか否かを判定する第2の判定手法とがある。
【0060】
第1の判定手法を採用する場合、各ユーザの作成した文書A,B,Cの設定値が構成定義項目情報41fに含まれる複数の定義項目において完全に適合していない状態でも、所定数以上の項目数において定義項目の設定値と適合していれば結合ジョブを生成することが決定される。ただしこの場合、各ユーザの作成した文書A,B,Cの設定値が構成定義項目情報41fの設定値と適合する項目の数が所定数未満であれば、結合ジョブの生成は行われない。尚、この場合の所定数は、プログラム31に予め設定されていても良いし、また管理者が構成定義情報41を定義する際に設定するようにしても良い。
【0061】
また第2の判定手法を採用する場合、各ユーザの作成した文書A,B,Cの設定値が構成定義項目情報41fに含まれる複数の定義項目において完全に適合していない状態でも、管理者が予め選択した重要項目において定義項目の設定値と適合していれば結合ジョブを生成することが決定される。ただしこの場合、各ユーザの作成した文書A,B,Cの設定値が、管理者の選択した重要項目において不適合となっていれば、結合ジョブの生成は行われない。尚、この場合の重要項目は、例えば管理者が構成定義情報41を定義する際に設定する。
【0062】
上記のように「自動判別モード」では、上記第1および第2の判定手法のいずれを採用したとしても、各ユーザの作成した文書A,B,Cの設定値が構成定義項目情報41fに含まれる複数の定義項目において完全に適合していない場合、所定の条件を満たしていれば結合ジョブが生成されるようになる。尚、画像処理装置1において上記第1および第2の判定手法のいずれを採用するかは適宜設定することが可能である。尚、以下においては、主として第1の判定手法を採用して自動判別モードも判定処理を行う場合を例示する。
【0063】
次にモード設定情報41eに「強制結合モード」が設定されている場合について説明する。「強制結合モード」が設定されている場合、結合ジョブ判定部54は、各ユーザの作成した文書A,B,Cが構成定義項目情報41fに従って作成されているか否かの判定を行うことなく、結合ジョブを生成することを決定する。この場合、各文書A,B,Cの原稿書式設定、ページ設定、印刷設定および後処理設定の各詳細項目は、構成定義項目情報41fにおける各定義項目の値に適合しない場合であっても、複数の文書A,B,Cが結合され、結合ジョブが生成される。つまり、強制結合モードは、原稿書式設定、ページ設定、印刷設定および後処理設定などの設定を統一することよりも、結合ジョブを生成することを優先するモードとなっている。
【0064】
そして結合ジョブ判定部54は、構成定義情報41に含まれるモード設定情報41eの設定値に基づいて、上述したように自動判別モードと強制結合モードのいずれか一方を択一的に機能させ、結合ジョブを生成するか否かを判定する。
【0065】
不適合項目通知部55は、結合ジョブ判定部54が自動判別モードにより、各ユーザの作成した文書A,B,Cの設定値が構成定義項目情報41fに含まれる複数の定義項目において完全に適合していない場合、構成定義項目情報41fに対して不適合であった不適合項目を特定し、不適合項目に関する情報を、管理者であるユーザAと、不適合となった文書を作成したユーザに対して通知する処理部である。これにより、管理者であるユーザAは、仮に結合ジョブが生成された場合でも自身が意図した結合文書にはなっていない項目を迅速に把握することができる。また不適合となった文書を作成したユーザは、その不適合項目を早期に把握し、文書データを修正するなどの対処措置を速やかに行うことができる。
【0066】
不適合項目通知部55が不適合項目に関する情報を通知すると、構成定義情報管理部51において更新規制部51aが構成定義情報41のロックを解除する。これにより、管理者であるユーザAは構成定義情報41を更新することができるようになる。例えば、結合ジョブ判定部54が自動判別モードにより、各ユーザの作成した文書A,B,Cの適合性を判別した結果、多くの定義項目で不適合となった結果、結合ジョブが生成されなかった場合、管理者は構成定義情報41の構成定義項目情報41fの設定値(定義した値)を書き換えることにより、各ユーザが作成しやすい設定値に変更することができる。
【0067】
結合ジョブ生成部56は、結合ジョブ判定部54により結合ジョブを生成することが決定された場合に機能する処理部であり、結合ジョブボックス32に保存されている文書データ42,43,44を結合し、その結合した文書に基づいて印刷データに変換することにより、結合ジョブを生成する。例えば自動判別モードで所定数以上の項目において構成定義情報41に適合していると判別された場合、結合ジョブ生成部56は、各ユーザの作成した文書A,B,Cの設定値が構成定義項目情報41fに含まれる複数の定義項目において完全に適合していない状態でも、複数の文書データ42,43,44を結合して印刷データに変換することにより結合ジョブを生成する。
