説明

画像処理装置及びその制御方法

【課題】連続画像を生成する際に、取得画像の保持領域の削減を可能にすると共に画像合成の負荷を軽減する。
【解決手段】保持グループ数m、構成画像数nが設定される。順次取得した取得画像IPが、順次、取得画像記憶回路17に保持される。取得画像IPがn個取得されたときに、それまでに取得画像記憶回路17に保持していたn個の取得画像IPが合成され、グループ化画像GPとして生成され、グループ化画像記憶回路18に保持されると共に、グループ化画像GPの生成に使用した取得画像IPは消去される。グループ化画像記憶回路18に新たなグループ化画像GPが保持される毎に、保持されていたグループ化画像GPのうち最新のものからm個分のものまでを合成して表示画像Pが生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取得画像を合成して連続画像を生成する画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置等における画像処理装置には、撮像部で取得した画像を順次表示するライブビュー表示が可能に構成されたものがある。特に、撮像装置に設定した撮影時の露出設定値に基づき画像を表示する露出シミュレーション表示が可能な撮像装置が知られている。
【0003】
また、下記特許文献1に示されるように、複数の画像を所定の間隔で取得して記憶手段にて保持し、設定しているシャッタ速度に合わせて、保持している最新の画像から所定数の画像を合成してスルー画像として表示するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−079222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のライブビュー表示を行う装置においては、撮影時の画像露出で表示する露出シミュレーション表示を行う場合に、画像の追従性を考えると、低輝度時にも所定のフレームレートで表示を行う必要がある。しかし、低輝度時には、実際の露出値に相当する時間の露光量を得ることができず、実際の露出値とは異なるアンダーな画像の表示となってしまうことがあった。
【0006】
また、上記特許文献1の装置のように、所定間隔で取得した複数の画像を合成して表示するものにおいては、例えば、1秒間に10フレーム取得して5秒間の画像を合成するためには、50フレームの画像を保持する保持領域を確保する必要がある。そのため、合成コマ数が多くなると、保持するメモリ容量(保持領域)の確保が困難になると共に、合成画像を更新する度に多数の画像を毎回合成することによる、画像合成の演算負荷が大きいという問題があった。
【0007】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、連続画像を生成する際に、取得画像の保持領域の削減を可能にすると共に画像合成の負荷を軽減することができる画像処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の画像処理装置は、順次取得される取得画像を保持する第1の保持手段と、前記第1の保持手段に保持された第1の設定数の取得画像を合成して第1の合成画像を生成する第1の合成手段と、前記第1の合成画像を保持する第2の保持手段と、前記第2の保持手段に保持された前記第1の合成画像のうち最も新しく生成されたものから第2の設定数のものまでを合成して第2の合成画像を生成する第2の合成手段と、前記第1の合成画像の生成に用いられなくなった前記取得画像を順次消去する消去手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、連続画像を生成する際に、取得画像の保持領域の削減を可能にすると共に画像合成の負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置が適用される撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】撮像装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】取得画像の合成の態様を示す模式図である。
【図4】ライブビュー(LV)処理のフローチャートである。
【図5】図4のステップS101で実行される合成条件設定処理のフローチャートである。
【図6】図4のステップS103で実行されるLVモード設定処理のフローチャートである。
【図7】図4のステップS115で実行されるLVモード復帰処理のフローチャートである。
【図8】ライブビュー状態からのレリーズ処理のフローチャートである。
【図9】図4のステップS109で実行される画像取得処理のフローチャートである。
【図10】図4のステップS110で実行されるグループ化画像生成処理のフローチャートである。
【図11】図4のステップS111で実行される表示画像生成処理のフローチャートである。
【図12】図4のステップS112で実行される表示処理のフローチャートである。
【図13】図10のステップS319で実行される画像IS処理のフローチャートである。
【図14】図4のステップS107で実行される動画撮影処理のフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態における動画データ変換処理のフローチャートである。
【図16】図15のステップS500で実行される動画データの変換条件設定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置が適用される撮像装置の構成を模式的に示す図である。本撮像装置は、スルー画像表示、ライブビュー表示が可能な一眼レフカメラとして構成される。本撮像装置は、撮像装置本体100と、撮像装置本体100に対して着脱可能な交換レンズ200とからなる。
【0013】
撮像装置本体100は、ファインダ光学系を構成する正立正像光学系101、接眼レンズ102、ファインダスクリーン103を備える。また、メインハーフミラー104は撮像光束をファインダ光学系に偏向する。サブミラー105は撮像光束を後述する焦点検出ユニット109に偏向する。メインハーフミラー104とサブミラー105とによって光路分割光学系が構成される。撮像素子106は、CCDセンサやCMOSセンサ等でなる。メカニカルシャッタであるフォーカルプレーンシャッタ(以下「シャッタ装置」という)107は、撮像素子106の露光を制御する。
【0014】
焦点検出ユニット109は、少なくとも一対の画素列(ラインセンサ)を有し、該一対のラインセンサは撮影光学系からの光束によって形成された一対の像を光電変換して信号を出力する。測光センサ110は被写体輝度を測定し、測光レンズ111は測光センサ110に被写体からの光束を結像させる。
【0015】
カメラマイクロプロセッサ(第1の設定手段、第2の設定手段、第1の合成手段、第2の合成手段、消去手段)112は、撮像装置本体100の各種動作の制御を司る。カメラマイクロプロセッサ112は1つとしているが、複数設けて制御負荷を分散させても良い。ファインダ表示ユニット115は、光学ファインダを覗いた観察者に対して各種情報を表示する。撮像装置本体100の外面には外部表示ユニット116が設けられ、外部表示ユニット116は電子ビューファインダ(EVF)として機能する。撮像素子106の前面にはローパスフィルタ117が配置される。
【0016】
一方、交換レンズ200は、交換レンズ200の各種動作の制御を司るレンズマイクロプロセッサ201を備える。レンズマイクロプロセッサ201は、通信接点を介してカメラマイクロプロセッサ112と通信を行う。レンズ202は撮影光学系を構成する結像光学系である。絞り装置203は光量調節を行う。図1では、レンズを1枚しか記載していないが、実際には撮影光学系は複数枚のレンズにより構成されている。
【0017】
本実施の形態においては、撮像装置本体100のカメラマイクロプロセッサ112は、交換レンズ200のレンズマイクロプロセッサ201と通信を行い、これにより、交換レンズ200が保有する情報を使用して制御を行う。
【0018】
図2は、撮像装置(撮像装置本体100及び交換レンズ200)の回路構成を示すブロック図である。
【0019】
図2に示すように、撮像装置本体100は、上記したカメラマイクロプロセッサ112の他、以下に示す構成要素を具備している。まず、モータ駆動回路2は、撮像装置本体100の可動部分の駆動を行う。測光回路3は、被写体の輝度を測定するための回路であり、図1の測光センサ110に含まれる。焦点検出部4は、交換レンズ200の焦点状態を検出するものであり、図1の焦点検出ユニット109に含まれる。
【0020】
シャッタ制御回路6は、撮像装置本体100の露光量の制御を行う回路であり、図1のシャッタ装置107に含まれる。絞り制御回路7は、撮像装置本体100に取り込む光束を制御するための回路であり、図1の絞り装置203を制御する。表示回路(表示手段)8は、撮像装置本体100の状態を表示するものであり、図1のファインダ表示ユニット115及び外部表示ユニット116を含む。
【0021】
記憶回路10には、撮像装置本体100の設定状態の情報が格納される。撮像回路(撮像手段)11は撮像処理を行う。レンズ通信回路12は、撮像装置本体100に装着される交換レンズ200と通信を行う。姿勢検知回路13は、撮像装置本体100の姿勢変化を検出する。スイッチ14(SW1)は、撮像準備動作を開始するためのスイッチで、スイッチ15(SW2)は撮像を開始するためのスイッチである。
【0022】
動きベクトル検出回路(検出手段)16は、撮像素子106乃至撮像回路11により取得された画像の動きベクトルを検出するための回路である。取得画像記憶回路(第1の保持手段)17は、撮像素子106乃至撮像回路11により取得された画像(以下「取得画像IP」とも称する)を一時的に保持する。グループ化画像記憶回路(第2の保持手段)18は、撮像回路11により取得されて取得画像記憶回路17に保持された取得画像IPを合成したもの(以下、「グループ化画像(第1の合成画像)GP」という)を一時的に保持する。画像データ記録回路(記憶装置)19は、画像データを記録する。
【0023】
撮像回路11にて取得された画像は、まず、取得画像記憶回路17にて保持され、次に、取得画像記憶回路17にて保持されている取得画像IPから合成によりグループ化画像GPが生成され、グループ化画像記憶回路18に保持される。さらに、グループ化画像記憶回路18にて保持されているグループ化画像GPから表示用の合成画像(以下、「表示画像(第2の合成画像)P」という)が生成された後、それが表示回路8にて表示される。また、画像データ記録回路19にて画像記録等の処理が実行される。
【0024】
交換レンズ200は、上記したレンズマイクロプロセッサ201の他、交換レンズ200の設定値を保持する記憶回路22、交換レンズ200の駆動を行うレンズ駆動回路23を備える。さらに、交換レンズ200の位置検出を行うレンズ位置検出回路24、交換レンズ200の設定されている焦点距離を検出するレンズ焦点距離検出回路25が備えられる。絞り駆動回路26は、図1の絞り装置203に含まれ、絞りを駆動する。レンズ通信回路29は、撮像装置本体100との通信を行う。レンズ通信回路29は、撮像装置本体100からの制御命令を受信すると共に、交換レンズ200に保持されている形状情報やレンズ設定値等の情報を送信する。
【0025】
図3は、取得画像IPの合成の態様を示す模式図である。図3においては、撮像回路11により取得されたn個の取得画像IPを合成してグループ化画像GPを生成し、グループ化画像GPをm個生成した時点で、m個のグループ化画像GPを合成して表示画像Pを生成することを示している。これらの制御はカメラマイクロプロセッサ112(以下、単に「プロセッサ112」と記す)によってなされる。
【0026】
「n」は、「第1の設定数」であって、1つのグループ化画像GPを生成するための合成対象となる取得画像IPの数、すなわち、1つのグループ化画像GPを構成する取得画像IPの数(以下、「構成画像数n」という)である。「m」は、「第2の設定数」であって、1つの表示画像Pを生成するための合成対象となるグループ化画像GPの数(以下、「保持グループ数m」という)である。
【0027】
図3に例示するように、順次取得した取得画像IPが、順次IP(1,1)、IP(1,2)・・・IP(1,n)というように、取得画像記憶回路17に保持されていく。取得画像IPがn個取得されたときに、それら取得画像記憶回路17に保持されたn個の取得画像IPが合成され、グループ化画像GP(1)として生成される。生成されたグループ化画像GP(1)はグループ化画像記憶回路18に保持される。式で示すと、GP(1)=IP(1,1)+IP(1,2)+・・・+IP(1,n)となる。
【0028】
グループ化画像GPを生成している間も、順次、画像の取得は継続されている。グループ化画像GPを生成するために取得画像IPが転送された後、取得画像記憶回路17の画像領域はクリアされ、また新たな取得画像IPが蓄積されていく。すなわち、IP(1,1)〜IP(1,n)はグループ化画像GP(1)の生成と共にクリアされ、次のグループ化画像GP(2)を生成するための取得画像IP(2,1)〜IP(2,n)が取得画像記憶回路17で保持される。
【0029】
取得画像IP(2,1)〜IP(2,n)の取得が完了したところで、2つ目のグループ化画像GP(2)が、1つ目のグループ化画像GP(1)と同様に、取得画像IP(2,1)〜IP(2,n)の合成により生成される。そしてそれが取得画像記憶回路17にて保持される。式で示すと、GP(2)=IP(2,1)+IP(2,2)+・・・+IP(2,n)となる。
【0030】
このようにして、取得画像IPがn個取得される毎にグループ化画像GPの生成が繰り返される。m番目のグループ化画像GP(m)が、GP(m)=IP(m,1)+IP(m,2)+・・・+IP(m,n)により生成されると、そのとき保持しているグループ化画像GPの読み出しが行われる。そして、グループ化画像GP(1)〜GP(m)が、P(1)=GP(1)+GP(2)+・・・+GP(m)により合成されて表示画像P(1)が生成される。表示画像P(1)は、例えば、表示回路8によって表示される。
【0031】
その後も、順次、取得画像IPが取得され、やがてm+1番目のグループ化画像GP(m+1)が生成される。すると、P(2)=GP(2)+GP(3)+・・・+GP(m+1)により、グループ化画像GP(2)〜GP(m+1)までが合成されて表示画像P(2)が生成され、表示回路8の表示画像が更新される。
【0032】