【0068】
結合ジョブ実行部57は、結合ジョブ生成部56によって生成される結合ジョブに基づいて画像形成部3を制御することにより、結合ジョブに基づく印刷出力を行い、1つの文書として出力する。
【0069】
次に画像処理装置1において結合ジョブに関する処理を行う場合の処理手順について説明する。図7は、画像処理装置1が構成定義情報41を受信した場合に行う処理手順の一例を示すフローチャートである。画像処理装置1は、構成定義情報41を受信したか否かを監視しており(ステップS100)、構成定義情報41を受信すると(ステップS100でYES)、その受信した構成定義情報41が新規の情報であるか否かを判断する(ステップS101)。受信した構成定義情報41が新規の結合ジョブに関する情報である場合(ステップS101でYES)、構成定義情報管理部51が記憶装置26に新規の結合ジョブボックス32を作成し(ステップS102)、受信した構成定義情報41をその作成した結合ジョブボックス32に保存する(ステップS103)。そして更新規制部51aが機能して、結合ジョブボックス32に保存した構成定義情報41をロックする(ステップS104)。
【0070】
一方、受信した構成定義情報41が新規の結合ジョブに関する情報でなかった場合(ステップS101でNO)、受信した構成定義情報41に対応する情報は既に結合ジョブボックス32に保存されていることになり、受信した構成定義情報41はその既に保存されている情報を更新するための情報となる。そのため、構成定義情報管理部51は、受信した構成定義情報41に対応する情報のロックが解除されているか否かを判断し(ステップS105)、ロックが解除されていない場合は(ステップS105でNO)、構成定義情報41を更新することなく処理を終了する。つまり、この場合、受信した構成定義情報41は保存されることなく破棄される。
【0071】
これに対し、受信した構成定義情報41に対応する情報のロックが解除されている場合(ステップS105でYES)、構成定義情報管理部51は、結合ジョブボックス32に保存されていた構成定義情報41を新たに受信した構成定義情報41に書き換えて更新する(ステップS106)。そして構成定義情報41の更新が終了すると、更新規制部51aが機能し、更新した構成定義情報41を再びロック状態とする(ステップS107)。以上で、画像処理装置1が構成定義情報41を受信した場合の処理が終了する。
【0072】
次に、図8乃至図11は、画像処理装置1が結合ジョブボックス32に保存された構成定義情報41に基づいて結合ジョブを実行する場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば画像処理装置1において一定時間間隔ごとに繰り返し実行される。
【0073】
画像処理装置1がこの処理を開始すると、まずスケジュール判定部52を機能させる。スケジュール判定部52は、結合ジョブボックス32に保存されている構成定義情報41を読み出し(ステップS200)、構成定義情報41のスケジュール情報41cに基づいてスケジュール判定を行う(ステップS201)。その結果、結合ジョブを実行するタイミングであるか否かが判定され、未だ結合ジョブを実行するタイミングでない場合は(ステップS202でNO)、この処理を終了する。これに対し、結合ジョブを実行するタイミングである場合(ステップS202でYES)、結合ジョブ判定部54が構成定義情報41のモード設定情報41eに基づいて、自動判別モードと強制結合モードのいずれが設定されているかを判定する(ステップS203)。モード設定情報41eが自動判別モードである場合(ステップS204でYES)、結合ジョブ自動判別処理を実行する(ステップS205)。これに対し、モード設定情報41eが自動判別モードでなく、強制結合モードである場合(ステップS204でNO)、結合ジョブ強制実行処理を実行する(ステップS206)。
【0074】
図9は、結合ジョブ自動判別処理(ステップS205)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。結合ジョブ自動判別処理に進むと、結合ジョブ判定部54は、構成定義情報41の構成定義項目情報41fを解析する(ステップS210)。ここでは例えば図4に示す構成定義項目情報41fの各詳細項目の設定値を解析する。そして結合ジョブ判定部54は、結合対象文書である各文書A,B,Cの属性情報45,46,47を取得し(ステップS211)、構成定義情報41の構成定義項目情報41fと、各属性情報45,46,47の文書設定項目情報45fとを対比する(ステップS212)。そして各属性情報45,46,47の文書設定項目情報45fが、構成定義情報41における構成定義項目情報41fの設定値に適合する項目を判定する(ステップS213)。そして結合ジョブ判定部54は、各属性情報45,46,47の文書設定項目情報45fが構成定義情報41の設定値に適合する適合項目をカウントし(ステップS214)、その適合項目数が所定数以上か否かを判断する(ステップS215)。