このように、グループ化画像GPが順次生成され、最新のグループ化画像GPからm個分のグループ化画像GPを合成して表示画像P(x)が生成される。式で示すと、P(x)=GP(x)+GP(x+1)+・・・+GP(m+x−1)となる。表示回路8の表示内容は、最新の表示画像P(x)に順次更新され、連続画像として例えばライブビュー表示される。
【0033】
以下に本撮像装置の動作の一例を示す。
【0034】
図4は、本撮像装置で実行されるライブビュー(LV)処理のフローチャートである。本処理は、撮像装置の電源オン時に開始される。
【0035】
まず、ステップS100では、プロセッサ112は、撮像装置がライブビューモード(以下、「LVモード」と記す)に設定(ON)されているか否かを判別する。プロセッサ112は、その判別の結果、LVモードがONに設定されている場合にはステップS101に処理を移行させる一方、LVモードがOFFに設定されている場合には、処理をステップS119に移行させる。
【0036】
次に、ステップS101では、プロセッサ112は、取得画像IPをどのように合成するかの条件を設定する合成条件設定処理(図5で後述)を実行し、ステップS102に処理を進める。次に、ステップS102では、プロセッサ112は、撮像装置がLV状態に設定されているか否かを判別する。そして、プロセッサ112は、撮像装置がLV状態に設定されていればステップS105に処理を進める一方、LV状態に設定されていない場合はステップS103、S104を実行してからステップS105に処理を進める。
【0037】
ステップS103においては、プロセッサ112は、撮像装置をLV状態に設定するLVモード設定処理(図6で後述)を実行する。ステップS104においては、プロセッサ112は、取得画像IPを保持するための取得画像記憶回路17における画像保持領域を初期化し、次のステップS105に処理を進める。
【0038】
ステップS105では、プロセッサ112は、撮像装置のレリーズ信号が発生したか否か、すなわち、スイッチ15(SW2)がONになったか否かを判別する。その判別の結果、SW2がONである場合は、プロセッサ112は、LVモード時のレリーズ処理に移行する。LVモード時のレリーズ処理については、図8を用いて後述する。一方、SW2がOFFである場合は、プロセッサ112は、ステップS106で、撮像装置の動画撮影を開始するための動画撮影スイッチ(図示せず)がONになっているか否かを判別する。
【0039】
ステップS106で、動画撮影スイッチがOFFになっている場合は、プロセッサ112は、ステップS108に処理を進める。一方、動画撮影スイッチがONになっている場合は、プロセッサ112は、ステップS107で動画撮影処理(図14で後述)を実行してからステップS108に処理を進める。
【0040】
ステップS108では、プロセッサ112は、LVモードの表示モードが通常モードであるか、または露出設定値(露出条件)を再現する露出シミュレーションモードであるかを判別する。その判別の結果、プロセッサ112は、LVモードの表示モードが露出シミュレーションモードに設定されている場合は、ステップS109に処理を進める一方、通常モードである場合はステップS116に処理を進める。
【0041】
ステップS109では、プロセッサ112は、撮像素子106により画像(取得画像IP)を取得する画像取得処理(図9で後述)を実行する。次に、ステップS110で、プロセッサ112は、取得画像IPを合成してグループ化画像GPを生成するグループ化画像生成処理(図10で後述)を実行する。次に、ステップS111では、プロセッサ112は、ステップS110にて生成したグループ化画像GPから表示画像Pを合成により生成する表示画像生成処理(図11で後述)を実行し、ステップS112に処理を移行させる。ステップS112では、プロセッサ112は、ステップS111にて生成した表示画像Pを表示するための表示処理(図12で後述)を実行する。
【0042】
次に、ステップS113では、プロセッサ112は、割り込み処理が指示されているか否かを判別する。その判別の結果、割り込み処理が指示されている場合は、プロセッサ112は、その割り込み処理の実行を指示して(ステップS118)、ステップS114に処理を進める。これにより、割り込み処理が実行される。一方、割り込み処理が指示されていない場合は、プロセッサ112は、ステップS114に処理を進める。
【0043】
ステップS114では、プロセッサ112は、LVモードがONに設定されているか否かを判別する。プロセッサ112は、その判別の結果、LVモードがONに設定されている場合にはステップS105に処理を戻す一方、LVモードがOFFに設定されている場合には、ステップS115に処理を進める。ステップS115では、プロセッサ112は、撮像装置をLV状態から待機状態に復帰させるLVモード復帰処理(図7で後述)を実行し、図4のLV処理を終了させる。
【0044】
ステップS119においては、プロセッサ112は、撮像装置がLV状態に設定されているか否かを判別する。プロセッサ112は、その判別の結果、LV状態に設定されている場合は、ステップS115に処理を進める一方、LV状態に設定されていない場合は図4のLV処理を終了させる。
【0045】
ステップS116では、プロセッサ112は、LVモードで表示する露出条件の演算を行い、次にステップS117で、ステップS116で演算した露出条件に基づき画像の取得を行って、ステップS112に処理を移行させる。演算された露出条件は記憶回路10に記憶される。
【0046】
図5は、図4のステップS101で実行される合成条件設定処理のフローチャートである。
【0047】
まず、プロセッサ112は、ステップS1400で、記憶回路10から、設定された露出条件を読み込み、次にステップS1403で、撮像装置において画像安定モードが設定されているか否かを判別する。画像安定モードは、ユーザによって、不図示の操作子によって設定される。
【0048】
その判別の結果、画像安定モードが設定されていない場合は、プロセッサ112は、ステップS1408に処理を移行させる。一方、画像安定モードが設定されている場合は、プロセッサ112は、ステップS1404で、複数の画像を取得して、動きベクトル検出回路16の検出結果に基づいて動きベクトルを検出する。次に、ステップS1405では、プロセッサ112は、検出した動きベクトル値を元に、最長蓄積時間(電荷蓄積時間の上限値)を変更して、ステップS1408に処理を移行させる。
【0049】
ステップS1408では、プロセッサ112は、上記露出条件で設定されている露出時間が所定値以上か否かを判別する。その判別の結果、プロセッサ112は、露出時間が所定値以上である場合はステップS1409に処理を進める一方、露出時間が所定値以上でない場合はステップS1410に処理を進める。ステップS1409では、プロセッサ112は、LV画像取得時のセンサ感度を、露出時間が上記所定値になるように変更して、ステップS1410に処理を移行させる。すなわち、画像取得時の撮像素子106のゲインを変更することで、画像取り込み時間を所定範囲に収める。
【0050】
ステップS1410では、プロセッサ112は、上記露出条件に基づき、必要加算画像数pを算出し、ステップS1420に処理を移行させる。ここで、必要加算画像数pは、設定露出条件に基づく画像を生成するために必要な画像の数である。すなわち、画像として適正と考えられる明るさで表示するためには、その取得した画像の明るさならば何枚の画像が必要であるかを算出した数である。一例を挙げれば、例えば、画像として適正と考えられる明るさに対して、取得した画像の明るさが0.5ならば、2枚合成すれば所定の明るさになり、取得した画像の明るさが0.05ならば、20枚合成すれば適正な明るさになる。