【0075】
適合項目数が所定数以上である場合(ステップS215でYES)、制御コンピュータ20は、結合ジョブを構成する全ての文書データを既に取得済みであるか否かを判断する(ステップS216)。ここで全ての文書データを既に取得済みである場合(ステップS216でYES)、結合ジョブ生成部56が機能し、結合ジョブボックス32に保存されている文書データ42,43,44を読み出す(ステップS217)。一方、全ての文書データを未だ取得していない場合(ステップS216でNO)、文書データ取得部53が文書データ42,43,44を取得し、結合ジョブボックス32に保存する(ステップS218)。そして結合ジョブ生成部56が機能する。
【0076】
結合ジョブ生成部56は、結合ジョブを構成する文書データ42,43,44を構成定義情報41に定義された結合順序で結合し(ステップS219)、結合した文書データを印刷データに変換することで結合ジョブを生成する(ステップS220)。そして結合ジョブ生成部56は生成した結合ジョブを結合ジョブ実行部57に出力する。結合ジョブ実行部57は、結合ジョブ生成部56によって生成される結合ジョブに基づいて画像形成部3を制御することにより、結合ジョブに基づく印刷出力を行い、1つの文書として出力する(ステップS221)。つまり、この処理では、構成定義情報41に含まれる複数の定義項目のうち、各文書の設定値が所定数以上の項目で適合していれば、結合ジョブが実行されることになる。
【0077】
一方、適合項目数が所定数以上でなかった場合(ステップS215でNO)、ステップS216〜S221の処理はスキップする。
【0078】
そして図10のフローチャートに進み、不適合項目通知部55が機能する。不適合項目通知部55は、各文書データ42,43,44が構成定義情報41の構成定義項目情報41fに対して不適合であった不適合項目を抽出し(ステップS231)、不適合項目に関する情報を生成する(ステップS2332)。そして不適合項目通知部55は、管理者であるユーザAと、不適合となった文書を作成したユーザとを特定し、それらのユーザに対して不適合項目に関する情報を、電子メールなどを送信することによって通知する(ステップS233)。これにより、例えば管理者であるユーザAは、構成定義情報41に含まれる複数の定義項目のうちのどの項目において不適合となっているかを把握することができる。また、不適合となった文書を作成したユーザも同様に、どの項目において不適合になったかを把握することができるので、自身の作成した文書の設定値などを見直して再設定することにより、構成定義情報41に適合する文書に変更することができる。そして不適合項目通知部55が不適合項目に関する情報を通知すると、構成定義情報管理部51の更新規制部51aが結合ジョブボックス32に保存されている構成定義情報41のロック状態を解除する(ステップS231)。これにより、例えば複数の文書作成者が、構成定義情報41に含まれる複数の定義項目のうちの特定の定義項目で同じように不適合となっている文書を作成している場合、管理者であるユーザAは、その特定の定義項目の定義を見直し、構成定義情報41を更新することもできる。
【0079】
次に図11は、結合ジョブ強制実行処理(ステップS206)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理では、まず制御コンピュータ20が、結合ジョブを構成する全ての文書データを既に取得済みであるか否かを判断する(ステップS240)。ここで全ての文書データを既に取得済みである場合(ステップS240でYES)、結合ジョブ生成部56が機能し、結合ジョブボックス32に保存されている文書データ42,43,44を読み出す(ステップS241)。一方、全ての文書データを未だ取得していない場合(ステップS240でNO)、文書データ取得部53が文書データ42,43,44を取得し、結合ジョブボックス32に保存する(ステップS242)。そして結合ジョブ生成部56が機能する。
【0080】