【0051】
ステップS1420では、プロセッサ112は、算出した必要加算画像数pが所定値以上であるか否かを判別する。その判別の結果、プロセッサ112は、必要加算画像数pが所定値以上である場合は、ステップS1430、S1440で、保持グループ数m、構成画像数nの設定を行い、図5の合成条件設定処理を終了させる。
【0052】
ここで、保持グループ数m、構成画像数nは、ユーザが不図示の操作子を用いて設定するようにしてもよい。あるいは、下記のように、取得画像の明るさ(例えば、画像が取得される際の露出時間)や画像の動きベクトルに基づいて演算により求めるようにしてもよい。
【0053】
まず、パラメータを以下のように定義する。
S:設定したシャッタ速度
M:画像データ保持用のメモリ容量
Ms:設定画像サイズでの1コマの容量
F:表示画像のフレームレート
Fmin:表示画像の最低フレームレート
V:画像の動きベクトル量
A:最大保持可能コマ数
b:定数
フレームレートFについては、b×V>Fminであれば、F=b×Vとなり、b×V≦Fminであれば、F=Fminとなる。一駒の表示に必要なコマ数はS×Fとなる。従って、A=INT(M/Ms)=m+nが成り立つ条件で、A≧S×Fであれば、n=S×F、A<S×Fであれば、n=INT(S×F/M)+1として設定する(小数点以下はゲイン調整で合わせ込む)。A=m+nによりmも算出する。
【0054】
LV表示において、適正な露出を得るために露出時間が長くなったときでも、画像の変化を表現するためには所定の間隔にて画像を更新していかなければならないため、一駒の時間は制限される。そこで、上記のように、構成画像数nは露出時間を考慮したものとなる。また、動きベクトルが大きい場合には、長時間蓄積処理を行うと画像にブレが発生してしまう。そこで、上記のように、画像一駒の蓄積時間を短縮し、合成枚数を増加させて画像ブレを減少させるべく、構成画像数nの算出には、動きベクトルも考慮する。
【0055】
上記のような保持グループ数m、構成画像数nの設定手法は例示であり、他の手法を用いてもよい。これらの値は記憶回路10に格納される。
【0056】
ステップS1420において、必要加算画像数pが所定値以上でない場合は、プロセッサ112は、ステップS1450で、取得画像IPを直接合成するように設定して、図5の合成条件設定処理を終了させる。この直接合成の設定では、m=1、n=pに設定される。
【0057】
図6は、図4のステップS103で実行されるLVモード設定処理のフローチャートである。
【0058】
まず、ステップS160では、プロセッサ112は、メインハーフミラー104とサブミラー105を、撮像素子106の撮像光路外に退避させるように退避動作を行う。次に、ステップS161では、プロセッサ112は、撮像素子106を遮光しているシャッタ装置107を撮影準備状態に保持しているチャージ手段(不図示)を駆動して、シャッタチャージを解除する。次に、ステップS162では、プロセッサ112は、シャッタ装置107の遮光を開放し、撮像素子106にて撮像光学系(レンズ202)からの光束を受光できるようにして、本処理を終了させる。
【0059】
図7は、図4のステップS115で実行されるLVモード復帰処理のフローチャートである。
【0060】
まず、ステップS180では、プロセッサ112は、撮像素子106で実行されていた画像取得を停止させ、ステップS181で、シャッタ装置107を閉鎖状態に駆動する。次に、ステップS182では、プロセッサ112は、メインハーフミラー104とサブミラー105を撮影光路内に復帰させる(ミラーダウン)。次に、ステップS183では、プロセッサ112は、シャッタチャージ、すなわち、シャッタ装置107を、次の撮影動作に備えて準備状態に復帰させるためのチャージ動作を実行し、本処理を終了させる。
【0061】
図8は、ライブビュー状態からのレリーズ処理のフローチャートである。
【0062】
まず、ステップS200では、プロセッサ112は、撮像装置の記録モードがLV画像をそのまま記録するLV画像記録モードであるか否かを判別する。その判別の結果、LV画像記録モードである場合は、プロセッサ112は、ステップS201に処理を移行させ、LVモードにて表示していた画像を画像データ記録回路19に保存して、元のフローに復帰する。
【0063】
一方、ステップS200において、撮像装置がLV画像記録モードでない場合は、ステップS202で、プロセッサ112は、撮像装置のシャッタのモードが通常モード、電子先幕モードのいずれに設定されているかを判別する。ここで、通常モードは、露光開始及び露光終了を共にメカ機構にて制御するモードである。電子先幕モードは、露光開始を撮像素子106のリセット動作で行うと共に露光終了をメカ機構にて制御するモードである。
【0064】
ステップS202の判別の結果、プロセッサ112は、シャッタのモードが通常モードである場合はステップS203に処理を進める一方、電子先幕モードである場合はステップS220に処理を進める。
【0065】
ステップS203では、プロセッサ112は、LVモードにて蓄積を繰り返していた撮像素子106の画像取得動作を停止させ、続くステップS204で、撮像処理を行う準備として、シャッタ装置107をチャージ状態に遷移させて撮影準備状態にする。次に、ステップS205で、プロセッサ112は、シャッタ装置107を駆動して撮像素子106を露光することで撮像を行う。
【0066】
次に、ステップS206では、プロセッサ112は、駆動が終了したシャッタ装置107を待機状態に復帰させるためのチャージ動作を行うと共に、撮像した画像データを転送する。プロセッサ112は、チャージ動作と画像転送の双方が終了した時点で、ステップS209に処理を進める。
【0067】
ステップS209では、プロセッサ112は、レリーズ信号であるSW2がONのまま継続しているか否かを判別し、SW2がONのままである場合は、ステップS204に処理を戻して、シャッタ走行準備動作を行う。一方、プロセッサ112は、SW2がOFFである場合は、処理をステップS210に移行させる。
【0068】
ステップS210では、プロセッサ112は、LVモード設定処理(図6で前述)を実行し、次に、ステップS211で、LVモードで使用していた過去のグループ化画像GPが存在しているか否かを判別する。その判別の結果、過去のグループ化画像GPが存在していない場合は、プロセッサ112は、図4のLV処理ルーチンへ処理を復帰させる。一方、プロセッサ112は、過去のグループ化画像GPが存在している場合はステップS212に処理を移行させる。
【0069】
ステップS212では、プロセッサ112は、姿勢検知回路13の検出結果に基づき、撮影前後での撮像装置本体100の姿勢変化が所定値以下であるか否かを判別する。その判別の結果、プロセッサ112は、姿勢変化が所定値以下である場合はステップS213に処理を移行させる一方、姿勢変化が所定値以下でない場合はステップS214に処理を移行させる。
【0070】