結合ジョブ生成部56は、結合ジョブを構成する文書データ42,43,44を構成定義情報41に定義された結合順序で結合し(ステップS243)、結合した文書データを印刷データに変換することで結合ジョブを生成する(ステップS244)。そして結合ジョブ生成部56は生成した結合ジョブを結合ジョブ実行部57に出力する。結合ジョブ実行部57は、結合ジョブ生成部56によって生成される結合ジョブに基づいて画像形成部3を制御することにより、結合ジョブに基づく印刷出力を行い、1つの文書として出力する(ステップS245)。つまり、この処理では、結合ジョブを構成する複数の文書A,B,Cのそれぞれが構成定義情報41に含まれる複数の定義項目に適合しているか否かを判別することなく、常に結合ジョブが実行されることになる。
【0081】
以上、説明したように本実施形態の画像処理装置1は、結合ジョブに関する文書構成を定義した構成定義情報41を記憶しておき、その構成定義情報41と、結合ジョブを構成する複数の文書データ42,43,44の属性情報45,46,47とを対比することによって、構成定義情報41に含まれる複数の定義項目のうち、複数の文書A,B,Cが少なくとも一部の定義項目において適合しているか否かの判定を行う。そして複数の文書A,B,Cが複数の定義項目のうちの少なくとも一部の定義項目において適合している場合、それら複数の文書A,B,Cを結合してひとつの結合ジョブを生成し、結合ジョブを実行する。そのため、管理者であるユーザAは、例えば各文書の書式設定やページ設定、印刷設定、後処理設定などの詳細な設定項目に対して予め設定値を定義し、それらを構成定義情報41として登録しておくことにより、各ユーザによって作成される文書は多くの項目で統一された設定の文書とすることができる。そして複数の文書を結合する際には、全ての設定項目に対して各文書の設定値が適合していない場合でも、そのうちの一部の項目が適合していれば、結合ジョブの生成が行われるので、結合ジョブを実行するタイミングで効率よく、結合ジョブに基づく出力を行うことができる。
【0082】
また画像処理装置1に保存された構成定義情報41は、管理者であるユーザAがいつでも更新できるのではなく、通常はロックされた状態となる。そして各ユーザの作成した文書が構成定義情報41に不適合であることが判別された場合にロックが解除され、管理者であるユーザAが構成定義情報41を更新するための操作を行うことができる。したがって、一旦保存された構成定義情報41が頻繁に更新されることはなく、結合ジョブを構成する各文書を作成するユーザに対して混乱を生じさせることを防止することができる。
【0083】
(変形例)
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではない。
【0084】
例えば、上記実施形態では、画像処理装置1が画像読取部2を有する構成例を示したが、本発明において画像処理装置1は必ずしも画像読取部2を具備する必要はない。そのため、画像処理装置1は、プリンタ専用装置であっても構わない。
【0085】
また例えばネットワーク10に接続したサーバ装置を設け、そのサーバ装置が上述した画像処理装置の機能うち、結合ジョブを生成するまでの機能を具備するように構成しても良い。この場合、サーバ装置が画像処理装置として機能し、結合ジョブを生成する。そしてサーバ装置が生成した結合ジョブは、ネットワーク10を介してプリンタ専用装置などに出力され、そのプリンタ専用装置などにおいて実行される。したがって、この場合の画像処理装置は、画像形成部3を具備しない構成となる。
【0086】
尚、上記実施形態では、管理者であるユーザAが一人の文書作成者である場合を例示したが、管理者は必ずしも文書作成者であることは必須ではない。また上記実施形態では、一例として3人のユーザA,B,Cによって結合ジョブを構成する各文書が作成される場合を例示したが、文書作成者の数は3人であることに限定されるものではなく、2人であっても良いし、4人以上であっても構わない。特に文書作成者の数は増加する程、各文書が構成定義情報41に対して不適合となる可能性が高くなるため、上述したように各文書が構成定義情報41に対して完全には適合しない場合でも結合ジョブを実行することができるようにすることで、効率的な結合ジョブの実行が可能になる。
【0087】
また上述した他にも本発明には種々の変形例が適用可能である。すなわち、上述した説明は、全ての点において例示で本発明に関する限定的なものではない。
【符号の説明】
【0088】
1 画像処理装置
20 制御コンピュータ
26 記憶装置(記憶手段)
32 結合ジョブボックス
41 構成定義情報
41f 構成定義項目情報
42,43,44 文書データ(結合対象文書)
45,46,47 属性情報
45f 文書設定項目情報
51 構成定義情報管理部
51a 更新規制部(規制手段)
52 スケジュール判定部
53 文書データ取得部(文書取得手段)
54 結合ジョブ判定部(結合ジョブ判定手段)
55 不適合項目通知部(不適合項目通知手段)
56 結合ジョブ生成部(結合ジョブ生成手段)