ステップS213では、プロセッサ112は、撮影前後の経過時間が所定値以下であるか否かを判別する。その判別の結果、プロセッサ112は、撮影前後の経過時間が所定値以下である場合はステップS216に処理を移行させる一方、撮影前後の経過時間が所定値以下でない場合はステップS214に処理を移行させる。
【0071】
ステップS214では、プロセッサ112は、グループ化画像記憶回路18に保持されているグループ化画像GPをリセット(クリア)し、次に、ステップS215で、画面に表示する表示画像Pをリセットして、ステップS216に処理を移行させる。ステップS216では、プロセッサ112は、取得画像IPをリセットして、図4のLV処理に処理を復帰させる。
【0072】
ステップS211〜S216の処理によれば、撮像装置の状態(姿勢や経過時間)変化が大きいならばグループ化画像GP及び表示画像Pがリセットされる。しかし、撮影動作後にも撮像装置の状態変化が小さければ、それらをリセットすることなく、レリーズ前に蓄積した画像も用いてシミュレーション表示を行うことになる。
【0073】
ステップS220においては、プロセッサ112は、LVモードにて蓄積を繰り返していた撮像素子106の画像取得動作を停止させ、続くステップS221で、撮像処理に向けて撮像素子106の準備を行う。次に、プロセッサ112は、ステップS222で、シャッタ装置107の走行特性に合わせて撮像素子106のリセット動作を順次実施し、続くステップS223で、シャッタ装置107の後幕走行を行う。次に、ステップS224で、プロセッサ112は、駆動が終了したシャッタ装置107を待機状態に復帰させるためのチャージ動作を行うと共に、撮像した画像データを転送する。プロセッサ112は、チャージ動作と画像転送の双方が終了した時点で、ステップS227に処理を進める。
【0074】
プロセッサ112は、ステップS227では、レリーズ信号であるSW2がONのまま継続しているか否かを判別する。その判別の結果、プロセッサ112は、SW2がONのままである場合はステップS228に処理を移行させる一方、SW2がOFFである場合はステップS210に処理を移行させる。ステップS228では、プロセッサ112は、シャッタ装置107の先幕走行を行って開放状態に設定し、ステップS221に処理を戻す。
【0075】
図9は、図4のステップS109で実行される画像取得処理のフローチャートである。
【0076】
まず、ステップS300で、プロセッサ112は、撮像素子106にて取得画像IPの蓄積処理を実行し、続くステップS301で、取得画像IPの転送処理を行う。次に、ステップS302では、プロセッサ112は、転送した取得画像IPを取得画像記憶回路17に保持させて、図9の画像取得処理を終了させる。
【0077】
図10は、図4のステップS110で実行されるグループ化画像生成処理のフローチャートである。
【0078】
まず、ステップS311においては、プロセッサ112は、取得画像IPが構成画像数nだけ取得済みであるか否かを判別する。その判別の結果、取得画像IPがn個取得済みでない場合は、プロセッサ112は、本処理を終了させて図4のステップS111へ処理を進める。一方、取得画像IPがn個取得済みである場合は、プロセッサ112は、ステップS312で、画像IS処理、すなわち、画像防振制御処理を実施することが指定されているか否かを判別する。画像IS処理を実施するか否かの指定は、ユーザによって不図示の操作子でなされる。
【0079】
その判別の結果、プロセッサ112は、画像IS処理を実施することが指定されていない場合はステップS313に処理を移行させる。ステップS313では、プロセッサ112は、取得画像記憶回路17に保持されているn個の取得画像IPを読み込み、それらを合成してグループ化画像GPを生成する(図3も参照)。その後、プロセッサ112は、処理をステップS314に進める。一方、ステップS312で、画像IS処理を実施することが指定されていた場合は、プロセッサ112は、ステップS319で画像IS処理(図13で後述)を実行してからステップS314に処理を移行させる。グループ化画像GPの生成は、ステップS313または図13のステップS356(後述)でなされる。
【0080】
ステップS314では、プロセッサ112は、グループ化画像GPを生成したときの条件であるグループ化画像生成条件データを作成する。グループ化画像生成条件データの一例としては、グループ化画像GPの露出時間に相当する相当露出時間、グループ化画像GPを生成するときに使用した画像の絞り値から得られる絞り値等が挙げられる。さらには、グループ化画像GPを生成するときに使用した画像のISO感度から得られるISO感度値等が挙げられる。ただし、これら以外の項目を追加しても良いし、いずれかの項目を削除しても良い。グループ化画像生成条件データは、グループ化画像GPに関連付けられて、例えばグループ化画像記憶回路18に格納される。
【0081】
次に、ステップS315では、プロセッサ112は、過去の(既に生成された)グループ化画像GPが存在しているか否かを判別する。その判別の結果、プロセッサ112は、過去のグループ化画像GPが存在していない場合は、ステップS317に処理を移行させる一方、過去のグループ化画像GPが存在している場合は、ステップS316に処理を移行させる。
【0082】
ステップS316では、プロセッサ112は、グループ化画像記憶回路18においてグループ化画像GPを保持するための保存領域に空きが無いか否かを判別する。その判別の結果、プロセッサ112は、保存領域に空きがある場合はステップS317に処理を移行させる一方、空きが無い場合はステップS320を実行してからステップS317に処理を移行させる。
【0083】
ステップS317では、プロセッサ112は、生成したグループ化画像GPをグループ化画像記憶回路18の空き領域に保存して、ステップS318に処理を進める。ステップS320では、プロセッサ112は、空き領域を確保するべく、グループ化画像記憶回路18に保持されているグループ化画像GPのうち最も古いものを削除すると共に、今回新たに生成されたグループ化画像GPをグループ化画像記憶回路18に保存する。従って、プロセッサ112は、グループ化画像記憶回路18に保持されているグループ化画像GPのうち最古のものに置き換えて新たなグループ化画像GPを保持させる。その後、プロセッサ112は、ステップS318に処理を進める。
【0084】
ステップS318では、プロセッサ112は、ステップS313またはステップS319でグループ化画像GPの生成(合成)に使用した取得画像IPを取得画像記憶回路17から順次消去(クリア)し、図10のグループ化画像生成処理を終了させる。
【0085】
本処理でグループ化画像GPを生成することにより、取得画像IPをグループ化してまとめた状態で保持できるので、取得画像記憶回路17の必要な保持領域を削減することが可能となる。
【0086】
図11は、図4のステップS111で実行される表示画像生成処理のフローチャートである。
【0087】
まず、ステップS328では、プロセッサ112は、グループ化画像GPに関連付けられたグループ化画像生成条件データが存在するか否かを判別する。その判別の結果、プロセッサ112は、グループ化画像生成条件データが存在していない場合はステップS329に処理を移行させる一方、存在している場合は、ステップS330に処理を移行させる。
【0088】