57 結合ジョブ実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の文書を結合して結合ジョブを生成する画像処理装置であって、
前記結合ジョブに関する文書構成を定義した構成定義情報を記憶する記憶手段と、
前記構成定義情報に基づいて複数の結合対象文書を取得する文書取得手段と、
前記構成定義情報に含まれる複数の定義項目のうち、前記複数の結合対象文書が少なくとも一部の定義項目において適合しているか否かの判定を行う結合ジョブ判定手段と、
前記結合ジョブ判定手段において前記複数の結合対象文書が前記複数の定義項目のうちの少なくとも一部の定義項目において適合していると判定された場合、前記複数の結合対象文書を結合して結合ジョブを生成する結合ジョブ生成手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ジョブ判定手段は、前記複数の結合対象文書が、前記複数の定義項目のうちの所定数以上の定義項目において適合しているか否かを判定し、
前記結合ジョブ生成手段は、前記複数の結合対象文書が前記所定数以上の定義項目において適合していれば、前記複数の結合対象文書を結合して結合ジョブを生成することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ジョブ判定手段は、前記複数の結合対象文書が、前記複数の定義項目のうちの一部に対して予め定められた所定の定義項目において適合しているか否かを判定し、
前記結合ジョブ生成手段は、前記複数の結合対象文書が前記所定の定義項目において適合していれば、前記複数の結合対象文書を結合して結合ジョブを生成することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の結合対象文書のそれぞれにおいて前記構成定義情報に適合しない不適合項目に関する情報を生成して通知する不適合項目通知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記記憶手段に記憶される前記構成定義情報の更新を規制する規制手段をさらに備え、
前記規制手段は、前記不適合項目通知手段が不適合項目に関する情報を通知した後、前記構成定義情報に対する更新の規制を解除することを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記複数の定義項目は、文書の書式設定に関する項目、印刷出力時の印刷設定に関する項目、および、印刷出力後の後処理に関する項目のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
複数の文書を結合して結合ジョブを生成する画像処理装置であって、
前記結合ジョブに関する文書構成を複数の定義項目について定義した構成定義情報を記憶する記憶手段と、
前記構成定義情報に基づいて複数の結合対象文書を取得する文書取得手段と、
前記複数の結合対象文章が前記複数の定義項目のうちの一部の定義項目において適合している場合、前記複数の結合対象文書を結合して結合ジョブを生成する自動判別モードと、前記複数の結合対象文章の前記複数の定義項目に対する適合性にかかわらず、前記複数の結合対象文書を強制結合して結合ジョブを生成する強制結合モードとのいずれか一方で結合ジョブを生成する結合ジョブ生成手段と、
前記構成定義情報に含まれる結合判定情報に基づいて、前記結合ジョブ生成手段における前記自動判別モードと前記強制結合モードのうちのいずれか一方を選択的に機能させる結合ジョブ判定手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
複数の文書を結合して結合ジョブを生成する結合ジョブ生成方法であって、
前記結合ジョブに関する文書構成を定義した構成定義情報を記憶するステップと、
前記構成定義情報に基づいて複数の結合対象文書を取得するステップと、
前記構成定義情報に含まれる複数の定義項目のうち、前記複数の結合対象文書が少なくとも一定の定義項目において適合しているか否かを判断するステップと、
前記複数の結合対象文書が少なくとも一部の定義項目において適合している場合、前記構成定義情報に基づいて前記複数の結合対象文書を結合して結合ジョブを生成するステップと、
を有することを特徴とする結合ジョブ生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−241025(P2010−241025A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93590(P2009−93590)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】