ステップS329では、プロセッサ112は、設定値から、グループ化画像記憶回路18の保存領域に保持されているグループ化画像GPの合成条件であるグループ化画像生成条件を決定し、ステップS331に処理を移行させる。ここで、設定値は、画像を生成する条件としてユーザにより不図示の操作子で設定され、例えば、画像を安定させるモードなのか露出をシミュレーションするモードなのかの設定等が該当する。
【0089】
一方、ステップS330では、プロセッサ112は、グループ化画像GPに関連付けられたグループ化画像生成条件データを取得し、当該グループ化画像生成条件データを加味してグループ化画像生成条件を決定して、ステップS331に処理を移行させる。
【0090】
ステップS331では、プロセッサ112は、グループ化画像GPが表示画像Pの合成に必要な個数(保持グループ数m)だけ存在しているか否かを判別する。その判別の結果、プロセッサ112は、グループ化画像GPが保持グループ数mだけ存在している場合は、ステップS332に処理を移行させる一方、保持グループ数mだけ存在しない場合は、ステップS336に処理を移行させる。
【0091】
ステップS332では、プロセッサ112は、画像IS処理を実施することが指定されているか否かを判別する。画像IS処理を実施するか否かの指定は、ユーザによって不図示の操作子でなされる。その判別の結果、プロセッサ112は、画像IS処理を実施することが指定されていない場合は、ステップS333に処理を進める一方、画像IS処理を実施することが指定されていた場合は、ステップS334に処理を進める。
【0092】
ステップS333では、プロセッサ112は、グループ化画像記憶回路18に保持されているグループ化画像GPのうち、最新のものから所定数(ここでは保持グループ数m)分を合成対象とし、それらを合成して表示画像Pを生成する(図3も参照)。
【0093】
ステップS334では、プロセッサ112は、最新のものからm個分のグループ化画像GPの動きベクトルを動きベクトル検出回路16の検出結果に基づいて検出する。次に、ステップS335で、プロセッサ112は、画像IS処理を実施して表示画像Pを生成する。
【0094】
ここで、ステップS335で実施される画像IS処理は、後述する図13の画像IS処理に相当する処理である。すなわち、図13の画像IS処理自体は、n個の取得画像IPあたりに1つのグループ化画像GPを合成する処理であるが、ステップS335では、m個のグループ化画像GPから表示画像Pを合成する処理段階にも図13の画像IS処理を応用する。このように、表示画像Pの合成にも図13の画像IS処理を応用することで、グループ化画像GP間の一致率が低い場合にも、表示画像Pに画像ブレが生じるのを抑制することが可能となる。
【0095】
ステップS336では、プロセッサ112は、ステップS333と同様の処理を実行する。ステップS336の判別の結果、プロセッサ112は、画像IS処理を実施することが指定されていない場合は、ステップS337に処理を進める一方、画像IS処理を実施することが指定されていた場合は、ステップS338に処理を進める。
【0096】
ステップS337では、プロセッサ112は、存在しているグループ化画像GPを合成することで表示画像Pを生成する。その際、グループ化画像GPの数が不足しているため、プロセッサ112は、不足分をゲインアップして合成する。ステップS338では、プロセッサ112は、存在しているグループ化画像GPの動きベクトルを動きベクトル検出回路16の検出結果に基づいて検出する。次に、ステップS339で、プロセッサ112は、画像IS処理を実施して表示画像Pを生成し、その際、グループ化画像GPの不足分をゲインアップする。ステップS339における画像IS処理は、ステップS335におけるものと同じである。
【0097】
ステップS333、S335、S337、S339の処理後は、プロセッサ112は、図11の表示画像生成処理を終了させる。本処理によれば、表示画像Pを生成する上で、取得画像IPを合成するのではなく、グループ化画像GPを合成するので、表示画像Pを生成する加算演算処理の負荷を軽減することが可能となる。
【0098】
図12は、図4のステップS112で実行される表示処理のフローチャートである。
【0099】
まず、ステップS340では、プロセッサ112は、撮像装置の画面表示設定を読み込む。画面表示設定は、ユーザにより不図示の操作子で設定され、その情報が記憶回路10に保持されている。
【0100】
次に、ステップS341では、プロセッサ112は、読み込んだ画像表示設定が、「画像のみ表示」になっているか否かを判別する。その判別の結果、画像表示設定が「画像のみ表示」となっている場合は、プロセッサ112は、ステップS343で、表示画像Pを表示回路8に表示させて、本処理を終了させる。
【0101】
一方、ステップS341の判別の結果、画像表示設定が「画像のみ表示」でない場合は、プロセッサ112は、ステップS342で、表示画像Pに付加情報を合成し、当該合成した画像をステップS343で表示させる。
【0102】
本処理により、ファインダ表示ユニット115乃至外部表示ユニット116に表示画像Pが順次表示される。
【0103】
図13は、図10のステップS319で実行される画像IS処理のフローチャートである。
【0104】
まず、プロセッサ112は、ステップS350では、取得画像記憶回路17に保持されたn個の取得画像IPのうち最初のものを読み込み、続くステップS351では、まだ読み込みを実施していない次の取得画像IPを読み込む。
【0105】
次に、ステップS352では、プロセッサ112は、取得画像IPと取得画像IP、あるいは、取得画像IPと合成画像(後述するステップS356で合成されたもの)とを比較する。そして、動きベクトル検出回路16の検出結果からそれらの画像の動きベクトルを検出する。
【0106】
次に、ステップS360では、プロセッサ112は、取得画像IPを合成してグループ化画像GPを生成する際に、画像一致率を考慮するか否かを判別する。画像一致率を考慮するか否かの指定は、ユーザによって事前になされているとする。その判別の結果、プロセッサ112は、画像一致率を考慮する場合はステップS353に処理を進める一方、画像一致率を考慮しない場合はステップS356に処理を進める。
【0107】
ステップS353では、プロセッサ112は、ステップS352で検出した動きベクトルに基づき、上記比較した画像同士の画像の一致率を算出する。次に、ステップS354では、プロセッサ112は、比較した画像同士の画像の一致率(一致の度合い)が所定値Y以下であるか否かを判別する。その判別の結果、プロセッサ112は、比較した画像同士の画像の一致率が所定値Y以下である(一致の度合いが低い)場合は、ステップS355に処理を進める一方、画像の一致率が所定値Yより高い場合は、ステップS356に処理を進める。
【0108】
ステップS355では、プロセッサ112は、今回読み込まれて比較対象の一方となった取得画像IPを画像合成の候補から除外する。これにより、表示画像Pに画像ブレが生じるのを抑制することが可能となる。ステップS356では、プロセッサ112は、今回読み込まれて比較対象の一方となった取得画像IPを、比較対象の他方の画像と合成する処理を行う。ここでいう比較対象の他方の画像は、以前に読み込まれた取得画像IPであるか、または既にステップS356で合成された合成画像のいずれかである。ステップS356により、画像IS処理内でグループ化画像GPが生成される。
【0109】
ステップS355またはステップS356の処理後は、ステップS357で、プロセッサ112は、所定数(図10のステップS319で実行される場合は、構成画像数nである)の取得画像IPを読み込み済みであるか否かを判別する。
【0110】
その判別の結果、所定数(n個)の取得画像IPを読み込み済みでない場合は、プロセッサ112は、ステップS351に処理を戻し、次の取得画像IPの読み込みに移行する。一方、所定数(n個)の取得画像IPを読み込み済みである場合は、ステップS358で、プロセッサ112は、ステップS355において画像合成の候補から除かれた取得画像IPがあるか否かを判別する。
【0111】
その判別の結果、画像合成の候補から除かれた取得画像IPがある場合は、プロセッサ112は、ステップS359で、除外した取得画像IPの数の分だけ、合成画像であるグループ化画像GPのゲインアップを行い、本処理を終了させる。一方、画像合成の候補から除かれた取得画像IPがない場合は、ゲインアップを行う必要がないので、プロセッサ112は、本処理を終了させる。
【0112】
図14は、図4のステップS107で実行される動画撮影処理のフローチャートである。
【0113】
まず、ステップS400では、プロセッサ112は、動画撮影において画像合成を行うか否かを判別する。画像合成を行うか否かは、ユーザが事前に指定できるものとする。その判別の結果、画像合成を行わない場合は、プロセッサ112は、ステップS401に処理を移行させる一方、画像合成を行う場合はステップS402に処理を移行させる。ステップS401では、プロセッサ112は、撮像処理を行って所定のフレームレートにて画像を取得し、ステップS405に処理を移行させる。
【0114】
ステップS402〜S404のステップは、動画撮影においても、露出シミュレーションモードのときと同様に、取得画像IPを合成してグループ化画像GPを生成し、グループ化画像GPを合成して表示画像Pを生成する処理を採用したものである。従って、ステップS402〜S404は、図4のステップS109〜S111の処理と同様である。すなわち、プロセッサ112は、図9の画像取得処理、図10のグループ化画像生成処理、図11の表示画像生成処理を順次実行して、ステップS405に処理を進める。
【0115】
ステップS405では、プロセッサ112は、ステップS401で取得した画像、またはステップS404で生成した表示画像Pに基づいて動画データを生成する。ここで生成される動画画像は、選択された動画フォーマットに基づいて生成される。次に、ステップS406では、プロセッサ112は、ステップS405にて生成した動画データを画像データ記録回路19に保存する。
【0116】
次に、ステップS407では、プロセッサ112は、静止画撮影を実行するスイッチであるSW2がONしているか否かを判別する。その判別の結果、プロセッサ112は、SW2がONしている場合は、ステップS408に処理を移行させる一方、SW2がOFFしている場合は、ステップS410に処理を移行させる。ステップS408では、プロセッサ112は、動画撮影を停止し、続くステップS409で、レリーズ処理(図8)を実行して、ステップS410に処理を移行させる。
【0117】
プロセッサ112は、ステップS410では、動画撮影を終了するのか否かを判別し、その判別の結果、動画撮影を終了すると判定した場合は、図14の動画撮影処理を終了させる。一方、動画素撮影を継続すると判定した場合は、プロセッサ112は、ステップS402に処理を復帰させ、動画撮影を継続する。
【0118】
本処理によれば、複数画像を合成する長秒時露光相当の露光を行いながらの動画撮影においても、一旦、グループ化画像GPを生成して動画画像を生成するので、演算負荷を低減することが可能となる。
【0119】
本実施の形態によれば、取得画像IPがn個保持される毎に、それら取得画像IPを合成してグループ化画像GPを生成すると共に、当該合成に用いた取得画像IPを取得画像記憶回路17から順次消去する。これにより、取得画像記憶回路17の保持領域は、最低でもn個分の取得画像IPを記憶できる容量で足りる。そして、グループ化画像記憶回路18に新たなグループ化画像GPが保持される毎に、保持されていたグループ化画像GPのうち最新のものから基本的にはm個分のものまでを合成して表示画像Pを生成する。これにより、取得画像IPを取得する毎に表示画像Pを生成することに比べて、画像合成の負荷が少なくて済む。よって、連続画像を生成する際に、取得画像の保持領域の削減を可能にすると共に画像合成の負荷を軽減することができる。
【0120】
すなわち、低輝度状態で露出が不足する場合にも、合成する全画像数より少ない画像数をセットとして合成してグループ化画像GPを生成し、生成したグループ化画像GPを合成して最終画像である表示画像Pを得る構成である。従って、取得画像IPを保持するための保持領域を削減することが可能となり、また、保持するデータの数を削減できることで、順次生成するデータの演算負荷の低減を図ることが可能となる。
【0121】
本実施の形態では、上述のとおり、取得画像IPがn個保持される毎に、それら取得画像IPを合成してグループ化画像GPを生成すると共に、当該合成に用いた取得画像IPを取得画像記憶回路17から消去する仕様とした。しかしこれに限らず、たとえば当該合成に用いた取得画像IPをn/2(あるいはn/2−1/2)個だけ取得画像記憶回路17から消去し、次のn/2(あるいはn/2+1/2)個が新たに取得されたときに次のグループ化画像GPを生成するようにしてもよい。すなわち、グループ化画像GP生成時に消去する取得画像IPの数やグループ化画像GP生成のタイミング、生成に用いる取得画像IPの重複の度合い等については特に限定されない。
【0122】
ところで、本実施の形態においては、スルー画像表示可能なライブビュー表示が可能な一眼レフカメラを例示したが、これに限るものではない。すなわち、撮像手段にて画像取得が可能な装置ならば、コンパクトカメラ、ビデオカメラ等、各種の撮像装置に本発明を適用可能である。
【0123】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、グループ化画像GPを生成するための合成対象である取得画像IPは、撮像により順次取得される画像であった。本発明の第2の実施の形態では、予め取得された画像を合成対象とする。基本的な構成は第1の実施の形態と同じであり、第1の実施の形態と同じ動作についても同じフローチャートが適用される。
【0124】
図15は、第2の実施の形態における動画データ変換処理のフローチャートである。この処理は、予め記録されているデータを読み込んで動画データに変換する処理を行うものである。
【0125】
まず、プロセッサ112は、ステップS500では、動画データの変換条件設定処理(図16で後述)を実行し、続くステップS501で、変換に使用する変換フアイルを選択する。そして、ステップS502では、選択した画像データ(取得画像IP)の読み出しを順次実施する。
【0126】
プロセッサ112は、ステップS503では、グループ化画像生成処理(図10で前述)を実行し、続くステップS504では、表示画像生成処理(図11で前述)を実行する。次に、プロセッサ112は、ステップS505では、動画データの生成処理を実行し、続くステップS506では、生成した変換した動画データを保存する。
【0127】
ステップS507では、プロセッサ112は、選択した画像データの読み出しが終了したか否かを判別し、読み出しが終了した場合は、図15の動画データ変換処理を終了させる。一方、ステップS507で、読み出しが終了していない場合は、プロセッサ112は、ステップS502に処理を復帰させ、動画データの変換を継続する。
【0128】
図16は、図15のステップS500で実行される動画データの変換条件設定処理のフローチャートである。
【0129】
まず、プロセッサ112は、ステップS520では、変換するデータの露出補正量を設定し、次のステップS521では、設定した露出補正量に基づく画像を生成するために必要な画像の数(必要加算画像数)を算出する。
【0130】
次に、ステップS522では、合成画像数が所定値以上であるか否かを判別する。その判別の結果、プロセッサ112は、合成画像数が所定値以上である場合はステップS523に処理を進める一方、合成画像数が所定値以上でない場合はステップS525に処理を進める。
【0131】
プロセッサ112は、ステップS523、S524では、図5のステップS1430、S1440と同様にして、保持グループ数m、構成画像数nの設定を行う。ステップS525では、プロセッサ112は、ステップS1450と同様に、取得画像IPを直接合成するように設定する。プロセッサ112は、ステップS524、S525の処理後は本処理を終了させる。
【0132】
本実施の形態によれば、予め取得済みのデータに対しても、補正値に応じて、画像を複数のグループにグループ化して合成することで、取得済み画像の合成に伴う演算負荷の低減が可能となる。なお、取得済み画像では、露出条件に代えて、取得済み画像の輝度などの明るさの設定条件に応じて保持グループ数m、構成画像数nや必要加算画像数pが規定されるようにしてもよい。
【0133】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0134】
8 表示回路
11 撮像回路
16 動きベクトル検出回路
17 取得画像記憶回路
18 グループ化画像記憶回路
19 画像データ記録回路
112 カメラマイクロプロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次取得される取得画像を保持する第1の保持手段と、
前記第1の保持手段に保持された第1の設定数の取得画像を合成して第1の合成画像を生成する第1の合成手段と、
前記第1の合成画像を保持する第2の保持手段と、
前記第2の保持手段に保持された前記第1の合成画像のうち最も新しく生成されたものから第2の設定数のものまでを合成して第2の合成画像を生成する第2の合成手段と、
前記第1の合成画像の生成に用いられなくなった前記取得画像を順次消去する消去手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第2の合成手段により新たな前記第2の合成画像が生成される毎に、表示内容を最新の前記第2の合成画像に更新して表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1の合成手段は、前記第1の保持手段に、前記取得画像が前記第1の設定数だけ保持される毎に、それら前記第1の設定数の取得画像を合成して前記第1の合成画像を生成し、前記消去手段は、前記第1の合成手段が前記第1の合成画像を生成したのを受けて、当該第1の合成画像の生成に用いた取得画像を前記第1の保持手段から消去することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2の保持手段は、新たな前記第1の合成画像を保持する際に空き領域がない場合は、保持している前記第1の合成画像のうち最古のものに置き換えて前記新たな前記第1の合成画像を保持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の設定数を、前記取得画像の明るさに基づいて設定する第1の設定手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記取得画像の明るさとは、前記取得画像が撮像により取得される際の露出時間であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記取得画像の動きベクトルを検出する検出手段と、前記第1の設定数を前記検出手段により検出された動きベクトルに基づいて設定する第1の設定手段と、を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第2の合成画像に対する明るさの設定と前記第1の設定数とに応じて前記第2の設定数を設定する第2の設定手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記取得画像の動きベクトルを検出する検出手段を有し、前記第1の合成手段は、前記合成に用いる取得画像の中で他の取得画像に対して一致の度合いが所定値よりも低いものについては合成の対象から除いて合成を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
請求項2に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置の前記第1の保持手段に保持されるための取得画像を取得する撮像手段と、を有し、
前記画像処理装置の前記表示手段は、前記画像処理装置の前記第2の合成手段により生成された前記第2の合成画像をライブビュー表示として順次表示することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項2に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置の前記第1の保持手段に保持されるための取得画像を取得する撮像手段と、を有し、
前記画像処理装置の前記第2の合成手段により生成された前記第2の合成画像は動画画像として記憶装置に保存されることを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
取得画像を保持する保持手段と、複数の取得画像を合成して合成画像を生成する合成手段と、を有する画像処理装置の制御方法であって、
前記保持手段に、順次取得される取得画像を保持する第1の保持ステップと、
前記合成手段によって、前記第1の保持ステップで保持された第1の設定数の取得画像を合成して第1の合成画像を生成する第1の合成ステップと、
前記保持手段に、前記第1の合成画像を保持する第2の保持ステップと、
前記合成手段によって、前記第2の保持ステップで保持された前記第1の合成画像のうち最も新しく生成されたものから第2の設定数のものまでを合成して第2の合成画像を生成する第2の合成ステップと、
前記第1の合成画像の生成に用いられなくなった前記取得画像を順次消去する消去ステップと、を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−105141(P2012−105141A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252864(P2010−252864)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】